(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121147
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】架台、および、移動筐体システム
(51)【国際特許分類】
B62D 21/00 20060101AFI20220812BHJP
B60P 3/022 20060101ALI20220812BHJP
B60P 1/64 20060101ALI20220812BHJP
B60P 7/13 20060101ALI20220812BHJP
B60P 3/07 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
B62D21/00 Z
B60P3/022
B60P1/64 Z
B60P7/13
B60P3/07 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018331
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】517345683
【氏名又は名称】JUSETZマーケティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135002
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 直之
(72)【発明者】
【氏名】武智 剛
(72)【発明者】
【氏名】木村 健一
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BA01
3D203DA15
(57)【要約】
【課題】筐体の設置後においても容易に移動可能とする技術を提供する。
【解決手段】運搬可能な筐体と、筐体を支持する架台10とを備える移動筐体システムにおいて、架台10は、筐体と嵌合しつつ支持する支持部材13と、支持部材13を介して筐体を支えるとともに、回転することにより筐体の移動を補助する車輪14とを設ける。筐体を土地などに設置するときには、複数の架台10を筐体の適当な位置に取り付け、架台10によって筐体を支持する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を支持する架台であって、
前記筐体と嵌合しつつ支持する支持部材と、
前記支持部材を介して前記筐体を支えるとともに、回転することにより前記筐体の移動を補助する車輪と、
を備える架台。
【請求項2】
請求項1に記載の架台であって、
前記筐体と嵌合した状態において、前記支持部材は、前記筐体内に挿入される架台。
【請求項3】
請求項1または2に記載の架台であって、
前記支持部材は、水平方向に前記筐体と嵌合する架台。
【請求項4】
請求項1または2に記載の架台であって、
前記支持部材は、鉛直方向に前記筐体と嵌合する架台。
【請求項5】
請求項4に記載の架台であって、
前記支持部材は、前記筐体と嵌合する部分が前記筐体に向けて進退する架台。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の架台であって、
前記支持部材は、前記筐体のフレーム部材と嵌合する架台。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の架台であって、
前記支持部材が前記筐体と嵌合した状態を維持するストッパーをさらに備える架台。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の架台であって、
前記筐体と前記支持部材とは、取り外し可能な状態で嵌合する架台。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の架台であって、
前記車輪の回転における中心軸を水平面内において回転させる架台。
【請求項10】
運搬可能な筐体と、
前記筐体を支持する架台と、
を備える移動筐体システムであって、
前記架台は、
前記筐体と嵌合しつつ支持する支持部材と、
前記支持部材を介して前記筐体を支えるとともに、回転することにより前記筐体の移動を補助する車輪と、
を備える移動筐体システム。
【請求項11】
請求項10に記載の移動筐体システムであって、
前記筐体は、前記筐体のフレームを構成するフレーム部材を備え、
前記フレーム部材の一部は、筐体側嵌合部を構成しており、
前記支持部材は、前記筐体側嵌合部と嵌合する移動筐体システム。
【請求項12】
請求項10または11に記載の移動筐体システムであって、
前記筐体は、キャンピングハウスを構成している移動筐体システム。
【請求項13】
請求項10または11に記載の移動筐体システムであって、
前記筐体は、キッチンユニットを構成する移動筐体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置後の筐体を容易に移動可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、運搬可能な筐体を、必要に応じて積み下ろしする技術が知られている。例えば、特許文献1には、筐体(車載用ハウス)を貨物自動車に対して脱着可能とすることにより、車載用ハウスを移動させる必要がないときには、当該車載用ハウスを取り外して貨物自動車の荷台から下ろして設置する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の技術では、例え短い距離であっても、設置された車載用ハウスを移動させるときには、再度、車載用ハウスを貨物自動車の荷台に載せて移動させなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、設置後の筐体を容易に移動可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、筐体を支持する架台であって、前記筐体と嵌合しつつ支持する支持部材と、前記支持部材を介して前記筐体を支えるとともに、回転することにより前記筐体の移動を補助する車輪とを備える。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る架台であって、前記筐体と嵌合した状態において、前記支持部材は、前記筐体内に挿入される。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係る架台であって、前記支持部材は、水平方向に前記筐体と嵌合する。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項1または2の発明に係る架台であって、前記支持部材は、鉛直方向に前記筐体と嵌合する。
