IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニックス株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121473
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】容器の蓋
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20220812BHJP
   B65D 51/24 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
B29C45/14
B65D51/24 200
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095934
(22)【出願日】2022-06-14
(62)【分割の表示】P 2018157878の分割
【原出願日】2018-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】591001754
【氏名又は名称】ニックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113516
【弁理士】
【氏名又は名称】磯山 弘信
(72)【発明者】
【氏名】東 拓司
(72)【発明者】
【氏名】村松 久禎
(57)【要約】
【課題】新規な容器の蓋を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の容器の蓋1は、容器の収容部の開口部に係合し、容器の収容部内の内容物を保持している。本発明の容器1の蓋は、底部11と、前記底部11の周囲に形成する壁部12と、外形を形成する側部14と、前記壁部12と前記側部14を接続する天板部13を有している。また、本発明の容器の蓋1は、ラベル3を含む、インモールド射出成形体である。また、前記ラベル3は、前記壁部12の一部または全部に存在する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、前記底部の周囲に形成する壁部を有し、
ラベルを含む、インモールド射出成形体であり、
前記ラベルは、前記壁部の一部または全部に存在し、
前記壁部は、凸状部を有する
ことを特徴とする容器の蓋。
【請求項2】
底部と、前記底部の周囲に形成する壁部を有し、
ラベルを含む、インモールド射出成形体であり、
前記ラベルは、前記壁部の一部または全部に存在し、
前記壁部は、凹状部を有する
ことを特徴とする容器の蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な容器の蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、容器の蓋の製造方法について説明する。図28は、容器の蓋の製造方法について、A:溶融樹脂充填工程、及びB:射出成形品を説明する図である。
容器の蓋は、射出成形法により製造することができる。射出成形法の工程は、ラベル搬送工程、ラベル装填工程、金型閉工程、及び溶融樹脂充填工程を含む。
【0003】
ラベル搬送工程では、互いに離れている可動側金型30と固定側金型31の間に、ラベル3を導入する。ラベル装填工程では、ラベル3を可動側金型30に装填する。
【0004】
金型閉工程では、可動側金型30を固定側金型31に向けて移動させる。金型閉工程が完了すると、可動側金型30と固定側金型31の間には、容器の蓋に対応する空間が形成される。
【0005】
図28のAに示す、溶融樹脂充填工程では、ゲート34から注入された溶融樹脂35が、容器の蓋に対応する空間に流入する。溶融樹脂35は、この空間を流動する際に、ラベル3を可動側金型30に押し付ける。その結果、ラベル3は、可動側金型30の下面に密着する。
【0006】
空間内の溶融樹脂が冷却した後、可動側金型30を固定側金型31から離れる方向に移動させる。射出成形品は、固定側金型31に密着したまま残る。
次に、ストリッパ(図示せず)により、射出成形品を固定側金型31から離型する。この離型により、射出成形品である容器の蓋を得ることができる。
【0007】
図28のBに示すように、射出成形品である容器の蓋1は、その底部11の上側において、ラベル3の表面の全体を露出している。また、ラベル3の裏面の全体は、容器の蓋1の底部11に接着されている。
なお、プラスチック容器を射出成形により製造するに際して、ラベルを容器の底部にインモールドする方法が報告されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9-174595
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した、容器の蓋の製造方法においては、問題点を生じる場合がある。
本来、製造方法のラベル装填工程では、ラベル3を水平方向において、可動側金型30の中央位置に固定させる必要がある。しかし、ラベル3が水平方向において、可動側金型30の中央位置からずれて固定させる場合がある。
【0010】
図28のAに示すように、溶融樹脂充填工程では、ゲート34から注入された溶融樹脂35が、容器の蓋に対応する空間に流入する。この場合、ラベル3が水平方向において、可動側金型30の中央位置からずれて固定される。
【0011】
図28のBに示すように、射出成形品である容器の蓋1は、その底部11の上側において、ラベル3の表面の全体を露出している。このラベル3は、容器の蓋1の底部11の上側において、中央位置からずれて固定される。
この結果、製品である容器の蓋1は、製品として不良品になってしまうという問題点がある。
【0012】
以上のことから、上述した課題を解決する、新規な容器の蓋の開発が望まれている。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な容器の蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の容器の蓋は、底部と、前記底部の周囲に形成する壁部と、外形を形成する側部と、前記壁部と前記側部を接続する天板部を有し、ラベルを含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベルが、前記壁部の一部または全部に存在することを特徴とする。
【0015】
本発明の容器の蓋は、底部と、前記底部の周囲に形成する壁部を有し、ラベルを含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベルが、前記壁部の一部または全部に存在し、前記壁部が、凸状部を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の容器の蓋は、底部と、前記底部の周囲に形成する壁部を有し、ラベルを含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベルが、前記壁部の一部または全部に存在し、前記壁部が、凹状部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
【0018】
本発明の容器の蓋は、底部と、前記底部の周囲に形成する壁部と、外形を形成する側部と、前記壁部と前記側部を接続する天板部を有し、ラベルを含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベルが、前記壁部の一部または全部に存在するので、新規な容器の蓋を提供することができる。
【0019】
本発明の容器の蓋は、底部と、前記底部の周囲に形成する壁部を有し、ラベルを含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベルが、前記壁部の一部または全部に存在し、前記壁部が、凸状部を有するので、新規な容器の蓋を提供することができる。
【0020】
本発明の容器の蓋は、底部と、前記底部の周囲に形成する壁部を有し、ラベルを含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベルが、前記壁部の一部または全部に存在し、前記壁部が、凹状部を有するので、新規な容器の蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の容器の蓋の一例についての、使用状態を示す斜視図である。
図2】本発明の容器の蓋の一例についての、A:斜視図、B:平面図、C:正面図、及びD:A-A断面図である。
図3】本発明の容器の蓋に用いる、ラベルのA:斜視図、B:平面図、及びC:A-A断面図である。
図4】本発明の容器の蓋についての、A:斜視図、B:平面図、C:A-A断面図、及びD:A-A拡大断面図である。
図5】本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図6】本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図7】本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:D-D拡大断面図、B:A-A拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
図8】本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図9】本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図10】本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:D-D拡大断面図、B:A-A拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
図11】本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図12】本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図13】本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:D-D拡大断面図、B:A-A拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
図14】本発明の容器の蓋について、一般化した内容を説明するA:拡大正面図、及びB:C-C拡大断面図である。
図15】本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図16】本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図17】本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:D-D拡大断面図、B:C-C拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
図18】本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図19】本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図20】本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:D-D拡大断面図、B:C-C拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
図21】本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図22】本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図23】本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:D-D拡大断面図、B:C-C拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
図24】本発明の容器の蓋について、一般化した内容を説明するA:拡大正面図、及びB:C-C拡大断面図である。
図25】本発明の容器の蓋の製造方法について、A:ラベル搬送工程、及びB:ラベル装填工程を説明する図である。
図26】本発明の容器の蓋の製造方法について、金型閉動作及びラベル位置矯正工程を説明する図である。
図27】本発明の容器の蓋の製造方法について、A:金型閉完了及びラベル位置固定工程、B:溶融樹脂充填工程、及びC:射出成形品を説明する図である。
図28】従来の容器の蓋の製造方法について、A:溶融樹脂充填工程、及びB:射出成形品を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明の容器の蓋の一例についての、使用状態を示す斜視図である。
容器50は、容器の蓋1及び容器の収容部2から構成されている。
容器の収容部2は、底とその底の周囲に形成された側壁とからなっている。底と側壁は、所定の肉厚を有している。また、容器の収容部2は、全体の形状が略逆円錐台形からなり、収容部2の上方は開口部を有している。
本発明の容器の蓋1は、容器の収容部2の開口部に係合し、容器の収容部2内の内容物を保持している。容器の蓋1の詳細については、後述する。
【0024】
図2は、本発明の容器の蓋の一例についての、A:斜視図、B:平面図、C:正面図、及びD:A-A断面図である。
