(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121310
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】疑似餌
(51)【国際特許分類】
A01K 85/00 20060101AFI20220812BHJP
A01K 85/16 20060101ALI20220812BHJP
A01K 91/047 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A01K85/00 G
A01K85/16
A01K91/047 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018586
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】519330537
【氏名又は名称】吉田 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 聡
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA70
2B307EB22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】キャストされた疑似餌の着水時や、着水後におけるライン巻き取り時において、ラインが釣針に絡むことを防止することが可能な疑似餌を提供する。
【解決手段】頭部12及び胴部13を備える本体部11を有し、本体部11の背中10b側にライン3と本体部11とを接続するスナップ2が接続される接続孔5aを設けてあり、本体部12の腹10b側に釣針6,7を設けてある。本体部11の背中10a側には、スナップ2の後方Xへの傾動を制限し、且つ、左右方向Yへの傾動を制限するスナップ傾動制限部4を備え、スナップ傾動制限部4は、スナップ2の横断部材との接触により後方Xへの傾動を制限し、スナップ2の長辺又は第二短辺との接触により左右方向Yへの傾動を制限する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部及び胴部を備える本体部を有し、前記本体部の背中側にラインと前記本体部とを接続するスナップが接続される接続孔を設けてあり、前記本体部の腹側に釣針を設けてある疑似餌であって、
前記スナップは、前記ラインが取り付けられる取付部と、前記取付部に対向し前記接続孔に貫通される貫通部と、前記貫通部の一端と前記取付部の一端とを繋ぐ長辺と、前記取付部の他端から前記貫通部に向かって延在する第一短辺と、前記第一短辺の一端から前記長辺に向かって延在しその端部が前記長辺に固定される横断部材と、前記貫通部の他端から前記横断部材に向かって延在しその端部は前記第一短辺と前記横断部材との連結部に係止可能である第二短辺とを備え、
前記本体部の背中側には、前記スナップの前記本体部の後方への傾動を制限し、且つ、前記本体部の前後方向に直交する左右方向への傾動を制限するスナップ傾動制限部を備え、
前記スナップ傾動制限部は、前記横断部材との接触により前記後方への傾動を制限し、前記長辺又は前記第二短辺との接触により前記左右方向への傾動を制限する疑似餌。
【請求項2】
前記スナップ傾動制限部は、前記本体部の背中側に外方に向けて突出する凸部であり、前記接続孔は、前記凸部を前記左右方向に貫通して形成されてあり、前記凸部は、前記接続孔の縁部から前記本体部の側面視における前記凸部の外周縁までの第一距離が前記貫通部から前記横断部材までの第二距離よりも長い部分を有する請求項1記載の疑似餌。
【請求項3】
前記縁部から前記外周縁までの最短距離は、前記長辺と前記第二短辺との間隔よりも長い請求項2記載の疑似餌。
【請求項4】
前記本体部は、プラスチック製である請求項2または3に記載の疑似餌。
【請求項5】
前記スナップ傾動制限部は、前記本体部の背中側に外方に向けて突出する凸部であり、前記接続孔は、前記胴部の背中側を前記左右方向に貫通して形成されてあり、前記凸部は前記接続孔の縁部から前記本体部の側面視における前記凸部の外周縁までの第一距離が前記貫通部から前記横断部材までの第二距離よりも長い部分を有する請求項1記載の疑似餌。
