IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 金橋ホールディングス株式会社の特許一覧 ▶ 国立感染症研究所長の特許一覧

特開2022-121348シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法
<>
  • 特開-シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 図1
  • 特開-シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 図2
  • 特開-シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 図3
  • 特開-シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 図4
  • 特開-シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 図5
  • 特開-シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 図6
  • 特開-シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 図7
  • 特開-シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 図8
  • 特開-シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 図9
  • 特開-シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 図10
  • 特開-シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121348
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7016 20060101AFI20220812BHJP
   A61K 31/7028 20060101ALI20220812BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20220812BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 9/68 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220812BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20220812BHJP
【FI】
A61K31/7016
A61K31/7028
A61P31/16
A61P31/14
A61K47/26
A61K47/10
A61K9/68
A61K9/20
A61K47/46
A61K9/06
A61K9/107
A61K9/08
A61K9/12
A61K9/10
A61K47/36
A61K47/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】50
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021066792
(22)【出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】517277030
【氏名又は名称】金橋ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591222245
【氏名又は名称】国立感染症研究所長
(72)【発明者】
【氏名】守金 眞滋
(72)【発明者】
【氏名】守金 大蔵
(72)【発明者】
【氏名】渡士 幸一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康夫
(72)【発明者】
【氏名】武田 収功
(72)【発明者】
【氏名】真弓 陽香
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA17
4C076AA24
4C076AA36
4C076AA49
4C076AA69
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB22
4C076BB25
4C076BB31
4C076CC35
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD38T
4C076DD67T
4C076EE26
4C076EE30A
4C076EE30G
4C076EE58A
4C076EE59
4C076FF17
4C076FF31
4C076FF52
4C076GG01
4C076GG41
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA02
4C086EA05
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA17
4C086MA21
4C086MA22
4C086MA28
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA36
4C086MA47
4C086MA52
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA63
4C086NA10
4C086NA12
4C086ZB33
(57)【要約】
【課題】
容易に使用可能であるとともに、長時間のウイルスの活性を抑制する作用及び/又はウイルスの増殖を抑制する作用等のウイルス活性抑制効果が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、そのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法を提供。
【解決手段】
基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、シアル酸誘導物質含有剤は基剤の中に含有されてなる。シアル酸誘導物質含有剤は、病原体としてのインフルエンザウイルス、コロナウイルス、新型コロナウイルス、等のウイルスの活性及び/又は増殖を抑制する機能を有する。基材としては、チューインガム基剤、キャンディー基剤、トローチ基剤等の菓子基剤、又は軟膏剤、クリーム剤、液剤、等の外用剤基剤等が適用できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、
前記シアル酸誘導物質含有剤は前記基剤の中に含有されてなる、
ことを特徴とするシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項2】
前記シアル酸誘導物質含有剤は、化学構造式において、シアル酸とガラクトースとが結合された化学構造を有するシアル酸誘導物質を含有し、
シアル酸誘導物質は、
シアル酸の2番目の炭素とガラクトースの6番目の炭素とが結合された2,6結合構造、又は、
シアル酸の2番目の炭素と、ガラクトースの3番目の炭素とが結合された2,3結合構造、
を有することを特徴とする請求項1に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項3】
前記シアル酸誘導物質含有剤は、インフルエンザウイルス又はコロナウイルスに対するウイルス活性抑制機能を有し、
前記ウイルス活性抑制機能は、ウイルスの活性を抑制する機能、及び/又は、ウイルスの増殖を抑制する機能、及び/又は、ウイルスに感染することを抑制する機能、を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項4】
前記基剤は、菓子基剤を含有し、
前記菓子基剤は、甘味剤を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤は前記基剤に溶解及び/又は均一に混合されてなり、
人の口中に服用された時に、
前記基剤が、口中において、融解及び/又は唾液に溶解すると共に、
前記シアル酸誘導物質含有剤が、口中に放出されて、口内に滞留及び/又は口内粘膜に付着する性質を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項5】
前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤であり、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなる、
ことを特徴とする請求項4に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項6】
前記基剤は、菓子基剤を含有し、
前記菓子基剤は、ガム基剤と、甘味剤を含有し、
前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなり、
咀嚼可能な弾性固形の形態を有し、
人の口中に服用されて、咀嚼された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤は口内に滞留可能及び/又は口内粘膜に付着可能に構成されてなり、
チューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項7】
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
チューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項6に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項8】
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、水飴であり、
チューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項6に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項9】
前記菓子基剤は、更に、多価アルコールを含有し、
前記多価アルコールは、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、及び、ジプロピレングリコール、からなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールを含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤が菓子基剤と前記多価アルコールとを含有する基剤の中に均一に含有されてなり、
チューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項10】
前記基剤は、菓子基剤を含有し、
前記菓子基剤は、ガム基剤と、甘味剤と、更に、多価アルコールを含有し、
前記甘味剤は少なくとも第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤はマルチトールであり、前記第二甘味剤は蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトールとからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記多価アルコールは、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、及び、ジプロピレングリコール、からなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールを含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなり、
咀嚼可能な弾性固形の形態を有し、
人の口中に服用されて、咀嚼された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤は口内に滞留可能及び/又は口内粘膜に付着可能に構成されてなり、
チューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項11】
(i)前記甘味剤は、粉末状の形態で前記ガム基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末形状の形態で含有されている甘味剤ルのうち、300μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有する、
及び/又は、
(ii)前記シアル酸誘導物質含有剤が粉末状の形態で前記ガム基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、300μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有し、
チューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項12】
前記基剤は、菓子基剤を含有し、
前記菓子基剤は、キャンディ基剤と、甘味剤を含有し、
前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなり、
人の口中に服用された時に、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、
キャンディ製剤の形態を有してなる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項13】
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
キャンディ製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項12に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項14】
更に、水を含有し、
水の含有量が、全量に対して、7重量%以下であり、
前記基剤は固形剤の形態を有し、
ハードキャンディ製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項12または13に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項15】
更に、水を含有し、
前記基剤は固形剤の形態を有し、
水の含有量が、全量に対して、7重量%以下であり、
前記甘味剤は、少なくとも第一甘味剤としてのマルチトールを含有し、
前記菓子基剤は、更に、多価アルコールを含有し、
前記基剤は、固形の形態を有し、
経時的な表面の変質が抑制されてなり、
ハードキャンディ製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項12または13に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項16】
更に、水を含有し、
前記基剤は固形剤の形態を有し、
水の含有量が、全量に対して、7重量%以下であり、
前記甘味剤は、少なくとも第一甘味剤としてのマルチトールと、第二甘味剤としての還元パラチノースとを含有し
ハードキャンディ製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項12または13に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項17】
更に、水を含有し、
前記基剤は固形剤の形態を有し、
水の含有量が、全量に対して、7重量%以下であり、
前記甘味剤は、少なくとも第一甘味剤としてのマルチトールと、第二甘味剤としての水飴とを含有し、
ハードキャンディ製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項12または13に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項18】
更に、水と油脂を含有し、
前記基剤は固形剤の形態を有し、
水の含有量が、全量に対して、4~15重量%である、及び/又は、
油脂の含有量が、全量に対して、2~15重量%である、
ソフトキャンディの形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項12または13に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項19】
更に、水とゲル化剤を含有し、
前記基剤は弾性固形剤の形態を有し、
水の含有量が、全量に対して、10~35重量%である、及び/又は、
ゲル化剤の含有量が、全量に対して、5~25重量%であり、
グミキャンディ製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項12または13に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項20】
前記基剤は、菓子基剤を含有し、
前記菓子基剤は、チョコレート基剤と、甘味剤を含有し、
前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなり、
人の口中に服用されて、舐めて使用された時に、及び/又は、噛み砕いて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、
チョコレート製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項21】
前記チョコレート基剤は、
(イ)カカオ由来原料と、
(ロ)乳化剤、乳脂肪、及び、液状植物性油脂からなる群から選ばれる少なくとも一つのチョコレート添加助剤と、を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記チョコレート基剤と前記甘味剤との中に均一に含有されてなり、
人の口中に服用されて、舐めて使用された時に、及び/又は、噛み砕いて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記カカオ由来原料と一緒に口内に放出されて、前記前記カカオ由来原料と該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、
チョコレート製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項20に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項22】
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
チョコレート製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項20または21に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項23】
(i)前記マルチトールは、粉末状の形態で前記チョコレート基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末状の形態で含有されているマルチトールのうち、300μm以下の粒径を有するマルチトールが90%以上を含有する、
及び/又は、
(ii)前記シアル酸誘導物質含有剤が粉末状の形態で前記チョコレート基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、300μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有し、
チョコレート製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項24】
前記基剤は、トローチ基剤を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤と前記基剤とが均一に含有されてなり、
人の口中に服用された時に、
人の口中に服用されて、舐めて使用された時に、及び/又は、噛み砕いて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、
トローチ製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項25】
前記基剤は、チュアブル基剤を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤と前記基剤とが均一に含有されてなり、
人の口中に服用された時に、
人の口中に服用されて、舐めて使用された時に、及び/又は、噛み砕いて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、
チュアブル製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項26】
前記基剤は、前記トローチ基剤又はチュアブル基剤に加えて、更に甘味剤を含有し、
前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなる、
ことを特徴とする請求項24または25に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項27】
前記基剤は、前記トローチ基剤に加えて、更に甘味剤を含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、マルチトールと還元パラチノースを含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなる、
ことを特徴とする請求項24に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項28】
前記基剤は、前記トローチ基剤に加えて、更に、マルチトールと多価アルコールを含有し、
前記基剤は、固形の形態を有し、
経時的な表面の変質が抑制されてなり、
トローチ製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項24乃至26のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項29】
(i)前記甘味剤は、粉末状の形態で前記基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末状の形態で含有されている甘味剤のうち、300μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有する、
及び/又は、
(ii)前記シアル酸誘導物質含有剤が粉末状の形態で前記基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、300μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有してなる、
ことを特徴とする請求項24乃至28のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項30】
前記基剤は、人体皮膚に塗布又は付着して使用可能な外用剤基剤を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤は前記外用剤基剤に溶解及び/又は均一に分散されてなり、
人の皮膚に塗布又は噴霧された時に、人体皮膚に付着可能に構成されてなり、
外用製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項31】
前記基剤は、人の鼻腔内及び/又は皮膚に塗布又は付着可能な外用剤基剤を含有し、
前記外用剤基剤は、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤、又は、スプレー剤の形態を有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤は、前記外用剤基剤に、溶解及び/又は均一に分散されてなり、
人の鼻腔内及び/又は皮膚に塗布又は噴霧された時に、
鼻腔内の粘膜及び/又は皮膚に付着可能に構成されてなり、
外用製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項32】
前記基剤は、人の鼻腔及び/又は皮膚に塗布又は付着可能な外用剤基剤を含有し、
(i)前記基剤は油性基剤を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤は、前記油性基剤の中に、溶解した状態、粉末状態で分散された状態、及び/又は、膨潤した状態で含有されてなる、軟膏製剤の形態を備え、
又は、
(ii)油性基剤と、水性基剤と、乳化剤及び/又は界面活性剤を含有してなる乳化状態を有し、前記シアル酸誘導物質含有剤は、前記油性基剤と水性基剤の中に、溶解した状態、粉末状態で分散された状態、及び/又は、膨潤した状態で含有されてなる、クリーム製剤の形態を備え、
人の鼻腔内及び/又は皮膚に塗布された時に、
鼻腔内及び/又は皮膚の粘膜に付着可能に構成されてなり、
外用製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項33】
前記基剤は、物品に塗布又は付着可能な物品付着用基剤を含有し
前記物品付着用基剤は、ゲル状流動剤、液剤、又は、スプレー剤、の形態を有してなり、
物品に付着可能に構成されてなり、
物品付着用製剤の形態を有してなる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項34】
前記基剤は、人体皮膚に塗布又は付着して使用可能な外用剤基剤、又は、物品に塗布又は付着可能な物品付着用基剤、を含有し、
前記外用剤基剤、又は、物品付着用基剤は、少なくとも、水と低級アルコールを含有する混合溶剤を有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤は、前記混合溶剤に溶解されてなる、
ことを特徴とする請求項30または33に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤。
【請求項35】
基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、
前記シアル酸誘導物質含有剤は前記基剤の中に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、
基剤とシアル酸誘導物質含有剤とを130℃以下の温度で混合して、シアル酸誘導物質含有剤が基剤の中に均一に含有されてなる基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材を形成する工程、を備えてなる、
ことを特徴するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項36】
前記基剤が菓子基剤を含有し、前記菓子基剤がガム基剤と甘味剤とを含有するチューインガムの形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、
(A)20~90℃の温度で、ガム基剤と甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と、を混合して、前記ガム基剤と前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製する工程、
(B)前記チューインガム中間混合物を45℃以下の温度に下げた温度状態で、所定の形状に分割して、チューインガムの形態を有する所定形状に成形する工程、
を備えてなり、
人の口中に服用されて、咀嚼された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤は口内に滞留可能及び/又は口内粘膜に付着可能に構成されてなり、
チューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項35に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項37】
前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有し、
前記甘味剤は粉末状態で前記ガム基剤の中に均一に含有されてなり、
前記(A)工程は、
20~90℃の温度で、ガム基剤と前記甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と、を混合して、前記ガム基剤と前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製する工程、を備え、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項36に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項38】
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記(A)工程は、
45℃~90℃の温度で、ガム基剤と前記甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と、を混合して、前記ガム基剤と前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製する工程、を備え、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項36または37に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項39】
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、水飴であり、
前記(A)工程は、
45℃~90℃の温度で、ガム基剤と前記甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と、を混合して、前記ガム基剤と前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製する工程、を備え、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項36または37に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項40】
(i)前記甘味剤は少なくとも、粉末状の形態で前記ガム基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末状の形態で含有されている甘味剤のうち、300μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有する、
及び/又は、
(ii)前記シアル酸誘導物質含有剤が粉末状の形態で前記ガム基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、300μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項36乃至39のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項41】
前記(A)工程において、
前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と前記甘味剤とを均一に混合してシアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合物を調製し、該シアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合物とガム基剤とを混合してチューインガム中間混合物を調製する、
ことを特徴とする、請求項36乃至40のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項42】
前記基剤は、前記菓子基剤に加えて、更に、多価アルコールを含有し、
前記多価アルコールは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及び、グリセリンからなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールを含有し、
前記(A)工程は、
20~90℃の温度で、ガム基剤と多価アルコールと甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と、を混合して、前記ガム基剤と前記多価アルコールと前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製する工程、を備え
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記ガム基剤と多価アルコールの中に均一に含有されたチューインガム製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項36乃至41のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項43】
前記基剤が菓子基剤を含有し、前記菓子基剤がハードキャンディ基剤と甘味剤とを含有するハードキャンディの形態を有し、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、
(A)甘味剤と水を混合して、甘味剤が溶解された甘味剤溶解液を調製する工程、及び、前記甘味剤溶解液を第一所定温度に加熱して、水を蒸発除去して、7重量%以下の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該甘味剤含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、
(B)前記甘味剤含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該甘味剤含有加熱流動甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤を混合し、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、
(C)前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形してシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製する工程、
を備えてなり、
前記第一所定温度は120℃以上であり、
前記第二所定温度は、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70~150℃であり、
第三所定温度は70℃未満であり、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたハードキャンディ製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項35に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項44】
前記基剤が菓子基剤を含有し、前記菓子基剤がソフトキャンディ基剤と甘味剤とを含有するソフトキャンディの形態を有し、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、
(A)甘味剤と水を混合して、甘味剤が溶解された甘味剤溶解液を調製する工程、及び、前記甘味剤溶解液を第一所定温度に加熱して、水を蒸発除去して、4重量%~15重量%の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該甘味剤含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、
(B)前記甘味剤含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該甘味剤含有加熱流動甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤を混合し、該シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、
(C)前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形してシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製する工程、
を備えてなり、
前記第一所定温度は100℃以上であり、
前記第二所定温度は、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70~150℃であり、
第三所定温度は70℃未満であり、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたソフトキャンディの形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項35に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項45】
前記基剤が菓子基剤を含有し、前記菓子基剤がグミキャンディ基剤と甘味剤とを含有するグミキャンディの形態を有し、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、
(A)甘味剤と水を混合して、甘味剤が溶解された甘味剤溶解液を調製する工程、及び、前記甘味剤溶解液を第一所定温度に加熱して、10重量%~35重量%の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該甘味剤含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、
(B)前記甘味剤含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該甘味剤含有加熱流動甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤を混合し、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、
(C)前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形してシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製する工程、
を備えてなり、
前記第一所定温度は100℃以上であり、
グミキャンディの形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項35に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項46】
前記基剤が菓子基剤を含有し、
前記菓子基剤がキャンディ基剤と甘味剤とを含有し、
前記甘味剤は前記マルチトールを含有するとともに、
前記菓子基剤は、更に、多価アルコールを含有し、
前記(B)工程は、
前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤と更に多価アルコールを混合し、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持する工程、であり、
これにより、マルチトールの経時的な変質が抑制されてなるキャンディの形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が調製され、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたキャンディ製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項43乃至45のいずれかに記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項47】
前記基剤が菓子基剤を含有し、前記菓子基剤がチョコレート基剤と甘味剤とを含有するチョコレートの形態を有し、人の口中に服用されて、舐めて使用された時に、及び/又は、噛み砕いて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記菓子基剤と一緒に口内に放出されて、該菓子基剤と該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、
(A)45℃~90℃の温度で、チョコレート基剤と甘味剤と添加助剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と、を混合して、前記チョコレート基剤と前記甘味剤と前記添加助剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチョコレート中間混合物を調製する工程、
(B)前記チョコレート中間混合物を40℃以下の温度に下げた温度状態で、所定の形状に分割して、チョコレートの形態を有する所定形状に成形する工程、
を備え、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチョコレート製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項35に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項48】
前記チョコレート基剤は、
(イ)カカオ由来原料と、
(ロ)乳化剤、乳脂肪、及び、液状植物性油脂からなる群から選ばれる少なくとも一つのチョコレート添加助剤と、を含有し、
前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有してなり、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチョコレート製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項47に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項49】
(i)前記甘味剤は少なくともマルチトールを含有し、前記マルチトールは、粉末状の形態で前記チョコレート基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末状の形態で含有されているマルチトールのうち、300μm以下の粒径を有するマルチトールが90%以上を含有する、
及び/又は、
(ii)前記シアル酸誘導物質含有剤が粉末状の形態で前記チョコレート基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、300μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有し、
前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチョコレート製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項47または48に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【請求項50】
前記基剤が、トローチ基剤又はチュアブル基剤と、甘味剤とを含有するトローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、
(A)130℃以下の温度で、トローチ基剤又はチュアブル基剤と、甘味剤と、粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と、を混合して、前記トローチ基剤又はチュアブル基剤と前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された粉末状又は顆粒状のシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間混合物を調製する工程、
(B)35℃以下の温度で、シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間混合物を、所定の形状に圧縮成型して、トローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有する所定形状に成形する工程、を備えてなり、
又は、
(A-1)130℃以下の温度で、トローチ基剤又はチュアブル基剤と、甘味剤と、を混合して、前記トローチ基剤又はチュアブル基剤と前記甘味剤とが均一に混合された粉末状又は顆粒状のトローチ基剤中間混合物又はチュアブル基剤中間混合物を調製する工程、
(A-2)35℃以下の温度で、前記トローチ基剤中間混合物又はチュアブル基剤中間混合物と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とを混合して、前記トローチ基剤又はチュアブル基剤と前記甘味剤と前記シアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合されたシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材を調製する工程、及び、
(B-1)20~35℃の温度で、前記シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材を所定の形状に圧縮成型して、トローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有する所定形状に成形する工程、を備えてなり、
人の口中に服用された時に、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、
トローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有してなる、
ことを特徴とする請求項35に記載のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤に関し、詳しくは、口内に滞留可能、口内粘膜に付着可能、鼻腔内粘膜に付着可能、人体皮膚に付着可能、又は、物品に付着可能である、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人に感染する病原体ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、エイズウイルス、日本脳炎ウイルス、等の様々なウイルスが知られている。
例えば、インフルエンザウイルスやコロナウイルスは、口や鼻腔から侵入して、口内や鼻腔内、及び気道内の粘膜に付着して感染し、増殖する。インフルエンザやコロナウイルスに感染すると、高熱、喉の痛み、関節痛、全身倦怠、等の症状を示す。特に、高齢者では二次感染による肺炎等を引き起こして、死亡する場合も報告されている。
【0003】
従来、インフルエンザの予防としては、ワクチンを接種してインフルエンザウイルスへの抗体反応によってウイルス感染を防止する方法が知られている。
【0004】
また、インフルエンザウイルスは、人ごみでの飛沫感染によって感染することが知られており、マスクを装着して、ウイルスの体内への侵入を防止する予防方法が慣用されている。
【0005】
更に、インフルエンザの予防又は治療方法の研究開発は広く行われている。例えば、以下のような種々の技術が提案されている。
【0006】
特開2001-233773号公報(特許文献1)には、ウイルス受容体の被認識部位を含む糖鎖を持つ(ガングリシオド類を含む)スフィンゴ糖脂質を有効成分とする抗ウイルス剤が開示されている。しかしながら、ガングリシオド類はミンククジラの脳やヒト赤血球から抽出されたものであることから、抗インフルエンザ薬としての実用化には大量調製の観点においてやや困難であることが想到される。
【0007】
特開2002-68988号公報(特許文献2)には、粉砕した燕窩に水又は熱水で抽出した燕窩水抽出物を更に酵素処理して得られる酵素処理物を有効成分として含有するウイルス感染抑制剤が開示されている。
【0008】
特開2007-308444号公報(特許文献3)には、一方の末端にシアル基を含有するシアル酸含有糖鎖のシアル酸末端以外の末端に、糖以外の化合物が結合してなるシアル酸含有糖鎖複合体であって、優れた抗インフルエンザウイルス活性を有する抗インフルエンザウイルス剤が開示されている。特に、シアル酸含有糖鎖が、3-シアリルガラクトース鎖(すなわち、Neu5Acα2-3Gal)、及び/又は、6-シアリルガラクトース鎖(すなわち、Neu5Acα2-6Gal)を有するシアル酸含有糖鎖複合体が特に優れた抗インフルエンザウイルス活性を有することが開示されている。
【0009】
特開2015-133943号公報(特許文献4)には、燕の巣、酵素、及び一定の水を混合した後に、破砕均質処理を行って粗サンプルを取得する工程と、前記粗サンプルを50~200MPaの圧力にて高圧加水分解処理を行って加水分解物を取得する工程とを備えた圧力と酵素を併用した燕の巣の抽出方法が開示され、これによりシアル酸等の活性成分抽出量を増加した燕の巣抽出物が得られる技術が開示されている。
【0010】
技術論文の「Hirokazu Yagi,NakAo Yasukawa,Shin-Yi Yu,Chao-Tan Guo,Noriko Takahashi,Tadanobu Takahashi,Wakoto Bukawa,Takashi Suzuki,Kay-Hooi Khoo,Yasuo Suzuki,Koichi Kato:The expression of sialylated high-antennary N-glycans in edible bird’s nest.Carbonhydrate Res.,343,1373-1377(2008)」(非特許文献1)には、燕窩から抽出して調製したシアル酸糖鎖物には、(Neu5Ac)α2,3ガラクトース(Gal)[すなわち(Neu5Acα2,3Gal)]と、(Neu5Ac)α2,6ガラクトース(Gal)[すなわち(Neu5Acα2,6Gal)]が混在していることが記載されている。
また、(Neu5Acα2,3Gal)は鳥型レセプターであり、(Neu5Acα2,6Gal)はヒト型レセプターであることも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001-233773号公報
【特許文献2】特開2002-68988号公報
【特許文献3】特開2007-308444号公報
【特許文献4】特開2015-133943号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Hirokazu Yagi,NakAo Yasukawa,Shin-Yi Yu,Chao-Tan Guo,Noriko Takahashi,Tadanobu Takahashi,Wakoto Bukawa,Takashi Suzuki,Kay-Hooi Khoo,Yasuo Suzuki,Koichi Kato:The expression of sialylated high-antennary N-glycans in edible bird’s nest.Carbonhydrate Res.,343,1373-1377(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のようなワクチン接種による予防は、インフルエンザウイルスの抗原構造が頻繁に変異するために、ワクチンによる予防効果が長続きしないという問題、及び、流行株の予測が外れた場合には迅速に対応できないという問題があり、未だ有効な予防方法は確立されていない。
また、マスク着用による予防は、ウイルスの大きさは著しく小さく、通常のマスクではウイルスがマスクを透過してしまうために、予防方法としては十分に満足できるものではない。
更に、一般に、薬剤は、温度が高くなるに従って、薬剤の変質や分解等の何らかの劣化が生じる傾向にあり、薬剤が劣化しない程度の温度での製造が望まれている。また、製剤の保管中において、製剤の物性等の変質が生じない製剤が望まれている。
【0014】
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、上記に鑑みて、容易に使用可能であるとともに、ウイルスの活性を抑制する、及び/又は、ウイルスの増殖を抑制する、及び/又は、ウイルスに感染することを抑制する、等のウイルス活性抑制効果が期待できるとともに、これらのウイルス活性抑制効果の長時間の持続発揮が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を提供することを目的とする。
【0015】
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法は、製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化を生じないシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤は前記基剤の中に含有されてなる、ことを特徴とする。
好ましくは、前記シアル酸誘導物質含有剤は、ウイルスの活性を抑制する、及び/又は、ウイルスの増殖を抑制する、及び/又は、ウイルスに感染することを抑制する、等のウイルス活性抑制機能を有する。
【0017】
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法は、基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤は前記基剤の中に含有されてなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、基剤とシアル酸誘導物質含有剤とを130℃以下の温度で混合して、シアル酸誘導物質含有剤が基剤の中に均一に含有されてなる基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材を形成する工程、を備えてなる、ことを特徴する。
好ましくは、前記シアル酸誘導物質含有剤は、ウイルスの活性を抑制する、及び/又は、ウイルスの増殖を抑制する、及び/又は、ウイルスに感染することを抑制する、等のウイルス活性抑制機能を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤により、「製剤効果A:(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)容易に簡便に使用可能であるとともに、ウイルスの活性を抑制する、及び/又は、ウイルスの増殖を抑制する、及び/又は、ウイルスに感染することを抑制する、等のウイルス活性抑制効果が期待できるとともに、これらのウイルス活性抑制効果の長時間の持続発揮が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が得られる。
【0019】
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法により、「製造効果A:(製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が生じない効果)容易に簡便に使用可能であるとともに、
長時間のウイルス活性抑制効果が期待できるシアル酸誘導物質含有剤を、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の劣化を生じないシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤にかかるシアル酸誘導物質含有剤の化学的構造を説明する模式的概略化学構造式。
図2】本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤にかかるシアル酸誘導物質含有剤の化学的構造を説明する模式的概略化学構造式。
図3】本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤にかかるシアル酸誘導物質含有剤の化学的構造を説明する模式的概略化学構造式。
図4】本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤にかかるシアル酸誘導物質含有剤が感染を抑制する作用を有することを説明するための模式的概略図。
図5】インフルエンザウイルスに対するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤中のシアル酸誘導物質含有剤の含有量と残存ウイルス量との関係を示す実施例におけるグラフ。
図6】インフルエンザウイルスに対するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤中のシアル酸誘導物質含有剤の含有量と残存ウイルス量との関係を示す可視化した簡略写真。
図7】インフルエンザウイルスに対するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤中のシアル酸誘導物質含有剤の含有量と残存ウイルス量との関係を示す実施例におけるグラフ。
図8】インフルエンザウイルスに対するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤中のシアル酸誘導物質含有剤の含有量と赤血球凝集の状態を示す可視化した簡略写真。
図9】インフルエンザウイルスに対するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤中のシアル酸誘導物質含有剤の含有量と赤血球凝集の状態を示す可視化した簡略写真。
図10】コロナウイルスに対するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤中のシアル酸誘導物質含有剤の含有量と残存ウイルス量との関係を示す実施例におけるグラフ。
図11】コロナウイルスに対するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤中のシアル酸誘導物質含有剤の含有量と残存ウイルス量との関係を示す実施例におけるグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法について、詳細に説明する。
【0022】
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤は前記基剤の中に含有されてなることを特徴とする。
好ましくは、前記シアル酸誘導物質含有剤は、ウイルスの活性を抑制する、及び/又は、ウイルスの増殖を抑制する、及び/又は、ウイルスに感染することを抑制する、等のウイルス活性抑制機能を有する。
【0023】
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤により、「製剤効果A:(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)容易に簡便に使用可能であるとともに、ウイルスの活性を抑制する、及び/又は、ウイルスの増殖を抑制する、及び/又は、ウイルスに感染することを抑制する、等のウイルス活性抑制効果が期待できるとともに、これらのウイルス活性抑制効果の長時間の持続発揮が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が得られる。
なお、本発明において、「ウイルスの活性を抑制するウイルス活性抑制効果」は「ウイルスの増殖を抑制するウイルス増殖抑制効果」、「ウイルスに感染することを抑制するウイルス感染抑制効果」と類似の効果を意味し、「ウイルスの活性を抑制するウイルス活性抑制効果」は、「ウイルスの活性を抑制するウイルス活性抑制効果」に加えて、更に「ウイルスの増殖を抑制するウイルス増殖抑制効果」、及び、「ウイルスに感染することを抑制するウイルス感染抑制効果」を含む効果を意味する。
【0024】
前記のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「前記シアル酸誘導物質含有剤は、化学構造式において、シアル酸(NeuAc)とガラクトース(Gal)とが結合された化学構造を有するシアル酸誘導物質を含有し、シアル酸誘導物質は、シアル酸の2番目の炭素とガラクトースの6番目の炭素とが結合された2,6結合構造、又は、シアル酸の2番目の炭素と、ガラクトースの3番目の炭素とが結合された2,3結合構造、を有する構成」。
【0025】
前述の[背景技術]の欄で説明した特開2007-308444号公報の段落0007に記載のように、「インフルエンザウイルスは、そのエンベロープに存在するスパイクタンパク質の1つであるヘマグルチニン(HA)が、標的細胞の細胞膜表面に存在する複合糖質のシアル酸を含む糖鎖を認識し、該糖鎖に結合して、標的細胞への感染を成立させることが一般に知られている。また、鳥インフルエンザウイルスは、[Neu5Ac(α2-3)Gal-]といった糖鎖を、ヒトインフルエンザウイルスは、[Neu5Ac(α2-6)Gal-]といった糖鎖をそれぞれ特異的に認識し、このことがウイルス感染の特異性を作り出す要因であると考えられている。
このように標的細胞の有する成分を認識して標的細胞に結合し、感染を成立させるウイルスや細菌に対しては、前記ウイルスや細菌に認識される標的細胞の糖鎖と同程度の、又は、それ以上に強い親和性を有する成分を外部から添加すれば、前記ウイルスや細菌による感染が阻害されると考えられる」が、当業者に、知られている。
【0026】
また、前述の[背景技術]の欄で説明した発明者らの論文「Hirokazu Yagi,NakAo Yasukawa,Shin-Yi Yu,Chao-Tan Guo,Noriko Takahashi,Tadanobu Takahashi,Wakoto Bukawa,Takashi Suzuki,Kay-Hooi Khoo,Yasuo Suzuki,Koichi Kato:The expression of sialylated high-antennary N-glycans in edible bird’s nest.Carbonhydrate Res.,343,1373-1377(2008)」には、燕窩から抽出して調製したシアル酸誘導物質含有剤には、(Neu5Ac)α2,3ガラクトース(Gal)[すなわち(Neu5Acα2,3Gal)]と、(Neu5Ac)α2,6ガラクトース(Gal)[すなわち(Neu5Acα2,6Gal)]が混在していることが記載されている。
【0027】
図1図2は、本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤にかかるシアル酸誘導物質含有剤の化学的構造を説明する模式的概略化学構造式である。
図1図2、特開2007-308444号公報、及び、上記論文に記載されているように、「前記シアル酸誘導物質含有剤は、化学構造式において、シアル酸(NeuAC、又は、Sia)とガラクトース(Gal)とが結合された化学構造を有し、シアル酸の2番目の炭素とガラクトースの6番目の炭素とが結合された2,6結合構造(Sia-α2,6-Gal)、又は、シアル酸の2番目の炭素と、ガラクトースの3番目の炭素とが結合された2,3結合構造(Sia-α2,3-Gal)、を有するシアル酸誘導物質含有剤である、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が実施可能である。
すなわち、前記シアル酸誘導物質含有剤は、ガラクトース(Gal)とシアル酸(NeuAc、又は、Sia)とが結合された化学構造を有する。
【0028】
一方、ヒト(人)の細胞は、シアル酸の2番目の炭素のα方向と、ガラクトースの6番目の炭素とが結合された構造(α2,6結合)を有するものが多いと言われている。また、人の咽喉(喉、のど)の細胞は、「α2,6結合」が多く、人の肺の細胞は、「α2,3結合」が多いとも言われている。鳥の細胞は、シアル酸の2番目の炭素のα方向と、ガラクトースの3番目の炭素とが結合された構造(α2,3結合)を有するものが多いと言われている。
【0029】
シアル酸誘導物質含有剤としての「シアル酸誘導物質含有剤」の作用について、以下に説明する。
図4は、本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、シアル酸誘導物質含有剤が感染を抑制する作用を有することを説明するための模式的概略図である。
図4の(A)の(A-1)に示されるように、ウイルスの大きさは、電子顕微鏡では球、楕円形状を有し、直径は約1万分の1mmである。1個のウイルスは、化学構造において、約500個のヘマグルチニン(HA)と約100個のノイラミダーゼ(NA)との2種類のスパイクを有する。
図4の(B)の(B-4)に示されるように、ヒトの細胞はシアル酸を含む糖鎖「シアロ糖鎖」を有する化学構造である。ヒトの細胞は、シアル酸を持つ糖タンパク質(又は、糖脂質)から構成され、その糖タンパク質(又は、糖脂質)を有する細胞は、シアル酸を含む糖鎖「シアロ糖鎖」を有し、シアロ糖鎖の末端にシアル酸が結合されてなる「シアロ糖鎖」を有する化学構造を有する。すなわち、ヒトの細胞は、末端にシアル酸を含む「シアロ糖鎖」を有し、その「シアロ糖鎖」がウイルスと結合する宿主細胞レセプター(受容体)として作用する。
すなわち、図4(A)の(A-2)に示されるように、ウイルスがヒトの体内に侵入した時、ウイルスのヘマグルチニン(HA)が、ヒトの宿主細胞のレセプター(受容体)であるシアロ糖鎖の末端のシアル酸に結合して、これにより、ヒトがウイルスに感染すると言われている。
【0030】
図4の(B)の(B-2)に示されるような、基剤の中に含有された「シアル酸誘導物質含有剤」が、ヒトの口内に服用された場合に口内粘膜に滞留又は付着可能、人体皮膚や鼻腔内に塗布された場合皮膚や鼻腔粘膜に付着可能、又は、成形物等の物品に塗布されて成形物表面に付着可能に構成されてなるシアル酸誘導物質含有剤が、口内に、皮膚、鼻腔内、又は、物品に塗布された場合、(B-1)に示されるように、ウイルスがヒトの口内や鼻腔内に侵入した時、ヒトの皮膚に付着した時、物品の表面に付着した時、(B-3)に示されるようにウイルスのマグルチニン(HA)が、「シアル酸誘導物質含有剤」の「シアル酸」に結合される。これにより、ウイルスが不活性化され、ウイルスのヒトの細胞の「シアル酸」への結合が抑制される。すなわち、ウイルスの活性が抑制され、及び/又はウイルスの増殖が抑制され、その結果、人へのウイルスの感染が抑制される。
【0031】
燕の巣(燕窩と言われる)を化学的処理により調製した「シアル酸誘導物質含有剤」は、約1.4%のシアル酸を含有し、また、シアル酸の2番目の炭素とガラクトースの6番目の炭素とが結合された2,6結合構造、と、シアル酸の2番目の炭素と、ガラクトースの3番目の炭素とが結合された2,3結合構造、との双方を有するシアル酸誘導物質含有剤を含有すると言われている(前述の非特許文献1に記載)。
【0032】
「シアル酸誘導物質含有剤」としては、下記の天然物由来の「シアル酸誘導物質含有剤」、又は、合成された「シアル酸誘導物質含有剤」が実施可能である。
(a)燕窩を酵素処理して得られるシアル酸誘導物質含有剤。
(b)燕窩を高圧処理して得られるシアル酸誘導物質含有剤。
(c)卵黄、又は、卵白から抽出して得られるシアル酸誘導物質含有剤。
(d)化学合成された「シアル酸誘導物質含有剤」
(e)蜂蜜から抽出して得られるシアル酸誘導物質含有剤。
【0033】
燕窩には約1~15%のシアル酸化合物が含有されており、卵黄、卵白、蜂蜜には0.1~1%のシアル酸化合物が含有されている。これらの天然物由来のシアル酸化合物から調製されたシアル酸誘導物質含有剤が実施可能である。
【0034】
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、含有されるシアル酸誘導物質含有剤は、図1に示されるような、燕窩を酵素処理して調製されたシアル酸誘導物質含有剤、及び、図2図3に示されるような化学的合成により調製されたシアル酸誘導物質含有剤を使用した。
例えば、インドネシアで採取した燕の巣を使用して、粉砕し、水に膨潤させ、100℃で減菌した処理液をプロテアーゼ含有酵素で処理した。次いで、酵素を失活させるために、約90℃で加熱処理し、その後、処理液を濾過し、ろ液を凍結乾燥した。このようにして、固形状で粉末形状のシアル酸誘導物質含有剤を調製した。更に、粉末形状のシアル酸誘導物質含有剤を所望のメッシュ孔を有する篩を通して、所定の粒子径以下を有する固形状で粉末形状を有するシアル酸誘導物質含有剤を調製した。なお、本発明において使用したシアル酸誘導物質含有剤の製造方法の詳細については、後述の[実施例]の項においても具体的に詳細に説明する。
【0035】
