(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121408
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】衝撃吸収材を備える放射線検査装置用カセット
(51)【国際特許分類】
G01T 7/00 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
G01T7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022017093
(22)【出願日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】2101172
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515004577
【氏名又は名称】トリクセル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルバン・ポン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・リューベルネ
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188BB02
2G188CC22
2G188DD05
2G188DD12
2G188DD38
2G188DD47
(57)【要約】 (修正有)
【課題】衝撃吸収材を備える放射線検査装置用カセットを提供する。
【解決手段】本発明は、
-第一の主面13、第二の主面14を含む単体部品ベース12であって、4つの側面15、17により画定され、第一の主面13上のデジタル検出器11と電子回路基板を支持することができるベース12、
-機械的保護ハウジング20であって、ベース12、デジタル検出器11、及び電子回路基板19がその中に配置されることが意図され、4つの側面25、27、上面23、及び底面24を含むハウジング20と協働することが意図された三次元部品30に関し、
三次元部品30は、
-ベース12に関係付けられ、ベース12の側面15、17を少なくとも部分的に取り囲む下部31と、
-ベース12の第一の主面13からハウジング20の上面23まで延びる上部32と、
を含むことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-フラットパネルの形態の電磁放射線のデジタル検出器(11)と、
-第一の主面(13)、前記第一の主面(13)の反対の第二の主面(14)を含む単体部品のベース(12)であって、4つの側面(15、16、17、18)により画定され、前記第一の主面(13)上に前記デジタル検出器(11)を支持するベース(12)と、
-前記デジタル検出器(11)の管理を扱う電子回路基板(19)と、
-その中に前記ベース(12)、前記デジタル検出器(11)、及び前記電子回路基板(19)が配置される機械的保護ハウジング(20)であって、4つの側面(25、26、27、28)、上面(23)、及び下面(24)を含むハウジング(20)と、
を含む可搬型放射線検査用カセット(10)において、
少なくとも1つの三次元部品(30、40)を含み、前記少なくとも1つの三次元部品(30、40)の各々、前記ベース(12)の前記4つの側面(15、16,17、18)のうちの少なくとも1つに関連付けられ、各三次元部品(30、40)は、
-前記ベース(12)に関係付けられ、前記ベース(12)のうち三次元部品(30、40)に関連付けられる少なくとも1つの側面(15、16、17、18)を少なくとも部分的に取り囲む下部(31、41)と、
-前記ベース(12)の前記第一の主面(13)から前記ハウジング(20)の前記上面(23)まで延びる上部(32、42)と、
を含むことと、
前記可搬型放射線検査用カセットはフレキシブル回路(60)を含み、
前記三次元部品(40)のうちの少なくとも1つの前記下部(41)は、前記フレキシブル回路(60)を格納するための少なくとも1つの凹部(44)を含み、
前記三次元部品のうちの少なくとも1つ(40)のうちの少なくとも1つの上部(42)は、前記ベース(12)のうち前記三次元部品(40)が関連付けられている前記側面に対して実質的に直角の軸上で少なくとも1つの開口(43)を含むことと、
前記可搬型放射線検査用カセットは、前記ベース(12)の前記第一の主面(13)に実質的に平行に延び、前記三次元部品(40)の前記下部(41)と接触する分枝(51)を含む櫛状部材(50)を含み、前記分枝(51)には、前記分枝(51)に対して実質的に直角に延びる少なくとも1つの歯(52)が設けられ、前記少なくとも1つの歯(52)は、前記三次元部品(40)と協働して、前記分枝(51)が前記フレキシブル回路(60)に当たって移動できないようにするように構成されること
を特徴とする、可搬型放射線検査用カセット(10)。
【請求項2】
前記三次元部品(30、40)のうち少なくとも1つの下部(31、41)は、前記ベース(12)のうち前記三次元部品(30、40)が関連付けられる前記側面に隣接する側面を部分的に取り囲む、請求項1に記載の可搬型放射線検査用カセット(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの歯(52)は、前記三次元部品(40)の前記上部(42)の前記開口(43)に挿入され、前記櫛状部材(50)が前記ベース(12)に実質的に平行な平面内で並進移動するのを阻止するように構成される、請求項1又は2に記載の可搬型放射線検査用カセット(10)。
【請求項4】
前記三次元部品のうちの少なくとも1つの前記上部の終端は、前記ハウジング(20)の前記上面(23)と相補的な形態である、請求項1~3の一項に記載の可搬型放射線検査用カセット(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの三次元部品(30、40)は、エラストマ、ポリウレタン、熱可溶性エラストマ、ポリアミド、及び/又はポリエステルで製作される、請求項1~4の一項に記載の可搬型放射線検査用カセット(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの三次元部品(30、40)の前記下部(31、41)は前記ベース(12)に糊付けされる、請求項1~5の一項に記載の可搬型放射線検査用カセット(10)。
