(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121162
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】問い合わせ受付システム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/51 20060101AFI20220812BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20220812BHJP
【FI】
H04M3/51
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018354
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】520277977
【氏名又は名称】布目 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】布目 勝也
【テーマコード(参考)】
5K201
5L049
【Fターム(参考)】
5K201AA05
5K201BA13
5K201BA14
5K201BB03
5K201BD04
5K201CA01
5K201CA07
5K201EC03
5K201EC06
5K201EF02
5K201EF09
5L049AA02
(57)【要約】
【課題】オペレータによる柔軟な対応が可能であり、冗長性に富む問い合わせ受付システムを提供する。
【解決手段】複数のサービス依頼者への電話通話を受け付ける電話用フロントエンド部を有するCTIシステムと、受付電話番号毎に異なる電話応対シナリオを記憶しており、オペレータ用アプリケーションがインストールされたオペレータ通信端末に対して通信し、オペレータによる電話応対を支援する問い合わせ応対システムと、を有し、前記CTIシステムは、前記電話用フロントエンド部への電話通話回線を、前記問い合わせ応対システムが記憶する情報に含まれる前記オペレータの電話通話回線の一つに接続し、前記問い合わせ応対システムは、前記CTIシステムが接続する電話通話回線に対応する前記オペレータ通信端末に、前記受付電話番号に対応する前記サービス依頼者の前記電話応対シナリオを、チャット形式で表示する問い合わせ受付システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサービス依頼者への電話通話を受け付ける電話用フロントエンド部を有するCTIシステムと、
前記サービス依頼者毎に異なる電話応対シナリオを記憶しており、オペレータ用アプリケーションがインストールされたオペレータ通信端末に対して通信し、オペレータによる電話応対を支援する問い合わせ応対システムと、を有し、
前記CTIシステムは、前記電話用フロントエンド部への電話通話回線を、前記問い合わせ応対システムが記憶する情報に含まれる前記オペレータの電話通話回線の一つに接続し、
前記問い合わせ応対システムは、前記CTIシステムが接続する電話通話回線に対応する前記オペレータ通信端末に、前記複数のサービス依頼者のうち対応する前記サービス依頼者の前記電話応対シナリオを、チャット形式で表示する問い合わせ受付システム。
【請求項2】
チャット形式で表示する前記電話応対シナリオには、前記オペレータから前記電話通話の問い合わせ者への質問内容を表示する質問スクリプトと、前記質問スクリプトの質問内容に対する前記問い合わせ者の回答を入力する入力フォームと、が含まれる請求項1に記載の問い合わせ受付システム。
【請求項3】
前記問い合わせ応対システムは、前記サービス依頼者の依頼者サーバと通信して、前記サービス依頼者の前記電話応対シナリオを編集する編集部を有する請求項1または請求項2に記載の問い合わせ受付システム。
【請求項4】
前記問い合わせ応対システムは、所定の時点において所定の前記オペレータによる電話応対業務が可能か否かを確認する通信を、前記オペレータ通信端末に対して行う請求項1から請求項3までのいずれかに記載の問い合わせ受付システム。
【請求項5】
前記問い合わせ応対システムは、問い合わせ用アプリケーションがインストールされた問い合わせユーザー通信端末に対して通信し、所定の前記サービス依頼者に対する問い合わせを受け付け可能であって、
前記問い合わせ用アプリケーションを介して前記ユーザー通信端末に表示する質問スクリプトおよび入力フォームの少なくとも一部が、前記電話応対シナリオに含まれており前記オペレータ用アプリケーションを介して前記オペレータ通信端末に表示する質問スクリプトおよび入力フォームの少なくとも一部と共通である請求項1から請求項4までのいずれかに記載の問い合わせ受付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータによる電話応答を含む問い合わせ受付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業や病院、レストランなどの様々なサービスを行う団体のために、その団体への電話による問い合わせに応対するコールセンターシステムが知られている。従来のコールセンターシステムとしては、オペレータである人が問い合わせ者に対して電話応対するものと、録音音声や会話ロボットなどにより機械が問い合わせ者に対して電話応対するものとがある。
【0003】
オペレータである人が、問い合わせ者に対して応対する従来のコールセンターシステムは、教育されたオペレータによる臨機応変で柔軟かつ高度な対応が可能であるが、オペレータの育成コストを含む人件費が高いという問題がある。また、オペレータの応対スキルが専門化するため、一人のオペレータが複数の団体への応対を受け持つことが難しく、応対数のキャパシティーに関する冗長性に乏しい。一方、機械が問い合わせ者に対して電話応対するものは、人であるオペレータが行うような、柔軟かつ高度な対応を行うことは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、オペレータによる柔軟な対応が可能であり、かつ、オペレータに関する人件費を抑制できるとともに、対応能力の観点で冗長性に富む問い合わせ受付システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る問い合わせ受付システムは、
複数のサービス依頼者への電話通話を受け付ける電話用フロントエンド部を有するCTIシステムと、