ここで、X軸及びY軸を通る平面に対し、平行な方向を「水平方向」と定義する。また、Z軸に平行な方向を「垂直方向」と定義する。
図2のB:平面図における、蓋の最大径Eについては後述する。
図2のC:正面図における、蓋の高さTについては後述する。
【0025】
次に、本発明の容器の蓋に用いるラベルについて説明する。
図3は、本発明の容器の蓋に用いる、ラベルのA:斜視図、B:平面図、及びC:A-A断面図である。
図3のA:斜視図、及びB:平面図に示すように、ラベル3の平面形状は円形である。また、図3のC:A-A断面図に示すように、ラベル3は所定の厚さSを有している。ラベルの厚さSについては後述する。
【0026】
以下、容器の蓋にかかる第1の発明を実施するための形態について説明する。
【0027】
図4は、本発明の容器の蓋についての、A:斜視図、B:平面図、C:A-A断面図、及びD:A-A拡大断面図である。
【0028】
図4のC:A-A断面図、及びD:A-A拡大断面図からわかるように、本発明の容器の蓋1は、底部11と、前記底部11の周囲に形成する壁部12と、外形を形成する側部14と、前記壁部12と前記側部14を接続する天板部13を有し、ラベル3を含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベル3は、前記壁部12の一部または全部に存在する。
【0029】
底部11は、略円形の平板からなり、所定の厚さを有している。底部11の上側には、ラベル3が存在している。なお、底部11とは、その上側に存在するラベル3を含めるものとする。
【0030】
底部11の周囲には、壁部12が形成されている。壁部12は、容器の蓋1の上方に傾斜して形成されている。壁部12は、所定の厚さを有している。
【0031】
一方、容器の蓋1の外側には、容器の蓋1の外形を形成する側部14が形成されている。側部14は、所定の厚さで形成されている。
側部14の下方先端付近には、係合部15が形成されている。係合部15は、側部14の内側に円周状に形成された凸部である。係合部15は、容器の収容部2の開口部の外側に係合し、容器の蓋1を容器の収容部2に固定する機能を有している。
【0032】
壁部12と側部14の間には、両者を接続する天板部13が形成されている。天板部13は、壁部12と側部14を接続することにより、底部11、壁部12、天板部13、及び側部14を一体のものとする機能を有している。
【0033】
本発明の容器の蓋1は、ラベル3を含む、インモールド射出成形体である。容器の蓋1の製造においては、金型内にラベル3を搬送、装填し、射出成形法により作製する。容器の蓋1の製造方法については、後述する。
【0034】
上述した、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、壁部12の一部または全部に存在する。
【0035】
垂直方向における、壁部の高さを「壁部の高さF1」と定義する。
垂直方向における、ラベルの高さを「ラベルの高さF2」と定義する。
【0036】
壁部の高さF1は、1.0~30.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、壁部の高さF1は、3.0~10.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
ラベルの高さF2は、0.1~30.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、ラベルの高さF2は、0.5~10.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0037】
壁部の高さF1に対するラベルの高さF2の比率F2/F1は、0.01~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、壁部の高さF1に対するラベルの高さF2の比率F2/F1は、0.05~0.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0038】
壁部の高さF1、ラベルの高さF2、または、壁部の高さF1に対するラベルの高さF2の比率F2/F1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0039】
ラベルの面積が大きいので、蓋の製造工程において、「金型によるラベルの位置矯正作用」を利用することができる。それにより、水平方向において、射出成形品である蓋の中心にラベルを形成することができる。また、蓋の底部の上側全体にラベルを形成することにより、底部の上側の周辺に隙間がなくなる。この結果、底部の上側全体に図柄や文字を記載でき、蓋の表面の美観性を向上させることができる。
なお、「金型によるラベルの位置矯正作用」については後述する。
【0040】
壁部の高さF1、ラベルの高さF2、または、壁部の高さF1に対するラベルの高さF2の比率F2/F1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0041】
なお、壁部の高さF1、ラベルの高さF2、または、壁部の高さF1に対するラベルの高さF2の比率F2/F1の数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0042】
以下、容器の蓋にかかる第2の発明を実施するための形態について説明する。
【0043】
最初に、容器の蓋にかかる第2の発明を実施するための形態について、第1の例を説明する。
【0044】
図5は、本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図6は、本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図7は、本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:D-D拡大断面図、B:A-A拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
【0045】
図6のC:拡大正面図、並びに、図7のA:D-D拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図からわかるように、本発明の容器の蓋1は、底部11と、前記底部11の周囲に形成する壁部12を有し、ラベル3を含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベル3は、前記壁部12の一部または全部に存在し、前記壁部12は、凸状部20を有する。
【0046】
底部11は、略円形の平板からなり、所定の厚さを有している。底部11の上側には、ラベル3が存在している。なお、底部11とは、その上側に存在するラベル3を含めるものとする。
【0047】
底部11の周囲には、壁部12が形成されている。壁部12は、容器の蓋1の上方に傾斜して形成されている。壁部12は、所定の厚さを有している。
【0048】
一方、容器の蓋1の外側には、容器の蓋1の外形を形成する側部14が形成されている。側部14は、所定の厚さで形成されている。
側部14の下方先端付近には、係合部15(図4のD:A-A拡大断面図を参照)が形成されている。係合部15は、側部14の内側に円周状に形成された凸部である。係合部15は、容器の収容部2の開口部の外側に係合し、容器の蓋1を容器の収容部2に固定する機能を有している。
【0049】
壁部12と側部14の間には、両者を接続する天板部13が形成されている。天板部13は、壁部12と側部14を接続することにより、底部11、壁部12、天板部13、及び側部14を一体のものとする機能を有している。
【0050】
本発明の容器の蓋1は、ラベル3を含む、インモールド射出成形体である。容器の蓋1の製造においては、金型内にラベル3を搬送、装填し、射出成形法により作製する。容器の蓋1の製造方法については、後述する。
【0051】
上述した、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、壁部12の一部または全部に存在する。
【0052】
前記壁部12は、凸状部20を有する。凸状部20の水平方向の断面形状は、三角形の一部からなっている。また、水平方向における凸状部20の形状は、上端面の形状と下端の断面の形状が三角形の一部であり、凸状部20の上端面の大きさは、下端の断面の大きさよりも大きくなっている。なお、凸状部20の上端面の大きさと、下端の断面の大きさは、等しくてもよい。また、凸状部20の垂直方向の断面において、凸状部20の表面形状は、連続的に変化している。
【0053】
上述した、凸状部20は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、凸状部20は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、凸状部20の一部または全部に存在する。
【0054】
断面線A-Aに平行な方向から見た、凸状部の上端の幅を「凸状部の上端の幅W1」と定義する。
断面線A-Aに平行な方向から見た、凸状部の下端の幅を「凸状部の下端の幅W2」と定義する。
【0055】
CC拡大断面図における凸状部の上端の長さを「凸状部の上端の長さL1」と定義する。
CC拡大断面図における凸状部の下端の長さを「凸状部の下端の長さL2」と定義する。
【0056】
垂直方向における、凸状部の高さを「凸状部の高さH1」と定義する。
垂直方向における、ラベルの高さを「ラベルの高さH2」と定義する。
【0057】
1つの容器の蓋において、壁部12に存在する凸状部の個数を「凸状部の個数N」と定義する。
【0058】
凸状部の上端の幅W1は、0.2~10.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の上端の幅W1は、1.0~5.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
凸状部の下端の幅W2は、0.2~10.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の下端の幅W2は、1.0~5.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0059】
凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1は、0.02~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1は、0.2~0.99の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0060】
凸状部について、凸状部の上端の幅W1、凸状部の下端の幅W2、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0061】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凸状部が上述の好ましい範囲にあると、凸状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0062】
凸状部について、凸状部の上端の幅W1、凸状部の下端の幅W2、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0063】
なお、凸状部についての、凸状部の上端の幅W1、凸状部の下端の幅W2、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0064】
凸状部の上端の長さL1は、0.2~3.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の上端の長さL1は、0.2~1.5mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
凸状部の下端の長さL2は、0.2~3.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の下端の長さL2は、0.2~1.5mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0065】
凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1は、0.07~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1は、0.14~0.99の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0066】
凸状部について、凸状部の上端の長さL1、凸状部の下端の長さL2、凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0067】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凸状部が上述の好ましい範囲にあると、凸状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0068】
凸状部について、凸状部の上端の長さL1、凸状部の下端の長さL2、凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0069】
