(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121455
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】医療用具乾燥装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20220812BHJP
F26B 3/04 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A61B1/12 510
F26B3/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092254
(22)【出願日】2022-06-07
(62)【分割の表示】P 2017208603の分割
【原出願日】2017-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】395013348
【氏名又は名称】株式会社アスカメディカル
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】林 延弘
(72)【発明者】
【氏名】小西 幸敏
(72)【発明者】
【氏名】細川 智之
(72)【発明者】
【氏名】木原 正人
(57)【要約】
【課題】内部の空洞に連通する連通口を外面に有する医療用具を短時間で確実に乾燥させることが可能な医療用具乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥装置において、制御部は、サブタンクが低圧空気で充填されると、第1電動弁を制御して、全ての第1電動弁を閉状態から開状態にし、サブタンクに貯留されていた低圧空気を開放して、インストゥルメントの連通口へ向けて低圧空気を噴出させる(S222)。この低圧空気の噴出は、予め定められた設定時間T1(例えば、T1=5秒)が経過するまで行われる(S223)。設定時間T1が経過すると、第1電動弁を閉状態に戻す。この処理を繰り返すことにより、インストゥルメントの連通口に断続的に低圧空気を供給する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の空洞に連通する連通口を外面に有する医療用具を乾燥する医療用具乾燥装置であって、
前記医療用具は、
所定の側面に前記連通口が設けられた箱形状の本体部を有し、
前記本体部において前記所定の側面とは異なる他の側面に前記本体部の内部に至る隙間が形成されており、
前記医療用具乾燥装置は、
洗浄後の前記医療用具が収容される収容室と、
送風機と、
前記収容室に設けられ、前記送風機によって送風される空気を前記収容室内で支持された前記本体部に案内する空気ダクトと、
前記空気ダクトに設けられ、前記送風機によって前記空気ダクト内を流れる空気を前記他の側面へ向けて送出する送出口と、
前記空気ダクトと前記連通口とを連結し、前記送風機によって前記空気ダクト内を流れる空気を前記連通口に案内する連結管と、を備える医療用具乾燥装置。
【請求項2】
前記医療用具は、前記他の側面から突出する管状のシャフトを有し、
前記連通口は、前記シャフトの内部の空洞に連通しており、
前記空気ダクト内を流れる空気が、前記連結管を通じて前記シャフトの内部に供給されるとともに、前記送出口から前記他の側面に送出される、請求項1に記載の医療用具乾燥装置。
【請求項3】
前記送出口は、前記空気ダクトにおいて、前記本体部に対向する部分のみに形成されている、請求項1又は2に記載の医療用具乾燥装置。
【請求項4】
前記送風機によって前記空気ダクトに送風される空気を加熱する加熱部を更に備える、請求項1から3のいずれかに記載の医療用具乾燥装置。
【請求項5】
前記送風機は、前記収容室の外部に設けられており、前記収容室から空気を吸引し、吸引した空気を前記空気ダクトの内部に送風する請求項1から4のいずれかに記載の医療用具乾燥装置。
【請求項6】
前記医療用具は、手術支援ロボットのロボットアームに装着される鉗子ユニットである請求項1から5のいずれかに記載の医療用具乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部の空洞に連通する連通口を外面に有する医療用具を乾燥する医療用具乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の体内を観察する際に用いられる医療用具として、内視鏡が知られている。内視鏡に関しては、使用後、血液や粘液などが付着しているため、速やかに洗浄・消毒してから、乾燥させる必要がある。また、医療用具の他の例として、手術支援ロボット(非特許文献1参照)のロボットアームに装着されるインストゥルメント(鉗子ユニット)が知られている。これらの医療用具は、手術の際に体内に挿入される挿入部を備えている。そのため、使用後の医療用具は、血液や粘液などが付着しているため、速やかに洗浄してから、乾燥させて減菌又は消毒する必要がある。
【0003】
従来、洗浄・消毒後の内視鏡を乾燥させる装置として、特許文献1に記載されている内視鏡乾燥装置が知られている。この内視鏡乾燥装置は、挿入部内の管路にエアーを送風させることにより、内視鏡の外面だけでなく、乾燥しにくい挿入部内の管路を乾燥させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】手術支援ロボット「ダヴィンチ」徹底解剖、[online]、東京医科大学病院、[2017年9月8日検索]、インターネット〈URL:http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/davinci/top/index.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の内視鏡乾燥装置は、ケース内に収容された内視鏡の挿入部内の管路に空気を送風して乾燥させるものであるため、内部が完全に乾燥するまでにかなりの時間を要する。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部の空洞に連通する連通口を外面に有する医療用具を短時間で確実に乾燥させることが可能な医療用具乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、内部の空洞に連通する連通口を外面に有する医療用具を乾燥する医療用具乾燥装置である。前記医療用具乾燥装置は、洗浄後の前記医療用具が収容される収容室と、前記医療用具に供給するための圧縮空気を貯める圧縮空気貯留部と、前記圧縮空気貯留部の出口と前記医療用具の前記連通口とを連結する連結管と、前記連結管を通じて前記圧縮空気貯留部内の圧縮空気を前記連通口に断続的に供給する空気供給部と、を備える。
【0009】
このように構成されているため、医療用具の内部の空洞に圧縮空気が断続的に供給される。断続的に圧縮空気が内部に供給されると、圧縮空気の圧力の勢いによって前記空洞に残っている水分が医療用具の隙間や他の連通口から外部に押し出される。また、高い圧力の圧縮空気の断続的な噴出によって空洞の内壁に付着した水滴がより微小な水滴に分散し、結果的に水滴の外表面が拡大し、乾燥が促進することになる。このように圧縮空気が断続的に連続して連通口に供給されるため、医療用具を短時間で確実に乾燥させることが可能となる。