【請求項7】
-第一の主面(13)、前記第一の主面(13)と反対の第二の主面(14)を含む単体部品ベース(12)であって、4つの側面(15、16、17、18)により画定され、前記第一の主面(13)上のデジタル検出器(11)と、電子回路基板を支持することができるベース(12)、
-機械的保護ハウジング(20)であって、前記ベース(12)、前記デジタル検出器(11)、及び前記電子回路基板(19)がその中に配置されることが意図され、4つの側面(25、26、27、28)、上面(23)、及び底面(24)を含むハウジング(20)
と協働することが意図された三次元部品(30、40)において、
-前記ベース(12)に関係付けられ、前記ベース(12)の側面(15、16、17、18)を少なくとも部分的に取り囲む下部(31、41)と、
-前記ベース(12)の前記第一の主面(13)から前記ハウジング(20)の前記上面(23)まで延びる上部(32、42)と、
を含み、
前記下部(41)は、フレキシブル回路(60)を格納することが意図された少なくとも1つの凹部(44)を含み、
前記上部(42)は、前記ベース(12)のうち前記三次元部品(40)が関連付けられることになる前記側面に対して実質的に直角の軸上で少なくとも1つの開口(43)を含むこと
を特徴とする三次元部品(30、40)。
【請求項8】
コンピュータプログラム製品において、前記コンピュータプログラムはコンピュータ実行可能命令を含み、これはプロセッサにより実行されると前記プロセッサに請求項7に記載の前記三次元部品を製造するために付加製造装置を制御させるコンピュータプログラム製品。
【請求項9】
請求項7に記載の前記三次元部品(30、40)を付加製造により製造する方法において、前記三次元部品(30、40)である製品の幾何学情報を表す電子ファイルを取得するステップ(ステップ501)と、付加製造装置を制御して、1つ又は複数の付加製造ステップを経て、前記電子ファイル内に明示された前記幾何学情報による前記製品を製造するステップ(ステップ502)と、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像撮影の分野に関する。これは、特にX線、可視光、及び赤外線画像撮影装置、あらゆるタイプの画像撮影装置に適用できる。本明細書において、本発明はX線医用画像撮影の分野において説明されているが、これは例であり、他の画像撮影の分野への応用を一切排除するものではない。本発明は、衝撃吸収材を備える可搬型放射線検査装置用カセットに関し、これによって、落下、外的物体からの衝撃、局所的又は分散圧迫力、及びあらゆる応力からのカセットの保護がより強化される。
【背景技術】
【0002】
カセットは、受け取った放射線と相関関係にある画像を提供することを可能にする電離放射線のデジタル検出器を含む。放射線検査システムは、X線を発生させることを可能にする、例えばX線管等の電離放射線源と、X線管と検出器を同期させることを可能にし、また、例えば輪郭ハイライト処理動作によって検出器に固有の全ての欠陥が補正され、改善された画像をオペレータに示す等の画像処理動作を実行することも可能にする画像処理システムを含むベースステーションと、をさらに含む。X線画像を取得したい対象物は、放射線源と検出器との間に設置される。このようなシステムは、例えば医用放射線検査及び非破壊試験等、数多くの用途において使用できる。本発明はまた、その他の種類の放射線、特にガンマ線を検出するためにも実装できる。
【0003】
過去において、デジタルセンサ又はX線蛍光増倍管を含む放射線検査システムは嵩張り、ほぼ動かすことができなかった。所望の画像を取得するためには、対象物をシステムに関して位置決めしなければならなかった。新世代の固体検出器の出現により、検出器はより小型化され、固定したままの対象物に関して検出器を移動させることが可能になった。医用放射線検査では、デジタル検出器が持ち運び可能カセットの形態で使用されており、するとこれは、患者の健康状態から、専用の放射線検査室へと本人を連れて行くことができない場合に、画像撮影対象の患者のすぐそばに設置できるようになった。このような検出器は現在、カセット又は電子発光スクリーンタイプの旧式のアナログセンサと似たような幾何学的特性を有している。しかしながら、これらは旧来のアナログセンサより機械的強度がはるかに弱く、特に落とされたり、又は強い衝撃を受けたりした場合の内部の素子の破損のリスクがより高い。
【0004】
持ち運び可能カセットは基本的に、フラットパネルの形態の電離放射線のデジタル検出器と、特にデジタル検出器を駆動する役割を果たす電子回路基板と、を含む。検出器と回路基板は、その機械的保護を確保するためにハウジング内に配置される。
【0005】
可搬型システムで使用されるカセットは、固定式放射線検査システムで使用される場合より取り扱われる回数が多く、その機械的保護は、特にカセットがその移動中に受け得る衝撃に関して強化されなければならない。より具体的には、デジタル検出器は多くの場合、カセットのうち最も敏感な素子を形成するガラス練板上にマトリクス状に配置された感光コンポーネントから製作される。それに損傷を与え得る衝撃に加えて、この練板は、特にねじれによる変形による影響も受けやすい。
【0006】
したがって、可搬型カセットの場合、外的攻撃に対する最大の抵抗力と軽量化小型化との折り合いを付けなければならない。実際、これらの可搬型カセットは、その取り扱いにおいて、またその使用寿命全体を通じて、落下、外的物体からの衝撃、局所的又は分散圧迫力、及び均一に支持されていない検出器に患者の体重がかかったときの曲げ応力にさらされ得る。そのために、検出器の機械的構造は、デジタル検出器及び電子回路基板という敏感な素子のための最大の保護を提供しなければならない。
【0007】
