(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121519
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】プラズマ処理表面上の組成
(51)【国際特許分類】
C08J 7/06 20060101AFI20220812BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220812BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20220812BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALI20220812BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20220812BHJP
【FI】
C08J7/06 Z CER
C08J7/06 CEZ
B32B27/00 A
C12Q1/686 Z
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6813 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022099402
(22)【出願日】2022-06-21
(62)【分割の表示】P 2020144368の分割
【原出願日】2017-09-29
(31)【優先権主張番号】62/402,446
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500169900
【氏名又は名称】ジェン-プローブ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】バイロン ジェイ. ナイト
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド オパルスキー
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理表面などの表面に付着した凍結乾燥物などの固体組成物、ならびに関連する方法、使用、キット、中間体、出発物質、および下流生成物を提供すること。
【解決手段】プラズマ処理表面に付着した固体組成物を調製する方法が本明細書に開示され、方法は、プラズマ処理表面上で溶液を乾燥させることと、溶液から固体組成物を形成することとを含み、固体組成物は、プラズマ処理表面に付着する。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、冷陰極放電、中空陰極放電、DC誘導放電、高周波(RF)誘導放電、コロナ放電、グロー放電、または荷電粒子ビームで処理された表面である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書および図面に記載の物、方法またはシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月30日に出願された仮出願第62/402,446号に対す
る米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容全体は、参照に
より本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
固体組成物は、必ずしも表面に強く付着するわけではない。十分な付着力の欠如は、化
学的、薬学的、または生化学的反応またはアッセイを実施するための固体医薬組成物また
は試薬を提供するような分野において、組成物が出荷または取扱い中に転位するか、また
は緩む可能性があるという問題になり得る。転位した、または緩んだ組成物は、一定量の
再構成液体が器具に分注され、組成物の一部または全部がもはや再構成が生じる槽の底部
またはその付近に付着しない場合など、再構成を複雑にするか、または阻止する可能性が
ある。組成物を液体状態に完全に再構成できないことは、アッセイ性能に悪影響を及ぼす
可能性がある。
【0003】
例えば、化学的もしくは生化学的反応またはアッセイを実施するための充填試薬または
試薬を含む組成物は、プラズマ処理表面に付着した固体組成物として提供される。表面の
プラズマ処理が、液体溶液を乾燥させることによって形成される固体組成物の表面への付
着を改善することができること、およびプラズマ処理が、槽の底部またはその付近の表面
などの表面からの固体組成物の転位または緩みを防止するか、またはその頻度を低減する
ことができることがわかっている。特定の理論に束縛されるものではないが、プラズマ処
理は、表面の親水性、したがってその湿潤性を高め、試薬と表面との相互作用を強化し得
、強化された相互作用は、乾燥プロセス、例えば凍結乾燥後も持続する。
【0004】
本開示は、凍結乾燥ペレットなどの固体組成物のプラスチックなどの表面への付着が、
固体組成物が表面と接触する前に表面のプラズマ処理によって強化され得るという洞察に
一部基づいている。したがって、本明細書に開示される組成物、方法、およびキットは、
出荷および取扱いなどのプロセス中に生じる可能性がある撹拌を乗り切るための改善され
た能力を有する製品を提供することができる。
【0005】
したがって、プラズマ処理表面に付着した固体組成物を調製する方法が本明細書に開示
され、方法は、プラズマ処理表面上で溶液を乾燥させることと、溶液から固体組成物を形
成することとを含み、固体組成物は、プラズマ処理表面に付着する。
【0006】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、冷陰極放電、中空陰極放電、DC誘導
放電、高周波(RF)誘導放電、コロナ放電、グロー放電、または荷電粒子ビームで処理
された表面である。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、コロナ放電処理表面
である。いくつかの実施形態では、方法は、約25ワット/分/m2~約2000ワット
/分/m2、約50ワット/分/m2~約1500ワット/分/m2、約100~約12
00ワット/分/m2、約200~約1000ワット/分/m2、約100~約600ワ
ット/分/m2、または約200ワット/分/m2~約600ワット/分/m2の範囲の
ワット密度において、コロナ放電で表面を処理することによって、プラズマ処理表面を調
製することを含む。いくつかの実施形態では、表面は、約25ワット/分/m2~約20
00ワット/分/m2、約50ワット/分/m2~約1500ワット/分/m2、約10
0~約1200ワット/分/m2、約200~約1000ワット/分/m2、約100~
約600ワット/分/m2、または約200ワット/分/m2~約600ワット/分/m
2の範囲のワット密度において、コロナ放電で処理された。いくつかの実施形態では、(
i)プラズマ処理表面は、約33~約45ダイン、約35~約42ダイン、もしくは約3
7~約40ダインの範囲の表面エネルギーを有し、任意に、表面は、ポリオレフィンを含
むか、または(ii)プラズマ処理表面は、約35~約55ダイン、約37~約53ダイ
ン、もしくは約40~約50ダインの範囲の表面エネルギーを有し、任意に、表面は、ポ
リエチレンもしくはポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面
は、同じ組成の未処理表面と比較して表面エネルギーの増加を有し、表面エネルギーの増
加は、約3~約20ダイン、約4~約15ダイン、約5~約12ダイン、または約6~約
10ダインの範囲である。
【0007】
いくつかの実施形態では、乾燥は、蒸発、脱水、乾燥(desiccating)、凍
結乾燥、昇華、および噴霧乾燥のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では
、溶液は、乾燥ステップの少なくとも一部の間に凍結される。いくつかの実施形態では、
乾燥は、凍結乾燥を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの少なくとも
一部の間に液体である。いくつかの実施形態では、乾燥は、真空下で生じる。いくつかの
実施形態では、乾燥は、約30℃を超える温度で生じる。いくつかの実施形態では、溶液
は、乾燥前に、約5μL~約20mL、約200μL~約20mL、約1mL~約20m
L、約5mL~約20mL、約5μL~約1mL、約5μL~約500μL、約5μL~
約200μL、約5μL~約100μL、約5μL~約50μL、約5μL~約20μL
、約5μL~約10μL、約10μL~約200μL、約20μL~約200μL、約5
0μL~約200μL、または約100μL~約200μLの範囲の体積を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、プラズマ処理槽の内部表面である。い
くつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、プラスチックを含む。いくつかの実施形態
では、プラスチックは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、
ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネー
ト、ポリウレタン、デンプン由来プラスチック、または環状オレフィンコポリマーのうち
の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、プラスチックは、環状オレフィンコ
ポリマーを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、溶液は、水を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、極性
有機溶媒を含む。前記極性有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、DMSO、また
はグリセロールのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。いくつかの実
施形態では、溶液は、非極性有機溶媒を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、溶液は、充填剤を含む。いくつかの実施形態では、充填剤は
、糖類を含む。いくつかの実施形態では、充填剤は、スクロース、マンニトール、グリシ
ン、ヒドロキシエチルデンプン、ラフィノース、またはトレハロースのうちの少なくとも
1つを含むか、あるいは、充填剤は、スクロース、マンニトール、ラフィノース、または
トレハロースから選択される糖類である。
【0011】
いくつかの実施形態では、溶液は、1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態では、
1つ以上の酵素は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホ
スファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのうちの
少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素は、熱安定性DNAポ
リメラーゼを含む。いくつかの実施形態では、熱安定性DNAポリメラーゼは、ホットス
タート熱安定性DNAポリメラーゼであるか、または抗体と複合化している。いくつかの
実施形態では、1つ以上の酵素は、約0.20U/uL~約0.72U/uLまたは約0
.1U/uL~約0.6U/uLの濃度で前記溶液中に存在するDNA依存性ポリメラー
ゼ、逆転写酵素、または他の酵素を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、溶液は、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は
、有機緩衝剤である。
【0013】
いくつかの実施形態では、溶液は、約5mM以下の無機塩濃度を有する。いくつかの実
施形態では、溶液は、無機塩を含まない。いくつかの実施形態では、溶液は、塩を含む。
【0014】
いくつかの態様では、溶液は、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオ
リゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチ
ドは、増幅オリゴマーおよびプローブから選択される。いくつかの実施形態では、オリゴ
ヌクレオチドは、標識を含む。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光、化学発光、親和
性、または放射性標識である。
【0015】
いくつかの実施形態では、溶液は、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む。いくつか
の実施形態では、溶液は、1つ以上のデオキシヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの
実施形態では、溶液は、dATP、dGTP、dCTP、ならびにdTTPおよびdUT
Pのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のヌクレオシド三
リン酸のうちの少なくとも1つは、溶液中に約0.1mM~約0.3mMまたは約0.2
mM~約0.6mMの範囲の量で存在する。いくつかの実施形態では、溶液は、捕捉プロ
ーブおよび加水分解プローブから選択される少なくとも1つのプローブを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、溶液は、RNase阻害剤を含む。いくつかの実施形態では
、RNase阻害剤は、約0.12U/μL~約0.20U/μLの濃度で溶液中に存在
する。
【0017】
いくつかの実施形態では、溶液は、キレート剤を含む。いくつかの実施形態では、キレ
ート剤は、EDTA、EDDS、またはMGDAである。いくつかの実施形態では、キレ
ート剤は、約1.5mM~約2.0mMの濃度で溶液中に存在する。
【0018】
いくつかの実施形態では、溶液は、洗剤を含む。いくつかの実施形態では、洗剤は、非
イオン性、陽イオン性、陰イオン性、または双性イオン性洗剤である。
【0019】
いくつかの実施形態では、溶液は、単回単位用量の増幅試薬を含有する。いくつかの実
施形態では、溶液は、単回単位用量の検出試薬を含有する。いくつかの実施形態では、溶
液は、薬学的に活性な薬剤を含有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、乾燥ステップの前に、プラズマ処理表面上に溶液を
分注することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、分注ステップの前に、表面をプ
ラズマ処理してプラズマ処理表面を形成することを含む。いくつかの実施形態では、方法
は、乾燥ステップの後に、プラズマ処理表面を含む槽内に固体組成物を密封することを含
む。
【0021】
環状オレフィンコポリマー表面の凹面に液体または凍結溶液を含有する環状オレフィン
コポリマー表面も提供され、環状オレフィンコポリマー表面は、約35ダイン~約55ダ
インの表面エネルギーまたは約5°~約50°の接触角を有し、液体または凍結溶液は、
糖類を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、水を含む。いくつかの実施形態では
、液体または凍結溶液は、極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒
は、エタノール、イソプロパノール、DMSO、またはグリセロールのうちの少なくとも
1つを含む。いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、無極性有機溶媒を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、1つ以上の酵素を含む。いくつかの
実施形態では、1つ以上の酵素は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ
、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレ
アーゼのうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態
では、液体または凍結溶液は、無機塩を含まないか、または約5mM以下の無機塩濃度を
有する。いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、塩を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、液体または凍結溶液は、分子アッセイを実施するのに有用な
少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、液体または凍結
溶液は、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、溶液は、液体である。いくつかの実施形態では、溶液は、凍
結している。
【0027】
プラズマ処理された環状オレフィンコポリマー表面に付着した固体組成物も提供され、
固体組成物は、環状オレフィンコポリマー表面の凹面内にあり、凹面は、約90度~約6
0度の壁角を有し、固体組成物は、約600マイクログラム~約100mgの質量を有し
、糖類を含み、固体組成物を含有する環状オレフィンコポリマー表面が最大約480mm
の高さからステンレス鋼表面上に落とされるパッケージ性能試験後に、固体組成物は、環
状オレフィンコポリマー表面に実質的に付着したままであるように十分に付着している。
プラズマ処理表面に付着した固体組成物も提供され、プラズマ処理表面に付着した固体組
成物は、本明細書に開示される方法によって産生される。プラズマ処理表面に付着した固
体組成物も提供され、固体組成物は、充填剤と、酵素およびオリゴヌクレオチドのうちの
少なくとも1つとを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、プラスチックを含む。いくつかの実施
形態では、プラスチックは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ン、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリカーボ
ネート、ポリウレタン、デンプン由来プラスチック、または環状オレフィンコポリマーの
うちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、プラスチックは、環状オレフィ
ンコポリマーを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、充填剤は、糖類、グリシン、またはヒドロキシエチルデンプ
ンを含む。いくつかの実施形態では、糖類は、スクロース、マンニトール、ラフィノース
、またはトレハロースのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、固体組
成物は、プラズマ処理表面を含む槽内にある。
【0030】
いくつかの実施形態では、槽は、約10μL~約60mLの範囲の体積を有する管を含
む。いくつかの実施形態では、槽は、複数のウェルを含むマルチウェルプレートである。
【0031】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、約5mg~約20g、約200mg~約20
g、約1g~約20g、約5g~約20g、約5mg~約1g、約5mg~約500mg
、約5mg~約200mg、約5mg~約100mg、約5mg~約50mg、約5mg
~約20mg、約5mg~約10mg、約10mg~約200mg、約20mg~約20
0mg、約50mg~約200mg、または約100mg~約200mgの範囲の質量を
有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態
では、1つ以上の酵素は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナー
ゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼの
うちの少なくとも1つを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、固
体組成物は、塩を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、無機塩を含まないか、