【0010】
前記空気供給部は、前記圧縮空気貯留部の出口側に設けられ前記圧縮空気貯留部から前記連通口に至る第1流路を開閉可能な第1電動弁と、前記第1電動弁を断続的に駆動して前記第1流路を開閉させる制御部と、を有する。
【0011】
これにより、前記エアータンク内の圧縮空気を前記連通口に断続的に供給することが可能となる。
【0012】
前記圧縮空気貯留部は、前記圧縮空気を貯留する第1タンクと、前記第1タンクから供給される前記圧縮空気を減圧して得られる二次圧縮空気を貯留する第2タンクと、を有する。この場合、前記第1電動弁は、前記第1流路において前記第2タンクよりも下流側に設けられている。また、前記制御部は、前記第1電動弁を断続的に駆動して前記第1流路を開閉させることにより前記連通口に前記二次圧縮空気を断続的に供給する。
【0013】
このように構成されているため、前記第1流路が開にされた後に閉にされるまでの間に、前記第2タンク内の前記二次圧縮空気が低下し、或いは無くなったとしても、第1タンクから二次圧縮空気が迅速に供給される。
【0014】
前記空気供給部は、前記第1流路において前記第1タンクと前記第2タンクとの間の第2流路を開閉する第2電動弁を更に有する。この場合、前記制御部は、前記第2電動弁が閉状態のときに前記第1電動弁を開放して前記第2タンク内の前記二次圧縮空気を前記連通口に供給する。
【0015】
このように構成されているため、第2タンクから連通口に断続的に供給される二次圧縮空気の圧力及び量を一定にすることができる。
【0016】
また、前記制御部は、前記第2タンク内の前記二次圧縮空気が所定圧力未満になった場合に、前記第1電動弁を閉に戻し、更に前記第2電動弁を開放することにより前記第1タンクから前記第2タンクに前記二次圧縮空気を補充する。
【0017】
このように構成されているため、第1タンクから送出される二次圧縮空気の量や、第1タンクから第2タンクに供給される二次圧縮空気の量を一定に保つことができる。
【0018】
また、前記制御部は、前記第2タンクに前記二次圧縮空気が充填された場合に、前記第2電動弁を閉に戻し、更に前記第1電動弁を開放することにより再び前記第2タンク内の前記二次圧縮空気を前記連通口に供給する。
【0019】
また、本発明の医療用具乾燥装置は、前記収容室に空気を送る送風部と、前記送風部によって送風される空気を加熱する加熱部と、前記収容室に設けられ、前記加熱部によって加熱された空気を前記医療用具に案内するとともに前記医療用具へ向けて送出する空気ダクトと、を更に備える。
【0020】
これにより、医療用具の表面に加熱空気が吹き付けられるため、医療用具を内側と外側から効率よく乾燥させることができる。また、医療用具の外表面に設けられた隙間から医療用具の内部に加熱空気が入り込み、これにより、医療用具の内部の乾燥が促進される。
【0021】
前記送風部は、前記収容室から空気を吸引し、吸引した空気を前記空気ダクトに向けて送る送風機である。
【0022】
このように構成されているため、収容室から吸引した空気が再び収容室に送り込まれることにより、加熱空気が循環送風される。その結果、加熱部における加熱負荷を抑制しつつ、収容室内の温度を安定して高温状態に維持することができる。
【0023】
また、前記医療用具は、内視鏡、又は手術支援ロボットのロボットアームに装着される鉗子ユニットであることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、圧縮空気が断続的に連通口に供給されるため、内部の空洞に含まれていた水分が効率良く外部に押し出され、また、空洞の内壁に付着していた水滴が微小化して乾燥が促進されるため、医療用具を従来よりも短時間で確実に乾燥させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る乾燥装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、乾燥装置の内部構成を示す図であり、(A)、(B)、(C)はそれぞれ、乾燥装置の正面、側面、上面それぞれにおける内部機器を示す図である。
【
図3】
図3は、乾燥装置の構成及び制御部の構成を示すシステムブロック図である。
【
図5】
図5は、医療用具を支持する支持機構を正面側から見たときの図である。
【
図6】
図6は、支持機構を上側から見たときの図である。
【
図7】
図7(A)及び(B)は、医療用具の本体部の外観を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、医療用具の装着部の構成を示す斜視図である。
【
図9】
図9(A)~(C)は、装着部における医療用具の固定方法を示す模式図である。
【
図10】
図10は、医療用具が装着部とともに支持プレートにセットされた状態を示す図である。
【
図11】
図11は、乾燥装置の制御部によって実行される乾燥装置の駆動制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、乾燥装置の制御部によって実行される乾燥処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る乾燥装置10について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0027】
図1乃至
図4を参照して、本発明の医療用具乾燥装置の一実施形態に係る乾燥装置10の構成について説明する。ここで、
図1は、乾燥装置10の斜視図である。
図2は、乾燥装置10を3方向から見たときの内部機器の配置状態を示す図であり、(A)は正面から見たときの図であり、(B)は右側面から見たときの図であり、(C)は上面から見たときの図である。
図3は、乾燥装置10の各構成を示すシステムブロック図である。なお、以下の実施形態では、便宜上、
図1及び
図2に示すように乾燥装置10が自立した状態で、上下方向、左右方向、前後方向を用いて説明する。
図4は、乾燥装置10の空気系統図である。
図4において、圧縮空気の圧送経路が太い実線で示されており、ファンによる空気の送風経路が破線矢印で示されている。
【0028】
乾燥装置10は、洗浄後の医療用具を乾燥させることが可能な装置である。乾燥装置10による乾燥に適した医療用具としては、例えば、手術中に体内に挿通される内視鏡や、手術支援ロボットのロボットアームに装着されるインストゥルメントなどが該当する。以下においては、医療用具の一例として、米国のIntuitive Surgical社が提供している手術支援ロボット、da Vinci(登録商標)サージカルシステム(通称「ダ・ヴィンチ」)に用いられるインストゥルメント15(本発明の鉗子ユニットの一例、EndoWristインストゥルメントと称されている。)を乾燥対象として例示して説明する。
【0029】
図1に示すように、乾燥装置10は、外枠又は内部フレームを構成する筐体11を有する。筐体11に乾燥装置10を構成する各構成要素が収容される。筐体11は、例えば、L型のアングル鋼や板金などで構成されている。
