IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121153
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】車両用スロープ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/02 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
B60R3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018339
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】梁井 慶一
(72)【発明者】
【氏名】田野井 務
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 広
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022AA02
3D022AC04
3D022AD02
3D022AE08
3D022AE16
3D022AE22
(57)【要約】
【課題】スロープ板上に位置する異物の有無を判別することのできるスロープ装置を提供する。
【解決手段】スロープ装置11は、ドア開口部の下端に展開されるスロープ板10を備える。また、制御装置40は、アクチュエータ25の作動を制御することにより、そのスロープ板10を駆動して展開及び格納方向に移動させる駆動制御部100aとして機能する。そして、制御装置40には、その展開されたスロープ板10上の異物を検出する異物検出部61が設けられる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア開口部の下端に展開されるスロープ板と、
前記スロープ板を駆動して展開及び格納方向に移動させる駆動制御部と、
前記展開された前記スロープ板上の異物を検出する異物検出部と、
を備える車両用スロープ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用スロープ装置において、
前記スロープ板上の異物を検出した場合に、該異物を検出した旨の報知出力を実行する報知出力部を備えること、を特徴とする車両用スロープ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用スロープ装置において、
前記スロープ板上に検出された前記異物が前記スロープ板上を移動した利用者の落とし物であるか否かを判定する落とし物判定部を備えること、
を特徴とする車両用スロープ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用スロープ装置において、
前記スロープ板上に検出された前記異物が前記スロープ板上を移動した利用者の落とし物であるか否かを判定する落とし物判定部と、
前記異物が前記利用者の落とし物である場合に、該落とし物を検出した旨の報知出力を実行する報知出力部と、を備えること、を特徴とする車両用スロープ装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載の車両用スロープ装置において、
前記スロープ板上に検出された前記異物の除去処理を実行する異物除去制御部を備えること、を特徴とする車両用スロープ装置。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載の車両用スロープ装置において、
前記スロープ板上に検出された前記異物の除去処理を実行する異物除去制御部を備えるとともに、
前記異物除去制御部は、前記異物が前記利用者の落とし物である場合には、前記異物の除去処理を実行しないこと、を特徴とする車両用スロープ装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の車両用スロープ装置において、
前記展開された前記スロープ板の傾斜角を変更する傾斜角変更装置を備え、
前記異物除去制御部は、前記異物の除去処理として、前記スロープ板の傾斜角を増加させること、を特徴とする車両用スロープ装置。
【請求項8】
請求項5~請求項7の何れか一項に記載の車両用スロープ装置において、
前記スロープ板に振動を付与するスロープ振動装置を備え、
前記異物除去制御部は、前記異物の除去処理として、前記スロープ板を振動させること、を特徴とする車両用スロープ装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8の何れか一項に記載の車両用スロープ装置において、
前記スロープ板上に検出された前記異物を回収する異物回収装置を備えること、
を特徴とする車両用スロープ装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車両用スロープ装置において、
前記異物回収装置は、
前記スロープ板とともに該スロープ板の前記格納方向に移動する前記スロープ板上の前記異物に当接して前記格納方向に向かう前記異物の移動を規制するストッパ部と、
前記格納方向に移動する前記スロープ板の通過により前記ストッパ部よりも展開方向側の位置において前記スロープ板上から下方に落下した前記異物を貯留する異物貯留部と、を備えること、を特徴とする車両用スロープ装置。
【請求項11】
請求項1~請求項10の何れか一項に記載の車両用スロープ装置において、
前記格納方向に移動する前記スロープ板の上面に摺接して該スロープ板上の前記異物を展開方向側に掃き出す回転ブラシを備えること、を特徴とする車両用スロープ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スロープ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドア開口部の下端に展開されるスロープ板と、このスロープ板を駆動して展開及び格納方向に移動させる駆動制御部と、を備えた車両用のスロープ装置がある。例えば、特許文献1に記載の車両においては、車椅子やベビーカー、或いは大型のキャリーケース等、この車両の搭乗予定者が保持する乗車補助対象物が検出される。そして、このような乗車補助対象物を検出した場合に、そのスロープ装置の作動によって、ドア開口部の下端にスロープ板が展開される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-131784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなスロープ装置においては、その展開されたスロープ板上に異物が存在する可能性がある。そして、上記従来技術には、このような異物の有無が判別できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する車両用スロープ装置は、ドア開口部の下端に展開されるスロープ板と、前記スロープ板を駆動して展開及び格納方向に移動させる駆動制御部と、前記展開された前記スロープ板上の異物を検出する異物検出部と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、スロープ板上に位置する異物の有無を判別することができる。そして、これにより、その検出結果に基づいて、速やかに、スロープ板上に異物が存在する状況に対処することができるようになる。
【0007】
上記課題を解決する車両用スロープ装置は、前記スロープ板上の異物を検出した場合に、該異物を検出した旨の報知出力を実行する報知出力部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、スロープ板上を移動する利用者に対し、そのスロープ板上に異物が存在することを気付かせることができる。そして、この異物に対する注意喚起を促すことができる。
【0008】
上記課題を解決する車両用スロープ装置は、前記スロープ板上に検出された前記異物が前記スロープ板上を移動した利用者の落とし物であるか否かを判定する落とし物判定部を備えることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、スロープ板上に検出された異物を、利用者の落とし物として取り扱うことができるようになる。
上記課題を解決する車両用スロープ装置は、前記スロープ板上に検出された前記異物が前記スロープ板上を移動した利用者の落とし物であるか否かを判定する落とし物判定部と、前記異物が前記利用者の落とし物である場合に、該異物を検出した旨の報知出力を実行する報知出力部と、を備えること、を特徴とする車両用スロープ装置。
【0010】
上記構成によれば、スロープ板上を移動する利用者に対し、このスロープ板上に落とし物が存在することを気付かせることができる。そして、その落とし物の所有者に対しては、この落とし物を拾いに戻るように促すことができる。
【0011】
上記課題を解決する車両用スロープ装置は、前記スロープ板上に検出された前記異物の除去処理を実行する異物除去制御部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、スロープ板上に存在する異物の除去処理を自動化することができる。
【0012】
上記課題を解決する車両用スロープ装置は、前記スロープ板上に検出された前記異物の除去処理を実行する異物除去制御部を備えるとともに、前記異物除去制御部は、前記異物が前記利用者の落とし物である場合には、前記異物の除去処理を実行しないことが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、利用者の落とし物と判定された異物を、そのスロープ板上に残すことができる。
上記課題を解決する車両用スロープ装置は、前記展開された前記スロープ板の傾斜角を変更する傾斜角変更装置を備え、前記異物除去制御部は、前記異物の除去処理として、前記スロープ板の傾斜角を増加させることが好ましい。
【0014】
即ち、スロープ板の傾斜角を増加させることにより、このスロープ板上の異物が、そのスロープ板から滑り落ち又は転がり落ちやすくなる。そして、これにより、そのスロープ板上の異物を除去することができる。
【0015】
上記課題を解決する車両用スロープ装置は、前記スロープ板に振動を付与するスロープ振動装置を備え、前記異物除去制御部は、前記異物の除去処理として、前記スロープ板を振動させることが好ましい。
【0016】
即ち、スロープ板を振動させることにより、このスロープ板上の異物が、そのスロープ板から滑り落ち又は転がり落ちやすくなる。そして、これにより、そのスロープ板上の異物を除去することができる。
【0017】
上記課題を解決する車両用スロープ装置は、前記スロープ板上に検出された前記異物を回収する異物回収装置を備えることが好ましい。
上記構成によれば、スロープ板上に存在する異物の回収処理を自動化することができる。
【0018】
上記課題を解決する車両用スロープ装置において、前記異物回収装置は、前記スロープ板とともに該スロープ板の前記格納方向に移動する前記スロープ板上の前記異物に当接して前記格納方向に向かう前記異物の移動を規制するストッパ部と、前記格納方向に移動する前記スロープ板の通過により前記ストッパ部よりも展開方向側の位置において前記スロープ板上から下方に落下した前記異物を貯留する異物貯留部と、を備えることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、スロープ板が格納動作することで、このスロープ板上の異物が、そのスロープ板の下方に設けられた異物貯留部に貯留される。そして、これにより、簡素な構成にて、そのスロープ板上の異物を回収することができる。
【0020】
上記課題を解決する車両用スロープ装置は、前記格納方向に移動する前記スロープ板の上面に摺接して該スロープ板上の前記異物を展開方向側に掃き出す回転ブラシを備えることが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、スロープ板上に存在する微小な異物が、そのスロープ板を収容する空間の奥側に入り込まないようにすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、スロープ板上に位置する異物の有無を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】スロープ装置が搭載された車両の斜視図。
図2】スロープ装置が搭載された車両の斜視図。
図3】ドア開口部の下方に設けられたスロープ装置の斜視図。
図4】ドア開口部の下方に設けられたスロープ装置の斜視図。
図5】スロープ装置の概略構成図。
図6】スロープ装置の動作説明図。
図7】スロープ装置の動作説明図。
図8】スロープ装置の動作説明図。
図9】スロープ装置の制御ブロック図。
図10】ドア開口部に展開されたスロープ板及びスロープ板上の異物を示す説明図。
図11】スロープ板上の異物検出及び落とし物判定の処理手順を示すフローチャート。
図12】スロープ板上の異物が落とし物である場合の処理手順を示すフローチャート。
図13】スロープ板上の異物が落とし物に該当しない場合の処理手順を示すフローチャート。
図14】異物除去制御の処理手順を示すフローチャート。
図15】傾斜角変更装置として機能するリフト機構の斜視図。
図16】リフト機構の動作説明図。
図17】リフト機構の動作説明図。
図18】リフト機構の動作説明図。
図19】傾斜角変更装置としてのリフト機構の動作説明図。
図20】スロープ振動装置として機能する第1伝達シャフト及び第2伝達シャフトの斜視図。
