IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立インダストリアルプロダクツの特許一覧

特開2022-121631倉庫システム、検査方法および検品システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121631
(43)【公開日】2022-08-19
(54)【発明の名称】倉庫システム、検査方法および検品システム
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20220812BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
B07C5/342
B65G1/137 F
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106131
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2021105009の分割
【原出願日】2019-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2018060155
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】池田 暁治
(72)【発明者】
【氏名】佐川 達人
(72)【発明者】
【氏名】小野 幸喜
(57)【要約】
【課題】個々の物品の在庫状態を正確に管理できる倉庫システムを実現する。
【解決手段】保管棚から物品を取り出すアームロボット200-1~200-nと、アームロボットの操作範囲に、物品とともに保管棚を搬送する搬送ロボットと、保管棚の3次元座標のモデル値である保管棚座標モデル値と、ロボットハンドの3次元座標のモデル値であるロボットハンド座標モデル値と、に基づいたアームロボットの教示データである原教示データを記憶するロボット教示データベース229と、保管棚とロボットハンドとの相対位置関係を検出するセンサ206と、センサ206の検出結果に基づいて、原教示データを補正することによって、アームロボット200に供給するロボット教示データθ1’~θn’を生成するロボットデータ生成部264,230と、を設けた。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を搭載して、第一の場所に搬送する搬送ロボットと、
前記第一の場所で、センサにより前記検査対象物の検査を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記搬送ロボットを回転させ、
回転させた際の前記検査対象物を、前記センサにより検査して、
前記検査により、前記検査対象物に異常なしと判定した場合、前記搬送ロボットに第二の場所に移動するように制御し、
前記検査により、前記検査対象物に異常ありと判定した場合、前記搬送ロボットに、前記第二の場所と異なる第三の場所に移動するように制御する
倉庫システム。
【請求項2】
前記センサは、前記検査対象物を撮影可能なカメラであり、
前記第一の場所は、前記カメラで撮影可能な場所であり、
前記制御装置は、前記検査として、前記カメラで撮影した、前記回転させた際の前記検査対象物の画像に基づいて、前記検査対象物に異常があるか否か判定する
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項3】
前記検査対象物に光を照射する装置と、前記センサと、をさらに備え、
前記センサは、前記光の照射により前記検査対象物に投影された像を撮影し、
前記制御装置は、前記検査として、前記撮影された像に基づいて、前記検査対象物に異常があるか否か判定する
請求項2に記載の倉庫システム。
【請求項4】
前記検査対象物に光を照射する照明装置と、前記センサと、をさらに備え、
前記制御装置は、前記検査として、前記光の照射により生じた前記検査対象物の陰影の形状に基づいて、前記検査対象物に異常があるか否か判定する
請求項2に記載の倉庫システム。
【請求項5】
前記検査対象物の前記検査は、入庫する物品の検品であり、
前記第二の場所は、入庫ゲートである
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項6】
前記検査対象物の前記検査は、出荷検品である
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項7】
前記センサは、前記検査対象物に貼付されたRFIDタグの情報を読み取り可能なRFIDリーダである
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項8】
検査対象物を積載する搬送ロボットに、第一の場所に搬送させて回転させるステップと、
回転させた際の前記検査対象物を、センサを用いて検査する検査ステップと、
前記検査により、前記検査対象物に異常なしと判定した場合、前記搬送ロボットに第二の場所に移動するように制御し、前記検査により、前記検査対象物に異常ありと判定した場合、前記搬送ロボットに、前記第二の場所と異なる第三の場所に移動するように制御するステップと、
を有する検査方法。
【請求項9】
前記センサは、前記検査対象物を撮影可能なカメラであり、
前記第一の場所は、前記カメラで撮影可能な場所であり、
前記検査ステップは、
前記カメラで撮影した、前記回転させた際の前記検査対象物の画像に基づいて、前記検査対象物に異常があるか否か判定するステップを有する
請求項8に記載の検査方法。
【請求項10】
前記検査ステップは、
前記検査対象物に光を照射するステップと、
前記センサにより、前記光の照射により前記検査対象物に投影された像を撮影するステップと、
前記撮影された像に基づいて、前記検査対象物に異常があるか否か判定するステップと、を有する
請求項9に記載の検査方法。
【請求項11】
前記検査ステップは、
前記検査対象物に光を照射するステップと、
前記光の照射により生じた前記検査対象物の陰影の形状に基づいて、前記検査対象物に異常があるか否か判定するステップと、を有する
請求項9に記載の検査方法。
【請求項12】
前記検査対象物の前記検査は、入庫する物品の検品であり、
前記第二の場所は、入庫ゲートである
請求項8に記載の検査方法。
【請求項13】
前記検査対象物の前記検査は、出荷検品である
請求項8に記載の検査方法。
【請求項14】
前記センサは、前記検査対象物に貼付されたRFIDタグの情報を読み取り可能なRFIDリーダである
請求項8に記載の検査方法。
【請求項15】
センサと、
搬送ロボットに積載された検査対象物を、第一の場所で、前記センサを用いて検査を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記搬送ロボットを回転させ、
回転させた際の前記検査対象物を、前記センサを用いて検査して、
前記検査により、前記検査対象物に異常なしと判定した場合、前記搬送ロボットに第二の場所に移動するように制御し、
前記検査により、前記検査対象物に異常ありと判定した場合、前記搬送ロボットに、前記第二の場所と異なる第三の場所に移動するように制御する
検品システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫システム、検査方法および検品システムに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物をある地点から他の地点へと搬送する搬送作業を担うロボットは、無人搬送車またはAGV(Automatic Guided Vehicle)と呼ばれる。AGVは、倉庫、工場、港湾等の施設内で広く導入されている。さらに、荷物の格納場所とAGVとの間で発生する荷物の受渡し作業、つまり荷役作業を自動で行う荷役装置を組み合わせて使用することで、施設内物流の大部分の作業を自動化することができる。
【0003】
また、近年の顧客ニーズの多様化を受けて、通信販売用の倉庫のように、多種少量の物品を扱う倉庫が増加している。管理すべき物品の性質上、物品を探し、積荷を行うことに時間及び人員コストがかかる。そのため、通信販売用の倉庫では、単一物品を大量に扱う旧来からの倉庫以上に、施設内物流の作業自動化が求められている。
【0004】
特許文献1は、多種多用の物品を扱う通信販売用倉庫での物品搬送、及び、多種少量の部品を生産する工場での部品搬送に適したシステムを開示している。当該システムにおいては、倉庫等の空間内に可動の格納棚が配置され、搬送ロボットが必要な物品または部品が格納されている棚と結合する。その上で、搬送ロボットは、物品の箱詰め、製品の組立て等が行われる作業場まで、格納棚ごと物品等を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009-539727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の搬送ロボットは、在庫品目を直接収納する単位である在庫トレイを複数有する在庫ホルダ(棚)の下部空間に潜り込み、在庫ホルダを持ち上げ、その状態で搬送する。特許文献1は、搬送中の搬送ロボットと在庫ホルダとの位置ずれに起因して、在庫ホルダの実際の行き先が理論上の行き先に比して、ずれてしまうことを補正する技術を詳細に記載している。しかしながら、多種多様な物品を個別に効率的に管理することには特に焦点が当てられていない。従って、目的とする物品が収納されるべき可動棚に対して、当該物品を誤りなく入庫し、目的とする物品が収納されている可動棚から、その物品を誤りなく出庫するためには、別途方策が必要になる。
【0007】
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、個々の物品の在庫状態を正確に管理できる倉庫システム、検査方法および検品システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明の倉庫システムは、検査対象物を搭載して、第一の場所に搬送する搬送ロボットと、前記第一の場所で、センサにより検査対象物の検査を行う制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記搬送ロボットを回転させ、回転させた際の前記検査対象物を、前記センサにより検査して、前記検査により、前記検査対象物に異常なしと判定した場合、前記搬送ロボットに第二の場所に移動するように制御し、前記検査により、前記検査対象物に異常ありと判定した場合、前記搬送ロボットに、前記第二の場所とは異なる第三の場所に移動するように制御する。その他の発明については、実施形態で明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、個々の物品の在庫状態を正確に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による倉庫システムの概略構成図である。
図2】倉庫の平面図である。
図3】保管棚に納められる物品の形態を示す図である。
図4】搬送ロボットの斜視図の一例である。
図5】中央制御装置のブロック図である。
図6】オフラインティーチとロボット動作軌道修正に係る構成のブロック図である。
図7】第1ロボットデータ生成部と、第2ロボットデータ生成部と、の詳細構成を示すブロック図である。
図8】オフラインティーチとロボット動作軌道修正の制御構成を示す図である。
図9】座標計算部によって得られた絶対座標の模式図である。
図10】集約検品エリアにおいて、アームロボットのオフラインティーチを行う構成のブロック図である。
図11】集約検品エリアにおいて、アームロボットのオフラインティーチを行う他の構成のブロック図である。
図12】中央制御装置によって実行される、各ゾーン内のシミュレーション処理のフローチャートである。
図13】搬送ロボット作業シーケンスの説明図である。
図14】アームロボットのオフラインティーチングの動作説明図である。
図15】オフラインティーチとロボット動作軌道修正の他の構成のブロック図である。
図16図15における第2ロボットデータ生成部の詳細構成を示すブロック図である。
