IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブリルニクスジャパン株式会社の特許一覧

特開2022-121757固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121757
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220810BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20220810BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20220810BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20220810BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20220810BHJP
   G02B 1/118 20150101ALI20220810BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H04N5/369
G02B3/00 A
G02B5/18
G02B5/32
G02B1/118
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021017208
(22)【出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】514179562
【氏名又は名称】ブリルニクスジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芭奈慈 シャッショティー
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳一
【テーマコード(参考)】
2H249
2K009
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
2H249AA04
2H249AA14
2H249AA25
2H249AA55
2H249AA64
2H249CA01
2H249CA09
2H249CA11
2H249CA17
2K009AA01
2K009BB00
4M118AB01
4M118AB03
4M118BA14
4M118CA04
4M118DD04
4M118FA06
4M118FA25
4M118GB03
4M118GB06
4M118GB11
4M118GC08
4M118GD04
4M118GD06
4M118GD09
4M118GD13
4M118GD20
4M118HA23
5C024EX43
5C024EX51
(57)【要約】
【課題】レンズ部アレイを煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、画素部の製造が容易となり、レンズシフト、レンズの集光特性の改善を図ることが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供する。
【解決手段】画素部20は、複数の光電変換部2111~2114が配置された画素アレイ210と、画素アレイ210の各光電変換部2111(~2114)の一面側に対応して配置され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部2111(~2114)に入射する複数のレンズ部LNS220を含むレンズ部アレイ220とを含み、画素アレイ210の光入射面側に、光学フィルムFLM220にレンズ部LNS220が一体的に形成されたレンズ部アレイ220がZ方向に積層して貼り合わされている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、
前記画素部は、
一面側から入射した所定波長の光を光電変換する複数の光電変換部がアレイ状に配置された画素アレイと、
前記画素アレイの各光電変換部の一面側に対応してアレイ状に配置され、入射した光を集光して対応して配置された前記光電変換部に当該光電変換部の一面側から入射する複数のレンズ部を含むレンズ部アレイと、を含み、
前記レンズ部アレイは、
アレイ全体の少なくとも一部の領域の複数のレンズ部にわたって一体的に形成され、少なくともレンズ部を形成する領域に所定の光学機能部を持つ少なくとも一つの光学フィルムが配置されている
固体撮像装置。
【請求項2】
前記レンズ部は、
前記光学機能部として前記一つの光学フィルムに対して一体的に形成され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部に当該光電変換部の一面側から入射するフィルム一体型光学素子を含み、
前記フィルム一体型光学素子は、
前記画素アレイ中の画素の位置に応じて形状を変えてある
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記フィルム一体型光学素子は、
空間的に均一な強度分布を持つ入射光束に対して、前記画素アレイの画素配列の第1方向側から入射する第1の入射光量と、前記第1方向に直交する第2方向側から入射する第2の入射光量が同等となるように形成されている
請求項2記載1の固体撮像装置。
【請求項4】
前記フィルム一体型光学素子は、
空間的に均一な強度分布を持つ入射光束に対して、前記画素アレイの画素配列の第1方向側から入射する第1の入射光量と、前記第2方向側から入射する第2の入射光量が異なるように形成されている
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記フィルム一体型光学素子は、
主に第1方向側からの光を入射する第1の光入射面と、主に第2方向からの光を入射する第2の光入射面と、を含み、
前記第1の入射光量および前記第2の入射光量の少なくとも一方は、対応する第1の光入射面および第2の光入射面の少なくとも一方の形状により調整されている
請求項3または4記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記フィルム一体型光学素子は、
前記画素アレイ中の画素の位置に応じて形状を変えた非球面的なマイクロレンズにより形成されている
請求項2から5のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記フィルム一体型光学素子は、
光入射側に頂部が配置された多錐体により形成され、
対応して配置される画素の画素アレイ上の位置に応じて、頂点角度と辺の長さが調整されている
請求項2から5のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記レンズ部は、
前記光学機能部として前記光学フィルムに対して一体的に形成され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部に当該光電変換部の一面側から入射する前記フィルム一体型光学素子としての回折光学素子を含む
請求項2から6のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記回折光学素子は、
フレネルレンズにより形成されている
請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記回折光学素子は、
バイナリ光学素子により形成されている
請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記回折光学素子は、
ホログラフィック光学素子により形成されている
請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記フィルム一体型光学素子の光照射面に光反射防止機能を有する微細構造体が形成されている
請求項2から11のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記レンズ部は、
対応する前記光電変換部に光を入射するマイクロレンズと、
前記マイクロレンズの光照射面に配置された前記光学フィルムに形成された前記光学機能部と、を含み、
前記光学機能部は、
光反射防止機能を有する微細構造体により形成されている
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記微細構造体は、
入射光に対して屈折率を、光の進む方向に対して徐々に変化させる機能を含む
請求項12または13記載の固体撮像装置。
【請求項15】
光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、
前記画素部は、
画素アレイと、
前記画素アレイの光入射側に配置されるレンズ部アレイと、を含む
固体撮像装置の製造方法であって、
一面側から入射した所定波長の光を光電変換する複数の光電変換部を含む画素をアレイ状に形成する画素アレイ形成工程と、
前記画素アレイの各光電変換部の一面側に対応して複数の前記レンズ部をアレイ状に形成する工程であって、入射した光を集光して対応して形成された前記光電変換部に当該光電変換部の一面側から入射する複数のレンズ部を含むレンズ部アレイを形成するレンズ部アレイ形成工程と、を有し、
前記レンズ部アレイ形成工程においては、
アレイ全体の少なくとも一部の領域の複数のレンズ部にわたって一体的に形成し、少なくともレンズ部を形成する領域に所定の光学機能部を持つ少なくとも一つの光学フィルムを形成する光学フィルム形成工程を含む
固体撮像装置の製造方法。
【請求項16】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を含み、
前記画素部は、
一面側から入射した所定波長の光を光電変換する複数の光電変換部がアレイ状に配置された画素アレイと、
前記画素アレイの各光電変換部の一面側に対応してアレイ状に配置され、入射した光を集光して対応して配置された前記光電変換部に当該光電変換部の一面側から入射する複数のレンズ部を含むレンズ部アレイと、を含み、
前記レンズ部アレイは、
アレイ全体の少なくとも一部の領域の複数のレンズ部にわたって一体的に形成され、少なくともレンズ部を形成する領域に所定の光学機能部を持つ少なくとも一つの光学フィルムが配置されている
電子機器。
【請求項17】
請求項15記載の固体撮像装置の製造方法の光学フィルム形成工程により形成される光学フィルム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、一般的に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色フィルタやシアン、マゼンタ、イエロー、グリーンの4色補色フィルタを用いてカラー画像を撮像する。
【0004】
