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特開2022-121240電柱、電柱劣化時間推定装置、及び、電柱劣化時間推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121240
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】電柱、電柱劣化時間推定装置、及び、電柱劣化時間推定方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 12/12 20060101AFI20220812BHJP
   G01N 17/00 20060101ALI20220812BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20220812BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
E04H12/12
G01N17/00
H02G1/02
H02G7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018495
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399043196
【氏名又は名称】株式会社アミック
(74)【代理人】
【識別番号】100131428
【弁理士】
【氏名又は名称】若山 剛
(72)【発明者】
【氏名】田附 匡
(72)【発明者】
【氏名】小松 基張
(72)【発明者】
【氏名】小山 健
(72)【発明者】
【氏名】宮古 尚
(72)【発明者】
【氏名】長岡 康之
(72)【発明者】
【氏名】三輪 英雄
(72)【発明者】
【氏名】高鍋 雅則
(72)【発明者】
【氏名】阿部 俊一
【テーマコード(参考)】
2G050
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
2G050AA07
2G050BA02
2G050BA12
2G050EB02
5G352AM01
5G352AM05
5G367AA02
(57)【要約】
【課題】劣化を抑制することが可能な電柱を提供すること。
【解決手段】電柱1は、中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状又は円柱状である。電柱1は、本体部11と、複数の鉄筋12と、を備える。本体部11は、電柱1のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である。複数の鉄筋12は、本体部11の内周面ISと本体部11の外周面OSとの間において軸方向にて延在する。電柱1は、複数の鉄筋12のそれぞれに対して、本体部11の内周面ISと鉄筋12との間の距離である内側被覆厚T1の、本体部11の外周面OSと鉄筋12との間の距離である外側被覆厚T2に対する比である被覆厚比が1.2以下である。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状又は円柱状である電柱であって、
前記電柱のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である本体部と、
前記本体部の内周面と前記本体部の外周面との間において軸方向にて延在する複数の鉄筋と、を備え、
前記複数の鉄筋のそれぞれに対して、前記内周面と前記鉄筋との間の距離である内側被覆厚の、前記外周面と前記鉄筋との間の距離である外側被覆厚に対する比である被覆厚比が1.2以下である、電柱。
【請求項2】
請求項1に記載の電柱であって、
前記被覆厚比が0.4乃至0.8の値を有する、電柱。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電柱であって、
前記内側被覆厚が9mm乃至35mmの値を有する、電柱。
【請求項4】
中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状又は円柱状である電柱が劣化するまでに要する時間を表す劣化時間を推定する電柱劣化時間推定装置であって、
前記電柱は、
前記電柱のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である本体部と、
前記本体部の内周面と前記本体部の外周面との間において軸方向にて延在する複数の鉄筋と、を備え、
前記電柱劣化時間推定装置は、
前記複数の鉄筋の少なくとも1つに対して、前記内周面と前記鉄筋との間の距離である内側被覆厚の、前記外周面と前記鉄筋との間の距離である外側被覆厚に対する比である被覆厚比を表す被覆厚比情報を取得する被覆厚比情報取得部と、
前記取得された被覆厚比情報が表す被覆厚比に基づいて、前記劣化時間を推定する劣化時間推定部と、