図17】第2ロボットデータ生成部が実行する処理のフローチャートである。
図18】本実施形態に含まれる解析処理装置のブロック図である。
図19】本実施形態における解析処理装置の動作を示す模式図である。
図20】倉庫システムにおいて、搬送ロボットを用いて入庫する物品の検品を行う方法を示す模式図である。
図21】検品作業に適用される検品システムのブロック図である。
図22】検査処理のフローチャートである。
図23】ゾーンの平面図である。
図24】保管棚の入替処理に適用される保管棚入替システムのブロック図である。
図25】棚配置ルーチンのフローチャートである。
図26】保管棚からバケットを取り出す構成の模式図である。
図27】保管棚からバケットを取り出す他の構成の模式図である。
図28図27に示した構成に対して、中央制御装置が実行する処理のフローチャートである。
図29】出庫ゲートにおいて、保管棚から目的とする物品を取り出して、仕分棚に納める構成を示す模式図である。
図30図29に示した構成に対して、中央制御装置が実行する処理のフローチャートである。
図31】出庫ゲートにおいて、保管棚から目的とする物品を取り出して、他の保管棚に仕分ける構成を示す模式図である。
図32】出庫ゲートにおいて、保管棚から目的とする物品を取り出して、他の保管棚に納める他の構成を示す模式図である。
図33図31図32に示した構成に対して、中央制御装置が実行する処理のフローチャートである。
図34】搬送ロボットが障害物を検知した場合の動作説明図である。
図35】複数の搬送ロボットがそれぞれ異なる経路に沿って移動する場合の模式図である。
図36】中央制御装置によって、作業員と障害物との衝突を回避するために実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[倉庫システムの全体構成]
〈概略構成〉
図1は、本発明の一実施形態による倉庫システムの概略構成図である。
倉庫システム300は、全体を制御する中央制御装置800(制御装置)と、物品を在庫として格納する倉庫100と、発送する物品を一時的に格納するバッファ装置104と、送り出す物品を集約し検品する集約検品エリア106と、検品が終了した物品を梱包する梱包エリア107と、梱包した物品を配送トラック等に投函するための投函機108と、を備えている。
【0012】
倉庫100は、後述する搬送ロボット(AGV, Automatic Guided Vehicle)が稼働するエリアであり、その中には物品を納める保管棚と、搬送ロボット(図示略)と、アームロボット200と、センサ206と、を備えている。ここで、センサ206は、搬送ロボットやアームロボット200を含めて倉庫全体を画像をデータとして取り込むカメラ等を備えている。
【0013】
図1の右端に示すように、アームロボット200は、ロボット本体201と、ロボットアーム208と、ロボットハンド202と、を備えている。ロボットアーム208は、一関節または多関節のロボットアームであり、その一端にはロボットハンド202が装着されている。ロボットハンド202は、多指状に構成され、各種物品を把持する。ロボット本体201は、倉庫システム300内の各部に据え付けられ、ロボットアーム208の他端を保持する。
【0014】
ロボットアーム208およびロボットハンド202によって各種物品を把持して運ぶ作業を「ピッキング」と呼ぶ。
詳細は後述するが、本実施形態においては、アームロボット200に対してオフラインティーチによる学習を行うことで、高速かつ正確なピッキングを実現している。
【0015】
また、昼間と夜間で物品の処理ラインを変更することで、物品を最終的に投函機108を経て搬送するまでの工程を効率的に処理することが可能である。
例えば、昼間においては、倉庫100から出庫された物品についてはコンベア等の搬送ライン120を経てバッファ装置104に一時的に物品を格納する。また、このバッファ装置には他の倉庫からもピッキングされた物品が搬送ライン130を経て一時的に納められる。
【0016】
また、中央制御装置800は、下流の集約検品エリア106等に設けられたセンサ206等の検出結果に基づいて、バッファ装置104内の物品を送れるか否かを判定する。この判定結果が「肯定」であれば、バッファ装置104に納められた物品は、バッファ装置104から取り出され搬送ライン124に送られる。
【0017】
集約検品エリア106では送られた物品は、センサ206によりその物品の種類、状況が検出、判断される。作業員310により検品が必要と判断される場合は、当該物品は、作業員310がいるラインに送られる。一方、作業員310による検品は不要と判断される場合は、当該物品は、アームロボット200のみのラインに送られて検品される。ここで、昼間においては作業員310の人力が多く確保できるので、取扱いが大変な物品等についてはセンサ206で判断することで、この昼間の時間帯に作業員310がいるラインに物品を通すことで、効率的に物品を検品することが可能になる。
【0018】
また、取扱いが比較的簡単な物品については、アームロボット200のみによるラインで検品することで、作業員310の数を減らすことができ、全体として検品を効率的に処理できる。
その後、物品は下流の梱包エリア107に送られる。梱包エリア107においても、送られた物品の状況はセンサ206により判断される。そして、その物品は、状況により、例えば小型の物品のみのライン、中型の物品のライン、大型の物品のライン、特大の物品のライン、更に各種の大きさ、状態が混在した物品に対応したラインに分類されて送られる。そして、それぞれのラインでは作業員310により物品の梱包が行われ、梱包された物品は投函機108に送られて発送まで待機する。
【0019】
ここで、昼間においては作業員310の人力が多く確保できるので、取扱いが大変な物品等についてはセンサ206で判断することで、この昼間の時間帯に作業員310がいるラインに物品を通すことで、効率的に物品を検品することが可能になる。また、取扱いが比較的簡単な物品については、アームロボット200のみによるラインで検品することで、全体として検品を効率的に処理できる。
次に、夜間においては、倉庫100から出庫された物品については、夜間用の搬送ライン122を経由して、画像検品工程114に送られる。また、センサ206は、昼間においても夜間においても、アームロボット200または作業員310の生産性測定に適用される。この画像検品工程114では、集約検品エリア106の代わりに、倉庫100から目的とする物品が正しく送られているか否かをセンサ206で逐一判断する。
【0020】
これにより、作業員310は、倉庫100内の保管棚702(図2参照)から、搬送ロボットを用いて、目的とする物品をほぼ確実に取り出すことが可能になる。従って、作業員による検品作業を省略して、センサ206による検査のみによって代行することが実現できる。そして、中央制御装置800は、センサ206の計測結果に基づいて、対象の物品がアームロボット200によって梱包が可能か否か、換言すれば、作業員310による梱包作業が必要か否かを判断する。
【0021】
ここで、作業員310による梱包作業が必要であると判定された場合は、当該物品は、搬送ライン126を経由して、前述の梱包エリアの作業員310が居るラインに送られる。一方、アームロボット200による梱包が可能であると判定された場合は、例えば物品の小型、中型、大型、特大の形状等に応じて、特定のアームロボット200が配置されたラインに送られる。そして、作業員310やアームロボット200により梱包された物品は、投函機108に送られ最終的な出荷の為に待機する。
【0022】
以上のように、本実施形態の倉庫システム300によれば、作業員の人力が確保できる昼間の時間帯には、複座な形状を有し、取扱いが大変な物品を倉庫から出庫し、作業員による判断で集約検品エリアから梱包エリアを介して投函する。一方、作業員の人力が確保困難な夜間においては、単純な形状を有し、取扱いが簡便な物品を中心に、集約検品エリア106を介することなく梱包エリア107に物品を移送する。このような構成により、倉庫システム300は、24時間体制で、効率的に物品を発送することを実現している。
【0023】
〈倉庫の概要〉
図2は、倉庫100の平面図である。
倉庫100の床面152は、仮想的な複数のグリッド612によって区切られている。そして、各グリッド612には、当該グリッド612の絶対的な位置を示すバーコード614が貼付されている。但し、図2においては、1個のバーコード614のみを図示する。
また、倉庫システム300では、倉庫の全体の床面152は、複数のゾーン11,12,13等に区分されている。これら各ゾーンには、当該ゾーン内で移動する搬送ロボット602および保管棚702等が割り当てられている。
また、倉庫100には金網による壁380が形成されている。この壁380によって、搬送ロボット602および保管棚702等が動く領域(すなわちゾーン11,12,13等)と、作業員310またはアームロボット200(図1参照)が作業する作業エリア154と、が区切られている。
【0024】
また、壁380には、入庫ゲート320と、出庫ゲート330と、が形成されている。ここで、入庫ゲート320は、物品を目的とする保管棚702等に入庫するためのゲートである。また、出庫ゲート330は、目的とする保管棚702等から物品を出庫するゲートである。床面152には、例えば、保管棚702等で構成された「棚の島」が構成されており、この例では2列×3行の「棚の島」が2つ構成されている。但し、この「棚の島」の形状、個数は任意に構成することが可能である。搬送ロボット602は、これらの「棚の島」から目的する保管棚を取り出して、移動することが可能である。
【0025】
物品の入庫の際には、搬送ロボット602は、入庫ゲート320の前に、目的とする保管棚を移動させる。そして、作業員310が目的の物品を納めると、搬送ロボット602は、その保管棚を、次の目的とするグリッドの位置まで移動する。更に、出庫の際には、搬送ロボット602は、例えば、「棚の島」から目的する保管棚を取り出して、出庫ゲート330の前に目的とする棚を移動させる。そして、作業員310は、目的の物品をその保管棚から取り出す。
【0026】
また、図中の保管棚712が示すように、十字線が入った四角の表示は棚を示し、中央に丸が入った四角の表示は搬送ロボット602を示す。そして、出庫ゲート330の前の保管棚702のように、中央に丸と十字が重なった形態の保管棚は、搬送ロボットによって支持されている保管棚を示す。詳細は後述するが、搬送ロボット602は、保管棚の下方に潜り込んで、搬送ロボット602の上部が棚の底部を押し上げることにより、保管棚を支持する。図示の保管棚702等は、このような状態を示している。
なお、搬送ロボット602、保管棚702等が配置される倉庫100の床面152の領域は、任意の広さにすることができる。
【0027】
〈物品の形態〉
図3は、保管棚に納められる物品の形態を示す図である。
図示の例では1個の物品袋510に1個の物品203が納められている。そして、その物品203には、RFIDを使用したIDタグ402装着されている。
なお、この例では1個の物品袋に1個の物品を納めた例を示したが、1個の物品袋に複数の物品を入れて、かつ、それら個々の物品毎にRFIDを取り付けることも可能である。そして、このIDタグ402をRFIDリーダ322が読み取って、個々の物品の固有IDを読み取る。また、RFIDを使用したIDタグに代えて、バーコード及びバーコードスキャナによる管理も可能である。また、RFIDリーダ322は、ハンディタイプのものであっても、固定タイプのものであってもよい。
【0028】
〈搬送ロボット〉
図4は、搬送ロボット602の斜視図の一例である。
搬送ロボット602は、底部の車輪(図示略)が回転することで走行する、無人型の自動走行車両である。搬送ロボット602の衝突検知部637は、送信した光信号(赤外線レーザなど)が周囲の障害物に遮蔽されることで、障害物を衝突前に検知する。搬送ロボット602は、通信装置(図示略)を備えている。この通信装置は、中央制御装置800(図1参照)と通信を行う無線通信装置と、充電ステーション等、周囲の設備との赤外線通信を行うための赤外線通信部639と、を備えている。