前記サービス依頼者毎に異なる電話応対シナリオを記憶しており、オペレータ用アプリケーションがインストールされたオペレータ通信端末に対して通信し、オペレータによる電話応対を支援する問い合わせ応対システムと、を有し、
前記CTIシステムは、前記電話用フロントエンド部への電話通話回線を、前記問い合わせ応対システムが記憶する情報に含まれる前記オペレータの電話通話回線の一つに接続し、
前記問い合わせ応対システムは、前記CTIシステムが接続する電話通話回線に対応する前記オペレータ通信端末に、前記複数のサービス依頼者のうち対応する前記サービス依頼者の前記電話応対シナリオを、チャット形式で表示する。
【0007】
本発明に係る問い合わせ受付システムは、CTIシステムがオペレータに対して電話回線に接続するとともに、問い合わせ応対システムがオペレータ通信端末に、電話応対シナリオをチャット形式で表示する。このような問い合わせ受付システムは、オペレータによる柔軟な対応が可能であるとともに、オペレータがチャット形式の電話応対シナリオを見ながら電話応対をできるので、オペレータの育成を従来に比べて簡略化し、人件費を抑制できる。また、オペレータは、電話応対シナリオを見ながら電話応対できるので、容易に複数のサービス依頼者を受け持つことが可能であり、それぞれのサービス依頼者に対する電話受付に関して、応対数のキャパシティーについての冗長性に富む。
【0008】
また、たとえば、チャット形式で表示する前記電話応対シナリオには、前記オペレータから前記電話通話の問い合わせ者への質問内容を表示する質問スクリプトと、前記質問スクリプトの質問内容に対する前記問い合わせ者の回答を入力する入力フォームと、が含まれていてもよい。
【0009】
このような問い合わせ受付システムによれば、オペレータは、電話応対シナリオにおける質問スクリプトを読み上げ、問い合わせ者の回答を入力フォームに入力するだけで、容易に電話応対を行うことができる。
【0010】
また、たとえば、前記問い合わせ応対システムは、前記サービス依頼者の依頼者サーバと通信して、前記サービス依頼者の前記電話応対シナリオを編集する編集部を有してもよい。
【0011】
このような編集部を有する問い合わせ受付システムは、サービス依頼者が容易に電話応対シナリオを編集し、オペレータによる電話応対を修正または改善することができる。
【0012】
また、たとえば、前記問い合わせ応対システムは、所定の時点において所定の前記オペレータによる電話応対業務が可能か否かを確認する通信を、前記オペレータ通信端末に対して行ってもよい。
【0013】
このような問い合わせ応対システムは、オペレータが在宅のまま、自由な時間に電話応対業務を開始および終了できるため、必要な人数のオペレータを容易に確保することができ、人件費を抑制できる。また、深夜帯などのオペレータの確保も、比較的容易である。
【0014】
また、たとえば、前記問い合わせ応対システムは、問い合わせ用アプリケーションがインストールされた問い合わせユーザー通信端末に対して通信し、所定の前記サービス依頼者に対する問い合わせを受け付け可能であってもよく、
前記問い合わせ用アプリケーションを介して前記ユーザー通信端末に表示する質問スクリプトおよび入力フォームの少なくとも一部が、前記電話応対シナリオに含まれており前記オペレータ用アプリケーションを介して前記オペレータ通信端末に表示する質問スクリプトおよび入力フォームの少なくとも一部と共通であってもよい。
【0015】
このような問い合わせ応対システムは、電話による問い合わせ者が、問い合わせ用アプリケーションへ移行する際の移行障壁を低減できる。そのため、このような問い合わせ応対システムは、連絡全体に占める電話問い合わせ者の割合を低下させ、サービス依頼者のコストを低減できる。また、電話応対シナリオの少なくとも一部を、問い合わせ用アプリケーションによる表示内容に流用できるため、システムの開発コストを抑制し、安価に複合的な問い合わせ受付システムを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る問い合わせ受付システムの概略構成を表す概念図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す問い合わせ受付システムに関する主要部分のハードウェア構成を表す概念図である。
【
図3】
図3は、オペレータ通信端末にチャット形式で表示される電話応対シナリオの一例を示す概念図である。
【
図4】
図4は、サービス依頼者による電話応対シナリオの編集作業を説明する概念図である。
【
図5】
図5は、
図1および
図2に示す問い合わせ受付システムにおける主要な電話接続およびデータ通信の一例を示す概念図である。
【
図6】
図6は、
図1および
図2に示す問い合わせ受付システムにおけるオペレータスコア情報を示す概念図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係る問い合わせ受付システムの概略構成を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る問い合わせ受付システム10の概略構成を表す概念図である。
図1に示すように、問い合わせ受付システム10は、基幹システム20を有する。基幹システム20は、問い合わせ受付システム10の主要な演算処理、通信制御、データの記憶などを行う。基幹システム20は、公衆回線網92を介して、問い合わせ者90の電話機91に接続される他、電話回線、LAN、インターネット、WANなどを通じて、オペレータ69のオペレータ通信端末60や、サービス依頼者71である企業や団体に設置されるサーバ(依頼者サーバ70など)と接続される。
【0018】
問い合わせ受付システム10は、サービス依頼者71からの依頼に基づき、サービス依頼者71に対する電話問い合わせの応対業務の代行を実現する。具体的には、問い合わせ受付システム10における基幹システム20は、問い合わせ者90からの電話通話回線を、オペレータ69の電話通話回線に接続するとともに、アプリケーションサーバ32を介して、オペレータ69のオペレータ通信端末60の表示部68に、電話応対シナリオ80をチャット形式で表示する。また、基幹システム20は、オペレータ69がオペレータ通信端末60を介して入力した問い合わせ者90の回答内容などを、アプリケーションサーバ32を介して取得し、情報管理サーバ50の問い合わせ内容記憶部52に記憶する。