カセット内部の衝撃、振動、又は機械的遊びの結果、これらの機械的応力により劣化が誘導される。これらの劣化により、検出器の能動部品(おそらくシンチレータの上に配置されたガラスカバーによりカプセル封入された、ガラス基板上のフォトダイオードマトリクス)が破損し、電子回路基板又はこれらの基板上に設置されたコンポーネントが破損し、若しくは損傷を受け、各種のサブアセンブリを電気的に接続するためのコネクタ又はフレキシブルリボンケーブルが外れ、若しくは切れるかもしれず、最終的に、フォトダイオードマトリクスと電子回路基板との間の電気的接触を確立するフレキシブルコネクタ(いわゆるフレキシブルモジュール)の振動に起因する放射線画像の障害を生じさせ得る。こうした劣化は機械的応力の発生中、すぐに発生し、瞬時に故障を生じさせ得る。これらはまた、摩擦又は製品寿命全体の小さい障害の繰返しに関係付けられる摩耗メカニズムからも生じ得る。
【0008】
カセットの繊細部品を保護するために、幾つかの解決策が現在実施されている。第一の解決策は、外的保護フィルムに組み込まれた追加の層にある。この解決策は、落下の場合の内部の動きによる外的衝撃からパネルを保護せず、放射線検査機器に関する三次元標準との適合により制約される製品の嵩が増す傾向にある。
【0009】
他の解決策は、ベースの縁に局所的ブラケットを追加することである。この解決策は、モジュール(フレキシブルコネクタ)を振動又は引裂きのリスクから保護しない。さらに、吸収能力は、これらのブラケットが小さいため(嵩は検出器の標準化された大きさによって制約される)、非常に限定的である。
【0010】
最後に、機械的遊びを小さくすることも既知の慣行である。しかしながら、現在のところ、機械的遊びを小さくするには、部品全ての寸法公差を縮小すること以外の簡単な解決策はなく、これにはこれらの部品のコスト、さらにはフィージビリティ、及び組み立てにくさに対する影響を伴う。
【0011】
これらの解決策は全て、制限された群の機械的応力(衝撃、振動)に対する部分的な保護しか提供せず、十分に満足できるとはいえない。
【0012】
図1は、先行技術から知られている可搬型放射線検査用カセット100の構造の断面図を示す。従来、可搬型放射線検査用カセット100は:
-平面(XY)上に延びるフラットパネルの形態の、電離放射線のデジタル検出器111と、
-第一の主面113、第一の主面113の反対の第二の主面114を含むベース112であって、4つの側面115、116(断面図では見えないため、図示されていない)、117、118により画定され、第一の主面113上にデジタル検出器111を支持するベース112と、
-デジタル検出器111の管理を扱う電子回路基板119と、
-その中にベース112、デジタル検出器111、電子回路基板119が配置される機械的保護ハウジング120であって、4つの側面、上面123、及び底面124を含むハウジング120と、
を含む。
【0013】
先行技術の可搬型放射線検査用カセット100はまた、ハウジング120の内部に位置付けられる2つの素子107も含み、各素子107はハウジングの側面及びベースに当たるように設置される。2つの素子107は、横方向の、すなわちベース平面に平行な(平面(XY)に平行な)平面内の衝撃に対するバッファとして機能する。発泡材層130は、デジタル検出器上に、平面(XY)に直角な軸Z上で重ねられ、デジタル検出器111とハウジングの上面123との間に位置付けられて、検出器を軸Z上の衝撃から絶縁する。換言すれば、先行技術の放射線検査用カセットでは、デジタル検出器及びカセットのその他の敏感なコンポーネントを絶縁するために、横方向衝撃絶縁素子及び軸Z上の衝撃を吸収する追加の保護層を有する必要がある。
【0014】
衝撃を吸収することを目的とする衝撃吸収素子107はハウジング上に取り付けられ、その後、パネル(ベースとデジタル検出器のアセンブリ)がハウジング上に設置される。この配置では、衝撃吸収素子とパネルとの間の応力伝達界面を制御することはできない。衝撃吸収素子は、応力が検出器の縁部にかかった場合のみ有効であり、したがって、二次元の保護と考えることができる。前面への衝撃は発泡材層によってしか吸収されず、これは衝撃と振動をほとんどフィルタリングせず、それらを衝撃吸収素子を通過させずに練板へと直接伝える。このような先行技術の放射線検査用カセット100は、特に米国特許第7989773B2号明細書に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第7989773B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、衝撃吸収材を備える可搬型放射線検査用カセットを提案することによって、前述の問題の全部又は一部を克服することを目指しており、これは、環境外乱中で使用された場合に製品を不可逆的に劣化させるか、又はその性能に影響を与えるリスクのある時折の、又は反復的な機械的応力から保護されることになる。本発明により、検出器が落とされたり、又は強い衝撃を受けたりしたときの、外部ハウジング内に組み込まれた検出器の内部能動部品の保護、振動を受けたときに画像の欠陥を生じさせる画像取得中の繊細なコンポーネントの保護、ハウジングと、ベース及びデジタル検出器により形成されるアセンブリとの間の内部機械的遊びの軽減の両方を確保することにより、カセットの固有の機械的堅牢性を高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このために、本発明の主旨は、可搬型放射線検査用カセットに関し、これは:
-フラットパネルの形態の、電磁放射線のデジタル検出器と、
-第一の主面、第二の主面と反対の第二の主面を含む一体部品のベースであって、4つの側面により画定され、第一の主面上にデジタル検出器を支持するベースと、
-デジタル検出器の管理を扱う電子回路基板と、
-その中にベース、デジタル検出器、及び電子回路基板が配置される機械的保護ハウジングであって、4つの側面、上面、及び底面を含むハウジングと、
を含み、
可搬型放射線検査用カセットは、少なくとも1つの三次元部品を含み、少なくとも1つの三次元部品の各々は、ベースの4つの側面のうちの少なくとも1つに関連付けられ、各三次元部品は:
-ベースに関係付けられ、ベースのうち三次元部品が関連付けられる少なくとも1つの側面を少なくとも部分的に取り囲む下部と、
-ベースの第一の主面からハウジングの上面まで延びる上部と、
を含み、
可搬型放射線検査用カセットはフレキシブル回路を含み、三次元部品のうちの少なくとも1つの下部は、フレキシブル回路を格納するための少なくとも1つの凹部を含み、三次元部品のうちの少なくとも1つの上部は、ベースのうち三次元部品が関連付けられる側面に対して実質的に直角の軸上に少なくとも1つの開口を含み、