または約5mM以下の無機塩濃度を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、分子アッセイを実施するのに有用な少なくと
も1つのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、1つ以上
のヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、単回単位用量
の増幅または検出試薬を含有する。いくつかの実施形態では、固体組成物は、薬学的に活
性な薬剤を含有する。
【0035】
再構成液体と本明細書に開示の固体組成物とを含むキットも提供される。混合物を形成
する方法もまた提供され、方法は、再構成液体および本明細書に開示される固体組成物を
組み合わせることによって、再構成組成物を形成することを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、水、極性有機溶媒、および無極性有機溶媒の
うちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、水を含む。いく
つかの実施形態では、再構成液体は、少なくとも1つの無機塩を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、核酸を添加することをさらに
含み、核酸は、少なくとも1つの核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応を受ける。
いくつかの実施形態では、核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応は、核酸合成また
は増幅を含む。いくつかの態様では、核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応は、プ
ローブを核酸にハイブリダイズして、ハイブリダイズされた複合体を形成することを含む
。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、プローブのハイブリダイズさ
れた複合体または核溶解を検出することをさらに含む。
【0039】
セクションの見出しは、読者の便宜のために提供されており、本開示を制限するものと
して解釈されるべきではない。
特定の実施形態において、例えば、以下が提供される:
(項目1)
プラズマ処理表面に付着した固体組成物を調製する方法であって、前記方法が、前記プラズマ処理表面上で溶液を乾燥することと、前記溶液から固体組成物を形成することとを含み、前記固体組成物が、前記プラズマ処理表面に付着する、方法。
(項目2)
前記プラズマ処理表面が、冷陰極放電、中空陰極放電、DC誘導放電、高周波(RF)誘導放電、コロナ放電、グロー放電、または荷電粒子ビームで処理された表面である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記プラズマ処理表面が、コロナ放電処理表面である、項目1または2に記載の方法。(項目4)
前記方法が、約25ワット/分/m2~約2000ワット/分/m2、約50ワット/分/m2~約1500ワット/分/m2、約100~約1200ワット/分/m2、約200~約1000ワット/分/m2、約100~約600ワット/分/m2、または約200ワット/分/m2~約600ワット/分/m2の範囲のワット密度において、コロナ放電で表面を処理することによって、前記プラズマ処理表面を調製することを含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記表面が、約25ワット/分/m2~約2000ワット/分/m2、約50ワット/分/m2~約1500ワット/分/m2、約100~約1200ワット/分/m2、約200~約1000ワット/分/m2、約100~約600ワット/分/m2、または約200ワット/分/m2~約600ワット/分/m2の範囲のワット密度において、コロナ放電で処理された、項目3に記載の方法。
(項目6)
(i)前記プラズマ処理表面が、約33~約45ダイン、約35~約42ダイン、もしくは約37~約40ダインの範囲の表面エネルギーを有し、任意に、前記表面が、ポリオレフィンを含むか、または(ii)前記プラズマ処理表面が、約35~約55ダイン、約37~約53ダイン、もしくは約40~約50ダインの範囲の表面エネルギーを有し、任意に、前記表面が、ポリエチレンもしくはポリプロピレンを含む、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記プラズマ処理表面が、同じ組成の未処理表面と比較して表面エネルギーの増加を有し、前記表面エネルギーの増加が、約3~約20ダイン、約4~約15ダイン、約5~約12ダイン、または約6~約10ダインの範囲である、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記乾燥が、蒸発、脱水、乾燥(desiccating)、凍結乾燥、昇華、および噴霧乾燥のうちの少なくとも1つを含む、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記溶液が、前記乾燥ステップの少なくとも一部の間に凍結される、項目1~8のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記乾燥が、凍結乾燥を含む、項目1~9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記溶液が、前記乾燥ステップの少なくとも一部の間に液体である、項目1~10のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記乾燥が、真空下で生じる、項目1~11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記乾燥が、約30℃を超える温度で生じる、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記溶液が、乾燥前に、約5μL~約20mL、約200μL~約20mL、約1mL~約20mL、約5mL~約20mL、約5μL~約1mL、約5μL~約500μL、約5μL~約200μL、約5μL~約100μL、約5μL~約50μL、約5μL~約20μL、約5μL~約10μL、約10μL~約200μL、約20μL~約200μL、約50μL~約200μL、または約100μL~約200μLの範囲の体積を有する、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記プラズマ処理表面が、プラズマ処理槽の内部表面である、項目1~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記プラズマ処理表面が、プラスチックを含む、項目1~15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記プラスチックが、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、デンプン由来プラスチック、または環状オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記プラスチックが、環状オレフィンコポリマーを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記溶液が、水を含む、項目1~18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記溶液が、極性有機溶媒を含む、項目1~19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記極性有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、DMSO、またはグリセロールのうちの少なくとも1つを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記溶液が、非極性有機溶媒を含む、項目1~21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記溶液が、充填剤を含む、項目1~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記充填剤が、糖類を含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記充填剤が、スクロース、マンニトール、グリシン、ヒドロキシエチルデンプン、ラフィノース、またはトレハロースのうちの少なくとも1つを含むか、あるいは代替的に、前記充填剤が、スクロース、マンニトール、ラフィノース、またはトレハロースから選択される糖類である、項目23または24に記載の方法。
(項目26)
前記溶液が、1つ以上の酵素を含む、項目1~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記1つ以上の酵素が、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記1つ以上の酵素が、熱安定性DNAポリメラーゼを含む、項目27に記載の方法。(項目29)
熱安定性DNAポリメラーゼが、ホットスタート熱安定性DNAポリメラーゼであるか、または抗体と複合化している、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記1つ以上の酵素が、約0.20U/uL~約0.72U/uLまたは約0.1U/uL~約0.6U/uLの濃度で前記溶液中に存在するDNA依存性ポリメラーゼ、逆転写酵素、または他の酵素を含む、項目26または27に記載の方法。
(項目31)
前記溶液が、緩衝剤を含む、項目1~30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記緩衝剤が、有機緩衝剤である、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記溶液が、約5mM以下の無機塩濃度を有する、項目1~32のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記溶液が、無機塩を含まない、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記溶液が、塩を含む、項目1~34のいずれか1項に記載の方法。
(項目36)
前記溶液が、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、項目1~35のいずれか1項に記載の方法。
(項目37)
前記少なくとも1つのオリゴヌクレオチドが、増幅オリゴマーおよびプローブから選択される、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記オリゴヌクレオチドが、標識を含む、項目36または37に記載の方法。
(項目39)
前記標識が、蛍光、化学発光、親和性、または放射性標識である、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記溶液が、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む、項目1~39のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記溶液が、1つ以上のデオキシヌクレオシド三リン酸を含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記溶液が、dATP、dGTP、dCTP、ならびにdTTPおよびdUTPのうちの少なくとも1つを含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記1つ以上のヌクレオシド三リン酸のうちの少なくとも1つが、前記溶液中に約0.1mM~約0.3mMまたは約0.2mM~約0.6mMの範囲の量で存在する、項目40~42のいずれか1項に記載の方法。
(項目44)
前記溶液が、捕捉プローブおよび加水分解プローブから選択される少なくとも1つのプローブを含む、項目1~43のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記溶液が、RNase阻害剤を含む、項目1~44のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記RNase阻害剤が、約0.12U/μL~約0.20U/μLの濃度で前記溶液中に存在する、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記溶液が、キレート剤を含む、項目1~46のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記キレート剤が、EDTA、EDDS、またはMGDAである、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記キレート剤が、約1.5mM~約2.0mMの濃度で前記溶液中に存在する、項目47または48に記載の方法。
(項目50)
前記溶液が、洗剤を含む、項目1~49のいずれか1項に記載の方法。
(項目51)
前記洗剤が、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、または双性イオン性洗剤である、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記溶液が、単回単位用量の増幅試薬を含有する、項目1~51のいずれか1項に記載の方法。
(項目53)
前記溶液が、単回単位用量の検出試薬を含有する、項目1~52のいずれか1項に記載の方法。
(項目54)
前記溶液が、薬学的に活性な薬剤を含有する、項目1~53のいずれか1項に記載の方法。
(項目55)
前記方法が、前記乾燥ステップの前に、前記プラズマ処理表面上に前記溶液を分注することを含む、項目1~54のいずれか1項に記載の方法。
(項目56)
前記方法が、前記分注ステップの前に、前記プラズマ処理表面を形成するように、表面をプラズマ処理することを含む、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記乾燥ステップの後に、前記プラズマ処理表面を含む槽内に前記固体組成物を密封することをさらに含む、項目1~56のいずれか1項に記載の方法。
(項目58)
環状オレフィンコポリマー表面の凹面に液体または凍結溶液を含有する環状オレフィンコポリマー表面であって、前記環状オレフィンコポリマー表面が、約35ダイン~約55ダインの表面エネルギーまたは約5°~約50°の接触角を有し、前記液体または凍結溶液が、糖類を含む、環状オレフィンコポリマー表面。
(項目59)
前記液体または凍結溶液が、水を含む、項目58に記載の表面。
(項目60)
前記液体または凍結溶液が、極性有機溶媒を含む、項目58または59に記載の表面。(項目61)
前記極性有機溶媒が、エタノール、イソプロパノール、DMSO、またはグリセロールのうちの少なくとも1つを含む、項目60に記載の表面。
(項目62)
前記液体または凍結溶液が、非極性有機溶媒を含む、項目58~61のいずれか1項に記載の表面。
(項目63)
前記液体または凍結溶液が、1つ以上の酵素を含む、項目58~62のいずれか1項に記載の表面。
(項目64)
前記1つ以上の酵素が、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む、項目63に記載の表面。
(項目65)
前記液体または凍結溶液が、緩衝剤を含む、項目58~64のいずれか1項に記載の表面。
(項目66)
前記液体または凍結溶液が、無機塩を含まないか、または約5mM以下の無機塩濃度を有する、項目58~65のいずれか1項に記載の表面。
(項目67)
前記液体または凍結溶液が、塩を含む、項目58~66のいずれか1項に記載の表面。(項目68)
前記液体または凍結溶液が、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、項目58~67のいずれか1項に記載の表面。
(項目69)
前記液体または凍結溶液が、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む、項目58~68のいずれか1項に記載の表面。
(項目70)
前記溶液が、液体である、項目58~69のいずれか1項に記載の表面。
(項目71)
前記溶液が、凍結している、項目58~69のいずれか1項に記載の表面。
(項目72)
プラズマ処理された環状オレフィンコポリマー表面に付着した固体組成物であって、前記固体組成物が、前記環状オレフィンコポリマー表面の凹面内にあり、前記凹面が、約90度~約60度の壁角を有し、前記固体組成物が、約600マイクログラム~約100mgの質量を有し、糖類を含み、前記固体組成物を含有する前記環状オレフィンコポリマー表面が、最大約480mmの高さからステンレス鋼表面上に落とされるパッケージ性能試験後に、前記固体組成物が、前記環状オレフィンコポリマー表面に実質的に付着したままであるように十分に付着している、固体組成物。
(項目73)
プラズマ処理表面に付着した固体組成物であって、前記プラズマ処理表面に付着した前記固体組成物が、項目1~53のいずれか1項に記載の方法によって産生される、固体組成物。
(項目74)
前記固体組成物が、充填剤と、酵素およびオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つとを含む、プラズマ処理表面に付着した固体組成物。
(項目75)
前記プラズマ処理表面が、プラスチックを含む、項目73または74に記載の固体組成物。
(項目76)
前記プラスチックが、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、デンプン由来プラスチック、または環状オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む、項目75に記載の固体組成物。
(項目77)
前記プラスチックが、環状オレフィンコポリマーを含む、項目75または76に記載の固体組成物。
(項目78)
前記充填剤が、糖類、グリシン、またはヒドロキシエチルデンプンを含む、項目73~77のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目79)
前記糖類が、スクロース、マンニトール、ラフィノース、またはトレハロースのうちの少なくとも1つを含む、項目72または78に記載の固体組成物。
(項目80)
前記固体組成物が、前記プラズマ処理表面を含む槽内にある、項目72~79のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目81)
前記槽が、約40μL~約60mLの範囲の体積を有する管を含む、項目80に記載の固体組成物。
(項目82)
前記槽が、複数のウェルを含むマルチウェルプレートである、項目80に記載の固体組成物。
(項目83)
前記固体組成物が、約5mg~約20g、約200mg~約20g、約1g~約20g、約5g~約20g、約5mg~約1g、約5mg~約500mg、約5mg~約200mg、約5mg~約100mg、約5mg~約50mg、約5mg~約20mg、約5mg~約10mg、約10mg~約200mg、約20mg~約200mg、約50mg~約200mg、または約100mg~約200mgの範囲の質量を有する、項目72~82のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目84)
前記固体組成物が、1つ以上の酵素を含む、項目72~83のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目85)
前記1つ以上の酵素が、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのうちの少なくとも1つを含む、項目84に記載の固体組成物。
(項目86)
前記固体組成物が、緩衝剤を含む、項目72~85のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目87)
前記固体組成物が、塩を含む、項目72~86のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目88)
前記固体組成物が、無機塩を含まないか、または約5mM以下の無機塩濃度を有する、項目72~87のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目89)
前記固体組成物が、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、項目72~88のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目90)
