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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121100
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】電源装置及び電源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
H02M3/28 C
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018266
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅見 和博
(72)【発明者】
【氏名】新田 甲之輔
(72)【発明者】
【氏名】惠 隆義
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA20
5H730AS01
5H730BB27
5H730BB62
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE08
5H730EE13
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730FG01
(57)【要約】
【課題】スイッチング素子の数を抑制しつつ、入力コンデンサを放電できる電源装置及び電源装置の制御方法を提供する。
【解決手段】電源装置は、複数のアームを含むブリッジ回路と、1次巻線がブリッジ回路に接続されたトランスと、トランスの2次巻線に接続され、2次巻線の電圧を整流して負荷へ出力する整流回路と、制御回路と、を含む。制御回路は、負荷へ電力を出力する第1の場合には、複数のアームの動作タイミングの位相を異ならせる制御を行い、入力コンデンサの電荷を放電する第2の場合には、複数のアームの動作タイミングの位相を同じにする制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイサイドのスイッチング素子の一端が入力コンデンサの高電位側の端子に電気的に接続され、ローサイドのスイッチング素子の一端が前記入力コンデンサの低電位側の端子に電気的に接続され、前記ハイサイドのスイッチング素子の他端と前記ローサイドのスイッチング素子の他端とが電気的に接続された複数のアームを含む、ブリッジ回路と、
1次巻線が前記ブリッジ回路に電気的に接続された、トランスと、
前記トランスの2次巻線に電気的に接続され、前記2次巻線の電圧を整流して負荷へ出力する、整流回路と、
前記負荷へ電力を出力する第1の場合には、前記複数のアームの動作タイミングの位相を異ならせる制御を行い、前記入力コンデンサの電荷を放電する第2の場合には、前記複数のアームの動作タイミングの位相を同じにする制御を行う、制御回路と、
を含む、
ことを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記第2の場合には、前記第1の場合と比較して高いスイッチング周波数で前記複数のアームを動作させる制御を行う、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記複数のアームを構成する複数のトランジスタは、ソース-ドレイン間に寄生容量を夫々有する、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記複数のアームを構成する複数のトランジスタのソース-ドレイン間に電気的に夫々接続された、複数のコンデンサ素子を更に含む、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
ハイサイドのスイッチング素子の一端が入力コンデンサの高電位側の端子に電気的に接続され、ローサイドのスイッチング素子の一端が前記入力コンデンサの低電位側の端子に電気的に接続され、前記ハイサイドのスイッチング素子の他端と前記ローサイドのスイッチング素子の他端とが電気的に接続された複数のアームを含む、ブリッジ回路と、1次巻線が前記ブリッジ回路に電気的に接続された、トランスと、前記トランスの2次巻線に電気的に接続され、前記2次巻線の電圧を整流して負荷へ出力する、整流回路と、を含む電源装置の制御方法であって、
前記負荷へ電力を出力する第1の場合には、前記複数のアームの動作タイミングの位相を異ならせる制御を行い、前記入力コンデンサを放電する第2の場合には、前記複数のアームの動作タイミングの位相を同じにする制御を行う、
ことを特徴とする、電源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び電源装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1記載の車載用電圧変換装置は、メインスイッチング回路の他に補助スイッチング回路を備える。そして、この車載用電圧変換装置は、電圧変換動作の停止時に、補助スイッチング回路を動作させることにより、入力コンデンサの電荷を放電することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-104298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、特許文献1記載の車載用電圧変換装置は、入力コンデンサの電荷の放電のために、補助スイッチング回路を使用する。しかしながら、スイッチング素子の数を抑制することが望まれる。
【0005】
本発明は、スイッチング素子の数を抑制しつつ、入力コンデンサを放電することが可能な電源装置及び電源装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の電源装置は、
