(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121371
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】分析システム、装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 29/10 20060101AFI20220812BHJP
G01R 29/26 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
G01R29/10 D
G01R29/26 E
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183870
(22)【出願日】2021-11-11
(62)【分割の表示】P 2021544938の分割
【原出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】592105859
【氏名又は名称】株式会社東陽テクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】李 从兵
(72)【発明者】
【氏名】北川 和
(72)【発明者】
【氏名】三浦 望
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】東 直樹
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業者によるノイズの原因特定作業の負担を軽減すること。
【解決手段】サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理部117と、推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定部118と、前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成部116と、を備える、分析システム1が提供される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理部と、
推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定部と、
前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成部と、
を備える、分析システム。
【請求項2】
前記周波数スペクトルデータの一部は、周波数スペクトルデータに含まれる特異的波形部分である、請求項1に記載の分析システム。
【請求項3】
前記特異的波形部分は、周波数スペクトルデータに含まれるピーク波形部分である、請求項2に記載の分析システム。
【請求項4】
前記分類は、ノイズにより周波数スペクトラム上に生じる典型的波形による分類である、請求項1に記載の分析システム。
【請求項5】
前記典型的波形は、単一の周波数にピークをもつ狭帯域波形と、所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持しかつその周波数範囲の始点と終点の近傍のそれぞれにピークをもつ拡散狭帯域波形と、前記狭帯域波形及び前記拡散狭帯域波形に該当せずかつ所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持する広帯域波形とを含む、請求項4に記載の分析システム。
【請求項6】
前記拡散狭帯域波形は、スペクトラム拡散型発信器に由来して生じたものである、請求項5に記載の分析システム。
【請求項7】
前記原因部品データは、対応するノイズに対する対策関連情報を含む、請求項1に記載の分析システム。
【請求項8】
前記対策関連情報に含まれるキーワードに基づいて、ノイズ対策に関連する情報を含む対策データベースを参照して関連情報を取得する、第1のデータベース参照部をさらに備える、請求項7に記載の分析システム。
【請求項9】
前記対策データベースには、書籍情報及び対策レポート情報が含まれる、請求項8に記載の分析システム。
【請求項10】
前記参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を前記サンプル測定データの全部又は一部と共にクラスタリング処理することにより、前記参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と類似する周波数スペクトルデータを含む類似測定データを特定する、クラスタリング処理部をさらに備える、請求項1に記載の分析システム。
【請求項11】
前記クラスタリング処理は、DBSCANを利用して行われる、請求項10に記載の分析システム。
【請求項12】
前記類似測定データに基づいて、関連する測定データである関連測定データを特定する、関連測定データ特定部と、
前記関連測定データのうち、ノイズの抑制効果に関する指標が良好な測定データを特定する、効果判定部と、を備える請求項10に記載の分析システム。
【請求項13】
前記関連測定データは、前記類似測定データと時間的に同時期に測定された測定データである、請求項12に記載の分析システム。
【請求項14】
ノイズの抑制効果に関する指標が良好な前記測定データは、対応するノイズに対する対策関連情報を含み、
前記分析システムは、さらに、
前記指標が良好な前記測定データに対応する前記対策関連情報に含まれるキーワードに基づいて、過去のノイズ対策に関連する情報を含む対策データベースを参照して関連情報を取得する、第2のデータベース参照部を備える、請求項12に記載の分析システム。
【請求項15】
前記対策データベースには、書籍情報及び対策レポート情報が含まれる、請求項14に記載の分析システム。
【請求項16】
前記関連情報が肯定的情報か否定的情報かを判定する、内容判定部をさらに備え、
前記提示情報生成部は、前記内容判定部の判定結果に基づいて、前記関連情報のうち肯定的情報に関するユーザへの提示情報を生成する、請求項14に記載の分析システム。
【請求項17】
サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理部と、
推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定部と、
前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成部と、
を備える、分析装置。
【請求項18】
サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理ステップと、
推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定ステップと、
前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成ステップと、
を備える、分析方法。
【請求項19】
サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理ステップと、
推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定ステップと、
前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成ステップと、
を備える、分析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器等の電磁波干渉(EMI: Electro Magnetic Interference)対策の分野に関し、特に、電子機器等に由来するノイズへの対策を支援する装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器等が放射する電磁波は、他の電子機器等の機能を妨害する電磁波干渉(EMI)の原因となり得る。そのため、誤作動や故障なく電子機器等を正常に動作させるためには、電子機器等に由来する電磁的なノイズ(又は妨害波)への対策が必要となる。
【0003】
このようなノイズ対策に従事する作業者は、従前、測定データを分析するソフトウェア(例えば、特許文献1)を用いて、対象となる周波数スペクトラム等の波形を観察してノイズ部分を特定し、経験や過去のデータとの比較に基づいてノイズの原因を推定し、当該原因に応じた対応策を講じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、電子機器等の高密度化等により、ノイズの原因特定が困難化しており、その対策時間及び費用が増大している。そのため、ノイズの原因特定作業の効率化が望まれている。
【0006】