図21】スロープ振動装置として機能する第1伝達シャフト及び第2伝達シャフトの動作説明図。
図22】スロープ振動装置として機能する第1伝達シャフト及び第2伝達シャフトの動作説明図。
図23】スロープ板の上面に摺接する回転ブラシ及び回転ブラシに駆動力を伝達する駆動力伝達機構の斜視図。
図24】回転ブラシ及び駆動力伝達機構の動作説明図。
図25】回転ブラシ及び駆動力伝達機構の動作説明図。
図26】異物回収装置の模式図。
図27】別例の異物除去制御の処理手順を示すフローチャート。
図28】別例の異物回収装置の模式図。
図29】別例の異物回収装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、スロープ装置に関する一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の車両1は、車両前後方向に延在する四角略箱状の車体2を有している。また、車体2の側面2sには、乗員の乗降口となるドア開口部3が設けられている。そして、このドア開口部3には、車両前後方向、相反する方向に開閉動作する一対のスライドドア4f,4rが設けられている。
【0025】
即ち、車両前方側のスライドドア4fは、車両前方側に移動することにより開作動し、車両後方側に移動することにより閉作動する。一方、車両後方側のスライドドア4rは、車両後方側に移動することにより開作動し、車両前方側に移動することにより閉作動する。更に、これらの各スライドドア4f,4rは、それぞれ、図示しないアクチュエータの駆動力に基づき開閉動作するパワースライドドア装置としての構成を有している。そして、本実施形態の車両1は、これらの各スライドドア4f,4rが連動するかたちで、そのドア開口部3を開閉する構成になっている。
【0026】
また、本実施形態の車両1は、ドア開口部3が全開状態にある場合において、このドア開口部3の下端にスロープ板10を展開するスロープ装置11を備えている。そして、本実施形態の車両1は、このスロープ板10が形成する傾斜路Rを利用することで、その乗員が、例えば、車椅子やベビーカー、或いは車輪付きのキャリヤや自転車等を保有している場合であっても、容易に、そのドア開口部3から乗降することが可能となっている。
【0027】
図3及び図4に示すように、本実施形態の車両1において、このスロープ装置11は、ドア開口部3の下方に設けられた格納ボックス12内に設置されている。具体的には、この格納ボックス12は、そのドア開口部3と同一方向に臨む開口部12aを有している。そして、本実施形態のスロープ装置11は、この開口部12aを介することにより、その格納ボックス12に格納されたスロープ板10を車外に展開し、及び、その展開したスロープ板10を再び格納ボックス12内に格納する構成になっている。
【0028】
詳述すると、本実施形態のスロープ装置11は、その格納ボックス12からドア開口部3の下端に展開されるスロープ板10の展開及び格納方向、つまりは、その格納ボックス12内の奥行き方向に延びる一対のガイドレール20,20を備えている。
【0029】
図3図5に示すように、本実施形態のスロープ装置11において、これらの各ガイドレール20,20は、格納ボックス12内のスロープ板10を幅方向両側から挟み込む態様で、略平行に配置されている。また、本実施形態のスロープ装置11は、これらの各ガイドレール20に係合する状態で、それぞれ、その係合する各ガイドレール20,20の延伸方向に沿って摺動可能に設けられた移動体21,21を備えている。更に、このスロープ装置11は、スロープ板10の後端部10rに対する回動連結点X1及び移動体21に対する回動連結点X2を有して、その各移動体21,21とスロープ板10との間に介在された一対の支持アーム22,22を備えている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、これらの各移動体21,21及び各支持アーム22,22とともに、そのスロープ板10が展開及び格納方向に移動する構成になっている。
【0030】
また、本実施形態のスロープ装置11は、モータ23を駆動源としたアクチュエータ25を備えている。本実施形態のスロープ装置11において、このアクチュエータ25は、各ガイドレール20,20の後端部20rよりも奥側において、その格納ボックス12内に配置されている。更に、本実施形態のスロープ装置11は、そのアクチュエータ25と各ガイドレール20,20の後端部20rとを接続するケーシングパイプ27,27と、これらの各ケーシングパイプ27,27及びガイドレール20,20の延伸方向に沿って配索される一対の駆動ケーブル30,30と、を備えている。そして、本実施形態のスロープ装置11においては、これらの各駆動ケーブル30,30を介して伝達されるアクチュエータ25の駆動力に基づいて、その各移動体21,21が各ガイドレール20,20の延伸方向に沿って移動する構成になっている。
【0031】
具体的には、本実施形態のアクチュエータ25は、モータ23が発生する駆動力に基づき回転する駆動ギヤ25xを有している。また、このアクチュエータ25は、その駆動ギヤ25xを径方向に挟む二位置において各駆動ケーブル30,30が、それぞれ、この駆動ギヤ25xに対して噛合するように構成されている。即ち、本実施形態のアクチュエータ25は、その駆動ギヤ25xが回転することにより、これらの各駆動ケーブル30,30を各ガイドレール20,20の延伸方向に沿って摺動させる。更に、本実施形態のスロープ装置11においては、その各駆動ケーブル30,30の端末に各移動体21,21が連結されている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、その各駆動ケーブル30,30と一体に、これらの各移動体21,21が、各ガイドレール20,20に案内される状態で、そのスロープ板10の展開及び格納方向に摺動する構成になっている。
【0032】
詳述すると、図6及び図7に示すように、本実施形態のスロープ装置11において、スロープ板10は、ガイドレール20に対する移動体21及び支持アーム22の係合力に基づいて、略水平な姿勢が保持された状態で格納ボックス12内に収容されている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、この略水平な姿勢を保持したまま、そのガイドレール20の延伸方向に沿って、移動体21及び支持アーム22と一体にスロープ板10が展開及び格納方向に移動する構成となっている。
【0033】
また、図8に示すように、本実施形態のスロープ装置11は、格納ボックス12が設けられた車両1の側縁部1sから車幅方向外側に延出する態様で車外に展開するスロープ板10について、このスロープ板10の延出が完了する位置を超えて、その移動体21及び支持アーム22が展開方向に移動するように構成されている。更に、本実施形態のスロープ装置11においては、これにより、そのガイドレール20に対する係合関係に基づいて、これらの移動体21及び支持アーム22が、スロープ板10の後端部10rを上方に持ち上げるリフト機構31として機能する。具体的には、その支持アーム22が、スロープ板10の後端部10rに対する回動連結点X1及び移動体21に対する回動連結点X2周りに回動することで、そのスロープ板10の後端部10rが持ち上がる。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、車両フロア32に後端部10rを近づける態様で、そのスロープ板10が傾斜路Rを形成する構成になっている。
【0034】
尚、本実施形態のスロープ装置11において、スロープ板10の後端部10rには、フロア係合部33が設けられている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、このフロア係合部33が車両フロア32の縁部32eに係合することで、そのスロープ板10の荷重を車両フロア32が支える構成になっている。
【0035】
また、図9に示すように、本実施形態の車両1において、スロープ装置11のアクチュエータ25は、パワースライドドア装置としての構成を有するスライドドア4f,4rのアクチュエータ35とともに、制御装置40によって、その作動が制御されている。
【0036】
具体的には、本実施形態の制御装置40には、例えば、図示しない運転席等、車両1に設けられた操作入力部41に対する操作入力信号Scrが入力される。即ち、本実施形態の車両1において、この制御装置40には、その操作入力信号Scrとして、車両1の乗務員によるスライドドア4f,4rの作動要求、及びスロープ装置11の作動要求が入力される。また、本実施形態の制御装置40は、これらの作動要求に基づいて、そのスライドドア4f,4rの開閉動作を制御するドア制御部42を備えている。そして、この制御装置40は、スロープ板10の展開及び格納動作を制御するスロープ制御部43を備えている。
【0037】
また、図1図2、及び図9に示すように、本実施形態の制御装置40には、車両1に設けられたカメラ45が映す車外の撮影画像Vdが入力される。尚、本実施形態の車両1において、このカメラ45は、例えば、ドア開口部3の上方に設けられている。更に、本実施形態の制御装置40は、これらのカメラ45の撮影画像Vdを解析する画像解析部46と、この画像解析の結果に基づいて、そのドア開口部3を利用する車両1の乗員を検出する乗員検出部47と、を備えている。そして、本実施形態の制御装置40は、この乗員検出の結果に基づいて、自動的に、そのスライドドア4f,4rを開閉動作させるとともに、そのスロープ装置11を展開及び格納動作させる機能を備えている。
【0038】
具体的には、本実施形態の制御装置40において、ドア制御部42は、例えば、車両1の停車位置に待機する人、つまりは車両1の乗員となる搭乗予定者が検出された場合に、そのスライドドア4f,4rを自動的に開動作させる機能を有している。また、乗員検出部47は、検出された搭乗予定者が、例えば、車椅子やベビーカー、或いは車輪付きのキャリヤや自転車等を保持する場合には、この搭乗予定者をスロープ板10の利用者として検出する。そして、本実施形態の制御装置40は、このようなスロープ板10の利用者が検出された場合に、上記スロープ制御部43の機能によって、そのスロープ板10を自動的に展開動作させる機能を有している。
【0039】
また、本実施形態の乗員検出部47は、そのドア開口部3を介した乗員の乗降動作が完了したことを検知する。更に、スロープ制御部43は、この乗降動作の完了検知に基づいて、自動的に、そのドア開口部3の下端に展開したスロープ板10を格納動作させる機能を有している。そして、ドア制御部42は、その乗降動作の完了検知に基づき、スロープ板10の格納を確認した後、そのスライドドア4f,4rを自動的に閉動作させる機能を有している。
【0040】
尚、本実施形態の制御装置40は、画像解析部46による画像解析の結果に基づいて、車両1の周辺を監視する周辺監視部48を備えている。更に、制御装置40は、車両1に設けられたスピーカー49、及びディスプレーや警告灯等の表示装置50を用いた報知出力を実行する報知制御部51を備えている。そして、本実施形態の車両1は、これにより、そのドア開口部3を介して車両1に乗降する乗員の安全を確保する構成となっている。
【0041】
例えば、本実施形態の報知制御部51は、スライドドア4f,4rの開閉動作時やスロープ板10の展開及び格納動作時には、搭乗予定者を含む車両1の乗員に対し、注意を促す報知出力として、音声ガイダンスや警告音の出力及び視覚的な警告出力を実行する。そして、本実施形態の制御装置40は、車両1の周辺を通過する二輪車を検出した場合等にも同様に、この報知制御部51が、その乗員の注意を促す報知出力を実行する構成になっている。
【0042】
(スロープ板上の異物検出)
次に、本実施形態のスロープ装置11に実装されたスロープ板上の異物検出機能について説明する。
【0043】
図9及び図10に示すように、本実施形態の制御装置40は、画像解析部46による画像解析の結果に基づいて、そのドア開口部3の下端に展開したスロープ板10上の異物60を検出する異物検出部61を備えている。
【0044】
具体的には、本実施形態の車両1においては、スロープ板10が展開された状態にある場合、例えば、車椅子やベビーカー等を保有していない、本来、スロープ板10を必要としない者も、このスロープ板10を利用する。また、本実施形態のカメラ45は、この展開状態にあるスロープ板10の上面10s、つまりは、このスロープ板10がドア開口部3の下端に形成する利用者の通路となる部分を撮影するように構成されている。更に、本実施形態の制御装置40において、異物検出部61は、この撮影画像Vdの解析結果に基づいて、そのスロープ板10上に、スロープ装置11の付属品及びスロープ板10上を移動する利用者の所持品とは異なる物体Mが存在するか否かを判定する。そして、本実施形態の異物検出部61は、帰属不明の物体Mがスロープ板10上に存在する場合に、この物体Mを異物60として検出する。
【0045】
更に、本実施形態の制御装置40は、このスロープ板10上に検出された異物60が、そのスロープ板10上を移動した利用者の落とし物62であるか否かを判定する落とし物判定部63を備えている。
【0046】
具体的には、この落とし物判定部63は、画像解析部46による画像解析の結果に基づいて、検出された異物60の種類を判別する機能を有している。更に、この落とし物判定部63は、その判別した異物60の種類が、例えば、携帯端末や財布等、スロープ板10上を移動する利用者が、そのスロープ板10上に落下させる可能性がある物体Mに該当する場合に、この異物60が落とし物62であると判定する。そして、本実施形態の制御装置40は、これにより、そのスロープ板10上に異物60が存在するか否かを判別し、及び、検出した異物60が利用者の落とし物62であるか否かを判定することのできる構成となっている。