ハイサイドのスイッチング素子の一端が入力コンデンサの高電位側の端子に電気的に接続され、ローサイドのスイッチング素子の一端が前記入力コンデンサの低電位側の端子に電気的に接続され、前記ハイサイドのスイッチング素子の他端と前記ローサイドのスイッチング素子の他端とが電気的に接続された複数のアームを含む、ブリッジ回路と、
1次巻線が前記ブリッジ回路に電気的に接続された、トランスと、
前記トランスの2次巻線に電気的に接続され、前記2次巻線の電圧を整流して負荷へ出力する、整流回路と、
前記負荷へ電力を出力する第1の場合には、前記複数のアームの動作タイミングの位相を異ならせる制御を行い、前記入力コンデンサの電荷を放電する第2の場合には、前記複数のアームの動作タイミングの位相を同じにする制御を行う、制御回路と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0007】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記第2の場合には、前記第1の場合と比較して高いスイッチング周波数で前記複数のアームを動作させる制御を行う、
ことを特徴とする。
【0008】
前記電源装置において、
前記複数のアームを構成する複数のトランジスタは、ソース-ドレイン間に寄生容量を夫々有する、
ことを特徴とする。
【0009】
前記電源装置において、
前記複数のアームを構成する複数のトランジスタのソース-ドレイン間に電気的に夫々接続された、複数のコンデンサ素子を更に含む、
ことを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様の電源装置の制御方法は、
ハイサイドのスイッチング素子の一端が入力コンデンサの高電位側の端子に電気的に接続され、ローサイドのスイッチング素子の一端が前記入力コンデンサの低電位側の端子に電気的に接続され、前記ハイサイドのスイッチング素子の他端と前記ローサイドのスイッチング素子の他端とが電気的に接続された複数のアームを含む、ブリッジ回路と、1次巻線が前記ブリッジ回路に電気的に接続された、トランスと、前記トランスの2次巻線に電気的に接続され、前記2次巻線の電圧を整流して負荷へ出力する、整流回路と、を含む電源装置の制御方法であって、
前記負荷へ電力を出力する第1の場合には、前記複数のアームの動作タイミングの位相を異ならせる制御を行い、前記入力コンデンサを放電する第2の場合には、前記複数のアームの動作タイミングの位相を同じにする制御を行う、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様の電源装置及び電源装置の制御方法は、スイッチング素子の数を抑制しつつ、入力コンデンサを放電することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施の形態の電源装置の回路構成を示す図である。
図2図2は、第1の実施の形態の電源装置のトランジスタの動作タイミングの一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施の形態の電源装置のトランジスタの動作タイミングの一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施の形態の電源装置のトランジスタの動作タイミングの一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施の形態の電源装置のトランジスタの電圧及び電流を示す図である。
図6図6は、第1の実施の形態の電源装置の各部の電圧の実測値を示す図である。
図7図7は、第1の実施の形態の電源装置の各部の電圧の実測値を示す図である。
図8図8は、第1の実施の形態の電源装置の各部の電圧の実測値を示す図である。
図9図9は、第1の実施の形態の電源装置の各部の電圧の実測値を示す図である。
図10図10は、第1の実施の形態の電源装置の各部の電圧の実測値を示す図である。
図11図11は、第1の実施の形態の電源装置の各部の電圧の実測値を示す図である。
図12図12は、第2の実施の形態の電源装置の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の電源装置及び電源装置の制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
<第1の実施の形態>
(全体構成)
図1は、第1の実施の形態の電源装置の回路構成を示す図である。電源装置1は、直流電源2からスイッチSWを介して出力され入力コンデンサ3で平滑化後の直流電圧Vinの供給を受けて、出力電圧Voutを負荷4へ出力する。
【0015】
電源装置1は、電流共振コンバータ11と、整流回路12と、インダクタ13と、出力コンデンサ14と、電圧センサ15と、電流センサ16と、制御回路17と、を含む。
【0016】
電流共振コンバータ11は、LLC共振を利用した電流共振コンバータ(LLCコンバータ)である。電流共振コンバータ11は、フルブリッジ回路FBと、トランスTと、を含む。電流共振コンバータ11は、フルブリッジ回路FBと、トランスTと、の間に、漏れインダクタンス30を含む。漏れインダクタンス30は、トランスTに含まれても良い。
【0017】
フルブリッジ回路FBは、第1アーム20-1及び第2アーム20-2を含む。
【0018】
第1アーム20-1及び第2アーム20-2の各々が、本開示の「アーム」の一例に相当する。
【0019】
第1アーム20-1は、ハイサイドのトランジスタTr1-1と、ローサイドのトランジスタTr1-2と、を含む。第2アーム20-2は、ハイサイドのトランジスタTr2-1と、ローサイドのトランジスタTr2-2と、を含む。
【0020】
トランジスタTr1-1からTr2-2までの各々が、本開示の「スイッチング素子」の一例に相当する。
【0021】
なお、本開示では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでも良い。