可搬型放射線検査用カセットは、ベースの第一の主面に実質的に平行に延び、三次元部品の下部と接触する分枝を含む櫛状部材を含み、分枝には、分枝に対して実質的に直角に延びる少なくとも1つの歯が設けられ、少なくとも1つの歯は、三次元部品と協働して分枝がフレキシブル回路に当たって動かないようにするように構成される。
【0018】
有利には、三次元部品のうちの少なくとも1つの下部は、ベースのうち三次元部品が関連付けられる側面に隣接する側面を部分的に取り囲む。
【0019】
有利には、少なくとも1つの歯は三次元部品の上部の開口の中に挿入され、櫛状部材がベースに実質的に平行な平面内で並進移動するのを阻止するように構成される。
【0020】
有利には、三次元部品のうちの少なくとも1つの上部は、その終端がハウジングの上面と相補的な形態である。
【0021】
有利には、少なくとも1つの三次元部品は、エラストマ、ポリウレタン、熱可塑性エラストマ、ポリアミド、及び/又はポリエステルで製作される。
【0022】
有利には、少なくとも1つの三次元部品の下部はベースに糊付けされる。
【0023】
本発明はまた、三次元部品にも関し、これは:
-第一の主面、第一の主面と反対の第二の主面を含む単体部品ベースであって、4つの側面により画定され、第一の主面上のデジタル検出器と電子回路基板を支持することができるベース、
-機械的保護ハウジングであって、ベース、デジタル検出器、及び電子回路基板がその中に配置されるものとされ、4つの側面、上面、及び底面を含むハウジング
と協働することが意図され、
三次元部品は:
-ベースに関係付けられ、ベースの側面を少なくとも部分的に取り囲む下部と、
-ベースの第一の主面からハウジングの上面まで延びる上部と、
を含む。
【0024】
本発明はまた、コンピュータプログラム製品にも関し、前記コンピュータプログラムはコンピュータ実行可能命令を含み、これは、プロセッサにより実行されるとプロセッサに本発明による三次元部品を製造するために付加製造装置を制御させる。
【0025】
本発明はまた、本発明による三次元部品を付加製造により製造する方法にも関し、方法は、三次元部品である製品の幾何学情報を表す電子ファイルを取得するステップと、付加製造装置を制御して、1つ又は複数の付加製造ステップを経て、電子ファイル内に明示された幾何学情報による製品を製造するステップと、を含む。
【0026】
例として与えられる実施形態の詳細な説明を読むことにより、本発明はよりよく理解され、その他の利点も明らかとなり、説明は下記のような添付の図面により図解されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】先行技術の放射線検査用カセットの断面図を概略的に示す。
【
図2】本発明による放射線検査用カセットの一部の断面図を概略的に示す。
【
図3】ハウジングのない状態の本発明による可搬型デジタルカセットの一部の図を概略的に示す。
【
図4】
図3に示されるハウジングのない状態の本発明による可搬型デジタルカセットの図の拡大図を概略的に示す。
【
図5】本発明による可搬型デジタルカセットのための三次元部品を表す。
【
図6】ハウジングのない状態の本発明による可搬型デジタルカセットの他の実施形態の図を概略的に示す。
【
図7】
図6に示されるハウジングのない状態の本発明による可搬型デジタルカセットの図の拡大図を概略的に示す。
【
図8】付加製造による本発明による三次元部品の製造方法のステップを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
これらの図面中、明瞭にするために、縮尺は守られていない。さらに、各種の図面において同じ要素には同じ参照番号が付されている。
【0029】
図1は、先行技術の、導入部ですでに説明した放射線検査用カセット100の断面図を概略的に示す。
【0030】
図2は、本発明による放射線検査用カセット10の一部の断面図を概略的に示す。可搬型放射線検査用カセット10は、フラットパネルの形態の、電離放射線のデジタル検出器11を含む。カセット10は、第一の主面13、第一の主面13と反対の第二の主面14を含む単体部品のベース12を含み、ベース12は4つの側面15、16、17、18(面16はこの断面図では見えない後方側面であり、面18はこの断面図では見えない前方側面である)により画定され、ベース12は第一の主面13上にデジタル検出器11を支持する。ベースは、平面(XY)上に延びる。デジタル検出器はしたがって、平面(XY)に直角な軸Z上でベース12の上に重ねられる。カセット10は、デジタル検出器11の管理の扱いを確実にする少なくとも1つの電子回路基板19をさらに含む。電子回路基板19は一般に、ベースの第二の主面14上に位置付けられるが、これは第一の主面13上に、又はカセット10の他の場所に位置付けることもできる。最後に、カセット10は機械的保護ハウジング20を含み、その中にベース12、デジタル検出器11、及び電子回路基板19が配置される。ハウジング20は、4つの側面25、26、27、28(面26はこの断面図では見えない後方側面であり、面28はこの断面図では見えない前方側面である)、上面23、及び底面24を含む。本発明によれば、可搬型放射線検査用カセット10は少なくとも1つの三次元部品30(以下、例として、また非限定的に、幾つかの三次元部品が考えられる)を含み、三次元部品30の各々は、ベース12の4つの側面15、16、17、18のうちの1つに関連付けられる。各三次元部品30は、ベース12に関係付けられ、三次元部品30が関連付けられるベース12の側面15、16、17、18を少なくとも部分的に取り囲む下部31を含む。以下に詳述するように、ベース12に関係付けられた下部31は、ベース12のうち三次元部品30が関連付けられる少なくとも1つの側面を少なくとも部分的に取り囲むことができる。これは例えばそのうちの2つを取り囲むことができる。また、各三次元部品30は、ベース12の第一の主面13からハウジング20の上面23まで延びる上部32を含む。
【0031】
三次元部品は、三次元X、Y、Zの三次元衝撃吸収材と同様とすることができる。
【0032】