本発明は、上述の技術的背景の下になされたものであり、その目的とするところは、ノイズ対策に従事する作業者が、その熟練度やスキルに依らずに、効率的にノイズの原因特定を行うことを可能とする技術を提供し、それにより、作業者によるノイズの原因特定作業の負担を軽減することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の技術的課題は、以下の構成を有する分析システム、装置、方法及びプログラムにより解決することができる。
【0009】
すなわち、本発明に係る分析システムは、サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理部と、推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定部と、前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成部と、を備えている。
【0010】
このような構成によれば、推論された分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データが特定されて提示されるので、ノイズの原因となる部品を効率的かつ的確に特定することができる。すなわち、ノイズの原因特定作業の負担を軽減することができる。なお、サンプル測定データは、例えば、過去の測定データ等を含む。
【0011】
前記周波数スペクトルデータの一部は、周波数スペクトルデータに含まれる特異的波形部分であってもよい。
【0012】
このような構成によれば、ノイズ候補となる特異的な波形部分のデータを元に分類を推論することができるため、効率的なノイズ原因推定を行うことができる。
【0013】
前記特異的波形部分は、周波数スペクトルデータに含まれるピーク波形部分であってもよい。
【0014】
このような構成によれば、ノイズ候補となるピーク波形部分のデータを元に分類を推論することができるため、効率的なノイズ原因推定を行うことができる。
【0015】
前記分類は、ノイズにより周波数スペクトラム上に生じる典型的波形による分類であってもよい。
【0016】
このような構成によれば、ノイズにより周波数スペクトラム上に典型的に生じる波形に基づいて分類を行うので、大まかにノイズの分類を行った上で、そのノイズの発生原因となる部品を特定することができるので、ノイズの原因となっている部品をより効率的かつ的確に特定することができる。
【0017】
前記典型的波形は、単一の周波数にピークをもつ狭帯域波形と、所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持しかつその周波数範囲の始点と終点の近傍のそれぞれにピークをもつ拡散狭帯域波形と、前記狭帯域波形及び前記拡散狭帯域波形に該当せずかつ所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持する広帯域波形とを含む、ものであってもよい。
【0018】
このような構成によれば、電子機器等を構成する部品に由来する電磁的なノイズに典型的にみられる波形に基づいてノイズを分類することができる。
【0019】
前記拡散狭帯域波形は、スペクトラム拡散型発信器に由来して生じたものであってもよい。
【0020】
このような構成によれば、スペクトラム拡散型発信器によるノイズ対策がなされた電子機器等に対しても、適切なノイズ対策を行うことができる。
【0021】
前記原因部品データは、対応するノイズに対する対策関連情報を含む、ものであってもよい。
【0022】
このような構成によれば、ノイズの原因部品の特定と共にその対策関連情報を特定することができる。
【0023】
前記対策関連情報に含まれるキーワードに基づいて、ノイズ対策に関連する情報を含む対策データベースを参照して関連情報を取得する、第1のデータベース参照部をさらに備える、ものであってもよい。
【0024】
このような構成によれば、ノイズ対策に関連する情報を総合的に得ることができ、多角的な検討を行うことが可能となる。
【0025】
前記対策データベースには、書籍情報及び対策レポート情報が含まれる、ものであってもよい。
【0026】
このような構成によれば、書籍情報や過去の対策レポート情報等により、多角的な検討を行うことが可能となる。
【0027】
前記参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を前記サンプル測定データの全部又は一部と共にクラスタリング処理することにより、前記参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と類似する周波数スペクトルデータを含む類似測定データを特定する、クラスタリング処理部をさらに備える、ものであってもよい。
【0028】
このような構成によれば、類似の測定データを参照することができるので、ノイズの原因推定を効率的かつ的確に行うことができる。また、原因部品データと合わせてより多角的なノイズの原因推定を行うことができる。
【0029】
前記クラスタリング処理は、DBSCANを利用して行われる、ものであってもよい。
【0030】
このような構成によれば、明示的にクラスタ数を指定することなく、類似データを特定することができる。
【0031】
前記類似測定データに基づいて、関連する測定データである関連測定データを特定する、関連測定データ特定部と、前記関連測定データのうち、ノイズの抑制効果に関する指標が良好な測定データを特定する、効果判定部と、を備えるものであってもよい。
【0032】
このような構成によれば、類似測定データに基づく関連測定データから、ノイズの抑制効果が良好な測定データを特定することができる。
【0033】
前記関連測定データは、前記類似測定データと時間的に同時期に測定された測定データである、ものであってもよい。
【0034】
このような構成によれば、同時期に得られた測定データを確認しつつ、そのうちで、ノイズの抑制効果に関する指標が良好な測定データを的確に検討することができる。
【0035】
ノイズの抑制効果に関する指標が良好な前記測定データは、対応するノイズに対する対策関連情報を含み、前記分析システムは、さらに、前記指標が良好な前記測定データに対応する前記対策関連情報に含まれるキーワードに基づいて、過去のノイズ対策に関連する情報を含む対策データベースを参照して関連情報を取得する、第2のデータベース参照部を備える、ものであってもよい。
【0036】
このような構成によれば、ノイズの抑制効果に関する指標が良好な測定データに含まれる対策関連情報からさらに関連情報を取得することができるので、効果的な対策を検討することができる。
【0037】
前記対策データベースには、書籍情報及び対策レポート情報が含まれる、ものであってもよい。
【0038】
このような構成によれば、書籍情報や過去の対策レポート情報等により、多角的な検討を行うことが可能となる。
【0039】
前記関連情報が肯定的情報か否定的情報かを判定する、内容判定部をさらに備え、前記提示情報生成部は、前記内容判定部の判定結果に基づいて、前記関連情報のうち肯定的情報に関するユーザへの提示情報を生成する、ものであってもよい。
【0040】
このような構成によれば、関連情報のうち肯定的な内容の情報のみが提示されるので、効率的かつ的確にノイズ対策を行うことができる。
【0041】
本発明は分析装置として観念することができる。すなわち、本発明に係る分析装置は、サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理部と、推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定部と、前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成部と、を備えている。
【0042】
本発明は分析方法として観念することができる。すなわち、本発明に係る分析方法は、サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理ステップと、推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定ステップと、前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成ステップと、を備えている。
【0043】
本発明は分析プログラムとして観念することができる。すなわち、本発明に係る分析プログラムは、サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理ステップと、推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定ステップと、前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成ステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、ノイズの原因特定作業の負担を軽減する装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、分析装置のハードウェア構成図である。