【0029】
上述したように、搬送ロボット602は、保管棚の下方に潜り込み、搬送ロボット602の上部が棚の底部を押し上げることにより、保管棚を支持する。これにより、作業員が自身で棚の付近まで出歩くことに代えて、棚を搬送する搬送ロボット602が作業員310の周囲まで接近してくるため、棚の荷物のピッキング作業を効率的に行うことができる。
また、搬送ロボット602は、底面(図示略)にカメラを備え、このカメラがバーコード614(図2参照)を読み取ることで、搬送ロボット602は自機が床面102どこのグリッド612に位置しているかを認識する。そして、搬送ロボット602は、その結果を無線通信装置(図示略)を介して、中央制御装置800に報告する。
なお、バーコード614(図2参照)に代えて、レーザーにより、周囲の障害物との距離を測定するLiDARセンサ等を搬送ロボット602に備えて運用することも可能である。
【0030】
〈中央制御装置800〉
図5は、中央制御装置800のブロック図である。
中央制御装置800は、中央演算部802と、データベース804と、入出力部808と、通信部810と、を備えている。中央演算部802は、各種の演算を行う。データベース804は、保管棚702や物品404等のデータが収められている。入出力部808は、外部機器との間で情報の入出力を行う。そして、通信部810は、アンテナ812を介して、Wi-Fi等の通信方式によって無線通信を行い、搬送ロボット602等との間で情報を入出力する。
【0031】
[オフラインティーチによるアームロボットの動作軌道修正]
〈オフラインティーチの概要〉
倉庫100(図1参照)において、アームロボット200を使用して、搬送ロボット602(図2参照)とともに移動する保管棚702等から物品をピッキングする動作の詳細を説明する。アームロボット200を使用して、保管棚から物品をピッキングする場合に、全ての動作をリアルタイムで処理しようとすると、演算処理のために比較的長い時間が必要になる。
【0032】
そこで、アームロボット200が稼働していない時間帯に、オフラインで制御パラメータを設定することが考えられる。しかし、この場合、ティーチペンダントやロボット専用オフラインティーチソフトウェア等を利用して、アームロボット200の種類毎、保管棚702等の種類毎、物品が入っているコンテナの種類毎、物品の形状等毎に応じて、予め制御パラメータを設定しておく必要があり、作業が膨大になっていた。
従って、単にオフラインティーチを導入すると、ロボット本体201の設置誤差等の静的誤算の補正は可能であるが、その時々によって変化する動的誤差、例えば搬送ロボットで移動する保管棚の停止位置の誤差等を補正することは困難になる。
【0033】
本実施形態は、これらの課題を解決して物品を高速にピッキングすることを実現するものである。
本実施形態では、搬送ロボット毎、保管棚毎、物品が入っているコンテナの種類毎、および形状等毎に応じて、アームロボット200に対して、ピッキングする動作パターンをオフラインで学習させる。そして、実際のピッキング時には、オフライン時のデータを使用してロボットアーム208を駆動するが、センサ206によって、搬送ロボットの位置、ピッキングステーションに移動してきた保管棚の位置、アームロボットの実際のアームの位置を検出し、リアルタイムで、それぞれの位置の補正演算を行って、ロボットアームの動作軌道修正を行い、正確かつ高速に物品のピッキングを実施する。
【0034】
図6は、本実施形態におけるオフラインティーチとロボット動作軌道修正に係る構成のブロック図である。
上述したように、アームロボット200は、ロボットアーム208と、ロボットハンド202と、を備え、これらを駆動することによって、物品203を移動させる。また、床面152においては、搬送ロボット602が保管棚702を移動させる。搬送ロボット602は、床面152における搬送前の棚位置214において、保管棚702等をその本体の上部に搭載する。そして、搬送ロボット602は、搬送経路217に沿って移動し、搬送後の棚位置216に移動する。ここで、棚位置216は、作業エリア154に隣接する位置すなわち入庫ゲート320または出庫ゲート330(図2参照)に隣接する位置である。
そして、アームロボット200、搬送ロボット602の挙動による棚位置及び棚内の物品ストッカ位置の計測は画像カメラのセンサ206が監視している。
【0035】
以下、オフラインによるロボット教示データ生成の工程、オフラインによるロボット教示データ生成の工程について説明する。
図6において、第1入力データ220は、システム構成、機器仕様、ロボット寸法図、装置寸法図、レイアウト図等のデータである。この第1入力データ220は、オフラインによるロボット教示を行うために、第1ロボットデータ生成部224に入力される。これにより、第1ロボットデータ生成部224は、第1入力データ220に基づいた原教示データ(図示略)を生成する。
【0036】
また、第2ロボットデータ生成部230(ロボットデータ生成部)も、オフラインによるロボット教示を行うためのものである。第2ロボットデータ生成部230には、第1ロボットデータ生成部224が出力した原教示データと、第2入力データ222と、が入力される。ここで、第2入力データ222には、優先事項、作業順序、制約事項、障害物の情報、ロボット間作業分担ルール等が含まれる。
【0037】
一方、アームロボット200を撮影するセンサ206からの情報は、棚位置・物品ストッカ位置誤差計算部225に入力される。棚位置・物品ストッカ位置誤差計算部225は、入力された情報に基づいて、移動棚の位置誤差や、物品ストッカ(複数の物品を収納した容器)の位置誤差を計算する。計算された位置誤差は、ロボット位置補正値計算部226に入力される。
【0038】
ロボット位置補正値計算部226は、初回に有効な静的補正設置誤差等を示す静的な補正値228を出力する。さらに、ロボット位置補正値計算部226は、動的補正AGV繰返精度棚内クリアランス等を示す動的な補正値227を出力する。
そして、静的な補正値228は第2ロボットデータ生成部230に入力され、動的な補正値227はオンラインロボット位置制御部240に入力される。また、ロボット教示データベース229からのデータも、それぞれ第2ロボットデータ生成部230およびオンラインロボット位置制御部240に入力される。
【0039】
第2ロボットデータ生成部230は、第1ロボットデータ生成部224からの原教示データと、第2入力データ222と、静的な補正値228と、ロボット教示データベース229からのデータと、に基づいて、ロボット教示データを作成する。作成されたロボット教示データは、オンラインロボット位置制御部240に入力される。そして、オンラインロボット位置制御部240からの信号は、ロボットコントローラ252に入力される。ロボットコントローラ252は、オンラインロボット位置制御部240からの信号と、ティーチペンダント250から入力された指令と、に基づいて、アームロボット200を制御する。
【0040】
〈ロボット教示データの詳細構成〉
図7は、上述した第1ロボットデータ生成部224と、第2ロボットデータ生成部230と、の詳細構成を示すブロック図である。
第1入力データ220は、ロボット寸法図データ220aと、装置寸法図データ220bと、レイアウト図データ220cと、を含んでいる。なお、図7の図中において、ロボット寸法図データ220a、装置寸法図データ220b、レイアウト図データ220cの「データ」の語句は省略している。ここで、ロボット寸法図データ220aは、n台のアームロボット200-1~200-nの各部の寸法を特定するデータである。また、装置寸法図データ220bは、n台のアームロボット200-1~200-nに含まれる各種装置の寸法を特定するデータである。また、レイアウト図データ220cは、倉庫100のレイアウト(図2参照)を特定するデータである。
【0041】
また、第1ロボットデータ生成部224は、データ取り込み・格納部261と、データ読出部262と、3次元モデル生成部263と、データ生成部264(ロボットデータ生成部)と、を備えている。上述したロボット寸法図データ220a、装置寸法図データ220bおよびレイアウト図データ220cは、第1ロボットデータ生成部224におけるデータ取り込み・格納部261に供給される。
【0042】
また、データ取り込み・格納部261からの信号は、データ読出部262に入力されるとともに、ロボット寸法図、装置寸法図、レイアウト図等を格納するデータベース266にも入力される。また、データ読出部262からの信号は、3次元モデル生成部263に入力される。
【0043】
3次元モデル生成部263からの信号はデータ生成部264に入力され、かつ、データ生成部264には、補正値取込部241からの信号も入力される。そして、データ生成部264から出力される原教示データは、ロボット教示データベース229に記憶される。
【0044】
また、第2ロボットデータ生成部230は、データ読出部231と、教示機能232と、データコピー機能233と、作業分担機能234と、ロボット協調機能235と、データ生成部236(図中では、「三次元位置(X,Y,Z)…」と表記する)と、ロボットデータ読込/格納部237と、n台分のアームロボット200-1~200-nに対するロボットコントローラリンク238と、を備えている。パラメータ優先事項制約事項等データ222aは、第2入力データ222(図6参照)の一部であり、各種パラメータ、優先事項、制約事項等を規定したデータである。パラメータ優先事項制約事項等データ222aは、データ読出部231に入力される。
【0045】
データ生成部236は、n台のアームロボット200-1~200-nの各々に対応して、三次元位置X,Y,Zを求める座標計算を行い、原教示データであるロボット教示データθ1~θnを生成する。さらに、データ生成部236は、ロボット教示データの補正値Δθ1~Δθnを演算し、原教示データであるロボット教示データθ1~θnと、補正値Δθ1~Δθnと、に基づいて、各アームロボット200-1~200-nに供給されるロボット教示データθ1’~θn’を演算する。
【0046】
ロボットデータ読込/格納部237は、ロボット教示データベース229との間で、n台のアームロボット200-1~200-nに関する各軸位置データ、動作モード、ツール制御データ等のデータの入出力を行う。
【0047】
また、n台のアームロボット200-1~200-nは、それぞれ、ロボットコントローラ252と、ロボットメカ253と、ロボットハンド202(図6参照)用のアクチュエータ254と、を備えている。但し、図7においては、アームロボット200-1についてのみ、内部構成を示している。n台のロボットコントローラ252は、第2ロボットデータ生成部230内のロボットコントローラリンク238とリンクし、相互に各種信号を入出力する。また、各々のアームロボット200-1~200-nにおいて、ロボットコントローラ252は、対応するロボットメカ253およびアクチュエータ254を制御する。
【0048】
そして、リアルタイムで保管棚から物品をピッキングする際には、センサ206は、物品203またはストッカ212と、アクチュエータ254との相対位置を検出する。検出された相対位置は、相対位置データは、上述した静的な補正値228として出力されるとともに、ロボット位置補正値計算部226にも出力される。
【0049】
〈座標系データの演算構成〉
図8は、オフラインティーチとロボット動作軌道修正の制御構成を示す図である。
本実施形態においては、ピッキングを行う際には、搬送ロボット602、保管棚702等、センサ206、ロボット本体201、およびロボットハンド202の5つの要素が関係する。そこで、図8には、これら5つの要素を図示する。また、図8において、座標系演算部290は、モデリング仮想環境部280と、データ取込部282と、座標計算部284と、位置指令部286と、制御部288と、を備えている。この座標系演算部290は、上述した5つの要素の座標を絶対座標系で扱うものである。
【0050】