一般的に、CMOSイメージセンサにおいて、画素(ピクセル)は個別にフィルタを備えている。フィルタは、主として赤色光を透過させる赤(R)フィルタ、主として緑色光を透過させる緑(Gr,Gb)フィルタ、および主として青色光を透過させる青(B)フィルタの4つを正方配列した画素群がRGBセンサを形成するマルチ画素として2次元状に配列される。
【0005】
なお、特許文献1で明らかにされたCMOSイメージセンサの設計は、任意のカラーフィルタ(CF)、たとえばR、G、B、IRパス(850nm、940nmのNIR光)、可視領域におけるカラーフィルタが存在しないクリア(M:Monochrome)、またはシアン、マゼンタ、イエローなどの画素によって使用することができる。
また、画素グループ内のいずれの画素も、1つまたは複数のオンチップカラーフィルタ層を有することができる。たとえば、任意の画素は、特定の波長または波長帯域で、IRカットまたは通過特性を有するNIRフィルタとR、GまたはB層を組み合わせることによって形成された二重層カラーフィルタ構成を有することができる。
【0006】
また、デジタルカメラ等の撮像装置においては、自動焦点調節(オートフォーカス(AF))を実現するための方式として、たとえば画素アレイの画素の一部にオートフォーカス(AF)の位相差情報を得るための位相差検出画素を配置してオートフォーカスを行う、像面位相差法等の位相差検出方式(PDAF;Phase Detection Auto Focus)が知られている。
【0007】
像面位相差法においては、たとえば画素の受光領域の半分が遮光膜により遮光さており、右半分で受光する位相差検出画素と左半分で受光する位相差検出画素で像面上の位相差を検出する(たとえば特許文献2参照)。
【0008】
この遮光膜を用いる像面位相差法では、開口率低下による感度劣化が大きいことから、通常の画像を生成するための画素としては欠陥画素となり、この欠陥画素は画像の解像度劣化等の要因となる。
【0009】
これらの課題を解消する方法として、遮光膜を用いずに、画素内の光電変換部(フォトダイオード(PD))を2分割して(2つ設けて)、一対の光電変換部(フォトダイオード)によって得られる信号の位相のずれ量に基づいて位相差を検出する位相差検出方式が知られている(たとえば特許文献3,4参照)。以下これをデュアルPD方式と呼ぶ。
この位相差検出方式は、撮像レンズの通過光束を瞳分割して一対の分割像を形成し、そのパターンズレ(位相シフト量)を検出することで、撮像レンズのデフォーカス量を検出する。
この場合、位相差検出が欠陥画素とはなりにくく、分割した光電変換部(PD)の信号を加算することで、良好な画像信号としても利用することも可能ある。
【0010】
上述した各種CMOSイメージセンサの画素アレイは、ピッチが数ミクロン以下の周期的な画素配列により構成されている。
画素アレイの各画素は、基本的に、Si表面(フォトダイオード表面)により多くの光を集束(集光)させるために、フィルタの光入射側が、所定の焦点距離を持つレンズ部としてのマイクロレンズで覆われている。
【0011】
図1(A)~(C)は、画素ごとにマイクロレンズを備えた固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を示す図である。
図1(A)は、RGBセンサとして形成された固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の各構成要素の概略的な配置例を平面的に示す図である。
図1(B)は、図1(A)におけるx1-x2線の簡略断面図である。
図1(C)は、図1(A)におけるy1-y2線の簡略断面図である。
【0012】
図1の固体撮像装置1において、マルチ画素MPXL1は、主として緑色光を透過させる緑(G)フィルタFLT-G1を含むG画素(色画素)SPXLG1、主として赤色光を透過させる赤(R)フィルタFLT-Rを含むR画素(色画素)SPXLR、主として青色光を透過させる青(B)フィルタFLT-Bを含むB画素(色画素)SPXLB、および主として緑色光を透過させる緑(G)フィルタFLT-G2を含むG画素(色画素)SPXLG2が2行2列に正方配列されている。
【0013】
マルチ画素MPXL1の光電変換領域PD(1~4)の光入射面と各フィルタの光出射側面との間には酸化膜OXLが形成されている。
マルチ画素MPXL1の光電変換領域PDは、その光入射部分において各色画素SPXLG1,SPXLR,SPXLB,SPXLG2に対応して、第1光電変換領域PD1、第2光電変換領域PD2、第3光電変換領域PD3、および第4光電変換領域PD4に分離(区分け)されている。
具体的には、光電変換領域PDは、その光入射部分において、バックサイド分離部としてのバックサイドメタル(Back Side Metal)BSMにより4つに分離されている。
図1の例では、バックサイドメタルBSMは酸化膜OXLからフィルタ側に突出するように、各色画素SPXLG1,SPXLR,SPXLB,SPXLG2の境界部に形成されている。
また、光電変換領域PDにおいて、バックサイドメタルBSMと光電変換領域PDの深さ方向に重なるように、トレンチ型バックサイド分離としてのバックサイドディープトレンチアイソレーション(BDTI)が形成されていてもよい。
これにより、G画素SPXLG1は第1光電変換領域PD1を含み、R画素SPXLRは第2光電変換領域PD2を含み、B画素SPXLBは第3光電変換領域PD3を含み、G画素SPXLG2は第4光電変換領域PD4を含んでいる。
【0014】
そして、固体撮像装置1において、各色画素領域の各フィルタの光入射面側にはそれ自身のマイクロレンズMCL1,MCL2,MCL3,MCL4がそれぞれ配置されている。
マイクロレンズMCL1はG画素SPXLG1の第1光電変換領域PD1に光を入射し、マイクロレンズMCL2はR画素SPXLRの第2光電変換領域PD2に光を入射し、マイクロレンズMCL3はB画素SPXLBの第3光電変換領域PD3に光を入射し、マイクロレンズMCL4はG画素SPXLG2の第4光電変換領域PD4に光を入射する。
【0015】
なお、マルチ画素MPXL1においては、2×2の正方配列された4つの色画素SPXLG1、SPXLR、SPXLB、SPXLG2で一つまたは二つのマイクロレンズMCLを共有するように構成することも可能である。
また、いずれの画素も他のカラーフィルタを持ち、任意の色画素として構成することも可能である。
【0016】
この複数の画素で一つのマイクロレンズを共有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)では、全画素に距離情報が存在し、PDAF(Phase Detection Auto Focus)機能を持つことが可能である。
【0017】
ところで、CMOSイメージセンサの現在の傾向は、解像度を上げるためにサイズの小さい画素を使用することである。
画素サイズが小さくなると、光を効率的に集束することが重要となる。これに伴い、マイクロレンズを備えたCMOSイメージセンサにおいては、マイクロレンズの焦点距離を制御することが重要である。
ここで、CMOSイメージセンサに適用されるマイクロレンズの焦点距離の制御について考察する。
【0018】
図2(A)および(B)は、CMOSイメージセンサに適用されるマイクロレンズの焦点距離の制御について説明するための図である。
図2(A)は、画素ごとにマイクロレンズを備えたCMOSイメージセンサの一画素の概略的な構成例を示す簡略断面図である。図2(B)は、マイクロレンズの形状および焦点距離について説明するための図である。
図2(A)のマルチ画素MPXL1Aは、マイクロレンズMCLが基板BS1上に形成されていることを除いて、基本的な構成は図1と同様である。
【0019】
なお、図2(B)において、hはマイクロレンズ(μレンズ)MCLの高さ(幅)を、nはマイクロレンズMCLの屈折率を、n1は光入射側媒体(空気)の屈折率を、n2は画素側媒体の屈折率を、r1はマイクロレンズMCLの光入射側の第1面MS1の曲率半径(RoC:Radius of Curvature)を、r2はマイクロレンズMCLの光出射側の第2面MS2の曲率半径(本例では∞)を、fはマイクロレンズMCLの焦点距離を、それぞれ示している。
【0020】
マイクロレンズMCLの焦点距離fは、曲率半径r1とマイクロレンズMCLの材質によって決まる。
また、画素アレイにおけるマイクロレンズアレイにおいて、マイクロレンズMCLの曲率半径RoCを変更することにより、あるいは、マイクロレンズ基板層BS1の厚みを変えることで、焦点距離fと焦点の位置を変更することができる。
【0021】
マイクロレンズMCLの曲率半径RoCは、マイクロレンズMCLの高さによって決まる。そして、プロセス条件においては、マイクロレンズMCLの高さhに最大制限が課される。
また、マイクロレンズMCLに最も一般的に使用されている材料の屈折率n1は1.6以下である。
上述したようにプロセス条件と材料の屈折率でマイクロレンズMCLの焦点距離fの最低限が決められる。
したがって、焦点距離fを短くするには、複雑な設計と層内レンズなどのプロセス条件を考慮する必要がある。
【0022】
(マイクロレンズ表面からの反射による光の損失の制御)
上述したように、マイクロレンズMCLは、屈折率n1が1.6以下の光学的に透明な材料により形成される。
マイクロレンズMCLの表面MS1に光が入射すると、マイクロレンズMCLの表面MS1での反射により、光の一部が失われ、低屈折率の媒体(1.0、空気)と高屈折率の媒体(マイクロレンズ)の界面が形成される。
実際の反射損失量は、入射光の角度と波長に依存する。
【0023】
CMOSイメージセンサの場合、反射損失は、特に30度などの大きな入射角で深刻になる可能性がある。これにより、大きな入射角での応答性が低くなる。これに起因して、一部のアプリケーションでは、大きな入射角で高い応答性が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2017-139286公報
【特許文献2】特許第5157436号
【特許文献3】特許第4027113号
【特許文献4】特許第5076528号
【特許文献5】US 2007/0035844 A1
【特許文献6】US 10310144 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、上述した画素ごとにマイクロレンズを備えた固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)では、次のような不利益がある。
【0026】
以上のように、マイクロレンズを備えた固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)では、プロセス条件等により、マイクロレンズMCLの性能には、次のような制約がある。
すなわち、マイクロレンズMCLの製造においては、焦点距離依存、プロセス条件によって制限される屈折面の曲率半径、レンズの材料の光学的性質、リソグラフィプロセスと互換性のある材料の入手可能性により大幅に制約を受ける。