三次元部品30は、エラストマ、ポリウレタン、熱可塑性エラストマ、ポリアミド、及び/若しくはポリエステル、又は同様の機械的特性を有するその他の何れかの材料で製作できる。
【0033】
三次元部品は、パネル(ベース12とデジタル検出器11により形成されるアセンブリ)とハウジング20との間で3方向の力を確実に吸収する。三次元部品により、検出器を落としたときに、X線画像撮影技術(パネル)に伝えられる加速度をフィルタリングすることが可能となる。
【0034】
三次元部品は、軸Z上の高さ方向の楔形部分がモジュール間に作られるように設計される。これは、外部の振動がモジュールに伝わるのを避ける。これは、モジュールへの振動の伝達をフィルタリングし、いわゆる「マイクロフォン」故障を大幅に低減できる。
【0035】
さらに、使用される材料、好ましくは、ただし非限定的に、エラストマからなる材料の特性によっても、パネルとハウジングとの間の内部の遊びを限定することが可能となる。その結果、製品使用時の故障の原因(特に電気的切断、摩滅)となる内部の動きが制限される。
【0036】
三次元部品によって、検出素子の外部マーキングに関する位置付けがより正確に保証される。
【0037】
これらの部品のための材料を選択できることにより、射出成型製造方法を考えることが可能となり、したがって、これらの部品をより低い製造コストで製造できる。その他の製造方法、例えば付加製造もまた、後述のように考えることができる。
【0038】
三次元部品は、平面XY内及び高さ方向Zのどちらにもベースに食い込んでハウジングに関して固定する役割を果たす。1つの部品により、3つの軸Z、Y、Z上への衝撃から確実に隔離することができる。そこから得られる利点は、カセットの落下、画像取得中の振動、使用者によるがさつな扱いにかかわらず得られる高い機械的堅牢性である。三次元部品によって、環境外乱中で使用されたときに製品を不可逆的に劣化させ、又はその性能に影響を与えるリスクのある時折の、又は反復的な機械的応力からの保護を確実にする。さらに、三次元部品により検出器のコストがそれほど増大することはない。
【0039】
デジタル検出器の内部能動部品は、カセットが落とされ、又は強い衝撃を受けた場合に破損するリスクのある脆い部品である。カセットの能動コア(パネル+電子回路基板)は、落下又は外郭への強い横方向の衝撃により生じる衝撃波の影響によって大きく変形する可能性がある。
【0040】
フレキシブル又は弾性フードはそれでもなお、敏感な画像ゾーンを製品の外側の機械的基準に関して確実に位置付けるために必要である。
【0041】
これらの平坦なデジタル検出器はまた、その日常の使用において外側環境から生じる機械的外乱(衝撃、振動)の影響も受けやすい。製品にとって破壊的とならないとしても、これらの機械的外乱は放射線画像中に目に見えるアーチファクトを生じさせる可能性が高く、これは画像に現れる幾分かの黒い線の形態であることが最も多く、その品質を大きく劣化させる。
【0042】
したがって、本発明により、製品が落とされた(落下高さは典型的に80cm~120cm)場合に内部の能動部品の破損を回避し、画像中に誘導される障害を回避することが可能となる。
【0043】
1つの実施形態において(
図2の右側部分に見える)、ベース12に関係付けられた下部31は、ベース12の第二の主面14からベースの第一の主面13まで延び、ハウジング20の、それに面する側面と接触する。この例に実施形態において、下部31はベース12の一部を万力のように保持する。
【0044】
他の実施形態において(
図2の左側部分に見える)、ベース12に関連付けられる下部31は、ベース12の側面からベースの第一の主面13まで延び、反対の側面20と接触する。この実施形態において、下部31はベース12の一部を固定する。
【0045】
本発明による三次元部品はまた、その他の、例えばブラケットの形態をとるとができ、下部はベースに関係付けられる。
【0046】
三次元部品30の下部31は好ましくは、ベース12に糊付けされる。これは、他の何れの適当な固定手段によってベースに留め付け、又は固定することもできる。
【0047】
図3は、機械的保護ハウジング20がない本発明による可搬型デジタルカセット10の一部の図を概略的に示す。
【0048】
放射線検査用カセット10は、第一の三次元部品30及び/又は第二の三次元部品40を含むことができる。第一の三次元部品30と第二の三次元部品40は、下部31と上部32を含む。第一の三次元部品30はその上部32を有し、これはその下部31から軸Z上の、ハウジングの下の高さ、すなわちハウジング20の面23の下の高さに対応する特定の高さまで延びる。上部の目的は、Z上の力の吸収することである。
【0049】
第二の三次元部品40は、その下部41によって第一の三次元部品30と区別される。可搬型放射線検査用カセット10は一般に、電子コンポーネントを含むことのできる1つのフレキシブル回路60(又は複数のそれら)を含む。三次元部品40の下部41は、フレキシブル回路60を格納するための少なくとも1つの凹部44を含む。
【0050】
図4は、
図3に示されるハウジング20のない状態の本発明による可搬型デジタルカセット10の図の拡大図を概略的に示す。まもなく詳しくわかるように、フレキシブル回路60は下部41の凹部44の中に位置付けられる。この位置付けによって、フレキシブル回路は所定の位置にうまく食い込んで固定される。側方の衝撃の場合、下部41はわずかにつぶれて力を吸収し得る。
【0051】
三次元部品40のうちの少なくとも1つの上部42の終端は、ハウジング20の上面23と相補的な形態をとることができる。換言すれば、上部42の終端は、その上部において、ハウジング20の内側形態に密接に追従するように面23の形態と相補的な形態の凹部及び/又は突出部の組合せである。
【0052】
三次元部品40のうちの少なくとも1つの下部41は(部品30の下部31についてもちょうど同様であるように)、ベース12のうち三次元部品が関連付けられる側面15に隣接する側面18を部分的に取り囲むことができる。換言すれば、三次元部品の下部はベースの隅部を取り囲むことができる。
【0053】
図5は、本発明による可搬型デジタルカセット10のための三次元部品40を示す。すでに説明したように、三次元部品40は、