を備える、電柱劣化時間推定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電柱劣化時間推定装置であって、
前記劣化時間は、前記外周面にてクラックが発生するまでに要する時間を表し、
前記劣化時間推定部は、前記被覆厚比が所定の閾値以下である場合、前記被覆厚比が小さくなるほど長くなる値を有するように前記劣化時間を推定する、電柱劣化時間推定装置。
【請求項6】
中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状又は円柱状である電柱が劣化している程度を表す劣化時間を推定する電柱劣化時間推定方法であって、
前記電柱は、
前記電柱のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である本体部と、
前記本体部の内周面と前記本体部の外周面との間において軸方向にて延在する複数の鉄筋と、を備え、
前記電柱劣化時間推定方法は、
前記複数の鉄筋の少なくとも1つに対して、前記内周面と前記鉄筋との間の距離である内側被覆厚の、前記外周面と前記鉄筋との間の距離である外側被覆厚に対する比である被覆厚比を表す被覆厚比情報を取得し、
前記取得された被覆厚比情報が表す被覆厚比に基づいて、前記劣化時間を推定する、
ことを含む、電柱劣化時間推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱、電柱劣化時間推定装置、及び、電柱劣化時間推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛直方向にて延在するように設置されるとともに、架線(例えば、電線、電話線、又は、通信ケーブル等)を空中にて支持する電柱が知られている。例えば、特許文献1に記載の電柱は、中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状である。電柱は、電柱のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である本体部を備える。電柱は、本体部の内周面と本体部の外周面との間において軸方向にて延在する複数の鉄筋を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-345132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、風、雨又は雪等に含まれる水分が本体部の外周面に付着すると、当該外周面から本体部の内部へ水分が浸透する。その結果、本体部の内部に位置する鉄筋が腐食するとともに、錆が生成される。特に、海の近傍においては、風、雨又は雪等に比較的多くの塩分が含まれる。従って、本体部の外周面から本体部の内部へ塩分も浸透するので、鉄筋の腐食及び錆の生成が促進されやすい。
【0005】
鉄筋の強度は、腐食に伴って低下する。また、本体部の内部にて生成した錆は、本体部内に応力を生じる。その結果、本体部においてクラックが発生することがある。特に、本体部の外周面にクラックが発生した場合、本体部の外周面から本体部の内部へ水分及び塩分が浸透しやすくなる。従って、この場合、鉄筋の腐食及び錆の生成がより一層促進されやすい。
このように、特許文献1に記載の電柱は、比較的早期に劣化する場合がある、という課題があった。
【0006】
本発明の目的の一つは、電柱の劣化を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの側面では、電柱は、中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状又は円柱状である。
電柱は、本体部と、複数の鉄筋と、を備える。本体部は、電柱のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である。複数の鉄筋は、本体部の内周面と本体部の外周面との間において軸方向にて延在する。
【0008】
電柱は、複数の鉄筋のそれぞれに対して、本体部の内周面と鉄筋との間の距離である内側被覆厚の、本体部の外周面と鉄筋との間の距離である外側被覆厚に対する比である被覆厚比が1.2以下である。
【0009】
他の一つの側面では、電柱劣化時間推定装置は、中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状又は円柱状である電柱が劣化するまでに要する時間を表す劣化時間を推定する。
電柱は、本体部と、複数の鉄筋と、を備える。本体部は、電柱のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である。複数の鉄筋は、本体部の内周面と本体部の外周面との間において軸方向にて延在する。
【0010】
電柱劣化時間推定装置は、被覆厚比情報取得部と、劣化時間推定部と、を備える。