上述した5つの要素のうち、搬送ロボット602の座標は、位置センサ207によって計測される。ここで、位置センサ207には、周辺に存在する物体(搬送ロボット602を含む)との距離を測定するLiDARセンサ等を適用するとよい。また、搬送ロボット602の動作状況および位置は、AVGコントローラ276によって制御される。また、アームロボット200のロボット本体201については、その位置データは予め取り込まれている。また、アームロボット200の動作中におけるロボットハンド202の座標は、エンコーダ等のセンサによって計測される。ロボットハンド202の座標が計測されると、その情報は、リアルタイムで座標系演算部290に供給され、ロボットハンド202の位置はロボットコントローラ274を介して制御される。
【0051】
また、センサ206に含まれるカメラは、カメラコントローラ272によって制御される。センサ206の停止状態の位置データは、座標系演算部290に予め取り込まれている。そして、センサ206が周囲をスキャンしている状態であるとき、センサ206の座標は、カメラコントローラ272から座標系演算部290に対して、リアルタイムで供給される。また、座標系演算部290には、棚情報278が供給される。この棚情報278は、各種保管棚702等の形状や寸法を規定したものである。
【0052】
また、センサ206に含まれるカメラは、保管棚702等の画像を撮影する。座標系演算部290におけるモデリング仮想環境部280は、棚情報278と、保管棚702等の画像とに基づいて、保管棚702等をモデリングする。座標計算部284は、モデリング仮想環境部280におけるモデリング結果等のデータに基づいて、上述した5つの要素の座標を計算する。そして、制御部288は、座標計算部284の計算結果に基づいて、用いて座標計算部284が演算し、搬送ロボット602、ロボット本体201、ロボットハンド202、センサ206、保管棚702等に対して位置指令を算出する。
【0053】
図9は、座標計算部284(図8参照)によって得られた絶対座標の模式図である。
図9において、搬送ロボット座標Q602、保管棚座標Q702、センサ座標Q206、ロボット本体座標Q201、およびロボットハンド座標Q202は、それぞれ、搬送ロボット602、保管棚702、センサ206、ロボット本体201、およびロボットハンド202の絶対座標を示している。
これらのうち、保管棚座標Q702、ロボット本体座標Q201およびロボットハンド座標Q202については、前述のオフラインティーチによって、予め種々の状況(例えば、保管棚702の種別、ロボット本体の種別、ロボットハンドの種別)を考慮してその絶対座標を演算することができる。
【0054】
オフラインティーチによって得られた各座標Q201,Q202,Q206,Q602,Q702を、各座標の「モデル値」と呼ぶ。そして、搬送ロボット602およびアームロボット200の運用時においては、搬送ロボット602、ロボット本体201、ロボットハンド202、およびセンサ206からの位置データを取り込み、モデル値との差異を計算する。そして、計算した差異に基づいて、原教示データ(ロボット教示データθ1~θn)に対してリアルタイムの補正演算を行い、教示データを得るようにしている。
このような構成により、様々な物品に対応してオフラインティーチが可能になり、作業効率(ロボットのティーティング等)と、位置精度向上による作業品質の向上が図れる。
【0055】
〈集約検品エリアの演算構成〉
図10は、集約検品エリア106(図1参照)において、アームロボット200のオフラインティーチを行う構成のブロック図である。なお、図10において、図1図9の各部に対して同様の構成、効果を備える部分には同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
図10において、追加演算部291は、補完機能部292と、協調機能部294と、群制御部296と、コピー機能部298と、を備えている。
【0056】
追加演算部291は、座標系演算部290との間でデータの入出力を行う。また、座標系演算部290にはロボット個体のレイアウトの設置誤差のデータ268も入力される。これにより、集約検品エリア106のアームロボット200に対して、オフラインで教示データを作成することが可能になる。
このような構成により、一層様々な物品に対応してオフラインティーチが可能になり、作業効率(ロボットのティーティング等)と、位置精度向上による作業品質の向上が図れる。
なお、図10に示した構成は、梱包エリア107におけるアームロボット200にも適用可能である。
【0057】
図11は、集約検品エリア106(図1参照)において、アームロボット200のオフラインティーチを行う他の構成のブロック図である。
図11の構成においては、図10に示した構成に加えて、ディープラーニング処理部269が設けられている。ディープラーニング処理部269は、座標系演算部290および追加演算部291に対して相互にデータをやりとりして、ディープラーニングによる人工知能処理を行う。
このような構成により、一層様々な物品に対応してオフラインティーチが可能になり、作業効率(ロボットのティーティング等)と、位置精度向上による作業品質の向上が図れる。
なお、図10に示した構成と同様に、図11に示す構成も、梱包エリア107におけるアームロボット200にも適用可能である。
【0058】
以上のように、図6図11に示した構成によれば、保管棚(702)の3次元座標のモデル値である保管棚座標モデル値(Q702)と、ロボットハンド(202)の3次元座標のモデル値であるロボットハンド座標モデル値(Q202)と、に基づいたアームロボット(200)の教示データである原教示データ(ロボット教示データθ1~θn)を記憶するロボット教示データベース(229)と、保管棚(702)とロボットハンド(202)との相対位置関係を検出するセンサ(206)と、センサ(206)の検出結果に基づいて、原教示データを補正することによって、アームロボット(200)に供給するロボット教示データ(θ1’~θn’)を生成するロボットデータ生成部(264,230)と、を備える。
【0059】
さらに、同構成によれば、原教示データ(ロボット教示データθ1~θn)は、保管棚座標モデル値(Q702)と、ロボットハンド座標モデル値(Q202)と、に加えて、センサ(206)の3次元座標のモデル値であるセンサ座標モデル値(Q206)と、搬送ロボット(602)の3次元座標のモデル値である搬送ロボット座標モデル値(Q602)と、ロボット本体(201)の3次元座標のモデル値であるロボット本体座標モデル値(Q201)と、に基づいた、アームロボット(200)の教示データである。
これにより、様々な物品に対応してオフラインティーチが可能になり、作業効率と、位置精度向上による作業品質の向上が図れる。これにより、個々の物品の在庫状態を正確に管理できる。
【0060】
[ゾーン内の搬送/アームロボット自律制御]
〈自律制御の概要〉
図2に示したゾーン12等のシミュレーションによって、搬送ロボットの動作制御を行う際、アームロボット200(図1参照)の動作制御も行えると、好ましいと考えられる。
そこで、本実施形態では、ゾーン内のアームロボット200のシミュレーションを行い、ピッキング動作時間を短くし、これによって単位時間当りの出荷量を増やそうとしている。
【0061】
また、ゾーン単位の自律制御を行うことで、ゾーン内設備特性(例えばアームロボット200の特異点や、作業性を優先した作業シーケンス)を考慮した、より細かい制御を行うことで、単位時間当りのピッキング回数や出荷量を増加させることができる。
具体的には、倉庫システム300として、搬送ロボット602と、アームロボット200と、についてシミュレーションを行い、効率的な作業シーケンスを実行でき、各ゾーンにおける搬送ロボットとアームロボットとを効率的に制御することを実現する。
【0062】
図12は、中央制御装置800(図1参照)によって実行される、各ゾーン内のシミュレーション処理のフローチャートである。本実施形態では、実際のピッキングシステムを稼働する前に、ゾーン内のシミュレーションを行う。このシミュレーションには、(1)搬送ロボットの自律的な動作シーケンスの確立(ステップS105~S107)と、(2)アームロボットの棚内シミュレーション(ステップS108~S110)と、を含んでいる。
【0063】
図12においてステップS101にて処理がスタートすると、処理はステップS102に進み、中央制御装置800は、倉庫システムとしてシステム全体の計画をシミュレートする。次に、処理がステップS103に進むと、中央制御装置800は、パラメータとして、棚内の在庫量等のデータを受領する。次に、処理がステップS104に進むと、中央制御装置800は、ゾーン内のシミュレーションを開始する。以降は、ステップS105~S107の処理と、ステップS108~S110の処理と、が並行して実行される。
【0064】
まず、処理がステップS105に進むと、中央制御装置800は、搬送ロボットに関して、作業シーケンスを決定する。すなわち、該当するゾーン内の動作シーケンスを決定する。次に、処理がステップS106に進むと、中央制御装置800は、搬送ロボットに関して、座標計算と、座標制御と、を行う。次に、処理がステップS107に進むと、中央制御装置800は、搬送ロボットに関して、動作制御を行う。
【0065】
また、処理がステップS108に進むと、中央制御装置800は、アームロボットに関して、棚内のシミュレーションを行う。換言すれば、作業シーケンスを決定する。なお、その際、中央制御装置800は、オフラインティーチティーチの技術を活用し、棚内シミュレーションを行う。次に、処理がステップS109に進むと、中央制御装置800は、アームロボットに関して、座標計算と、座標制御と、を行う。次に、処理がステップS110に進むと、中央制御装置800は、アームロボットに関して、動作制御を行う。
【0066】
また、ゾーン内の二次元の座標には、それぞれ特定の二次元座標111が予め設定される。さらに、特定の物品に関する棚情報113として、その保管棚がどのゾーンに属する保管棚であるか、そのゾーン内の何れの二次元番地に保管棚が属しているか、その保管棚の中で、何れの位置にあるか、が設定される。
【0067】
図13は、ゾーン単位の自律制御シミュレーションを行った結果における、搬送ロボット作業シーケンスの説明図である。
倉庫システム300(図1参照)に対して物品(物品)の受注452として、受注リストデータ458を受信したと仮定する。そして、倉庫システムから発送する出荷454として、出荷分リストデータ460が確定している状況において、ゾーン11,12,13のゾーン内の計画の前提、制約条件データ468が定まっており、これを考慮する。
この結果、本実施形態では、搬送ロボットの自律制御シミュレーションを行うことで、各ゾーンから搬送ロボットで保管棚を移動して取り出す場合に、目的関数として、搬送ロボットの移動距離、移動回数等を考慮すると、点線で囲んだゾーン11から可能な限り対象とする物品をピッキングすることが効率的であることを示している。
【0068】
図14は、アームロボット200のオフラインティーチングの動作説明図である。
アームロボット200のオフラインティーチングの為に、オフラインティーチ用の専用ソフトウエアをインストールした制御用コンピュータ474が設けられている。そして、制御用コンピュータ474に格納されたデータベース476には、ティーチデータとして、(1)ポイント、(2)経路、(3)動作モード(補間タイプ)、(4)動作速度、(5)ハンド姿勢、(6)作業条件等を備える。
【0069】
そして、専用の制御装置470と、ティーチペンダント472と、を用いて、アームロボット200に対して学習を実行させる。学習の例としては、例えば、目的関数として、ロボットアーム208、ロボットハンド202等の移動距離、移動回数等を設定することで、作業効率を向上するようにオフラインで学習する。換言すれば、保管棚702から物品を取り出す際に、どの開口部から、どのようにロボットハンド202を効率的に移動させる作業シーケンスが効率的であるかをオフラインで学習する。
【0070】
図15は、本実施形態におけるオフラインティーチとロボット動作軌道修正の他の構成のブロック図である。なお、図15について、特に言及しない限りは図6で説明した例と同一の符号のものは同様の構成、効果を備えている。