好ましくは、前記シアル酸誘導物質含有剤は、インフルエンザウイルス又はコロナウイルスに対するウイルス活性抑制機能を有し、前記ウイルス活性抑制機能は、ウイルスの活性を抑制する機能、及び/又は、ウイルスの増殖を抑制する機能、及び/又は、ウイルスに感染することを抑制する機能、を有する。
例えば、シアル酸誘導物質含有剤は、下記のインフルエンザウイルスに対して感染抑制効果が期待できる。
・[Narita01、A/Narita/1/2009(H1N1)]。
・[Y50、A/YoKohama/50/2015(H1N1)]。
・[F20、A/Fukui/20/2004(H3N2)]。
・[F45、A/Fukui/45/2004(H3N2)]。
・[H5N1、A/mallard/Hokkaido/24/09]。
【0036】
また、本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、上記のインフルエンザウイルスに加えて、下記のコロナウイルスに対しても感染抑制効果が期待できる。
・[コロナウイルス]。
・[SARSコロナウイルス(Server Acute Respiratory Syndrome;重症性呼吸器症候群)]。
・[MERSコロナウイルス(Middle East Respiratory Syndrome;中東呼吸器症候群)]。
・[新型コロナウイルス(2019nCoV)SARS-Cov-2]。
・[ヒトコロナウイルスOC43]。
・[ヒトコロナウイルス229E]。
・[ヒトコロナウイルスNL63]。
・[ヒトコロナウイルスHKU1]。
【0037】
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、上記ウイルスに限定されることなく、更に、上記ウイルスに加えて、これらのウイルスの新型ウイルス、これらのウイルスの変異ウイルス、等対しても適用が期待できる。
すなわち、例えば、下記の種々のウイルスに対して適用が期待できる。
・[Narita01、A/Narita/1/2009(H1N1)]。
・[Y50、A/YoKohama/50/2015(H1N1)]。
・[F20、A/Fukui/20/2004(H3N2)]。
・[F45、A/Fukui/45/2004(H3N2)]。
・[H5N1、A/mallard/Hokkaido/24/09]。
・[ヒト、動物インフルエンザウイルスA(H1-H16亜型、N1-N9亜型、他144種類)]。
・[B型(2系統)]。
・[ヒトC型]。
・[動物D型]。
・[ヒトパラインフルエンザウイルス1、2、3型]。
・[ヒトオタフク風邪ウイルス]。
・[動物センダイウイルス]。
・[鳥ニューカッスル病ウイルス]。
・[ピコルウイルス]。
・[ウマ呼吸器ウイルス]。
・[ヒトエンテロウイルスD38型]。
・[ヒトエンテロウイルスD68型]。
・[ヒトエンテロウイルス70型]。
・[ヒトエンテロウイルスD71型]。
・[ヒトコクサッキーウイルスA24]。
・[各種動物脳炎ウイルス]。
・[カルシウイルス]。
・[ヒトノロウイルスG11-3、G11-4]。
・[各種動物カリシウイルス]。
・[各種動物サボウイルス)]。
・[レオウイルス]。
・[各種ヒト呼吸器系レオウイルス]。
・[ヒト動物重症消化器系レオウイルス]。
・[アデノウイルス]。
・[ヒトアデノウイルスD、G]。
・[七面鳥アデノウイルスA)]。
・[パルボウイルス(ヒトパルボウイルス)]。
・[ポリオーマウイルス]。
・[ヒト呼吸器BKポリオーマウイルス]。
・[ヒト重症腎炎JCunnigham)ポリオーマウイルス]。
・[ヒト皮膚がんポリオーマウイルス]。
・[ヒト神経系JCウイルス]。
・[コロナウイルス]。
・[SARSコロナウイルス(重症急性呼吸器症候群ウイルス)]。
・[MERSコロナウイルス(中東呼吸器症候群ウイルス)]。
・[新型コロナウイルス]。
・[新型コロナウイルス(2019nCoV)SARS-Cov-2]。
・[ヒトコロナウイルスOC43]。
・[ヒトコロナウイルス229E]。
・[ヒトコロナウイルスNL63]。
・[ヒトコロナウイルスHKU1]。
・[上記それぞれのウイルスの変異ウイルス]。
【0038】
本発明において、「インフルエンザウイルス」の語句は、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザウイルス、及び、これらのウイルスの変異ウイルス、等を含む意味であり、また、「コロナウイルス」の語句は、コロナウイルス、新型コロナウイルス、及び、これらのウイルスの変異ウイルス、等のウイルスをも含む意味であり、本発明のシアル酸誘導物質含有剤は、上記の全てのウイルスに対してウイルスの活性を抑制する、及び/又は、ウイルスの増殖を抑制する、及び/又は、ウイルスに感染することを抑制する、等のウイルス活性抑制効果を発揮することが期待できる。
【0039】
シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の中に含有されるシアル酸誘導物質含有剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、0.5~30重量%が好ましく、更に好ましくは、1~20重量%であり、更に好ましくは、3~15重量である。
シアル酸誘導物質含有剤含有製剤中に含有されるシアル酸誘導物質含有剤の含有量が増加するに従って、ウイルス活性抑制効果が増加していく傾向がある。
特に、シアル酸誘導物質含有剤の含有量がシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、30重量%にを超える場合には、コスト的に高価になり、経済的に容易に提供できない傾向にある。
また、特に、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が、チューインガム製剤、キャンディ製剤、チョコレート製剤、等の人の口に服用して使用する菓子製剤においては、シアル酸誘導物質含有剤の含有量がシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、30重量%を超える場合には、シアル酸誘導物質含有剤に特有の好ましくない味覚があり、咀嚼したり、舐めたり、噛んだりして服用した時における味覚感に劣る傾向がある。
シアル酸誘導物質含有剤の含有量がシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、0.5重量%未満の場合には、ウイルス活性抑制効果が十分に発揮されない傾向がある。
【0040】
上記シアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、前記基剤は、固形剤、弾性固形剤、ゲル状固形剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、液剤、ゲル状流動剤、又は、スプレー剤、の形態を有してなり、口内に滞留、口内粘膜に付着、人体皮膚に付着、鼻腔内粘膜に付着、又は、物品に付着可能に構成されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
【0041】
基剤が固形剤を構成した製剤は、特に限定されないが、例えば、基剤が菓子基剤であり、菓子としてのハードキャンディ製剤、ソフトキャンディ製剤等のキャンディ製剤、及び、チョコレート製剤である。弾性固形剤は、特に限定されないが、例えば、菓子としてのチューインガム製剤である。ゲル状固形剤は、特に限定されないが、例えば、菓子としてのグミキャンディ製剤である。
基剤が軟膏剤を構成した軟膏製剤は、皮膚に塗布する製剤であって、シアル酸誘導物質含有剤が軟膏基剤に溶解及び/又は分散されてなる半固体の製剤である。
基剤がクリーム剤を構成したクリーム製剤は、皮膚に塗布する製剤であって、シアル酸誘導物質含有剤が軟膏基剤に溶解及び/又は分散されてなる半固体の半固体の製剤である。
基剤がローション剤を構成したローション製剤は、皮膚に塗布する製剤であって、シアル酸誘導物質含有剤が液体に溶解及び/又は分散されてなる液状の製剤である。
基剤が液剤を構成した液製剤は、皮膚に塗布する製剤、又は、物品に塗布する製剤であって、液状を有する製剤である。
スプレー製剤は、上記のローション製剤又は液製剤を、スプレー状で噴霧又は塗布可能に形成された形態を有するものである。
基剤がゲル状流動剤を構成したゲル状流動製剤は、流動性を有するゲル状を有し、皮膚に塗布する製剤、又は、物品に塗布する製剤である。
【0042】
前記のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、甘味剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤は前記基剤に溶解及び/又は均一に混合されてなり、人の口中に服用された時に、前記基剤が、口中において、融解及び/又は唾液に溶解すると共に、前記シアル酸誘導物質含有剤が、口中に放出されて、口内に滞留及び/又は口内粘膜に付着する性質を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
菓子基剤としては、特に限定されないが、例えば、ガム基剤、キャンディ基剤(飴基剤)、チョコレート基剤、ゼリー基剤、羊羹基剤、饅頭基剤、和菓子基剤、洋菓子基剤、等が実施可能である。
【0043】
この構成により、[製剤効果B:(菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果):前述の「製剤効果A」を奏すると共に、「菓子と類似の感覚で人の口内に服用することにより、口内に長時間滞留可能であり、口内粘膜に長時間付着可能であって、長時間のウイルス活性を抑制する効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。また、甘味剤の含有により甘味を有することによりシアル酸誘導物質含有剤に特有の味覚が抑制されると共に、菓子と類似の甘味を有する感覚で容易に人の口内に服用することが可能であり、口内に服用された時に、シアル酸誘導物質含有剤が唾液と共に口内に放出され、その放出されたシアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留すると共に口内粘膜を覆って付着し、長時間のウイルス活性を抑制する効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤を口内に服用した時、シアル酸誘導物質含有剤が唾液と共に口内に放出され、その放出されたシアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留すると共に口内の粘膜を覆って付着可能であり、ウイルスが口内に入ってきた場合に、ウイルスは口内に滞留及び/又は口内粘膜に付着したシアル酸誘導物質含有剤と結合して捕捉され、その結果、ウイルスは口内の粘膜の細胞に結合できなくなり、これにより、ウイルスの感染が抑制される効果が期待できる。
【0044】
なお、本発明および本実施例において、「口内」と「口中」は同じ意味であり、また、「口内」又は「口中」は、「口の中」、「口腔内」、「咽喉」、「喉頭」、及び、「のど」、などを含むものである。また、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の「保管」は、「保存」と同じ意味である。
【0045】
上記の基剤が甘味剤を含有する菓子基剤において、「前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤であり、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が好ましく実施可能である。
【0046】
この構成により、[製剤効果B-a(甘味剤・所望甘味が得られる効果):前述の「製剤効果A」及び「製剤効果B」を有すると共に含有される甘味剤に起因する所望の甘味を奏する効果を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。更に、シアル酸誘導物質含有剤の特有の味覚感に起因する好ましくない味覚感が抑制されて、甘味を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる]。
ヒトの口内に服用した時に、シアル酸誘導物質含有剤の特有の味覚感に起因する好ましくない味覚感及び/又は不快な味覚感が、甘味剤の奏する甘味によりマスキングされ、その結果、シアル酸誘導物質含有剤の特有の味覚感に起因する好ましくない味覚感及び/又は不快な味覚感が、抑制される。
【0047】
マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、等の甘味剤は、甘味を奏する甘味剤として食品や菓子に慣用されている。これらの甘味剤は、その種類により、甘味度合い、風味等は微妙に異なり、それぞれの甘味剤特有の甘味や風味を有する。
【0048】
マルチトールは、還元麦芽糖ともいわれ、マルトースを還元して得えられるものが一般的であり、甘味を呈する甘味料として知られており、常温で結晶性の固形状の塊状物又は粉末であり、水に溶けやすい性質を有する。マルチトールとしては、製法や粒径等の形状に限定されることなく、あらゆるマルチトールを使用できる。また、マルチトールは、糖アルコールの一種であって、蔗糖の80~90%の甘味を有し、腸管から比較的吸収されにくく低カロリー甘味料として使用可能であることも知られている。また、発明者らの予備実験により、マルチトールは、高温においても褐変反応(メイラード反応)等の高温劣化が起こりにくく、約190℃においても劣化が認められなく耐熱性に優れる性質を有することを確認している。
【0049】
キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトールは、糖アルコールの一種であり、常温で結晶性固形状を有し、水溶性を有する。
蔗糖は、スクロースとも言われ、砂糖の主成分であり、グラニュー糖は蔗糖の一種であり、常温で結晶性固形状を有し、高い水溶性を有する。
ぶどう糖は、グルコースとも言われ、常温で結晶性固形状を有し、高い水溶性を有する。
果糖は、フルクトースとも言われ、常温で固形状を有し、水溶性を有する。
麦芽糖は、マルトースとも言われ、常温で固形状を有し、水溶性を有する。
水飴は、デンプンを糖化酵素、酸、等により糖化して作られた粘液状の甘味剤であり、酵素糖化水飴、酵素水飴、酸糖化水飴、麦芽水飴、還元水飴、還元麦芽糖水飴、等の種類がある。これらの水飴は、約5~30%の水を含有し、例えば、酵素糖糖化水飴は約15%の水を含有している。
【0050】
<チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について>
本発明の上記の「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
・「前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、ガム基剤と、甘味剤を含有し、
前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなり、咀嚼可能な弾性固形の形態を有し、人の口中に服用されて、咀嚼された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤は口内に滞留可能及び/又は口内粘膜に付着可能に構成されてなり、チューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
なお、チューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、常温において、弾性固形剤の形態を有し、口内に服用して、咀嚼して使用される。
【0051】
この構成により、[製剤効果C(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」及び「製剤効果B-a」を有すると共に、口内に服用して咀嚼することにより、シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来る。また、咀嚼により唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる。さらに、ガム基剤としてポリイソブチレン等の疎水性を有する合成ゴム基剤を有する構成であることに起因して、シアル酸誘導物質含有剤がポリイソブチレン等の疎水性を有する合成ゴム基剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有する、ウイルス活性を抑制可能なチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0052】
本発明のチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、ガム基剤としては、合成ゴム、天然ゴム、熱可塑性合成樹脂などの固形エラストマ-、可塑剤、結合剤、粘性調整剤、粘着剤、乳化剤、清涼化剤、無機粉末充填剤、補強剤、滑剤、増量剤、充填剤、着色剤、香料、甘味助剤、などの添加補助剤が使用される。
例えば、固形エラストマ-としては、ポリイソブチレン、ブタジエン-スチレン共重合体、イソブチレン-イソプレン共重合体、ポリブタジエン、等が使用される。合成樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンなどが使用される。天然ゴム・エラストマーとしては、チクル、ジェルトン、ニスペロ、ロジデイン、グッタペルタ、ペンダレ、ペリロ、ソルバガム、ニスペロッヌ、ニガーグッタ、マサランデュバベルタ、チキブル、アラビアガム、エステルガム、クラウンガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム等が使用される。
可塑剤としては、天然ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、微結晶性ワックスなどが使用される。
乳化剤としては、レシチン、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、ステアリン酸グリセロール、ステアリン酸プロピレングリコールなどが使用される。その他、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、グリセリントリアセテート、ロジンのアルコ-ルエステル、ロジンのセルロースエステル、ロジンのグリセロールエステルなどが使用される。
無機粉末充填剤としては、タルク粉末、シリカ粉末、水酸化アルミニウム粉末、珪酸アルミニウム粉末、珪酸カルシウム粉末、珪藻土粉末、酸化マグネシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、炭酸マグネシウム、燐酸2カルシウム粉末、アルミナ粉末などの人体に悪影響を及ぼさない粉末が使用される。
清涼化剤としては、メントール(例えば、L-メントール)が好ましく使用される。
【0053】
なお、上記のうち、無機粉末充填剤、補強剤、滑剤、増量剤、充填剤は同じ目的で使用されることもある。これらのガム基剤の成分のうちの数種類の成分を選択して、組み合わせて使用することにより、口の中で噛んだときの、シアル酸誘導物質含有剤の口内放出性、硬さ、柔軟性、粘着性、粘弾性、および、長時間噛んだときのこれらの特性の経時変化性、等の種々の咀嚼感覚を有するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を得ることができる。
【0054】
甘味剤としては、前述のマルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤が使用できる。
ガム基剤と甘味剤との混合形態としては、(a)微粉末状の甘味剤がガム基剤の中に均一に分散混合されてなる形態、又は、(b)ガム基剤の中に一部の甘味剤が溶解すると共に他の一部の甘味剤がガム基剤の中に均一に混合されてなる形態、を有するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
【0055】
添加補助剤としては特に限定されないが、例えば、下記の成分が実施可能である。アスパルテーム、アセスルファムカリウム等の甘味助剤、合成色素、天然素材色素、銅クロロフィル、葉緑素、等の着色剤色素、メントール、ハッカ、等の香料が、使用可能である。
【0056】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、ガム基剤と、甘味剤を含有するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、チューインガム製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0057】
前述のように、マルチトールは甘味剤の一種であり、甘味料として慣用されており、この甘味料としてのマルチトールに加えて、更に、マルチトール以外の他の甘味剤(第二甘味剤)を含有することにより、チューインガム製剤の服用時に、含有するそれぞれの甘味剤に起因する特有の甘味服用感が得られる。
特に、マルチトールは、蔗糖の80~90%の甘味を有し、低カロリー甘味料として使用可能であり、ガム基剤との混合分散性も良好であり、甘味を有する優れた咀嚼感を奏する、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのチューインガム製剤が得られる。
【0058】
この構成により、[製剤効果C-a(チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果C」を有すると共に、良好なガム基剤との混合分散性に起因する優れた咀嚼感、所望の第二甘味剤を選択含有することによる所望の甘味、低カロリーなマルチトールに起因する健康的な低カロリー、等を奏するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。
【0059】
上記構成おいて、前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、及び/又は、前記マルチトールの含有量が、前記第二甘味剤の含有量よりも多い構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
この構成により、上記の「製剤効果C-a(チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤)」が更に著しく発揮できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。
【0060】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、ガム基剤と、甘味剤を含有するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、「前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、前記第二甘味剤は、水飴であり、チューインガム製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が特に好ましく実施可能である。
【0061】
この構成により、[製剤効果C-b(チューインガム製剤・マルチトールと水飴・滑らかで優れた咀嚼感):前述の製剤効果C-aを有すると共に、水飴は約5~30%の水を含有する。一方、シアル酸誘導物質含有剤は、水溶性であり、ポリイソブチレン等の合成ゴムに難溶性である。従って、シアル酸誘導物質含有剤と水飴とを含有するチューインガム製剤においては、粉末形状を有するシアル酸誘導物質含有剤の少なくとも一部のシアル酸誘導物質含有剤が水飴の中に溶解する可能性が高い。これにより、チューインガム製剤を咀嚼した時に、シアル酸誘導物質含有剤の粉末形状に起因するガリガリ感が抑制されて滑らかで優れた咀嚼感が得られるとともに、シアル酸誘導物質含有剤が唾液と共に口内に放出される効率が向上する効果が得られる。
また、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールは双方とも水溶性であり、水飴に含有される水分の中に、マルチトールの一部の少なくとも一部のマルチトールと粉末形状を有するシアル酸誘導物質含有剤の少なくとも一部のシアル酸誘導物質含有剤とが溶解する可能性が高い。これにより、チューインガム製剤を咀嚼した時に、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールとの双方の粉末形状に起因するガリガリ感が抑制されて滑らかな咀嚼感が得られるとともに、シアル酸誘導物質含有剤が唾液と共に口内に放出される効率が向上する効果が得られる。
【0062】
上記のマルチトールと第二甘味剤とを含有するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、特に、前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上である構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が特に好ましく実施可能である。
この構成により、[製剤効果C-c:(チューインガム製剤・マルチトール5%以上と第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー・優れた咀嚼感)前述の製剤効果C-a「チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤」、又は、製剤効果C-b「チューインガム製剤・マルチトールと水飴」が更に著しく向上したチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0063】
上記のマルチトールと第二甘味剤とを含有するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、特に、前記マルチトールの含有量が、前記第二甘味剤の含有量よりも多い構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が特に好ましく実施可能である。
この構成により、[製剤効果C-d:(チューインガム製剤・マルチトールが第二甘味剤よりも多い・所望甘味・健康的な低カロリー):前述の製剤効果C-a「チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤」、又は、製剤効果C-b「チューインガム製剤・マルチトールと水飴」が更に著しく向上したチューインガム製剤]が得られる。特に、前述の製剤効果C-a(チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤)が更に著しく向上したチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
前記マルチトールの含有量が、前記第二甘味剤の含有量よりも少ない構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の場合には、前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果C」が得られるが、しかしながら、前述の製剤効果C-a(チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤)が十分に得られない傾向がある。
【0064】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、ガム基剤と、甘味剤を含有するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「前記菓子基剤は、更に、多価アルコールを含有し、前記多価アルコールは、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、及び、ジプロピレングリコール、からなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールを含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記菓子基剤と多価アルコールとを含有する基剤の中に均一に含有されてなり、チューインガム製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0065】
シアル酸誘導物質含有剤は、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、等の多価アルコールに、膨潤状態で僅かに溶解、及び/又は昇温状態で溶解する性質を有する。
例えば、発明者らは、別途の実験において、約25℃の常温において、1gの粉末形状の状態のシアル酸誘導物質含有剤は、5mLのグリセリンに膨潤状態で均一に分散して含有され、60℃に昇温した時には、粉末形状の状態のシアル酸誘導物質含有剤は溶解されて透明な液状を有し、それを25℃の室温に戻した場合には、シアル酸誘導物質含有剤は溶解された透明な粘性を有する半液状を有することを確認した。
多価アルコールとして、ブチレングリコール、又は、プロピレングリコールを使用した実験においても、シアル酸誘導物質含有剤はグリセリンと類似の溶解性を有することを確認した。
すなわち、菓子基剤としてのガム基剤と、粉末形状の状態のシアル酸誘導物質含有剤とを含有するとともに、更に多価アルコールを含有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、粉末形状の状態を有するシアル酸誘導物質含有剤の少なくとも一部のシアル酸誘導物質含有剤が多価アルコールに膨潤及び/又は溶解した状態で含有することに起因して、粉末形状状態のシアル酸誘導物質含有剤に起因する咀嚼した時の粉末を噛んでいるような不快咀嚼感が抑制される効果が得られる。
【0066】
また、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、等の多価アルコールは、合成ゴム等からなるガム基剤における可塑剤、軟化剤、乳化剤等の役割を有し、生成したチューインガム製剤の弾力性、硬さ柔軟性、等の咀嚼性に大きく寄与する。従って、これらの多価アルコールの種類と含有量を適宜、選択することにより、所望の弾力性、硬さ柔軟性、等の咀嚼性を奏するチューインガム製剤が得られる。
【0067】
以上説明のように、[製剤効果C-e(チューインガム製剤・多価アルコール・所望の弾力性、硬さ柔軟性、等の優れた咀嚼感):菓子基剤としてのガム基剤と甘味剤と、シアル酸誘導物質含有剤とを含有するとともに、更に多価アルコールを含有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果C」を有すると共に、粉末形状状態のシアル酸誘導物質含有剤に起因する咀嚼した時の粉末を噛んでいるような不快咀嚼感が抑制され、更に、所望の弾力性、硬さ柔軟性、等の優れた咀嚼感を奏する効果を有するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0068】
多価アルコールの含有量は、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、0.3~13重量%が好ましく、更に好ましくは0.5~10重量%が好ましく、更に好ましくは、0.6~6重量%が好ましい。
多価アルコールの含有量が0.3重量%未満の場合には上記製剤効果C-eが十分に発揮されない傾向がある。また、多価アルコールの含有量が13重量%を超える場合には、生成したチューインなガム製剤が柔らかくなり過ぎて、快適な咀嚼感が得られなくなる傾向がある。
【0069】
上記の、本発明の基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、ガム基剤と、甘味剤と、更に、多価アルコールを含有し、前記甘味剤は少なくとも第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤はマルチトールであり、前記第二甘味剤は蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール及びラクチトールとからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、前記多価アルコールは、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、及び、ジプロピレングリコール、からなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールを含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなり、咀嚼可能な弾性固形の形態を有し、人の口中に服用されて、咀嚼された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤は口内に滞留可能及び/又は口内粘膜に付着可能に構成されてなり、チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0070】
この構成により、[製剤効果C-f(チューインガム製剤・マルチトール・第二甘味剤・多価アルコール・優れたウイルス活性抑制・優れた咀嚼感・健康的な低カロリー):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果C」を有すると共に、前述の[製剤効果C-a(チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤)、及び、前述の[製剤効果C-e(チューインガム製剤・多価アルコール)の全ての効果を奏するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0071】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、ガム基剤と、甘味剤を含有するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「(i)前記甘味剤は、粉末形状の形態で前記ガム基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末形状の形態で含有されている甘味剤のうち、300μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有し、チューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0072】

この構成により、[製剤効果C-g(チューインガム製剤・甘味剤粒径・優れた咀嚼感):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果C」を有すると共に、良好なガム基剤と甘味剤との均一分散性が向上した均一混合分散性に起因する優れた咀嚼感、及び、甘味剤の粉末形状に起因する咀嚼した時におけるガリガリ感等の不快咀嚼感が抑制されたチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。特に、甘味剤がマルチトール、である場合には、低カロリーなマルチトールに起因する健康的な低カロリー、等を奏するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。
【0073】
好ましくは、甘味剤は、粉末形状の形態で含有されている甘味剤のうち、250μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有する、更に好ましくは、甘味剤は、粉末形状の形態で含有されている甘味剤のうち、150μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有する、更に好ましくは、100μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有する、構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
甘味剤の粒径が300μmを越える場合には、甘味剤の粉末形状に起因する咀嚼した時におけるガリガリ感等の不快咀嚼感を抑制する効果が低下する傾向にある。
【0074】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、ガム基剤と、甘味剤を含有するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「(ii)前記シアル酸誘導物質含有剤が粉末形状の形態で前記ガム基剤の中に均一に含有されてなり、粉末形状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、300μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有し、チューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0075】
この構成により、[製剤効果C-h(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた咀嚼感):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果C」を有すると共に、良好なガム基剤とシアル酸誘導物質含有剤との均一分散性が向上した均一混合分散性に起因する優れた咀嚼感、及び、シアル酸誘導物質含有剤の粉末形状に起因する咀嚼した時におけるガリガリ感等の不快咀嚼感が抑制され、更に、咀嚼時におけるシアル酸誘導物質含有剤の独特の味覚感が抑制された良好な咀嚼感覚、等を奏するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0076】
好ましくは、シアル酸誘導物質含有剤は、粉末形状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、250μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有する、更に好ましくは、シアル酸誘導物質含有剤は、粉末形状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、150μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有する、更に好ましくは、100μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有する、構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
シアル酸誘導物質含有剤の粒径が300μmを越える場合には、シアル酸誘導物質含有剤の粉末形状に起因する咀嚼した時におけるガリガリ感等の不快咀嚼感を抑制する効果が低下する傾向にある。
【0077】
好ましくは、チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の中に含有されるシアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、0.5~30重量%が好ましく、更に好ましくは、1~20重量%であり、更に好ましくは、2~15重量である。
【0078】
この構成により、[製剤効果C-k(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有量・優れたウイルス活性抑制効果):咀嚼した時に長時間のウイルス活性を抑制する効果が期待できるチューインガム製剤]が得られる。
シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の中に含有されるシアル酸誘導物質含有剤の含有量が増加するに従って、ウイルス活性抑制効果が増加していく傾向がある。特に、シアル酸誘導物質含有剤の含有量がシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、30重量%を超える場合には、コスト的に高価になり、経済的に容易に提供できない傾向にある。
また、特に、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が、チューインガム製剤等の人の口に服用して使用する菓子製剤においては、シアル酸誘導物質含有剤の含有量がシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、30重量%を超える場合には、シアル酸誘導物質含有剤に特有の好ましくない味覚があり、咀嚼して服用した時における味覚感に劣る傾向がある。シアル酸誘導物質含有剤の含有量がシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、0.5重量%未満の場合には、ウイルス活性抑制効果が十分に発揮されない傾向がある。
【0079】
<チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤のまとめ>
以上説明したように、シアル酸誘導物質含有剤とガム基剤と甘味剤とを含有してなるチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は優れたウイルス活性抑制効果を有することを見出した。
また、人の口中に服用されて、咀嚼された時に、シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、シアル酸誘導物質含有剤は口内に長時間滞留可能及び/又は口内粘膜に長時間付着であるチューインガム製剤が得られる。
また、甘味剤の種類を選択することにより、シアル酸誘導物質含有剤の特有の好ましくない味覚が抑制されて、所望の快適な味覚を有るチューインガム製剤が得られる。
また、甘味剤、多価アルコール等の含有成分を所望に選択含有することにより、上記した所望のそれぞれの効果を有するチューインガム製剤が得られる。
【0080】
シアル酸誘導物質含有剤は、水に溶解し、また、グリセリン等の多価アルコールに溶解及び/又は膨潤する性質を有するが、一方、ガム基剤には溶解しない性質を有する。また、チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、チューインガム菓子としての種々の基本的な性能が要求される。一般に、チュウインガムは咀嚼を繰返して服用するものであるために、咀嚼感が重要視され、特に、咀嚼した時のガリガリ感を抑制した咀嚼感が要求される。一方、シアル酸誘導物質含有剤の少なくとも一部は、ガム基剤中に溶解することなく固形粉末の状態で分散した形態で存在している場合には、咀嚼した時にガリガリ感等の不快な咀嚼感があり、ガム基剤中に含有されるシアル酸誘導物質含有剤の粒子径が咀嚼感に重要な影響を及ぶす。
特に、この観点において、300μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を、服用した時に、チューインガム菓子としての基本的な服用感を有すると共に、ガリガリ感のない優れた咀嚼感を有することを見出したる。
【0081】
更に、ガム基剤中に、シアル酸誘導物質含有剤と一緒に、グリセリン等の多価アルコールを含有することにより、使用した粉末形状のシアル酸誘導物質含有剤が多価アルコールに溶解及び/又は膨潤した状態でガム基剤中に含有され、これにより、咀嚼した時のシアル酸誘導物質含有剤に起因するがリガ感が抑制されることを見出した。
【0082】
<キャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について>
本発明の上記の「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤はシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
・「前記基剤は菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、キャンディ基剤と、甘味剤を含有し、前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなり、人の口中に服用された時に、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、キャンディ製剤の形態を有してなるウイルス活性抑制製」。
【0083】
この構成により、[製剤効果D(キャンディ製剤・シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留付着・唾液の分泌促進によるシアル酸誘導物質含有剤の口内放出促進):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」及び「製剤効果B-a」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来る。また、服用して舐めたり噛んだりすることにより唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる。さらに、キャンディ基剤として甘味剤を有することに起因して、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有する、ウイルス活性を抑制が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0084】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、キャンディ基剤と、甘味剤を含有するキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「前記甘味剤は少なくとも第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤はマルチトールであり、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、キャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0085】
前述のように、マルチトールは甘味剤の一種であり、甘味料として慣用されており、この甘味料としてのマルチトールに加えて、更に、マルチトール以外の他の甘味剤(第二甘味剤)を含有することにより、キャンディ製剤の服用時に、含有するそれぞれの甘味剤に起因する特有の甘味服用感が得られる。
特に、マルチトールは、蔗糖の80~90%の甘味を有し、低カロリー甘味料として使用可能であり、キャンディ基剤との混合分散性も良好であり、甘味を有する優れた舐め感を奏する、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤が得られる。
【0086】
この構成により、[製剤効果D-a(キャンディ製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果D」を有すると共に、良好なキャンディ基剤との混合性に起因する優れた舐め感、所望の第二甘味剤を選択含有することによる所望の甘味、低カロリーなマルチトールに起因する健康的な低カロリー、等を奏するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤が得られる。
【0087】
前記マルチトールの含有量が、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、5重量%以上を含有するキャンディ製剤が好ましく実施可能である。
甘味剤としてマルチトール以外の甘味剤とマルチトールとを含有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、マルチトールの含有量がシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して5重量%未満の場合には、マルチトールの経時的な結晶析出等の変質が生じる傾向にある。
【0088】
上記の基剤は、菓子基剤を含有し、
前記菓子基剤は、キャンディ基剤と、甘味剤を含有するキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、「更に、賦形剤、ゲル化剤、油脂、乳化剤、pH調整剤、香料、清涼感剤、及び、甘味助剤とからなる群から選ばれる少なくともひとつの添加補助剤を含有してなるキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が好ましく実施可能である。
【0089】
この構成により、[製剤効果D-b(キャンディ製剤・所望添加補助剤):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果D」を有すると共に、更に、含有する添加補助剤が奏する所望物性を有するキャンディ製剤が得られる効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤が得られる。
【0090】
賦形剤としては、ゼラチン、デンプン、α化デンプン、カルボキシアルキルセルロースナトリウム、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム粉末、デキストリン、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、アルキル硫酸ナトリウムやその他のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体やその他の非イオン系界面活性剤、コーンスターチ、タルク粉末、シリカ粉末、炭酸マグネシウム粉末、酸化チタ粉末、ケイ酸カルシウム粉末、無水ケイ酸(エアロジル)、葉緑素色素、タール色素、カラメル、ベンガラ、リボフラビン、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号、などが、好ましく実施可能である。
【0091】
ゲル化剤としては、特に限定されないが、例えば、ゼラチン、寒天、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グァーガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム、カラヤガム、カードラン、アルギン酸ナトリウム等が好ましく実施可能である。
【0092】
油脂としては、特に限定されないが、例えば、植物油脂、パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、コーン油、ごま油、シア脂、動物性油脂、サラダ油、こめ油、糠油、椿油、キャノーラ油、サフラワー油、ベニバナ油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、カカオバター、ピーナッツバター、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、乳脂、バター、マーガリン、ショートニング、生クリーム、などが使用可能である。
【0093】
乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、ショ糖脂肪酸エステル類(例えば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル)、有機酸モノグリセリド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、レシチン、等が使用できる。
【0094】
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、リン酸、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、及び/又は、前記酸の塩等が、好ましく実施可能である。
【0095】
香料、着色剤色素としては、レモン、ライム、オレンジ、ミカン、ブルーベリー、ブドウ、イチゴ、バナナ、その他の果実のエキス、ペパーミント、茶粉末、茶エキス、ライム油、タンジェリン油、マンダリン油などの柑橘精油類、オールスパイス、アニスシード、バジル、ミント、ローレル、カルダモン、セロリー、クローブ、シナモン、クミン、ディル、ガーリック、パセリ、メース、マスタード、オニオン、パプリカ、ローズマリー、ペッパーのような公知のスパイス精油類またはオレオレジン類、リモネン、リナロール、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール、シトラール、オイゲノール、シンナミックアルデハイド、アネトール、ペリラアルデハイド、バニリン、γ-ウンデカラクトン、カプロン酸アリル、L-カルボン、マルトールなどのような公知の単離、または合成香料、および、これら柑橘精油類、スパイス精油類、合成香料を目的に沿った割合で混合したシトラスミックス、各種フルーツなどを表現させた調合香料を用いることができる。
【0096】
清涼感剤としては、メントールやハッカ等の粉末やオイル油、等が好ましく実施可能である。
【0097】
甘味助剤としては、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、α-グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア、アセスルファムカリウム、アリテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、グリチルリチン酸三アンモニウム、グリチルリチン酸三カリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、クルクリン、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、スクラロース、ズルチン、タウマチン(ソーマチン)、テンリョウチャ抽出物、ナイゼリアベリー抽出物、ネオテーム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、フラクトシルトランスフェラーゼ処理ステビア、ブラジルカンゾウ抽出物、ミラクルフルーツ抽出物、ラカンカ抽出物、酵素処理カンゾウ、酵素分解カンゾウ、等が好ましく実施可能である。
【0098】
これらの添加補助剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、全量に対して30重量%以下であるキャンディ製剤が好ましく実施可能である。添加補助剤の含有量が全量に対して30重量%を超える場合には、所望の形態のキャンディ製剤が得られなく、又は、服用時に、何らかの副作用が生じる懸念がある。
【0099】
<ハードキャンディの形態を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について>
本発明のキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「更に、水を含有し、前記基剤は固形剤の形態を有し、水の含有量が全量に対して7重量%以下であり、ハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0100】
すなわち、「前記基剤は菓子基剤を含有し、前記菓子基剤はキャンディ基剤と甘味剤を含有し、前記甘味剤はマルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなり、更に、水を含有し、水の含有量が、全量に対して、7重量%以下であり、人の口中に服用された時に、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、ハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が実施可能である。
ハードキャンディの形態を有する固形の形態を有するキャンディ製剤としては、特に限定されないが、例えば、硬い飴製剤、塊状の飴製剤、中央部に孔を有するドーナツ型の飴製剤、又は、ドロップ製剤、等が実施可能である。
【0101】
また、上記のハードキャンディの形態のキャンディ製剤において、水の含有量は、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、7重量%以下であるキャンディ製剤が、好ましく実施可能である。更に好ましくは、水の含有量は全量に対して5重量%以下であるキャンディ製剤が実施可能である。更に更に好ましくは、水の含有量は全量に対して3重量%以下であるキャンディ製剤が実施可能である。
水の含有量が多くなるに従って生成するキャンディ製剤が軟質で柔らかい性質を有する状態になる傾向があり、水の含有量が全量に対して7重量%を超える場合には、柔らかい形状のキャンディ製剤が得られ、硬い形状を有するキャンディ製剤が得られなくなり、また、表面にべたつき現象が発生する傾向がある。
【0102】
ハードキャンディは、その製造方法において、比較的に高い温度の条件下で加熱して、約7%以下の水分になるまで、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下の水分になるまで、煮詰めて製造されて、常温において比較的に硬い固形状態を有する。
【0103】
この構成により、[製剤効果D-c(ハードキャンディ製剤・長時間のシアル酸誘導物質含有剤の口内滞留性・所望のハードキャンディ硬さ・所望の甘味舐め感):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果D」を有すると共に、ハードキャンディを口内で舐めている間中、シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、口内粘膜に付着し、これにより、長時間のウイルス活性を抑制する効果が期待できる。また、所望のキャンディ形態を有する硬い硬さの舐め感を有すると共に、含有される甘味剤の種類に起因する所望の甘味を有する効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤が得られる。
【0104】
ハードキャンディ製剤において、シアル酸誘導物質含有剤の含有量は、ハードキャンディ製剤の全量に対して、0.5~15重量%が好ましく実施可能である。特に好ましくは、1~10重量%であり、更に好ましくは2~7重量%である。
シアル酸誘導物質含有剤含有の含有量が0.5重量%未満の場合には、ウイルス活性抑制効果が十分でないことが予測される。シアル酸誘導物質含有剤の含有量が15重量%を超える場合には、シアル酸誘導物質含有剤と甘味剤と混合工程において、これらの成分の十分な混合ができなくなり、固形の飴状のキャンディ製剤が得られなくなる傾向がある。
【0105】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、キャンディ基剤と、甘味剤を含有するハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「更に、水を含有し、前記基剤は固形剤の形態を有し、水の含有量が、全量に対して、7重量%以下であり、前記甘味剤は、少なくとも第一甘味剤としてのマルチトールと、第二甘味剤としての水飴とを含有し、ハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0106】
この構成により、[製剤効果D-d(ハードキャンディ製剤・マルチトールと水飴・優れた舐め感服用感):前述の製剤効果D-aを有すると共に、水飴は約5~30%の水を含有する。一方、シアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤は、水溶性である。従って、シアル酸誘導物質含有剤と水飴とを含有するキャンディ製剤においては、粉末形状を有するシアル酸誘導物質含有剤が水飴の水分中に溶解する可能性が高い。また、製造工程中に水分を蒸発除去した場合においても、製造されたキャンディ製剤の中に約7%以下(好ましくは1~3%程度)の水分が含有され、シアル酸誘導物質含有剤は溶解及び/又は水に膨潤した状態で含有されることが推測される。これにより、キャンディ製剤を服用した時に、シアル酸誘導物質含有剤の粉末形状に起因するガリガリ感が抑制されて滑らかな舐め感・服用感が得られるとともに、シアル酸誘導物質含有剤が唾液と共に口内に放出される効率が向上する効果が得られる。
また、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールは双方とも水溶性であり、水飴に含有される水分の中に、マルチトールの一部の少なくとも一部のマルチトールと粉末形状を有するシアル酸誘導物質含有剤の少なくとも一部のシアル酸誘導物質含有剤とが溶解する可能性が高い。これにより、キャンディ製剤を服用した時に、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールとの双方の粉末形状に起因するガリガリ感が抑制されて滑らかな服用感が得られるとともに、シアル酸誘導物質含有剤が唾液と共に口内に放出される効率が向上する効果が得られる。
【0107】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、キャンディ基剤と、甘味剤を含有するハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「更に、水を含有し、前記基剤は固形剤の形態を有し、水の含有量が全量に対して7重量%以下であり、前記甘味剤は少なくともマルチトールを含有し、前記菓子基剤は、更に、多価アルコールを含有し、前記基剤は、固形の形態を有し、ハードキャンディ製剤の経時的な表面変質が抑制されてなり、ハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0108】
この構成により、[製剤効果D-e(ハードキャンディ製剤・マルチトールと多価アルコールによる外観変質抑制効果):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果D」を有すると共に、保管中におけるキャンディ製剤表面の外観変質が抑制される効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのハードキャンディ製剤が得られる。
特に、シアル酸誘導物質含有剤と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記シアル酸誘導物質含有剤は、少なくとも、シアル酸誘導物質含有剤を含有し、前記甘味剤は、少なくとも、マルチトールを含有してなるハードキャンディ製剤において、ハードキャンディ製剤の保管中に、保管中の温度、湿度及び空気等の保管環境に依存して、キャンディ製剤の表面に白濁現象、白化現象、又は、微細気泡発生現象等の外観変質が生じる場合がある。
このようなキャンディ製剤の表面に発生する白濁現象や白化現象の原因は明確でないが、マルチトールの部分的な結晶化、又は、空気中の水分や空気との接触に起因する何らかの表面の外観変質であるものと思われる。このキャンディ製剤の表面の外観変質に対して、甘味剤としてマルチトールを含有すると共に、多価アルコールを含有してなるハードキャンディ製剤は、ハードキャンディ製剤の保管中におけるハードキャンディ製剤の表面の外観変質が抑制される効果が得られることを見出した。
【0109】
多価アルコールとしては、特に限定されないが、特に好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及びグリセリンからなる群から選ばれる少なくひとつの多価アルコールが使用可能である。ブチレングリコールとしては、1,3-ブチレングリコールが好ましく使用可能である。
常温において、マルチトールとシアル酸誘導物質含有剤と多価アルコールとは互いに混合された均質な固形状態を有する。
多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、全量に対して1~20重量%であるキャンディ製剤が好ましく実施可能である。更に好ましくは、多価アルコールの含有量が全量に対して2~15重量%であり、更に好ましくは2~13重量%であるキャンディ製剤が実施可能である。
多価アルコールの含有量が全量に対して、1重量%未満の場合には、キャンディ製剤の保管中におけるキャンディ製剤表面の結晶析出等の外観変質を抑制する効果が十分に得られなくなる傾向がある。
多価アルコールの含有量が全量に対して20重量%を超える場合には、キャンディ製剤の表面にベタツキ現象(「べた付き」又は「ベタつき」とも言う)を生じた製剤、粘着現象を生じた製剤、又は、著しく柔らかい軟質の製剤、等が得られ、表面ベタツキ・粘着現象の無い固形状を有するキャンディ製剤が得られない傾向がある。
【0110】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、キャンディ基剤と、甘味剤を含有するハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「前記甘味剤は少なくとも、マルチトールを含有し、前記菓子基剤は、更に、多価アルコールを含有し、多価アルコールとして少なくともグリセリンを含有し、マルチトールの経時的な変質が抑制されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が好ましく実施可能である。
【0111】
この構成により、上記の[製剤効果D-e(ハードキャンディ製剤・マルチトールと多価アルコールによる外観変質抑制効果)を更に著しく最適に良好に発揮されるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤が得られる。
マルチトールの含有量は、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して5重量%以上を含有し、グリセリンの含有量は、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、1重量%以上を含有してなり、キャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
グリセリンの含有量が1重量%未満の場合には、上記の製剤効果D-cにおける外観変質抑制効果が十分に発揮できない傾向がある。
【0112】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、キャンディ基剤と、甘味剤を含有するハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「更に、水を含有し、前記基剤は固形剤の形態を有し、水の含有量が全量に対して7重量%以下であり、前記甘味剤は、少なくとも第一甘味剤としてのマルチトールと、第二甘味剤としての還元パラチノースとを含有し、ハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が好ましく実施可能である。
【0113】
この構成により、[製剤効果D-f:(マルチトールと還元パラチノース・優れた舐め感服用感)マルチトールを含有するハードキャンディ製剤は、口に服用して舐めた時にやや粘り感を感じる性質を有する。マルチトールと還元パラチノースとの双方の甘味剤を含有してなるハードキャンディ製剤は、服用して舐めた時に、粘り感が無く、適度の硬さを有し、快適な服用感を感じる性質を有する。甘味剤としてマルチトールと還元パラチノースを含有するハードキャンディ製剤は、マルチトール単独を含有したハードキャンディと比べて、適度な硬さを維持すると共に、舐めて服用した時における粘り性質が増加し、バラバラな小さな会場に分解される現象が抑制されて、長時間の塊状形状を維持し、その結果、長時間のウイルス活性抑制効果をが期待できると共に、優れた舐め感服用感等の服用感が得られる効果]が得られる。
【0114】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、キャンディ基剤と、甘味剤を含有するハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「更に、水を含有し、前記基剤は固形剤の形態を有し、水の含有量が全量に対して7重量%以下であり、前記甘味剤は、少なくとも第一甘味剤としてのマルチトールと、第二甘味剤としての還元パラチノースとを含有し、前記菓子基剤は、更に、多価アルコールを含有し、マルチトールの経時的な変質が抑制されてなり、ハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が好ましく実施可能である。
【0115】
この構成により、[製剤効果D-g:(マルチトールと還元パラチノースと多価アルコール・優れた舐め感服用感・表面変質抑制効果)マルチトールと還元パラチノースとを含有するハードキャンディ製剤は、マルチトールに起因して室温雰囲気中に保管した場合に、表面に白濁等の表面変質が生じる傾向にあるが、これに対して、マルチトールと還元パラチノースに加えて更に多価アルコールを含有したハードキャンディ製剤は、口に服用して舐めた時に、歯に粘りつくような粘り感が抑制され、適度な硬さを有する快適な服用感を有すると共に、室温中に保管した場合においても、経時的な白濁等の表面変質の発生が無く、長期的に安定した品質を有する効果]が得られる。