【0047】
詳述すると、図11のフローチャートに示すように、本実施形態の制御装置40は、スロープ板10が展開状態にある場合(ステップ101:YES)、このスロープ板10の上面10sについて画像解析を実行する(ステップ102)。そして、このステップ102における画像解析の結果に基づいて、そのスロープ板10上の異物検出判定を実行する(ステップ103)。
【0048】
次に、制御装置40は、スロープ板10上に異物60を検出すると(ステップ103:YES)、その異物60が、利用者の障害になり難く、且つスロープ板10の格納動作を妨げない、例えば、砂や小石等、微小なものであるかを判定する(ステップ104)。更に、制御装置40は、そのスロープ板10上に検出した異物60が「微小」なものには該当しないと判定した場合(ステップ104:NO)、この異物60が利用者の落とし物62であるか否かを判定する(ステップ105)。そして、本実施形態の制御装置40は、この落とし物判定の結果に基づいて、落とし物検出時処理を実行し(ステップ105:YES、ステップ106)、又は落とし物62に該当しない異物検出時処理を実行する(ステップ105:NO、ステップ107)。
【0049】
尚、本実施形態の制御装置40は、スロープ板10上に検出した異物60が「微小」なものである場合(ステップ104:YES)には、ステップ105以降の処理を実行しない。また、異物60を検出しなかった場合(ステップ103:NO)には、ステップ104以降の処理を実行しない。そして、スロープ板10が展開されていない場合(ステップ101:NO)には、ステップ102以降の処理を実行しない。
【0050】
さらに詳述すると、図12のフローチャートに示すように、本実施形態の制御装置40は、スロープ板10上に落とし物62を検出している場合(ステップ201:YES)、先ず、利用者が乗降中であるか否かを判定する(ステップ202)。即ち、制御装置40は、その落とし物検出時処理(図11参照、ステップ106)として、先ず、ドア開口部3に展開されたスロープ板10上を利用者が移動する状態にあるか否かを判定する。そして、スロープ装置11の利用者が乗降中である場合(ステップ202:YES)には、このスロープ板10上に落とし物62を検出した旨の報知出力を実行する(落とし物報知出力、ステップ203)。
【0051】
具体的には、本実施形態の制御装置40は、上記ステップ203の落とし物報知出力として、スロープ板10上を移動する利用者が、そのスロープ板10上の落とし物62に気付くような報知出力を実行する。尚、本実施形態の車両1においては、この報知出力もまた、その車外及び車内に対して行われる。そして、落とし物62の所有者に対しては、この報知出力によって、その落とし物62を拾いに戻るよう案内する構成となっている。
【0052】
一方、上記ステップ202において、乗員の乗降中ではない、即ちスロープ板10上を移動する利用者がいないと判定した場合(ステップ202:NO)、制御装置40は、乗員の乗降動作が完了したか否かを判定する(ステップ204)。そして、本実施形態の制御装置40は、このステップ204において、乗員の乗降動作が完了したと判定した場合(ステップ204:YES)には、そのスロープ板10上に検出した落とし物62の回収処理を実行する(ステップ205)。
【0053】
尚、本実施形態の制御装置40は、乗員の乗降動作が完了していないと判定した場合(ステップ204:NO)、つまり車外の搭乗予定者を含め、乗降待機中の乗員がいる場合、上記ステップ205の落とし物回収処理を実行しない。そして、制御装置40は、この場合もまた、上記ステップ203の落とし物報知出力を実行する。
【0054】
更に、図9に示すように、本実施形態の制御装置40は、車両1に設けられた通信装置64を用いて車両1の外部と情報通信を実行する通信制御部65を備えている。そして、本実施形態の制御装置40は、この通信制御部65の機能を用いることにより、図12中、上記ステップ205の落とし物回収処理が実行された場合に、その旨を車両1の運行会社に通知する構成となっている(ステップ206)。
【0055】
尚、本実施形態においては、上記ステップ206で車両1から送信された落とし異物60を回収した旨の通知が、図示しない運行会社のサーバーに登録されるようになっている。そして、落とし物62の所有者は、これにより、例えば、情報端末を操作する等によって、その落とし物62が回収されているか否かを照会することが可能になっている。
【0056】
また、図13のフローチャートに示すように、本実施形態の制御装置40は、落とし物62に該当しない異物60を検出している場合(ステップ301:YES)にも、車両1の乗員が乗降中であるか否かを判定する(ステップ302)。即ち、制御装置40は、落とし物62に該当しない異物60についての異物検出時処理(図11参照、ステップ107)もまた、先ず、ドア開口部3に展開されたスロープ板10上を利用者が移動する状態にあるか否かを判定する。そして、乗員が乗降中である場合(ステップ302:YES)には、このスロープ板10上に異物60を検出した旨の報知出力を実行する(異物報知出力、ステップ303)。
【0057】
具体的には、本実施形態の制御装置40は、上記ステップ303の異物報知出力として、スロープ板10上を移動する利用者が、そのスロープ板10上の異物60に気付くような報知出力を実行する。そして、本実施形態の車両1は、これにより、その異物60に対する注意喚起を促す構成となっている。
【0058】
更に、制御装置40は、このような落とし物62に該当しない異物60の検出時処理もまた、上記ステップ303において乗員の乗降中ではないと判定した場合(ステップ302:NO)、乗員の乗降動作が完了したか否かを判定する(ステップ304)。そして、本実施形態の制御装置40は、その乗降動作の完了後(ステップ304:YES)、スロープ板10上に検出された異物60の除去処理(ステップ305)を実行し、及び回収処理(ステップ306)を実行する構成になっている。
【0059】
尚、本実施形態の制御装置40は、乗員の乗降動作が完了していないと判定した場合(ステップ304:NO)には、上記ステップ305の異物除去処理及びステップ306の異物回収処理を実行しない。そして、乗降動作の完了(ステップ304:YES)、又は異物60が非検出となるまで(ステップ301:NO)、上記ステップ303の異物報知出力を実行する構成になっている。
【0060】
さらに詳述すると、図14のフローチャートに示すように、本実施形態の制御装置40は、異物除去処理(図13参照、ステップ305)の実行に際して、先ず、その異物除去処理を開始する旨の報知出力を実行する(ステップ401)。尚、本実施形態の車両1においては、この異物除去処理開始の報知出力もまた、車両1のスピーカー49を用いた音出力、及び表示装置50を用いた視覚出力により行われる。そして、本実施形態の制御装置40は、このステップ401の報知出力を実行した後、その異物除去処理として、ドア開口部3の下端に展開されたスロープ板10の傾斜角θ(図10参照)を増加させる制御を実行する(ステップ402)。
【0061】
即ち、スロープ板10の傾斜角θが増加することで、このスロープ板10上の異物60が、そのスロープ板10から滑り落ち又は転がり落ちやすくなる。更に、制御装置40は、上記ステップ402のスロープ傾斜角増加制御を実行した後、そのスロープ板10上の異物60が除去されたか否かを判定する(ステップ403)。そして、これにより、異物60が除去されたと判定した場合(ステップ403:YES)に、そのスロープ板10の格納制御を実行する(ステップ404)。
【0062】
また、制御装置40は、上記ステップ402におけるスロープ傾斜角増加制御実行後、その異物除去判定において異物60が除去されていないと判定した場合(ステップ403:NO)、続いて、スロープ板10の振動制御を実行する(ステップ405)。
【0063】
即ち、スロープ板10を振動させることにより、このスロープ板10が形成する傾斜路R上の異物60が、より一層、そのスロープ板10から滑り落ち又は転がり落ちやすくなる。
【0064】
具体的には、本実施形態の制御装置40は、このステップ405におけるスロープ振動制御の実行時にも、そのスロープ板10上の異物60が除去されたか否かを判定する(ステップ406)。また、制御装置40は、そのスロープ振動制御の開始から予め定められた所定時間を経過したか否かを判定し(ステップ407)、所定時間の経過前である場合(ステップ407:NO)には、再び上記ステップ405及びステップ406の処理を実行する。そして、本実施形態の制御装置40は、上記ステップ406において、そのスロープ板10上の異物60が除去されたと判定した場合(ステップ406:YES)に、上記ステップ404において、そのスロープ板10の格納制御を実行する。
【0065】
また、制御装置40は、上記ステップ407において所定時間を経過したと判定した場合(ステップ407:YES)、スロープ板10上の異物60が、このスロープ板10の格納動作を妨げるものであるか否かを判定する。換言すると、制御装置40は、上記スロープ傾斜角増加制御及びスロープ振動制御の実行によっても除去できなかった異物60がスロープ板10上に存在する状態で、このスロープ板10が格納動作可能であるかを判定する(ステップ408)。そして、本実施形態の制御装置40は、このようなスロープ板10上に異物60が存在する状態でも、そのスロープ板10の格納動作可能であると判定した場合(ステップ408:YES)には、上記ステップ404のスロープ格納制御を実行する構成となっている。
【0066】
更に、本実施形態の制御装置40は、上記ステップ408において、スロープ板10上に存在する異物60が、このスロープ板10の格納動作を妨げると判定した場合(ステップ408:YES)、上記ステップ404のスロープ格納制御を実行しない。そして、この場合には、そのスロープ装置11に異常が生じた旨の報知出力を実行する構成になっている(ステップ409)。
【0067】
尚、本実施形態の車両1において、上記ステップ402のスロープ傾斜角増加制御、及びステップ405のスロープ振動制御により除去される異物60としては、例えば、ゴミや空き缶、或いは落ち葉等、比較的、軽量なものが想定されている。そして、上記異物回収処理(図13参照、ステップ306)については、これらの異物除去処理の実行により除去されなかった異物60が、落とし物62と略同程度の比較的小型なものである場合に、そのスロープ板10の格納動作を妨げないと判定される。
【0068】
さらに詳述すると、図9に示すように、本実施形態のスロープ装置11は、スロープ板10の後端部10rを上方に持ち上げるリフト機構31の機能に基づいて、そのスロープ板10の傾斜角θを増加させることが可能になっている。
【0069】
即ち、リフト機構31の作動に基づくスロープ板10の持ち上げ量Hを増加させることで、その傾斜角θが増大する(図10参照)。本実施形態の車両1においては、これを利用して、そのドア開口部3の下端に展開されたスロープ板10の傾斜角変更装置71が形成されている。そして、本実施形態の制御装置40は、これにより、そのスロープ装置11の作動制御を通じて、上記のスロープ傾斜角増加制御(図14参照、ステップ402)を実行する構成になっている。
【0070】
また、本実施形態の車両1においては、そのスロープ装置11のアクチュエータ25にスロープ振動装置72が組み込まれている。そして、本実施形態の制御装置40は、これにより、そのスロープ装置11の作動制御を通じて、上記スロープ振動制御(図14参照、ステップ405)を実行する構成になっている。
【0071】
更に、本実施形態のスロープ装置11は、スロープ板10の格納動作に基づいて、そのスロープ板10とともに格納方向に移動するスロープ板10上の異物60を回収する異物回収装置73を備えている。そして、本実施形態の車両1においては、これにより、スロープ板10の格納動作時に、その落とし物回収処理(図12参照、ステップ205)、及び、異物回収処理(図13参照、ステップ306)が実行される構成となっている。
【0072】
(リフト機構及び傾斜角変更装置)
次に、本実施形態のスロープ装置11におけるリフト機構31の構成、及び、このリフト機構31に実装された傾斜角変更装置71としての機能について説明する。
【0073】
図15及び図16に示すように、本実施形態のスロープ装置11は、駆動ケーブル30に連結された第1リンク81を備えている。また、スロープ装置11は、この第1リンク81に対して回動可能に連結されるとともにスロープ板10の後端部10rに対して回動可能に連結された第2リンク82を備えている。更に、スロープ装置11は、これらの第1リンク81及び第2リンク82に連結された第3リンク83を備えている。そして、この第3リンク83には、そのガイドレール20に形成された第1ガイド溝85に係合する第1ガイドピン86と、同じくガイドレール20に形成された第2ガイド溝87に係合する第2ガイドピン88とが設けられている。
【0074】
即ち、図5図15及び図16に示すように、本実施形態のスロープ装置11においては、その第1リンク81が移動体21を構成する。また、その第2リンク82が支持アーム22を構成する。更に、これらの第1リンク81及び第2リンク82は、第3リンク83を介してガイドレール20に連結されている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、そのリフト機構31が形成されている。
