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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012167
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】余剰金管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/20 20120101AFI20220107BHJP
【FI】
G06Q20/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113801
(22)【出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】390010386
【氏名又は名称】NECマグナスコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】田川 隆昌
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敬一
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA42
(57)【要約】
【課題】簡単なシステム構成により店舗の釣銭不足を解消することが可能な余剰金管理システムを提供する。
【解決手段】余剰金管理システム1は、複数の店舗A~Dにそれぞれ設けられた複数の端末装置10A~10Dと、通信ネットワーク30を介して複数の端末装置10A~10Dに接続された中央サーバ20とを備えている。中央サーバ20は、複数の端末装置10A~10Dから送られてくる各店舗の釣銭余剰金の金種別金額データをデータベース21に登録して一元管理し、第1店舗Bに設けられた第1端末装置10Bから両替リクエストを受け取ったとき、両替金を提供可能な他店舗をデータベース21上で検索して第1端末装置10Bに通知し、検索結果に基づいて第1端末装置10Bが第2店舗Aを両替依頼先として選択したとき、第2店舗Aへの両替希望額のキャッシュレス決済による支払いを要求する決済手続画面を第1端末装置10Bに提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の店舗にそれぞれ設けられた複数の端末装置と、
通信ネットワークを介して前記複数の端末装置に接続された中央サーバとを備え、
前記中央サーバは、
前記複数の端末装置から送られてくる各店舗の釣銭余剰金の金種別金額データをデータベースに登録して一元管理し、
前記複数の店舗のうち第1店舗に設けられた第1端末装置から両替リクエストを受け取ったとき、両替金を提供可能な他店舗を前記データベースで検索して前記第1端末装置に通知し、
検索結果に基づいて前記第1端末装置が第2店舗を両替依頼先として選択したとき、前記第2店舗への両替希望額のキャッシュレス決済による支払いを要求する決済手続画面を前記第1端末装置に提供することを特徴とする余剰金管理システム。
【請求項2】
前記中央サーバは、
前記第2店舗に設けられた第2端末装置による前記両替金の出金処理が行われたとき、前記データベースに登録されている前記第2店舗の釣銭余剰金の金種別金額データを更新し、
前記第1端末装置による前記両替金の入金処理が行われたとき、前記データベースに登録されている前記第1店舗の釣銭余剰金の金種別金額データを更新する、請求項1に記載の余剰金管理システム。
【請求項3】
前記中央サーバは、
前記第2端末装置による前記両替金の出金処理が行われるまで、前記第1端末装置が前記決済手続画面を通じて行った前記両替希望額の支払手続の完了処理を保留し、一定期間内に前記両替金の出金処理が行われない場合に前記両替希望額の支払手続の完了処理を中止する、請求項2に記載の余剰金管理システム。
【請求項4】
前記中央サーバは、
前記第1端末装置による前記両替金の入金処理が行われたときの入金金額と、
前記第2端末装置による前記両替金の出金処理が行われたときの出金金額とを照合し、
照合した結果が同一金額の場合に、前記両替希望額のキャッシュレス決済による支払手続を実行する、請求項2に記載の余剰金管理システム。
【請求項5】
前記複数の店舗は、同一施設内に設けられており、
