(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012159
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ガスケット部品及びサッシ
(51)【国際特許分類】
E06B 3/54 20060101AFI20220107BHJP
E04B 2/96 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
E06B3/54 B
E04B2/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113788
(22)【出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】丹治 成基
【テーマコード(参考)】
2E002
2E016
【Fターム(参考)】
2E002NA01
2E002NB02
2E002NC01
2E002PA01
2E002QA08
2E002RA02
2E002RB01
2E002RB03
2E002UA01
2E002UA02
2E002UB04
2E002UB15
2E016AA05
2E016BA07
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016DA01
2E016DB03
2E016DC01
2E016DD03
(57)【要約】
【課題】サッシ枠に保持されるパネル体の下側で、ガスケット部品により、パネル体を支持しつつ、パネル体の損傷を抑制する。
【解決手段】パネル体2は、パネル体2の下縁部2Eに沿って延びるガスケット部品50に載置される。ガスケット部品50は、パネル体2を支持する硬質部54と、硬質部54よりも軟質な軟質部55を有する。硬質部54は、ガスケット部品50の長手方向における端部52から離隔して形成される。軟質部55は、硬質部54の端部52側に形成された端側軟質部55Aを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠に保持されるパネル体の下縁部に沿って延び、前記パネル体が載置されるガスケット部品であって、
ガスケット部品の長手方向における端部から離隔して形成され、前記パネル体を支持する硬質部と、
前記硬質部よりも軟質な軟質部と、を備え、
前記軟質部は、前記硬質部の前記端部側に形成された端側軟質部を有するガスケット部品。
【請求項2】
請求項1に記載されたガスケット部品において、
前記硬質部は、ガスケット部品の長手方向における両側の前記端部のそれぞれと中央部の間の2箇所に形成され、
前記端側軟質部は、2箇所の前記硬質部のそれぞれの前記端部側に形成され、
前記軟質部は、2箇所の前記硬質部の間に形成された中央側軟質部を有するガスケット部品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたガスケット部品において、
上側に突出して、前記パネル体の下縁部に当接する突部を有するガスケット部品。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたガスケット部品において、
前記軟質部は、中空部を有する筒状部であり、
前記硬質部は、中実部であるガスケット部品。
【請求項5】
サッシ枠、パネル体、及び、請求項1ないし4のいずれかに記載されたガスケット部品を備えたサッシ。
【請求項6】
請求項5に記載されたサッシにおいて、
前記サッシ枠は、前記ガスケット部品が載置されて、前記ガスケット部品及び前記パネル体の下縁部を室外側に露出させる下枠を有するサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ枠に設けられて、パネル体の下縁部に沿って延びるガスケット部品、及び、ガスケット部品を備えたサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
