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特開2022-121345暑さ防止方法および樹木型環境温暖化対策装置
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  • 特開-暑さ防止方法および樹木型環境温暖化対策装置 図1
  • 特開-暑さ防止方法および樹木型環境温暖化対策装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121345
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】暑さ防止方法および樹木型環境温暖化対策装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/12 20060101AFI20220812BHJP
   B05B 1/16 20060101ALI20220812BHJP
   B05B 12/14 20060101ALI20220812BHJP
   F24F 1/0007 20190101ALI20220812BHJP
【FI】
B05B12/12
B05B1/16
B05B12/14
F24F1/0007 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021058707
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】504137129
【氏名又は名称】株式会社 サンテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100081260
【弁理士】
【氏名又は名称】染川 利吉
(72)【発明者】
【氏名】渕口 鉄哉
【テーマコード(参考)】
3L050
4F033
4F035
【Fターム(参考)】
3L050BB04
4F033AA05
4F033BA02
4F033BA04
4F033CA12
4F033DA01
4F033EA05
4F033GA01
4F033LA13
4F035AA01
4F035BA11
4F035BA22
4F035BB15
4F035BB16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】炭酸ガスを吸収し酸素を排出する樹木を利用して、夏の暑さ対策および気候変動対策を図るのに有用な暑さ防止方法および樹木型環境温暖化対策装置を提供する。
【解決手段】樹木20の幹に沿って設置した送水パイプ3を通して樹木の葉部2からノズル5で周囲に水を粒状に噴射ないし噴霧するとともに、前記葉部から冷気を噴射するようにした暑さ防止方法が提供される。また本発明の樹木型環境温暖化対策装置は、樹木の幹1に沿って配置された送水パイプおよび樹木の葉部に設けられた噴水・噴霧ノズルを備えた冷却手段と、樹木の葉部に設けられた送風機により冷風を送出する冷気手段と、周囲環境の気温、湿度等を検出して冷却手段および(または)冷気手段を制御する制御手段とを有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹木の幹に沿って設置した送水パイプを通して樹木の葉部からノズルで周囲に水を噴射ないし噴霧するとともに、前記葉部から冷気を噴射することを特徴とする暑さ防止方法。
【請求項2】
樹木の幹に沿って配置された送水パイプおよび樹木の葉部に設けられた噴水・噴霧ノズルを備えた冷却手段と、
前記樹木の葉部に設けられた送風機により冷風を送出する冷気手段と、
周囲環境の気温、湿度等を検出して前記冷却手段および(または)前記冷気手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする樹木型環境温暖化対策装置。
【請求項3】
前記冷却手段、前記冷気手段および前記制御手段を備えた前記樹木を植え付けした箱体と、前記箱体を搭載し、かつ送水装置を装備した搬送台車とを有することを特徴とする請求項2に記載した樹木型環境温暖化対策装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夏の猛暑による暑さを防止する方法および樹木型環境温暖化対策装置に関し、特に、炭酸ガスを吸収し酸素を排出する樹木を利用して夏の暑さ対策および気候変動対策を図るのに有用な暑さ防止方法および樹木型環境温暖化対策装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球全体の温暖化の影響で、我国の夏の暑さも35°以上の日が常態化しており、この気候変動により大型の台風や大雨による地域住民の被害も増してきている。