-第一の主面13、第一の主面13と反対の第二の主面14を含む単体部品のベース12であって、4つの側面15、16、17、18により画定され、第一の主面13上のデジタル検出器11と、電子回路基板を支持することができるベース12、
-機械的保護ハウジング20であって、ベース12、デジタル検出器11、及び電子回路基板19が機械的保護ハウジング20内に配置されることが意図され、4つの側面25、26、27、28、上面23、及び底面24を含むハウジング20
と協働することが意図される。
【0054】
本発明によれば、三次元部品40は、ベース12に関係付けられ、ベース12の側面15、16、17、18を少なくとも部分的に取り囲む下部41と、ベース12の第一の主面13からハウジング20の上面23まで延びる上部42を含む。
【0055】
この図において、三次元部品40の下部41の、フレキシブル回路60を格納することが意図される凹部44がハイライトされている。
【0056】
三次元部品はベースの側面に関連付けることができ(
図3及び4に示される)、又は
図5からわかるように、例えば2等、2つ以上の側面に関連付けることもできると指摘できる。この後者の変形型では、下部41はベース12の2つの側辺に沿って延びる。このような三次元部品は、ベースの2つの側面をカバーすることに加えて、ハウジングに関して素子を正しく位置付けることを可能にする。また、1つの三次元部品で3方向(下部41によりX及びY、上部42によりZ)の衝撃を吸収するのに十分である。
【0057】
三次元部品40のうちの少なくとも1つの上部42は、ベース12のうち三次元部品40が関連付けられる側面に対して実質的に直角の軸上に少なくとも1つの開口43を含む。この開口43の役割を、次の図により説明する。
【0058】
図6は、第二の三次元部品40に関係する、ハウジング20のない状態の本発明による可搬型デジタルカセット10の他の実施形態の図を概略的に示す。
図6に示される図は、
図3に示される図と同じである。この図では、カセット10は、
図7に詳しく示されるように、櫛状部材50をさらに含み、これは三次元部品40と協働して、フレキシブル回路60が確実に凹部内の所定の位置に保持され、それを三次元部品の下部41に押し付けることが意図される。
【0059】
図7は、
図6に示されるハウジング20のない状態の本発明による可搬型デジタルカセット10の図の拡大図を概略的に示す。もう少し詳しくわかるように、カセット10は櫛状部材50を含み、これは、ベース12の第一の主面13に実質的に平行に延び、三次元部品40の下部41と接触する分枝51を含み、分枝51には、分枝51に対して実質的に直角に延びる少なくとも1つの歯52が設けられ、少なくとも1つの歯52は、三次元部品40と協働して分枝51がフレキシブル回路60に当たっても動かないようにするように構成される。
【0060】
少なくとも1つの歯52は、三次元部品40の上部42の開口43に挿入され、櫛状部材50がベース12に実質的に平行な平面内で並進移動するのを阻止するように構成される。櫛状部材50は、平面XY内の、及び歯52を開口43に挿入することによって軸Z上での並進移動を阻止される。櫛状部材50は、フレキシブル回路60をベースに向かって、三次元部品40の下部に押し付ける。櫛状部材により、絶対的にベースに関する非常に正確に保持されなければならないフレキシブル回路60の正しい位置付けが保証される。部品40の下部41はごくわずかに(数十分の1ミリメートルのオーダで)フレキシブル回路を越えて延びることができる点にも留意すべきである。換言すれば、下部41の横方向の厚さは、ベースの側面においてベースを越えて延びることのできるフレキシブル回路の厚さより大きい。この構成は、衝撃を受けてもフレキシブル回路を所定の位置に保持することに寄与し:なぜなら三次元部品はつぶれるのに十分に柔軟であり、三次元部品の全長にわたり均一な効果が確保されるからである。
【0061】
上では、櫛状部材50のみについてのみ述べた。本発明は、1つの櫛状部材で適用できるが、
図7に示されるように、複数の櫛状部材を含むことも有利でもある。
【0062】
それゆえ、その三次元衝撃吸収の役割に加えて、三次元部品40は、モジュール/フレキシブル回路をハウジングから機械的に絶縁された状態に保持するための部品である櫛状部材を組み込むことが可能となる。これは、モジュール/フレキシブル回路への外部の振動をよりよくフィルタリングすることに寄与する。
【0063】
本発明は、X、Y、Zの全方向への衝撃と振動を吸収することができ、それゆえ破損のリスクから検出器を保護する三次元部品に依拠する。三次元部品は、機械的保護ハウジングと検出器の能動部品との間の機械的フィルタを構成する。その弾性構造によって、デジタル検出器の敏感な画像ゾーンを外部の機械的基準に関して位置付けることが可能となる。
【0064】
本発明のその他の利点は、この三次元部品が取外し可能であり、それによってパネル及び電子回路基板を容易に修理又は交換できる点である。最後に、この三次元部品は、横方向の衝撃により生じる衝撃波の伝播による制御不能な局所的曲げを限定することによって、パネルの剛性に寄与する。
【0065】
本発明はまた、コンピュータプログラム製品にも関し、前記コンピュータプログラムはコンピュータ実行可能命令を含み、これは、プロセッサにより実行されると、プロセッサに付加製造装置を制御させて、前述の三次元部品30又は40が製造されるようにする。
【0066】
図8は、付加製造によって本発明による三次元部品を製造する方法のステップを概略的に示す。付加製造による三次元部品30、40の製造方法は、製品が三次元部品30又は40である、製品の幾何学情報を表す電子ファイルを取得するステップからなるステップ501と、付加製造装置を制御して、1つ又は複数の付加製造ステップを経て、電子ファイル中に明示された幾何学情報にしたがって製品を製造するステップ502と、を含む。
【0067】