【請求項6】
前記縁部から前記外周縁までの最短距離は、前記長辺と前記第二短辺との間隔よりも長い請求項5記載の疑似餌。
【請求項7】
前記本体部は、金属製である請求項5または6記載の疑似餌。
【請求項8】
前記凸部は、肉抜き孔を有する請求項5~7のいずれかに記載の疑似餌。
【請求項9】
前記接続孔を複数有する請求項1~8のいずれかに記載の疑似餌。
【請求項10】
前記スナップ傾動制限部は、魚の背びれを模した背びれ部である請求項1~9のいずれかに記載の疑似餌。
【請求項11】
前記スナップ傾動制限部は、前記スナップの背中側での後方への傾動を前記頭部側から0度以上120度以下に制限する請求項1~10のいずれかに記載の疑似餌。
【請求項12】
前記スナップ傾動制限部は、前記スナップの傾動を、前記接続孔の中心を通り且つ前記接続孔の中心軸に直交する軸の前記中心より上方部分を0度とした基準線に対し、左右それぞれに30度以下に制限する請求項1~11のいずれかに記載の疑似餌。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疑似餌に関する。さらに詳しくは、頭部及び胴部を備える本体部を有し、前記本体部の背中側にラインと前記本体部とを接続するスナップが接続される接続孔を設けてあり、前記本体部の腹側に釣針を設けてある疑似餌に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上述の如き疑似餌として、例えば特許文献1に記載の如きものが知られている。このルアーでは、スナップがルアーに対して自由に傾動できるため、キャスト後の着水時において、スナップがルアーの左右方向や後方に傾動する。この時、スナップに取り付けられている釣り糸(ライン)が、ルアーに設けられた釣り針の付近に位置するので、釣り糸が直接釣り針に絡む場合があった。また、ラインの巻取り時にラインが釣り針に絡む場合もあり、ルアーの動きが制限されることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、キャストされた疑似餌の着水時や、着水後におけるライン巻き取り時において、ラインが釣針に絡むことを防止することが可能な疑似餌を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る疑似餌の特徴は、頭部及び胴部を備える本体部を有し、前記本体部の背中側にラインと前記本体部とを接続するスナップが接続される接続孔を設けてあり、前記本体部の腹側に釣針を設けてある構成において、前記スナップは、前記ラインが取り付けられる取付部と、前記取付部に対向し前記接続孔に貫通される貫通部と、前記貫通部の一端と前記取付部の一端とを繋ぐ長辺と、前記取付部の他端から前記貫通部に向かって延在する第一短辺と、前記第一短辺の他端から前記長辺に向かって延在しその端部が前記長辺に固定される横断部材と、前記貫通部の他端から前記横断部材に向かって延在しその端部は前記第一短辺と前記横断部材との連結部に係止可能である第二短辺とを備え、前記本体部の背中側には、前記スナップの前記本体部の後方への傾動を制限し、且つ、前記本体部の前後方向に直交する左右方向への傾動を制限するスナップ傾動制限部を備え、前記スナップ傾動制限部は、前記横断部材との接触により前記後方への傾動を制限し、前記長辺又は前記第二短辺との接触により前記左右方向への傾動を制限することにある。
【0006】
ここで、本発明に係る疑似餌において、スナップは、ラインが取り付けられる取付部と、取付部に対向し接続孔に貫通される貫通部と、貫通部の一端と取付部の一端とを繋ぐ長辺と、取付部の他端から貫通部に向かって延在する第一短辺と、第一短辺の他端から長辺に向かって延在しその端部が長辺に固定される横断部材と、貫通部の他端から横断部材に向かって延在しその端部は第一短辺と横断部材との連結部に係止可能である第二短辺とを備える。また、疑似餌の本体部の背中側には、スナップの本体部の後方への傾動を制限し、且つ、本体部の前後方向に直交する左右方向への傾動を制限するスナップ傾動制限部を備える。