【0075】
具体的には、図16図19に示すように、本実施形態のスロープ装置11は、ガイドレール20の延伸方向に沿って第1リンク81が移動することにより、そのガイドレール20に対する第3リンク83の係合姿勢が変化する。更に、本実施形態のスロープ装置11は、この係合姿勢の変化に基づいて、その第3リンク83と第1リンク81及び第2リンク82との連結状態が変化する。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、その駆動ケーブル30を介して伝達されるアクチュエータ25の駆動力に基づいて、これらの第1リンク81、第2リンク82、及び第3リンク83が形成するリフト機構31の動作が制御される。
【0076】
詳述すると、図15及び図16に示すように、本実施形態のスロープ装置11において、これらの第1リンク81、第2リンク82、及び第3リンク83は、それぞれ、長尺略矩形平板状の外形を有している。更に、これらの第1リンク81、第2リンク82、及び第3リンク83は、それぞれ、その厚み方向(図16中、紙面に直交する方向)に重なる状態で互いに連結されている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、その厚み方向をスロープ板10の幅方向(図5参照、同図中、上下方向)に向けた状態で、これらの第1リンク81、第2リンク82、及び第3リンク83が、そのガイドレール20に対して係合する構成になっている。
【0077】
さらに詳述すると、本実施形態のスロープ装置11において、第1リンク81の先端部81aには、その側方に突出する連結ピン90が設けられている。そして、第2リンク82は、この連結ピン90周りの回動が許容される状態で、その基端部82b側が第1リンク81に対して連結されている。
【0078】
また、第2リンク82の先端部82aには、この第2リンク82を厚み方向に貫通する連結ピン91が設けられている。そして、第2リンク82は、この連結ピン90周りの回動が許容される状態で、スロープ板10の後端部10rに対して回動可能に連結されている。
【0079】
即ち、本実施形態のスロープ装置11においては、その第2リンク82の先端部82aに設けられた連結ピン91が、スロープ板10の後端部10rに対する支持アーム22の回動連結点X1を構成する。そして、第1リンク81の先端部81aに設けられた連結ピン90が、その移動体21に対する支持アーム22の回動連結点X2を構成する。
【0080】
また、本実施形態の第1リンク81は、その基端部81bを厚み方向に貫通する連結ピン93を有している。そして、本実施形態のスロープ装置11は、この連結ピン93周りの回動が許容される状態で、その移動体21としての第1リンク81が駆動ケーブル30に対して連結される構成となっている。
【0081】
更に、本実施形態の第2リンク82は、その基端部82bを上記連結ピン90が貫通する状態で第1リンク81の先端部81aに連結されている。また、第2リンク82は、その連結ピン90に並行する状態で側方に突出する係合ピン94を備えている。そして、本実施形態の第3リンク83は、これらの連結ピン90及び係合ピン94が挿通されるガイド孔95を備えている。
【0082】
本実施形態の第2リンク82において、係合ピン94は、そのスロープ板10との回動連結点X1を形成する連結ピン91と第1リンク81との回動連結点X2を形成する連結ピン90との間の位置に設けられている。また、本実施形態の第3リンク83において、そのガイド孔95は、この第3リンク83の長手方向に延在する長孔形状となっている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、第3リンク83のガイド孔95に対し、その第2リンク82の長手方向に離間して設けられた連結ピン90及び係合ピン94が挿通される構成になっている。
【0083】
具体的には、本実施形態のガイド孔95は、第3リンク83の長手方向に延びる長孔部96と、第2リンク82の基端部82b側に位置する長孔部96の長手方向端部96bを上方に切り欠くかたちで設けられた係合凹部97と、を有している。また、上記連結ピン90は、その係合凹部97内に係合する状態でガイド孔95に挿通される。更に、上記係合ピン94は、その長孔部96の長手方向中間位置においてガイド孔95に挿通される。そして、本実施形態のスロープ装置11は、この状態で、これらの連結ピン90及び係合ピン94を介して互いに連結された第2リンク82及び第3リンク83が、その長手方向に沿って、略直線的に並ぶ構成となっている。
【0084】
また、本実施形態のガイドレール20において、第1ガイド溝85及び第2ガイド溝87は、上下方向に離間した状態で、そのガイドレール20の延伸方向に沿って延設されている。更に、第3リンク83において、第1ガイドピン86は、その基端部83b側に設けられている。そして、第2ガイドピン88は、この第3リンク83の先端部83aに設けられている。
【0085】
具体的には、本実施形態の第3リンク83は、その基端部83b側に、下方に向かって突出する下方突出部98を有している。更に、第1ガイドピン86は、この下方突出部98に設けられている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、ガイドレール20の第1ガイド溝85に第1ガイドピン86が係合する状態で、その第1ガイド溝85の上方に位置する第2ガイド溝87に対して第2ガイドピン88が係合する構成になっている。
【0086】
本実施形態のスロープ装置11において、第1ガイド溝85は、そのガイドレール20の延伸方向に沿って、略直線的に延びている。また、第2ガイド溝87は、この第1ガイド溝85と平行に延設された平行延設部87xを有している。更に、第2ガイド溝87は、スロープ板10の展開及び格納方向に延びるガイドレール20の前端部20f側に、その展開方向(図16中、右側)に向かって斜め上方に延びる上方延伸部99を有している。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これら第1ガイド溝85及び第2ガイド溝87の形状に基づいて、その第1リンク81、第2リンク82、及び第3リンク83が形成するリフト機構31の動作が規定される構成となっている。
【0087】
次に、本実施形態のスロープ装置11におけるリフト機構31の作用について説明する。
図16に示すように、本実施形態のスロープ装置11は、第2ガイド溝87の平行延設部87xに対して第2ガイドピン88が係合する位置において、その第2リンク82及び第3リンク83が略水平に配置される構成になっている。更に、この状態においては、第1リンク81及びスロープ板10もまた、そのガイドレール20との係合関係に基づいて略水平に配置される。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、この略水平な姿勢を保持したまま、第1リンク81、第2リンク82、及び第3リンク83とともに、そのスロープ板10が展開及び格納方向に移動する構成となっている。
【0088】
また、図17及び図18に示すように、移動体21を構成する第1リンク81とともに第2リンク82及び第3リンク83が展開方向に移動することで、第2ガイド溝87に係合する第2ガイドピン88が、その平行延設部87xから上方延伸部99に移動する。更に、この状態で、その駆動ケーブル30に連結された第1リンク81とともに第2リンク82及び第3リンク83が展開及び格納方向に移動することにより、これらの第2リンク82及び第3リンク83が回動する。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、そのリフト機構31によるスロープ板10の持ち上げ動作、及び引き下げ動作が実行される構成となっている。
【0089】
詳述すると、本実施形態の第3リンク83は、第2ガイド溝87の上方延伸部99に対して第2ガイドピン88が係合した状態で展開方向に移動することにより、その第2ガイドピン88が設けられた先端部83a側が上方に変位する。更に、第3リンク83は、この状態で、その第1ガイド溝85に係合した第1ガイドピン86が展開方向に移動することにより、この第1ガイドピン86周りに、図17及び図18中、反時計回り方向に回動する。そして、これにより、第2リンク82もまた、この第3リンク83と一体に、その第1リンク81に対する回動連結点X2周りに回動する。
【0090】
即ち、本実施形態のスロープ装置11においては、駆動ケーブル30に駆動された第1リンク81が展開方向に移動することで、スロープ板10に対する回動連結点X1が設けられた第2リンク82の先端部82a側が上方に変位する。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、これらの第1リンク81、第2リンク82、及び第3リンク83が形成するリフト機構31の動作に基づいて、そのスロープ板10の後端部10rが上方に持ち上がる構成となっている。
【0091】
さらに詳述すると、本実施形態のスロープ装置11においては、このとき、第1リンク81もまた、その基端部81bに設けられた連結ピン93を駆動ケーブル30との回動連結点X3として、図17及び図18中、反時計回り方向に回動する。また、これにより、その第2リンク82との回動連結点X2を構成する連結ピン90が設けられた第1リンク81の先端部81a側が上方に変位することで、第1ガイド溝85に係合する第1ガイドピン86を支点とした第3リンク83の円滑な回動が担保される。更に、本実施形態のスロープ装置11においては、第1リンク81が展開方向に移動することにより、第3リンク83の基端部83bに設けられた第1ガイドピン86が、その第3リンク83の先端部83aに設けられた第2ガイドピン88の位置を超えて展開方向に移動する。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、その回動によりスロープ板10の後端部10rを上方に持ち上げる支持アーム22としての第2リンク82の回動量を確保する構成になっている。
【0092】
尚、スロープ板10の格納時には、移動体21としての第1リンク81を格納方向に移動させることで、その先端部81aに設けられた連結ピン90を介して連結された第2リンク82の基端部82bもまた格納方向(図17及び図18中、左側)に移動する。また、この第2リンク82の基端部82bとともに第3リンク83の基端部83bが格納方向に移動することで、この基端部83bに設けられた第1ガイドピン86周りに、その第3リンク83及び第2リンク82が、図17及び図18中、時計回り方向に回動する。更に、その第1ガイドピン86が第1ガイド溝85内を格納方向に移動するとともに、第3リンク83の基端部83bに設けられた第2ガイドピン88が、第2ガイド溝87の上方延伸部99内を格納方向に移動する。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、その第2ガイドピン88が、第2ガイド溝87の平行延設部87x内に移動することで、その支持アーム22を構成する第2リンク82の回動に基づいたスロープ板10の引き下げ動作が完了する構成となっている。
【0093】
また、図18及び図19に示すように、本実施形態のスロープ装置11は、上記のように第2リンク82及び第3リンク83の回動によるスロープ板10の持ち上げ動作が完了した状態から更に、その第1リンク81を展開方向に移動させることができる。更に、本実施形態のスロープ装置11においては、これにより、第3リンク83に対する係合状態が変化することで、その第1リンク81に連結された第2リンク82が上方に持ち上がる。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、スロープ板10の持ち上げ量Hを増加させることで、そのリフト機構31が、このスロープ板10の傾斜角θを増加させる傾斜角変更装置71として機能する構成になっている。
【0094】
詳述すると、図18に示すように、本実施形態のスロープ装置11は、第2リンク82及び第3リンク83の回動によるスロープ板10の持ち上げ動作が完了した状態が、このスロープ板10を車両1の乗員が利用する通常の利用状態となっている。また、本実施形態のスロープ装置11は、このような通常の利用状態にある場合に、支持アーム22を構成する第2リンク82及び第3リンク83が上下方向に延在する状態となる。更に、本実施形態のスロープ装置11においては、このとき、その第3リンク83に設けられたガイド孔95もまた、その長孔部96が上下方向に延在する状態となる。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、このガイド孔95に設定された略L字状の長孔形状に基づいて、その長孔部96の長手方向端部96bに開口する係合凹部97の開口方向がスロープ板10の展開方向側を向くように構成されている。
【0095】
即ち、図16図18に示すように、本実施形態のスロープ装置11において、第3リンク83に設けられたガイド孔95の長孔部96には、第2リンク82に設けられた係合ピン94が挿入されている。また、このガイド孔95の係合凹部97には、第2リンク82の基端部82bを貫通することにより、この第2リンク82と第1リンク81との回動連結点X2を形成する連結ピン90が挿入されている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、スロープ板10の展開動作及び格納動作時、その第2リンク82と第3リンク83とが一体に動作する構成になっている。