【
図4】
図4は、広帯域用の部品データリストの例である。
【
図5】
図5は、対策ナレッジベース及び過去の対策レポートに関する情報の概念図である。
【
図7】
図7は、分析処理を行う分析装置の機能図ブロック図である。
【
図9】
図9は、モード選択に係るゼネラルフローチャートである。
【
図14】
図14は、関連部品の提示処理の詳細フローチャートである。
【
図15】
図15は、対策関連情報の提示処理の詳細フローチャートである。
【
図17】
図17は、第2の実施形態に係る分析装置1の機能ブロック図である。
【
図18】
図18は、第2の実施形態に係る分析処理の詳細フローチャートである。
【
図19】
図19は、類似ピーク提示処理の詳細フローチャートである。
【
図21】
図21は、肯定的対策関連情報の提示処理の詳細フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明に係る分析システム、装置、方法及びプログラムの実施の一形態を、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0047】
(1.第1の実施形態)
第1の実施形態では、本発明を未知ノイズを含む測定データを分析する分析装置1に対して適用した例について説明する。なお、分析装置1は、専用装置として実現してもよいし、PC等の汎用的な情報処理装置上において分析プログラムを実行することにより実現してもよい。
【0048】
(1.1 ハードウェア構成)
図1は、本実施形態に係る分析装置1のハードウェア構成図である。同図から明らかな通り、本実施形態に係る分析装置1は、制御部11、記憶部12、表示部13、音声出力部14、入力部16、I/O部17及び通信部18とを備え、各装置は互いにバス等を介して接続されている。
【0049】
制御部11はCPU及び/又はGPU等からなる制御装置である。記憶部12は、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等から成る記憶装置であり、データや動作プログラム等の後述の種々の情報を記憶している。表示部13は、図示しないディスプレイ等と接続され、ユーザへと提示される情報、例えば、画像等の表示制御を行う。
【0050】
音声出力部14は、図示しないスピーカ等と接続され、音声出力処理を行う。入力部16は、分析装置1に接続されたキーボードやマウス等からの入力に関する処理を行う。I/O部17は、外部装置との入出力のインタフェースである。通信部18は、有線又は無線通信を行うための所定の規格に則った通信ユニットである。
【0051】
図2~
図5を参照しつつ、分析装置1の記憶部12に記憶されているデータについて説明する。なお、本実施形態においては、すべてのデータは記憶部12に記憶されているものとするが、本発明はこのような構成に限定されない。従って、例えば、図示しない外部記憶装置等にデータを保存してもよい。また、いずれのデータも例示であり、後述の動作を実現する図示しない他のデータも記憶されている。
【0052】
図2は、記憶部12に記憶されているノイズに関する測定データの例である。同図から明らかな通り、測定データには、実測値の他、測定環境等の測定メタデータも含まれている。また、測定データには、後述のノイズに関する正解ラベル情報(狭帯域ノイズ、拡散狭帯域ノイズ、広帯域ノイズ)等も含まれている。
【0053】
同図の例にあっては、測定データには、周波数(MHz)、偏波の状態、レベルQP(dB(μV/m))、レベルPK(dB(μV/m))、レベルAV(dB(μV/m))、QP許容値(dB(μV/m))、PK許容値(dB(μV/m))、AV許容値(dB(μV/m))、マージンQP(dB)、マージンPK(dB)、マージンAV(dB)、高さ(cm)、角度(°)、ノイズ対策などの備考、測定開始日時が含まれている。
【0054】
周波数は、測定されたノイズの中心周波数を表している。偏波の状態は、アンテナの向きを表しており、Hは水平、Vは垂直を表す。レベルQPは使用した検波方式(準尖頭値検波)と測定された電界強度(レベル値)を表している。レベルPKは使用した検波方式(尖頭値検波)と測定された電界強度(レベル値)を表している。レベルAVは使用した検波方式(平均値検波)と測定された電界強度(レベル値)を表している。QP許容値は準尖頭値検波の場合の規格により定められた周波数スペクトラム上の許容レベル値を表している。PK許容値は尖頭値検波の場合の規格により定められた周波数スペクトラム上の許容レベル値を表している。AV許容値は平均値検波の場合の規格により定められた周波数スペクトラム上の許容レベル値を表している。これら3つのレベル値と3つの許容値のレベル値を比較することにより多角的な分析が可能となる。
【0055】
マージンQPは、準尖頭値検波の場合のレベルQPとQP許容値の差分を表している。マージンPKは、尖頭値検波の場合のレベルPKとPK許容値の差分を表している。マージンAVは、平均値検波の場合のレベルAVとAV許容値の差分を表している。高さ及び角度は、それぞれ、測定時の測定デバイスの高さと角度を表している。
【0056】
ノイズ対策などの備考欄には、「コンデンサ(50pF)で部品DEFのノイズを対策」、「部品UVWに電波吸収体を使用」等のように、どの部品に対してどのような対策を施したかに関する文字情報が含まれおり、これにより、各測定データが、どの部品に対してどのような対策を施したときの測定データであるかが把握可能に構成されている。測定日時には、測定データに係る測定の開始日時が記憶されている。
【0057】
なお、図示しないものの、記憶部12には、測定データを生成した測定ソフトウェアの測定条件等も記憶されている。また、測定データには、周波数領域表現のデータの他、時間領域表現のデータなど、他の形式で表現したデータも含まれている。
【0058】
図3は、記憶部12に記憶されている部品データリストの例である。同図においては、例として、「UVW」、「XYZ」という名称の2つの部品がそれぞれ示されている。各部品データには、変調度(%)、変調モード、最大周波数、最大次数及び各次数のときの電界強度(レベル値)が含まれている。
【0059】
変調度は、変調の程度を表している。後述するように、拡散の無い狭帯域ノイズと推論される場合、変調度が0%となる部品データが参照されることとなる。また、拡散された狭帯域ノイズである拡散狭帯域ノイズと推論される場合、変調度が0%より大きい値の部品データが参照されることとなる。
【0060】
変調モードは、さらに「SSCGmin」、「センター」、「SSCGmax」の項目を含んでいる。SSCGは「Spread Spectrum Clock Generator(スペクトラム拡散型発信器)」の略称であり、局所的に発生するノイズエネルギーを拡散させることにより、ノイズピークを抑制する役割を果たすものである。
【0061】
「センター」は、ピークの中心周波数、SSCGminは、拡散により高いレベルを維持することとなった所定の周波数範囲の始点近傍に表れるピークの中心周波数、SSCGmaxは、拡散により高いレベルを維持することとなった所定の周波数範囲の終点近傍に表れるピークの中心周波数を表している。
【0062】
最大次数は周期的に表れる次数の最大値を表しており、次数毎に、各変調モードに応じて、周波数が記憶されている。また、最大周波数は、最大次数となるときの中心周波数を表している。
【0063】
図4は、記憶部12に記憶されている広帯域用の部品データリストの例である。広帯域用の部品データリストには、ピークの中心周波数、周波数(低)、周波数(高)、偏波の種類、レベルQP、レベルPK、レベルAV、QP許容値、PK許容値、AV許容値、マージンQP、マージンPK、マージンAV、高さ、角度、部品名称に関する情報が含まれている。ここで、周波数(低)は、ノイズレベルが所定の閾値を超える始点周波数を表しており、周波数(高)は、ノイズレベルが所定の閾値以下となる終点周波数を表している。その他の項目の意味は、
図2と同様であるので、詳細説明は省略する。後述するように、広帯域ノイズと推論された場合、同リストが参照されることとなる。
【0064】