【0030】
筐体11の正面11Aの上側部分には開口部が形成されている。筐体11は、前記開口部を開閉するための一対の扉13を有する。各扉13は、前記開口部の左右方向の端部に設けられたヒンジを回動支点として回動するように筐体11に取り付けられている。
【0031】
図2に示すように、筐体11の底面11Bには床設置用の4つの脚部12が取り付けられている。なお、
図1では脚部12の図示が省略されている。また、
図2では、筐体11が二点鎖線(仮想線)で示されている。
【0032】
図2に示すように、乾燥装置10は、収容ケース21を備えている。収容ケース21は、筐体11の内部に取り付けられた所謂インナーケースであり、その内部空間である収容室22に複数のインストゥルメント15が収容可能に構成されている。本実施形態では、収容ケース21は、8つのインストゥルメント15が収容可能に構成されている。具体的には、8つのインストゥルメント15は、上下に4段、奥行き方向に2列配置されている。収容ケース21は、筐体11の内部に設けられており、正面から見て、筐体11の上側部分の概ね中央に配置されている。収容ケース21の前面側は閉塞されておらず、筐体11の前面に露出される前記開口部である。この開口部が扉13によって開閉される。収容ケース21は、その左右方向の両側面、上側の天面、下側の底面、奥側の背面が板金などの板部材によって囲まれた箱形状に形成されている。
【0033】
図3に示すように、乾燥装置10は、収容ケース21の他に、循環ファン31(本発明の送風部の一例)、送風ファン32、排気ファン33、エアーフィルター34(
図4参照)、複数の第1電動弁35、第2電動弁36、ヒーター39(本発明の加熱部の一例)、エアーコンプレッサー40、圧力センサー41、複数の温度センサー42~45、操作部49、複数の内部ダクト46(本発明の空気ダクトの一例)、複数の装着部47、複数のサブタンク48(本発明の第2タンク、圧縮空気貯留部の一例)、ドレン受け部81、ドレン用電動弁82,83、制御部100(
図3参照)等を有する。
【0034】
図1に示すように、筐体11の正面11Aの左側には、液晶モニター49Aなどを含む操作部49が取り付けられている。操作部49は、所謂タッチパネルを備えており、液晶モニター49Aの画面から乾燥装置10に対する各種操作が可能となっている。また、操作部49には、ユーザーによって操作される電源ボタン49Bが設けられている。電源ボタン49Bが押し操作されてオン状態にされることによって、乾燥装置10が起動する。乾燥装置10が起動すると、液晶モニター49Aに各種運転モードが表示される。具体的には、タッチ操作可能なタイマー運転モードのラジオボタン、及び連続運転モードのラジオボタンが表示される。ユーザーによって何れかの運転モードがタッチ操作されると、タッチ操作された運転モードにしたがって乾燥装置10が動作する。なお、前記タイマー運転モード及び前記連続運転モードについては後述する。
【0035】
図2に示すように、循環ファン31、及びエアーコンプレッサー40は、収容ケース21の底板21Aから筐体11の底面11Bに至る下部空間23に収容されている。
【0036】
循環ファン31は、空気を吸い込む吸気口と、空気を送り出す送気口とを有し、吸気口から吸い込んだ空気を送気口から排気する送風機である。
図4に示すように、循環ファン31の前記吸気口に吸気用のダクト61が連結されており、循環ファン31の前記送気口に送気用のダクト62が連結されている。ダクト61,62は、屈曲性に富むフレキシブルダクトである。ダクト61の反対側の端部は空気バッファ部51に連結されている。ダクト62の反対側の端部は空気バッファ部52に連結されている。なお、空気バッファ部51,52は、流入した空気を溜める機能、又は、流入した空気流を緩慢にさせる機能を有する。
【0037】
図2に示すように、空気バッファ部51は、収容ケース21の右側に設けられている。空気バッファ部51は、板金や樹脂などの部材によって上下方向に長い直方体形状に形成された空気槽であり、内部に空気室を有する。空気バッファ部51は、収容ケース21の右側面に形成された複数の通気口511(
図2(B)参照)からの空気を取り込み、その空気をダクト61を通じて循環ファン31の前記吸気口に案内する。
【0038】
また、空気バッファ部52は、収容ケース21の背面側に設けられている。空気バッファ部52は、板金や樹脂などの部材によって上下方向に長い直方体形状に形成された空気槽であり、内部に空気室を有する。空気バッファ部52は、収容ケース21の収容室22に設けられた内部ダクト46に連通しており、ダクト62から送り込まれた空気を内部ダクト46を通じて収容室22に送出する。
【0039】
このように、循環ファン31と、ダクト61,62と、空気バッファ部51,52とが設けられているため、循環ファン31は、収容室22から空気バッファ部51,ダクト61を介して空気を吸引し、吸引した空気を、ダクト62、空気バッファ部52を介して内部ダクト46へ向けて送ることができ、この内部ダクト46から収容室22に空気を送り込むことができる。つまり、循環ファン31が駆動すると、収容室22の空気は、収容室22から空気バッファ部51を経てダクト61に移動し、循環ファン31を通過して、ダクト62から空気バッファ部52を経て内部ダクト46に流入し、内部ダクト46から再び収容室22に移動する。
【0040】
図4に示すように、ヒーター39は、循環ファン31の二次側に設けられている。つまり、ヒーター39は、ダクト62において、循環ファン31と空気バッファ部52との間に設けられている。ヒーター39は、例えば、循環ファン31によって送風される空気を加熱するものであり、例えば、ハロゲンヒーターである。ヒーター39はダクト62に設けられており、このため、ダクト62において、ヒーター39の一次側(上流側)から二次側(下流側)へ空気が流れる際に、空気が加熱される。本実施形態では、ヒーター39によって二次側の空気が85℃となるように空気が加熱される。
【0041】
エアーコンプレッサー40は、空気を圧縮して高圧空気を生成し、その高圧空気を圧送する装置であり、所謂圧縮機である。エアーコンプレッサー40は、圧縮空気を貯留するメインタンク401(本発明の第1タンク、圧縮空気貯留部の一例)と、空気を圧縮してメインタンク401に送る電動ポンプ402と、メインタンク401内の空気圧を一定に保つように電動ポンプ402の駆動を制御する制御ユニット403とが一体に組み込まれたユニットである。メインタンク401の容量は、例えば30Lである。本実施形態では、エアーコンプレッサー40が駆動されると、制御ユニット403は、メインタンク401内の空気圧が予め設定された設定圧力P1(例えば、P1=0.7MPa)となるように電動ポンプ402の駆動を制御する。メインタンク401と複数のサブタンク48とは、配管63によって連結されている。このため、エアーコンプレッサー40によって生成された高圧の圧縮空気は、配管63を通じてメインタンク401から複数のサブタンク48それぞれに圧送することが可能である。配管63は、例えば、高圧の圧縮空気の圧力に耐えうるチューブ又は金属管である。この配管63は、圧縮空気の流路を形成するものであり、本発明の第2流路の一例である。