なお、凸状部についての、凸状部の上端の長さL1、凸状部の下端の長さL2、凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0070】
凸状部の高さH1は、1.0~30.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の高さH1は、3.0~10.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
ラベルの高さH2は、0.1~30.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、ラベルの高さH2は、0.5~10.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0071】
凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1は、0.01~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1は、0.05~0.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0072】
凸状部について、凸状部の高さH1、ラベルの高さH2、凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0073】
ラベルの面積が大きいので、蓋の製造工程において、「金型によるラベルの位置矯正作用」を利用することができる。それにより、水平方向において、射出成形品である蓋の中心にラベルを形成することができる。また、蓋の底部の上側全体にラベルを形成することにより、底部の上側の周辺に隙間がなくなる。この結果、底部の上側全体に図柄や文字を記載でき、蓋の表面の美観性を向上させることができる。
なお、「金型によるラベルの位置矯正作用」については後述する。
【0074】
凸状部について、凸状部の高さH1、ラベルの高さH2、凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0075】
なお、凸状部についての、凸状部の高さH1、ラベルの高さH2、凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0076】
凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1は、0.05~5.0の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1は、0.5~1.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0077】
凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2は、0.05~5.0の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2は、0.5~1.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0078】
凸状部について、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1、凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0079】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凸状部が上述の好ましい範囲にあると、凸状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0080】
一方、本発明の容器の蓋1は、射出成形法により製造することができる。この射出成形法において、射出成形品を固定側金型から離型する。この離型により、射出成形品である容器の蓋1を得ることができる。
【0081】
この離型の際、固定側金型の表面と射出成形品の表面との間には、摩擦力が発生する。凸状部が上述の好ましい範囲にあると、この摩擦力が過大になるのを防止できる。この結果、射出成形品である容器の蓋1を固定側金型から容易に離型することができる。
なお、射出成形品の固定側金型からの離型については後述する。
【0082】
凸状部について、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1、凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0083】
なお、凸状部についての、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1、凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0084】
凸状部の個数Nは、2~100個の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の個数Nは、2~30個の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0085】
凸状部の個数Nが、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0086】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凸状部が上述の好ましい範囲にあると、凸状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0087】
一方、本発明の容器の蓋1は、射出成形法により製造することができる。この射出成形法において、射出成形品を固定側金型から離型する。この離型により、射出成形品である容器の蓋1を得ることができる。
【0088】
この離型の際、固定側金型の表面と射出成形品の表面との間には、摩擦力が発生する。凸状部が上述の好ましい範囲にあると、この摩擦力が過大になるのを防止できる。この結果、射出成形品である容器の蓋1を固定側金型から容易に離型することができる。
なお、射出成形品の固定側金型からの離型については後述する。
【0089】
凸状部の個数Nが、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0090】
なお、凸状部の個数Nの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0091】
次に、容器の蓋にかかる第2の発明を実施するための形態について、第2の例を説明する。
【0092】
図8は、本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図9は、本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図10は、本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:D-D拡大断面図、B:A-A拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
【0093】
図9のC:拡大正面図、並びに、図10のA:D-D拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図からわかるように、本発明の容器の蓋1は、底部11と、前記底部11の周囲に形成する壁部12を有し、ラベル3を含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベル3は、前記壁部12の一部または全部に存在し、前記壁部12は、凸状部20を有する。
【0094】
底部11は、略円形の平板からなり、所定の厚さを有している。底部11の上側には、ラベル3が存在している。なお、底部11とは、その上側に存在するラベル3を含めるものとする。
【0095】
底部11の周囲には、壁部12が形成されている。壁部12は、容器の蓋1の上方に傾斜して形成されている。壁部12は、所定の厚さを有している。
【0096】
一方、容器の蓋1の外側には、容器の蓋1の外形を形成する側部14が形成されている。側部14は、所定の厚さで形成されている。
側部14の下方先端付近には、係合部15(図4のD:A-A拡大断面図を参照)が形成されている。係合部15は、側部14の内側に円周状に形成された凸部である。係合部15は、容器の収容部2の開口部の外側に係合し、容器の蓋1を容器の収容部2に固定する機能を有している。
【0097】
壁部12と側部14の間には、両者を接続する天板部13が形成されている。天板部13は、壁部12と側部14を接続することにより、底部11、壁部12、天板部13、及び側部14を一体のものとする機能を有している。
【0098】
本発明の容器の蓋1は、ラベル3を含む、インモールド射出成形体である。容器の蓋1の製造においては、金型内にラベル3を搬送、装填し、射出成形法により作製する。容器の蓋1の製造方法については、後述する。
【0099】
上述した、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、壁部12の一部または全部に存在する。
【0100】
前記壁部12は、凸状部20を有する。凸状部20の水平方向の断面形状は、四角形の一部からなっている。また、水平方向における凸状部20の形状は、上端面の形状と下端の断面の形状が四角形の一部であり、凸状部20の上端面の大きさは、下端の断面の大きさよりも大きくなっている。なお、凸状部20の上端面の大きさと、下端の断面の大きさは、等しくてもよい。また、凸状部20の垂直方向の断面において、凸状部20の表面形状は、連続的に変化している。
【0101】
上述した、凸状部20は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、凸状部20は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、凸状部20の一部または全部に存在する。
【0102】
断面線A-Aに平行な方向から見た、凸状部の上端の幅を「凸状部の上端の幅W1」と定義する。
断面線A-Aに平行な方向から見た、凸状部の下端の幅を「凸状部の下端の幅W2」と定義する。
【0103】
CC拡大断面図における凸状部の上端の長さを「凸状部の上端の長さL1」と定義する。
CC拡大断面図における凸状部の下端の長さを「凸状部の下端の長さL2」と定義する。
【0104】
垂直方向における、凸状部の高さを「凸状部の高さH1」と定義する。
垂直方向における、ラベルの高さを「ラベルの高さH2」と定義する。
【0105】
1つの容器の蓋において、壁部12に存在する凸状部の個数を「凸状部の個数N」と定義する。
【0106】
凸状部の上端の幅W1、凸状部の下端の幅W2、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1、凸状部の上端の長さL1、凸状部の下端の長さL2、凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1、凸状部の高さH1、ラベルの高さH2、凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1、凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2、及び凸状部の個数Nについての、好ましい範囲とその効果、より好ましい範囲とその効果、及びこれらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲における効果は、容器の蓋にかかる第2の発明を実施するための形態についての、第1の例と同様である。
【0107】
次に、容器の蓋にかかる第2の発明を実施するための形態について、第3の例を説明する。
【0108】
図11は、本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図12は、本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図13は、本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:D-D拡大断面図、B:A-A拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
【0109】
図12のC:拡大正面図、並びに、図13のA:D-D拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図からわかるように、本発明の容器の蓋1は、底部11と、前記底部11の周囲に形成する壁部12を有し、ラベル3を含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベル3は、前記壁部12の一部または全部に存在し、前記壁部12は、凸状部20を有する。
【0110】
底部11は、略円形の平板からなり、所定の厚さを有している。底部11の上側には、ラベル3が存在している。なお、底部11とは、その上側に存在するラベル3を含めるものとする。
【0111】
底部11の周囲には、壁部12が形成されている。壁部12は、容器の蓋1の上方に傾斜して形成されている。壁部12は、所定の厚さを有している。
【0112】
一方、容器の蓋1の外側には、容器の蓋1の外形を形成する側部14が形成されている。側部14は、所定の厚さで形成されている。