被覆厚比情報取得部は、複数の鉄筋の少なくとも1つに対して、本体部の内周面と鉄筋との間の距離である内側被覆厚の、本体部の外周面と鉄筋との間の距離である外側被覆厚に対する比である被覆厚比を表す被覆厚比情報を取得する。
劣化時間推定部は、取得された被覆厚比情報が表す被覆厚比に基づいて、電柱の劣化時間を推定する。
【0011】
他の一つの側面では、電柱劣化時間推定方法は、中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状又は円柱状である電柱が劣化している程度を表す劣化時間を推定する。
電柱は、本体部と、複数の鉄筋と、を備える。本体部は、電柱のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である。複数の鉄筋は、本体部の内周面と本体部の外周面との間において軸方向にて延在する。
【0012】
電柱劣化時間推定方法は、
複数の鉄筋の少なくとも1つに対して、本体部の内周面と鉄筋との間の距離である内側被覆厚の、本体部の外周面と鉄筋との間の距離である外側被覆厚に対する比である被覆厚比を表す被覆厚比情報を取得し、
取得された被覆厚比情報が表す被覆厚比に基づいて、電柱の劣化時間を推定する、
ことを含む。
【発明の効果】
【0013】
電柱の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電柱の水平面による断面の一部の拡大図である。
図2】電柱の内部の鉄筋の近傍において発生したクラックの伸展を表す説明図である。
図3】第1実施形態の電柱の水平面による断面を表す図である。
図4図3の一部の領域を拡大した図である。
図5】加速劣化試験の構成を表す説明図である。
図6】第1実施形態の実施例の電柱における歪みの経過時間に対する変化を表すグラフである。
図7】比較例の電柱における歪みの経過時間に対する変化を表すグラフである。
図8】電柱におけるクラック発生時間の外側被覆厚に対する変化を表すグラフである。
図9】電柱におけるクラック発生時間の内側被覆厚に対する変化を表すグラフである。
図10】電柱におけるクラック発生時間の被覆厚比に対する変化を表すグラフである。
図11】第2実施形態の電柱劣化時間推定装置の構成を表すブロック図である。
図12】第2実施形態の電柱劣化時間推定装置の機能を表すブロック図である。
図13】第2実施形態の電柱劣化時間推定装置が用いる、クラック発生時間と被覆厚比との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の、電柱、電柱劣化時間推定装置、及び、電柱劣化時間推定方法に関する各実施形態について図1乃至図13を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、電柱の水平面による断面の一部の拡大図である。図1の符号WSが付された矢印により表されるように、電柱の本体部91の外周面OSに付着した水分及び塩分は、本体部91の外周面OSから本体部91の内部へ浸透する。従って、図2の(A)に表されるように、本体部91の内部に位置する鉄筋92のうちの、本体部91の外周面OS側の部分が、本体部91の内周面IS側の部分よりも、腐食及び錆RUが発生しやすいため、鉄筋92の近傍において発生したクラックCRが本体部91の外周面OSへ伸展することにより、本体部91の外周面OSが本体部91の内周面ISよりも先にクラックCRを発生しやすい、という仮説が立てられ得る。
【0017】
一方、本体部91は、コンクリートを遠心力によって締め固めることにより成形される遠心力鉄筋コンクリート管であることが多い。この場合、コンクリートが遠心力以外の方法(例えば、振動等)によって締め固めることにより成形される場合と比較して、コンクリートにおけるセメントの重量に対する水の重量の割合である水セメント比(換言すると、W/C)、及び、コンクリートに含まれる空気の容積の割合(換言すると、空気率、又は、空気量)が低くなりやすいため、コンクリートが緻密になりやすい。
【0018】
本体部91のうちの、外周面OSの近傍の部分は、内周面ISの近傍の部分よりも大きな遠心力が加えられることにより成形される。このため、本体部91のうちの、外周面OSの近傍の部分は、内周面ISの近傍の部分よりも緻密であることが多い。従って、図2の(B)に表されるように、本体部91の内周面ISが本体部91の外周面OSよりも先にクラックCRを発生しやすい、という仮説も立てられ得る。
【0019】
このように、電柱において、鉄筋の腐食及び錆の生成と、クラックの発生と、の関係は、未解明の点が多い。そこで、本願の発明者らは、当該関係について鋭意検討を行った結果、本願の発明を想到した。
【0020】
<第1実施形態>
(概要)
第1実施形態の電柱は、中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状又は円柱状である。電柱は、本体部と、複数の鉄筋と、を備える。本体部は、電柱のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である。複数の鉄筋は、本体部の内周面と本体部の外周面との間において軸方向にて延在する。
