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特開2022-121414体腔内の流体の圧力変動を直接検出するためのデバイス
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  • 特開-体腔内の流体の圧力変動を直接検出するためのデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121414
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】体腔内の流体の圧力変動を直接検出するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20220812BHJP
【FI】
A61F9/007 200Z
A61F9/007 130J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022017719
(22)【出願日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】21425003.7
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522052082
【氏名又は名称】エレクトロニック・システムズ・エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】ELECTRONIC SYSTEMS S.P.A.
【住所又は居所原語表記】S.R.229 KM 12.200 I-28015 Momo, NOVARA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】フロリンダ・マルテナ
(72)【発明者】
【氏名】ステファーノ・トリッツィーノ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】眼科手術手技のための体腔内の流体の圧力変動を直接測定することが可能な検出デバイスを提供する。
【解決手段】体腔内の流体の圧力変動を直接検出するためのデバイスは、圧力トランスデューサ10と、体腔内に挿入されるのに適した中空挿入手段14を形成するか、又はそれに流体結合された遠位端を有するカニューレ12とを備える。カニューレ及び中空挿入手段は、体腔内部の流体の圧力変動によって圧縮又は減圧することができる気柱を含む容積を形成し、気柱の圧力変動は、感知表面の機械的な変形を引き起こすのに適している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内の流体の圧力変動を直接検出するためのデバイスであって、
感知表面に作用する圧力の作用によって機械的に変形し、前記機械的な変形に比例する電圧差を生成するのに適した前記感知表面を有する圧力トランスデューサと、
前記感知表面に直接接触する近位端、及び前記体腔内に挿入されるのに適した中空挿入手段を形成する遠位端を有するか、又は前記中空挿入手段に流体結合された遠位端を有するカニューレと、を備え、
前記カニューレ及び前記中空挿入手段は、前記体腔内部の前記流体の圧力変動によって圧縮又は減圧することができる気柱を含む容積を形成し、前記気柱の前記圧力変動は、前記感知表面の機械的な変形を引き起こすのに適している、検出デバイス。
【請求項2】
前記中空挿入手段は、鈍針を備える、請求項1に記載の検出デバイス。
【請求項3】
前記カニューレの前記遠位端は、ルアーロックタイプの接続により前記中空挿入手段に接続される、請求項1又は2に記載の検出デバイス。
【請求項4】
前記中空挿入手段は、トロカールの案内カニューレを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の検出デバイス。
【請求項5】
前記鈍針は、前記案内カニューレ内に挿入される、請求項2又は3に従属する請求項4に記載の検出デバイス。
【請求項6】
前記カニューレは、近位部分と、前記近位部分の直径より大きい直径を有する遠位部分と、前記近位部分と前記遠位部分との間の中間接続部分とを備え、前記遠位部分は、たとえば腹腔鏡下外科手技のために、トロカールの案内カニューレの入口ポート内に気密に挿入される、請求項4に記載の検出デバイス。
【請求項7】
腹腔鏡下外科手技中に腹腔内の流体の圧力変動を直接検出するためのデバイスであって、