側部14の下方先端付近には、係合部15(図4のD:A-A拡大断面図を参照)が形成されている。係合部15は、側部14の内側に円周状に形成された凸部である。係合部15は、容器の収容部2の開口部の外側に係合し、容器の蓋1を容器の収容部2に固定する機能を有している。
【0113】
壁部12と側部14の間には、両者を接続する天板部13が形成されている。天板部13は、壁部12と側部14を接続することにより、底部11、壁部12、天板部13、及び側部14を一体のものとする機能を有している。
【0114】
本発明の容器の蓋1は、ラベル3を含む、インモールド射出成形体である。容器の蓋1の製造においては、金型内にラベル3を搬送、装填し、射出成形法により作製する。容器の蓋1の製造方法については、後述する。
【0115】
上述した、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、壁部12の一部または全部に存在する。
【0116】
前記壁部12は、凸状部20を有する。凸状部20の水平方向の断面形状は、円形の一部からなっている。また、水平方向における凸状部20の形状は、上端面の形状と下端の断面の形状が円形の一部であり、凸状部20の上端面の大きさは、下端の断面の大きさよりも大きくなっている。なお、凸状部20の上端面の大きさと、下端の断面の大きさは、等しくてもよい。また、凸状部20の垂直方向の断面において、凸状部20の表面形状は、連続的に変化している。
【0117】
上述した、凸状部20は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、凸状部20は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、凸状部20の一部または全部に存在する。
【0118】
断面線A-Aに平行な方向から見た、凸状部の上端の幅を「凸状部の上端の幅W1」と定義する。
断面線A-Aに平行な方向から見た、凸状部の下端の幅を「凸状部の下端の幅W2」と定義する。
【0119】
CC拡大断面図における凸状部の上端の長さを「凸状部の上端の長さL1」と定義する。
CC拡大断面図における凸状部の下端の長さを「凸状部の下端の長さL2」と定義する。
【0120】
垂直方向における、凸状部の高さを「凸状部の高さH1」と定義する。
垂直方向における、ラベルの高さを「ラベルの高さH2」と定義する。
【0121】
1つの容器の蓋において、壁部12に存在する凸状部の個数を「凸状部の個数N」と定義する。
【0122】
凸状部の上端の幅W1、凸状部の下端の幅W2、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1、凸状部の上端の長さL1、凸状部の下端の長さL2、凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1、凸状部の高さH1、ラベルの高さH2、凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1、凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2、及び凸状部の個数Nについての、好ましい範囲とその効果、より好ましい範囲とその効果、及びこれらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲における効果は、容器の蓋にかかる第2の発明を実施するための形態についての、第1の例と同様である。
【0123】
次に、容器の蓋にかかる第2の発明を実施するための形態について、一般化した内容を説明する。
【0124】
図14は、本発明の容器の蓋について、一般化した内容を説明するA:拡大正面図、及びB:C-C拡大断面図である。
【0125】
容器の蓋にかかる第2の発明を実施するための形態の、第1~3の例で説明したように、本発明の容器の蓋1は、底部11と、前記底部11の周囲に形成する壁部12を有し、ラベル3を含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベル3は、前記壁部12の一部または全部に存在し、前記壁部12は、凸状部20を有する。
【0126】
底部11は、略円形の平板からなり、所定の厚さを有している。底部11の上側には、ラベル3が存在している。なお、底部11とは、その上側に存在するラベル3を含めるものとする。
【0127】
底部11の周囲には、壁部12が形成されている。壁部12は、容器の蓋1の上方に傾斜して形成されている。壁部12は、所定の厚さを有している。
【0128】
一方、容器の蓋1の外側には、容器の蓋1の外形を形成する側部14が形成されている。側部14は、所定の厚さで形成されている。
側部14の下方先端付近には、係合部15(図4のD:A-A拡大断面図を参照)が形成されている。係合部15は、側部14の内側に円周状に形成された凸部である。係合部15は、容器の収容部2の開口部の外側に係合し、容器の蓋1を容器の収容部2に固定する機能を有している。
【0129】
壁部12と側部14の間には、両者を接続する天板部13が形成されている。天板部13は、壁部12と側部14を接続することにより、底部11、壁部12、天板部13、及び側部14を一体のものとする機能を有している。
【0130】
本発明の容器の蓋1は、ラベル3を含む、インモールド射出成形体である。容器の蓋1の製造においては、金型内にラベル3を搬送、装填し、射出成形法により作製する。容器の蓋1の製造方法については、後述する。
【0131】
上述した、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、壁部12の一部または全部に存在する。
【0132】
前記壁部12は、凸状部20を有する。凸状部20の水平方向の断面形状は、三角形の一部、四角形の一部、または円形の一部等からなっている。また、水平方向における凸状部20の形状は、上端面の形状と下端の断面の形状が三角形の一部、四角形の一部、または円形の一部等であり、凸状部20の上端面の大きさは、下端の断面の大きさよりも大きくなっている。なお、凸状部20の上端面の大きさと、下端の断面の大きさは、等しくてもよい。また、凸状部20の垂直方向の断面において、凸状部20の表面形状は、連続的に変化している。
【0133】
なお、凸状部の水平方向の断面形状は、上述の例に示した断面形状に限定されない。凸状部の水平方向の断面形状としては、楕円等の一部及びその他の曲線からなる形状、その他の多角形等の一部からなる形状、及びその他の形状を採用することができる。
【0134】
また、水平方向における凸状部の形状は、上端面の形状と下端の断面の形状が相似形であることに限定されない。凸状部の上端面の形状と下端の断面の形状は、異なっていてもよい。
【0135】
また、凸状部の垂直方向の断面において、凸状部の表面形状は直線であることに限定されない。この凸状部の表面形状は、曲線等であってもよい。ここで、凸状部の表面形状は、連続的に滑らかに変化することが好ましい。
【0136】
上述した、凸状部20は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、凸状部20は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、凸状部20の一部または全部に存在する。
【0137】
容器の蓋にかかる第2の発明を実施するための形態の、第1~3の例で説明したと同様に、図14を用いて以下のように定義する。
断面線A-Aに平行な方向から見た、凸状部の上端の幅を「凸状部の上端の幅W1」と定義する。
断面線A-Aに平行な方向から見た、凸状部の下端の幅を「凸状部の下端の幅W2」と定義する。
【0138】
CC拡大断面図における凸状部の上端の長さを「凸状部の上端の長さL1」と定義する。
CC拡大断面図における凸状部の下端の長さを「凸状部の下端の長さL2」と定義する。
【0139】
垂直方向における、凸状部の高さを「凸状部の高さH1」と定義する。
垂直方向における、ラベルの高さを「ラベルの高さH2」と定義する。
【0140】
1つの容器の蓋において、壁部12に存在する凸状部の個数を「凸状部の個数N」と定義する。
【0141】
凸状部の上端の幅W1は、0.2~10.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の上端の幅W1は、1.0~5.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
凸状部の下端の幅W2は、0.2~10.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の下端の幅W2は、1.0~5.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0142】
凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1は、0.02~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1は、0.2~0.99の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0143】
凸状部について、凸状部の上端の幅W1、凸状部の下端の幅W2、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0144】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凸状部が上述の好ましい範囲にあると、凸状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0145】
凸状部について、凸状部の上端の幅W1、凸状部の下端の幅W2、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0146】
なお、凸状部についての、凸状部の上端の幅W1、凸状部の下端の幅W2、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の下端の幅W2の比率W2/W1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0147】
凸状部の上端の長さL1は、0.2~3.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の上端の長さL1は、0.2~1.5mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
凸状部の下端の長さL2は、0.2~3.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の下端の長さL2は、0.2~1.5mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0148】
凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1は、0.07~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1は、0.14~0.99の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0149】
凸状部について、凸状部の上端の長さL1、凸状部の下端の長さL2、凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0150】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凸状部が上述の好ましい範囲にあると、凸状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0151】
凸状部について、凸状部の上端の長さL1、凸状部の下端の長さL2、凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0152】
なお、凸状部についての、凸状部の上端の長さL1、凸状部の下端の長さL2、凸状部の上端の長さL1に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/L1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0153】
凸状部の高さH1は、1.0~30.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の高さH1は、3.0~10.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
ラベルの高さH2は、0.1~30.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、ラベルの高さH2は、0.5~10.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0154】
凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1は、0.01~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1は、0.05~0.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0155】