サッシのパネル体は、一般に、サッシ枠の開口部に配置されて、サッシ枠により保持される。また、サッシ枠の下枠では、下枠の保持部がパネル体の下縁部の室外側に配置されて、パネル体の下縁部が下枠の保持部により室外側から保持される。これに対し、従来、下枠に取り付けたガスケット(ガスケット部品)により、パネルの室外側面を保持するカーテンウォールが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来のカーテンウォールでは、セッティングブロックを下枠に配置して、パネルをセッティングブロックに載置する。その状態で、ガスケットの嵌合部を下枠のあり溝に嵌合し、ガスケットの被係止部を下枠の係止部に係止する。このように、従来のカーテンウォールでは、パネルを支持するため、ガスケット以外の部品が必要であり、部品の数が増加するとともに、複数の部品の設置に手間がかかることがある。また、サッシ枠が地震等により変形したときには、パネルがサッシ枠により押されて、パネルの下縁部の端部(角部)が下枠に接触する虞がある。パネルの損傷を抑制するためには、パネルの下縁部と下枠との接触を防止することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、サッシ枠に保持されるパネル体の下側で、ガスケット部品により、パネル体を支持しつつ、パネル体の損傷を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、サッシ枠に保持されるパネル体の下縁部に沿って延び、前記パネル体が載置されるガスケット部品であって、
ガスケット部品の長手方向における端部から離隔して形成され、前記パネル体を支持する硬質部と、
前記硬質部よりも軟質な軟質部と、を備え、
前記軟質部は、前記硬質部の前記端部側に形成された端側軟質部を有するガスケット部品である。
本発明は、サッシ枠、パネル体、及び、本発明のガスケット部品を備えたサッシである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サッシ枠に保持されるパネル体の下側で、ガスケット部品により、パネル体を支持しつつ、パネル体の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1のX1-X1線で切断した本実施形態のサッシの横断面図である。
【
図3】
図1のX2-X2線で切断した本実施形態のサッシの縦断面図である。
【
図4】本実施形態のサッシの下枠側の部分を示す正面図である。
【
図5】
図4のX3-X3線で切断した本実施形態のサッシの縦断面図である。
【
図6】本実施形態のサッシの下枠を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のガスケット部品及びサッシの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のガスケット部品は、サッシ用のガスケットであり、本実施形態のサッシに設けられる。また、本実施形態のサッシは、建物の壁部(外壁)に固定されて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に設置される。
【0010】
図1は、本実施形態のサッシ1の正面図であり、建物10の壁部11に設置されたサッシ1を室外側からみて示している。
図示のように、建物10は、壁部11に、複数の壁材12、複数の開口部13、及び、複数のサッシ1を備えている。複数の壁材12が建物10の躯体に取り付けられて、上下方向に離隔した壁材12の間に開口部13が形成されている。
【0011】
なお、建物10に設けたサッシ1を正面からみたときに、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。
図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向は水平方向である。室内外方向は、建物10に設けたサッシ1における室内外方向(屋内外方向)である。このように、サッシ1に関する方向とガスケット部品に関する方向は、建物10に設けた状態での方向で特定する。また、サッシ1とガスケット部品に関して室内側、室外側とは、建物10に設けた状態での室内側、室外側である。
【0012】
サッシ1は、建物10の壁部11に設置されるパネルユニットであり、建物10の開口部13に設置されている。サッシ1は、建物10の開口部13に左右方向に並べて設置されており、複数のサッシ1は、隣り合うサッシ1と互いに組み合わされている。サッシ1は、パネル体2と、パネル体2を囲むサッシ枠3を備えている。パネル体2は、方形状のパネル状部材であり、サッシ枠3の開口部3Aに配置されて、サッシ枠3に装着されている。
【0013】
ここでは、サッシ1は、サッシ窓であり、複数のサッシ1は、連窓を構成している。また、パネル体2は、サッシ枠3に固定されており、サッシ1は、固定窓である。パネル体2は、ガラスパネル体(例えば、複数のガラス板を有する複層ガラス)であり、サッシ枠3に嵌め込まれている。サッシ枠3は、方形状の枠体(開口枠)であり、建物10の開口部13に設置される。
【0014】