前記施設は、駅ナカ、ショッピングモール、高速道路のサービスステーション、又は空港施設である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の余剰金管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、余剰金管理システムに関し、同一構内の各店舗の釣銭準備金の余剰金を管理する余剰金管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品等を販売する店舗は、営業開始時に紙幣及び硬貨を釣銭として準備しておく必要があり、すべての金種で釣銭が不足しないことが望ましい。しかし、釣銭として必要な紙幣及び硬貨の量は日によって異なり、特定の金種の紙幣又は硬貨が通常よりも多く釣銭として支払われる場合があるため、釣銭不足が生じないように釣銭準備金を完璧に準備することは難しい。
【0003】
店舗内である金種の釣銭が不足した場合、店員は不足した金種の紙幣又は貨幣を補充しなければならない。このような釣銭準備金の補充は、店舗の店員が金融機関へ出向いて現金の両替を行ったり、現金取扱業者に現金の輸送を委託したりしていた。
【0004】
しかし、店員が金融機関へ出向いて現金を両替する場合には、両替が可能な時間が金融機関の営業時間に限られ、時間的な制約が大きい。また、店員は両替のために店舗と金融機関との間を往復しなければならず、現金の輸送のために長時間拘束されるため、通常の業務に支障が生じてしまう。したがって、繁忙時間帯に人員を割くことは困難である。また、店員が現金を輸送する場合には盗難リスクを伴い、安全性に欠けるという問題もある。
【0005】
また、現金取扱業者に委託する場合には、釣銭準備金の調達コストが高くなるだけでなく、現金を至急入手することが難しく、現金の入手に時間がかかるという問題がある。
【0006】
両替や釣銭準備金の用意のためのシステムに関し、例えば特許文献1には、ある店舗内に設置され商品の売買に供するための釣銭を収納するPOSレジスタと、店舗内に設置され包装硬貨を投出する包装硬貨処理装置と、店舗内に設置され紙幣の預け入れまたは払い出しが可能な現金自動預払機と、現金自動預払機と通信回線で接続された金融機関側コンピュータと、POSレジスタと通信回線で接続されたホスト・コンピュータとを備えた釣銭補充システムが記載されている。このシステムにおいて、POSレジスタ内へ硬貨を補充する場合には、包装硬貨処理装置がPOSレジスタ内へ硬貨を補充するために用いられる補充用包装硬貨を投出するステップと、該補充用包装硬貨の硬貨がPOSレジスタ内に補充されるステップと、POSレジスタが少なくとも補充用包装硬貨の金額をホスト・コンピュータへ送信する第1の送信ステップが実施される。また、POSレジスタ内へ紙幣を補充する場合には、現金自動預払機がPOSレジスタ内へ紙幣を補充するために用いられる補充用紙幣を払い出すステップと、補充用紙幣がPOSレジスタに補充されるステップと、現金自動預払機が少なくとも補充用紙幣の金額を金融機関側コンピュータへ送信する第2の送信ステップと、金融機関から得られた少なくとも補充用紙幣の金額の情報をホスト・コンピュータへ入力するステップが実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-263682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された従来のシステムは、包装硬貨処理装置や現金自動預払機が必要であり、システム規模が大きくかつ複雑であるという問題がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、簡単なシステム構成により店舗の釣銭不足を解消することが可能な余剰金管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明による余剰金管理システムは、複数の店舗にそれぞれ設けられた複数の端末装置と、通信ネットワークを介して前記複数の端末装置に接続された中央サーバとを備え、前記中央サーバは、前記複数の端末装置から送られてくる各店舗の釣銭余剰金の金種別金額データをデータベースに登録して一元管理し、前記複数の店舗のうち第1店舗に設けられた第1端末装置から両替リクエストを受け取ったとき、両替金を提供可能な他店舗を前記データベースで検索して前記第1端末装置に通知し、検索結果に基づいて前記第1端末装置が第2店舗を両替依頼先として選択したとき、前記第2店舗への両替希望額のキャッシュレス決済による支払いを要求する決済手続画面を前記第1端末装置に提供することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、簡単なシステム構成により複数の店舗間で釣銭用の現金を融通し合うことができ、金融機関等に頼ることなく各店舗の釣銭不足を解消することができる。また、両替希望額のキャッシュレス決済による支払いと引き換えに指定金種の両替金を現金で受け取るので、現金の移動をできるだけ少なくして各店舗への釣銭準備金の提供を安全かつ円滑に行うことができる。
