(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121409
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】積層型のIII-V半導体ダイオード
(51)【国際特許分類】
H01L 29/861 20060101AFI20220812BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
H01L29/91 F
H01L29/91 C
H01L29/06 301D
H01L29/06 301V
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022017421
(22)【出願日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】10 2021 000 611.9
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517397497
【氏名又は名称】3-5 パワー エレクトロニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】3-5 Power Electronics GmbH
【住所又は居所原語表記】Gostritzer Str. 61-63, 01217 Dresden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス コヴァルスキー
(72)【発明者】
【氏名】リテッシュクマー ボージャニ
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ドゥーデク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】積層型のIII-V半導体ダイオードを提供する。
【解決手段】積層型のIII-V半導体ダイオードは、高濃度でnドーピングされたカソード層、高濃度でpドーピングされたアノード層16及びカソード層とアノード層との間に配置されたドリフト領域を有する。ドリフト領域は、低濃度でnドーピングされたドリフト層14.1及びnドーピングされたドリフト層とアノード層との間に配置され、低濃度でpドーピングされたドリフト層14.2を有する。カソード層は、第1の区分12.1及び第1の区分とドリフト領域との間に配置された第2の区分12.2を有する。第2の区分は、第1の区分の方向にドーピング材料濃度最大値まで増加するドーピング材料濃度推移Dを有し、ドーピング材料濃度最大値は、第1の区分のドーピング材料濃度以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaAsを含むかまたはGaAsからなる積層型の半導体ダイオード(10)であって、前記積層型の半導体ダイオード(10)は、
・高濃度でnドーピングされたカソード層(12)と、
・高濃度でpドーピングされたアノード層(16)と、
・前記カソード層(12)と前記アノード層(16)との間に配置された、最大で8・1015cm-3のドーピング材料濃度を有するドリフト領域(14)と、
を有する積層型の半導体ダイオード(10)において、
・前記ドリフト領域(14)は、低濃度でnドーピングされたドリフト層(14.1)と、前記nドーピングされたドリフト層(14.1)と前記アノード層(16)との間に配置された、低濃度でpドーピングされたドリフト層(14.2)と、を有し、
・両方の前記ドリフト層は、それぞれ少なくとも5μmの層厚さを有し、
・前記カソード層(12)は、少なくとも1・1017cm-3または少なくとも1・1018cm-3の一定または少なくとも実質的に一定のドーピング材料濃度を有する第1の区分(12.1)と、前記第1の区分(12.1)と前記ドリフト領域(14)との間に配置された第2の区分(12.2)と、を有し、
・前記第2の区分(12.2)は、少なくとも1μmの層厚さ(DK2)と、前記第1の区分(12.1)の方向にドーピング材料濃度最大値まで増加するドーピング材料濃度推移と、を有し、
・前記ドーピング材料濃度最大値は、前記第1の区分(12.1)のドーピング材料濃度以下である、
積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項2】
前記アノード層(16)は、少なくとも1・1017cm-3のドーピング材料濃度を有する第1の区分(16.1)と、前記第1の区分(16.1)と前記ドリフト領域(14)との間に配置された第2の区分(16.2)と、を有し、
前記第2の区分(16.2)は、少なくとも1μmの層厚さ(DA2)と、前記第1の区分(16.1)の方向にドーピング材料濃度最大値まで増加するドーピング材料濃度推移と、有し、
前記ドーピング材料濃度最大値は、前記第1の区分(16.1)の前記ドーピング材料濃度以下である、
