(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121340
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】血圧計の測定結果から、血液の流動速度、血管の直径、血管の流動抵抗、心臓の負荷率などを算出して血圧計に表示する。
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20220812BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20220812BHJP
A61B 5/026 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A61B5/022 500M
A61B5/022 500B
A61B5/0245 200
A61B5/022 400A
A61B5/026
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021058701
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】521134798
【氏名又は名称】阿部 真一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 昭吉
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA06
4C017AA08
4C017AA10
4C017AA11
4C017BC11
4C017BD05
4C017BD06
4C017FF05
(57)【要約】
【課題】高血圧は、脳出血や脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な疾病を誘発すことがあります。健康管理や疾病の診断には、血圧の測定が重要な手段になっています。しかし、血圧は、多くの要因によって複雑に変動します。
また、血圧の測定だけでは、血液の流動の状態や血管の状態を知ることができません。血圧は、血液の流動の状態や血管の状態によって変動します。
【解決手段】本発明は、血圧の測定結果から計算によって、血液の流動のようすや血管の状態や心臓の働きの状態が分かるようにします。その結果、血圧を変える要因と血液の流動や血管の状態や心臓の働きの変化が起こる因果関係が分かるようになった。
健康管理や疾病の診断に有力な手掛かりを提供することができる血圧計を作ることができます。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧測定によって得られる、最高血圧と最低血圧と脈拍数の測定結果を使います。
二回の血圧測定の結果を組み合わせて、血管の直径と血液の流動速度と血管の流動抵抗と心臓の負荷率が変動する状況を算出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器である血圧計に関係するものである。
血圧計は、腕帯を巻き付けて、動脈の鼓動を測定して、最高血圧、最低血圧と脈拍数を測定する。
最高血圧は、心臓が収縮して血液を送りだす時に示す、血圧が上がった時の圧力である。
最低血圧は、心臓が拡張して血液を吸い込むために、血圧が下がった時の圧力である。
脈拍数は、心臓が送り出す血液量に比例する。
血液は、心臓から吐出され、大動脈から枝分かれして末梢動脈に、さらに毛細血管を経て静脈を経由して心臓に戻る。血液の循環器系は複雑な閉鎖系の回路になっている。
血圧測定では、循環器系を枝分かれした抹消部分を一括して、一本の閉鎖系の管として取り扱っている。血圧計の測定は、最高血圧、最低血圧と脈拍数である。循環器系の病理診断には、簡便で良い方法である。
【0002】
本発明の方法も、血圧測定と同じく、循環器系を一本の閉鎖系の管として扱う。得られる結果は、血管の直径、血液の流動速度、血管の流動抵抗、心臓の負荷率などである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
測定する対象の血圧は、日常でも常時変動している。この不可解な変動が、時には重篤な疾病を引き起こすこともる。
血圧を変動させている要因と血圧の変動との因果関係を調べる事は医学的にも重要なことである。
特に重要な所見は、身体の状況が変わった時に起こる循環器系の対応である。
正常な、または、標準的な状態の循環器系の状況と身体の状況を変えた後の循環器系の状況を比較して、血圧をかえる要因と循環器の対応との関係が分かる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の方法では、身体の状況を変えて、状況の違う二度の血圧測定を行う。
二度の測定結果から、血管の直径、血液の流動速度、血管の流動抵抗、心臓の負荷率などの変動する状況を算出する。
一度目の血圧測定は、基準になる測定であり、平常な状態での血圧測定であっても、他の健常者や若者の測定値を使って計算してもよい。既にある年齢別の標準値を使ってもよい。
二度目の血圧測定は、身体に負荷を掛けた直後の血圧測定である。
二度の測定で得た結果を計算に使う。
負荷は、身体の運動や飲酒や入浴や疾病や睡眠不足など、多くの状況を選ぶことができる。トレッドミルなどの負荷試験中の測定結果でもよい。
算出した結果を本発明の算出方法のアルゴリズムを内蔵した血圧計で表示する。
【発明を実施する為の形態】
【0005】
ウォーキングによって身体に負荷を掛ける場合を実施例として使って説明をする。
本発明にあるアルゴリズムも計算方法の説明として記載してあります。
朝の起床直後の血圧を家庭用の血圧計で測定した。通常、起床直後の血圧は、常時よりも高い。
基準になる起床直後の数値Aは、
最高血圧A=140(mmHg) 最低血圧A=79(mmHg)
心拍数A=63(/分)
対象になる測定値Bは、ウォーキングから帰宅後に測定した。
最高血圧B=117(mmHg) 最低血圧B=72(mmHg)
心拍数B 84(/分)
【0006】
測定結果を変数に当てはめます。
HA=最高血圧A LA=最低血圧A
HB=最高血圧B LB=最低血圧B
QA=心拍数A QB=心拍数B
DA=(HA―LA) DB=(HB―LB)
【0007】
当てはめた変数を使って、血管の半径の変化を求める
(RADIUS)4=(QB)(DA)/(QA)(DB)
血管の半径=((RADIUS)―1)(100)
【0008】
当てはめた変数を使って、血液の流速の変化を求める
(VELOCITY)=(QB)/(QA)(RADIUS)2
血液の流速=((VELOCITY)―1)(100)
【0009】
当てはめた変数を使って、血管の流動抵抗の変化を求める
(R)=(QA)(DB)/(QB)(DA)
血管の流動抵抗=((R)―1)(100)
【0010】
当てはめた変数を使って、血液の流量の変化を求める
QR=QB/QA
血液の流量=(QR―1)(100)
【0011】
当てはめた変数を使って、心臓に掛かる負荷の変化を求める
(LOAD)=DB/DA
心臓の負荷率=((LOAD)―1)(100)
【0012】
当てはめた変数を使って、心臓の活動量の変化を求める
(WORK)=(DB)(QB)/(DA)(QA)
心臓の活動量=((WORK)―1)(100)
【発明の効果】
【0013】
算出した結果を表示します。実施例で使った、身体に負荷を掛けたウォーキングの算出結果は、下記表の一行目にある数値です。
表に記載した数値は、基準の状態から変化した各項目が示す変化率です。変化率をパーセント%表示しました。
ウォーキング以外に、入浴した場合や飲酒などの実施例も付記しました。
朝の起床直後の高い血圧(最高血圧A=140(mmHg))を基準に使っています。その結果、ウォーキングの後に、心臓の仕事量(出力)が低下した数値になっています。原因は、基準に使った最高血圧Aの時には、心臓が高出力で働いていたが、ウォーキングによって、血液の流動が良くなって、逆に心臓の働きが楽になったことを示しています。
高血圧の場合には、血管の直径が細くなって、循環器系の全ての状態が悪くなっていることが分かります。