【0012】
本発明において、前記中央サーバは、前記第2店舗に設けられた第2端末装置による前記両替金の出金処理が行われたとき、前記データベースに登録されている前記第2店舗の釣銭余剰金の金種別金額データを更新し、前記第1端末装置による前記両替金の入金処理が行われたとき、前記データベースに登録されている前記第1店舗の釣銭余剰金の金種別金額データを更新することが好ましい。これにより、各店舗における釣銭準備金の過不足状態を正しく自動で管理することができる。
【0013】
本発明において、前記中央サーバは、前記第2端末装置による前記両替金の出金処理が行われるまで、前記第1端末装置が前記決済手続画面を通じて行った前記両替希望額の支払手続の完了処理を保留し、一定期間内に前記両替金の出金処理が行われない場合に前記両替希望額の支払手続の完了処理を中止してもよい。これにより、両替取引の安全性及び信頼性を高めることができる。
【0014】
本発明において、前記中央サーバは、前記第1端末装置による前記両替金の入金処理が行われたときの入金金額と、前記第2端末装置による前記両替金の出金処理が行われたときの出金金額とを照合し、照合した結果が同一金額の場合に、前記両替希望額のキャッシュレス決済による支払手続を実行してもよい。これにより、両替取引の安全性及び信頼性を高めることができる。
【0015】
本発明において、前記複数の店舗は、同一施設内に設けられており、前記施設は、駅ナカ、ショッピングモール、高速道路のサービスステーション、又は空港施設であることが好ましい。このような施設に出店している店舗では、釣銭用の現金を如何に準備するかが課題となっているが、本発明によればこのような課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単なシステム構成により店舗の釣銭不足を解消することが可能な余剰金管理システムを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の好ましい実施の形態による余剰金管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2図2は、余剰金管理システム1の動作を示すシーケンス図である。
図3図3は、中央サーバ20の動作フロー図である。
図4図4は、店舗Bの端末装置10Bの動作フロー図である。
図5図5は、店舗Aの端末装置10Aの動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の好ましい実施の形態による余剰金管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、余剰金管理システム1は、同一施設2内に出店している複数の店舗の余剰金を集中管理するためのシステムであって、複数の店舗(ここでは店舗A~店舗D)にそれぞれ設けられた複数の端末装置10A~10Dと、各店舗が保有している現金(在高)から予め設定した必要額を差し引いた釣銭余剰金の金額データを金種別に一元管理する中央サーバ20とを備えている。ここで、施設2とは、例えば、駅ナカ、ショッピングモール、高速道路のサービスステーション、空港施設などである。このような施設2内に出店している店舗では、釣銭用の現金を如何に準備するかが課題となっており、本発明はこのような課題を解決するものである。
【0021】
複数の端末装置10A~10Dは、通信ネットワーク30を介して中央サーバ20に接続されており、相互にデータ通信可能に構成されている。中央サーバ20と複数の端末装置10A~10Dとの接続は、スター型ネットワークを構成することが望ましい。端末同士が直接通信できないようにすることで、余剰金の状況が他店舗に知られるリスクを低減することができる。通信ネットワーク30は、専用の通信線であってもよく、施設2内に敷設された既存のLANを利用してもよい。ただし、既存のLANを利用する場合には、情報漏洩を防止するために仮想専用線(VPN)でスター型ネットワークを構成することが望ましい。
【0022】
中央サーバ20は、電子決済サービス40(電子マネーサービス)にアクセス可能であり、いわゆる電子マネーによるキャッシュレス決済を各店舗に提供することができる。各店舗の端末装置10A~10Dには、キャッシュレス決済に対応したカードリーダ11などの装置が接続されている。
【0023】
端末装置10A~10Dはいわゆるパーソナルコンピュータの他、タブレット端末やスマートフォンであってもよい。端末装置10A~10Dはモニター12やキーボード13などのデータ入力手段を有しており、例えばキーボード13から釣銭余剰金等の情報を入力することができる。
【0024】