凸状部について、凸状部の高さH1、ラベルの高さH2、凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0156】
ラベルの面積が大きいので、蓋の製造工程において、「金型によるラベルの位置矯正作用」を利用することができる。それにより、水平方向において、射出成形品である蓋の中心にラベルを形成することができる。また、蓋の底部の上側全体にラベルを形成することにより、底部の上側の周辺に隙間がなくなる。この結果、底部の上側全体に図柄や文字を記載でき、蓋の表面の美観性を向上させることができる。
なお、「金型によるラベルの位置矯正作用」については後述する。
【0157】
凸状部について、凸状部の高さH1、ラベルの高さH2、凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0158】
なお、凸状部についての、凸状部の高さH1、ラベルの高さH2、凸状部の高さH1に対するラベルの高さH2の比率H2/H1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0159】
凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1は、0.05~5.0の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1は、0.5~1.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0160】
凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2は、0.05~5.0の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2は、0.5~1.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0161】
凸状部について、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1、凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0162】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凸状部が上述の好ましい範囲にあると、凸状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0163】
一方、本発明の容器の蓋1は、射出成形法により製造することができる。この射出成形法において、射出成形品を固定側金型から離型する。この離型により、射出成形品である容器の蓋1を得ることができる。
【0164】
この離型の際、固定側金型の表面と射出成形品の表面との間には、摩擦力が発生する。凸状部が上述の好ましい範囲にあると、この摩擦力が過大になるのを防止できる。この結果、射出成形品である容器の蓋1を固定側金型から容易に離型することができる。
なお、射出成形品の固定側金型からの離型については後述する。
【0165】
凸状部について、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1、凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0166】
なお、凸状部についての、凸状部の上端の幅W1に対する凸状部の上端の長さL1の比率L1/W1、凸状部の下端の幅W2に対する凸状部の下端の長さL2の比率L2/W2は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0167】
凸状部の個数Nは、2~100個の範囲内にあることが好ましい。また、凸状部の個数Nは、2~30個の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0168】
凸状部の個数Nが、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0169】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凸状部が上述の好ましい範囲にあると、凸状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0170】
一方、本発明の容器の蓋1は、射出成形法により製造することができる。この射出成形法において、射出成形品を固定側金型から離型する。この離型により、射出成形品である容器の蓋1を得ることができる。
【0171】
この離型の際、固定側金型の表面と射出成形品の表面との間には、摩擦力が発生する。凸状部が上述の好ましい範囲にあると、この摩擦力が過大になるのを防止できる。この結果、射出成形品である容器の蓋1を固定側金型から容易に離型することができる。
なお、射出成形品の固定側金型からの離型については後述する。
【0172】
凸状部の個数Nが、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0173】
なお、凸状部の個数Nの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0174】
以下、容器の蓋にかかる第3の発明を実施するための形態について説明する。
【0175】
最初に、容器の蓋にかかる第3の発明を実施するための形態について、第1の例を説明する。
【0176】
図15は、本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図16は、本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図17は、本発明の容器の蓋についての、第1の例のA:D-D拡大断面図、B:C-C拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
【0177】
図16のC:拡大正面図、並びに、図17のA:D-D拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図からわかるように、本発明の容器の蓋1は、底部11と、前記底部11の周囲に形成する壁部12を有し、ラベル3を含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベル3は、前記壁部12の一部または全部に存在し、前記壁部12は、凹状部21を有する。
【0178】
底部11は、略円形の平板からなり、所定の厚さを有している。底部11の上側には、ラベル3が存在している。なお、底部11とは、その上側に存在するラベル3を含めるものとする。
【0179】
底部11の周囲には、壁部12が形成されている。壁部12は、容器の蓋1の上方に傾斜して形成されている。壁部12は、所定の厚さを有している。
【0180】
一方、容器の蓋1の外側には、容器の蓋1の外形を形成する側部14が形成されている。側部14は、所定の厚さで形成されている。
側部14の下方先端付近には、係合部15(図4のD:A-A拡大断面図を参照)が形成されている。係合部15は、側部14の内側に円周状に形成された凸部である。係合部15は、容器の収容部2の開口部の外側に係合し、容器の蓋1を容器の収容部2に固定する機能を有している。
【0181】
壁部12と側部14の間には、両者を接続する天板部13が形成されている。天板部13は、壁部12と側部14を接続することにより、底部11、壁部12、天板部13、及び側部14を一体のものとする機能を有している。
【0182】
本発明の容器の蓋1は、ラベル3を含む、インモールド射出成形体である。容器の蓋1の製造においては、金型内にラベル3を搬送、装填し、射出成形法により作製する。容器の蓋1の製造方法については、後述する。
【0183】
上述した、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、壁部12の一部または全部に存在する。
【0184】
前記壁部12は、凹状部21を有する。凹状部21の水平方向の断面形状は、三角形の一部からなっている。また、水平方向における凹状部21の形状は、上端面の形状と下端面の形状が三角形の一部であり、凹状部21の上端面の大きさは、下端面の大きさよりも大きくなっている。なお、凹状部21の上端面の大きさと、下端面の大きさは、等しくてもよい。また、凹状部21の垂直方向の断面において、凹状部21の表面形状は、連続的に変化している。
【0185】
上述した、凹状部21は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、凹状部21は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、凹状部21の一部または全部に存在する。
【0186】
断面線C-Cに平行な方向から見た、凹状部の上端の幅を「凹状部の上端の幅X1」と定義する。
断面線C-Cに平行な方向から見た、凹状部の下端の幅を「凹状部の下端の幅X2」と定義する。
【0187】
CC拡大断面図における凹状部の上端の奥行きを「凹状部の上端の奥行きM1」と定義する。
CC拡大断面図における凹状部の下端の奥行きを「凹状部の下端の奥行きM2」と定義する。
【0188】
垂直方向における、凹状部の高さを「凹状部の高さK1」と定義する。
垂直方向における、ラベルの高さを「ラベルの高さK2」と定義する。
【0189】
1つの容器の蓋において、壁部12に存在する凹状部の個数を「凹状部の個数P」と定義する。
【0190】
凹状部の上端の幅X1は、0.2~10.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の上端の幅X1は、1.0~5.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
凹状部の下端の幅X2は、0.2~10.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の下端の幅X2は、1.0~5.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0191】
凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1は、0.02~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1は、0.2~0.99の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0192】
凹状部について、凹状部の上端の幅X1、凹状部の下端の幅X2、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0193】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凹状部が上述の好ましい範囲にあると、凹状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0194】
凹状部について、凹状部の上端の幅X1、凹状部の下端の幅X2、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0195】
なお、凹状部についての、凹状部の上端の幅X1、凹状部の下端の幅X2、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0196】
凹状部の上端の奥行きM1は、0.2~3.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の上端の奥行きM1は、0.2~1.5mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
凹状部の下端の奥行きM2は、0.2~3.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の下端の奥行きM2は、0.2~1.5mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0197】
凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1は、0.07~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1は、0.14~0.99の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0198】
凹状部について、凹状部の上端の奥行きM1、凹状部の下端の奥行きM2、凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0199】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凹状部が上述の好ましい範囲にあると、凹状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0200】
凹状部について、凹状部の上端の奥行きM1、凹状部の下端の奥行きM2、凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0201】
なお、凹状部についての、凹状部の上端の奥行きM1、凹状部の下端の奥行きM2、凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0202】