【0116】
<ソフトキャンディの形態を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について>
本発明のキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「更に、水と油脂を含有し、前記基剤は固形剤の形態を有し、水の含有量が全量に対して4~15重量%である、及び/又は、油脂の含有量が全量に対して2~15重量%であり、人の口中に服用された時に、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、ソフトキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が実施可能である。
ソフトキャンディの形態のキャンディ製剤としては、前述のハードキャンディよりも比較的柔らかい服用感を有するキャラメル、ファッジ、ヌガー、タフィ、ファンダン、マシュマロ等のソフトキャンディの形態のキャンディ製剤が実施可能である。
【0117】
例えば、甘味剤として、第一甘味剤としてのマルチトールを含有すると共に、第二甘味剤を含有してなる下記のソフトキャンディの形態のキャンディ製剤が実施可能である。
すなわち、「シアル酸誘導物質含有剤と甘味剤を含有するソフトキャンディの形態を有する固形剤の形態を有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤であり、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が、口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留し、そして、咽喉を通過する性質を有し、保管中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が抑制されてなる、ことを特徴するキャンディ製剤」が実施可能である。
特に、前記マルチトールの含有量は、全量に対して、5重量%以上を含有してなる構成が好ましい。
【0118】
また、本発明のソフトキャンディ製剤において、第一甘味剤としてのマルチトールを含有し、第二甘味剤を含有しない構成を備えたソフトキャンディの形態を有するキャンディ製剤も、好ましく実施可能である。
すなわち、「シアル酸誘導物質含有剤と甘味剤を含有してなるソフトキャンディの形態を有する固形状を有し、甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、前記甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有しなく、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留し、そして、咽喉を通過する性質を有し、保管中におの形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が実施可能である。
特に、マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上を含有してなる構成が好ましい。
【0119】
水の含有量が、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、4~15重量%、好ましくは5~10重量%の水分、更に好ましくは5~7%である構成が、好ましく実施可能である。
ソフトキャンディは、比較的に中温の条件下(ハードキャンディよりも低い温度)で加熱して、所望の水分になるまで煮詰めて、製造されて、常温においてハードキャンディよりも比較的に柔らかい軟質の固形状態を有する。
ソフトキャンディに含有される水の含有量が多くなるに従って、生成するソフトキャンディの柔軟性が増していき、ソフト感を有する服用感が得られなくなる傾向にあり、ソフトキャンディに含有される水の含有量が15重量%を超える場合には、所望の軟質、柔軟性が得られなく柔らかい性質又は柔らかくなり過ぎて、固形形状を保持できなくなるキャンディ製剤が得られる傾向がある。
ソフトキャンディに含有される水の含有量が少なくなるに従って、生成するソフトキャンディの硬さが硬くなる傾向にあり、4重量%未満の場合には、所望の軟質、柔軟性が得られなく硬い硬さを有し、柔軟性、ソフト感を有するキャンディ製剤が得られる傾向がある。
【0120】
油脂の含有量は、例えば、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、油脂を2~15重量%を含有する構成が、好ましく実施可能である。
油脂の含有量が増加するにしたがって生成するソフトキャンディの硬さが柔らかく軟質になる傾向にある。油脂の含有量が全量に対して15重量%を超える場合には、柔らかくなり過ぎて所望の柔らかさを有するソフトキャンディが得られなくなる傾向がある。また、油脂の含有量が全量に対して2重量%未満の場合には、比較的に硬いキャンディが生成して、所望の柔らかさ有するソフトキャンディが得られなくなる傾向がある。
ソフトキャンディに使用される油脂としては、特に限定されることなく、、例えば、植物油脂、パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、コーン油、ごま油、シア脂、動物性油脂、サラダ油、こめ油、糠油、椿油、キャノーラ油、サフラワー油、ベニバナ油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、カカオバター、ピーナッツバター、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、乳脂、バター、マーガリン、ショートニング、生クリーム、などの前述の油脂が使用可能である。
ソフトキャンディは、上記の油脂に加えて、更に、乳化剤、アラビアガム、ゼラチン、タンパク質、セルロース、甘味剤、香料等を適宜含有できる。
また、ソフトキャンディは、糖衣などのコーティングを施してもよいし、コーティングを施さなくてもよい。
【0121】
この構成により、[製剤効果D-j(ソフトキャンディ・シアル酸誘導物質含有剤の長時間の口内放出効果・長時間のウイルス活性抑制が期待できる):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果D」を有すると共に、口内に服用している間中、シアル酸誘導物質含有剤が唾液と一緒に口内に放出され、長時間のウイルス活性を抑制が期待できる。また、所望のソフトキャンディ形態を有する軟質の柔らかい硬さを有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤]が得られる。
【0122】
<グミキャンディの形態を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について>
本発明のキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「更に、水とゲル化剤を含有し、前記基剤は弾性固形剤の形態を有し、水の含有量が全量に対して10~35重量%である、及び/又は、ゲル化剤の含有量が全量に対して5~25重量%であり、人の口中に服用された時に、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、グミキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が実施可能である。
【0123】
ゲル化剤としては、特に限定されないが、例えば、ゼラチン、ペクチン、アラビアガム、及び、寒天、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グァーガム、タラガム、トラガントガム、カラヤガム、カードラン、アルギン酸ナトリウム等が使用できる。なかでも、食感の点から、ゼラチン、ペクチン、アラビアガムが好ましく、ゼラチンがより好ましい。ゼラチンは、例えば、牛、豚、鶏、魚等の皮、骨、腱等を原料としたゼラチンが使用できる。ゼラチンは、特に限定されず、酸又はアルカリで処理して得られるもの等を使用できる。
ゲル化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0124】
ゲル化剤の含有量は、特に制限されないが、弾力を有する服用感を得る観点から、シアル酸誘導物質含有剤の全量に対して、好ましくは5~25重量%であり、より好ましくは10~20重量%以上である。特に、ゲル化剤としてゼラチンを用いる場合、グミキャンディ中のゼラチンの含有量は、同様の点から、好ましくは5~25重量%であり、より好ましくは10~20重量%である。ゲル化剤の含有量が増加するにしたがって、生成するグミキャンディの硬さが弾力を有すると共に柔らかくなる傾向がある。特に、ゲル化剤の含有量が全量に対して5重量%未満の場合には、所望の弾力を有するグミキャンディが得られない傾向がある。また、ゲル化剤の含有量が全量に対して25重量%を超える場合には、生成するグミキャンディの硬さが柔らかくなり過ぎて、所望の弾力を有するグミキャンディが得られない傾向がある。
【0125】
グミキャンディに含有される水の含有量は、特に限定されないが、シアル酸誘導物質含有剤の全量に対して、10~35重量%、好ましくは15~25重量%が実施可能である。
グミキャンディに含有される水の含有量が10重量%未満の場合には、所望の弾力が得られなく硬い性質を有し、所望の弾性、軟質感を有するキャンディ製剤が得られる傾向がある。グミキャンディに含有される水の含有量が35重量%を超える場合には、所望の弾力が得られなく柔らかい性質を有し、また、固形形状を保持できないキャンディ製剤が得られる傾向がある。
グミキャンディとしては、油脂を含有しない構成、又は、油脂を含有する構成が実施可能であるが、油脂を含有しないグミキャンディがより好ましく実施可能である。
【0126】
この構成により、[製剤効果D-k(グミキャンディ製剤・・シアル酸誘導物質含有剤の長時間の口内放出効果・長時間のウイルス活性抑制が期待できる):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果D」を有すると共に、口内に服用している間中、シアル酸誘導物質含有剤が唾液と一緒に口内に放出され、長時間のウイルス活性を抑制が期待できる。また、所望のグミキャンディ形態を有する弾性を有する軟質硬さを有するキャンディ製剤]が得られる。
【0127】
上記のハードキャンディ形態、ソフトキャンディ形態、又は、グミキャンディ形態等の形態を有するキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、前述のように、「前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤としての第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が好ましく実施可能である。
【0128】
この構成により、前述の[製剤効果D-a(キャンディ製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果D」を有すると共に、良好なキャンディ基剤との混合性に起因する優れた舐め感、所望の第二甘味剤を選択含有することによる所望の甘味、低カロリーなマルチトールに起因する健康的な低カロリー、等を奏するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのハードキャンディ形態、ソフトキャンディ形態、又は、グミキャンディ形態等の形態を有するキャンディ製剤が得られる。
【0129】
<キャイディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤のまとめ>
以上説明したように、シアル酸誘導物質含有剤とキャンィ基剤と甘味剤とを含有してなるキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、優れたウイルス活性抑制効果を有することが期待できる。
また、人の口中に服用されて、咀嚼された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤は口内に長時間滞留可能及び/又は口内粘膜に長時間付着であるキャンディ製剤が得られる。
また、甘味剤の種類を選択することにより、シアル酸誘導物質含有剤の特有の好ましくない味覚が抑制されて、所望の快適な味覚を有るキャンディ製剤が得られる。
また、甘味剤、多価アルコール、等の含有成分を所望に選択することにより、上記したそれぞれの効果を有するキャンディ製剤が得られる。
【0130】
特に、ハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤に於いて、甘味剤としてマルチトールを含有してなるハードキャンディ製剤において、多価アルコールを併用含有することにより、ハードキャンディ製剤の長期保管における経時的な白濁劣化等の変質が抑制される効果が得られる。
また、ソフトキャンディ製剤及びグミキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤はハードキャンディ製剤と比べて多量の水を含有するため、シアル酸誘導物質含有剤は水に溶解し、また、グリセリン等の多価アルコールに溶解及び/又は膨潤する性質を有する。従って、シアル酸誘導物質含有剤と一緒に、グリセリン等の多価アルコールを含有することにより、使用した粉末形状のシアル酸誘導物質含有剤が多価アルコールに溶解及び/又は膨潤した状態で菓子基剤中に含有され、これにより、シアル酸誘導物質含有剤の凝集が抑制されて菓子基剤中にシアル酸誘導物質含有剤が均一に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。
【0131】
<チョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について>
本発明の上記の「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤はシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
・「前記基剤は菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、チョコレート基剤と、甘味剤を含有し、前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなり、人の口中に服用されて、舐めて使用された時に、及び/又は、噛み砕いて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、チョコレート製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0132】
この構成により、[製剤効果E(チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留・唾液分泌促進によるシアル酸誘導物質含有剤の口内放出効果):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」及び「製剤効果B-a」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来る。また、服用して舐めたり噛んだりすることにより唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる。さらに、チョコレート基剤として甘味剤を含有することに起因して、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有する、ウイルス活性を抑制可能なチョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0133】
本発明のチョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「前記チョコレート基剤は、(イ)カカオ由来原料と、(ロ)乳化剤、乳脂肪、及び、植物性油脂からなる群から選ばれる少なくとも一つのチョコレート添加補助剤と、を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記チョコレート基剤と前記甘味剤との中に均一に含有されてなり、人の口中に服用されて、舐めて使用された時に、及び/又は、噛み砕いて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記カカオ由来原料と一緒に口内に放出されて、前記前記カカオ由来原料と該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、チョコレート製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0134】
この構成により、[製剤効果E-a:(カカオ由来原料に起因する苦み抑制効果):前述の「製剤効果E(チョコレート製剤)」の効果が最適に得られるとともに、(イ)カカオ由来原料と甘味剤との双方を含有することにより、カカオ由来原料に起因する苦みが著しく抑制されたチョコレート製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0135】
また、[製剤効果E-b:(好適なチョコレート服用感)前述の「製剤効果E(チョコレート製剤)」の効果が最適に得られるとともに、(ロ)乳化剤、乳脂肪、及び、植物性油脂からなる群から選ばれる少なくとも一つのチョコレート添加補助剤と、を含有することにより、人の口中に服用された時に、チョコレート菓子としての好適な服用感覚を有するとともに、チョコレート製剤が口内粘膜に強く付着して、シアル酸誘導物質含有剤が口内に永く滞留しやすいシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0136】
カカオ由来原料としては、ココアバター、ココアケーキ、ココアパウダー、カカオマス、カカオニブ、カカオ末、カカオ代用脂、等が使用できる。カカオニブはカカオビーンズから殻部分を除去したものである。カカオマスはカカオニブを機械的方法で砕いて処理したものである。ココアケーキ及びココアパウダーはカカオマス又はカカオニブに脱脂処理を行って処理したものである。ココアパウダーはココアケーキを粉末状に加工したものである。ココアバターはカカオニブ等に含まれる油脂であり、通常には、カカオニブやカカオマスの過半量はココアバター(油脂)で構成されている。
カカオ由来原料の含有量は、特に限定されないが、例えば、製剤の全量に対して、10~45重量%、好ましくは、15~40重量%、更に好ましくは、15~30重量%、の範囲である。カカオ由来原料の含有量が10%未満の場合には、チョコレート風味に劣るチョコレート製剤が得られる傾向にある。
【0137】
チョコレート基剤には、乳化剤、乳脂肪、及び、液状植物性油脂からなる群から選ばれる少なくとも一つのチョコレート添加補助剤が含有されてなる。
植物性油脂としては、特に限定されないが、例えば、大豆油、ナタネ油、コメ油、ヤシ油、パーム核油、パーム油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ゴマ油、落花生油、オリーブ油、ヒマワリ油、マカデミアナッツ油、アーモンド油などが使用可能であり、通常、複数の植物油脂を配合することが好ましい。植物油脂の含有量は、製剤の全量に対して、30重量%以下が好ましい。
カカオ由来原料と植物性油脂との合計の含有量は、15~60重量%、好ましくは、25~55重量%、更に好ましくは、35~50重量%である。
【0138】
乳脂肪としては、特に限定されないが、例えば、全粉乳、脱脂粉乳、生クリームなどが使用できる。乳脂肪の含有量は、特に限定されないが、例えば、0~40重量%、好ましくは、0~30重量%である。乳脂肪の含有量が多くなるに従って、ミルク味を有するミルクチョコレート製剤が得られ、好適に実施可能である。
【0139】
乳化剤としては、主として基剤の均質性と流動性を高めることを目的として含有され、特に限定されないが、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リノレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルショ糖脂肪酸エステル類(例えば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル)などが好適に実施可能である。乳化剤の含有量は、例えば、製剤の全量に対して、0.01~10重量%、特に好ましくは0.1~3重量%である。
【0140】
本発明のチョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤はマルチトールであり、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、チョコレート製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0141】
この構成により、[製剤効果E-c(チョコレート製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望の甘味・健康的な低カロリー):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果E」を有すると共に、良好なチョコレート基剤との混合性に起因する優れた噛み感覚、舐め感覚、所望の第二甘味剤を選択含有することによる所望の甘味、低カロリーなマルチトールに起因する健康的な低カロリー、等を奏するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのチョコレート製剤]が得られる。
【0142】
チョコレート製剤の形態の形態としては、特に限定されないが、例えば、板状や塊状の固形剤、又は、流動性で粘性を有する流動粘性剤、ゲル状の流動粘性剤、等が実施可能である。
【0143】
本発明のチョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「(i)前記マルチトールは、粉末状の形態で前記チョコレート基剤の中に均一に含有されてなり、粉末状の形態で含有されているマルチトールのうち、300μm以下の粒径を有するマルチトールが90%以上を含有し、チョコレート製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0144】
この構成により、[製剤効果E-d(チョコレート製剤・マルチトール粒径・優れた服用感・健康的な低カロリー):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果E」を有すると共に、良好なチョコレート基剤とマルチトールとの均一分散性が向上した均一混合分散性に起因する優れた服用感、及び、マルチトールの粉末形状に起因する服用した時におけるガリガリ感等の不快な服用感が抑制され、更に、低カロリーなマルチトールに起因する健康的な低カロリー、等を奏するチョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる
【0145】
好ましくは、マルチトールは、粉末形状の形態で含有されているマルチトールのうち、250μm以下の粒径を有するマルチトールが90%以上を含有する、更に好ましくは、マルチトールは、粉末形状の形態で含有されているマルチトールのうち、150μm以下の粒径を有するマルチトールが90%以上を含有する、構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
マルチトールの粒径が300μmを越える場合には、マルチトールの粉末形状に起因する服用した時におけるガリガリ感等の不快な服用感を抑制する効果が低下する傾向にある。
【0146】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、チョコレート基剤と、甘味剤を含有するチョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「(ii)前記シアル酸誘導物質含有剤が粉末形状の形態で前記チョコレート基剤の中に均一に含有されてなり、粉末形状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、300μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有し、チョコレート製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0147】
この構成により、[製剤効果E-e(チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・良好な服用感):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」、「製剤効果B-a」、「製剤効果E」を有すると共に、良好なチョコレート基剤とシアル酸誘導物質含有剤との均一分散性が向上した均一混合分散性に起因する優れた咀嚼感、及び、シアル酸誘導物質含有剤の粉末形状に起因する服用した時におけるガリガリ感等の不快服用感が抑制され、更に、服用時におけるシアル酸誘導物質含有剤独特の違和感のある味覚感が抑制された良好な服用感覚、等を奏するチョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0148】
好ましくは、シアル酸誘導物質含有剤は、粉末形状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、250μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有する、更に好ましくは、シアル酸誘導物質含有剤は、粉末形状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、150μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有する、構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
シアル酸誘導物質含有剤の粒径が300μmを越える場合には、シアル酸誘導物質含有剤の粉末形状に起因する服用した時におけるガリガリ感等の不快な服用感を抑制する効果が低下する傾向にある。
【0149】
<シアル酸誘導物質含有剤含有製剤がトローチ製剤である構成について>
本発明の上記の「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤はシアル酸誘導物質含有剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤を含有した前記シアル酸誘導物質含有剤は、前記基剤の中に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
・「前記基剤は、トローチ基剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤と前記基剤とが均一に含有されてなり、人の口中に服用された時に、人の口中に服用されて、舐めて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に徐々に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、トローチ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0150】
この構成により、[製剤効果K(トローチ製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果):前述の「製剤効果A」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が、舐めている間中、口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高め、優れたウイルス活性抑制効果を奏することが出来る。また、服用して舐めたり噛んだりすることにより唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる。更に、シアル酸誘導物質含有剤が基剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0151】
トローチ製剤は、シアル酸誘導物質含有剤と基剤とが均一に含有されてなる所望の形状に製された固形状の形態を有し、口内に服用された時に、口中で徐々に溶解又は崩壊されて、トローチ製剤に含有されるシアル酸誘導物質含有剤が口腔、咽頭などに適用される製剤である。
例えば、トローチ製剤は、粉末形状を有する基剤と粉末形状を有するシアル酸誘導物質含有剤とが互いに混合分散されて固形状態に固められてなり、室温で固形形態を有する。
【0152】
基剤又はトローチ基剤としては、特に限定されなく、例えば、糖アルコール、甘味助剤、デンプン、デンプン誘導体、ベントナイト、乳糖、ショ糖、水飴、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、リン脂質、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、塩化ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸、二酸化ケイ素、脂肪酸塩、有機酸、ジカルボン酸、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルメロース、カルメロースカルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、グルコース、ガラクトース、フルクトース、等の滑沢剤、賦形剤、矯味剤、結合剤、安定化剤、界面活性剤、添加剤、着色剤、香料等の所望の成分を含有してなる基剤又はトローチ基剤が実施可能である。
糖アルコールとしては、例えば、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、等が好まし実施可能である。また、甘味剤としては、上記の糖アルコールの他に、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、還元麦芽糖水飴、粉末還元麦芽糖水飴、トレハロース等が好まし実施可能である。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、蔗糖ベヘニン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、等が好まし実施可能である。
脂肪酸塩としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ペンタデシル酸、等の脂肪酸のマグネシウム塩、又は、カルシウム塩等が好まし実施可能である。
甘味助剤としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビア、等が好まし実施可能である。
有機酸としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸等が好まし実施可能である。
トローチ製剤において、レモン、レモンライム、オレンヂ、パイン、ミント、メントール、等の香料、着色料、保存料等が適宜配合されてもよい。
【0153】
本発明のトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、常法のトローチ製剤の製造方法によって製造される。
例えば、直接粉末圧縮法、又は、顆粒圧縮法、等が実施できる。
直接粉末圧縮法によるトローチ製剤は、粉末形状を有する種々の混合された基剤又はトローチ基剤とシアル酸誘導物質含有剤とを打錠製法等の圧縮成型方法によって、所定の固形形状に成形されて製造されてなる。
顆粒圧縮法によるトローチ製剤は、所望の基剤又はトローチ基剤とシアル酸誘導物質含有剤とを、慣用の乾式造粒法、湿式造粒法を用いて造粒及び/又は乾燥してから、この造粒物を圧縮成型して所定の固形形状に成形されて製造されてなる。
混合に用いる機械としては、例えば、V型混合機、等がある。混練に用いる機械としては、例えば、ポニーミキサー、バーチカルグラニュレーター、万能混合機、等がある。造粒は、例えば、円筒造粒機、球形整粒機、ペレッタブル造粒機、バスケット式造粒機、スピードミルやパワーミル等の破砕造粒機等がある。造粒物の粒子径は特に限定されないが例えば、30~1000μmが好ましい。
乾燥は、慣用の熱風循環式乾燥、真空乾燥等により実施可能である。
打錠成形機としては、例えば、単発式打錠機、間接式打錠機、ロータリー式打錠機、等の慣用の打錠成形機が使用可能である。
圧縮成型法による打錠時の圧縮成型圧は、特に限定されないが、例えば、約10~約30MPaが好ましい。
【0154】
なお、トローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の試作実験においては、鋼鉄製の所望形状を有する金型と、慣用の実験用プレス機を使用して、所定の混合粉末又は造粒物を圧縮成型することにより、所望のトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製することができる。
【0155】
固形形態のトローチ製剤の形状としては、例えば、円形錠形状、楕円錠形状、長方形錠形状、四角形錠形状、中央部がくり抜かれた穴あきドーナツ型の貫通孔錠形状、その他の各種異形状、等の固形形態が好ましく実施できる。また、服用性の観点において、約5~15mmの大きさ形状が好ましい。
【0156】
本発明のトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・[前記基剤は、前記トローチ基剤に加えて、更に甘味剤を含有し、前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]。
【0157】
この構成により、[製剤効果K-b(トローチ製剤・甘味剤・優れた甘味服用感):前述の「製剤効果A」、「製剤効果K」を有すると共に、トローチ製剤を口内で舐めている間中、シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、口内粘膜に付着し、これにより、長時間のウイルス活性を抑制する効果が期待できるルト共に、シアル酸誘導物質含有剤に起因する独特の味覚が緩和されて、含有される甘味剤の種類に起因する所望の甘味が得られ、優れた服用感感を有するトローチ製剤が得られる。更に、トローチ製剤を口内で舐めている間中、甘味剤に起因して、口内に出される唾液の量が増加し、これにより、その唾液によりトローチ製剤の中に含有されているシアル酸誘導物質含有剤の口内への放出が促進され、その結果、ウイルス活性抑制効果が更に著しく発揮される]効果が得られる。
【0158】
本発明のトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・[前記基剤は、前記トローチ基剤に加えて、更に、甘味剤を含有し、前記甘味剤は、少なくとも、マルチトールと還元パラチノースを含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤と前記基剤とが均一に含有されてなり、人の口中に服用された時に、人の口中に服用されて、舐めて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、トローチ製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤]。
【0159】
この構成により、[製剤効果K-c(トローチ製剤・マルチトールと還元パラチノース甘味剤・優れた甘味服用感と滑らか服用感):前述の「製剤効果A」、「製剤効果K」、を有すると共に、トローチ製剤を口内で舐めている間中、シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、口内粘膜に付着し、これにより、長時間のウイルス活性を抑制する効果が期待できると共に、シアル酸誘導物質含有剤に起因する独特の味覚が緩和されて、含有される甘味剤の種類に起因する所望の甘味が得られる。更に、舐めている時における固形形状が破壊されてバラバラな微小塊状形状に破壊破錠される「固形破錠現象」が抑制されて舐めている間における固形形状を維持するの優れた服用感感を有するトローチ製剤が得られる。更に、トローチ製剤を口内で舐めている間中、甘味剤に起因して、口内に出される唾液の量が増加し、これにより、その唾液によりトローチ製剤の中に含有されているシアル酸誘導物質含有剤の口内への放出が促進され、その結果、ウイルス活性抑制効果が更に著しく発揮される]効果が得られる。
甘味剤としてマルチトールを含有するトローチ製剤は、口内に服用して舐めている時に、粘り性質が少なく、トローチ製剤の固形形状が破壊されて徐々にバラバラな微小塊状形状に分解されて行く傾向が認められる。甘味剤としてマルチトールに加えて還元パラチノースを含有するトローチ製剤は、固形形状における粘り性質が増加し、口内に服用して舐めている時における微小塊状形状に破壊破錠される傾向が抑制されて、長時間の間、固形形状を維持し続け、その結果、長時間のウイルス活性を抑制する効果が更に著しく発揮される効果が期待できる。
【0160】
本発明のトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・[(i)前記甘味剤は、粉末状の形態で前記基剤の中に均一に含有されてなり、
粉末状の形態で含有されている甘味剤のうち、300μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有する、及び/又は、(ii)前記シアル酸誘導物質含有剤が粉末状の形態で前記基剤の中に均一に含有されてなり、粉末状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、300μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤]。
【0161】
本発明のトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・[(ii)前記シアル酸誘導物質含有剤が粉末状の形態で前記基剤の中に均一に含有されてなり、粉末状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、300μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤]。
【0162】
この構成により、[製剤効果K-d(トローチ製剤・シアル酸誘導物質含有剤の粒径・優れた咀嚼感):前述の「製剤効果A」、「製剤効果K」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤の粉末形状に起因する口内で舐めたり噛んだりした時における滑らかな舐め感覚、ガリガリ感等の不快な服用感が抑制され、更に、服用時におけるシアル酸誘導物質含有剤の独特の味覚感が抑制された良好な服用感覚、等を奏するトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
シアル酸誘導物質含有剤の粒径が300μmを越える場合には、シアル酸誘導物質含有剤の粉末形状の粒径に起因する咀嚼した時における滑らかな舐め感覚、ガリガリ感等の不快咀嚼感を抑制する効果が低下する傾向にある。
【0163】
好ましくは、トローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の中に含有されるシアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、0.5~30重量%が好ましく、更に好ましくは、1~20重量%であり、更に好ましくは、2~15重量である。
【0164】
この構成により、[製剤効果K-e(トローチ製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有量・優れたウイルス活性抑制効果):服用した時に長時間のウイルス活性を抑制する効果が期待できるトローチ製剤]が得られる。
シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の中に含有されるシアル酸誘導物質含有剤の含有量が増加するに従って、ウイルス活性抑制効果が増加していく傾向がある。特に、シアル酸誘導物質含有剤の含有量がシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、30重量%を超える場合には、コスト的に高価になり、経済的に容易に提供できない傾向にある。
また、特に、トローチ製剤のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤においては、シアル酸誘導物質含有剤の含有量がシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、30重量%を超える場合には、シアル酸誘導物質含有剤に特有の好ましくない味覚感があり、舐めたり噛んだりした時における味覚感に劣る傾向がある。シアル酸誘導物質含有剤の含有量がシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、0.5重量%未満の場合には、ウイルス活性抑制効果が十分に発揮されない傾向がある。
【0165】
また、本発明のトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・[(i)前記甘味剤は、粉末状の形態で前記基剤の中に均一に含有されてなり、粉末状の形態で含有されている甘味剤のうち、300μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤]。
この構成により、[製剤効果K-f(トローチ製剤・甘味剤粒径・優れた服用感):前述の「製剤効果A」、「製剤効果K」を有すると共に、良好な基剤と甘味剤との均一分散性が向上した均一混合分散性に起因する優れた舐め感覚、噛み感覚、及び、舐めたり噛んだりした時における滑らかな舐め感覚、ガリガリ感等の不快感覚が抑制されたトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。特に、甘味剤がマルチトール、である場合には、低カロリーなマルチトールに起因する健康的な低カロリー、等を奏するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。
甘味剤の粒径が300μmを越える場合には、甘味剤の粉末形状に起因する咀嚼した時における滑らかな舐め感覚、ガリガリ感等の不快服用感を抑制する効果が低下する傾向にある。
【0166】
また、本発明のトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・[前記基剤は、前記トローチ基剤に加えて、更に、マルチトールと多価アルコールを含有し、前記基剤は、固形の形態を有し、経時的な表面の変質が抑制されてなり、トローチ製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤]。
この構成により、[製剤効果K-g(トローチ製剤・マルチトールと多価アルコールによる外観変質抑制効果):前述の「製剤効果A」、「製剤効果K」を有すると共に、保管中におけるトローチ製剤の表面の外観変質が抑制される効果]を有するトローチ製剤が得られる。
特に、甘味剤としてマルチトールを含有してなるトローチ製剤において、トローチ製剤の保管中に、保管中の温度、湿度及び空気等の保管環境に依存して、トローチ製剤の表面に白濁現象、白化現象、又は、微細気泡発生現象等の外観変質が生じる場合がある。このようなトローチ製剤の表面に発生する白濁現象や白化現象の原因は明確でないが、マルチトールの部分的な結晶化、又は、空気中の水分や空気との接触に起因する何らかの表面の外観変質であるものと思われる。このトローチ製剤の表面の外観変質に対して、甘味剤としてマルチトールを含有すると共に、多価アルコールを含有してなるトローチ製剤は、トローチ製剤の保管中におけるトローチ製剤の表面の外観変質が抑制される効果が得られることを見出した。
多価アルコールとしては、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、及び、ジプロピレングリコール、等の多価アルコールが好ましく実施可能である。
【0167】
<シアル酸誘導物質含有剤含有製剤がチュアブル基剤である構成について>
本発明の上記の「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤はシアル酸誘導物質含有剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤を含有した前記シアル酸誘導物質含有剤は、前記基剤の中に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
・「前記基剤は、チュアブル基剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤と前記基剤とが均一に含有されてなり、人の口中に服用された時に、人の口中に服用されて、噛み砕いて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に徐々に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、トローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0168】
この構成により、[製剤効果L(チュアブル製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果):前述の「製剤効果A」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が、噛み砕かれている間中、口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高め、優れたウイルス活性抑制効果を奏することが出来る。また、服用して噛み砕かれることにより唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる。更に、シアル酸誘導物質含有剤が基剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
【0169】
チュアブル製剤は、シアル酸誘導物質含有剤と基剤とが均一に含有されてなる所望の形状に製された固形状の形態を有し、口内に服用された時に、口中で徐々に溶解又は崩壊されて、チュアブル製剤に含有されるシアル酸誘導物質含有剤が口内などに適用される製剤である。
例えば、チュアブル製剤は、粉末形状を有する基剤と粉末形状を有するシアル酸誘導物質含有剤とが互いに混合分散されて固形状態に固められてなり、室温で固形形態を有する。
なお、チュアブル製剤は、前述のトローチ製剤と類似の固形形態であって、粉末形状を有する基剤と粉末形状を有するシアル酸誘導物質含有剤とが互いに混合分散されて固形状態に固められてなり、室温で固形形態を有する製剤であり、一般には、口内で噛み砕くことにより、有効成分が唾液と一緒になって胃、腸などの消化器を通じて血管内に吸収される製剤であるが、本発明においては、チュアブル製剤を口内で噛み砕くことにより、有効成分が唾液と一緒になって口内に放出されると共に口内に滞留することにより、口内の粘膜、咽頭、咽喉に作用して、ウイルス活性抑制効果を奏することが期待できるものである。
【0170】
基剤又はチュアブル基剤としては、特に限定されなく、上記のトローチ製剤に構成されるる基剤と類似のチュアブル基剤が好ましく実施可能であり、例えば、糖アルコール、デンプン、デンプン誘導体、ベントナイト、乳糖、ショ糖、水飴、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、リン脂質、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、塩化ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、無水ケイ酸、二酸化ケイ素、脂肪酸塩、有機酸、ジカルボン酸、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルメロース、カルメロースカルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、グルコース、ガラクトース、フルクトース、等の滑沢剤、賦形剤、矯味剤、結合剤、安定化剤、界面活性剤、添加剤、着色剤、香料等の所望の成分を含有してなる基剤又はチュアブル基剤が実施可能である。
【0171】
本発明のチュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、前述の「トローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」と類似の含有成分を備えた構成を有する「チュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が好ましく実施可能であり、また、そのそれぞれの構成により、前述の「トローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」と類似の製剤効果を有する「チュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の効果」が得られる。
すなわち、下記の効果が得られる。
・[製剤効果L-b(チュアブル製剤・甘味剤・優れた甘味服用感):製剤効果K-bに類似の効果].
・[製剤効果L-c(チュアブル製剤・マルチトールと還元パラチノース甘味剤・優れた甘味服用感と滑らか服用感):製剤効果K-cに類似の効果].
・[製剤効果L-d(チュアブル製剤・シアル酸誘導物質含有剤の粒径・優れた咀嚼感):製剤効果K-dに類似の効果].
・[[製剤効果L-e(チュアブル製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有量・優れたウイルス活性抑制効果):製剤効果K-eに類似の効果].
・[[製剤効果L-f(チュアブル製剤・甘味剤粒径・優れた服用感):製剤効果K-fと類似の効果].
【0172】
本発明のチュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、常法のチュアブル製剤の製造方法によって製造される。
例えば、上記のトローチ製剤と類似の方法により実施可能であり、直接粉末圧縮法、又は、顆粒圧縮法、等が実施できる。
直接粉末圧縮法によるチュアブル製剤は、粉末形状を有する種々の混合された基剤又はチュアブル基剤とシアル酸誘導物質含有剤とを打錠製法等の圧縮成型方法によって、所定の固形形状に成形されて製造されてなる。
顆粒圧縮法によるチュアブル製剤は、所望の基剤又はチュアブル基剤とシアル酸誘導物質含有剤とを、慣用の乾式造粒法、湿式造粒法を用いて造粒及び/又は乾燥してから、この造粒物を圧縮成型して所定の固形形状に成形されて製造されてなる。
【0173】
<シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が外用製剤である構成について>
本発明の上記の「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤はシアル酸誘導物質含有剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤を含有した前記シアル酸誘導物質含有剤は、前記基剤の中に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
・「前記基剤は人体皮膚に塗布又は付着して使用可能な外用剤基剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤は前記外用剤基剤に溶解及び/又は均一に分散されてなり、人の皮膚に塗布又は噴霧された時に人体皮膚に付着可能に構成されてなり、外用製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0174】
この構成により、[製剤効果F(外用製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間皮膚に付着状態を維持):前述の「製剤効果A」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に均一に含有された外用製剤が得られ、外用製剤が人体の皮膚に塗布又は噴霧された場合に、塗布又は噴霧された外用製剤は、皮膚に長時間、付着状態を維持し、これにより、皮膚に塗布された外用製剤にウイルスが捕捉されて、付着状態を維持している間、ウイルスの活性を抑制することが期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
外用剤基剤が蒸発除去され難い成分である場合には、外用製剤の中に含有されているシアル酸誘導物質含有剤は長時間、皮膚に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。また、外用剤基剤が蒸発除去され易い成分である場合においても、シアル酸誘導物質含有剤の一部は皮膚に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。また、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に溶解及び/又は分散されている為に、シアル酸誘導物質含有剤が空気中の酸素と接触することなく、これにより、シアル酸誘導物質含有剤の保管中における劣化が抑制される。
【0175】
前記外用剤基剤の形態としては、特に限定されないが、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、スプレー剤、固形剤、弾性固形剤、ゲル状固形剤、又は、流動性ゲル状剤、の形態を有する外用剤基剤が実施可能であり、これら外用剤基剤を含有してなるそれぞれの軟膏製剤、クリーム製剤、ローション製剤、ゲル製剤、液製剤、スプレー製剤、固形製剤、弾性固形製剤、ゲル状固形製剤、又は、流動性ゲル状製剤が実施可能である。
【0176】
軟膏製剤は、皮膚に塗布する製剤であって、シアル酸誘導物質含有剤が軟膏基剤に溶解及び/又は分散されてなる半固体の製剤であり、油脂性軟膏製剤と水溶性軟膏製剤の種類がある。
油脂性軟膏製剤は、白色ワセリンや流動パラフィン等の炭化水素類、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル類、ミツロウやラノリン等のロウ類、ステアリルアルコールやセタノール等の高級アルコール、プラスチベース、粘状シリコーン等の油性基剤を含有し、これらの油性基剤の中にシアル酸誘導物質含有剤が、微粉末形状で分散状態、膨潤微粉末状態、及び/又は一部溶解状態で均一に含有されてなる。
油脂性軟膏製剤は、一般に、ベトツキ粘性を有し、水洗除去され難い性質を有する。
水溶性軟膏製剤は、例えば、マクロコール等の水溶性基剤の軟膏製剤が使用でき、この水溶性基剤の中にシアル酸誘導物質含有剤が、溶解状態、及び/又は、膨潤状態で均一に含有されてなる。
【0177】
クリーム製剤は、皮膚に塗布する製剤であって、シアル酸誘導物質含有剤が軟膏基剤に溶解及び/又は分散されてなる半固体の製剤であり、水中油型(O/W)又は油中水型(W/O)クリーム剤がある。油性基剤と水性基剤と、乳化剤及び/又は界面活性剤を含有せしめて乳化状態に形成した製剤である。水性基剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール、エタノールやイソプロピルアルコール等の低級アルコール及び水が使用できる。油性基剤としては上記油脂性軟膏で説明したと同じ炭化水素類、ロウ類、脂肪酸エステル類、高級アルコール、等が使用できる。乳化剤や界面活性剤としては、汎用の乳化剤や界面活性剤が使用できる。
シアル酸誘導物質含有剤は、これらの水性基剤及び/又は油性基剤の中に微粉末形状で分散状態、膨潤微粉末状態、及び/又は一部溶解状態で均一に含有されてなる。
クリーム剤は、一般に、べとつかず、容易に水洗除去されやすい性質を有する。
【0178】
液製剤又はローション製剤は、皮膚に塗布する製剤であって、液状を有し、乳剤性ローション剤、溶液性ローション剤、懸濁性ローション剤の種類がある。
乳剤性ローション剤は、油性基剤と水性基剤と乳化剤及び/又は界面活性剤を含有せしめて乳化状態に形成したローション製剤である。
溶液性ローション製剤は、含有成分が水に溶解してなる状態を有するローション剤である。懸濁性ローション製剤は一部の成分が水の中に懸濁した状態で分散してなるローション剤である。
いずれのローション製剤においても、シアル酸誘導物質含有剤は、水の中に溶解してなるとともに、乳剤性ローション製剤と懸濁性ローション製剤の場合には、一部のシアル酸誘導物質含有剤は油性成分の中に分散状態で含有されてなる。
なお、「ローション製剤」は「液製剤」と類似する表現であり、「ローション製剤」と「液製剤」との差異はなく、互いに同じ意味である。
【0179】
ゲル製剤は、皮膚に塗布する製剤であって、流動可能な半固形状でゲル状を有する製剤である。ゲル剤としては、特に限定されないが、例えば、水、水溶性高分子及び/又は多価アルコール等が使用可能である。シアル酸誘導物質含有剤は、水の中に溶解してなるとともに、水溶性高分子及び/又は多価アルコールは水と互いに分離なく相溶してなるゲル状形態を有する。
【0180】
スプレー製剤は、上記のローション製剤又はゲル製剤を、スプレー状で噴霧又は塗布可能に形成された形態を有するものである。
シアル酸誘導物質含有剤を含有してなる、液製剤、ローション製剤、又は、スプレー製剤において、特に好ましくは、シアル酸誘導物質含有剤が水性基剤の中に溶解されてなる液製剤、ローション製剤、又は、スプレー製剤が好ましい。
これにより、液製剤、ローション製剤、又は、スプレー製剤の保管中におけるシアル酸誘導物質含有剤の分離が抑制され、保管後においてもシアル酸誘導物質含有剤が水性基剤の中に均一に含有されてなる製剤が得られる。
【0181】
前述のように、シアル酸誘導物質含有剤は、水に溶解しやすく、エタノールやプロピルアルコールに溶解しにくい性質を有する。
一方、外用製剤として、シアル酸誘導物質含有剤を水に溶解してなる液製剤形態のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、皮膚に塗布した場合に、水が蒸発し難く、皮膚表面に濡れた感覚が長く続く傾向がある。これに対して、エタノール等の低級アルコールを含有する液剤は、皮膚に塗布した場合に、その低級アルコールが素早く蒸発して、皮膚表面の濡れた感覚が抑制される傾向がある。
【0182】
これらの観点において、シアル酸誘導物質含有剤が、水と低級アルコール(エタノール、プロピルアルコール)との混合用溶剤中に溶解してなる液製剤形態又はスプレー製剤形態のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が、容易に、簡便に、皮膚に塗布して使用可能であり、この構成により、[製剤効果F-a(水と低級アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上):前述の「製剤効果A(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)及び製剤効果F(外用製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間皮膚に付着状態を維持)を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が混合溶剤に分離することなく良好に溶解して、保管中におけるシアル酸誘導物質含有剤の沈降分離も無く、皮膚に付着した場合に、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間皮膚に付着状態を維持する効果が得られる]効果が得られる。
【0183】
例えば、水とエタノールとの混合割合において、水の含有量がエタノールの含有量と同等以上を有する混合溶剤、好ましくは、、水の含有量がエタノールの含有量の2倍以上を有する混合溶剤、更に好ましくは、水の含有量がエタノールの含有量の2.5倍以上を有する混合溶剤、更に好ましくは水の含有量がエタノールの含有量の3倍以上を有する混合溶剤が、シアル酸誘導物質含有剤を溶解可能であることを見出した。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤が水の含有量がエタノールの含有量の1倍以上を有する混合溶剤の中に含有されてなる液製剤、ローション製剤、又は、スプレー製剤が好ましく実施可能である。
【0184】
また、水とエタノールに加えて、更に、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、等の多価アルコールを混合してなる混合溶剤を構成して、シアル酸誘導物質含有剤がその混合溶剤に溶解してなる液製剤、ローション製剤、又は、スプレー製剤が好ましく実施可能である。水とエタノールに加えて多価アルコールの含有した混合溶剤の構成により、シアル酸誘導物質含有剤の溶解性が更に向上すると共に、更に、人体皮膚に付着した場合に、皮膚からのシアル酸誘導物質含有剤の脱離が抑制されて、長時間、皮膚に付着維持できる効果が得られる。
すなわち、[製剤効果F-b(水と低級アルコールと多価アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上とシアル酸誘導物質含有剤の脱離が抑制):前述の「製剤効果F-a(水と低級アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上)」が更に著しく向上するとともに、皮膚からのシアル酸誘導物質含有剤の脱離が抑制した液製剤、ローション製剤、又は、スプレー製剤がえられる]効果が得られる。
【0185】
上記のシアル酸誘導物質含有剤を含有してなる軟膏製剤、クリーム製剤、ローション製剤、ゲル製剤、液製剤、スプレー製剤、固形製剤、弾性固形製剤、ゲル状固形製剤、又は、流動性ゲル状製剤、の形態を有する外用剤基剤を含有してなる外用製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、人体の、顔、頭、首、手足、等の露出部分、又は、鼻腔に塗布されて付着して使用可能に形成されてなる。
【0186】
本発明の外用製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「前記基剤は人の鼻腔内及び/又は皮膚に塗布又は付着可能な外用剤基剤を含有し、前記外用剤基剤は軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤、又は、スプレー剤の形態を有し、前記シアル酸誘導物質含有剤は前記外用剤基剤に溶解及び/又は均一に分散されてなり、人の鼻腔内及び/又は皮膚に塗布又は噴霧された時に、鼻腔内の粘膜及び/又は皮膚に付着可能に構成されてなり、外用製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0187】
この構成により、[製剤効果G(外用製剤・鼻腔用・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間鼻腔に付着状態を維持):前述の「製剤効果A」、を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に均一に含有された外用製剤が得られ、外用製剤が人体の鼻腔内及び/又は皮膚に塗布された場合に、塗布された外用製剤は、鼻腔内の粘膜及び/又は皮膚に長時間、付着状態を維持し、これにより、鼻腔及び/又は皮膚に塗布された外用製剤にウイルスが捕捉されて、付着状態を維持している間、ウイルスの活性を抑制することが期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
外用剤基剤が蒸発除去され難い成分である場合には、外用製剤の中に含有されているシアル酸誘導物質含有剤は長時間、鼻腔内及び/又は皮膚に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。また、外用剤基剤が蒸発除去され易い成分である場合においても、シアル酸誘導物質含有剤の一部は鼻腔粘膜に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。
また、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に溶解及び/又は分散されている為に、シアル酸誘導物質含有剤が空気中の酸素と接触することなく、これにより、シアル酸誘導物質含有剤の保管中における劣化が抑制される。
【0188】
本発明の外用製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「前記基剤は人の鼻腔及び/又は皮膚に塗布又は付着可能な外用剤基剤を含有し、(i)前記基剤は油性基剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤は前記油性基剤の中に、溶解した状態、粉末状態で分散された状態、及び/又は、膨潤した状態で含有されてなる、軟膏製剤の形態を備え、人の鼻腔内及び/又は皮膚に塗布された時に、鼻腔内及び/又は皮膚の粘膜に付着可能に構成されてなり、外用製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0189】
この構成により、[製剤効果G-a(外用製剤・鼻腔用・皮膚用・軟膏製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間鼻腔内や皮膚に付着可能・外部から侵入してきたウイルスの捕獲が期待できる効果):前述の「製剤効果A」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に均一に含有された外用製剤が得られ、外用製剤が人体の鼻腔内、及び/又は皮膚に塗布された場合に、塗布された外用製剤は、鼻腔内の粘膜、及び/又は皮膚に長時間、付着状態を維持し、これにより、鼻腔及び/又は皮膚に塗布された外用製剤にウイルスが捕捉されて、付着状態を維持している間、ウイルスの活性を抑制することが可能になるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。
外用剤基剤が蒸発除去され難い成分である場合には、外用製剤の中に含有されているシアル酸誘導物質含有剤は長時間、鼻腔内及び/又は皮膚に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。
また、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に溶解及び/又は分散されてシアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤に覆われた状態である為に、シアル酸誘導物質含有剤が空気中の酸素と接触することなく、これにより、シアル酸誘導物質含有剤の保管中における劣化が抑制される。
更に、外用製剤が油性を有するために、水に溶けにくく、水洗浄によっても除去され難く、長時間の付着維持が可能になる。更に、軟膏製剤は、一般に、ベトツキ粘性を有していることに起因して、外部から侵入してきたウイルスを効率よく捕獲可能になることが期待できる効果]が得られる。
【0190】
本発明の外用製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「前記基剤は人の鼻腔及び/又は皮膚に塗布又は付着可能な外用剤基剤を含有し、(ii)油性基剤と、水性基剤と、乳化剤及び/又は界面活性剤を含有してなる乳化状態を有し、前記シアル酸誘導物質含有剤は、前記油性基剤と水性基剤の中に溶解した状態、粉末状態で分散された状態、及び/又は、膨潤した状態で含有されてなる、クリーム製剤の形態を備え、人の鼻腔内及び/又は皮膚に塗布された時に、鼻腔内及び/又は皮膚の粘膜に付着可能に構成されてなり、外用製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0191】