請求項1記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項3】
前記第2の区分(12.2,16.2)の前記層厚さ(DA2)は、最大で7μmまたは最大で5μmまたは最大で3μmである、
請求項1または2記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項4】
前記第2の区分(12.2,16.2)のドーピング材料濃度推移は、凹状または凸状または線形に構成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項5】
前記ドリフト層(14.1,14.2)におけるそれぞれのドーピング材料濃度推移は、凹状または凸状または線形または階段状に構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項6】
前記第2の区分(12.2,16.2)のドーピング材料濃度推移は、1つまたは複数の段部を有する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項7】
前記ドーピング材料濃度推移の1つまたは複数の段部またはそれぞれの段部は、凸状のエッジまたは凹状のエッジまたは線形のエッジを有する、
請求項6記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項8】
それぞれの段部は、少なくとも0.2μmまたは少なくとも0.5μmの深さを有する、
請求項6または7記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項9】
前記ドーピング材料濃度は、段部ごとに少なくとも5倍または少なくとも10倍変化する、
請求項6から8までのいずれか1項記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項10】
前記カソード層(12)の前記第1の区分(12.1)のドーピング材料濃度は、少なくとも8・1018cm-3または少なくとも1・1019cm-3である、
請求項1から9までのいずれか1項記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項11】
前記アノード層(16)は、第3の区分(16.3)を有し、
前記第3の区分(16.3)は、前記第1の区分(16.1)のうちの、前記第2の区分(16.2)とは反対を向いた側に配置されており、少なくとも5・1018cm-3または少なくとも1・1019cm-3のドーピング材料濃度を有する、
請求項1から10までのいずれか1項記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項12】
前記カソード層(12)および/または前記アノード層(16)は、少なくとも2μmまたは少なくとも5μmまたは少なくとも20μmの層厚さを有する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【請求項13】
前記カソード層(12)または前記アノード層(16)は、基板として形成されている、
請求項1から12までのいずれか1項記載の積層型の半導体ダイオード(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GaAsを含むかまたはGaAsからなる積層型のIII-V半導体ダイオードであって、当該積層型のIII-V半導体ダイオードは、高濃度でnドーピングされたカソード層、高濃度でpドーピングされたアノード層、および、カソード層とアノード層との間に配置されたドリフト領域を有する、積層型のIII-V半導体ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
ガリウムヒ素からなるp+-n-n+構造を有する耐高電圧の半導体ダイオードは、German Ashkinazi著の“GaAs Power Devices”,ISBN 965-7094-19-4,第8頁および第9頁から公知である。
【0003】
欧州特許第3321971号明細書および欧州特許第3321970号明細書から、さらなる積層型のIII-V半導体ダイオードが公知であり、この半導体ダイオードは、ドリフト領域とカソードまたはアノードとの間に追加的な中間層を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の背景を踏まえて、本発明の課題は、従来技術を発展させた装置を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、請求項1記載の特徴を有する積層型のIII-V半導体ダイオードによって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0006】