【0007】
上記構成によれば、スナップが本体部の後方へ所定の角度以上傾動すると、スナップの横断部材が本体部の背中側に設けたスナップ傾動制限部と接触するので、スナップは所定の角度以上に後方へ傾動することが不可能となる。よって、ラインが本体部後方の腹側(下方)へ位置することを防ぐことが可能となる。また、スナップが本体部の左右方向へ所定の角度以上傾動すると、スナップの長辺又は第二短辺が本体部の背中側に設けたスナップ傾動制限部と接触するので、スナップは所定の角度以上に左右方向へ傾動することが不可能となる。よって、ラインが本体部前方の腹側(下方)へ位置することを防ぐことが可能となる。
このように、スナップ傾動制限部は、横断部材との接触により本体部後方への傾動を制限し、さらに、長辺又は第二短辺との接触により本体部左右方向への傾動を制限するので、キャストされた疑似餌の着水時や、着水後におけるライン巻き取り時において、本体部に対してスナップに取り付けられたラインの後方及び左右方向への傾動が制限され、ラインが釣針に絡むことを防止することが可能である。
【0008】
上記構成において、前記スナップ傾動制限部は、前記本体部の背中側に外方に向けて突出する凸部であり、前記接続孔は、前記凸部を前記左右方向に貫通して形成されてあり、前記凸部は、前記接続孔の縁部から前記本体部の側面視における前記凸部の外周縁までの第一距離が前記貫通部から前記横断部材までの第二距離よりも長い部分を有するとよい。
【0009】
凸部が、第一距離が貫通部から横断部材までの第二距離よりも長い部分を有するので、スナップが本体部の後方へ傾動した場合、横断部材が必ず凸部の外周縁と接触する。よって、スナップがその接触した角度以上に後方へと傾動することが防止され、ラインが本体部後方の釣針に絡むことを防止する。
【0010】
さらに、前記縁部から前記外周縁までの最短距離は、前記長辺と前記第二短辺との間隔よりも長いとよい。これにより、スナップが所定の角度以上に左右方向に傾動すると、スナップの長辺や第二短辺が必ず凸部の側面と接触するので、所定の角度以上のスナップの左右方向への傾動が防止される。よって、凸部は、ラインが本体部前方や接続孔の下方の釣針に絡むことを防止する。係る構成において、前記本体部は、例えば、プラスチック製であるとよい。
【0011】
また、前記スナップ傾動制限部は、前記本体部の背中側に外方に向けて突出する凸部であり、前記接続孔は、前記胴部の背中側を前記左右方向に貫通して形成されてあり、前記凸部は前記接続孔の縁部から前記本体部の側面視における前記凸部の外周縁までの第一距離が前記貫通部から前記横断部材までの第二距離よりも長い部分を有するとよい。
【0012】
凸部が、第一距離が貫通部から横断部材までの第二距離よりも長い部分を有するので、スナップが本体部の後方へ傾動した場合、横断部材が必ず凸部の外周縁と接触する。よって、スナップがその接触した角度以上に後方へと傾動することが防止され、ラインが疑似餌後方の釣針に絡むことを防止する。
【0013】
さらに、前記縁部から前記外周縁までの最短距離は、前記長辺と前記第二短辺との間隔よりも長いとよい。これにより、スナップが所定の角度以上に左右方向に傾動すると、スナップの長辺や第二短辺が必ず凸部の側面と接触するので、所定の角度以上のスナップの左右方向への傾動が防止される。よって、凸部は、ラインが本体部前方や接続孔の下方の釣針に絡むことを防止する。
【0014】
係る構成において、前記本体部は、例えば、金属製であるとよい。さらに、前記凸部は、肉抜き孔を有していてもよい。肉抜き孔を有することで疑似餌の重心を下げることができるので、キャスト時やリール巻き取り時の疑似餌の挙動が安定する。
【0015】
上記いずれかに記載の構成において、前記接続孔を複数有するとよい。また、前記スナップ傾動制限部は、魚の背びれを模した背びれ部であってもよい。
【0016】
上記いずれかに記載の構成において、前記スナップの背中側での後方への傾動を前記頭部側から0度以上120度以下に制限するとよい。これにより、スナップの前後方向への傾動範囲が制限されるので、本体部後方の釣針とラインが絡むことを防ぐことができる。