前記固体組成物が、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む、項目72~89のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目91)
前記固体組成物が、単回単位用量の増幅または検出試薬を含有する、項目72~90のいずれか1項に記載の固体組成物。
(項目92)
前記固形組成物が、薬学的に活性な薬剤を含有する、項目72~91のいずれか1項に記載の固形組成物。
(項目93)
再構成液体と、項目72~92のいずれか1項に記載の固体組成物とを含む、キット。
(項目94)
混合物を形成する方法であって、再構成液体および項目72~92のいずれか1項に記載の固体組成物を組み合わせることによって、再構成組成物を形成することを含む、方法。
(項目95)
前記再構成液体が、水、極性有機溶媒、および非極性有機溶媒のうちの少なくとも1つを含む、項目93または94に記載のキットまたは方法。
(項目96)
前記再構成液体が、水を含む、項目95に記載のキットまたは方法。
(項目97)
前記再構成液体が、少なくとも1つの無機塩を含む、項目93~96のいずれか1項に記載のキットまたは方法。
(項目98)
核酸を添加することをさらに含み、前記核酸が、少なくとも1つの核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応を受ける、項目94~97のいずれか1項に記載の方法。
(項目99)
前記核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応が、核酸合成または増幅を含む、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記核酸修飾またはハイブリダイゼーション反応が、プローブを前記核酸にハイブリダイズして、ハイブリダイズされた複合体を形成することを含む、項目99に記載の方法。
(項目101)
前記方法が、前記プローブのハイブリダイズされた複合体または核溶解を検出することをさらに含む、項目100に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、接触角の測定図であり、θが接触角であり、Hが液滴の高さであり、Rが液滴幅の半分である。
【
図2A】
図2A~2Bは、実施例1に記載される未処理ウェルおよびプラズマ処理ウェルにおける凍結乾燥ペレットの落下試験結果を示す。バーの高さは、付着が破壊される前の落下数を示す。
【
図2B】
図2A~2Bは、実施例1に記載される未処理ウェルおよびプラズマ処理ウェルにおける凍結乾燥ペレットの落下試験結果を示す。バーの高さは、付着が破壊される前の落下数を示す。
【
図3A】
図3A~3Bは、実施例2に記載される未処理ウェルおよびプラズマ処理ウェルにおける凍結乾燥ペレットの落下試験結果を示す。バーの高さは、付着が破壊される前の落下数を示す。A
【
図3B】
図3A~3Bは、実施例2に記載される未処理ウェルおよびプラズマ処理ウェルにおける凍結乾燥ペレットの落下試験結果を示す。バーの高さは、付着が破壊される前の落下数を示す。A
【発明を実施するための形態】
【0041】
定義
本教示を詳細に説明する前に、本開示が特定の組成物またはプロセスステップに限定さ
れず、それらは変化し得ることを理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で
使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」が、文脈が明らかにそうで
ないことを指示しない限り、複数の言及を含むことに留意されたい。したがって、例えば
、「充填剤」への言及は、複数の充填剤などを含む。
【0042】
本開示で考察される温度、濃度、時間などの前に黙示的な「約」があり、これによりわ
ずかで非実質的な偏差は、本明細書の教示の範囲内であることが理解されるであろう。一
般に、「約」という用語は、組成物の活性または安定性に有意な影響を及ぼさない組成物
の成分の量の非実質的な変動を示す。また、「含む(comprise)」、「含む(c
omprises)」、「含むこと(comprising)」、「含有する(cont
ain)」、「含有する(contains)」、「含有すること(containin
g)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含むこ
と(including)」の使用は、限定することを意図していない。上記の概要およ
び詳細な説明は両方とも、例示的かつ説明的なものにすぎず、教示を限定するものではな
いことを理解されたい。
【0043】
特に記述がない限り、様々な構成要素を「含むこと」を列挙する本明細書中の実施形態
は、列挙された構成要素「からなる」または「から本質的になる」とも企図され、様々な
構成要素「からなること」を列挙する本明細書中の実施形態は、列挙された構成要素「を
含む」または「から本質的になる」とも企図され、また、様々な構成要素「から本質的に
なること」を列挙する本明細書中の実施形態は、列挙された構成要素「からなる」または
「を含む」とも企図される(この互換性は、請求項におけるこれらの用語の使用には適用
されない)。
【0044】
本明細書で使用される場合、表面が撹拌される、例えば振とうされる(例えば、約1~
3Hzの周波数で手によって)、または反転されるときに、材料が表面に対して目に見え
て移動しない場合、材料は、表面に「付着」していると見なされる。
【0045】
「充填剤」は、乾燥および貯蔵中にタンパク質および他の試薬の堆積のためのマトリク
スを提供する。(Carpenter et al(2002)Rational de
sign of stable lyophilized protein formu
lations.Kluwer Academic/Plenum,New York,
pp.109-133)。充填剤は、生成物の「ケーキ」または他の構造を形成するため
に使用され得、タンパク質または他の試薬が乾燥中に槽から失われることを防止すること
ができ、タンパク質の安定性を高めることができる。
【0046】
キレート剤は、ある特定の酵素の活性に必要とされ得る、Mg2+またはMn2+など
の二価イオンを封鎖する薬剤である。
【0047】
「凹面」は、溶液または溶液から形成された固体組成物を保持するのに好適である表面
の陥凹、ウェル、凹み、または他の特徴である。
【0048】
「接触角」は、基板の表面と、基板上の液滴の表面に対して三相点で引かれた接線との
間の角度である。
図1を参照されたい。接触角θは、式θ=2(逆正接(H/R))に従
って計算され得、式中、Hは、液滴の高さであり、Rは、液滴幅の半分である。別段の指
示がない限り、液滴は、本明細書で言及される接触角に対して水である。接触角測定は、
ASTM International Standard D 5946-04,“S
tandard Test Method for Corona-Treated P
olymer Films Using Water Contact Angle M
easurements”(2004)に詳細に論じられている。接触角測定方法および
装置の考察については、米国特許第5,268,733号も参照されたい。別段の指示が
ない限り、接触角測定は、水滴を使用して実施される。本明細書で使用される場合、表面
が水と接触したときにその接触角が観察される場合、表面は、ある特定の値またはある特
定の範囲の接触角を有すると見なされる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「第1の」、「第2の」などは、要素の順序付けまたは位
置付けに関していかなる暗示もなく、構造、組成、または方法の要素に関して使用され、
したがって、当業者が文脈から他の理解をしない限り、「第1の」要素は、「第2の」要
素の前方、重複、後方、上、下、前、同時、または後であってもよい。
【0050】
「凍結乾燥」、「凍結乾燥した」、および「フリーズドライした」という用語は、乾燥
させられる材料が最初に凍結され、次いで氷または凍結溶媒が真空環境での昇華によって
除去されるプロセスを指す。「凍結乾燥物」は、凍結乾燥した物質を指す。
【0051】
核酸ハイブリダイゼーションに関する用語「ストリンジェントな」(「ストリンジェン
トなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」を含む)は、特定
のオリゴヌクレオチドが試験試料中に存在する他の核酸よりも標的核酸とハイブリダイズ
することが可能である条件を指す。これらの条件が、GC含量およびオリゴヌクレオチド
の長さ、ハイブリダイゼーション温度、ハイブリダイゼーション試薬または溶液の組成、
ならびに求められるハイブリダイゼーション特異性の程度を含む要因に応じて変化し得る
ことが理解されるであろう。適切なハイブリダイゼーション条件は、プローブ、増幅オリ
ゴヌクレオチド、標的捕捉オリゴヌクレオチド、遮断薬、および他のオリゴヌクレオチド
に関して当該技術分野において周知であり、配列組成に基づき予測され得るか、または日
常的な試験法を使用することによって決定され得る(例えば、Sambrook et
al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manua
l,2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory
Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)の§§1.90
-1.91、7.37-7.57、9.47-9.51、および11.47-11.57
、特に§§9.50-9.51、11.12-11.13、11.45-11.47、お
よび11.55-11.57)。
【0052】
増幅オリゴマーは、鋳型依存的複製を支持することができるプライマーまたはプロモー
ター-プライマーである。増幅オリゴマー対は、鋳型の対向鎖の鋳型依存的複製を支持す
るそのようなオリゴマーの対である。多重増幅は、複数の増幅オリゴマー対を同時に用い
て実施される増幅である。
【0053】
プローブは、増幅産物にハイブリダイズして、増幅産物の存在または量を明らかにする
ことができるオリゴヌクレオチドである。そのようなプローブは、多くの場合、蛍光また
は他の検出可能なシグナルを与える分子を取り込み、その場合、それらは、検出可能に標
識されたプローブと称される。
【0054】
プライマー-プローブセットは、鋳型核酸からの増幅産物を生成および検出するように
構成されたプライマーおよびプローブの組み合わせである。
【0055】
「再構成時間」は、乾燥配合物を溶液で再水和して、肉眼では粒子または濁りを含まな
い溶液をもたらすのに必要な時間である。
【0056】
「単回単位用量」または「SUD」は、単一の試料に対してアッセイを実施するために
使用される試薬の量を指す。単回単位用量は、溶液であってもよい。一例として、単回単
位用量は、単一の槽内の単一の試料の増幅に有用な試薬を含有する乾燥ペレットであって
もよい。
【0057】
本明細書で使用される場合、「または」は、包括的に使用され、すなわち、「Aまたは
Bのうちの1つ以下」という表現などにおいて、明らかに反対の指示がない限り、「およ
び/または」と同等である。
【0058】
本明細書で使用される場合、「またはそれらの組み合わせ」、「のうちの少なくとも1
つ」、および「のうちの1つ以上」という用語は、その用語の前に列挙された用語の全て
の順列および組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は
、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つ、また順序が特
定の文脈において重要である場合、BA、CA、CB、ACB、CBA、BCA、BAC
、またはCABも含むよう意図される。この例を続けると、BB、AAA、AAB、BB
C、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1つ以上の項目または用語の
繰り返しを含む組み合わせも含まれる。文脈から他に明らかでない限り、典型的には任意
の組み合わせにおける項目または用語の数に制限がないことを当業者は理解するであろう
。
【0059】
「パッケージ性能試験」は、固体組成物が付着している(例えば、槽の)表面が、ある特定の高さ(例えば、約480mm)から基板(例えば、ステンレス鋼)上に落とされて、表面への固体組成物の付着の程度を判定する試験を指す。固体組成物は、固体組成物の緩くなる可視部分が全くないか、または体積で約5%もしくは約10%未満が緩くなる(例えば、表面が振とうされたか、または反転されたときに表面に対して移動する)場合、実質的に付着したままであると見なされる。いくつかの実施形態では、パッケージ性能試験で使用される高さは、約20mm~1000mm、例えば、約20mm、約40mm、約60mm、約80mm、約100mm、約120mm、約140mm、約160mm、約180mm、約200mm、約220mm、約240mm、約260mm、約280mm、約300mm、約320mm、約340mm、約360mm、約380mm、約400mm、約420mm、約440mm、約460mm、約480mm、約500mm、約520mm、約540mm、約560mm、約580mm、約600mm、約620mm、約640mm、約660mm、約680mm、約700mm、約720mm、約740mm、約760mm、約780mm、約800mm、約820mm、約840mm、約860mm、約880mm、約900mm、約920mm、約940mm、約960mm、約980mm、もしくは約1000mm、または約20mm~約60mm、約60mm~約100mm、約100mm~約200mm、約200mm~約300mm、約300mm~約400mm、約500mm~約600mm、約600mm~約700mm、約800mm~約900mm、もしくは約900mm~約1000mmの範囲の高さである。いくつかの実施形態では、基板は、軟質発泡体、例えば、ポリウレタンシートなどのポリウレタンである。いくつかの実施形態では、基板は、約18~約20lbs/in2の圧縮抵抗範囲を有するEnsolite(登録商標)AFなどの堅いクッションまたはマット材料である。いくつかの実施形態では、基板は、ステンレス鋼などの硬質表面である。いくつかの実施形態では、基板は、約1cm、2cm、3cm、4cm、または5cmの厚さを有する。
【0060】
「プラズマ」は、正および負の荷電粒子が結合しておらず、容器に封入されていない限
り、明確な形状または明確な体積を有しない物質の状態である。プラズマはまた、荷電粒
子の非存在下でガス、例えば、空気、O2、N2などである非荷電粒子も含有し得る。プ
ラズマは、コロナ放電の場合のように、ガスに電界を印加することによって産生され得る
。プラズマを産生する他の方法は、ガスを加熱すること、電磁放射(例えば、高周波(R
F)誘導放電)、および電子ビームなどの荷電粒子ビームを生成することを含む。
【0061】
表面がプラズマに曝露され、曝露によって影響を受けた少なくとも1つの性質、例えば
、未処理の対応部分と比較した接触角の減少、表面エネルギーの増加、または固体組成物
への付着度の増加などを有する場合、表面は、「プラズマ処理」されている。
【0062】
「糖類」は、炭素に対する酸素の比が約(しかし必ずしも正確にではない)1:1であ
り、酸素に対する水素の比が約2:1(しかし必ずしも正確にではない)である、炭素と
、水素と、酸素とを含有する化合物である。糖類としては、キシリトール(C5H12O
5)などの糖アルコール、ならびにグルコース(C6H12O6)およびスクロース(C
12H22O11)などの糖が挙げられる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「固体組成物」は、非流動性物質を指す。別段の指示がな
い限り、固体組成物は、一般に1つの寸法が他の寸法と比較して薄い乾燥塗料などのコー
ティングを意味しない。固体組成物としては、非コーティング残留物を与えるような方法
で溶液を乾燥させることから生じる凍結乾燥物、ペレットなどが挙げられる。固体組成物
は一般的に、結晶質であるか、または分子レベルで格子構造を有するが、固体組成物はま
た、非晶質および準結晶質固体も含む。固体組成物は、20℃および1atmの圧力で固
体ではない凍結溶液を含まない。いくつかの実施形態では、固体組成物は、3つの直交す
る次元において巨視的である(例えば、それらは顕微鏡の助けを借りずに観察可能な、例
えば約1mmを超える長さ、幅、および高さを有する)。本明細書の固体組成物は、一般
に、約0.5~約2g/cm3の範囲の密度を有し、それらの体積は、それに応じて推定
され得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「溶液」は、溶媒とその中に溶解した溶質とを含む組成物
であり、液体溶液だけではなく、例えば、溶質が一般に凍結溶媒内で分散したままである
ように、溶解した溶質を含有する溶媒を凍結させる結果である凍結溶液も含む(溶媒から
著しく異なる固相を沈殿させるか、または別様に形成するのとは対照的に)。
【0065】
例示的な方法、組成物、およびキット
いくつかの実施形態では、溶液がプラズマ処理表面上で乾燥させられ、プラズマ処理表
面に付着した固体組成物を形成する、付着固体組成物を調製するための方法が提供される
。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、冷陰極放電、中空陰極放電、DC誘導
放電、高周波(RF)誘導放電、コロナ放電、グロー放電、または荷電粒子ビームで処理
された表面である。いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、コロナ放電で処理さ
れた表面である。
【0066】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面に付着した固体組成物が提供される。いく
つかの実施形態では、約90度~約60度の壁角を有する少なくとも1つの凹面を含む環
状オレフィンコポリマー表面が提供され、環状オレフィンコポリマー表面は、約600マ
イクログラム~約100mgの質量を有し、糖類を含む固体組成物を含有し、固体組成物
は、環状オレフィンコポリマー表面に付着し、固体組成物は、固体組成物を含有する環状
オレフィンコポリマー表面が約480mmの高さからステンレス鋼表面上に落とされるパ
ッケージ性能試験後に、環状オレフィンコポリマー表面に実質的に付着したままである。
いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面に付着した固体組成物が提供され、固体組成
物は、充填剤と、酵素およびオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つとを含む。いく
つかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって産生されるプラズマ処理表面に
付着した固体組成物が提供される。
【0067】
プラズマ処理表面に付着した固体組成物などの、本明細書に開示される固体組成物を含
むキットもまた提供され、キットは、任意に再構成液体をさらに含む。
【0068】
混合物を形成する方法もまた提供され、方法は、再構成液体、およびプラズマ処理表面
に付着した固体組成物などの、本明細書に開示される固体組成物を組み合わせることによ
って、再構成組成物を形成することを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、環状オレフィンコポリマー表面の凹面に液体または凍結溶液
を含有する環状オレフィンコポリマー表面が提供され、環状オレフィンコポリマーは、プ
ラズマで処理されていない環状オレフィンコポリマーと比較して減少した接触角または増
加した表面エネルギーを有する。いくつかの実施形態では、環状オレフィンコポリマー表
面の凹面に液体または凍結溶液を含有する環状オレフィンコポリマー表面が提供され、環
状オレフィンコポリマーは、約35ダイン~約55ダインの表面エネルギーまたは約約5
°~約50°の接触角を有する。
【0070】
以下の段落、発明の概要、図面およびその説明、実施例、特許請求の範囲(それらは本
明細書の一部と見なされる)、または本出願の他の部分にかかわらず、本明細書に提供さ
れるある特定の実施形態の詳細は、当業者の理解に従ってそれらが適用され得る、本明細
書に開示される方法、組成物、およびキットの全てに関して記載される。
【0071】
表面をプラズマで処理することは、固体組成物が溶液の乾燥中に形成されるときに、表
面が固体組成物の分子と有利に相互作用する程度を高めると考えられる。例えば、プラズ
マ処理は、固体組成物の分子との双極子-双極子、水素結合などの非共有相互作用が可能