【0019】
問い合わせ受付システム10の基幹システム20は、CTIシステム21、問い合わせ応対システム30などを有する。基幹システム20に含まれる各部分は、1か所に集中して配置されており、LANなどを介して相互に通信可能であってもよく、また、各部分が分散して配置されており、インターネットやWANなどを介して相互に通信可能であってもよい。また、基幹システム20のCTIシステム21や問い合わせ応対システム30に含まれるサーバ(アプリケーションサーバ32、情報管理サーバ50など)は、所定の物理サーバによって実現されるものであってもよく、クラウド・コンピューティングなどによる仮想サーバによって実現されるものであってもよい。
【0020】
図1に示すCTIシステム21は、電話用フロントエンド部22を有する。電話用フロントエンド部22は、複数のサービス依頼者71への電話通話を受け付ける。電話用フロントエンド部22が受け付ける受付電話番号は、1つであっても複数であってもよい。電話用フロントエンド部22が受け付ける受付電話番号は、サービス依頼者毎に異なっていてもよく、複数のサービス依頼者のうち一部または全部が、共通の受付電話番号を使用していてもよい。サービス依頼者71毎に異なる受付電話番号を使用している場合は、CTIシステム21は、問い合わせ者90によりコールされた受付番号(主に電話番号であるが、IP電話の場合はIPアドレス等の場合がある)により、問い合わせ者90の問い合わせ先が、どのサービス依頼者71であるかを識別することができる。
【0021】
一方、CTIシステム21が受け付ける複数のサービス依頼者71のうち一部が共通の受付電話番号を使用している場合は、後述するオペレータ69が、問い合わせ者90に対して、どのサービス依頼者71への電話であるかを確認する。電話用フロントエンド部22が電話通話を受け付ける複数のサービス依頼者71としては、特に限定されず、同一または類似する業種のサービス依頼者71のみで構成されていてもよく、全く異なる業種のサービス依頼者71を含んでいてもよい。
【0022】
図1に示すように、問い合わせ受付システム10において、問い合わせ者90の電話回線は、公衆回線網92(インターネットを含む)を通じてCTIシステム21の電話用フロントエンド部22に接続される。電話用フロントエンド部22に接続される電話回線は、IP電話回線であってもよく、アナログ電話回線であってもよく、VoIP技術を用いた電話番号なしのIP回線であってもかまわない。
【0023】
図2は、
図1に示す問い合わせ受付システム10に関する主要部分のハードウェア構成を表す概念図である。
図2に示す電話用フロントエンド部22は、電話回線の接続を切り替える交換機などを有する。電話用フロントエンド部22は、たとえば、IP-PBX(Internet Protocol Private Branch Exchange)やビジネスフォンなどで構成されるが、特に限定されない。
【0024】
図1に示すCTI(Computer Telephony Integration)システム21では、電話用フロントエンド部22への電話通話回線94の転送先を、情報管理サーバ50のデータを参照して決定する。すなわち、CTIシステム21は、電話用フロントエンド部22への電話通話回線94(
図1において点線で示される)を、問い合わせ応対システム30の情報管理サーバ50が記憶する情報に含まれるオペレータ69の電話通話回線の一つに接続する。すなわち、CTIシステム21は、電話通話回線94を転送・接続するオペレータ69およびそのオペレータ通信端末60を決定し、電話用フロントエンド部22への電話通話回線94を、決定したオペレータ69のオペレータ通信端末60に対して転送・接続する。なお、CTIシステム21は、電話通話回線94の転送先として、1つの通信端末を選定してもよく、複数の通信端末を選定してもよい。すなわち、CTIシステム21は、電話通話回線94を複数のオペレータ69のオペレータ通信端末60の電話通話回線に転送して呼び出し、最も早く呼び出しに応答したオペレータ通信端末60の電話通話回線に、電話通話回線94を接続することも可能である。
【0025】
図2に示すように、CTIシステム21は、電話用フロントエンド部22の他に、処理回路23や通信部24等を有する。なお、電話用フロントエンド部22は、
図1に示すようにCTIシステム21の中に含まれていてもよいが、CTIシステム21とは、分離して構成されていてもよい。
【0026】
図1に示す問い合わせ応対システム30は、アプリケーションサーバ32と、情報管理サーバ50と、依頼者側フロントエンド部38とを有する。アプリケーションサーバ32は、情報管理サーバ50等と連携し、オペレータ用アプリケーションがインストールされたオペレータ通信端末60に対して通信し、オペレータ69による電話応対を支援する。問い合わせ応対システム30のアプリケーションサーバ32は、オペレータ通信端末60を介してオペレータ69とチャット形式でコミュニケーション可能なチャットボット部36を有する。
【0027】
図2に示すように、アプリケーションサーバ32は、オペレータ用アプリケーションがインストールされたオペレータ通信端末60に対してデータ通信するデータ通信部32bを有する。データ通信部32bは、チャットボット部36と連携して電話応対シナリオ80をオペレータ通信端末60に送信したり、オペレータ通信端末60によるオペレータ69の入力内容を受信したりすることができる。また、アプリケーションサーバ32のデータ通信部32bは、CTIシステム21を介して、電話用フロントエンド部22が接続した電話通話回線94に関する情報を受け取る機能も有する。
【0028】
データ通信部32bは、CTIシステム21が電話用フロントエンド部22への電話通話回線94をオペレータ69のうち1のオペレータ通信端末60に対して接続したとき、同じオペレータ69のオペレータ通信端末60に対して、オペレータ用アプリケーションを介するデータ通信を実施する。すなわち、問い合わせ受付システム10の基幹システム20は、CTIシステム21を介する電話通話回線による通話と、アプリケーションサーバ32のデータ通信部32bによるデータ通信とを、オペレータ69のうち1のオペレータ通信端末60に対して、同時に成立させる。なお、アプリケーションサーバ32は、データ通信部32bの他、演算処理を行う処理回路32cや、情報を記憶する記憶回路32d等を有する。
