(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121135
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】観覧ユニット
(51)【国際特許分類】
E04H 3/12 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
E04H3/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018315
(22)【出願日】2021-02-08
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000116596
【氏名又は名称】愛知株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 工
(57)【要約】
【課題】新たな設備を階段式移動観覧席に設置することができる技術を提案する。
【解決手段】高さの異なる複数の段床を備え、複数の段床が上下方向に重なった状態と、複数の段床が階段状に展開された状態と、に遷移可能な階段式移動観覧席に載置して用いられる観覧ユニットは、観覧用部材と、観覧用部材を支持する脚部と、を備える。脚部は、第1の脚と、第2の脚と、を備える。第2の脚は、第1の脚よりも上下方向の長さが短い。第1の高さの第1の段床に第1の脚を載せ、第1の高さよりも高い第2の高さの第2の段床に第2の脚を載せたときに、観覧用部材が使用可能な状態となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さの異なる複数の段床を備え、前記複数の段床が上下方向に重なった状態と、前記複数の段床が階段状に展開された状態と、に遷移可能な階段式移動観覧席に載置して用いられる観覧ユニットであって、
観覧用部材と、前記観覧用部材を支持する脚部と、
を備え、
前記脚部は、第1の脚と、前記第1の脚よりも上下方向の長さが短い第2の脚と、を備え、
第1の高さの第1の段床に前記第1の脚を載せ、前記第1の高さよりも高い第2の高さの第2の段床に前記第2の脚を載せたときに、前記観覧用部材が使用可能な状態となる、観覧ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の観覧ユニットであって、
前記観覧用部材とは、略板状の床部材である、観覧ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の観覧ユニットであって、
前記使用可能な状態とは、前記床部材が略水平となる状態であって、
前記第1の段床に前記第1の脚を載せ、前記第2の段床に前記第2の脚を載せたときに、前記床部材が略水平となる、観覧ユニット。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の観覧ユニットであって、
前記床部材の上面から前記第1の脚の下端までの長さは、前記第1の高さと前記第2の高さとの差に、前記床部材の上面から前記第2の脚の下端までの長さを加えた長さに等しい、観覧ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の観覧ユニットであって、
前記観覧用部材は、手すりを備える、観覧ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、観覧ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の段床が上下方向に重なった状態である収納状態と、複数の段床が階段状に展開された状態である使用状態と、に遷移可能な階段式移動観覧席がある。特許文献1には、使用状態において、観覧席として座体及び背もたれが展開されて、使用者が着座可能な状態となる階段式移動観覧席が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した階段式移動観覧席では、所定の座席を用いることを前提として構成されている。しかしながら、例えば観覧の対象によっては、所定の座席とは異なる新たな設備を階段式移動観覧席に設置したい場合がある。
【0005】
本開示の一局面は、新たな設備を階段式移動観覧席に設置することができる技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、高さの異なる複数の段床を備え、複数の段床が上下方向に重なった状態と、複数の段床が階段状に展開された状態と、に遷移可能な階段式移動観覧席に載置して用いられる観覧ユニットであって、観覧用部材と、観覧用部材を支持する脚部と、を備える。脚部は、第1の脚と、第2の脚と、を備える。第2の脚は、第1の脚よりも上下方向の長さが短い。第1の高さの第1の段床に第1の脚を載せ、第1の高さよりも高い第2の高さの第2の段床に第2の脚を載せたときに、観覧用部材が使用可能な状態となる。