さらには、焦点のサイズが回折とレンズ収差によって制限される。
【0027】
このような多くの制約を受けるレンズ部としてのマイクロレンズを含むレンズ部アレイの製造においては、マイクロレンズに対する制約条件の選定やアレイ内での焦点距離の調整等を各マイクロレンズで個別に行う必要があり、煩雑な手間を要するという不利益がある。
【0028】
前述したように、マイクロレンズMCLは、プロセス条件において、その高さhに最大制限が課される。
また、マイクロレンズMCLに最も一般的に使用されている材料の屈折率n1は1.6以下である。
これにより、マイクロレンズMCLの達成可能な最大曲率半径RoCと焦点距離fが自動的に制限される。
【0029】
従来のプロセスでは、マイクロレンズMCLは、図2(A)に示すように、マイクロレンズと同じ光学特性を持つ透明な材料の基板層BS1の上に形成され載置される。
また、基板層BS1の厚さを変えて焦点の位置を調節することができる。
【0030】
焦点距離fを短くするには、複雑な設計と層内レンズなどのプロセス条件を考慮する必要がある。
【0031】
特に、デジタルスチルカメラやAR/VR用のPDAF等のCMOSイメージセンサのさまざまなアプリケーションでは、焦点距離と焦点の形状とサイズと位置を制御する機能が非常に望まれている。
たとえば、応用によってセンサの光学設計の観点から見て、焦点のスポットを可能な限り小さくすることが好ましい。そして、焦点スポットの位置もどこに合わせるか(たとえば、PD表面の上、金属グリッドであるバックサイドメタルBSMの上)をある光学特性を満たすように決めることが好ましい。
【0032】
また、従来のCMOSイメージセンサにおいては、マイクロレンズMCLの光入射面に反射防止層が形成されているものが提案されている(たとえば特許文献5,6参照)。
しかしながら、これらCMOSイメージセンサでは、個々のマイクロレンズの光入射面ごとに反射防止層を作製する必要があり、レンズ部アレイの製造にさらに煩雑な手間を要する。
【0033】
また、近年、CMOSイメージセンサにおいては、異なる入射角でも感度むらなく受光可能なマイクロレンズシフトやマイクロレンズの集光特性の改善が期待されている。
【0034】
ここで、マイクロレンズアレイの現状の技術に関する問題について、図3および図4に関連付けてさらに考察する。
図3(A)および(B)は、PDAF/通常画素の現状の技術に関する問題について説明するための図である。
図4(A)および(B)は、金属シールド付きPDAF画素の現状の技術に関する問題について説明するための図である。
【0035】
CISピクセルで使用される従来のマイクロレンズアレイは、レンズシェーディング効果の影響を受ける。シェーディングは、大きなCRA(Chief Ray Angle:主光線角)でのマイクロレンズの集束動作によって発生する。
シェーディング効果を改善するために、マイクロレンズの位置は、ピクセル平面の中心から端に向かってCRAに応じてシフトされる。これはマイクロレンズシフトとして知られている。
【0036】
マイクロレンズアレイは、入射光を光電変換領域PDに集束させるために使用される。マイクロレンズMCLの配置は、大きなCRAでのレンズシェーディング効果(画像平面のエッジでのQEの低下)を修正するようにマイクロレンズシフトにより調整される。
図3(A)に示すように、CRAでの入射は、開口部(アパーチャー)APTR/金属シールドMTLS面上の焦点を移動することでパフォーマンスを低下させる可能性がある。そこで、CRAでのパフォーマンスを維持するために、図3(B)に示すようなマイクロレンズシフトが行われる。
このように、大きなCRAを持つ入射に対するパフォーマンスの低下を補うためのマイクロレンズシフトは、焦点位置を復元して、中心に対して対称にすることができるが、焦点の形状歪みを制御することは困難である。
【0037】
現在のマイクロレンズアレイのフォーカシングメカニズムには、主として以下に示すような第1から第5の課題がある。
なお、これらの課題のうち第3~第5の課題はPDAF設計に関するものである。
【0038】
(第1の課題)
画素においては、図3(A)および図4(B)に示すように、マイクロレンズMCLの表面からの反射Rによってある程度の光が失われる。これは、既存の設計では、マイクロレンズMCLの表面が1つの薄層でコーティングされており、狭い波長帯域と狭い範囲の角度でのみ反射防止を提供できるためである。
【0039】
(第2の課題)
マイクロレンズアレイは、画像平面のどこでも同じ形状の集束要素(MCL)のみを使用する。そのため、画像面のエッジでのパフォーマンスの低下は、マイクロレンズシフトだけでは完全に軽減することは困難である。
【0040】
(金属シールド/デュアルPDを使用したPDAF設計に固有の課題)
(第3の課題)
焦点の形状/サイズの調整:金属シールドを使用する設計では、開口部に入る光の前方および後方散乱の量を制御する方法で焦点の形状とサイズを設計することが望ましい場合がある。
これは、クロストークや、フレア、迷光などの関連する問題が画質に与える悪影響を最小限に抑えるのに役立つ。
【0041】
(第4の課題)
z軸に沿った焦点距離と焦点の位置の調整:z方向に沿った焦点距離と焦点の位置を調整することが重要である。一実施例では、光を金属シールドの平面に焦点を合わせることが望ましい。
これは、マイクロレンズMCL表面の曲率(MCLの高さ)またはマイクロレンズMCLの基板層BS1の厚さを増やすことで実行できる。これにより、基板層BS1が非常に厚くなり、クロストークが増加する可能性がありある。焦点を望ましい位置に持ってくるために層内レンズを採用するなど、他の方法より複雑な方法がありある。
しかしながら、これらの代替品は通常、高価で製造が困難である。
【0042】
(第5の課題)
集束要素の形状の調整:マイクロレンズの形状を、イメージングレンズの射出瞳の望ましい部分が見えるように設計することが望ましい。これは、マイクロレンズMCLの形状が変わらない既存の技術では実現することは困難である。
【0043】
本発明は、レンズ部アレイを煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、ひいては画素部の製造が容易となり、しかもレンズシフト、レンズの集光特性の改善を図ることが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
本発明は、レンズ部アレイを煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、しかも、レンズ部の光入射面での反射損失を低減することが可能となり、ひいては画素部の製造が容易となり、しかもレンズシフト、レンズの集光特性の改善を図ることが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0044】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、前記画素部は、一面側から入射した所定波長の光を光電変換する複数の光電変換部がアレイ状に配置された画素アレイと、前記画素アレイの各光電変換部の一面側に対応してアレイ状に配置され、入射した光を集光して対応して配置された前記光電変換部に当該光電変換部の一面側から入射する複数のレンズ部を含むレンズ部アレイと、を含み、前記レンズ部アレイは、アレイ全体の少なくとも一部の領域の複数のレンズ部にわたって一体的に形成され、少なくともレンズ部を形成する領域に所定の光学機能部を持つ少なくとも一つの光学フィルムが配置されている。
【0045】
本発明の第2の観点は、光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、前記画素部は、画素アレイと、前記画素アレイの光入射側に配置されるレンズ部アレイと、を含む固体撮像装置の製造方法であって、一面側から入射した所定波長の光を光電変換する複数の光電変換部を含む画素をアレイ状に形成する画素アレイ形成工程と、前記画素アレイの各光電変換部の一面側に対応して複数の前記レンズ部をアレイ状に形成する工程であって、入射した光を集光して対応して形成された前記光電変換部に当該光電変換部の一面側から入射する複数のレンズ部を含むレンズ部アレイを形成するレンズ部アレイ形成工程と、を有し、前記レンズ部アレイ形成工程においては、アレイ全体の少なくとも一部の領域の複数のレンズ部にわたって一体的に形成し、少なくともレンズ部を形成する領域に所定の光学機能部を持つ少なくとも一つの光学フィルムを形成する光学フィルム形成工程を含む。
【0046】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、光電変換を行う複数の画素がアレイ状に配置された画素部を含み、前記画素部は、一面側から入射した所定波長の光を光電変換する複数の光電変換部がアレイ状に配置された画素アレイと、前記画素アレイの各光電変換部の一面側に対応してアレイ状に配置され、入射した光を集光して対応して配置された前記光電変換部に当該光電変換部の一面側から入射する複数のレンズ部を含むレンズ部アレイと、を含み、前記レンズ部アレイは、アレイ全体の少なくとも一部の領域の複数のレンズ部にわたって一体的に形成され、少なくともレンズ部を形成する領域に所定の光学機能部を持つ少なくとも一つの光学フィルムが配置されている。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、レンズ部アレイを煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、ひいては画素部の製造が容易となり、しかもレンズシフト、レンズの集光特性の改善を図ることが可能となる。
また、本発明によれば、レンズ部アレイを煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、しかも、レンズ部の光入射面での反射損失を低減することが可能となり、ひいては画素部の製造が容易となり、しかもレンズシフト、レンズの集光特性の改善を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】画素ごとにマイクロレンズを備えた固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を示す図である。
図2】CMOSイメージセンサに適用されるマイクロレンズの焦点距離の制御について説明するための図である。
図3】PDAF/通常画素の現状の技術に関する問題について説明するための図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図5】本第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素部の4つの画素で1つのフローティングディフュージョンを共有するマルチ画素の一例を示す回路図である。
