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特開2022-121127脱硝装置、架台及びボイラ並びに脱硝触媒の設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121127
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】脱硝装置、架台及びボイラ並びに脱硝触媒の設置方法
(51)【国際特許分類】
   F23J 15/00 20060101AFI20220812BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20220812BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20220812BHJP
   B01D 53/88 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
F23J15/00 A
B01J35/04 301J
B01J35/04 ZAB
B01D53/86 222
B01D53/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018299
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】其木 俊昭
【テーマコード(参考)】
3K070
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3K070DA02
3K070DA22
3K070DA25
3K070DA72
4D148AA06
4D148AB02
4D148CA04
4D148CC08
4D148CC11
4D148CC54
4D148CD03
4D148DA03
4D148DA20
4D148EA08
4G169AA01
4G169CA01
4G169CA08
4G169CA13
4G169EA18
(57)【要約】
【課題】脱硝装置の構造を簡素化することを目的とする。
【解決手段】脱硝装置43は、燃焼ガス中の窒素酸化物を取り除く脱硝装置43である。脱硝装置43は、筐体47の内部に設けられ、燃焼ガスが通過する第1触媒パック110と、筐体47の内部であって第1触媒パック110の下方に設けられ、第1触媒パック110を通過した燃焼ガスが通過する第2触媒パック120と、第1触媒パック110と第2触媒パック120との間に設けられ、第1触媒パック110を第2触媒パック120に支持させる架台140と、第2触媒パック120を筐体47に対して支持する鉄骨部150と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガス中の窒素酸化物を取り除く脱硝装置であって、
筐体の内部に設けられ、燃焼ガスが通過する第1脱硝触媒と、
前記筐体の内部であって前記第1脱硝触媒の下方に設けられ、前記第1脱硝触媒を通過した燃焼ガスが通過する第2脱硝触媒と、
前記第1脱硝触媒と前記第2脱硝触媒との間に設けられ、前記第1脱硝触媒を前記第2脱硝触媒に支持させる架台と、
前記第2脱硝触媒を前記筐体に対して支持する支持部材と、を備える脱硝装置。
【請求項2】
前記第1脱硝触媒と前記第2脱硝触媒とは、所定距離離間するように配置されている請求項1に記載の脱硝装置。
【請求項3】
前記所定距離は、500mm以上である請求項2に記載の脱硝装置。
【請求項4】
前記第1脱硝触媒及び前記第2脱硝触媒は、前記第1脱硝触媒と前記第2脱硝触媒との間に前記筐体に形成されたマンホールが位置するように、配置されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の脱硝装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載された脱硝装置を備えたボイラ。
【請求項6】
筐体の内部に設けられ燃焼ガスが通過する第1脱硝触媒と、前記筐体の内部であって前記第1脱硝触媒よりも下方に設けられて支持部材によって前記筐体に対して支持されて燃焼ガスが通過する第2脱硝触媒との間に設けられ、前記第1脱硝触媒を前記第2脱硝触媒に支持させる架台。
【請求項7】
水平方向に延在する梁部と、
上下方向に延在する柱部と、を備え、
前記梁部と前記柱部とは剛接合されている請求項6に記載の架台。
【請求項8】
前記第1脱硝触媒または前記第2脱硝触媒に対する水平方向の相対移動を規制する規制部を備える請求項6または請求項7に記載の架台。
【請求項9】
燃焼ガスが通過する脱硝触媒の設置方法であって、
前記脱硝触媒は、第1脱硝触媒と前記第1脱硝触媒の下方に配置される第2脱硝触媒を有し、
前記第2脱硝触媒を筐体に対して支持する支持部材に、前記第2脱硝触媒を支持させる工程と、
前記第2脱硝触媒の上方に架台を設ける工程と、
前記架台を介して前記第1脱硝触媒を前記第2脱硝触媒に支持させる工程と、を備える脱硝触媒の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脱硝装置、架台及びボイラ並びに脱硝触媒の設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電用ボイラなどの大型のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数のバーナが火炉の周方向に沿って配設されている。また、大型のボイラは、火炉の鉛直方向上方に煙道が連結されており、この煙道に蒸気を生成するための熱交換器が配置されている。そして、バーナが火炉内に燃料と空気(酸化性ガス)との混合気を噴射することで火炎が形成され、燃焼ガスが生成されて煙道に流れる。燃焼ガスが流れる領域に熱交換器が設置され、熱交換器を構成する伝熱管内を流れる水や蒸気を加熱して過熱蒸気が生成される。また、煙道内の熱交換器よりも下流側には、燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)を取り除くために、脱硝装置が設置される。脱硝装置を設けたボイラとして、例えば、特許文献1に記載のボイラがある。
【0003】
特許文献1には、上下方向に階層状(3階層)となるように配置され、それぞれ多数の触媒ブロックを支持する3つの触媒支持構造を備える脱硝反応器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-101860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、各触媒支持構造に対して1層のみ触媒ブロックを設けている。したがって、触媒ブロックの層の数だけ触媒支持構造を設ける必要があるので、構造が複雑化する可能性があった。
