(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121215
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 6/026 20200101AFI20220812BHJP
B62J 6/027 20200101ALI20220812BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
B62J6/026
B62J6/027
B62J23/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018444
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】秦野 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】黒須 弘稔
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フロントカバーに対するヘッドライトの左右の位置ずれを容易に防止できる鞍乗型車両を提供すること。
【解決手段】自動二輪車1は、中央孔24が形成されたフロントカバー20と、中央孔24の内部に配置されたヘッドライト41を有するヘッドライトユニット40と、フロントカバー20に固定されたステー60と、を備える。ヘッドライトユニット40は、第1~第3ボルト81~82によりステー60に取り付けられている。第1ボルト81が挿入される第1ステー孔1と、第2ボルト82が挿入される第2ステー孔と、第3ボルトが挿入される第3取付孔とは、左右に長い長孔である。フロントカバー20は、中央孔24の一部を区画する左壁25Lおよび右壁25Rを有している。ヘッドライトユニット40は、左壁25Lに対向する左接触面45Lと、右壁25Rに対向する右接触面45Rとを有している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向の中央に後方に延びる中央孔が形成されたフロントカバーと、
前記中央孔の内部に配置されたヘッドライトを有するヘッドライトユニットと、
前記フロントカバーに固定されたステーと、を備え、
前記ヘッドライトユニットには、第1の取付孔、第2の取付孔、および第3の取付孔が形成され、
前記ステーには、第1のステー孔、第2のステー孔、および第3のステー孔が形成され、
前記第1の取付孔および前記第1のステー孔の少なくとも一方は、左右に長い長孔であり、
前記第2の取付孔および前記第2のステー孔の少なくとも一方は、左右に長い長孔であり、
前記第3の取付孔および前記第3のステー孔の少なくとも一方は、左右に長い長孔であり、
前記第1の取付孔および前記第1のステー孔に挿入され、前記ヘッドライトユニットと前記ステーとを締結する第1のボルトと、
前記第2の取付孔および前記第2のステー孔に挿入され、前記ヘッドライトユニットと前記ステーとを締結する第2のボルトと、
前記第3の取付孔および前記第3のステー孔に挿入され、前記ヘッドライトユニットと前記ステーとを締結する第3のボルトと、を備え、
前記フロントカバーは、前記中央孔の一部を区画する左壁と、前記中央孔の一部を区画し、前記左壁の右方に位置する右壁と、を有し、
前記ヘッドライトユニットは、前記左壁から右方に離間しかつ前記左壁に対向する左接触面と、前記右壁から左方に離間しかつ前記右壁に対向する右接触面とを有している、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記左壁は後方かつ右方に延び、前記左接触面は後方かつ左方に延び、
前記右壁は後方かつ左方に延び、前記右接触面は後方かつ右方に延びている、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記ヘッドライトユニットは、少なくとも一部が前記ヘッドライトの左方に配置された左サイドカバーと、少なくとも一部が前記ヘッドライトの右方に配置された右サイドカバーと、を有し、
前記左接触面は前記左サイドカバーに備えられ、前記右接触面は前記右サイドカバーに備えられている、請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記左サイドカバーの前端および前記右サイドカバーの前端は、前記ヘッドライトの前端よりも前方に位置している、請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記中央孔は、車両正面視において左右対称の形状を有している、請求項1~4のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記中央孔は上縁を有し、
前記上縁は、車両正面視において、車幅方向の中央位置から左方かつ上方に延びる左上縁と、車幅方向の中央位置から右方かつ上方に延びる右上縁と、を有している、請求項1~5のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記第1のステー孔は、前記第3のステー孔の右方かつ上方に位置し、
前記第2のステー孔は、前記第3のステー孔の左方かつ上方に位置している、請求項1~6のいずれか一つに記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記第1のステー孔および前記第2のステー孔は、後方に開口し、
前記第3のステー孔は、下方に開口している、請求項7に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