【0096】
尚、本実施形態のスロープ装置11は、長孔部96の長手方向端部96bに開口する係合凹部97の開口方向とは逆向きに、その連結ピン90を付勢する図示しない付勢部材を備えている。この付勢部材には、例えば、捩りコイルバネ等の弾性部材が用いられる。そして、本実施形態のスロープ装置11においては、これにより、スロープ板10の展開動作及び格納動作時、並びに展開されたスロープ板10を車両1の乗員が利用する通常の利用状態において、安定的に、その連結ピン90が係合凹部97内に保持されている。
【0097】
また、図18及び図19に示すように、本実施形態のスロープ装置11において、このガイド孔95に対する連結ピン90の係合位置は、そのスロープ板10が通常の利用状態となる移動位置を超えた第1リンク81の展開方向移動により変化する。
【0098】
即ち、上記のように長孔部96の長手方向端部96bに連通する係合凹部97の開口方向が展開方向側を向いた状態で、第1リンク81を展開方向に移動することにより、その先端部81aに設けられた連結ピン90が係合凹部97から長孔部96内に移動する。また、本実施形態のスロープ装置11は、この状態で第1リンク81を展開方向に駆動することにより、その駆動ケーブル30との回動連結点X3周りに、この第1リンク81が、図19中、反時計周り方向に回動する。更に、これにより、その第1リンク81の先端部81aが上方に持ち上がることで、この先端部81aに設けられた連結ピン90のガイド孔95に対する係合位置が上方に変位する。つまり、この連結ピン90は、同じくガイド孔95の長孔部96内に配置された係合ピン94と一体に、その長孔部96内を上下方向に移動することができる。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、これらの連結ピン90及び係合ピン94がガイド孔95の長孔部96に案内される態様で、その第2リンク82が上方に持ち上がる構成になっている。
【0099】
このように、本実施形態のスロープ装置11は、移動体21を構成する第1リンク81を展開方向に駆動することにより、その支持アーム22を構成する第2リンク82の先端部82aに連結されたスロープ板10の持ち上げ量Hを増加させることができる。そして、本実施形態の制御装置40は、この第1リンク81及び第2リンク82、並びに第3リンク83が形成するリフト機構31に実装された傾斜角変更装置71としての機能に基づいて、そのスロープ傾斜角増加制御を実行する構成になっている。
【0100】
(スロープ振動装置)
次に、スロープ装置11のアクチュエータ25に組み込まれたスロープ振動装置72の構成、及び、このスロープ振動装置72を用いたスロープ振動制御の実行方法について説明する。
【0101】
図20図22に示すように、本実施形態のアクチュエータ25は、駆動源となるモータ23と出力部となる駆動ギヤ25x(図5参照)との間の駆動力伝達経路110の途中に設けられた第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112を備えている。
【0102】
本実施形態のアクチュエータ25において、第1伝達シャフト111は、その軸線方向に突出する態様で軸端部111xに設けられた係合連結部113を備えている。そして、第2伝達シャフト112もまた、その軸線方向に突出する態様で軸端部112xに設けられた係合連結部114を備えている。
【0103】
また、本実施形態のアクチュエータ25においては、これらの第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112が、その係合連結部113,114が設けられた互いの軸端部111x,112xを向かい合わせる状態で同軸に配置される。更に、これらの第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112は、その軸線L1,L2周りに相対回転することにより、互いの係合連結部113,114が周方向に係合する。そして、本実施形態のアクチュエータ25は、これにより、これらの第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112を介して、そのモータ23の発生する駆動力が駆動ギヤ25xに伝達される構成になっている。
【0104】
詳述すると、本実施形態のアクチュエータ25において、これらの第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112は、略同一の直径を有している。また、本実施形態のアクチュエータ25においては、第1伝達シャフト111がモータ23側に配置され、第2伝達シャフト112が駆動ギヤ25x側に配置されている。即ち、第1伝達シャフト111が駆動力の入力側に配置され、第2伝達シャフト112が駆動力の出力側に配置されている。そして、本実施形態のアクチュエータ25は、これにより、互いの係合連結部113,114が係合することで、その第1伝達シャフト111側から第2伝達シャフト112側に駆動力が伝達される構成になっている。
【0105】
さらに詳述すると、第1伝達シャフト111側の係合連結部113は、この第1伝達シャフト111の周方向において、互いに相反する方向に臨む第1係合面113sa及び第2係合面113sbを有している。そして、第2伝達シャフト112側の係合連結部114は、この第2伝達シャフト112の径方向外側に臨む係合面114sを有している。
【0106】
また、本実施形態のアクチュエータ25は、第1伝達シャフト111が第1方向(図21中、反時計周り方向)に回転することで、その係合連結部113の第1係合面113saが第2伝達シャフト112側の係合面114sに係合する。そして、このアクチュエータ25は、第1伝達シャフト111が第2方向(図22中、時計周り方向)に回転することで、その係合連結部113の第2係合面113sbが第2伝達シャフト112側の係合面114sに係合する構成になっている。
【0107】
即ち、第1伝達シャフト111側の係合連結部113は、第1伝達シャフト111の回転方向に応じた異なる位置において、その第2伝達シャフト112側の係合連結部114の係合面114sに対し、第1係合面113sa又は第2係合面113sbが係合する。詳しくは、第1伝達シャフト111側の係合連結部113は、第2伝達シャフト112の軸線L2を挟んで相反する位置において、その係合連結部114の係合面114sに対して、第1係合面113sa又は第2係合面113sbが係合する。更に、この第2伝達シャフト112側の係合連結部114に係合した第1伝達シャフト111側の係合連結部113が、その第2伝達シャフト112側の係合連結部114を周方向に押圧する。そして、本実施形態のアクチュエータ25は、これにより、その第1伝達シャフト111と一体に第2伝達シャフト112が回転する構成になっている。
【0108】
具体的には、図21に示すように、係合連結部113の第1係合面113saが係合連結部114の係合面114sに係合して押圧することにより、第1伝達シャフト111と一体に第2伝達シャフト112が第1方向に回転する。そして、図22に示すように、係合連結部113の第2係合面113sbが係合連結部114の係合面114sに係合して押圧することにより、その第1伝達シャフト111と一体に第2伝達シャフト112が第2方向に回転する。
【0109】
また、本実施形態のアクチュエータ25においては、第1伝達シャフト111側の係合連結部113及び第2伝達シャフト112側の係合連結部114の形状に基づいて、回転方向の反転時、瞬間的に、その第1伝達シャフト111が空転する。
【0110】
具体的には、係合連結部114の係合面114sに対し、その係合連結部113の第1係合面113saが係合する状態から、その係合連結部113の第2係合面113sbが係合する状態に移行するまでの間、第1伝達シャフト111が空転する。同様に、係合連結部114の係合面114sに対し、その係合連結部113の第2係合面113sbが係合する状態から、その係合連結部113の第1係合面113saが係合する状態に移行するまでの間、第1伝達シャフト111が空転する。そして、本実施形態のアクチュエータ25は、これにより、その第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112をスロープ振動装置72として利用することのできる構成となっている。
【0111】
即ち、上記のような空転状態から第1伝達シャフト111の係合連結部113が第2伝達シャフト112側の係合連結部114に係合することで、その第2伝達シャフト112に対して衝撃荷重が印加される。更に、この衝撃荷重は、そのアクチュエータ25の駆動ギヤ25xに噛合する駆動ケーブル30を介して、移動体21及び支持アーム22に伝達される。そして、これにより、これらの移動体21及び支持アーム22が形成するリフト機構31に支持されたスロープ板10が振動する。
【0112】
本実施形態の制御装置40は、これを利用して、上記スロープ振動制御を実行する。具体的には、短い周期でモータ23の回転を反転させる。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、簡素な構成にて、そのドア開口部3の下端に展開されたスロープ板10に振動を付与することのできる構成となっている。
【0113】
(異物掃出用の回転ブラシ)
次に、本実施形態のスロープ装置11に設けられた異物掃出用の回転ブラシ、及び、その駆動力の伝達構造について説明する。
【0114】
図23及び図24に示すように、本実施形態のスロープ装置11は、スロープ板10の格納動作時、その格納方向に移動するスロープ板10の上面10sに摺接して、このスロープ板10上の異物60を展開方向側に掃き出す回転ブラシ120を備えている。
【0115】
詳述すると、上記のように、本実施形態のスロープ装置11においては、格納ボックス12内にスロープ板10を格納する際、このスロープ板10が略水平な姿勢となる(図7参照)。そして、スロープ板10は、この略水平な姿勢を維持したまま、その格納方向に移動する。
【0116】
本実施形態のスロープ装置11において、この回転ブラシ120は、このスロープ板10を収容する格納ボックス12内、詳しくは、その開口部12aの近傍に設けられている(図6参照)。具体的には、本実施形態の回転ブラシ120は、スロープ板10の幅方向(図24中、紙面に直交する方向)に延在する回転軸121を備えている。また、この回転ブラシ120は、その回転軸121の外周における軸方向及び周方向の略全域に亘って設けられた多数の植毛122を備えている。尚、これらの植毛122については、説明の便宜上、参照する各図中、その回転軸121の径方向外側に向かって延びる先端部分の輪郭となる円筒形状を図示することとして、個別の描画を省略する。そして、本実施形態の回転ブラシ120は、格納ボックス12内を展開及び格納方向に移動するスロープ板10の上方となる位置に配置されることにより、その植毛122の先端部分がスロープ板10の上面10sに摺接する構成になっている。
【0117】
更に、本実施形態の回転ブラシ120は、スロープ板10の格納動作時、その上面10sに摺接する植毛122が、見かけ上、このスロープ板10の移動方向とは反対方向、つまりは格納方向とは逆向きの展開方向に向かって摺動するように回転駆動される。
【0118】
具体的には、図24中、右側から左側に向かって格納動作するスロープ板10に対し、回転ブラシ120は、そのスロープ板10の上面10sに摺接する植毛122が、同図中、左側から右側に向かって摺動するように、反時計回り方向に回転駆動される。そして、本実施形態の回転ブラシ120は、これにより、そのスロープ板10上の異物60を展開方向側、つまりは、その開口部12aの位置する格納ボックス12の外側に向かって掃き出すことが可能になっている。
【0119】
尚、本実施形態のスロープ装置11において、回転ブラシ120の植毛122は、例えば、樹脂等の比較的軟質な素材を用いて構成されている。また、この回転ブラシ120により掃き出される異物60としては、例えば、砂や小石等、その種類判別において、スロープ板10の格納動作を妨げない「微小」なものと判定されたものが想定される(図11参照、ステップ104:YES)。そして、本実施形態のスロープ装置11においては、上述の異物除去処理(図13参照、ステップ305)により除去されなかった異物60についてもまた、この回転ブラシ120による掃き出し対象となっている。
【0120】
さらに詳述すると、本実施形態のスロープ装置11は、スロープ板10の格納動作に連動して、その回転ブラシ120に駆動力を伝達する駆動力伝達機構130を備えている。本実施形態のスロープ装置11において、この駆動力伝達機構130は、格納ボックス12内を展開及び格納方向に移動するスロープ板10の下方となる位置に回動支点131xを有した支持リンク131を備えている。また、この駆動力伝達機構130は、その支持リンク131の上端部131aに支持されたローラー132を備えている。更に、このローラー132は、スロープ板10の上面10sに摺接することで、そのスロープ板10との摩擦により回転する。そして、本実施形態の駆動力伝達機構130は、このローラー132の回転を、回転ブラシ120の回転軸121に伝達することにより、その回転ブラシ120を回転駆動することのできる構成になっている。
【0121】