また、ボイラには、各触媒に対する作業(例えば、触媒設置作業やメンテナンス作業)を行うための床(以下、「作業床」と称する。)を設ける場合がある。一般的に、作業床の高さ位置は、触媒を煙道に対して支持させる支持部材(例えば、特許文献1の触媒支持構造)の高さ位置と略同一の高さ位置に設けられる。また、作業床は、支持部材毎に設けられる。このため、支持部材を複数設ける場合には、作業床も複数設けられる。作業床を複数設ける場合には、各作業床上の作業員が安全に通行できる高さとする必要があるため、作業床同士の間隔を比較的長い間隔(例えば、2m程度)とする必要がある。上述のように、作業床と支持部材との位置は略同一の位置とされるため、作業床同士の間隔を比較的長い間隔とすると、支持部材同士の間隔も作業床の間隔に合わせることとなる。これにより、支持部材同士の間隔も作業床の間隔が比較的長いものとなる。このように、支持部材同士の間には比較的長い間隔を設ける必要がある。したがって、支持部材の数が多いほど、脱硝装置の上下方向の長さが長くなることとなる。よって、特許文献1のように、支持部材に対して1層のみ触媒を設けた場合には、支持部材の数が多くなるので、脱硝装置の上下方向の長さが長くなってしまう可能性があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、構造を簡素化することができる脱硝装置、架台及びボイラ並びに脱硝触媒の設置方法を提供することを目的とする。
また、本開示は、脱硝装置の上下方向の長さを短くすることができる脱硝装置、架台及びボイラ並びに脱硝触媒の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の脱硝装置、架台及びボイラ並びに触媒の設置方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る脱硝装置は、燃焼ガス中の窒素酸化物を取り除く脱硝装置であって、筐体の内部に設けられ、燃焼ガスが通過する第1脱硝触媒と、前記筐体の内部であって前記第1脱硝触媒の下方に設けられ、前記第1脱硝触媒を通過した燃焼ガスが通過する第2脱硝触媒と、前記第1脱硝触媒と前記第2脱硝触媒との間に設けられ、前記第1脱硝触媒を前記第2脱硝触媒に支持させる架台と、前記第2脱硝触媒を前記筐体に対して支持する支持部材と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る触媒の設置方法は、燃焼ガスが通過する脱硝触媒の設置方法であって、前記脱硝触媒は、第1脱硝触媒と前記第1脱硝触媒の下方に配置される第2脱硝触媒を有し、前記第2脱硝触媒を前記筐体に対して支持する支持部材に、前記第2脱硝触媒を支持させる工程と、前記第2脱硝触媒の上方に架台を設ける工程と、前記架台を介して前記第1脱硝触媒を前記第2脱硝触媒に支持させる工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、構造を簡素化することができる。
また、脱硝装置の上下方向の長さを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る石炭焚きボイラを示す概略構成図である。
図2】本開示の実施形態に係る脱硝装置及び作業構造物を示す側面図である。
図3】本開示の実施形態に係る脱硝装置及び作業構造物を示す平面図である。
図4】本開示の実施形態に係る触媒パック及び架台を示す斜視図である。
図5】本開示の実施形態に係る触媒を示す斜視図である。
図6】本開示の実施形態に係る触媒パックの下部の断面を示す図である。
図7図4の要部(部分A)を示す平面図である。
図8図7のC-C矢視断面図である。
図9図4の要部(部分B)を示す平面図である。
図10図9のD-D矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示に係る好適な実施形態を図面を参照して説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。以降の説明で、上や上方とは鉛直方向上側を示し、下や下方とは鉛直方向下側を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0012】
図1は、本実施形態の石炭焚きボイラを表す概略構成図である。
【0013】
本実施形態の石炭焚きボイラ10は、石炭(炭素含有固体燃料)を粉砕した微粉炭を微粉燃料として用い、この微粉燃料をバーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能な石炭焚き(微粉炭焚き)ボイラである。
【0014】
本実施形態において、図1に示すように、石炭焚きボイラ10は、火炉11と燃焼装置12と燃焼ガス通路13を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11を構成する火炉壁101は、複数の伝熱管とこれらを接続するフィンとで構成され、微粉燃料の燃焼により発生した熱を伝熱管の内部を流通する水や蒸気と熱交換して、火炉壁の温度上昇を抑制している。
【0015】
燃焼装置12は、火炉11を構成する火炉壁の下部側に設けられている。本実施形態では、燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数のバーナ(例えば21,22,23,24,25)を有している。例えばバーナ21,22,23,24,25は、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って複数段(例えば、図1では5段)配置されている。但し、火炉の形状や一つの段におけるバーナの数、段数、配置などはこの実施形態に限定されるものではない。
【0016】
バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して複数の粉砕機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この粉砕機31,32,33,34,35は、例えば、粉砕機のハウジング内に粉砕テーブル(図示省略)が駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラ(図示省略)が粉砕テーブルの回転に連動回転可能に支持されて構成されている。石炭が、複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、粉砕され、搬送用ガス(一次空気、酸化性ガス)により粉砕機のハウジング内の分級機(図示省略)に搬送されて、所定の粒径範囲内に分級された微粉燃料を、微粉炭供給管26,27,28,29,30からバーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0017】