【0010】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る架台であって、前記支持部材は、前記筐体と嵌合する部分が前記筐体に向けて進退する。
【0011】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明に係る架台であって、前記支持部材は、前記筐体のフレーム部材と嵌合する。
【0012】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明に係る架台であって、前記支持部材が前記筐体と嵌合した状態を維持するストッパーをさらに備える。
【0013】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明に係る架台であって、前記筐体と前記支持部材とは、取り外し可能な状態で嵌合する。
【0014】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかの発明に係る架台であって、前記車輪の回転における中心軸を水平面内において回転させる。
【0015】
また、請求項10の発明は、運搬可能な筐体と、前記筐体を支持する架台とを備える移動筐体システムであって、前記架台は、前記筐体と嵌合しつつ支持する支持部材と、前記支持部材を介して前記筐体を支えるとともに、回転することにより前記筐体の移動を補助する車輪とを備える。
【0016】
また、請求項11の発明は、請求項10の発明に係る移動筐体システムであって、前記筐体は、前記筐体のフレームを構成するフレーム部材を備え、前記フレーム部材の一部は、筐体側嵌合部を構成しており、前記支持部材は、前記筐体側嵌合部と嵌合する。
【0017】
また、請求項12の発明は、請求項10または11の発明に係る移動筐体システムであって、前記筐体は、キャンピングハウスを構成している。
【0018】
また、請求項13の発明は、請求項10または11の発明に係る移動筐体システムであって、前記筐体は、キッチンユニットを構成する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1ないし13に記載の発明は、筐体と嵌合しつつ支持する支持部材と、支持部材を介して前記筐体を支えるとともに、回転することにより筐体の移動を補助する車輪とを備えることにより、筐体を設置した後にも容易に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施の形態における移動筐体システムの概略の外観図である。
【
図2】第1の実施の形態における架台を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態における軸受けを示す図である。
【
図4】第1の実施の形態における架台を示す図である。
【
図5】筐体において外壁側嵌合部を取り除いた状態を示す部分概略図である。
【
図6】第1の実施の形態における外壁側嵌合部とフレーム部材との位置関係を示す概略図である。
【
図7】第1の実施の形態における架台が筐体に装着される様子を示す部分断面図である。
【
図8】第1の実施の形態における架台が筐体に装着される様子を示す部分断面図である。
【
図9】第2の実施の形態における移動筐体システムを示す図である。
【
図10】第2の実施の形態における架台を示す断面図である。
【
図11】第2の実施の形態における支持部材を示す図である。
【
図12】第2の実施の形態における筐体を示す部分概略図である。
【
図13】第2の実施の形態における外壁側嵌合部とフレーム部材との位置関係を示す概略図である。
【
図14】第2の実施の形態における架台が筐体に装着される様子を示す断面図である。
【
図15】第3の実施の形態における移動筐体システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。ただし、以下の説明において特に断らない限り、方向や向きに関する記述は、当該説明の便宜上、図面に対応するものであり、例えば実施品、製品または権利範囲等を限定するものではない。
【0022】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態における移動筐体システム1の概略の外観図である。移動筐体システム1は、4つの架台10,11および筐体12から構成されている。
【0023】
なお、
図1は、筐体12が水平面に設置されて自立している状態を示している。また、
図1に示す状態において、鉛直方向に略平行なZ軸を定義し、上向きを「正」とする。また、水平方向に略平行で、かつ、扉122に向かって左右方向と略平行となるX軸を定義し、左方向を「正」とする。さらに、X軸およびZ軸に略垂直なY軸を定義し、扉122に向かう方向を「正」とする。特に断らない限り、他の図においても同様である。
【0024】
本実施の形態では、4つの架台10,11は、概ね筐体12の四隅に取り付けられており、筐体12を安定して自立するように支持する機能を有している。すなわち、架台10,11は、いわゆる自立架台を構成している。
図1に示すように、設置後の移動筐体システム1は、2つの架台10と、2つの架台11とを備えている。
【0025】
なお、筐体12を架台10,11のみで自立させるためには、3つ以上の架台10,11が必要である。すなわち、移動筐体システム1が備える架台10,11の数は、
図1に示すように、4つに限定されるものではなく、3以上の数であればよい。移動筐体システム1が備える架台10,11の数は、筐体12の重量や強度、架台10,11の強度、各架台10,11の位置、あるいは、支持されたときの筐体12のバランス等に応じて、適宜決定することが好ましい。以下の実施の形態においても同様である。
【0026】
また、以下の説明において、架台10,11を筐体12に装着するときの方向を「進出方向」、取り外すときの方向を「退出方向」、両者をまとめて「進退方向」と称する場合がある。これにより、例えば、架台10の進退方向はX軸に略平行であり、架台11の進退方向はY軸に略平行である。すなわち、架台10と架台11の進退方向は、互いに異なっている。また、(+X)側に配置されている架台10の進出方向は(-X)方向であるが、(-X)側に配置されている架台10の進出方向は(+X)方向である。すなわち、2つの架台10の進出方向は、互いに異なっている。一方で、2つの架台11の進出方向はいずれも(+Y)方向である。
【0027】
筐体12の外壁120は、それぞれが、筐体12の内部と外部とを隔てる壁部材として機能する板状の部材である。すなわち、
図1において図示を省略しているが、筐体12は、複数の外壁120が適宜配置されることによって、内部が空洞の略箱状の構造物となっている。各外壁120は、一般的には、板状あるいはシート状の様々な材料を積層することよって製造される部材である。ただし、各外壁120の材質や構造は、配置される位置や用途に応じて、互いに異なっていてもよい。