【0017】
また、前記スナップ傾動制限部は、前記スナップの傾動を、前記接続孔の中心を通り且つ前記接続孔の中心軸に直交する軸の前記中心より上方部分を0度とした基準線に対し左右それぞれに30度以下に制限するとよい。これにより、本体部の前方や接続孔の下方の釣針にラインが絡むことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
上記本発明に係る疑似餌の特徴によれば、キャストされた疑似餌の着水時や、着水後におけるライン巻き取り時において、ラインが釣針に絡むことを防止することが可能となった。
【0019】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る疑似餌の側面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る疑似餌の正面図である。
【
図4】第一実施形態のスナップ傾動制限部におけるスナップの後方への傾動を説明する図である。
【
図5】第一実施形態のスナップ傾動制限部におけるスナップの左右方向への傾動を説明する図である。
【
図7】スナップの左右傾動角を説明する
図4のA-A端面図である。
【
図8】本発明の第二実施形態に係る疑似餌の側面図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る疑似餌の正面図である。
【
図10】本発明の第二実施形態における
図4相当図である。
【
図11】本発明の第二実施形態のスナップ傾動制限部におけるスナップの左右方向への傾動を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、
図1~7を参照しながら、本発明の第一実施形態をさらに詳しく説明する。
本発明の第一実施形態に係る疑似餌1Aは、
図1,2に示すように、頭部12及び胴部13を備える本体部11を有し、本体部11の背中10b側にはライン3と本体部11とを接続するスナップ2が接続される接続部5が設けられている。また、本体部11の腹10aには、第一,第二釣針6,7が設けられている。本実施形態では、第一釣針6は後述するスナップ傾動制限部4としての凸部14の後方根元部14dの下方(腹10a側)に設けられており、第二釣針7は本体部11の後方端部(尾部)10c付近に設けられている。
【0022】
スナップ2は、
図3に示すように、大略、ライン3が取り付けられる取付部21と、貫通部22と、長辺23と、第一短辺24と、横断部材25と第二短辺26とからなる。取付部21は、例えば、同図に示す如き正面視(本体部11の長手方向X視)で円弧状を呈する。貫通部22は、取付部21に対向し後述のスナップ傾動制限部4に設けられた接続部5を貫通する。貫通部22も正面視で円弧状を呈するが、取付部21よりも内径が大きく形成されている。そして、長辺23は、取付部21の一端21aと貫通部22の一端22aとを略直線状につないでいる。
【0023】
第一短辺24は、取付部21の他端21bから貫通部22の他端22bに向かって延在している。横断部材25は、第一短辺24の貫通部22側の端部24aから長辺23に向かって延在している。本実施形態において、横断部材25は、第一短辺24を端部24aで折り曲げて第一短辺24と一体に形成されており、この端部24aが第一短辺24と横断部材25との連結部27として機能する。そして、長辺23側の端部25aは折り曲げられて長辺23の中間に固定されている。また、第二短辺26は、貫通部22の他端22bから横断部材25に向かって延在している。本実施形態において、第二短辺26の端部26aはフックとなっており、上述の連結部27近傍に係止可能である。これにより、接続部5に貫通部22を貫通させた後に、フックとしての第二短辺26の端部26aを連結部27近傍に係止させて、ライン2と本体部11とを接続することができる。
【0024】
なお、本実施形態において、スナップ2は、例えば金属製であり、1本の針金を折り曲げて形成されているが、材質や作製方法等はこれに限られない。また、スナップ2の形状は、