図6】本発明の実施形態に係る読み出し回路における列信号処理回路の構成例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素部の概略的な構成例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る画素部におけるレンズ部アレイの概略的構成を平面的に示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る画素部におけるレンズ部の概略的構成を説明するための図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係る画素部におけるレンズ部のその他の概略的構成を説明するための図である。
図11】比較例の画素アレイのシェーディング抑止効果と本発明の第1の実施形態に係る画素アレイのシェーディング抑止効果を比較して説明するための図である。
図12】本発明の第1の実施形態に係るレンズ部アレイの製造装置の一例を示す図である。
図13】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置における画素部の製造方法の概略を説明するための図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素部におけるレンズ部の概略的構成を説明するための図である。
図15】本発明の第2の実施形態に係る画素部におけるレンズ部のその他の概略的構成を説明するための図である。
図16】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素部におけるレンズ部の概略的構成を説明するための図である。
図17】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素部におけるレンズ部の概略的構成を説明するための図である。
図18】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置のアプリケーション例を示す図である。
図19】本第5の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素部におけるレンズ部の概略的構成を説明するための図である。
図20】本発明の第6の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を説明するための図であって、既存のマイクロレンズと、マイクロレンズの機能を兼ね備えた回折光学素子としてのフレネルゾーンプレートとの構造および機能等を模式的に対応して示す図である。
図21】本発明の第7の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を説明するための図であって、既存のマイクロレンズと、マイクロレンズの機能を兼ね備えた回折光学素子(DOE)との構造および機能等を模式的に対応して示す図である。
図22】本発明の第8の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を説明するための図であって、既存のマイクロレンズと、マイクロレンズの機能を兼ね備えた回折光学素子(DOE)との構造および機能等を模式的に対応して示す図である。
図23】本発明の第9の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を示す図である。
図24】本発明の本第9の実施形態に係る微細構造体として採用可能なフィルムに形成されたAR構造体の一例を示す図である。
図25】本発明の本第10の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を示す図である。
図26】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0050】
(第1の実施形態)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。このCMOSイメージセンサは、一例として裏面照射型イメージセンサ(BSI)に適用される。
【0051】
この固体撮像装置10は、図4に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し部70が構成される。
【0052】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10は、後で詳述するように、画素部20にアレイ状(行列状)に配列されるマルチ画素が、光電変換領域を有する少なくとも2つ(本第1の実施形態では4つ)の画素(色画素)により形成される。
本第1の実施形態において、画素部20は、一面側から入射した所定波長の光を光電変換する複数の光電変換部がアレイ状に配置された画素アレイと、画素アレイの各光電変換部の一面側に対応してアレイ状に配置され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部にこの光電変換部の一面側から入射する複数のレンズ部を含むレンズ部アレイと、を含んで形成されている。
【0053】
本実施形態において、レンズ部アレイは、アレイ全体の少なくとも一部の領域(本実施形態ではアレイ全体)の複数のレンズ部にわたって一体的に形成され、少なくともレンズ部を形成する領域に所定の光学機能部を持つ一つの光学フィルムが配置されている。
本第1の実施形態において、レンズ部は、光学機能部として光学フィルムに対して一体的に形成され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部にこの光電変換部の一面側から入射するフィルム一体(フィルム一体形成)型光学素子が形成されている。
本第1の実施形態において、フィルム一体型光学素子は、画素アレイ中の画素の位置に応じて形状を変えた非球面的なマイクロレンズにより形成されている。
非球面的なマイクロレンズは、一例として平行でない平面を2つ以上持つプリズム状光学素子としてのマイクロプリズムにより形成することも可能である。
本第1の実施形態において、非球面的なマイクロレンズは、光入射側に頂部が配置された多錐体により形成することも可能である。
【0054】
本実施形態において、フィルム一体型光学素子としては、光の屈折を利用した上記した非球面的なマイクロレンズの他に、回折を利用したフレネルレンズ、バイナリ素子、ホログラフィック光学素子を含む回折光学素子を例示することができる。
【0055】
なお、本第1の実施形態においては、マルチ画素は、一例としてRGBセンサとして形成されているものとする。
【0056】
以下、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要を説明した後、画素部20におけるマルチ画素等の具体的な構成、配置等について詳述する。
【0057】
(画素部20およびマルチ画素MPXL20の構成)
画素部20は、フォトダイオード(光電変換部)と画素内アンプとを含む複数のマルチ画素がN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0058】
図5は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素部の4つの画素で1つのフローティングディフュージョンを共有するマルチ画素の一例を示す回路図である。
【0059】
図5の画素部20において、マルチ画素MPXL20は、4つの画素(本実施形態では色画素)、すなわち、第1色画素SPXL11、第2色画素SPXL12、第3色画素SPXL21、および第4色画素SPXL22が2×2の正方に配置されている。
【0060】
第1色画素SPXL11は、第1光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD11、および転送トランジスタTG11-Trを含んで構成されている。
【0061】
第2色画素SPXL12は、第2光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD12、および転送トランジスタTG12-Trを含んで構成されている。
【0062】
第3色画素SPXL21は、第3光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD21、および転送トランジスタTG21-Trを含んで構成されている。
【0063】
第4色画素SPXL22は、フォトダイオードPD22、および転送トランジスタTG22-Trを含んで構成されている。
【0064】
そして、画素部20のマルチ画素MPXL20は、4つの色画素SPXL11,SPXL12,SPXL21,SPXL22で、フローティングディフュージョンFD(Floating Diffusion;浮遊拡散層)11、リセットトランジスタRST11-Tr、ソースフォロワトランジスタSF11-Tr、および選択トランジスタSEL11-Trが共有されている。
【0065】
このような4画素共有構成において、たとえば第1色画素SPXL11がG(緑)画素として形成され、第2色画素SPXL12がR(赤)画素として形成され、第3色画素SPXL21がB(青)画素として形成され、第4色画素SPXL22がG(緑)画素として形成される。
たとえば、第1色画素SPXL11のフォトダイオードPD11が第1の緑色(G)光電変換部として機能し、第2色画素SPXL12のフォトダイオードPD12が赤色(R)光電変換部として機能し、第3色画素SPXL21のフォトダイオードPD21が青色(B)光電変換部として機能し、第4色画素SPXL22のフォトダイオードPD22が第2の緑色(G)光電変換部として機能する。
【0066】
フォトダイオードPD11、PD12、PD21、PD22としては、たとえば埋め込みフォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオードPD11,PD12,PD21,P22を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込みフォトダイオード(PPD)では、フォトダイオードPDの電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0067】
フォトダイオードPD11,PD12,PD21,PD22は、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷がホールであったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
【0068】
転送トランジスタTG11-Trは、フォトダイオードPD11とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御線(または制御信号)TG11を通じて制御される。