具体的には、本実施形態の支持リンク131は、上下方向に延在する長尺略平板状の外形を有している。また、ローラー132は、この支持リンク131の上端部131aに設けられた支軸132xによって回転自在に軸支されている。更に、支持リンク131には、その上端部131aに支持されたローラー132がスロープ板10の上面10sに摺接することにより、これらの摩擦に基づいた回動支点131x周りの回転モーメントが発生する。そして、本実施形態の駆動力伝達機構130は、この支持リンク131の揺動に基づいて、スロープ板10の格納動作時、そのローラー132が、スロープ板10の上面10s及び回転ブラシ120の回転軸121の両方に対して摺接する構成になっている。
【0122】
即ち、本実施形態の駆動力伝達機構130においては、スロープ板10の格納動作時、支持リンク131に支持されたローラー132が、格納方向に移動するスロープ板10の上面10sに摺接することにより、図24中、時計回り方向に回転する。また、このとき、このローラー132とスロープ板10との摩擦に基づいて、その支持リンク131が図24中、反時計回り方向に揺動する。そして、これにより、その支持リンク131の上端部131aに支持されたローラー132が、スロープ板10の上面10s及び回転ブラシ120の回転軸121の両方に対して摺接する位置に配置される。
【0123】
具体的には、本実施形態の回転ブラシ120は、その回転軸121の軸端121xに設けられたリング部材133を備えている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、このリング部材133の周面に対して、その駆動力伝達機構130のローラー132が摺接するように構成されている。
【0124】
更に、これらのリング部材133及びローラー132が摺接することで、その摩擦に基づいて、図24中、反時計回り方向に回転ブラシ120が回転する。そして、本実施形態のスロープ装置11は、この回転ブラシ120の回転によって、その格納方向に移動するスロープ板10上の異物60を、効果的に、その展開方向側に掃き出すことのできる構成となっている。
【0125】
また、図25に示すように、本実施形態の駆動力伝達機構130は、スロープ板10の展開動作時、このスロープ板10とローラー132との摩擦に基づいて、その支持リンク131が図25中、時計回り方向に揺動する。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、この支持リンク131の上端部131aに支持されたローラー132が回転ブラシ120の回転軸121から離間することで、その駆動力伝達機構130を介した駆動力の伝達が行われない構成になっている。
【0126】
即ち、スロープ板10の展開動作時には、このスロープ板10に摺接する回転ブラシ120及び駆動力伝達機構130のローラー132が、そのスロープ板10の移動方向に従って、図25中、反時計回り方向に回転する。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、そのスロープ板10を円滑に展開動作させることが可能になっている。
【0127】
(異物回収装置)
次に、本実施形態のスロープ装置11に設けられた異物回収装置73の構成について説明する。
【0128】
図26に示すように、本実施形態のスロープ装置11においては、異物回収装置73もまた、スロープ板10を収容する格納ボックス12内、詳しくは、その開口部12aの近傍に設けられている。
【0129】
詳述すると、本実施形態のスロープ装置11においては、スロープ板10の格納動作時、その回転ブラシ120が、スロープ板10とともに移動するスロープ板10上の異物60に当接して、その格納方向の移動を規制するストッパ部140として機能する。そして、本実施形態の異物回収装置73は、これにより、そのスロープ板10の格納動作に連動して、このストッパ部140により移動が規制されたスロープ板10上の異物60を回収する構成になっている。
【0130】
具体的には、この回転ブラシ120により格納方向の移動が規制される異物60としては、上述の異物除去処理(図13参照、ステップ305)により除去されなかった異物60のうち、スロープ板10の格納動作を妨げない比較的小型なものが想定されている。更に、本実施形態のスロープ装置11において、ストッパ部140としての回転ブラシ120は、そのスロープ板10上に、利用者の落とし物62と判定された異物60が存在する場合についてもまた、その格納方向に向かう落とし物62の移動を規制する。そして、本実施形態のスロープ装置11においては、これにより、その落とし物回収処理(図12参照、ステップ205)についてもまた、この異物回収装置73を用いて実行する構成となっている。
【0131】
さらに詳述すると、本実施形態の異物回収装置73は、格納ボックス12内を展開及び格納方向に移動するスロープ板10の下方となる位置に設けられた異物貯留部141を備えている。本実施形態の異物回収装置73において、この異物貯留部141は、上方に開口する扁平箱状の外形を有した箱部材としての回収ボックス142を有している。また、この回収ボックス142は、格納ボックス12の開口部12aに近い位置に配置されている。そして、本実施形態の異物回収装置73は、これにより、この格納ボックス12が、そのストッパ部140を構成する回転ブラシ120よりもスロープ板10の展開方向側の位置において上方に開口するように構成されている。
【0132】
即ち、回転ブラシ120に当接することにより格納方向の移動が規制されたスロープ板10上の異物60は、そのスロープ板10が格納方向に移動して、この異物60の移動を回転ブラシ120が規制する位置を通過することにより、下方に落下する。そして、本実施形態の異物回収装置73は、これにより、そのスロープ板10の格納動作に基づいて、この回転ブラシ120よりも展開方向側の位置でスロープ板10上から落下した異物60を、その回収ボックス142内に回収する構成になっている。
【0133】
また、本実施形態の異物回収装置73は、回収ボックス142内に設けられたネット部材としてのキャッチネット143を備えている。具体的には、このキャッチネット143は、伸縮性を備えた網目構造を有している。尚、本実施形態の異物回収装置73において、このキャッチネット143は、例えば、樹脂やゴム等、比較的軟質な素材を用いて形成されている。更に、このキャッチネット143は、その回収ボックス142の底部142bから上方に離間した位置において、この底部142bを全体的に覆うように、所謂中吊り状態で設けられている。即ち、本実施形態の異物回収装置73においては、スロープ板10上から回収ボックス142内に落下した異物60が、その底部142bに衝突することなく、このキャッチネット143に受け止められる。そして、本実施形態の異物回収装置73は、これにより、その回収する異物60が利用者の落とし物62である場合においても、この落とし物62を保護することのできる構成になっている。
【0134】
更に、本実施形態のスロープ装置11においては、スロープ板10の格納動作時、その回転ブラシ120の作動により展開方向側に掃き出された微小な異物60もまた、この回収ボックス142内に回収される。具体的には、本実施形態の異物回収装置73においては、回転ブラシ120に掃き出される態様で回収ボックス142内に落下した微小な異物60が、そのキャッチネット143をすり抜けるように、このキャッチネット143の網目の大きさが設定されている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、その回収ボックス142の底部142bに貯留するかたちで、スロープ板10上の微小な異物60を回収する構成になっている。
【0135】
また、本実施形態の車両1は、そのスロープ板10が展開及び格納される格納ボックス12の開口部12aよりも下方の位置において、その格納ボックス12内と車外とを連通する下方開口部12bを備えている。尚、本実施形態の車両1において、格納ボックス12の開口部12aには、そのスロープ板10の展開及び格納動作に連動して、この格納ボックス12の開口部12aを開閉する蓋部材145が設けられている。更に、下方開口部12bにも、この下方開口部12bを開閉する蓋部材146が設けられている。そして、本実施形態の異物回収装置73は、この蓋部材146を開けることにより、その下方開口部12bを介して、格納ボックス12内の回収ボックス142を車外に取り出すことが可能になっている。
【0136】
また、本実施形態の異物回収装置73は、格納ボックス12内を格納方向に移動、つまりは、この格納ボックス12の奥側に移動したスロープ板10の先端部10fと、その格納ボックス12の開口部12aとの間に配置された可動蓋147を備えている。
【0137】
具体的には、本実施形態の異物回収装置73において、この可動蓋147は、略平板状の外形を有している。また、この可動蓋147は、略水平な姿勢を維持したまま格納方向に移動するスロープ板10よりも、僅かに下方となる位置に設けられている。更に、この可動蓋147は、その格納ボックス12の開口部12a近傍に回動支点147xを有するとともに、図示しないバネ部材に付勢されることにより略水平な姿勢に保持されている。そして、本実施形態の可動蓋147は、これにより、そのスロープ板10の先端部10fと格納ボックス12の開口部12aとの間の隙間を介して上方に臨む回収ボックス142の上方を覆う目隠し部材として機能する構成になっている。
【0138】
また、本実施形態の可動蓋147は、スロープ板10上から落下した異物60が、この可動蓋147上に載ることにより、その先端147a側が押し下げられる態様で回動する。即ち、本実施形態の異物回収装置73においては、この可動蓋147上を滑り落ちる態様で、そのスロープ板10上から落下した異物60がキャッチネット143上に移動する。そして、本実施形態の異物回収装置73は、これにより、その回収する異物60が利用者の落とし物62である場合に、より好適に、この落とし物62を保護することが可能になっている。
【0139】
更に、本実施形態の異物回収装置73においては、この可動蓋147もまた、網目形状を有している。そして、本実施形態の異物回収装置73は、これにより、その回転ブラシ120により掃き出された微小な異物60が、この可動蓋147をすり抜けて、その下方に配置された回収ボックス142内に回収される構成になっている。
【0140】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のスロープ装置11においては、車両1に設けられたカメラ45によって、その利用者の通路となるスロープ板10の上面10sが撮影される。更に、この撮影画像Vdの解析結果に基づいて、そのスロープ板10上に、スロープ装置11の付属品及びスロープ板10上を移動する利用者の所持品とは異なる物体Mが存在するか否かが判定される。そして、帰属不明の物体Mがスロープ板10上に存在する場合に、この物体Mが異物60として検出される。
【0141】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)スロープ装置11は、ドア開口部3の下端に展開されるスロープ板10を備える。また、制御装置40は、アクチュエータ25の作動を制御することにより、そのスロープ板10を駆動して展開及び格納方向に移動させる駆動制御部100aとして機能する。そして、制御装置40には、その展開されたスロープ板10上の異物60を検出する異物検出部61が設けられる。
【0142】
上記構成によれば、スロープ板10上に位置する異物60の有無を判別することができる。そして、これにより、その検出結果に基づいて、速やかに、このスロープ板10上に異物60が存在する状況に対処することができるようになる。
【0143】
(2)制御装置40は、スロープ板10上の異物60を検出した場合に、この異物60を検出した旨の報知出力を実行する報知出力部100bとしての機能を有する。
上記構成によれば、スロープ板10上を移動する利用者に対し、そのスロープ板10上に異物60が存在することを気付かせることができる。そして、この異物60に対する注意喚起を促すことができる。
【0144】
(3)制御装置40は、スロープ板10上に検出された異物60が、このスロープ板10上を移動した利用者の落とし物62であるか否かを判定する落とし物判定部63を備える。
【0145】
上記構成によれば、スロープ板10上に検出された異物60を、利用者の落とし物62として取り扱うことができるようになる。
例えば、スロープ板10上に落とし物62が存在する旨を報知することが可能になる。更に、その落とし物62を回収することが可能になる。そして、その落とし物62を検出した事実を記録することができる。
【0146】
(4)制御装置40は、スロープ板10上の異物60が利用者の落とし物62である場合に、その落とし物62を検出した旨の報知出力を実行する。
上記構成によれば、スロープ板10上を移動する利用者に対し、このスロープ板10上に落とし物62が存在することを気付かせることができる。そして、その落とし物62の所有者に対しては、この落とし物62を拾いに戻るように促すことができる。
【0147】
(5)制御装置40は、スロープ板10上に検出された異物60の除去処理を実行する異物除去制御部100cとしての機能を有する。これにより、そのスロープ板10上に存在する異物60の除去処理を自動化することができる。
【0148】
(6)制御装置40は、異物60が利用者の落とし物62である場合には、その異物60の除去処理を実行しない。これにより、利用者の落とし物62と判定された異物60を、そのスロープ板10上に残すことができる。
【0149】