【0022】
トランジスタTr1-1からTr2-2までは、寄生ダイオード(ボディダイオード)D1-1からD2-2までを、夫々有する。寄生ダイオードD1-1からD2-2までの各々は、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードD1-1からD2-2までの各々は、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。
【0023】
トランジスタTr1-1からTr2-2までは、ソースとドレインとの間に、寄生容量C1-1から寄生容量C2-2までを、夫々有する。寄生容量C1-1からC2-2までの各々は、MOSFETと、MOSFETが実装される基板と、の間に生ずる寄生容量である。
【0024】
寄生ダイオードD1-1及び寄生容量C1-1を合わせて、容量21と称する。寄生ダイオードD1-2及び寄生容量C1-2を合わせて、容量22と称する。寄生ダイオードD2-1及び寄生容量C2-1を合わせて、容量23と称する。寄生ダイオードD2-2及び寄生容量C2-2を合わせて、容量24と称する。
【0025】
トランジスタTr1-1のソースは、トランジスタTr1-2のドレインに電気的に接続されている。トランジスタTr2-1のソースは、トランジスタTr2-2のドレインに電気的に接続されている。
【0026】
トランジスタTr1-1のドレイン及びトランジスタTr2-1のドレインは、入力コンデンサ3の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタTr1-2のソース及びトランジスタTr2-2のソースは、入力コンデンサ3の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0027】
トランジスタTr1-1のドレインとトランジスタTr2-1のドレインとの接続点が、フルブリッジ回路FBの一方の入力端子である。トランジスタTr1-2のソースとトランジスタTr2-2のソースとの接続点が、フルブリッジ回路FBの他方の入力端子である。
【0028】
フルブリッジ回路FBの2つの入力端子には、直流電圧Vinが入力される。
【0029】
トランジスタTr1-1のソースとトランジスタTr1-2のドレインとの接続点が、フルブリッジ回路FBの一方の出力端子である。トランジスタTr2-1のソースとトランジスタTr2-2のドレインとの接続点が、フルブリッジ回路FBの他方の出力端子である。
【0030】
フルブリッジ回路FBは、直流電圧Vin、直流電圧-Vin、又は、ゼロ電圧を、一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
【0031】
例えば、フルブリッジ回路FBは、トランジスタTr1-1及びトランジスタTr2-2がオン状態、且つ、トランジスタTr1-2及びトランジスタTr2-1がオフ状態の場合、直流電圧Vinを、一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
【0032】
また例えば、フルブリッジ回路FBは、トランジスタTr1-1及びトランジスタTr2-2がオフ状態、且つ、トランジスタTr1-2及びトランジスタTr2-1がオン状態の場合、直流電圧-Vinを、一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
【0033】
また例えば、フルブリッジ回路FBは、トランジスタTr1-1からトランジスタTr2-2までがオフ状態の場合、ゼロ電圧を、一方の出力端子と他方の出力端子との間に出力する。
【0034】
トランスTは、1次巻線31と、2次巻線32と、コア33と、を含む。1次巻線31及び2次巻線32は、コア33に巻回されている。
【0035】
1次巻線31は、励磁インダクタンス34を含む。1次巻線31の一端は、漏れインダクタンス30を介して、フルブリッジ回路FBの一方の出力端子に電気的に接続されている。1次巻線31の他端は、フルブリッジ回路FBの他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0036】
なお、本開示では、LLC共振回路が1次巻線31の側にあることとしたが、これに限定されない。LLC共振回路は、2次巻線32の側にあっても良い。また、LLC共振回路は、1次巻線31の側と、2次巻線32の側と、の両側にあっても良い。
【0037】
整流回路12は、第1整流アーム40-1及び第2整流アーム40-2を含む。
【0038】
第1整流アーム40-1は、ハイサイドのダイオードD1と、ローサイドのトランジスタTr3と、を含む。トランジスタTr3は、寄生ダイオードD3-1を有する。トランジスタTr3は、ソースとドレインとの間に、寄生容量C3-1を有する。
【0039】
ダイオードD1のアノードは、トランジスタTr3のドレインに電気的に接続されている。ダイオードD1のアノードとトランジスタTr3のドレインとの接続点が、第1整流アーム40-1の入力端子である。ダイオードD1のカソードが、第1整流アーム40-1の一方(高電位側)の出力端子である。トランジスタTr3のソースが、第1整流アーム40-1の他方(低電位側)の出力端子である。
【0040】
なお、第1整流アーム40-1は、トランジスタTr3に代えて、ダイオードを含むこととしても良い。また、第1整流アーム40-1は、ダイオードD1に代えて、トランジスタを含むこととしても良い。
【0041】
第2整流アーム40-2は、ハイサイドのダイオードD2と、ローサイドのトランジスタTr4と、を含む。トランジスタTr4は、寄生ダイオードD4-1を有する。トランジスタTr4は、ソースとドレインとの間に、寄生容量C4-1を有する。
【0042】