である、表面の電荷密度または部分的に帯電した原子もしくは基の密度を増加させ得る。
したがって、プラズマ処理の継続時間および強度のある範囲、例えば、約25ワット/分
/m2~約2000ワット/分/m2、約50ワット/分/m2~約1500ワット/分
/m2、約100~約1200ワット/分/m2、約200~約1000ワット/分/m
2、約100~約600ワット/分/m2、または約200ワット/分/m2~約600
ワット/分/m2の範囲のワット密度でのコロナ放電放電などのプラズマ源での処理が使
用され得る。
【0072】
プラズマ処理の程度は、表面エネルギーまたは表面エネルギーの変化の観点からも表現
され得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンを含む表面などのプラズマ処理表面
は、約33~約45ダイン、約35~約42ダイン、または約37~約40ダインの範囲
の表面エネルギーを有する。いくつかの実施形態では、ポリエチレンまたはポリプロピレ
ンを含む表面などのプラズマ処理表面は、約35~約55ダイン、約37~約53ダイン
、または約40~約50ダインの範囲の表面エネルギーを有する。いくつかの実施形態で
は、プラズマ処理表面は、同じ組成の未処理表面と比較して表面エネルギーの増加を有し
、表面エネルギーの増加は、約3~約20ダイン、約4~約15ダイン、約5~約12ダ
イン、または約6~約10ダインの範囲である。
【0073】
プラズマ処理の程度は、接触角または接触角の変化の観点からも表現され得る。いくつ
かの実施形態では、ポリオレフィンを含む表面などのプラズマ処理表面は、約5°~約5
0°、例えば、約5°~約40°、約5°~約30°、約5°~約10°、約10°~約
20°、約10°~約30°、約10°~約40°、約20°~約30°、約30°~約
40°、または約40°~約50°の接触角を有する。いくつかの実施形態では、接触角
は、約5°~約25°である。いくつかの実施形態では、接触角は、約10°~約25°
である。いくつかの実施形態では、接触角は、プラズマ処理前の表面の接触角と比較して
減少する。減少量は、いくつかの実施形態では、約30°~約95°、例えば、約40°
~約90°、約30°~約40°、約40°~約50°、約50°~約60°、約60°
~約70°、約70°~約80°、約80°~約90°、または約90°~約95°の範
囲の値である。
【0074】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理表面は、プラズマ処理槽、例えば、管、または
マルチウェルプレートもしくはカートリッジの内部表面である。いくつかの実施形態では
、表面または槽は、プラスチックを含む。いくつかの実施形態では、プラスチックは、ポ
リエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリ
塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、デンプ
ン由来プラスチック、または環状オレフィンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
プラズマ処理のための装置、そのような装置を使用する方法、またはプラズマ処理の一
般的な考察は、例えば、WO2002/023960(A1)、US2009/0143
718(A1)、US6,106,653、US7,556,845(B2)、US3,
870,610、US2013/0017672(A1)、US8,361,565(B
2)、およびUS9,005,188(B2)に見られる。表面への凍結乾燥物などの固
体組成物の付着との関連で、プラズマ処理は、適用されていないと考えられる。それにも
かかわらず、本開示の手引きおよび一般にプラズマ処理に関する利用可能な知識を考慮し
て、当業者は、本明細書に開示される組成物および方法を十分に実践、作製、および使用
することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、乾燥は、凍結乾燥を含む。いくつかの実施形態では、固体組
成物は、凍結乾燥ペレットなどの凍結乾燥物である。いくつかの実施形態では、乾燥は、
蒸発、脱水、乾燥(desiccating)、凍結乾燥、および噴霧乾燥のうちの少な
くとも1つを含む。いくつかの実施形態では、乾燥は、真空下、例えば、約0.9、0.
8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、もしくは0
.01気圧以下の圧力、または周囲圧力の約0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、
0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、もしくは0.01倍以下の圧力下で生じる
。いくつかの実施形態では、乾燥は、高温、例えば、周囲温度よりも約1、2、3、4、
もしくは5℃高いか、または約30℃よりも高い、例えば、約30℃~110℃、約30
℃~40℃、約40℃~50℃、約50℃~60℃、約60℃~70℃、約70℃~80
℃、約80℃~90℃、約90℃~100℃、もしくは約100℃~110℃の温度で生
じる。いくつかの実施形態では、乾燥は、周囲温度、または約15℃~30℃、約15℃
~25℃、約20℃~30℃、約15℃~20℃、約20℃~25℃、もしくは約25℃
~30℃の温度で生じる。いくつかの実施形態では、乾燥は、低温、例えば、周囲温度よ
りも約1、2、3、4、もしくは5℃低いか、または15℃未満、例えば、約10℃~約
15℃、約5℃~約10℃、約0℃~約5℃、約-5℃~約0℃、約-10℃~約0℃、
約-20℃~約-10℃、約-30℃~約-20℃、約-40℃~約-30℃、約-50
℃~約-40℃、約-60℃~約-50℃、約-70℃~約-60℃、約-80℃~約-
70℃、約-90℃~約-80℃、もしくは約-100℃~約-90℃の温度で生じる。
【0077】
いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの少なくとも一部の間に凍結される。
いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの少なくとも一部の間に液体である。い
くつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの全部または実質的に全部の間に凍結され
る。いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの全部または実質的に全部の間に液
体である。いくつかの実施形態では、溶液は、乾燥ステップの一部の間に液体であり、溶
媒の一部が、例えば蒸発中に液体から気体への転位を受け、続いて凍結し、次いで残りの
溶媒が、例えば凍結乾燥中に、昇華にあるような固体から気体への転移を受けたときなど
、乾燥ステップの少なくとも一部の間に固体である。
【0078】
溶液は、標準的な方法および装置を使用して凍結乾燥し得る。フリーズドライヤは、例
えば、GEA Process Engineering,Columbia,MDから
入手可能である。契約のフリーズドライサービスは、例えば、Biopharma Te
chnology Ltd.,Winchester,Hampshire,Great
BritainおよびBioPharma Solutions Sterile C
ontract Manufacturing,Baxter Healthcare
Corp,Deerfield,ILによって提供される。凍結乾燥のための手引きは、
例えば、L.Rey,J.C.May(eds.)(2010)Freeze Dryi
ng/Lyophilization of Pharmaceuticals and
Biological Products,3rd.ed.Informa Heal
thcare,NYもしくはMethods in Enzymology,Vol.2
2,Pages 33-39,Academic Press,New York (1
971)、またはFreeze-Drying,E.W.Flosdorf,Rhein
hold,New York(1949)から入手可能である。任意に、フリーズドライ
中に酸素含量が低減され得る(Phillips et al(2001)Biolog
ics.19:219)。
【0079】
乾燥には、様々な容器が好適である。容器が部分真空下で密封および貯蔵されたとき、
容器は、外圧に耐えることが可能でなければならない。容器は、外側から内側への合理的
な熱伝達を可能にする材料で作製されるべきである。容器のサイズは、好ましくは、乾燥
する溶液が、あふれ出ることを回避するために、全体積の20%以下を占めるようなもの
である。
【0080】
試料は、別々の槽または多検体槽で乾燥し得る。多検体槽とは、少なくとも2つの検体
を、それらが並行して、しかし別々に貯蔵および操作され得るように含むことができる連
続した槽を意味する。多検体槽、例えば、マルチウェルプレートまたはカートリッジのた
めの標準フォーマットは、6、24、96、384、または1536の凹面、例えばウェ
ルを有するフォーマットを含む。96ウェルフォーマットの一例における各ウェルの体積
は、約300~400マイクロリットルであり、作業体積は、約75~200マイクロリ
ットルである。他のサイズも企図されるが、体積は、一般に、ウェルの数と逆に、典型的
には各ウェルにつき1nL~10mLの範囲で変化する。例示的なウェルおよび凹面は、
とりわけ平坦な底部、円形の底部、またはV字形の底部を有することができる。加えて、
ウェルは、反応ウェルとさらに称される場合もある。反応ウェルという用語は、任意の反
応が反応ウェル内で実際に起こることを必要としない。むしろ、この用語は、試薬を含み
、その中に反応を有しないか、その中に部分的な反応を有するか、またはその中に完全な
反応を有する可能性がある槽またはウェルを指すために使用される。
【0081】
上述のように、マルチウェルプレートは、本明細書のいくつかの実施形態では、凍結乾
燥を受けて溶液から固体組成物を形成することができる。凍結乾燥は、ネストデバイス内
で生じ得る(同時係属の国際出願第PCT/US2016/045166号を参照された
い)。ネストは、密封された凍結乾燥チャンバの外側から操作可能な機構によって閉鎖さ
れ得る通気口を有するプレートのための容器である。マルチウェルプレートを含むネスト
は、1つ以上の通気口が開放位置にある状態で凍結乾燥チャンバ内に配置される。次いで
、チャンバは密封され、凍結乾燥雰囲気が、ネスト内の空間を含むチャンバ全体に印加さ
れる。次いで、1つ以上の通気口が閉鎖され、それによりネストを密封する。凍結乾燥チ
ャンバ上のシールは後に解放され、マルチウェルプレートを含むネストが取り外される。
次いで、オペレータがその中に位置する凍結乾燥組成物を使用するか、またはさらなる貯
蔵もしくは販売のために凍結乾燥検体を含むマルチウェルプレートを再密封する準備が整
うまで、ネストは、その中にマルチウェルプレートが位置付けられた状態で再配置および
貯蔵され得る。次いで、マルチウェルプレートのウェルは密閉され、周囲空気からの水分
の侵入を実質的に阻止することができる。いくつかの実施形態では、密封されたマルチウ
ェルプレートは、乾燥剤を含むパウチに貯蔵される。同様に、別々の槽が凍結乾燥を受け
ることができ、ネスト内での凍結乾燥を受けることができる。このようにして、密封され
たマルチウェルプレートへの少量の水分の侵入が防止され得る。
【0082】
最適な凍結乾燥条件は、製品に依存する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥手順は、
例えば、約-30℃~約-10℃の温度での熱処理ステップを含み得る。熱処理ステップ
は、例えば、30分~6時間の継続時間を有し得る。例えば、熱処理ステップは、約-2
0℃において約2時間であってもよい。いくつかの実施形態では、凍結乾燥手順は、例え
ば、約-50℃から約-10℃の温度での一次乾燥ステップを含み得る。一次乾燥ステッ
プは、例えば、約10時間~約75時間の継続時間を有し得る。いくつかの実施形態では
、凍結乾燥手順は、例えば、約-10℃~約40℃の温度での二次乾燥ステップを含み得
る。一次乾燥ステップは、例えば、約1時間~約24時間の継続時間を有し得る。凍結乾
燥中、凍結乾燥チャンバ内の圧力が大気圧より低くなるように、例えば、約10mTor
r~約250mTorrの範囲内になるように真空が印加される。
【0083】
他の乾燥方法としては、噴霧乾燥、流動床乾燥、除湿機、乾燥(desiccatio
n)、およびフィルタケーキの乾燥が挙げられる(NP Cheremisinoff(
2000)Handbook of Chemical Preocessing Eq
uipment,butterworth Heinemann,Boston,MAを
参照されたい)。除湿機は、Bry Air,Inc.,Sunbury,Ohioおよ
びDST Seibu Giken,Wyomissing,PAから入手可能である。
ロータリドライヤ、コニカルドライヤ、およびシェルフドライヤが入手可能である(Mc
Gill AirPressure LLC,Columbus,Ohio)。一実施形
態では、真空ドライヤは、材料を減圧に曝露することによって水分を除去し、蒸発によっ
て失われた熱は、熱源または水浴などのリザーバからの熱によって置き換えられ、槽は、
例えば、市販のロータリドライヤにあるような材料を含む。例示的な乾燥剤としては、シ
リカゲル乾燥剤、アルミノケイ酸塩および合成ゼオライトなどの分子ふるい乾燥剤、なら
びにベントナイト乾燥剤が挙げられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、反応混合物は、それらが使用のために再構成されるものと同
じ槽内で乾燥する。
【0085】
凍結乾燥または別様に固体もしくは乾燥組成物は、例えば、5重量%未満の水、4重量
%未満、3重量%未満、2重量%未満、1.0重量%未満、0.5重量%未満、0.2重
量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.02重量%未満、0.01重量
%未満などでの低い含水量を有する。いくつかの実施形態では、固体組成物は、約5mg
~約20g、約200mg~約20g、約1g~約20g、約5g~約20g、約5mg
~約1g、約5mg~約500mg、約5mg~約200mg、約5mg~約100mg
、約5mg~約50mg、約5mg~約20mg、約5mg~約10mg、約10mg~
約200mg、約20mg~約200mg、約50mg~約200mg、または約100
mg~約200mgの範囲の質量を有する。
【0086】
凍結乾燥または別様に固体もしくは乾燥組成物は、使用前に貯蔵される。貯蔵期間は、
乾燥組成物が周囲空気に曝露される室温で貯蔵される期間を含み得る。そのような期間は
、最大3時間、あるいは最大1.0時間、最大1.5時間、最大2.0時間、最大2.5
時間、最大3.5時間、最大4.0時間、最大5.0時間、最大6.0時間、最大8.0
時間、または90分~180分などの時間のいずれかの範囲であってもよい。そのような
貯蔵中の絶対湿度は、空気1立方メートル当たり少なくとも2.3gの水、あるいは空気
1立方メートル当たり1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0グラム
を超え、最大で貯蔵条件下での約95%の相対湿度に対応する絶対湿度であってもよい。
あるいは、相対湿度は、例えば、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、
約90%、または約95%の相対湿度など、約40%~約95%の相対湿度であってもよ
い。
【0087】
貯蔵はまた、乾燥または固体組成物が密封され、シールの外側の周囲空気との接触を実
質的に防止する、より長い期間を含み得る。この貯蔵期間は、長時間、例えば、少なくと
も1週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、または少なくとも2
年であってもよい。1ヶ月~2年の期間が例示的である。
【0088】
長期貯蔵または長期もしくは短期安定性研究のための貯蔵温度の範囲としては、例えば
、0~2℃、0~4℃、2~4℃、2~6℃、20℃、25℃、30℃、40℃、50℃
、60℃、ならびに液体窒素下で-4~-2℃、-6~-2℃、-8~-2℃、-10~
-2℃、-20℃、-40℃、-60℃、-80℃などの零下温度が挙げられる。好まし
くは、貯蔵は、凝固点よりも上で、約4~8℃の範囲内である。加速分解研究は、例えば
、1時間、2時間、4時間、24時間、2日間、4日間、8日間、1ヶ月、3ヶ月、10
0日間などの期間にわたって、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃で行われ得る。
貯蔵あるいは安定性試験のための条件は、凝固点よりも上から凝固点よりも下に変動する
ように温度が変動する条件であってもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、溶液は、水を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、少な
くとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55重量%、6
0重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%
、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.5重量%、9
9.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99.9重量%の水を含む。い
くつかの実施形態では、溶液は、少なくとも10体積%、20体積%、30体積%、40
体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体積%、75体積%、
80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、96体積%、97体積%、98体積
%、99体積%、99.5体積%、99.6体積%、99.7体積%、99.8体積%、
または99.9体積%の水を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、溶液は、極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、溶
液は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、55
重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、
90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.5
重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99.9重量%の極
性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、少なくとも10体積%、20体積
%、30体積%、40体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70
体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、96体積%、
97体積%、98体積%、99体積%、99.5体積%、99.6体積%、99.7体積
%、99.8体積%、または99.9体積%の極性有機溶媒水を含む。いくつかの実施形
態では、極性有機溶媒は、エタノールを含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は
、イソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、DMSOを含む
。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、グリセロールを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、溶液は、非極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、
溶液は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、5
5重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%
、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.