図3に示す如き正面視略方形に限られない。
【0025】
図1,2に示すように、本体部11は、小魚の形状を模してあり、例えばプラスチック製である。本実施形態において、本体部11は、例えば、縦幅W1(上下方向Zに沿う大きさ)と横幅B1(左右方向Yに沿う大きさ)が同程度となるように形成されている。なお、本体部11の表面には、例えば目11xやエラ11yを模した装飾が適宜施される。
【0026】
また、本体部11の頭部12から胴部13にかけて、本体部11の背中10bにスナップ2の本体部11の後方(尾部10c側)への傾動を制限し、且つ、本体部11の前後方向Xに直交する左右方向Yへの傾動を制限するスナップ傾動制限部4が設けられている。
【0027】
本実施形態において、スナップ傾動制限部4は、本体部11の背中10bに外方に向けて突出する凸部14であり、魚の背びれ形状を模した背びれ部14である。そして、この背びれ部14には、接続部5が設けられている。
【0028】
図1に示すように、本実施形態において、背びれ部14は、略三角形状を呈し、前方根元部14bから後方の頂点14cに向かうに従い本体部11からの上下方向Zの高さが大きくなり、接続部5より後方の頂点14cでその高さが最大となり、頂点14cの後方の後方根元部14dに向かうに従い高さが小さくなる。背びれ部14の最大高さH1(上下方向Zに沿う大きさ)は、本体部11の上下方向Zの大きさ(縦幅)W1と同程度か、それより小さい。また、背びれ部14の幅L1は、
図2に示す如き正面視において、上方に行くほど狭くなっている。なお、背びれ部14の高さとは、前方根元部14bを含む水平面Sを基準とした高さである。また、背びれ部14の外周縁14aとは、背びれ部14の稜線(頂部)をいう。
【0029】
図1,4に示すように、本実施形態における接続部5は、背びれ部14を水平方向Yに貫通して形成された貫通孔15と、この貫通孔15の内部に位置するアイ16とよりなる。このアイ16は、その一部が本体部11の背中10bに埋設して固定されている。このアイ16にスナップ2の貫通部22を貫通させることで、本体部11にスナップ2を取り付ける。本実施形態では、アイ16の孔16aが接続孔5aを構成する。
【0030】
ここで、接続孔5aとしてのアイ16の孔16aの縁部16bから側面視における背びれ部14の外周縁14aまでの距離を第一距離Daとすると、
図4に示すように、背びれ部14は、第一距離Daがスナップ2の貫通部22から横断部材25までの第二距離Dbよりも長くなる部分14zを有する。さらに、背びれ部14の第一距離Daが最短となる最短距離Dcが、スナップ2の長辺23と第二短辺26との間隔Bよりも長くなるように、貫通孔15及びアイ16が設けられている。
【0031】
次に、
図4,6を参照しながら、スナップ2の前後方向Xへの傾動について説明する。
疑似餌1Aをキャストすると、スナップ2は、その後の着水時の衝撃等によって、本体部11の前方(頭部12側)から後方へと傾動しようとアイ16の孔16aを起点に回転する。
図4において、回転前のスナップ2を一点鎖線、回転後のスナップ2を実線で示す。
【0032】
上述したように、背びれ部14の高さは、前方から後方に向けて漸次高くなっており、且つ、背びれ部14には、第一距離Daが第二距離Dbよりも長い部分14zが形成されている。よって、スナップ2が後方に傾動すると、背びれ部14の外周縁14a上の第一距離Daと第二距離Dbが等しい部分で横断部材25が接触して、スナップ2の後方への傾動(回転)が止まる。従って、スナップ2は、上述の長くなる部分14zによって、それ以上後方へ傾動することはできない。このように、スナップ2は、一定角度以上の後方への傾動が制限されるので、スナップ2に接続されたライン3は、本体部11後方の第二釣針7への接近が制限されることとなり、ライン3が第二釣針7に絡むことを防止できる。
【0033】
なお、スナップ傾動制限部4としての背びれ部14は、スナップ2の後方への傾動を頭部12側から0°以上120°以下に制限する。係る場合、