図5は、記憶部12に対策データベースとして記憶されている情報、すなわち、対策ナレッジベース及び過去の対策レポートに関する情報の概念図である。対策ナレッジベースは、技術書等の関連書籍の内容をデジタル化した情報であり、ノイズ対策に関する情報が部品毎に格納されている。例えば、同図の例にあっては、発生するノイズの発生要因と対策に用いられる製品等の情報が部品毎に格納されている。また、対策レポートに関する情報は、ノイズに対して過去に行った対策に関するレポートの内容情報である。対策レポートには、例えば、過去に「部品ABC」を使用した際にどのような事象が生じて、その際どのような対策が採られたのかが記憶されている。これらの情報はいずれもテキスト検索可能なように記憶されている。なお、データベースに格納されるデータの形式はいずれの形式であってもよい。また、その内容もテキストのみで構成してもよいし、画像等を含むように構成してもよい。
【0065】
なお、記憶部12には、
図2~
図5で示したデータの他、種々のデータが記憶されている。例えば、後述の学習済モデルや動作プログラム、処理の途中で生成される周波数領域又は時間領域の特徴量等のデータが記憶されている。また、分析対象となる未知の測定データが、時間領域表現及び周波数領域表現で記憶されている。
【0066】
図6は、後述の学習処理(S4)を行う際の分析装置1の機能ブロック図である。同図から明らかな通り、分析装置1は、情報読出処理部111、記憶部12、学習処理部112を備えている。
【0067】
情報読出処理部111は、記憶部12から測定データ等の情報を読み出して学習処理部112へと提供する処理を行う。学習処理部112は、学習済モデルや学習条件パラメータ等を記憶部12から読み出して、測定データに関して学習処理を行い、結果物たる学習済モデルを再び記憶部12へと記憶する処理を行う。
【0068】
図7は、後述の分析処理(S5)を行う際の分析装置1の機能図ブロック図である。同図から明らかな通り、分析装置1は、入力処理部113、情報読出部115、表示情報生成部116、推論処理部117、部品特定処理部118、対策関連情報特定処理部119、記憶部12及び表示処理部114を備えている。
【0069】
入力処理部113は、ユーザからの入力を受けて情報読出部115、推論処理部117、部品特定処理部118、対策関連情報特定処理部119へと指令を行う。情報読出部115は、記憶部12から参照された測定データを読み出して表示情報生成部116へと提供する。
【0070】
表示情報生成部116は、読み出された測定データに基づいて適宜に表示情報を生成して表示処理部114及び推論処理部117へと提供する。推論処理部117は、ピーク周波数が選択されると、ピーク周波数に対応するノイズの分類を特定して、部品特定処理部へと提供する。
【0071】
部品特定処理部118は、分類に基づいてノイズを発生させた原因部品を特定する処理を行い、特定結果を表示処理部114及び対策関連情報特定処理部119へと提供する。対策関連情報特定処理部は、特定された部品データに基づいて対策関連情報を特定し、表示処理部114へと提供する。
【0072】
以上、本実施形態に係るハードウェア構成について説明したが、ハードウェア構成は、本実施形態のものに限定されない。従って、様々に変形して実施することができる。例えば、分析装置1に代えて、分析システム100としてサーバクライアント形式で実施してもよい。
【0073】
図8は、サーバクライアント形式の分析システム100の全体構成図である。同図から明らかな通り、PC等の情報処理装置でなるクライアント装置2と、PC等の情報処理装置でなるサーバ装置3とがネットワークを介して接続されている。ここで、ネットワークは、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)であってもよいし、インターネットであってもよい。
【0074】
この例にあって、クライアント装置2は、クライアント装置2へのユーザからの入力に基づいてサーバ装置3に対する指令を行い、また、サーバ装置3における処理の結果を受信して表示を行う。また、サーバ装置3においては、後述の学習処理や分析処理が行われる。
【0075】
なお、この他にサーバ装置を設けてもよく、例えば、機械学習用のサーバを設けてもよい。この場合、サーバ装置3は、適宜にAPIをコールすることで、学習処理や学習済モデルに基づく推論処理等を行うことができる。
【0076】
(1.2 動作)
次に、分析装置1の動作について説明する。なお、以下の動作は、記憶部12に記憶された動作プログラムを実行することにより実現される。
【0077】
図9は、分析装置1において実行されるモード選択に係るゼネラルフローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、表示部13において所定の表示処理(S1)が行われる。初期画面においては、「分析処理」に関する表示が選択可能に構成されている。
【0078】
その後、分析装置1は、ユーザからの入力部16を介した入力を検出する処理を行い(S2)、分析処理の選択の検出処理(S3)を行う。検出が行われるまで入力検出処理は繰り返され(S3NO)、入力待機状態となる。
【0079】
この状態において、「分析処理」が選択されたものと判定されると(S3YES)、分析処理(S5)が実行される。また、分析処理の開始と同時に、「学習処理」が並列的に実行される(S4)。なお、本実施形態においては学習処理はバックグラウンドで実行されるものとして説明するものの、分析処理に関する分析モードと、学習処理に関する学習モードとを設けて選択的に実行可能な構成としてもよい。
【0080】
(学習処理)
図10は、学習処理(S4)の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、情報読出処理部111は、記憶部12の特定領域に記憶された測定データを読み出す処理を行う(S41)。この読出処理の結果に基づいて、新規学習対象データとなる測定データが存在するかを判定する処理が行われる(S43)。例えば、測定データについて過去に学習したことがあるか否かにより判定する。新規学習対象データとなる測定データが無いと判定される場合(S43NO)、再度読出処理が繰り返される。一方、この読出処理の結果、新規学習対象データが有りと判定される場合(S43YES)、当該新規学習対象データとなる測定データに基づく学習処理(S46)が行われる。
【0081】
なお、本実施形態においては、繰り返し測定データを記憶部12から読み出す構成について説明するものの、本発明はそのような構成に限定されない。従って、例えば、所定の周期で間欠的に読出処理を実行してもよいし、ユーザからの指令に応じて新規学習対象データの読出処理を実行してもよい。
【0082】
学習処理部112は、指定された測定データに基づく機械学習処理(S46)を行う。より詳細には、学習処理部112は、まず、学習処理動作プログラム及び学習パラメータ等の読み出し処理を行う。その後、読み出した測定データについて、所定のラベルを用いたニューラルネットワーク、特に深層学習ネットワークの教師あり学習を行う。
【0083】
本実施形態において、ニューラルネットワークの入力層には、測定データの周波数スペクトラムに含まれる各ピークの前後の所定幅の周波数領域のレベル値(電解強度値)が入力される。出力層には、本実施形態に係るノイズの分類に対応した3つのノードが設けられ、分類及び分類に属する確率を出力する。教師信号は、出力層に対応し、各ピークに対して予めアノテーションされた3つのラベルを含む。
【0084】
図11は、本実施形態に係るノイズの分類に関する説明図である。同図から明らかな通り、本実施形態において、ノイズは、電子機器等により発生するノイズにより典型的に測定周波数スペクトラム上に生じる波形により、狭帯域ノイズ、拡散狭帯域ノイズ、及び広帯域ノイズの3つに分類される。
【0085】
同図上段には、狭帯域ノイズの例が示されている。同図から明らかな通り、狭帯域ノイズは、単一の周波数点において高いレベルが観測されるような形状の周波数スペクトラム上の波形を有する。
【0086】
同図中段には、拡散狭帯域ノイズの例が示されている。同図から明らかな通り、拡散狭帯域ノイズは、所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持し、かつ、その周波数範囲の始点と終点の近傍のそれぞれにピークをもつ周波数スペクトラム上の波形を有する。なお、このような波形は、狭帯域ノイズに対するEMI対策としてスペクトラム拡散型発信機(SSCG:Spread Spectrum Clock Generator)を利用した場合に観測される。SSCGは、クロック信号の周波数を変動させることで、特定の周波数にエネルギーが集中しないようにして、局所的に発生するノイズエネルギーを分散する役割を果たすものでる。
【0087】
同図下段には、拡散ノイズの例が示されている。同図から明らかな通り、拡散ノイズは、単一の周波数点を超えた周波数範囲に亘って相対的に高いレベル値となる周波数スペクトラム上の波形を有し、狭帯域ノイズ及び拡散狭帯域ノイズに分類されないものである。