請求項1に記載の鞍乗型車両の製造方法であって、
前記第1の取付孔および前記第1のステー孔に前記第1のボルトを挿入し、前記第2の取付孔および前記第2のステー孔に前記第2のボルトを挿入するステップと、
前記左壁と前記左接触面との間に挿入される左挿入部分と、前記右壁と前記右接触面との間に挿入される右挿入部分とを有する治具を、前記フロントカバーの前記中央孔の前方に位置付けるステップと、
前記治具を前記中央孔に挿入し、前記左挿入部分を前記左壁および前記左接触面に押し当て、前記右挿入部分を前記右壁および前記右接触面に押し当てることによって、前記フロントカバーに対する前記ヘッドライトユニットの左右の位置を合わせるステップと、
少なくとも前記第3のボルトにより、前記ヘッドライトユニットを前記ステーに固定するステップと、
を備えた、鞍乗型車両の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車幅方向の中央に配置されたヘッドライトを有する鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フロントカバーと、フロントカバーに取り付けられたヘッドライトとを備えた鞍乗型車両が知られている。また、フロントカバーの車幅方向の中央に、開口が形成された鞍乗型車両が知られている。特開2016-5942号公報には、中央部分に吸気開口が形成されたフロントカバーと、吸気開口の左方に配置された左ヘッドライトと、吸気開口の右方に配置された右ヘッドライトとを備えた自動二輪車が開示されている。吸気開口は、ダクトを介してエアクリーナに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヘッドライトをフロントカバーに取り付ける際に、ヘッドライトの左右の位置がずれてしまう場合がある。しかし、ヘッドライトが車幅方向の中央に配置されていない鞍乗型車両では、そのずれが目立つことはない。左ヘッドライトおよび右ヘッドライトを備えた鞍乗型車両では、各ヘッドライトの左右の位置がずれたとしても、特に目立つことはない。
【0005】
フロントカバーの中央の開口が吸気開口の場合、開口に接続される車両部品はダクトである。開口が吸気開口の場合、車両部品の左右の位置がずれたとしても、特に目立つことはない。
【0006】
ところが、フロントカバーの中央の開口にヘッドライトを配置する場合、ヘッドライトの左右の位置がずれると、そのずれが目立ってしまう。
【0007】
本発明の目的は、車幅方向の中央に開口が形成されたフロントカバーと、フロントカバーの開口に配置されたヘッドライトとを備え、フロントカバーに対するヘッドライトの左右の位置ずれを容易に防止できる鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示される鞍乗型車両は、車幅方向の中央に後方に延びる中央孔が形成されたフロントカバーと、前記中央孔の内部に配置されたヘッドライトを有するヘッドライトユニットと、前記フロントカバーに固定されたステーと、を備える。前記ヘッドライトユニットには、第1の取付孔、第2の取付孔、および第3の取付孔が形成されている。前記ステーには、第1のステー孔、第2のステー孔、および第3のステー孔が形成されている。前記第1の取付孔および前記第1のステー孔の少なくとも一方は、左右に長い長孔である。前記第2の取付孔および前記第2のステー孔の少なくとも一方は、左右に長い長孔である。前記第3の取付孔および前記第3のステー孔の少なくとも一方は、左右に長い長孔である。前記鞍乗型車両は、前記第1の取付孔および前記第1のステー孔に挿入され、前記ヘッドライトユニットと前記ステーとを締結する第1のボルトと、前記第2の取付孔および前記第2のステー孔に挿入され、前記ヘッドライトユニットと前記ステーとを締結する第2のボルトと、前記第3の取付孔および前記第3のステー孔に挿入され、前記ヘッドライトユニットと前記ステーとを締結する第3のボルトと、を備えている。前記フロントカバーは、前記中央孔の一部を区画する左壁と、前記中央孔の一部を区画し、前記左壁の右方に位置する右壁と、を有している、前記ヘッドライトユニットは、前記左壁から右方に離間しかつ前記左壁に対向する左接触面と、前記右壁から左方に離間しかつ前記右壁に対向する右接触面とを有している。
【0009】
上記鞍乗型車両によれば、中央孔の左壁とヘッドライトユニットの左接触面との間に挿入される左挿入部分と、中央孔の右壁とヘッドライトユニットの右接触面との間に挿入される右挿入部分とを有する治具を利用することにより、フロントカバーに対するヘッドライトの左右の位置ずれを容易になくすことができる。例えば、まず、第1の取付孔および第1のステー孔に第1のボルトを挿入し、第2の取付孔および第2のステー孔に第2のボルトを挿入する。次に、前記治具を前方から中央孔に挿入し、左挿入部分を前記左壁および前記左接触面に押し当て、右挿入部分を前記右壁および前記右接触面に押し当てる。これにより、フロントカバーに対するヘッドライトユニットの左右の位置合わせが行われる。ヘッドライトは、車幅方向の中央に位置づけられる。最後に、少なくとも第3のボルトにより、ヘッドライトユニットをステーに固定する。以上のようにして、フロントカバーに対するヘッドライトの左右の位置ずれは、容易に防止される。
【0010】
前記左壁は後方かつ右方に延びていてもよい。前記左接触面は後方かつ左方に延びていてもよい。前記右壁は後方かつ左方に延びていてもよい。前記右接触面は後方かつ右方に延びていてもよい。
【0011】