電柱は、複数の鉄筋のそれぞれに対して、本体部の内周面と鉄筋との間の距離である内側被覆厚の、本体部の外周面と鉄筋との間の距離である外側被覆厚に対する比である被覆厚比が1.2以下である。
【0021】
本願の発明者らは、鋭意検討の結果、本体部の外周面よりも先に本体部の内周面にクラックが発生した場合、本体部の外周面にクラックが発生しにくくなること、及び、被覆厚比が1.2以下である場合、本体部の外周面よりも先に本体部の内周面にクラックが発生しやすいことを見出した。
【0022】
従って、第1実施形態の電柱によれば、本体部の外周面よりも先に本体部の内周面にクラックが発生しやすくなるので、本体部の外周面にクラックが発生することを抑制できる。この結果、電柱の劣化を抑制できる。
次に、第1実施形態の電柱について、より詳細に説明する。
【0023】
(構成)
図3及び図4に表されるように、電柱1は、中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状である。電柱1の直径は、鉛直上方向へ向かうにつれて小さくなる。本例では、電柱1の直径は、150mm乃至450mmの長さである。なお、電柱1は、円柱状であってもよい。図3は、電柱1を水平面により切断した断面を表す。図4は、図3の破線により囲まれた領域IVを拡大した図である。
【0024】
電柱1は、本体部11と、複数(本例では、12本)の軸方向鉄筋12と、図示されない周方向鉄筋と、図示されない蓋部と、図示されない底部と、を備える。
【0025】
本体部11は、電柱1のうちの、鉛直方向における両端部を構成する蓋部及び底部以外の少なくとも一部を構成する。本例では、本体部11は、電柱1のうちの、鉛直方向における両端部を構成する蓋部及び底部の間の部分を構成する。
蓋部は、電柱1のうちの、鉛直上方向における端を構成する。底部は、電柱1のうちの、鉛直下方向における端を構成する。
【0026】
本体部11は、コンクリートからなり且つ中空である。本例では、本体部11は、遠心力鉄筋コンクリート管である。遠心力鉄筋コンクリート管は、コンクリートを遠心力によって締め固めることにより成形される。遠心力鉄筋コンクリート管は、ヒューム管と表されてもよい。本例では、本体部11の内周面ISと本体部11の外周面OSとの間の距離(換言すると、本体部11の厚さ)は、30mm乃至80mmの厚さである。
【0027】
各軸方向鉄筋12は、本体部11の内周面ISと本体部11の外周面OSとの間において本体部11の軸方向にて延在する。本例では、複数の軸方向鉄筋12は、本体部11の周方向にて略等しい間隔の位置を有する。各軸方向鉄筋12は、緊張材、又は、非緊張材である。例えば、各軸方向鉄筋12は、PC(Prestressed Concrete)鋼線、又は、PC鋼棒である。本例では、各軸方向鉄筋12の直径は、7mm乃至10mmの長さである。
【0028】
各軸方向鉄筋12は、被覆厚比が1.2以下である。本例では、各軸方向鉄筋12は、被覆厚比が0.4乃至1.2の値を有する。なお、各軸方向鉄筋12は、被覆厚比が、好ましくは、0.4乃至0.8の値を有する。
図4に表されるように、被覆厚比は、基準線RLに沿った方向における本体部11の内周面ISと軸方向鉄筋12との間の距離である内側被覆厚T1の、基準線RLに沿った方向における本体部11の外周面OSと軸方向鉄筋12との間の距離である外側被覆厚T2に対する比である。本例では、基準線RLは、水平面において、本体部11の中心軸と、軸方向鉄筋12の中心軸と、を通る直線である。
【0029】
各軸方向鉄筋12は、内側被覆厚T1が3mm以上である。本例では、各軸方向鉄筋12は、内側被覆厚T1が3mm乃至35mmの厚さである。なお、各軸方向鉄筋12は、内側被覆厚T1が、好ましくは、5mm以上であり、更に好ましくは、9mm以上である。
【0030】
各軸方向鉄筋12は、外側被覆厚T2が35mm以下である。本例では、各軸方向鉄筋12は、外側被覆厚T2が9mm乃至35mmの厚さである。
【0031】
周方向鉄筋は、複数の軸方向鉄筋12に巻回されるとともに、複数の軸方向鉄筋12に固定される。例えば、周方向鉄筋は、スポット溶接を行うことにより複数の軸方向鉄筋12に固定される。本例では、周方向鉄筋は、螺旋状であるとともに、本体部11の軸方向における全体に亘って延在する。なお、電柱1は、円環状の周方向鉄筋を複数備えていてもよい。また、電柱1は、周方向鉄筋を備えなくてもよい。
【0032】
電柱1は、鉛直下方向における端部が地中に埋設されることにより、鉛直方向にて延在するように設置される。
本例では、電柱1と、電柱1以外の図示されない電柱と、の間には、図示されない架線が架設されている。例えば、架線は、電線、電話線、又は、通信ケーブル等である。電柱1は、電柱1のうちの、鉛直上方向における端部にて架線を支持する。