サッシ枠3は、互いに組み合わされた4つの枠20、30、40(上枠20、下枠30、一対の縦枠40)を有し、4つの枠20、30、40により、方形状の開口部3Aを形成している。枠20、30、40は、サッシ枠3を構成する枠材であり、例えば、押出成形により形成された形材からなる。上枠20と下枠30は、サッシ枠3の上下の横枠であり、サッシ枠3の上部と下部で左右方向(横方向)に沿って延びる。一対の縦枠40は、サッシ枠3の左右の側部で上下方向(縦方向)に沿って延びる。上枠20、下枠30、及び、左右の縦枠40が枠組みされて、枠20、30、40の端部同士が接続されている。
【0015】
図2は、
図1のX1-X1線で切断した本実施形態のサッシ1の横断面図であり、左右方向に隣接する2つのサッシ1の縦枠40側の部分を示している。
図3は、
図1のX2-X2線で切断した本実施形態のサッシ1の縦断面図である。
図示のように、サッシ1及びサッシ枠3は、建物10の躯体14の室外側に配置されて、躯体14に取り付けられる。パネル体2は、サッシ枠3に保持されて、建物10の開口部13内で室外側の位置に配置される。
【0016】
サッシ枠3の縦枠40(
図2参照)は、ヒレ状のレインバリア41と、中空状のウインドバリア42と、室内側部43と、パネル体2が装着される装着部44と、縦枠40の室外側の箇所に設けられた押縁45を有している。2つのサッシ1が左右方向に隣接する箇所で、左右のサッシ枠3の縦枠40は、左右方向において対向して配置される。
【0017】
室内側部43は、縦枠40の室内側の部分であり、パネル体2よりも室内側に位置している。装着部44は、縦枠40の室外側の部分(室外側部)であり、縦枠40のパネル体2の周辺に位置する部分及び押縁45により、室内側部43の室外側に形成されている。装着部44は、凹状に形成された溝部(装着溝部)であり、パネル体2の縦縁部2Aを収容する収容空間44Aを形成している。収容空間44Aは、装着部44に形成された溝状の空間であり、サッシ枠3の開口部3Aの内側(横側)に向かって開放されている。パネル体2の縦縁部2Aは、収容空間44Aに収容されて、装着部44に装着されている。
【0018】
縦枠40は、装着部44に設けられた室内側と室外側の2つの保持部46、47(室内側保持部46、室外側保持部47)を有しており、収容空間44Aは、2つの保持部46、47の間に形成されている。パネル体2の縦縁部2Aは、2つの保持部46、47の間に配置されて、保持部46、47により縦枠40に保持される。室内側保持部46は、パネル体2の縦縁部2Aの室内側に配置されて、室内外方向において、パネル体2の室内側面2Bと対向する。室外側保持部47は、パネル体2の縦縁部2Aの室外側に配置されて、室内外方向において、パネル体2の室外側面2Cと対向する。
【0019】
サッシ枠3の上枠20(
図3参照)は、ヒレ状のレインバリア21と、中空状のウインドバリア22と、中空状の室内側部23と、パネル体2が装着される装着部24と、上枠20の室外側の箇所に設けられた押縁25を有している。室内側部23は、上枠20の室内側の部分であり、パネル体2よりも室内側に位置している。
【0020】
装着部24は、上枠20の室外側の部分(室外側部)であり、上枠20のパネル体2の周辺に位置する部分及び押縁25により、室内側部23の室外側に形成されている。装着部24は、凹状に形成された溝部(装着溝部)であり、パネル体2の上縁部2Dを収容する収容空間24Aを形成している。収容空間24Aは、装着部24に形成された溝状の空間であり、サッシ枠3の開口部3Aの内側(下側)に向かって開放されている。パネル体2の上縁部2Dは、収容空間24Aに収容されて、装着部24に装着されている。
【0021】
上枠20は、装着部24に設けられた室内側と室外側の2つの保持部26、27(室内側保持部26、室外側保持部27)を有しており、収容空間24Aは、2つの保持部26、27の間に形成されている。パネル体2の上縁部2Dは、2つの保持部26、27の間に配置されて、保持部26、27により上枠20に保持される。室内側保持部26は、パネル体2の上縁部2Dの室内側に配置されて、室内外方向において、パネル体2の室内側面2Bと対向する。室外側保持部27は、パネル体2の上縁部2Dの室外側に配置されて、室内外方向において、パネル体2の室外側面2Cと対向する。
【0022】
サッシ枠3の下枠30は、ヒレ状のレインバリア31と、中空状のウインドバリア32と、中空状の室内側部33と、パネル体2と対向する対向部34と、パネル体2の下縁部2Eを支持する支持部35を有している。室内側部33は、下枠30の室内側の部分であり、パネル体2よりも室内側に位置している。
【0023】