端末装置10A~10Dのデータ入力手段は、例えばPOSレジスタ14や自動券売機15などであってもよい。データ入力手段がPOSレジスタ14や自動券売機15である場合には、各々が保有する現金情報を利用して釣銭準備金の過不足情報を自動入力することができる。
【0025】
さらにまた、端末装置10A~10DはPOSレジスタや自動券売機そのものであってもよい。この場合も、POSレジスタ等の上位装置が保有している現金情報を利用して釣銭準備金の過不足情報を自動入力することができる。
【0026】
次に、図2図5を参照しながら、余剰金管理システム1の動作について説明する。図2は、余剰金管理システム1の動作を示すシーケンス図である。また、図3は、中央サーバ20の動作フロー図であり、図4は、店舗Bの端末装置10Bの動作フロー図であり、図5は、店舗Aの端末装置10Aの動作フロー図である。
【0027】
図2図5に示すように、各店舗A~D(図2では店舗A,Bのみを表示)は、他店舗に提供可能な釣銭余剰金の金種別金額データを端末装置10A~10D(図2では端末装置10A,10Bのみを表示)に入力し(ステップS1)、端末装置10A~10Dは、釣銭余剰金の金種別金額データを中央サーバ20に通知する(ステップS2)。釣銭余剰金の金種別金額データの入力や通知は、その金額が変化したときに随時又は定期的に行われる。釣銭余剰金の金種別金額データの端末装置10A~10Dへの入力又は中央サーバ20への通知はPOSレジスタ等の上位装置から中央サーバ20に直接送られてもよい。釣銭余剰金の金種別金額データは、通信ネットワーク30を介して中央サーバ20に送られる。中央サーバ20は、受信した釣銭余剰金の金種別金額データを店舗ID及び受信日時と関連付けてデータベース21に登録する(ステップS3)。
【0028】
店舗B(第1店舗)において特定金種の釣銭が不足した場合、店舗Bの店員は端末装置10B(第1端末装置)に釣銭の不足金種及び金額データを入力して中央サーバ20に両替リクエストを送信する(ステップS4,S5)。或いは、釣銭の不足金種及び金額データがPOSレジスタ等から自動的に入力される。端末装置10Bは、釣銭の不足金種及び金額データを中央サーバ20に送信する(ステップS5)。
【0029】
中央サーバ20は、端末装置10Bから両替リクエストを受信したとき、両替リクエストと共に受信した釣銭の不足金種及び金額データを店舗ID及び受信日時と関連付けてデータベース21に登録した後、店舗Bの釣銭の不足金種及び金額データと他店舗の釣銭余剰金の金種別金額データとを比較し、店舗Bで不足している釣銭を払い出し可能な他店舗の有無をデータベース上で検索し、検索結果を端末装置10Bに通知する(ステップS6,S7)。すなわち、店舗Bで不足している釣銭を用意できる店舗(例えば店舗A)が見つかった場合には、該当店舗の情報を店舗Bの端末装置10Bに提供する。
【0030】
ここで、例えば店舗Bで複数金種の釣銭が不足しており、1つの店舗ですべての金種の釣銭を用意できない場合には、1つの金種のみを用意できる店舗を別々に紹介してもよい。例えば、100円の両替金を用意できる店舗と10円の両替金を用意できる店舗を紹介することも可能である。
【0031】
釣銭の不足金種及び金額データと釣銭余剰金の金種別金額データとのマッチング結果に基づいて、店舗Bが店舗Aを両替依頼先として選択した場合(ステップS8、S9)、中央サーバ20は、店舗A(第2店舗)の端末装置10A(第2端末装置)に対して、店舗Bが指定金種の両替を希望している旨及び両替希望額と共に、両替リクエストを通知する(ステップS10)。例えば、図1に示すように、20枚の5000円紙幣と50枚の100円硬貨を用意するように店舗Aの端末装置10Aに通知する。端末装置10Aを介してこの通知を受信した店舗Aは、両替リクエストを許可する場合にはその旨の通知を返信する(ステップS11,S12)。
【0032】
次に、中央サーバ20は、店舗Bの端末装置10Bに対して、両替希望額を店舗Aに支払うように指示し、両替希望額のキャッシュレス決済による支払いを要求する決済手続画面を店舗Bの端末装置10Bに提供する(ステップS13)。店舗Bは、この決済手続画面を通じて、両替希望額を電子マネー等で店舗Aに支払う(ステップS14,S15)。ここで、キャッシュレス決済とは、クレジット決済、プリペイド式電子マネーによる決済、ビットコイン(登録商標)等の仮想通貨による送金等を含む。決済手続画面を通じて入力されたデータは電子決済サービス40に送られ、電子決済処理に用いられる。
【0033】
店舗Bによる両替希望額の支払いが完了したとき、中央サーバ20は、両替金の準備を指示する指示画面を店舗Aの端末装置10Aに通知する(ステップS16)。この通知を受け取った店舗Aは、指定金種及び金額の両替金(現金)を用意して待機する(ステップS17)。