【0029】
図1に示す問い合わせ応対システム30のチャットボット部36は、サービス依頼者71毎に異なる電話応対シナリオ80(
図3参照)を記憶している。チャットボット部36は、CTIシステム21が接続する電話通話回線に対応するオペレータ通信端末60に、問い合わせ者90が連絡を希望するサービス依頼者71の電話応対シナリオ80を、チャット形式で表示する(
図3参照)。問い合わせ応対システム30は、CTIシステム21が受け付けた受付電話番号や、問い合わせ者90の電話番号や、オペレータ通信端末60からの入力情報により、チャットボット部36が記憶する複数の電話応対シナリオ80のうち、どの電話応対シナリオ80をオペレータ通信端末60に表示するかを決定する。なお、オペレータ通信端末60にインストールされており、電話応対において使用されるオペレータ用アプリケーションとしては、問い合わせ受付システム10を利用するために追加インストールされる専用アプリケーションであることが好ましいが、ウェブブラウザのような汎用的なアプリケーションであってもよい。
【0030】
図2に示すように、アプリケーションサーバ32のチャットボット部36は、電話応対シナリオ記憶部36dと、編集部36eとを有する。電話応対シナリオ記憶部36dは、オペレータ69による問い合わせ者90に対しての電話応対時において、オペレータ通信端末60に表示する電話応対シナリオを記憶している。チャットボット部36は、オペレータ69による電話応対時において、問い合わせ者90が問い合わせるサービス依頼者71に対応する電話応対シナリオを、電話応対シナリオ記憶部36dから読み出し、データ通信部32b等を介してオペレータ通信端末60に送信し、オペレータ通信端末60の表示部68に表示する。なお、チャットボット部36は、図示しない処理回路、記憶回路等を有している。
【0031】
図2に示すアプリケーションサーバ32の編集部36eは、サービス依頼者71の依頼者サーバ70(
図1参照)と通信して、電話応対シナリオ記憶部36dに記憶される電話応対シナリオ80(
図3参照)を編集する。すなわち、サービス依頼者71は、依頼者サーバ70を操作することにより、依頼者側フロントエンド部38を介してチャットボット部36にアクセスして編集部36eを機能させることにより、自身に問い合わせがあった場合に、オペレータ通信端末60に表示させる電話応対シナリオ80を、自ら編集することができる。
【0032】
図1に示す情報管理サーバ50は、問い合わせ受付システム10に関するサービス依頼者71、オペレータ69に関する情報や、問い合わせ者90から得た情報などを管理する。
図2に示すように、情報管理サーバ50は、オペレータ情報記憶部51、問い合わせ内容記憶部52、依頼者情報記憶部53などの各種記憶部と、処理回路57や通信部58等を有する。
【0033】
オペレータ情報記憶部51に記憶される情報には、問い合わせ受付システム10においてオペレータ業務(電話応対業務)を行うオペレータ69の情報が含まれる。たとえば、オペレータ情報記憶部51は、オペレータ69のオペレータ通信端末60の電話通話回線番号や、オペレータ通信端末60のIPアドレスや、所定の時点において所定のオペレータ69が電話応対業務を可能な状態か否かを示す情報などを記憶する。
【0034】
図1に示す問い合わせ応対システム30は、所定の時点において所定のオペレータ69による電話応対業務が可能か否かを確認する通信を、
図2に示すデータ通信部32bを介して、オペレータ通信端末60に対して行うことができる。たとえば、オペレータ69は、自己のオペレータ通信端末60を操作して、現在または所定の時間において電話応対業務を可能な状態か否かを、切り換えることができる。
図2に示すオペレータ情報記憶部51は、データ通信部32bを介して取得した電話応答業務の可否に関するオペレータ69の情報を記憶する。
【0035】
これにより、情報管理サーバ50は、問い合わせ応対システム30に登録されている全オペレータ69について、現在オペレータ業務を行える状態にあるか、現在オペレータ業務を行えない状態にあるかを識別することができる。また、CTIシステム21は、情報管理サーバ50の情報を参照し、現在オペレータ業務を行える状態にあるオペレータ69のオペレータ通信端末60に、問い合わせ者90からの電話通話回線94を転送・接続する。
【0036】
また、このような問い合わせ受付システム10によれば、オペレータ69は、隙間時間などを利用してフレキシブルにオペレータ業務を行うことができる。したがって、問い合わせ受付システム10は、容易に電話応答のオペレータを確保するとともに、電話待ち時間を短縮して、問い合わせ者90の利便性を向上させることができる。
【0037】
オペレータ69がオペレータ業務において使用する電話通話回線は、アナログ回線であってもよく、電話会社が提供するIP回線であってもよく、VoIP技術を用いた電話番号なしのIP回線であってもよく、特に限定されない。
【0038】
なお、
図2に示すオペレータ情報記憶部51が記憶する情報としては、オペレータ69の電話応対業務の実績評価に関するオペレータスコア情報51a(
図6参照)が含まれていてもよい。また、オペレータスコア情報51aには、オペレータ69のオペレータ業務の良好さを示す指標や業務内容の他、オペレータ69の電話応対業務に対するサービス依頼者71からのフィードバック情報51abが含まれてもよい。オペレータスコア情報51aについては、
図6を参照して後述する。
【0039】
図2に示す情報管理サーバ50の問い合わせ内容記憶部52は、問い合わせ者90に対する問い合わせ受付により得られた情報や、問い合わせ者90に対する電話応対業務で得られた情報により更新される情報などを記憶する。たとえば、、問い合わせ内容記憶部52は、予約可能な時間帯および空き状況を示す予約カレンダーや、オペレータ69がオペレータ用アプリケーションを用いて入力した問い合わせ者90の回答などの情報を記憶する。
【0040】
問い合わせ内容記憶部52が記憶する情報の一部(たとえば予約カレンダーなど)は、アプリケーションサーバ32を介してオペレータ69のオペレータ通信端末60に伝えられ、電話応対シナリオ80の一部としてオペレータ通信端末60の表示部68に表示される。さらに、問い合わせ内容記憶部52が記憶する予約カレンダーなどの情報は、オペレータ69がオペレータ用アプリケーションを用いて入力した問い合わせ者90の回答により、更新される。