ダイオードD2のアノードは、トランジスタTr4のドレインに電気的に接続されている。ダイオードD2のアノードとトランジスタTr4のドレインとの接続点が、第2整流アーム40-2の入力端子である。ダイオードD2のカソードが、第2整流アーム40-2の一方(高電位側)の出力端子である。トランジスタTr4のソースが、第2整流アーム40-2の他方(低電位側)の出力端子である。
【0043】
なお、第2整流アーム40-2は、トランジスタTr4に代えて、ダイオードを含むこととしても良い。また、第2整流アーム40-2は、ダイオードD2に代えて、トランジスタを含むこととしても良い。
【0044】
ダイオードD1及びD2のカソードは、電気的に接続されており、整流回路12の一方(高電位側)の出力端子である。トランジスタTr3及びトランジスタTr4のソースは、電気的に接続されており、整流回路12の他方(低電位側)の出力端子である。
【0045】
第1整流アーム40-1の入力端子は、トランスTの2次巻線32の一端に電気的に接続されている。第2整流アーム40-2の入力端子は、トランスTの2次巻線32の他端に電気的に接続されている。
【0046】
整流回路12の一方(高電位側)の出力端子は、インダクタ13を介して、出力コンデンサ14の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。整流回路12の他方(低電位側)の出力端子は、出力コンデンサ14の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0047】
整流回路12は、2次巻線32に励磁される電圧を全波整流して、出力コンデンサ14に出力する。出力コンデンサ14は、整流回路12で全波整流された電圧を平滑化する。出力コンデンサ14の電圧が、出力電圧Voutである。
【0048】
出力コンデンサ14の一端(高電位側端)は、負荷4の一端に電気的に接続されている。出力コンデンサ14の他端(低電位側端)は、負荷4の他端に電気的に接続されている。
【0049】
負荷4には、出力コンデンサ14で平滑化された出力電圧Voutが入力される。例えば、負荷4がリチウムイオン電池である場合には、リチウムイオン電池は、出力コンデンサ14で平滑化された出力電圧Voutによって、充電される。
【0050】
電圧センサ15は、出力電圧Voutを検出して、電圧検出信号を制御回路17に出力する。電流センサ16は、負荷4に流れる出力電流Ioutを検出して、電流検出信号を制御回路17に出力する。
【0051】
制御回路17は、外部から入力される制御信号Sが第1レベルである第1の場合には、負荷4へ電力を出力するように、予め定められたスイッチング周波数のスイッチング制御信号を、トランジスタTr1-1からTr2-2までのゲートに出力する。予め定められたスイッチング周波数は、90kHz(キロヘルツ)が例示されるが、本開示はこれに限定されない。具体的には、制御回路17は、第1アーム20-1の動作タイミングの位相と、第2アーム20-2の動作タイミングの位相と、を異ならせる制御を行う。例えば、制御回路17は、第1アーム20-1の動作タイミングの位相と、第2アーム20-2の動作タイミングの位相と、の間の位相差を100%(180度)、50%(90度)等にする制御を行う。
【0052】
制御回路17は、制御信号Sが第2レベルである第2の場合には、入力コンデンサ3の電荷を放電するように、スイッチング制御信号をトランジスタTr1-1からトランジスタTr2-2までのゲートに出力する。具体的には、制御回路17は、第1アーム20-1の動作タイミングの位相と、第2アーム20-2の動作タイミングの位相と、を同じにする制御を行う。つまり、制御回路17は、第1アーム20-1の動作タイミングの位相と、第2アーム20-2の動作タイミングの位相と、の間の位相差を0%(0度)にする制御を行う。
【0053】
(第1の場合の電源装置の動作)
[位相差を100%(180度)にする場合]
図2は、第1の実施の形態の電源装置のトランジスタの動作タイミングの一例を示す図である。詳しくは、図2は、第1アーム20-1の動作タイミングの位相と、第2アーム20-2の動作タイミングの位相と、の間の位相差が100%(180度)である場合の、各トランジスタの動作タイミングを示す図である。
【0054】
なお、図2では、デッドタイムの記載を省略している。デッドタイム期間中には、励磁インダクタンス34,漏れインダクタンス30及び容量21から24までにより、LLC共振が発生する。LLC共振により容量21から24までが充電され、損失が低減する。
【0055】
制御回路17は、タイミングtにおいて、波形101で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-1のゲートに出力し、トランジスタTr1-1をオン状態に制御する。また、制御回路17は、波形102で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-2のゲートに出力し、トランジスタTr1-2をオフ状態に制御する。また、制御回路17は、波形103で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-1のゲートに出力し、トランジスタTr2-1をオフ状態に制御する。また、制御回路17は、波形104で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-2のゲートに出力し、トランジスタTr2-2をオン状態に制御する。
【0056】
この場合、1次側では、入力コンデンサ3→トランジスタTr1-1→1次巻線31→トランジスタTr2-2→入力コンデンサ3の経路に電流が流れる。2次側では、2次巻線32→ダイオードD2→インダクタ13→出力コンデンサ14→トランジスタTr3→2次巻線32の経路に電流が流れる。
【0057】