また、火炉11は、バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト(風道)37の一端部が連結されている。空気ダクト37は、他端部に押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)38が設けられている。
【0018】
燃焼ガス通路13は、図1に示すように、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。燃焼ガス通路13は、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102,103,104、再熱器105,106、節炭器107が設けられており、火炉11で発生した燃焼ガスと各熱交換器の内部を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。
【0019】
燃焼ガス通路13は、図1に示すように、その下流側に熱交換を行った燃焼ガスが排出される煙道14が連結されている。煙道14は、空気ダクト37との間にエアヒータ(空気予熱器)42が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、煙道14を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
【0020】
また、煙道14は、エアヒータ42より上流側の位置に脱硝装置43が設けられている。脱硝装置43は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を煙道14内に供給し、還元剤が供給された燃焼ガス中の窒素酸化物と還元剤との反応を、脱硝装置43内に設置された脱硝触媒112(図4参照)の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。脱硝装置43の詳細については、後述する。
煙道14に連結されるガスダクト41は、エアヒータ42より下流側の位置に、電気集塵機などの集塵装置44、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45、脱硫装置46などが設けられ、下流端部に煙突50が設けられている。
【0021】
一方、複数の粉砕機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉燃料が搬送用ガス(一次空気、酸化性ガス)と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通してバーナ21,22,23,24,25に供給される。また、煙道14から排出された排ガスとエアヒータ42で熱交換することで、加熱された燃焼用空気(二次空気、酸化性ガス)が、空気ダクト37から風箱36を介してバーナ21,22,23,24,25に供給される。バーナ21,22,23,24,25は、微粉燃料と搬送用ガスとが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに微粉燃料混合気が着火することで火炎を形成することができる。火炉11内の下部で火炎が生じ、高温の燃焼ガスがこの火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路13に排出される。なお、酸化性ガスとして、本実施形態では空気を用いる。空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、燃料流量との適正化を図ることで使用可能になる。
【0022】
その後、燃焼ガスは、図1に示すように、燃焼ガス通路13に配置される第2過熱器103、第3過熱器104、第1過熱器102、(以下単に過熱器と記載する場合もある)、第2再熱器106、第1再熱器105(以下単に再熱器と記載する場合もある)、節炭器107で熱交換した後、煙道14へ排出され、煙道14に配置される脱硝装置43で窒素酸化物が還元除去された後、エアヒータ42で熱交換して、ガスダクト41へ排出され、ガスダクト41に配置される集塵装置44で粒子状物質が除去され、脱硫装置46で硫黄酸化物が除去された後、排ガスとして煙突50から大気中に排出される。なお、各熱交換器は燃焼ガス流れに対して、必ずしも前記記載順に配置されなくともよい。
【0023】
次に、脱硝装置43及び作業構造物の詳細について、図2から図10を用いて説明する。以下の説明及び図2から図10では、鉛直方向をZ軸方向として説明する。また、水平方向のうちの一方向をX軸方向として、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向をY軸方向として説明する。なお、Z軸方向を「上下方向」と称する場合もある。
【0024】
図1及び図2に示すように、煙道14のZ軸方向に延在する部分(以下、「鉛直部14a」という。)の途中位置に脱硝装置43が設けられている。また、図2に示すように、脱硝装置43と隣接するように、作業用構造物160が設けられている。
【0025】
脱硝装置43は、外殻を為す筐体47と、複数の第1触媒パック(第1脱硝触媒)110と、第1触媒パック110よりも下方に設けられる複数の第2触媒パック(第2脱硝触媒)120と、第2触媒パック120よりも下方に設けられる複数の第3触媒パック130と、第1触媒パック110と第2触媒パック120との間に設けられる複数の架台140と、筐体47に固定されている複数の鉄骨部(支持部材)150と、を備えている。
【0026】
筐体47は、図2に示すように、上端及び下端に開口が形成されている矩形筒状の部材である。筐体47の上端の開口は、上流側の煙道14に接続され、下端の開口は下流側の煙道14に接続されている。上端の開口から筐体47の内部に流入した燃焼ガスは、筐体47内を上下方向に流通し、下端の開口から流出する。
【0027】
また、筐体47の内部には、第1触媒パック110、第2触媒パック120及び第3触媒パック130が収容されている。第1触媒パック110、第2触媒パック120及び第3触媒パック130は、筐体47内を流通する燃焼ガスが通過する。第1触媒パック110、第2触媒パック120及び第3触媒パック130は、通過する燃焼ガス中の窒素酸化物を還元し除去(脱硝)する。
また、筐体47の側部には、各触媒パック110、120、130のそれぞれに対応する位置に個別にマンホールが形成さられている。図3に示すように、マンホール48は、一例として第1触媒パック110と第2触媒パック120との間の高さ位置に設けられている。マンホール48は開閉扉によって、開状態と閉状態とを切り換えることができる。
【0028】