【0041】
また、問い合わせ内容記憶部52が記憶する予約カレンダーや問い合わせ者90の回答などに関する情報は、依頼者側フロントエンド部38を介して依頼者サーバ70に伝えられる。また、問い合わせ内容記憶部52が記憶する予約カレンダーなどの情報は、依頼者サーバ70および依頼者側フロントエンド部38を介して情報管理サーバ50に伝えられる情報により、内容が更新されてもよい。
【0042】
図2に示す情報管理サーバ50の依頼者情報記憶部53は、問い合わせ受付システム10による電話応対業務の依頼者であるサービス依頼者71に関する情報を記憶する。たとえば、依頼者情報記憶部53は、各サービス依頼者71の問い合わせ受付番号や、問い合わせ受付システム10による電話応対業務の実施時間帯、実施期間などの情報を記憶する。
【0043】
図1に示す問い合わせ応対システム30の依頼者側フロントエンド部38は、依頼者サーバ70と問い合わせ応対システム30との通信を行う。たとえば、依頼者側フロントエンド部38は、電話応対業務の結果、
図2に示す問い合わせ内容記憶部52に記憶される情報(問い合わせ者90の回答など)を、該当するサービス依頼者71の依頼者サーバ70等に送信する。また、問い合わせ応対システム30の依頼者側フロントエンド部38は、サービス依頼者71が
図2に示すチャットボット部の編集部36eを用いて電話応対シナリオ80の編集を行う際、依頼者サーバ70とチャットボット部36との間の通信を成立させる。
【0044】
なお、
図2では図示省略しているが、依頼者側フロントエンド部38は、処理回路、記憶回路および通信部等を有する。
【0045】
図1に示すオペレータ通信端末60は、問い合わせ受付システム10において電話応答業務を行うオペレータ69が用いる通信端末である。オペレータ通信端末60は、電話用フロントエンド部22が問い合わせ者90の電話通話回線94を接続する電話通話回線を有するとともに、インターネット、WANおよびLAN等を介して基幹システム20のアプリケーションサーバ32に対してデータ通信する。オペレータ通信端末60としては、スマートフォン、携帯電話、タブレット、PCなどが挙げられるが、特に限定されない。
【0046】
図2に示すように、オペレータ通信端末60は、処理回路62、記憶回路64、通信部66および表示部68等を有する。オペレータ通信端末60の通信部66は、問い合わせ応対システム30のアプリケーションサーバ32が有するデータ通信部32bを介して、チャットボット部36等と通信する。オペレータ通信端末60は、チャットボット部36から電話応対シナリオ80に関する情報を受信するとともに、オペレータ69が電話応対シナリオ80に入力した問い合わせ者90の回答などに関する情報を、アプリケーションサーバ32に送信する。
【0047】
また、オペレータ通信端末60の通信部66は、CTIシステム21を介して電話用フロントエンド部22から転送される電話通話回線94を接続可能である。このような通信部66を有するオペレータ通信端末60を用いることにより、オペレータ69は、一台のオペレータ通信端末60のみで、オペレータ業務を行うことができる。
【0048】
なお、
図1および
図2では、電話用フロントエンド部22から転送される電話通話回線を接続する端末が、オペレータ用アプリケーションを介して電話応対シナリオを表示する端末と同一である例を示しているが、問い合わせ受付システム10としてはこれのみには限定されない。すなわち、CTIシステム21および電話用フロントエンド部22から転送される電話通話回線を接続する端末は、オペレータ用アプリケーションを介して電話応対シナリオを表示する端末(スマートフォン、タブレット、PCなど)とは別の端末(たとえば、固定電話、携帯電話、スマートフォンなど)であってもよい。
【0049】
オペレータ通信端末60の表示部68は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。表示部68の表示内容は、オペレータ通信端末60にインストールされたソフトウェア等を介して制御される。
図2および
図3に示すオペレータ通信端末60の表示部68は、タッチパネルであり、入力部を兼ねている。ただし、オペレータ通信端末60としてはこれに限定されず、オペレータ通信端末60は、表示部68とは別途、キーボードなどの入力部を有していてもよい。
【0050】
図2に示す処理回路23、32c、57、62は、たとえばマイクロプロセッサ等によって構成され、サーバや端末の制御に必要な演算処理などを実施する。また、記憶回路32dおよび記憶部36d、51、52、53としては、テータの記憶や書き換えなどが可能なフラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブなどが挙げられるが、特に限定されない。また、通信部24、58、66およびデータ通信部32bは、たとえばモデム等を有する。
【0051】
図3は、
図1に示す問い合わせ受付システム10において、オペレータ通信端末60の表示部68に表示される電話応対シナリオ80の一例を示す概念図である。
【0052】
図1および
図2に示すオペレータ通信端末60では、CTIシステム21を介する電話通話回線94が接続されると、問い合わせ者90がコールした受付電話番号に対応するサービス依頼者71の電話応対シナリオ80が、オペレータ通信端末60の表示部68に表示される。
【0053】
なお、問い合わせ者90がコールした受付電話番号に複数のサービス依頼者71の電話応対シナリオ80が対応している場合、アプリケーションサーバ30は、問い合わせ者90が問い合わせるサービス依頼者71を特定するための入力画面を、オペレータ通信端末60の表示部68に表示する。その場合、オペレータ69は、問い合わせ者90が問い合わせるサービス依頼者71が誰であるかを、問い合わせ者90に対して質問し、聞き取った内容をオペレータ通信端末60に入力する。アプリケーションサーバ30は、オペレータ69による入力内容を受信することにより、問い合わせ者90が問い合わせるサービス依頼者71を特定し、対応するサービス依頼者71の電話応対シナリオ80を、オペレータ通信端末60の表示部68に表示する。
図3(a)は、オペレータ通信端末60の表示部68に表示される電話応対シナリオ80の1つの表示例を示している。
【0054】