(7)スロープ装置11には、ドア開口部3に展開されたスロープ板10の傾斜角θを変更する傾斜角変更装置71としての機能が実装される。そして、制御装置40は、異物60の除去処理として、スロープ装置11の作動を制御することにより、そのスロープ板10の傾斜角θを増加させる。
【0150】
即ち、スロープ板10の傾斜角θを増加させることにより、このスロープ板10上の異物60が、そのスロープ板10から滑り落ち又は転がり落ちやすくなる。そして、これにより、そのスロープ板10上の異物60を除去することができる。
【0151】
(8)スロープ装置11には、ドア開口部3に展開されたスロープ板10に振動を付与するスロープ振動装置72としての機能が実装される。そして、制御装置40は、異物60の除去処理として、スロープ装置11の作動を制御することにより、そのスロープ板10を振動させる。
【0152】
即ち、スロープ板10を振動させることにより、このスロープ板10上の異物60が、そのスロープ板10から滑り落ち又は転がり落ちやすくなる。そして、これにより、そのスロープ板10上の異物60を除去することができる。
【0153】
(9)スロープ装置11は、スロープ板10上に検出された異物60を回収する異物回収装置73を備える。これにより、そのスロープ板10上に存在する異物60の回収処理を自動化することができる。
【0154】
(10)異物回収装置73は、スロープ板10とともに格納方向に移動するスロープ板10上の異物60に当接することにより、その格納方向に向かう異物60の移動を規制するストッパ部140を備える。そして、異物回収装置73は、格納方向に移動するスロープ板10の通過により、ストッパ部140よりも展開方向側の位置において、そのスロープ板10上から下方に落下した異物60を貯留する異物貯留部141を備える。
【0155】
上記構成によれば、スロープ板10が格納動作することで、このスロープ板10上の異物60が、そのスロープ板10の下方に設けられた異物貯留部141に貯留される。そして、これにより、簡素な構成にて、そのスロープ板10上の異物60を回収することができる。
【0156】
(11)スロープ装置11は、格納方向に移動するスロープ板10の上面10sに摺接して、このスロープ板10上の異物60を展開方向側に掃き出す回転ブラシ120を備える。これにより、スロープ板10上に存在する微小な異物60が、そのスロープ板10を収容する格納ボックス12の奥側に入り込まないようにすることができる。
【0157】
(12)異物回収装置73においては、回転ブラシ120が、そのストッパ部140として機能する。
上記構成によれば、構成の簡素化を図ることができる。そして、その回転ブラシ120により展開方向に掃き出された微小な異物60もまた、その異物貯留部141内に貯留するかたちで回収することができる。
【0158】
(13)異物貯留部141は、上方に開口する箱部材としての回収ボックス142と、この回収ボックス142内に設けられたネット部材としてのキャッチネット143と、を備える。キャッチネット143は、伸縮性を備えた網目構造を有する。そして、キャッチネット143は、回収ボックス142の底部142bから上方に離間した位置において、この底部142bを覆う状態で、その回収ボックス142内に設けられる。
【0159】
上記構成によれば、スロープ板10上から回収ボックス142内に落下した異物60が、その底部142bに衝突することなく、キャッチネット143に受け止められる。そして、これにより、その回収する異物60が利用者の落とし物62である場合においても、この落とし物62を保護することができる。
【0160】
更に、回収ボックス142内に落下した微小な異物60は、キャッチネット143をすり抜けて回収ボックス142の底部142bに貯留される。そして、これにより、簡素な構成にて、その異物貯留部141に貯留される異物60を分別することができる。
【0161】
(14)スロープ装置11は、回転ブラシ120に駆動力を伝達する駆動力伝達機構130を備える。駆動力伝達機構130は、スロープ板10の下方となる位置に回動支点131xを有した支持リンク131と、この支持リンク131に支持されたローラー132と、を備える。ローラー132は、スロープ板10の上面10sに摺接することにより、そのスロープ板10との摩擦に基づき回転する。また、支持リンク131は、このローラー132とスロープ板10とが摺接することにより、その回動支点131x周りに揺動する。そして、スロープ装置11は、スロープ板10の格納動作時、支持リンク131の揺動により、その支持リンク131に支持されたローラー132が、スロープ板10の上面10s及び回転ブラシ120の回転軸121に摺接するように構成される。
【0162】
上記構成によれば、そのスロープ板10の上面10sとの摩擦に基づき回転するローラー132を介して、その駆動力が回転ブラシ120の回転軸121に伝達される。そして、これにより、独立した駆動源を設けることなく、スロープ板10の格納動作に連動して、このスロープ板10上の異物60を展開方向側に掃き出す方向に回転ブラシ120を回転させることができる。
【0163】
また、スロープ板10の展開動作時には、格納動作時とは逆向きに、その支持リンク131が揺動する。更に、これにより、その支持リンク131に支持されたローラー132が、回転ブラシ120の回転軸121から離間する。そして、これにより回転ブラシ120に対する駆動力の伝達を停止することで、この回転ブラシ120が、そのスロープ板10の展開動作を妨げないようにすることができる。
【0164】
(15)スロープ装置11は、モータ23を駆動源として、そのスロープ板10を駆動するアクチュエータ25を備える。また、スロープ装置11は、モータ23が発生する駆動力を伝達する駆動力伝達経路110の途中に設けられた第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112を備える。更に、第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112は、互いの軸端部111x,112xに設けられた係合連結部113,114が周方向に係合して一体に回転することにより駆動力を伝達する。そして、第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112は、係合連結部113,114の形状に基づいて、回転方向の反転時、駆動力の入力側となる第1伝達シャフト111側が空転した後、再び互いの係合連結部113,114が係合するように構成される。
【0165】
即ち、第1伝達シャフト111が空転する状態から、その第1伝達シャフト111側の係合連結部113と第2伝達シャフト112側の係合連結部114とが係合することで、第2伝達シャフト112に対して衝撃荷重が印加される。そして、この衝撃荷重がスロープ板10に伝達されることにより、そのスロープ板10が振動する。更に、短い周期でモータ23の回転を反転させることにより、連続的な衝撃荷重が発生する。そして、これにより、これらの第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112をスロープ振動装置72として、独立した駆動源を設けることなく、簡素な構成にて、そのスロープ板10に振動を付与することができる。
【0166】
(16)スロープ装置11は、スロープ板10の後端部10rを上方に持ち上げるリフト機構31を備える。そして、スロープ装置11は、このリフト機構31の動作に基づきスロープ板10の後端部10rを持ち上げることにより、そのドア開口部3に展開されたスロープ板10の傾斜角θを増加可能に構成される。
【0167】
即ち、リフト機構31の作動に基づくスロープ板10の持ち上げ量Hを増加させることで、その傾斜角θが増大する。そして、これにより、独立した駆動源を設けることなく、簡素な構成にて、そのドア開口部3の下端に展開されたスロープ板10の傾斜角θを増加させることができる。
【0168】
(17)スロープ装置11は、駆動ケーブル30に対する回動連結点X3を有して展開及び格納方向に移動する第1リンク81を備える。また、スロープ装置11は、スロープ板10の後端部10rに対する回動連結点X1及び第1リンク81に対する回動連結点X2を有する第2リンク82と、を備える。更に、スロープ装置11は、これらの第1リンク81及び第2リンク82に連結された第3リンク83を備える。そして、スロープ装置11は、この第3リンク83が係合するガイドレール20を備える。
【0169】
スロープ装置11は、スロープ板10がドア開口部3の下端に展開された状態で第1リンク81が展開方向に移動することにより、第3リンク83と一体に第2リンク82が回動するように構成される。そして、これにより、これらの第1リンク81、第2リンク82、及び第3リンク83が、そのスロープ板10の後端部10rを持ち上げるリフト機構31として機能する。
【0170】
また、スロープ装置11は、この第2リンク82及び第3リンク83の回動によるスロープ板10の持ち上げ動作が完了した状態から第1リンク81が展開方向に移動することにより、その第3リンク83と第1リンク81及び第2リンク82との連結状態が変化する。そして、スロープ装置11は、これにより、その駆動ケーブル30に対する第1リンク81の回動に基づいて、第3リンク83とは独立に第2リンク82が上方に持ち上がるように構成される。
【0171】
上記構成によれば、簡素な構成にて、ドア開口部3に展開されたスロープ板10を車両1の乗員が利用する通常の利用状態から、更に、このスロープ板10の持ち上げ量Hを増加させることができる。そして、これにより、リフト機構31の動作に基づきドア開口部3に展開されたスロープ板10の後端部10rを持ち上げる制御の延長で、そのスロープ傾斜角増加制御を実行することができる。
【0172】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0173】
・上記実施形態では、車両1に設けられたカメラ45を用いて撮影したスロープ板10の上面10sの画像を解析することにより、そのドア開口部3の下端に展開したスロープ板10上の異物60を検出することとした。しかし、これに限らず、例えば、ソナーや荷重検知を用いる等、画像解析以外の方法で、スロープ板10上の異物60を検出する構成を採用してもよい。また、音声認識によって、利用者によるスロープ板10上に異物60を発見した旨の申告を受付ける構成としてもよい。そして、これに併せ、そのスロープ板10上に落とし物62と思われる異物60を発見した旨の申告を受付ける構成としてもよい。
【0174】
・上記実施形態では、スロープ板10上に検出された異物60の除去処理として、スロープ板10の傾斜角θを増加させるスロープ傾斜角増加制御を実行するとともに、スロープ板10を振動させるスロープ振動制御を実行することとした。しかし、これに限らず、スロープ傾斜角増加制御又はスロープ振動制御の何れか一方を行うこととしてもよい。そして、例えば、スロープ板10上を移動する異物除去部材によって、そのスロープ板10上から異物60を排除する等、その他の方法を用いて異物60の除去処理を行う構成としてもよい。
【0175】
・また、異物60の除去処理として、スロープ板10の傾斜角θを増加させるスロープ傾斜角増加制御と、その傾斜角θを低減するスロープ傾斜角低減制御と、を交互に繰り返す構成としてもよい。
【0176】
例えば、図27のフローチャートに示す例においては、先ず、計測カウンタをリセットすることにより、その繰り返し回数nが初期化される(n=0、ステップ501)。そして、そのスロープ傾斜角増加制御(ステップ502)及びスロープ傾斜角低減制御(ステップ503)が順次、実行される。次に、スロープ板10上の異物60が除去されたか否かが判定される(ステップ504)。そして、これにより、異物60が除去された場合(ステップ504:YES)に、そのスロープ板10の格納制御が実行される(ステップ505)。
【0177】
また、上記ステップ504において、スロープ板10上の異物60が除去されていない場合(ステップ504:NO)には、その繰り返し回数nの計測カウンタがインクリメントされる(n=n+1、ステップ506)。次に、繰り返し回数nが予め設定された所定回数n0に到達したか否かが判定される(ステップ507)。更に、このステップ507において、繰り返し回数nが所定回数n0に到達していない場合(n<n0、ステップ507:NO)には、再び、上記ステップ502のスロープ傾斜角増加制御及びステップ503のスロープ傾斜角低減制御が実行される。そして、ステップ507において、その繰り返し回数nが所定回数n0に到達するまで(n≧n0、ステップ507:YES)、スロープ板10上の異物60が除去されなかった場合には、異常が生じた旨の報知出力が実行される(ステップ508)。
【0178】
・上記実施形態では、リフト機構31の動作に基づきスロープ板10の持ち上げ量Hを増加させることにより、そのスロープ装置11にスロープ板10の傾斜角θを増加させることのできる傾斜角変更装置71としての機能が実装されることとした。しかし、これに限らず、傾斜角変更装置71の構成については任意に変更してもよい。
【0179】
例えば、スロープ板10の後端部10rに連結された支持アーム22の回動により、そのスロープ板10の持ち上げ動作が行われるとともに、支持アーム22の回動量を変更することで、そのスロープ板10の持ち上げ量Hを変更する構成であってもよい。また、スロープ板10に対する支持アーム22の回動連結点X1をスロープ板10の先端部10f側に変位させることにより、このスロープ板10の傾斜角θを増加させる構成であってもよい。また、支持アーム22が伸縮する構成であってもよい。更に、その傾斜角変更装置71が独立した駆動源を有する構成であってもよい。そして、車両1の車高調整機能を利用して、そのスロープ板10の傾斜角θを増加させる構成であってもよい。