本発明の対象では、GaAsを含むかまたはGaAsからなる積層型のIII-V半導体ダイオードであって、当該積層型のIII-V半導体ダイオードは、高濃度でnドーピングされたカソード層、高濃度でpドーピングされたアノード層、および、カソード層とアノード層との間に配置された、最大で8・1015cm-3のドーピング材料濃度を有するドリフト領域を有する、積層型のIII-V半導体ダイオードが提供される。
【0007】
ドリフト領域は、低濃度でnドーピングされたドリフト層、および、nドーピングされたドリフト層とアノード層との間に配置された、低濃度でpドーピングされたドリフト層を有し、両方のドリフト層は、それぞれ少なくとも5μmの層厚さを有する。
【0008】
カソード層は、少なくとも1・1017cm-3または少なくとも1・1018cm-3の一定または少なくとも実質的に一定のドーピング材料濃度を有する第1の区分、および、第1の区分とドリフト領域との間に配置された第2の区分を有する。
【0009】
第2の区分は、少なくとも1μmの層厚さと、第1の区分の方向にドーピング材料濃度最大値まで増加するドーピング材料濃度推移と、を有する。
【0010】
ドーピング材料濃度最大値は、第1の区分のドーピング材料濃度以下である。
【0011】
GaAsからなるかまたはGaAsを含む半導体ダイオードの全ての半導体層、すなわちとりわけ、カソード層、アノード層およびドリフト領域が、それぞれGaAsからなるかまたは少なくともGaAsを含むことは自明である。換言すれば、III-V半導体ダイオードのそれぞれの半導体層は、少なくともGaおよびAsの元素を有する。
【0012】
半導体層は、好ましくはエピタキシーによって生成される。1つの発展形態では、カソード層またはアノード層は、基板層によって形成可能である。好ましくは、III-V半導体ダイオードを形成するために、基板層上にさらなるIII-V半導体層がエピタキシャル成長される。
【0013】
代替的に、III-V半導体ダイオードは、少なくとも1つの半導体接合を含む。この場合、2つのGaAs半導体ディスクまたはGaAsウェーハの表面同士が結合される。
【0014】
好ましくは、それぞれのGaAs半導体層のドーピングは、エピタキシー中に導入される。好ましくは、エピタキシーは、MOVPEおよび/またはLPEによって実施される。
【0015】
1つの発展形態では、エピタキシャル成長の後に追加して、または択一的に、エピタキシー中に導入する代わりに、イオン注入によるドーピングが実施される。
【0016】
さらに、半導体ダイオードが、好ましくは他の材料からなるさらなる層、とりわけ金属製の端子コンタクト層を有することは自明である。端子コンタクト層は、例えば、全体的または部分的に金属、例えば金または金属合金から形成されており、例えば、電子ビーム蒸発またはスパッタリングによって生成されている。
【0017】
少なくともカソード層およびアノード層のうちの、端子コンタクト層に隣接している領域は、できるだけ低オーム抵抗のコンタクトを形成するため、かつ半導体ダイオードの直列抵抗または損失電力をできるだけ低く抑えるために、好ましくは高いドーピング材料濃度を有する。
【0018】
ドリフト領域は、少なくとも10μmの全体幅と、低濃度のそれぞれ異なるドーピングを有する2つの領域または層に分割されていることと、を特徴とする。
【0019】
好ましくは、全体幅は、少なくとも20μmまたは少なくとも40μmまたは少なくとも60μmである。全体幅は、低濃度でpドーピングされた領域または層と、低濃度でnドーピングされた領域または層と、に分割されている。
【0020】
したがって、pn接合部は、ドリフト領域の内部であって、かつ非常に低いドーピング材料濃度を有する領域内に形成される。
【0021】
第1のカソード区分の方向に増加するドーピング材料濃度推移を有する第2のカソード区分によって、ドリフト領域と、カソードの第1の区分の高ドーピング材料濃度レベルと、の間の遷移が形成される。
【0022】
遷移領域におけるドーピング材料濃度が1つ、2つまたはそれ以上の段部にわたってステップ状に増加することにより、格段に改善されたスイッチオフ挙動を有するダイオードを製造することが可能となる。ダイオードをスイッチオフする際における電流・電圧特性曲線の変動が最小化される。
【0023】
さらなる利点は、1100Vまたはそれどころか1200Vを超える特に高い逆電圧を有するダイオードによって達成される小さなスイッチオン抵抗と、面積当たりの特に低い静電容量と、を実現することができることである。
【0024】
1つの発展形態では、スイッチング速度、すなわち逆方向と順方向との間の切り替えを増加させるために、pドーピングされたドリフト層および/またはアノード層に等電中心または等価中心が組み込まれる。
【0025】
とりわけ、最大で800nCの逆回復電荷(Reverse Recovery Charge)を有するダイオードを製造することができる。
【0026】
第1の発展形態では、アノード層は、少なくとも1・1017cm-3のドーピング材料濃度を有する第1の区分と、第1の区分とドリフト領域との間に配置された第2の区分と、を有する。