転送トランジスタTG11-Trは、読み出し部70の制御の下、制御線(または制御信号)TG11が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD11で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0069】
転送トランジスタTG12-Trは、フォトダイオードPD12とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御線(または制御信号)TG12を通じて制御される。
転送トランジスタTG12-Trは、読み出し部70の制御の下、制御線(または制御信号)TG12が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD12で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0070】
転送トランジスタTG21-Trは、フォトダイオードPD21とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御線(または制御信号)TG21を通じて制御される。
転送トランジスタTG21-Trは、読み出し部70の制御の下、制御線(または制御信号)TG21が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD21で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0071】
転送トランジスタTG22-Trは、フォトダイオードPD22とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御線(または制御信号)TG22を通じて制御される。
転送トランジスタTG22-Trは、読み出し部70の制御の下、制御線(または制御信号)TG22が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD22で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0072】
リセットトランジスタRST11-Trは、図5に示すように、電源線VDD(または電源電位)とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御線(または制御信号)RST11を通じて制御される。
なお、リセットトランジスタRST11-Trは、電源線VDDとは別の電源線VRstとフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御線(または制御信号)RST11を通じて制御されるように構成してもよい。
リセットトランジスタRST11-Trは、読み出し部70の制御の下、たとえば読み出しスキャン時に、制御線(または制御信号)RST11がHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD11を電源線VDD(またはVRst)の電位にリセットする。
【0073】
ソースフォロワトランジスタSF11-Trと選択トランジスタSEL11-Trは、電源線VDDと垂直信号線LSGNの間に直列に接続されている。
ソースフォロワトランジスタSF11-TrのゲートにはフローティングディフュージョンFD11が接続され、選択トランジスタSEL11-Trは制御線(または制御信号)SEL11を通じて制御される。
選択トランジスタSEL11-Trは、制御線(または制御信号)SEL11がHレベルの期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF11-TrはフローティングディフュージョンFD11の電荷を電荷量(電位)に応じた利得をもって電圧信号に変換した列出力の読み出し電圧(信号)VSL(PIXOUT)を垂直信号線LSGNに出力する。
【0074】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッター行および読み出し行において行走査制御線を通して画素の駆動を行う。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッター行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0075】
通常のピクセル読み出し動作においては、読み出し部70の垂直走査回路30による駆動により、シャッタースキャンが行われ、その後、読み出しスキャンが行われる。
【0076】
読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0077】
読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、アンプ(AMP,増幅器)、サンプルホールド(S/H)回路等を含んで構成可能である。
【0078】
このように、読み出し回路40は、たとえば図6(A)に示すように、画素部20の各列出力の読み出し信号VSLをデジタル信号に変換するADC41を含んで構成されてもよい。
あるいは、読み出し回路40は、たとえば図6(B)に示すように、画素部20の各列出力の読み出し信号VSLを増幅するアンプ(AMP)42が配置されてもよい。
また、読み出し回路40は、たとえば図6(C)に示すように、画素部20の各列出力の読み出し信号VSLをサンプル、ホールドするサンプルホールド(S/H)回路43が配置されてもよい。
【0079】
水平走査回路50は、読み出し回路40のADC等の複数の列信号処理回路で処理された信号を走査して水平方向に転送し、図示しない信号処理回路に出力する。
【0080】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0081】
以上、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要について説明した。
次に、本第1の実施形態に係る画素部20における画素配置の具体的な構成について説明する。
【0082】
図7(A)~(C)は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素部の概略的な構成例を示す図である。
図7(A)は、RGBセンサとして形成された固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素部の各構成要素の概略的な配置例を平面的に示す図である。
図7(B)は、図7(A)におけるx11-x12線の簡略断面図である。
図7(C)は、図7(A)におけるy11-y12線の簡略断面図である。
また、図8は、本第1の実施形態に係る画素部におけるレンズ部アレイの概略的構成を平面的に示す図である。
図9は、本第1の実施形態に係る画素部におけるレンズ部の概略的構成を説明するための図である。
【0083】
なお、本実施形態において、第1方向は、たとえば複数の画素が行列状に配列される画素部20の列方向(水平方向、X方向)または行方向(垂直方向、Y方向)または斜め方向である。
以下の説明では、一例として、第1方向は列方向(水平方向、X方向)とする。これに伴い第2方向は行方向(垂直方向、Y方向)とする。
【0084】
本第1の実施形態において、画素部20は、図7(A)~(C)に示すように、一面側から入射した所定波長の光を光電変換する複数の光電変換部(光電変換領域という場合もある)2111,2112,2113,2114がアレイ状に配置された画素アレイ210と、画素アレイ210の各光電変換部2111(~2114)の一面側に対応してアレイ状に配置され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部211(2111~2114)にこの光電変換部の一面側から入射する複数のレンズ部LNS220(LNS221~LNS224)を含むレンズ部アレイ220とが貼り合わされてZ方向に積層して形成されている。レンズ部アレイ220は画素アレイ210とカラーフィルタアレイ212に貼り合わされている。
本例では、図9に示すように、画素アレイ210の光入射面側に、光学フィルムFLM221にレンズ部LNS220が一体的に形成されたレンズ部アレイ220が貼り合わされている。
【0085】
本実施形態において、レンズ部アレイ220は、アレイ全体の複数のレンズ部LNS220にわたって一体的に形成され、レンズ部LNS220を形成する領域に所定の光学機能部(たとえば集光機能)を持つ一つの光学フィルムFLM221が配置されている。
本第1の実施形態において、レンズ部LNS220は、光学機能部として第1の光学フィルムFLM221に対して一体的に形成され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部2111(~2114)にこの光電変換部の一面側(第1基板面231側)から入射するフィルム一体型光学素子としてのマイクロレンズLNS221,LNS222,LNS223,LNS224により形成されている。
本第1の実施形態においては、フィルム一体型光学素子としてのマイクロレンズLNS221,LNS222,LNS223,LNS224は、一例として、平行でない平面を2つ以上持つプリズム状光学素子(マイクロプリズム)により形成されている。
本第1の実施形態において、フィルム一体型のマイクロレンズLNS221(~LNS224)は、図9に示すように、光入射側に頂部が配置された多錐体(本例では4錐体)により形成されている。
【0086】
なお、このフィルム一体型光学素子としてのマイクロレンズLNS221(~LNS224)の構成については後で詳述する。
【0087】
図7(A)の画素部20において、マルチ画素MPXL20は、4つの画素(本実施形態では色画素)、すなわち、第1色画素SPXL11、第2色画素SPXL12、第3色画素SPXL21、および第4色画素SPXL22が2×2の正方に配置されている。
具体的には、マルチ画素MPXL20は、第1方向であるX方向に、第1色画素SPXL11と第2色画素SPXL12が隣接するとともに、第3色画素SPXL21と第4色画素SPXL22が隣接し、第1方向に直交する第2方向であるY方向に、第1色画素SPXL11と第3色画素SPXL21が隣接するとともに、第2色画素SPXL12と第4色画素SPXL22が隣接するように正方配列されている。
【0088】
本第1の実施形態において、第1色画素SPXL11は主として緑色光を透過させる緑(G)フィルタFLT-Gを含むG画素SPXLGとして形成されている。第2色画素SPXL12は主として赤色光を透過させる赤(R)フィルタFLT-Rを含むR画素SPXLRとして形成されている。第3色画素SPXL21は主として青色光を透過させる青(B)フィルタFLT-Bを含むB色画素SPXLBとして形成されている。第4色画素SPXL22は主として緑色光を透過させる緑(G)フィルタFLT-Gを含むG画素SPXLGとして形成されている。
【0089】