図6に示すように、前後傾動角θ1は、接続孔5aとしてのアイ16の孔16aの中心軸16cと直交する水平方向線Xaを基準(0°)とし、この水平方向線Xaに対し上方向(背中10b側)に120°以下とする。この範囲であれば、ライン3が第二釣針7に絡まることをより抑制できる。
【0034】
次に、
図5,7を参照しながら、スナップ2の左右方向Yへの傾動について説明する。なお、説明の便宜上、
図5,7の本体部11と背びれ部14は、最短距離Dcにおける端面(
図4のA-A端面)を示し、最短距離Dcの位置より後方の疑似餌1Aの部材は省略して図示している。
疑似餌1Aをキャストすると、スナップ2は、その後の着水時の衝撃等によって、本体部11の中心から左右方向Yのいずれか一方へと傾動しようとアイ16の孔16aを起点に回転する。
図5,7において、回転前のスナップ2を一点鎖線、回転後のスナップ2を実線で示す。
【0035】
ところで、スナップ2の間隔Bは、貫通部22と横断部材25との間(第二距離Db)における長辺23と第二短辺26との最大離隔距離である。そのため、この距離(間隔B)が大きければ、長辺23又は第二短辺26が背びれ部14に接触することなく、スナップ2は左右へ傾動する。一方、最短距離Dcは背びれ部14における縁部16aから外周縁14aまでの最短距離であり、また、
図4に示すように、最短距離Dcは第二距離Dbよりも小さい。
【0036】
よって、
図5に示すように、背びれ部14の最短距離Dcとなる部分において、スナップ2が図面上において右側へ傾動すると、その最短距離Dcが間隔Bよりも長いので、長辺23が背びれ部14の側面14eと接触して、スナップ2の右方向への傾動(回転)が止まり、これ以上右側に傾動することはできない。左側への傾動の場合、第二短辺26が背びれ部14の側面14eに接触して、スナップ2の左側への傾動(回転)が止まる。従って、スナップ2に接続されたライン3は、本体部11の頭部12側(前方)やアイ16の孔16aの下方の第一釣針6への接近が制限されることとなり、ライン3が第一釣針6に絡むことを防止できる。
【0037】
なお、スナップ傾動制限部4としての背びれ部14は、スナップ2の中心軸2aの左右方向Yへの傾動を上下方向線Zaに対し、左右それぞれに30°以下に制限する。係る場合、
図7に示すように、上下方向線Zaは、接続孔5aとしてのアイ16の孔16aの中心軸16cに直交し、且つ、縁部16bの幅方向の中心16dを通過する。スナップ2の左右傾動角θ2は、この上下方向線Zaを基準(0°)として、-30°以上30°以下とする。この範囲内であれば、ライン3が第一釣針6に絡まることをより抑制できる。
【0038】
次に、第二実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態と同様の部材には、同一の符号を付してある。
本発明の第二実施形態に係る疑似餌1Bは、
図8,9に示すように、頭部32及び胴部33を備える本体部31を有し、本体部31の背中30bにライン3と本体部31とを接続するスナップ2が接続される接続部5が設けられている。また、本体部31の腹30aには、第一,第二釣針6,7が設けられている。本実施形態では、第一釣針6は、スナップ傾動制限部4としての凸部34より前方の下方に設けられており、第二釣針7は本体部31の後方端部30c付近に設けられている。なお、スナップ2は、第一実施形態と同じものを用いる。
【0039】
図8,9に示すように、本体部31は、全体として小魚の形状を模してあり、例えば金属製である。本実施形態において、本体部31は、板状部31aとこの板状部31aより肉厚の肉厚部31bよりなる。板状部31aは、頭部12の背中30bから尾部30cにかけて位置する。肉厚部31bは、頭部12から胴部13の腹30aにかけて形成されている。また、例えば、その肉厚部31aには、目31xやエラ31yを模した装飾が適宜施される。
【0040】
また、本体部31の頭部32から胴部33にかけて、その背中30bにスナップ2の本体部31の後方への傾動を制限し、且つ、本体部31の前後方向Xに直交する左右方向Yへの傾動を制限するスナップ傾動制限部4が設けられている。
【0041】