【0042】
配管63において、エアーコンプレッサー40の二次側には、減圧弁64が設けられている。減圧弁64は、メインタンク401から送出された高圧の圧縮空気を減圧する。本実施形態では、減圧弁64は、前記設定圧力P1の高圧の圧縮空気を、前記設定圧力P1よりも低い設定圧力P2(例えば、P2=0.5MPa)の圧縮空気(以下、低圧空気という。)となるように減圧する。この低圧空気は、本発明の二次圧縮空気の一例である。このように、配管63に減圧弁64が設けられているため、メインタンク401から送出されて、その後に減圧弁64によって減圧された前記低圧空気が複数のサブタンク48に供給される。そして、複数のサブタンク48それぞれにおいて、前記低圧空気が貯留される。
【0043】
また、配管63において、減圧弁64と各サブタンク48との間には、第2電動弁36(本発明の第2電動弁の一例)が設けられている。第2電動弁36は、例えば、電磁ソレノイドバルブ、或いは電動ボールバルブなどである。第2電動弁36は、配管63を開閉するための開閉弁である。第2電動弁36は、制御部100からの駆動信号に応じて開閉する。
【0044】
図2に示すように、複数のサブタンク48は、収容ケース21の天板21Bの上側に設けられている。本実施形態では、4つのサブタンク48が筐体11に取り付けられている。具体的には、4つのサブタンク48が天板21Bに固定されている。各サブタンク48には、減圧弁64によって減圧された前記低圧空気を貯留する。各サブタンク48は、同じ形状に形成されており、メインタンク401に比べて十分に小さい容量のものである。具体的には、サブタンク48の容量は、メインタンク401の容量が30Lであるのに対して、3.5Lである。
【0045】
図4に示すように、各サブタンク48それぞれは、収容室22に設けられた複数の装着部47それぞれに、配管65によって個別に連結されている。各配管65は、各サブタンク48それぞれから収容室22に設けられた複数の内部ダクト46の内部を通り、装着部47に達している。各配管65は、例えば、前記低圧空気の圧力に耐えうるチューブ又は金属管である。この配管65は、圧縮空気の流路を形成するものであり、配管63とともに本発明の第1流路を構成する。
【0046】
各配管65それぞれには、第1電動弁35(本発明の第1電動弁の一例)が個別に設けられている。つまり、乾燥装置10は、各配管65に対応して、複数の第1電動弁35を有する。各第1電動弁35は、各サブタンク48それぞれの二次側(下流側)に設けられている。第1電動弁35は、例えば、電磁ソレノイドバルブ、或いは電動ボールバルブなどである。第1電動弁35は、配管65を開閉するための開閉弁である。第1電動弁35は、制御部100からの駆動信号に応じて開閉する。本実施形態では、制御部100は、各第1電動弁35を断続的に駆動して各配管65を開閉させる。これにより、装着部47に装着された後述のインストゥルメント15の連通口157(
図7(B)参照)に断続的に前記低圧空気を供給することができる。なお、断続的に前記低圧空気を供給する制御部100及び第1電動弁35によって、本発明の空気供給部が実現されている。
【0047】
排気ファン33は、乾燥装置10の収容室22内の空気を吸引して、乾燥装置10の外部に排出するための送風機である。排気ファン33は、収容ケース21の天板21Bに取り付けられている。天板21Bには、収容室22に連通する排気口67(
図2参照)が形成されている。排気ファン33は、排気口67から不図示の配管を通じて空気を吸引して、乾燥装置10の外部に排出する。本実施形態では、排気ファン33の送風能力(単位時間当たりの風量[L/min])は、循環ファン31の送風能力よりも十分に小さい。そのため、ヒーター39によって加熱された収容室22内の空気の一部が排気ファン33によって外部に排出され、大部分の空気は循環ファン31によってダクト61へ吸引される。このため、排気ファン33による空気の排出によって、乾燥装置10の稼働中(乾燥中)に収容室22の空気の温度が極端に低下することはない。なお、排気ファン33は、電源ボタン49Bが押し操作されて乾燥装置10が起動されると同時に駆動し、乾燥装置10の電源が落ちるまで継続して駆動する。
【0048】
送風ファン32は、乾燥装置10の外部の空気(外気)を吸引して、ダクト62に空気を供給するための送風機である。送風ファン32は、下部空間23に設けられている。送風ファン32の二次側には、エアーフィルター34が設けられている。エアーフィルター34は、空気中からゴミや塵埃などを捕集して取り除き、清浄な空気にするものである。エアーフィルター34として、例えば、ケミカルフィルターや、HEPAフィルター、ULPAフィルター、電気集塵器などが適用可能である。エアーフィルター34によって清浄化された空気がダクト62に送り込まれる。本実施形態では、送風ファン32の送風能力(単位時間当たりの風量[L/min])は、排気ファン33と同等であり、循環ファン31の送風能力よりも十分に小さい。そのため、送風ファン32は、排気ファン33によって排出された空気を補う程度の量の空気を外部から吸引してダクト62に送出する。
【0049】
図4に示すように、メインタンク401とドレン受け部81とは、ドレン管85によって連結されている。ドレン管85において、ドレン受け部81側の端部にドレン用電動弁82が設けられている。また、各サブタンク48それぞれとドレン受け部81とは、ドレン管86によって連結されている。ドレン管86において、ドレン受け部81側の端部にドレン用電動弁83が設けられている。ドレン用電動弁82,83は、それぞれ、制御部100からの駆動信号に応じて開閉する。本実施形態では、乾燥装置10において乾燥処理が終了するまでドレン用電動弁82,83は閉状態を維持し、乾燥処理の終了後に一時的に開状態にされて、メインタンク401及び各サブタンク48内の圧縮空気がドレン受け部81に放出される。
【0050】
図3に示すように、制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、EEPROM104等を有する演算処理部であり、乾燥装置10を統括的に制御する。ROM102に制御プログラムが記憶されており、CPU101が前記制御プログラムを読み出して実行することによって、後述のエアー噴出処理及び乾燥処理を含む駆動制御が実行される。なお、乾燥装置10の駆動制御については後述する。
【0051】
制御部100に、循環ファン31、送風ファン32、排気ファン33、第1電動弁35、第2電動弁36、ドレン用電動弁82,83、ヒーター39、エアーコンプレッサー40、圧力センサー41、操作部49、温度センサー42~45が接続されており、信号やデータの通信が可能に構成されている。
【0052】