【0007】
このような構成によれば、異なる高さの複数の段床を利用して新たな観覧用部材を配置することができる。
【0008】
上述した観覧ユニットにおいて、観覧用部材とは、略板状の床部材であってもよい。
このような構成によれば、異なる高さの複数の段床を利用して階段式移動観覧席の段床とは形態の異なる床部材を配置することができる。
【0009】
上述した観覧ユニットにおいて、使用可能な状態とは、床部材が略水平となる状態であってもよい。さらに、第1の段床に第1の脚を載せ、第2の段床に第2の脚を載せたときに、床部材が略水平となってもよい。
このような構成によれば、異なる高さの複数の段床を利用して階段式移動観覧席の段床とは形態の異なる床部材を略水平に配置できる。
【0010】
上述した観覧ユニットにおいて、床部材の上面から第1の脚の下端までの長さは、第1の高さと第2の高さとの差に、床部材の上面から第2の脚の下端までの長さを加えた長さに等しくてもよい。
このような構成によれば、異なる高さの複数の段床を利用して階段式移動観覧席の段床とは形態の異なる床部材を略水平に配置できる。
【0011】
上述した観覧ユニットにおいて、観覧用部材は、手すりを備えてもよい。
このような構成によれば、手すりを有用に活用することが可能となる。例えば、観覧用部材から使用者が転落するのを抑制したり、隣接する観覧用部材との仕切りにしたりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の観覧ユニットを示す概略図であって、
図1Aは側面図であり、
図1Bは上面図であり、
図1Cは正面図である。
【
図2】第1実施形態の観覧ユニットを示す側面図であって、使用状態を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態の観覧ユニットの拡大図である。
【
図4】第2実施形態の観覧ユニットを示す概略図であって、
図4Aは側面図であり、
図4Bは上面図であり、
図4Cは正面図である。
【
図5】第2実施形態の観覧ユニットの拡大図である。
【
図6】変形例の観覧ユニットを示す概略図であって、
図6Aは側面図であり、
図6Bは上面図であり、
図6Cは正面図である。
【
図8】参考例の移動観覧席を示す側面図であって、収納状態を示す図である。
【
図9】参考例の移動観覧席を示す側面図であって、
図9Aは第1の部分使用状態を示す図であり、
図9Bは第2の部分使用状態を示す図である。
【
図10】参考例の移動観覧席を示す側面図であって、全使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
観覧ユニット1は、例えば、階段式移動観覧席100に載置して用いられる。以下の説明において、前後、左右、上下などの方向を用いて各部の構成を説明する場合があるが、それらの方向は説明の便宜上用いているに過ぎず、本開示の実施の態様について何ら限定するものではない。上述した方向は、使用者が観覧ユニット1に着座したときの使用者を基準とした方向である。
【0014】
[1-2.階段式移動観覧席]
階段式移動観覧席100は、
図1に示すように、高さの異なる複数の段床2a~2hを有する。なお段床2a~2hを、説明の便宜上、段床2と記載する場合がある。
【0015】
図1は、階段式移動観覧席100が使用状態であるときを示す図である。使用状態とは複数の段床2が階段状に展開された状態であり、下側の段床2ほど前方に位置するように展開される。なお、前方とは観覧席が使用された場合において使用者が着席したときに向く方向である。階段式移動観覧席100は前方が低くなるように階段状に展開される。また、階段式移動観覧席100は使用状態と収納状態とに遷移可能である。収納状態とは、複数の段床2が上下方向に重なった状態である。
【0016】
図1B及び
図1Cに示すように、段床2は、階段3が設けられる部分を有する。なお、
図1Aにおいては、階段3は図示省略されている。また、
図1Aには、後述する折り畳み椅子10等が図示されているが、
図1B及び
図1Cにおいては、折り畳み椅子10等は図示省略されている。
【0017】
図2に示すように、段床2(図中2a~2h)は、下方に移動機構4a~4hをそれぞれ備えており、これらが床面を移動することにより段床2の前後方向への移動が実現される。