【0180】
・上記実施形態では、モータ23が発生する駆動力を伝達する駆動力伝達経路110の途中に設けられた第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112が、そのスロープ振動装置72として機能することとした。しかし、これに限らず、スロープ振動装置72の構成は、任意に変更してもよい。例えば、スロープ板10に対して直接的に振動を付与する構成であってもよい。更に、そのスロープ振動装置72が独立した駆動源を有する構成であってもよい。そして、第1伝達シャフト111及び第2伝達シャフト112をスロープ振動装置72に用いる構成についてもまた、その係合連結部113,114の形状は、任意に変更してもよい。
【0181】
・回転ブラシ120に駆動力を伝達する駆動力伝達機構130の構成についてもまた、例えば、独立した駆動源を有する等、任意に変更してもよい。そして、回転ブラシ120に代えて、刷毛状の固定ブラシを用いて、スロープ板10上の異物60を掃き出す構成であってもよい。
【0182】
・上記実施形態では、回転ブラシ120が、スロープ板10とともに移動するスロープ板10上の異物60に当接して、その格納方向の移動を規制する異物回収装置73のストッパ部140として機能することとした。
【0183】
しかし、これに限らず、例えば、図28に示す別例のスロープ装置11Bに設けられた異物回収装置73Bのように、専用のストッパ部140Bを備える構成であってもよい。そして、このストッパ部140Bの形状についてもまた、任意に変更してもよい。
【0184】
・上記実施形態では、異物回収装置73は、格納方向に移動するスロープ板10の通過によりストッパ部140よりも展開方向側の位置において、そのスロープ板10上から下方に落下した異物60を貯留する異物貯留部141を備える。そして、この異物貯留部141は、上方に開口する箱部材としての回収ボックス142と、この回収ボックス142内に設けられたネット部材としてのキャッチネット143と、を備えることとした。
【0185】
しかし、これに限らず、キャッチネット143を有しない構成であってもよい。また、例えば、格納ボックス12の底部が下方に開口している場合等には、回収ボックス142を設けず、キャッチネット143のみを設置する構成としてもよい。即ち、この場合、キャッチネット143をすり抜けた微小な異物60は、そのまま、路面上に落下する。そして、その格納ボックス12の奥側に移動したスロープ板10の先端部10fと格納ボックス12の開口部12aとの間に上記実施形態のような可動蓋147を有しない構成であってもよい。
【0186】
・また、スロープ板10上の異物60を、そのスロープ板10の上方に持ち上げる態様で回収する構成としてもよい。
例えば、図29に示す別例の異物回収装置73Cは、スロープ板10の格納方向に向かって上方に延びる斜面150sを有してスロープ板10の上面10sに近接する位置に設けられたセパレータ150を備える。また、異物回収装置73Cは、このセパレータ150の斜面150sに連続する態様で、そのスロープ板10の格納方向に向かって上方に延びる輸送面151sを有したベルトコンベア151を備える。更に、このベルトコンベア151は、駆動力伝達機構130Cを介して伝達される駆動力に基づいて、その輸送面151sがスロープ板10の格納方向に向かって移動する。そして、異物回収装置73Cは、スロープ板10の格納方向、ベルトコンベア151の端部151x近傍に設けられたストッパ部材152を備える。
【0187】
即ち、この別例の異物回収装置73Cが設けられたスロープ装置11Cにおいては、スロープ板10とともに移動するスロープ板10上の異物60が、セパレータ150の斜面150sに乗り上げる。更に、この異物60がベルトコンベア151の輸送面151sに移動することにより、このベルトコンベア151によって、スロープ板10の格納方向、つまりは、格納ボックス12の奥側に運ばれる。そして、この異物回収装置73Cにおいては、ベルトコンベア151の端部151x近傍に設けられたストッパ部材152に当接する状態で、その異物60が回収される構成となっている。
【0188】
このような構成を採用しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。そして、スロープ板10の下方に上記実施形態のような異物貯留部141を有しないことで、省スペース化を図ることができる。
【0189】
尚、この異物回収装置73Cにおいては、そのスロープ板10の上面10sとセパレータ150との間に、スロープ板10上に存在する微小な異物60がすり抜けることのできる隙間が設定されている。そして、このような微小な異物60については、例えば、スロープ傾斜角増加制御やスロープ傾斜角低減制御等、ドア開口部3に展開したスロープ板10を格納する前に、その除去処理が実行される構成となっている。
【0190】
また、セパレータ150の形状については、任意に変更してもよい。更に、駆動力伝達機構130Cの構成についてもまた、任意に変更してもよい。例えば、回転ブラシ120に駆動力を伝達する駆動力伝達機構130と同様の支持リンク131及びローラー132を有し、スロープ板10の格納動作に連動してベルトコンベア151に駆動力を伝達する構成であってもよい。そして、その駆動力伝達機構130Cが独立した駆動源を有する構成であってもよい。
【0191】
・上記実施形態では、スロープ板10上に検出された異物60が利用者の落とし物62である場合のみならず、このような落とし物62に該当しない異物60である場合にも、スロープ板10の格納動作時、その異物回収装置73によって回収されることとした。しかし、これに限らず、スロープ板10上の異物60が利用者の落とし物62である場合にのみ、その回収処理を実行する構成であってもよい。尚、落とし物62に該当しない異物60の回収を行わない場合、例えば、異常が生じた旨の報知出力を実行する等すればよい。また、例えば、ロボットアームを用いる等、異物60の回収方法については、任意に変更してもよい。更に、その回収処理を実行するタイミングについてもまた、スロープ板10の格納動作時に限らず、このスロープ板10を格納する前の展開状態で行ってもよい。そして、そのスロープ板10上の異物60が利用者の落とし物62である場合と、落とし物62に該当しない場合とで、その回収処理の態様が異なる構成であってもよい。
【0192】
・上記実施形態では、スロープ板10上の異物60を検出した場合の報知処理、除去処理、回収処理、及び通知処理を、その制御装置40が自動的に行う構成としたが、これらのうちの少なくとも何れかを、乗務員が行う構成の車両1に適用してもよい。
【0193】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記回転ブラシが、前記異物回収装置の前記ストッパ部として機能すること、を特徴とする。
【0194】
上記構成によれば、構成の簡素化を図ることができる。そして、その回転ブラシにより展開方向に掃き出された微小な異物についてもまた、その異物貯留部内に貯留するかたちで回収することができる。
【0195】
(ロ)前記異物貯留部は、上方に開口する箱部材と、前記箱部材内に設けられたネット部材と、を備え、前記ネット部材は、伸縮性を備えた網目構造を有するとともに、前記箱部材の底部から上方に離間した位置において該底部を覆う状態で前記箱部材内に設けられること、を特徴とする。
【0196】
上記構成によれば、スロープ板上から箱部材内に落下した異物が、その底部に衝突することなく、ネット部材に受け止められる。そして、これにより、その回収する異物が利用者の落とし物である場合においても、この落とし物を保護することができる。
【0197】
更に、箱部材内に落下した微小な異物は、ネット部材をすり抜けて箱部材の底部に貯留される。そして、これにより、簡素な構成にて、その異物貯留部に貯留される異物を分別することができる。
【0198】
(ハ)前記回転ブラシに駆動力を伝達する駆動力伝達機構を備え、前記駆動力伝達機構は、前記スロープ板の下方となる位置に回動支点を有した支持リンクと、該支持リンクに支持されたローラーと、を有し、前記ローラーは、前記スロープ板の上面に摺接することにより、該スロープ板との摩擦に基づき回転し、前記支持リンクは、前記ローラーと前記スロープ板とが摺接することにより、前記回動支点周りに揺動するとともに、前記スロープ板の格納動作時には、前記支持リンクの揺動により、該支持リンクに支持された前記ローラーが、前記スロープ板の上面及び前記回転ブラシの回転軸に摺接するように構成されること、を特徴とする。
【0199】
上記構成によれば、スロープ板の上面との摩擦に基づき回転するローラーを介して、その駆動力が回転ブラシの回転軸に伝達される。そして、これにより、独立した駆動源を設けることなく、スロープ板の格納動作に連動して、このスロープ板上の異物を展開方向側に掃き出す方向に回転ブラシを回転させることができる。
【0200】
また、スロープ板の展開動作時には、格納動作時とは逆向きに、その支持リンクが揺動する。更に、これにより、その支持リンクに支持されたローラーが、回転ブラシの回転軸から離間する。そして、これにより回転ブラシに対する駆動力の伝達を停止することで、この回転ブラシが、そのスロープ板の展開動作を妨げないようにすることができる。
【0201】
(ニ)モータを駆動源として前記スロープ板を駆動するアクチュエータと、前記モータの駆動力を伝達する駆動力伝達経路の途中に設けられた第1伝達シャフト及び第2伝達シャフトと、を備え、前記第1伝達シャフト及び第2伝達シャフトは、前記第1伝達シャフトの軸端部及び第2伝達シャフトの軸端部に設けられた互いの係合連結部が周方向に係合して一体に回転することにより前記モータの駆動力を伝達するとともに、前記各係合連結部の形状に基づいて、回転方向の反転時、前記駆動力の入力側に位置する前記第1伝達シャフトが空転した後、再び互いの前記係合連結部が係合するように構成されること、を特徴とする。
【0202】
即ち、第1伝達シャフトが空転する状態から、その第1伝達シャフト側の係合連結部と第2伝達シャフト側の係合連結部とが係合することで、第2伝達シャフトに対して衝撃荷重が印加される。また、この衝撃荷重がスロープ板に伝達されることにより、そのスロープ板が振動する。更に、短い周期でモータの回転を反転させることにより、連続的な衝撃荷重が発生する。そして、これにより、これらの第1伝達シャフト及び第2伝達シャフトをスロープ振動装置として、独立した駆動源を設けることなく、簡素な構成にて、そのスロープ板に振動を付与することができる。
【0203】
(ホ)前記スロープ板の後端部を上方に持ち上げるリフト機構を備え、前記傾斜角変更装置は、前記リフト機構の動作に基づき前記スロープ板の後端部を持ち上げることにより、前記展開された前記スロープ板の前記傾斜角を増加可能に構成されること、を特徴とする。
【0204】
即ち、リフト機構の作動に基づくスロープ板の持ち上げ量を増加させることで、その傾斜角が増大する。そして、これにより、独立した駆動源を設けることなく、簡素な構成にて、そのドア開口部の下端に展開されたスロープ板の傾斜角を増加させることができる。
【0205】
(ヘ)前記スロープ板の展開及び格納方向に摺動する駆動ケーブルに対する回動連結点を有して前記展開及び格納方向に移動する第1リンクと、前記スロープ板の後端部に対する回動連結点及び前記第1リンクに対する回動連結点を有する第2リンクと、前記第1リンク及び第2リンクに連結された第3リンクと、前記第3リンクが係合するガイドレールと、を備え、前記リフト機構は、前記スロープ板が前記展開された状態で前記第1リンクが展開方向に移動することにより、前記ガイドレールに対する前記第3リンクの係合関係に基づき前記第3リンクと一体に前記第2リンクが回動して、前記第2リンクに連結された前記スロープ板の後端部が上方に持ち上がるとともに、前記第2リンク及び第3リンクの一体回動に基づいた前記スロープ板の持ち上げ動作が完了した状態から前記第1リンクが展開方向に移動することにより、前記第3リンクと前記第1リンク及び第2リンクとの間の連結状態が変化して、前記駆動ケーブルに対する前記第1リンクの回動に基づき、前記第2リンクが上方に持ち上がるように構成されること、を特徴とする。
【0206】
上記構成によれば、簡素な構成にて、ドア開口部に展開されたスロープ板を車両の乗員が利用する通常の利用状態から、更に、このスロープ板の持ち上げ量を増加させることができる。そして、これにより、リフト機構の動作に基づきドア開口部に展開されたスロープ板の後端部を持ち上げる制御の延長で、そのスロープ傾斜角増加制御を実行することができる。
【0207】
(ト)前記異物除去制御部は、前記異物の除去処理として、前記傾斜角の増加と該傾斜角の低減とを繰り返し実行すること、を特徴とする。
即ち、スロープ板の傾斜角について、その増加と低減を繰り返すことで、このスロープ板上の異物が、更に、そのスロープ板から滑り落ち又は転がり落ちやすくなる。そして、これにより、より効果的に、そのスロープ板上の異物を除去することができる。
【符号の説明】
【0208】
10…スロープ板
11…スロープ装置
40…制御装置
60…異物
61…異物検出部
100a…駆動制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29