圧力センサー41は、配管63において、第2電動弁36と各サブタンク48との間に設けられている。圧力センサー41は、空気圧確認用のセンサーであり、配管63の内部の空気の圧力を検出し、その検出値を電気信号(圧力情報)に変換して、制御部100に送る。制御部100は、圧力値を示す前記電気信号に基づいて、操作部49の液晶モニター49Aに圧力値を表示させる。また、制御部100は、圧力値を示す前記電気信号に基づいて第2電動弁36の開閉を制御する。例えば、第1電動弁35が閉状態であり、第2電動弁36が開状態の場合に、圧力センサー41によって配管63内の空気圧として0.5MPaが検出されたことを条件に、制御部100は、第2電動弁36を駆動させて、開から閉にする。
【0053】
温度センサー42~45は、検出対象である空気の温度を検出するものであり、例えば、測温抵抗体、熱電対、或いはサーミスタなどで構成されている。温度センサー42~45は、検出対象の空気の温度に応じた電気信号(温度情報)を制御部100に送る。
【0054】
温度センサー42は、ダクト62に設けられている。温度センサー42は、ヒーター39の二次側の温度、つまり、ヒーター39の出口の空気の温度を検出する。つまり、温度センサー42は、ヒーター39によって加熱された直後の空気の温度を検出する。温度センサー42は、ダクト62内の空気の温度を検出し、その検出値を電気信号(温度情報)に変換して、制御部100に送る。制御部100は、温度を示す前記電気信号に基づいてヒーター39の加熱をフィードバック制御する。本実施形態では、制御部100は、ヒーター39の出口の空気の温度が、予め定められた設定温度(例えば85℃)を維持するようにヒーター39を加熱制御する。なお、前記設定温度の情報は、EEPROM104に記憶されている。
【0055】
温度センサー43は、空気バッファ部52に取り付けられており、空気バッファ部52内の空気の温度を検出する。また、温度センサー44は、一番下側に位置する内部ダクト47Aに取り付けられており、内部ダクト47A内の空気の温度を検出する。また、温度センサー45は、収容ケース21の天板21Bに取り付けられており、収容ケース21内の温度を検出する。温度センサー43~45は、検出対象の空気の温度を検出し、その検出値を電気信号(温度情報)に変換して、制御部100に送る。制御部100は、温度を示す前記電気信号に基づいて、各部の温度を操作部49の液晶モニター49Aに表示させる。なお、後述する乾燥処理において、制御部100が、ヒーター39の出口の空気を前記設定温度(例えば85℃)に維持するようにヒーター39を加熱制御することによって、空気バッファ部52内の空気の温度は概ね80℃~85℃、内部ダクト46内の空気は概ね75℃、収容ケース21内の収容室22の温度は概ね80℃を維持する。
【0056】
次に、
図5乃至
図8を参照して、内部ダクト46および装着部47について説明する。ここで、
図5は、インストゥルメント15及び装着部47が支持プレート71に支持された状態を示す部分拡大図であり、インストゥルメント15及び装着部47を正面から見たときの図である。
図6は、インストゥルメント15及び装着部47の構成を示す部分拡大図であり、インストゥルメント15及び装着部47を上側から見たときの図である。
図7は、インストゥルメント15の本体部151を示す斜視図である。
図8は、装着部47及び内部ダクト46を示す斜視図である。なお、
図5では、内部ダクト46の断面が部分的に示されている。
【0057】
図5に示すように、インストゥルメント15は、箱形状の本体部151と、本体部151の側面151Aから突出する丸棒状のシャフト152と、シャフト152の先端に取り付けられたリスト153と、リスト153を介して開閉動作する鉗子としてのジョー154とを有する。シャフト152は、内部が空洞の管状に形成されており、その内部にリスト153やジョー154を駆動させるための複数本のワイヤーが設けられている。本体部151の内部には、前記ワイヤーを巻回するプーリーや、モーター、各種のギヤ155などの駆動伝達機構が内蔵されている。
【0058】
図7(A)に示すように、一部のギヤ155は、側面151Aに露出された状態で回転可能に本体部151に支持されている。側面151Aには、ギヤ155を収容する凹陥部が形成されており、その凹陥部とギヤ155との間には、本体部151の内部に至る隙間が形成されている。また、側面151Aの各所にも、通気口としての通気孔や取付用の取付孔などの空隙156が存在しており、これらの空隙156も本体部151の内部に至っている。
図7(B)に示すように、本体部151において、装着部47に取り付けられる側の底面151Bには、2つの連通口157が形成されている。連通口157は、インストゥルメント15の内部の空洞に連通している。具体的には、連通口157は、本体部151の内部を通ってシャフト152の内部に連通している。
【0059】
図5に示すように、収容ケース21には、収容室22の左側の側面を構成する側壁21Cから右方向へ延びる支持プレート71が設けられている。支持プレート71は、上下に4つ設けられている。この支持プレート71の上面71Aに内部ダクト46が取り付けられている。本実施形態では、4つの支持プレート71それぞれに一つの内部ダクト46が取り付けられており、全部で4つの内部ダクト46が収容ケース21内に設けられている。つまり、各支持プレート71それぞれの上面71Aに一つの内部ダクト46が取り付けられている。また、装着部47は、支持プレート71に着脱可能に取り付けられている。各支持プレート71それぞれの上面71Aに、2つの装着部47が取り付けられており、その2つの装着部47が収容ケース21の奥行き方向に並んで配置されている(
図6参照)。また、支持プレート71の上面71Aにおいて、その先端側に内部ダクト46が取り付けられており、内部ダクト46よりも側壁21C側に装着部47が取り付けられている。
【0060】
なお、支持プレート71の上面71Aは、側壁21Cから右方向へ向けて斜め下方に傾斜する傾斜面である。上面71Aの傾斜角度は、水平方向に対して約10度に定められている。
【0061】
内部ダクト46は、ヒーター39によって加熱された空気をインストゥルメント15に案内するとともにインストゥルメント15の側面151Aへ向けてその送出するものである。内部ダクト46は、奥行き方向に長い直方体形状であって、周囲が囲まれた箱形状に形成されている。内部ダクト46は、収容室22の奥側の側面を構成する奥壁21Dから前方へ向けて垂直に延びている。内部ダクト46の奥側の端部にはブラケット72が取り付けられており、このブラケット72によって奥壁21Dに固定されている。内部ダクト46の奥側の端部は、奥壁21Dの裏側で空気バッファ部52と配管(不図示)によって連結されている。このため、ダクト62を介して空気バッファ部52に送られた空気は、空気バッファ部52から内部ダクト46に流入する。
【0062】
内部ダクト46において、装着部47側の側面461には、側面461を貫通する複数の送出口462が形成されている。複数の送出口462は、側面461の全面に形成されている。このため、ヒーター39によって加熱された空気が内部ダクト46に流入すると、送出口462から装着部47へ向けて送出される。これにより、装着部47に装着されたインストゥルメント15へ向けて空気が吹き付けられるため、インストゥルメント15の乾燥が促進される。なお、複数の送出口462は、側面461の全面に設けられていなくてもよく、例えば、複数の送出口462は、側面461において、装着部47に対向する領域のみに形成されていてもよい。