複数の第1触媒パック110は、図3に示すように、筐体47の流路断面(X軸方向とY軸方向とで形成される断面)の略全域を覆うように並んで配置されている。なお、本実施形態では、Y軸方向に5つ、X軸方向に4つ(合計20個)設ける例について説明しているが、第1触媒パック110の数はこれに限定されない。
また、複数の第1触媒パック110は、図2に示すように、上下方向には重ねられていない。すなわち、複数の第1触媒パック110は、一つの層となるように配置されている。第1触媒パック110のZ軸方向の長さは、例えば、1m程度とされている。
各第1触媒パック110の構造は同一であるので、以下では代表して1つの第1触媒パック110の構造について説明する。
【0029】
第1触媒パック110は、図4に示すように、矩形筒状の矩形枠部111と、複数の脱硝触媒112(触媒)と、を有する。また、第1触媒パック110は、架台140によって下方から支持されている。架台140の詳細については、後述する。
【0030】
各脱硝触媒112は、図5に示すように、上下方向(燃焼ガスの流通方向)に延びる矩形の枠体である外枠部112aと、外枠部112aで区画された空間を複数(本実施形態では、一例として16個)の流路に分割する分割壁112bと、を有する。各脱硝触媒112は、いわゆるハニカム形状とされている。なお、脱硝触媒112の形状は、ハニカム形状に限定されない。例えば、脱硝触媒112は、複数の板状の触媒を所定隙間で配列して並べたものでもよい。
【0031】
矩形枠部111は、上下方向に延びる矩形の枠体である。矩形枠部111の上端及び下端は開口となっている。矩形枠部111の下端には、中心方向に所定距離延びるフランジ部115(図8参照)が設けられている。フランジ部115は、矩形枠部111の周方向の全域に亘って設けられている。フランジ部115は、矩形の枠形状をしている。
【0032】
図6に示すように、矩形枠部111の下部の内周面には、4つの触媒受け部116が設けられている。各触媒受け部116は、矩形枠部111の4つの角部に1つずつ設けられている。各触媒受け部116は、平面視した際に90度の円弧となる形状をしている。各触媒受け部116の周方向の端部は、矩形枠部111の内周面に固定されている。
【0033】
また、図6に示すように、矩形枠部111の下部には、格子状の触媒パック構造部材117が設けられている。触媒パック構造部材117は、触媒112を支持するとともに、矩形枠部111の構造を保持するための部材である。触媒パック構造部材117は、矩形枠部111の内周面に固定されており、矩形枠部111を水平面(XY平面)で切断した際の断面の全域を覆うように設けられている。触媒パック構造部材117と触媒受け部116とは、図8に示すように、上面同士が略同一の高さ位置に設けられており、その上面には脱硝触媒112が載置される。すなわち、触媒受け部116と触媒パック構造部材117は、下方から脱硝触媒112を支持している。
【0034】
図2等に示すように、複数の第2触媒パック120は、第1触媒パック110と同様に、筐体47の流路断面の略全域を覆うように並んで配置されている。また、複数の第2触媒パック120は、図2に示すように、上下方向には重ねられていない。すなわち、複数の第2触媒パック120は、1層となるように配置されている。各第2触媒パック120は、各第1触媒パック110の鉛直下方に配置されている。
各第2触媒パック120の構造は、第1触媒パック110の構造と同一であるので、詳細な説明は省略する。第2触媒パック120は、下方から架台140を支持している。また、第2触媒パック120は、鉄骨部150によって下方から支持されている。鉄骨部150の詳細については、後述する。
【0035】
複数の第3触媒パック130は、第1触媒パック110及び第2触媒パック120と同様に、筐体47の流路断面の略全域を覆うように並んで配置されている。また、複数の第3触媒パック130は、図2に示すように、上下方向には重ねられていない。すなわち、複数の第3触媒パック130は、1層となるように配置されている。
各第3触媒パック130の構造は、第1触媒パック110の構造と同一であるので、詳細な説明は省略する。第3触媒パック130は、鉄骨部150によって下方から支持されている。鉄骨部150の詳細については、後述する。
【0036】
複数の架台140は、各第1触媒パック110と各第2触媒パック120との間に配置されている。各架台140は、第1触媒パック110を第2触媒パック120に支持させている。各架台140は、下方から第1触媒パック110を支持している。また、各架台140は、下方から、第2触媒パック120に支持されている。各架台140は、第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔を所定の間隔に保つスペーサとしての役割も果たしている。各架台140の構造は同一であるので、以下では代表して1つの架台140の構造について説明する。
【0037】
架台140は、図4に示すように、水平方向に延在する梁部141と、上下方向に延在する複数の柱部142と、を有している。また、架台140は、図7から図10に示すように、第1触媒との水平方向の移動を規制する複数の第1規制部143と、第2触媒に載置される係止部144を有している。
【0038】
梁部141は、図4に示すように、板材で構成され、中心領域に開口が形成された矩形枠状の部材である。梁部141を構成する板材は、板面(面積が広い面)が水平面となるように設けられている。また、梁部141は、上面が平面に形成されている。梁部141の上面には、図4に示すように、第1触媒パック110が載置される。詳細には、図8に示すように、梁部141の上面には、第1触媒パック110の矩形枠部111がフランジ部115を介して載置される。このとき、矩形枠部111は、梁部141の上面のうち、柱部142の内周面よりも内側(中心側)の部分に載置される。
【0039】
また、梁部141のX軸方向の長さは、第1触媒パック110の矩形枠部111のX軸方向の長さよりも長い。梁部141のY軸方向の長さは、第1触媒パック110の矩形枠部111のY軸方向の長さよりも長い。このように構成することで、梁部141の上面に、第1触媒パック110を載置し易くすることができる。
また、図8に示すように、梁部141の内端は、矩形枠部111のフランジ部115の内端よりも外側に位置している。このように構成することで、第1触媒パック110から第2触媒パック120へ向かう燃焼ガスの流れを梁部141が阻害しないようにすることができる。
【0040】
複数(本実施形態では4つ)の柱部142は、図4に示すように、梁部141の4つの角部に一つずつ設けられる。詳細には、梁部141の4つの角部の外端から下方に延びている。
【0041】