凹状部の高さK1は、1.0~30.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の高さK1は、3.0~10.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
ラベルの高さK2は、0.1~30.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、ラベルの高さK2は、0.5~10.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0203】
凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1は、0.01~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1は、0.05~0.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
凹状部について、凹状部の高さK1、ラベルの高さK2、凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0204】
ラベルの面積が大きいので、蓋の製造工程において、「金型によるラベルの位置矯正作用」を利用することができる。それにより、水平方向において、射出成形品である蓋の中心にラベルを形成することができる。また、蓋の底部の上側全体にラベルを形成することにより、底部の上側の周辺に隙間がなくなる。この結果、底部の上側全体に図柄や文字を記載でき、蓋の表面の美観性を向上させることができる。
なお、「金型によるラベルの位置矯正作用」については後述する。
【0205】
凹状部について、凹状部の高さK1、ラベルの高さK2、凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0206】
なお、凹状部についての、凹状部の高さK1、ラベルの高さK2、凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0207】
凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1は、0.1~2.0の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1は、0.15~1.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0208】
凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2は、0.1~2.0の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2は、0.15~1.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0209】
凹状部について、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1、凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0210】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凹状部が上述の好ましい範囲にあると、凹状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0211】
一方、本発明の容器の蓋1は、射出成形法により製造することができる。この射出成形法において、射出成形品を固定側金型から離型する。この離型により、射出成形品である容器の蓋1を得ることができる。
【0212】
この離型の際、固定側金型の表面と射出成形品の表面との間には、摩擦力が発生する。凹状部が上述の好ましい範囲にあると、この摩擦力が過大になるのを防止できる。この結果、射出成形品である容器の蓋1を固定側金型から容易に離型することができる。
なお、射出成形品の固定側金型からの離型については後述する。
【0213】
凹状部について、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1、凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0214】
なお、凹状部についての、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1、凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0215】
凹状部の個数Pは、2~100個の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の個数Pは、2~30個の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0216】
凹状部の個数Pが、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0217】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凹状部が上述の好ましい範囲にあると、凹状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0218】
一方、本発明の容器の蓋1は、射出成形法により製造することができる。この射出成形法において、射出成形品を固定側金型から離型する。この離型により、射出成形品である容器の蓋1を得ることができる。
【0219】
この離型の際、固定側金型の表面と射出成形品の表面との間には、摩擦力が発生する。凹状部が上述の好ましい範囲にあると、この摩擦力が過大になるのを防止できる。この結果、射出成形品である容器の蓋1を固定側金型から容易に離型することができる。
なお、射出成形品の固定側金型からの離型については後述する。
【0220】
凹状部の個数Pが、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0221】
なお、凹状部の個数Pの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0222】
次に、容器の蓋にかかる第3の発明を実施するための形態について、第2の例を説明する。
【0223】
図18は、本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図19は、本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図20は、本発明の容器の蓋についての、第2の例のA:D-D拡大断面図、B:C-C拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
【0224】
図19のC:拡大正面図、並びに、図20のA:D-D拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図からわかるように、本発明の容器の蓋1は、底部11と、前記底部11の周囲に形成する壁部12を有し、ラベル3を含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベル3は、前記壁部12の一部または全部に存在し、前記壁部12は、凹状部21を有する。
【0225】
底部11は、略円形の平板からなり、所定の厚さを有している。底部11の上側には、ラベル3が存在している。なお、底部11とは、その上側に存在するラベル3を含めるものとする。
【0226】
底部11の周囲には、壁部12が形成されている。壁部12は、容器の蓋1の上方に傾斜して形成されている。壁部12は、所定の厚さを有している。
【0227】
一方、容器の蓋1の外側には、容器の蓋1の外形を形成する側部14が形成されている。側部14は、所定の厚さで形成されている。
側部14の下方先端付近には、係合部15(図4のD:A-A拡大断面図を参照)が形成されている。係合部15は、側部14の内側に円周状に形成された凸部である。係合部15は、容器の収容部2の開口部の外側に係合し、容器の蓋1を容器の収容部2に固定する機能を有している。
【0228】
壁部12と側部14の間には、両者を接続する天板部13が形成されている。天板部13は、壁部12と側部14を接続することにより、底部11、壁部12、天板部13、及び側部14を一体のものとする機能を有している。
【0229】
本発明の容器の蓋1は、ラベル3を含む、インモールド射出成形体である。容器の蓋1の製造においては、金型内にラベル3を搬送、装填し、射出成形法により作製する。容器の蓋1の製造方法については、後述する。
【0230】
上述した、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、壁部12の一部または全部に存在する。
【0231】
前記壁部12は、凹状部21を有する。凹状部21の水平方向の断面形状は、四角形の一部からなっている。また、水平方向における凹状部21の形状は、上端面の形状と下端面の形状が四角形の一部であり、凹状部21の上端面の大きさは、下端面の大きさよりも大きくなっている。なお、凹状部21の上端面の大きさと、下端面の大きさは、等しくてもよい。また、凹状部21の垂直方向の断面において、凹状部21の表面形状は、連続的に変化している。
【0232】
上述した、凹状部21は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、凹状部21は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、凹状部21の一部または全部に存在する。
【0233】
断面線C-Cに平行な方向から見た、凹状部の上端の幅を「凹状部の上端の幅X1」と定義する。
断面線C-Cに平行な方向から見た、凹状部の下端の幅を「凹状部の下端の幅X2」と定義する。
【0234】
CC拡大断面図における凹状部の上端の奥行きを「凹状部の上端の奥行きM1」と定義する。
CC拡大断面図における凹状部の下端の奥行きを「凹状部の下端の奥行きM2」と定義する。
【0235】
垂直方向における、凹状部の高さを「凹状部の高さK1」と定義する。
垂直方向における、ラベルの高さを「ラベルの高さK2」と定義する。
【0236】
1つの容器の蓋において、壁部12に存在する凹状部の個数を「凹状部の個数P」と定義する。
【0237】
凹状部の上端の幅X1、凹状部の下端の幅X2、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1、凹状部の上端の奥行きM1、凹状部の下端の奥行きM2、凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1、凹状部の高さK1、ラベルの高さK2、凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1、凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2、及び凹状部の個数Pについての、好ましい範囲とその効果、より好ましい範囲とその効果、及びこれらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲における効果は、容器の蓋にかかる第3の発明を実施するための形態についての、第1の例と同様である。
【0238】
次に、容器の蓋にかかる第3の発明を実施するための形態について、第3の例を説明する。
【0239】
図21は、本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:斜視図、B:平面図、C:D-D断面図、及びD:C-C断面図である。
図22は、本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:拡大斜視図、B:拡大平面図、及びC:拡大正面図である。
図23は、本発明の容器の蓋についての、第3の例のA:D-D拡大断面図、B:C-C拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図である。
【0240】
図22のC:拡大正面図、並びに、図23のA:D-D拡大断面図、及びC:C-C拡大断面図からわかるように、本発明の容器の蓋1は、底部11と、前記底部11の周囲に形成する壁部12を有し、ラベル3を含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベル3は、前記壁部12の一部または全部に存在し、前記壁部12は、凹状部21を有する。
【0241】
底部11は、略円形の平板からなり、所定の厚さを有している。底部11の上側には、ラベル3が存在している。なお、底部11とは、その上側に存在するラベル3を含めるものとする。
【0242】
底部11の周囲には、壁部12が形成されている。壁部12は、容器の蓋1の上方に傾斜して形成されている。壁部12は、所定の厚さを有している。
【0243】
一方、容器の蓋1の外側には、容器の蓋1の外形を形成する側部14が形成されている。側部14は、所定の厚さで形成されている。
側部14の下方先端付近には、係合部15(図4のD:A-A拡大断面図を参照)が形成されている。係合部15は、側部14の内側に円周状に形成された凸部である。係合部15は、容器の収容部2の開口部の外側に係合し、容器の蓋1を容器の収容部2に固定する機能を有している。