制御回路17は、タイミングtにおいて、波形101で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-1のゲートに出力し、トランジスタTr1-1をオフ状態に制御する。また、制御回路17は、波形102で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-2のゲートに出力し、トランジスタTr1-2をオン状態に制御する。また、制御回路17は、波形103で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-1のゲートに出力し、トランジスタTr2-1をオン状態に制御する。また、制御回路17は、波形104で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-2のゲートに出力し、トランジスタTr2-2をオフ状態に制御する。
【0058】
この場合、1次側では、入力コンデンサ3→トランジスタTr2-1→1次巻線31→トランジスタTr1-2→入力コンデンサ3の経路に電流が流れる。2次側では、2次巻線32→ダイオードD1→インダクタ13→出力コンデンサ14→トランジスタTr4→2次巻線32の経路に電流が流れる。
【0059】
制御回路17は、以降、同じ制御を繰り返す。これにより、1次側のエネルギーの100%が2次側へ伝達され、出力電圧Voutは、一定となる。
【0060】
[位相差を50%(90度)にする場合]
図3は、第1の実施の形態の電源装置のトランジスタの動作タイミングの一例を示す図である。詳しくは、図3は、第1アーム20-1の動作タイミングの位相と、第2アーム20-2の動作タイミングの位相と、の間の位相差が50%(90度)である場合の、各トランジスタの動作タイミングを示す図である。
【0061】
なお、図3でも、デッドタイムの記載を省略している。
【0062】
制御回路17は、タイミングt10において、波形111で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-1のゲートに出力し、トランジスタTr1-1をオン状態に制御する。また、制御回路17は、波形112で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-2のゲートに出力し、トランジスタTr1-2をオフ状態に制御する。また、制御回路17は、波形113で示すように、トランジスタTr2-1に出力するスイッチング制御信号をローレベルに維持し、トランジスタTr2-1をオフ状態に維持する。また、制御回路17は、波形114で示すように、トランジスタTr2-2のゲートに出力するスイッチング制御信号をハイレベルに維持し、トランジスタTr2-2をオン状態に維持する。
【0063】
この場合、1次側では、入力コンデンサ3→トランジスタTr1-1→1次巻線31→トランジスタTr2-2→入力コンデンサ3の経路に電流が流れる。2次側では、2次巻線32→ダイオードD2→インダクタ13→出力コンデンサ14→トランジスタTr3→2次巻線32の経路に電流が流れる。従って、1次側のエネルギーが2次側へ伝達され、出力電圧Voutは、上昇する。
【0064】
制御回路17は、タイミングt11において、波形111で示すように、トランジスタTr1-1に出力するスイッチング制御信号をハイレベルに維持し、トランジスタTr1-1をオン状態に維持する。また、制御回路17は、波形112で示すように、トランジスタTr1-2に出力するスイッチング制御信号をローレベルに維持し、トランジスタTr1-2をオフ状態に維持する。また、制御回路17は、波形113で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-1のゲートに出力し、トランジスタTr2-1をオン状態に制御する。また、制御回路17は、波形114で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-2のゲートに出力し、トランジスタTr2-2をオフ状態に制御する。
【0065】
この場合、1次巻線31の両端が同電位となるので、1次巻線31には、電圧が印加されず、電流も流れない。従って、2次巻線32にも、電圧が発生せず、電流も流れない。従って、1次側のエネルギーが2次側へ伝達されず、出力電圧Voutは、下降する。
【0066】
制御回路17は、タイミングt12において、波形111で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-1のゲートに出力し、トランジスタTr1-1をオフ状態に制御する。また、制御回路17は、波形112で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-2のゲートに出力し、トランジスタTr1-2をオン状態に制御する。また、制御回路17は、波形113で示すように、トランジスタTr2-1に出力するスイッチング制御信号をハイレベルに維持し、トランジスタTr2-1をオン状態に維持する。また、制御回路17は、波形114で示すように、トランジスタTr2-2に出力するスイッチング制御信号をローレベルに維持し、トランジスタTr2-2をオフ状態に維持する。
【0067】
この場合、1次側では、入力コンデンサ3→トランジスタTr2-1→1次巻線31→トランジスタTr1-2→入力コンデンサ3の経路に電流が流れる。2次側では、2次巻線32→ダイオードD1→インダクタ13→出力コンデンサ14→トランジスタTr4→2次巻線32の経路に電流が流れる。従って、1次側のエネルギーが2次側へ伝達され、出力電圧Voutは、上昇する。
【0068】
制御回路17は、タイミングt13において、波形111で示すように、トランジスタTr1-1に出力するスイッチング制御信号をローレベルに維持し、トランジスタTr1-1をオフ状態に維持する。また、制御回路17は、波形112で示すように、トランジスタTr1-2に出力するスイッチング制御信号をハイレベルに維持し、トランジスタTr1-2をオン状態に維持する。また、制御回路17は、波形113で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-1のゲートに出力し、トランジスタTr2-1をオフ状態に制御する。また、制御回路17は、波形114で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-2のゲートに出力し、トランジスタTr2-2をオン状態に制御する。