本実施形態において、スナップ傾動制限部4は、本体部31の背中側30bに外方に向けて突出する凸部34であり、魚の背びれ形状を模した背びれ部34である。この背びれ部34は、板状部31aに一体に形成されており、前方根元部34bから後方に向かうに従い、板状部31aからの上下方向Zの高さが大きくなり、接続部5より後方の頂点34cでその高さが最大となり、頂点34cの後方の後方根元部34d小さくなる略三角形状である。背びれ部34の最大高さH2は、本体部31の上下方向の大きさ(縦幅)W2と同程度か、それより小さい。また、背びれ部34の幅L2は正面視において、板状部31aの板厚となる。
【0042】
また、本実施形態では、上記第一実施形態と異なり、背びれ部34に板状部31aを貫通する肉抜き部36が形成されている。肉抜き部36を設けることで本体部31の背中30b側の重量を軽減させて、疑似餌1Bの重心を下方に位置させることで、リール巻取時の疑似餌1の安定性を向上させている。
【0043】
本実施形態では、上記第一実施形態と異なり、接続部5は、スナップ傾動制限部4としての背びれ部34ではなく、胴部33の背中30b側の板状部31aに水平方向Yに貫通して設けられている。この接続部5としての接続孔35は、本体部31の前後方向Xに沿って3つ設けてある。そして、これらの接続孔35は、背びれ部34の下方に位置させてある。スナップ2を接続する接続孔35を適宜選択することにより、リール巻取時の疑似餌1の挙動を変化させることができる。
【0044】
この背びれ部34は、
図8に示すように、接続孔35の縁部35aから側面視における背びれ部34の外周縁34aまでの第一距離Daが、スナップ2の貫通部22から横断部材25までの第二距離Dbよりも長くなる部分34zを有する。さらに、接続孔35の縁部35aから背びれ部34の外周縁34aまでの最短距離Dcが、スナップ2の長辺23と第二短辺26との間隔Bよりも長くなるように、胴部33の背中30b側に接続孔35が設けられている。
【0045】
ここで、
図10を参照しながら、スナップ2の前後方向Xへの傾動について説明する。
疑似餌1Bをキャストすると、スナップ2は、その後の着水時の衝撃等によって、本体部31の前方から後方へと傾動しようと接続孔35を起点に回転する。
図10において、回転前のスナップ2を一点鎖線、回転後のスナップ2を実線で示す。
【0046】
上述したように、背びれ部34の高さは、前方から後方に向けて漸次高くなっており、且つ、背びれ部34には、第一距離Daが第二距離Dbよりも長い部分34zが形成されている。よって、スナップ2が後方に傾動すると、背びれ部34の外周縁34a上の第一距離Daと第二距離Dbが等しい部分で横断部材25が接触して、スナップ2の後方への傾動(回転)が止まる。従って、スナップ2は、上述の長くなる部分34zによって、それ以上後方へ傾動することはできない。このように、スナップ2は、一定角度以上の後方への傾動が制限されるので、スナップ2に接続されたライン3は、本体部31後方の第二釣針7への接近が制限されることとなり、ライン3が第二釣針7に絡むことを防止できる。なお、スナップ2の前後傾動角θ1は、上記第一実施形態と同じく、0°以上120°以下とする。
【0047】
次に、
図11を参照しながら、スナップ2の左右方向Yへの傾動について説明する。なお、説明の便宜上、
図11の本体部31と背びれ部34は、最短距離Dcにおける端面(
図10のB-B端面)を示し、最短距離Dcの位置より後方の疑似餌1Bの部材は省略して図示している。
疑似餌1Bをキャストすると、スナップ2は、その後の着水時の衝撃等によって、本体部31の中心から左右方向Yのいずれか一方へと傾動しようと接続孔35を起点に回転する。
図11では、回転前のスナップ2を一点鎖線、回転後のスナップ2を実線で示す。
【0048】
ところで、スナップ2の間隔Bは、貫通部22と横断部材25との間(第二距離Db)における長辺23と第二短辺26との最大離隔距離である。そのため、この距離(間隔B)が大きければ、長辺23又は第二短辺26が背びれ部34に接触することなく、スナップ2は左右へ傾動する。一方、最短距離Dcは接続孔35の縁部35aから背びれ部34の外周縁34aまでの最短距離であり、また、