【0028】
図1に示す外壁側嵌合部121は、外壁120の一部分である。本実施の形態における外壁側嵌合部121は、いずれも外壁120の角端部に形成されている。ただし、外壁側嵌合部121の位置は、外壁120の角端部に限定されるものではない。
【0029】
外壁側嵌合部121の詳細は後述するが、外壁側嵌合部121は、架台10,11と嵌合する機能を提供する。したがって、本実施の形態における移動筐体システム1は、4つの外壁側嵌合部121を備えている。しかし、外壁側嵌合部121の数は、架台10,11の数に限定されるものではない。例えば、予備的な外壁側嵌合部121が外壁120の適当な位置に設けられていてもよい。すなわち、架台10,11によって筐体12を自立させるときにおいて、筐体12が備える全ての外壁側嵌合部121が利用されなければならないわけではない。
【0030】
図1に示すように、筐体12の外壁120には、扉122および窓123が取り付けられている。したがって、移動筐体システム1の利用者は、扉122を開放することにより、筐体12の内部に立ち入ることが可能となっている。また、利用者は、窓123によって、内部から外の景色を楽しんだり、内部の空気を換気することができる。また、ここでは図示を省略しているが、筐体12の内部には、家具類(例えば、椅子、机、ベッド、収納箱)や、電化製品(例えば、音響設備、ランプ、空調設備、冷蔵設備、ポンプ)などが必要に応じて備え付けられている。このように、第1の実施の形態における筐体12の内部空間は人の居住空間を形成しており、筐体12は、いわゆるキャンピングハウス(車載用ハウス)を構成している。
【0031】
筐体12は、移動体(トラックや貨車など)に搭載することが可能である。そして、移動体に搭載された状態で、当該移動体を移動させることにより、筐体12は容易に運搬可能である。例えば、筐体12を、トラックの荷台に搭載すれば、居住空間を備えた筐体12を任意の場所に移動させることができる。このように、筐体12の利用者は、当該トラックを簡単にキャンピングカーとして構成し、利用することが可能である。
【0032】
図2は、第1の実施の形態における架台10を示す図である。
図2では、2つの架台10のうち、(-X)側に配置される方を示している。また、
図2は、当該架台10についいて、XZ平面に略平行な面における断面を示している。
【0033】
架台10は、支持部材13、車輪14、軸受け15、第1ストッパー160、第2ストッパー161、および、ピン162を備えている。
【0034】
第1の実施の形態における支持部材13は、X軸方向が長手方向となるように配置される金属製の角形鋼管である。支持部材13は、
図2に示すように、中心軸Oを定義している。中心軸Oは、後述する車輪14の回転軸である。したがって、支持部材13は、車輪14の回転軸を規定する車軸を構成している。
【0035】
支持部材13の(+X)側の端部は嵌合部13aを形成している。詳細は後述するが、少なくとも嵌合部13aの上面((+Z)側の面)は、筐体12に当接し、筐体12を(-Z)側から支持する支持面としての機能を有している。
【0036】
また、支持部材13の(-X)側の端部は凸部13bを形成している。凸部13bには、上面および下面を貫通する貫通孔が設けられている。当該貫通孔には、詳細は後述するが、
図2に示すようにピン162が挿入される。
【0037】
車輪14は、ドーナッツ状のゴム製の部材で構成されており、内部にエアーが封入されている。すなわち、第1の実施の形態における車輪14は、いわゆるゴムタイヤである。ただし、車輪14は、ゴムタイヤに限定されるものではない。
【0038】
筐体12を移動体に積み下ろしする作業は、クレーン、ジャッキあるいはフォークリフトなどによる昇降作業や、移動体と筐体12との位置合わせ、筐体12を移動体に固定する作業などが必要になる。すなわち、筐体12を移動体に積み下ろしする作業は、負担の大きい作業である。したがって、筐体12を移動体から積み下ろして設置した後に、再度筐体12を移動させるときに、その都度、必ず移動体に積んで移動させなければならないとなると、作業負担が大きいという問題がある。
【0039】
しかし、詳細は後述するが、移動筐体システム1における架台10,11は、車輪14を備えている。したがって、ちょっとした移動であれば、筐体12を移動体に積載することなく、移動させることができる。これにより、移動筐体システム1は、設置後の筐体12の配置換えなどの作業負担を軽減させることができる。
【0040】
軸受け15は、外輪150、内輪151および球152を備えている。
【0041】
図3は、第1の実施の形態における軸受け15を示す図である。なお、
図3では、2つの架台10のうち、(-X)側に配置される方を示している。また、
図3では、中心軸Oの位置を黒点で図示している。さらに、
図3には、支持部材13の凸部13bを図示している。
【0042】
軸受け15の外輪150は、
図2に示すように、車輪14に固定される。内輪151は、中心部に矩形の孔が形成されており、角形鋼管である支持部材13が嵌め込まれる。外輪150および内輪151によって形成されるリング状の空間には、複数の球152が転動可能な状態で挿入されている。
【0043】
このような構造により、車輪14が回転すると、外輪150が車輪14と一体的に中心軸Oを中心として回転する。一方で、支持部材13が嵌め込まれた内輪151は回転しない。ここで、外輪150と内輪151との間に球152が介在するため、外輪150と内輪151との間の摩擦が軽減される。したがって、外輪150(車輪14)は滑らかに回転する。このように、軸受け15は、いわゆる球軸受けを構成している。
【0044】
図2に戻って、第1ストッパー160は、支持部材13の外径以上の内径を有する角形鋼管である。第1ストッパー160のX軸方向の長さサイズは比較的短くなるように設計されている。また、第1ストッパー160は、支持部材13が挿入された状態で、X軸方向の所定の位置に固設されている。すなわち、支持部材13と第1ストッパー160とは、例えば、溶接やボルト止めなどにより一体的な構造物を構成している。
【0045】
図2に示す架台10では、第1ストッパー160の(-X)側の端部は、軸受け15の内輪151の(+X)側の端部と当接する(そのような位置に第1ストッパー160が固設されている。)。したがって、第1ストッパー160は、車輪14の(+X)側への移動を規制する機能を有している。すなわち、第1ストッパー160は、架台10において、車輪14の進出方向への移動を規制する。
【0046】
第2ストッパー161は、角形鋼管の一端を板部材で塞いだ形状の部材である。第2ストッパー161の角形鋼管の部分には、支持部材13の凸部13bが挿入される。