【0088】
以上述べた条件において学習処理を行うことで、周波数スペクトラム上のピーク周波数及びその前後周波数のレベル値を入力することで、各ラベルに属する確率を出力するような学習済モデルを得ることができる。このような学習済モデルを利用することで、例えば、任意のピーク周波数及びその前後の所定幅の周波数領域のレベル値を入力した場合に、当該ピークに係るノイズについて、狭帯域ノイズである確率が5%、拡散狭帯域ノイズである確率が93%、広帯域ノイズである確率が2%のようにいずれの分類に属する可能性が高いかを推論することができる。
【0089】
なお、学習処理方法は本実施形態にものに限定されない。従って、ニューラルネットワーク以外の他の学習モデルを利用してもよい。また、サンプルデータ数が少ない場合等にあっては、半教師あり学習等を行ってもよい。
【0090】
また、本実施形態においては典型的に観測されるノイズ形状に着目し、狭帯域ノイズ、拡散狭帯域ノイズ、拡散ノイズの3つに分類したが、このような構成に限定されない。従って、例えば、2つ又は4つ以上に分類してもよいし、ノイズの性質等に応じて他の観点から分類してもよい。
【0091】
さらに、ラベルに関するアノテーションは、目視により人手により行ってもよいし、他の自動的な手法により行ってもよい。
【0092】
図10に戻り、学習処理が完了すると、学習処理部112は、生成された学習済モデルを記憶部12へと記憶する処理(S47)を行う。その後、所定の停止指令を受信するまで、一連の処理(S41~S47)が繰り返される。
【0093】
(測定データの分析処理)
次に、未知のノイズを含む測定データの分析処理(S5)の詳細について説明する。
【0094】
図12は、分析処理(S5)の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、表示処理部114は、所定の初期画面を表示してユーザに提示する処理を行う(S51)。この初期画面は、分析対象とする測定データを選択可能に構成されている。
【0095】
初期画面表示処理の後、入力処理部113は、入力検出処理(S52)を行うと共に、分析対象となる測定データが選択されるまで入力待機状態となる(S53NO)。この状態において、ユーザから特定の測定データを選択することを示す入力がなされると、入力処理部53は、分析対象となる測定データが選択されたものとして、情報読出部115に対して、選択された測定データの読出指令を行う(S53YES)。
【0096】
この指令を受けて、表示情報生成部116は、記憶部12から分析対象となる測定データを読み出して、表示情報を生成する処理(S54)を行う。表示情報の生成処理とは、後述の表示画面を表示するために必要な情報を生成する処理であり、例えば、測定データに対応する周波数スペクトラム上のピークの検出処理等を含むものである。
【0097】
表示情報が生成されると、表示処理部114は、生成された表示情報を表示する処理を行う(S55)。
【0098】
図13は、表示処理(S55)により表示される画面例である。同図から明らかな通り、この例にあっては、情報が縦二列に分かれて表示されており、左列には、上から順に、測定データのファイル名表示領域501、測定メタデータ表示領域502、周波数スペクトラム表示領域503、マージン調整操作領域504、対策推奨ノイズ表示領域505、及び関連クロックリスト表示領域506が表示されている。一方、右列には、参照データ表示領域507が配置されている。
【0099】
ファイル名表示領域501には、読み込んだ測定データのファイル名が示されている。測定メタデータ表示領域502には、測定データと関連する測定メタデータ情報が4つタグ付されている。
【0100】
周波数スペクトラム表示領域503には、測定データに関する周波数スペクトラムがグラフ中に示されている。同図中において、周波数スペクトラムにおいて突出するピーク波形の頂点には白抜きの丸が配置されており、同丸部分を選択することにより任意のピークを選択することができるよう構成されている。同図中では一部のピークに1~4の符号が付されており、これらは後述の対策推奨ノイズ表示領域505と対応している。
【0101】
なお、ピーク波形とは周波数スペクトラムのうち、近傍レベルより相対的に高いレベルの波形部分又は先鋭的に突出した波形部分を意味している。波形部分の語は、頂点のみならず、その近傍の相対的に高いレベルを有する部分も含むものである。
【0102】
グラフ中には、規格により定められた許容値が実線5031で示されており、許容値からのマージンを考慮した設定値が破線5032で示されている。これにより、対策が必要なピークを瞬時に把握することができる。
【0103】
マージン調整操作領域504は、許容値からのマージンを調整する操作を行う領域である。同領域左側にはマージン量[dB]とそれを調整するための操作のためのスライドバーが表示されている。このスライドバーを操作することで設定値に対応する破線5032を上下移動させることができる。
【0104】
対策推奨ノイズ表示領域505には、対策が推奨されるノイズに対応するピーク波形情報が一覧に表示されている。同表示例にあって1~4の各ピーク波形について番号、中心周波数、偏波、レベル、許容値、マージン、検波、高さ、角度の情報が表示されている。これらの情報を元にユーザは、対策すべきノイズを見定めることができる。なお、同図の例にあっては、例として中心周波数が167.97[Hz]の3番目のノイズが選択され、ハイライト表示されている。
【0105】
関連クロックリスト表示領域506には、同図の例にあっては何らの表示も行われていないものの、後述の関連部品の提示処理によりノイズの原因部品の候補が表示されることとなる。
【0106】
参照データ表示領域507には、選択されたノイズを過去事例と比較検討するための情報が表示されている。同領域下段の左側には、同一又は類似の中心周波数スペクトルを有するピーク波形が重畳表示されており、一方、同領域下段の右側には、選択されたノイズの時間領域波形が示されている。同図の例にあっては、中心周波数が167.97[Hz]の3番目のノイズに関連する情報が表示されている。
【0107】
図12に戻り、表示処理(S55)が完了すると、入力処理部113は、いずれかのピークが選択されるまで、入力検出処理(S56)を繰り返す(S58NO)。
【0108】
この状態において、いずれかのピークが選択されると(S59)、関連部品の提示処理が行われる(S59)。
【0109】
図14は、関連部品の提示処理の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、推論処理部117は、選択されたピーク波形の分類を推論する推論処理を行う(S591)。すなわち、推論処理部117は、学習済モデルを読み出し、当該学習済モデルに対して、選択されたピーク波形に対応するピーク周波数及びその前後周波数のレベル値を入力することで、当該ピークのノイズの分類を得る。例えば、学習済モデルの出力が、狭帯域ノイズである確率が5%、拡散狭帯域ノイズである確率が93%、広帯域ノイズである確率が2%であることを示す場合、ノイズは拡散狭帯域ノイズであると推論される。
【0110】
この推論処理の後、部品特定処理部118は、推論結果に基づく関連部品の特定処理を行う(S592)。すなわち、分類が「狭帯域ノイズ」である場合、部品特定処理部118は、部品データリストから変調度が0の部品のうち、最も中心周波数が近い周波数の部品を関連部品として特定する。分類が「拡散狭帯域ノイズ」である場合、部品特定処理部118は、部品データリストから変調度が0より大きい部品のうち、拡散幅の中に中心周波数が含まれ、かつ、最も拡散幅が近い部品を関連部品として特定する。分類が「広帯域ノイズ」である場合、部品特定処理部118は、周波数(低)、周波数(高)、及び中心周波数等に基づき、広帯域用の部品データリストから、周波数スペクトラムの形状が近い部品を関連部品として特定する。
【0111】
このような構成によれば、ノイズにより周波数スペクトラム上に典型的に生じる波形に基づいて分類を行うので、大まかにノイズの分類を行った上で、そのノイズの発生原因となる部品を特定することができるので、ノイズの原因となっている部品をより効率的かつ的確に特定することができる。
【0112】
また、このような構成によれば、ノイズ候補となる特異的な波形部分のデータを元に分類を推論することができるため、効率的なノイズ原因推定を行うことができる。
【0113】
この関連部品の特定処理の後、表示処理部114は、関連部品を類似する順に関連クロックリスト表示領域506に表示し、かつ、最も類似度が高い関連部品についてメッセージを表示する処理を行い(S594)、処理は終了する。
【0114】