【0018】
図3に示すように、段床2は、折り畳み椅子10と、駆動機構16と、を備える。折り畳み椅子10は、座体11や背もたれ12等を備える。座体11及び背もたれ12は、折り畳まれて収納されている状態と、使用者が着席可能な状態とに移動可能に支持されている。具体的には、座体11は、座体11の下面に一端が連接されるリンク機構15と、リンク機構15を回転駆動させるモータ等の駆動装置を有する駆動機構16と、によって移動可能に支持されている。折り畳み椅子10は、駆動機構16により座体11と背もたれ12とが持ち上げられ、
図2の段床2gに設置された、破線で示される折り畳み椅子10のように、着席可能な状態となる。
【0019】
[1-3.観覧ユニット]
観覧ユニット1は、
図3に示すように、観覧用部材21と、一対の第1の脚22と、一対の第2の脚23と、一対の第3の脚24と、手すり25a~25dと、を備えている。
【0020】
観覧用部材21は、略板状の床部材である。略板状とは、水平方向に広さを有することを意味する。観覧用部材21は、着座部201と、通路部202と、を備える。着座部201は、上面視で略矩形であって、使用者が観覧するために着座可能な部分である。通路部202は、着座部201よりも後方に配置される、使用者が歩行可能な部分である。着座部201の前後方向の端部及び左右方向の端部には、着脱可能な手すり25a~25dが設けられる。手すり25a~25dは、観覧用部材21に設けられた、図示しない手すり用穴に差し込むことで固定される。前方及び左方の手すり25a,25bは、後方及び右方の手すり25c,25dよりも高く設計されている。
【0021】
一対の第1の脚22は、観覧用部材21の前端の下側において、左右方向に間隔を空けて配置され、観覧用部材21を支持する。一対の第1の脚22は、それぞれ、上下に長さを有する筒状の金属で形成されている。
【0022】
一対の第2の脚23は、観覧用部材21の後端の下側において、左右方向に間隔を空けて配置され、観覧用部材21を支持する。一対の第2の脚23は、それぞれ、上下に長さを有する筒状の金属で形成されている。一対の第2の脚23は、一対の第1の脚22よりも短い。
【0023】
一対の第3の脚24は、観覧用部材21の前後方向の中央部の下側において、左右方向に間隔を空けて配置され、観覧用部材21を支持する。一対の第3の脚24は、それぞれ、上下に長さを有する筒状の金属で形成されている。一対の第3の脚24は、一対の第2の脚23と同じ長さである。
【0024】
[1-4.観覧ユニットの載置]
一対の第1の脚22は、段床2a,2c,2e,2gの、折り畳まれた折り畳み椅子10の前方に載置される。一対の第2の脚23及び一対の第3の脚24は、段床2a,2c,2e,2gよりもそれぞれ1段高い段床2b,2d,2f,2hに載置される。一対の第2の脚23は、折り畳まれた折り畳み椅子10の後方に載置される。本実施形態では、一対の第2の脚23は、駆動機構16のカバーに設けられた貫通孔161に収まるように載置される。一対の第3の脚24は、折り畳まれた折り畳み椅子10の前方に載置される。このとき、観覧用部材21は、使用可能な状態となる。使用可能な状態とは、水平な床に観覧用部材21を置いたときの、観覧用部材21の上面の傾斜角度よりも、観覧用部材21の傾斜角度が小さくなって、観覧用部材21が略水平となる状態である。また、観覧用部材21の上面から第1の脚22の下端までの長さは、例えば、段床2aの高さと段床2bの高さとの差に、観覧用部材21の上面から第2の脚23の下端までの長さを加えた長さに等しくなっている。
【0025】
観覧用部材21の前端は、段床2a,2c,2e,2gの前端からはみ出さないように位置する。観覧用部材21の後端は、段床2b,2d,2f,2hよりもそれぞれ1段高い段床2c,2e,2gの前端に当接する。
【0026】
[1-5.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)一対の第2の脚23は、一対の第1の脚22よりも上下方向の長さが短い。段床2a,2c,2e,2gに一対の第1の脚22を載せ、段床2a,2c,2e,2gよりもそれぞれ1段高い段床2b,2d,2f,2hに一対の第2の脚23を載せたときに、観覧用部材21が使用可能な状態となる。このような構成によれば、異なる高さの複数の段床2を利用して新たな観覧用部材21を配置できる。
【0027】
(1b)観覧用部材21とは、略板状の床部材である。このような構成によれば、異なる高さの複数の段床2を利用して階段式移動観覧席100の段床2とは形態の異なる床部材を配置できる。また、床部材は段床2よりも前後に広いフラットな面を形成することができる。よって、例えば枡席や板敷きの桟敷席などを設置できる。