図2に示す架台10において、凸部13bが第2ストッパー161に挿入された状態では、第2ストッパー161の(+X)側の端部が、軸受け15の内輪151の(-X)側の端部に当接する。したがって、第2ストッパー161は、車輪14の(-X)側への移動を規制する機能を有している。すなわち、第2ストッパー161は、架台10において、車輪14の退出方向への移動を規制する。
【0047】
また、第2ストッパー161の板部材は、支持部材13の開口を塞ぐ蓋部材としても機能する。これによって、塵や水などの異物が支持部材13の内部へ進入することを防止することができる。
【0048】
第2ストッパー161の上面(天井面)には、ピン162が挿入される貫通孔が形成されている。第2ストッパー161に支持部材13の凸部13bが挿入された状態において、第2ストッパー161の上面に形成された貫通孔は、凸部13bに形成された貫通孔と連通される。第2ストッパー161と凸部13bとによって形成された連通孔は、ピン162が挿入される挿入孔を形成する。ピン162が挿入孔に挿入されると、第2ストッパー161のX軸方向の移動は規制されるため、第2ストッパー161が凸部13bから脱落することはない。
【0049】
ピン162は、すでに説明したように、第2ストッパー161と支持部材13(凸部13b)とを固定するために使用される。また、構造上明らかであるが、ピン162を抜き取ることによって、第2ストッパー161と支持部材13の凸部13bとの固定状態は容易に解除することができる。すなわち、第2ストッパー161を凸部13bから容易に取り外すことが可能となる。そして、第2ストッパー161を取り外すと、車輪14を退出方向に向けて支持部材13から取り外すことができる。これにより、架台10は、車輪14を取り外して交換することができる。
【0050】
以上が架台10の構成および機能の説明である。次に、架台11について説明する。
【0051】
図4は、第1の実施の形態における架台11を示す図である。
図4は、XY平面(水平面)に略平行な面における断面を示している。
【0052】
架台11は、車輪14、軸受け15、第2ストッパー161、および、ピン162をそれぞれ2つずつ備えている。また、架台11は、3つの第1ストッパー160を備えている。また、架台11は、架台10における支持部材13の代わりに、支持部材17を備えている。さらに、架台11は、車軸18を備えている。
【0053】
支持部材17は、YZ平面に略平行な面における断面形状(サイズ)が、支持部材13と同一の角形鋼管である。ただし、支持部材17は、Y軸方向を長手方向として配置される点が支持部材13と異なっている。すなわち、
図4から明らかであるが、支持部材17の長手方向は、車輪14の回転軸である中心軸Oと直交する向きとなっている。
【0054】
支持部材17の(+Y)側の端部は嵌合部17aを形成している。詳細は後述するが、少なくとも嵌合部17aの上面((+Z)側の面)は、筐体12に当接し、筐体12を(-Z)側から支持する支持面としての機能を有している。
【0055】
支持部材17の(-Y)側の端部は接続部17bを形成している。接続部17bは、車軸18の中央部に、例えば、溶接によって強固に固設されている。したがって、架台11において、支持部材17および車軸18は一体構造物を形成している。
【0056】
なお、接続部17bと車軸18との接続方法は、接続部17bの端部を車軸18の側面に溶接するという手法に限定されるものではない。接続部17bと車軸18とを、より強固に接続するためには、様々な手法が適用されてもよい。例えば、接続部17bと車軸18とを適宜嵌合させてから溶接してもよい。あるいは、接続のための専用の部材を用いてもよい。さらには、支持部材17と車軸18とを一つの部材として製造してもよい。
【0057】
車軸18は、YZ平面に略平行な面における断面形状(サイズ)が、支持部材13,17と同一の角形鋼管である。このように構成することにより、架台11は、車輪14、軸受け15、第1ストッパー160、第2ストッパー161、および、ピン162などの部品を架台10と共通化することができる。
【0058】
車軸18は、長手方向がX軸方向となるように配置される。車軸18は、
図4に示すように、X軸と略平行な中心軸Oを定義している。中心軸Oは、架台11が備える2つの車輪14の回転軸である。このように、車軸18は、車輪14の回転軸を規定する。架台10では、支持部材13が車軸として兼用されていた。しかし、架台11では、支持部材17と車軸18とは別部材として構成されている。
【0059】
車軸18の(+X)側の端部は、凸部18aを形成している。凸部18aには、車輪14が嵌め込まれている。当該車輪14は、第1ストッパー160および第2ストッパー161によってX軸方向の位置が規制されている。また、凸部18aと第2ストッパー161には、ピン162が挿入されており、第2ストッパー161が(+X)方向に脱落しないようにされている。さらに、凸部18aに嵌め込まれた車輪14には、軸受け15が取り付けられており、中心軸Oを中心にして車輪14が滑らかに回転するように構成されている。
【0060】
また、車軸18の(-X)側の端部は、凸部18bを形成している。凸部18bは、架台10における凸部13bと同様の構成が設けられている。したがって、凸部18bに嵌め込まれた車輪14も、X軸方向に移動することなく、中心軸Oを中心にして滑らかに回転するように構成されている。
【0061】
なお、ピン162を抜いて、第2ストッパー161を取り外すことにより、車輪14が交換可能であることは、架台11においても、架台10と同様である。
【0062】
以上が架台11の構成および機能の説明である。次に、架台10を取り付ける筐体12について説明する。
【0063】
図5は、筐体12において外壁側嵌合部121を取り除いた状態を示す部分概略図である。なお、
図5に示す部分は、
図2に示した架台10((-X)側に存在する架台10)が取り付けられる部分である。また、
図5において、説明の都合上、筐体12の内部の構成(例えば、内壁や床材等)などを省略している。
【0064】
筐体12は、
図1に示す構成以外に、
図5に示すように、底部材124、および、フレーム部材125,126を備えている。
【0065】
底部材124は、筐体12の内部と外部とを隔てる板状の部材である。底部材124は、XY平面と略平行となるように配置されている。
【0066】
フレーム部材125,126は、図示しない他のフレーム部材とともに、筐体12のフレーム(骨格)を形成する部材である。第1の実施の形態におけるフレーム部材125,126は、長手方向に延びる金属製の角材(角形鋼管)である。
【0067】