図15の構成は、図6の構成と比較すると、AGVコントローラ276を備えるとともに、第2ロボットデータ生成部230に代えて第2ロボットデータ生成部230A(ロボットデータ生成部)が設けられている。さらに、第3入力データ223が、第2ロボットデータ生成部230Aに供給される。
【0071】
ここで、第3入力データ223は、(1)ゾーン情報、(2)棚情報、(3)作業シーケンス決定条件等を含んでいる。また、AGVコントローラ276は、(1)搬送ロボット602の自律的な動作シーケンスと、(2)アームロボット200の棚内シミュレーションによる動作シーケンスと、を確立して、リアルタイムで搬送ロボット602の制御動作を実現している。
【0072】
図16は、図15における第2ロボットデータ生成部230Aの詳細構成を示すブロック図である。
なお、図16について、特に言及しない限りは図7で説明した例と同一の符号のものは同様の構成、効果を備えている。
上述したように、第2ロボットデータ生成部230Aには、第2入力データ222と、第3入力データ223と、が入力される。さらに、第2ロボットデータ生成部230Aには、稼働実績データ354も入力される。ここで、稼働実績データ354は、各種物品の入出庫等の実績を表すデータである。
【0073】
第2入力データ222、第3入力データ223および稼働実績データ354は、それぞれデータ読出部231,356,358を介して、第2ロボットデータ生成部230Aによって読み出される。さらに、第2ロボットデータ生成部230Aは、システム全体シミュレート部360と、ゾーン内シミュレート・棚内シミュレート部362を備えている。このシステム全体シミュレート部360と、ゾーン内シミュレート・棚内シミュレート部362とは、シミュレート用データベース366とデータの入出力を行い、最終的に作業シーケンス決定部364が、搬送ロボット602と、アームロボット200と、を含む全体的な制御シーケンスを決定する。
これらの構成により、(1)搬送ロボット602の自律的な動作シーケンスと、(2)アームロボット200の棚内シミュレーションによる動作シーケンスと、を確立して、高速で精度の高い制御動作を実現している。
【0074】
図17は、第2ロボットデータ生成部230Aが実行する処理のフローチャートである。
図17において処理がステップS201に進むと、第2ロボットデータ生成部230Aは、倉庫システム300のモデルを作成する。次に、処理がステップS203に進むと、第2ロボットデータ生成部230Aは、先にステップS201で作成したモデルと、第2入力データ222(優先事項、作業順序、制約事項、障害物の情報、ロボット間作業分担ルール等)と、に基づいて、倉庫システム300全体のシミュレーションを行う。
【0075】
次に、処理がステップS205に進むと、第2ロボットデータ生成部230Aは、ステップS203におけるシミュレーション結果と、第3入力データ223(ゾーン情報、棚情報、作業シーケンス決定条件等)と、に基づいて、ゾーン内のシミュレーションを実行する。次に、処理がステップS206に進むと、第2ロボットデータ生成部230Aは、棚内シミュレーションを行う。
【0076】
次に、処理がステップS208に進むと、ステップS206における棚内シミュレーション結果と、稼働実績データ354(各種物品の入出庫等の実績)と、に基づいて、第2ロボットデータ生成部230Aは、作業シーケンスを決定する。次に、処理がステップS208に進むと、ステップS201~S208の処理結果に基づいて、第2ロボットデータ生成部230Aは、座標計算と、各種の制御等を実行する。
これにより、第2ロボットデータ生成部230Aは、倉庫システム300における搬送ロボット602とアームロボット200についてシミュレーションを行い、効率的な作業シーケンスを実行できる。これにより、各ゾーンにおいて、搬送ロボット602とアームロボット200とを効率的に制御することができる。
【0077】
以上のように、図12図17に示した構成によれば、各々が何れかのゾーン(11,12,13)に割り当てられ、割り当てられたゾーン(11,12,13)からアームロボット(200)の操作範囲に、物品(203)とともに保管棚(702)を搬送する搬送ロボット(602)と、出庫対象として何れかの物品(203)が指定されると、各々のゾーン(11,12,13)について物品を出庫する際のシミュレーションを行い(S104)、このシミュレーション結果に基づいて物品(203)の出庫処理を行うゾーン(11,12,13)を決定する制御装置(800)と、を備える。
【0078】
さらに、同構成によれば、制御装置(800)は、シミュレーション結果に基づいて、複数のゾーン(11,12,13)のうち、搬送ロボット(602)の移動距離または移動回数が最小であるものを、物品(203)の出庫処理を行うゾーン(11,12,13)として決定する。
これにより、各ゾーン(11,12,13)において、搬送ロボット(602)とアームロボット(200)とを効率的に制御することができる。
【0079】
[箱滞留予兆検知]
次に、倉庫システム300(図1参照)の集約検品エリア106または梱包エリア107において、ラインの箱滞留を予測する技術について説明する。
本実施形態の倉庫システム300においては、コンベアのラインの要所要所にカメラを含むセンサ206を設置し、流れてくるコンテナの滞留状況を測定する。そして、中央制御装置800は、コンベアの渋滞の予兆を検出すると、実際に滞留する前に、作業員310の情報端末(スマートフォン、スマートウォッチ等)に対しリアルタイムに通知し、対処を促進できる。以下、その詳細を説明する。
【0080】
図18は、本実施形態に含まれる解析処理装置410のブロック図である。なお、解析処理装置410は、中央制御装置800とは別体の装置であってもよく、中央制御装置800と一体の装置であってもよい。
解析処理装置410は、特徴量抽出部412と、特徴量記憶部414と、差分比較部416と、閾値設定部418と、異常判定処理部420と、異常発報処理部422と、解析部428と、帰還部430と、異常発生予測部432と、を備えている。
【0081】
センサ206からの画像データは解析処理装置410の特徴量抽出部412に送られる。そして、その画像データは特徴量記憶部414に送られた後、差分比較部416で後述する基準画像と比較される。その後、閾値設定部418にデータが送られ、異常判定処理部420で閾値との乖離度が判定される。異常判定処理部420における判定結果は、異常発報処理部422に供給され、供給された情報は異常発生表示装置424において表示される。
【0082】
また、閾値等を設定するために、外部から、その他情報426が解析部428に供給される。その他情報426は、例えば、当日注文量、当日の取扱い物品カテゴリ、作業人員数、カメラ設置位置、コンベア位置等の情報である。そして、解析部428からのデータは、帰還部430に供給される。閾値設定部418は、帰還部430に供給された情報に基づいて、閾値を設定する。
【0083】
また、特徴量記憶部414からのデータは、解析部428にも供給される。また、解析部428には異常判定処理部420における判定結果も入力される。解析部428からの解析データは異常発生予測部432に送られ、また、外部の他計画システム・制御装置436にも送られて利用される。この結果、異常が発生した場合には、異常発生表示装置424に異常発生を通知することができる。ここで、異常発生を通知する異常発生表示装置424は、例えば倉庫システム内の警告灯(図示せず)、作業員310のスマートフォン、スマートウォッチ等であってもよい。
【0084】
また、異常発生予測部432は、異常発生が予測される場合には、その旨を示すデータを予測情報表示装置434に供給する。これにより、予測情報表示装置434には、例えば「あと○分以内に滞留発生見込み」等の予測状況を表示することができる。ここで、予測状況を表示する予測情報表示装置434は、異常発生表示装置424と同様に、作業員310のスマートフォン、スマートウォッチ等を適用することができる。
【0085】
図19は、本実施形態における解析処理装置410の動作を示す模式図である。
図示の例では、搬送物の例として、箱状のコンテナ560(搬送対象物)を適用している。コンテナ560の滞留を検知、予測するために、例えば、搬送ライン124の上に、何も無い状況(稼働していない)の状態の画像をセンサ206によって取り込む。この画像を基準画像562と呼ぶ。この基準画像562の特徴量は、差分比較部416(図18参照)に記憶される。そして、実際に倉庫システム300が稼働している時の搬送ライン124上の取得画像をセンサ206より取り込む。この画像を取得画像564と呼ぶ。そして、特徴量抽出部412は、取得画像564の特徴量を抽出し、抽出された特徴量は、特徴量記憶部414に記憶された後、解析部428に供給される。
【0086】
次に、n秒後の搬送ライン124の画像をセンサ206により取り込む。そして、この時の画像データも解析部428に送られ、異常発生を判断する閾値th1,th2(図示せず)が求められる。ここで、閾値th1は、搬送ライン124が混雑し始めている可能性の有無を判断するための閾値であり、閾値th2は、異常が生じているか否かを判断するための閾値である。従って、両閾値には、「th1<th2」の関係がある。
【0087】
ここで、閾値th1が「1」であって閾値th2が「3」であったとする。例えば、コンテナ画像の数が「0」である取得画像566では、コンテナ画像の数が閾値th1以下であるため、解析処理装置410は、「異常無」と判断する。また、上述した取得画像564ではコンテナ画像の数が「1」であるが、この場合もコンテナ画像の数が閾値th1以下であるため、解析処理装置410は「異常無」と判断する。
【0088】
また、コンテナ画像の数が閾値th1を超え、閾値th2以下であるとき、解析処理装置410は、「混雑し始めている可能性がある」と判断する。例えば、コンテナ画像の数が「2」である取得画像568では、コンテナ画像の数は、閾値th1(=1)を超え、閾値th2(=3)以下であるため、解析処理装置410は、「混雑し始めている可能性がある」と判断する。
この場合は、前述したように、解析処理装置410は、作業員310のスマートフォン、スマートウォッチ等に「混雑し始めている可能性がある」旨を通知する。
【0089】
また、図示の取得画像570のように、コンテナ画像の数が閾値th2(=3)を超えると、解析処理装置410は、「異常が生じている(コンテナ560が滞留している)」と判断する。
この場合は、前述したように、解析処理装置410は、倉庫システム300内の警告灯(図示せず)を点滅し、更には作業員310のスマートフォン、スマートウォッチ等に滞留の異常発生を通知する。また、この場合、当該搬送ライン124を強制的に停止させてもよい。
【0090】
その後、作業員310は、滞留を回避するために、例えば、集約検品エリア106では、ロボット本体201のラインに流れるコンテナ560の量を減少させ、作業員310が居るラインに多くのコンテナ560が流れるように制御を切り替えるとよい。
また、滞留を回避するために、他の搬送ラインにコンテナ560を流す処理は、作業員310等の指示を待たず、中央制御装置800が指令するようにしてもよい。
【0091】
以上のように、図18図19に示した構成によれば、各々が搬送対象物(560)を搬送する複数の搬送ライン(120,122,124,126,130)と、一の搬送ラインの状態を検出するセンサ(206)と、センサ(206)によって一の搬送ラインが混雑していると判断すると、他の搬送ラインに搬送対象物(560)を搬送するように、作業者に対して報知を行う解析処理装置(410)と、を備える。
【0092】
さらに、同構成によれば、解析処理装置(410)は、搬送対象物(560)の量が第1の閾値(th1)を超えると、その旨を作業者に報知し、搬送対象物(560)の量が第1の閾値(th1)よりも大きい第2の閾値(th2)を超えると、対応する搬送ライン(124)を停止させる。
これにより、作業員は、搬送対象物(560)の滞留を確実に検知することができ、ラインの変更等の措置を速やかに講じることができる。