感知表面に作用する圧力の作用によって機械的に変形し、前記機械的な変形に比例する電圧差を生成するのに適した前記感知表面を有する圧力トランスデューサと、
近位部分、前記近位部分の直径より大きい直径を有する遠位部分、及び前記近位部分及び前記遠位部分を接続する中間部分を備えるカニューレとを備え、前記近位部分は、前記感知表面に直接接触する近位端において終端し、前記遠位部分は、トロカール案内カニューレの入口ポート内に気密に挿入されるのに適している、検出デバイス。
【請求項8】
前記圧力トランスデューサは、圧電トランスデューサである、請求項1から7のいずれか一項に記載の検出デバイス。
【請求項9】
前記圧電トランスデューサは、主に前記カニューレの軸に実質的に直交する平面上で延びる感知表面を有する、請求項8に記載の検出デバイス。
【請求項10】
前記カニューレは、使用中、前記検出デバイスの把持要素としても働く剛性又は半剛性の管状の本体を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の検出デバイス。
【請求項11】
前記カニューレは、前記圧力トランスデューサのための支持要素としても働くように前記圧力トランスデューサに気密かつ機械的に結合される、請求項1から10のいずれか一項に記載の検出デバイス。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の検出デバイスと、圧力トランスデューサ較正システムとを備える、流体の圧力変動を直接検出するためのアセンブリであって、前記圧力トランスデューサは、理論較正曲線に関連付けられ、前記圧力トランスデューサ較正システムは、
眼内圧感知デバイスの前記圧力トランスデューサと同様の第2の圧力トランスデューサと、
較正流体が前記第2の圧力トランスデューサの前記感知表面に対して所定の不変の参照圧力を加えるように、前記第2の圧力トランスデューサに流体密に結合され、前記較正流体、たとえば生理食塩液を含むのに適した管状の容器と、
前記参照圧力で前記第2の圧力トランスデューサによって生成される電圧値と前記理論較正曲線における前記参照圧力に対応する電圧値との差として較正曲線オフセットを計算するステップと、
前記計算された較正曲線オフセットを前記理論較正曲線のすべての値に合計するステップと
を実施するように構成された制御ユニットとを備える、アセンブリ。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の検出デバイスを較正するための方法であって、
前記圧力トランスデューサのための理論較正曲線を得るステップと、
眼内圧感知デバイスの前記圧力トランスデューサと同様の第2の圧力トランスデューサを使用可能にするステップと、
較正流体が前記第2の圧力トランスデューサの前記感知表面に対して所定の不変の参照圧力を加えるように、前記較正流体、たとえば生理食塩液を含む管状の容器を前記第2の圧力トランスデューサに流体密に結合するステップと、
前記参照圧力で前記第2の圧力トランスデューサによって生成される電圧値と前記理論較正曲線における前記参照圧力に対応する電圧値との差として較正曲線オフセットを計算するステップと、
前記計算された較正曲線オフセットを前記理論較正曲線のすべての値に合計するステップとを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、低侵襲外科手技の分野に関し、詳細には、特に眼科手術手技のための体腔内の流体の圧力変動を直接測定することが可能な検出デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]本発明によるデバイスの考え得る適用分野は、たとえば眼科外科手技、たとえば腹腔鏡下の腹部のための、又は脊柱のための低侵襲外科手技であり、これらにおいては、脳脊髄液圧力を測定することが必要又は適切である。
【0003】
[0003]たとえば、眼球操作、輸液、細分、及び眼組織の吸引を含む眼科外科手技中、かなりの圧力変動が治療中の目に生じる可能性がある。臨床試験は、硝子体除去のための硝子体切除外科手技において眼内圧が0mmHgから120mmHgの間で変動し得ることを示している。網膜潅流圧に対応する60mmHgを超える圧力値が、白内障細分及び吸引のための水晶体乳化外科手技において報告されている。外部圧力が強膜に加えられた場合、最大210mmHgのピークを有する大きな圧力変動が、網膜剥離の治療のための強膜圧入外科手技における眼球操作手技に続いても測定されている。
【0004】