この地球規模の温暖化の対策として、脱炭素社会や夏のヒートアイランド対策が種々講じられているが、その中で特許文献1に示すように、人工の樹木の幹や葉部に冷気、冷水を噴射、噴霧する試みがなされている。この文献1のヒートアイランド防止システムは、内部にトレー状の面板を備え、かつ少なくとも上面が透明となったユニットケースを人工の樹木上に設置し、前記トレー状の面板に給水する送水管と前記トレー状の面板から溢流した水を前記ユニットケースの底部から貯水タンクに導く排水管とを設け、太陽光による前記ユニットケースおよび前記樹木の葉部の影で地面を覆うようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-299378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、地球温暖化の影響で夏の暑さが35°Cから40°C近くまで上昇して地域の住民に熱中症等の被害を及ぼしている。さらに、気候変動により、大型の台風や大雨等による自然災害も多発している。また、今回の新型コロナウィルスの発生により、外出をひかえ、屋内に閉じこもることによる冷房、温暖化に伴う人命や経済に危機的な事態をまねいている。
【0005】
上述した特許文献1に記載のシステムは、基本的にはソーラーパネルで生じた電力によって人工の樹木の枝に設置した撒水手段を作動させて、地面の過熱を防止しようとするものであり、曇り日などには充分な効果は得られない。
【0006】
本発明は、近年の地球温暖化による災害や新型ウィルスの蔓延に対処するために、自然の樹木の幹や葉部を利用して水の噴射、噴霧および冷風の送出により、温暖化を防ぐとともに、樹木本来の有する炭酸ガスの吸収、酸素の放出によって人の免疫力の向上、脱炭素化を図ることを目的とするものである。
【0007】
具体的には、本発明は、昨今の猛暑つづきの夏の季節での暑さ防止方法および樹木型環境温暖化対策装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、樹木の幹に沿って設置した送水パイプを通して樹木の葉部からノズルで周囲に水を粒状に噴射ないし噴霧するとともに、前記葉部から冷気を噴射するようにした暑さ防止方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、樹木の幹に沿って配置された送水パイプおよび樹木の葉部に設けられた噴水・噴霧ノズルを備え、水を粒状に噴射、噴霧する冷却手段と、前記樹木の葉部に設けられた送風機により冷風を送出する冷気手段と、周囲環境の気温、湿度等を検出して前記冷却手段および(または)前記冷気手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする樹木型環境温暖化対策装置が提供される。
【0010】
本発明のひとつの形態によれば、前記冷却手段、前記冷気手段および前記制御手段を備えた前記樹木を植え付けした箱体と、前記箱体を搭載し、かつ送水装置を装備した搬送台車とを有することを特徴とする。なお、樹木としては、常緑樹とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自然の樹木の葉部を利用して周囲への水の噴射、噴霧および冷気、冷風の放出により、夏の猛暑の緩和、防止を図ることができ、これを地域全体に広めることにより、ひいては地域全体および地球規模の温暖化を防止することができる。
【0012】
また、樹木から排出される酸素によって人の免疫機能を高めるとともに、樹木の炭酸ガスの吸収作用も促進されるので、脱炭素化に寄与するとともに、温暖化が防止される。これらの総合効果として人間の健康増進、免疫機能の増大によるコロナ対策にも効果が期待でき、さらに大型の台風や大雨などの自然災害の低減がもたらされる。
【0013】
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】 本発明の実施例に係る樹木型温暖化対策装置の概略的な側面図である。
図2】 本発明の他の実施例に係る移動式樹木型温暖化対策装置の概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を、各種の実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の実施例によれば、自然の樹木の葉で太陽光を遮るとともに、各種のセンサーを樹木に取り付けて、高温(例えば30°C以上)になると、粒状の形態で冷水や冷気、あるいは霧を樹木から周囲に放出するように構成されている。