【0033】
以上、説明したように、第1実施形態の電柱1は、中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状又は円柱状(本例では、円錐台状)である。本体部11は、本体部11と、複数の鉄筋(本例では、軸方向鉄筋)12と、を備える。本体部11は、電柱1のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である。複数の鉄筋12は、本体部11の内周面ISと本体部11の外周面OSとの間において軸方向にて延在する。電柱1は、複数の軸方向鉄筋12のそれぞれに対して、本体部11の内周面ISと鉄筋12との間の距離である内側被覆厚の、本体部11の外周面OSと鉄筋12との間の距離である外側被覆厚に対する比である被覆厚比が1.2以下である。
【0034】
これによれば、本体部11の外周面OSよりも先に本体部11の内周面ISにクラックが発生しやすくなるので、本体部11の外周面OSにクラックが発生することを抑制できる。この結果、電柱1の劣化を抑制できる。
更に、被覆厚比が1.1以下であることが好適である。この場合、本体部11の外周面OSにクラックが発生することをより一層抑制できる。この結果、電柱1の劣化を抑制できる。
【0035】
更に、第1実施形態の電柱1は、複数の軸方向鉄筋12のそれぞれに対して、被覆厚比が0.4乃至0.8の値を有する。
【0036】
本願の発明者らは、鋭意検討の結果、被覆厚比が0.4乃至0.8の値を有する場合、本体部11の外周面OSにクラックが発生するまでに要する時間が長くなりやすいことを見出した。
従って、第1実施形態の電柱1によれば、本体部11の外周面OSにクラックが発生するまでに要する時間を十分に長くすることができる。従って、電柱1の劣化を抑制できる。
【0037】
更に、第1実施形態の電柱1は、複数の軸方向鉄筋12のそれぞれに対して、内側被覆厚T1が9mm乃至35mmの値を有する。
【0038】
ところで、内側被覆厚が9mmよりも小さい場合、電柱1の曲げ強度が過小となる虞がある。これに対し、第1実施形態の電柱1によれば、電柱1の曲げ強度を十分に高めることができる。
【0039】
<実施例>
第1実施形態の実施例の電柱1において、鉄筋12の腐食及び錆の生成と、クラックの発生と、の関係を調べるために行われた実験について説明する。
本例では、図5に表されるように、鉄筋12を腐食させることによりクラックを発生させる加速劣化試験が行われた。
【0040】
試料SMは、本体部11の一部である。試料SMは、本体部11の軸方向が水平方向に位置するように、水槽WPの鉛直上方にて支持される。試料SMのうちの、鉄筋12の1つには、定電流電源CCの正極端子が接続される。
【0041】
水槽WPには、重量百分率にて3%の濃度を有する塩水SWが貯留される。
金網(本例では、ステンレス鋼からなる金網)WMは、塩水SWに浸漬される。金網WMには、定電流電源CCの負極端子が接続される。
スポンジSPの一部は、塩水SWに浸漬される。金網WMは、スポンジSPを介して、試料SMの外周面OSのうちの、鉄筋12の鉛直下方の部分に接する。
【0042】
定電流電源CCから一定の直流電流が供給されることにより、鉄筋12に直流電流が流される。このようにして、鉄筋12の腐食及び錆の生成が促進される。
【0043】
試料SMの外周面OSには、2つの外側歪みゲージSGOが試料SMの周方向における歪みを測定するように貼付される。試料SMの内周面ISには、2つの内側歪みゲージSGIが試料SMの周方向における歪みを測定するように貼付される。内側歪みゲージSGI及び外側歪みゲージSGOは、鉄筋12を挟むように対向する。
【0044】
この加速劣化試験においては、海の近傍における自然環境下での3000時間乃至8000時間における塩分の浸透が、約1時間にて達成される。
【0045】
表1は、試料番号1乃至20の試料のそれぞれに対する加速劣化試験の結果を表す。試料番号1乃至12の試料は、第1実施形態の実施例の電柱1の一部である。試料番号13乃至20の試料は、比較例の電柱の一部である。
【表1】
【0046】
本例では、クラック発生時間は、外側歪みゲージSGOにより測定される歪みが、500μに到達するまでに要する(換言すると、経過した)時間(換言すると、経過時間)である。本例では、外側歪みゲージSGO及び内側歪みゲージSGIのそれぞれの長さは、30mmである。従って、歪みが500μであることは、外側歪みゲージSGO及び内側歪みゲージSGIの伸びが15μmであることに相当する。
【0047】
クラックタイプが内方先行型であることは、試料の外周面よりも先に試料の内周面にクラックが発生することを表す。一方、クラックタイプが外方先行型であることは、試料の内周面よりも先に試料の外周面にクラックが発生することを表す。クラックが発生した場合、歪みは急増する。そこで、本例では、外側歪みゲージSGOにより測定される歪みが急増する時点と、内側歪みゲージSGIにより測定される歪みが急増する時点と、の関係に基づいて、クラックタイプが判定される。