5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99.9重量%の
非極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、少なくとも10体積%、20
体積%、30体積%、40体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、
70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、96体積
%、97体積%、98体積%、99体積%、99.5体積%、99.6体積%、99.7
体積%、99.8体積%、または99.9体積%の非極性有機溶媒水を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、溶液中の溶質の総量は、約0.01%~約50%(w/v)
、約0.05%~約50%(w/v)、約0.1%~約50%(w/v)、約0.2%~
約50%(w/v)、約0.5%~約50%(w/v)、約1%~約50%(w/v)、
約2%~約50%(w/v)、約5%~約50%(w/v)、約10%~約50%(w/
v)、約0.01%~約25%(w/v)、約0.01%~約10%(w/v)、約0.
01%~約5%(w/v)、約0.01%~約2%(w/v)、約0.01%~約1%(
w/v)、約0.01%~約0.1%(w/v)、約0.1%~約1%(w/v)、約1
%~約2%(w/v)、約2%~約5%(w/v)、約5%~約10%(w/v)、約1
0%~約20%(w/v)、または約20%~約50%(w/v)である。いくつかの実
施形態では、溶液中の溶質の総量は、約0.01%~約50%(w/w)、約0.05%
~約50%(w/w)、約0.1%~約50%(w/w)、約0.2%~約50%(w/
w)、約0.5%~約50%(w/w)、約1%~約50%(w/w)、約2%~約50
%(w/w)、約5%~約50%(w/w)、約10%~約50%(w/w)、約0.0
1%~約25%(w/w)、約0.01%~約10%(w/w)、約0.01%~約5%
(w/w)、約0.01%~約2%(w/w)、約0.01%~約1%(w/w)、約0
.01%~約0.1%(w/w)、約0.1%~約1%(w/w)、約1%~約2%(w
/w)、約2%~約5%(w/w)、約5%~約10%(w/w)、約10%~約20%
(w/w)、または約20%~約50%(w/w)である。いくつかの実施形態では、溶
液中の溶質の総量は、約0.01%~約50%(v/v)、約0.05%~約50%(v
/v)、約0.1%~約50%(v/v)、約0.2%~約50%(v/v)、約0.5
%~約50%(v/v)、約1%~約50%(v/v)、約2%~約50%(v/v)、
約5%~約50%(v/v)、約10%~約50%(v/v)、約0.01%~約25%
(v/v)、約0.01%~約10%(v/v)、約0.01%~約5%(v/v)、約
0.01%~約2%(v/v)、約0.01%~約1%(v/v)、約0.01%~約0
.1%(v/v)、約0.1%~約1%(v/v)、約1%~約2%(v/v)、約2%
~約5%(v/v)、約5%~約10%(v/v)、約10%~約20%(v/v)、ま
たは約20%~約50%(v/v)である。
【0093】
溶液の例示的な体積としては、約1uL、約5uL、約10uL、約20uL、約24
uL、約50uL、約100uL、約200uL、約300uL、約400uL、約50
0uL、約600uL、約700uL、約800uL、約900uL、約1,000uL
(1mL)、約2mL、約5mL、約10mL、約20mL、約50mLが挙げられる。
再構成組成物は、乾燥前の溶液と同じ体積、より低い体積、またはより大きい体積で形成
され得る。より低い体積は、バルク試薬に対して約90%、約80%、約60%、約40
%、約20%、約10%、または約5%であってもよい。より大きい体積は、バルク試薬
の体積の約120%、140%、160%、180%、200%(2倍)、約4倍、約6
倍、約8倍、約10倍、約20倍であってもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、溶液は、充填剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、
1つ以上の酵素を含む。いくつかの態様では、溶液は、分子アッセイを実施するのに有用
な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、緩衝
剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、塩を含む。いくつかの実施形態では、溶液
は、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、1つ以
上のデオキシヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、dATP
、dGTP、dCTP、ならびにdTTPおよびdUTPのうちの少なくとも1つを含む
。
【0095】
いくつかの実施形態では、溶液は、無機塩を含まない。いくつかの実施形態では、溶液
は、約5mM~0mMの無機塩を含有する。溶液中の無機塩のさらなる例示的な濃度範囲
は、約4mM~0mM、約3mM~0mM、約2mM~0mM、約1mM~0mM、また
は約500μM~0mMである。増幅および検出反応混合物のためのさらなる一般的な無
機塩としては、いくつか例を挙げると、ナトリウム、カリウム、マンガン、マグネシウム
、および塩化物のうちの1つ以上が挙げられる。
【0096】
いくつかの実施形態では、溶液は、5mM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイクロ
リットル当たり0.373μg/μL以下、または0.332μg/μL以下、または0
.292μg/μL以下の質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり
0.292μg/μL以下、0.146μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質
量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.115μg/μL以下、
0.057μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カリウ
ムが、1マイクロリットル当たり0.373μg/μL以下、0.186μg/μL以下
、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル当た
り0.196μg/μL以下、0.098μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの
質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.355μg/μL以
下、0.178μg/μL以下、0.089μg/μL以下、もしくは0.0μg/μL
の質量で存在する。
【0097】
いくつかの実施形態では、溶液は、4mM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイクロ
リットル当たり0.298μg/μL以下、または0.266μg/μL以下、または0
.234μg/μL以下の質量で存在し得、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当た
り0.234μg/μL以下、0.117μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの
質量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.092μg/μL以下
、0.046μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カリ
ウムが、1マイクロリットル当たり0.298μg/μL以下、0.149μg/μL以
下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル当
たり0.156μg/μL以下、0.078μg/μL以下、もしくは0.0μg/μL
の質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.284μg/μL
以下、0.142μg/μL以下、0.071μg/μL以下、もしくは0.0μg/μ
Lの質量で存在する。
【0098】
いくつかの実施形態では、溶液は、3mM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイクロ
リットル当たり0.224μg/μL以下、または0.199μg/μL以下、または0
.175μg/μL以下の質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり
0.175μg/μL以下、0.088μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質
量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.069μg/μL以下、
0.034μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カリウ
ムが、1マイクロリットル当たり0.224μg/μL以下、0.112μg/μL以下
、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル当た
り0.117μg/μL以下、0.059μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの
質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.213μg/μL以
下、0.107μg/μL以下、0.053μg/μL以下、もしくは0.0μg/μL
の質量で存在する。
【0099】
いくつかの実施形態では、溶液は、2mM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイクロ
リットル当たり0.149μg/μL以下、または0.133μg/μL以下、または0
.117μg/μL以下の質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり
0.117μg/μL以下、0.058μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質
量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.046μg/μL以下、
0.023μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カリウ
ムが、1マイクロリットル当たり0.149μg/μL以下、0.075μg/μL以下
、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル当た
り0.078μg/μL以下、0.039μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの
質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.142μg/μL以
下、0.071μg/μL以下、0.036μg/μL以下、もしくは0.0μg/μL
の質量で存在する。
【0100】
いくつかの実施形態では、溶液は、1mM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイクロ
リットル当たり0.075μg/μL以下、または0.066μg/μL以下、または0
.058μg/μL以下の質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり
0.058μg/μL以下、0.029μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質
量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.023μg/μL以下、
0.011μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カリウ
ムが、1マイクロリットル当たり0.075μg/μL以下、0.037μg/μL以下
、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル当た
り0.039μg/μL以下、0.020μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの
質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.071μg/μL以
下、0.036μg/μL以下、0.018μg/μL以下、もしくは0.0μg/μL
の質量で存在する。
【0101】
いくつかの実施形態では、溶液は、500μM以下の無機塩を含み、無機塩は、1マイ
クロリットル当たり0.037μg/μL以下、または0.033μg/μL以下、また
は0.029μg/μL以下の質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当
たり0.029μg/μL以下、0.015μg/μL以下、もしくは0.0μg/μL
の質量で存在するか、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.011μg/μL以
下、0.006μg/μL以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、塩化カ
リウムが、1マイクロリットル当たり0.037μg/μL以下、0.019μg/μL
以下、もしくは0.0μg/μLの質量で存在するか、カリウムが、1マイクロリットル
当たり0.020μg/μL以下、0.010μg/μL以下、もしくは0.0μg/μ
Lの質量で存在するか、または塩化物が、1マイクロリットル当たり0.036μg/μ
L以下、0.018μg/μL以下、0.009μg/μL以下、もしくは0.0μg/
μLの質量で存在する。
【0102】
いくつかの実施形態では、溶液は、約5mM~約500μMの無機塩を含み、無機塩が
、1マイクロリットル当たり約0.373μg/μL~約0.029μg/μLの質量で
存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.292μg/μL~約0.0
29μg/μLの質量で存在し、ナトリウムが、1マイクロリットル当たり0.115μ
g/μL~約0.006μg/μLの質量で存在し、塩化カリウムが、1マイクロリット
ル当たり約0.373μg/μL~約0.019μg/μLの質量で存在し、カリウムが
、1マイクロリットル当たり0.196μg/μL~約0.010μg/μLの質量で存
在し、塩化物が、1マイクロリットル当たり0.355μg/μL~約0.009μg/
μLの質量で存在するか、無機塩が、1マイクロリットル当たり約0.373μg/μL
~約0.029μg/μLの質量で存在し、塩化ナトリウムが、1マイクロリットル当た
り約0μg/μLの質量で存在し得るか、または無機塩が、1マイクロリットル当たり約
0.373μg/μL~約0.029μg/μLの質量で存在し、塩化カリウムが、1マ
イクロリットル当たり約0μg/μLの質量で存在する。
【0103】
いくつかの実施形態では、1つ以上のヌクレオシド三リン酸のうちの少なくとも1つが
、溶液中に約0.1mM~約0.3mMまたは約0.2mM~約0.6mMの範囲の量で
存在する。
【0104】
いくつかの実施形態では、溶液は、薬学的に活性な薬剤、例えば、1つ以上の単回単位
用量の薬学的に活性な薬剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、薬学的に許容され
る塩をさらに含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、溶液は、核酸合成または増幅アッセイを実施するのに十分な
試薬を含む。「核酸合成または増幅アッセイを実施するのに十分な試薬」とは、ポリメラ
ーゼ、適切な二価陽イオン塩、およびヌクレオチド三リン酸などの、核酸合成を実施する
ために使用され得る、溶媒および試料または鋳型核酸以外の試薬のセットを意味する。そ
のような試薬セットは、酵素および他の成分の選択によるPCR、RT-PCR、および
転写媒介増幅を含む様々な種類の増幅のためにカスタマイズされ得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、溶液は、捕捉プローブまたは加水分解プローブを含む。いく
つかの実施形態では、溶液は、RNase阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、RN
ase阻害剤は、約0.12U/μL~約0.20U/μLの濃度で溶液中に存在する。
いくつかの実施形態では、溶液は、キレート剤を含む。いくつかの実施形態では、キレー
ト剤は、1.5mM~2.0mMの濃度で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、
溶液は、洗剤を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、本開示に従った溶液(凍結乾燥前混合物と称される場合もあ
る)は、ポリメラーゼ;増幅および検出反応で使用するためのヌクレオチド;有機緩衝剤
、例えば、トリス;ならびにトレハロースもしくはラフィノースまたはそれらの組み合わ
せなどの充填剤のうちの1つ、2つ、3つ、または全部を含む。溶液はまた、1つ以上の
核酸を含んでも含まなくてもよい。溶液は、逆転写酵素と、キレート剤と、RNase阻
害剤とをさらに含んでもよい。
【0108】
増幅反応に取り込むためのヌクレオチドは、典型的にはdNTPとして提供される。d
NTPに対する例示的な濃度は、0.1~0.3mMのdATP、0.1~0.3mMの
dGTP、0.1~0.3mMのdCTP、0.2~0.6mMのdTTP、0.2~0
.6mMのdUTP、好ましくは約0.2mMのdATP、約0.2mMのdGTP、約
0.2mMのdCTP、および0.4mMのdTTPまたはdUTPである。
【0109】
例示的な溶液は、0.1~0.3mM、より好ましくは0.2mMのdATP、dGT
P、およびdCTP、ならびに0.2~0.6mM、より好ましくは0.4mMのdUT
PまたはdTTP、および0.3~0.8U/μLのポリメラーゼを有する。いくつかの
組成物において、ポリメラーゼは、ホットスタートTaqポリメラーゼである。いくつか
の組成物において、ポリメラーゼは、GoTaq(登録商標)MDx Hot Star
tポリメラーゼである。いくつかの組成物はまた、0.12~0.20U/μLのRNA
asin(商標)RNAase阻害剤も含む。いくつかの組成物はまた、任意に1.5~
2.0mMのEDTAも含む。そのような組成物はまた、0.16~0.32Mのトレハ
ロースと、1.5~2.0mMのEDTAとを含み、ポリメラーゼは、0.3~0.45
U/μLのTaqである。
【0110】
本開示は、リアルタイムPCR反応を含むPCR反応のための試薬を提供する。(Re