【0069】
この場合、1次巻線31の両端が同電位となるので、1次巻線31には、電圧が印加されず、電流も流れない。従って、2次巻線32にも、電圧が発生せず、電流も流れない。従って、1次側のエネルギーが2次側へ伝達されず、出力電圧Voutは、下降する。
【0070】
制御回路17は、以降、同じ制御を繰り返す。これにより、1次側のエネルギーの50%が2次側へ伝達され、出力電圧Voutは、上下動を繰り返す。
【0071】
(第2の場合の電源装置の動作)
図4は、第1の実施の形態の電源装置のトランジスタの動作タイミングの一例を示す図である。詳しくは、図4は、第1アーム20-1の動作タイミングの位相と、第2アーム20-2の動作タイミングの位相と、の間の位相差が0%(0度)である場合の、各トランジスタの動作タイミングを示す図である。
【0072】
なお、図4でも、デッドタイムの記載を省略している。
【0073】
第2の場合では、スイッチSW(図1参照)はオフ状態に制御され、直流電源2から入力コンデンサ3への電力供給が断たれている。
【0074】
制御回路17は、タイミングt20において、波形121で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-1のゲートに出力し、トランジスタTr1-1をオン状態に制御する。また、制御回路17は、波形122で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-2のゲートに出力し、トランジスタTr1-2をオフ状態に制御する。また、制御回路17は、波形123で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-1のゲートに出力し、トランジスタTr2-1をオン状態に制御する。また、制御回路17は、波形124で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-2のゲートに出力し、トランジスタTr2-2をオフ状態に制御する。
【0075】
このとき、第1アーム20-1では、入力コンデンサ3→トランジスタTr1-1→容量22→入力コンデンサ3の経路に過渡的な電流が流れる。同様に、第2アーム20-2では、入力コンデンサ3→トランジスタTr2-1→容量24→入力コンデンサ3の経路に過渡的な電流が流れる。
【0076】
このとき、1次巻線31の両端が同電位になるので、1次巻線31には、電圧が印加されず電流も流れない。そのため、励磁インダクタンス34、漏れインダクタンス30及び容量21から24までによるLLC共振が発生しない。従って、トランジスタTr1-1からTr2-2までに流れる電流を多くすることができる。また、1次巻線31には、電圧が印加されず電流も流れないので、2次巻線32にも、電圧が発生せず電流も流れない。つまり、出力コンデンサ14及び負荷4に電力が供給されない。
【0077】
制御回路17は、タイミングt21において、波形121で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-1のゲートに出力し、トランジスタTr1-1をオフ状態に制御する。また、制御回路17は、波形122で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr1-2のゲートに出力し、トランジスタTr1-2をオン状態に制御する。また、制御回路17は、波形123で示すように、ローレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-1のゲートに出力し、トランジスタTr2-1をオフ状態に制御する。また、制御回路17は、波形124で示すように、ハイレベルのスイッチング制御信号をトランジスタTr2-2のゲートに出力し、トランジスタTr2-2をオン状態に制御する。
【0078】
このとき、第1アーム20-1では、入力コンデンサ3→容量21→トランジスタTr1-2→入力コンデンサ3の経路に過渡的な電流が流れる。同様に、第2アーム20-2では、入力コンデンサ3→容量23→トランジスタTr2-2→入力コンデンサ3の経路に過渡的な電流が流れる。
【0079】
このとき、1次巻線31の両端が同電位になるので、1次巻線31には、電圧が印加されず電流も流れない。そのため、励磁インダクタンス34、漏れインダクタンス30及び容量21から24までによるLLC共振が発生しない。従って、トランジスタTr1-1からTr2-2までに流れる電流を多くすることができる。また、1次巻線31には、電圧が印加されず電流も流れないので、2次巻線32にも、電圧が発生せず電流も流れない。つまり、出力コンデンサ14及び負荷4に電力が供給されない。
【0080】
図5は、第1の実施の形態の電源装置のトランジスタの電圧及び電流を示す図である。具体的には、図5は、トランジスタTr2-1及びTr2-2の電圧及び電流を示す図である。
【0081】
なお、図5では、デッドタイムTを記載している。
【0082】
波形131は、トランジスタTr2-1のゲート-ソース間の電圧Vgs2-1の波形である。波形132は、トランジスタTr2-1のドレイン-ソース間の電圧Vds2-1の波形である。波形133は、トランジスタTr2-1のドレイン-ソース間の電流Ids2-1の波形である。
【0083】
波形134は、トランジスタTr2-2のゲート-ソース間の電圧Vgs2-2の波形である。波形135は、トランジスタTr2-2のドレイン-ソース間の電圧Vds2-2の波形である。波形136は、トランジスタTr2-2のドレイン-ソース間の電流Ids2-2の波形である。