各柱部142の上端は、梁部141の下面に剛接合されている。具体的には、柱部142の上端と梁部141の下面とは、例えば、溶接によって固定されている。すなわち、架台140は、ラーメン構造とされている。各柱部142の構造は同一であるので、以下では代表して1つの柱部142の構造について説明する。
【0042】
柱部142は、Z軸方向に沿って延在する長尺状の部材である。柱部142は、長手方向の断面(XY平面で切断した際の断面)の形状がL字状の部材である。柱部142は、L字の角部が梁部141の角部に対応するように配置されている。
隣接する柱部142同士の間は、開口となっている。上述したように、架台140はラーメン構造とされている。すなわち、柱部142同士を連結する補強部材や、柱部142と梁部141と連結する補強部材(例えば、ブレース等)は設けられていない。このため、隣接する柱部142同士の間の開口を介して、作業員が架台140の内側の空間へ入り込むことができる。さらに、作業員が第1触媒パック110と第2触媒パック120との間の空間を容易に移動することができる。
【0043】
柱部142のZ軸方向の長さは、例えば、500mmとされている。なお、柱部142のZ軸方向の長さは、500mmに限定されない。上述のように、架台140は、第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔を所定の間隔に保つスペーサとしての役割も果たしている。このため、柱部142のZ軸方向の長さが、第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔となる。よって、柱部142のZ軸方向の長さは、設定したい第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔に応じて決定される。第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔は、以下の観点から決定される。
【0044】
第1触媒パック110と第2触媒パック120との間隔が狭い場合には、第2触媒パック120の脱硝触媒112に目詰まりが生じる可能性がある。これは、第1触媒パック110と第2触媒パック120との間隔が狭い場合には、第1触媒パック110を通過した燃焼ガスが、好適に第2触媒パック120の脱硝触媒112の流路に導かれないことに起因する。第1触媒パック110を通過した燃焼ガスは、分割壁112bの影響を受けてX-Y断面の流速分布を有している。例えば、第1触媒パック110と第2触媒パック120との間隔が狭いために、第1触媒パック110を通過した燃焼ガスの流速回復が十分でなく、X-Y断面の流速分布が不均一な状態で第2触媒パック120の入口に到達した場合、流速が低い(淀みの発生している)領域では、燃焼ガスに混入した灰が第2触媒パック120の脱硝触媒112に付着・堆積することで、脱硝触媒112の目詰まりの要因となる。このため、第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔は、第2触媒パック120の脱硝触媒112に目詰まりが発生しない間隔とされることが望ましい。具体的には、第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔は、500mm以上であることが望ましい。また、第1触媒パック110と第2触媒パック120との間には、メンテナンス等の目的で作業員が入ることがある。このため、第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔は、作業員が這って入り込める程度の長さ以上であると好適である。このような観点からも、第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔は、500mm以上であると望ましい。
また、第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔が長くなるほど、脱硝装置43のZ軸方向の長さが長くなる。脱硝装置43のZ軸方向の長さ長くなると、脱硝装置43が大型化するだけでなく、脱硝装置43が設けられる石炭焚きボイラ10の大型化の要因にもなる。このため、脱硝装置43の大型化を回避するために、第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔は、2mよりも短く設定されることが望ましい。
このように、第1触媒パック110と第2触媒パック120とのZ軸方向の間隔は、500mm以上であって、2mよりも短いと好適である。このため、柱部142のZ軸方向の長さも、500mm以上であって、2mよりも短い長さとされると好適である。
【0045】
第1規制部143は、各柱部142にそれぞれ1つずつ設けられている。第1規制部143は、図7及び図8に示すように、柱部142の上端部に設けられている。第1規制部143は、Z軸方向に沿って延在する円柱状の当接部145と、当接部145を柱部142の内面に固定する2つの固定部146とを備える。
【0046】
各固定部146は、図7及び図8に示すように、柱部142の内面からX軸方向又はY軸方向に沿って、所定距離延びている。固定部146の内端(先端)は、梁部141の内端よりも内側に位置している。また、固定部146の内端(先端)は、第1触媒パック110のフランジ部115の内端よりも、わずかに内側に位置している。固定部146の内端には、当接部145の下部が固定されている。
【0047】
当接部145は、図8に示すように、固定部146から上方に延在している。当接部145は、上端部が梁部141よりも上方に位置している。また、当接部145は、上端がフランジ部115の上面よりも上方に位置している。当接部145は、上端部がフランジ部115の内端よりもわずかに内側に位置している。このため、架台140と第1触媒パック110とが水平方向に相対移動すると、当接部145とフランジ部115とが当接する。これにより、架台140と第1触媒パック110との水平方向の相対移動が規制される。
【0048】
係止部144は、図9及び図10に示すように、柱部142の下部に設けられている。係止部144は、柱部142の内面に固定されている。係止部144は、平面視で略直角三角形状の板状の部材である。係止部144は、柱部142の下端よりもわずかに上方に位置している。係止部144は、第2触媒パック120の矩形枠部111の上面に載置される。これにより、架台140は第2触媒パック120に係止される。換言すれば、架台140は、第2触媒パック120によって、下方から支持される。
【0049】