【0028】
(1c)段床2a,2c,2e,2gに一対の第1の脚22を載せ、段床2b,2d,2f,2hに一対の第2の脚23を載せたときに、観覧用部材21が略水平となる。また、観覧用部材21の上面から第1の脚22の下端までの長さは、例えば、段床2aの高さと、段床2bの高さとの差に、観覧用部材21の上面から第2の脚23の下端までの長さを加えた長さに等しい。このような構成によれば、異なる高さの複数の段床2を利用して新たな観覧用部材21を略水平に配置できる。
【0029】
(1d)観覧用部材21は、手すり25a~25dを備える。このような構成によれば、観覧用部材21から使用者が転落するのを抑制したり、隣接する観覧用部材21との仕切りにしたりすることが可能となる。
(1e)一対の第2の脚23は、貫通孔161に収まるように載置される。このような構成によれば、一対の第2の脚23の位置がずれるのを抑制することができる。
【0030】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0031】
第1実施形態では、2段の段床2に対して、1つの観覧ユニット1が載置された。一方、第2実施形態では、
図4に示すように、4段の段床2に対して、1セットの観覧ユニット300が載置される。
【0032】
[2-2.観覧ユニット]
図5に示すように、観覧ユニット300は、観覧用部材301,302,303と、一対の第1の脚312と、一対の第2の脚313と、一対の第4の脚322と、一対の第5の脚323と、一対の第6の脚332と、一対の第7の脚333と、を備える。
【0033】
観覧用部材301は、着座部311を備える。着座部311は、
図3の着座部201と同様、上面視で略矩形であって、使用者が観覧するために着座する部分である。観覧用部材301には、一対の第1の脚312と、一対の第2の脚313と、が設けられる。一対の第1の脚312は、観覧用部材301の前端の下側において、左右方向に間隔を空けて配置され、観覧用部材301を支持する。一対の第2の脚313は、観覧用部材301の後端の下側において、左右方向に間隔を空けて配置され、観覧用部材301を支持する。一対の第2の脚313は、一対の第1の脚312よりも短い。着座部311の前方の端部及び左右方向の端部には、着脱可能な手すり31a~31cが設けられる。前方の手すり31aは、右方の手すり31cよりも高く設計されている。左方の手すり31bは、前方の手すり31aと同じ高さでもよいし、右方の手すり31cと同じ高さでもよい。
【0034】
観覧用部材302は、着座部321を備える。着座部321も、
図3の着座部201と同様である。観覧用部材302には、一対の第4の脚322と、一対の第5の脚323と、が設けられる。一対の第4の脚322は、観覧用部材302の前端の下側において、左右方向に間隔を空けて配置され、観覧用部材302を支持する。一対の第5の脚323は、観覧用部材302の後部の下側において、左右方向に間隔を空けて配置され、観覧用部材302を支持する。一対の第4の脚322と、一対の第5の脚323とは、同じ長さである。着座部321の前方の端部及び左右方向の端部には、着脱可能な手すり32a~32cが設けられる。前方の手すり32aは、着座部311の前方の手すり31aよりも低く設計されている。左方の手すり32bは、前方の手すり32a及び右方の手すり32cと同じ高さでもよいし、前方の手すり32a及び右方の手すり32cよりも高く設計されていてもよい。
【0035】
観覧用部材303は、通路部331を備える。通路部331は、
図4Bに示されるように、上面視で前後の幅が観覧用部材301よりも小さい矩形である。この通路部331は、例えば使用者が歩行可能な部分として用いることができる。観覧用部材303には、一対の第6の脚332と、一対の第7の脚333と、が設けられる。一対の第6の脚332は、観覧用部材303の前端の下側において、左右方向に間隔を空けて配置され、観覧用部材303を支持する。一対の第7の脚333は、観覧用部材303の後部の下側において、左右方向に間隔を空けて配置され、観覧用部材303を支持する。一対の第6の脚332と、一対の第7の脚333とは、同じ長さである。通路部331の前方の端部には、着脱可能な手すり33aが設けられる。手すり33aは、着座部311の前方の手すり31aよりも低く設計されている。
【0036】
[2-3.観覧ユニットの載置]