この構成により、[製剤効果G-b(外用製剤・鼻腔用・皮膚用・クリーム製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間鼻腔内や皮膚に付着可能・外部から侵入してきたウイルスの捕獲が期待できる効果):前述の「製剤効果A」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に均一に含有された外用製剤が得られ、外用製剤が人体の鼻腔内及び/又は皮膚に塗布された場合に、塗布された外用製剤は、鼻腔内の粘膜及び/又は皮膚に長時間、付着状態を維持し、これにより、鼻腔及び/又は皮膚に塗布された外用製剤にウイルスが捕捉されて、付着状態を維持している間、ウイルスの活性を抑制することが期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。
外用剤基剤が蒸発除去され難い成分である場合には、外用製剤の中に含有されているシアル酸誘導物質含有剤は長時間、鼻腔内及び/又は皮膚に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。
また、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に、溶解及び/又は分散されてシアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤に覆われた状態である為に、シアル酸誘導物質含有剤が空気中の酸素と接触することなく、これにより、シアル酸誘導物質含有剤の保管中における劣化が抑制される。
更に、クリーム製剤、一般に、ベトツキが無く、水により容易に除去可能であり、その為に、塗布が必要でなくなった場合に、容易に水洗により除去できる効果]が得られる。
上記のように、軟膏製剤とクリーム製剤とは、異なる使用感を有するために、所望の形態で、供給し、提供することができる。
【0192】
<シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が物品付着用製剤である構成について>
本発明の上記の「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤はシアル酸誘導物質含有剤を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤を含有した前記シアル酸誘導物質含有剤は、前記基剤の中に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
・「前記基剤は物品に塗布又は付着可能な物品付着用基剤を含有し、前記物品付着用基剤は、ゲル状流動製剤、液製剤、又は、スプレー製剤、の形態を有してなり、物品に付着可能に構成されてなり、物品付着用製剤の形態を有してなることを特徴とするシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」。
【0193】
この構成により、[製剤効果H(物品付着用製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間物品に付着可能・付着したウイルスの捕獲が期待できる効果):前述の「製剤効果A」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が物品付着用基剤の中に均一に含有された物品付着用製剤が得られ、物品付着用製剤が物品に塗布、スプレー塗布等により付着された場合に、付着された物品付着用製剤は、物品に長時間、付着状態を維持し、これにより、物品に付着された物品付着用製剤にウイルスが捕捉されて、付着状態を維持している間、ウイルスの活性を抑制することが期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。
物品付着用基剤が蒸発除去され難い成分である場合には、物品付着用製剤の中に含有されているシアル酸誘導物質含有剤は長時間、物品に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。
また、シアル酸誘導物質含有剤が物品付着用基剤の中に、溶解及び/又は分散されてシアル酸誘導物質含有剤が物品付着用基剤に覆われた状態である為に、シアル酸誘導物質含有剤が空気中の酸素と接触することなく、これにより、シアル酸誘導物質含有剤の保管中における劣化が抑制される効果]が得られる。
【0194】
また、前述の「外用製剤の形態を有し、液製剤、又は、スプレー製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」と同じように、シアル酸誘導物質含有剤が、水と低級アルコール(エタノール、プロピルアルコール)との混合用溶剤中に溶解してなる液剤形態又はスプレー剤形態のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が、容易に、簡便に、物品に塗布して使用可能であり、この構成により、[製剤効果H-a(物品付着用製剤・水と低級アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上):前述の「製剤効果A(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)及び製剤効果H(物品付着用製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間物品に付着状態を維持)を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が混合溶剤に分離することなく良好に溶解して、保管中におけるシアル酸誘導物質含有剤の沈降分離も無く、物品に付着した場合に、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間物品に付着状態を維持する効果が得られる]効果が得られる。
【0195】
また、水とエタノールに加えて、更に、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、等の多価アルコールを混合してなる混合溶剤を構成して、シアル酸誘導物質含有剤がその混合溶剤に溶解してなる液製剤、ローション製剤、又は、スプレー製剤が好ましく実施可能である。水とエタノールに加えて多価アルコールの含有した混合溶剤の構成により、シアル酸誘導物質含有剤の溶解性が更に向上すると共に、更に、物品に付着した場合に、物品からのシアル酸誘導物質含有剤の脱離が抑制されて、長時間、物品に付着維持できる効果が得られる。
すなわち、[製剤効果H-b(物品付着用製剤・水と低級アルコールと多価アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上とシアル酸誘導物質含有剤の脱離が抑制):前述の「製剤効果H-a(水と低級アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上)」が更に著しく向上するとともに、物品からのシアル酸誘導物質含有剤の脱離が抑制した液製剤、ローション製剤、又は、スプレー製剤が得られる]効果が得られる。
【0196】
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法は、「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤は前記基剤の中に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、基剤とシアル酸誘導物質含有剤とを130℃以下の温度で混合して、シアル酸誘導物質含有剤が基剤の中に均一に含有されてなる基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材を形成する工程、を備えてなる」、ことを特徴する。
好ましくは、前記シアル酸誘導物質含有剤は、ウイルスの活性を抑制する機能、及び又は、ウイルスの増殖を抑制する機能、等を有する。
【0197】
一般に、薬剤は、温度が高くなるに従って、薬剤の変質や分解等の劣化が生じる傾向にあり、薬剤が劣化しない程度の温度での製造が望まれる。発明者らは、薬剤であるシアル酸誘導物質含有剤は、約150℃以上において、高温になるに従って徐々に劣化する傾向にあり、150℃において、シアル酸誘導物質含有剤が変色して、化学的及び/又は物理的等の何らかの劣化が生じることを確認した。また、130℃以下の温度で基剤とアル酸誘導物質とを混合して、製造したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、変色が発生することなく、シアル酸誘導物質含有剤の劣化が生じないことを見出した。
すなわち、上記の本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法により、下記の効果を有することを見出した。
「製造方法効果A:(製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が生じない効果)容易に簡便に使用可能であるとともに、長時間のウイルス活性抑制効果が期待できるシアル酸誘導物質含有剤を、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の劣化を生じないシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」が得られる。
【0198】
特に、基剤が菓子基剤である構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法において、下記の効果が得られる。
[製造方法効果A-a:(菓子基剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が生じない効果)人が、所望の時に、容易に簡便に使用可能であるとともに、基剤が固形剤、弾性固形剤やゲル状固形剤である菓子基剤で構成において、菓子と類似の感覚で人の口内に服用することにより、口内に長時間滞留、口内粘膜に長時間付着可能であって、長時間のウイルス活性の抑制が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られると共に、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の何らかの劣化を抑制して、良好なウイルス活性を抑制可能なシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することが可能になる効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が得られる。
【0199】
また、基剤が外用剤基剤である構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法において、下記の効果が得られる。[製造方法効果A-b:(外用剤基剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が生じない効果)人が、所望の時に、容易に簡便に使用可能であるとともに、基剤が軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、又は、スプレー剤の形態を有する外用剤基剤である構成において、人の皮膚や鼻腔内に塗布することにより、皮膚や鼻腔内粘膜に長時間付着可能であって、長時間のウイルス活性を抑制するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られると共に、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の何らかの劣化を抑制して、良好なウイルス活性を抑制可能なシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することが可能になる効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が得られる。
【0200】
基剤とシアル酸誘導物質含有剤とを混合して、シアル酸誘導物質含有剤が基剤の中に均一に含有されてなる基剤とシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材を形成する工程における温度が130℃を超える場合には、シアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤が熱により化学的に変質したり、又は、酸化により変質したり等の劣化が生じる傾向にある。
【0201】
<チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法について>
本発明の上記の「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤はシアル酸誘導物質含有剤を含有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
・「前記基剤が菓子基剤を含有し、前記菓子基剤がガム基剤と甘味剤とを含有するチューインガムの形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、(A)20~90℃の温度で、ガム基剤と甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とを混合して、前記ガム基剤と前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製する工程、(B)前記チューインガム中間混合物を45℃以下の温度に下げた温度状態で、所定の形状に分割して、チューインガムの形態を有する所定形状に成形する工程、を備えてなり、人の口中に服用されて、咀嚼された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤は口内に滞留可能及び/又は口内粘膜に付着可能に構成されてなり、チューインガム製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」。
【0202】
この構成により、[製造方法効果C(チューインガム製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化を抑制):前述の「製剤効果C:シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来る。また、咀嚼により唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる」等が得られると共に、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の熱劣化や酸化劣化等の劣化を抑制して、良好なウイルス活性の抑制が効く対できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することが可能になる効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が得られる。
【0203】
(A)工程において、20~90℃の温度で、ガム基剤と甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とを混合することにより、甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とがガム基剤の中に均一に含有され混合されたチューインガム中間混合物が得られる。特に、シアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤は熱により劣化しやすい性質を有するが、20~90℃の温度で混合処理された場合においても劣化が認められなかった。また、甘味剤が粉末状の形態を有する場合においても、粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と粉末状の甘味剤が、ガム基剤の中に均一に混合分散、又は、一部のシアル酸誘導物質含有剤と甘味剤がガム基剤の中に溶解及び/又は膨潤されたチューインガム中間混合物が得られる。
【0204】
(A)工程におけるガム基剤と甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤との混合時における温度としては、20~90℃が好ましく、更に好ましくは30~80であり、更に好ましくは40~65℃である。
混合温度が90℃を超える場合には、高温になるに従ってガム基剤が柔らかくなる傾向にあり、所望の粘性を有するチューインガム中間混合物が得られなくなり、130℃を超える場合には、シアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤が変質劣化する傾向がある。
混合温度が20℃未満の場合には、ガム基剤が硬い状態であり、シアル酸誘導物質含有剤の均一混合が困難になる傾向がある。
(B)工程における成形工程は45℃以下が好ましく、更に好ましくは25℃~40℃である。成形工程が45℃を超える場合には、チューインガム中間混合物が柔らかくなる傾向にあり、所望の弾性を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られない傾向がある。
【0205】
ガム基剤としては、特に限定されないが、例えば、前述の「チューインガム製剤」の項において説明した、ポリイソブチレン、酢酸ビニル樹脂等の固形エラストマー、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の可塑剤、グリセリン脂肪酸ンエステル等の乳化剤、タルク粉末等の粉末、メントール等の清涼化剤等が使用可能である。
なお、(B)工程において、チューインガム中間混合物を所定の形状に成型した後、コーティング剤を被覆する糖衣工程を加えることも可能である。
【0206】
前記(A)工程のガム基剤と甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤との混合する工程としては、菓子用チューインガムの製造に使用されている公知の製造工程が使用できる。
例えば、バッチ式のスクリュー式混練機、バッチ式の羽根式混練機、バッチ式のロール式混練機、または、このような混練機に気圧や重しを加えた状態で混練するバッチ式の加圧式混練機、等の混練機を使用して、特に、使用するシアル酸誘導物質含有剤が劣化しない温度範囲であって、使用するガム基剤が粘性を有して、ガム基剤とシアル酸誘導物質含有剤とが互いに混練可能な温度範囲で混練する。シアル酸誘導物質含有剤の劣化を防止するために、望ましい温度範囲としては、一般に、20度Cから90度Cの温度範囲が望ましい。また、窒素などの不活性気体の雰囲気中で混練することが望ましい。または、加圧式混練機を使用して加圧しながら混練することにより混練時間を短縮できる作用効果が得られる。また、加圧式混練機は空気を遮断しながら混練する作用効果も得られる。これにより、前記シアル酸誘導物質含有剤と前記甘味剤が前記ガム成分の中に均一に混合されたチューインガム中間混合物が得られる。
【0207】
前記(B)工程のチューインガム中間混合物を所定の形状に成型してシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製する工程としては、特に限定しないが、例えば、一般に薄板状の菓子チューインガムの製造に使用されている公知の押出方式の押出成形機を使用して、薄板状、円盤形状、その他の任意の形状のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を得ることができる。ただし、菓子チューインガムの製造方式と比較して、使用している薬効成分が劣化しない温度範囲であって、使用するガム基剤が粘性を有して所定形状に加工できる温度範囲で成形することが望ましい。望ましい温度範囲としては、使用するガム基剤とシアル酸誘導物質含有剤の種類によって異なるが、シアル酸誘導物質含有剤の劣化を防止するために、例えば、20度Cから90度Cの温度範囲が望ましい。また、窒素などの不活性気体の雰囲気中で成形することが望ましい。
【0208】
前記(B)工程において、コーティング剤を被覆する工程としては、特に限定しないが、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の保存中における湿度によるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の劣化を防止するための防湿効果を有する糖衣剤が使用できる。コーティング剤としては、例えば、粉末マルチトール、水飴、アラビアガムを含有する蜜糖、着色剤、ワックス剤、薬効成分特有の味を緩和するために甘味・果物などの味に類似する果物味、清涼感を奏するための清涼味などを発揮する成分を含むコーティング剤が使用できる。
【0209】
本発明の上記の「チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が好ましく実施可能である。
・「前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有し、前記甘味剤は粉末状態で前記ガム基剤の中に均一に含有されてなり、前記(A)工程は、20~90℃の温度で、ガム基剤と前記甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と、を混合して、前記ガム基剤と前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製する工程、を備え、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチューインガム製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」。
これらの甘味剤のそれぞれの甘味剤は、同じ甘味を有することなく、それぞれの甘味剤に特有の甘味を有する。従って、甘味剤の種類を適宜選択することにより所望の甘味を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。
【0210】
本発明の上記の「チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が好ましく実施可能である。
・「前記甘味剤は少なくとも第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤はマルチトールであり、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、前記(A)工程は、20~90℃の温度でガム基剤と前記甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とを混合して、前記ガム基剤と前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製する工程を備え、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」。
【0211】
この構成により、[製造方法効果C-a(チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望の甘味、低カロリー・良好な分散性):前述の「製造方法効果C」を有すると共に、良好なガム基剤との混合分散性に起因する優れた咀嚼感、所望の第二甘味剤を選択含有することによる所望の甘味、低カロリーなマルチトールに起因する健康的な低カロリー、等を奏するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる効果]が得られる。
【0212】
本発明の上記の「チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が好ましく実施可能である。
・「前記甘味剤は少なくとも第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤はマルチトールであり、前記第二甘味剤は水飴であり、前記(A)は、20~90℃の温度で、ガム基剤と前記甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と、を混合して、前記ガム基剤と前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製する工程、を備え、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチューインガム製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」。
【0213】
この構成により、[製造方法効果C-b(チューインガム製剤・マルチトールと水飴・シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールの均一含有):前述の製造方法効果Cを有すると共に、前述の「製剤効果C-b」を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。更に、水飴は約5~30%の水を含有し、また、マルチトールも水溶性であることに起因して、(A)工程において、マルチトールの一部の少なくとも一部のマルチトールと粉末形状を有するシアル酸誘導物質含有剤の少なくとも一部のシアル酸誘導物質含有剤とが溶解及び/又は膨潤し、これにより、シアル酸誘導物質含有剤の少なくとも一部のシアル酸誘導物質含有剤が溶解及び/又は膨潤された状態で含有されてなるとともに均一に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することができる効果]が得られる。
【0214】
本発明の上記の「チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が好ましく実施可能である。
・「(i)前記甘味剤は、少なくとも、粉末状の形態で前記ガム基剤の中に均一に含有されてなり、粉末状の形態で含有されている甘味剤のうち、300μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」。
【0215】
この構成により、[製造方法効果C-g(チューインガム製剤・甘味剤粒径・優れた咀嚼感・優れた均一混合分散性):前述の「C-g(チューインガム製剤・甘味剤粒径)良好なガム基剤と甘味剤との均一分散性が向上した均一混合分散性に起因する優れた服用感、及び、甘味剤の粉末形状に起因する服用した時におけるガリガリ感等の不快な服用感が抑制され、更に、低カロリーなマルチトールに起因する健康的な低カロリー、等を奏するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。更に、、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の熱劣化や酸化劣化等の劣化を抑制して、良好なウイルス活性の抑制が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することが可能になる効果を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が得られる。
特に、甘味剤が低カロリーなマルチトールである場合には、健康的な低カロリー、等を奏する効果」が得られる。
【0216】
好ましくは、甘味剤は、粉末形状の形態で含有されている甘味剤のうち、250μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有する、更に好ましくは、粉末形状の形態で含有されている甘味剤のうち、150μm以下の粒径を有する甘味剤が90%以上を含有する、構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
粉末形状の形態で含有されている甘味剤の粒径が300μmを越える場合には、粉末形状の形態甘味剤に起因する咀嚼した時におけるガリガリ感等の不快咀嚼感を抑制する効果が低下する傾向にある。
【0217】
上記の前記基剤は、菓子基剤を含有し、前記菓子基剤は、ガム基剤と、甘味剤を含有するチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が好ましく実施可能である。
・「前記シアル酸誘導物質含有剤が粉末状の形態で前記ガム基剤の中に均一に含有されてなり、粉末状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、300μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有し、チューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」。
【0218】
この構成により、[製造方法効果C-h(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた均一混合分散性):前述の「製剤効果C-h(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径:良好なガム基剤とシアル酸誘導物質含有剤との均一分散性が向上した均一混合分散性に起因する優れた服用感、及び、シアル酸誘導物質含有剤の粉末形状に起因する服用した時におけるガリガリ感等の不快な服用感が抑制され、)を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られ、更に、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の熱劣化や酸化劣化等の劣化を抑制して、良好なウイルス活性の抑制が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することが可能になる効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が得られる。
【0219】
好ましくは、シアル酸誘導物質含有剤は、粉末形状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、250μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有する、更に好ましくは、シアル酸誘導物質含有剤は、粉末形状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、150μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有する、構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が実施可能である。
シアル酸誘導物質含有剤の粒径が300μmを越える場合には、シアル酸誘導物質含有剤の粉末形状に起因する咀嚼した時におけるガリガリ感等の不快咀嚼感を抑制する効果が低下する傾向にある。
【0220】
本発明の上記の「チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が好ましく実施可能である。
・「前記(A)工程において、前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と前記甘味剤とを均一に混合してシアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合物を調製し、該シアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合物とガム基剤とを混合してチューインガム中間混合物を調製する、ことを特徴とするシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」。
【0221】
この構成により、[製造方法効果C-j:(シアル酸誘導物質含有剤の局在化が抑制された均一混合):シアル酸誘導物質含有剤がチューインガム製剤の中に局所的に局在することなく均一に分散して含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる効果が得られる。例えば、シアル酸誘導物質含有剤の含有量が少ない場合には、シアル酸誘導物質含有剤のみをガム基剤に添加して混合した場合には、チューインガム製剤の中に局所的に局在したチューインガム中間混合物が得られる現象が生じ、これにより、(B)工程において、所定形状に分割して、チューインガムの形態を有する所定形状に成形した時に、シアル酸誘導物質含有剤の含有量が互いに異なるチューインガム製剤が得られる傾向があるが、これに対して、粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と前記甘味剤とを均一に混合してシアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合物を調製し、該シアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合物とガム基剤とを混合してチューインガム中間混合物を調製することにより、シアル酸誘導物質含有剤の含有量が互いに同じチューインガム製剤を容易に製造することが可能になる効果]が得られる。
【0222】
本発明の上記の「チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」において、下記の構成を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が好ましく実施可能である。
・「前記基剤は、前記菓子基剤に加えて、更に、多価アルコールを含有し、前記多価アルコールは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及び、グリセリンからなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールを含有し、前記(A)工程は、20~90℃の温度で、ガム基剤と多価アルコールと甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と、を混合して、前記ガム基剤と前記多価アルコールと前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製する工程、を備え、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記ガム基剤と多価アルコールの中に均一に含有されたチューインガム製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」。
【0223】
この構成により、[製造方法効果C-e(チューインガム製剤・多価アルコール・シアル酸誘導物質含有剤が多価アルコールに膨潤及び/又は溶解による均一混合・優れた均質混合性):前述の「製剤効果C-e」を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られると共に、(A)工程において、シアル酸誘導物質含有剤が多価アルコールに膨潤及び/又は溶解し、これにより、シアル酸誘導物質含有剤がガム基剤と多価アルコールとを含有する基剤の中に均一に含有される効果が更に向上したチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することができる効果]が得られる。
【0224】
<ハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法について>
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法は、好ましくは、下記の構成を備える。
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法は、「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤はシアル酸誘導物質含有剤を含有し、前記基剤が菓子基剤を含有し、前記菓子基剤がハードキャンディ基剤と甘味剤とを含有するハードキャンディの形態を有し、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、(A)甘味剤と水を混合して、甘味剤が溶解された甘味剤溶解液を調製する工程、及び、前記甘味剤溶解液を第一所定温度に加熱して、水を蒸発除去して、7重量%以下の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該甘味剤含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、(B)前記甘味剤含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該甘味剤含有加熱流動甘味剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤を混合し、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、(C)前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形してシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製する工程、を備えてなり、前記第一所定温度は120℃以上であり、前記第二所定温度は、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70~150℃であり、第三所定温度は70℃未満であり、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたハードキャンディ製剤の形態を有してなる」ことを特徴とする。
【0225】
例えば、第一所定温度が150℃を超える温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が実施可能であり、第一所定温度が150℃以下の温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が実施可能であり、第一所定温度が130℃の場合には、第二所定温度は70~130℃が実施可能であり、第一所定温度が121℃の場合には、第二所定温度は70~121℃が実施可能である。
【0226】
上記製造方法により、[製造方法効果D-e(ハードキャンディ製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制):製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の温度による化学的な劣化を抑制することができる効果]が得られる。
【0227】
前記(B)工程において、甘味剤含有加熱流動甘味剤の温度が高くなるに従ってシアル酸誘導物質含有剤の化学的な劣化が生じやすい傾向があり、特に、甘味剤含有加熱流動甘味剤の温度が150℃を超える場合には、甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤とを混合する工程において、シアル酸誘導物質含有剤の劣化が起こりやすくなる。
甘味剤含有加熱流動甘味剤の温度が低くなるに従って甘味剤含有加熱流動甘味剤の粘性が高くなり、特に、第二所定温度が70℃未満の場合には、マルチトール含有加熱流動甘味剤の粘性が著しく高くなり、甘味剤含有加熱流動甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤との混合が十分に行えなくなる傾向があり、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤の中に均一に含有されてなる所望のキャンディ製剤が得られない傾向がある。
【0228】
前記第二所定温度としては、前記第一所定温度よりも低い温度であって、好ましくは70~140℃、更に好ましくは70~120℃が可能である。
例えば、第一所定温度が150℃を超える温度の場合には、第二所定温度は70~140℃が好ましく実施可能であり、第一所定温度が120℃~150℃の場合には、第二所定温度は70~120℃が好ましく実施可能である。
【0229】
前記(A)工程における甘味剤と水との混合割合は、特に限定されなく、例えば、「(A)甘味剤50~90重量%と、水50~10重量%を混合して、甘味剤が溶解された甘味剤溶解液を調製する工程」、更に好ましくは、「(A)甘味剤60~90重量%と、水40~10重量%を混合して、マルチトールが溶解された甘味剤溶解液を調製する工程」、更に更に好ましくは、「(A)甘味剤70~90重量%と、水30~10重量%を混合して、マルチトールが溶解された甘味剤溶解液を調製する工程」が、実施可能である。
【0230】
また、前記(A)工程における「前記甘味剤溶解液を120℃以上の温度に加熱して、水を蒸発除去して、水含有量が7重量%以下の加熱された流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程」において、更に好ましくは「前記甘味剤溶解液を120℃~200℃の温度」、更に更に好ましくは「前記マルチトール溶解液を120℃~190℃の温度」に加熱して、水含有量が7重量%以下の加熱された流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程」が実施可能である。
加熱温度が高くなるに従って水を蒸発除去する時間が短くなる利点があるが、加熱温度が高くなるに従って甘味剤を含有する甘味剤の褐変反応(メイラード反応)等の劣化が生じる傾向があり、甘味剤溶解液を120℃以上の温度に加熱して、水を蒸発除去する温度としては、好ましくは、120℃~200℃の温度が好ましく、更に好ましくは、120℃~190℃が好ましい。
【0231】
また、更に好ましくは、前記(A)工程における「前記甘味剤溶解液を120℃以上の温度に加熱して、水を蒸発除去して、水含有量が7重量%以下の加熱された流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程」において、水含有量が、「5重量%以下」、更に好ましくは「3重量%以下」の加熱された流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程」が実施可能である。
キャンディ製剤に含有される水の含有割合が増加するに従って、製造直後及び保管中の約25℃の常温において、キャンディ製剤がネバネバ現象等の粘性であって軟質を有する形状の製剤になる傾向があり、水の含有量が、全量に対して、7重量%を超える場合には、製造直後及び/又は保管中の約25℃の常温において、キャンディ製剤がネバネバ現象等の粘性軟質を有する形状、又は、キャンディ製剤の表面がベタ付き現象を有する製剤になる傾向があり、このような現象を有するキャンディ製剤においては、個別包装や高い気密性を有する密封包装の形態で対処し、包材費用が高くなるとともに包装工程が煩雑になる課題が生じる。
【0232】
前述の「前記甘味剤溶解液を120℃以上の温度に加熱して、水を蒸発除去して、水含有量が7重量%以下の加熱された流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程」としては、特に限定されないが、例えば、減圧雰囲気中で、甘味剤溶解液を120℃以上の温度に加熱する方法」、又は、空気雰囲気中で、甘味剤溶解液を120℃以上の温度に加熱する方法」が実施可能である。減圧雰囲気中で水を蒸発することにより、甘味剤の熱劣化が抑制されると共に、水の蒸発に要する時間を短くできる利点がある。
【0233】
第三所定温度は70℃未満が好ましく、第三所定温度が70℃以上の場合には、シアル酸誘導物質含有剤含有マルチトール含有成形製剤が流動性を有する状態を維持し、所定の形状に成形できない傾向がある。
【0234】
<ソフトキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法について>
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法は、好ましくは、下記の構成を備える。
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法は、「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤はシアル酸誘導物質含有剤を含有し、前記基剤が菓子基剤を含有し、前記菓子基剤がソフトキャンディ基剤と甘味剤とを含有するソフトキャンディの形態を有し、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、(A)甘味剤と水を混合して、甘味剤が溶解された甘味剤溶解液を調製する工程、及び、前記甘味剤溶解液を第一所定温度に加熱して、水を蒸発除去して、4重量%~15重量%の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該甘味剤含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、(B)前記甘味剤含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該甘味剤含有加熱流動甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤を混合し、該シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、(C)前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形してシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製する工程、を備えてなり、前記第一所定温度は100℃以上であり、前記第二所定温度は、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70~150℃であり、第三所定温度は70℃未満であり、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたソフトキャンディの形態を有してなる」ことを特徴とする。
【0235】
例えば、第一所定温度が150℃を超える温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が実施可能であり、第一所定温度が150℃以下の温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が実施可能であり、第一所定温度が130℃の場合には、第二所定温度は70~130℃が実施可能であり、第一所定温度が101℃の場合には、第二所定温度は70~101℃が実施可能である。
【0236】
上記製造方法において、[製造方法効果D-f(ソフトキャンディ製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果):(A)工程により、甘味剤を容易に溶解できると共に所定量の水分を効率よく蒸発除去できる効果が得られ、更に、水の含有量が全量に対して4重量%~15重量%の含有により、製造直後及び保管中におけるキャンディ製剤の表面の水分に起因するベタツキ現象が抑制されるとともに、服用時に、所望の軟質の柔らかい服用感が得られる。また、(B)工程により、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を容易に調製することが可能になるとともに、シアル酸誘導物質含有剤の温度による化学的な劣化を抑制することができる効果]が得られる。
【0237】
(B)工程において、第二所定温度が150℃を超える場合には、甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤とを混合する工程において、シアル酸誘導物質含有剤が化学的変化に劣化する傾向があり、シアル酸誘導物質含有剤の有する薬効を十分に発揮できない恐れがある。第二所定温度が70℃未満の場合には、甘味剤の粘性が大きく、甘味剤が流動性を有しない形態になり、その為に、甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤とを混合できなくなる傾向があり、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤の中に均一に含有されてなる所望のキャンディ製剤が得られない傾向がある。
【0238】
(A)工程において、第一所定温度としては、100℃以上であり、好ましくは、100℃~150℃の温度、更に好ましくは110℃~130℃の温度、に加熱して、甘味剤溶解液に含有されている水を蒸発除去して、流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程が、好ましく実施可能である。
また、(A)工程において、甘味剤含有加熱流動甘味剤に含有される水の含有量は、好ましくは5~10重量%、更に好ましくは5~7%になるまで煮詰める工程が好ましく実施可能である。
【0239】
(B)工程において、第二所定温度としては、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70℃~150℃の温度が好ましく実施可能であり、更に好ましくは、70℃~120℃の温度が好ましく実施可能である。
例えば、第一所定温度が150℃を超える温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が好ましく実施可能であり、第一所定温度が150℃以下の温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が好ましく実施可能であり、第一所定温度が130℃の場合には、第二所定温度は70~120℃が好ましく実施可能であり、第一所定温度が101℃の場合には、第二所定温度は70~101℃が好ましく実施可能である。
【0240】
ソフトキャンディに含有される水の含有量が多くなるに従って、生成するソフトキャンディの柔軟性が増していき、ソフト感を有する服用感が得られなくなる傾向にあり、ソフトキャンディに含有される水の含有量が15重量%を超える場合には、所望の軟質、柔軟性が得られなく柔らかい性質又は柔らかくなり過ぎて、固形形状を保持できなくなるキャンディ製剤が得られる傾向がある。
ソフトキャンディに含有される水の含有量が少なくなるに従って、生成するソフトキャンディの硬さが硬くなる傾向にあり、4重量%未満の場合には、所望の軟質、柔軟性が得られなく硬い硬さを有し、柔軟性、ソフト感を有するキャンディ製剤が得られる傾向がある。
水の含有量が15重量%を超えるキャンディ製剤は、柔らかくなり過ぎて、固形形状を保持できなくなる傾向がある。
【0241】
第三所定温度が70℃以上の場合には、シアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤が流動性を有する状態を維持した状態であり、所定の形状に成形できない傾向がある。
【0242】
<グミキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法について>
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法は、好ましくは、下記の構成を備える。
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法は、「基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤はシアル酸誘導物質含有剤を含有し、前記基剤が菓子基剤を含有し、前記菓子基剤がグミキャンディ基剤と甘味剤とを含有するグミキャンディの形態を有し、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、(A)甘味剤と水を混合して、甘味剤が溶解された甘味剤溶解液を調製する工程、及び、前記甘味剤溶解液を第一所定温度に加熱して、10重量%~35重量%の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該甘味剤含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、(B)前記甘味剤含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該甘味剤含有加熱流動甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤を混合し、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、(C)前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形してシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製する工程、を備えてなり、前記第一所定温度は100℃以上であり、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたグミキャンディの形態を有してなる」ことを特徴とする。
【0243】
上記製造方法において、[製造方法効果D-g(グミキャンディ製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果):(A)工程により、甘味剤を容易に溶解できると共に所定量の水分を含有するとともに、更に、水の含有量が全量に対して10重量%~35重量%の含有により、製造直後及び保管中におけるキャンディ製剤表面の水分に起因するベタツキ現象が抑制されるとともに、服用時に快適な弾性、軟質の服用感を有し、(B)工程により、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を容易に調製することが可能になるとともに、シアル酸誘導物質含有剤の温度による化学的な劣化を抑制することができる効果]が得られる。
【0244】
(B)工程において、第二所定温度が150℃を超える場合には、甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤とを混合する工程において、シアル酸誘導物質含有剤が化学的変化に劣化する傾向があり、シアル酸誘導物質含有剤の有する薬効を十分に発揮できない恐れがある。第二所定温度が70℃未満の場合には、甘味剤の粘性が大きく、甘味剤が流動性を有しない形態になり、その為に、甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤とを混合できなくなる傾向があり、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤の中に均一に含有されてなる所望のキャンディ製剤が得られない傾向がある。
【0245】
(A)工程において、第一所定温度としては、100℃以上であり、好ましくは、100℃~150℃の温度、更に好ましくは110℃~130℃の温度、に加熱して、流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製する工程が、好ましく実施可能である。
【0246】
(B)工程において、第二所定温度としては、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70℃~150℃の温度が好ましく実施可能であり、更に好ましくは70℃~120℃の温度であり、更に更に好ましくは70~100℃が好ましく実施可能である。
【0247】
グミキャンディに含有される水の含有量が10重量%未満の場合には、所望の弾力が得られなく硬い性質を有し、所望の弾性、軟質感を有するキャンディ製剤が得られる傾向がある。グミキャンディに含有される水の含有量が35重量%を超える場合には、所望の弾力が得られなく柔らかい性質を有し、また、固形形状を保持できないキャンディ製剤が得られる傾向がある。
【0248】
第三所定温度が70℃以上の場合には、シアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤が流動性を有する状態を維持した状態であり、所定の形状に成形できない傾向がある。
【0249】
<シアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤の製造方法における他の好ましい製造方法について>
【0250】
上記のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「前記(A)工程、又は、前記(B)において、賦形剤、ゲル化剤、油脂、乳化剤、pH調整剤、香料、清涼感剤、及び、甘味助剤とからなる群から選ばれる少なくともひとつの添加補助剤を混合し、シアル酸誘導物質含有剤が溶解されたシアル酸誘導物質含有剤含有マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、を備える」ことを特徴とする。
賦形剤、ゲル化剤、油脂、乳化剤、pH調整剤、香料、清涼感剤、甘味助剤等の添加補助剤の具体的物質としては、前述のそれぞれの添加補助剤の使用が実施可能である。
この構成により、[製造方法効果D-h(キャンディ製剤・添加補助剤含有効果):前述の(製造方法効果Dを有すると共に、製造中及び/又は製造時における添加補助剤の熱劣化が抑制されると共に、更に、含有する添加補助剤が奏する作用に対応する作用効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0251】
上記のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「前記基剤が菓子基剤を含有し、前記菓子基剤がキャンディ基剤と甘味剤とを含有し、前記甘味剤は前記マルチトールを含有するとともに、前記菓子基剤は、更に、多価アルコールを含有し、前記(B)工程は、前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤と更に多価アルコールを混合し、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持する工程、であり、これにより、マルチトールの経時的な変質が抑制されてなるキャンディの形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が調製され、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたキャンディ製剤の形態を有してなる、ことを特徴とするシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤の製造方法」。
【0252】
例えば、「前記(A)工程、又は、前記(B)において、更に、多価アルコールを混合し、シアル酸誘導物質含有剤が溶解されたシアル酸誘導物質含有剤含有マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、を備え、流動状態を有する前記第二所定温度は、前記70~150℃よりも低い温度の60~120℃であり、製造工程中及び保管中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が抑制されてなるとともに、保管中における表面変質が抑制されてなる、ことを特徴とする」キャンディ製剤の製造方法が好ましく実施可能である。
【0253】
この構成により、[製造方法効果D-c(キャンディ製剤・多価アルコール・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果):流動状態を有する第二所定温度としての温度が多価アルコールを含有しない構成と比べて、更に低い温度においても流動性を有する状態を維持することが可能になり、その結果、多価アルコールを含有しない構成と比べて、低い温度において、シアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤の劣化を起こすことなくシアル酸誘導物質含有剤を混合可能になり、シアル酸誘導物質含有剤の劣化が抑制されたシアル酸誘導物質含有剤含有マルチトール含有加熱流動製剤を調製することができると共に、更に、前述の製剤効果D-c(キャンディ製剤・マルチトールと多価アルコールによる外観変質抑制効果)で説明した保管中におけるキャンディ製剤表面の外観変質が抑制される効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤が得られる。
【0254】
多価アルコールとしては、特に限定されないが、特に好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及び、グリセリンからなる群から選ばれる少なく一つの多価アルコールが使用可能である。
上記の多価アルコールは、約190℃以下の温度において液状を有し、シアル酸誘導物質含有剤、及び、マルチトールや甘味剤と混合して均質な混合液を形成可能であり、また、常温において、マルチトールと、シアル酸誘導物質含有剤と、多価アルコールと、は互いに混合された均質な固形状態を有する。
なお、多価アルコールとしては、特に、グリセリンが好ましく実施可能であり、グリセリンを含有した構成において、上記の[製造方法効果D-c(キャンディ製剤・グリセリン)]及び前述の[製剤効果D-c(キャンディ製剤・マルチトールと多価アルコールによる外観変質抑制効果)]を最大限に著しく発揮できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としてのキャンディ製剤が得られる。
【0255】
<チョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法について>
本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法は、好ましくは、下記の構成を備える。
・「前記基剤が菓子基剤を含有し、前記菓子基剤がチョコレート基剤と甘味剤とを含有するチョコレートの形態を有し、人の口中に服用されて、舐めて使用された時に、及び/又は、噛み砕いて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記菓子基剤と一緒に口内に放出されて、該菓子基剤と該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、(A)45℃~90℃の温度で、チョコレート基剤と甘味剤と添加助剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とを混合して、前記チョコレート基剤と前記甘味剤と前記添加助剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチョコレート中間混合物を調製する工程、(B)前記チョコレート中間混合物を40℃以下の温度に下げた温度状態で、所定の形状に分割して、チョコレートの形態を有する所定形状に成形する工程、を備え、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチョコレート製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」。
【0256】
なお、上記のチョコレートの製造工程において、好ましくは、上記(A)工程は、「(A-1)約45℃~90℃の温度で、所定量のチョコレート基剤と、所定量の甘味剤と、添加補助剤、を混合して、前記チョコレート基剤と前記甘味剤と前記添加補助剤とが均一に混合されたチョコレート基剤甘味剤含有混合物を調製する工程、(A-2)調製したチョコレート基剤甘味剤含有混合物を、約60~約80℃で約20~24時間を要してコンチングを行ってコンチング混合物を調製する工程、(A-3)調製したコンチング混合物を、約50~55℃で所定時間維持し、その後、約25~29℃に温度を下げて所定時間維持し、再度約31~33℃で所定時間維持して、テンパリングを行って、テンパリング混合物を調製する工程、及び、(A-4)約28~33℃の温度で、調製したテンパリング混合物に所定量の粉末状のシアル酸誘導物質含有剤を添加し、混合して、シアル酸誘導物質含有剤を含有したチョコレート中間混合物を調製する工程」を備える。
また、好ましくは、上記(B)工程は、「(B)調製したシアル酸誘導物質含有剤を含有したチョコレート中間混合物をモールド型容器に投入して、約20℃に下げて、チョコレートの形態を有する板状形状に形成する工程」、を備える。
【0257】
「コンチング」は、豆の状態から粉砕し粘土状なったカカオ豆を、攪拌機(かくはんき)を使ってさらに強い力で長時間(例えば、10~24時間)練り上げ粘土状にまでする工程であり、強い力で長く練ることにより、もともとカカオに含まれているココアバターが均一になり、摩擦熱によって水分や酸味が放出され、より滑らかでチョコレートらしい風味に仕上がり、チョコレート菓子業界において、慣用の技術である。
【0258】
「テンパリング」は、チョコレートの主成分であるカカオバターの結晶を最も安定した状態にする温度調整作業のことであり、一旦チョコレートを約50℃前後まで上げて溶解し、26~29℃まで温度を下げ、再度28~32℃に温度を上げることで結晶を整え安定させる技術である。これにより、ツヤのある口溶け滑らかな美味しいチョコレートが得られる。具体的には、一般的なスイートチョコレートの場合、好ましい温度は、溶かす温度が50~55℃、下げる温度が27~29℃、保温温度が31~32℃である。
ミルクチョコレートの場合、好ましい温度は、溶かす温度が45~50℃、下げる温度が26~28℃、保温温度が29~30℃である。ホワイトチョコレートの場合、好ましい温度は、溶かす温度が40~45℃、下げる温度が26~27℃、保温温度が28~29℃である。
【0259】
この構成により、[製造方法効果E(チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内粘膜に長時間付着可能効果・製造中における・シアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果):前述の「製剤効果E:シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来る。また、服用により唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる」等が得られると共に、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の熱劣化や酸化劣化等の劣化を抑制して、良好なウイルス活性を抑制可能なシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することが可能になる効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が得られる。
【0260】
上記のチョコレート製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「前記チョコレート基剤は、(イ)カカオ由来原料と、(ロ)乳化剤、乳脂肪、及び、液状植物性油脂からなる群から選ばれる少なくとも一つのチョコレート添加補助剤と、を含有し、前記甘味剤は、マルチトール、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、及び、水飴、からなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有してなり、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチョコレート製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」。
【0261】
この構成により、[製造方法効果E-a(チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤の固有の味覚が抑制効果・製造中におけるねっれっか抑制効果):前述の「製剤効果E-a:(イ)カカオ由来原料と甘味剤との双方を含有することにより、シアル酸誘導物質含有剤の固有の味覚が抑制されると共にカカオ由来原料に起因する苦みが著しく抑制された甘味を有するチョコレート製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が得られるとともに、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の熱劣化や酸化劣化等の劣化を抑制して、良好なウイルス活性を抑制が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することが可能になる効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が得られる。
【0262】