[0004]眼内圧の変動は、駆逐性出血、脈絡膜剥離、及び網膜虚血など術中及び術後合併症のリスクを増大し得る。駆逐性出血及び脈絡膜剥離は、外科術中の圧力降下に関連付けられ得る。一方、眼内圧の持続性の増大は、脈管潅流圧の減少をもたらす可能性があり、結果として視神経及び網膜への血流を損なう。また、圧力変動は、外科手技後の視覚機能回復に悪影響を及ぼす可能性がある。実際、眼の潅流圧の一時的な増大は、網膜の形態学的及び機能的変質をもたらす可能性がある。視力に対する眼内圧の変動の作用は、たとえば糖尿病網膜症によって引き起こされた眼の潅流障害を有する患者にとって特に有害なものとなり得る。
【0005】
[0005]眼内圧を測定するためのいくつかのデバイス及び方法が提案されている。
【0006】
[0006]米国特許第4841984号は、輸液又は眼組織の細分及び除去のために使用される、眼腔内に挿入される外科器械に一体化された圧力トランスデューサを使用する眼内圧の直接測定に依拠するデバイスについて記載している。測定された眼内圧に応答して器械の注入又は吸引を自動的に調整し、安全な範囲内に保つ制御回路もある。そのようなデバイスの第1の限界は、器械及び一体化されたトランスデューサを挿入するためにより大きな眼の切開が必要であることである。さらなる欠点は、外科器械にトランスデューサが近接していることであり、その動作は、必然的に眼内圧測定における外乱及び不正確性をもたらす。
【0007】
[0007]米国特許出願第20110118729A1号は、測定された物理的パラメータに基づいて器械を使用可能又は使用不能にするために制御回路に結合された硝子体切除装置について記載している。これらのパラメータは、硝子体切除装置が眼窩内で正しく配置されているかどうかチェックするために使用される眼内圧を含むことができる。実際、硝子体切除装置を作動するためには、測定された圧力は輸液圧力に等しくなければならないが、設定された圧力に対して圧力変動は制御されない。
【0008】
[0008]米国特許出願第20140171991A1号は、その代わりに切断器械の出力圧力を監視するために圧力トランスデューサを備える硝子体切除装置について記載しているが、眼内圧の直接監視は実施されない。
【0009】
[0009]米国特許出願第2014194834A1号は、4つの要素、すなわち位置決めカニューレ(目の前眼房内に収容される)、2方向ポンプ(注入/吸引)、制御回路、及びリザーバ内の流体の圧力を測定するためのポンプリザーバ内に収容された圧力センサからなる目の圧力を制御するためのデバイスについて記載している。したがって、このデバイスは、流体の注入又は吸引の存在下でのみ眼内圧の測定を可能にする間接測定システムを備える。このシステムは、外部要因又は眼球操作によって引き起こされる圧力変動の測定を可能にしない。
【0010】
[0010]米国特許出願第2006/149194号は、マイクロカニューレの遠位端を出るように構成された内部要素を摺動可能に挿入することができるマイクロカニューレを備える目の疾患を治療するためのシステムについて記載している。内部要素は、流体又はセンサを搬送するために使用することができる。
【0011】
[0011]米国特許出願第2008/0082078A1号は、目の小柱網の領域のアブレーションビームを生成するように構成されたレーザと、目の中から目の小柱網にレーザビームを誘導するように構成された送達システムとを備え、送達システムは、手術部位において圧力を検出及び制御するための圧力検出回路を含むことができる、緑内障を治療するための外科的アセンブリについて記載している。
【0012】
[0012]WO2016139587A1は、眼の補助切開を通じて眼腔内に共に挿入されるように、エンドイルミネータ又は注入カニューレなど外科アクセサリに結合された光ファイバ圧力トランスデューサを備える、眼の外科手技のための外科的アセンブリについて記載している。
【0013】
[0013]したがって、外科手技中に流体の圧力変動を監視することは、外科手技の安全及び有効性を確保するために基本的に重要なものである。
【発明の概要】
【0014】
[0014]本発明の目的は、知られているデバイスについて上述した欠点のない、流体の圧力変動を確実かつ迅速に検出することを可能にするデバイスを提案することである。
【0015】
[0015]本発明の別の目的は、測定がなされる環境条件に関連する外乱を受けるおそれのない、流体の圧力を直接検出するためのデバイスを提案することである。
【0016】