【0093】
[画像による検品]
図20は、倉庫システム300において、搬送ロボット602を用いて入庫する物品の検品を行う方法を示す模式図である。図2に示したように、倉庫100における各ゾーン11,12,13等には、保管棚702等が配置される。しかし、物品を梱包した箱(例えば段ボール箱)をそのままの状態で保管するには、これらの箱を棚に収納するよりも、これらの箱をそのまま積み上げた方が、倉庫100内のスペース効率を高めることができる。そこで、本実施形態においては、一部または全部の保管棚702等に代えて、図20に示すような、ダイニングテーブル状の荷受台座852を適用することができる。なお、荷受台座852はパレットであってもよい。
【0094】
荷受台座852の上板852aは、矩形平板状であるため、ここで段ボール箱等の荷受物品854(検査対象物)を積載することができる。また、搬送ロボット602は、保管棚702等の場合と同様に、荷受台座852の下方に潜り込み、荷受台座852の上板852aを押し上げることにより、荷受台座852を支持し移動させることができる。
【0095】
図21は、倉庫システム300において、検品作業に適用される検品システム270のブロック図である。
図21において、検品システム270は、AGVコントローラ276と、搬送ロボット602と、制御装置860と、照明装置858と、センサ206と、レーザ装置856と、を備えている。なお、制御装置860は、中央制御装置800とは別体の装置であってもよく、中央制御装置800と一体の装置であってもよい。搬送ロボット602は、AGVコントローラ276からの指令に基づいて、荷受物品854(図20参照)を積載した荷受台座852を移動し、または回転させる。
【0096】
また、AGVコントローラ276からの指令は、制御装置860にも供給され、この指令に基づいてカメラ等のセンサ206が動作し、荷受物品854を撮像する。また、制御装置860は、照明装置858を用いて、荷受物品854にストロボ状の光を照射するとともに、レーザ装置856を用いて、荷受物品854に赤色格子光(赤色の格子状のレーザ光)を照射する。荷受物品854が例えば段ボール箱等、直方体状の物体であるならば、赤色格子光によって赤色の格子状の像が荷受物品854に投影される。
【0097】
ここで、荷受物品854に「つぶれ」等の異常が生じている場合には、格子状の像に歪が生じるため、この像をセンサ206で撮影することにより、荷受物品854の異常を検出することができる。また、照明装置858によってストロボ状の光を照射すると、荷受物品854に陰影が生じるが、この陰影の形状によっても、荷受物品854の異常を検出することができる。この検品システム270によれば、搬送ロボット602で荷受物品854を搬送するラインの途中で、荷受物品854の検査を自動的に実行することが可能になる。従って、特定の場所に検査場所を固定する必要が無くなるため、倉庫システム300において、検査場所の可搬性を高めることができる。なお、図21に示した例において、検品システム270はレーザ装置856および照明装置858の双方を備えているが、何れか一方のみを設けてもよい。
なお、センサ206がカメラである場合には、センサ206は荷受物品854を撮影することができ、荷受物品854表面に記載された商品名、商品コード、入り数、賞味期限やロットNO、関連する情報に紐づくバーコードまたは2次元コード、またはこれらが記載された商品ラベルや出荷ラベルなどを読み取る。制御装置860において、読み取った情報に基づいて検品システム270の検品作業を行うことが可能である。センサ206はカメラに限られず、例えばRFIDリーダー等であってもよく、荷受物品854に貼付されたRFIDタグの情報を読み取ることで、同様に出荷検品を行ってもよい。
【0098】
図22は、制御装置860によって実行される検査処理のフローチャートである。
図22のステップS300において処理が開始されると、処理はステップS301に進み、荷受物品854が荷受台座852に搭載される。すなわち、外部からトラック等で搬送されてきた荷受物品854は、コンベア304等に載置された後、荷受台座852の上部に送られる。そして、一般的には、複数の荷受物品854が、荷受台座852に搭載される。
【0099】
次に、処理がステップS302に進むと、制御装置860の制御の下、搬送ロボット602が荷受台座852をセンサ206の前まで移動させる。すなわち、荷受台座852の下方に搬送ロボット602が潜り込み、荷受台座852も含めて荷受物品854を持ち上げる。そして、荷受台座852に載置された状態で、荷受物品854は、センサ206の画像カメラで撮影可能な場所に搬送される。
【0100】
次に、処理がステップS303に進むと、制御装置860からの指令に対応して、搬送ロボット602はセンサ206の前で360度回転する。センサ206は、その際の荷受物品854の画像を取り込み、制御装置860に送信する。
次に、処理がステップS304に進むと、制御装置860は、取り込んだ画像に基づいて、荷受物品854に異常(キズ、変色、歪等)が発生しているか否かを判断する。
【0101】
ステップS304における判定結果が「異常無」であれば、処理はステップS305に進む。ここでは、制御装置860の制御の下、搬送ロボット602は、荷受台座852とともに、入庫ゲート320(図2参照)まで移動する。一方、ステップS304における判定結果が「異常有」であれば、処理はステップS306に進む。ここでは、制御装置860は、倉庫システム300内の警告灯(図示せず)を点灯させる。さらに、制御装置860は、作業員310の情報端末(スマートフォン、スマートウォッチ等)に異常が発生した旨を通知し、入庫ゲート320と異なる別の場所に荷受台座852および荷受物品854を移動させる。
【0102】
以上のように、図20図22に示した構成によれば、上板(852a)を有するダイニングテーブル状の荷受台座(852)と、上板(852a)に載置された検査対象物(854)の状態を検出するセンサ(206)と、荷受台座(852)の下方に潜り込み、上板(852a)を押し上げることにより、荷受台座(852)を支持し移動させる搬送ロボット(602)と、検査対象物(854)がセンサ(206)によって検査対象物(854)が検査可能な範囲内に存在することを条件として、荷受台座(852)を支持している搬送ロボット(602)を水平方向に回転させる制御装置(860)と、を備える。
【0103】
さらに、同構成によれば、検査対象物(854)に対して、光を照射する照射装置(858,856)をさらに備え、制御装置(860)は、検査対象物(854)に光が照射された結果に基づいて、検査対象物(854)の状態を判定する。
これにより、検査対象物(854)の異常の有無を高精度で検知することができる。
【0104】
[効率的な棚配置]
図23は、ゾーン12の平面図であり、保管棚の効率的な配置を説明するためのものである。
図23においては、ゾーン12に島750が形成されており、ここに保管棚720が含まれている。それ以外のゾーン12の構成は、図2に示したものと同様である。但し、保管棚732,742等、6個の保管棚を有する島を「島751」と呼び、保管棚712,714等、6個の保管棚を有する島を「島752」と呼ぶ。
【0105】
図24は、倉庫システム300において、保管棚の入替処理に適用される保管棚入替システム370のブロック図である。
図24において、保管棚入替システム370は、制御装置820と、AGVコントローラ276と、搬送ロボット602と、物品・棚データベース367と、を備えている。なお、制御装置820は、中央制御装置800とは別体の装置であってもよく、中央制御装置800と一体の装置であってもよい。
【0106】
物品・棚データベース367は、各種物品203の出庫確率を表す物品出庫確率データと、各保管棚の出庫確率を表す保管棚出庫確率データと、を記憶する。
制御装置820は、物品・棚データベース367を参照することによって、入替を行う一対の保管棚を決定する。決定された保管棚は、図22に示した例においては、保管棚716(第1の保管棚)および保管棚720(第2の保管棚)である。そして、制御装置820は、決定した一対の保管棚をAGVコントローラ276に指示し、両保管棚の入替を実行させる。
【0107】
図25は、制御装置820によって実行される棚配置ルーチンのフローチャートである。
図25のステップS400において処理が開始されると、処理はステップS401に進む。ステップS401において、制御装置820は、所定のサンプル期間に渡って、倉庫100における特定のゾーン(図23に示した例ではゾーン12)における物品203(図3参照)の出庫状況の統計データを蓄積する。
【0108】
次に、処理がステップS402に進むと、制御装置820は、統計データに対する統計処理を行い、その結果から、出庫頻度の高い物品203を選択する。次に、処理がステップS403に進むと、制御装置820は、その選択した物品203が格納された、出庫頻度の高い保管棚(以下、高頻度保管棚という)を選択する。なお、図23に示す例においては、保管棚720が、高頻度保管棚であることとする。
ここで、ステップS403の処理は、単純に過去の特定のサンプル期間を基準とした物品の出庫頻度の高さのみならず、例えば、将来の期間に予測される出庫確率の高い物品203を選択することが好ましい。具体的には、例えば将来の季節、天気、気温、月日、流行等を考慮して将来に予測される出庫頻度を求め、その結果に基づいて、出庫確率の高い物品203を選択し、かつ、その物品203を納めた高頻度保管棚を選択するとよい。
【0109】
次に、処理がステップS404に進むと、出庫ゲート330に近い島(出庫ゲート330に最も近接している島、または出庫ゲート330に対して所定距離内にある島)で保管されている物品203の中から、出庫頻度の低い物品を選択する。さらに、ステップS404では、出庫頻度の低い物品を納めている保管棚(以下、低頻度保管棚という)を特定する。なお、図23に示す例においては、低頻度保管棚は保管棚716であることとする。
【0110】
次に、処理がステップS405に進むと、制御装置820は搬送ロボット602に指令を出力し、低頻度保管棚を現在の島から取り出し、出庫ゲート330から遠い島に移動させる。図23に示す例においては、低頻度保管棚である保管棚716が島752から取り出され、出庫ゲート330から離れた島750に移動させられる。次に、処理がステップS406に進むと、制御装置820は、搬送ロボット602に指令を出力し、高頻度保管棚を現在の島から取り出し、出庫ゲート330に近い島に移動させる。図23に示す例においては、高頻度保管棚である保管棚720が島750から取り出され、出庫ゲート330に近い島752に移動させられる。
【0111】
以上の処理により、取り出される可能性の高い物品を納めた保管棚を、出庫ゲート330の近傍に配置することができる。これにより、搬送ロボット602による保管棚の移動距離を短くすることができ、物品203のピッキングに要する時間を短縮できる。
なお、上述した例においては、特定のゾーン内で保管棚を入れ替えた例を示したが、全てのゾーンを跨いで搬送ロボット602を稼働して保管棚を入れ替えてもよい。
【0112】
以上のように、図23図25に示した構成によれば、床面(152)の所定の配置箇所に各々配置され、各々が出庫され得る複数の物品(203)を保管する複数の保管棚(716,720)と、複数の物品(203)のうち何れかの出庫が指定されると、指定された物品(203)を保管する何れかの保管棚(716,720)を、所定位置に設けられた出庫ゲート(330)に搬送する搬送ロボット(602)と、複数の物品(203)が過去に出荷された実績に基づいて、複数の保管棚(716,720)が出庫ゲート(330)に搬送される頻度を予測し、複数の保管棚(716,720)のうち第1の保管棚(716)について予測される頻度よりも第2の保管棚(720)について予測される頻度が高く、かつ、第1の保管棚(716)の配置箇所よりも第2の保管棚(720)の配置箇所が出庫ゲート(330)よりも遠い場合は、第1の保管棚(716)の配置箇所よりも第2の保管棚(720)の配置箇所が出庫ゲート(330)に近くなるように、第1の保管棚(716)または第2の保管棚(720)の配置箇所を変更する制御装置(800)と、を備える。