本開示による例は、付加製造方法を使用することによって形成できる。付加製造の一般的な例は3Dプリンティングであるが、その他の付加製造方法も利用できる。ラピッドプロトタイピング又はラピッドマニュファクチャリングもまた、付加製造方法を説明するために使用できる用語である。本明細書で使用されるかぎり、「付加製造」とは概して、連続する材料層を上へ上へと堆積させて、三次元部品を1層ごとに「構築」し、又は「付加的に製造する」製造方法を指す。これは、材料が連続的に除去されて部品が製造される特定の除去製造方法(研削や穿孔等)と比較される。連続層は一般に、相互に融合してモノリシックコンポーネントを形成し、これは組み込まれた様々なサブコンポーネントを有することができる。特に、この製造方法により、本開示の例を完全に形成し、先行技術の製造方法を使用した場合には不可能であった各種の特性を含めることを可能にできる。本明細書に記載の付加製造方法によって、先行技術による製造方法を使用したのでは不可能であり得た各種の特性を有する何れの大きさ及び形態に製造することが可能となる。付加製造は、何れの種類のツール、金型、又はリグも使用せずに、ほとんど、又は全く廃棄物を出さずに複雑な幾何学を創出できる。コンポーネントをプラスチック又は金属のソリッドビレットから機械加工して、その多くの部分が切り取られ、廃棄される代わりに、付加製造で使用される唯一の材料はその部品を形作るために必要な材料である。
【0068】
本開示により適切である付加製造技術には、例えば、熱可溶性積層法(FDM)、選択的レーザ焼結法(SLS)、インクジェット及びレーザジェット等による3Dプリンティング、ステレオリソグラフィ(SLA)、直接選択的レーザ焼結法(ステレオリソグラフィ又はDSLS)、電子ビーム焼結法(EBS)、電子ビーム溶解法(EBM)、レーザ加工ネットシェイピング(LENS)、電子ビーム付加製造法(EBAM)、レーザネット加工製造法(LNSM)、ダイレクト・メタル・デポジション(DMD)、デジタル光加工法(DLP)、連続デジタル光加工法(CDLP)、直接選択的レーザ溶解法(DSLM)、選択的レーザ溶解法(SLM)、直接金属レーザ溶解法(DMLM)、直接金属レーザ焼結法(DMLS)、マテリアル噴射法(MJ)、ナノ粒子噴射法(NPJ)、ドロップ・オン・デマンド(DOD)、結合剤噴射法(BJ)、マルチジェットフュージョン(MJF)、薄膜積層法(LOM)、及びその他の既知の方法が含まれる。本明細書に記載の付加製造方法は、何れの適当な材料を使用したコンポーネントの形成にも使用できる。例えば、材料はプラスチック、複合材料、ポリマ、エポキシ、フォトポリマ樹脂、又は他の何れの適当な材料とすることもでき、これらは固体、液体、粉末、シート、若しくはスレッドの形態、又は他の何れの適当な形成、或いはそれらの組合せとすることもできる。より具体的には、本発明の例示的な実施形態によれば、本明細書に記載の付加的に製造されたコンポーネントは、部分的若しくは全体的に、又は特定の組合せで、材料から形成できる。これらの材料は、本明細書に記載の製造例に適している可能性のある不可製造方法で使用するのに適当な材料の例である。
【0069】
前述のように、本明細書に記載の付加製造方法により、1つのコンポーネントを複数の材料から形成することができる。それゆえ、本明細書に記載の例は、前述の材料の何れの適当な混合物からも形成できる。例えば、あるコンポーネントは複数の層、セグメント、又は部分を含み得て、これらは異なる材料、方法、及び/又は異なる付加製造装置を使って形成される。そのようにして、何れの特定の用途の要求事項も満たす異なる材料及び材料特性を有するコンポーネントを構成できる。さらに、本明細書に記載のコンポーネントは全体が付加製造方法によって構成されているが、留意すべき点として、代替的実施形態では、これらのコンポーネントの全部又は一部を金型成形、機械加工、及び/又は他の何れの適当な製造方法でも形成できる。実際、材料の、及び製造方法の何れの適当な組合せを使用しても、これらのコンポーネントを形成できる。付加製造方法は一般に、コンポーネントをそのコンポーネントの三次元(3D)情報、例えば三次元コンピュータモデル(又はデザインファイル)に基づいて製造する。その結果、本明細書に記載の例は、本明細書に記載の製品又はコンポーネントだけでなく、付加製造を介したこのような製品又はコンポーネントの製造方法の他、付加製造を介したこのような製品の製造を制御するためのソフトウェア、ファームウェア、又はコンピュータハードウェアも含む。
【0070】
製品の1つ又は複数の部品の構造は、デジタルファイルの形態でデジタル表現できる。デザインファイル、又はコンピュータ支援設計(CAD)ファイルは、製品の形態の1つ又は複数の表面又は体積構成をコード化するコンフィギュレーションファイルである。換言すれば、デザインファイルは製品の幾何学的性質又は形態を表現する。デザインファイルは、既知の、又は今後開発される何れのファイルフォーマットとすることもできる。例えば、デザインファイルは、3DシステムのCADステレオリソグラフィブログラムのために考案されたステレオリソグラフィフォーマット、すなわち“Standard Tessellation Language”(.stl)又は、標準に基づく米国機械学会(ASME)により推進され、何れのCADソフトウェアでも何れの付加製造プリンタ上でも製造される何れの三次元物体の形態及び組成も説明できるように設計された拡張マークアップ言語(XML)に基づくフォーマットである付加製造ファイル(.amf)フォーマットとすることができる。デザインファイルフォーマットのその他の例には、AutoCAD(.dwg)ファイル、Blender(.blend)ファイル、Parasolid(.x_t)ファイル、3D製造フォーマット(.3mf)ファイル、Autodesk(3ds)ファイル、Collada(.dae)ファイル、及びWavefront(.obj)ファイルが含まれるが、他にも多くのファイルフォーマットが存在する。デザインファイルは、モデリングソフトウェア(例えばCADモデリング)を使って、及び/又は製品の表面を走査して、その製品の表面の構成を測定することによって作成できる。
【0071】