【0027】
第2の区分は、少なくとも1μmの層厚さと、第1の区分の方向にドーピング材料濃度最大値まで増加するドーピング材料濃度推移と、有する。
【0028】
第2の区分のドーピング材料濃度最大値は、第1の区分のドーピング材料濃度以下である。
【0029】
アノード層の第2の層区分によって、ドリフト領域とさらなるアノード層との間のドーピング材料濃度の遷移がステップ状または連続的に増加するように構成される。
【0030】
1つの実施形態では、カソード層および/またはアノード層の第2の区分の層厚さは、最大で7μmまたは最大で5μmまたは最大で3μmである。例えば、直列抵抗を不必要に増加させることなくダイオードのスイッチオフ挙動を改善するためには、わずかな層厚さで十分である。
【0031】
他の実施形態では、カソード層および/またはアノード層の第2の区分のドーピング材料濃度推移は、凹状または凸状または線形に構成されている。
【0032】
さらなる実施形態では、カソード層および/またはアノード層の第2の区分のドーピング材料濃度推移は、1つまたは複数の段部を有し、代替的な発展形態では、ドーピング材料濃度推移の1つまたは複数の段部またはそれぞれの段部は、凸状のエッジまたは凹状のエッジまたは線形のエッジを有する。
【0033】
さらなる発展形態では、それぞれの段部は、少なくとも0.2μmまたは少なくとも0.5μmの深さを有する。
【0034】
他の実施形態では、ドーピング材料濃度は、段部ごとに少なくとも5倍または少なくとも10倍変化する。
【0035】
さらなる実施形態では、カソード層の第1の区分のドーピング材料濃度は、少なくとも8・1018cm-3または少なくとも1・1019cm-3である。
【0036】
他の発展形態では、アノード層は、第3の区分を有し、第3の区分は、第1の区分のうちの、第2の区分とは反対を向いた側に配置されており、少なくとも5・1018cm-3または少なくとも1・1019cm-3のドーピング材料濃度を有する。
【0037】
アノード層を2つの部分層に分割することにより、高濃度のドーピングによって端子コンタクト部とのオーム抵抗をできるだけ低く抑えることが可能となると同時に、ドリフト領域に隣接するところでは若干より低濃度でドーピングすることによってカソード層とアノード層との間の電位勾配を実現することが可能となり、スイッチオフ挙動をさらに改善することが可能となる。
【0038】
さらなる発展形態では、カソード層および/またはアノード層は、少なくとも2μmまたは少なくとも5μmまたは少なくとも20μmの層厚さを有する。
【0039】
他の実施形態では、カソード層またはアノード層は、基板として形成されている。
【0040】
1つの発展形態では、ドリフト層におけるそれぞれのドーピング材料濃度推移は、凹状または凸状または線形または階段状に構成されている。
【0041】
以下では、本発明について図面を参照しながらより詳細に説明する。図面では、同様の部分に同一の参照符号が付されている。図示された実施形態は、非常に概略的なものであり、すなわち、距離および横方向ならびに垂直方向の延在は、縮尺通りではなく、別段の記載がない限り、相互に導出可能な幾何学的関係を有していない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】積層型のIII-V半導体ダイオードの第1の実施形態の図である。
【
図2】半導体ダイオードのIII-V積層体に沿ったドーピング材料濃度推移の第2の実施形態の図である。
【
図3】半導体ダイオードのIII-V積層体に沿ったドーピング材料濃度推移のさらなる実施形態の図である。
【
図4】半導体ダイオードのIII-V積層体に沿ったドーピング材料濃度推移のさらなる実施形態の図である。
【
図5】半導体ダイオードのIII-V積層体に沿ったドーピング材料濃度推移のさらなる実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1の図面は、GaAsを有するかまたはGaAsからなる積層型のIII-V半導体ダイオード10の第1の実施形態を示す。半導体ダイオード10は、カソード層12と、ドリフト領域14と、層厚さD
Aを有するアノード層16と、を記載された順序で有する。
【0044】
カソード層12は、50μmから250μmの層厚さDK1と、少なくとも1・1018cm-3、好ましくは少なくとも8・1018cm-3の一定または少なくとも実質的に一定のドーピング材料濃度と、を有する高濃度でnドーピングされた基板層から形成された第1の区分12.1を有する。
【0045】
さらに、カソード層12は、第1の区分12.1とドリフト領域14との間に配置された、格段により薄い少なくとも1μmの層厚さDK2を有する第2の区分12.2を有する。第2の区分12.2のnドーピング材料のドーピング材料濃度は、第1の区分12.2の方向にドーピング材料濃度最大値まで増加し、なお、このドーピング材料濃度最大値は、第1の区分12.1のドーピング材料濃度よりも低い。
【0046】