そして、マルチ画素MPXL20の画素アレイ210は、図7(A),(B)および(C)に示すように、光電変換部211、カラーフィルタ部212、酸化膜213、第1バックサイド分離部214、および第2バックサイド分離部215を含んで構成されている。
【0090】
図7に示す画素アレイ210において、4つの外縁辺L11~L14により画定される矩形領域RCT20である光電変換部211(PD10)は、その光入射部分において第1色画素SPXL11、第2色画素SPXL12、第3色画素SPXL21、および第4色画素SPXL22に対応して、第1光電変換領域(PD11)2111、第2光電変換領域(PD12)2112、第3光電変換領域(PD21)2113、および第4光電変換領域(PD22)2114に分離(区分け)されている。
画素アレイ210の光電変換部211(PD10)は、第1バックサイド分離部214、および第2バックサイド分離部215により、4つの矩形領域である第1光電変換領域(PD11)2111、第2光電変換領域(PD12)2112、第3光電変換領域(PD21)2113、および第4光電変換領域(PD22)2114に分離(区分け)されている。
【0091】
第1光電変換領域(PD11)2111、第2光電変換領域(PD12)2112、第3光電変換領域(PD21)2113、および第4光電変換領域(PD22)2114に分離(区分け)されている光電変換部211は、第1基板面231側と、第1基板面231側と対向する側の第2基板面232側とを有する半導体基板230に対して埋め込むように形成され、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有するように形成されている。
【0092】
光電変換部211の第1光電変換領域(PD11)2111、第2光電変換領域(PD12)2112、第3光電変換領域(PD21)2113、および第4光電変換領域(PD22)2114は、平坦層としての機能を含む酸化膜(OXL)213を介して第1基板面231側(裏面側)にカラーフィルタ部212が配置されている。
第1光電変換領域(PD11)2111、第2光電変換領域(PD12)2112、第3光電変換領域(PD21)2113、および第4光電変換領域(PD22)2114の第2基板面232側(前面側)には、光電変換し蓄積した電荷に応じた信号を出力する出力トランジスタ等を含む出力部OP11,OP12,OP21,OP22が形成されている。
【0093】
カラーフィルタ部212は、各カラー(色)画素を形成するように、緑色(G)フィルタ領域2121、赤色(R)フィルタ領域2122、青色(B)フィルタ領域2123、および緑色(G)フィルタ領域2124に区分けされている。
緑色(G)フィルタ領域2121の光入射側には、レンズ部アレイ220のレンズ部LNS220一つであるマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221が配置されている。
赤色(R)フィルタ領域2122の光入射側には、レンズ部アレイ220のレンズ部LNS220一つであるマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS222が配置されている。
青色(B)フィルタ領域2123の光入射側には、レンズ部アレイ220のレンズ部LNS220一つであるマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS223が配置されている。
緑色(G)フィルタ領域2124の光入射側には、レンズ部アレイ220のレンズ部LNS220一つであるマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS224が配置されている。
【0094】
上述したように、4つの外縁辺L11~L14により画定される矩形領域RCT20である光電変換部211(PD10)は、第1バックサイド分離部214、および第2バックサイド分離部215により、4つの矩形領域である第1光電変換領域(PD11)2111、第2光電変換領域(PD12)2112、第3光電変換領域(PD21)2113、および第4光電変換領域(PD22)2114に分離(区分け)されている。
具体的には、光電変換部211(PD10)は、その光入射部分において、基本的にバックサイドメタル(Back Side Metal)BSMと同様の位置、形状等に形成されるバックサイド分離部214により4つに分離されている。
【0095】
第1色画素SPXL11の第1光電変換領域2111と第2色画素SPXL12の第2光電変換領域2112の境界部に第1分離部2141が形成されている。
第3色画素SPXL21の第3光電変換領域2113と第4色画素SPXL22の第4光電変換領域2114の境界部に第2分離部2142が形成されている。
第1色画素SPXL11の第1光電変換領域2111と第3色画素SPXL21の第3光電変換領域2113の境界部に第3分離部2143が形成されている。
第2色画素SPXL12の第2光電変換領域2112と第4色画素SPXL22の第4光電変換領域2114の境界部に第4分離部2144が形成されている。
【0096】
本第1の実施形態において、バックサイド分離部214は、基本的に通常のバックサイドメタルBSMと同様に、酸化膜213からフィルタ部212側に突出するように、各色画素SPXL11,SPXL12,SPXL21,SPXL22の境界部に形成されている。
【0097】
また、光電変換部PD10において、バックサイド分離部214と光電変換部210の深さ方向(基板230の深さ方向:Z方向)に重なるように、バックサイドディープトレンチアイソレーション(BDTI)であるトレンチ型バックサイド分離としての第2サイドバック分離部215が形成されていてもよい。
【0098】
上述したように、レンズ部アレイ220は、アレイ全体の複数のレンズ部LNS220にわたって一体的に形成され、レンズ部LNS220を形成する領域に所定の光学機能部(たとえば集光機能)を持つ一つの光学フィルムFLM221が配置されている。
光学フィルムFLM221は、屈折率nがたとえば1.5~1.6の光学樹脂により形成され、画素部20の画素アレイ210の全体にわたって配置され、行列状に配置される光電変換部(領域)2111(~2114)に対応する位置に、マイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221,LNS222,LNS223,LNS224が一体的に形成されている。
【0099】
図7図9の例では、レンズ部LNS220のマイクロレンズLNS221は、光学機能部として光学フィルムFLM221に対して一体的に形成され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部(領域)2111にこの光電変換部の一面側(第1基板面231側)から入射する光学機能を有する。
マイクロレンズLNS222は、光学機能部として光学フィルムFLM221に対して一体的に形成され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部(領域)2112にこの光電変換部の一面側(第1基板面231側)から入射する光学機能を有する。
マイクロレンズLNS223は、光学機能部として光学フィルムFLM221に対して一体的に形成され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部(領域)2113にこの光電変換部の一面側(第1基板面231側)から入射する光学機能を有する。
マイクロレンズLNS224は、光学機能部として光学フィルムFLM221に対して一体的に形成され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部(領域)2114にこの光電変換部の一面側(第1基板面231側)から入射する光学機能を有する。
【0100】
本第1の実施形態において、マイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221(~LNS224)は、図9に示すように、光入射側に頂部TPが配置された多錐体(本例では4錐体)により形成されている。多錐体は図7図9に示すような4錐体の構造体に限定されるものではなく、図10(A)~(D)に示すように、別の形状の4錐体や4より大きい5以上の錐体であってもよい。
ここでは、図7図9に示す4錐体のマイクロレンズLNS221~LNS224の概略構成例について説明する。
【0101】
マイクロレンズLNS221は、底面BTM11と頂部TP11間の高さがh11で、4つの錐体側面SS11,SS12,SS13,SS14を持つ4錐体により形成されている。
図7図9の例では、マイクロレンズLNS221は、頂部TP11が光を入射すべき光電変換部2111の中央部に対向する位置に配置された直錐体として形成されている。
ただし、マイクロレンズLNS221は、頂部TP11が光を入射すべき光電変換部2111の中央部に対向する位置とずれており、このずれに伴って光電変換部の表面に光を導く構造を有するように構成されていてもよい。
また、本第1の実施形態においては、頂部TP11は、いわゆる頂点ではなく所定の広さを持つ面部領域TP11として形成されている。この面部領域TP11は光電変換部の一面(第1基板面231)に平行な面を有する。面部領域TP11は画素位置に応じてその並行度を調整することができる。
照射光(入射光)は、画素アレイの中心近傍では、図7および図9に示すように、面部領域TP111、並びに、錐体側面SS11,SS12,SS13,SS14に対して、ほぼ垂直(基板230の法線方向)を含む、基板230の法線に対して所定角度をもって入射する。他方、照射光(入射光)は画素アレイの周辺部ではレンズのCRAによっては垂直からずれた主光線角度を含む、基板230の法線に対して所定角度を持って入射する。
マイクロレンズLNS221に入射した光は、レンズ内を伝搬されて、光電変換部2111の中央部に画定された焦点位置FPに集光される。あるいは、マイクロレンズLNS221に入射した光は、レンズ内を伝搬されて、光電変換部2111の中央部に画定された焦点位置FPに集光されることはなく、光電変換部2111の表面側の任意の位置に導光される。
なお、頂部TP11は面部領域を持たない頂点であってもよい。
【0102】
マイクロレンズLNS222は、底面BTM21と頂部TP21間の高さがh21で、4つの錐体側面SS21,SS22,SS23,SS24を持つ4錐体により形成されている。
図7図9の例では、マイクロレンズLNS222は、頂部TP21が光を入射すべき光電変換部2112の中央部に対向する位置に配置された直錐体として形成されている。
ただし、マイクロレンズLNS222は、頂部TP21が光を入射すべき光電変換部2112の中央部に対向する位置とずれており、このずれに伴って光電変換部の表面に光を導く構造を有するように構成されていてもよい。