このように、角形鋼管のフレーム部材125,126を採用してフレームを構成し、当該フレームに外壁120や底部材124などを取り付けることによって、重量を軽くするとともに、コストを抑制しつつ、筐体12の強度を高めることができる。
【0068】
フレーム部材126の(-X)側の端部は、筐体側嵌合部127を形成している。また、筐体側嵌合部127には、貫通孔127aが形成されている。貫通孔127aは、フレーム部材126を貫通する空洞のうちの、筐体側嵌合部127に存在する部分である。
【0069】
すでに説明したように、フレーム部材126は、角形鋼管である。したがって、筐体側嵌合部127は、単に角形鋼管の端部として形成された部分であって、その意味では特別な構造物ではない。言い換えれば、フレーム部材125の端部やフレーム部材126の(+X)側の端部にも、筐体側嵌合部127と同様の構造が存在する。すなわち、移動筐体システム1は、角形鋼管であるフレーム部材126が備える一般的な構造部分を、筐体側嵌合部127として兼用するものである。
【0070】
図5において、フレーム部材126は、X軸方向を長手方向とする。したがって、貫通孔127aは、X軸方向に延びるように配置される。これにより、筐体側嵌合部127の貫通孔127aは、筐体側嵌合部127(フレーム部材126)の内部から外部に向けて開口する。
【0071】
移動筐体システム1において、貫通孔127aのY軸方向のサイズ(
図5においてフレーム部材126の開口の横サイズ)は、支持部材13(嵌合部13a)の横サイズ(
図2において、Y軸方向のサイズ)より大きい。また、貫通孔127aのZ軸方向のサイズ(フレーム部材126の開口の縦サイズ)は、支持部材13(嵌合部13a)の縦サイズ(嵌合部13aのZ軸方向のサイズ)より大きい。このように、移動筐体システム1において、各部材の形状およびサイズが決定されているため、後述するように、支持部材13の嵌合部13aを、筐体側嵌合部127の貫通孔127aに挿入して、嵌め込むことが可能である。
【0072】
図6は、外壁側嵌合部121とフレーム部材126との位置関係を示す概略図である。なお、
図6は、
図5に示す部分に外壁側嵌合部121(外壁120)を取り付けた様子を示している。また、
図6では、内部構造としては、フレーム部材126のみ図示している。
【0073】
外壁側嵌合部121は、すでに説明したように、外壁120の一部分である。外壁側嵌合部121の一部は矩形に切り取られており、貫通孔121aが形成されている。これにより、貫通孔121aは、外壁120において、外壁側嵌合部121に設けられた窓のようになっている。
【0074】
移動筐体システム1において、外壁側嵌合部121(外壁120)の貫通孔121aの開口の横サイズ(貫通孔121aのY軸方向のサイズ)は、支持部材13(嵌合部13a)の横サイズ(嵌合部13aのY軸方向のサイズ)より大きい。また、貫通孔121aの開口の縦サイズ(貫通孔121aのZ軸方向のサイズ)は、支持部材13(嵌合部13a)の縦サイズ(嵌合部13aのZ軸方向のサイズ)より大きい。
【0075】
すでに説明したように、外壁120は、フレーム(フレーム部材125,126など)に固定される。フレームに外壁120を固定したときに、外壁側嵌合部121(外壁120)の貫通孔121aのYZ平面内における位置は、筐体側嵌合部127(フレーム部材126)の貫通孔127aのYZ平面内における位置に一致する。逆に言えば、そのような位置関係となるように、外壁側嵌合部121に貫通孔121aが形成されている。したがって、外壁120がフレームに固定されると、筐体12において、貫通孔121aと貫通孔127aとが連通するように接続される。
【0076】
図7は、第1の実施の形態における架台10が筐体12に装着される様子を示す部分断面図である。なお、
図7において、筐体12を構成する部材および架台10については、貫通孔127aの中央部を通り、XZ平面に平行な面における断面を示す。また、
図7における架台10は、
図2に示した架台10である。
【0077】
すでに説明したように、通常状態において、貫通孔121aの(-X)側の開口は、窓のように外部に露出している。この状態において、フレーム部材126には、支持部材13の嵌合部13aが外部から挿入され、嵌め込まれる。したがって、
図7に示す架台10が筐体12に装着されるときの方向(進出方向)は、(+X)方向となる。このように、第1の実施の形態において、フレーム部材126(貫通孔127aを形成する筐体側嵌合部127)は、嵌合部13aと嵌合する筐体側嵌合部を構成する。
【0078】
なお、嵌合部13aと筐体側嵌合部127とが嵌合するとき、嵌合部13aは、貫通孔121aにも挿入されており、嵌合部13aは外壁側嵌合部121とも嵌合している。すなわち、本実施の形態では、貫通孔121aを形成する外壁側嵌合部121も、筐体側嵌合部の一部を構成している。
【0079】
移動筐体システム1は、架台10を筐体12に取り付けるときに、筐体側嵌合部127(外壁側嵌合部121を含む。)と、嵌合部13aとを嵌合させるだけでよい。また、この作業は、いわば、大経の角形鋼管(フレーム部材126)の内部に、小経の角形鋼管(支持部材13)を進出方向に挿入するだけの極めて簡単な作業であり、大きな力も工具類も不要である。したがって、作業効率が向上する。
【0080】
また、架台を筐体に挿入する場合、その挿入方向がジャッキの昇降方向であれば、当該挿入に必要な距離だけ余分にジャッキを縮めておく必要がある。また、架台を昇降方向に移動させて筐体から取り外す場合、ジャッキと地面との間に、充分な距離をとらなければ架台を下方に移動させることができず、取り外すことができない。すなわち、架台の進退方向が昇降方向である場合には、着脱時に、例えば、ジャッキの操作量が増大する。したがって、利用者の作業負担が増大するという問題がある。
【0081】
これに対して、第1の実施の形態における嵌合部13aは、昇降方向(Z軸方向)と略垂直な方向(X軸方向)に着脱される。したがって、例えば、地面と車輪14とが、わずかでも離間していれば、それだけで架台10を筐体12に対して着脱することができる。したがって、着脱時のジャッキの操作量を抑制することができるため、利用者の作業負担を軽減することができる。
【0082】
また、支持部材13の嵌合部13aは、筐体12のフレーム部材126の一部である筐体側嵌合部127と嵌合する。フレーム部材126は、筐体12を補強するための部材であるため、外力に対して強く、破損するおそれの低い強靱な部材として構成されている。このように、強靱な部材と嵌合して支持することにより、移動筐体システム1は、筐体12が破損することを抑制することができる。したがって、架台10は、安定して筐体12を支持することができる。
【0083】