また、図10に示すように、柱部142の下端部(詳細には係止部144よりも下方部分)は、第2触媒パック120の上端部に嵌合している。具体的には、第2触媒パック120の上端部は、4つの柱部142の内側に嵌合している。すなわち、X軸方向に隣接する柱部142の内面同士の距離は、第2触媒パック120のX軸方向の長さよりもわずかに長く設定されている。また、Y軸方向に隣接する柱部142の内面同士の距離は、第2触媒パック120のY軸方向の長さよりもわずかに長く設定されている。
このように、架台140の柱部142と第2触媒パック120とが嵌合することで、架台140と第2触媒パック120との水平方向の相対移動を規制している。すなわち、柱部142の下端部は、架台140と第2触媒パック120との水平方向の相対移動を規制する規制部(以下、「第2規制部147」と称する)の役割を果たしている。
【0050】
このように、第1規制部143と第2規制部147は、架台140の水平方向の移動を規制している。このように、構成することで、架台140や第1触媒パック110や第2触媒パック120において、設計時の寸法に対して、実際に製造された部材の寸法に誤差が生じた場合であっても、誤差を吸収することができる。
【0051】
複数(本実施形態では一例として2つ)の鉄骨部150は、図2に示すように、上下方向に離間して配置されている。鉄骨部150同士の離間する距離は、例えば、2m程度とされている。なお、鉄骨部150同士の離間する距離は、後述の作業用構造物160の作業床161上の空間の高さに基づいて決定される。各鉄骨部150は、筐体47の内面に固定されている。各鉄骨部150は、例えば、長尺状の鉄骨を格子状の配置したものである。
各鉄骨部150は、下方から触媒パックを支持している。具体的には、上方に設けられる鉄骨部150は、第2触媒パック120が載置されている。上述のように、第2触媒パック120の上には架台140が載置され、架台140の上には第1触媒パック110が載置される。すなわち、上方に設けられる鉄骨部150には、第1触媒パック110、架台140及び第2触媒パック120の荷重が作用する。下方に設けられる鉄骨部150は、第3触媒パック130を下方から支持している。下方に設けられる鉄骨部150には、第3触媒パック130の荷重のみが作用する。
【0052】
作業用構造物160は、図2に示すように、2つの作業床161と、作業床161同士をつなぐ階段162と、を有している。
各作業床161は、上下方向に離間して配置されている。作業床161同士の離間する距離は、例えば、2m程度とされている。これは、下方に配置される作業床161上の作業員が、当該作業床161上を安全に通行が可能で、かつ、各触媒パック110、120、130の搬入搬出作業が可能な高さとするためである。また、各作業床161の高さ位置は、鉄骨部150の高さ位置と同じとされている。
階段162は、各作業床161を繋いでいる。すなわち、階段162を昇降することで、作業員は上方の作業床161と下方の作業床161との間を移動する。
【0053】
次に、第1触媒パック110及び第2触媒パック120の設置方法について説明する。
まず、上方に配置された鉄骨部150の上に、第2触媒パック120を載置する。これにより、鉄骨部150が第2触媒パック120を下方から支持した状態となる。
次に、第2触媒パック120の上に架台140を載置する。詳細には、第2触媒パック120の矩形枠部111の上面に、架台140の係止部144を載置する。このとき、第2触媒バックの矩形枠部111の上端部と、架台140の下端部とが嵌合するように、架台140を載置する。これにより、第2触媒パック120が下方から架台140を支持した状態となる。
次に、架台140の上に第1触媒パック110を載置する。詳細には、架台140の梁部141の上面に、第1触媒パック110を載置する。これにより、架台140が下方から第1触媒パック110を支持した状態となる。また、第1触媒パック110を載置する際には、第1規制部143の当接部145と第1触媒パック110のフランジ部115とが係合するように載置する。
【0054】
次に、第1触媒パック110及び第2触媒パック120にメンテナンス作業を行う方法について説明する。
作業構造物の作業床161上の作業員が、筐体47の側面に設けられたマンホールを介して、筐体47の内部に入り込む。マンホールは、各触媒パック110、120、130のそれぞれに対応する位置に個別に設けられており、マンホール48(図3参照)は、一例として第1触媒パック110と第2触媒パック120との間に設けられている。第1触媒パック110の上方に設けられたマンホール(不図示)を介して、筐体47の内部へ入り込んだ作業員は、第1触媒パック110上面上を移動し、第1触媒パック110のメンテナンスを行う。また、図3に示すマンホール48を介して、筐体47の内部に入り込んだ作業員は、同様に第2触媒パック120の上面上を移動し、第2触媒パック120のメンテナンスを行う。
【0055】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、第1触媒パック110を第2触媒パック120に支持させる架台140を備えている。これにより、第1触媒パック110は、架台140、第2触媒パック120及び鉄骨部150を介して、筐体47に支持される。したがって、第1触媒パック110のみを筐体47に対して支持する部材を備える必要がない。よって、第1触媒パック110を筐体47に対して支持する部材及び第2触媒パック120を筐体47に対して支持する部材の2つ鉄骨部150を備える場合と比較して、構造を簡素化することができる。
【0056】
また、本実施形態では、各触媒パックに対する作業(例えば、触媒パックを設置する作業や触媒パックのメンテナンス作業)を行うための作業床161を筐体47の外部に設けている。一般的に、作業床161の高さ位置は、鉄骨部150の高さ位置と略同一の高さ位置に設けられる。また、作業床161は、鉄骨部150毎に設けられる。このため、鉄骨部150を複数設ける場合には、作業床161も複数設けられる。作業床161を複数設ける場合には、各作業床161上の作業員が安全に通行できる高さとする必要があるため、作業床161同士の間隔を比較的長い間隔(例えば、2m程度)とする必要がある。上述のように、作業床161と鉄骨部150との位置は略同一の位置とされるため、作業床161同士の間隔を比較的長い間隔とすると、鉄骨部150同士の間隔も作業床161の間隔に対応させて比較的長いものとなる。このような理由から、鉄骨部150を複数設ける場合には、鉄骨部150同士の間に比較的長い間隔を設ける必要がある。したがって、鉄骨部150の数が多いほど、脱硝装置43の上下方向の長さが長くなることとなる。