また、本第1の実施形態においては、頂部TP21は、いわゆる頂点ではなく所定の広さを持つ面部領域TP211として形成されている。この面部領域TP21は光電変換部の一面(第1基板面231)に平行な面を有する。面部領域TP21は画素位置に応じてその並行度を調整することができる。
照射光(入射光)は、画素アレイの中心近傍では、図7および図9に示すように、面部領域TP211、並びに、錐体側面SS21,SS22,SS23,SS24に対して、ほぼ垂直(基板230の法線方向)を含む、基板230の法線に対して所定角度をもって入射する。他方、照射光(入射光)は画素アレイの周辺部ではレンズのCRAによっては垂直からずれた主光線角度を含む、基板230の法線に対して所定角度を持って入射する。
マイクロレンズLNS222に入射した光は、レンズ内を伝搬されて、光電変換部2112の中央部に画定された焦点位置FPに集光される。あるいは、マイクロレンズLNS222に入射した光は、レンズ内を伝搬されて、光電変換部2112の中央部に画定された焦点位置FPに集光されることはなく、光電変換部2112の表面側の任意の位置に導光される。
なお、頂部TP21は面部領域を持たない頂点であってもよい。
【0103】
マイクロレンズLNS223は、底面BTM31と頂部TP31間の高さがh31で、4つの錐体側面SS31,SS32,SS33,SS34を持つ4錐体により形成されている。
図7図9の例では、マイクロレンズLNS223は、頂部TP31が光を入射すべき光電変換部2113の中央部に対向する位置に配置された直錐体として形成されている。
ただし、マイクロレンズLNS223は、頂部TP31が光を入射すべき光電変換部2113の中央部に対向する位置とずれており、このずれに伴って光電変換部の表面に光を導く構造を有するように構成されていてもよい。
また、本第1の実施形態においては、頂部TP31は、いわゆる頂点ではなく所定の広さを持つ面部領域TP311として形成されている。この面部領域TP31は光電変換部の一面(第1基板面231)に平行な面を有する。面部領域TP31は画素位置に応じてその並行度を調整することができる。
照射光(入射光)は、画素アレイの中心近傍では、図7および図9に示すように、面部領域TP311、並びに、錐体側面SS31,SS32,SS33,SS34に対して、ほぼ垂直(基板230の法線方向)を含む、基板230の法線に対して所定角度をもって入射する。他方、照射光(入射光)は画素アレイの周辺部ではレンズのCRAによっては垂直からずれた主光線角度を含む、基板230の法線に対して所定角度を持って入射する。
マイクロレンズLNS223に入射した光は、レンズ内を伝搬されて、光電変換部2113の中央部に画定された焦点位置FPに集光される。あるいは、マイクロレンズLNS223に入射した光は、レンズ内を伝搬されて、光電変換部2113の中央部に画定された焦点位置FPに集光されることはなく、光電変換部2113の表面側の任意の位置に導光される。
なお、頂部TP31は面部領域を持たない頂点であってもよい。
【0104】
マイクロレンズLNS224は、底面BTM41と頂部TP41間の高さがh41で、4つの錐体側面SS41,SS42,SS43,SS44を持つ4錐体により形成されている。
図7図9の例では、マイクロレンズLNS224は、頂部TP41が光を入射すべき光電変換部2114の中央部に対向する位置に配置された直錐体として形成されている。
ただし、マイクロレンズLNS224は、頂部TP41が光を入射すべき光電変換部2114の中央部に対向する位置とずれており、このずれに伴って光電変換部の表面に光を導く構造を有するように構成されていてもよい。
また、本第1の実施形態においては、頂部TP41は、いわゆる頂点ではなく所定の広さを持つ面部領域TP411として形成されている。この面部領域TP41は光電変換部の一面(第1基板面231)に平行な面を有する。面部領域TP41は画素位置に応じてその並行度を調整することができる。
照射光(入射光)は、画素アレイの中心近傍では、図7および図9に示すように、面部領域TP411、並びに、錐体側面SS41,SS42,SS43,SS44に対して、ほぼ垂直(基板230の法線方向)を含む、基板230の法線に対して所定角度をもって入射する。他方、照射光(入射光)は画素アレイの周辺部ではレンズのCRAによっては垂直からずれた主光線角度を含む、基板230の法線に対して所定角度を持って入射する。
マイクロレンズLNS224に入射した光は、レンズ内を伝搬されて、光電変換部2114の中央部に画定された焦点位置FPに集光される。あるいは、マイクロレンズLNS224に入射した光は、レンズ内を伝搬されて、光電変換部2114の中央部に画定された焦点位置FPに集光されることはなく、光電変換部2114の表面側の任意の位置に導光される。
なお、頂部TP41は面部領域を持たない頂点であってもよい。
【0105】
また、マイクロレンズLNS221~LNS24は、対応して配置される画素アレイ210における光電変換部2111~2114のアレイ上の位置に応じて、頂点(頂部)の基板230に対する角度と4つの錐体側面SS11~SS14,SS21~SS24,SS31~SS34,SS41~SS44、面部領域TP11~T41の辺の長さが調整されている。
なお、本第1の実施形態において、マイクロレンズLNS221~LNS24は、基本的に、空間的に均一な強度分布を持つ入射光束に対して、主として画素アレイの画素配列の第1方向(X方向)側から入射する第1の入射光量と、主として第2方向(Y方向)側から入射する第2の入射光量が同等となるように形成されている。
【0106】
図10(A)~(D)は、本発明の第1の実施形態に係る画素部におけるレンズ部のその他の概略的構成を説明するための図である。
図10(A)は、図9の例に比較して頂部TPの面部領域が広く、かつ、高さが高い4錐体構造のマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221aの一例を示している。
図10(B)は、8錐体構造のマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221bの一例を示している。
図10(C)は、滑らかな角(corners)SCNRを有する8錐体構造のマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221cの一例を示している。
図10(D)は、錐体構造の究極である球面SPHまたは非球面ASPHを持つマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221dの一例を示している。
【0107】
本第1の実施形態に係る光学フィルムFLM221に一体的に形成されるフィルム一体(フィルム一体形成)型マイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221(~LNS24)の個々の要素は、図7図9図10(A)~(D)に示す形状などのさまざまな形状を持つことができる。
すなわち、個々のマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221(~LNS24)の形状は、図7図10に示されている形状によって制限されることはない。
光学フィルムFLM221に一体的に形成される個々のマイクロレンズ(マイクロプリズム)の形状とサイズは、焦点の望ましい形状、サイズ、距離が得られるように計算により設計されている。設計変数には、面の数、形状、幅、さまざまな面間の角度が含まれる。個々のマイクロレンズ(マイクロプリズム)は、図10(A)~(D)に示されているものより多くの表面を持つことができる。
【0108】
CISピクセルで使用される従来のマイクロレンズアレイは、レンズシェーディング効果の影響を受ける。シェーディングは、大きなCRA(Chief Ray Angle:主光線角)でのマイクロレンズの集束動作によって発生する。
シェーディング効果を改善するために、マイクロレンズの位置は、ピクセル平面の中心から端に向かってCRAに応じてシフトされる。これは、前述したように、マイクロレンズシフトとして知られている。
光学フィルムFLM221に一体的に形成される個々のマイクロレンズ(マイクロプリズム)の場合、センサ面での照明の均一性は、マイクロレンズの光入射および導波経路の形状や角度をわずかに変更することで確保することができる。
【0109】
本第1の実施形態において、好適には、フィルム一体型光学素子アレイとしてのマイクロレンズアレイは、図10(D)に示すような、画素アレイ中の画素の位置に応じて形状を変えた非球面ASPHを持つマイクロレンズ221dにより形成される。
【0110】
図11(A)および(B)は、比較例の画素アレイのシェーディング抑止効果と本発明の第1の実施形態に係る画素アレイのシェーディング抑止効果を比較して説明するための図である。
図11(A)は、マイクロレンズシフトを適用する比較例のシェーディング抑止効果を説明するための図である。図11(B)はマイクロレンズシフトを適用せず画素アレイ中の画素の位置に応じてマイクロレンズの形状を変える本第1の実施形態におけるシェーディング抑止効果を説明するための図である。
【0111】
比較例において、マイクロレンズ221dcは製法上、画素アレイ210中の画素の位置に依らず同一形状でしか製造できず、そのために画素アレイの周辺部(周縁部では画素に入る光入射量が減りシェーディングが発生する。
これを解決するための方法としてマイクロレンズシフトが一般的に行われているが、完全にシェーディングを除去することはできていない。
【0112】
これに対して、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10では、画素アレイ中の画素の位置に応じてマイクロレンズ221dpの形状を変えている。
具体的には、図11(B)に示すように、画素アレイ210の中央領域210CTRでは、マイクロレンズ221dpの非球面ASPHの球面SPHからの変形の度合いを小さくしてある。
そして、画素アレイ210の周辺領域210PRFでは、マイクロレンズ221dpの非球面ASPHの球面SPHからの変形の度合いを大きくしてある。
さらに、個々のマイクロレンズ2221dpごとに、変形の度合いを微調整してある。
したがって、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10では、マイクロレンズシフトを適用する比較例よりも、高精度にシェーディングを抑止することが可能となる。
【0113】
本第1の実施形態において、レンズ部アレイ220は、PC等を用いて計算上で設計された複数のマイクロレンズ(マイクロプリズム)をロールフィルムにレーザ等を用いて作り込んだアレイにより形成されている。
たとえば、画素アレイの光電変換部(画素)の位置に応じてマイクロレンズ配列をシフトする代わりに、マイクロレンズの角度が計算的に設計される。マイクロレンズ配列は光電変換部(画素)配列上に配置される。これにより、画素配列に対してより均一な応答が得られる。
【0114】