このことにより、左壁と左接触面との間の左右の間隔、および、右壁と右接触面との間の左右の間隔は、前方に行くほど広くなる。よって、治具の挿入が容易となる。フロントカバーに対するヘッドライトユニットの左右の位置合わせは容易となる。ヘッドライトの左右の位置ずれを容易に防止することができる。
【0012】
前記ヘッドライトユニットは、少なくとも一部が前記ヘッドライトの左方に配置された左サイドカバーと、少なくとも一部が前記ヘッドライトの右方に配置された右サイドカバーと、を有していてもよい。前記左接触面は前記左サイドカバーに備えられ、前記右接触面は前記右サイドカバーに備えられていてもよい。
【0013】
このことにより、治具をヘッドライトに接触させずに、ヘッドライトユニットの左右の位置合わせを行うことができる。
【0014】
前記左サイドカバーの前端および前記右サイドカバーの前端は、前記ヘッドライトの前端よりも前方に位置していてもよい。
【0015】
このことにより、前記治具を前方から中央孔に挿入するときに、フロントカバーの左壁と左サイドカバーの左接触面との間に、左挿入部分を早めに挿入することができ、また、フロントカバーの右壁と右サイドカバーの右接触面との間に、右挿入部分を早めに挿入することができる。よって、治具の挿入が容易となる。フロントカバーに対するヘッドライトユニットの左右の位置合わせは容易となる。ヘッドライトの左右の位置ずれを容易に防止することができる。
【0016】
前記中央孔は、車両正面視において左右対称の形状を有していてもよい。
【0017】
中央孔が左右対称の形状を有していると、ヘッドライトの左右の位置がずれた場合に、そのずれが目立ちやすい。しかし、上記鞍乗型車両によれば、ヘッドライトの左右の位置ずれが防止されるので、中央孔が上記形状を有していても問題はない。
【0018】
前記中央孔は上縁を有していてもよい。前記上縁は、車両正面視において、車幅方向の中央位置から左方かつ上方に延びる左上縁と、車幅方向の中央位置から右方かつ上方に延びる右上縁と、を有していてもよい。
【0019】
上記中央孔は、車幅方向の中央の位置が目立ちやすい形状に形成されている。そのため、ヘッドライトの左右の位置がずれた場合、そのずれは目立ちやすい。しかし、上記鞍乗型車両によれば、ヘッドライトの左右の位置ずれが防止されるので、中央孔が上記形状を有していても問題はない。
【0020】
前記第1のステー孔は、前記第3のステー孔の右方かつ上方に位置していてもよい。前記第2のステー孔は、前記第3のステー孔の左方かつ上方に位置していてもよい。
【0021】
このことにより、ステーはヘッドライトユニットを安定して支持することができる。
【0022】
前記第1のステー孔および前記第2のステー孔は、後方に開口していてもよい。前記第3のステー孔は、下方に開口していてもよい。
【0023】
このことにより、第1のボルトおよび第2のボルトを後方から締結することができる。第3のステー孔は比較的下方に設けられているが、第3のボルトは下方から締結することができる。第1~第3のボルトの締結に当たって、ツールパスを容易に確保することができる。よって、ヘッドライトユニットの左右の位置合わせを行った後、第1~第3のボルトを容易に締結することができる。
【0024】
ここに開示される前記鞍乗型車両の製造方法は、前記第1の取付孔および前記第1のステー孔に前記第1のボルトを挿入し、前記第2の取付孔および前記第2のステー孔に前記第2のボルトを挿入するステップを備える。前記製造方法は、前記左壁と前記左接触面との間に挿入される左挿入部分と、前記右壁と前記右接触面との間に挿入される右挿入部分とを有する治具を、前記フロントカバーの前記中央孔の前方に位置付けるステップを備える。前記製造方法は、前記治具を前記中央孔に挿入し、前記左挿入部分を前記左壁および前記左接触面に押し当て、前記右挿入部分を前記右壁および前記右接触面に押し当てることによって、前記フロントカバーに対する前記ヘッドライトユニットの左右の位置を合わせるステップを備える。前記製造方法は、少なくとも前記第3のボルトにより、前記ヘッドライトユニットを前記ステーに固定するステップを備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、車幅方向の中央に開口が形成されたフロントカバーと、フロントカバーの開口に配置されたヘッドライトとを備え、フロントカバーに対するヘッドライトの左右の位置ずれを容易に防止できる鞍乗型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【
図5】ステーおよびヘッドライトユニットの左側面図である。
【
図7】フロント部の中央孔およびヘッドライト等の拡大正面図である。
【
図12】ステーおよびヘッドライトユニットの背面図である。
【
図13】ステーおよびヘッドライトユニットの底面図である。
【
図14】ヘッドライトユニットとステーとの組立方法のフローチャートである。
【
図15】ヘッドライトユニットとステーとの他の組立方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、一実施形態について説明する。
図1は、鞍乗型車両の一例である自動二輪車1の左側面図である。
図2は、自動二輪車1の正面図である。
【0028】
以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下とは、乗員が乗車せずかつ荷物が載せられていない自動二輪車1が水平面上に直立した状態で停止している場合に、シート2に着座した仮想的な乗員から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図中のF、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。前方とは、車両平面視において、車両中心線CL(