【0084】
制御回路17は、タイミングt30において、波形134で示すように、トランジスタTr2-2のゲートにローレベルのスイッチング制御信号を出力する。トランジスタTr2-2はオン状態からオフ状態に移行する。
【0085】
なお、このとき、波形132で示すように、トランジスタTr2-1のドレイン-ソース間の電圧Vds2-1は、直流電圧Vinである。また、波形135で示すように、トランジスタTr2-2のドレイン-ソース間の電圧Vds2-2は、ゼロである。
【0086】
制御回路17は、タイミングt30からデッドタイムTが経過後のタイミングt31において、波形131で示すように、トランジスタTr2-1のゲートにハイレベルのスイッチング制御信号を出力する。トランジスタTr2-1はオフ状態からオン状態に移行する。
【0087】
すると、波形132で示すように、トランジスタTr2-1のドレイン-ソース間の電圧Vds2-1は下降するとともに、波形135で示すように、トランジスタTr2-2のドレイン-ソース間の電圧Vds2-2は上昇する。それとともに、波形133で示すように、トランジスタTr2-1のドレイン-ソース間に過渡的な電流Ids2-1が流れる。この電流Ids2-1が流れる経路は、入力コンデンサ3→トランジスタTr2-1→容量24→入力コンデンサ3である。
【0088】
電流Ids2-1が流れることにより、トランジスタTr2-1では、スイッチング損失137が発生する。
【0089】
過渡状態が終了後、波形132で示すように、トランジスタTr2-1のドレイン-ソース間の電圧Vds2-1は、ゼロになる。また、波形133で示すように、トランジスタTr2-1のドレイン-ソース間の電流Ids2-1は、ゼロになる。また、波形135で示すように、トランジスタTr2-2のドレイン-ソース間の電圧Vds2-2は、直流電圧Vinになる。
【0090】
制御回路17は、タイミングt32において、波形131で示すように、トランジスタTr2-1のゲートにローレベルのスイッチング制御信号を出力する。トランジスタTr2-1はオン状態からオフ状態に移行する。
【0091】
なお、このとき、波形132で示すように、トランジスタTr2-1のドレイン-ソース間の電圧Vds2-1は、ゼロである。また、波形135で示すように、トランジスタTr2-2のドレイン-ソース間の電圧Vds2-2は、直流電圧Vinである。
【0092】
制御回路17は、タイミングt32からデッドタイムTが経過後のタイミングt33において、波形134で示すように、トランジスタTr2-2のゲートにハイレベルのスイッチング制御信号を出力する。トランジスタTr2-2はオフ状態からオン状態に移行する。
【0093】
すると、波形132で示すように、トランジスタTr2-1のドレイン-ソース間の電圧Vds2-1は上昇するとともに、波形135で示すように、トランジスタTr2-2のドレイン-ソース間の電圧Vds2-2は下降する。それとともに、波形136で示すように、トランジスタTr2-2のドレイン-ソース間に過渡的な電流Ids2-2が流れる。この電流Ids2-2が流れる経路は、入力コンデンサ3→容量23→トランジスタTr2-2→入力コンデンサ3である。
【0094】
電流Ids2-2が流れることにより、トランジスタTr2-2では、スイッチング損失138が発生する。
【0095】
過渡状態が終了後、波形132で示すように、トランジスタTr2-1のドレイン-ソース間の電圧Vds2-1は、直流電圧Vinになる。また、波形135で示すように、トランジスタTr2-2のドレイン-ソース間の電圧Vds2-2は、ゼロになる。また、波形136で示すように、トランジスタTr2-2のドレイン-ソース間の電流Ids2-2は、ゼロになる。
【0096】
トランジスタTr2-1及びTr2-2と同様に、トランジスタTr1-1及びTr1-2でも、スイッチング損失が発生する。
【0097】
これにより、電源装置1は、トランジスタTr1-1からTr2-2までで発生するスイッチング損失により、入力コンデンサ3の電荷を放電することができる。
【0098】
なお、制御回路17は、第2の場合に、第1の場合のスイッチング周波数(例えば、90kHz)よりも高い周波数で、トランジスタTr1-1からTr2-2までを動作させても良い。つまり、制御回路17は、第2の場合に、第1の場合のスイッチング周波数(例えば、90kHz)のN倍(Nは、正の数)の周波数で、トランジスタTr1-1からTr2-2までを動作させても良い。
【0099】
電源装置1は、第2の場合のスイッチング周波数を、第1の場合のスイッチング周波数のN倍にすることにより、単位時間当たりのスイッチング損失をN倍にすることができる。これにより、電源装置1は、入力コンデンサ3の電荷の放電時間を1/Nに短縮することができる。
【0100】
図6及び図7は、第1の実施の形態の電源装置の各部の電圧の実測値を示す図である。詳しくは、図6は、スイッチング周波数が90kHzの場合の、電源装置1の各部の電圧の実測値を示す図である。波形151は、トランジスタTr2-1のゲート-ソース間の電圧Vgs2-1の実測値の波形である。波形152は、出力電圧Voutの実測値の波形である。波形153は、直流電圧Vin(入力コンデンサ3の電圧)の実測値の波形である。図7は、放電動作開始直後の、図6の拡大図である。
【0101】
図6に示す、スイッチング周波数が90kHzの場合には、直流電圧Vinが400Vから60Vまで低下するのに要する時間Tは、7.62秒であった。
【0102】
図8及び図9は、第1の実施の形態の電源装置の各部の電圧の実測値を示す図である。詳しくは、図8は、スイッチング周波数が180kHzの場合の、電源装置1の各部の電圧の実測値を示す図である。波形161は、トランジスタTr2-1のゲート-ソース間の電圧Vgs2-1の実測値の波形である。波形162は、出力電圧Voutの実測値の波形である。波形163は、直流電圧Vin(入力コンデンサ3の電圧)の実測値の波形である。図9は、放電動作開始直後の、図8の拡大図である。