対向部34と支持部35は、下枠30の室外側の部分(室外側部)であり、室内側部33の室外側に形成されている。対向部34は、パネル体2の下縁部2Eの室内側に配置された壁部であり、室内外方向において、パネル体2の室内側面2Bと対向する。支持部35は、対向部34の室外側に位置し、パネル体2の下縁部2Eの下側に配置されている。また、支持部35は、対向部34から室外側に突出して、パネル体2の下縁部2Eに沿って延びる。
【0024】
下枠30は、室内側押さえ部である対向部34により、パネル体2及び下縁部2Eを室内側において押さえており、パネル体2及び下縁部2Eを室外側において押さえる室外側押さえ部を有していない。これに対し、上枠20と縦枠40は、室内側押さえ部である室内側保持部26、46と、室外側押さえ部である室外側保持部27、47を有している。上枠20は、室内側保持部26により、パネル体2及び上縁部2Dを室内側において押さえ、室外側保持部27により、パネル体2及び上縁部2Dを室外側において押さえる。縦枠40は、室内側保持部46により、パネル体2及び縦縁部2Aを室内側において押さえ、室外側保持部47により、パネル体2及び縦縁部2Aを室外側において押さえる。
【0025】
サッシ1は、下枠30(
図3参照)に載置される弾性変形可能なガスケット部品50を備えている。ガスケット部品50は、下枠30の支持部35の上面に配置されて、下枠30の支持部35に保持される。パネル体2の下縁部2Eは、下枠30の支持部35及びガスケット部品50の上側に配置されている。ガスケット部品50は、対向部34の室外側、下枠30の支持部35の上側、及び、パネル体2の下縁部2Eの下側に配置されて、パネル体2の下縁部2Eに沿って延びる。また、ガスケット部品50は、下枠30の支持部35に載置されて、下枠30の長手方向(左右方向)に延びる。パネル体2の下縁部2Eは、ガスケット部品50に載置される。
【0026】
ガスケット部品50は、パネル体2の下側で、パネル体2の下縁部2Eと下枠30の支持部35に密着する。パネル体2の下縁部2Eがガスケット部品50の上面部51に当接して、ガスケット部品50がパネル体2の下縁部2Eと下枠30の支持部35の間に挟まれる。ガスケット部品50は、パネル体2から受ける荷重により、弾性変形する。下枠30の支持部35は、パネル体2の下縁部2Eとは接触せず、樹脂製のガスケット部品50を介して、パネル体2を下側から支持する。
【0027】
下枠30は、押縁を有していないため、ガスケット部品50及びパネル体2の下縁部2Eの室外側に配置されてパネル体2の下縁部2Eを保持する室外側保持部(室外側押さえ部)を有していない。そのため、下枠30は、パネル体2の下縁部2Eを収容する収容空間を形成しない。下枠30の装着部は、対向部34と支持部35であり、サッシ枠3の開口部3Aの内側(上側)及び室外側に向かって開放されている。パネル体2の下縁部2Eは、対向部34の室外側に配置されて、支持部35及びガスケット部品50の上側で、下枠30の装着部(対向部34、支持部35)に装着されている。下枠30は、ガスケット部品50及びパネル体2の下縁部2Eの室外側の箇所を室外側に向かって開放して、ガスケット部品50及びパネル体2の下縁部2Eを室外側に露出させる。パネル体2の室外側面2C、ガスケット部品50の室外側面、及び、下枠30の室外側面は、室内外方向における位置が互いに同じ位置になるように、上下方向に沿う同一面に配置されて、面一となっている。
【0028】
図4は、本実施形態のサッシ1の下枠30側の部分を示す正面図であり、
図1に示す1つのサッシ1の一部を拡大して示している。
図4では、パネル体2と下枠30の間のガスケット部品50にハッチングを付し、パネル体2とガスケット部品50の縦枠40で隠れた部分(縦枠40内に位置する部分)を鎖線で示している。
図示のように、パネル体2の下縁部2Eは、長手方向の全体にわたって、ガスケット部品50に載置されて、ガスケット部品50の上面部51に当接する。ガスケット部品50の長手方向は、パネル体2の下縁部2Eの長手方向(左右方向)、及び、下枠30の長手方向であり、ガスケット部品50は、パネル体2の下縁部2Eよりも長く形成されている。
【0029】
ガスケット部品50の長手方向の両側で、ガスケット部品50の端部52及びパネル体2の下縁部2Eの端部2Fは、縦枠40の収容空間44A(
図2参照)に収容されて、縦枠40の2つの保持部46、47の間に配置されている。パネル体2の下縁部2Eの端部2Fは、パネル体2の下縁部2Eの長手方向における端部であり、ガスケット部品50の端部52は、ガスケット部品50の長手方向における端部である。また、パネル体2の下縁部2Eの中央部2Gは、パネル体2の下縁部2Eの長手方向における中央部であり、ガスケット部品50の中央部53は、ガスケット部品50の長手方向における中央部である。