【0048】
図6は、試料番号14の比較例の試料に対して測定された歪みの時間に対する変化を表す。図6において、符号CO1が付された曲線は、外側歪みゲージSGOにより測定された歪みを表す。図6において、符号CI1が付された曲線は、内側歪みゲージSGIにより測定された歪みを表す。
【0049】
図6に表されるように、外側歪みゲージSGOにより測定された歪みは、経過時間が約15時間である時点において急増する。一方、内側歪みゲージSGIにより測定された歪みは、経過時間が約20時間である時点において急増する。
このように、比較例の試料は、試料の内周面よりも先に試料の外周面にクラックが発生する外方先行型である。
【0050】
図7は、試料番号1の実施例の試料に対して測定された歪みの時間に対する変化を表す。図7において、符号CO2が付された曲線は、外側歪みゲージSGOにより測定された歪みを表す。図7において、符号CI2が付された曲線は、内側歪みゲージSGIにより測定された歪みを表す。
【0051】
図7に表されるように、内側歪みゲージSGIにより測定された歪みは、経過時間が約15時間である時点において急増する。一方、外側歪みゲージSGOにより測定された歪みは、経過時間が約55時間である時点において急増する。
このように、実施例の試料は、試料の外周面よりも先に試料の内周面にクラックが発生する内方先行型である。
【0052】
図6及び図7に表されるように、本体部の外周面よりも先に本体部の内周面にクラックが発生した場合、本体部の外周面にクラックが発生しにくくなる。
【0053】
図8は、クラック発生時間の外側被覆厚に対する変化を表す。図9は、クラック発生時間の内側被覆厚に対する変化を表す。図10は、クラック発生時間の被覆厚比に対する変化を表す。
【0054】
図10に表されるように、被覆厚比が1.2以下である場合、本体部の外周面よりも先に本体部の内周面にクラックが発生しやすい。更に、被覆厚比が1.2以下である場合、被覆厚比が小さくなるほど、クラック発生時間が長くなりやすい。
【0055】
また、被覆厚比が1.2以下である場合、被覆厚比xと、クラック発生時間yと、の関係は、図10の符号ALが付された直線により表されるように、数式1により近似される。本例では、第1パラメータaは、-39.2であり、第2パラメータbは、69.8である。
【数1】
【0056】
このように、第1実施形態の電柱1によれば、本体部11の外周面OSよりも先に本体部11の内周面ISにクラックが発生しやすくなるので、本体部11の外周面OSにクラックが発生することを抑制できる。この結果、電柱1の劣化を抑制できる。
【0057】
<第2実施形態>
(概要)
第2実施形態の電柱劣化時間推定装置は、中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状又は円柱状である電柱が劣化するまでに要する時間を表す劣化時間を推定する。電柱は、本体部と、複数の鉄筋と、を備える。本体部は、電柱のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である。複数の鉄筋は、本体部の内周面と本体部の外周面との間において軸方向にて延在する。
【0058】
電柱劣化時間推定装置は、被覆厚比情報取得部と、劣化時間推定部と、を備える。
被覆厚比情報取得部は、複数の鉄筋の少なくとも1つに対して、本体部の内周面と鉄筋との間の距離である内側被覆厚の、本体部の外周面と鉄筋との間の距離である外側被覆厚に対する比である被覆厚比を表す被覆厚比情報を取得する。
劣化時間推定部は、取得された被覆厚比情報が表す被覆厚比に基づいて劣化時間を推定する。
【0059】
ところで、電柱の劣化時間と、被覆厚比と、は、強い相関を有する。従って、第2実施形態の電柱劣化時間推定装置によれば、電柱の劣化時間を高い精度にて推定できる。
次に、第2実施形態の電柱劣化時間推定装置について、より詳細に説明する。
【0060】
(構成)
図11に表されるように、電柱劣化時間推定装置20は、バスBU1を介して互いに接続された、処理装置21、記憶装置22、入力装置23、及び、出力装置24を備える。例えば、電柱劣化時間推定装置20は、コンピュータ(換言すると、情報処理装置)により構成される。なお、コンピュータは、サーバ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、又は、タブレット型コンピュータであってよい。また、コンピュータは、スマートフォン等の少なくとも一部であってよい。また、電柱劣化時間推定装置20は、互いに通信可能に接続された複数の装置により構成されてもよい。
【0061】
処理装置21は、記憶装置22に記憶されているプログラムを実行することにより、記憶装置22、入力装置23、及び、出力装置24を制御する。これにより、処理装置21は、後述の機能を実現する。