図3(a)に示されるように、電話応対シナリオ80は、オペレータ69から問い合わせ者90への質問内容を表示する質問スクリプト81a~81dと、その質問スクリプト81a~81dに対する問い合わせ者90の回答を入力するための入力フォーム82a~82dとが含まれる。また、電話応対シナリオ80は、オペレータ69が1つの回答を入力する度に、次の質問スクリプト81b~81dおよび入力フォーム82b~82dが順次表示されるチャット形式で、オペレータ通信端末60の表示部68に現れるようになっている。
【0055】
たとえば、
図3(a)に示すように、問い合わせ者90がサービス依頼者71の1つである「Bレストラン」の受付電話番号にコールし、これがオペレータ通信端末60の電話通話回線に接続された場合、表示部68には、「Bレストラン」の電話応対シナリオ80の最初の質問スクリプト81aと入力フォーム82aとが表示される。オペレータ69は、「Bレストランです。ご予約のお電話でしょうか?」との質問スクリプト81aを読み上げ、問い合わせ者90へ質問スクリプト81aの内容を伝える。
【0056】
さらに、オペレータ69は、問い合わせ者90の回答(たとえば、「はい。」や「予約です。」または「いいえ。」や「予約ではありません。」)を、入力フォーム82aに入力する。
図3(a)では、問い合わせ者90の回答が「予約です。」であり、オペレータ69が入力フォーム82aの「予約」ボタンをタップして、質問スクリプト81aに対する問い合わせ者90の回答を入力した例を示している。
【0057】
オペレータ69によって入力フォーム82aへの回答入力がなされると、オペレータ通信端末60の表示部68には、問い合わせ者90への次の質問「ご希望のお日にちはお決まりでしょうか?」との質問スクリプト81bと、その入力フォーム82bである予約カレンダーが表示される。オペレータ69は、質問スクリプト81bを読み上げ、問い合わせ者90の回答の聞き取り、入力フォーム82bへ問い合わせ者90の回答内容を入力する。オペレータ69は、表示部68に表示される質問スクリプト81a~81dおよび入力フォーム82a~82dについて、同様のことを繰り返すことにより、電話応答業務を行う。
【0058】
図3(b)は、
図3(a)に示す表示状態の後の表示状態を示している。
図3(a)および
図3(b)から理解できるように、表示部68の電話応対シナリオ80の表示は、入力フォーム82a~82dへの回答入力により自動的にスクロールする。これによって、オペレータ69は、
図3(b)に示すように、問い合わせ者90への次の質問スクリプト81dと、その入力フォーム82dを見ることができる。
【0059】
質問スクリプト81a~81dおよび入力フォーム82a~82dのチャット形式での表示は、直前の入力フォーム82b~82dへの回答入力を認識した後に、次の質問スクリプト81b~81dおよび入力フォーム82b~82dを表示する方式であってもよいが、これのみには限定されない。たとえば、質問スクリプト81a~81dおよび入力フォーム82a~82dのチャット形式での表示は、直前の入力フォーム82b~82dへの回答入力を認識する前から、次の質問スクリプト81b~81dおよび入力フォーム82b~82dを表示する方式であっても構わない。ただし、この場合は、所定の時点でオペレータ69が入力すべき入力フォーム82a~82dおよび質問スクリプト81b~81dを識別できるように、ハイライト、拡大などにより、他の入力フォーム82a~82dおよび質問スクリプト81b~81dと区別して表示することが好ましい。
【0060】
オペレータ69が入力フォーム82a~82dを介して入力した問い合わせ者90の回答情報は、オペレータ通信端末60の通信部66により、問い合わせ応対システム30のアプリケーションサーバ32に送信され、情報管理サーバ50に記憶される。なお、オペレータ通信端末60における電話応対シナリオ80の表示は、チャットボット部36がリアルタイムで制御してもよく、アプリケーションサーバ32が逐次アップデートするオペレータ用アプリケーションによって、オペレータ通信端末60の処理回路62が制御してもよい。
【0061】
図4は、
図2に示すチャットボット部36の編集部36eにより、サービス依頼者71が電話応対シナリオ80を作成・編集する様子を説明する概念図である。
図1に示すサービス依頼者71は、依頼者サーバ70を用いて問い合わせ応対システム30のアプリケーションサーバ32と通信し、チャットボット部36に記憶される電話応対シナリオ80を作成・編集することができる。
【0062】
サービス依頼者71が電話応対シナリオ80を作成または変更する場合、サービス依頼者71は、依頼者サーバ70を用いて問い合わせ応対システム30のアプリケーションサーバ32と通信する(矢印G、J)。依頼者サーバ70からの通信は、問い合わせ応対システム30の依頼者側フロントエンド部38を介して、
図2に示すチャットボット部36の編集部36eに伝えられる。
【0063】
図2に示す編集部36eは、チャットボット部36の電話応対シナリオ記憶部36dからサービス依頼者71に対応する電話応対シナリオ80を読み出し、編集ツールの情報と合わせて依頼者サーバ70に送信する。
図4は、依頼者サーバ71の表示部に表示される電話応対シナリオ80の編集画面の一例である。
図4に示すように、サービス依頼者71は、編集部36eが提供する編集ツールを用いて、電話応対シナリオ80を自ら編集することができる。
【0064】
図4に示すように、依頼者サーバ70の表示部には、電話応対シナリオ80がフローチャートの形式で表示されるとともに、電話応対シナリオ80の編集ツールを操作するツールボックス36eaが表示される。サービス依頼者71は、ツールボックス36ea内の編集ツールをドロップ&ドラッグしたり、テキスト入力したりすることにより、電話応対シナリオ80を自由に編集できる。
【0065】
電話応対シナリオ80の編集ツールとしては、
図4に示すもののみには限定されないが、
図3に示す質問スクリプト81a~81dや、入力フォーム82a~82dを作成するためのツールが含まれる。なお、電話応対シナリオ80には、
図3に示す入力フォーム82bの「予約カレンダー」のように、オペレータ69からの入力情報等により、逐次表示内容が更新されるものが含まれてもよい。
【0066】
以下、
図1~
図3を用いて、問い合わせ受付システム10による電話応対業務についてさらに具体的に説明するが、問い合わせ受付システム10は、これらの具体例のみには限定されない。
【0067】
図1および