デザインファイルは、取得されたら、コンピュータ実行可能命令セットに変換でき、これらは、プロセッサにより実行されると、プロセッサに、付加製造装置を制御して製品がデザインファイルの中に明示された幾何学的性質にしたがって製造されるようにさせる。変換は、デザインファイルを付加製造装置により逐次的に形成しなければならないスライス又は層に変換できる。命令(幾何学コード、又は「コードG」としても知られる)は、具体的な付加製造装置に応じて較正でき、製造プロセスの各ステップを形成するための精密な配置と材料の数量を明示できる。前述のように、形成は、積層によって、焼結によって、又はその他の何れの形態の付加製造方法によっても行うことができる。コード又は命令は、異なるフォーマットに翻訳し、データ信号セットに変換して、転送し、データ信号の形態で受信し、コードに変換し、必要に応じて保存する、等を行うことができる。命令は、付加製造システムへの入力とすることができ、部品のデザイナ、知的財産権(IP)の提供者、デザイン会社、付加製造システムのオペレータ若しくは所有者、又はその他の提供元から発せられてよい。付加製造システムは、本明細書に記載の技術又は方法の何れか1つを使って製品を製造するための命令を実行できる。デザインファイル又はコンピュータ実行可能命令は、製造さる製品を表すコード又はコンピュータ可読命令を保存するコンピュータ可読記憶媒体(一時的又は非一時的)(例えば、メモリ、記憶システム等)に保存できる。前述のように、コード又はコンピュータ可読命令は、コード又は命令が付加製造装置により実行されたときに物体を物理的に生成するために使用できる製品を定義する。例えば、命令は、正確に定義された製品の3Dモデルを含むことができ、多くのよく知られたコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアシステム、例えばAutoCAD(登録商標)、TurboCAD(登録商標)、DesignCAD 3D Max等のうちの1つから生成できる。変形型として、コンポーネントのモデル又はプロトタイプは、走査によってそのコンポーネントの三次元情報を特定できる。
【0072】
その結果、付加製造装置をコンピュータ実行可能命令にしたがって制御することにより、付加製造装置には、製品の1つ又は複数の部品の印刷を担当させることができる。これらは、組立済み形態又は組立前形態で印刷できる。例えば、製品の異なる部分を別々に印刷し(組立前部品のキットの形態で)、その後、組み立てることができる。変形型として、好ましくは、各種の部品を組立済みの形態で印刷できる。以上に鑑み、実施形態は付加製造に基づく製造方法を含む。これは、製品を表すデザインファイルを取得するステップと、デザインファイルにしたがって組立済み又は組立前の形態で製品を製造するための付加製造装置の命令を取得するステップを含む。付加製造装置は、プロセッサを含むことができ、これは、デザインファイルを、製品の製造を制御するためのコンピュータ実行可能命令に自動的に変換するように構成される。これらの実施形態において、デザインファイル自体が、付加製造装置に入力されると製品の製造を自動的に開始させることもできる。その結果、この実施形態では、デザインファイル自体が、製品を付加製造装置に製品を製造させるコンピュータ実行可能命令と考えることができる。変形型として、デザインファイルは外部コンピューティングシステムによって命令に変換することもでき、結果として得られたコンピュータ実行可能命令が付加製造装置に供給される。上記のように、本明細書に記載の主旨と動作の実施例の設計と製造は、デジタル電子回路を使って、又はソフトウェア、ファームウェア、若しくはコンピュータハードウェアで実行でき、これには本明細書に記載の構造及びそれと等価的な構造、又はそのうちの1つ又は複数の組合せが含まれる。例えば、ハードウェアには、プロセッサ、マイクロプロセッサ、電子回路、電子コンポーネント、集積回路等を含めることができる。本明細書に記載の主題の実施例は、コンピュータ記憶媒体上でコード化され、データ処理装置により実行されるため、又はその動作を制御するための1つ又は複数のコンピュータプログラムを使って、すなわちコンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールを使って実現できる。変形型として、又はそれに加えて、プログラム命令は、情報を適当な受信機器に転送して、データ処理装置により実行されるようにコード化するために人工的に生成された伝播信号、例えば機械生成電気、光、又は電磁信号上でコード化できる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶装置、コンピュータ可読記憶基板、マトリクス又はランダム若しくはシリアルアクセスメモリデバイス、これらの1つ又は複数の組合せとすることができ、又はその中に含めることができる。例えば、コンピュータ記憶媒体は伝播信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝播信号の中でコード化されるコンピュータプログラム命令の発信源又は送信先とすることができる。コンピュータ記憶媒体はまた、1つ又は複数の別の物理コンポーネント又は媒体(例えば、幾つかのCD、ディスク、又はその他の記憶装置)とすることができ、又はその中に含めることができる。付加製造技術について、本明細書の中で、典型的には垂直方向に点ごと又は層ごとに物体を構築することによって複雑な物体を製造できるものとして記載しているが、その他の製造方法も可能であり、本明細書の主旨の範囲に含まれる。例えば、本明細書の説明は、材料を付加して連続層を形成することに言及しているが、当業者であれば、本明細書に記載の方法と構造は、何れの付加製造技術又はその他の製造技術でも実現できることがわかるであろう。射出成形又は低圧エラストマキャスティングによる製造もまた引用できる。
【0073】
本発明は主として、放射線のためのイメージセンサ、より詳しくは定常的に衝撃にさらされ、取り扱い時に落とされる可能性のある「可搬型」タイプのセンサの製造に適用される。しかしながら、当業者であれば、本発明は、デジタル検出器ではなく、ディスプレイ、接触型、又は非接触型スクリーン等、他の電子素子に関係するフレキシブルモジュールによって連結される脆い電子素子を含む装置にも適用できると理解するであろう。
【符号の説明】
【0074】
10 可搬型放射線検査用カセット
11 デジタル検出器
12 ベース
13 第一の主面
14 第二の主面
15、16、17、18 ベースの側面
19 電子回路基板
20 ハウジング
23 ハウジングの上面
24 ハウジングの底面
25、26、27、28 ハウジングの側面
30、40 三次元部品
31、41 下部
32、42 上部
43 開口
44 凹部
50 櫛状部材
51 分岐
52 歯
60 フレキシブル回路
【外国語明細書】