【0030】
縦枠40の室外側保持部47は、パネル体2の縦縁部2Aからパネル体2の下縁部2Eの端部2Fを経てガスケット部品50の端部52まで、パネル体2とガスケット部品50に連続して当接する。これにより、縦枠40の室外側保持部47は、パネル体2の縦縁部2Aと縦枠40の間の箇所をシールするとともに、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fと縦枠40の間の箇所をシールする。
【0031】
縦枠40の収容空間44A内で、ガスケット部品50は、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fからガスケット部品50の長手方向に突出し、ガスケット部品50の端部52は、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fよりもガスケット部品50の長手方向の外側に位置する。パネル体2の下縁部2Eの端部2Fは、パネル体2の下側の角部に位置し、ガスケット部品50の端部52よりもガスケット部品50の長手方向の内側(中央部53側)の箇所で、ガスケット部品50に載置される。パネル体2の下側の角部は、パネル体2の下縁部2Eと縦縁部2Aが交わる位置の角部である。
【0032】
ガスケット部品50は、パネル体2の下縁部2Eをシールする止水材であり、かつ、パネル体2を支持する支持材である。パネル体2の下側で、ガスケット部品50は、パネル体2の下縁部2Eと下枠30(支持部35)の間の箇所をシールするとともに、パネル体2の下縁部2Eを下側から支持する。また、ガスケット部品50は、ガスケット部品50の長手方向における端部52から離隔して形成された硬質部54(
図4の格子状のハッチングを付した部分)と、硬質部54よりも軟質な軟質部55(
図4の斜線のハッチングを付した部分)を備えている。
【0033】
ここでは、ガスケット部品50は、2箇所の硬質部54と3箇所の軟質部55を備えている。また、軟質部55は、ガスケット部品50の硬質部54以外の部分に形成されており、2箇所の端側軟質部55Aと1箇所の中央側軟質部55Bを有している。硬質部54は、ガスケット部品50の長手方向における両側の端部52のそれぞれと中央部53の間の2箇所に形成されている。端側軟質部55Aは、ガスケット部品50の長手方向における硬質部54よりも端部52側の箇所に形成された第1軟質部であり、中央側軟質部55Bは、ガスケット部品50の長手方向における硬質部54よりも中央部53側の箇所に形成された第2軟質部である。硬質部54と軟質部55は、剛性が相違している。
【0034】
硬質部54は、軟質部55(端側軟質部55A、中央側軟質部55B)よりも硬質な部分であり、ガスケット部品50における2箇所の端側軟質部55Aのそれぞれと中央側軟質部55Bの間の部分に形成されている。軟質部55は、ガスケット部品50の本体部である。端側軟質部55Aは、ガスケット部品50における2箇所の硬質部54のそれぞれのガスケット部品50の長手方向の外側(端部52側)の部分に形成され、中央側軟質部55Bは、ガスケット部品50における2箇所の硬質部54の間の部分に形成されている。端側軟質部55A、硬質部54、及び、中央側軟質部55Bは、ガスケット部品50の長手方向に沿って順に形成されるとともに連続して形成されている。
【0035】
図5は、
図4のX3-X3線で切断した本実施形態のサッシ1の縦断面図であり、硬質部54の箇所で切断したガスケット部品50の断面を示している。これに対し、
図3は、中央側軟質部55Bの箇所で切断したガスケット部品50の断面を示している。端側軟質部55Aの箇所で切断したガスケット部品50の断面は、中央側軟質部55Bの箇所で切断したガスケット部品50の断面と同じ形状である。
図示のように、ガスケット部品50の全体(硬質部54、軟質部55)は、1種類の樹脂材により形成されている。ただし、硬質部54と軟質部55は、ガスケット部品50の長手方向に直交する断面において互いに異なる形状に形成されている。
【0036】
ガスケット部品50の3箇所の軟質部55(
図3参照)は、ガスケット部品50の長手方向に直交する断面において互いに同じ形状に形成されている。軟質部55の端側軟質部55Aと中央側軟質部55Bは、中空部57を有する筒状部であり、中空形状(筒状)に形成されている。中空部57は、ガスケット部品50の内部に形成されて、ガスケット部品50の長手方向に延びる。ガスケット部品50の2箇所の硬質部54(