また、フレーム部材126は、筐体を補強する部材として普通に用いられる部材である。すなわち、補強材であるフレーム部材126の一部を筐体側嵌合部127としても兼用することにより、筐体12に特別な嵌合部を設ける必要がない。したがって、移動筐体システム1は、筐体12のコストを抑制することができる。
【0084】
図8は、第1の実施の形態における架台11が筐体12に装着される様子を示す部分断面図である。なお、
図8において、筐体12を構成する部材および支持部材17については、貫通孔127aの中央部を通り、YZ平面に平行な面における断面を示す。
【0085】
図1に示したように、第1の実施の形態における架台11が取り付けられる外壁側嵌合部121は、扉122が取り付けられている外壁120に設けられている。したがって、
図8に示すように、フレーム部材126は、長手方向がY軸方向となるように配置されている。すなわち、フレーム部材126の貫通孔127aもY軸方向に延びるように配置されており、当該貫通孔127aは(-Y)側に開口する。
【0086】
この状態において、フレーム部材126には、支持部材17の嵌合部17aが外部から挿入され、嵌め込まれる。すなわち、第1の実施の形態において、フレーム部材126(貫通孔127aを形成する筐体側嵌合部127)は、嵌合部17aと嵌合する筐体側嵌合部を構成する。ただし、架台11においては、進退方向は、Y軸方向となる。
【0087】
なお、嵌合部17aと筐体側嵌合部127とが嵌合するとき、嵌合部17aは、貫通孔121aにも挿入されており、嵌合部17aは外壁側嵌合部121とも嵌合している。すなわち、本実施の形態では、貫通孔121aを形成する外壁側嵌合部121も、筐体側嵌合部の一部を構成している。
【0088】
以上のように、移動筐体システム1は、移動可能な筐体12と、架台10,11とを備えている。そして、架台10,11は、筐体12と嵌合しつつ支持する支持部材13,17と、支持部材13,17を介して筐体12を支えるとともに、回転することにより筐体12の移動を補助する車輪14とを備える。これにより、筐体12を設置した後であっても、車両(移動体)に再度積載することなく、容易に移動させることができる。
【0089】
また、筐体12と嵌合した状態において、支持部材13,17は、筐体12内に挿入される。これにより、支持部材13,17の取り付け作業が容易である。
【0090】
また、支持部材13,17は、水平方向に筐体12と嵌合する。すなわち、進出方向が水平方向である。これによっても、支持部材13,17の取り付け作業が容易になる。
【0091】
また、支持部材13,17は、筐体12のフレーム部材126と嵌合する。したがって、筐体12に別途嵌合部材を必要としない。
【0092】
また、筐体12と支持部材13,17とは、取り外し可能な状態で嵌合する。これにより、汎用性が向上する。
【0093】
なお、本実施の形態における外壁側嵌合部121(外壁120)は、挿入された嵌合部13a,17a(支持部材13,17)と接触する(そのようなサイズおよび配置位置となるように外壁側嵌合部121が設計されている。)。しかし、一般に、外壁120を構成する素材は、フレーム部材126を構成する素材に比べれば外力に対して弱く、筐体12の荷重が外壁120に過大に作用すると破損するおそれもある。したがって、外壁側嵌合部121と嵌合部13a,17aとが接触しないように、例えば、貫通孔121aのサイズをさらに大きくしてもよい。
【0094】
また、筐体12側において、外壁側嵌合部121および筐体側嵌合部127が筐体側嵌合部を構成する説明した。しかし、外壁120は、必ず嵌合部13aと嵌合しなければならないものではない。例えば、フレーム部材126を(-X)軸方向にさらに延ばして、筐体側嵌合部127を貫通孔121aに挿入する構造にしてもよい。このような構造を採用することにより、嵌合部13a,17aは、外壁120と接触しない構成とすることができる。あるいは、外壁120において外壁側嵌合部121に相当する部分を取り除いてもよい。すなわち、嵌合部13a,17a(支持部材13,17)と筐体側嵌合部127(フレーム部材126)との嵌合を、外壁120が妨げない構造であれば、どのような構造が採用されてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態では、説明を簡単にするために、車輪14と外輪150とが直接固定されると説明した。しかし、例えば、軸受け15がハウジング部材を備え、これらの部材を介して車輪14と外輪150とが間接的に固定されてもよい。また、軸受け15が、球152を保持する保持器を備えていてもよい。すなわち、軸受け15の構造は、従来から知られた構造が適宜採用されてよい。
【0096】
また、例えば、支持部材13,17が筐体12と嵌合した状態を維持するストッパーをさらに備えてもよい。すなわち、フレーム部材126から支持部材13,17が抜けないように固定する機構を備えてもよい。その場合、支持部材13,17の脱落を防止することができる。
【0097】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態における移動筐体システム1では、進退方向が水平方向(X軸またはY軸方向)の例について説明した。しかし、進退方向が鉛直方向であってもよい。
【0098】
図9は、第2の実施の形態における移動筐体システム2を示す図である。
【0099】
第2の実施の形態における移動筐体システム2は、架台10,11の代わりに4つの架台20を備える点と、筐体12の代わりに筐体22を備える点とが、第1の実施の形態における移動筐体システム1と異なっている。以下の説明では、移動筐体システム2について、移動筐体システム1と同様の構成については、適宜、同符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0100】
図9に示すように、第2の実施の形態における筐体22は、外壁120の代わりに外壁220を備えている。外壁220は、外壁側嵌合部121に相当する構成が設けられていない点が外壁120と異なっている。また、筐体22は、底部材124の代わりに、底部材224を備えている。
【0101】
図10は、第2の実施の形態における架台20を示す断面図である。
図11は、第2の実施の形態における支持部材23を示す図である。第2の実施の形態における架台20は、
図4と
図11とを比較すれば明らかなように、支持部材17の代わりに、支持部材23を備えている点が第1の実施の形態における架台11と異なっている。
【0102】
図11に示すように、支持部材23は、第3ストッパー230、嵌合部材231、および、軸受け232を有している。
【0103】
支持部材23の第3ストッパー230は、金属製の円筒鋼管であって、内部にZ軸方向に貫通する空洞が形成されている。第3ストッパー230の空洞(貫通孔)には、