図16は、表示処理(S594)後の画面の表示例である。同図の例にあっては、関連クロックリスト表示領域506には、上から順に、関連部品が3つ並んで表示されている。また、同画面図の右下には、「部品リストと照合した結果、NT40E3@Captureがノイズ源となっている可能性が高いです。」の如く、最も類似度が高い関連部品に関する吹き出しメッセージ508が表示されている。なお、このとき、「NT40E3@Capture」の部分は選択可能に構成されている。
【0115】
このような構成によれば、推論された分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データが特定されて提示されるので、ノイズの原因となる部品を効率的かつ的確に特定することができる。すなわち、ノイズの原因特定作業の負担を軽減することができる。
【0116】
図12に戻り、関連部品の提示処理の後、再び、入力処理部113は、関連部品に関して対策関連情報の提示処理指示が入力されるまで、入力検出処理(S60)を繰り返す(S61NO)。
【0117】
この状態において、例えば、吹き出しメッセージ508内の「NT40E3@Capture」の部分が選択される等して対策関連情報の提示指令が行われると(S61YES)、対策関連情報特定処理部119は、対策関連情報の提示処理を行う(S62)。この対策関連情報の提示処理の後、並列して実行されている学習処理(S4)の停止指令が行われ(S63)、処理は終了する。
【0118】
図15は、対策関連情報の提示処理の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、関連部品として特定された部品に基づいて対策関連情報を読み出す処理が行われる(S622)。より詳細には、関連部品として特定された部品の部品名をキーワードとして、対策ナレッジベース及び過去の対策レポート等のデータベースを検索して関連する対策情報を読み出す。
【0119】
例えば、関連部品の名称が「ABC」の場合には、
図5で示したような対策情報、すなわち、「ノイズ対策の手引き(第1版)」という書籍の「部品ABCから発生するノイズ」の項目の対策情報や、過去の対策レポート中の関連記載である「部品ABCを使用した。デフォルトより約7dB悪化。対策方法は、部品ABC裏側に銅箔テープ貼り付け。」といった対策情報が検索により対策関連情報として読み出される。なお、対策情報には、対策に結び付き得る情報、例えば、ノイズに関連する現象等に関する情報も含まれる。
【0120】
読出処理の後、表示処理部114は、対策関連情報の表示処理を行い(S624)、処理は終了する。
【0121】
なお、本実施形態においては、関連部品の部品名に基づいて、データベースの検索を行ったが、本発明はこのような構成に限定されない。従って、関連部品に関する情報であれば、他の情報に基づいてデータベースの検索を行ってもよい。
【0122】
このような構成によれば、ノイズの原因部品の特定と共にその対策関連情報を合わせて確認することができる。
【0123】
また、このような構成によれば、書籍情報や過去の対策レポート情報等により、ノイズの原因について多角的な検討を行うことが可能となる。
【0124】
(2.第2の実施形態)
(2.1 ハードウェア構成)
本実施形態に係る分析装置1'のハードウェア構成は、第1の実施形態で示した構成(
図1~
図6)と略同一であるため、詳細な記述は省略する。ただし、本実施形態に係る分析装置1'は、第1の実施形態の分析装置1に対して、さらに分析の際の機能を追加した構成を有する。
【0125】
図17は、本実施形態に係る分析処理(S5)を行う際の分析装置1'の機能ブロック図である。なお、第1の実施形態に係る構成と略同一の機能については同一の符号を使用している。
【0126】
同図から明らかな通り、本実施形態に係る分析装置1'は、クラスタリング処理部121、類似ピーク提示処理部122、関連データ特定処理部123、最良効果データ特定処理部124及び肯定的対策関連情報提示処理部125をさらに備えている。
【0127】
クラスタリング処理部121は、入力処理部113からの指令に従って、選択されたピークに対してクラスタリング処理を行い、類似ピークを出力する。出力された類似ピークは、類似ピーク提示処理部122によりユーザへと表示部13を介して提示される。
【0128】
関連データ特定処理部123は、類似ピークに関する情報に基づき、関連データを特定する。最良効果データ特定処理部124は、関連データのうちからノイズの抑制効果に関する指標が良好な測定データを特定する処理を行う。肯定的対策関連情報提示処理部125は、ノイズの抑制効果に関する指標が良好な測定データに基づいて、データベースを検索して、肯定的な対策関連情報を生成して提示する処理を行う。
【0129】
(2.2 動作)
本実施形態においても第1の実施形態と同様に、学習処理(S4)と分析処理(S5)を行うモードが設けられている。その動作は第1の実施形態と略同一であるので、詳細な説明は省略する(
図9等参照)。
【0130】
(学習処理)
学習処理(S4)の動作については、第1の実施形態と同様であるので、詳細な記述は省略する。
【0131】
(測定データの分析処理)
図18は、本実施形態に係る分析処理(S5)の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、本実施形態においても第1の実施形態と同様に、関連部品の提示処理及び対策関連情報の提示処理が行われる(S71~S79、S82~S84)。なお、その処理内容は第1の実施形態に係るものと略同一であるので、詳細な説明はここでは省略する。
【0132】
本実施形態において、分析装置1'は、さらに、類似ピークの提示処理(S81)及びそれに基づく肯定的対策関連情報の提示処理(S86)を行う。
【0133】
所定の表示処理(S75)が行われた後、周波数スペクトラム上において一のピーク波形が選択されると(S78YES)、関連部品の提示処理(S79)が行われ、その後、類似ピークの提示処理(S81)が行われる。
【0134】
図19は、類似ピーク提示処理の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、クラスタリング処理部121は、記憶部12に記憶されている多数の測定データに係るピークデータ(周波数スペクトラムにおけるピークの中心周波数及びそれを含む所定幅の周波数領域のレベル値)を読み出し、それらの測定データを、分析対象として参照されている測定データに係るピークデータと共にクラスタリング処理し、同一のクラスに属するピーク波形を類似ピークとして特定する(S811)。
【0135】
本実施形態では、クラスタリング処理にはDBSCAN(Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise)が利用される。DBSCANによれば、明示的にクラスタ数を指定することなくデータを分類することができる。
【0136】
なお、本実施形態においては、クラスタリング処理の手法としてDBSCANを利用することとしたが、本発明はそのような構成に限定されない。従って、種々の公知のクラスタリング手法を適用することができる。
【0137】
また、本実施形態においては、ピーク波形の周波数領域の特徴量に基づいてクラスタリング処理を行っているものの本発明はこのような構成に限定されない。従って、時間領域の特徴量など他の特徴量を用いてクラスタリング処理を行ってもよい。
【0138】
同一のクラスに属するピークデータが特定されると、類似ピーク提示処理部122は、当該ピークデータを読み出す処理を行う(S812)。その後、読み出した類似ピークは表示処理部114により表示処理される(S814)。
【0139】
図20は、類似ピークの表示処理(S814)後の画面の表示例である。同図から明らかな通り、同図右下には、吹き出しメッセージ509が表示されている。吹き出しの中には、最も類似度が高い関連部品に関する情報に加えて、「選択したピークに似たノイズの対策を過去に実施した事例が見つかりました。」との文言と共に、3つの類似ピークに関する情報が表示されている。なお、類似ピークはそれぞれ選択可能に構成されている。
【0140】
このような構成によれば、類似ノイズの測定データを参照することができるので、ノイズの原因推定を効率的かつ的確に行うことができる。また、原因部品データと合わせて確認することで、より多角的なノイズの原因推定を行うことができる。
【0141】
図18に戻り、類似ピークの提示処理(S81)の後は、上述の通り、入力待機状態となる(S81)。この状態において、類似ピークのうちの1つが選択されると(S83NO、S85YES)、肯定的対策関連情報の提示処理(S86)が実行される。対策関連情報の提示処理(S84)又は肯定的対策関連情報の提示処理の後、並列して実行されている学習処理(S4)の停止指令が行われ(S63)、処理は終了する。