また、[製造方法効果E-b(チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤の長時間の口内付着効果):前述の「製剤効果E-b:(ロ)乳化剤、乳脂肪、及び、植物性油脂からなる群から選ばれる少なくとも一つのチョコレート添加補助剤と、を含有することにより、人の口中に服用された時に、チョコレート菓子としての好適な服用感覚を有するとともに、チョコレート製剤が口内粘膜に強く付着して、シアル酸誘導物質含有剤が口内に永く滞留しやすいシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られるとともに、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の熱劣化や酸化劣化等の劣化を抑制して、良好なウイルス活性を抑制可能なシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することが可能になる効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が得られる。
【0263】
上記のチョコレート製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備える。
・「(i)前記甘味剤は少なくともマルチトールを含有し、前記マルチトールは、粉末状の形態で前記チョコレート基剤の中に均一に含有されてなり、粉末状の形態で含有されているマルチトールのうち、300μm以下の粒径を有するマルチトールが90%以上を含有する、及び/又は、(ii)前記シアル酸誘導物質含有剤が粉末状の形態で前記チョコレート基剤の中に均一に含有されてなり、粉末状の形態で含有されているシアル酸誘導物質含有剤のうち、300μm以下の粒径を有するシアル酸誘導物質含有剤が90%以上を含有し、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記基剤の中に均一に含有されたチョコレート製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法」。
【0264】
この構成により、[製造方法効果E-g(チョコレート製剤・マルチトール粒径・優れた服用感):前述の「製剤効果E-g」を有すると共に、良好なチョコレート基剤とマルチトールとの均一分散性が向上した均一混合分散性に起因する優れた服用感、及び、マルチトールの粉末形状に起因する服用した時におけるガリガリ感等の不快な服用感が抑制され、更に、低カロリーなマルチトールに起因する健康的な低カロリー、等を奏するチョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られ、更に、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の熱劣化や酸化劣化等の劣化を抑制して、良好なウイルス活性を抑制可能なシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することが可能になる効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が得られる。
【0265】
また、この構成により、[製造方法効果E-h(チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた服用感):前述の「製剤効果E-h」を有すると共に、良好なチョコレート基剤とシアル酸誘導物質含有剤との均一分散性が向上した均一混合分散性に起因する優れた咀嚼感、及び、ウイルス活性抑制の粉末形状に起因する服用した時におけるガリガリ感等の不快服用感が抑制され、更に、服用時におけるシアル酸誘導物質含有剤独特の違和感のある味覚感が抑制された良好な服用感覚、等を奏するチョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られ、更に、製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の熱劣化や酸化劣化等の劣化を抑制して、良好なウイルス活性を抑制可能なシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を製造することが可能になる効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法が得られる。
【0266】
<トローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法>
上記のシアル酸誘導物質含有剤は基剤の中に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備える。
・[前記基剤が、トローチ基剤又はチュアブル基剤と、甘味剤とを含有するトローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、(A)130℃以下の温度で、トローチ基剤又はチュアブル基剤と、甘味剤と、粉末状のシアル酸誘導物質含有剤と、を混合して、前記トローチ基剤又はチュアブル基剤と前記甘味剤と前記粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された粉末状又は顆粒状のシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間混合物を調製する工程、(B)35℃以下の温度で、シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間混合物を、所定の形状に圧縮成型して、トローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有する所定形状に成形する工程、を備えてなり、人の口中に服用された時に、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、トローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法]。
【0267】
上記のシアル酸誘導物質含有剤は基剤の中に含有されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備える。
・[前記基剤が、トローチ基剤又はチュアブル基剤と、甘味剤とを含有するトローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であって、(A-1)130℃以下の温度で、トローチ基剤又はチュアブル基剤と、甘味剤と、を混合して、前記トローチ基剤又はチュアブル基剤と前記甘味剤とが均一に混合された粉末状又は顆粒状のトローチ基剤中間混合物又はチュアブル基剤中間混合物を調製する工程、(A-2)35℃以下の温度で、前記トローチ基剤中間混合物又はチュアブル基剤中間混合物と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とを混合して、前記トローチ基剤又はチュアブル基剤と前記甘味剤と前記シアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合されたシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材を調製する工程、及び、(B)35℃以下の温度で、前記シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材を所定の形状に圧縮成型して、トローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有する所定形状に成形する工程、を備えてなり、人の口中に服用された時に、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなり、トローチ製剤又はチュアブル製剤の形態を有してなる、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法]。
【0268】
この構成により、[製造方法効果K(トローチ製剤・チュアブル製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が抑制される効果):前述の「製造方法効果A(製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が生じない効果)」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が、舐めている間中、口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高め、優れたウイルス活性抑制効果を奏することが出来る。また、服用して舐めたり噛んだりすることにより唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる。更に、シアル酸誘導物質含有剤が基剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有するトローチ製剤又はチュアブル製剤の製造方法]が得られる。
なお、圧縮成型する際の圧縮圧力は、特に限定されないが、例えば、10MPa以上が好ましく、更に好ましくは約10~約30MPaが好ましく実施可能である。
【実施例0269】
以下に、本発明のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤及びシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法について、実施例を説明する。
【実施例0270】
以下の方法により、シアル酸誘導物質含有剤を調製した。
【実施例1-a】
市販の燕の巣を70℃で16時間乾燥し、粉砕し、30メッシュ(細孔サイズ600μm)の篩を通して、羽毛等の外部異物を除去し、600μm以下の大きさを有する燕の巣粉末を調製した。
この燕の巣粉末25gを、蒸留水1000mLと混合し、5℃で24時間浸漬して抽出処理し、その後、約90~100℃で30分間加熱処理して、この処理液を室温まで冷却した後、燕の巣抽出懸濁液を調製した。
この燕の巣抽出懸濁液をプロテアーゼ含有酵素(天野エンザイム(株)製商品名「パンクレアチンF」)約1gを使用して、45℃で4時間反応処理した。その後、この反応処理液を、pH6.5~pH8.5に調整して、90℃で5分間加熱処理して酵素を失活させ、その後、ろ紙(ADVANTEC filter paper no.2)で濾過し、その濾液を回収した。その回収した濾液から水分の蒸発処理を行って、濃縮物を得た。その後、その濃縮物を凍結乾燥した。このようにして、燕巣から抽出エキスを酵素処理した粉末形状の燕巣エキス酵素処理粉末を調製した。
上記の製造方法を繰り返し実施して、下記の実施例に必要な所望量の燕巣エキス酵素処理粉末を調製した。
【0271】
この燕巣エキス酵素処理粉末を乳鉢で粉砕し、下記の粒子径を有するそれぞれのシアル酸誘導物質含有剤を調製した。
(a)シアル酸誘導物質含有剤(35メッシュ篩通過、約500μm以下の粒子径)。
(b)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に50メッシュの篩を通過した約300μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤。
(c)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に50メッシュの篩にかけて篩に残った約300~500μmの粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤。
(d)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤。
(e)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に170メッシュの篩を通過した約90μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤。
【0272】
上記の調製した約150μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤は薄茶黄色を有していた。また、口に服用して舐めた時に、特有の違和感のある不快な味覚を有していた。このシアル酸誘導物質含有剤を、140℃の空気雰囲気中に1時間放置した場合、全く、外観変化は認められなかった。
しかしながら,このシアル酸誘導物質含有剤を約160℃空気雰囲気中に1時間放置した場合、外観がやや褐色に変化した。更に、180℃空気雰囲気中に1時間放置した場合、外観が濃い褐色に変化した。この褐色着色は、何らかの劣化が生じたものであると想到される。
【0273】
このようにして調製した燕巣エキス酵素処理粉末は、シアル酸誘導物質含有剤を含有し、そのシアル酸誘導物質含有剤は、化学構造式において、シアル酸(SA)とガラクトース(Gal)とが結合された化学構造であって、シアル酸の2番目の炭素とガラクトースの6番目の炭素とが結合された2,6結合構造、及び、シアル酸の2番目の炭素と、ガラクトースの3番目の炭素とが結合された2,3結合構造、を有するシアル酸誘導物質含有剤であることが、発明者らの下記の論文に記載され確認されている。
[Hirokazu Yagi,Nakao Yasukawa,Shin-Yi Yu,Chao-Tan Guo,Noriko Takahashi,Tadanobu Takahashi,Wakoto Bukawa,Takashi Suzuki,Kay-Hooi,Yasuo Suzuki,Koichi Kato:The expression of sialylated high-antennary N-glycans in edible bird’s nest.Carbhydrate Res.,313,1373-1377(2008)]。
【実施例0274】
以下の方法により、本発明のシアル酸誘導物質含有剤としての「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAcon PGA」(糖鎖導入率:5%)を製造した。合成スキームを以下に示す。
なお、図3に、「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAcon PGA」の製造方法の模式的概略図を示す。
【0275】
図3に示される化合物1(450mg、0.627mmol/東京化成工業製)と化合物2(750mg、0.987mmol/東京化成工業製)をDMF/MeOH(1/1、60ml)に溶解し、18時間攪拌した。反応終了をTLC(AcOEt/MeOH/H2O/AcOH=4/2/1/0.5)にて確認後、減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH=3/1→2/1→1/1)に供し、上記化合物3(273mg、32%)を得た。
【0276】
化合物3(260mg、0.191mmol)をMeOH(12ml)に溶解し、Et3N(0.6ml)を加え、20時間攪拌した。反応終了をTLC(AcOEt/MeOH/H2O/AcOH=4/2/1/0.5)にて確認後、減圧濃縮した。得られた残渣をゲルろ過カラムクロマトグラフィー(LH-20、MeOH)に供し、化合物4(211、mg、97%)を得た。
【0277】
化合物4(158mg、0.139mmol)とポリグルタミン酸Na(平均分子量84,600、419mg、2.77mmol(グルタミン酸Naとして))をH2O(100ml)に溶解し、THF(50ml)及びDMTMM:4-(4,6-Dimethoxy-1,3,5-triazin-2-yl)-4-methylmorpholinium Chloride(385mg、1.39mmol)を加え、2時間攪拌した。反応終了をTLC(AcOEt/MeOH/H2O/AcOH=4/2/1/0.5)にて確認後、EtOHを加えて減圧濃縮した。得られた残渣を5%NaHCO3水溶液(80ml)に溶解し、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー(G-25、MeOH)に供し、化合物5(530mg、92%)を得て、本発明の5%の糖鎖を含有するポリマー性化合物(以下、「糖鎖導入率5%のポリグルタミン酸化合物」ともいう)を得た。
同様の方法において、化合物4を0.0278mmol使用することにより本発明の1%の糖鎖を含有するポリマー性化合物を、化合物4を0.278mmol使用することにより10%の糖鎖を含有するポリマー性化合物を得た。
【0278】
上記実施例により合成した糖鎖導入率1%、5%、10%のポリグルタミン酸(ポリマー性)化合物をNMR及びキャピラリー電気泳動により確認した。糖鎖1%導入ポリグルタミン酸化合物とポリグルタミン酸のキャピラリー電気泳動結果と糖鎖1%導入ポリグルタミン酸化合物とポリグルタミン酸の1H-NMRの結果から、糖鎖導入率が1%であることを確認した。糖鎖導入率1%ポリグルタミン酸の特徴を以下に示す。
・糖鎖導入量:1分子あたり5.8個(=560Glu×5%)。
・平均分子量:116,520(=84,600+(1140×28))。
・1μgあたりの糖鎖モル数:1[μg]/116,520×5.6[Glu]=6.15×10-5[μmol]。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤としての「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAcon PGA」を合成した。
【実施例0279】
以下の方法により、シアル酸とガラクトースとの2,6結合構造を有するNeuAc-Gal結合を有するシアル酸誘導物質含有剤を製造した。
・卵黄の脱脂工程による脱脂卵黄の調製:
ガラス製ビーカーの中に容れた鶏卵の卵黄(5個)にエタノール200mLを添加し、充分に撹拌、混合した。その混合物をガラス製遠心分離容器に移して、回転数5000rpmで30分間遠心分離して、上液層と沈殿物層を得た。その上液層を除去して、沈殿物を得た。得られた沈殿物にエタノール200mLを添加し、充分に撹拌、混合した。その混合物を、上記と同じ操作により遠心分離して、上液層と沈殿物層を得た。その上液層を除去して、沈殿物を得た。この操作を5回繰り返して、沈殿物として脱脂卵黄70gを得た。
【0280】
・水抽出工程によるシアル酸誘導物質含有剤含有粗精製抽出液の調製:
得られた脱脂卵黄70gに水100mLを添加し、充分に撹拌、混合した。回転数5000rpmで30分間遠心分離して、上液層と沈殿物層とに分離し、その上液層を回収した。
他方、沈殿物に水100mLを添加し、充分に撹拌、混合した。その混合物を回転数5000rpmで30分間遠心分離して、上液層と沈殿物層とに分離し、その上液層を回収した。この上液層を回収する操作を3回繰り返して、シアル酸誘導物質含有剤含有粗精製抽出液を得た。
【0281】
・アルコール沈殿工程によるシアル酸誘導物質含有剤含有粗精製沈殿物の調製:
上記のようにして回収したそれぞれの上液層をグラス製濾過器により濾過し、その濾液を、減圧状態で水分を蒸発除去して、約50mLの濃縮した濃縮溶液を得た。
その後、得られた濃縮溶液をエタノール400mLの中に投入し、生成した沈殿物を、回転数5000rpmで30分間遠心分離し、上液層と沈殿物層とに分離し、生成した上液層を除去して、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物を水の中に投入して十分に撹拌混合し、その混合物を、再度、多量のエタノールの中に投入して、生成した沈殿物を、回転数5000rpmで30分間遠心分離し、上液層と沈殿物層とに分離し、生成した上液層を除去して、沈殿物を回収した。この操作を3回繰り返した。
これらの沈殿物を回収して、シアル酸誘導物質含有剤含有粗精製沈殿物0.7gを調製した。
【0282】
・脱塩工程によるシアル酸誘導物質含有剤含有粗精製物の調製:
多孔性シリカゲルにジメチルオクタデシルクロロシランを反応させて調製したODS樹脂20gをガラスカラムに充填し、その樹脂をメタノールで洗浄後、更に水で洗浄して、メタノール・水洗浄ODS樹脂を調製した。
上記のようにして調製したシアル酸誘導物質含有剤含有粗精製沈殿物0.7gを水5mLに溶解し、上記メタノール・水洗浄ODS樹脂に添加し、その後、更に水100mLを添加して洗浄した。このようにして、「樹脂に保持されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有粗精製物」を得た。
【0283】
・溶出工程、乾燥工程によるシアル酸誘導物質含有剤含有精製物の調製:
上記のように調製した「樹脂に保持されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有粗精製物」を、2%アセトニトリル水溶液を使用して、慣用方法により、シアル酸誘導物質含有剤をアセトニトリル水溶液中に溶出した。慣用方法により、その溶出液を凍結乾燥することにより、約50mgのシアル酸誘導物質含有剤含有精製物を得た。
得られたシアル酸誘導物質含有剤含有精製物は、HPLC(高速液体クロマトグラフィ分析)による測定(GLサイエンス社製HPLC測定装置)結果により、シアル酸誘導物質含有剤含有精製物は標品(東京化成製シアル酸誘導物質含有剤)との比較により図1(A)に示されるような、シアル酸とガラクトースとの2,6結合構造を有するNeuAc-Gal結合を有するシアル酸誘導物質含有剤を含有することを確認した。
このようにして、鶏卵の卵黄からシアル酸誘導物質含有剤を調製した。
【実施例0284】
以下の燕の巣を使用した高圧抽出方法により、本発明のシアル酸誘導物質含有剤を製造した。
市販の燕の巣を70℃で16時間乾燥し、粉砕し、30メッシュ(細孔サイズ600μm)の篩を通して、羽毛等の外部異物を除去し、600μm以下の大きさを有する燕の巣粉末を調製した。
この燕の巣粉末25gを、蒸留水1000mLと混合し、その混合物を約100MPaの圧力、約40℃の温度の高圧容器の中で、約10時間、加圧、加熱処理して、燕の巣抽出懸濁液を調製した。
この燕の巣抽出懸濁液をプロテアーゼ含有酵素(天野エンザイム(株)製商品名「パンクレアチンF」)約1gを使用して、45℃で4時間反応処理した。その後、この反応処理液を、pH6.5~pH8.5に調整して、90℃で5分間加熱処理して酵素を失活させ、その後、ろ紙(ADVANTEC filter paper no.2)で濾過し、その濾液を回収した。その回収した濾液から水分の蒸発処理を行って、濃縮物を得た。その後、その濃縮物を凍結乾燥した。このようにして、燕巣から抽出エキスを酵素処理した粉末形状の燕巣エキス酵素処理粉末を調製した。
【0285】
<チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について>
【実施例2】
シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製すると共に、調製したチューインガム製剤について、ウイルス活性抑制効果の有無の確認実験を行った。
すなわち、下記の「実施例2-1a」と「実施例2-1b」と「参考実施例2-1c」のシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤、並びに、「参考実施例2-1d」と「参考実施例2-1e」のシアル酸誘導物質含有剤を含有しないチューインガム製剤を調製するとともに、これらの製剤について、ウイルス活性抑制効果の有無の確認実験を行った。
本実施例において、シアル酸誘導物質含有剤としては、上記「実施例1-a」により調製した「(d)100メッシュの篩を通して、約150μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤粉末」又は「(e)170メッシュの篩を通して、約90μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤粉末」を使用した。
また、本実施例において使用したマルチトールは、「三菱商事ライフサイエンス株式会社製マルチトール(粉末形状)」を使用し、該マルチトール粉末を乳鉢で破砕し、その粉砕した粉末を100メッシュの篩を通して得た約150μm以下の粒子径を有するマルチトール、又は、170メッシュの篩を通して、約90μm以下の粒子径を有するマルチトールを使用した。。
【実施例0286】
以下の方法により、全量に対して5重量%のシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤の形態を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
まず、ガム基剤を調製する工程を説明する。
約100~130℃に加温された混練機の中に、ポリイソブチレン300g、酢酸ビニル樹脂250g、エステルガム50g、マイクロクリスタリンワックス200g、グリセリン脂肪酸エステル50gを、それぞれ秤量し、投入して、それぞれの成分が溶融して均一になるまで混練し、その後、タルク微粉末150gを混練機の中に投入し、更に、これらの成分が均一になるまで混練し、その後、混練機から取り出して、室温で冷却した。このようにして、ガム基剤を調製した。得られたガム基剤は、常温で、加圧により容易に変形できる程度の粘性固形を有していた。
【0287】
別途、約25℃の室温で、ビーカーの中で、水飴(約15%の水を含有する還元麦芽糖水飴:27g)と、グリセリン(3g)と、前述の「実施例1-a」で調製した所定の粒子径(150μm以下又は90μm以下)を有するシアル酸誘導物質含有剤(15g)とを混合して、シアル酸誘導物質含有剤甘味剤混合物を調製した。本実施例においては、該シアル酸誘導物質含有剤甘味剤混合物は、シアル酸誘導物質含有剤が膨潤状態で均一に混合された形態を有していた。
(A)工程:次に、約50~60℃に加温された混練機の中に、前記の調製されたガム基剤(120g)を秤量して投入し、更に、所定の粒子径(150μm以下又は90μm以下)を有するマルチトール粉末(132g)を投入して、マルチトール粉末が均一になるまで混練し、その後、甘味助剤としてのアスパルテーム(味の素株式会社製)2.5gと着色剤としてのグリーン色素(日本葉緑素株式会社製:0.5g)、等の添加補助剤と、上記調製したシアル酸誘導物質含有剤甘味剤混合物(45g)を投入して、全ての成分が均一に混合された状態になるまで混練し続けた。これらの混練時間の総計は約20分間である。その後、混練機から取り出して、約25℃の室温のフッ素樹脂製シートの上に放置した。
このようにして、ガム基剤と多価アルコールと甘味剤と添加補助剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製した。
【0288】
(B)工程:次に、上記の調製したチューインガム中間混合物のうちのチューインガム中間混合物45gを、厚さ4mmの板状に展伸し、更に、縦幅が約7mm、横幅がが7mmの長さに押し切り分割して、略直方体形状の1個当たり2gの重さのチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
このようにして、ガム基剤120gと、マルチトール粉末132gと、アスパルテーム2.5gと、グリー色素0.5gと、水飴(約15%の水を含有する還元麦芽糖水飴)27gと、グリセリン3gと、シアル酸誘導物質含有剤15gとを含有してなるチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。なお、アスパルテームやグリー色素は添加補助剤である。
すなわち、このようにして調製したチューインガム製剤は、製剤全体に対して5重量%のシアル酸誘導物質含有剤を含有する。
【0289】
このようにして調製したシアル酸誘導物質含有剤を含有するチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、口に服用して咀嚼した時に、通常のチューインガム菓子と同じような違和感のない良好な咀嚼感と、マルチトールと水飴に特有の良好な甘味を有していた。また、咀嚼した時に、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールとの双方の粉末形状に起因するガリガリ感が抑制されて、滑らかな咀嚼感が得られた。
また、このシアル酸誘導物質含有剤を含有するチューインガム製剤を咀嚼した時に、シアル酸誘導物質含有剤に起因する独特の味覚が僅かに感じられた。すなわち、咀嚼した時に、チューインガム製剤の中に含有されたシアル酸誘導物質含有剤が、唾液と一緒に口内に放出されて、口内の粘膜に長時間付着されていることを確認した。
また、別途の実験において、約20~30℃、40~90%RH、の雰囲気中に30日間保管放置しても、外観の変化は全く認められなかった。
【実施例0290】
上記実施例2-1aと類似の方法により、全量に対して10重量%のシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤の形態を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
実施例2-1bは実施例2-1aと比べてシアル酸誘導物質含有剤の含有割合が異なり、実施例2bは全量に対して10重量%のシアル酸誘導物質含有剤を含有し、上記実施例2aは全量に対して5重量%のシアル酸誘導物質含有剤を含有する。
すなわち、前述の「実施例2-1a」に記載の製造方法の(A)工程において、
シアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤15gに替えて、シアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤30gを含有する基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製した。その他の工程は、前述の「実施例2-1a」に記載の製造方法と同じ方法により製造した。
【0291】
このようにして調製したシアル酸誘導物質含有剤を含有するチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、口に服用して咀嚼した時に、通常のチューインガム菓子と同じような違和感のない良好な咀嚼感と、マルチトールと水飴に特有の良好な甘味を有していた。また、咀嚼した時に、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールとの双方の粉末形状に起因するガリガリ感が抑制されて、滑らかな咀嚼感が得られた。
また、このシアル酸誘導物質含有剤を含有するチューインガム製剤を咀嚼した時に、シアル酸誘導物質含有剤に起因する独特の味覚が僅かに感じられた。上記「実施例2-1b」のチューインガム製剤と比べて、シアル酸誘導物質含有剤に起因する独特の味覚が強く感じられた。すなわち、咀嚼した時に、チューインガム製剤の中に含有されたシアル酸誘導物質含有剤が唾液と一緒に口内に放出されて、口内の粘膜に長時間付着されていることを確認した。
また、別途の実験において、約20~30℃、40~90%RH、の雰囲気中に30日間保管放置しても、外観の変化は全く認められなかった。
【0292】
[参考実施例2-1c]
以下の方法により、ガム基剤とシアル酸誘導物質含有剤5重量%のみを含有し、甘味剤とグリセリン、添加補助剤、等を含有しないチューインガム製剤を調製した。
前述の実施例2-1aと同じ方法により、ガム基剤を調製した。得られたガム基剤は、常温で、加圧により容易に変形できる程度の粘性固形を有していた。
次に、約50~60℃に加温された混練機の中に、前記の調製されたガム基剤190gを秤量して投入し、更に、前述の「実施例1-a」で調製したシアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤10gを混合して、全ての成分が均一に混合された状態になるまで混練し続けた。これらの混練時間の総計は約20分間である。その後、混練機から取り出して、約25℃の室温のフッ素樹脂製シートの上に放置した。このようにして、ガム基剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製した。
次に、上記の調製したチューインガム中間混合物のうちのチューインガム中間混合物45gを、厚さ4mmの板状に展伸し、更に、縦幅が約7mm、横幅が約7mmの長さに押し切り分割して、略直方体形状の1個当たり2gの重さのチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0293】
得られたシアル酸誘導物質含有剤を含有するチューインガム製剤を口内に服用して咀嚼した時に、シアル酸誘導物質含有剤に起因する独特の味覚が感じられた。また、得られたチューインガム製剤は、口内に服用した時、実施例1-aおいて得られたチューインガム製剤と比べて、やや硬い咀嚼感を有し、甘味を全く有することはなく、チューインガム菓子としての服用感に劣る傾向にあった。
【0294】
[参考実施例2-1d]
以下の方法により、ガム基剤のみを含有し、シアル酸誘導物質含有剤、甘味剤、グリセリン、添加補助剤等を含有しないチューインガム製剤を調製した。
上記実施例2aと類似の方法により、ガム基剤を調製した。得られたガム基剤は、常温で、加圧により容易に変形できる程度の粘性固形を有していた。
このガム基剤を厚さ4mmの板状に展伸し、更に、縦幅が約7mm、横幅が約7mmの長さに押し切り分割して、略直方体形状の1個当たり2gの重さのチューインガム製剤を調製した。
【0295】
得られたガム基剤のみを含有するチューインガム製剤を口内に服用して咀嚼した時に、甘味が無く、菓子としての味覚は全く感じられなかった。
【0296】
[参考実施例2-1e]
以下の方法により、ガム基剤と甘味剤とグリセリンと添加補助剤を含有し、シアル酸誘導物質含有剤を含有しないチューインガム製剤を調製した。
上記実施例2-1aの(A)工程において、シアル酸誘導物質含有剤を添加混合しないチューインガム中間混合物を調製した。このチューインガム製剤を厚さ4mmの板状に展伸し、更に、縦幅が約7mm、横幅が約7mmの長さに押し切り分割して、略直方体形状の1個当たり2gの重さのチューインガム製剤を調製した。
【0297】
得られたシアル酸誘導物質含有剤を含有しなく各身剤を含有するチューインガム製剤を口内に服用して咀嚼した時に、良好な通常のチューインガム菓子と同じような違和感のない良好な咀嚼感と良好な甘味を有していた。また、上記の「実施例2-1a」と「実施例2-1b」と比べて、シアル酸誘導物質含有剤に特有の味覚を全く感じなかった。
【実施例0298】
以下の方法により、上記の「実施例2-1a」~「参考実施例2-1e」により調製した「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」、「シアル酸誘導物質含有剤を含有しないチューインガム製剤」、及び、「シアル酸誘導物質含有剤のみ」、等について、インフルエンザウイルスに対するウイルス活性抑制効果の有無について測定実験した。
【0299】
[実施例2-2-実験2a:シアル酸誘導物質含有剤を含有するチューインガム製剤、又は、シアル酸誘導物質含有剤を含有しないチューインガム製剤、又は、シアル酸誘導物質含有剤の水溶液、等の水抽出試料の調製]
シアル酸誘導物質含有剤は、水に溶解し、ヘキサンには溶解しない性質を有する。一方、ガム基剤は、水に溶解しなく、ヘキサンには溶解する性質を有する。なお、水とヘキサンは互いに混ざり合わなく、分離する性質を有する。
この性質を利用して、以下の方法により、「実施例2-1a」~「参考実施例2-1e」により調製したそれぞれのチューインガム製剤について、水とヘキサンとの液体を使用して、チューインガム製剤の中に含有されるシアル酸誘導物質含有剤を水に溶解させて、「試料21」~「試料28」の水により抽出してなる水抽出試料を調製した。
なお、チューインガム製剤は、製造してから、約25℃の室温で30日~50日放置したチューインガム製剤を使用した。
【0300】
それぞれの正確に秤量した所定量のチューインガム製剤を約1mm直方形に裁断してチューインガム製剤裁断片を作成し、そのチューインガム製剤裁断片を、水とヘキサンとを投入した分液ロートの中に投入し、このチューインガム製剤裁断片と水とヘキサンとを含む分液ロートを上下左右に強く振とうし、その後、静置することにより、水相とヘキサン層との2層に分離した状態を確認してから、水層物をビーカーに取り出す。
次に、ヘキサン層物を分液ロートに入れ、更に水を入れて、分液ロートを上下左右に強く振とうし、その後、静置することにより、水相とヘキサン層との2層に分離してから、水層物をビーカーに取り出す。この動作を3回繰り返して、水層物を取り出した。
その後、合計の水層物を濾過し、ロ液を取り出して、このロ液を、シアル酸誘導物質含有剤を含有する水抽出試料として調製した。
但し、チューインガム製剤に含有された全てのシアル酸誘導物質含有剤が水に溶解されて水層に抽出されてなることを前提として、シアル酸誘導物質含有剤含有水抽出試料のシアル酸誘導物質含有剤の含有量が所望の含有量になるように、使用するチューインガム製剤の重量と、使用する水の総量を正確に秤量して使用した。
【0301】
このようにして、それぞれのチューインガム製剤について、下記の水抽出試料を調製した。
・試料21:「実施例2-1a」のチューインガム製剤について、水1mL当たり10mgのシアル酸誘導物質含有剤を含有する水抽出試料を調製した(水中のシアル酸誘導物質含有剤濃度:10mg/mL)。
・試料22:「実施例2-1b」のチューインガム製剤について、水1mL当たり20mgのシアル酸誘導物質含有剤を含有する水抽出試料を調製した(水中のシアル酸誘導物質含有剤濃度:20mg/mL)。
・試料27:「参考実施例2-1c」のチューインガム製剤について、水1mL当たり10mgのシアル酸誘導物質含有剤を含有する水抽出試料を調製した(水中のシアル酸誘導物質含有剤濃度:10mg/mL)。
・試料23「参考実施例2-1d」のシアル酸誘導物質含有剤と甘味剤を含有しなく、ガム製剤のみから調製したガム基剤製剤について、水抽出試料を調製した(水中のシアル酸誘導物質含有剤の含有なし、0mg/mL)。
・試料26「参考実施例2-1e」のチューインガム製剤について、シアル酸誘導物質含有剤を含有しない水抽出試料を調製した(シアル酸誘導物質含有剤の含有なし、水中の0mg/mL)。
以上のようにして調製した水抽出試料に関して、チューインガム製剤の含有成分の有無、水抽出試料中のシアル酸誘導物質含有剤濃度、等を表1に示した。
【0302】
参考試料として、チューインガム製剤の形態を有することなく、下記のシアル酸誘導物質含有剤のみを含有する試料24、試料25、試料28を調製した。
・試料24:所定量の水の中に、所定量のシアル酸誘導物質含有剤を溶解して、シアル酸誘導物質含有剤水溶液を調製した(シアル酸誘導物質含有剤濃度:約5mg/mL、約0.5%水溶液)。
・試料25:上記「試料24」の所定量のシアル酸誘導物質含有剤粉末を使用して、水とヘキサン混合溶液により抽出実験を行って、シアル酸誘導物質含有剤水溶液を調製した(シアル酸誘導物質含有剤濃度:5mg/mL、0.5%水溶液)。
・試料28:所定量の水の中に、所定量のシアル酸誘導物質含有剤を溶解して、シアル酸誘導物質含有剤水溶液を調製した(シアル酸誘導物質含有剤濃度:約250mg/mL、約25%水溶液)。
【0303】
以上のようにして調製したシアル酸誘導物質含有剤含有水溶液、及び、水抽出試料に関して、水溶液、又は、水抽出試料中のシアル酸誘導物質含有剤濃度、等を表1に示した。
【0304】
【表1】
【0305】
[実施例2-2-実験2b:インフルエンザウイルス活性抑制の効果の確認実験]
上記調製したチューインガム製剤の水抽出試料、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有水溶液、等の「試料21」~「試料28」について、「鳥A型インフルエンザウイルス(A/mallard/Hokkaido/24/09(H5N1))」に対するインフルエンザウイルス活性抑制の効果の有無について測定実験した。
【0306】
インフルエンザウイルス活性抑制の効果の有無に関する測定実験は、公知論文「Sriwilaijaroen N,Suzuki K,Takashita E,Hiramitsu H,Kanie O,Suzuki Y,J Antimicrob Chemother.2015;70(10):2797-2809」及び「Sriwilaijaroen N,Nakakita SI,Kondo S,Yagi H,Kato K,Murata T,Hiramatsu H,Kawahara T,Watanabe Y,Kanai Y,Ono T,Hirabayashi J,Suzuki Y.FEBSJ.2018;285(9):1611-1634」に記載されている測定方法に準じて、下記のように、インフルエンザウイルス活性抑制の効果の有無について測定実験した。
【0307】
平底の96穴プラスチックプレートにMDCK ATCC細胞を単層溶媒し、細胞数を計測する。
上記の「実験2a」で調製したそれぞれの試料を分取し、それぞれの試料からPBSで種々の濃度に段階希釈した測定用の「試料21」~「試料28」のそれぞれを調製した。
調製したそれぞれの試料を、ウイルス(0.06PFU/細胞)と混合し、4μg/mLのアセチル化トリプシンの存在下で、4℃で1.5時間放置した。この混合液を、既に培養した血清無添加のMDCK ATCC細胞(単層培養細胞)に加え、炭酸ガスインキュベータ中で23時間培養後、メタノールを加え、1分間固定化した。この過程で、ウイルス膜に抗体が侵入できる穴を開く。次いでインフルエンザウイルスヌクレオプロテインに対する1次抗体(抗ヌクレオプロテインマウスlgG、4E6、A型インフルエンザウイルスの全てに反応する抗体)を加えて、更に、1次抗体に対する抗体(βガラクトシダーゼ酵素標識マウスlgG2次抗体、Calbiochem,San Diego,Ca,USA)を加え、37℃、45分間反応後、βガラクトシダーゼの蛍光基質である4-メチルウンベリフェリルβ-D-ガラトシド(MU-Gal、Wako,Osaka)を加えた。酵素により遊離したMUの蛍光はウイルス量に比例して強くなるために、蛍光(excitation:355nm;emission:460nm)強度を測定することにより、それぞれの試料についてのインフルエンザウイルス抗原量を測定した。
【0308】
調製したそれぞれの試料の内容を前述の表1に示した。また、それぞれの試料について、希釈したシアル酸誘導物質含有剤含有量(μg/mL)に対応する測定した残存するウイルス量の測定結果を、図5に示した。
図5は、「鳥A型インフルエンザウイルス(A/mallard/Hokkaido/24/09(H5N1)」に対するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤中のシアル酸誘導物質含有剤含有量と残存ウイルス量との関係を示す実施例におけるグラフである。
なお、図5において、シアル酸誘導物質含有剤含有量は、試料1mL中におけるシアル酸誘導物質含有剤含有量であって、「μg/mL」で示され、それぞれの濃度におけるウイルス量は上記「実験3b」において説明した「(excitation:355nm;emission:460nm)における蛍光強度」を測定して評価した。
【0309】
[実施例2-2-実験2c:インフルエンザウイルス活性抑制の効果の可視化実験]
更に、上記調製したチューインガム製剤の水抽出試料、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有水溶液について、「鳥A型インフルエンザウイルス(A/mallard/Hokkaido/24/09(H5N1))に対するインフルエンザウイルス活性抑制の効果の有無に関する可視化した実験を行った。
ウイルス感染細胞におけるウイルス抗原の発現を可視化する為に、前述の公知論文「J Antimicrob Chemother.2015;70(10):2797-2809」及び「FEBSJ.2018;285(9):1611-1634」に記載されている実験方法に準じて実験した。
【0310】
すなわち、下記の方法で可視化し、発色をスキャンし、記録することで、感染抑制を確認した。
A型インフルエンザウイルス感染細胞には、感染一定時間後に、全てのインフルエンザウイルスに共通で、重要な抗原であるヌクレオプロテインが現れる。そこで、A型インフルエンザウイルスヌクレオプロテインに対する抗体「西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗マウスlgG抗体」を感染細胞に加え、HRPの基質であるH202、N,Ndiethyl-p-phenylenediamine dihydrochloride 及び 4-chloro 1-naphthol含有試薬により、青色を発色させた。青色は、ウイルス量に比例して濃くなるために、これにより、感染細胞中のウイルス量を確認した。この方法による結果は、発色したプレートをスキャクすることで記録した。実験結果を図6に示した。
図6は、インフルエンザウイルスに対するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤中のシアル酸誘導物質含有剤含有量と残存ウイルス量との関係を示す実施例における可視化した簡略写真である。
【0311】
[実施例2-2-まとめ:シアル酸誘導物質含有剤含有チューインガム製剤のウイルス活性抑制効果に関する実験結果のまとめ]
上記の図5及び図6の実験結果から以下の知見を確認した。
・知見a:シアル酸誘導物質含有剤とガム基剤と甘味剤と多価アルコールとを含有してなるチューインガム製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、ウイルス活性を抑制する効果を有する。(試料21、試料22)。
・知見b:シアル酸誘導物質含有剤を含有しなく、ガム基剤と甘味剤と多価アルコールとを含有してなるチューインガム製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、ウイルス活性を抑制する効果を有しない。(試料26)。
・知見c:シアル酸誘導物質含有剤とガム基剤のみを含有してなり、甘味剤と多価アルコールを含有しないチューインガム製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、ウイルス活性を抑制する効果を有する。(試料27)。
・知見d:ガム基剤のみからなり、シアル酸誘導物質含有剤と甘味剤と多価アルコールを含有しない調製したチューインが製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、ウイルス活性を抑制する効果を有しない。(試料23)。
・知見e:シアル酸誘導物質含有剤のみは、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、ウイルス活性を抑制する効果を有する。(試料24、試料28)。
・知見f:シアル酸誘導物質含有剤のみを、水・ヘキサンにより抽出した試料は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、ウイルス活性を抑制する効果を有する。(試料25)。
【0312】
・知見g:「シアル酸誘導物質含有剤を含有しなく、ガム基剤と甘味剤と多価アルコールとを含有してなるチューインガム製剤(試料26)」、及び、「シアル酸誘導物質含有剤を含有しなく、ガム基剤のみを含有してなるチューインガム製剤(試料23)は、ウイルス活性を抑制する効果を有しない」の結果から、「ガム基剤、甘味剤、及び/又は、多価アルコールは、ウイルス活性を抑制する効果を有しない。
すなわち、チューインガム製剤に含有されるシアル酸誘導物質含有剤以外の他の含有成分は、インフルエンザウイルスに対するウイルス活性抑制効果を有しない。
・知見h:少なくとも、ガム基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤(試料21、試料22、試料27)は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、ウイルス活性を抑制する効果を有する。
すなわち、甘味剤と多価アルコールの含有の有無に関係なく、シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、ウイルス活性を抑制する効果を有する。
・知見i:シアル酸誘導物質含有剤のみ(試料24、試料25、試料28)は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、ウイルス活性を抑制する効果を有する。
・知見j:ガム基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤(試料21、試料22、試料27)のウイルス活性抑制効果を奏するシアル酸誘導物質含有剤の含有濃度は、シアル酸誘導物質含有剤のみ(試料24、試料25、試料28)のウイルス活性抑制効果を奏するシアル酸誘導物質含有剤の含有濃度と比べて、概略、同じ濃度であり、いずれも、約1~約10μg/mL以上である。
すなわち、ガム基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤は、シアル酸誘導物質含有剤のみと比べて、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、同じ程度のウイルス活性を抑制する効果を有する。
【0313】
すなわち、上記の「実施例2-2:ウイルス活性抑制効果の有無確認実験」により、シアル酸誘導物質含有剤とガム基剤と甘味剤と多価アルコールを含有してなるチューインガム製剤(「試料21」と「試料22」)が水により抽出されて、水に溶解してなるシアル酸誘導物質含有剤は優れたウイルス活性を抑制する効果を有することを確認した。
一方、前述のように、シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤が口内に服用されて咀嚼された時、チューインガム製剤に含まれるシアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解されて口内に放出されて口内の粘膜に付着されることも確認した。
【0314】
これらの実験結果と測定結果から、前述の「製剤効果A:(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)容易に簡便に使用可能であるとともに、長時間のウイルス活性抑制効果が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」が得られることを確認した。
【0315】
更に、前述の[製剤効果B:(菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果):前述の「製剤効果A」を奏すると共に、「菓子と類似の感覚で人の口内に服用することにより、口内に長時間滞留可能であり、口内粘膜に長時間付着可能であって、長時間のウイルス活性を抑制する効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。また、甘味剤の含有により甘味を有することによりシアル酸誘導物質含有剤に特有の味覚が抑制されると共に、菓子と類似の甘味を有する感覚で容易に人の口内に服用することが可能であり、口内に服用された時に、シアル酸誘導物質含有剤が唾液と共に口内に放出され、その放出されたシアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留すると共に口内粘膜を覆って付着し、長時間のウイルス活性を抑制する効果]を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤を口内に服用した時、シアル酸誘導物質含有剤が唾液と共に口内に放出され、その放出されたシアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留すると共に口内の粘膜を覆って付着可能であり、ウイルスが口内に入ってきた場合に、ウイルスは口内に滞留及び/又は口内粘膜に付着したシアル酸誘導物質含有剤と結合して捕捉され、その結果、ウイルスは口内の粘膜の細胞に結合できなくなり、これにより、ウイルスの感染が抑制される効果が期待できる」の効果が期待できることを確認した。
【0316】
更に、前述の[製剤効果B-a(甘味剤・所望甘味が得られる効果):前述の「製剤効果A」及び「製剤効果B」を有すると共に含有される甘味剤に起因する所望の甘味を奏する効果を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。更に、シアル酸誘導物質含有剤の特有の味覚感に起因する好ましくない味覚感を抑制して、甘味を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる]の効果が期待できることを確認した。
【0317】
更に、前述の[製剤効果C(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」及び「製剤効果B-a」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤を口内に服用して咀嚼することにより、シアル酸誘導物質含有剤が唾液と一緒に口内に放出され、口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来る。また、咀嚼により唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる]の効果が期待できることを確認した。
【0318】
また、「調製されたシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤を別途の実験において、約20~30℃、40~90%RH、の雰囲気中に30日間保管放置しても、外観の変化は全く認められなかった」の実験結果から、「ガム基剤としてポリイソブチレン等の疎水性を有する合成ゴム基剤を有する構成であることに起因して、シアル酸誘導物質含有剤がポリイソブチレン等の疎水性を有する合成ゴム基剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有する、ウイルス活性を抑制可能なチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]の効果が得られることを確認した。
【実施例0319】
前述の「実施例2-2」において調製した「試料28(水にシアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤粉末を溶解してなる25重量%シアル酸誘導物質含有剤水溶液:250mg/mL)」について、表2に示す4種類のヒトインフルエンザウイルス株に対するウイルス活性抑制効果の有無について、測定実験した。
前述の[実施例2-2-実験2b]と類似の測定方法により、4種類のヒトインフルエンザウイルス(株)に対する活性抑制の効果の有無について、前述の公知論文「Sriwilaijaroen N,Suzuki K,Takashita E,Hiramitsu H,Kanie O,Suzuki Y,J Antimicrob Chemother.2015;70(10):2797-2809」及び「Sriwilaijaroen N,Nakakita SI,Kondo S,Yagi H,Kato K,Murata T,Hiramatsu H,Kawahara T,Watanabe Y,Kanai Y,Ono T,Hirabayashi J,Suzuki Y.FEBSJ.2018;285(9):1611-1634」に記載されている測定方法に準じて、測定実験した。
種々のヒトインフルエンザウイルス株に対する活性抑制の効果の有無について測定実験を図7に示した。また、それぞれのヒトインフルエンザウイルス株について、ウイルスに対して50%の感染を抑制する濃度(50%感染抑制濃度)を算出した値を表2に示した。
【0320】
【表2】
【0321】
図7の実験結果を示すグラフから、「試料28-a」~「試料28-d」のいずれの「ヒトインフルエンザウイルス株」に対しても、「実施例2-2」において調製した「試料28(水にシアル酸誘導物質含有剤を含有するシアル酸誘導物質含有剤粉末を溶解してなる25重量%シアル酸誘導物質含有剤水溶液)」は、約2~5μg/mL以上のシアル酸誘導物質含有剤の含有濃度においてウイルス活性を抑制する効果を奏することを確認した。
また、これらの実験結果から、ヒトインフルエンザウイルスに対する50%感染抑制濃度が、約5~18mg/mLであることを確認した。
すなわち、チューインガムを噛むときの唾液量が10mLであると仮定した場合、上記の約10倍濃度の約50~180mgのシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤が好ましく、優れたウイルス活性抑制効果が期待できることを確認した。
【0322】
すなわち、本発明のシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、前述の「実施例2」の「鳥インフルエンザウイルス」の実験結果の「知見a」~「知見j」から総合的に判断して、「実施例2」の「鳥インフルエンザウイルス」と同じく、「ヒトインフルエンザウイルス」に対しても優れたウイルス活性を抑制する効果を奏することが期待できる。
【実施例0323】
以下の方法により、上記の「実施例2-1a」~「参考実施例2-1e」により調製したシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤、シアル酸誘導物質含有剤を含有しないチューインガム製剤、及び、「シアル酸誘導物質含有剤のみ」の製剤、等の「試料21」~「試料28」について、鳥インフルエンザウイルスに対する赤血球凝集防止活性の有無について以下の方法により測定実験した。
【0324】
96穴プラスチックプレートの各ウエルに50μLのPBS(pH7.2)を加える。最初のウエルに50μLの試料を加え、2倍に希釈していく。この操作を3列目、4列目と順次同様に行って、2倍希釈列を作製した。
次いで、4HA(赤血球凝集ユニット)のインフルエンザウイルス(A/mallard/Hokkaido/24/2009(H5N1))を各ウエルに50μL加え、振とう後、4℃で60分間静置した。次いで、各ウエルに、0.5(V/V)のモルモット赤血球(0.5% guineapig erythrocytes)を100μL加え、振とう後、4℃で60分間静置してから、各ウエルの底部への赤血球の沈降状態(赤血球の凝集像)を観察した。
この観察結果を図8に示した。
図8において、各ウエルの底部への赤血球の沈降状態が多くなるに従って赤色が強くなり、ウイルスによる凝集を防止する作用が大きいことを示す。
この赤血球の沈降状態が起こすことができた最低濃度を赤血球凝集阻害防止活性とした。その結果を、表3に示した。
【0325】
【表3】
【0326】
上記の図8及び表3の実験測定結果から以下の知見を確認した。
・知見a-2:シアル酸誘導物質含有剤とガム基剤と甘味剤と多価アルコールとを含有してなるチューインガム製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有する。(試料21、試料22)。
・知見b-2:シアル酸誘導物質含有剤を含有しなく、ガム基剤と甘味剤と多価アルコールとを含有してなるチューインガム製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有しない。(試料26)。
・知見c-2:シアル酸誘導物質含有剤とガム基剤のみを含有してなり、甘味剤と多価アルコールを含有しないチューインガム製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有する。(試料27)。
・知見d-2:ガム基剤のみからなり、シアル酸誘導物質含有剤と甘味剤と多価アルコールを含有しない調製したチューインが製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有しない。(試料23)。
・知見e-2:シアル酸誘導物質含有剤のみは、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有する。(試料24、試料28)。
・知見f-2:シアル酸誘導物質含有剤のみを、水・ヘキサンにより抽出した試料は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有する。(試料25)。
【0327】
・知見g:「シアル酸誘導物質含有剤を含有しなく、ガム基剤と甘味剤と多価アルコールとを含有してなるチューインガム製剤(試料26)」、及び、「シアル酸誘導物質含有剤を含有しなく、ガム基剤のみを含有してなるチューインガム製剤(試料23)は、ウイルス活性を抑制する効果を有しない」の結果から、「ガム基剤、甘味剤、及び/又は、多価アルコールは、赤血球凝集阻止活性を有しない。
すなわち、チューインガム製剤に含有されるシアル酸誘導物質含有剤以外の他の含有成分は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有しない。
・知見h:少なくとも、ガム基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤(試料21、試料22、試料27)は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有する。
すなわち、甘味剤と多価アルコールの含有の有無に関係なく、シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有する。
・知見i:シアル酸誘導物質含有剤のみ(試料24、試料25、試料28)は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有する。
・知見j:ガム基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤(試料21、試料22、試料27)の赤血球凝集阻止活性を奏するシアル酸誘導物質含有剤の含有濃度は約約0.31μg/mL以上であり、シアル酸誘導物質含有剤のみ(試料24、試料25、試料28)の赤血球凝集阻止活性を奏するシアル酸誘導物質含有剤の含有濃度は約0.15μg/mL以上であり、いずれも、赤血球凝集阻止活性を有し、また、これらに大きな差は認められなかった。
すなわち、ガム基剤とシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤は、シアル酸誘導物質含有剤のみと比べて、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、同じ程度の赤血球凝集阻止活性を有する。
【0328】
すなわち、上記の「赤血球凝集阻止活性の効果の有無確認実験」により、シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有し、そして、甘味剤や多価アルコールの含有の有無に関係なく、シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤は、鳥A型インフルエンザウイルスに対して、赤血球凝集阻止活性を有することを確認した。
【0329】
これらの実験結果と測定結果から、前述の[製剤効果A:(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)]、[製剤効果B:(菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果)]、及び、[製剤効果C(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果)]の効果が期待できることを確認した。
【実施例0330】
以下の方法により、上記の「試料28」により調製した「シアル酸誘導物質含有剤のみ」の試料について、上記「実施例2-4a」と同じ実験方法によりヒトインフルエンザウイルスに対する赤血球凝集防止活性の有無について測定実験した。
この観察結果を図9に示した。
図9において、各ウエルの底部への赤血球の沈降状態が多くなるに従って赤色が強くなり、ウイルスによる凝集を防止する作用が大きいことを示す。
図9において、各ウエルの底部への赤血球の沈降状態により、ウイルスによる凝集の防止が起こすことができた最低濃度を赤血球凝集阻害防止活性とした。その結果を、表4に示した。
【0331】
【表4】
【0332】
上記の図9及び表4の実験測定結果から以下の知見を確認した。
・シアル酸誘導物質含有剤は「ヒトインフルエンザウイルス」に対して、赤血球凝集阻害防止活性効果を有する。
・充分な赤血球凝集阻害防止活性効果を発揮するシアル酸誘導物質含有剤の含有濃度は、約1250~約62500(μg/mL)であり、前述の「鳥インフルエンザウイルス」に対する赤血球凝集阻害防止活性効果と比べて、高い濃度を必要とする。
【0333】
すなわち、上記の「赤血球凝集阻止活性の効果の有無確認実験」により、シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤は、「ヒトインフルエンザウイルス」に対しても、赤血球凝集阻止活性を有し、そして、甘味剤や多価アルコールの含有の有無に関係なく、シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤は、「ヒトインフルエンザウイルス」に対しても、赤血球凝集阻止活性を有することを確認した。
【0334】
これらの実験結果と測定結果から、前述の[製剤効果A:(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)]、[製剤効果B:(菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果)]、及び、[製剤効果C(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果)]の効果が期待できることを確認した。
【実施例0335】
以下の方法により、上記の「実施例2-1a」により調製した「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」、及び「参考実施例2-1g」の「シアル酸誘導物質含有剤のみ」の試料について、細胞毒性の有無について、以下の方法により、測定実験した。
(株)同人科学研究所製の「生細胞数測定キット・cytokit-8」を使用してそのキットに添付されたプロトコルに従って細胞毒性の有無について測定実験した。
測定方法の詳細は、「細胞増殖/細胞毒性アッセイキット:Cell Counting Kit-8CK04(Dojindo)」、及び、インターネットの公開情報「https://www.dojindo.co.jp/products/CK04/」に開示されている。
すなわち、試料の異なるEagle MEM希釈液を調製し、その一定量をMDCK細胞に加え、24時間、37℃で培養後、希釈液を除去し、cytokit-8反応液を加え、1時間後呈色反応後、オレンジ色を450nmで測定した。
【0336】
その結果、「実施例2-1a」により調製した「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」、及び、「シアル酸誘導物質含有剤のみ」のいずれの試料についても、細胞毒性を有しないことを確認した。
「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」の細胞毒性は、分画抽出画分で最終濃度が5mg/mLまで認められないことを確認した。
また、「シアル酸誘導物質含有剤のみ」の細胞毒性は、分画抽出画分で最終濃度が63mg/mLまで認められないことを確認した。
【0337】
以上の結果から、チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤及びシアル酸誘導物質含有剤の双方は、鳥インフルエンザウイルス及びヒトインフルエンザウイルスに対するウイルス活性抑制効果を有することを確認した。そして、鳥インフルエンザウイルスに対するウイルス活性抑制効果がヒトインフルエンザウイルスに対するウイルス活性抑制効果よりも高いことが明らかになった。
チューインガム製剤に含まれるシアル酸誘導物質含有剤の含有量が約200mg/mL唾液以上になるように調製されたシアル酸誘導物質剤含有チューインガム製剤が優れたヒトインフルエンザウイルス活性抑制効果を奏することが期待できる。
なお、鳥インフルエンザウイルスに対しては、ヒトインフルエンザウイルスに対する場合と比べて、チューインガム製剤に含まれるシアル酸誘導物質含有剤の含有量が更に少ない含有量のチューインガム製剤が優れた鳥インフルエンザウイルス活性抑制効果を奏することが期待できる。
【実施例0338】
前述の[実施例1-a]により調製した「シアル酸誘導物質含有剤(燕巣エキス酵素処理粉末)」について、「コロナウイルス」に対するウイルス活性抑制の効果の有無について下記の実験を行った。
【0339】
(a)コロナウイルス活性抑制効果の評価.