【0244】
壁部12と側部14の間には、両者を接続する天板部13が形成されている。天板部13は、壁部12と側部14を接続することにより、底部11、壁部12、天板部13、及び側部14を一体のものとする機能を有している。
【0245】
本発明の容器の蓋1は、ラベル3を含む、インモールド射出成形体である。容器の蓋1の製造においては、金型内にラベル3を搬送、装填し、射出成形法により作製する。容器の蓋1の製造方法については、後述する。
【0246】
上述した、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、壁部12の一部または全部に存在する。
【0247】
前記壁部12は、凹状部21を有する。凹状部21の水平方向の断面形状は、円形の一部からなっている。また、水平方向における凹状部21の形状は、上端面の形状と下端面の形状が円形の一部であり、凹状部21の上端面の大きさは、下端面の大きさよりも大きくなっている。なお、凹状部21の上端面の大きさと、下端面の大きさは、等しくてもよい。また、凹状部21の垂直方向の断面において、凹状部21の表面形状は、連続的に変化している。
【0248】
上述した、凹状部21は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、凹状部21は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、凹状部21の一部または全部に存在する。
【0249】
断面線C-Cに平行な方向から見た、凹状部の上端の幅を「凹状部の上端の幅X1」と定義する。
断面線C-Cに平行な方向から見た、凹状部の下端の幅を「凹状部の下端の幅X2」と定義する。
【0250】
CC拡大断面図における凹状部の上端の奥行きを「凹状部の上端の奥行きM1」と定義する。
CC拡大断面図における凹状部の下端の奥行きを「凹状部の下端の奥行きM2」と定義する。
【0251】
垂直方向における、凹状部の高さを「凹状部の高さK1」と定義する。
垂直方向における、ラベルの高さを「ラベルの高さK2」と定義する。
【0252】
1つの容器の蓋において、壁部12に存在する凹状部の個数を「凹状部の個数P」と定義する。
【0253】
凹状部の上端の幅X1、凹状部の下端の幅X2、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1、凹状部の上端の奥行きM1、凹状部の下端の奥行きM2、凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1、凹状部の高さK1、ラベルの高さK2、凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1、凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2、及び凹状部の個数Pについての、好ましい範囲とその効果、より好ましい範囲とその効果、及びこれらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲における効果は、容器の蓋にかかる第3の発明を実施するための形態についての、第1の例と同様である。
【0254】
次に、容器の蓋にかかる第3の発明を実施するための形態について、一般化した内容を説明する。
【0255】
図24は、本発明の容器の蓋について、一般化した内容を説明するA:拡大正面図、及びB:C-C拡大断面図である。
【0256】
容器の蓋にかかる第3の発明を実施するための形態の、第1~3の例で説明したように、本発明の容器の蓋1は、底部11と、前記底部11の周囲に形成する壁部12を有し、ラベル3を含む、インモールド射出成形体であり、前記ラベル3は、前記壁部12の一部または全部に存在し、前記壁部12は、凹状部21を有する。
【0257】
底部11は、略円形の平板からなり、所定の厚さを有している。底部11の上側には、ラベル3が存在している。なお、底部11とは、その上側に存在するラベル3を含めるものとする。
【0258】
底部11の周囲には、壁部12が形成されている。壁部12は、容器の蓋1の上方に傾斜して形成されている。壁部12は、所定の厚さを有している。
【0259】
一方、容器の蓋1の外側には、容器の蓋1の外形を形成する側部14が形成されている。側部14は、所定の厚さで形成されている。
側部14の下方先端付近には、係合部15(図4のD:A-A拡大断面図を参照)が形成されている。係合部15は、側部14の内側に円周状に形成された凸部である。係合部15は、容器の収容部2の開口部の外側に係合し、容器の蓋1を容器の収容部2に固定する機能を有している。
【0260】
壁部12と側部14の間には、両者を接続する天板部13が形成されている。天板部13は、壁部12と側部14を接続することにより、底部11、壁部12、天板部13、及び側部14を一体のものとする機能を有している。
【0261】
本発明の容器の蓋1は、ラベル3を含む、インモールド射出成形体である。容器の蓋1の製造においては、金型内にラベル3を搬送、装填し、射出成形法により作製する。容器の蓋1の製造方法については、後述する。
【0262】
上述した、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、壁部12は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、壁部12の一部または全部に存在する。
【0263】
前記壁部12は、凹状部21を有する。凹状部21の水平方向の断面形状は、三角形の一部、四角形の一部、または円形の一部等からなっている。また、水平方向における凹状部21の形状は、上端面の形状と下端面の形状が三角形の一部、四角形の一部、または円形の一部等であり、凹状部21の上端面の大きさは、下端面の大きさよりも大きくなっている。なお、凹状部21の上端面の大きさと、下端面の大きさは、等しくてもよい。また、凹状部21の垂直方向の断面において、凹状部21の表面形状は、連続的に変化している。
【0264】
なお、凹状部の水平方向の断面形状は、上述の例に示した断面形状に限定されない。凹状部の水平方向の断面形状としては、楕円等の一部及びその他の曲線からなる形状、その他の多角形等の一部からなる形状、及びその他の形状を採用することができる。
【0265】
また、水平方向における凹状部の形状は、上端の形状と下端の形状が相似形であることに限定されない。凹状部の形状は、上端の形状と下端の形状が異なっていてもよい。
【0266】
また、凹状部の垂直方向の断面において、凹状部の表面形状は直線であることに限定されない。この凹状部の表面形状は、曲線等であってもよい。ここで、凹状部の表面形状は、連続的に滑らかに変化することが好ましい。
【0267】
上述した、凹状部21は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面から天板部13の上端面までの間に形成されている。また、凹状部21は、垂直方向において、底部11上のラベル3の上端面よりも、上に存在するラベル3を含めるものとする。ラベル3は、凹状部21の一部または全部に存在する。
【0268】
容器の蓋にかかる第3の発明を実施するための形態の、第1~3の例で説明したと同様に、図24を用いて以下のように定義する。
断面線C-Cに平行な方向から見た、凹状部の上端の幅を「凹状部の上端の幅X1」と定義する。
断面線C-Cに平行な方向から見た、凹状部の下端の幅を「凹状部の下端の幅X2」と定義する。
【0269】
CC拡大断面図における凹状部の上端の奥行きを「凹状部の上端の奥行きM1」と定義する。
CC拡大断面図における凹状部の下端の奥行きを「凹状部の下端の奥行きM2」と定義する。
【0270】
垂直方向における、凹状部の高さを「凹状部の高さK1」と定義する。
垂直方向における、ラベルの高さを「ラベルの高さK2」と定義する。
【0271】
1つの容器の蓋において、壁部12に存在する凹状部の個数を「凹状部の個数P」と定義する。
【0272】
凹状部の上端の幅X1は、0.2~10.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の上端の幅X1は、1.0~5.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
凹状部の下端の幅X2は、0.2~10.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の下端の幅X2は、1.0~5.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0273】
凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1は、0.02~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1は、0.2~0.99の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0274】
凹状部について、凹状部の上端の幅X1、凹状部の下端の幅X2、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0275】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凹状部が上述の好ましい範囲にあると、凹状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0276】
凹状部について、凹状部の上端の幅X1、凹状部の下端の幅X2、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0277】
なお、凹状部についての、凹状部の上端の幅X1、凹状部の下端の幅X2、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の下端の幅X2の比率X2/X1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0278】
凹状部の上端の奥行きM1は、0.2~3.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の上端の奥行きM1は、0.2~1.5mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
凹状部の下端の奥行きM2は、0.2~3.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の下端の奥行きM2は、0.2~1.5mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0279】
凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1は、0.07~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1は、0.14~0.99の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0280】
凹状部について、凹状部の上端の奥行きM1、凹状部の下端の奥行きM2、凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0281】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凹状部が上述の好ましい範囲にあると、凹状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0282】
凹状部について、凹状部の上端の奥行きM1、凹状部の下端の奥行きM2、凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0283】
なお、凹状部についての、凹状部の上端の奥行きM1、凹状部の下端の奥行きM2、凹状部の上端の奥行きM1に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/M1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0284】
凹状部の高さK1は、1.0~30.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の高さK1は、3.0~10.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
ラベルの高さK2は、0.1~30.0mmの範囲内にあることが好ましい。また、ラベルの高さK2は、0.5~10.0mmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0285】
凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1は、0.01~1.0の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1は、0.05~0.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0286】