図5参照)は、ガスケット部品50の長手方向に直交する断面において互いに同じ形状に形成されている。硬質部54は、中実形状に形成された中実部であり、中空部を有していない。
【0037】
ガスケット部品50の製造時には、筒状のガスケット部品50を形成する。中空部57は、ガスケット部品50の長手方向の全体にわたって形成される。また、硬質部54の箇所で、ガスケット部品50の中空部57を区画する部分の一部を切除して、中空部57の一部を開放する。ここでは、ガスケット部品50の中空部57の室内側の部分と下側の部分を切除する。続いて、ガスケット部品50の切除した部分及び中空部57の内部に充填材58を充填して、充填材58をガスケット部品50に接合する。これにより、充填材58がガスケット部品50の一部となり、充填材58の箇所に、中実形状の硬質部54が形成される。ガスケット部品50の硬質部54以外の部分は、筒状の軟質部55である。
【0038】
ガスケット部品50の2箇所の硬質部54は、パネル体2を支持可能な支持部であり、中実形状に形成することで、ガスケット部品50において相対的に硬質に形成されている。また、硬質部54は、軟質部55よりも剛性が高く、軟質部55よりも変形し難い。硬質部54は、ガスケット部品50の長手方向において、端側軟質部55Aと中央側軟質部55Bの間に形成されて、パネル体2の下側で、パネル体2を支持している。ガスケット部品50の3箇所の軟質部55は、中空部57により、ガスケット部品50において相対的に軟質に形成されている。軟質部55は、硬質部54よりも剛性が低く、硬質部54よりも変形し易い。
【0039】
ガスケット部品50の硬質部54(
図4参照)は、ガスケット部品50の長手方向において、中央部53及び端部52から離隔して、中央部53の両側に形成されている。また、硬質部54は、ガスケット部品50の長手方向に互いに離隔して形成されている。2箇所の硬質部54は、互いの間に中央側軟質部55Bを挟んで形成されるとともに、それぞれ端側軟質部55Aと中央側軟質部55Bに挟まれて形成されている。
【0040】
ガスケット部品50の硬質部54は、ガスケット部品50の長手方向における両側の端部52のそれぞれと中央部53の間(一方の端部52と中央部53の間、及び、他方の端部52と中央部53の間)に位置している。硬質部54は、パネル体2の下縁部2Eの長手方向における両側の端部2Fのそれぞれと中央部2Gの間の位置で、パネル体2を支持する。パネル体2がガスケット部品50に載置された状態(ガスケット部品50の硬質部54によりパネル体2を支持する状態)で、軟質部55の中空部57が中空に維持されて、軟質部55が中空形状(筒状)に維持される。
【0041】
ガスケット部品50の端側軟質部55Aは、ガスケット部品50の端部52を含む部分であり、ガスケット部品50の長手方向において、2箇所の硬質部54のそれぞれの端部52側に形成されている。ガスケット部品50の中央側軟質部55Bは、ガスケット部品50の中央部53を含む部分であり、ガスケット部品50の長手方向において、2箇所の硬質部54の間に形成されている。硬質部54は、端側軟質部55Aと中央側軟質部55Bに連続して形成され、中央側軟質部55Bは、2箇所の硬質部54に連続して形成されている。端側軟質部55Aは、中央側軟質部55Bからガスケット部品50の長手方向の外側に離隔して、それぞれ1箇所の硬質部54に連続して形成されている。
【0042】
ガスケット部品50の端側軟質部55Aは、硬質部54からガスケット部品50の長手方向の外側の端部52まで形成されて、硬質部54と当該硬質部54に隣接する端部52の間に位置する。パネル体2の下縁部2Eの両側の端部2Fのそれぞれで、パネル体2の下縁部2Eの端部2F(パネル体2の下側の角部)は、ガスケット部品50の硬質部54と端部52の間の位置、及び、端側軟質部55Aの上側に配置されて、端側軟質部55Aに載置される。パネル体2の下縁部2Eの端部2Fは、硬質部54に接触せず、硬質部54よりもガスケット部品50の長手方向の外側(端部52側)の位置で、端側軟質部55Aのみに載置される。
【0043】
図6は、本実施形態のサッシ1の下枠30を示す縦断面図であり、
図3と同様に、中央側軟質部55Bの箇所で切断したガスケット部品50の断面を示している。また、
図6では、パネル体2を載置していない状態のガスケット部品50の断面を示している。