【0063】
図5に示すように、内部ダクト46の内部に、サブタンク48から送り出される前記低圧空気を送るための配管65が設けられている。配管65は、サブタンク48から延出し、内部ダクト46の内部を挿通し、内部ダクト46に設けられた流出用プラグ463に連結している。内部ダクト46には、流出用プラグ463が設けられており、その内部側は配管65に連結されている。流出用プラグ463の他方の連結口は、内部ダクト46の右側の側面から外側に露出されている。この流出用プラグ463にエアーチューブ74が連結されている。このエアーチューブ74の他方側は、装着部47に設けられた後述の流入方プラグ475に連結されている。これにより、サブタンク48から送り出されて、配管65を通ってエアーチューブ74に流入した前記低圧空気は、後述の流入方プラグ475に流入し、ベースブロック471のボス473からインストゥルメント15の連通口157に流入する。なお、配管65及びエアーチューブ74は、本発明の連結管の一例である。
【0064】
図6に示すように、装着部47は、インストゥルメント15の本体部151を装着するものであり、大別して、直方体形状のベースブロック471と、可動アーム472と、二つのボス473と、コイルバネ474(
図8参照)と、流入方プラグ475と、を有する。装着部47は、そのベースブロック471の底面が上面71Aに載置される。ベースブロック471の上面471Aに、インストゥルメント15の底面151Bが装着される。ベースブロック471の内部は空洞に形成されており、その内部に空気が送り込まれる。ベースブロック471の側壁21C側の側面には、流入方プラグ475が取り付けられており、この流入方プラグ475にエアーチューブ74が連結される。
【0065】
ベースブロック471の上面471Aに、2本のボス473が設けられている。ボス473は、内部が中空の筒状部材であり、ベースブロック471の内部に連通している。したがって、エアーチューブ74から前記低圧空気がベースブロック471の内部に流入すると、その低圧空気は、ボス473から外部に送出される。本実施形態では、ボス473は、インストゥルメント15の底面151Bが上面471Aに装着された状態で、連通口157に挿入可能なサイズに形成されている。このため、インストゥルメント15の本体部151が装着部47に装着されると、ボス473から連通口157に前記低圧空気が送出可能となる。
【0066】
なお、収容ケース21の奥壁21Dには、インストゥルメント15及び装着部47が支持プレート71に装着された状態で、シャフト152を安定して支持するための支持アーム77が取り付けられている。奥壁21Dには、支持アーム77を支持するためのブラケット78が固定されている。このブラケット78によって、支持アーム77は、奥壁21Dから垂直に延びる状態を維持することができる。本実施形態では、一つの支持プレート71上に二つのインストゥルメント15が装着部47とともに装着された場合に、各インストゥルメント15のシャフト152が支持アーム77によって支持される。なお、ブラケット78には、支持アーム77を
図6中の矢印D10の方向へ回動可能に支持する支軸781が設けられている。これにより、支持アーム77を使用しない場合に支持アーム77を奥壁21D側へ回動させて、奥壁21D側へ寄せておくことができる。その結果、インストゥルメント15の着脱時に、支持アーム77が邪魔になることはない。また、奥壁21Dには、支持アーム77が奥壁21D側へ回動されたときに支持アーム77を保持するブラケット79が設けられている。これにより、奥壁21D側で支持アーム77を安定して保持することができる。
【0067】
図8に示すように、装着部47の可動アーム472は、概ね逆向きのU字形状に形成されており、その下端部472A側の部分が本体部151の両側面471Bに回動可能に支持されている。両側面471Bには、本体部151に回動可能に支持された軸受け部477が取り付けられており、その軸受け部477を可動アーム472が下方へ貫通している。これにより、可動アーム472は、軸受け部477を中心にして、
図8に示す矢印D11の方向に回動可能となる。
【0068】
図9(A)に示すように、可動アーム472には、リング状の止め輪478、479が固定されている。止め輪478、479は、スナップリング、又はE型リングと称される固定具であり、可動アーム472の外径よりも大きいサイズのものである。止め輪478は、可動アーム472において、軸受け部477よりも上側に取り付けられている。また、止め輪479は、可動アーム472において、軸受け部477よりも下側であって、可動アーム472の下端に取り付けられている。
【0069】
コイルバネ474は、可動アーム472の下端部472Aに挿通された状態で、軸受け部477と止め輪479との間に圧縮された状態で取り付けられている。つまり、止め輪478,479は、コイルバネ474を固定するためのバネ止め具としての役割を担っている。
【0070】
支持プレート71の上面71Aには、可動アーム472の下端部472Aを支持プレート71の裏面へ挿通させる貫通孔476が形成されている。装着部47が支持プレート71の上面71Aに載置された状態で、可動アーム472の下端部472Aが貫通孔476を下方へ挿通される。この場合、可動アーム472に取り付けられた止め輪479も貫通孔476を下方へ挿通されて、支持プレート71の裏面側に配置されている。
【0071】
装着部47が可動アーム472を有しているため、
図9(A)に示すように、可動アーム472がベースブロック471に対して傾倒した状態でインストゥルメント15の本体部151をベースブロック471の上面に装着することができる。そして、
図9(B)に示すように可動アーム472を矢印D12の方向へ回動させると、可動アーム472の上端部が本体部151に当接しつつ、本体部151の上面に配置される。このとき、コイルバネ474が伸長して、可動アーム472の上端部を下方へ引っ張る力として作用する(
図9(C)参照)。これにより、インストゥルメント15の本体部151が装着部47に固定されて、安定した装着状態を維持することができる。
【0072】
また、
図10に示すように、支持プレート71の裏面には、ポリアセタール(POM)などの合成樹脂で構成されたガイド部材90が固定されている。ガイド部材90は、支持プレート71の裏面を奥行き方向へ延出する長尺な直方体形状の樹脂ブロックである。ガイド部材90には、4つの貫通孔91が形成されている。各貫通孔91は、支持プレート71における4つの貫通孔476に対応する位置に形成されており、その外径は、各貫通孔476の外径よりも小さい。また、ガイド部材90の厚み(支持プレート71の裏面に垂直な方向のサイズ)は、可動アーム472の下端部472A、具体的には止め輪479が貫通孔91を下方へ貫通しないサイズに形成されている。このため、装着部47が支持プレート71の上面71Aに載置されると、下端部472Aが貫通孔476に挿通され、且つ、貫通孔91に挿通される。この状態で、装着部47が持ち上げられて、支持プレート71から取り外されると、止め輪479は、ガイド部材90の貫通孔91の内周面によって上方へ案内されて、貫通孔476の周縁部に引っ掛かることなく、貫通孔476を上方へ抜き出される。つまり、ガイド部材90が設けられているため、装着部47の取り外し時に止め輪479が貫通孔476の周縁部に引っ掛かることなく、円滑に取り外される。