[0016]本発明のさらなる目的は、直接圧力検出をより侵襲性の低い、患者にとってより耐え得るものにするために、切開の数を制限し、切開のサイズを最小限にすることである。
【0017】
[0017]前記目的は、請求項1に記載の、又は請求項7に記載の体腔内の流体の圧力の変動を検出するためのデバイスと共に、請求項12に記載のアセンブリと共に、及び請求項13に記載の較正方法と共に達成される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態について記載している。
【0018】
[0018]本発明の特徴及び利点は、添付の図を参照して、象徴的、非限定的な例として与えられている好ましい実施形態を示す以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態における、たとえば眼科外科手技に適した本発明による検出デバイスの斜視図。
図2図1におけるデバイスの軸方向断面図。
図3】針が眼窩内に挿入されている図1及び図2におけるデバイスの図。
図4】前の図と同様であるが、検出デバイスが変形実施形態である図。
図5】特に腹部外科手技に適した、異なる実施形態における本発明による検出デバイスの斜視図。
図6図5における検出デバイスの側面図。
図7】トロカールの案内カニューレに結合された図5及び図6における検出デバイスの斜視図。
図8】本発明による検出アセンブリの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0019]以下の説明では、それぞれたとえば眼科外科手技及び腹腔鏡下外科手技に適した本発明の2つの可能な実施形態が示されている。
【0021】
[0020]しかし、提案されている技術的教示は、可能な翻案と共に、人体又は動物の体に対する他のタイプの低侵襲外科手技に適用することができることは明らかである。
【0022】
[0021]以下の説明では、異なる実施形態に共通の要素は、同じ符号によって示される。
【0023】
[0022]図1図4を参照すると、符号1は、たとえば眼内外科手技(図3及び図4に図示)又は腰部外科手技中に使用するのに適した第1の実施形態における流体の圧力変動を直接検出するためのデバイスを全体として指す。
【0024】
[0023]デバイス1は、作用する圧力の作用によって機械的に変形し、機械的な変形に比例する電圧差を生成するのに適した感知表面102を有する圧力トランスデューサ10を備える。
【0025】
[0024]一実施形態では、圧力トランスデューサ10は、圧電トランスデューサである。この場合、感知表面102は、その機械的な変形に応答して電圧差を生成する圧電材料の表面である。
【0026】
[0025]さらに、検出デバイス1は、近位端122と遠位端124との間でカニューレ軸Xに沿って延びるカニューレ12を備える。
【0027】
[0026]近位端122は、圧力トランスデューサ10の感知表面102に直接接触して配置される。
【0028】
[0027]遠位端124は、体腔、たとえば眼窩C内に挿入されるのに適した中空挿入手段14を形成するか、又はそれに流体結合される。
【0029】
[0028]一実施形態では、中空挿入手段14は、体腔にアクセスするために組織を穿孔するのに適した針142を備える。
【0030】
[0029]検出デバイス1の動作原理は、カニューレ12及び中空挿入手段14が腔内圧力の変動により圧縮可能又は減圧可能である気柱(又はおそらくは別の気体もしくは気体混合物)を含む容積Vを形成することに基づく。気柱の圧力変動は、圧力トランスデューサの感知表面102の機械的な変形を引き起こすのに適している。
【0031】
[0030]換言すれば、カニューレ12は、カニューレ12を体腔の内部と連通させるポートを形成する両端において、一方で圧力トランスデューサの感知表面102に直接、他方で中空挿入手段14に開いている管状の要素である。
【0032】
[0031]したがって、図3及び図4に示されているように、圧力トランスデューサ10及びカニューレ12は本体の外に位置し、針142だけが体腔内に挿入される。
【0033】
[0032]したがって、外科術を受けている臓器内部にデバイスを挿入する必要はない。
【0034】
[0033]たとえばカニューレ12は、圧力トランスデューサ10に耐密に結合された剛性又は半剛性の本体を有する。カニューレ12は、使用中、検出デバイス1の把持要素とすることができる。
【0035】
[0034]カニューレ12と圧力トランスデューサ10との間の機械的な結合は、カニューレ12それ自体が圧力トランスデューサ10のための支持体としても働くように行うことができる。