図10に示すように、嵌合部材231が嵌め込まれて固設されている。すなわち、第3ストッパー230と嵌合部材231とは、一体的な構造物を形成している。
【0104】
嵌合部材231も、第3ストッパー230と同様に金属製の円筒鋼管である。ただし、その外径は、第3ストッパー230の内径より小さい。これにより、すでに説明したように、嵌合部材231は、第3ストッパー230の貫通孔に嵌め込まれている。したがって、嵌合部材231は、長手方向がZ軸方向となるように配置される。
【0105】
嵌合部材231の(+Z)側の端部は、嵌合部231aを形成している。
図11に示すように、嵌合部231aは、第3ストッパー230(軸受け232)よりもさらに(+Z)側に突出している。
【0106】
嵌合部材231の(-Z)側の端部は、接続部231bを形成している。
図11に示すように、接続部231bは、第3ストッパー230よりも(-Z)側に突出している。
図10に示すように、接続部231bは、支持部材17の接続部17bと同様に、車軸18の中央部に固設されている。
【0107】
これにより、支持部材23の嵌合部材231は、車軸18と一体的な構造物を構成している。なお、支持部材23において、第3ストッパー230の(-Z)側の端部を第1ストッパー160に固設してもよい。すなわち、支持部材23と車軸18とが一体的な構造物を構成すればよい。
【0108】
軸受け232は、
図11に示すように、複数の転動体232a、および、軸軌道板232b,232cを備えている。これにより、軸受け232は、一般的なスラストボールベアリングを構成している。スラストボールベアリングは、従来の技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0109】
軸受け232には、第3ストッパー230と同様に、嵌合部材231が嵌め込まれている。すなわち、嵌合部材231が軸受け232をZ軸方向に貫通するように配置されている。そして、軸受け232の軸軌道板232bが、嵌合部材231に固定されている第3ストッパー230に当接することによって、軸受け232は、嵌合部材231の所定の位置に配置される。
【0110】
図12は、第2の実施の形態における筐体22を示す部分概略図である。なお、
図12において、説明の都合上、筐体22の内部の構成(例えば、内壁や床材等)、および、底部材224などを省略している。
【0111】
第2の実施の形態における筐体22は、
図9に示す構成以外に、フレーム部材225,226を備えている。フレーム部材225,226は、フレーム部材125,126と同様に角形鋼管である。
【0112】
フレーム部材225は、いずれも水平方向(X軸またはY軸方向)が長手方向となるように配置されている部材である。また、フレーム部材226は、Z軸方向(鉛直方向)が長手方向となるように配置されている。
【0113】
フレーム部材126の(-Z)側の端部は、筐体側嵌合部227を形成している。また、筐体側嵌合部227には、貫通孔227aが形成されている。貫通孔227aは、フレーム部材226を貫通する空洞のうちの、筐体側嵌合部227に存在する部分である。貫通孔227aは、Z軸方向に延びるように配置される。これにより、筐体側嵌合部227の貫通孔227aは、筐体側嵌合部227(フレーム部材226)の内部から外部に向けて開口する。
【0114】
移動筐体システム2において、貫通孔227aのX軸方向のサイズ(フレーム部材226の開口の横サイズ)は、支持部材23の嵌合部231aの外径サイズより大きい。また、貫通孔227aのY軸方向のサイズ(フレーム部材226の開口の縦サイズ)は、支持部材23の嵌合部231aの外径サイズより大きい。
【0115】
このように、移動筐体システム2において、各部材の形状およびサイズが決定されているため、後述するように、支持部材23(嵌合部材231)の嵌合部231aを、筐体側嵌合部227の貫通孔227aに挿入して、嵌め込むことが可能である。すなわち、嵌合部231aと筐体側嵌合部227とを嵌合させることができる。
【0116】
図13は、第2の実施の形態における外壁側嵌合部221とフレーム部材226との位置関係を示す概略図である。なお、
図13は、
図12に示す部分に外壁側嵌合部221(底部材224)を取り付けた様子を示している。また、
図13では、内部構造としては、フレーム部材226のみ図示している。
【0117】
第2の実施の形態における外壁側嵌合部221は、底部材224の一部分である。外壁側嵌合部221の一部は矩形に切り取られており、貫通孔221aが形成されている。これにより、貫通孔221aは、底部材224において、外壁側嵌合部221に設けられた窓のようになっている。
【0118】
移動筐体システム2において、外壁側嵌合部221(底部材224)の貫通孔221aの開口の横サイズ(貫通孔221aのX軸方向のサイズ)は、支持部材23(嵌合部材231)の嵌合部231aの外径サイズより大きい。また、貫通孔221aの開口の縦サイズ(貫通孔221aのY軸方向のサイズ)は、支持部材23(嵌合部材231)の嵌合部231aの外径サイズより大きい。
【0119】
底部材224は、フレーム(フレーム部材225,226など)に固定される。フレームに底部材224をフレームに固定したときに、外壁側嵌合部221(底部材224)の貫通孔221aのXY平面内における位置は、筐体側嵌合部227(フレーム部材226)の貫通孔227aのXY平面内における位置に一致する。逆に言えば、そのような位置関係となるように、外壁側嵌合部221に貫通孔221aが形成されている。したがって、底部材224がフレームに固定されると、筐体22において、貫通孔221aと貫通孔227aとが連通するように接続される。
【0120】
図14は、第2の実施の形態における架台20が筐体22に装着される様子を示す断面図である。なお、
図14においては、フレーム部材226の貫通孔227aの中央部を通り、XZ平面に平行な面における断面を示す。
【0121】
図14に示すように、支持部材23の嵌合部231aは、筐体側嵌合部227(フレーム部材226)の貫通孔227aにZ軸方向に挿入されている。そして、筐体22(底部材224)は、支持部材23(軸受け232)に当接して支持されている。
【0122】
ここで、嵌合部材231は円筒鋼管である。また、筐体22に当接している軸受け232はスラストベアリングを構成している。したがって、架台20において、軸受け232の軸軌道板232c以外の構成は、Z軸に平行な軸を中心にして回転することが可能とされている。すなわち、第2の実施の形態における移動筐体システム2では、架台20は、いわゆるキャスターとして機能する。
【0123】
以上のように、第2の実施の形態における移動筐体システム2においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0124】