図6参照)に沿って前向きに延びる方向だけでなく、当該方向から左右に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。同様に、後方とは、車両平面視において、車両中心線CLに沿って後向きに延びる方向だけでなく、当該方向から左右に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。左方とは、車両平面視において、車両中心線CLに対して垂直に左向きに延びる方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。右方とは、車両平面視において、車両中心線CLに対して垂直に右向きに延びる方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。上方とは、車両側面視において、鉛直上向きの方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。下方とは、車両側面視において、鉛直下向きの方向だけでなく、当該方向から前後に45度以内の角度で傾いた方向も含まれるものとする。
【0029】
図1に示すように、自動二輪車1は、ヘッドパイプ3を有する車体フレーム4と、車体フレーム4に支持された内燃機関5と、車体フレーム4に支持されたシート2と、前輪6と、後輪7とを備えている。ヘッドパイプ3には図示しないステアリングシャフトが挿入されている。ステアリングシャフトの上部には、ハンドルバー8が固定されている。ステアリングシャフトの下部には、フロントフォーク9が固定されている。前輪6はフロントフォーク9に支持されている。フロントフォーク9には、フロントフェンダ13が支持されている。シート2の前方には燃料タンク10が配置されている。車体フレーム4にはピボット軸11が固定されている。ピボット軸11には、リアアーム12の前端部が揺動可能に連結されている。後輪7はリアアーム12の後端部に支持されている。
【0030】
自動二輪車1は、フロントカバー20を備えている。フロントカバー20の少なくとも一部は、ヘッドパイプ3よりも前方に配置されている。本実施形態では、フロントカバー20は、フロントカウル21と、左サイドカウル22Lと、右サイドカウル22R(
図2参照)と、ウインドシールド23とを有している。フロントカウル21は、ヘッドパイプ3の前方に配置されている。フロントカウル21、左サイドカウル22L、右サイドカウル22R、およびウインドシールド23は、互いに別体に形成されている。ただし、限定されない。フロントカウル21、左サイドカウル22L、右サイドカウル22R、およびウインドシールド23のうちの2つ以上は、一体的に形成されていてもよい。
【0031】
図2において、線CWLは車幅方向の中央を通る鉛直線である。以下、線CWLのことを中央線CWLと称することとする。中央線CWLは、前輪6および後輪7の車幅方向の中央を通っている。中央線CWLは、中心線CL(
図6参照)に垂直な鉛直線である。
図2に示すように、フロントカウル21には中央孔24が形成されている。中央孔24は後方に延びている。中央孔24は、前方および後方に開口している。車両正面視において、中央線CWLは中央孔24と交差している。車両正面視において、中央孔24の内部にはヘッドライト41が配置されている。
【0032】
左サイドカウル22Lには左フラッシャ16Lが取り付けられている。右サイドカウル22Rには右フラッシャ16Rが取り付けられている。左フラッシャ16Lは、中央孔CWLの左方かつ下方に配置されている。右フラッシャ16Rは、中央孔CWLの右方かつ下方に配置されている。
【0033】
フロントカウル21における中央線CWLの左方かつ中央孔24の上方の部分には、左サイドミラー17Lが取り付けられている。フロントカウル21における中央線CWLの右方かつ中央孔24の上方の部分には、右サイドミラー17Rが取り付けられている。
【0034】
図3は、自動二輪車1の一部(以下、フロント部という)50の左側面図である。
図4は、フロント部50の背面図である。
図4に示すように、フロント部50は、フロントカウル21と、ウインドシールド23と、ステー60と、ヘッドライト41を有するヘッドライトユニット40とを有している。本実施形態では、フロントカウル21は、第1部品21Aと、第1部品21Aに組み付けられた第2部品21Bとを含んでいる。しかし、第1部品21Aと第2部品21Bとは、一体物であってもよい。フロントカウル21は、複数の部品を組み立てることにより構成されていてもよく、単一の部品であってもよい。
【0035】
図4に示すように、フロントカウル21はステー60に固定されている。
図5に示すように、ヘッドライトユニット40はステー60に固定されている。ステー60は、フロントカバー20の少なくとも一部およびヘッドライトユニット40を支持している。ステー60は、前方に延びる縦フレーム62と、左方および右方に延びる横フレーム63とを有している。
図4に示すように、ステー60は、左アーム64Lおよび右アーム64Rを有している。図示は省略するが、縦フレーム62の後端部は、ボルト61によりヘッドパイプ3(
図1参照)に固定されている。横フレーム63は縦フレーム62の前端部に固定されている。左アーム64Lおよび右アーム64Rは、縦フレーム62の前端部に固定されている。
【0036】
図4に示すように、左アーム64Lおよび右アーム64Rの上端部には、ブラケット65が固定されている。ブラケット65には、フロントカウル21が取り付けられている。