al-time PCR Handbook,Life Technologies(2
014)、Kutyavin et al(2000)Nucleic Acids R
es.28:655、Afonina et al(2002)Biotechniqu
es.32:940)。リアルタイムPCRにおいて、マグネシウム塩は、典型的には約
3~6mmの最終濃度で使用される(Real-time PCR Handbook、
上記を参照)。いくつかの実施形態では、本開示は、多重PCR反応のための、つまり複
数の標的の増幅および検出のために複数のプライマー対が提供される場合の試薬を提供す
る。本開示は、PCR反応のためのプライマーおよびプローブを提供する。プライマーお
よび/またはプローブは、標的ハイブリダイズ配列を含み、非標的ハイブリダイズ配列、
ヌクレオチド類似体、検出可能な部分、および非ヌクレオチドリンカーのうちの1つ以上
をさらに含み得る(例えば、WO2010/151566およびWO2013/1267
93を参照されたい)。いくつかの実施形態では、1つ以上のプライマーまたはプローブ
がハイブリダイゼーションに好適であるか、またはストリンジェントな条件下で標的核酸
、鋳型核酸、もしくは試料核酸にハイブリダイズする。サーモサイクラが入手可能である
(Applied Biosystems ProFlex(登録商標)PCR Sys
temおよびVeriti(商標)Thermal Cycler)。PCR産物を定量
化するためのゲルスキャナが入手可能である(Agilent(登録商標)2100 B
ioanalyzer(登録商標)、Bio-Rad(登録商標)濃度計)。
【0111】
溶液の形成後、それは、乾燥前にかなりの期間室温で放置され得る。期間は、乾燥ステ
ップが開始される前の最大8時間、あるいは乾燥ステップが開始される前の最大1時間、
最大2時間、最大4時間、最大6時間、最大10時間、最大12時間、または最大14時
間であってもよい。溶液中に他の試薬、例えばPCR試薬と一緒に相当量の塩を含むと、
このインキュベーション期間中に望ましくないハイブリダイゼーション生成物および他の
副生成物が生じる可能性がある。そのような望ましくないハイブリダイゼーション生成物
および副生成物は、本質的に無機塩のない、例えば、約5mM未満の無機塩を有する溶液
を形成することによって低減または排除され得る。
【0112】
溶液中に無機塩が存在すると、溶液の他の成分に応じて、以下の望ましくない特性のう
ちの1つ以上生じる可能性がある。核酸は、一緒にハイブリダイズし得、ハイブリダイゼ
ーションは、カリウム、ナトリウム、マンガン、マグネシウム、および/または塩化物な
どの塩からの無機イオンの存在によって刺激される。マンガンおよびマグネシウムのよう
な無機二価陽イオンの存在下でも、ポリメラーゼの加工性などの望ましくない酵素活性が
生じる可能性がある。そのような望ましくない活性は、非ホットスタート酵素およびホッ
トスタート酵素で生じ得る。塩の存在下での核酸ハイブリダイゼーションおよび酵素活性
の結果として、望ましくない副生成物が形成し始める可能性がある。加えて、無機塩は、
吸湿性であり、大気中の水分を固体組成物に引き込み得る。固体組成物の再水和は、貯蔵
安定性、酵素安定性を低減し、さらなる疑似の副生成物の形成を可能にし得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、本開示に従った溶液を乾燥させることによっ
て形成される。したがって、本開示に従った固体組成物は、本開示に従った溶液が含有し
得る任意の溶質を含有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、固体組成物は、充填剤
を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、1つ以上の酵素を含む。いくつかの実
施形態では、固体組成物は、分子アッセイを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴ
ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、緩衝剤を含む。いくつか
の実施形態では、固体組成物は、塩を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、無
機塩を含まない。いくつかの実施形態では、固体組成物は、1つ以上のヌクレオシド三リ
ン酸を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、1つ以上のデオキシヌクレオシド
三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、dATP、dGTP、dCT
P、ならびにdTTPおよびdUTPのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形
態では、固体組成物は、捕捉プローブまたは加水分解プローブを含む。いくつかの実施形
態では、固体組成物は、RNase阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物
は、キレート剤を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、洗剤を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、核酸合成または増幅アッセイを実施するのに
十分な試薬を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、ポリメラーゼ;増幅および
検出反応で使用するためのヌクレオチド;有機緩衝剤、例えば、トリス;ならびにトレハ
ロースもしくはラフィノースまたはそれらの組み合わせなどの充填剤のうちの1つ、2つ
、3つ、または全部を含む。溶液はまた、1つ以上の核酸を含んでも含まなくてもよい。
溶液は、逆転写酵素と、キレート剤と、RNase阻害剤とをさらに含んでもよい。
【0115】
固体組成物は、単回単位投与量(SUD)、または任意に2つ以上のSUDを提供する
ための試薬を含有し得る。単回単位用量は、単一以下の試料に増幅および/または検出反
応を実施するのに必要な試薬の集合である。単回単位用量は、液体試薬または乾燥ペレッ
トを指すことができる。本明細書で言及されるように、単回単位用量が、単一の試料に対
して増幅および/または検出反応を実施するために必要な試薬の全部を含む必要がないこ
とは注目すべきことである。単回単位用量は、増幅および/または検出反応を実施するた
めに必要な試薬を欠いていてもよい。同様に、単回単位用量は、増幅および/または検出
反応を実施するのに不十分な量の試薬を含み得る。ほんの一例として、乾燥した単回単位
用量ペレットは、増幅反応を実施するための適切な単位のTaqポリメラーゼを含み得る
が、マグネシウムを含まなくてもよい。このような例では、マグネシウムは、例えば、再
構成液体によって、乾燥した単回単位用量ペレットに添加され得る。また、ほんの一例と
して、乾燥した単回単位用量は、増幅反応を実施するのに不十分な量のdNTPを含み得
る。このような例では、dNTPの残りは、例えば、再構成液体によって、乾燥した単回
単位用量ペレットに添加され得る。本開示を把握している当業者は、これらの例が非限定
的であるため、様々な組成を有するSUDおよび乾燥ペレットSUDを容易に生成するで
あろう。本明細書で使用される場合、「単回単位用量を含有する」という語句およびその
他の文法形態は、無制限の量を受け入れず、すなわち、単回単位用量を含有する溶液、組
成物、または凹面(例えば、ウェル)が2つ以上のSUDを含有しない。
【0116】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、薬学的に活性な薬剤、例えば、1つ以上の単
回単位用量の薬学的に活性な薬剤を含む。いくつかの実施形態では、固体組成物は、薬学
的に許容される塩をさらに含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、5mM以下の無機塩を含む溶液を乾燥させる
ことから作製され、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.311%
以下、0.277%以下、または0.244%以下である。例えば、溶液は、4mM以下
の無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.
249%以下、0.222%以下、または0.195%以下である。溶液は、3mM以下
の無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.
186%以下、0.166%以下、または0.146%以下である。溶液は、2mM以下
の無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.
124%以下、0.111%以下、または0.097%以下である。溶液は、1mM以下
の無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、0.
062%以下、0.055%以下、または0.049%以下である。溶液は、500μM
以下の無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセントは、
0.031%以下、0.028%以下、または0.024%以下である。溶液は、5mM
~500μMの無機塩を含むことができ、固体組成物の質量に対する無機塩の質量パーセ
ントは、約0.311%~0.024%である。いくつかの実施形態では、固体組成物の
質量に対する塩化ナトリウムの質量パーセントは、約0%であるか、または固体組成物の
質量に対する塩化カリウムの質量パーセントは、約0%である。上記の固体組成物のうち
の1つの乾燥した単回単位用量を含む槽もまた提供される。2つ以上のウェルを含むマル
チウェルプレートもまた提供され、ウェルの少なくとも2、3、4、5、6、10、12
個、または全部が、上記の固体組成物のうちの1つの乾燥した単回単位用量を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、再構成液体が使用または提供される。例えば、再構成液体は
、例えば、プラズマ処理表面上の固体組成物に添加され得る。いくつかの実施形態では、
再構成液体は、キットで提供される。
【0119】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、水を含む。いくつかの実施形態では、再構成
液体は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、5
5重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%
、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、99.
5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99.9重量%の
水を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、少なくとも10体積%、20体積%
、30体積%、40体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体
積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、96体積%、9
7体積%、98体積%、99体積%、99.5体積%、99.6体積%、99.7体積%
、99.8体積%、または99.9体積%の水を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態で
は、再構成液体は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50
重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、
85重量%、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量
%、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99.
9重量%の極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、少なくとも1
0体積%、20体積%、30体積%、40体積%、50体積%、55体積%、60体積%
、65体積%、70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体
積%、96体積%、97体積%、98体積%、99体積%、99.5体積%、99.6体
積%、99.7体積%、99.8体積%、または99.9体積%の極性有機溶媒水を含む
。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、エタノールを含む。いくつかの実施形態で
は、極性有機溶媒は、イソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒
は、DMSOを含む。いくつかの実施形態では、極性有機溶媒は、グリセロールを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、非極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態
では、再構成液体は、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、5
0重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%
、85重量%、90重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重
量%、99.5重量%、99.6重量%、99.7重量%、99.8重量%、または99
.9重量%の非極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、少なくと
も10体積%、20体積%、30体積%、40体積%、50体積%、55体積%、60体
積%、65体積%、70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、9
5体積%、96体積%、97体積%、98体積%、99体積%、99.5体積%、99.
6体積%、99.7体積%、99.8体積%、または99.9体積%の非極性の極性有機
溶媒水を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、充填剤を含む。いくつかの実施形態では、再
構成液体は1つ以上の酵素を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、分子アッセ
イを実施するのに有用な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形
態では、再構成液体は、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、塩を含
む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、無機塩を含まない。いくつかの実施形態で
は、再構成液体は、1つ以上のヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態では、
再構成液体は、1つ以上のデオキシヌクレオシド三リン酸を含む。いくつかの実施形態で
は、再構成液体は、dATP、dGTP、dCTP、ならびにdTTPおよびdUTPの
うちの少なくとも1つを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、核酸合成または増幅アッセイを実施するのに
十分な試薬を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、捕捉プローブまたは加水分解プローブを含む
。いくつかの実施形態では、再構成液体は、RNase阻害剤を含む。いくつかの実施形
態では、再構成液体は、キレート剤を含む。いくつかの実施形態では、再構成液体は、洗
剤を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、有機溶質を含有しないか、または実質的に含
まない。いくつかの実施形態では、再構成液体は、約1kDaよりも大きい分子量を有す
る有機溶質を含有しないか、または実質的に含まない。いくつかの実施形態では、再構成
液体は、約10kDaよりも大きい分子量を有する有機溶質を含有しないか、または実質
的に含まない。「実質的に含まない」とは、参照された物質が存在するとしても、それが
適切な目的、例えば再構成、検出、増幅などのために生じる組成物の適合性に影響を及ぼ
さないように十分低いレベルであることを意味する。
【0126】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、水中3.8~4.4mMのMgCl2、およ
び50~80mMのKClを提供する。再構成液体は、いくつかある成分の中でも、0.
012~0.020%のメチルパラベン、0.006~0.010%のプロピルパラベン
、および/または0.26%の無水エタノールを含有することもできる。
【0127】
いくつかの実施形態では、再構成液体は、薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実
施形態では、再構成液体および固体組成物(例えば、薬学的に活性な薬剤を含む固体組成
物)が組み合わせされて、例えば、単回単位用量の薬学的に活性な薬剤を含む薬学的に許
容される組成物を提供する。
【0128】
再構成時間は、固体組成物の意図する使用に好適な水溶液が固体組成物と接触した後、
1秒未満、2秒未満、5秒未満、10秒未満、15秒未満、20秒未満、50秒未満、ま
たは60秒(1分)未満であってもよく、接触は、任意に、振とう、タッピングボルテッ
クス、揺動、ピペットチップの出し入れ、または可鍛性バイアルの折り畳みもしくは圧搾
のいずれかによって促進される。例示的な再構成時間は、2~10秒である。再構成時間
は、再構成液体を用いて、冷蔵庫温度(約4℃)、約23℃の周囲温度溶液、または約3
7℃の温溶液のいずれかで測定され得る。典型的には、乾燥組成物は、冷蔵庫から取り出
されており、再構成液体の添加前には冷たい。これらの手順のいずれに対する環境(部屋
)も、典型的には周囲温度または約21℃~25℃、例えば23℃である。物質が再構成
されると判定される時点は、例えば、物質が完全に可溶化されていると判定される時点で
あってもよい。完全な可溶化は、例えば、濁りがないことまたはシュリーレンパターンが
ないことが完全な可溶化の尺度である場合、目視検査によって判定され得る。あるいは、
完全な可溶化は、光散乱を測定する機械などの光学機器によって判定され得る。
【0129】
任意の追加の成分(例えば、溶液中、固体組成物中、または再構成液体中)としては、
PCR試薬、界面活性剤、プライマー、プローブ、鋳型、メチルパラベン、およびプロピ
ルパラベンのうちのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。メチルパラベンの
典型的な濃度は、0.01~0.024重量%、例えば約0.016%、あるいは約0.