一対の第1の脚312は、段床2aの、折り畳まれた折り畳み椅子10の前方に載置される。一対の第2の脚313は、段床2aよりも1段高い段床2bに載置される。一対の第2の脚313は、折り畳まれた折り畳み椅子10に接触しない位置に、折り畳まれた折り畳み椅子10に隣接して載置される。このとき、観覧用部材301は、使用可能な状態となる。また、観覧用部材301の上面から一対の第2の脚313の下端までの長さは、段床2bと、段床2bよりも1段高い段床2cとの高さの差に等しくなっている。また、観覧用部材301の上面から一対の第1の脚312の下端までの長さは、段床2aと、段床2aよりも2段高い段床2cとの高さの差に等しくなっている。
【0037】
一対の第4の脚322は、観覧用部材301の後部に載置される。一対の第5の脚323は、段床2cに載置される。一対の第5の脚323は、折り畳まれた折り畳み椅子10に接触しない位置に、折り畳まれた折り畳み椅子10に隣接して載置される。
【0038】
観覧用部材302の後端は、段床2cよりも1段高い段床2dの前端に当接する。
一対の第6の脚332は、段床2cよりも1段高い段床2dに載置される。一対の第6の脚332は、折り畳まれた折り畳み椅子10の前方に載置される。一対の第7の脚333も、段床2dに載置される。一対の第7の脚333は、折り畳まれた折り畳み椅子10に接触しない位置に、折り畳まれた折り畳み椅子10に隣接して載置される。
観覧用部材303の後端は、段床2dよりも1段高い段床2eの前端に当接する。
【0039】
[2-4.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
【0040】
(2a)第2実施形態の観覧ユニット300では、異なる3つの観覧用部材301~303を用いて、段床2及び折り畳み椅子10とは異なる観覧用設備を構成することができる。観覧用部材301~303それぞれの構成を異ならせることによって、使用の自由度も向上する。例えば、観覧用部材302から手すり32aを外すことで、着座部311と着座部321との境界を廃して広く使用することができる。また、各観覧用部材301~303の使用態様も自由度が向上し、例えば、観覧用部材301を単独で用いてもよいし、観覧用部材303は配置しなくてもよい。
【0041】
(2b)観覧用部材301の上面から一対の第2の脚313の下端までの長さは、段床2bと段床2cとの高さの差に等しくなっている。また、観覧用部材301の上面から一対の第1の脚312の下端までの長さは、段床2aと段床2cとの高さの差に等しくなっている。このような構成によれば、観覧用部材301の上面の高さが、段床2cと等しくなる。よって、観覧用部材301の上面に、第4の脚322と第5の脚323の長さが等しい観覧用部材302を載置することが可能となる。なお、観覧用部材302以外にも、例えば上下に延びる複数の脚部を有する机や椅子を、観覧用部材301と段床2cとに亘って配置することも可能になる。
【0042】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0043】
(3a)上記実施形態では、観覧用部材21,301~303として、床部材が用いられた。しかし、観覧用部材21,301~303として用いられる部材はこれに限定されるものではない。例えば、観覧用部材21,301~303として曲面を有する部材が用いられてもよい。また観覧用部材21,301~303としては、例えば、折り畳み椅子10以外の椅子、ソファー、机、テーブル付き椅子など、様々な設備を採用し得る。
【0044】
(3b)上記実施形態では、段床2a,2c,2e,2gに第1の脚22,312を載せ、段床2b,2d,2f,2hに第2の脚23,313を載せたときに、観覧用部材21,301が略水平となった。しかし、このとき観覧用部材21,301は略水平とならなくてもよい。例えば、前後左右のいずれかの方向が低い位置となるように傾斜していてもよい。
【0045】
(3c)上記実施形態では、観覧用部材21,301~303は、手すり25a~25d,31a~31c,32a~32c,33aを備えていた。しかし、観覧用部材21,301~303は、手すり25a~25d,31a~31c,32a~32c,33aを備えていなくてもよい。また、手すり以外のものが配置されていてもよい。例えば、周囲と空間的な仕切りを構成するパネルが配置されていてもよい。
【0046】
(3d)上記実施形態では、一対の第2の脚23は、貫通孔161に収まるように載置された。しかし、一対の第2の脚23が載置される位置はこれに限定されるものではない。例えば、一対の第2の脚23は、駆動機構16のカバーの上面に載置されてもよい。