【0034】
次に、中央サーバ20は、店舗Bの端末装置10Bに対して、店舗Aから両替金を受け取るように指示し、そのための指示画面を店舗Bの端末装置10Bに提供する(ステップS18)。その後、店舗Bの店員は、店舗Aへ出向き、両替金を現金で受け取る(ステップS19)。
【0035】
その後、店舗Aの店員は、店舗Aの端末装置10Aへの当該両替金の出金処理(出金額データの入力)を行うことにより、店舗Aの釣銭余剰金が減ったことが中央サーバ20に通知する(ステップS20,S21)。両替金の出金処理は、POSレジスタ等の外部装置から自動的に行われてもよい。この通知を受け取った中央サーバ20は、データベース21に登録されている店舗Aの釣銭余剰金の金種別金額データを更新する(ステップS24)。図1の例では、5000円紙幣が30枚→10枚に、また100円硬貨が70枚→20枚にそれぞれ更新される。
【0036】
一方、店舗Bの店員は、店舗Bの端末装置10Bへの当該両替金の入金処理(入金額データの入力)を行うことにより、店舗Bの釣銭の不足分が解消したことを中央サーバ20に通知する(ステップS22,S23)。両替金の入金処理は、POSレジスタ等の外部装置から自動的に行われてもよい。この通知を受け取った中央サーバ20は、データベース21に登録されている店舗Bの釣銭余剰金の金種別金額データを更新する(ステップS24)。図1の例では、5000円紙幣が-20枚→0枚に、また100円硬貨が-50枚→0枚にそれぞれ更新される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態による余剰金管理システム1は、中央サーバ20が各店舗の釣銭余剰金の金種別金額データを一元管理し、各店舗の端末装置10A~10Dからの両替リクエストに応じて、両替金を提供可能な同一施設2内の他店舗を紹介するので、簡単なシステム構成により複数の店舗間で釣銭用の現金を融通し合うことができ、金融機関等に頼ることなく各店舗の釣銭不足を解消することができる。また、本実施形態による余剰金管理システム1は、両替希望額のキャッシュレス決済による支払いと引き換えに指定金種の両替金を現金で受け取るので、現金の移動をできるだけ少なくして各店舗への釣銭準備金の提供を安全かつ円滑に行うことができる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0039】
例えば、店舗Bから店舗Aへの電子マネー等による両替希望額の支払い(ステップS14,S15)では、決済手続画面上で支払手続が完了したとき直ちに実行せず、中央サーバ20が電子決済サービス40への支払手続を留保し、一定期間内に店舗Aの端末装置10AからステップS20,S21の出金処理が行われない場合に、電子決済サービス40への支払手続の完了処理を中止するようにしても良い。
【0040】
そして、一定期間内に店舗Aから店舗Bへ現金の引き渡しが行われた場合、店舗Aの端末装置10Aに接続されたカードリーダ11に、店舗Bの店員が持参した電子マネー決済用の認証カードを読み込ませることで、中央サーバ20が留保していた電子決済サービス40への支払手続を実行する。これにより両店舗A,Bの店員が立ち会いの下で、現金授受の確認とキャッシュレス決済による支払いとを確実に完了することができる。
【0041】
更に、店舗Bの店員が持参した電子マネー決済用の認証カードを読み込ませるこの工程は、店舗Aによる出金処理に含ませることが好ましい。店舗Aから店舗Bへの現金引き渡しの時点で、店舗Bから店舗Aへのキャッシュレス決済による支払いも完了することになるので、中央サーバ20は出金処理と同時に入金処理(ステップS23)を自動的に完了させることができる。
【0042】
または、中央サーバ20がステップS21の店舗Aの出金処理データの出金金額とステップS23の店舗Bの入金処理の入金金額とを照合し、出金金額と入金金額が同一であった場合に、中央サーバ20は電子決済サービス40への支払手続を実行することとしてもよい。これにより、両替取引の安全性及び信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 余剰金管理システム
2 施設
10A 店舗Aの端末装置(第2端末装置)
10B 店舗Bの端末装置(第1端末装置)
10C 店舗Cの端末装置
10D 店舗Dの端末装置
11 カードリーダ
12 モニター
13 キーボード
14 POSレジスタ
15 自動券売機
20 中央サーバ
21 データベース
30 通信ネットワーク
40 電子決済サービス(電子マネーサービス)
図1
図2
図3
図4
図5