図2における点線矢印Aで示すように、問い合わせ者90のサービス依頼者71に対する電話通話回線94は、電話用フロントエンド部22に接続する。この際、電話用フロントエンド部22は、電話通話をIP網に変換して、CTIシステム21内に伝える。
【0068】
CTIシステム21は、情報管理サーバ50の情報を読み出し(矢印B)、現在オペレータ業務が可能であるオペレータ69の電話通話回線の一つに、問い合わせ者90からの電話通話回線94を転送する。CTIシステム21は、電話用フロントエンド部22へ接続された問い合わせ者90の電話通話回線94を、所定のオペレータ69の電話通話回線に接続する(点線矢印C)。これと同時に、CTIシステム21は、電話通話回線94の接続先の情報を、問い合わせ応対システム30のアプリケーションサーバ32に対して伝える(矢印D)。
【0069】
問い合わせ応対システム30のアプリケーションサーバ32は、オペレータ通信端末60と通信し、オペレータ通信端末60で動作するオペレータ用アプリケーションを介して、表示部68に電話応対シナリオ80を表示させる(矢印E)。オペレータ69は、
図3のように表示部68に表示される電話応対シナリオ80を見ながら問い合わせ者90と電話通話し、問い合わせ者90の回答内容を、オペレータ用アプリケーションを介して入力する。
【0070】
オペレータ通信端末60において入力された問い合わせ者90の回答内容は、アプリケーションサーバ32に送信され(矢印E)、情報管理サーバ50に記憶される(矢印F)。
図1に示すように、サービス依頼者71は、依頼者サーバ70と問い合わせ応対システム30の依頼者側フロントエンド部38との通信により、情報管理サーバ50に記憶された問い合わせ者90の回答内容を閲覧することができる(矢印H、J)。このように、問い合わせ受付システム10による電話応対業務においては、オペレータ69は、オペレータ通信端末60に表示される電話応対シナリオ80を音読し、準備された入力フォームに回答内容を入力するだけで、容易に電話応答業務を行うことができる。
【0071】
図5は、
図1に示す問い合わせ受付システム10におけるCTIシステム21、問い合わせ応対システム30およびオペレータ通信端末60の関係を表す概念図である。
図5に示すように、問い合わせ受付システム10では、CTIシステム21が、問い合わせ者90からの電話通話回線をオペレータ69に転送するとともに(矢印C)、問い合わせ応対システム30がオペレータ通信端末60に電話応対シナリオ80をチャット形式で表示させることにより(矢印E)、オペレータ69の電話応対業務を支援する。
【0072】
このような問い合わせ受付システム10は、オペレータ69による柔軟で迅速かつ人間的な温かみのある対応が可能であるとともに、オペレータ69がチャット形式の電話応対シナリオ80を見ながら電話応対をできるので、オペレータ69の育成を従来に比べて簡略化し、人件費を抑制できる。また、オペレータ69は、電話応対シナリオ80を見ながら電話応対できるので、各サービス依頼者71の専門知識が豊富でない場合であっても、円滑に電話応対を行うことができる。さらに、オペレータ69は、各サービス依頼者71の専門知識を豊富に持つ必要がないので、複数のサービス依頼者71に関する電話応対を掛け持ちで担当することが可能である。したがって、
図5に示すように、問い合わせ受付システム10は、それぞれのサービス依頼者に関して、同時に電話応対可能な回線数のキャパシティーについて、冗長性に富む。また、オペレータ69は、たとえ複数の電話応対シナリオの一部または全てを事前に熟知していなかったり、電話応対シナリオの一部を事前に見ていなかったりする場合であっても、オペレータ通信端末にチャット形式で表示される電話応対シナリオ80を見ながら、その指示通りに応答を行うことにより、円滑な電話応対が可能である。
【0073】
また、問い合わせ受付システム10によれば、オペレータ69は、スマートフォンなどオペレータ通信端末60が1台あれば、オペレータ69が在宅のまま、自由な時間に電話応対業務を開始および終了できる。したがって、このような問い合わせ受付システム10は、必要な人数のオペレータ69を容易に確保することができ、人件費を抑制できる。また、深夜帯などのオペレータ69の確保も、比較的容易である。
【0074】
また、サービス依頼者71は、電話応対シナリオ80を、依頼者サーバ70(
図1参照)から容易に編集できるので、サービス依頼者71の業務分野に合わせた電話応答業務を、問い合わせ受付システム10を介して実現できる。また、問い合わせ受付システム10は、電話応対シナリオ80をオペレータ通信端末60にチャット形式で表示することにより、単に問い合わせ者の氏名と連絡先を聞くだけの従来の電話受付代行よりも、複雑で高度な対応が可能である。また、サービス依頼者71は、依頼者サーバ70(
図1参照)から、問い合わせ受付システム10による応対記録を、容易に確認することができる。
【0075】
図6は、問い合わせ受付システム10におけるオペレータスコア情報51aを説明する概念図である。
図6に示すように、オペレータ69(α、β)が、問い合わせ者90(甲、乙)の電話応答業務を担当した場合、基幹システム20では、オペレータ通信端末60との通信により、情報管理サーバ50の問い合わせ内容記憶部52の問い合わせ記録や予約スケジュールが更新される。
【0076】
さらに、基幹システム20では、オペレータ69の電話応対業務の実績評価に関するオペレータスコア情報51aを記憶および更新する。オペレータスコア情報51aは、電話応対シナリオ80で準備されている通りに入力フォーム82a~82dに情報が入力されているかなどに基づくオペレータ69の評価値であるオペレータスコアを有する。オペレータスコア情報51aには、電話応対業務を依頼したサービス依頼者71からのフィードバック情報51abが含まれていてもよい。
【0077】
なお、問い合わせ受付システム10およびCITシステム21は、一度オペレータ69に転送した問い合わせ者90からの電話通話回線を、オペレータ69によるアプリケーションソフトを介する操作により、電話対応業務を依頼したサービス依頼者71の電話回線に再転送可能であってもよい。たとえば、問い合わせ者90からの問い合わせ内容が、準備された電話応対シナリオ80の範囲内に無いものであり、かつ、早急な対応を問い合わせ者90が求めているような場合において、応対中のオペレータ69は、問い合わせ者90からの電話通話回線を、サービス依頼者71の電話回線に転送する操作を行うことができる。この場合、オペレータ69は、