【0142】
図21は、肯定的対策関連情報の提示処理の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、関連データ特定処理部123は、類似ピークのうち選択されたピークに関連するデータを読み出す処理を行う(S861)。ここで、本実施形態において関連するデータとは、選択されたピークに係る測定データの測定開始日時の前後の測定開始日時を有する複数のデータである。関連データ特定処理部123は、これらの関連データを読み出した後、時系列順にソートされ、後述の表示に供される。
【0143】
なお、上述の処理では関連データの特定にあたって測定開始日を使用したが、他の条件により関連データを特定してもよい。例えば、関連データの判定基準として、周波数の差が所定量以内であること、偏波が同じであること、帯域幅の差が所定値以下であること、等の条件をさらに満たすデータのみを関連データとしてもよい。
【0144】
関連データが特定されると、最良効果データ特定処理部124は、関連データの中から最良効果データを特定する処理を行う。最良効果データとは、ノイズの抑制効果に関する指標が良好な測定データであり、例えば、本実施形態においてはレベルQPを指標として、レベルQPが最も小さい測定データを最良効果データとする。
【0145】
このような構成によれば、同時期に得られた測定データのうちで、ノイズの抑制効果に関する指標が良好な測定データを的確に特定することができる。
【0146】
なお、本実施形態においては、指標として、レベルQPを使用したが、測定データに係る他の値であってもよい。
【0147】
最良効果データを特定すると、肯定的対策関連情報提示処理部125は、最良効果データに関連付けられた「ノイズ対策などの備考」からコメントを抽出する(S863)。例えば、「シールドで部品ABCの開口部のノイズを防ぐ」といったコメントである。
【0148】
また、当該コメントからキーワード抽出処理を行う(S863)。このキーワード抽出処理にあたっては、種々の公知の自然言語処理、例えば、形態素解析やTF-IDF等を適用することができる。キーワード抽出処理によれば、例えば、「シールドで部品ABCの開口部のノイズを防ぐ」というコメントから、「シールド」、「部品ABC」及び「開口部のノイズ」といったキーワードが抽出される。
【0149】
キーワード抽出処理が完了すると、肯定的対策関連情報提示処理部125は、抽出されたキーワードに基づいて、対策ナレッジベース及び対策レポートのデータベースから、類似文章を検索する処理を行う(S865)。本実施形態においては、キーワード又はそれと類似するワードを含む文章を検索した後、類似度が閾値以上の文章を抽出する。この検索処理にあたっては種々の公知の自然言語処理が利用される。この自然言語処理として、例えば、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)等が適用可能である。
【0150】
この類似文章の検索処理の後、肯定的対策関連情報提示処理部125は、文章にノイズ対策の観点から肯定的な内容が記載されているか、否定的な内容が記載されているかを判定する感情判定処理(内容判定処理)を行う(S866)。感情判定処理には、種々の公知の自然言語処理手法、特に、センチメント分析手法を適用することができる。これにより、例えば、「部品ABCにシールドを使用したが、期待している効果は得られなかった」という文章については、否定的な内容な記載がされているものと判定し、「部品ABCを使用することによりデフォルトより7dB改善」といった文章については肯定的な内容が記載されているものと判定する。
【0151】
その後、肯定的対策関連情報提示処理部125は、肯定的な内容が記載された文章と種々の関連情報を表示する処理を行う(S868)。その後、処理は終了する。
【0152】
図22は、表示処理(S868)の後の画面の表示例である。同図から明らかな通り、同図の最上段には、測定に係る基本情報を表示する測定基本情報表示領域521が配置されている。また、その直下には、測定データに関する情報を表示する測定データ表示領域522が配置されている。測定データに関する情報には、ノイズの中心周波数、それに対応するレベル、偏波/検波状態、変調の有無及び程度、及びコメントが含まれている。
【0153】
測定データ表示領域の直下には3つの表示領域が横一列に並んでいる。3つの表示領域のうち、左側には、選択した類似ピークの拡大図を表示する拡大図表示領域523が表示されている。また、中央には、時系列順にソートされた関連データを表示する関連データ表示領域524が表示されている。さらに、右側には、関連データに係る「ノイズ対策などの備考」の情報を表示するコメント表示領域525が表示されている。関連データ表示領域524から、同領域において一番右側の測定データのレベルQPの値が小さく、当該測定データにおいてノイズ抑制効果が高いことが把握される。
【0154】
同図の最下段には、肯定的対策関連情報を提示するための肯定的対策関連情報提示領域526が配置されている。同領域内には、最良効果データの示唆、最良効果データに関する「ノイズ対策などの備考」の情報、及び肯定的対策関連情報に関する情報が含まれている。
【0155】
同図の例にあっては、最良効果データを示唆する情報として、「4番目と5番目のデータ間で最もレベル変化しています。」との文章が表示されている。また、最良効果データに関する「ノイズ対策などの備考」の情報として、「部品ABCを使用した。デフォルトより約7dB悪化。対策方法は、部品ABC裏側に銅箔テープ貼り付け。」との文章が表示されている。さらに、肯定的対策関連情報に関する情報として「なお、本「ノイズ対策の手引き(第1版)」からの情報」との文章が表示されている。また、当該文章の右隣には詳細への遷移用の「詳細」ボタンが表示されている。この詳細ボタンを選択することにより、肯定的対策関連情報がさらに表示されることとなる。
【0156】
このような構成によれば、同時期に得られた測定データを確認しつつ、そのうちで、ノイズの抑制効果に関する指標が良好な測定データを的確に検討することができる。
【0157】
また、このような構成によれば、ノイズの抑制効果に関する指標が良好な測定データに含まれる対策関連情報からさらに関連情報を取得することができるので、効果的な対策を検討することができる。
【0158】
(3.変形例)
第2の実施形態においては、最良効果データに関連付けられたコメントからキーワード抽出を行いデータベースの検索を行ったが、本発明はこのような構成に限定されない。従って、例えば、さらに関連部品に関する情報(例えば、部品名)もさらに加えて対策データベース検索を行い、対策情報等を提示してもよい。このような構成によれば、より的確に対策情報を得ることができる。
【0159】
第2の実施形態において、種々の自然言語処理をおこなうものとして説明したが、これらの自然言語処理を外部サーバにより実行してもよい。このような構成によれば分析装置における処理負荷を軽減することができる。
【0160】
上述の実施形態においては、周波数スペクトラム上のピーク波形に基づいて、ノイズ解析を行うものとして説明したが、本発明はそのような構成に限定されない。従って、例えば、他の特異的波形部分に基づいて、ノイズ解析を行ってもよい。
【0161】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記の実施形態は、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、少なくとも、電子機器等のノイズ(妨害波)対策を支援する装置等を製造等する産業にて利用可能である。
【符号の説明】
【0163】
1 分析装置
11 制御部
12 記憶部
13 表示部
14 音声出力部
16 入力部
17 I/O部
18 通信部
2 クライアント装置
3 サーバ装置
100 分析システム
【手続補正書】
【提出日】2021-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理部と、
推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定部と、
前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成部と、を備え、
前記分類は、ノイズにより周波数スペクトラム上に生じる典型的波形による分類であり、
前記典型的波形は、単一の周波数にピークをもつ狭帯域波形と、所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持しかつその周波数範囲の始点と終点の近傍のそれぞれにピークをもつ拡散狭帯域波形と、前記狭帯域波形及び前記拡散狭帯域波形に該当せずかつ所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持する広帯域波形とを含み、