【0036】
[0035]したがって、検出デバイス1は、圧力トランスデューサ10及びカニューレ-針アセンブリからのみ形成し、電線4のみによって制御装置40に接続させることができる。
【0037】
[0036]したがって、検出デバイス1は、非常に軽量で扱いやすいものになり得る。
【0038】
[0037]一実施形態では、カニューレ12の遠位端124は、鈍針16に結合される。
【0039】
[0038]一実施形態では、カニューレ12の遠位端124は、ルアーロックタイプのコネクタ18により針142;16に接続される。
【0040】
[0039]図4に示されている一実施形態では、針142;16は、トロカールの案内カニューレ20内に挿入される。
【0041】
[0040]いくつかの実施形態では、カニューレの遠位端は、トロカールガイドに接続するのに適したトロカールコネクタと結合される。したがって、中空挿入手段は、鋭利な先端なしにトロカールコネクタに耐密に結合されたトロカールガイドによって形成される。
【0042】
[0041]この場合、外科手技中、鋭利な先端を備えるトロカールガイド(「トロカール」という技術用語によっても知られるが、この用語は、ガイドチップアセンブリを全体として指すために使用されることがある)は、トロカールの鋭利な先端によって作られた切開を通じて、体腔、特に目の後眼房又は硝子体眼房内に挿入される。次いで、鋭利な先端は、トロカールガイドから滑り落ちる。後者は、カニューレの遠位端が備えるトロカールコネクタに耐密に結合されることになる体腔の外に残る近位接続端を有する。
【0043】
[0042]したがって、使用時には、針142;16又はトロカールガイドは、体腔の境界を画する組織又は膜を通って配置されるように適合され、その結果、針又はトロカールガイドの遠位端が体腔内に残り、一方、カニューレに結合された針又はトロカールガイドの近位端は、体腔の外に残る。
【0044】
[0043]一実施形態では、圧電トランスデューサ10は、主にカニューレ軸(X)に実質的に直交する平面上で延びる感知表面102を有する。このようにして、容積V内の気柱の圧力変動は、感知表面102に対するひずみを生成し、支配的な成分は感知表面102に直交し、その機械的な変形を最大化する。
【0045】
[0044]図5図7は、たとえば腹腔鏡下外科手技に適した別の実施形態における検出デバイス200を示す。
【0046】
[0045]検出デバイス200は、カニューレ12に結合された上記の同じ圧力トランスデューサ10を使用することができる。
【0047】
[0046]この場合、カニューレ12は、図7に示されているように、針とではなく、トロカールの案内カニューレ220と直接インターフェースするのに適している。したがって、トロカールの案内カニューレ220は、中空挿入手段14を構成する。
【0048】
[0047]より詳細には、カニューレ12は、近位部分12aと、近位部分12aの直径より直径が大きい遠位部分12bと、近位部分12a及び遠位部分12bを接続する中間部分12cとを備える。
【0049】
[0048]近位部分12aは、感知表面102に直接接触する近位端122で終わる。
【0050】
[0049]遠位部分12bは、案内カニューレ220の入口ポート222内に流体密に挿入されるのに適している。
【0051】
[0050]したがって、遠位部分12bは、案内カニューレの入口ポート222の直径に対応する直径を有し、腹腔鏡下外科手技のためのトロカールは、たとえば眼又は腰部外科手技のためのトロカールより大きい。
【0052】
[0051]提案されている検出デバイスでは、検出される圧力測定値を損なうことなく、いかなる場合も電気的に絶縁された条件下で、任意のタイプの液体(硝子体液、生理食塩水、外科手技中外科医によって注入される任意の調合薬)が入り込み、混ざることができる単一の気柱(又は他の気体)を通じて、体腔内の圧力変動が圧力トランスデューサに伝達されることに留意されたい。したがって、カニューレ12によって形成されるこの単一の気柱は、圧力トランスデューサ10を、中空挿入手段14によって形成されるアクセスポートを通じて、体腔への唯一のアクセスエリアと接触させる。したがって、体腔内に何かを通し植え込む必要も、個々の気柱を画定する容積内に障壁又は区画を作る必要もない。
【0053】