【0103】
図8に示す、スイッチング周波数が180kHzの場合には、直流電圧Vinが400Vから60Vまで低下するのに要する時間Tは、3.94秒であり、スイッチング周波数が90kHzの場合の時間Tのおよそ1/2であった。
【0104】
図10及び図11は、第1の実施の形態の電源装置の各部の電圧の実測値を示す図である。詳しくは、図10は、スイッチング周波数が270kHzの場合の、電源装置1の各部の電圧の実測値を示す図である。波形171は、トランジスタTr2-1のゲート-ソース間の電圧Vgs2-1の実測値の波形である。波形172は、出力電圧Voutの実測値の波形である。波形173は、直流電圧Vin(入力コンデンサ3の電圧)の実測値の波形である。図11は、放電動作開始直後の、図10の拡大図である。
【0105】
図10に示す、スイッチング周波数が270kHzの場合には、直流電圧Vinが400Vから60Vまで低下するのに要する時間Tは、2.68秒であり、スイッチング周波数が90kHzの場合の時間Tのおよそ1/3であった。
【0106】
(まとめ)
以上説明したように、電源装置1は、第2の場合に、補助スイッチング素子を必要とすることなく、入力コンデンサ3の電荷を放電することができる。
【0107】
また、電源装置1は、第2の場合に、1次巻線31には、電圧が印加されず電流も流れないので、2次巻線32にも、電圧が発生せず電流も流れない。従って、電源装置1は、負荷4に電力を供給しない。入力コンデンサ3を放電する場合には、負荷4に電力が供給されないことが仕様として要求されることがある。電源装置1は、そのような要求に応えることができる。
【0108】
また、電源装置1は、第2の場合に、入力の状態が急変(例えば、スイッチSWがオン)した場合であっても、2次巻線32に電圧が発生せず電流も流れない。従って、負荷4に突入電流が流れない。これにより、電源装置1は、負荷4を保護することができる。
【0109】
また、電源装置1は、第2の場合に、1次巻線31には、電圧が印加されず電流も流れない。そのため、励磁インダクタンス34、漏れインダクタンス30及び容量21から24までによるLLC共振が発生しない。従って、電源装置1は、トランジスタTr1-1からTr2-2までに流れる電流を多くすることができる。これにより、電源装置1は、スイッチング損失を多くすることができ、放電時間を短縮できる。
【0110】
更に、電源装置1は、第2の場合には、第1の場合と比較して高いスイッチング周波数で第1アーム20-1及び第2アーム20-2を動作させても良い。電源装置1は、第1の場合には、例えば、90kHzで第1アーム20-1及び第2アーム20-2を動作させ、第2の場合には、90kHzのN倍で第1アーム20-1及び第2アーム20-2を動作させても良い。これにより、電源装置1は、単位時間当たりのスイッチング損失をN倍にすることができるので、放電時間をN分の1に短縮することができる。
【0111】
<第2の実施の形態>
次に第2の実施の形態について説明するが、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0112】
図12は、第2の実施の形態の電源装置の回路構成を示す図である。電源装置1Aは、電源装置1と比較して、電流共振コンバータ11に代えて、電流共振コンバータ11Aを含む。
【0113】
電流共振コンバータ11Aは、電流共振コンバータ11と比較して、フルブリッジ回路FBに代えて、フルブリッジ回路FBAを含む。
【0114】
フルブリッジ回路FBAは、フルブリッジ回路FBと比較して、第1アーム20-1及び第2アーム20-2に代えて、第1アーム20-1A及び第2アーム20-2Aを含む。
【0115】
第1アーム20-1Aは、第1アーム20-1と比較して、コンデンサ素子51及び52を更に含む。第2アーム20-2Aは、第2アーム20-2と比較して、コンデンサ素子53及び54を更に含む。
【0116】
コンデンサ素子51は、トランジスタTr1-1のドレイン-ソース間に電気的に接続されている。コンデンサ素子52は、トランジスタTr1-2のドレイン-ソース間に電気的に接続されている。コンデンサ素子53は、トランジスタTr2-1のドレイン-ソース間に電気的に接続されている。コンデンサ素子54は、トランジスタTr2-2のドレイン-ソース間に電気的に接続されている。
【0117】
これにより、トランジスタTr1-1からTr2-2までの各々のドレイン-ソース間の容量が増えるので、第2の場合に流れる過渡的な電流の電流値が大きくなる。従って、第2の場合に、トランジスタTr1-1からTr2-2までのスイッチング損失が大きくなる。これにより、電源装置1Aは、放電時間を短縮することができる。
【0118】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0119】
1、1A 電源装置
2 直流電源
3 入力コンデンサ
4 負荷
11、11A 電流共振コンバータ
12 整流回路
13 インダクタ
14 出力コンデンサ
15 電圧センサ
16 電流センサ
17 制御回路
20-1、20-1A 第1アーム
20-2、20-2A 第2アーム
21、22、23、24 容量
31 1次巻線
32 2次巻線
40-1 第1整流アーム
40-2 第2整流アーム
D1、D2 ダイオード
FB、FBA フルブリッジ回路
Tr1-1、Tr1-2、Tr2-1、Tr2-2、Tr3、Tr4 トランジスタ
D1-1、D1-2、D2-1、D2-2、D3-1、D4-1 寄生ダイオード
C1-1、C1-2、C2-1、C2-2、C3-1、C4-1 寄生容量
T トランス
SW スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12