前記部品データリストは、推論された前記分類が前記狭帯域波形である場合に参照される狭帯域波形用参照部品データリストと、推論された前記分類が前記拡散狭帯域波形である場合に参照される拡散狭帯域波形用参照部品データリストと、推論された前記分類が前記広帯域波形である場合に参照される広帯域波形用参照部品データリストと、を含み、
前記原因部品特定部は、推論された前記分類に基づいて、前記狭帯域波形用参照部品データリスト、拡散狭帯域波形用参照部品データリスト又は前記広帯域波形用参照部品データリストのいずれか1つを参照し、前記参照測定データに基づいて、前記原因部品データを特定する、分析システム。
【請求項2】
前記周波数スペクトルデータの一部は、周波数スペクトルデータに含まれる特異的波形部分である、請求項1に記載の分析システム。
【請求項3】
前記特異的波形部分は、周波数スペクトルデータに含まれるピーク波形部分である、請求項2に記載の分析システム。
【請求項4】
前記拡散狭帯域波形は、スペクトラム拡散型発信器に由来して生じたものである、請求項1に記載の分析システム。
【請求項5】
前記原因部品データは、対応するノイズに対する対策関連情報を含む、請求項1に記載の分析システム。
【請求項6】
前記対策関連情報に含まれるキーワードに基づいて、ノイズ対策に関連する情報を含む対策データベースを参照して関連情報を取得する、第1のデータベース参照部をさらに備える、請求項5に記載の分析システム。
【請求項7】
前記対策データベースには、書籍情報及び対策レポート情報が含まれる、請求項6に記載の分析システム。
【請求項8】
前記参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を前記サンプル測定データの全部又は一部と共にクラスタリング処理することにより、前記参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と類似する周波数スペクトルデータを含む類似測定データを特定する、クラスタリング処理部をさらに備える、請求項1に記載の分析システム。
【請求項9】
前記クラスタリング処理は、DBSCANを利用して行われる、請求項8に記載の分析システム。
【請求項10】
前記類似測定データに基づいて、関連する測定データである関連測定データを特定する、関連測定データ特定部と、
前記関連測定データのうち、ノイズの抑制効果に関する指標が良好な測定データを特定する、効果判定部と、を備える請求項8に記載の分析システム。
【請求項11】
前記関連測定データは、前記類似測定データと時間的に同時期に測定された測定データである、請求項10に記載の分析システム。
【請求項12】
ノイズの抑制効果に関する指標が良好な前記測定データは、対応するノイズに対する対策関連情報を含み、
前記分析システムは、さらに、
前記指標が良好な前記測定データに対応する前記対策関連情報に含まれるキーワードに基づいて、過去のノイズ対策に関連する情報を含む対策データベースを参照して関連情報を取得する、第2のデータベース参照部を備える、請求項10に記載の分析システム。
【請求項13】
前記対策データベースには、書籍情報及び対策レポート情報が含まれる、請求項12に記載の分析システム。
【請求項14】
前記関連情報が肯定的情報か否定的情報かを判定する、内容判定部をさらに備え、
前記提示情報生成部は、前記内容判定部の判定結果に基づいて、前記関連情報のうち肯定的情報に関するユーザへの提示情報を生成する、請求項12に記載の分析システム。
【請求項15】
サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理部と、
推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定部と、
前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成部と、
を備え、
前記分類は、ノイズにより周波数スペクトラム上に生じる典型的波形による分類であり、
前記典型的波形は、単一の周波数にピークをもつ狭帯域波形と、所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持しかつその周波数範囲の始点と終点の近傍のそれぞれにピークをもつ拡散狭帯域波形と、前記狭帯域波形及び前記拡散狭帯域波形に該当せずかつ所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持する広帯域波形とを含み、
前記部品データリストは、推論された前記分類が前記狭帯域波形である場合に参照される狭帯域波形用参照部品データリストと、推論された前記分類が前記拡散狭帯域波形である場合に参照される拡散狭帯域波形用参照部品データリストと、推論された前記分類が前記広帯域波形である場合に参照される広帯域波形用参照部品データリストと、を含み、
前記原因部品特定部は、推論された前記分類に基づいて、前記狭帯域波形用参照部品データリスト、拡散狭帯域波形用参照部品データリスト又は前記広帯域波形用参照部品データリストのいずれか1つを参照し、前記参照測定データに基づいて、前記原因部品データを特定する、分析装置。
【請求項16】
サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理ステップと、
推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定ステップと、
前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成ステップと、を備え、
前記分類は、ノイズにより周波数スペクトラム上に生じる典型的波形による分類であり、
前記典型的波形は、単一の周波数にピークをもつ狭帯域波形と、所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持しかつその周波数範囲の始点と終点の近傍のそれぞれにピークをもつ拡散狭帯域波形と、前記狭帯域波形及び前記拡散狭帯域波形に該当せずかつ所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持する広帯域波形とを含み、
前記部品データリストは、推論された前記分類が前記狭帯域波形である場合に参照される狭帯域波形用参照部品データリストと、推論された前記分類が前記拡散狭帯域波形である場合に参照される拡散狭帯域波形用参照部品データリストと、推論された前記分類が前記広帯域波形である場合に参照される広帯域波形用参照部品データリストと、を含み、
前記原因部品特定ステップにおいては、推論された前記分類に基づいて、前記狭帯域波形用参照部品データリスト、拡散狭帯域波形用参照部品データリスト又は前記広帯域波形用参照部品データリストのいずれか1つを参照し、前記参照測定データに基づいて、前記原因部品データを特定することが行われる、分析方法。
【請求項17】
サンプル測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部と前記一部に対応するノイズに関する分類との対応関係を学習した学習済モデルへと、参照測定データに対応する周波数スペクトルデータの一部を入力することにより、対応する分類を推論する、推論処理ステップと、
推論された前記分類に基づいて、部品データリストからノイズの原因部品データを特定する、原因部品特定ステップと、
前記原因部品データに基づき、ユーザへの提示情報を生成する、提示情報生成ステップと、を備え、
前記分類は、ノイズにより周波数スペクトラム上に生じる典型的波形による分類であり、
前記典型的波形は、単一の周波数にピークをもつ狭帯域波形と、所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持しかつその周波数範囲の始点と終点の近傍のそれぞれにピークをもつ拡散狭帯域波形と、前記狭帯域波形及び前記拡散狭帯域波形に該当せずかつ所定の周波数範囲に亘り相対的に高いレベルを維持する広帯域波形とを含み、
前記部品データリストは、推論された前記分類が前記狭帯域波形である場合に参照される狭帯域波形用参照部品データリストと、推論された前記分類が前記拡散狭帯域波形である場合に参照される拡散狭帯域波形用参照部品データリストと、推論された前記分類が前記広帯域波形である場合に参照される広帯域波形用参照部品データリストと、を含み、
前記原因部品特定ステップにおいては、推論された前記分類に基づいて、前記狭帯域波形用参照部品データリスト、拡散狭帯域波形用参照部品データリスト又は前記広帯域波形用参照部品データリストのいずれか1つを参照し、前記参照測定データに基づいて、前記原因部品データを特定することが行われる、分析プログラム。