一方、本実施形態では、第1触媒パック110のみを筐体47に対して支持する鉄骨部150を備える必要がない。これにより、第1触媒パック110を筐体47に対して支持する鉄骨部150及び第2触媒パック120を筐体47に対して支持する鉄骨部150を備える場合と比較して、鉄骨部150の数を低減することができる。したがって、脱硝装置43の上下方向の長さを短くすることができる。また、鉄骨部150に対応して作業床161を設ける場合には、作業床161の数を低減することができるので、構造を簡素化することができる。
【0057】
触媒パック同士の間に空間を設けずに触媒パックに直接触媒パックを積み重ねる場合、触媒パックにズレがあると積み重ね部分で、燃焼ガスの流れに乱れが生じ、燃焼ガスに混入した灰が付着・堆積し、流路が閉塞するおそれがある。一方、本実施形態では、第1触媒パック110と第2触媒パック120とが所定距離離間している。これにより、第1触媒パック110と第2触媒パック120との間において、燃焼ガスが淀み難くすることができる。
また、第1触媒パック110と第2触媒パック120との距離が比較的短いと、第1触媒パック110と第2触媒パック120との間で燃焼ガスの淀みが生じ易い。一方、本実施形態では、第1触媒パック110と第2触媒パック120とが500mm以上離間している。これにより、第1触媒パック110と第2触媒パック120との間において、燃焼ガスの淀みの発生を好適に抑制することができる。したがって、第1触媒パック110を通過した燃焼ガスをより好適に第2触媒パック120に導くことができる。よって、燃焼ガスに灰が含まれている場合であっても、第2触媒パック120に灰が付着・堆積し難くすることができるので、第2触媒パック120の目詰まりをより抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、第1触媒パック110と第2触媒パック120との間にマンホール48が設けられている。これにより、マンホール48を介して、作業員が第1触媒パック110と第2触媒パック120との間の空間に入ることができる。したがって、第1触媒パック110と第2触媒パック120との間の空間に入った作業員が、第2触媒パック120に対して作業を行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、梁部141と柱部142材は剛接合されている。すなわち、架台140は、ラーメン構造とされている。このように、梁部141と柱部142との間に、補強部材(例えば、ブレース等)が設けられていないので、梁部141と柱部142との間を介して作業員が架台140の内側に入ることができる。さらに、作業員が第1触媒パック110と第2触媒パック120との間の空間を容易に移動することができる。したがって、第1触媒パック110と第2触媒パック120との間の空間に入った作業員が、水平方向に配置された複数の第2触媒パック120に対してそれぞれ作業を行うことができる。作業とは、例えば、点検や清掃等のメンテナンス作業が挙げられる。
【0060】
また、本実施形態では、第1触媒パック110及び第2触媒パック120に対する水平方向の相対移動を規制する第1規制部143及び第2規制部147を備えている。これにより、第1触媒パック110及び第2触媒パック120と架台140との水平方向の相対移動を規制することができる。したがって、第1触媒パック110を安定して第2触媒パック120に支持させることができる。
【0061】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上述した実施形態では、本開示のボイラを石炭焚きボイラとしたが、燃料としては、バイオマス燃料や石油精製時に発生するPC(石油コークス:Petroleum Coke)燃料、石油残渣などの固体燃料を使用するボイラであってもよい。また、燃料として固体燃料に限らず、重油、軽油、重質油などの石油類や工場廃液などの液体燃料も使用することができ、更には、燃料として気体燃料(天然ガス、副生ガスなど)も使用することができる。さらに、これら燃料を組み合わせて使用する混焼ボイラにも適用することができる。
【0062】
また、例えば、鉄骨部150を1つにして、該鉄骨部150に対して、第1触媒パック110、第2触媒パック120及び第3触媒パック130を支持させてもよい。この場合には、第3触媒パック130と第2触媒パック120の間にも架台140を設ける。すなわち、第1触媒パック110、第2触媒パック120及び第3触媒パック130が、架台140を介して三重に重なるように設けられる。このようにすることで、鉄骨部150の数をさらに低減することができるので、構造の更なる簡素化及び脱硝装置43の上下方向の長さをより短くすることができる。ただし、上述の本実施形態のように、第1触媒パック110及び第2触媒パック120と、第3触媒パック130とで支持される鉄骨部150を分けた場合には、第1触媒パック110、第2触媒パック120及び第3触媒パック130を三重に設ける場合と比較して、触媒パック(特に第3触媒パック130)の交換を容易に行うことができる。
【0063】
以上説明した実施形態に記載の脱硝装置、架台及びボイラ並びに脱硝触媒の設置方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係る脱硝装置は、燃焼ガス中の窒素酸化物を取り除く脱硝装置(43)であって、筐体(47)の内部に設けられ、燃焼ガスが通過する第1脱硝触媒(110)と、前記筐体(47)の内部であって前記第1脱硝触媒(110)の下方に設けられ、前記第1脱硝触媒(110)を通過した燃焼ガスが通過する第2脱硝触媒(120)と、前記第1脱硝触媒(110)と前記第2脱硝触媒(120)との間に設けられ、前記第1脱硝触媒(110)を前記第2脱硝触媒(120)に支持させる架台(140)と、前記第2脱硝触媒(120)を前記筐体(47)に対して支持する支持部材(150)と、を備える。
【0064】
上記構成では、第1脱硝触媒を第2脱硝触媒に支持させる架台を備えている。これにより、第1脱硝触媒は、架台、第2脱硝触媒及び支持部材を介して、筐体に支持される。したがって、第1脱硝触媒を筐体に対して支持する部材を備える必要がない。よって、第1脱硝触媒を筐体に対して支持する部材及び第2脱硝触媒を筐体に対して支持する部材の2つ支持部材を備える場合と比較して、構造を簡素化することができる。
また、各脱硝触媒に対する作業(例えば、脱硝触媒を設置する作業や脱硝触媒のメンテナンス作業)を行うための床(以下、「作業床」と称する。)を筐体の外部に設ける場合がある。一般的に、作業床の高さ位置は、支持部材の高さ位置と略同一の高さ位置に設けられる。また、作業床は、支持部材毎に設けられる。このため、支持部材を複数設ける場合には、作業床も複数設けられる。作業床を複数設ける場合には、各作業床上の作業員が安全に通行できる高さとする必要があるため、作業床同士の間隔を比較的長い間隔(例えば、2m程度)とする必要がある。上述のように、作業床と支持部材との位置は略同一の位置とされるため、作業床同士の間隔を比較的長い間隔とすると、支持部材同士の間隔も作業床の間隔に対応させて比較的長いものとなる。このような理由から、支持部材を複数設ける場合には、支持部材同士の間に比較的長い間隔を設ける必要がある。したがって、支持部材の数が多いほど、脱硝装置の上下方向の長さが長くなることとなる。