【0047】
(3e)第1実施形態では、前方及び左方の手すり25a,25bは、後方及び右方の手すり25c,25dよりも高く設計されていた。しかし、手すり25a~25dの高さはこれに限定されるものではない。例えば、
図6及び
図7に示すように、前方の端部に設けられる手すり41aのみ、他の手すり41b,41cよりも高く設計されていてもよい。また、最下段の段床2aに載置される観覧用部材21の手すり41aのみ、他の段床2に載置される観覧用部材21の、前方の端部に設けられる手すり42aよりも高く設計されていてもよい。
【0048】
(3f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0049】
(3g)本開示は、前述した観覧ユニット1の他、当該観覧ユニット1を構成要素とするシステム、観覧ユニット1の載置の方法など、種々の形態で実現することができる。
【0050】
[4.参考例]
以下、移動観覧席の参考例について説明する。
[4-1.発明の構成]
[態様1]
高さの異なる複数の段床を備え、前記複数の段床が上下方向に重なった状態と、前記複数の段床が階段状に展開された状態と、に遷移可能な移動観覧席であって、
第1の観覧用部材を備える複数の第1の段床と、
前記第1の観覧用部材とは異なる第2の観覧用部材を備える複数の第2の段床と、
を備え、
前記第1の観覧用部材が使用可能であり、かつ、前記第2の観覧用部材が使用不能であるように前記複数の段床が配置された状態である第1の部分使用状態に遷移可能である、移動観覧席。
【0051】
[態様2]
態様1に記載の移動観覧席であって、
前記複数の第1の段床のうちの2つ以上の前記第1の段床と、前記複数の第2の段床のうちの2つ以上の前記第2の段床と、は、上下方向に交互に配置される、移動観覧席。
【0052】
[態様3]
態様1又は態様2に記載の移動観覧席であって、
前記第2の観覧用部材が使用可能であり、かつ、前記第1の観覧用部材が使用不能であるように前記複数の段床が配置された状態である第2の部分使用状態にも遷移可能である、移動観覧席。
【0053】
[態様4]
態様3に記載の移動観覧席であって、
前記第1の部分使用状態における前記複数の第1の段床及び前記複数の第2の段床それぞれの移動量は、前記第2の部分使用状態における前記移動量と相違する、移動観覧席。
【0054】
[4-2.実施形態]
従来、移動観覧席の段床には、椅子などの単一の観覧用部材が配置されており、移動観覧席は、単一の観覧用部材が使用されることを前提に構成されていた。よって、移動観覧席の使用の自由度が低かった。本開示の一局面は、観覧用部材の使用の自由度を高くすることができる移動観覧席を提案する。上述した態様1に記載の移動観覧席では、観覧用部材の使用の自由度を高くすることができる。
以下、例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0055】
図8に示す移動観覧席501は、高さの異なる複数の段床を備え、複数の段床が上下方向に重なった収納状態と、複数の段床が階段状に展開された使用状態と、に遷移可能である。
図8は、収納状態を示す。複数の段床は、上下方向に交互に配置される、第1の段床511と、第2の段床512と、を含む。移動観覧席501が備える第1の段床511の数と第2の段床512の数は、それぞれ2つ以上であれば特に限定されない。移動観覧席501において、複数の第1の段床511のうちの2つ以上の第1の段床511と、複数の第2の段床512のうちの2つ以上の第2の段床512と、は、上下方向に交互に配置されていてもよい。
【0056】
第1の段床511は、第1の観覧用部材を備える。本実施形態では、第1の観覧用部材として、折り畳み椅子10が設けられる。折り畳み椅子10は、第1実施形態の折り畳み椅子10と同様の構成である。
【0057】
第2の段床512は、第1の観覧用部材とは異なる第2の観覧用部材を備える。本実施形態では、第2の観覧用部材として、着席用部材513が設けられる。着席用部材513は、上面視で略矩形であって、使用者が観覧するために着座する板状の部材である。例えば、着席用部材513としては、板敷きの桟敷席等が用いられる。
【0058】
図9Aに示すように、移動観覧席501は、折り畳み椅子10が使用可能であり、かつ、着席用部材513が使用不能である第1の部分使用状態に遷移可能である。第1の部分使用状態は、使用状態の一態様である。第1の部分使用状態において、第1の段床511が階段状に展開される。第1の段床511よりも1段下にある第2の段床512は、1段上にある第1の段床511よりも前方に突出しないように配置される。よって、第2の段床512に備わる着席用部材513は使用不能であるが、第1の段床511に備わる折り畳み椅子10は使用可能となる。