ドリフト領域14は、カソード層12に隣接していて層厚さDnを有する低濃度でnドーピングされたドリフト層14.1と、nドーピングされたドリフト層14.1とアノード層16との間に配置された、厚さDpを有する低濃度でpドーピングされたドリフト層14.2と、に分割されている。
【0047】
nドーピングされたドリフト層14.1の層厚さDnは、少なくとも5μm、好ましくは少なくとも40μmである。ドーピング材料濃度は、最大で8・1015cm-3、好ましくは最大で2・1015cm-3のドーピング材料濃度最大値から、pドーピングされたドリフト層14.2の方向に減少する。
【0048】
pドーピングされたドリフト層14.2の層厚さDpは、少なくとも5μm、好ましくは少なくとも20μmである。好ましくは、pドーピングされたドリフト層14.2の層厚さDpは、nドーピングされたドリフト層14.1の層厚さDnの半分または3分の1である。pドーピングされたドリフト層14.2のドーピング材料濃度は、アノード層16の方向に、少なくとも1・1017cm-3または少なくとも1・1018cm-3のドーピング材料濃度最大値まで増加する。
【0049】
カソード層12の第1の区分12.1を形成している基板から出発して、さらなる層が、好ましくはエピタキシャルに生成されている。
【0050】
図2の図面には、
図1の積層型のIII-V半導体ダイオード10に沿ったドーピング材料濃度推移の第1の実施形態が示されている。
【0051】
ドーピング材料濃度推移Dが、半導体ダイオード10の積層体に沿った位置xにわたって示されている。
【0052】
カソード層12の第1の区分12.1に沿った高濃度の一定のnドーピングから出発して、nドーピング材料のドーピング材料濃度は、第2の区分12.2に沿って、かつnドリフト層12に沿って減少する。この減少は、それぞれ凸状に構成されており、nドリフト層14.1の領域では、カソード層12の第2の区分12.2の領域よりもより格段に緩慢に生じる。
【0053】
pn接合部は、nドーピングされたドリフト層14.1とpドーピングされたドリフト層14.2との間に形成される。pドーピングされたドリフト層14.2は、図示の実施例では、一定または階段状の非常に低いドーピング材料濃度のpドーピング材料を有する。隣接するアノード層は、一定の非常に高濃度のp型ドーピング材料を有する。
【0054】
図3の図面には、ドーピング材料濃度推移に基づいてIII-V半導体ダイオード10のさらなる実施形態が示されている。以下では、
図2との相違点のみを示す。
【0055】
カソード層12の第2の区分12.2のドーピング材料濃度の低下は、それぞれ凸状のエッジを有する2つの段部を有する。
【0056】
nドーピングされたドリフト層14.1のドーピング材料濃度推移は、カソード層12の方向に凸状または線形または凹状に増加する。pドーピングされたドリフト層14.2のドーピング材料濃度推移も、アノード層16の方向に凸状または線形または凹状に増加する。
【0057】
さらに、アノード層は、第1の一定のドーピング材料濃度を有する第1の区分16.1と、第1の区分の方向に2つの段部にわたって増加するドーピング材料濃度推移を有する、第1の区分16.1とドリフト領域14との間に配置された第2の区分16.2と、第3の区分16.3と、を有する。第3の区分16.3は、第1の区分16.1のうちの、第2の区分16.2とは反対を向いた側に配置されていて、かつ一定のドーピング材料濃度を有し、第3の区分16.3のドーピング材料濃度は、第1の区分16.1のドーピング材料濃度よりも高い。
【0058】
図4の図面には、ドーピング材料濃度推移に基づいてIII-V半導体ダイオード10のさらなる実施形態が示されている。以下では、
図3との相違点のみを示す。
【0059】
図示の実施形態では、アノード層16の第2の区分16.2だけが階段状の推移を有し、その一方で、カソード層12の第2の区分12.2のドーピング材料濃度の増加は、凸状に推移する。
【0060】
図5の図面には、ドーピング材料濃度推移に基づいてIII-V半導体ダイオード10のさらなる実施形態が示されている。以下では、
図4との相違点のみを示す。
【0061】
カソード層12の第2の区分12.2のドーピング材料濃度推移は、ドーピング材料濃度最大値まで増加し、なお、このドーピング材料濃度最大値は、第1の区分12.1のドーピング材料濃度よりも格段により低く、したがって、第1の区分12.1と第2の区分12.2との間にはドーピング材料濃度の急激な変化が形成される。
【0062】
図示の実施形態では、nドーピングされたドリフト層に沿って、ドーピング材料濃度推移は、それぞれ凸状のエッジを有する2つの段部を有する。
【0063】
アノード層16の第2の区分16.2に沿って、ドーピング材料濃度は、それぞれ線形のエッジを有する複数の段部にわたって、とりわけ矩形に構成された段部にわたって増加する。図示の実施例では、アノード層16は、第3の区分16.3を有していない。
【外国語明細書】