図示のように、ガスケット部品50は、上側に突出する1つ又は複数の突部59を有している。ガスケット部品50の突部59は、パネル体2の下側に配置され、パネル体2の下縁部2Eに向かって突出して、パネル体2の下縁部2Eに当接する。ここでは、ガスケット部品50は、上面部51に形成された複数の突部59を有している。複数の突部59は、ガスケット部品50の幅方向(室内外方向)に間隔をあけて、互いに並列して形成されている。
【0044】
ガスケット部品50の突部59は、ガスケット部品50の長手方向の全体にわたって延びる突条であり、硬質部54の上面部51と軟質部55の上面部51に連続して形成されている。パネル体2がガスケット部品50に載置された状態(
図3、
図5参照)で、突部59は、パネル体2から荷重を受けて、パネル体2の下縁部2Eにより押しつぶされる。これにより、突部59は、パネル体2の下縁部2Eの長手方向の全体にわたって、パネル体2の下縁部2Eに密着する。その状態で、ガスケット部品50は、パネル体2の下縁部2Eと下枠30の間の箇所をシールするとともに、2箇所の硬質部54により、パネル体2の下縁部2Eを支持する。
【0045】
サッシ1のガスケット部品50とは相違して、例えば、ガスケット部品の全体を中実形状に形成すると、ガスケット部品(硬質ガスケット部品という)の長手方向の全体が硬質部となる。硬質ガスケット部品では、サッシ枠3が地震等により変形(例えば、平行四辺形状に変形)したときに、パネル体2がサッシ枠3により押されて、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fが硬質ガスケット部品に押し付けられる。これに伴い、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fに加わる力が大きくなる虞がある。
【0046】
また、例えば、ガスケット部品の全体を中空形状に形成すると、ガスケット部品(軟質ガスケット部品という)の長手方向の全体が軟質部となる。軟質ガスケット部品では、パネル体2を載置したときに、軟質ガスケット部品が潰れた状態になり、軟質ガスケット部品が硬質に変化することがある。その結果、サッシ枠3が変形したときに、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fが潰れた軟質ガスケット部品に押し付けられて、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fに加わる力が大きくなる虞がある。
【0047】
これに対し、以上説明したガスケット部品50では、硬質部54によりパネル体2を支持した状態で、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fがガスケット部品50の端側軟質部55Aに押し付けられる。端側軟質部55Aは、硬質部54よりも柔軟に変形可能であり、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fから受ける力により容易に変形する。また、端側軟質部55Aは、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fの変位に追従して変形する。そのため、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fが端側軟質部55Aにより保護されるとともに、パネル体2の下縁部2Eの端部2Fに加わる力が大きくなるのが抑制される。パネル体2の下縁部2Eの端部2Fが変位前の位置に復帰すると、端側軟質部55Aは、弾性により、元の形状に復帰する。
【0048】
従って、パネル体2の下側で、ガスケット部品50により、パネル体2を支持しつつ、パネル体2の損傷を抑制することができる。また、下枠30に載置されるガスケット部品50のみにより、パネル体2の下縁部2Eをシールした状態で、パネル体2を下側から支持することができる。中央側軟質部55Bを挟む2箇所の硬質部54により、パネル体2を安定して支持できるとともに、2箇所の端側軟質部55Aにより、パネル体2の下縁部2Eの両側の端部2Fを保護することができる。ガスケット部品50の突部59がパネル体2の下縁部2Eにより押しつぶされることで、突部59がパネル体2の下縁部2Eに密着して、ガスケット部品50による止水性を確実に確保することができる。
【0049】
中実部である硬質部54により、パネル体2を安定して支持できるとともに、中空部57を有する軟質部55をパネル体2から受ける力で変形し易くして、軟質部55により、パネル体2を保護することができる。中空部57の内部に充填材58を充填することで、硬質部54をガスケット部品50に容易に形成することができる。サッシ枠3の下枠30は、ガスケット部品50及びパネル体2の下縁部2Eを室外側に露出させる。そのため、サッシ枠3が下枠30以外の枠の室外側保持部(ここでは、上枠20の室外側保持部27、縦枠40の室外側保持部47)でパネル体2を室外側から保持するときに、パネル体2の下側で、パネル体2を安定して支持しつつ、パネル体2の損傷を抑制することができる。