【0037】
図6はフロント部50の水平断面図であり、
図3のVI-VI線断面図である。
図6に示すように、ヘッドライトユニット40は、ヘッドライト41と、ケース42と、少なくとも一部がヘッドライト41の左方に配置された左サイドカバー43Lと、少なくとも一部がヘッドライト41の右方に配置された右サイドカバー43Rとを有している。
【0038】
ヘッドライト41は、光源47と、光源47の前方に配置されたレンズ44とを含んでいる。レンズ44は、前方に向かって凸状に形成されている。本実施形態では、レンズ44は半球状に形成されている。車両正面視におけるレンズ44の中心44c(
図7参照)は、車両中心線CL上に位置している。レンズ44の中心44cは、ヘッドライト41の前端となっている。ただし、レンズ44の上記形状は一例である。レンズ44の形状は特に限定されない。
【0039】
左サイドカバー43Lは車両中心線CLの左方に配置されている。左サイドカバー43Lは、ヘッドライト41の少なくとも一部の左方に配置されている。左サイドカバー43Lは、レンズ44の少なくとも一部の左方に配置されている。左サイドカバー43Lは、後述する治具90の左挿入部分90Lと接触し得る左接触面45Lを有している。左接触面45Lは上方に延びている。また、左接触面45Lは、後方かつ左方に延びている。左サイドカバー43Lの前端43Lfは、ヘッドライト41の前端44cよりも前方に位置している。左接触面45Lの前端は、ヘッドライト41の前端44cよりも前方に位置している。
【0040】
右サイドカバー43Rは、左サイドカバー43Lと左右対称に配置されている。右サイドカバー43Rは車両中心線CLの右方に配置されている。右サイドカバー43Rは、ヘッドライト41の少なくとも一部の右方に配置されている。右サイドカバー43Rは、レンズ44の少なくとも一部の右方に配置されている。右サイドカバー43Rは、治具90の右挿入部分90Rと接触し得る右接触面45Rを有している。右接触面45Rは上方に延びている。また、右接触面45Rは、後方かつ右方に延びている。右サイドカバー43Rの前端43Rfは、ヘッドライト41の前端44cよりも前方に位置している。右接触面45Rの前端は、ヘッドライト41の前端44cよりも前方に位置している。
【0041】
図7は、フロント部50の中央孔24およびヘッドライト41等の拡大正面図である。中央孔24は、上縁24Uと、下縁24Dと、左縁24Lと、右縁24Rとを有している。中央孔24は、車両正面視において、中央線CWLを境に左右対称の形状を有している。上縁24Uは、車両正面視において車幅方向の中央位置24Umから左方かつ上方に延びる左上縁24ULと、車両正面視において中央位置24Umから右方かつ上方に延びる右上縁24URとを有している。上縁24Uは、車両正面視においてV型に形成されている。下縁24Dは、車両正面視において左方および右方に延びている。左縁24Lは、車両正面視において、下縁24Dの左端から左上縁24ULの左端まで、左方かつ上方に延びている。右端24Rは、車両正面視において、下縁24Dの右端から右上縁24URまで、右方かつ上方に延びている。
【0042】
図6に示すように、中央孔24は後方に延びている。フロントカウル21は、それぞれ中央孔24の一部を区画する左壁25L、右壁25R、下壁25D、および上壁(図示せず)を有している。左壁25Lは、後方かつ右方に延びている。右壁25Rは、後方かつ左方に延びている。左壁25Lの前端25Lfおよび右壁25Rの前端25Rfは、左サイドカバー43Lの前端43Lfおよび右サイドカバー43Rの前端43Rfよりも前方に位置している。
【0043】
図6に示すように、左接触面45Lは左壁25Lから右方に離間している。左接触面45Lは左壁25Lに対向している。右接触面45Rは右壁25Rから左方に離間している。右接触面45Rは右壁25Rに対向している。左接触面45Lと左壁25Lとの間には、隙間GLが形成されている。右接触面45Rと右壁25Rとの間には、隙間GRが形成されている。隙間GLおよび隙間GRの左右の間隔は、それぞれ後方に行くほど小さくなっている。
【0044】
図8はヘッドライトユニット40の背面図である。ヘッドライトユニット40のケース42の後部には、第1ボルト81が挿通される第1取付孔51と、第2ボルト82が挿通される第2取付孔52とが形成されている。第1取付孔51は中央線CWLの右方に形成されている。第2取付孔52は中央線CWLの左方に形成されている。第1取付孔51および第2取付孔52は、後方に開口している。第1取付孔51および第2取付孔52は、内径が一定の円孔である。
【0045】
図9はヘッドライトユニット40の底面図である。ヘッドライトユニット40のケース42の底部には、第3取付孔53が形成されている。第3取付孔53は車両中心線CLと交差している。第3取付孔53は下方に開口している。第3取付孔53は、左右に長い長孔である。すなわち、第3取付孔53は、左右の寸法が前後の寸法よりも大きな長孔である。
【0046】
図10はステー60の背面図である。ステー60の横フレーム63は、左右方向および上下方向に延びるプレート部63Aを有している。プレート部63Aには、第1ステー孔71および第2ステー孔72が形成されている。第1ステー孔71は、中央線CWLの右方に形成されている。第2ステー孔72は、中央線CWLの左方に形成されている。第1ステー孔71および第2ステー孔72は、左右に長い長孔である。すなわち、第1ステー孔71および第2ステー孔72は、左右の寸法が上下の寸法よりも大きな長孔である。第1ステー孔71および第2ステー孔72は、前後に貫通している。第1ステー孔71および第2ステー孔72は、前方および後方に開口している。