一方、上記構成では、第1脱硝触媒を筐体に対して支持する部材を備える必要がない。これにより、第1脱硝触媒を筐体に対して支持する部材及び第2脱硝触媒を筐体に対して支持する部材の2つ支持する部材を備える場合と比較して、支持部材の数を低減することができる。したがって、脱硝装置の上下方向の長さを短くすることができる。また、支持部材に対応して作業床を設ける場合には、作業床の数を低減することができるので、構造を簡素化することができる。
【0065】
また、本開示の一態様に係る脱硝装置は、前記第1脱硝触媒(110)と前記第2脱硝触媒(120)とは、所定距離離間するように配置されている。
【0066】
上記構成では、第1脱硝触媒と第2脱硝触媒とが所定距離離間している。これにより、第1脱硝触媒と第2脱硝触媒との間において、燃焼ガスが淀み難い。したがって、第1脱硝触媒を通過した燃焼ガスを好適に第2脱硝触媒に導くことができる。よって、燃焼ガスに灰が含まれている場合であっても、第2脱硝触媒に灰が付着・堆積し難くすることができるので、第2脱硝触媒の目詰まりを抑制することができる。
【0067】
また、本開示の一態様に係る脱硝装置は、前記所定距離は、500mm以上である。
【0068】
第1脱硝触媒と第2脱硝触媒との距離が比較的短いと、第1脱硝触媒と第2脱硝触媒との間で燃焼ガスの淀みが生じ易い。一方、上記構成では、第1脱硝触媒と第2脱硝触媒とが500mm以上離間している。これにより、第1脱硝触媒と第2脱硝触媒との間において、燃焼ガスの淀みの発生を好適に抑制することができる。したがって、第1脱硝触媒を通過した燃焼ガスをより好適に第2脱硝触媒に導くことができる。よって、燃焼ガスに灰が含まれている場合であっても、第2脱硝触媒に灰が付着・堆積し難くすることができるので、第2脱硝触媒の目詰まりをより抑制することができる。
【0069】
また、本開示の一態様に係る脱硝装置は、前記第1脱硝触媒(110)及び前記第2脱硝触媒(120)は、前記第1脱硝触媒(110)と前記第2脱硝触媒(120)との間に前記筐体(47)に形成されたマンホール(48)が位置するように、配置されている。
【0070】
上記構成では、第1脱硝触媒と第2脱硝触媒との間にマンホール48が設けられている。これにより、マンホールを介して、作業員が第1脱硝触媒と第2脱硝触媒との間の空間に入ることができる。したがって、第1脱硝触媒と第2脱硝触媒との間の空間に入った作業員が、第2脱硝触媒に対して作業を行うことができる。作業とは、例えば、メンテナンス作業が挙げられる。
【0071】
本開示の一態様に係るボイラは、上記のいずれかに記載の脱硝装置を備える。
【0072】
本開示の一態様に係る架台は、筐体(47)の内部に設けられ燃焼ガスが通過する第1脱硝触媒(110)と、前記筐体(47)の内部であって前記第1脱硝触媒(110)よりも下方に設けられて支持部材(150)によって前記筐体(47)に対して支持されて燃焼ガスが通過する第2脱硝触媒(120)との間に設けられ、前記第1脱硝触媒(110)を前記第2脱硝触媒(120)に支持させる。
【0073】
また、本開示の一態様に係る架台は、水平方向に延在する梁部(141)と、上下方向に延在する柱部(142)と、を備え、前記梁部(141)と前記柱部(142)とは剛接合されている。
【0074】
上記構成では、梁部と柱部材は剛接合されている。すなわち、架台は、ラーメン構造とされている。このように、梁部と柱部との間に、補強部材(例えば、ブレース等)が設けられていないので、梁部と柱部との間を介して作業員が架台の内側に入ることができる。さらに、作業員が第1脱硝触媒と第2脱硝触媒との間の空間を容易に移動することができる。したがって、第1脱硝触媒と第2脱硝触媒との間の空間に入った作業員が、水平方向に配置された複数の第2脱硝触媒に対してそれぞれ作業を行うことができる。作業とは、例えば、メンテナンス作業が挙げられる。
【0075】
また、本開示の一態様に係る架台は、前記第1脱硝触媒(110)または前記第2脱硝触媒(120)に対する水平方向の相対移動を規制する規制部(143,147)を備える。
【0076】
上記構成では、第1脱硝触媒または第2脱硝触媒に対する水平方向の相対移動を規制する規制部を備えている。これにより、第1脱硝触媒または第2脱硝触媒と架台との水平方向の相対移動を規制することができる。したがって、第1脱硝触媒を安定して第2脱硝触媒に支持させることができる。
【0077】
本開示の一態様に係る脱硝触媒の設置方法は、燃焼ガスが通過する脱硝触媒(110,120)の設置方法であって、前記脱硝触媒は、第1脱硝触媒(110)と前記第1脱硝触媒(110)の下方に配置される第2脱硝触媒(120)を有し、前記第2脱硝触媒(120)を筐体(47)に対して支持する支持部材(150)に、前記第2脱硝触媒(120)を支持させる工程と、前記第2脱硝触媒(120)の上方に架台(140)を設ける工程と、前記架台(140)を介して前記第1脱硝触媒(110)を前記第2脱硝触媒(120)に支持させる工程と、を備える。
【符号の説明】
【0078】
10 :石炭焚きボイラ
11 :火炉
12 :燃焼装置
13 :燃焼ガス通路
14 :煙道
14a :鉛直部
21 :バーナ
26 :微粉炭供給管
31 :粉砕機
36 :風箱
37 :空気ダクト
41 :ガスダクト
42 :エアヒータ
43 :脱硝装置
44 :集塵装置
46 :脱硫装置
47 :筐体
48 :マンホール
50 :煙突
101 :火炉壁
102 :第1過熱器
103 :第2過熱器
104 :第3過熱器
105 :第1再熱器
106 :第2再熱器
107 :節炭器
110 :第1触媒パック(第1脱硝触媒)
111 :矩形枠部
112 :脱硝触媒(触媒)
112a :外枠部
112b :分割壁
115 :フランジ部
116 :触媒受け部
117 :触媒パック構造部材
120 :第2触媒パック(第2脱硝触媒)
130 :第3触媒パック
140 :架台
141 :梁部
142 :柱部
143 :第1規制部
144 :係止部
145 :当接部
146 :固定部
147 :第2規制部
150 :鉄骨部(支持部材)
160 :作業用構造物
161 :作業床
162 :階段
図1
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図3
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図10