【0050】
なお、左右2箇所の硬質部54の間に他の硬質部54を設けてもよく、中央側軟質部55Bをガスケット部品50に設けずに、左右2箇所の硬質部54の間の部分を硬質部54にしてもよい。このように、硬質部54は、ガスケット部品50の長手方向において、1箇所のみに設けてもよい。従って、軟質部55は、少なくとも端側軟質部55Aを有し、ガスケット部品50は、少なくとも硬質部54と端側軟質部55Aを有する。
【0051】
硬さの異なる複数種類の樹脂材(硬質樹脂材、軟質樹脂材)でガスケット部品50を形成してもよい。この場合には、硬質部54は、硬質樹脂材で形成された硬質樹脂部であり、軟質部55は、硬質樹脂材よりも軟質な軟質樹脂材で形成された軟質樹脂部である。また、軟質部55に中空部57を形成しないようにしてもよい。サッシ1は、ガスケット部品50を備えた種々のサッシ(例えば、サッシ窓、カーテンウォールユニット、カーテンウォール、建具)であってもよく、パネル体2は、ガラス以外のパネル体(例えば、金属製のパネル体、樹脂製のパネル体)であってもよい。
【0052】
以上のとおり、ガスケット部品は、
サッシ枠に保持されるパネル体の下縁部に沿って延び、前記パネル体が載置されるガスケット部品であって、
ガスケット部品の長手方向における端部から離隔して形成され、前記パネル体を支持する硬質部と、
前記硬質部よりも軟質な軟質部と、を備え、
前記軟質部は、前記硬質部の前記端部側に形成された端側軟質部を有するガスケット部品である。
従って、サッシ枠に保持されるパネル体の下側で、ガスケット部品により、パネル体を支持しつつ、パネル体の損傷を抑制することができる。
【0053】
前記硬質部は、ガスケット部品の長手方向における両側の前記端部のそれぞれと中央部の間の2箇所に形成され、
前記端側軟質部は、2箇所の前記硬質部のそれぞれの前記端部側に形成され、
前記軟質部は、2箇所の前記硬質部の間に形成された中央側軟質部を有する。
中央側軟質部を挟む2箇所の硬質部により、パネル体を安定して支持できるとともに、2箇所の端側軟質部により、パネル体の下縁部の両側の端部を保護することができる。
【0054】
ガスケット部品は、上側に突出して、前記パネル体の下縁部に当接する突部を有する。
突部がパネル体の下縁部に密着して、ガスケット部品による止水性を確実に確保することができる。
【0055】
前記軟質部は、中空部を有する筒状部であり、
前記硬質部は、中実部である。
硬質部により、パネル体を安定して支持できるとともに、軟質部をパネル体から受ける力で変形し易くして、パネル体を保護することができる。
【0056】
サッシは、サッシ枠、パネル体、及び、ガスケット部品を備えたサッシである。
従って、サッシ枠に保持されるパネル体の下側で、ガスケット部品により、パネル体を支持しつつ、パネル体の損傷を抑制することができる。
【0057】
前記サッシ枠は、前記ガスケット部品が載置されて、前記ガスケット部品及び前記パネル体の下縁部を室外側に露出させる下枠を有する。
そのため、サッシ枠が下枠以外の枠の室外側保持部でパネル体を室外側から保持するときに、パネル体の下側で、パネル体を安定して支持しつつ、パネル体の損傷を抑制することができる。
【符号の説明】
【0058】
1・・・サッシ、2・・・パネル体、2A・・・縦縁部、2B・・・室内側面、2C・・・室外側面、2D・・・上縁部、2E・・・下縁部、2F・・・端部、2G・・・中央部、3・・・サッシ枠、3A・・・開口部、10・・・建物、11・・・壁部、12・・・壁材、13・・・開口部、14・・・躯体、20・・・上枠、21・・・レインバリア、22・・・ウインドバリア、23・・・室内側部、24・・・装着部、24A・・・収容空間、25・・・押縁、26・・・室内側保持部、27・・・室外側保持部、30・・・下枠、31・・・レインバリア、32・・・ウインドバリア、33・・・室内側部、34・・・対向部、35・・・支持部、40・・・縦枠、41・・・レインバリア、42・・・ウインドバリア、43・・・室内側部、44・・・装着部、44A・・・収容空間、45・・・押縁、46・・・室内側保持部、47・・・室外側保持部、50・・・ガスケット部品、51・・・上面部、52・・・端部、53・・・中央部、54・・・硬質部、55・・・軟質部、55A・・・端側軟質部、55B・・・中央側軟質部、57・・・中空部、58・・・充填材、59・・・突部。