【0047】
図11はステー60の底面図である。横フレーム63は、左右方向および前後方向に延びるプレート部63Bを有している。プレート部63Bには、第3ステー孔73が形成されている。第3ステー孔73は車両中心線CLと重なっている。第3ステー孔73は、半径が一定の円孔である。第3ステー孔73は、上下に貫通している。第3ステー孔73は、上方および下方に開口している。
【0048】
図10に示すように、第1ステー孔71は、第3ステー孔73の右方かつ上方に位置している。第2ステー孔72は、第3ステー孔73の左方かつ上方に位置している。
【0049】
図12に示すように、第1ステー孔71および第1取付孔51には、第1ボルト81が挿入されている。第2ステー孔72および第2取付孔52には、第2ボルト82が挿入されている。ヘッドライトユニット40とステー60とは、第1ボルト81および第2ボルト82によって結合されている。
図13に示すように、第3ステー孔73および第3取付孔53には、第3ボルト83が挿入されている。ヘッドライトユニット40とステー60とは、第3ボルト83によって結合されている。
【0050】
以上が自動二輪車1の構成である。自動二輪車1では、フロントカウル21の中央孔24にヘッドライト41が配置されている。フロントカウル21に対するヘッドライト41の左右の位置がずれていると、そのずれが目立ってしまう。そこで、本実施形態では、ヘッドライトユニット40をステー60に組み立てるときに、治具90(
図6参照)を利用してヘッドライト41の位置合わせを行う。次に、
図14のフローチャートを参照しながら、ヘッドライトユニット40とステー60との組立方法の一例について説明する。なお、以下に説明するヘッドライトユニット40とステー60との組立は、自動二輪車1の製造工程の一部である。以下の組立方法は、自動二輪車1の製造方法に含まれる。
【0051】
前述したように、ヘッドライトユニット40は、第1ボルト81、第2ボルト82、および第3ボルト83により、ステー60に固定される。まず、ヘッドライトユニット40をステー60の前方に位置付ける。次に、第1ステー孔71および第1取付孔51に、後方から第1ボルト81を挿入し、第1ボルト81を締める。第2ステー孔72および第2取付孔52に、後方から第2ボルト82を挿入し、第2ボルト82を締める。
【0052】
第1ボルト81は、左右に細長い第1ステー孔71と、円孔からなる第1取付孔51とに挿通される。第2ボルト82は、左右に細長い第2ステー孔72と、円孔からなる第2取付孔52とに挿通される。本実施形態では、第1ボルト81および第2ボルト82は、ラバーマウントボルトである。すなわち、第1ボルト81および第2ボルト82は、軸と、軸の周囲に配置された円筒状のゴムとを有するボルトである。第1ボルト81のゴムは第1ステー孔71および第1取付孔51の内部に配置され、第2ボルト82のゴムは第2ステー孔72および第2取付孔52の内部に配置される。そのため、ヘッドライトユニット40はステー60に対して、左方および右方に移動可能である。
【0053】
次に、
図6に模式的に示すように、位置合わせ用の治具90を中央孔24の前方に位置付ける(ステップS2参照)。治具90は、左壁25Lと左接触面45Lとの間に挿入される左挿入部分90Lと、右壁25Rと右接触面45Rとの間に挿入される右挿入部分90Rとを有している。左挿入部分90Lの形状および寸法は、予め左壁25Lおよび左接触面45Lの形状および寸法に適合した形状および寸法に設定されている。右挿入部分90Rの形状および寸法は、予め右壁25Rおよび右接触面45Rの形状および寸法に適合した形状および寸法に設定されている。左挿入部分90Lは、後方かつ右方に延びる左面90LLと、後方かつ左方に延びる右面90LRとを有している。右挿入部分90Rは、後方かつ左方に延びる右面90RRと、後方かつ右方に延びる左面90RLとを有している。
【0054】
次に、治具90を中央孔24に挿入する(ステップS3参照)。治具90を中央孔24に挿入すると、左挿入部分90Lは左壁25Lおよび左接触面45Lに押し当てられ、右挿入部分90Rは右壁25Rおよび右接触面45Rに押し当てられる。この際、フロントカウル21に対するヘッドライトユニット40の左右の位置がずれていると、ヘッドライトユニット40は治具90により、左方または右方に押される。ヘッドライトユニット40が左方または右方に移動することにより、左壁25Lと左接触面45Lとの間隔、および、右壁25Rと右接触面45Rとの間隔は、予め定められた所定の間隔に調整される。これにより、ヘッドライトユニット40は、フロントカウル21に対して、予め定められた所定位置(左右のずれがない位置)に位置決めされる。すなわち、フロントカウル21に対するヘッドライトユニット40の左右の位置が合わされる。ヘッドライト41のレンズ44の中心44cは、車両中心線CL上および中央線CWL(
図7参照)上に位置付けられる。ヘッドライト41の左右の位置は、中央孔24の左右の位置に合わせられる。
【0055】
このようにしてヘッドライトユニット40の左右の位置を合わせた後、第3ステー孔73および第3取付孔53に、下方から第3ボルト83を挿入し、第3ボルト83を締める(ステップS4参照)。すなわち、ヘッドライトユニット40がステー60に対して左右に移動不能なように、第3ボルト83によってヘッドライトユニット40をステー60に固定する。
【0056】