図1に示す実施例において、自然の樹木、特に実際の常緑樹20の幹1や枝21の部分に水を噴射、噴霧する送水パイプ3が樹木20の幹1あるいは枝21に沿うように設置されている。送水パイプ3は幹1や枝21に脱着可能なバンド6によって固定されている。樹木20の葉部2には水を粒状あるいは霧の状態で噴射する冷水ノズル5が取り付けられている。冷水ノズル5は送水パイプ3の先端に接続され、また樹木20の葉部2には冷気あるいは冷風を噴出する冷気ノズル4が取り付けられている。このノズル4はミニチュアファンのような扇風機の形態で構成されてもよい。冷気ノズル4は扇風機のような羽根車の回転で送風する形態以外に、地上の送風機(図示省略)から伸長した送気管(図示省略)をノズル4に接続して送風するようにしてもよい。
【0016】
また、送水パイプ3は例えば水道設備等に連結された送水ポンプ22に接続され、送水ポンプ22は制御用センサー11による周囲の検出温度や湿度によりデジタル制御可能な制御装置によってその送水量等が制御されるようになっている。この場合、制御装置はIoTやAIで制御されるようにしてもよい。
【0017】
このような構成で、制御用センサー11による温度検出により、高温(例えば30°C以上)になったとき、送水ポンプ22が作動し、送水パイプ3を介して冷水を冷水ノズル5から葉部周囲の外部環境へ粒状、噴霧等の形態で噴射する。この場合、周囲に人がいないときには粒状噴射とし、人がいるときには霧の噴出とするように状況に応じて切り換え可能としている。以上は地上の樹木20に適用した場合であるが、本発明の他の実施例では、樹木自体を台車に搭載し、移動式としている。
【0018】
図2は本発明の他の実施例に係る移動式樹木型環境温暖化対策装置25を示したものである。この実施例では、各種イベント会場や多目的会議場等によって設置場所を変えることができる。樹木20はその根の部分が箱体7に収容され、箱体7に詰められた土によって樹木20の根部分が固定されている。この状態で箱体7は送水装置を内蔵する筐体8に収容されている。筐体8は移動用車輪9を有し、状況に応じて必要な場所に移動できるようになっている。
【0019】
筐体8には送水装置の送水ポンプ22に接続される送水管コネクタ12および送水ポンプ22を作動する電力の電源コネクタ13が取り付けられている。また、筐体8にはデジタル制御が可能な制御用センサー11が取り付けられており、周囲の気温、湿度、その他風の有無、強さ等を検出し、送水装置の送水量、冷気ノズルの送気量等を制御するようになっている。この場合、IoTやAI等を利用して制御するようにしてもよい。筐体8内の送水装置の送水出力管は図1で説明した樹木20の幹1に取り付けられている送水パイプ3に接続されている。樹木20の葉部2には図1で説明した冷気ノズル4や噴水、噴霧を行う冷水ノズル5が設けられている。
【0020】
本発明による樹木装置は野外に設置されたり、イベント会場のフロア等に配置されるため、装置に付属した各種のセンサーやノズルの盗難防止のため、樹木20の幹1の上部に盗難防止用のセンサー・監視カメラ10が設置されている。また、特に移動式の場合に大雨や暴風、地震等により樹木20が転倒したり、勝手に移動してしまわないように安全性にも各種の配慮がなされている。さらに、樹木20の成長により、送風や水の噴射、噴霧の動作によって葉部が支障を生じないように適宜剪定や補修、管理を行う必要があり、ノズル4、5の位置調整のために、ノズル4、5を固定するベルト6は締め具合を調整できるように配慮がなされている。なお、冷水には水道水を利用するが、冬季には送水パイプに温水を供給できるようにして葉部を温め、送気管には熱風を送気するようにして、葉部から熱気の噴射を行って周囲を温めるようにすることもできる。
【0021】
本発明では樹木の葉部から排出される酸素を人の免疫機能を高めるために利用するとともに、樹木の炭酸ガスを吸収する機能を利用して脱炭素化、温暖化対策を図り、かつ温暖化防止対策を図り、人体への酸素の取込みを増加させることで、人の免疫機能を高め感染症の抵抗力増大を図ることができる。特に、水(HO=H(+イオン分子)+OH(-イオン分子))が1兆分の1の速さで液体と気体に分子レベルで変化しており、樹木の排出する酸素との相乗効果で人間の免疫効果を高める。また人の抵抗力の増大により、コロナ対策にも寄与し得ることが予想され、さらに健康増進や活力の増進を図り、大型の台風や豪雨等の自然災害の低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 幹
2 葉部
3 送水パイプ
4 冷気ノズル
5 冷水ノズル
6 ベルト
7 箱体
8 筐体
9 移動用車輪
11 制御用センサー
12 送水管コネクタ
13 電源コネクタ
20 樹木
21 枝
22 送水ポンプ
図1
図2