[0052]さらに、圧力トランスデューサ10及びカニューレ12は、外科手技中、圧力変動が検出されることになる体腔の完全に外で使用されるので、検出デバイスのそのような構成要素は、デバイスの生産の簡素化及びコストに有利なことに、体腔との接触に適した材料及び形状で作製されることを必要としない。
【0054】
[0053]したがって、本発明による検出デバイスは、リアルタイム圧力データを検出することもでき、アクセスポートを通じて体腔と直接接触するだけの外部かつ非植え込み可能デバイスであり、体腔によって区分又は区画化されない。そのため、眼又は腹腔鏡下外科術など低侵襲手術に適用可能である。
【0055】
[0054]さらに、本発明の目的は、その様々な実施形態で上記されている検出デバイス1;200に加えて、圧力トランスデューサ10の較正システム30を備える、圧力変動を検出するためのアセンブリ25を提供することである。
【0056】
[0055]圧力トランスデューサ10は、理論較正曲線、すなわちクリーンルーム内、したがって外乱又は攪乱のない中で得られたものに関連付けられる。
【0057】
[0056]しかし、圧力トランスデューサ10は、手術室内で、患者の目のごく近くで使用される。
【0058】
[0057]本発明の一態様によれば、較正システム30は、眼内圧感知デバイス10の圧力トランスデューサと同様の第2の圧力トランスデューサ10aを備える。
【0059】
[0058]管状の容器32が、第2の圧力トランスデューサ10aに流体密に結合される。
【0060】
[0059]この管状の容器32は、較正流体が第2の圧力トランスデューサ10aの感知表面に対して所定の不変の参照圧力を加えるように、較正流体、たとえば生理食塩液を含むのに適している。
【0061】
[0060]較正システム30は、
- 参照圧力で第2の圧力トランスデューサ10aによって生成される電圧値と理論較正曲線における参照圧力に対応する電圧値との差として較正曲線オフセットを計算するステップと、
- 計算された較正曲線オフセットを理論較正曲線のすべての値に合計するステップと
を実施するように構成された制御ユニット34を含む。
【0062】
[0061]換言すれば、較正システム30は、目に接続されることになる圧力トランスデューサ10のシステムに事前ロードされた較正曲線の自己較正のためのオフセット参照を提供する。そのような差動構成は、外科術キットを開いたときの較正手順を回避することに加えて、検出デバイス1;200の精度の利点に対する確率的ノイズ及び測定外乱を打ち消す。
【0063】
[0062]したがって、圧力トランスデューサ10、10aは、生産の終了時にクリーンルーム内で較正され、第2のトランスデューサ10a(較正流体、たとえば生理食塩液の所定の液柱の重量によって与えられる固定圧力を受ける)は、クリーンルームと手術室との間の環境条件の変動からのドリフトを補正するために第1の圧力トランスデューサ10の較正曲線のオフセットを更新する。
【0064】
[0063]たとえば、
【0065】
[0064]オフセット=20mmHgでの参照システムの電圧値-較正曲線における20mmHgでの電圧値
【0066】
[0065]オフセットは、較正曲線のすべての値に代数的に加算される。
【0067】
[0066]図8に示されているように、一実施形態では、較正システム30は、圧力変動を測定する検出デバイス1;200が動作可能に接続される同じ制御装置40内に収容される。
【0068】
[0067]当業者なら、添付の特許請求の範囲の保護の範囲から逸脱することなく、本発明による検出デバイス、検出アセンブリ、及び較正方法の実施形態に対する変更及び翻案をなすことができ、又は起こり得る必要を満たすために機能的に均等である他のものと要素を置き換えることができる。1つの可能な実施形態に属すると上記されているすべての特徴は、他の記載の実施形態とは独立に実装され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
[0012]WO2016139587A1は、眼の補助切開を通じて眼腔内に共に挿入されるように、エンドイルミネータ又は注入カニューレなど外科アクセサリに結合された光ファイバ圧力トランスデューサを備える、眼の外科手技のための外科的アセンブリについて記載している。
その他の先行技術文献は、以下の通りである。
米国特許第4,966,161A号
米国特許第4,127,110A号
米国特許第6,673,022B1号
米国特許出願公開第2007/016391A1号
米国特許第4,672,974号
中国特許第211,749,569U号
米国特許第5,312,354A号
【外国語明細書】