【0073】
次に、
図11及び
図12のフローチャートを参照して、制御部100によって実行される乾燥装置10の駆動制御の手順の一例について説明する。ここで、
図11は、前記駆動制御の手順を示すフローチャートである。また、
図12は、前記駆動制御に含まれる乾燥処理の手順を示すフローチャートである。ここで、前記乾燥処理は、洗浄された後のインストゥルメント15を収容室22に収容した状態で、インストゥルメント15の本体部151の表面に空気を吹き付けつつ、連通口157からインストゥルメント15の内部に圧縮された前記低圧空気を断続的に噴出させる処理である。図中のS11、S12、・・・は処理手順(ステップ)の番号を表している。各ステップにおける処理は、制御部100によって、より詳細にはCPU101がROM102内の制御プログラムを実行することによって行われる。なお、以下の説明では、収容ケース21内に8つのインストゥルメント15が収容された状態で行われる駆動制御及び乾燥処理を例示して説明する。
【0074】
電源ボタン49Bが押し操作されて、乾燥装置10に対して起動指示が入力されると(S11のYES側)、制御部100は、乾燥装置10を起動して、乾燥処理の前に行う準備処理であるコンディショニング処理(調整処理)を行う。具体的には、ステップS12~S19までの処理を順次行う。
【0075】
ステップS12において、制御部100は、循環ファン31、送風ファン32、排気ファン33、ヒーター39を駆動する。これにより、循環ファン31によって送風された空気がヒーター39によって加熱され、その加熱された空気がダクト62、空気バッファ部52、内部ダクト46を通じて、送出口462からインストゥルメント15の本体部151の側面151Aに向けて吹き付けられる。内部ダクト46から送出された空気は、収容室22の全体を温めた後に、空気バッファ部51からダクト61を通じて再び循環ファン31によって送り出される。
【0076】
また、制御部100は、エアーコンプレッサー40を駆動させて、エアーコンプレッサー40による自動駆動制御を開始させる(S13)。このとき、第2電動弁36は閉状態となっている。これにより、エアーコンプレッサー40によってメインタンク401に圧縮空気が貯留される。本実施形態では、エアーコンプレッサー40の制御ユニット403が前記自動駆動制御を行う。具体的には、制御ユニット403は、メインタンク401内の圧力が所定の閾値以上になると電動ポンプ402を停止させ、メインタンク401内の圧力が所定の閾値未満になると電動ポンプ402を駆動する。更に、制御部100は、第1電動弁35、第2電動弁36を制御して、第1電動弁35を閉状態にし、第2電動弁36を開状態にする(S14)。これにより、各サブタンク48に圧縮空気が送り込まれて、各サブタンク48への前記低圧空気の充填が開始されて、各サブタンク48に前記低圧空気が貯留される。
【0077】
続いて、ステップS15において、制御部100は、ステップS12における駆動が開始されてから予め定められた準備時間T0(例えば、T0=6分)が経過したかどうかを判定する。この準備時間T0は、サブタンク48内の圧力が予め定められた前記設定圧力P2(例えば、P2=0.5MPa)まで上昇するのに必要な時間であり、収容ケース21内の空気の温度が予め定められた待機温度(例えば、55℃)まで昇温するのに必要な時間に定められている。
【0078】
ステップS15において、準備時間T0が経過したと判定されると、その後、制御部100は、圧力センサー41によって検出される圧力値に基づいて、サブタンク48の圧力が前記設定圧力P2に達したかどうかを判定し(S16)、更に、温度センサー45によって検出される温度値に基づいて、収容ケース21内の温度が前記待機温度に達したかどうかを判定する(S17)。そして、サブタンク48の圧力が前記設定圧力P2に達し、収容ケース21内の温度が前記待機温度に達したと判定されると、制御部100は、第2電動弁36を制御して、第2電動弁36を開状態から閉状態にする(S18)。そして、制御部100は、循環ファン31、送風ファン32、ヒーター39を停止して(S19)、乾燥処理前のコンディショニング処理を終了する。なお、排気ファン33は停止させずに継続して駆動させる。
【0079】
制御部100は、コンディショニング処理を終了すると、液晶モニター49Aにコンディショニング処理が終了して、乾燥処理の準備が整ったことを示すメッセージを表示する。また、液晶モニター49Aに各種運転モード(タイマー運転モード及び連続運転モード)のラジオボタンを表示させて、液晶モニター49Aからのユーザーによる運転モードの設定の受付を可能な状態にする。
【0080】
ここで、前記タイマー運転モードは、乾燥処理の開始指示が入力されてから、乾燥時間として予め定められた設定時間T3(例えば、T3=30分)を経過するまで乾燥処理を継続し、前記設定時間T3が経過した時点で乾燥処理を自動的に停止する運転モードである。また、前記連続運転モードは、乾燥処理の開始指示が入力されてから、終了指示が入力されるまで連続して乾燥処理を継続し、前記終了指示が入力された時点で乾燥処理を停止する運転モードである。
【0081】
次に、制御部100は、液晶モニター49Aにおいてユーザーによって何れかの運転モードが選択されると、選択された運転モードにする(S20)。以下においては、前記タイマー運転モードがユーザーによって選択されて、乾燥装置10の運転モードが前記タイマー運転モードに設定されたものとして説明する。
【0082】
ステップS20において前記タイマー運転モードが設定されると、制御部100は、次のステップS21において、乾燥処理の開始指示が入力されたかどうかを判定する。当該ステップS21では、液晶モニター49Aにおいてユーザーによって乾燥処理の運転開始のラジオボタンが押されたかどうかによって判定する。
【0083】
ステップS21において、乾燥処理の開始指示が入力されたと判定されると、制御部100は、次のステップS22において、乾燥処理を実行する。
【0084】
図12に示すように、前記乾燥処理は、ステップS221から開始する。
【0085】