図11に示すように、最短距離Dcは第二距離Dbよりも小さい。
【0049】
よって、
図11に示すように、背びれ部34の最短距離Dcとなる部分において、スナップ2が図面上において右側へ傾動すると、その最短距離Dcが間隔Bよりも長いので、長辺23が背びれ部34の側面34eと接触して、スナップ2の右方向Yへの傾動(回転)が止まり、これ以上右側に傾動することはできない。左側への傾動の場合、第二短辺26が背びれ部34の側面34eに接触して、スナップ2の左側への傾動(回転)が止まる。従って、スナップ2に接続されたライン3は、本体部31の頭部32側(前方)や接続孔35の下方の第一釣針6への接近が制限されることとなり、ライン3が第一釣針6に絡むことを防止できる。なお、スナップ2の左右傾動角θ2は、上記第一実施形態と同じく、-30°以上30°以下である。
【0050】
最後に、他の実施形態の可能性について言及する。
上記第一実施形態において、背びれ部14の接続部15にアイ16を設けた。しかし、アイ16を省略しても構わない。係る場合、接続部5の貫通孔15を接続孔5aとする。また、第一距離Da、最短距離Dcは貫通孔15の縁部15aからの距離とする。
【0051】
上記第二実施形態において、接続孔35aの数を3つ設けた。しかし、接続孔35aの数は、これに限らず、単数、複数の任意の数設けてもよい。さらに、第二実施形態において、背びれ部34に肉抜き部36を設けた。しかし、肉抜き部36を省略しても構わない。係る場合、上記第一実施形態の如く、背びれ部34に接続孔35aを設けることもできる。
【0052】
なお、第一、第二実施形態において、スナップ傾動制限部4の形状を背びれに模した形状とした。しかし、スナップ2の前後及び/又は左右への傾動を制限できる形態であれば、スナップ傾動制限部4の形状は、上記の形状に限られるものではない。また、横断部材25と接触する部材や長辺23、第二短辺26に接触する部材を本体部11,31に設けてスナップ傾動制限部4を構成することも可能である。例えば、スナップ傾動制限部4の幅Lが最大となる部分をスナップ2の間隔Bに対して0.9~0.99倍とする。これにより、スナップ2が左右方向Yに傾動するとスナップ傾動制限部4の側面14e,34eと接触するので、これ以上の傾動を抑制する。なお、幅Lが最大となる部分は、例えば突起や膨らみ部として、スナップ傾動制限部4と一体に又は別体に形成しても良い。
なお、本発明は本来の趣旨を逸脱しない限り種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1,1A,1B:疑似餌、2:スナップ、3:ライン、4:スナップ傾動制限部、5:接続部、5a:接続孔、6:第一釣針、7:第二釣針、10a:腹(下方)、10b:背中(上方)、10c:尾部(後方端部)、11:本体部、11x:目(装飾)、11y:エラ(装飾)、12:頭部、13:胴部、14:凸部(背びれ部)、14a:外周縁、14b:前方根元部、14c:頂点、14d:後方根元部、14e:側面、14z:長くなる部分、15:接続孔、15a:縁部、16:アイ、16a:縁部、16c:中心軸、21:取付部、21a:一端、21b:他端、22:貫通部、22a:一端、22b:他端、23:長辺、24:第一短辺、24a:端部、25:横断部材、25a:端部、26:第二短辺、26a:端部(フック)、27:連結部、30a:腹(下方)、30b:背中(上方)、30c:尾部(後方端部)、31:本体部、31a:板状部、31b:肉厚部、31x:目(装飾)、31y:エラ(装飾)、32:頭部、33:胴部、34:凸部(背びれ部)、34a:外周縁、34b:前方根元部、34c:頂点、34d:後方根元部、34e:側面、34z:長くなる部分、35:接続孔、35a:縁部、36:肉抜き部、B1,B2:本体部横幅、B:間隔、Da:第一距離、Db:第二距離、Dc:最短距離、H1,H2:背びれ部の高さ、L1,L2:背びれ部の幅、W1,W2:本体部縦幅、X:前後方向(長手方向)、Xa:水平方向線、Y:左右方向(水平方向)、Z:上下方向、Za:上下方向線、θ1:前後傾動角、θ2:左右傾動角