以上により、フロントカウル21の中央孔24に対してヘッドライト41の左右の位置がずれないようにして、ヘッドライトユニット40とステー60とを組み立てることができる。なお、フロントカウル21、ヘッドライトユニット40、およびステー60を含むフロント部50は、組み立てた後、一体的に搬送することができる。フロント部50を別の組立現場に搬送し、ステー60をヘッドパイプ3にボルト61により固定することにより、フロント部50を車体フレーム4に一体的に取り付けることができる。
【0057】
上記組立方法は一例である。ヘッドライトユニット40およびステー60を他の方法によって組み立ててもよい。例えば、
図15に示すように、下記の方法により組み立ててもよい。
【0058】
他の組立方法の一例では、まず、ヘッドライトユニット40をステー60の前方に位置付ける。次に、第1ステー孔71および第1取付孔51に、後方から第1ボルト81を挿入し、第1ボルト81を仮締めする。第2ステー孔72および第2取付孔52に、後方から第2ボルト82を挿入し、第2ボルト82を仮締めする。第3ステー孔73および第3取付孔53に、下方から第3ボルト83を挿入し、第3ボルト83を仮締めする(ステップS11参照)。なお、仮締めとは、ヘッドライトユニット40がステー60に対して移動可能な程度に、第1~第3ボルト81~83を緩く締めることである。
【0059】
次に、位置合わせ用の治具90を中央孔24の前方に位置付け(ステップS12参照)、治具90を中央孔24に挿入する(ステップS13参照)。これにより、ヘッドライトユニット40は、フロントカウル21に対して、予め定められた所定位置(左右のずれがない位置)に位置決めされる。ヘッドライト41の左右の位置は、中央孔24の左右の位置に合わせられる。
【0060】
ヘッドライトユニット40の左右の位置を合わせた後、第1ボルト81、第2ボルト82、および第3ボルト83を本締めする(ステップS14参照)。すなわち、第1ボルト81、第2ボルト82、および第3ボルト83により、ヘッドライトユニット40をステー60に固定する。
【0061】
このような方法によっても、フロントカウル21の中央孔24に対してヘッドライト41の左右の位置がずれないようにして、ヘッドライトユニット40とステー60とを組み立てることができる。
【0062】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
自動二輪車1によれば、前述したように、治具90を利用することにより、フロントカバー20に対するヘッドライト41の左右の位置ずれを容易になくすことができる。
【0064】
本実施形態によれば
図6に示すように、左壁25Lは後方かつ右方に延び、左接触面45Lは後方かつ左方に延びている。右壁25Rは後方かつ左方に延び、右接触面45Rは後方かつ右方に延びている。左壁25Lと左接触面45Lとの間の左右の間隔、および、右壁25Rと右接触面45Rとの間の左右の間隔は、前方に行くほど広くなっている。よって、治具90の挿入が容易となる。フロントカバー20に対するヘッドライトユニット40の左右の位置合わせを容易に行うことができる。中央孔24に対するヘッドライト41の左右の位置ずれを容易に防止することができる。
【0065】
本実施形態によれば、ヘッドライトユニット40は、少なくとも一部がヘッドライト41の左方に配置された左サイドカバー43Lと、少なくとも一部がヘッドライト41の右方に配置された右サイドカバー43Rと、を有している。左接触面45Lは左サイドカバー43Lに備えられ、右接触面45Rは右サイドカバー43Rに備えられている。そのため、治具90を中央孔24に挿入したときに、治具90はヘッドライト41と接触しない。治具90をヘッドライト41と接触させずに、ヘッドライトユニット40の左右の位置合わせを行うことができる。
【0066】
本実施形態によれば、左サイドカバー43Lの前端43Lfおよび右サイドカバー43Rの前端43Rfは、ヘッドライト41の前端44cよりも前方に位置している。そのため、治具90を中央孔24に挿入するときに、左壁25Lと左接触面45Lとの間に左挿入部分90Lを早めに挿入することができ、また、右壁25Rと右接触面45Rとの間に右挿入部分90Rを早めに挿入することができる。よって、治具90の挿入が容易となる。ヘッドライトユニット40の左右の位置合わせを容易に行うことができる。
【0067】
本実施形態によれば
図7に示すように、中央孔24は、車両正面視において左右対称の形状を有している。中央孔24が左右対称の形状を有していると、ヘッドライト41の左右の位置がずれた場合に、そのずれが目立ちやすい。しかし、ヘッドライト41の左右の位置ずれが防止されるので、中央孔24が上記形状を有していても問題はない。
【0068】
本実施形態によれば、中央孔24の上縁24Uは、車両正面視において、車幅方向の中央位置24Umから左方かつ上方に延びる左上縁24ULと、車幅方向の中央位置24Umから右方かつ上方に延びる右上縁24URと、を有している。中央孔24は、車幅方向の中央の位置が目立ちやすい形状に形成されている。そのため、ヘッドライト41の左右の位置がずれた場合、そのずれは目立ちやすい。しかし、ヘッドライト41の左右の位置ずれが防止されるので、中央孔24が上記形状を有していても問題はない。
【0069】
本実施形態によれば
図10に示すように、第1ステー孔71は第3ステー孔73の右方かつ上方に位置し、第2ステー孔72は第3ステー孔73の左方かつ上方に位置している。第1ステー孔71、第2ステー孔72、および第3ステー孔73がこのように配置されていることにより、ステー60はヘッドライトユニット40を安定して支持することができる。
【0070】