凹状部について、凹状部の高さK1、ラベルの高さK2、凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0287】
ラベルの面積が大きいので、蓋の製造工程において、「金型によるラベルの位置矯正作用」を利用することができる。それにより、水平方向において、射出成形品である蓋の中心にラベルを形成することができる。また、蓋の底部の上側全体にラベルを形成することにより、底部の上側の周辺に隙間がなくなる。この結果、底部の上側全体に図柄や文字を記載でき、蓋の表面の美観性を向上させることができる。
なお、「金型によるラベルの位置矯正作用」については後述する。
【0288】
凹状部について、凹状部の高さK1、ラベルの高さK2、凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0289】
なお、凹状部についての、凹状部の高さK1、ラベルの高さK2、凹状部の高さK1に対するラベルの高さK2の比率K2/K1は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0290】
凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1は、0.1~2.0の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1は、0.15~1.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0291】
凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2は、0.1~2.0の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2は、0.15~1.5の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0292】
凹状部について、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1、凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2が、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0293】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凹状部が上述の好ましい範囲にあると、凹状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0294】
一方、本発明の容器の蓋1は、射出成形法により製造することができる。この射出成形法において、射出成形品を固定側金型から離型する。この離型により、射出成形品である容器の蓋1を得ることができる。
【0295】
この離型の際、固定側金型の表面と射出成形品の表面との間には、摩擦力が発生する。凹状部が上述の好ましい範囲にあると、この摩擦力が過大になるのを防止できる。この結果、射出成形品である容器の蓋1を固定側金型から容易に離型することができる。
なお、射出成形品の固定側金型からの離型については後述する。
【0296】
凹状部について、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1、凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2が、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0297】
なお、凹状部についての、凹状部の上端の幅X1に対する凹状部の上端の奥行きM1の比率M1/X1、凹状部の下端の幅X2に対する凹状部の下端の奥行きM2の比率M2/X2は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0298】
凹状部の個数Pは、2~100個の範囲内にあることが好ましい。また、凹状部の個数Pは、2~30個の範囲内にあることがさらに好ましい。
【0299】
凹状部の個数Pが、上述の好ましい範囲にあると、次の効果を得ることができるという利点がある。
【0300】
蓋の壁部のうち、ラベルが存在する領域について、任意の水平断面を考える。この水平断面における壁部の内側の周長と、水平断面で切断されたラベルの周長を比較すると、ラベルの周長の方が長くなる。すなわち、壁部の内側の周長と、ラベルの周長との間には、周長の差が発生する。この周長の差は、壁部の上方に向かうに従って長くなる。その結果、製品としての蓋の壁部において、ラベルにしわが発生する場合がある。
凹状部が上述の好ましい範囲にあると、凹状部がこの周長の差を吸収することができる。その結果、蓋の壁部において、ラベルにしわが発生するのを防止できる。
【0301】
一方、本発明の容器の蓋1は、射出成形法により製造することができる。この射出成形法において、射出成形品を固定側金型から離型する。この離型により、射出成形品である容器の蓋1を得ることができる。
【0302】
この離型の際、固定側金型の表面と射出成形品の表面との間には、摩擦力が発生する。凹状部が上述の好ましい範囲にあると、この摩擦力が過大になるのを防止できる。この結果、射出成形品である容器の蓋1を固定側金型から容易に離型することができる。
なお、射出成形品の固定側金型からの離型については後述する。
【0303】
凹状部の個数Pが、上述のより好ましい範囲内にあると、上述の効果がより顕著になるという利点がある。
【0304】
なお、凹状部の個数Pの数値範囲は、あくまでも好ましい範囲またはさらに好ましい範囲を示すものである。従って、これらの好ましい範囲またはさらに好ましい範囲以外の範囲においても、上述した効果を奏し得ることはもちろんである。
【0305】
なお、同一の蓋に凸状部と凹状部を併存させてもよい。この場合、凸状部と凹状部における好ましい範囲またはより好ましい範囲は、上述した凸状部と凹状部の好ましい範囲またはより好ましい範囲と同様である。また、これらの範囲における、凸状部と凹状部の効果は、上述した凸状部と凹状部の効果と同様である。
【0306】
蓋の平面形状は、円形に限定されることはない。蓋の平面形状としては、楕円形、多角形、曲線形等のその他の形状を採用することができる。
【0307】
図2のB:平面図に示す、蓋の最大径Eは、40~120mmの範囲内にあることが好ましい。
蓋の最大径Eが40~120mmの範囲内にあると、蓋のインモールド射出成形において、生産性が向上するという利点がある
【0308】
ここで、「蓋の最大径」を次のように定義する。すなわち、水平方向にある平行な2本の直線(以下、「平行線」という。)を考える。任意な方向にあるこの平行線で蓋を挟んだとき、平行線の距離を蓋の径とする。そして、あらゆる方向の平行線により蓋の径を計測し、その径の値のうち最大の値を「蓋の最大径」と定義する。
【0309】
図2のC:正面図に示す、蓋の高さTは、5~30mmの範囲内にあることが好ましい。
蓋の高さTが5~30mmの範囲内にあると、蓋のインモールド射出成形において、生産性が向上するという利点がある
【0310】
ここで、「蓋の高さ」を次のように定義する。すなわち、垂直方向において、蓋の上端面から蓋の側部の下端面までの距離と、蓋の上端面から蓋の底部の下端面までの距離とを比較する。この両者の距離のうち、大きい方の距離を「蓋の高さ」と定義する。
【0311】
蓋の材質としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂のうち、いずれか1種またはいずれか2種以上の組み合わせを採用することができる。
【0312】
ラベルの平面形状としては、蓋の平面形状に対応して、円形、楕円形、多角形、曲線形等のその他の形状を採用できる。
【0313】
図3のC:A-A断面図に示す、ラベルの厚さSは、0.02~2.0mmの範囲内にあることが好ましい。
ラベルの厚さSが0.02~2.0mmの範囲内にあると、蓋のインモールド射出成形において、生産性が向上するという利点がある。
【0314】
ラベルとしては、単層、2層、3層等からなるフィルムを採用することができる。
単層からなるフィルムの材質としては、紙、合成紙、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等、またはこれらに印刷を施したものを採用することができる。
【0315】
2層からなるフィルムの材質としては、上述の単層からなるフィルムを2枚重ねたもので、その間に印刷を施したもの等を採用することができる。また、上述の単層からなるフィルムとヒートシール性二軸延伸ポリプロピレンフィルム(HSOPP)等を積層したもの、またはこれらに印刷を施したものを採用することができる。
【0316】
3層からなるフィルムの材質としては、表面層として上述の単層からなるフィルム、中間層として、アルミニウム(アルミニウム箔および蒸着アルミニウム等)、アルミ蒸着ポリエチレンテフタレート(VMPET)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)等、裏面層として上述の単層からなるフィルムを積層したもの、またはこれらに印刷を施したものを採用することができる。また、上述した3層からなるフィルムの裏面層としてヒートシール性二軸延伸ポリプロピレンフィルム(HSOPP)等を採用することができる。
【0317】
ラベルとしては、上述した単層、2層、3層からなるフィルムに限定されない。この他ラベルとしては、4層以上からなるフィルムを採用することができる。4層以上からなるフィルムの材質としては、上述した種々の材質、またはこれらに印刷を施したものを採用することができる。
【0318】
以下、容器の蓋の製造方法について説明する。
【0319】
図25は、本発明の容器の蓋の製造方法について、A:ラベル搬送工程、及びB:ラベル装填工程を説明する図である。
図26は、本発明の容器の蓋の製造方法について、金型閉動作及びラベル位置矯正工程を説明する図である。
図27は、本発明の容器の蓋の製造方法について、A:金型閉完了及びラベル位置固定工程、B:溶融樹脂充填工程、及びC:射出成形品を説明する図である。
【0320】
本発明の容器の蓋は、射出成形法により製造することができる。
射出成形法について説明する。射出成形法の工程は、ラベル搬送工程、ラベル装填工程、金型閉動作及びラベル位置矯正工程、金型閉完了及びラベル位置固定工程、並びに、溶融樹脂充填工程を含む。
【0321】
図25のA:ラベル搬送工程では、互いに離れている可動側金型30と固定側金型31の間に、ラベル3を導入する。
【0322】
図25のB:ラベル装填工程では、ラベル3を可動側金型30に装填する。ラベル3の装填方法としては、空気吸引や静電気等によるラベルの吸着等、通常使用する方法を採用することができる。
【0323】
図26の金型閉動作及びラベル位置矯正工程では、まず可動側金型30を固定側金型31に向けて移動させる。その過程において、固定側金型31の立ち壁部32の表面に、ラベル3の外周部がぶつかる。ラベル3の外周部のうち、立ち壁部32の表面とぶつからない部分があると、立ち壁部32の表面とぶつからない部分に対して、ラベル3の外周部のうち、立ち壁部32の表面とぶつかる部分から押圧力が作用する。そして、この押圧力により、ラベル3が水平方向に移動される。その結果、ラベル3の位置が矯正される。
【0324】
ラベル3の外周部のうち、立ち壁部32の表面とぶつからない部分があると、立ち壁部32の表面とぶつからない部分に対して、ラベル3の外周部のうち、立ち壁部32の表面とぶつかる部分から押圧力が作用し、この押圧力により、ラベル3が水平方向に移動されラベル3の位置が矯正されることを、「金型によるラベルの位置矯正作用」と定義する。
【0325】
図27のA:金型閉完了及びラベル位置固定工程では、金型閉過程が完了する。可動側金型30と固定側金型31の間には、容器の蓋1に対応する空間33が形成される。また、ラベル3は水平方向において、この空間33の中央位置にて固定される。
【0326】
図27のB:溶融樹脂充填工程では、ゲート34から注入された溶融樹脂35が、容器の蓋1に対応する空間33に流入する。溶融樹脂35は、この空間33を流動する際に、ラベル3を可動側金型30に押し付ける。その結果、ラベル3は、可動側金型30の下面に密着する。
【0327】
空間33内の溶融樹脂が冷却した後、可動側金型30を固定側金型31から離れる方向に移動させる。射出成形品は、固定側金型31に密着したまま残る。次に、ストリッパ(図示せず)により、射出成形品を固定側金型31から離型する。この離型により、射出成形品である容器の蓋1を得ることができる。
【0328】
図27のC:射出成形品に示すように、射出成形品である容器の蓋1は、その底部11の上側と壁部12の内側において、ラベル3の表面の全体を露出している。また、ラベル3の裏面の全体は、容器の蓋1の底部11と壁部12に接着されている。
【0329】
なお、本発明は上述の発明を実施するための形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0330】
1‥‥容器の蓋、2‥‥容器の収容部、3‥‥ラベル、11‥‥底部、12‥‥壁部、13‥‥天板部、14‥‥側部、15‥‥係合部、20‥‥凸状部、21‥‥凹状部、30‥‥可動側金型、31‥‥固定側金型、32‥‥立ち壁部、33‥‥空間、34‥‥ゲート、35‥‥溶融樹脂、50‥‥容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28