【0062】
本例では、処理装置21は、CPU(Central Processing Unit)である。なお、処理装置21は、CPUに代えて、又は、CPUに加えて、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、DSP(Digital Signal Processor)を含んでもよい。
【0063】
本例では、記憶装置22は、揮発性メモリと不揮発性メモリとを含む。例えば、記憶装置22は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、半導体メモリ、有機メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、及び、SSD(Solid State Drive)の少なくとも1つを含む。
【0064】
入力装置23は、電柱劣化時間推定装置20の外部から情報を入力する。本例では、入力装置23は、キーボード、及び、マウスを備える。なお、入力装置23は、マイクロフォンを備えてもよい。
【0065】
出力装置24は、電柱劣化時間推定装置20の外部に情報を出力する。本例では、出力装置24は、ディスプレイを備える。なお、出力装置24は、スピーカを備えてもよい。
なお、電柱劣化時間推定装置20は、入力装置23及び出力装置24の両方を構成するタッチパネル式のディスプレイを備えてもよい。
【0066】
(機能)
図12に表されるように、電柱劣化時間推定装置20の機能は、入力情報受付部201と、被覆厚比情報取得部202と、劣化時間推定部203と、を含む。
【0067】
入力情報受付部201は、電柱劣化時間推定装置20のユーザにより入力装置23を介して入力された被覆厚情報及び塩分情報を受け付ける。
本例では、推定の対象となる電柱は、第1実施形態の電柱1である。なお、推定の対象となる電柱は、比較例の電柱であってもよい。
【0068】
本例では、被覆厚情報は、外側被覆厚を表す情報、本体部11の厚さを表す情報、及び、軸方向鉄筋12の直径を表す情報を含む。なお、被覆厚情報は、外側被覆厚を表す情報、及び、内側被覆厚を表す情報を含んでいてもよい。例えば、被覆厚情報は、超音波又は電磁波を用いる非破壊検査技術を用いて取得されてよい。
【0069】
本例では、塩分情報は、電柱1が設置されている地域において自然環境下に存在する塩分の量を表す。例えば、塩分情報は、塩分の量の程度(例えば、多い、又は、少ない等)を表す。例えば、自然環境下に存在する塩分は、風に含まれる塩分(換言すると、飛来塩分)を含む。なお、自然環境下に存在する塩分は、電柱1の表面に付着した塩分(換言すると、付着塩分)を含んでもよい。また、自然環境下に存在する塩分は、雨又は雪等に含まれる塩分を含んでいてもよい。
【0070】
例えば、飛来塩分の量は、JIS(Japanese Industrial Standards) Z 2382規格により定められたドライガーゼ法、又は、ISO(International Organization for Standardization) 9225規格により定められたウェットキャンドル法を用いて測定されてよい。また、例えば、付着塩分の量は、等価塩分付着密度(ESDD;Equivalent Salt Deposit Density)を測定する方法(例えば、筆洗い法等)、又は、ハンドヘルド蛍光X線分析計等を用いて測定されてよい。
【0071】
被覆厚比情報取得部202は、入力情報受付部201により受け付けられた被覆厚情報に基づいて被覆厚比情報を取得する。被覆厚比情報は、被覆厚比を表す。本例では、被覆厚比情報取得部202は、外側被覆厚と、軸方向鉄筋12の直径と、の和を、本体部11の厚さから減じた値(換言すると、内側被覆厚)を、外側被覆厚により除した値を被覆厚比として算出する。
【0072】
劣化時間推定部203は、被覆厚比情報取得部202により取得された被覆厚比情報が表す被覆厚比に基づいて、電柱1の劣化時間を推定する。本例では、劣化時間は、本体部11の外周面OSにてクラックが発生するまでに要する時間を表す。
【0073】
本例では、劣化時間推定部203は、被覆厚比が所定の閾値以下である場合、被覆厚比が小さくなるほど長くなる値を有するように、電柱1の劣化時間を推定する。本例では、閾値は、1.2である。なお、閾値は、0.8乃至1.2の値であってもよい。
更に、本例では、劣化時間推定部203は、被覆厚比が閾値よりも大きい場合、一定の値を有するように、電柱1の劣化時間を推定する。
【0074】
加えて、本例では、劣化時間推定部203は、入力情報受付部201により受け付けられた塩分情報に基づいて、電柱1が設置されている地域において自然環境下に存在する塩分が多くなるほど短くなる値を有するように、電柱1の劣化時間を推定する。例えば、劣化時間推定部203は、被覆厚比が閾値以下である場合、被覆厚比xと、クラック発生時間yと、の関係を表す数式2に基づいて電柱1の劣化時間を推定する。第1パラメータa、及び、第2パラメータbは、予め設定される。第3パラメータcは、電柱1が設置されている地域において自然環境下に存在する塩分が多くなるほど小さくなる値を有する。