下記の材料を用いてコロナウイルスに対する感染抑制効果の評価を行った。
・被験物質「実施例1-aにより調製した「シアル酸誘導物質含有剤(燕巣エキス酵素処理粉末)」:1.25mg/mL、2.5mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、20mg/mL、40mg/mL、の各濃度のシアル酸誘導物質含有剤。
・コロナウイルス:SARS-CoV-2(Wk-521株)(入手先:国立感染症研究所)。
・細胞: VeroE6/TMPRSS2細胞(SARS-CoV-2の宿主細胞内への膜融合による侵入に必要なセリンプロテアーゼTMPRSS2発現アフリカミドリザル腎由来VeroE6細胞)(入手先:国立感染症研究所)。
・細胞増殖培地: ダルベッコ改変イーグル培地(Life Technologies社製)、10%牛胎児血清(Cell Culture Bioscience社製)、10units/mL ペニシリン、10mg/mLストレプトマイシン、10mM HEPES(pH 7.4)、1mg/mL G418(ナカライテスク社製)。
・ウイルス維持培地: ダルベッコ改変イーグル培地(Life Technologies社製)、2%牛胎児血清(Cell Culture Bioscience社製)、10UNITS/mL ペニシリン、10mg/mL ストレプトマイシン、10mM HEPES(pH7.4)
・RNA精製キット:QIAamp Viral RNA mini kit(QIAGEN社製)。
・リアルタイムRT-PCR解析試薬:THUNDERBIRD PROBE ONE STEP qRT-PCR kit(東洋紡社製)。
・フォワードプライマー:5‘-ACAGGTACGTTAATAGTTAATAGCGT-3’。
・リバースプライマー:5‘-ATATTGCAGCAGTACGCACACA-3’。
・プローブ:5‘-FAM-ACACTAGCCATCCTTACTGCGCTTCG-TAMRA-3’。
・細胞毒性評価試薬:細胞増殖キットII-XTT(Merck社製)。
【0340】
(b)ウイルス活性抑制効果の評価方法.
下記の方法により、ウイルス活性抑制効果の有無を評価した。
・各濃度に調整した被験物質(シアル酸誘導物質含有剤)を含む、又は含まないウイルス液(細胞1000個に対してウイルス1個を感染させる量:multiplicity of infection=0.001)を調製した。これらのそれぞれのウイルス液を、VeroE6/TMPRSS2細胞の培養液に加え、37℃で1時間、炭酸ガスインキュベータ中で保温後、ウイルス及び被験物質を含む培養液を除去してウイルス維持培地で細胞表面を洗い、各濃度に調整した被験物質を含む、又は含まないウイルス維持培地を処理した。細胞を37℃で培養して24時間後の培養上清を採取し、RNA精製キットに従ってウイルスRNAを精製した。
この精製サンプルおよび上記のプライマー、プローブを用いて、qRT-PCRキットに従って、「定量的逆転写PCR」を行った。これにより、培養上清中の「ウイルスRNA量」を定量し、ウイルス感染抑制効果の有無を評価した。
細胞生存率は細胞増殖キットII-XTTを用いて、細胞毒性評価試薬の反応により生成されるホルマザン色素の量を比色分析することで評価した。
また、被験物質未処理での培養上清中の「ウイルスRNA量・細胞生存率」を定量した。
【0341】
実験結果を図10に示した。図10において、それぞれの「シアル酸誘導物質剤の含有濃度」に対する「ウイルスRNA量・細胞生存率」を「●」印で示した。
また、被験物質未処理での培養上清中の「ウイルスRNA量・細胞生存率」を「▲」印で示した。
【0342】
図10において、「シアル酸誘導物質含有剤」の含有濃度が多くなるに従って、ウイルスRNA量が少なる傾向があることが確認された。
シアル酸誘導物質含有濃度が40mg/mLの場合に、被験物質未処理での培養上清中の「ウイルスRNA量」を100%としたとき、ウイルスRNA量が2.6%まで低下した。
すなわち、前述の[実施例1-a]により調製した「シアル酸誘導物質含有剤(燕巣エキス酵素処理粉末)」は、コロナウイルス(SARS-CoV-2・Wk-521株)に対して、ウイルス増殖抑制効果を奏する]ことを確認した。
【0343】
「シアル酸誘導物質含有剤」についての本「実施例2-6」の「コロナウイルス」に対する実験結果と、前述の「実施例2-2」の、「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」、「シアル酸誘導物質含有剤を含有しないチューインガム製剤」、及び、「シアル酸誘導物質含有剤のみ」等についての「インフルエンザウイルス」に対するウイルス活性抑制効果の有無について測定実験との双方の実験結果を勘案して、本発明の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、「コロナウイルス」に対しても、前述の「インフルエンザウイルス」に対するウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0344】
すなわち、「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」は、前述の「インフルエンザウイルス」に対する前述の[製剤効果A]、[製剤効果B]、及び、[製剤効果C]の効果と同じように、「インフルエンザウイルス」に対しても、前述の[製剤効果A:(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)]、[製剤効果B:(菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果)]、及び、[製剤効果C(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果)]が得られることが期待できる。
【実施例0345】
前述の[実施例1-b]により調製した「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAcon PGA」について、前述の[実施例2-6]と同じ方法により、「コロナウイルス」に対するウイルス活性抑制の効果の有無について、実験した。
【0346】
下記の材料を用いてコロナウイルスに対する感染抑制効果の評価を行った。
・被験物質「実施例1-bにより調製した「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAcon PGA」:0.16mg/mL,0.31mg/mL,0.63mg/mL,1.25mg/mL,2.5mg/mL、の各濃度のシアル酸誘導物質含有剤。
・コロナウイルス:SARS-CoV-2(Wk-521株)(入手先:国立感染症研究所)。
・細胞: VeroE6/TMPRSS2細胞(SARS-CoV-2の宿主細胞内への膜融合による侵入に必要なセリンプロテアーゼTMPRSS2発現アフリカミドリザル腎由来VeroE6細胞)(入手先:国立感染症研究所)。
・その他の材料は、前述の「実施例2-4」において使用した材料と同じ材料を使用した
【0347】
(a)ウイルス活性抑制効果の評価
前述の「実施例2-6」と同じ方法により、被験物質「実施例1-bにより調製した「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAconPGA」のコロナウイルス活性抑制効果の有無を評価した。
【0348】
実験結果を図11に示した。図11において、それぞれの「シアル酸誘導物質剤の含有濃度」に対する「ウイルスRNA量・細胞生存率」を「●」印で示した。
また、被験物質未処理での培養上清中の「ウイルスRNA量・細胞生存率」を「▲」印で示した。
【0349】
図11において、「シアル酸誘導物質含有剤」の含有濃度が多くなるに従って、ウイルスRNA量が少なる傾向があることが確認された。被験物質未処理での培養上清中のウイルスRNA量を100%としたとき、シアル酸誘導物質含有濃度が2.5mg/mLの場合に、ウイルスRNA量は検出限界の約0.001%以下まで低下した。
すなわち、前述の[実施例1-b]により調製した「「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAcon PGA」」は、コロナウイルス(SARS-CoV-2・Wk-521株)に対して、ウイルス活性抑制効果を奏する]ことを確認した。
【0350】
「実施例1-bにより調製した「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAconPGA」についての上記の「コロナウイルス」に対する実験結果と、前述の「実施例2-2」の、「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」、「シアル酸誘導物質含有剤を含有しないチューインガム製剤」、及び、「シアル酸誘導物質含有剤のみ」等についての「インフルエンザウイルス」に対するウイルス活性抑制効果の有無について測定実験との双方の実験結果を勘案して、本発明の「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAconPGA」を含有してなる「チューインガム製剤」の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、「コロナウイルス」に対して、前述の「インフルエンザウイルス」に対するウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0351】
すなわち、「実施例1-bにより調製した「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAconPGA」を含有してなる「チューインガム製剤」は、前述の「インフルエンザウイルス」に対する前述の[製剤効果A]、[製剤効果B]、及び、[製剤効果C]の効果と同じように、「インフルエンザウイルス」に対して、前述の[製剤効果A:(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)]、[製剤効果B:(菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果)]、及び、[製剤効果C(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果)]が得られることが期待できる。
【0352】
(b)「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAconPGA」の細胞毒性評価
細胞毒性評価試薬(細胞増殖キットII-XTT(Merck社製))を使用して、上記被験物質(シアル酸誘導物質含有剤)の細胞毒性の有無を実験評価した。その細胞毒性の実験評価は、該キットに記載の方法に従って実験評価した。
すなわち、各濃度に調整した上記被験物質(「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAconPGA」)を含む、又は、含まないウイルス維持培地を細胞に100uLずつ処理し、24時間培養した。生細胞と細胞毒性評価試薬の反応により生成されるホルマザン色素の量を比色分析することにより、被験物質の細胞毒性を評価した。
その結果、[実施例1-b]により調製した「「Neu5Acα(2-6)Galβ(1-4)GlcNAcon PGA」」には細胞毒性が認められなかった。
【0353】
[実施例2-1~実施例2-7のまとめ]
上記の調製したそれぞれのチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、それぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の含有成分、及び、効果について、表5にまとめて示した。また、シアル酸誘導物質含有剤を含有しない試料、及び、ガム基剤を含有しない試料についても表5に示した。
表5において、「含有成分」欄における「○」印は「含有する」ことを示す。また、「効果の有無」欄において、「◎」印は「効果あり」を示し、「×」印は「効果に劣る」を示し、「○」印は「やや効果あり」を示す。
【0354】
なお、上記のそれぞれの調製したチューインガム製剤に関する製剤効果の評価は、3人の実験者がそれぞれの得られたチューインガム製剤を服用して、それぞれの製剤効果の有無を評価し、3名の実験者の内、2名以上の実験者が「効果あり」と評価した場合を「◎」と評価し、1名以上の実験者のみが「効果あり」と評価した場合を「○」と評価し、3名の実験者が「効果なし」と評価した場合を「×」と評価した。
【0355】
それぞれの下記の「製剤効果」と「製造方法効果」の項目の詳細は、前述の[発明を実施するための形態]の項目に記載されている。それぞれの表において、「製法効果」は「製造方法効果」の略記である。
・製剤効果A:容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果.
・製剤効果B:菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果.
・製剤効果B-a:甘味剤・所望甘味が得られる効果.
・製剤効果C:チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果.
・製剤効果C-a:チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー.
・製剤効果C-b:チューインガム製剤・マルチトールと水飴・滑らかで優れた咀嚼感.
・製剤効果C-c:チューインガム製剤・マルチトール5%以上と第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー・優れた咀嚼感.
・製剤効果C-d:チューインガム製剤・マルチトールが第二甘味剤よりも多い・所望甘味・健康的な低カロリー.
・製剤効果C-e:チューインガム製剤・多価アルコール・所望の弾力性、硬さ柔軟性、等の優れた咀嚼感.
・製剤効果C-f:チューインガム製剤・マルチトール・第二甘味剤・多価アルコール・優れたウイルス活性抑制・優れた咀嚼感・健康的な低カロリー.
・製剤効果C-g:チューインガム製剤・甘味剤粒径・優れた咀嚼感.
・製剤効果C-h:チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた咀嚼感.
・製剤効果C-k:チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有量・優れたウイルス活性抑制効果.
【0356】
・製造方法効果A:製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が生じない効果.
・製造方法効果A-a:菓子基剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が生じない効果.
・製造方法効果C:チューインガム製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化を抑制.
・[製造方法効果C-a:チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望の甘味、低カロリー・良好な分散性.
・製造方法効果C-b:チューインガム製剤・マルチトールと水飴・シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールの均一含有.
・製造方法効果C-g:チューインガム製剤・甘味剤粒径・優れた均一混合分散性・優れた咀嚼感.
・製造方法効果C-h:チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた均一混合分散性.
・製造方法効果C-j:シアル酸誘導物質含有剤の局在化が抑制された均一混合.
・製造方法効果C-e:チューインガム製剤・多価アルコール・シアル酸誘導物質含有剤が多価アルコールに膨潤及び/又は溶解による均一混合・優れた均質混合性.
【0357】
【表5】
【0358】
表5から明らかのように、「実施例2-1a」及び「実施例2-1b」のチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、「製剤効果A:容易な使用性と長時間のウイルス活性抑制が期待できる効果」及び「製剤効果B:菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果」を奏すると共に、「製剤効果C」、「製剤効果C-a」~「製剤効果C-k」、「製法効果C」、「製法効果C-a」~「製法効果C-e」のそれぞれの優れた効果を奏することが解かる。
特に、第一甘味剤(マルチトール)と第二甘味剤(水飴)と多価アルコール(グリセリン)を含有する「実施例2-1a」、「実施例2-1b」は、優れた「製剤効果C-b:チューインガム製剤・マルチトールと水飴・滑らかで優れた咀嚼感」、「製剤効果C-e:チューインガム製剤・多価アルコール・所望の弾力性、硬さ柔軟性、等の優れた咀嚼感」、「製剤効果C-f:チューインガム製剤・マルチトール・第二甘味剤・多価アルコール・優れたウイルス活性抑制・優れた咀嚼感・健康的な低カロリー」、「製造方法効果C-b:チューインガム製剤・マルチトールと水飴・シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールの均一含有」、「製造方法効果C-e:チューインガム製剤・多価アルコール・シアル酸誘導物質含有剤が多価アルコールに膨潤及び/又は溶解による均一混合・優れた均質混合性」の効果がえられる。
【0359】
但し、表5において、試料24、試料25、試料28は、チューインガム製剤ではなく、シアル酸誘導物質含有剤のみに関する試料のウイルス活性抑制効果についての実験結果であり、他の製剤効果や製造方法効果については評価していない。
【0360】
[参考実施例2-1aa]
前述の「実施例2-1a」において、(A)工程:15±4℃に加温された混練機の中に、前記の調製されたガム基剤120gを秤量して投入し、更に、粒子径が150μm以下のマルチトール粉末132gを投入して、マルチトール粉末が均一になるまで混練し、その後、添加補助剤としてのアスパルテーム2.5gとグリーン色素0.5gと、上記調製したシアル酸誘導物質含有剤甘味剤混合物45gを投入して、混練しようとした。しかしながら、ガム基剤の粘性が高く、混練作業が不可能であった。
【0361】
[参考実施例2-1ab]
前述の「実施例2-1a」において、(A)工程:140±5℃に加温された混練機の中に、前記の調製されたガム基剤120gを秤量して投入し、更に、粒子径が150μm以下のマルチトール粉末132gを投入して、マルチトール粉末が均一になるまで混練し、その後、添加補助剤としてのアスパルテーム2.5gとグリーン色素0.5gと、上記調製したシアル酸誘導物質含有剤甘味剤混合物45gを投入して、全ての成分が均一に混合された状態になるまで混練し続けた。これらの混練時間の総計は約20分間である。その後、混練機から取り出して、約25℃の室温のフッ素樹脂製シートの上に放置した。
このようにして製造したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、やや褐色を呈していた。これに対して、前述の「実施例2-1a」により製造したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤はグリーン色を有していた。
【0362】
[参考実施例2-1ac]
前述の「参考実施例2-1e」の「ガム基剤と甘味剤とグリセリンと添加補助剤を含有し、シアル酸誘導物質含有剤を含有しないチューインガム製剤の製造」において、上記の[参考実施例2-1ab]と同じように、140±5℃に加温された混練機の中で(シアル酸誘導物質含有剤を含有しない)含有成分を混練して、チューインガム製剤を製造した。このようにして製造したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、前述の「実施例2-1a」により製造したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤はグリーン色と全く同じグリーン色を有していた。
すなわち、この[参考実施例2-1ab]と[参考実施例2-1ac]の実験結果から、[参考実施例2-1ab]において、含有成分のシアル酸誘導物質含有剤が熱により何らかの劣化により褐色に変色したものと想到される。
【実施例0363】
以下の方法により、全量に対して5重量%のシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるとともに、甘味剤としてのマルチトールと、多価アルコールを含有し、シアル酸誘導物質含有剤粉末の粒子径とマルチトール粉末の粒子径が異なるチューインガム製剤の形態を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
多価アルコールとしては、グリセリン、又は、ブチレングリコールを使用した。
甘味剤としてのマルチトールは、「三菱商事ライフサイエンス株式会社製マルチトール(粉末形状)」を使用し、該マルチトール粉末を乳鉢で破砕して、下記の粒子径を有するそれぞれのマルチトール粉末を使用した。
(a)35メッシュ篩通過した約500μm以下の粒子径を有するマルチトール。
(b)約500μm以下の粒子径を有するマルチトールを更に50メッシュの篩を通過した約300μm以下の粒子径を有するマルチトール。
(c)約500μm以下の粒子径を有するマルチトールを更に50メッシュの篩にかけて篩に残った約300~500μmの粒子径を有するマルチトール。
(d)約500μm以下の粒子径を有するマルチトールを更に100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有するマルチトール。
(e)約500μm以下の粒子径を有するマルチトールを更に170メッシュの篩を通過した約90μm以下の粒子径を有するマルチトール。
(f)約150μm以下の粒子径を有するマルチトール(85重量%)と300~420μmの粒子径を有するマルチトール(15重量%)を有するマルチトール。
甘味剤としてのキシリトールとしては100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有するキシリトール、又は、170メッシュの篩を通過した約90μm以下の粒子径を有するキシリトールを使用した。
【実施例0364】
前述の「実施例2-1a」に替えて、以下の方法により、全量に対して5重量%のシアル酸誘導物質含有剤(粒子径150μm以下)を含有してなるとともに、甘味剤としてマルチトール(粒子径150μm以下)のみと、多価アルコールとしてグリセリンを含有し、他の添加補助剤を含有しないチューインガム製剤の形態を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
まず、ガム基剤を調製する工程を説明する。
約100~130℃に加温された混練機の中に、ポリイソブチレン300g、酢酸ビニル樹脂250g、エステルガム50g、マイクロクリスタリンワックス200g、グリセリン脂肪酸エステル50gを、それぞれ秤量し、投入して、それぞれの成分が溶融して均一になるまで混練し、その後、タルク微粉末150gを混練機の中に投入し、更に、これらの成分が均一になるまで混練し、その後、混練機から取り出して、室温で冷却した。このようにして、ガム基剤1000gを調製した。得られたガム基剤は、常温で、加圧により容易に変形できる程度の粘性固形を有していた。このガム基剤の調製工程は、前述の「実施例2-1a」と同じである。
【0365】
別途、約25℃の室温で、マルチトール粉末(粒子径150μm以下)159gと「実施例1-a」で調製したシアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤(粒子径150μm以下)15gとを秤量して、これらの粉末を均一に混合して、シアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合粉末を調製した。
(A)工程:次に、約50~60℃に加温された混練機の中に、前記の調製されたガム基剤120gを秤量して投入し、更に、グリセリン(多価アルコール)6gと上記のシアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合粉末を投入して、全ての成分が均一に混合された状態になるまで混練し続けた。これらの混練時間の総計は約20分間である。その後、混練機から取り出して、約25℃の室温のフッ素樹脂製シートの上に放置した。このようにして、ガム基剤と多価アルコールと甘味剤と添加補助剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物300gを調製した。
【0366】
(B)工程:次に、上記の調製したチューインガム中間混合物のうちのチューインガム中間混合物45gを、厚さ4mmの板状に展伸し、更に、縦幅が約7mm、横幅が約7mmの長さに押し切り分割して、略直方体形状の1個当たり2gの重さのチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
このようにして、ガム基剤120gと、マルチトール粉末150gと、グリセリン15gと、シアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤15gと、を含有してなるチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤300gを調製した。
このようにして調製したチューインガム製剤は、製剤全体に対して5重量%のシアル酸誘導物質含有剤を含有する。
【0367】
このようにして調製したチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、シアル酸誘導物質含有剤の局在化が防止されて均一に分散して含有され、特に前述の「製造方法効果C-j」が得られた。また、調製されたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、この「製造方法効果C-j」に起因して、口に服用して咀嚼した時に、通常のチューインガム菓子と同じような違和感のない良好な咀嚼感と、マルチトールに特有の良好な甘味を有していた。また、咀嚼した時に、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールとの双方の粉末形状に起因するガリガリ感が抑制されて、滑らかな咀嚼感が得られた。
また、別途の実験において、約20~30℃、40~90%RH、の雰囲気中に30日間保管放置しても、外観の変化は全く認められなかった。
【実施例0368】
前述の「実施例2-8a」において、シアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤として、粒子径150μm以下の粉末(100メッシュの篩を通過した粉末)85重量%と、約300~500μmの粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤(35メッシュ追加し、50メッシュ残存した粉末)15重量%とを含有する粉末を使用した。
その他の構成は前述の「実施例2-6a」と同じ構成により、チューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤300gを調製した。
【0369】
このようにして調製したチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、口に服用して咀嚼した時に、通常のチューインガム菓子と同じような違和感のない良好な咀嚼感と、マルチトールに特有の良好な甘味を有していたが、上記の「実施例2-8a」のチューインガム製剤と比べて、ややガリガリ感が認められる傾向にあった。
【実施例0370】
前述の「実施例2-8a」において、マルチトールとして、
粒子径300μm以下の粉末(50メッシュの篩を通過した粉末)50重量%と、約300~500μmの粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤(35メッシュ追加し、50メッシュ残存した粉末)50重量%とを含有する粉末を使用した。
その他の構成は前述の「実施例2-8a」と同じ構成により、チューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤300gを調製した。
【0371】
このようにして調製したチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、口に服用して咀嚼した時に、通常のチューインガム菓子と同じような違和感のない良好な咀嚼感と、マルチトールに特有の良好な甘味を有していたが、上記の「実施例2-8a」のチューインガム製剤と比べて、ややガリガリ感が認められる傾向にあった。
【実施例0372】
前述の「実施例2-8a」において、多価アルコールとしてグリセリンに替えて、「ブチレングリコール」を使用し、その他の工程が前述の「実施例2-6a」と同じ工程により、ガム基剤120gと、マルチトール粉末155gと、ブチレングレコール10gと、シアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤15gとを含有してなるチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤300gを調製した。
このようにして調製したチューインガム製剤は、製剤全体に対して5重量%のシアル酸誘導物質含有剤を含有する。
【0373】
このようにして調製したチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、口に服用して咀嚼した時に、通常のチューインガム菓子と同じような違和感のない良好な咀嚼感と、マルチトールに特有の良好な甘味を有していた。また、咀嚼した時に、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールとの双方の粉末形状に起因するガリガリ感が抑制されて、滑らかな咀嚼感が得られた。また、上記の「実施例2-8a」により調製されたチューインガム製剤よりもやや柔らかい咀嚼感が得られた。
また、別途の実験において、約20~30℃、40~90%RH、の雰囲気中に30日間保管放置しても、外観の変化は全く認められなかった。
【実施例0374】
前述の「実施例2-8a」において、甘味剤としてのマルチトールのみに替えて、第一甘味剤としてのマルチトールと第二甘味剤としてのキシリトールを含有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
別途、約25℃の室温で、粒子径が150μm以下のマルチトール粉末109gとキシリトール粉末50gと「実施例1-a」で調製した約150μm以下の粒子径を有するシアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤15gとを秤量して、これらの粉末を均一に混合して、シアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合粉末を調製した。
次に、約50~60℃に加温された混練機の中に、前記の調製されたガム基剤120gを秤量して投入し、更に、グリセリン(多価アルコール)6gと上記のシアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合粉末を投入して、全ての成分が均一に混合された状態になるまで混練し続けた。その他の構成は、前述の「実施例2-8a」と同じ工程により、チューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
このようにして、ガム基剤120g、マルチトール粉末109gと、キシリトール粉末50gと、グリセリン(多価アルコール)6gと、シアル酸誘導物質含有剤15gとを含有するチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0375】
このようにして調製したチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、口に服用して咀嚼した時に、通常のチューインガム菓子と同じような違和感のない良好な咀嚼感と、マルチトールとキシリトールとに特有の良好な甘味を有していた。また、咀嚼した時に、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールとキシリトールとの双方の粉末形状に起因するガリガリ感が抑制されて、滑らかな咀嚼感が得られた。
また、別途の実験において、約20~30℃、40~90%RH、の雰囲気中に30日間保管放置しても、外観の変化は全く認められなかった。
【実施例0376】
前述の「実施例2-8a」において、グリセリン等の多価アルコールを含有しないシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。その他の構成は、前述の「実施例2-8a」と同じである。
前述の「実施例2-8a」と同じ方法によりガム基剤を調製した。
別途、約25℃の室温で、粒子径が150μm以下のマルチトール粉末(甘味剤粉末)165gと「実施例1-a」で調製した約150μm以下の粒子径を有するシアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤15gとを秤量して、これらの粉末を均一に混合して、シアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合粉末を調製した。
次に、約50~60℃に加温された混練機の中に、前記の調製されたガム基剤を秤量して投入し、上記のシアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合粉末を投入して、全ての成分が均一に混合された状態になるまで混練し続けた。
このようにして、このようにして、ガム基剤120gと、マルチトール粉末165gと、シアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤15gとを含有するチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0377】
このようにして調製したチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、口に服用して咀嚼した時に、通常のチューインガム菓子と同じような違和感のない良好な咀嚼感と、マルチトールに特有の良好な甘味を有していた。また、咀嚼した時に、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールの粉末形状に起因するガリガリ感が抑制されて、滑らかな咀嚼感が得られた。また、上記の「実施例2-8a」により調製されたチューインガム製剤よりもやや柔らかい咀嚼感が得られた。
また、別途の実験において、約20~30℃、40~90%RH、の雰囲気中に30日間保管放置しても、外観の変化は全く認められなかった。
【0378】
上記の調製したそれぞれのチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、それぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の含有成分、及び、効果について、表6にまとめて示した。
表6において、「含有成分」欄における「○」印は「含有する」ことを示す。また、「効果の有無」欄において、「◎」印は「効果あり」を示し、「×」印は「効果に劣る」を示し、「○」印は「やや効果あり」を示す。
なお、上記のそれぞれの調製したチューインガム製剤に関する製剤効果の評価は、3人の実験者がそれぞれの得られたチューインガム製剤を服用して、それぞれの製剤効果の有無を評価し、3名の実験者の内、2名以上の実験者が「効果あり」と評価した場合を「◎」と評価し、1名以上の実験者のみが「効果あり」と評価した場合を「○」と評価し、3名の実験者が「効果なし」と評価した場合を「×」と評価した。
【0379】
【表6】
【0380】
それぞれの実施例において、表6に示されるような効果が得られた。
特に、「実施例2-8a」、「実施例2-8b」、「実施例2-8c」のシアル酸誘導物質含有剤とマルチトール粉末に加えて多価アルコール(グリセリン又はブチレングリコール)を含有するチューインガム製剤は、「製剤効果C:チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果」が得られると共に、「製剤効果C-e:チューインガム製剤・多価アルコール・所望の弾力性、硬さ柔軟性、等の優れた咀嚼感」、「製造方法効果C:チューインガム製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化を抑制」、「製造方法効果C-e:チューインガム製剤・多価アルコール・シアル酸誘導物質含有剤が多価アルコールに膨潤及び/又は溶解による均一混合・優れた均質混合性」が得られた。
【0381】
また、「実施例2-8a」、「実施例2-8b」、「実施例2-8c」、「実施例2-8d」のシアル酸誘導物質含有剤の粒子径が150μm以下であり、マルチトールの粒子径が150μm以下であるチューインガム製剤は「製剤効果C-g(チューインガム製剤・マルチトール粒径・優れた服用感)」、「製法効果C-g(チューインガム製剤・マルチトール粒径・優れた服用感)」、「製剤効果C-h(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・良好な服用感)」、「製法効果C-h(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた服用感)」が得られた。
【0382】
これに対して、「実施例2-8ab」におけるマルチトールの粒子径が「150μm以下(50%)と300~420μm(50%)」の場合には、「製剤効果C-g」、「製法効果C-g」において、噛んだ時にややガリガリ感があり、やや劣ることが確認された。また、「実施例2-6aa」におけるシアル酸誘導物質含有剤の粒子径が「150μm以下(50%)と300~420μm(50%)」の場合には、「製剤効果C-h」、「製法効果C-h」において、噛んだ時にややガリガリ感があり、やや劣ることが確認された。
【実施例0383】
以下に、シアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤の含有量、シアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤の粒子径、及び、第一甘味剤としてのマルチトールの粒子径の異なるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例を説明する。
【0384】
[実施例2-9a]~[実施例2-9e]:
前述の「実施例2-1a」と同じ製造方法により、シアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤の含有量が、0.3重量%、1重量%、5重量%、15重量%、25重量%、35重量%を含有するチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
「実施例2-9」において、「実施例2-1a」と比べてシアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤の含有量のみが異なり、その他の構成は「実施例2-1a」と同じである。
この製造方法により、「実施例2-9a」~「実施例2-9e」のチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0385】
シアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤としては、前述の「実施例1-a」で調製した(b)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に50メッシュの篩を通過した約300μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤、又は、(d)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤、又は、(e)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に170メッシュの篩を通過した約90μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を使用した。
【0386】
また、マルチトールとしては、前述の「実施例2-8」で調製した(b)約500μm以下の粒子径を有するマルチトールを更に50メッシュの篩を通過した約300μm以下の粒子径を有するマルチトール、又は、(d)約500μm以下の粒子径を有するマルチトールを更に100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有するマルチトール、又は、(e)約500μm以下の粒子径を有するマルチトールを更に170メッシュの篩を通過した約90μm以下の粒子径を有するマルチトールを使用した。
【0387】
調製したそれぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の成分を表7に示した。更に、調製したそれぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、得られた効果を表7にまとめて示した。
表7において、「含有成分」欄における「○」印は「含有する」ことを示す。また、「効果の有無」欄において、「◎」印は「効果あり」を示し、「×」印は「効果に劣る」を示し、「○」印は「やや効果あり」を示す。
なお、上記のそれぞれの調製したチューインガム製剤に関する製剤効果の評価は、3人の実験者がそれぞれの得られたチューインガム製剤を服用して、それぞれの製剤効果の有無を評価し、3名の実験者の内、2名以上の実験者が「効果あり」と評価した場合を「◎」と評価し、1名以上の実験者のみが「効果あり」と評価した場合を「○」と評価し、3名の実験者が「効果なし」と評価した場合を「×」と評価した。
【0388】
【表7】
【0389】
それぞれの実施例において、表7に示されるような効果が得られた。
特に、シアル酸誘導物質含有剤の含有量が全量に対して、0.3重量%(実施例2-9a)~35重量%(実施例2-9f)の全ての調製されたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、優れた製剤効果と製造方法効果(製法効果)を有していた。
特に、「製剤効果C-k」について、シアル酸誘導物質含有剤の含有量が、1重量%(実施例2-9b)~25重量%(実施例2-9d)のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤においては、前述の「製剤効果C(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果)」、「製剤効果C-a」~「製剤効果C-k」、「製造方法効果C」、「製造方法効果C-a」~「製造方法効果C-e」における優れた効果が得られた。
しかしながら、30重量%を超える場合(実施例2-9f)には、シアル酸誘導物質含有剤に特有の好ましくない味覚があり、服用した時、シアル酸誘導物質含有剤に特有の好ましくない味覚があるように感じ、服用した時における味覚感に劣る傾向があった。
【0390】
シアル酸誘導物質含有剤の粒子径が300μm以下であり、マルチトールの粒子径が300μm以下である「実施例2-9c」のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、上記表に記載の優れた「製剤効果」と「製造方法効果」を有していた。
また、シアル酸誘導物質含有剤の粒子径が150μm以下であり、マルチトールの粒子径が150μm以下である「実施例2-9a」のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、前述の「実施例2-8a」、「実施例2-8b」と同様に、上記表に記載の優れたそれぞれの「製剤効果」と「製造方法効果」を有していた。
【0391】
また、シアル酸誘導物質含有剤の粒子径が90μm以下であり、マルチトールの粒子径が150μm以下である「実施例2-9e」、又は、シアル酸誘導物質含有剤の粒子径が150μm以下であり、マルチトールの粒子径が90μm以下である「実施例2-9f」のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、前述の「実施例2-8a」、「実施例2-8b」と同様に、上記表に記載の優れたそれぞれの「製剤効果」と「製造方法効果」を有していた。
【0392】
特に、シアル酸誘導物質含有剤の粒子径が90μm以下であり、マルチトールの粒子径が90μm以下である「実施例2-9b」、「実施例2-9d」のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、上記の優れたそれぞれの「製剤効果C-h:チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた咀嚼感」と「製剤効果C-g:チューインガム製剤・甘味剤粒径・優れた咀嚼感.」を有していた。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤の粒子径及びマルチトールの粒子径が300μm以下であるチューインガム製剤は、咀嚼した時にガリガリ感の抑制された優れた咀嚼感を奏する効果が得られる。そして、これらの粒子径が更に小さくなるに従って、更に、著しく優れたガリガリ感の無い咀嚼感を奏する効果が得られ、これらの粒子径が90μm以下であるチューインガム製剤は、特に優れた咀嚼感を奏することを確認した。
【0393】
また、得られたそれぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤についてウイルス活性抑制効果を実験していないが、シアル酸誘導物質含有剤の含有量が著しく少ない場合にはウイルス活性抑制効果は少なくなり、シアル酸誘導物質含有剤の含有量が多くなるに従って、ウイルス活性抑制効果が発揮される傾向にあることは自明のことである。
シアル酸誘導物質含有剤の含有量がシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の全量に対して、0.5重量%未満の試料(実施例2-9a)場合には、ウイルス活性抑制実験を行っていないが、ウイルス活性抑制効果が十分に発揮されない傾向があることは自明のことである。
【実施例0394】
前述の「実施例2-1a」に替えて、以下の方法により、全量に対して0.3~35重量%のシアル酸誘導物質含有剤(粒子径150μm以下、又は、粒子径90μm以下)を含有してなるとともに、甘味剤として種々の甘味剤(粒子径150μm以下、又は、粒子径90μm以下)と、多価アルコールとしてグリセリンを含有し、他の添加補助剤を含有しないチューインガム製剤の形態を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
まず、前述の「実施例2-1a」と同じ工程によりガム基剤を調製した。
なお、還元パラチノース、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、蔗糖、水飴、ぶどう糖、等の甘味剤は、市販されている汎用の粉末状を有する甘味剤を使用した。例えば、マルチトール、ソルビトール、エリスリトールは三菱商事ライフサイエンス社製(又は、三菱ケミカルフーズ社製)を使用し、還元パラチノースは三井製糖社製を使用した。
【0395】
別途、約25℃の室温で、粉末状の甘味剤と「実施例1-a」で調製した所定量のシアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤所定の甘味助剤とのそれぞれの所定量を秤量して、これらの粉末を混合して、均一に混合されたシアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合物を調製した。なお、甘味剤が液状を有する場合(水飴)には、液状甘味剤とシアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤とを均一に混合して、一部のシアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤が溶解したシアル酸誘導物質含有剤甘味剤混合物を調製した。
【0396】
(A)工程:次に、約50~60℃に加温された混練機の中に、前記の調製されたガム基剤120gを秤量して投入し、更に、グリセリン(多価アルコール)6gと上記のシアル酸誘導物質含有剤・甘味剤混合粉末を投入して、全ての成分が均一に混合された状態になるまで混練し続けた。これらの混練時間の総計は約20分間である。その後、混練機から取り出して、約25℃の室温のフッ素樹脂製シートの上に放置した。このようにして、ガム基剤と多価アルコールと甘味剤と添加補助剤と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合された基剤シアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材としてのチューインガム中間混合物を調製した。
【0397】
(B)工程:次に、上記の調製したチューインガム中間混合物のうちのチューインガム中間混合物45gを、厚さ4mmの板状に展伸し、更に、縦幅が約7mm、横幅が約7mmの長さに押し切り分割して、略直方体形状の1個当たり2gの重さのチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
このようにしてそれぞれの甘味剤を含有してなる種々のチューインガム製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0398】
上記の調製したそれぞれのチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、それぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の含有成分、及び、効果について、表8にまとめて示した。
表8において、「含有成分」欄における「○」印は「含有する」ことを示す。また、「効果の有無」欄において、「◎」印は「効果あり」を示し、「×」印は「効果に劣る」を示し、「○」印は「やや効果あり」を示す。
なお、上記のそれぞれの調製したチューインガム製剤に関する製剤効果の評価は、3人の実験者がそれぞれの得られたチューインガム製剤を服用して、それぞれの製剤効果の有無を評価し、3名の実験者の内、2名以上の実験者が「効果あり」と評価した場合を「◎」と評価し、1名以上の実験者のみが「効果あり」と評価した場合を「○」と評価し、3名の実験者が「効果なし」と評価した場合を「×」と評価した。
【0399】
【表8】
【0400】
表8において、シアル酸誘導物質含有剤の含有量が5重量%(実施例2-10a)~30重量%(実施例2-10g)の全てのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、優れたそれぞれの効果を有していた。
また、蔗糖、還元パラチノース、ぶどう糖、エリスリトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、水飴、等の第二甘味剤を含有するチューインガム製剤においても、表8に記載の優れた効果を有していた。
特に、咀嚼した時に、「製剤効果C:シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来る。また、咀嚼により唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる」が得られた。
また、特に、咀嚼した時に、それぞれの甘味剤特有の甘味を有していた。
【0401】
粉末形状の甘味剤を含有すると共に多価アルコールを含有しないチューインガム製剤(実施例2-10a、実施例2-10c、実施例2-10d)は、咀嚼した時のガリガリ感は気にならない良好な咀嚼感を有していた。特に、粉末形状の甘味剤を含有すると共に多価アルコールを含有するチューインガム製剤(実施例2-10b、実施例2-10e、実施例2-10f)は、粉末形状の甘味剤を含有すると共に多価アルコールを含有しないチューインガム製剤(実施例2-10a、実施例2-10c、実施例2-10d)と比べて、咀嚼した時におけるガリガリ感が全くなく、気になることなく、優れた咀嚼感を有していた。
【0402】
[チューインガム製剤のまとめ]
以上の実施例により、ガム基剤中に、シアル酸誘導物質含有剤と甘味剤とを含有してなるチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、前述の[製剤効果A:(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)]、[製剤効果B:(菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果)]、及び、[製剤効果C(チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果)]の効果が期待できることを確認した。
【0403】
前述の[「実施例2-2:ウイルス活性抑制効果の有無確認実験」における「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」及び「シアル酸誘導物質含有剤のみ」が水により抽出されて、水に溶解してなるシアル酸誘導物質含有剤は優れたウイルス活性を抑制する効果を有すること]、及び、本実施例の、[シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤が口内に服用されて咀嚼された時、チューインガム製剤に含まれるシアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解されて口内に放出されて口内の粘膜に付着される]の双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」は、前述の「インフルエンザウイルス」に対するウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0404】
更に、前述の「シアル酸誘導物質含有剤」についての前述の「実施例2-2」と前述の「実施例2-6」の「コロナウイルス」に対する実験結果との双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、「コロナウイルス」に対しても、ウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0405】
さらに、前述の[製剤効果C-a:チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー]、[製剤効果C-b:チューインガム製剤・マルチトールと水飴・滑らかで優れた咀嚼感]、[製剤効果C-c:チューインガム製剤・マルチトール5%以上と第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー・優れた咀嚼感]、[製剤効果C-d:チューインガム製剤・マルチトールが第二甘味剤よりも多い・所望甘味・健康的な低カロリー]、[製剤効果C-e:チューインガム製剤・多価アルコール・所望の弾力性、硬さ柔軟性、等の優れた咀嚼感]、[製剤効果C-f:チューインガム製剤・マルチトール・第二甘味剤・多価アルコール・優れたウイルス活性抑制・優れた咀嚼感・健康的な低カロリー]、[製剤効果C-g:チューインガム製剤・甘味剤粒径・優れた咀嚼感、[製剤効果C-h:チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた咀嚼感]、[製剤効果C-k:チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有量・優れたウイルス活性抑制効果]、等の効果が得られた。
【0406】
さらに、前述の[製造方法効果A:製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が生じない効果]、[製造方法効果A-a:菓子基剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が生じない効果]、[製造方法効果C:チューインガム製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化を抑制]、[製造方法効果C-a:チューインガム製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望の甘味、低カロリー・良好な分散性]、[製造方法効果C-b:チューインガム製剤・マルチトールと水飴・シアル酸誘導物質含有剤とマルチトールの均一含有]、[製造方法効果C-g:チューインガム製剤・甘味剤粒径・優れた均一混合分散性・優れた咀嚼感][製造方法効果C-h:チューインガム製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた均一混合分散性]、[製造方法効果C-j:シアル酸誘導物質含有剤の局在化が抑制された均一混合]、[製造方法効果C-e:チューインガム製剤・多価アルコール・シアル酸誘導物質含有剤が多価アルコールに膨潤及び/又は溶解による均一混合・優れた均質混合性]、等の効果が得られた。
【0407】
特に、人の口中に服用されて、咀嚼された時に、シアル酸誘導物質含有剤が口内に放出されて、シアル酸誘導物質含有剤は口内に長時間滞留可能及び/又は口内粘膜に長時間付着であるチューインガム製剤が得られた。
また、甘味剤の種類を選択することにより、シアル酸誘導物質含有剤の特有の好ましくない味覚が抑制されて、所望の快適な味覚を有るチューインガム製剤が得られた。
また、甘味剤、多価アルコール等の含有成分を所望に選択含有することにより、上記した所望のそれぞれの効果を有するチューインガム製剤が得られた。
【0408】
シアル酸誘導物質含有剤は、水に溶解し、また、グリセリン等の多価アルコールに溶解及び/又は膨潤する性質を有するが、一方、ガム基剤には溶解しない性質を有する。また、チューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、チューインガム菓子としての種々の基本的な性能が要求される。一般に、チュウインガムは咀嚼を繰返して服用するものであるために、咀嚼感が重要視され、特に、咀嚼した時のガリガリ感を抑制した咀嚼感が要求される。一方、シアル酸誘導物質含有剤の少なくとも一部は、ガム基剤中に溶解することなく固形粉末の状態で分散した形態で存在している場合には、咀嚼した時にガリガリ感等の不快な咀嚼感があり、ガム基剤中に含有されるシアル酸誘導物質含有剤の粒子径が咀嚼感に重要な影響を及ぼす。
特に、この観点において、300μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を、服用した時に、チューインガム菓子としての基本的な服用感を有すると共に、ガリガリ感のない優れた咀嚼感を有することを見出した。
【0409】
更に、ガム基剤中に、シアル酸誘導物質含有剤と一緒に、グリセリン等の多価アルコールを含有することにより、使用した粉末形状のシアル酸誘導物質含有剤が多価アルコールに溶解及び/又は膨潤した状態でガム基剤中に含有され、これにより、咀嚼した時のシアル酸誘導物質含有剤に起因するがリガ感が抑制されることを見出した。
【0410】
<キャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について>
【実施例3】
シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を下記の工程により調製した。
本実施例において、シアル酸糖鎖物質含有シアル酸誘導物質含有剤としては、前述の「実施例1-a」で調製した(b)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に50メッシュの篩を通過した約300μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤、又は、(d)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤、又は、(e)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に170メッシュの篩を通過した約90μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤、(f)約150μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤(85重量%)と300~420μmの粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤(15重量%)を有するシアル酸誘導物質含有剤を使用した。
【0411】
また、甘味剤としてのマルチトールや還元パラチノース等の粉末状の甘味剤としては、前述の「実施例2-8」と類似の方法で所望の粒子径を有する粉末状の甘味剤を調製した。
例えば、(b)約500μm以下の粒子径を有するマルチトール等の甘味剤を更に50メッシュの篩を通過した約300μm以下の粒子径を有する甘味剤、又は、(d)約500μm以下の粒子径を有するマルチトール等の甘味剤を更に100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有する甘味剤、又は、(e)約500μm以下の粒子径を有するマルチトール等の甘味剤を更に170メッシュの篩を通過した約90μm以下の粒子径を有する甘味剤、、又は、(f)約150μm以下の粒子径を有するマルチトール(85重量%)と300~420μmの粒子径を有するマルチトール(15重量%)を有するマルチトールを使用した。
同様に、所望の粒子径を有する粉末状の還元パラチノースを調製して使用した。
【0412】
<ハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について>
【実施例3-1a】
シアル酸誘導物質含有剤を含有したシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるとともに甘味剤を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
(A)工程:500mlガラス製ビーカーの中に、甘味剤としての所定量のマルチトール(95g)と還元パラチノース(95g)と、所定量の精製水(100g)を投入し、混合して、マルチトールと還元パラチノースが溶解された甘味剤溶解液を調製した。その甘味剤溶解液を、フッ素樹脂塗膜加工したアルミ製鍋に投入して、第一所定温度としての約185℃(非接触赤外線温度計で計測した)まで温度を上げて、撹拌しながら甘味剤溶解液を加熱して水を蒸発除去し、水含有量が3重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が3重量%以下の流動状態を有する加熱流動甘味剤を調製した。この間、該加熱流動甘味剤は第一所定温度としての約170~約185℃の温度に維持した。
なお、本工程において、第一所定温度として、約170~約185℃に限定されることなく、120℃~200℃の流動性を有する温度範囲で実施する方法も実施可能である。
また、本工程において、調製中の加熱流動甘味剤の重量を数回測定して、水含有量が3重量%以下になるように加熱し続けて水を蒸発除去した。
【0413】
(B)工程:前記加熱流動甘味剤を、フッ素樹脂製シートを敷いた冷却盤上に取出して、加熱流動基を第二所定温度としての流動性を維持する90~110℃の温度に下げた状態で、該加熱流動甘味剤に、所定量の150μm以下のシアル酸誘導物質含有剤(0.6g)とグリセリン(10g)と蔗糖ステアリン酸エステル(微量)を添加してステンレス棒を使用して混合し、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を調製した。ここで、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、この間、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は流動性を有する第二所定温度に維持した。
なお、本工程において、第一所定温度よりも低い温度であって、流動性を有する温度にまで下げて実施される。
マルチトールとしては、「三菱商事ライフサイエンス株式会社製マルチトール」を使用した。
前記第二所定温度としては、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70~120℃の温度範囲も好ましく実施可能である。
【0414】
(C)工程:前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を第三所定温度としての40℃~50℃未満の温度に下げて、ステンレス製の直径15mm円筒刃を用いて円形塊状に分割切断して成形して、複数個のシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製した。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製した。
【0415】