また、支持部材23は、鉛直方向に筐体22と嵌合する。これにより、別途、ストッパーを設けなくても、支持部材23(架台20)が容易に筐体22(筐体側嵌合部227)から抜け落ちることがない。
【0125】
また、架台20は、車輪14の回転軸(中心軸O)を水平面内において回転させることができる。これにより、筐体22の移動方向の自由度が向上する。
【0126】
なお、支持部材23は、筐体22と嵌合する部分が筐体22に向けて進退するように構成してもよい。例えば、支持部材23の嵌合部材231がZ軸方向に沿って移動するように構成してもよい。より具体的には、嵌合部材231の接続部231bを車軸18に固設せずに、第3ストッパー230のみを車軸18に対して固設する(第1ストッパー160に固設する。)。そして、嵌合部材231を(+Z)方向に移動させることにより、フレーム部材226の貫通孔227aに、嵌合部材231の全長分を埋没させてから、架台20の他の部材を筐体22の下方に配置し、嵌合部材231を第3ストッパー(および軸受け232)の内部(貫通孔内)に落下させてもよい。このように構成することにより、筐体22をジャッキアップさせる量を抑制することができる。したがって、支持部材23(架台20)の取り付け作業が容易になる。
【0127】
また、第2の実施の形態における架台20では、嵌合部材231は円筒鋼管である。したがって、フレーム部材226の内径形状も円形であってもよい。すなわち、フレーム部材226は、角形鋼管であるとして説明したが、円筒鋼管であってもよい。
【0128】
<3. 第3の実施の形態>
第2の実施の形態では、架台(架台20)の進退方向が鉛直方向の場合に、車輪14の回転軸(中心軸O)を水平面内において回転させる例について説明した。しかし、架台の進退方向が水平方向の場合にも適用可能である。
【0129】
図15は、第3の実施の形態における移動筐体システム3を示す図である。移動筐体システム3は、架台10,11の代わりに、4つの架台30を備える点が、第1の実施の形態における移動筐体システム1と異なっている。移動筐体システム3では、第1の実施の形態における筐体12がそのまま利用可能である。以下の説明では、移動筐体システム3について、移動筐体システム1と同様の構成については、適宜、同符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0130】
架台30は、第2の実施の形態における架台20と比較して、支持部材33および柱構造34を備えている点と、支持部材23を備えていない点とが異なっている。架台30については、架台20と比較して説明する。すなわち、架台20と同様の構成については、適宜、同符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0131】
支持部材33は、例えば、支持部材13と同様の部材で実現することができる。ただし、支持部材33は、第1の実施の形態における支持部材13に比べて長手方向(X軸方向)のサイズが異なっている。
【0132】
支持部材33の(+X)側の端部は、嵌合部13aと同一構造の嵌合部33aを形成している。したがって、支持部材33の嵌合部33aは、嵌合部13aと同様に、フレーム部材126の貫通孔127aに挿入することができる。このように、架台30の嵌合部33aは、筐体側嵌合部127と嵌合する。このとき、架台30における進退方向は、X軸方向(水平方向)である。
【0133】
支持部材33の(-X)側の端部は、凸部33bを形成している。凸部33bの下面には、貫通孔が形成されている。当該貫通孔には、
図15に示すように、嵌合部231aが挿入され嵌合する。
【0134】
柱構造34は、架台20の支持部材23と同様の構造物であり、第3ストッパー230、嵌合部材231および軸受け232を備えている。ただし、柱構造34の嵌合部231aは、支持部材33と嵌合する。第3の実施の形態における嵌合部231aが、支持部材33の凸部33bと嵌合した状態において、支持部材33(凸部33b)の下面は軸受け232に当接する。
【0135】
以上のような構成である移動筐体システム3においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、筐体12を設置した後にも容易に移動させることができる。
【0136】
なお、架台30において、支持部材33と柱構造34との間の嵌合は、固設されていてもよいし、取り外し可能であってもよい。
【0137】
<4. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0138】
例えば、上記実施の形態では、いずれも筐体12,22がキャンピングハウスを構成する例について説明した。しかし、筐体12,22は、キャンピングハウスを構成するものに限定されるものではない。例えば、キッチンユニットを構成する筐体12,22であっても本発明を適用することができる。
【0139】
また、上記実施の形態では、いずれもフレーム部材126が筐体側嵌合部127を構成する例で説明した。しかし、強度設計上許容される場合は、他の部材が筐体側嵌合部を構成してもよい。例えば、底部材124と図示しない床部材との隙間に嵌合部13a,17aが挿入される構造であってもよい。あるいは、外壁側嵌合部121,221のみが筐体側嵌合部を構成してもよい。
【0140】
また、上記実施の形態では、車軸18が固定されている例について説明した。しかし、車軸は車輪14とともに回転する構造であってもよい。その場合には、支持部材と車軸との間に軸受けを用いることが好ましい。
【0141】
また、上記実施の形態では、軸受け15および軸受け232は、いずれも玉軸受けとして説明した。しかし、採用される軸受けは、玉軸受けに限定されるものではない。例えば、ローラーやコロを転動体として使用するものであってもよい。あるいは、すべり軸受けのように、転動体を備えない軸受けであってもよい。
【符号の説明】
【0142】
1,2,3 移動筐体システム
10,11,20,30 架台
12,22 筐体
120,220 外壁
121,221 外壁側嵌合部
121a,127a,221a,227a 貫通孔
122 扉
123 窓
124,224 底部材
125,126,225,226 フレーム部材
127,227 筐体側嵌合部
13,17,23,33 支持部材
13a,17a,231a,33a 嵌合部
13b,18a,18b,33b 凸部
14 車輪
15,232 軸受け
150 外輪
151 内輪
152 球
160 第1ストッパー
161 第2ストッパー
162 ピン
17b,231b 接続部
18 車軸
230 第3ストッパー
231 嵌合部材
232a 転動体
232b,232c 軸軌道板
34 柱構造