【0113】
さらに、同構成によれば、制御装置(800)は、第1の保管棚(716)または第2の保管棚(720)の配置箇所を変更する場合には、第1の保管棚(716)の配置箇所と第2の保管棚(720)の配置箇所とを入れ替える。
これにより、取り出される可能性の高い物品を納めた保管棚を、出庫ゲートの近傍に配置することができ、搬送ロボット(602)による保管棚の移動距離を短くすることができ、物品のピッキングに要する時間を短縮できる。
【0114】
[スタッカクレーン連携]
図26は、倉庫システム300において、保管棚からバケット480(バゲット)を取り出す構成の模式図である。
なお、バケット480は、保管棚における各棚に載置される箱であって、上面を開放した略直方体状の形状を有している。バケット480には、一般的には、同一種類の複数の物品203(図3参照)が収納される。
バケット480を保管棚702等から取り出す際、アームロボット200のロボットハンド202によってバケット480を摘んで引き出すことが考えられる。
【0115】
また、図26において、アームロボット200は、1本のロボットアーム208と、1個のロボットハンド202とを備えている。これに対して、2本のロボットアーム208と、2個のロボットハンド202を用いる構成も考えられる。すなわち、2本のロボットアーム208のうち一方によってバケット480を引き出し、他方のロボットアーム208によってバケット480の中から物品203を取り出すことが考えられる。
しかし、ロボットアーム208の制御には時間を要するため、上述した何れの技術においても、物品203の取り出しの高速化を実現することは困難であった。
【0116】
そこで、本実施形態においては、保管棚702からバケット480を取り出す手段として、スタッカクレーン482を備えている。ここで、スタッカクレーン482は、保管棚702等の棚からバケット480を搬出・搬入する引出アーム486と、保管棚702の対向面に対して、この引出アーム486を左右方向に走行させる機能と、引出アーム486を上下方向に昇降させる機能と、を備えている。そして、該スタッカクレーン482は、出庫ゲート330(図2参照)に設けられている。
【0117】
搬送ロボット602は、目的とする物品を収納した保管棚702を、出庫ゲート330の前まで移動する。そして、保管棚702に納められているバケット480は特定の種類に類型化されている。従って、スタッカクレーン482は、中央制御装置800の指示に応じて、引き出す対象のバケットを特定できる。これにより、ロボットアーム208を駆動する場合と比較して、高速かつ正確にバケット480を保管棚702から引き出すことができる。
【0118】
図27は、倉庫システム300において、保管棚からバケット480を取り出す他の構成の模式図である。
図27に示す例においては、スタッカクレーン482によって取り出されたバケット480を一時的に保管するバッファ棚484が設けられている。すなわち、スタッカクレーン482によって取り出されたバケット480は、バッファ棚484に一旦保管される。そして、アームロボット200は、バッファ棚484に載置されているバケット480から、物品203をピッキングする。
【0119】
図27に示した例においては、図26のものと比較すると、ピッキングに必要な(例えば複数の)バケット480をバッファ棚484に保管しておき、アームロボット200によるピッキングは、その後で実行することができる。アームロボット200によるピッキングの作業時間は、対象となる物品203の物品の種類や状況によって異なるが、バッファ棚484にバケット480を一旦は保持することで、ロボットアーム208によるピッキング作業時間の均一化を図ることができる。
【0120】
図28は、図27に示した構成に対して、中央制御装置800(図1参照)が実行する処理のフローチャートである。
図28のステップS500において処理が開始されると、処理はステップS501に進む。ここでは、中央制御装置800は、出庫対象の物品203を、倉庫100に納められた物品の物品データから検索し、対象の物品が納められた保管棚702等と、保管棚の中における物品203の位置と、を特定する。次に、処理がステップS502に進むと、中央制御装置800は、物品203を収めた保管棚702等を、搬送ロボット602によって、出庫ゲート330まで移動させる。
【0121】
次に、処理がステップS503に進むと、中央制御装置800はスタッカクレーン482を制御し、目的とする物品203が納められたバケット480の位置まで、引出アーム486を移動して、目的のバケット480を引き出す。次に、処理がステップS504に進むと、中央制御装置800の制御により、スタッカクレーン482は、目的とするバケット480をバッファ棚484に移動させる。次に、処理がステップS505に進むと、中央制御装置800の指令に基づいて、アームロボット200は、ロボットアーム208およびロボットハンド202を用いてバッファ棚484のバケット480から目的の物品203を取り出して出庫する。
【0122】
なお、図28は、図27の構成に対するフローチャートであるが、図26の構成については、上記ステップS504をスキップすればよく、それ以外の処理は上述したものと同様である。このように、図26図28に示した例においては、保管棚702等からバケット480を取り出す動作をロボットアーム208ではなくスタッカクレーン482によって実行したため、ロボットアーム208を用いる場合と比較して、より高速にピッキングを行うことができる。
【0123】
以上のように、図26図28に示した構成によれば、物品(203)を収納するバケット(480)と、床面(152)の所定の配置箇所に各々配置され、各々が出庫され得る複数の物品(203)を、バケット(480)に収納した状態で保管する複数の保管棚(702)と、複数の物品(203)のうち何れかの出庫が指定されると、指定された物品(203)を保管する何れかの保管棚(702)を、所定位置に設けられた出庫ゲート(330)に搬送する搬送ロボット(602)と、出庫ゲート(330)に設けられ、指定された物品(203)を収納するバケット(480)を、保管棚(702)から取り出すスタッカクレーン(482)と、スタッカクレーン(482)によって取り出されたバケット(480)から、指定された物品(203)を取り出すアームロボット(200)と、を備える。
【0124】
さらに、図27の構成によれば、スタッカクレーン(482)によって取り出されたバケット(480)を保持するバッファ棚(484)をさらに有し、アームロボット(200)は、バッファ棚(484)に保持されたバケット(480)から物品(203)を取り出す。
このように、スタッカクレーン(482)によって保管棚(702)から物品(203)を取り出すことにより、高速にピッキングを行うことができる。
【0125】
[仕分け棚のAGVによる移動]
図29は、出庫ゲート330(図2参照)において、保管棚702等から目的とする物品を取り出して、仕分棚902に納める構成を示す模式図である。なお、仕分棚902は、出荷先毎に物品を仕分けるものである。
図示の例においては、平行な二本のレール492が床面に敷設されている。そして、ロボット本体201は、これらレール492に載置される車輪と、これら車輪を駆動するモータとを備えている(図示略)。これにより、ロボット本体201は、レール492に沿って移動可能になっている。保管棚702には、目的とする物品203が納められたバケット480が収納されている。アームロボット200は、そのバケット480に対向する位置までロボットアーム208を移動させる。
これにより、アームロボット200は、高い作業効率で物品のピッキングを行い、目的とする物品を仕分棚902に移動させることができる。
【0126】
図30は、図29に示した構成に対して、中央制御装置800が実行する処理のフローチャートである。
図30のステップS600において処理が開始されると、処理はステップS601に進む。ここでは、中央制御装置800は、出庫対象の物品203を、倉庫100に納められた物品の物品データから検索し、対象の物品が納められた保管棚702等と、保管棚の中における物品203の位置と、を特定する。次に、処理がステップS602に進むと、中央制御装置800は、搬送ロボット602を用いて、特定された保管棚702等を出庫ゲート330まで移動させる。
【0127】
次に、処理がステップS603に進むと、中央制御装置800の制御の下、ロボットアーム208およびロボットハンド202が目的の物品203を取り出しやすい位置まで、ロボット本体201がレール492上を移動する。次に、処理がステップS604に進むと、中央制御装置800の制御の下、アームロボット200は、ロボットアーム208およびロボットハンド202を用いて、バケット480を引き出し、目的の物品203を取り出す。次に、処理がステップS605に進むと、中央制御装置800は、取り出した物品を仕分棚902の予め指定された棚位置に納めるように、ロボット本体201をレール492上で移動させる。
【0128】
次に、処理がステップS606に進むと、アームロボット200は、中央制御装置800の制御の下、仕分棚902の予め指定された棚位置に、取り出した物品を格納する。
なお、図29に示した例では、アームロボット200がバケット480を引き出す旨を説明したが、図26図27に示したように、スタッカクレーン482を設け、目的とする物品を収納したバケット480をスタッカクレーン482が引き出すようにしてもよい。
【0129】
図31は、出庫ゲート330(図2参照)において、保管棚702等から目的とする物品を取り出して、他の保管棚722,724(仕分棚)に仕分ける構成を示す模式図である。
図29に示した例においては、ロボット本体201が2本のレール492の上を動いていた。これに対して、図31に示す例では、仕分棚902に代えて、保管棚722,724等が適用される。すなわち、必要に応じて、搬送ロボット602が、保管棚722,724をアームロボット200の操作範囲に移動させる。
【0130】
これにより、アームロボット200のロボット本体201を移動させず、ロボットアーム208およびロボットハンド202を動作させることにより、保管棚702のバケット480から取り出した物品203(図3参照)を、保管棚722,724のバケット480に移動させることができる。すなわち、保管棚722,724において、アームロボット200に対向する面に載置されたバケット480の開口部の範囲については、当該バケット480に物品203を納めることができる。
【0131】
そして、保管棚722,724のうち、アームロボット200に対向する面のバケット480に空きスペースが無くなると、搬送ロボット602は、保管棚722,724を回転させ、反対側のバケット480に物品等を収納可能にする。さらに、保管棚722,724の全てのバケット480の開口部に空きスペースが無くなると、搬送ロボット602は、別の新たな保管棚(図示略)をアームロボット200の操作範囲に移動させる。これにより、新たな保管棚に対して、同様に物品等を納めることができる。このように、図31に示す例においては、保管棚722,724等は、仕分棚としての機能を奏する。
【0132】
図32は、出庫ゲート330(図2参照)において、保管棚702等から目的とする物品を取り出して、他の保管棚722,724に納める他の構成を示す模式図である。
図31に示した例と比較して、図32に示す例では、搬送ロボット602は、仕分棚として機能する保管棚722,724を細かく駆動する点が相違している。すなわち、搬送ロボット602は、目的の物品を収納したバケット480の箇所に応じて、保管棚722,724をバケット480等の幅単位で細かく移動させる。
【0133】