【0059】
図9Bに示すように、移動観覧席501は、着席用部材513が使用可能であり、かつ、折り畳み椅子10が使用不能である第2の部分使用状態にも遷移可能である。第2の部分使用状態は、使用状態の一態様である。第2の部分使用状態において、第2の段床512が階段状に展開される。第2の段床512よりも1段下にある第1の段床511は、1段上にある第2の段床512よりも前方に突出しないように配置される。よって、最上段を除いて、第1の段床511に備わる折り畳み椅子10は使用不能であるが、第2の段床512に備わる着席用部材513は使用可能となる。
【0060】
上述したように、第1の部分使用状態と、第2の部分使用状態とでは、第1の段床511と、第2の段床512との前後方向の移動量が異なる。言い換えると、第1の部分使用状態における複数の第1の段床511及び複数の第2の段床512それぞれの移動量は、第2の部分使用状態における複数の第1の段床511及び複数の第2の段床512それぞれの移動量と相違する。ここでいう移動量とは、収納状態からの移動量である。
【0061】
図10に示すように、移動観覧席501は、折り畳み椅子10が使用可能であり、かつ、着席用部材513も使用可能である全使用状態にも遷移可能である。全使用状態は、使用状態の一態様である。全使用状態において、第1の段床511及び第2の段床512が階段状に展開される。
【0062】
[4-3.効果]
(4a)移動観覧席501は、第1の部分使用状態に遷移可能である。このような構成によれば、移動観覧席501を部分的に使用することができる。よって、観覧用部材の使用の自由度を高くすることができる。
【0063】
(4b)複数の段床は、上下方向に交互に配置される、第1の段床511と、第2の段床512とを含む。このような構成によれば、同一の観覧用部材同士の間隔を広くとり、観覧用部材を分散して配置することができる。
【0064】
(4c)移動観覧席501は、第2の部分使用状態や全使用状態にも遷移可能である。このような構成によれば、観覧用部材の使用の自由度をより高くすることができる。
(4d)第1の部分使用状態と、第2の部分使用状態とでは、第1の段床511と、第2の段床512との前後方向の移動量が異なる。このような構成によれば、前後方向の移動量が異なることで、移動観覧席501は、多様な形態に遷移可能となる。
【0065】
[4-4.参考例の変形例]
(i)上記実施形態では、複数の段床は、上下方向に交互に配置される、第1の段床511と、第2の段床512とを含んでいた。しかし、複数の段床の配置はこれに限定されるものではない。例えば、複数の段床の下半分が第1の段床511で構成され、複数の段床の上半分が第2の段床512で構成されていてもよい。
【0066】
(ii)上記実施形態では、移動観覧席501は、第2の部分使用状態や全使用状態にも遷移可能であった。しかし、移動観覧席501は、第2の部分使用状態や全使用状態にも遷移可能でなくてもよい。
【0067】
(iii)上記実施形態では、第1の部分使用状態と、第2の部分使用状態とでは、第1の段床511と、第2の段床512との前後方向の移動量が異なった。しかし、第1の段床511と、第2の段床512との前後方向の移動量は、同じであってもよい。
【0068】
(iv)上記実施形態では、第1の観覧用部材及び第2の観覧用部材の2種類の観覧用部材が用いられた。しかし、移動観覧席501に用いられる観覧用部材の数はこれに限定されるものではない。例えば、3種類以上の観覧用部材が用いられてもよい。
【0069】
(v)上記実施形態では、折り畳み椅子10及び着席用部材513が観覧用部材として用いられた。しかし、観覧用部材の種類はこれに限定されるものではない。例えば、観覧用部材として、折り畳み椅子10以外の椅子、ソファー、机、テーブル付き椅子など、様々な設備を採用し得る。
【符号の説明】
【0070】
1,300…観覧ユニット、2,2a~2h…段床、3…階段、4a~4h…移動機構、10…折り畳み椅子、11…座体、12…背もたれ、15…リンク機構、16…駆動機構、21,301~303…観覧用部材、22,312…第1の脚、23,313…第2の脚、24…第3の脚、100…階段式移動観覧席、161…貫通孔、201,311,321…着座部、202,331…通路部、322…第4の脚、323…第5の脚、332…第6の脚、333…第7の脚、501…移動観覧席、511…第1の段床、512…第2の段床、513…着席用部材。