(D)工程:複数個の前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を25℃の室温に置いて、25℃まで下げた。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のキャンディ製剤を調製した。本工程において、25℃に限定されることなく、冷蔵庫内の温度等の25℃以下の温度まで下げた方法も実施可能である。
更に、成形調製した全ての複数個のキャンディ製剤を集めた合計のキャンディ製剤の重量を測定した。
【0416】
なお、シアル酸誘導物質含有剤及び甘味剤の重量測定は、秤(Satorious TE3102S、精度0.01~3100g)を用いて測定した。
それぞれの温度は、非接触赤外線温度計(SATO KEURYOKI ISK-8700II)を用いて計測した。
【0417】
調製したキャンディ製剤に残存して含有される水の含有量は、調製したキャンディ製剤の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水と甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤との合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、キャンディ製剤の中に残存している水の含有率を算出した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤とグリセリン等の中に均一に含有され、マルチトール(95g)と、還元パラチノース(95g)と、シアル酸誘導物質含有剤(約0.3重量%、0.6g)と、グリセリン(10g)と、ショ糖ステアリン酸エステル(微量)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0418】
前述の「実施例3-1a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(1重量%)を含有し、ショ糖ステアリン酸エステルを含有しなく、その他の成分は「実施例3-1a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤とグリセリン等の中に均一に含有され、マルチトール(94g)と、還元パラチノース(94g)と、シアル酸誘導物質含有剤(1重量%、2g)と、グリセリン(10g)と、ショ糖ステアリン酸エステル(微量)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0419】
前述の「実施例3-1a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%)を含有し、その他の成分は「実施例3-1a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤とグリセリン等の中に均一に含有され、マルチトール(90g)と、還元パラチノース(90g)と、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%、10g)と、グリセリン(10g)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0420】
前述の「実施例3-1a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(10重量%)を含有し、ショ糖ステアリン酸エステルを含有しなく、その他の成分は「実施例3-1a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤とグリセリン等の中に均一に含有され、マルチトール(85g)と、還元パラチノース(85g)と、シアル酸誘導物質含有剤(10重量%、20g)と、グリセリン(10g)と、ショ糖ステアリン酸エステル(微量)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0421】
前述の「実施例3-1a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(20重量%)を含有し、ショ糖ステアリン酸エステルを含有しなく、その他の成分は「実施例3-1a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤とグリセリン等の中に均一に含有され、マルチトール(75g)と、還元パラチノース(75g)と、シアル酸誘導物質含有剤(20重量%、40g)と、グリセリン(10g)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0422】
前述の「実施例3-1a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%)を含有し、ショ糖ステアリン酸エステルを含有し、シアル酸誘導物質含有剤として、粒子径が150μm以下のシアル酸誘導物質含有剤85重量%と、粒子径が300~420μmのシアル酸誘導物質含有剤15重量%とを有するシアル酸誘導物質含有剤粉末を使用した。
その他の成分は「実施例3-1a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤とグリセリン等の中に均一に含有され、マルチトール(90g)と、還元パラチノース(90g)と、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%、10g、粒子径が150μm以下のシアル酸誘導物質含有剤85重量%と粒子径が300~420μmのシアル酸誘導物質含有剤15重量%)と、グリセリン(10g)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0423】
前述の「実施例3-1a」と類似の方法により、「実施例3-1c」において、グリセリンを含有しないハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤の中に均一に含有され、マルチトール(95g)と、還元パラチノース(95g)と、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%、10g)と、ショ糖ステアリン酸エステル(微量)と水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0424】
前述の「実施例3-1a」と類似の方法により、「実施例3-1d」において、グリセリンを含有しないハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤の中に均一に含有され、マルチトール(90g)と、還元パラチノース(90g)と、シアル酸誘導物質含有剤(10重量%、20g)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0425】
シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるとともに甘味剤として蔗糖と水飴とを含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。使用した水飴は15%の水分を含有する酵素糖化水飴である。
(A)工程:500mlガラス製ビーカーの中に、甘味剤としての所定量の蔗糖(95g)と水飴(95g)と、所定量の精製水(100g)を投入し、混合して、甘味剤が溶解された甘味剤溶解液を調製した。その甘味剤溶解液を、アルミ製鍋に投入して、第一所定温度としての約185℃まで温度を上げて、撹拌しながら甘味剤溶解液を加熱して水を蒸発除去し、水含有量が3重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が3重量%以下の流動状態を有する加熱流動甘味剤を調製した。この間、該加熱流動甘味剤は第一所定温度としての約170~約185℃の温度に維持した。酵素糖化水飴は15%の水を含有しているため、この15%の水に相当する水を除く甘味剤の合計重量を勘案して算出して、所定量の蔗糖(50重量%)と酵素糖化水飴(40重量%・15%の水分を含有)との混合甘味剤を添加混合した。
【0426】
(B)工程:前記加熱流動甘味剤を、フッ素樹脂製シートを敷いた冷却盤上に取出して、加熱流動基を第二所定温度としての流動性を維持する90~110℃の温度に下げた状態で、該加熱流動甘味剤に、所定量の150μm以下のシアル酸誘導物質含有剤(0.6g)とグリセリン(10g)と蔗糖ステアリン酸エステルを添加してステンレス棒を使用して混合し、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を調製した。ここで、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、この間、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は流動性を有する第二所定温度に維持した。
【0427】
(C)工程:前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を第三所定温度としての40℃~50℃未満の温度に下げて、ステンレス製の直径15mm円筒刃を用いて円形塊状に分割切断して成形して、複数個のシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製した。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製した。
【0428】
(D)工程:複数個の前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を25℃の室温に置いて、25℃まで下げた。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のキャンディ製剤を調製した。更に、成形調製した全ての複数個のキャンディ製剤を集めた合計のキャンディ製剤の重量を測定した。
【0429】
調製したキャンディ製剤に残存して含有される水の含有量は、調製したキャンディ製剤の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水と甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤との合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、キャンディ製剤の中に残存している水の含有率を算出した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤の中に均一に含有され、蔗糖(95g)と、水飴(95g)と、シアル酸誘導物質含有剤(約0.3重量%、0.6g)と、ショ糖ステアリン酸エステル(微量)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0430】
前述の「実施例3-2a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(1重量%)を含有し、ショ糖ステアリン酸エステルを含有しなく、その他の成分は「実施例3-2a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0431】
前述の「実施例3-2a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%)を含有し、ショ糖ステアリン酸エステルを含有し、その他の成分は「実施例3-2a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0432】
前述の「実施例3-2a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(10重量%)を含有し、ショ糖ステアリン酸エステルを含有しなく、その他の成分は「実施例3-2a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0433】
前述の「実施例3-2a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(20重量%)を含有し、ショ糖ステアリン酸エステルを含有し、その他の成分は「実施例3-2a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0434】
前述の「実施例3-2a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%)を含有し、ショ糖ステアリン酸エステルを含有し、シアル酸誘導物質含有剤として、粒子径が150μm以下のシアル酸誘導物質含有剤85重量%と、粒子径が300~420μmのシアル酸誘導物質含有剤15重量%とを有するシアル酸誘導物質含有剤粉末を使用した。その他の成分は「実施例3-2a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0435】
前述の「実施例3-2a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%)を含有し、甘味剤としてマルチトールと水飴を含有し、更に、グリセリンを含有し、ショ糖ステアリン酸エステルを含有し、その他の成分は「実施例3-2a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤とグリセリンの中に均一に含有され、マルチトール(90g)と、水飴(90g)と、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%、10g)と、グリセリン(10g)と、ショ糖ステアリン酸エステル(微量)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0436】
前述の「実施例3-2a」と類似の方法により、上記「3-2g」において、グリセリンを含有し、その他の成分は「実施例3-2h」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
すなわち、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤とグリセリンの中に均一に含有され、マルチトール(95g)と、水飴(95g)と、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%、10g)と、ショ糖ステアリン酸エステル(微量)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0437】
シアル酸誘導物質含有剤を含有したシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるとともに甘味剤としてマルチトールを含有すると共に、種々の多価アルコールと、種々の甘味助剤を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
(A)工程:500mlガラス製ビーカーの中に、甘味剤としての所定量のマルチトール(190g)と、所定量の精製水(100g)を投入し、混合して、甘味剤が溶解された甘味剤溶解液を調製した。その甘味剤溶解液を、アルミ製鍋に投入して、第一所定温度としての約185℃まで温度を上げて、撹拌しながら甘味剤溶解液を加熱して水を蒸発除去し、水含有量が3重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が3重量%以下の流動状態を有する加熱流動甘味剤を調製した。この間、該加熱流動甘味剤は第一所定温度としての約170~約185℃の温度に維持した。
【0438】
(B)工程:前記加熱流動甘味剤を、フッ素樹脂製シートを敷いた冷却盤上に取出して、加熱流動基を第二所定温度としての流動性を維持する90~110℃の温度に下げた状態で、該加熱流動甘味剤に、所定量の150μm以下のシアル酸誘導物質含有剤(10g)とグリセリン(0.6g)と甘味助剤としてのアセスルファムカリウム(微量)を添加してステンレス棒を使用して混合し、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を調製した。ここで、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、この間、該シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は流動性を有する第二所定温度に維持した。
【0439】
(C)工程:前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を第三所定温度としての40℃~50℃未満の温度に下げて、ステンレス製の直径15mm円筒刃を用いて円形塊状に分割切断して成形して、複数個のシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製した。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のシアル酸誘導物質含有剤含有甘味剤含有成形製剤を調製した。
【0440】
(D)工程:複数個の前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を25℃の室温に置いて、25℃まで下げた。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のキャンディ製剤を調製した。更に、成形調製した全ての複数個のキャンディ製剤を集めた合計のキャンディ製剤の重量を測定した。
【0441】
調製したキャンディ製剤に残存して含有される水の含有量は、調製したキャンディ製剤の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水と甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤との合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、キャンディ製剤の中に残存している水の含有率を算出した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤の中に均一に含有され、
マルチトール(190g)と、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%、10g)と、甘味助剤(微量)と、グリセリン(0.3重量%、0.6g)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0442】
前述の「実施例3-3a」と類似の方法により、多価アルコールとしてのブチレングリコール(1重量%)を含有し、甘味助剤(アセスルファムカリウム)を含有し、その他の成分は「実施例3-3a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0443】
前述の「実施例3-3a」と類似の方法により、多価アルコールとしてのグリセリン(5重量%)を含有し、甘味助剤(アスパルテーム)を含有し、その他の成分は「実施例3-2a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0444】
前述の「実施例3-3a」と類似の方法により、多価アルコールとしてのプロピレングリコール(10重量%)を含有し、甘味助剤(ステビア)を含有し、その他の成分は「実施例3-2a」と同じハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0445】
前述の「実施例3-3a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%)を含有し、甘味剤としてマルチトールとキシリトールと水飴を含有し、更に、多価アルコールとしてのグリセリンを含有すると共に甘味助剤(アセスルファムカリウム)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤とグリセリンの中に均一に含有され、マルチトール(90g)とキシリトール(45g)と水飴(45g)と、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%、10g)と、甘味助剤(微量)と、グリセリン(5重量%、10g)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。なお、水飴としては15%の水を含有する酵素糖化水飴を使用し、この15%の水に相当する水を除く甘味剤の合計重量を勘案、算出して、所定量の水飴を添加混合した。
【実施例0446】
前述の「実施例3-3a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%)を含有し、甘味剤として水飴とエリスリトールと、甘味助剤(アセスルファムカリウム)を含有し、マルチトールと多価アルコールを含有しないハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤の中に均一に含有され、
水飴(95g)とエリスリトール(95g)と、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%、10g)と、甘味助剤(微量)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0447】
前述の「実施例3-3a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%)を含有し、甘味剤として蔗糖を含有し、甘味助剤(アスパルテーム)を含有し、マルチトールと多価アルコールを含有しないハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤の中に均一に含有され、
蔗糖(190g)と、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%、10g)と、甘味助剤(微量)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0448】
前述の「実施例3-3a」と類似の方法により、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%)を含有し、甘味剤としてぶどう糖を含有し、マルチトールと多価アルコールを含有しないハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤の中に均一に含有され、
ぶどう糖(190g)と、シアル酸誘導物質含有剤(5重量%、10g)と、甘味助剤(微量)と、水(3重量%以下)を含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0449】
上記それぞれのハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、それぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の含有成分、及び、それぞれの実施例により調製したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の下記の「製剤効果」と「製造方法効果」等の効果について、表9、表10、表11にまとめて示した。
それぞれの表において、「含有成分」欄における「○」印は「含有する」ことを示す。また、「効果の有無」欄において、「◎」印は「効果あり」を示し、「×」印は「効果に劣る」を示し、「○」印は「やや効果あり」を示す。
なお、上記のそれぞれの調製したハードキャンディ製剤に関する製剤効果の評価は、3人の実験者がそれぞれの得られたハードキャンディ製剤を服用して、それぞれの製剤効果の有無を評価し、3名の実験者の内、2名以上の実験者が「効果あり」と評価した場合を「◎」と評価し、1名以上の実験者のみが「効果あり」と評価した場合を「○」と評価し、3名の実験者が「効果なし」と評価した場合を「×」と評価した。
表9、表10、表11において、それぞれの「製剤効果」と「製造方法効果」の項目の詳細は、前述の[発明を実施するための形態]の項目に記載されているが、それらの要点を下記にまとめた。
【0450】
・製剤効果A:容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果.
・製剤効果B:菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果
・製剤効果B-a:甘味剤・所望甘味が得られる効果.
・製剤効果D:キャンディ製剤・シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留付着・唾液の分泌促進によるシアル酸誘導物質含有剤の口内放出促進.
・製剤効果D-a:キャンディ製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー.
・製剤効果D-b:キャンディ製剤・添加補助剤含有効果・所望物性.
・製剤効果D-c:ハードキャンディ製剤・長時間のシアル酸誘導物質含有剤の口内滞留性・所望のハードキャンディ硬さ・所望の甘味舐め感.
・製剤効果D-d:ハードキャンディ製剤・マルチトールと水飴・優れた舐め感服用感.
・製剤効果D-e:ハードキャンディ製剤・マルチトールと多価アルコールによる外観変質抑制効果.
・製剤効果D-f:マルチトールと還元パラチノース・優れた舐め感服用感.
・製剤効果D-g:マルチトールと還元パラチノースと多価アルコール・優れた舐め感服用感・表面変質抑制効果.
・製造方法効果D-e:ハードキャンディ製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制.
・製造方法効果D-h:キャンディ製剤・添加補助剤含有効果・所望物性.
・製造方法効果D-c:キャンディ製剤・多価アルコール・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果・外観変質抑制効果.
【0451】
【表9】
【0452】
【表10】
【0453】
【表11】
【0454】
ハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、上記の表9、表10、表11に記載したようなそれぞれの効果が得られた。
【0455】
特に、下記の効果が得られた。
上記実施例により製造した甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤とを含有してなるハードキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、前述の[製剤効果D(キャンディ製剤):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」及び「製剤効果B-a」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来る。また、服用して舐めたり噛んだりすることにより唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる。さらに、キャンディ基剤として甘味剤を有することに起因して、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有する、ウイルス活性を抑制可能なシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]等の優れた効果が得られた。
【0456】
「実施例3-1a~実施例3-1e」のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、シアル酸誘導物質含有剤の含有量が20重量%(実施例3-1e)の場合、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の均一な混入が不可能であり、硬い塊状の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を得ることができなかった。すなわち、シアル酸誘導物質含有剤の含有量は0.5重量%~15重量%が好ましい。
【0457】
特に、マルチトールを含有する「実施例3-1g」と「実施例3-1h」のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の「30日保管後の外観変質の有無」試験において、表面変質して白濁が認められたが、これに対して、多価アルコールとしてのグリセリンを含有する「実施例3-1c」と「実施例3-1d」は、白濁等の表面変質が認めなれかった。すなわち、マルチトールを含有する場合に、多価アルコールを併用することにより表面の白濁変質が抑制されることが確認された。同様の効果は、「実施例3-2g」と「実施例3-2h」との比較からも確認できた。
すなわち、該マルチトールに加えて多価アルコール(グリセリン)を含有するハードキャンディ製剤は、前述の[製剤効果D-c(キャンディ製剤・マルチトールと多価アルコールによる外観変質抑制効果)キャンディ製剤の保管中におけるキャンディ製剤の表面の外観変質が抑制される効果]が得られることが解かる。
また、「実施例3-3a」~「実施例3-3e」の実験結果から確認できるように、マルチトールを含有するキャンディ製剤において、グリセリンに限定されることなく、ブチレングリコール、又は、プロピレングリコール等の多価アルコールを含有することによりハードキャンディ製剤の表面の白濁変質が抑制されることが確認され、更に、その多価アルコールの含有量は、全量に対して、1重量%~20重量%が好ましいことが確認された。
【0458】
特に、「実施例3-1a」~「実施例3-1d」のキャンディ製剤において、甘味剤としてマルチトールと還元パラチノースとの双方の甘味剤を含有したキャンディ製剤は、服用して舐めた時に粘り気が無く、適度な硬さを有していた。すなわち、前述の「製剤効果D-g:マルチトールと還元パラチノースと多価アルコール・優れた舐め感服用感・表面変質抑制効果」を有するハードキャンディ製剤が得られた。
これに対して、「実施例3-3b」、「実施例3-3c」の甘味剤として還元パラチノースを含有しなく、マルチトールを含有するキャンディ製剤は、服用して舐めた時、やや粘り感を感じる傾向にあった。
【0459】
なお、ハードキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、チューインガム製剤のようにシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を噛んだり咀嚼することなく、舐めて使用するため、含有するシアル酸誘導物質含有剤の粒子径に関係なく、良好な服用感が得られた。
例えば、「実施例3-1f」及び「実施例3-2f」の「150μm以下の粉末と85重量%と300~420μmの粉末15重量%とを含むシアル酸誘導物質含有剤」を含有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤においても、良好な服用感が得られた。
【0460】
また、「実施例3-2g」のように、マルチトールと水飴と多価アルコールとを含有したハードキャンディ製剤は、「製剤効果D-a(キャンディ製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー剤)」、「製剤効果D-d(ハードキャンディ製剤・マルチトールと水飴・優れた舐め感服用感)」、及び、「製剤効果D-e(ハードキャンディ製剤・マルチトールと多価アルコールによる外観変質抑制効果)」の全ての効果を有していた。
【0461】
また、ショ糖ステアリン酸エステルを添加含有したハードキャンディ製剤は、ハードキャンディ製剤を服用して舐めた時に、ハードキャンディ製剤の歯への粘着を防止する効果を有することを確認した。
【0462】
<ソフトキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について>
【実施例3-5a】
シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるとともに甘味剤を含有してなるソフトキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
(A)工程:第一甘味剤(マルチトール)と第二甘味剤(蔗糖と水飴)と、更に、ゲル化剤(アラビアガム、ゼラチン)、賦形剤(ヒドロキシアルキルセルロース、大豆タンバク)、油脂(植物油脂)、乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステル)、等の添加助剤の所定量を正確に秤量し、これらの成分を加熱容器に仕込み、60~80℃で水に溶解して、溶液中の固形分濃度が約70%になるように調製し、これを約120℃~130℃に加熱した状態で水分が約10%前後になるまで減圧濃縮して、流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製した。水飴としては酵素糖化水飴を使用した。
水飴を含有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、水飴は約15%の水を含有しているため、この約15%の水に相当する水を除く第二甘味剤の合計重量が所望量になるように計算して、蔗糖と水飴との混合甘味剤を添加混合した。
なお、本工程において、約120℃~130℃に限定されることなく、120℃~150℃、又は、120℃~200℃の温度範囲で実施される方法も実施可能である。
【0463】
(B)工程:前記甘味剤含有加熱流動甘味剤を、流動性を維持する90℃~110℃の温度に下げた状態で、所定量を正確に秤量した甘味剤含有加熱流動甘味剤とシアル酸誘導
リウム)、香料(レモンエキス)、等を混合し、シアル酸誘導物質含有剤を含有したシアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を調製した。この間、該ウイルス活性抑制含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤は第二所定温度としての流動性を維持する90℃~110℃の温度に維持される。
【0464】
なお、前記(A)工程と前記(B)工程において、甘味剤と添加助剤との合計重量が200gになるように、それぞれの試料を調製した。
【0465】
(C)前記ウイルス活性抑制含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤を40℃~50℃未満の温度に下げて、ステンレス製の直径15mm円筒刃を用いて円形塊状に分割切断して成形して、複数個のウイルス活性抑制含有甘味剤含有成形製剤を調製した。本実施例では、約40~約50℃度の温度まで下げた状態で成形した。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のウイルス活性抑制含有甘味剤含有成形製剤を調製した。
本工程において、第三所定温度として、40℃~50℃未満に限定されることなく、50℃未満の温度まで下げた状態で成形する方法も実施可能である。
【0466】
(D)複数個の前記ウイルス活性抑制含有甘味剤含有成形製剤を25℃の室温に置いて、25℃まで下げた。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のソフトキャンディ製剤を調製した。
また、成形調製した全ての複数個のソフトキャンディ製剤を集めた合計の重量を測定した。
【0467】
調製したソフトキャンディ製剤に残存して含有される水の含有量は、調製した複数個のソフトキャンディ製剤の合計の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水と甘味剤との合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、ソフトキャンディ製剤の中に残存している水の含有率を算出した。
すなわち、(A)工程において、上記の重量測定と計算を繰返し行って、水含有量が10重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が約10重量%以下の流動状態を有する甘味剤含有加熱流動甘味剤を調製した。
【0468】
調製したそれぞれのソフトキャンディ製剤中に含有される水の含有量は7~10重量%の範囲にあることを確認した。
【0469】
[実施例3-5b]~[実施例3-5d]
上記[実施例3-5a]と同じ方法により、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトール(第一甘味剤)との含有量が異なるシアル酸誘導物質含有剤を含有したシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるソフトキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0470】
上記[実施例3-5a]と同じ方法により、シアル酸誘導物質含有剤とマルチトール(第一甘味剤)との含有量が異なるシアル酸誘導物質含有剤を含有したシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるソフトキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製したが、(B)工程において、シアル酸誘導物質含有剤を含有したシアル酸誘導物質含有剤の添加混合を試みたが、シアル酸誘導物質含有剤の添加量が多すぎて、混練物がバラバラ状態になり、流動性を有するシアル酸誘導物質含有剤含有加熱甘味剤含有加熱流動製剤が得られなかった。
【実施例0471】
上記[実施例3-5a]と同じ方法により、甘味剤として、マルチトールを含有しなく、蔗糖と水飴を含有するシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるソフトキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0472】
上記[実施例3-5a]と同じ方法により、甘味剤として、マルチトールを含有し、蔗糖と水飴を含有しないシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるソフトキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【実施例0473】
上記[実施例3-5a]と同じ方法により、甘味剤として、マルチトールを含有しなく、ぶどう唐とエリスリトールを含有したシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるソフトキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0474】
上記の調製したそれぞれのソフトキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、それぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の含有成分、及び、効果について、表12にまとめて示した。表12において、それぞれの下記の「製剤効果」と「製造方法効果」の項目の詳細は、前述の[発明を実施するための形態]の項目に記載されている。
なお、それぞれの実施例により調製したソフトキャンディ製剤には7~10重量%の水が含有されているが、表12において、ソフトキャンディ製剤中のウイルス活性抑制と甘味剤とその他の添加助剤の含有割合において、水の含有量を除いて、ウイルス活性抑制と甘味剤とその他添加助剤の各成分の含有割合を記載して示した。
【0475】
上記それぞれのソフトキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、それぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の含有成分、及び、それぞれの実施例により調製したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の下記の「製剤効果」と「製造方法効果」等の効果について、表12にまとめて示した。
表12において、「含有成分」欄における「○」印は「含有する」ことを示す。また、「効果の有無」欄において、「◎」印は「効果あり」を示し、「×」印は「効果に劣る」を示し、「○」印は「やや効果あり」を示す。
【0476】
なお、上記のそれぞれの調製したソフトキャンディ製剤に関する製剤効果の評価は、3人の実験者がそれぞれの得られたソフトキャンディ製剤を服用して、それぞれの製剤効果の有無を評価し、3名の実験者の内、2名以上の実験者が「効果あり」と評価した場合を「◎」と評価し、1名以上の実験者のみが「効果あり」と評価した場合を「○」と評価し、3名の実験者が「効果なし」と評価した場合を「×」と評価した。
【0477】
表12において、それぞれの「製剤効果」と「製造方法効果」の項目の詳細は、前述の[発明を実施するための形態]の項目に記載されているが、それらの要点を下記にまとめた。
・製剤効果A:容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果.
・製剤効果B:菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果
・製剤効果B-a:甘味剤・所望甘味が得られる効果.
・製剤効果D:キャンディ製剤・シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留付着・唾液の分泌促進によるシアル酸誘導物質含有剤の口内放出促進.
・製剤効果D-a:キャンディ製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー.
・製剤効果D-b:キャンディ製剤・添加補助剤含有効果・所望物性.
・製剤効果D-j:ソフトキャンディ・シアル酸誘導物質含有剤の長時間の口内放出効果・長時間のウイルス活性抑制が期待できる.
・製造方法効果D-c:キャンディ製剤・多価アルコール・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果.
・製造方法効果D-f:ソフトキャンディ製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果.
・製造方法効果D-h:キャンディ製剤・添加補助剤含有効果.
【0478】
【表12】
【0479】
それぞれの実施例において、表12に記載したようなそれぞれの効果が得られることを確認した。特に下記の効果が得られた。
【0480】
上記実施例により製造した甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤とを含有してなるソフトキャンディ製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、前述の[製剤効果D(キャンディ製剤):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」及び「製剤効果B-a」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来る。また、服用して舐めたり噛んだりすることにより唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる。さらに、キャンディ基剤として甘味剤を有することに起因して、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有する、ウイルス活性を抑制可能なシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]等の優れた効果が得られた。
【0481】
特に、前述の[製剤効果D:キャンディ製剤・シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留付着・唾液の分泌促進によるシアル酸誘導物質含有剤の口内放出促進]、[製剤効果D-j:ソフトキャンディ・シアル酸誘導物質含有剤の長時間の口内放出効果・長時間のウイルス活性抑制が期待できる]、及び、[製造方法効果D-f:ソフトキャンディ製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制)]を有するソフトキャンディ製剤が得られた。
【0482】
<グミキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について>
【実施例3-6a】
シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるとともに甘味剤を含有してなるグミキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
シアル酸誘導物質含有剤と甘味剤としてマルチトールを含有するキャンディ製剤として、グミキャンディの形態を有するキャンディ製剤を製造した。
【0483】
(A)第一甘味剤としてのマルチトールに水を加えて約120℃に加温溶解した後、次いで、第二甘味剤(蔗糖と酵素糖化水飴)、ゲル化剤(アラビアガム、ゼラチン)、等を仕込み、約80~約110℃で約30分間撹拌混合して溶解して、溶液中の固形分濃度が約70~75%になるように調製して、流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。
酵素糖化水飴を含有する試料において、酵素糖化水飴は15%の水を含有しているため、この15%の水に相当する水を除く第二甘味剤の合計重量が所望量になるように計算して、蔗糖(60重量%)と酵素糖化水飴(40重量%)との混合甘味剤を添加混合した。
【0484】
(B)前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、約70~約120℃の温度で、マルチトール含有加熱流動甘味剤と、前述の「実施例1-a」において調製した所定量のシアル酸誘導物質含有剤と、香料(イチゴエキス)、甘味補助剤(アセスルファムカリウム)、等の添加助剤を混合し、シアル酸誘導物質含有剤が含有されたシアル酸誘導物質含有剤含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製した。
【0485】
なお、前記(A)工程と前記(B)工程において、マルチトールと、シアル酸誘導物質含有剤、第二甘味剤、添加助剤の合計重量が200gになるように、それぞれの試料を調製した。
【0486】
(C)前記シアル酸誘導物質含有剤含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤をシリコーン樹脂製の成形型に流し込み、その後、冷蔵庫内で冷却固化させた。このようにして、複数個のシアル酸誘導物質含有剤含有マルチトール含有成形製剤を調製した。
【0487】
(D)複数個の前記シアル酸誘導物質含有剤含有マルチトール含有成形製剤を25℃の室温に置いた。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のキャンディ製剤を調製した。また、成形調製した全ての複数個のキャンディ製剤を集めた合計の重量を測定した。
【0488】
調製したキャンディ製剤に残存して含有される水の含有量は、調製した複数個のキャンディ製剤の合計の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水とマルチトールとシアル酸誘導物質含有剤と添加助剤の合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、キャンディ製剤の中に残存している水の含有率を算出した。
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水の含有量は25~30重量%の範囲にあることを確認した。
【0489】
これらの測定・実験結果を表13に示した。
なお、それぞれの試料には25~30重量%の水が含有されているが、表において、キャンディ製剤中のシアル酸誘導物質含有剤と甘味剤とその他の成分の含有割合において、水の含有量を除いて、シアル酸誘導物質含有剤と甘味剤とその他の成分の含有割合を記載して示した。
【0490】
上記それぞれのグミキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、それぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の含有成分、及び、それぞれの実施例により調製したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の下記の「製剤効果」と「製造方法効果」等の効果について、表13にまとめて示した。
表13において、「含有成分」欄における「○」印は「含有する」ことを示す。また、「効果の有無」欄において、「◎」印は「効果あり」を示し、「×」印は「効果に劣る」を示し、「○」印は「やや効果あり」を示す。
【0491】
なお、上記のそれぞれの調製した製剤に関する製剤効果の評価は、3人の実験者がそれぞれの得られた製剤を服用して、それぞれの製剤効果の有無を評価し、3名の実験者の内、2名以上の実験者が「効果あり」と評価した場合を「◎」と評価し、1名以上の実験者のみが「効果あり」と評価した場合を「○」と評価し、3名の実験者が「効果なし」と評価した場合を「×」と評価した。
【0492】
表13において、それぞれの「製剤効果」と「製造方法効果」の項目の詳細は、前述の[発明を実施するための形態]の項目に記載されているが、それらの要点を下記にまとめた。
・製剤効果A:容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果.
・製剤効果B:菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果
・製剤効果B-a:甘味剤・所望甘味が得られる効果.
・製剤効果D:キャンディ製剤・シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留付着・唾液の分泌促進によるシアル酸誘導物質含有剤の口内放出促進.
・製剤効果D-a:キャンディ製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー.
・製剤効果D-b:キャンディ製剤・添加補助剤含有効果・所望物性.
・製剤効果D-k:グミキャンディ製剤・シアル酸誘導物質含有剤の長時間の口内放出効果・長時間のウイルス活性抑制が期待できる.
・製造方法効果D-g:グミキャンディ製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果.
・製造方法効果D-h:キャンディ製剤・添加補助剤含有効果.
【0493】
【表13】
【0494】
それぞれの実施例において、表13に示されるような効果が得られることを確認した。
製造したキャンディ製剤は、弾力を有するグミキャンディの形態を有するキャンディ製剤であり、キャンディ製剤が、人の口中に服用された時に、口の中で噛み及び/又は舐めて長時間にわたって使用され、前記甘味剤口中唾液に溶解するとともに、シアル酸誘導物質含有剤が口中において唾液と一緒に長時間にわたって徐々に口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有することを確認した。また、人の口中に服用された時に、キャンディ製剤は甘味を有することを確認した。
【0495】
表13から明らかのように、グミキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化は認められないと共に、更に、30日保管後においても外観の変質は認められなかった。
【0496】
[キャンディ製剤のまとめ]
以上の実施例により、キャンディ基剤中に、シアル酸誘導物質含有剤と甘味剤とを含有してなるキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、前述の[製剤効果D:キャンディ製剤・シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留付着・唾液の分泌促進によるシアル酸誘導物質含有剤の口内放出促進.]の効果が期待できることを確認した。
【0497】
前述の[「実施例2-2:ウイルス活性抑制効果の有無確認実験」における「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」及び「シアル酸誘導物質含有剤のみ」が水により抽出されて、水に溶解してなるシアル酸誘導物質含有剤は優れたウイルス活性を抑制する効果を有すること]、及び、本実施例の、[シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるキャンディ製剤が口内に服用されて咀嚼された時、キャンディ製剤に含まれるシアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解されて口内に放出されて口内の粘膜に付着される]の双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるキャンディ製剤」は、前述の「インフルエンザウイルス」に対するウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0498】
更に、前述の「シアル酸誘導物質含有剤」についての前述の「実施例2-2」と前述の「実施例2-6」の「コロナウイルス」に対する実験結果との双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるキャンディ製剤」の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、「コロナウイルス」に対しても、ウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0499】
すなわち、「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるキャンディ製剤」は、前述の「インフルエンザウイルス」に対する前述の[製剤効果A]、[製剤効果B]、及び、[製剤効果C]の効果と同じように、「インフルエンザウイルス」に対しても、前述の[製剤効果A:(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)]、[製剤効果B:(菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果)]、及び、[製剤効果D:キャンディ製剤・シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留付着・唾液の分泌促進によるシアル酸誘導物質含有剤の口内放出促進.]の効果が期待できる。
【0500】
更に、前述の、[製剤効果D-a:キャンディ製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望甘味・健康的な低カロリー][製剤効果D-b:キャンディ製剤・添加補助剤含有効果・所望物性]、[製剤効果D-c:ハードキャンディ製剤・長時間のシアル酸誘導物質含有剤の口内滞留性・所望のハードキャンディ硬さ・所望の甘味舐め感]、[製剤効果D-d:ハードキャンディ製剤・マルチトールと水飴・優れた舐め感服用感]、[製剤効果D-e:ハードキャンディ製剤・マルチトールと多価アルコールによる外観変質抑制効果]、[製剤効果D-f:マルチトールと還元パラチノース・優れた舐め感服用感]、[製剤効果D-g:マルチトールと還元パラチノースと多価アルコール・優れた舐め感服用感・表面変質抑制効果]、[製剤効果D-j:ソフトキャンディ・シアル酸誘導物質含有剤の長時間の口内放出効果・長時間のウイルス活性抑制が期待できる]、[製剤効果D-k:グミキャンディ製剤・シアル酸誘導物質含有剤の長時間の口内放出効果・長時間のウイルス活性抑制が期待できる]の効果が得られることを確認した。
【0501】
更に、前述の、[製造方法効果D-c:キャンディ製剤・多価アルコール・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果]、[製造方法効果D-e:ハードキャンディ製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制]、[製造方法効果D-h:キャンディ製剤・添加補助剤含有効果・所望物性]、[製造方法効果D-c:キャンディ製剤・多価アルコール・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果・外観変質抑制効果]、[製造方法効果D-f:ソフトキャンディ製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果]、[製造方法効果D-h:キャンディ製剤・添加補助剤含有効果]、[製造方法効果D-g:グミキャンディ製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果]の効果が得られることを確認した。
【0502】
特に、「調製されたシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤を別途の実験において、約20~30℃、40~90%RH、の雰囲気中に30日間保管放置しても、外観の変化は全く認められなかった」の実験結果から、「ガム基剤としてポリイソブチレン等の疎水性を有する合成ゴム基剤を有する構成であることに起因して、シアル酸誘導物質含有剤がポリイソブチレン等の疎水性を有する合成ゴム基剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有する、ウイルス活性を抑制可能なチューインガム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]の効果が得られることを確認した。
【0503】
キャンディ基剤中に、シアル酸誘導物質含有剤と甘味剤とを含有してなるキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、服用した時に、咀嚼により、シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来る優れたウイルス活性抑制効果を奏することを確認した。
また、甘味剤、多価アルコール等の含有成分を所望に選択することにより、上記のそれぞれの所望の効果を有するキャンディ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られた。
【0504】
特に、キャンディ基剤中に300μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤含有シアル酸誘導物質含有剤含有製剤を含有してなるキャンディ製剤は、服用した時に、キャンディ菓子としての基本的な服用感を有すると共に、ガリガリ感のない優れた咀嚼感を有していた。
【0505】
更に、キャンディ基剤中に、シアル酸誘導物質含有剤と一緒に、グリセリン等の多価アルコールを含有することにより、咀嚼した時のシアル酸誘導物質含有シアル酸誘導物質含有剤に起因するがリガ感が抑制されることを確認した。
特に、マルチトールを含有するとともに多価アルコールを含有してなるハードキャンディ製剤は、保管中における表面白濁化等の外観変質が抑制される効果が得られた。
【0506】
<チョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について>
【実施例4】
シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を下記の方法により調製した。
なお、本実施例において、シアル酸誘導物質含有剤としては、前述の「実施例1-a」で調製した(b)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に50メッシュの篩を通過した約300μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤、又は、(d)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤、又は、(e)約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に170メッシュの篩を通過した約90μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を使用した。
また、甘味剤としてのマルチトール等の粉末状の甘味剤としては、前述の「実施例2-8」と類似の方法で所望の粒子径を有する粉末状の甘味剤を調製した。
例えば、(b)約500μm以下の粒子径を有するマルチトールを更に50メッシュの篩を通過した約300μm以下の粒子径を有するマルチトール、又は、(d)約500μm以下の粒子径を有するマルチトールを更に100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有するマルチトール、又は、(d)約500μm以下の粒子径を有するマルチトールを更に170メッシュの篩を通過した約90μm以下の粒子径を有するマルチトール、又は、(e)約500μm以下の粒子径を有するマルチトールを更に170メッシュの篩を通過した約90μm以下の粒子径を有するマルチトールを使用した。
【0507】
本実施例のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、「基剤の中にシアル酸誘導物質含有剤を含有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法であり、基剤が菓子基剤を含有し、菓子基剤がチョコレート基剤と甘味剤とを含有するチョコレートの形態を有し、人の口中に服用されて、舐めて使用された時に、及び/又は、噛み砕いて使用された時に、前記シアル酸誘導物質含有剤が前記菓子基剤と一緒に口内に放出されて、該菓子基剤と該シアル酸誘導物質含有剤が口内に滞留可能、又は、口内粘膜に付着可能に構成されてなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤であって、下記の製造方法により製造した。
【0508】
(A-1)約55℃の温度で、所定量のチョコレート基剤(所定量のココアニブ40gとココアバター20g)と、所定量の甘味剤(マルチトール、蔗糖、エリスリトール35g)と、添加補助剤(乳粉、レシチン、アスパルテーム)、を混合して、前記チョコレート基剤と前記甘味剤と前記添加補助剤とが均一に混合されたチョコレート基剤甘味剤含有混合物を調製した。
(A-2)調製したチョコレート基剤甘味剤含有混合物を、約60~約80℃で約20~24時間を要して、汎用の撹拌・コンチング装置を使用してコンチングを行って、粘土状のコンチング混合物を調製した。
(A-3)調製したコンチング混合物を、約50~55℃で5分間維持し、その後、約25~29℃に温度を下げて7分間維持し、再度約31~33℃で15分間維持し、このような慣用方法で、テンパリングを行って、テンパリング混合物を調製した。
(A-4)約28~33℃の温度で、調製したテンパリング混合物に所定量の粉末状のシアル酸誘導物質含有剤を添加し、混合して、シアル酸誘導物質含有剤を含有したチョコレート中間混合物を調製した。
(B)調製したシアル酸誘導物質含有剤を含有したチョコレート中間混合物をモールド型容器に投入して、約20℃に下げて、チョコレートの形態を有する板状形状に成形した。
【0509】
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤と、チョコレート基剤と、甘味剤と、添加補助剤と、を含有してなり、それそれの含有成分と含有量を備えたそれぞれのチョコレート製剤の形態を有してなるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
それぞれの調製したチョコレート製剤のそれぞれの含有成分等を表14に示した。なお、表14において、含有割合「%」は重量「g」で実験を行った。すなわち、1%は1gに相当する。また、レシチンは0.28gで微量であり、アスパルテームは0.03gで微量であり、これらの微量物質は、含有割合(%)には含まれなく、算出表示されていない。
【0510】
上記それぞれのチョコレートイ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、それぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の含有成分、及び、それぞれの実施例により調製したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の下記の「製剤効果」と「製造方法効果」等の効果について、表14にまとめて示した。
表14において、「含有成分」欄における「○」印は「含有する」ことを示す。また、「効果の有無」欄において、「◎」印は「効果あり」を示し、「×」印は「効果に劣る」を示し、「○」印は「やや効果あり」を示す。
【0511】
なお、上記のそれぞれの調製したチョコレートイ製剤に関する製剤効果の評価は、3人の実験者がそれぞれの得られたチョコレートイ製剤を服用して、それぞれの製剤効果の有無を評価し、3名の実験者の内、2名以上の実験者が「効果あり」と評価した場合を「◎」と評価し、1名以上の実験者のみが「効果あり」と評価した場合を「○」と評価し、3名の実験者が「効果なし」と評価した場合を「×」と評価した。
【0512】
表14において、それぞれの「製剤効果」と「製造方法効果」の項目の詳細は、前述の[発明を実施するための形態]の項目に記載されているが、それらの要点を下記にまとめた。
・製剤効果A:容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果.