最初に、制御部100は、循環ファン31、送風ファン32、ヒーター39を駆動する(S221)。このとき、循環ファン31及び送風ファン32は、一定の回転速度で駆動される。一方、ヒーター39は、その二次側の空気が予め定められた設定温度(例えば85℃)となるように加熱制御される。具体的には、制御部100は、温度センサー42から送られてきた温度を示す前記電気信号(温度情報)に基づいて、ヒーター39の加熱をフィードバック制御する。制御部100が、ヒーター39の出口の空気を前記設定温度(例えば85℃)に維持するようにヒーター39を加熱制御することによって、空気バッファ部52内の空気の温度は概ね80℃~85℃、内部ダクト46内の空気は概ね75℃、収容ケース21内の収容室22の温度は概ね80℃を維持する。これにより、循環ファン31によって送風された空気がヒーター39によって加熱され、その加熱された空気がダクト62、空気バッファ部52、内部ダクト46を通じて、送出口462からインストゥルメント15の本体部151の側面151Aに向けて吹き付けられる。このように吹き付けられた空気は、本体部151の外面を暖めつつ本体部151の全体の乾燥を促進するとともに、側面151Aの隙間や空隙156から本体部151の内部に空気が入り込み、本体部151の内部を直接温めて乾燥させることができる。
【0086】
次に、制御部100は、第1電動弁35を制御して、全ての第1電動弁35を閉状態から開状態にする(S222)。つまり、サブタンク48に貯留されていた前記低圧空気を開放して、インストゥルメント15の連通口157へ向けて前記低圧空気を噴出させる。第1電動弁35が開状態にされると、各サブタンク48に貯留されていた前記低圧空気が、配管65、エアーチューブ74、ベースブロック471、ボス473を経て連通口157に流入し、これにより、連通口157から本体部151の内部を経てシャフト152の内部に勢いよく空気が噴出される。この低圧空気の噴出は、予め定められた設定時間T1(例えば、T1=5秒)が経過するまで行われる(S223)。つまり、第1電動弁35は、前記設定時間T1が経過するまで開状態を維持する。
【0087】
その後、前記設定時間T1が経過すると(S223のYES側)、第1電動弁35が閉状態に戻されて、連通口157への前記低圧空気の噴出が停止される(S224)。本実施形態では、前記設定時間T1は、サブタンク48内の前記低圧空気がすべて無くなるまでに要する時間に設定されている。このため、次のステップS225では、各サブタンク48に前記低圧空気を補充して再充填するために、再び第2電動弁36が閉状態から開状態にされる。つまり、制御部100は、サブタンク48内の前記低圧空気が全て無くなって大気圧(所定圧力)になると、第2電動弁36を閉状態から開状態にして、各サブタンク48に前記低圧空気を補充して再充填する。ステップS225における前記低圧空気の補充は、予め定められた設定時間T2(例えば、T2=75秒)が経過するまで行われる(S226)。つまり、第2電動弁36は、前記設定時間T2が経過するまで開状態を維持する。
【0088】
その後、前記設定時間T2が経過すると(S226のYES側)、第2電動弁36が閉状態に戻されて、サブタンク48への前記低圧空気の補充が停止される(S227)。本実施形態では、前記設定時間T2は、全てのサブタンク48に前記設定圧力P2の前記低圧空気が充填されるまでに要する時間に設定されている。
【0089】
上述したステップS222~S227までの処理は、乾燥時間として予め定められた設定時間T3(例えば、T3=30分)の5分前の時間(例えば、乾燥開始から25分)が経過したとステップS228で判定されるまで繰り返し実行される。このように、ステップS222~S227の処理が繰り返し行われることによって、インストゥルメント15の連通口157に断続的に前記低圧空気が噴出される。なお、前記設定時間T3やステップS228の判定で用いられる時間は、任意に変更可能である。
【0090】
ステップS228において、設定時間T3の5分前であると判定されると、制御部100は、ヒーター39を停止する(S229)。その後、乾燥処理の開始から前記設定時間T3が経過したと判定されると(S230のYES側)、乾燥が終了したことを示すメッセージを液晶モニター49Aに表示して、タイマー運転モードでの乾燥処理が終了する(S231)。
【0091】
図11に示すように、乾燥処理が終了すると、次のステップS23では、制御部100は、収容ケース21の内部温度が60℃まで低下したかどうかを判定する。かかる判定は、温度センサー45によって検出される温度値に基づいて行われる。内部温度が60℃未満と判定されると、制御部100は、循環ファン31及び送風ファン32を停止する(S24)。なお、内部温度が60℃未満であれば、インストゥルメント15を安全に取り出すことができるため、この場合、制御部100は、液晶モニター49Aに、インストゥルメント15を取り出し可能である旨のメッセージを表示させる。
【0092】
その後、電源ボタン49Bが操作されて電源ボタン49Bがオフ状態にされると(S25)、制御部100は、閉状態にあるドレン用電動弁82,83を一時的に開状態にして、メインタンク401及びサブタンク48に残っている残留空気をドレン受け部81に排出する(S26)。その後、排気ファン33を停止して、一連の駆動制御が終了する(S27)。
【0093】
なお、ステップS20において、タイマー運転モードではなく、連続運転モードが設定された場合の乾燥処理は、
図12のステップS221~S227と同じ処理が行われ、その後は、ステップS228に代えて、乾燥終了指示が入力されたかどうかの判定を行う。そして、乾燥終了指示が入力されたと判定されると、ヒーター39が停止され(S229)、ヒーター39の停止後から5分経過したと判定されると、乾燥が終了したことを示すメッセージを液晶モニター49Aに表示して、連続運転モードでの乾燥処理が終了する(S231)。
【0094】
以上説明したように、本実施形態では、インストゥルメント15の連通口157に断続的に前記低圧空気が噴出されることにより、本体部151の内部やシャフト152の内部に前記低圧空気が断続的に供給される。断続的に前記低圧空気が内部に供給されると、前記低圧空気の圧力によって本体部151の内部やシャフト152の内部の空洞に含まれている水分がシャフト152の先端部の隙間などから外部に押し出される。また、前記低圧空気に圧力によって本体部151の内部やシャフト152の内部の内壁に付着した水滴がより微小な水滴に分散し、結果的に水滴の外表面が拡大し、乾燥が促進される。このように前記低圧空気が断続的に連続して連通口157に供給されるため、更に、内部ダクト46の送出口462からインストゥルメント15の本体部151の側面151Aに高温の空気が吹き付けられることが相互に作用することによって、従来の乾燥装置に比べて、インストゥルメント15を短時間で確実に乾燥させることが可能となる。
【0095】
なお、上述の実施形態では、第1電動弁35を制御してサブタンク48から連通口157に低圧空気を供給する例について説明したが、本発明はこのような処理例に限られない。例えば、サブタンク48が設けられていない構成の場合は、配管63と配管65を直接接続して、第2電動弁36を制御することにより、配管63において減圧された前記低圧空気を連通口157に供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10:乾燥装置
21:収容ケース
31:循環ファン
32:送風ファン
33:排気ファン
34:エアーフィルター
35:第1電動弁
36:第2電動弁
39:ヒーター
40:エアーコンプレッサー
41:圧力センサー
42~45:温度センサー
46:内部ダクト
47;装着部
48:サブタンク
49:操作部
100:制御部