010%、約0.014%、約0.016%、約0.020%、約0.024%、または
これらの値によって境界が定められた任意の範囲である。プロピルパラベンの典型的な濃
度範囲は、0.002~0.016%または0.008%、あるいは約0.002%、約
0.004%、約0.006%、約0.008%、約0.010%、約0.012%、約
0.014%、約0.016%、またはこれらの値によって境界が定められた任意の範囲
である。
【0130】
いくつかの実施形態では、充填剤(例えば、溶液または固体組成物中に存在する)は、
糖類を含む。例示的な充填剤は、トレハロースもしくはラフィノースまたはそれらの組み
合わせである。使用され得る他の充填剤としては、スクロース、マンニトール、トレハロ
ース+マンニトール、スクロース+マンニトール、スクロース+グリシン、およびヒドロ
キシエチルスターチが挙げられる。Cleland et al(2001)J.Pha
rm.Sci.90:310、Meyer et al(2009)Eur.J.Pha
rm.Sci.38:29、Webb et al(2003)J.Pharm.Sci
.92:715、Garzon Rodrigues et al(2004)J.Ph
arm.Sci.93:684、Qiu et al(2012)Int.J.Phar
maceuticals.437:51)、Van Dijk-Wolthuis et
al(1997)Polymer.38:6235 6242を参照されたい。ヒドロ
キシエチルデンプンは、ヘタスターチ、ヘキサスターチ、ペンタスターチ、およびテトラ
スターチとして分類される(例えば、ChowのWO2014/099198を参照され
たい)。充填剤は、好ましくは、0.16M~0.32M、あるいは0.04~0.12
M、0.08~0.16M、0.12~0.20M、0.16~0.24M、0.20~
0.28M、0.24~0.32M、0.28~0.36M、0.32~0.40M、ま
たは0.08~0.24Mなどの前述の範囲の任意の組み合わせの濃度で存在する。いく
つかの実施形態では、充填剤は、スクロース、マンニトール、グリシン、ヒドロキシエチ
ルデンプン、ラフィノース、またはトレハロースのうちの少なくとも1つを含む。いくつ
かの実施形態では、充填剤は、トレハロースを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素(例えば、溶液、固体組成物、または再構成
液体中に存在する)は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リガーゼ、キナーゼ
、ホスファターゼ、プロテアーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼのう
ちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の酵素は、熱安定性DN
Aポリメラーゼを含む。いくつかの実施形態では、熱安定性DNAポリメラーゼは、ホッ
トスタート熱安定性DNAポリメラーゼであるか、または抗体と複合化している。いくつ
かの実施形態では、1つ以上の酵素は、約0.20U/uL~約0.72U/uLまたは
約0.1U/uL~約0.6U/uLの濃度で前記溶液中に存在するDNA依存性ポリメ
ラーゼ、逆転写酵素、または他の酵素を含む。
【0132】
DNAポリメラーゼ酵素は、市販されているか、またはユーザによって調製され得る。
ポリメラーゼ酵素の一例は、Qiagenから市販されているTaqポリメラーゼ(Ge
rmantown,MD、カタログ番号201203)である。Taqポリメラーゼの別
の例は、GoTaq(登録商標)G2 Flexi DNAポリメラーゼ(Promeg
a,Madison,WI、カタログ番号M7801)として市販されている。市販され
ている他のDNAポリメラーゼとしては、Tth DNAポリメラーゼ(例えば、Sig
ma-Aldrich,St.Louis,MO、カタログ番号11480022001
)、およびPhusion(登録商標)High-Fidelity DNAポリメラー
ゼ(NEB,Ipswich,MA、カタログ番号M0530S)などのキメラDNAポ
リメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。ホットスタートDNAポリメラーゼ
酵素も市販されている。例えば、Taqポリメラーゼは、GoTaq(登録商標)ホット
スタートポリメラーゼ(Promega、カタログ番号M5001)として市販されてい
る。GoTaq(登録商標)ホットスタートポリメラーゼは、抗体媒介ホットスタート酵
素であり、Taqポリメラーゼは、ポリメラーゼ活性を遮断する抗体に結合している。遮
断抗体は、高熱を使用して変性し、したがってPCR反応の初期の加熱ステップ中に、抗
体は変性し、ポリメラーゼ活性は回復する。ホットスタート法と共に、様々な抗体、例え
ば、TAQSTART抗体(Clontech Laboratories,Mount
ain View,CA、カタログ番号R028A)が使用され得る。同様に、化学的に
媒介されたホットスタートポリメラーゼを含む他のホットスタートポリメラーゼ酵素が利
用可能である。同等のポリメラーゼおよび抗体は、様々な商業的供給源から入手可能であ
り、あるいはユーザによって調製され得る。
【0133】
逆転写酵素は、市販されているか、または使用者によって調製され得る。市販の逆転写
酵素の例としては、MMLV(マロニーマウス白血病ウイルス)逆転写酵素およびSup
erScript(登録商標)III逆転写酵素(例えば、ThermoFisher
Scientific,Carlsbad,CA、カタログ番号28025-013およ
び18080-044)、MMLV RT(Sigma-Aldrich、カタログ番号
M1302)、AMV逆転写酵素(NEB,Ipswich,MA、カタログ番号M02
77S)、ならびにGoScript(商標)逆転写酵素(Promega、カタログ番
号A50003)が挙げられるが、これらに限定されない。GoScript逆転写酵素
は、逆転写酵素と、定量的PCR増幅のために最適化された第1鎖cDNAの合成のため
の試薬のセットとを含む。同等の逆転写酵素および試薬は、様々な商業的供給源から入手
可能であり、あるいはユーザによって調製され得る。
【0134】
単回単位用量中のDNAポリメラーゼ酵素の例示的濃度は、0.01~1.0U/μL
である。例えば、0.32U/μL、または0.4U/μL、または0.72U/μL、
または0.32~0.4U/μL、または0.4~0.72U/μL、または0.05~
0.3U/μL、または0.8~1.0U/μL。1単位のDNAポリメラーゼは、74
℃、30分での酸不溶性物質への10ナノモルのdNTPの取り込みを触媒するのに必要
とされる酵素の量として定義される。単回単位用量中の逆転写酵素の例示的な濃度は、0
.01U/μL~1.0U/μLである。1単位の逆転写酵素は、37℃、10分での酸
沈殿性物質への1nmolのデオキシヌクレオチドの転移を触媒するのに必要とされる酵
素の量として定義される。
【0135】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド(複数可)(例えば、溶液、固体組成物
、または再構成液体中に存在する)は、1つ以上の増幅オリゴマー(例えば、プライマー
、プロモーター-プライマー)、捕捉プローブ、検出プローブTaqmanプローブ、陽
性対照鋳型、および陰性対照鋳型である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド
のうちの少なくとも1つは、標識を含む。いくつかの実施形態では、標識は、蛍光、化学
発光、親和性、または放射性標識である。いくつかの実施形態では、標識は、ヌクレオチ
ドでも、リン酸塩でも、炭水化物でも、核酸塩基でもない。
【0136】
いくつかの実施形態では、核酸合成または増幅アッセイを実施するのに十分な試薬(例
えば、溶液、固体組成物、または再構成液体中に存在する)は、プライマー、プロモータ
ー-プライマー、またはプライマー対(任意にプロモーター-プライマーを含む)をさら
に含む。いくつかの実施形態では、核酸合成または増幅アッセイを実施するのに十分な試
薬は、緩衝剤、安定剤、保存剤、または他の補助物質のうちの1つ以上をさらに含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、緩衝剤(例えば、溶液、固体組成物、または再構成液体中に
存在する)は、有機緩衝剤である。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、無機緩衝剤であ
る。
【0138】
例示的な有機緩衝剤は、トリスである。本開示の溶液、固体組成物、または再構成液体
に取り込まれ得る代替の有機緩衝剤としては、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、CHES
、ヒスチジン、ならびにHEPES、MES、MOPS、トリシン、およびグリシンアミ
ドなどのグッド緩衝剤、ならびに緩衝剤の組み合わせが挙げられる。他の有機緩衝剤とし
ては、コハク酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、リン酸塩などが挙げられる。いくつかの
実施形態では、緩衝剤は、約5.5~約7.0または約6.0~約7.5のpH範囲、例
えば約6.5のpHで有効である。この範囲内でpHを制御する緩衝剤の例としては、コ
ハク酸塩(コハク酸ナトリウムなど)、グルコン酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩、および
他の有機酸緩衝剤が挙げられる。
【0139】
いくつかの実施形態では、キレート剤(例えば、溶液、固体組成物、または再構成液体
中に存在する)は、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EGTA(エチレングリコー
ル四酢酸)、EDDS(エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸)、MGDA(メチル
グリシン二酢酸)、またはDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)のうちの1つ以上で
ある。キレート剤の例示的な濃度は、約1mM~2.5mMである。
【0140】
いくつかの実施形態では、洗剤(例えば、溶液、固体組成物、または再構成液体中に存
在する)は、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、または双性イオン性洗剤である。洗
剤としては、多くの商業ベンダー(例えば、Geno Technology,Inc.
,St.Louis,MO)から入手可能なイオン性(陽イオン性または陰イオン性)、
非イオン性、および双性イオン性洗剤が挙げられる。例としては、ラウリル硫酸リチウム
、アンプロリウム塩酸塩、塩化ベンザルコニウム、コリンp-トルエンスルホナート塩、
ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルア
ンモニオ]-1-プロパンスルホナート、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムブロ
ミド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリ
ド、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホ
ナート、luviquat(商標)、メチルベンゼトニウムクロリド、ミリスチルトリメ
チルアンモニウムブロミド、N,N′,N′-ポリオキシエチレン(10)-N-獣脂-
1,3-ジアミノプロパン液体、オキシフェノニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニ
ウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラキス(デシル)アンモニウ
ムブロミド、トリカプリルイルメチルアンモニウムクロリド、アミドスルホベタイン-1
6、トリドデシルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムブ
ロミドNonidet P-40(登録商標)、Tween-20(登録商標)、Twe
en-80(登録商標)、Brij-35(登録商標)、Triton X-100(登
録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
RNase阻害剤タンパク質は、1:1の比でRNaseに非共有結合することによっ
て、RNase Aファミリーおよびヒト胎盤RNaseを阻害する天然および組換え5
0kDaタンパク質を含む(Promega Corp.,Madison,WI)。B
otella-Estrada et al(2001)Cancer Gene Th
er.8:278、Polakowski et al(1992)EXS.61:42
8を参照されたい。RNase阻害剤の例示的な濃度は、約0.04U/μL~約0.4
U/μLである。1単位は、5ngのリボヌクレアーゼAの活性を50%阻害するのに必
要とされるRNasin(登録商標)リボヌクレアーゼ阻害剤の量として定義される。活
性は、リボヌクレアーゼAによるシチジン2´,3´-環状一リン酸塩の加水分解の阻害
によって測定される。
【0142】
いくつかの実施形態では、乾燥ステップの前に、溶液は、表面上に分注される。いくつ
かの実施形態では、分注ステップの前に、表面は、プラズマ処理されてプラズマ処理表面
を形成する。
【0143】
いくつかの実施形態では、固体組成物は、プラズマ処理表面の凹面内にある。いくつか
の実施形態では、固体組成物は、プラズマ処理表面を含む槽内にある。いくつかの実施形
態では、槽は、管を含む。いくつかの実施形態では、槽は、複数のウェルを含むマルチウ
ェルプレートである。いくつかの実施形態では、槽、管、またはウェルの体積は、約40
μL~約60mLの範囲である。いくつかの実施形態では、乾燥ステップの後に、固体組
成物は、プラズマ処理表面を含む槽内に密封される。
【0144】
上述のように、ある特定の実施形態は、2つ以上のウェルを含むマルチウェルプレート
を伴う。いくつかの実施形態では、2つ以上のウェルは、低い水蒸気透過率、熱伝導率、
光透過性、低い自家蛍光、またはそれらの組み合わせを含む材料から構築された壁を含む
。一態様では、1つ以上のウェルは、円錐形状の壁を含む。いくつかの実施形態では、2
つ以上のウェルは、ウェル内に含まれる反応混合物に対してPCR増幅反応を実施するた
めのPCRサーマルサイクラに適合するように構成された壁を含む。いくつかの実施形態
では、2つ以上のウェルは、PCR、TMA、または他の核酸増幅反応を実施するための
デバイスの熱伝導性管受容領域に適合するように構成された壁を含む。いくつかの実施形
態では、2つ以上のウェルは、ウェルのチャンバにアクセスするための開口部を含む。い
くつかの実施形態では、2つ以上のウェルは各々、関連するウェルの開口部を密封するた
めのキャップを含む。いくつかの実施形態では、2つ以上のウェルの各々の開口部は、低
水蒸気透過率の箔であるキャップで密封される。いくつかの実施形態では、2つ以上のウ
ェルの各々の開口部は、低水蒸気透過率のエラストマー物質であるキャップで密封される
。一態様では、マルチウェルプレートは、本明細書に記載される2つ以上のウェルを含み
、2つ以上のウェルの各々のチャンバは、ポリメラーゼ酵素と無機塩とを含む乾燥した単
回単位用量組成物を含み、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは、約0.3
11%~0.024%である。一態様では、マルチウェルプレートは、本明細書に記載さ
れる2つ以上のウェルを含み、2つ以上のウェルの各々のチャンバは、逆転写酵素と無機
塩とを含む乾燥した単回単位用量組成物を含み、ペレットの質量に対する無機塩の質量パ
ーセントは、約0.311%~0.024%である。一態様では、マルチウェルプレート
は、本明細書に記載される2つ以上のウェルを含み、2つ以上のウェルの各々のチャンバ
は、ポリメラーゼ酵素と、逆転写酵素と、無機塩とを含む乾燥した単回単位用量組成物を
含み、ペレットの質量に対する無機塩の質量パーセントは、約0.311%~0.024
%である。
【0145】
本明細書に提供される固体組成物は、上記の再構成液体で再構成され得、次いで1つ以
上のさらなるステップで使用され得る。分析される試料は、再構成の前、再構成と同時、
または再構成の後のいずれかに固体組成物に添加され得る。いくつかの実施形態では、再
構成後の全組成物は、試料と組み合わせるために使用され、ここで、再構成液体/試料の
相対体積は、例えば、約9.9/0.1、9.8/0.2、9.5/0.5、9/1、8
/2、7/3、6/4、5/5などであってもよい。
【0146】
例えば、いくつかの実施形態では、核酸が添加され、核酸は、少なくとも1つの核酸修
飾またはハイブリダイゼーション反応を受ける。いくつかの実施形態では、核酸修飾また
はハイブリダイゼーション反応は、核酸合成または増幅を含む。いくつかの態様では、核
酸修飾またはハイブリダイゼーション反応は、プローブを核酸にハイブリダイズして、ハ
イブリダイズされた複合体を形成することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、プ
ローブのハイブリダイズされた複合体または核溶解を検出することをさらに含む。
【0147】
特に明記しない限り、溶液または再構成組成物中の試薬の濃度は、例えば、0.0%(
省略された試薬)、0.001%、0.004%、0.008%、0.0012%、0.