・製剤効果B:菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果
・製剤効果B-a:甘味剤・所望甘味が得られる効果.
・製剤効果E:チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留・唾液分泌促進によるシアル酸誘導物質含有剤の口内放出効果.
・製剤効果E-a:カカオ由来原料に起因する苦み抑制効果.
・製剤効果E-b:好適なチョコレート服用感.
・製剤効果E-c:チョコレート製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望の甘味・健康的な低カロリー.
・製剤効果E-d:チョコレート製剤・マルチトール粒径・優れた服用感・健康的な低カロリー.
・製剤効果E-e:チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・良好な服用感.
・製造方法効果E:チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内粘膜に長時間付着可能効果・製造中における・シアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果.
・製造方法効果E-a:チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤の固有の味覚が抑制効果・製造中における熱劣化抑制効果.
・製造方法効果E-b:チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤の長時間の口内付着効果.
・製造方法効果E-g:チョコレート製剤・マルチトール粒径・優れた服用感.
・製造方法効果E-h:チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた服用感.
【0513】
【表14】
【0514】
前述の[「実施例2-2:ウイルス活性抑制効果の有無確認実験」における「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」及び「シアル酸誘導物質含有剤のみ」が水により抽出されて、水に溶解してなるシアル酸誘導物質含有剤は優れたウイルス活性を抑制する効果を有すること]、及び、本実施例の、[シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチョコレート製剤が口内に服用されて咀嚼された時、チョコレート製剤に含まれるシアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解されて口内に放出されて口内の粘膜に付着される]の双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチョコレート製剤」は、前述の「インフルエンザウイルス」に対するウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0515】
更に、前述の「シアル酸誘導物質含有剤」についての前述の「実施例2-2」と前述の「実施例2-6」の「コロナウイルス」に対する実験結果との双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチョコレート製剤」の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、「コロナウイルス」に対しても、ウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0516】
「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチョコレート製剤」は、前述の「インフルエンザウイルス」に対する前述の[製剤効果A]、[製剤効果B]、及び、[製剤効果C]の効果と同じように、「インフルエンザウイルス」に対しても、前述の[製剤効果A:(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)]、[製剤効果B:(菓子基剤、菓子を食する感覚と同じ感覚で服用可能であると共に容易な使用性・シアル酸誘導物質含有剤の長時間口内滞留・長時間ウイルス活性抑制効果)]、及び、前述の、[製剤効果E(チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留・唾液分泌促進によるシアル酸誘導物質含有剤の口内放出効果):前述の「製剤効果A」、「製剤効果B」及び「製剤効果B-a」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来た。また、服用して舐めたり噛んだりすることにより唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる。さらに、チョコレート基剤として甘味剤を含有することに起因して、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有する、ウイルス活性を抑制可能なチョコレート製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られた。
【0517】
更に、前述の、[製剤効果E-a:カカオ由来原料に起因する苦み抑制効果][製剤効果E-b:好適なチョコレート服用感]、[製剤効果E-c:チョコレート製剤・マルチトールと第二甘味剤・所望の甘味・健康的な低カロリー]、[製剤効果E-d:チョコレート製剤・マルチトール粒径・優れた服用感・健康的な低カロリー][製剤効果E-e:チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・良好な服用感]が得られた。
【0518】
更に、前述の、[製造方法効果E:チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内粘膜に長時間付着可能効果・製造中における・シアル酸誘導物質含有剤の劣化抑制効果]、[製造方法効果E-a:チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤の固有の味覚が抑制効果・製造中における熱劣化抑制効果]、[製造方法効果E-b:チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤の長時間の口内付着効果][製造方法効果E-g:チョコレート製剤・マルチトール粒径・優れた服用感]、[製造方法効果E-h:チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた服用感]が得られた。
【0519】
特に、実施例4-1aにおいて、マルチトールの粒子径が「150μm以下(50%)と300~420μm(50%)」の場合には、実施例4-1bと比べて、製剤効果E-d(チョコレート製剤・マルチトール粒径・優れた服用感)、製法効果E-g(チョコレート製剤・マルチトール粒径・優れた服用感)において、噛んだ時にややガリガリ感があり、やや劣ることが確認された。実施例4-1hにおいて、シアル酸誘導物質含有剤の粒子径が「150μm以下(50%)と300~420μm(50%)」の場合には、実施例4-1cと比べて、製剤効果E-e(チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・良好な服用感)、製法効果E-h(チョコレート製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・優れた服用感)において、噛んだ時にややガリガリ感があり、やや劣ることが確認された。
【0520】
<トローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について>
【実施例5-1】
シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を下記の方法により調製した。
(A)約25℃の室温で、所定量のシアル酸誘導物質含有剤と、甘味剤と、ショ糖ステアリン酸エステルとを秤量して、乳鉢で混合してこれらの粉末を破砕し、その後、100メッシュの篩を通して、約150μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤と甘味剤とショ糖ステアリン酸エステルとの粉末状のシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間混合物を調製した。
シアル酸誘導物質含有剤としては、[実施例1-a]で調製した粉末形状の燕巣エキス酵素処理粉末であって、100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を使用した。
甘味剤としては、マルチトール(三菱商事ライフサイエンス社製)、還元パラチノース(三井製糖社製)、エリスリトール(三菱ケミカルフーズ社製)、マンニトール(東和化成工業社製)等の粉末形状の甘味剤を使用し、これらのそれぞれ粉末状甘味剤を乳鉢で破砕し、その粉砕した粉末を100メッシュの篩を通して得た約150μm以下の粒子径を有する粉末状の甘味剤を使用した。
【0521】
なお、実施例5-1fにおいては、アル酸誘導物質含有剤は150μm以(50%)と300~420μm(50%)の異なる粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤の混合物を使用した。実施例5-1gにおいては、マルチトールは150μm以(50%)と300~420μm(50%)の異なる粒子径を有する粉末状マルチトールの混合物を使用した
【0522】
(B)約25℃の室温で、上記の調製したシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間混合物を、単発式打錠機を使用して、圧縮成型して、直径15mm、約1g/1錠の略扁平円柱状のトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0523】
それぞれの調製したトローチ製剤のそれぞれの含有成分、等を表15に示した。
なお、表15において、含有割合「%」は「重量%」で実験を行った。
【0524】
上記それぞれのトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、それぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の含有成分、及び、それぞれの実施例により調製したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の下記の「製剤効果」と「製造方法効果」等の効果について、表15にまとめて示した。
表15において、「含有成分」欄における「○」印は「含有する」ことを示す。また、「効果の有無」欄において、「◎」印は「効果あり」を示し、「×」印は「効果に劣る」を示し、「○」印は「やや効果あり」を示す。
【0525】
なお、上記のそれぞれの調製したトローチ製剤に関する製剤効果の評価は、3人の実験者がそれぞれの得られたトローチ製剤を服用して、それぞれの製剤効果の有無を評価し、3名の実験者の内、2名以上の実験者が「効果あり」と評価した場合を「◎」と評価し、1名以上の実験者のみが「効果あり」と評価した場合を「○」と評価し、3名の実験者が「効果なし」と評価した場合を「×」と評価した。
【0526】
表15において、それぞれの「製剤効果」と「製造方法効果」の項目の詳細は、前述の[発明を実施するための形態]の項目に記載されているが、それらの要点を下記にまとめた。
・製剤効果A:容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果.
・製剤効果K:トローチ製剤・シアル酸誘導物質含有剤の口内長時間滞留・長時間のウイルス活性抑制効果.
・製剤効果K-b:トローチ製剤・甘味剤・優れた甘味服用感.
・製剤効果K-c:トローチ製剤・マルチトールと還元パラチノース甘味剤・優れた甘味服用感と滑らか服用感.
・製剤効果K-d:トローチ製剤・シアル酸誘導物質含有剤の粒径・優れた咀嚼感.
・製剤効果K-e:トローチ製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有量・優れたウイルス活性抑制効果.
・製剤効果K-f:トローチ製剤・甘味剤粒径・優れた服用感.
・製造方法効果K:トローチ製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が抑制される効果.
【0527】
【表15】
【0528】
表15において、前述の[「実施例2-2:ウイルス活性抑制効果の有無確認実験」及び、本実施例の[シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるトローチ製剤が口内に服用されて咀嚼された時、トローチ製剤に含まれるシアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解されて口内に放出されて口内の粘膜に付着される]の双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるトローチ製剤」は、前述の「インフルエンザウイルス」に対するウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0529】
更に、前述の「シアル酸誘導物質含有剤」についての前述の「実施例2-2」と前述の「実施例2-6」の「コロナウイルス」に対する実験結果との双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるトローチ製剤」の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、「コロナウイルス」に対しても、ウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0530】
「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるトローチ製剤」は、[製剤効果K:製剤効果A(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高めることが出来た。また、服用して舐めたり噛んだりすることにより唾液の分泌が促されて、シアル酸誘導物質含有剤が唾液に溶解して口内に放出されやすくなる作用効果も得られる。さらに、トローチ基剤として甘味剤を含有することに起因して、シアル酸誘導物質含有剤が甘味剤に覆われた形態である為、一般家庭の室内の室温・湿度・明るさ等の通常雰囲気中に長期間保管放置しても、シアル酸誘導物質含有剤の吸湿、空気酸化、等による保管劣化等が生じることなく劣化を防止できる優れた保存・貯蔵における安定性を有する、ウイルス活性を抑制可能なトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られることを確認した。
【0531】
また、製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が認められなかった。すなわち、[製造方法効果K(トローチ製剤・チュアブル製剤・製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が抑制される効果):前述の「製造方法効果A(製造中における含有されるシアル酸誘導物質含有剤の劣化が生じない効果)」を有するトローチ製剤の製造方法]が得られる。
【0532】
また、トローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造中におけるシアル酸誘導物質含有剤の劣化は認められないと共に、更に、30日保管後においても外観の変質は認められなかった。
【0533】
また、「実施例5-1h」の甘味剤としてマルチトールと還元パラチノースとの双方の甘味剤を含有したトローチ製剤は、「実施例5-1a」~「実施例5-1g」の甘味剤としてマルチトールのみを含有するトローチ製剤と比べて、服用して舐めた時に、適度な硬さを有すると共に、バラバラに分解破錠することのない粘性の性質があり、口内で長時間の塊状を維持し、長時間のウイルス活性抑制が期待できることを確認した。
【0534】
また、「実施例5-1g」のマルチトールの粒子径が「150μm以下(50%)と300~420μm(50%)」の場合には、実施例5-1cと比べて、製剤効果K-f(トローチ製剤・マルチトール粒径・優れた服用感)において、服用して舐めていった時にややガリガリ感があり、服用感にやや劣ることが確認された。更に、「実施例5-1f」のシアル酸誘導物質含有剤の粒子径が「150μm以下(50%)と300~420μm(50%)」の場合には、実施例5-1cと比べて、製剤効果K-d(トローチ製剤・シアル酸誘導物質含有剤粒径・良好な服用感)において、服用して舐めていった時にややガリガリ感があり、服用感にやや劣ることが確認された。
【実施例0535】
シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を下記の方法により調製した。
(A-1)所定量のマルチトール(92g)、ヒドロキシプロピルセルロース(0.5g)、グリセリン(2g)、水(適量)等を、乳鉢の中に投入して、混練して混練物を調製した。得られた混練物を、約80℃の熱風乾燥機中で乾燥して、乾燥混練物を調製した。得られた乾燥混練物を乳鉢で破砕して、顆粒状の乾燥物を調製し、更に、その顆粒状の乾燥物を乳鉢で破砕して、破砕した乾燥混合物を100メッシュの篩を通して、150μm以下の粒子径を有し、少なくもトローチ基剤と甘味剤(マルチトール)とを有する粉末状のトローチ基剤中間混合物を調製した。
(A-2)約25℃の室温で、上記の調製した粒子径が150μm以下の粉末状トローチ基剤中間混合物(94.5g)と粒子径が150μm以下の粉末状のシアル酸誘導物質含有剤(5g)と粒子径が150μm以下のステアリン酸カルシウム(0.5g)を混合して、前記トローチ基剤と前記甘味剤と前記シアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合されたシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材を調製した。
【0536】
(B)約25℃の室温で、上記の調製したシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間混合物を、単発式打錠機を使用して、圧縮成型して、直径15mm、約1g/1錠の略扁平円柱状のトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0537】
このようにして調製したトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、上記の「製剤効果K:前述の「製剤効果A」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が、舐めている間中、口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高め、優れたウイルス活性抑制効果を奏することが出来る」等の効果が得られると共に、更に、上記の「製剤効果K-b」、「製剤効果K-d」、「製剤効果K-e」、「製剤効果K-f」等の効果を有するトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られることを確認した。
【実施例0538】
上記実施例5-2aにおいて、グリセリンを含有しなく、マルチトール(94g)を含有し、その他の成分が実施例5-2aと同じ構成を有するローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
上記の実施例5-2aの(A-1)工程と同じ方法により、マルチトール(94g)、ヒドロキシプロピルセルロース(0.5g)とを有する粉末状のトローチ基剤中間混合物を調製した。
上記の実施例5-2aの(A-2)工程と同じ方法により、シアル酸誘導物質含有剤(5g)とマルチトール(94g)とヒドロキシプロピルセルロース(0.5g)とステアリン酸カルシウム(0.5g)を有するトローチ基剤と甘味剤とシアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合されたシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材を調製した。
上記の実施例5-2aの(B)工程と同じ方法により、約25℃の室温で、上記の調製したシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間混合物を、単発式打錠機を使用して、圧縮成型して、直径15mm、約1g/1錠の略扁平円柱状のトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0539】
このようにして調製したトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、上記の「製剤効果K:前述の「製剤効果A」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が、舐めている間中、口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高め、優れたウイルス活性抑制効果を奏することが出来る」等の効果が得られると共に、更に、上記の「製剤効果K-b」、「製剤効果K-d」、「製剤効果K-e」、「製剤効果K-f」等の効果を有するトローチ製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られることを確認した。
【0540】
しかしながら、30日保管後におい、トローチ製剤の表面が僅かに白く濁った表面白化現象等の外観の変質が認められた。この外観変質は、含有される甘味剤としてのマルチトールに起因するものと想到される。すなわち、この表面白化現象は、トローチ製剤の製造過程において、マルチトールが水に溶解した状態を経る工程を有しているために、その水に溶解したマルチトールが固形化する工程を有することに起因するものと想到できる。
なお、このような表面白化現象等の外観変質は、上記の「実施例5-1c」のマルチトールに加えて更にグリセリンを含有したトローチ製剤の場合には認められなかった。すなわち、マルチトールに起因する表面白化現象等の外観変質は、マルチトールに加えてグリセリンを含有することにより、表面白化現象等の外観変質を抑制できるものである。
【0541】
<チュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について>
【実施例6-1】
シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を下記の方法により調製した。
(A-1)所定量のマルチトール(72g)、ヒドロキシプロピルセルロース(5.5g)、トウモロコシデンプン(16g)、グリセリン(1g)、水(適量)等を、乳鉢の中に投入して、混練して混練物を調製した。得られた混練物を、約80℃の熱風乾燥機中で乾燥して、乾燥混練物を調製した。得られた乾燥混練物を乳鉢で破砕して、顆粒状の乾燥物を調製し、更に、その顆粒状の乾燥物を乳鉢で破砕して、破砕した乾燥混合物を100メッシュの篩を通して、150μm以下の粒子径を有し、少なくもチュアブル基剤と甘味剤(マルチトール)とを有する粉末状のチュアブル基剤中間混合物を調製した。
(A-2)約25℃の室温で、上記の調製した粒子径が150μm以下の粉末状チュアブル基剤中間混合物(94.5g)と粒子径が150μm以下の粉末状のシアル酸誘導物質含有剤(5g)と粒子径が150μm以下のステアリン酸マグネシウム(0.5g)を混合して、前記チュアブル基剤と前記甘味剤と前記シアル酸誘導物質含有剤とが均一に混合されたシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間材を調製した。
シアル酸誘導物質含有剤としては、[実施例1-a]で調製した粉末形状の燕巣エキス酵素処理粉末であって、100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を使用した。
マルチトールとしては、「三菱商事ライフサイエンス株式会社製マルチトール(粉末形状)」を使用し、これらのそれぞれ粉末状甘味剤を乳鉢で破砕し、その粉砕した粉末を100メッシュの篩を通して得た約150μm以下の粒子径を有する甘味剤を使用した。
【0542】
(B)約25℃の室温で、上記の調製したシアル酸誘導物質含有剤均一含有中間混合物を、単発式打錠機を使用して、圧縮成型して、直径15mm、約1g/1錠の略扁平円柱状のチュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0543】
このようにして調製したチュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、上記の「製剤効果L:前述の「製剤効果A」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が、舐めている間、及び/又は噛み砕いている間、口内に長時間滞留して、シアル酸誘導物質含有剤が口内粘膜に更に長時間、付着することが可能であり、限られたシアル酸誘導物質含有剤の含有量を最大限に利用して、シアル酸誘導物質含有剤の利用効率を高め、優れたウイルス活性抑制効果を奏することが出来る」等の効果が得られると共に、更に、上記の「製剤効果L-b」、「製剤効果L‐d」、「製剤効果L‐e」、「製剤効果L‐f」等の効果を有するチュアブル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られることを確認した。
【0544】
<外用製剤の形態を有し、軟膏製剤、クリーム製剤、ゲルクリーム製剤、ゲル製剤、等の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について>
【実施例6】
シアル酸誘導物質含有剤を含有してなる外用製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤であって、軟膏製剤、クリーム製剤、ゲルクリーム製剤、ゲル製剤、等の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を下記の方法により調製した。
なお、本実施例において、シアル酸誘導物質含有剤としては、前述の「実施例1-a」で調製した約500μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を更に100メッシュの篩を通過した約150μm以下の粒子径を有するシアル酸誘導物質含有剤を使用した。
【実施例0545】
所定量の白色ワセリンとステアリルアルコールをガラス製容器に入れ、これを水浴上で約60度に加温して溶融し混合し、これに、粉末状のシアル酸誘導物質含有剤を添加して、シアル酸誘導物質含有剤が均一に混合されるまで充分に撹拌混合し、その後、その後、冷却しながら撹拌混合を続け、約25℃の室温に放置した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤(5.0g)、白色ワセリン(90.0g)、及び、ステアリルアルコール(5.0g)を含有してなる軟膏製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0546】
調製した軟膏製剤において、シアル酸誘導物質含有剤は白色ワセリンとステアリルアルコールの混合物の中に均一に分散されて含有されていた。
調製した軟膏剤は、40℃において、24時間放置後においても、流動性を有しない粘性を有し、含有成分の分離も認められなかった。
調製した軟膏製剤は、25℃~40℃において、流動性を有しない粘性を有し、鼻腔の中に塗布した時、鼻腔内に付着し、少なくとも、6時間、付着状態が維持された。
また、調製した軟膏製剤は、手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時、手指の皮膚表面に少なくとも、2時間、付着状態が維持された。
【実施例0547】
所定量のポリエチレングリコール4000とモノステアリン酸グリセリンをガラス製容器に入れ、これを水浴上で約50度に加温して溶融し混合し、これに、メントール粉末と粉末状のシアル酸誘導物質含有剤を添加して、シアル酸誘導物質含有剤が均一に混合されるまで充分に撹拌混合し、その後、冷却しながら撹拌混合を続け、約25℃の室温に放置した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤(10.0g)、モノステアリン酸グリセリン(39.0g)、ポリエチレングリコール4000(50.0g)、及び、メントール(1.0g)を含有してなる軟膏剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0548】
調製した軟膏製剤において、シアル酸誘導物質含有剤はポリエチレングリコール4000とモノステアリン酸グリセリンの混合物の中に均一に分散されて含有されていた。
調製した軟膏剤は、40℃において、24時間放置後においても、流動性を有しない粘性を有し、含有成分の分離も認められなかった。
調製した軟膏製剤は、25℃~40℃において、流動性を有しない粘性を有し、鼻腔の中に塗布した時、鼻腔内に付着し、少なくとも、6時間、付着状態が維持された。
また、調製した軟膏製剤は、手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時、手指の皮膚表面に少なくとも、2時間、付着状態が維持された。
【実施例0549】
所定量のシアル酸誘導物質含有剤を所定量の精製水に溶解して、シアル酸誘導物質含有剤含有水溶液を調製した。
所定量のステアリルアルコール、セタノール、パルミチン酸セチル、モノステアリン酸グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エデト酸酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、及び、所定量の精製水をガラス製容器に入れ、これを、水浴上で約50度に加温し、互いに混合し、これに、上記のシアル酸誘導物質含有剤含有水溶液を混合しながら添加していき、充分に混合し、その後、冷却しながら撹拌混合を続け、約25℃の室温に放置した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤(5.0g)、ステアリルアルコール(5.0g)、セタノール(4.0g)、パルミチン酸セチル(4.0g)、モノステアリン酸グリセリン(1.0g)、1,3-ブチレングリコール(1.0g)、エデト酸酢酸ナトリウム(0.1g)、パラオキシ安息香酸メチル(0.02g)、パラオキシ安息香酸プロピル(0.01g)、精製水(79.87g)を含有してなるクリーム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0550】
調製した軟膏剤において、シアル酸誘導物質含有剤はクリーム剤の中に均一に分散されて含有されていた。
調製したクリーム製剤は、40℃において、24時間放置後においても、流動性を有しない粘性を有し、含有成分の分離も認められなかった。
調製したクリーム製剤は、25℃~40℃において、流動性を有しない粘性を有し、鼻腔の中に塗布した時、鼻腔内に付着し、少なくとも、6時間、付着状態が維持された。
また、調製したクリーム製剤は、手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時、手指の皮膚表面に少なくとも、2時間、付着状態が維持された。
【実施例0551】
所定量のシアル酸誘導物質含有剤を所定量の精製水に溶解して、シアル酸誘導物質含有剤含有水溶液を調製した。
所定量のセタノール、スタアリルアルコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、メントール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、精製水、をガラス製容器に入れ、これを、水浴上で約50度に加温し、互いに混合し、これに、上記のシアル酸誘導物質含有剤含有水溶液を混合しながら添加していき、充分に混合し、その後、冷却しながら撹拌混合を続け、約25℃の室温に放置した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤(10.0g)、セタノール(5.0g)、スタアリルアルコール(15.0g)、プロピレングリコール(10.0g)、白色ワセリン(10.0g)、メントール(1.0g)、パラオキシ安息香酸メチル(0.02g)、パラオキシ安息香酸プロピル(0.01g)、及び、精製水(48.87g)を含有してなるクリーム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。、
【0552】
調製したクリーム製剤において、シアル酸誘導物質含有剤はクリーム製剤の中に均一に分散されて含有されていた。
調製したクリーム製剤は、40℃において、24時間放置後においても、流動性を有しない粘性を有し、含有成分の分離も認められなかった。
調製したクリーム製剤は、25℃~40℃において、流動性を有しない粘性を有し、鼻腔の中に塗布した時、鼻腔内に付着し、少なくとも、6時間、付着状態が維持された。
また、調製したクリーム製剤は、手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時、手指の皮膚表面に少なくとも、2時間、付着状態が維持された。
【実施例0553】
所定量のシアル酸誘導物質含有剤を所定量の精製水に溶解して、シアル酸誘導物質含有剤含有水溶液を調製した。
所定量の5%カルボキシビニルポリマー水溶液、1,3-ブチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ジイソプロパノールアミン、及び、精製水をガラス製容器に入れ、これを、水浴上で約50度に加温し、互いに混合し、これに、上記のシアル酸誘導物質含有剤含有水溶液を混合しながら添加していき、充分に混合し、その後、冷却しながら撹拌混合を続け、約25℃の室温に放置した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤(10.0g)、5%カルボキシビニルポリマー水溶液(40.0g:カルボキシビニルポリマー2g、水38g)、1,3-ブチレングリコール(5.0g)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(1.0g)、ジイソプロパノールアミン(1.0g)、及び、精製水(43.0g)を含有してなるゲル製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0554】
調製したゲル製剤において、シアル酸誘導物質含有剤はゲル剤の中に均一に分散されて含有されていた。
調製したゲル製剤は、40℃において、24時間放置後においても、流動性を有しない粘性を有し、含有成分の分離も認められなかった。
調製したゲル製剤は、25℃~40℃において、流動性を有しない粘性を有し、鼻腔の中に塗布した時、鼻腔内に付着し、少なくとも、6時間、付着状態が維持された。
また、調製したゲル製剤は、手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時、手指の皮膚表面に少なくとも、2時間、付着状態が維持された。
【実施例0555】
所定量のシアル酸誘導物質含有剤を所定量の精製水に溶解して、シアル酸誘導物質含有剤含有水溶液を調製した。
所定量の5%カルボキシビニルポリマー水溶液、1,3-ブチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、2%水酸化ナトリウム、ラウロマクロゴール、及び、精製水をガラス製容器に入れ、これを、水浴上で約50度に加温し、互いに混合し、これに、上記のシアル酸誘導物質含有剤含有水溶液を混合しながら添加していき、充分に混合し、その後、冷却しながら撹拌混合を続け、約25℃の室温に放置した。
このようにして、シアル酸誘導物質含有剤(5.0g)、5%カルボキシビニルポリマー水溶液(30.0g:カルボキシビニルポリマー2g、水38g)、1,3-ブチレングリコール(5.0g)、ミリスチン酸イソプロピル(10.0g)、2%水酸化ナトリウム(30.0g:水酸化ナトリウム0.6g、水29.4g)、ラウロマクロゴール(2.0g)、及び、精製水(18.0g)を含有してなるゲルクリーム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
【0556】
調製したゲルクリーム製剤は、40℃において、24時間放置後においても、流動性を有しない粘性を有し、含有成分の分離も認められなかった。
調製したゲルクリーム製剤は、25℃~40℃において、流動性を有しない粘性を有し、鼻腔の中に塗布した時、鼻腔内に付着し、少なくとも、6時間、付着状態が維持された。また、調製したゲルクリーム製剤を手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時、手指の皮膚表面に、少なくとも、2時間、付着状態が維持された。
【0557】
以上のように、[実施例6-1a]と[実施例6-1b]の軟膏製剤、[実施例6-2a]と[実施例6-2b]のクリーム製剤、[実施例6-3a]のゲル製剤、[実施例6-3b]のゲルクリーム製剤が、人体皮膚に付着された場合、前述の[製剤効果F(外用製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間皮膚に付着状態を維持・):前述の「製剤効果A」、を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に均一に含有された外用製剤が得られ、外用製剤が人体の皮膚に塗布又は噴霧された場合に、塗布又は噴霧された外用製剤は、皮膚に長時間、付着状態を維持し、これにより、皮膚に塗布された外用製剤にウイルスが捕捉されて、付着状態を維持している間、ウイルスの活性を抑制することが期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。外用剤基剤が蒸発除去され難い成分である場合には、外用製剤の中に含有されているシアル酸誘導物質含有剤は長時間、皮膚に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。また、外用剤基剤が蒸発除去され易い成分である場合においても、シアル酸誘導物質含有剤の一部は皮膚に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。また、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に溶解及び/又は分散されている為に、シアル酸誘導物質含有剤が空気中の酸素と接触することなく、これにより、シアル酸誘導物質含有剤の保管中における劣化が抑制される]効果が得られることが確認された。
【0558】
特に、「実施例6」における軟膏製剤、クリーム製剤、ゲル製剤、又は、ゲルクリーム製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が、人の鼻腔内及び/又は皮膚に塗布された時に、前述の[製剤効果G-b(外用製剤・鼻腔用・皮膚用・クリーム剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間鼻腔内や皮膚に付着可能・外部から侵入してきたウイルスの捕獲が期待できる効果):前述の「製剤効果A」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に均一に含有された外用製剤が得られ、外用製剤が人体の鼻腔内及び/又は皮膚に塗布された場合に、塗布された外用製剤は、鼻腔内の粘膜及び/又は皮膚に長時間、付着状態を維持し、これにより、鼻腔及び/又は皮膚に塗布された外用製剤にウイルスが捕捉されて、付着状態を維持している間、ウイルスの活性を抑制することが期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。外用剤基剤が蒸発除去され難い成分である場合には、外用製剤の中に含有されているシアル酸誘導物質含有剤は長時間、鼻腔内及び/又は皮膚に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。また、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に、溶解及び/又は分散されてシアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤に覆われた状態である為に、シアル酸誘導物質含有剤が空気中の酸素と接触することなく、これにより、シアル酸誘導物質含有剤の保管中における劣化が抑制される。更に、クリーム剤、一般に、ベトツキが無く、水により容易に除去可能であり、その為に、塗布が必要でなくなった場合に、容易に水洗により除去できる効果]が得られることが確認された。
【0559】
前述の[「実施例2-2:ウイルス活性抑制効果の有無確認実験」における「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」及び「シアル酸誘導物質含有剤のみ」が水により抽出されて、水に溶解してなるシアル酸誘導物質含有剤は優れたウイルス活性を抑制する効果を有すること]、及び、本実施例の、[シアル酸誘導物質含有剤を含有してなる軟膏製剤、クリーム製剤、ゲル製剤、ゲルクリーム製剤の外用製剤が皮膚に塗布、又は、鼻腔内に塗布された時、外用製剤に含まれるシアル酸誘導物質含有剤が皮膚や鼻腔内粘膜に付着される]の双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなる軟膏製剤、クリーム製剤、ゲル製剤、ゲルクリーム製剤」は、前述の「インフルエンザウイルス」に対するウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0560】
更に、前述の「シアル酸誘導物質含有剤」についての前述の「実施例2-2」と前述の「実施例2-6」の「コロナウイルス」に対する実験結果との双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなる外用製剤」の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、「コロナウイルス」に対しても、ウイルス活性を抑制する効果が得られることが期待できる。
【0561】
<外用製剤の形態を有し、液製剤、又は、スプレー製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について>
[実施例6-4a]~[実施例6-4d]
25℃の雰囲気において、所定量のシアル酸誘導物質含有剤を所定量の精製水に溶解して、シアル酸誘導物質含有剤含有水溶液を調製した。このシアル酸誘導物質含有剤含有水溶液に撹拌しながら所定量の低級アルコール(エタノール又はイソプロピルアルコールを混合しながら添加していき、充分に混合し、その後、冷却しながら撹拌混合を続け、このようにして、所定量のシアル酸誘導物質含有剤、精製水及び低級アルコールからなる液製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
調製したそれぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、シアル酸誘導物質含有剤の溶解性、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤を手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時における、使用感を観察した。
調製したそれぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤に関する実験結果を表16に示した。
【0562】
[実施例6-4e]~[実施例6-4g]
25℃の雰囲気において、所定量のシアル酸誘導物質含有剤を所定量の精製水に溶解して、シアル酸誘導物質含有剤含有水溶液を調製した。このシアル酸誘導物質含有剤含有水溶液に撹拌しながら、所定量の多価アルコール(1,3-ブチレングリコール、又は、グリセリン)と低級アルコール(エタノール又はイソプロピルアルコール)を混合しながら添加していき、充分に混合し、その後、冷却しながら撹拌混合を続け、このようにして、シアル酸誘導物質含有剤と精製水と低級アルコールと多価アルコールからなる液製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
調製したそれぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、シアル酸誘導物質含有剤の溶解性、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤を手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時における、使用感を観察した。
調製したそれぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤に関する実験結果を表16に示した。
【実施例0563】
25℃の雰囲気において、所定量のシアル酸誘導物質含有剤を所定量の精製水に溶解して、シアル酸誘導物質含有剤含有水溶液を調製した。このようにして、シアル酸誘導物質含有剤と精製水からなる液製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を調製した。
調製したそれぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤について、シアル酸誘導物質含有剤の溶解性、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤を手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時における、使用感を観察した。
調製したそれぞれのシアル酸誘導物質含有剤含有製剤に関する実験結果を表16に示した。
【0564】
【表16】
【0565】
表16において、以下の事項を確認した。
上記それぞれの実施例において、前述の「製剤効果A:(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)容易に簡便に使用可能であるとともに、長時間のウイルス活性抑制効果が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる」が得られると共に、前述の「製剤効果F(外用製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間皮膚に付着状態を維持・):前述の「製剤効果A」、を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に均一に含有された外用製剤が得られ、外用製剤が人体の皮膚に塗布又は噴霧された場合に、塗布又は噴霧された外用製剤は、皮膚に長時間、付着状態を維持し、これにより、皮膚に塗布された外用製剤にウイルスが捕捉されて、付着状態を維持している間、ウイルスの活性を抑制することが期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。外用剤基剤が蒸発除去され難い成分である場合には、外用製剤の中に含有されているシアル酸誘導物質含有剤は長時間、皮膚に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。また、外用剤基剤が蒸発除去され易い成分である場合においても、シアル酸誘導物質含有剤の一部は皮膚に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。また、シアル酸誘導物質含有剤が外用剤基剤の中に溶解及び/又は分散されている為に、シアル酸誘導物質含有剤が空気中の酸素と接触することなく、これにより、シアル酸誘導物質含有剤の保管中における劣化が抑制される」効果が得られることを確認した。
【0566】
特に、「実施例6-4b」、「実施例6-4c」、「実施例6-4d」の「水の含有量が低級アルコールの含有量よりも同等以上(1倍以上)を有する混合溶剤」を構成したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、前述の[製剤効果F-a(水と低級アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上):前述の「製剤効果A(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)及び製剤効果F(外用製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間皮膚に付着状態を維持)を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が混合溶剤に分離することなく良好に溶解して、保管中におけるシアル酸誘導物質含有剤の沈降分離も無く、皮膚に付着した場合に、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間皮膚に付着状態を維持する効果が得られる]効果が得られる。
【0567】
更に、特に、「実施例6-4d」、「実施例6-4e」、「実施例6-4f」、「実施例6-4g」の水と低級アルコールに加えて更に多価アルコールからなる混合溶剤を備えたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、前述の[製剤効果F-b(水と低級アルコールと多価アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上とシアル酸誘導物質含有剤の脱離が抑制):前述の「製剤効果F-a(水と低級アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上)」が更に著しく向上するとともに、皮膚からのシアル酸誘導物質含有剤の脱離が抑制した液製剤、ローション製剤、又は、スプレー製剤がえられる]効果が得られる。
また、これらの実施例のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時、約10秒後に水分が蒸発し、手指の皮膚表面には滑々した感触が残り、シアル酸誘導物質含有剤が手指に付着した感覚を確認した。
また、調製した液剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤をスプレー容器の中に入れて、手指の皮膚に向けてスプレー塗布した場合、液製剤は、好適に、手指の皮膚に付着された。
【0568】
これに対して、「実施例6-4a」及び「実施例6-4g」の「水の含有量が低級アルコールの含有量よりも同等以下)を有する混合溶剤」を構成したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤においては、白濁したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られた。その白濁したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を24時間放置した時、沈殿物が発生して、液相と沈殿層との2層に分離した。すなわち、沈殿層の沈殿物はシアル酸誘導物質含有剤が沈殿したものであることが想到される。
【0569】
なお、液相と沈殿層との2層に分離したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を、強く振とうすることにより、沈殿物が液剤の中に分散して、白濁したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られた。この、2層に分離したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を強く振とうして白濁したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時、約10秒後に水分が蒸発し、手指の皮膚表面には滑々した感触が残り、シアル酸誘導物質含有剤が手指に付着した感覚を確認した。すなわち、液相と沈殿層との2層に分離したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤であっても、使用する直前に強く振とうすることにシアル酸誘導物質含有剤が均一に分散含有された形態にすることが可能であるが、シアル酸誘導物質含有剤が溶解された液製剤と比べてやや不便を感じた。
【0570】
また、液相と沈殿層との2層に分離したシアル酸誘導物質含有剤含有製剤を約60日間、室温雰囲気中に放置した時、沈殿層が硬く固まって、振とうしても、沈殿層の沈殿物が液中に分散されない傾向が生じた。
【0571】
また、溶剤として、低級アルコールや多価アルコールを含有しない精製水のみを使用してシアル酸誘導物質含有剤を溶解した液製剤形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤を手指の皮膚に塗布して手指を互いに擦り合わせて付着した時において、約30秒後に水分が蒸発した。すなわち、水に加えて低級アルコールを加えた混合溶剤を構成した液剤形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、精製水のみを使用してシアル酸誘導物質含有剤を溶解した液剤形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤と比べて、水分の蒸発までの時間が短時間であり、このために、使用感に優れる効果が得られた。
【0572】
前述の[「実施例2-2:ウイルス活性抑制効果の有無確認実験」における「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」及び「シアル酸誘導物質含有剤のみ」が水により抽出されて、水に溶解してなるシアル酸誘導物質含有剤は優れたウイルス活性を抑制する効果を有すること]、及び、本実施例の、[シアル酸誘導物質含有剤を含有してなる液製剤、スプレー製剤等の外用製剤が皮膚に塗布された時、外用製剤に含まれるシアル酸誘導物質含有剤が皮膚に付着される]の双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなる液製剤、スプレー製剤等の外用製剤」は、前述の「インフルエンザウイルス」に対するウイルス活性抑制効果が得られることが期待できる。
【0573】
更に、前述の「シアル酸誘導物質含有剤」についての前述の「実施例2-2」と前述の「実施例2-6」の「コロナウイルス」に対する実験結果との双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなる液製剤、スプレー製剤等の外用製剤」の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、「コロナウイルス」に対しても、ウイルス活性抑制効果が得られることが期待できる。
【0574】
<物品付着用製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について>
物品付着用製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤としては、上記の「外用製剤の形態を有し、液製剤、又は、スプレー製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤の実施例について」において調製した[実施例6-4a]~[実施例6-4h]の外用液剤を、「物品付着用製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」として使用することができる。
特に、溶剤として「水と低級アルコールとの混合溶剤」を使用した「実施例6-4b」、「実施例6-4c」、「実施例6-4d」、及び、「水と低級アルコールに加えて多価アルコールを含有する混合溶剤」を使用した「実施例6-4e」と「実施例6-4f」のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が、物品付着用製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤として、好ましく実施できる。
【0575】
上記の調製したそれぞれの液製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤をスプレー容器の中に入れて、食卓テーブル表面に向けてスプレー塗布した場合、液製剤は、好適に、食卓テーブル表面に付着された。食卓テーブル表面に付着されたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、約10秒後に水分が蒸発し、食卓テーブル表面には残差膜が残り、シアル酸誘導物質含有剤が食卓テーブル表面に付着した感覚を確認した。
【0576】
また、上記の調製したそれぞれの液製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤に織布製雑巾を浸漬し、その後、織布製雑巾を軽く絞って、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤を含浸した織布製雑巾を使用して、食卓テーブル表面に付着した場合、食卓テーブル表面に付着されたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、約10秒後に水分が蒸発し、食卓テーブル表面には残差膜が残り、シアル酸誘導物質含有剤が食卓テーブル表面に付着した状態を確認した。
【0577】
また、調製した液製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤をスプレー容器の中に入れて、不織布製マスク、布製マスクに向けてスプレー塗布した場合、液製剤は、好適に、不織布製マスク、布製マスクに付着された。不織布製マスク、布製マスクに付着されたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、約15秒後に水分が蒸発し、不織布製マスク、布製マスクには残差膜が残り、シアル酸誘導物質含有剤が不織布製マスク、布製マスクに付着した状態を確認した。
【0578】
また、上記と同様に、調製した液製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤をスプレー容器の中に入れて、ポリエステル繊維製ガウンに向けてスプレー塗布した場合、液製剤は、好適に、ポリエステル繊維製ガウンに付着された。ポリエステル繊維製ガウンに付着されたシアル酸誘導物質含有剤含有製剤において、約15秒後に水分が蒸発し、ポリエステル繊維製ガウンには残差膜が残り、シアル酸誘導物質含有剤がポリエステル繊維製ガウンに付着した状態を確認した。
【0579】
本「実施例」のシアル酸誘導物質含有剤を含有してなる物品付着用製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤により、前述の[製剤効果H(物品付着用製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間物品に付着可能・付着したウイルスの捕獲が期待できる効果):前述の「製剤効果A」を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が物品付着用基剤の中に均一に含有された物品付着用製剤が得られ、物品付着用製剤が物品に塗布、スプレー塗布等により付着された場合に、付着された物品付着用製剤は、物品に長時間、付着状態を維持し、これにより、物品に付着された物品付着用製剤にウイルスが捕捉されて、付着状態を維持している間、ウイルスの活性を抑制することが期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤]が得られる。物品付着用基剤が蒸発除去され難い成分である場合には、物品付着用製剤の中に含有されているシアル酸誘導物質含有剤は長時間、物品に付着した状態を維持し、その間、ウイルスの活性を抑制することが期待できる。また、シアル酸誘導物質含有剤が物品付着用基剤の中に、溶解及び/又は分散されてシアル酸誘導物質含有剤が物品付着用基剤に覆われた状態である為に、シアル酸誘導物質含有剤が空気中の酸素と接触することなく、これにより、シアル酸誘導物質含有剤の保管中における劣化が抑制される効果]が得られることが確認された。
【0580】
また、前述の「外用製剤の形態を有し、液製剤、又は、スプレー製剤の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤」と同じように、シアル酸誘導物質含有剤が、水と低級アルコール(エタノール、プロピルアルコール)との混合用溶剤中に溶解してなる液製剤形態又はスプレー製剤形態のシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が、容易に、簡便に、物品に塗布して使用可能である。
【0581】
この構成により、[製剤効果H-a(物品付着用製剤・水と低級アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上):前述の「製剤効果A(容易な使用性と長時間ウイルス活性抑制が期待できる効果)及び製剤効果H(物品付着用製剤・シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間物品に付着状態を維持)を有すると共に、シアル酸誘導物質含有剤が混合溶剤に分離することなく良好に溶解して、保管中におけるシアル酸誘導物質含有剤の沈降分離も無く、物品に付着した場合に、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤が長時間物品に付着状態を維持する効果が得られる]効果が得られた。
【0582】
また、水とエタノールに加えて、更に、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、等の多価アルコールを混合してなる混合溶剤を構成して、シアル酸誘導物質含有剤がその混合溶剤に溶解してなる液製剤、ローション製剤、又は、スプレー製剤が好ましく実施可能である。水とエタノールに加えて多価アルコールの含有した混合溶剤の構成により、シアル酸誘導物質含有剤の溶解性が更に向上すると共に、更に、物品に付着した場合に、物品からのシアル酸誘導物質含有剤の脱離が抑制されて、長時間、物品に付着維持できる効果が得られた。
【0583】
すなわち、[製剤効果H-b(物品付着用製剤・水と低級アルコールと多価アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上とシアル酸誘導物質含有剤の脱離が抑制):前述の「製剤効果H-a(水と低級アルコールの混合溶剤によるシアル酸誘導物質含有剤の溶解性向上)」が更に著しく向上するとともに、物品からのシアル酸誘導物質含有剤の脱離が抑制した液製剤、ローション製剤、又は、スプレー製剤が得られる]効果が得られた。
【0584】
前述の[「実施例2-2:ウイルス活性抑制効果の有無確認実験」における「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなるチューインガム製剤」及び「シアル酸誘導物質含有剤のみ」が水により抽出されて、水に溶解してなるシアル酸誘導物質含有剤は優れたウイルス活性を抑制する効果を有すること]、及び、本実施例の、[シアル酸誘導物質含有剤を含有してなる液製剤、スプレー製剤等の物品付着用製剤が物品に塗布された時、物品付着用製剤に含まれるシアル酸誘導物質含有剤が物品に付着される]の双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなる液製剤、スプレー製剤等の物品付着用製剤」は、前述の「インフルエンザウイルス」に対するウイルス活性抑制効果が得られることが期待できる。
【0585】
更に、前述の「シアル酸誘導物質含有剤」についての前述の「実施例2-2」と前述の「実施例2-6」の「コロナウイルス」に対する実験結果との双方の実験結果を勘案して、本実施例の「シアル酸誘導物質含有剤を含有してなる液製剤、スプレー製剤等の物品付着用製剤」の形態を有するシアル酸誘導物質含有剤含有製剤は、「コロナウイルス」に対しても、ウイルス活性抑制効果が得られることが期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0586】
容易に使用可能であるとともに、ウイルスの活性を抑制する、及び/又は、ウイルスの増殖を抑制する、及び/又は、ウイルスに感染することを抑制する、等のウイルス活性抑制効果が期待できるとともに、これらのウイルス活性抑制効果の長時間の持続発揮が期待できるシアル酸誘導物質含有剤含有製剤が得られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11