【数2】
【0075】
例えば、図13に表されるように、劣化時間推定部203は、塩分が相対的に少ない場合、符号L1が付された曲線により表される関係に従って電柱1の劣化時間を推定し、塩分が相対的に多い場合、符号L2が付された曲線により表される関係に従って電柱1の劣化時間を推定する。
【0076】
なお、劣化時間推定部203は、被覆厚比が閾値以下である場合、被覆厚比xと、クラック発生時間yと、の関係を表す数式3に基づいて電柱1の劣化時間を推定してもよい。
【数3】
【0077】
なお、劣化時間推定部203は、電柱1が設置されている地域において自然環境下に存在する塩分に基づくことなく電柱1の劣化時間を推定してもよい。
【0078】
(動作)
次に、第2実施形態の電柱劣化時間推定装置20の動作について説明する。
先ず、電柱劣化時間推定装置20は、電柱劣化時間推定装置20のユーザにより入力装置23を介して入力された、被覆厚情報及び塩分情報を受け付ける。
次いで、電柱劣化時間推定装置20は、受け付けられた被覆厚情報に基づいて被覆厚比情報を取得する。
次いで、電柱劣化時間推定装置20は、取得された被覆厚比情報が表す被覆厚比と、受け付けられた塩分情報と、に基づいて、電柱1の劣化時間を推定する。
【0079】
以上、説明したように、第2実施形態の電柱劣化時間推定装置20は、中心軸が鉛直方向にて延在する円錐台状又は円柱状である電柱が劣化するまでに要する時間を表す劣化時間を推定する。電柱は、本体部と、複数の鉄筋と、を備える。本体部は、電柱のうちの、鉛直方向における両端部以外の少なくとも一部を構成するとともに、コンクリートからなり且つ中空である。複数の鉄筋は、本体部の内周面と本体部の外周面との間において軸方向にて延在する。
【0080】
電柱劣化時間推定装置20は、被覆厚比情報取得部202と、劣化時間推定部203と、を備える。
被覆厚比情報取得部202は、複数の鉄筋の少なくとも1つに対して、本体部の内周面と鉄筋との間の距離である内側被覆厚の、本体部の外周面と鉄筋との間の距離である外側被覆厚に対する比である被覆厚比を表す被覆厚比情報を取得する。
劣化時間推定部203は、取得された被覆厚比情報が表す被覆厚比に基づいて、電柱の劣化時間を推定する。
【0081】
ところで、電柱の劣化時間と、被覆厚比と、は、強い相関を有する。従って、電柱劣化時間推定装置20によれば、電柱の劣化時間を高い精度にて推定できる。
【0082】
更に、第2実施形態の電柱劣化時間推定装置20において、劣化時間は、本体部の外周面にてクラックが発生するまでに要する時間を表す。劣化時間推定部203は、被覆厚比が所定の閾値以下である場合、被覆厚比が小さくなるほど長くなる値を有するように電柱の劣化時間を推定する。
【0083】
ところで、本体部の外周面にクラックが発生するまでに要する時間と、被覆厚比と、は、強い相関を有する。更に、被覆厚比が所定の閾値以下である場合、本体部の外周面にクラックが発生するまでに要する時間は、被覆厚比が小さくなるほど長くなりやすい。従って、電柱劣化時間推定装置20によれば、電柱の劣化時間を高い精度にて推定できる。
【0084】
なお、電柱劣化時間推定装置20は、電柱劣化時間推定装置20の外部の装置と通信する通信装置を備えていてもよい。通信装置は、所定の通信規格に従って通信を行う。例えば、通信規格は、無線LAN(Local Area Network)に関する規格(例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11)、又は、近距離無線通信に関する規格(例えば、Bluetooth(登録商標))等である。
【0085】
この場合、入力情報受付部201は、被覆厚情報を取得する装置により送信された被覆厚情報を、通信装置を介して受け付けてよい。また、入力情報受付部201は、塩分情報を取得する装置により送信された塩分情報を、通信装置を介して受け付けてよい。
【0086】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において当業者が理解し得る様々な変更が加えられてよい。
【符号の説明】
【0087】
1 電柱
11 本体部
12 鉄筋
20 電柱劣化時間推定装置
21 処理装置
22 記憶装置
23 入力装置
24 出力装置
201 入力情報受付部
202 被覆厚比情報取得部
203 劣化時間推定部
91 本体部
92 鉄筋
BU1 バス
CC 定電流電源
IS 内周面
OS 外周面
SGI 内側歪みゲージ
SGO 外側歪みゲージ
SM 試料
SP スポンジ
SW 塩水
WM 金網
WP 水槽

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13