0016%、0.0020%、0.0030%、0.0040%、0.0050%、0.
0060%、0.0080%、0.01%、0.02%、0.04%、0.06%、0.
1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.8%、1%、2%、3
%、4%、5%などであってもよい。上記の濃度の「約」、上記の濃度未満、上記の濃度
よりも高い、上記の濃度のうちの任意の2つを伴う範囲にある試薬もまた提供される。
【0148】
プラズマ処理表面上の固体組成物に再構成液体を添加するなどの上述のステップを実施
するために、自動試料採取ハンドリング装置が使用され得る。いくつかの実施形態では、
試料もしくは鋳型、酵素、または塩などの追加の物質は、再構成と同時に、またはそれに
続いて連続的に自動試料採取ハンドリング装置を使用して添加される。反応混合物が組み
立てられ得、反応は、自動試料採取ハンドリング装置において実施され得る。いくつかの
実施形態では、自動試料採取ハンドリング装置は、同時の複数アッセイ、例えば、PCR
反応、転写媒介増幅、および標的捕捉ハイブリダイゼーションを実行することが可能なデ
バイス、例えば、Hologic(登録商標)Panther機器(Hologic,I
nc.,MA)など、ピペッタ、ミキサ、インキュベータ、および洗浄ステーションを有
するロボットデバイスである。
【0149】
1つ以上の酵素が存在する場合、無機塩が本質的に存在しないことは、乾燥前のバルク
試薬の貯蔵中、密封前の乾燥組成物の短期貯蔵中、および密封後の長期貯蔵中の酵素活性
の喪失および副生成物の形成を低減し得る。いくつかの実施形態では、全貯蔵後の酵素活
性は、貯蔵開始直前の値の、あるいは最適な条件下で貯蔵された比較試料に対して少なく
とも99%、少なくとも98%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも80
%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少な
くとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、およびこれらの百分率によって境
界が定められた範囲である。
【0150】
組成物の安定性は、例えば活性(すなわち、増幅の速度もしくは収率)または副生成物
の形成から、乾燥生成物の再構成後に評価され得る。安定性の欠如は、乾燥の前または後
のいずれかの貯蔵中の活性の喪失または副生成物の形成に起因し得る。副生成物の活性ま
たは形成は、絶対的または相対的な尺度であり得る。相対的であれば、比較のためのベー
スラインは、乾燥および再構成の前のバルク試薬混合物、または明確に試験用のものとは
異なる対照再構成混合物(例えば、Mg2+の塩または別の塩の存在)であり得る。活性
は、リアルタイム増幅率、または増幅産物の最終収率、またはヒット率によって評価され
得る。副生成物は、ゲル電気泳動、ゲルスキャナ、アガロースゲル、キャピラリー電気泳
動などのうちの1つ以上によってアッセイされ得る。
【0151】
再構成された増幅混合物の活性(異なる体積の再構成による任意の差に対して必要な場
合は補正される)は、好ましくは、75、80、85、90、もしくは95%以内である
か、または乾燥前のバルク試薬の活性と実験誤差内で区別できない。再構成された増幅混
合物内に存在する副生成物(異なる体積の再構成による任意の差に対して必要な場合は補
正される)は、好ましくは、乾燥前にバルク試薬中に存在する元の化合物の20、15、
10、5、4、3、2、もしくは1重量%未満または平均モルである。副生成物が検出限
界未満である場合がある。
【0152】
上記の固体組成物は、キットで提供され得る。そのようなキットは、管などの槽内に乾
燥組成物を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、2つ以上のウェルを
含むマルチウェルプレートを含む。いくつかのキットは、別々の槽で供給される複数の乾
燥組成物を含む。いくつかのキットは、マルチウェルプレートの2つ以上の密封されたウ
ェルメンバー内に複数の乾燥組成物を含む1つ以上のマルチウェルプレートを含む。
【0153】
いくつかのキットはまた、乾燥組成物とは別の槽内に再構成液体を含む。再構成液体は
、固体組成物を含む個々の槽にアリコートを分注するためにまとめて提供され得るか、ま
たは1つ以上の単位用量の形態で提供され得、各々は、固体組成物を含む単一の槽と組み
合わせるためのものである。
【0154】
任意に、固体組成物を含む槽および再構成液体を含む槽は、脆弱材料によって分離され得
る。脆弱材料は、アルミニウム箔、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(P
VC)、またはポリエチレンを含み得る。脆弱材料は、1、2、3、またはそれ以上の層
を含むことができ、各層は、同じ組成を有するか、または各層は、PVC層と接触する箔
層などの異なる組成を有する。フィルムは、例えば、Dow Chemical Co.
,Midland,MIまたはArkema,Inc.,King of Prussi
a,PAから入手され得る。脆弱材料の穿孔は、再構成液体が固体(例えば、凍結乾燥)
組成物と接触することを可能にする。
【0155】
キットは、サーモサイクラまたはインキュベータに適合するように設計され得、これに
より酵素反応は、キットの区画内で直接起こって、組成物を異なる反応槽またはそのよう
な槽を保持する容器に移す必要性を回避する。
【0156】
キットは、例えば、ポート、ホース、セプタムを穿刺する注射器によってキット内の槽
へのユーザ供給試薬の導入のために適合され得るか(US2014/0121515およ
びUS2014/0276356を参照されたい)、あるいは核酸鋳型などのユーザ供給
試薬は、ユーザ供給容器中で本開示の試薬と混合され得る。キットの区画のうちの1つ以
上は、空の状態で供給され、混合チャンバとして使用され得る。
【0157】
部分的な数が、部分的な数が意味する範囲を指すことを理解して、全ての範囲がその範
囲の全体的および部分的な数を含む。ほんの一例として、あるタイプのオリゴヌクレオチ
ドについての核酸塩基長範囲は、部分的なヌクレオチド単位を指すことに意味がないため
、部分的な数を含まず、温度長範囲は、温度測定が部分的な値であり得るため、部分的な
数を含む。さらに、範囲は、その範囲を定義する値を含む。
【実施例0158】
材料および方法
マルチウェルプラスチックカートリッジを、IoN 140プラズマチャンバなどの市
販のプラズマ処理装置を使用して、空気またはO2中でコロナ放電を使用してプラズマ処
理に供した。プラズマ処理の程度を、接触角測定によって監視した。未処理のマイクロプ
レートは、典型的には75°~100°の範囲の接触角を有していた。処理されたマイク
ロプレートは、典型的には11°~22°の範囲の接触角を示した。したがって、プラズ
マ処理は、接触角を約55°~90°減少させた。カートリッジ内のプラスチックの種類
は、環状オレフィンコポリマーであった。
【0159】
トレハロース(約0.15M~約0.40M)を含有する水溶液を、未処理カートリッ
ジウェルおよびプラズマ処理カートリッジウェルに、1ウェル当たり約15~約50μL
の体積で分注した。異なる実験では、溶液を、例えば、上に提供されたパラメータと一致
する異なるサイクル長を使用して凍結乾燥させた。凍結乾燥させる生成物の溶質濃度また
は不安定性などの考慮事項がより長いサイクルを支持しない限り、より高いスループット
を提供するために、より短いサイクルが一般に好ましい。上述のように、最適な凍結乾燥
パラメータは、製品に依存する。凍結乾燥トレハロースの固体組成物(ペレット)を、マ
イクロプレートおよびカートリッジのウェル中に形成した。
【0160】
未処理カートリッジウェル表面およびプラズマ処理カートリッジウェル表面へのペレッ
トの付着を、以下のように落下試験を実施することによって評価した。
【0161】
試験される各カートリッジを、軟質発泡体上に120mmの高さに保持したそり上に配
置した。そりを解放し、発泡体上に落下させた。カートリッジウェルを、ペレットが緩ん
でいないかどうかに関して調べた。これらのステップを、落下2~4について240、3
60、および440mmの連続的に増加する高さで繰り返した。軟質発泡体上への440
mmの落下に続いて、軟質発泡体を堅いクッションと交換し、120、240、360、
および440mmの高さから落下5~8を実施し、ペレットが各落下後に緩んでいないか
どうかを観察した。堅いクッション上への440mmの落下に続いて、堅いクッションを
硬質表面(コンクリートまたは鋼)と交換し、式h=20mm×(d-8)(式中、dは
、落下数である)に従って高さhで落下9~32を実施した。例えば、落下9は、20m
mから、落下10は40mmからなどであり、最大で落下32は、480mmからであっ
た。落下33~98は各々、480mmから硬質表面上に実施した。
【0162】
実施例1.短期サイクル凍結乾燥を用いたプラズマ処理
図2A~2Bは、棒グラフを示し、各棒の高さは、未処理カートリッジ(「なし」)ま
たは4つのプラズマ処理カートリッジ(「プラズマ1」~「プラズマ4」)の12個のウ
ェルの各々の中でペレットが緩む前に耐えた落下の数を示す。凍結乾燥をより短いサイク
ルを使用して実施した。
【0163】
ウェルへのペレットの付着は、プラズマ処理ウェルにおいて著しく強かった。未処理ウ
ェルでは、ペレットは、平均9.1回の落下後に緩くなり、一方、プラズマ1、プラズマ
2、プラズマ3、およびプラズマ4処理ウェルに関しては、ペレットは、それぞれ平均4
6.6、62.2、55.7、および59.4回の落下後に緩んだ。
【0164】
空気およびO2中でプラズマ処理したカートリッジを使用して、追加の実験を実施した
。これらの実験において、ペレットは、74~88回の平均落下数の後に緩んだ(データ
は図示せず)。
【0165】
実施例2.長期サイクル凍結乾燥を用いたプラズマ処理
図3A~3Bは、棒グラフを示し、各棒の高さは、未処理カートリッジ(「なし」)、
空気中でプラズマ処理した2つのカートリッジ(「プラズマ/空気1」および「プラズマ
/空気2」)、ならびにO
2中でプラズマ処理した2つのカートリッジ(「プラズマ/O
21」および「プラズマ/O
22」)の12個のウェルの各々の中でペレットが緩む前に
耐えた落下の数を示す。凍結乾燥をより長いサイクルを使用して実施した。
【0166】
ウェルへのペレットの付着は、プラズマ処理ウェルにおいて著しく強かった。未処理ウ
ェルでは、ペレットは、平均12.5回の落下後に緩くなり、一方、プラズマ/空気1、
プラズマ/空気2、プラズマ/O21、プラズマ/O22処理ウェルに関しては、ペレッ
トは、それぞれ平均36.9、48.2、38.8、および45.0回の落下後に緩んだ
。
【0167】
実施例1にあるようなプラズマ1、プラズマ2、プラズマ3、およびプラズマ4処理に
供されたカートリッジを、トレハロース溶液で充填し、より長いサイクルを使用して凍結
乾燥させた。ペレットは、35~41回の平均落下数の後に緩んだ(データは図示せず)
。
【0168】
実施例3.プラズマ処理カートリッジの貯蔵
カートリッジを実施例1にあるようなプラズマ処理に供した。プラズマ処理後、カート
リッジを1日、30日、90日、または100日のいずれかの期間、酸素含有環境中で貯
蔵した。貯蔵期間の終わりに、カートリッジ内のウェルを糖類含有PCR反応溶液で充填
し、溶液を凍結乾燥させた。プラズマ処理されなかった対照カートリッジもまた糖類溶液
で充填し、凍結乾燥させ、1日、30日、90日、および100日の各々にわたって貯蔵
した。
【0169】
凍結乾燥後、凍結乾燥物質を含むカートリッジの全てを、出荷および取り扱い条件を模
倣するように設計されているパッケージ性能試験に供した。実施した個々の試験は、(i
)初期手動取り扱い、ASTM D5276-98規格、スケジュールA、(ii)積み
重ね振動、ASTM D4728-06規格、スケジュールD、(iii)ばら荷振動、
ASTM D999-08規格、スケジュールF、(iv)集中衝撃、ASTM D63
44-04規格、スケジュールJ、および(v)最終手動取り扱い、ASTM D527
6-98規格、スケジュールAであった。試験後、凍結乾燥物質を含有する各カートリッ
ジを目視検査し、PCRアッセイで使用した(再構成し、標的核酸と組み合わせ、増幅お
よび検出条件に供した)。貯蔵時間に関係なく、プラズマ処理カートリッジは、カートリ
ッジウェルの底部に付着した均一形状の乾燥組成物を含み、一方で、未処理カートリッジ
は、破壊および移動した組成物を含んだ。プラズマ処理カートリッジ内の物質に関するP
CRアッセイ性能は、いかなる偽陰性もなく強固で均一な標的検出結果を提供したが、未
処理カートリッジ内の物質に関するPCRアッセイ性能は一貫性がなく、多くの偽陰性を
含んでいた。
【0170】
少なくとも100日間、不活性雰囲気中で貯蔵される(酸素の存在下で貯蔵されるなど
)プラズマ処理カートリッジは、出荷および流通後も無傷で完全に活性な凍結乾燥物質を
保持するが、未処理カートリッジはそうではない。
【0171】
本開示は、本開示の組成物、試薬、方法、診断法、実験室データなどによって限定され
ず、本開示は、本明細書に開示される任意の特定の、または好ましい実施形態によって限
定されない。
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