本実施形態によれば、第1ステー孔71および第2ステー孔72は、後方に開口している。よって、第1ボルト81および第2ボルト82を後方から挿入し、締結することができる。第3ステー孔73は下方に開口している。第3ステー孔73は比較的下方に設けられているが、第3ボルト83を下方から挿入し、締結することができる。そのため、第1ボルト81、第2ボルト82、および第3ボルト82の締結に当たって、工具の挿入経路を容易に確保することができる。すなわち、ツールパスを容易に確保することができる。よって、ヘッドライトユニット40の左右の位置合わせを行った後、第1ボルト81、第2ボルト82、および第3ボルト83を容易に締結することができる。
【0071】
以上、一実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。他にも様々な実施形態が可能である。
【0072】
上記実施形態では、第1取付孔51は円孔であり、第1ステー孔71は長孔である。しかし、第1取付孔51および第1ステー孔71は、少なくとも一方が左右に長い長孔であればよい。例えば、第1取付孔51が左右に長い長孔であり、第1ステー孔71が円孔であってもよい。第1取付孔51および第1ステー孔71の両方が左右に長い長孔であってもよい。第2取付孔52および第2ステー孔72についても、少なくとも一方が左右に長い長孔であればよい。第3取付孔53および第3ステー孔73についても、少なくとも一方が左右に長い長孔であればよい。
【0073】
左壁25Lと左接触面45Lとの間の左右の間隔、および、右壁25Rと右接触面45Rとの間の左右の間隔は、必ずしも前方に行くほど広くなっていなくてもよい。左壁25Lは後方かつ右方に延びていなくてもよい。右壁25Rは後方かつ左方に延びていなくてもよい。左接触面45Lは後方かつ左方に延びていなくてもよい。右接触面45Rは後方かつ右方に延びていなくてもよい。
【0074】
ヘッドライトユニット40は、左サイドカバー43Lおよび右サイドカバー43Rの一方または両方を有していなくてもよい。例えば、治具90は、ヘッドライト41に押し当てられるように構成されていてもよい。この場合、治具90に接触する左接触面および右接触面は、ヘッドライト41に備えられることになる。
【0075】
左サイドカバー43Lの前端43Lfおよび右サイドカバー43Rの前端43Rfは、必ずしもヘッドライト41の前端44cよりも前方に位置していなくてもよい。例えば、左サイドカバー43Lの前端43Lfおよび右サイドカバー43Rの前端43Rfは、ヘッドライト41の前端44cよりも後方に位置していてもよい。
【0076】
中央孔24の形状は特に限定されない。中央孔24は、車両正面視において左右対称の形状を有していなくてもよい。中央孔24の上縁24Uは、車幅方向の中央位置24Umから左方かつ上方に延びる左上縁24UL、および、車幅方向の中央位置24Umから右方かつ上方に延びる右上縁24URを有していなくてもよい。
【0077】
第1ステー孔71、第2ステー孔72、および第3ステー孔73の位置関係は特に限定されない。第1ステー孔71は第3ステー孔73の右方かつ上方に位置していなくてもよい。第2ステー孔72は第3ステー孔73の左方かつ上方に位置していなくてもよい。
【0078】
第1ステー孔71および第2ステー孔72は、後方に開口していなくてもよい。例えば、第1ステー孔71および第2ステー孔72は、上方に開口していてもよい。第3ステー孔73は下方に開口していなくてもよい。例えば、第3ステー孔73は、後方に開口していてもよい。
【0079】
ステー孔および取付孔の数は、それぞれ3つに限られない。ステー60には、第1ステー孔71、第2ステー孔72、および第3ステー孔73に加えて、1つ以上の他のステー孔が形成されていてもよい。ヘッドライトユニット40には、第1取付孔51、第2取付孔52、および第3取付孔53に加えて、1つ以上の他の取付孔が形成されていてもよい。ヘッドライトユニット40はステー60に対して、第1ボルト81、第2ボルト82、および第3ボルト83に加えて、1つ以上の他のボルトによって締結されていてもよい。なお、この場合、他のステー孔および他の取付孔の少なくとも一方は、左右に長い長孔であればよい。第1~第3ボルト81~83は、ラバーマウントボルトであってもよく、ラバーマウントボルトでなくてもよい。
【0080】
前述の治具90の形状は一例に過ぎない。フロントカバー20の左壁25Lおよび右壁25Rとヘッドライトユニット40の左接触面45Lおよび右接触面45Rとに接触する部分を有し、前方から中央孔24に挿入されることによってヘッドライトユニット40の左右の位置を合わせることができる限り、治具90の形状は特に限定されない。
【0081】
鞍乗型車両とは、乗員が跨がって乗車する車両のことである。鞍乗型車両は自動二輪車1に限定されない。鞍乗型車両は、例えば、自動三輪車、ATV(All Terrain vehicle)、スノーモービルであってもよい。
【0082】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0083】
1…自動二輪車(鞍乗型車両)、20…フロントカバー、21…フロントカウル、24…中央孔、24U…上縁、24UL…左上縁、24UR…右上縁、25L…左壁、25R…右壁、40…ヘッドライトユニット、41…ヘッドライト、43L…左サイドカバー、43R…右サイドカバー、45L…左接触面、45R…右接触面、51…第1取付孔、52…第2取付孔、53…第3取付孔、60…ステー、71…第1ステー孔、72…第2ステー孔、73…第3ステー孔、81…第1ボルト、82…第2ボルト、83…第3ボルト、90…治具、90L…左挿入部分、90R…右挿入部分