図3に示すようなオペレータ通信端末60の表示部68に表示される転送ボタン(不図示)をタップすることにより、問い合わせ者90からの電話通話回線を、サービス依頼者71の電話回線に転送できる。
【0078】
第2実施形態
図7は、本発明の第2実施形態に係る問い合わせ受付システム110の概略構成を表す概念図である。
図7に示す問い合わせ受付システム110は、問い合わせ用アプリケーションソフトがインストールされた問い合わせユーザー通信端末160に対して通信し、所定のサービス依頼者に対する問い合わせを受け付け可能である点で、
図1に示す問い合わせ受付システム10とは異なる。しかし、問い合わせ受付システム110は、その余の部分においては第1実施形態に係る問い合わせ受付システム10と同様である。したがって、第2実施形態に係る問い合わせ受付システム110については、第1実施形態に係る問い合わせ受付システム10との相違点のみ説明を行い、問い合わせ受付システム10との共通点については、説明を省略する。
【0079】
問い合わせ受付システム110では、アプリ問い合わせ者169が、問い合わせ用アプリケーションソフトがインストールされた問い合わせユーザー通信端末160を用いて、アプリケーションサーバ32と通信する。ユーザー通信端末160は、スマートフォンやPCなどで構成され、インターネット等を介してアプリケーションサーバ32と接続される。
【0080】
たとえば、アプリ問い合わせ者169は、ユーザー通信端末160にインストールされた問い合わせ用アプリケーションソフトを用いて、サービス依頼者71のひとつであるBレストランの予約を行うことができる。この場合、問い合わせ用アプリケーションを介してユーザー通信端末160に表示する質問スクリプトおよび入力フォームの少なくとも一部が、
図3に示す電話応対シナリオ80に含まれておりオペレータ用アプリケーションを介してオペレータ通信端末60に表示する質問スクリプト81a~81dおよび入力フォーム82a~82bの少なくとも一部と共通である。
【0081】
アプリ問い合わせ者169は、
図3を用いて先述したように、オペレータ69がオペレータ用アプリケーションを用いて入力したのと同様にして、入力フォームに質問スクリプトに対する回答を入力し、Bレストランの予約を行うことができる。また、ユーザー通信端末160に入力された入力フォームへの回答は、オペレータ用アプリケーションの場合と同様に、アプリケーションサーバ32に送信され、情報管理サーバ50に記憶される。
【0082】
このような問い合わせ受付システム110は、電話による問い合わせ者90が、問い合わせ用アプリケーションによるアプリ問い合わせ者169へ移行する際の移行障壁を低減できる。そのため、このような問い合わせ受付システム110は、連絡全体に占める電話問い合わせ者90の割合を低下させ、オペレータ69の人件費を低減できる。また、電話応対シナリオ80の少なくとも一部を、問い合わせ用アプリケーションによる表示内容に流用できるため、システムの開発コストを抑制し、安価に複合的な問い合わせ受付システム110を作製することができる。
【0083】
また、
図7に示すように、問い合わせ者90やアプリ利用者69は、問い合わせ応対システム30を介して予約等を行った後、サービス依頼者71(C病院やBレストラン)に直接訪問する場合がある。この場合、問い合わせ受付システム10、110では、サービス依頼者71を訪問した問い合わせ者90やアプリ利用者169が、それより前に問い合わせ応対システム30を介して予約を行った人物と同一人物であることを、依頼者サーバ70を介して照合可能であってもよい。
【0084】
たとえば、依頼者サーバ70は、サービス依頼者71を訪問した問い合わせ者90やアプリ利用者69から、訪問者が予約を行った人物と同一人物であることを証明する情報を受け取り、予約者と訪問者が同一であることを照合可能であってもよい。訪問者が予約を行った人物と同一人物であることを証明するために依頼者サーバ80に提供する情報としては、免許証やマイナンバーカードや保険証の情報のような個人を特定するカードまたは情報媒体や、予約時に伝えられる予約番号や、問い合わせ受付システム10、110が発行するID情報などが考えられるが、特に限定されない。また、依頼者サーバ70は、訪問者から情報を受け取る端末として、予約番号を入力する装置や、ICチップ、磁気カードまたはバーコードの読み取り装置を有していてもよい。依頼者サーバ70は、問い合わせ応対システム30を介して取得され、情報管理サーバ50に記憶される問い合わせ者90やアプリ利用者69の個人情報(氏名、年齢、生年月日、住所、電話番号など)と、依頼者サーバ70の端末から取得された訪問者の情報とを比較して、予約者と訪問者が同一であるか否かを照合可能である。
【0085】
以上、実施形態を示しつつ、問い合わせ受付システム10について説明してきたが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態のみには限定されず、様々な他の実施形態を含み得る。実施形態では、病院やレストランや会社のように、予約(アポイントメント)を行う団体・会社の電話応答業務を例に挙げて本発明の技術内容を説明したが、本発明の技術は、これらとは異なる様々な業種のサービス依頼者に対する問い合わせを受け付けることが可能である。
【符号の説明】
【0086】
10、110…問い合わせ受付システム
20…基幹システム
21…CTIシステム
22…電話用フロントエンド部
23、32c、57、62…処理回路
24、58、66…通信部
30…問い合わせ応対システム
32…アプリケーションサーバ
32b…データ通信部
32d、64…記憶回路
36…チャットボット部
36d…電話応対シナリオ記憶部
36e…編集部
38…依頼者側フロントエンド部
50…情報管理サーバ
51…オペレータ情報記憶部
51a…オペレータスコア情報
51ab…フィードバック情報
52…問い合わせ内容記憶部
53…依頼者情報記憶部
60…オペレータ通信端末
68…表示部
69…オペレータ
70…依頼者サーバ
71…サービス依頼者
80…電話応対シナリオ
81a~81e…質問スクリプト
82a~82e…入力フォーム
90…問い合わせ者
91…電話機
92…公衆回線網
94…電話通話回線
160…ユーザー通信端末
169…アプリ問い合わせ者