図32に示す例によれば、ピッキングの対象となる物品を保管棚722,724に入れる際、中央制御装置800は、保管棚722,724の何れのバケット480に対象の物品を入れるかを判断する。そして、搬送ロボット602は、そのバケット480の位置と、ロボットハンド202の可動位置を合せるように、バケット480の幅単位で保管棚722,724を左右に移動させる。これにより、ロボットアーム208およびロボットハンド202が移動する距離を短くすることができ、保管棚702からピッキングした物品等を保管棚722,724に納める工程を高速に実行できるようになる。
【0134】
図33は、図31図32に示した構成に対して、中央制御装置800が実行する処理のフローチャートである。
図33のステップS600において処理が開始されると、処理はステップS601に進む。ここでは、中央制御装置800は、出庫対象の物品203を、倉庫100に納められた物品の物品データから検索し、対象の物品が納められた保管棚702等と、保管棚の中における物品203の位置と、を特定する。次に、処理がステップS702に進むと、中央制御装置800は、搬送ロボット602を用いて、特定された保管棚702等を出庫ゲート330まで移動させる。
【0135】
次に、処理がステップS703に進むと、中央制御装置800の制御の下、アームロボット200は、ロボットアーム208およびロボットハンド202を用いて、保管棚702からバケット480を引き出し、目的の物品203を取り出す。次に、処理がステップS704に進むと、中央制御装置800の制御の下、搬送ロボット602は、仕分用の保管棚722,724を、出庫ゲート330の仕分け位置に移動する。より詳細には、目的の物品を仕分用の保管棚722,724の予め指定された棚位置に、ロボットアーム208およびロボットハンド202が格納しやすいように、搬送ロボット602は、バケット480の幅単位で保管棚722,724を移動させる。
【0136】
次に、処理がステップS705に進むと、アームロボット200は、中央制御装置800の制御の下、仕分用の保管棚722,724の、予め指定された棚位置のバケット480に、物品を格納する。次に、処理がステップS706に進むと、中央制御装置800は、仕分用の保管棚722,724に対して、追加で目的とする物品を入れる必要があるか否かを判定する。この判定結果が肯定(追加有り)であれば、処理はステップS701に戻り、上述したのと同様の動作が繰り返される。一方、この判定結果が否定(追加無し)であれば、保管棚702を、仕分け位置から移動させる。
【0137】
なお、図31図33において説明した例では、アームロボット200がバケット480を引き出す旨を説明したが、図26図27に示したように、スタッカクレーン482を設け、目的とする物品を収納したバケット480をスタッカクレーン482が引き出すようにしてもよい。また、引き出したバケット480をバッファ棚484(図27参照)に移動した後に、アームロボット200が該バケット480から物品を取り出すようにしてもよい。
【0138】
また、上述したステップS704では、搬送ロボット602を用いてバケットの幅の単位で、仕分用の保管棚722,724を移動させたが、高速で動作できるアームロボット200であれば、図31に示したように、仕分用の保管棚722,724を固定した状態で、物品を保管棚722,724に格納してもよい。
【0139】
以上のように、図29図33に示した構成によれば、出庫対象の物品(203)を保管する保管棚(702)と、出荷先毎に物品(203)を仕分ける仕分棚(902,722,724)と、保管棚(702)から物品(203)を取り出し、仕分棚(902,722,724)の指定箇所に納めるアームロボット(200)と、アームロボット(200)と指定箇所との距離を縮めるように、アームロボット(200)または仕分棚(722,724)を移動させる移動装置(201,602)と、を備える。
これにより、保管棚(702)から取り出した物品(203)を、仕分棚(902,722,724)に納める工程を高速に実行できるようになる。
【0140】
さらに、図31図32の構成によれば、移動装置(602)は、仕分棚(722,724)の下方に潜り込み、仕分棚(722,724)を押し上げることにより仕分棚(722,724)を支持し移動させる搬送ロボット(602)である。
仕分棚(722,724)も搬送ロボット(602)も各ゾーン(11,12,13)で用いられているものであり、これにより、倉庫(100)内の各種機材を共通化できる。
【0141】
[障害物の接近検知]
一般的に、倉庫システム内で搬送ロボット602を運用する場合には、搬送ロボット602を運用する領域と、作業員の作業領域とは重ならないように設定される。その理由は、作業員や、作業員の運搬する荷物は、搬送ロボット602を運用する際の障害物になり得るためである。しかし、作業員と搬送ロボット602とが混在したほうが効率的な荷役作業を実現できる場合がある。このような運用を可能にするために、障害物に対して搬送ロボット602が適切に動作することが求められている。
【0142】
図34は、搬送ロボット602が障害物を検知した場合の動作説明図である。なお、同図では、作業員310が障害物である例を示している。また、特に言及しない限りは、前述で説明した図1図33に示した符号と同一の符号を有する部材は、図1図33に示したものと同様の構成、効果を備えている
本実施形態においては、搬送ロボット602が運用される領域では、天井にカメラ等のセンサ206が配置されており、搬送ロボット602およびその周辺の状態を監視している。
【0143】
本実施形態においては、搬送ロボット602の移動方向に対して、障害物(作業員310等)との衝突を回避するために、移動方向の前方に、以下の仮想的な領域862,864,866設定している。
(1)搬送ロボット602の前方5m前~3m前までの領域866
(2)搬送ロボット602の前方3m前~1m前までの領域864
(3)搬送ロボット602の前方1m前以内の領域862
【0144】
図35は、複数の搬送ロボット602がそれぞれ異なる経路882,884に沿って移動する場合の模式図である。
図示の例においては、2台の搬送ロボット602が、別々の路線である経路882,884に沿って移動している。なお、経路882,884は、床面上で想定された経路であり、特に床面上で経路882,884が物理的に形成されているわけではない。
【0145】
中央制御装置800は、各搬送ロボット602に対して、それぞれ仮想的な領域872,874を設定し、各搬送ロボット602の運転状態を制御して障害物(作業員310等)との衝突を回避している。
なお、図35に示した例では、2台の搬送ロボット602が適用されているが、搬送ロボット602の台数は3台以上であってもよい。
【0146】
図36は、中央制御装置800によって、作業員310等と障害物との衝突を回避するために実行される処理のフローチャートである。
図36のステップS700において処理が開始されると、処理はステップS701に進む。ここでは、中央制御装置800は、作業員310等と障害物との衝突を回避するために、搬送ロボット602の移動方向に対して、以下の3つの仮想的な領域を設定する。
(1)搬送ロボット602の前方5m前~3m前までの領域866
(2)搬送ロボット602の前方3m前~1m前までの領域864
(3)搬送ロボット602の前方1m前以内の領域862
【0147】
次に、処理がステップS702に進むと、搬送ロボット602は、自己の位置データを中央制御装置800に送信する。但し、このステップS702の実行タイミングに限らず、搬送ロボット602は、自己の位置データを、中央制御装置800に常時送信している。次に、処理がステップS703に進むと、センサ206は、搬送ロボット602の周囲に障害物が存在するか否かを検知する。但し、このステップS703の実行タイミングに限らず、センサ206は、搬送ロボット602の周囲に障害物が存在するか否かを常時検知している。
【0148】
次に、処理がステップS704に進むと、中央制御装置800は、センサ206が検知した障害物と、搬送ロボット602との相対距離を演算し、その演算結果に応じて処理を分岐させる。まず、相対距離が1m以内であるとき、処理はステップS705に進み、中央制御装置800は、当該搬送ロボット602を緊急停止させる。次に、処理がステップS706に進むと、中央制御装置800は、作業員310等の情報端末(スマートフォン、スマートウォッチ等)に対して、警報を通知する。
【0149】
一方、演算した相対距離が1m以上、3m未満であるとき、処理はステップS704からステップS707に進む。ステップS707において、中央制御装置800は、搬送ロボット602の速度を、正常時の30%まで減少させる。一方、演算した相対距離が3m以上、5m未満であるとき、処理はステップS704からステップS708に進む。ステップS708において、中央制御装置800は、搬送ロボット602の速度を、正常時の50%まで減少させる。
【0150】
ステップS707またはS708が実行されると、次に処理はステップS702に戻る。また、演算した相対距離が5m以上であるときは、搬送ロボット602を特に減速させることなく処理はステップS702に戻る。これにより、以降、緊急停止(ステップS705)が生じない限り、上述したのと同様の処理が繰り返される。
以上の処理により、作業員310等の移動を可能にしつつ、搬送ロボット602を安全に運行させることができる。すなわち、作業員310等の作業領域と、搬送ロボット602の作業領域とを重ね合わせることが可能になり、効率的な荷役作業を実現できる。
【0151】
以上のように、図34図36に示した構成によれば、倉庫(100)内を走行する搬送ロボット(602)と、搬送ロボット(602)および搬送ロボット(602)に対する障害物(310)を検出するセンサ(206)と、センサ(206)の検出結果に基づいて、搬送ロボット(602)が障害物(310)に近づくほど搬送ロボット(602)の速度を抑制するように制御する制御装置(800)と、を備える。
【0152】
さらに、制御装置(800)は、搬送ロボット(602)と障害物(310)との距離が所定値以下であれば、搬送ロボット(602)を停止させる。
これにより、作業員等の障害物(310)が混在した環境においても、搬送ロボット(602)を運用することができ、効率的な荷役作業を実現できる。
【0153】
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施形態の構成に他の構成を追加してもよく、構成の一部について他の構成に置換をすることも可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0154】
11,12,13 ゾーン
100 倉庫
120,122,124,126,130 搬送ライン
152 床面
200,200-1~200-n アームロボット
201 ロボット本体
202 ロボットハンド
203 物品
206 センサ
207 位置センサ
208 ロボットアーム
229 ロボット教示データベース
230,230A 第2ロボットデータ生成部(ロボットデータ生成部)
264 データ生成部(ロボットデータ生成部)
300 倉庫システム
310 作業員(障害物)
330 出庫ゲート
410 解析処理装置
480 バケット(収納容器)
482 スタッカクレーン(手段)
484 バッファ棚(バッファ部)
486 引出アーム
560 コンテナ(搬送対象物)
602 搬送ロボット
702,704,706,708,710,712,714,732,742 保管棚
716 保管棚(第1の保管棚)
720 保管棚(第2の保管棚)
722,724 保管棚(仕分棚)
800 中央制御装置(制御装置)
852 荷受台座
852a 上板
854 荷受物品(検査対象物)
860 制御装置
902 仕分棚
θ1’~θn’ ロボット教示データ
Q201 ロボット本体座標(ロボット本体座標モデル値)
Q202 ロボットハンド座標(ロボットハンド座標モデル値)
Q206 センサ座標(センサ座標モデル値)
Q602 搬送ロボット座標(搬送ロボット座標モデル値)
Q702 保管棚座標(保管棚座標モデル値)
th1 閾値(第1の閾値)
th2 閾値(第2の閾値)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36