なお、光学フィルムFLM221に対するマイクロレンズLNS221~LNS224の形成は、ここで説明したような、レーザ描画によるリソグラフィ技術を用いた方法に限らず、金型を作製しそれをロールフィルムに転写する方法等を用いることが可能である。
【0115】
図12は、本発明の第1の実施形態に係るレンズ部アレイ220の製造装置の一例を示す図である。
【0116】
図12の本発明の実施形態に係るレンズ部アレイ製造装置300は、レーザ310、ビームスプリッタ(BS)320、レーザ光制御用のフォトディテクタ(PD)330、スライダ340、スライダ340に載置されたフォーカス制御可能な光学ヘッド350、およびレーザ光の光学ヘッド350への光路を形成するためのミラー(MR)360,370を含んで構成されている。

この製造装置300により、制御性良く、高精度にレンズ部アレイ220を作製することが可能である。
【0117】
このレンズ部アレイ220の光学フィルムFLM221を、画素アレイ210の光入射面側に貼り合わされて画素部20が作製される。
【0118】
図13は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置における画素部の製造方法の概略を説明するための図である。
【0119】
画素アレイ210とレンズ部アレイ220を有する画素部20は、図13に示すように、画素アレイ形成工程ST1と、光学フィルム形成工程ST21を含むレンズ部アレイ形成工程ST2と、貼り合わせ工程ST3を経て作製される。
なお、ここでは一例として、画素アレイ形成工程ST1と光学フィルム形成工程ST21を含むレンズ部アレイ形成工程ST2とがシリアルな工程として示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、二つの工程がパラレルに行われてもよい。
【0120】
画素アレイ形成工程ST1においては、一面側から入射した所定波長の光を光電変換する複数の光電変換部2111~2114を含む画素をアレイ状に形成する。
なお、ここでは本実施形態の構成に即して4つ(複数)の光電変換部2111~2114を含む画素をアレイ状に形成する例について説明するが、複数は任意であり、本発明が4つに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0121】
レンズ部アレイ形成工程ST2においては、画素アレイ210の各光電変換部2111~2114の一面側に対応して複数のレンズ部LNS221~LNS224をアレイ状に形成する。
これにより、入射した光を集光して対応して形成された光電変換部2111~2114にこの光電変換部の一面側から入射する複数のレンズ部LNS221~LNS224を含むレンズ部アレイ220を形成する。
このレンズ部アレイ形成工程ST2においては、フィルム形成工程ST21を含む。
フィルム形成工程ST21においては、アレイ全体領域の複数のレンズ部にわたって一体的に形成し、レンズ部を形成する領域に所定の光学機能部、たとえば集光機能を持つ一つの光学フィルムFLM221を形成する。
【0122】
そして、貼り合わせ工程ST3においては、レンズ部アレイ220の光学フィルムFLM221を、画素アレイ210の光入射面側に貼り合わされて画素部20が作製される。
【0123】
以上説明したように、本第1の実施形態においては、画素部20は、一面側から入射した所定波長の光を光電変換する複数の光電変換部2111,2112,2113,2114がアレイ状に配置された画素アレイ210と、画素アレイ210の各光電変換部2111(~2114)の一面側に対応してアレイ状に配置され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部2111(~2114)にこの光電変換部の一面側から入射する複数のレンズ部LNS220を含むレンズ部アレイ220とが貼り合わされてZ方向に積層して形成されている。
本第1の実施形態では、画素アレイ210の光入射面側に、ロールフィルムである光学フィルムFLM221にレンズ部LNS220が一体的に形成されたレンズ部アレイ220が貼り合わされている。
【0124】
本第1の実施形態において、レンズ部アレイ220は、アレイ全体の複数のレンズ部LNS220にわたって一体的に形成され、レンズ部LNS220を形成する領域に所定の光学機能部(たとえば集光機能)を持つ一つの光学フィルムFLM221が配置されている。
本第1の実施形態において、レンズ部LNS220は、光学機能部として第1の光学フィルムFLM221に対して一体的に形成され、入射した光を集光して対応して配置された光電変換部2111(~2114)にこの光電変換部の一面側(第1基板面231側)から入射するマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221,LNS222,LNS223,LNS224により形成されている。
本第1の実施形態において、マイクロレンズLNS221(~LNS224)は、光入射側に頂部が配置された多錐体あるいは図10(D)を含む非球面体により形成されている。
【0125】
したがって、本第1の実施形態によれば、レンズ部をマイクロレンズで形成する場合に受ける光学的構造や特性に過度の制約を受けることがなくなる。
その結果、本第1の実施形態によれば、レンズ部アレイ220を煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、ひいては画素部20の製造が容易となる利点がある。
また、マイクロレンズ用の下の基板の厚さを薄くすることが可能になるため、隣接画素間のクロストークを低減することが可能となる。
また、シート状の光学部品アレイが、従来のマイクロレンズアレイの製造方法より精密にコントロールすることができるため、シェーディングのない画像を得ることが可能となり、性能向上を図ることが可能となる。
【0126】
また、本第1の実施形態によれば、マイクロレンズの形状は、配置位置によって容易に変更することが可能である。その結果、大きなCRAによる画像面のエッジでのパフォーマンスの低下をより適切に修正することが可能となり、ひいては高精度にシェーディングを抑止することが可能となる。
【0127】
(第2の実施形態)
図14は、本第2の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素部におけるレンズ部の概略的構成を説明するための図である。
【0128】
本第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、次の通りである。
第1の実施形態においては、マルチ画素MPXL20のレンズ部220は、4つの色画素SPXL11,SPXL12,SPXL21,SPXL22の光電変換部PD11,PD12,PD21,PD22の各々に個別に光を入射するマイクロレンズLNS221~LNS224を有している。
【0129】
これに対して、本第2の実施形態のマルチ画素MPXL20Aにおいては、第1色画素SPXL11Aの第1光電変換部PD11が分離部214(215)により2つの領域PD11aおよびPD11bに分離され(区分けされ)、一つのマイクロレンズLNS221Aにより、2つの領域PD11aおよびPD11bに光を入射可能とすることにより、PDAF情報を持つことが可能に構成されている。
同様に、第2色画素SPXL12Aの第1光電変換部PD12が分離部214(215)により2つの領域PD12aおよびPD12bに分離され(区分けされ)、一つのマイクロレンズLNS222Aにより、2つの領域PD12aおよびPD12bに光を入射可能とすることにより、PDAF情報を持つことが可能に構成されている。
【0130】
また、第3色画素SPXL21Aの第1光電変換部PD21が分離部214(215)により2つの領域PD21aおよびPD21bに分離され(区分けされ)、一つのマイクロレンズLNS223Aにより、2つの領域PD21aおよびPD21bに光を入射可能とすることにより、PDAF情報を持つことが可能に構成されている。
第4色画素SPXL22Aの第1光電変換部PD22が分離部214(215)により2つの領域PD22aおよびPD22bに分離され(区分けされ)、一つのマイクロレンズLNS224Aにより、2つの領域PD22aおよびPD22bに光を入射可能とすることにより、PDAF情報を持つことが可能に構成されている。
【0131】
なお、本第2の実施形態においては、マイクロレンズLNS221A~LNS224Aの頂部は面部領域を持たない頂点部として形成され、狭い2つの領域に効率的に光を入射できるように構成されている。
【0132】
図15(A)~(C)は、本発明の第2の実施形態に係る画素部におけるレンズ部のその他の概略的構成を説明するための図である。
図15(A)は、図14の例に比較して頂部TPの面部領域が広く、かつ、高さが高い4錐体構造のマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221Aaの一例を示している。
図15(B)は、8錐体構造のマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221Abの一例を示している。
図15(C)は、滑らかな角(corners)SCNRを有する8錐体構造のマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221Acの一例を示している。
図15(D)は、錐体構造の究極である球面SPHまたは非球面ASPHを持つマイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221Adの一例を示している。
【0133】
本第2の実施形態に係る光学フィルムFLM221に一体的に形成されるフィルム一体(フィルム一体形成)型マイクロレンズ(マイクロプリズム)LNS221(~LNS24)の個々の要素は、図14図15(A)~(D)に示す形状などのさまざまな形状を持つことができる。
すなわち、個々のマイクロレンズの形状は、図14図15(D)に示されている形状によって制限されることはない。
光学フィルムFLM221に一体的に形成される個々のマイクロレンズ(マイクロプリズム)の形状とサイズは、焦点の望ましい形状、サイズ、距離が得られるように計算により設計されている。設計変数には、面の数、形状、幅、さまざまな面間の角度が含まれる。個々のマイクロプリズムは、図15(A)~(D)に示されているものより多くの表面を持つことができる。
【0134】
本第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態の効果と同様に、レンズ部アレイ220Aを煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、ひいては画素部20Aの製造が容易となる。また、マイクロレンズ用の下の基板の厚さを薄くすることが可能になるため、隣接画素間のクロストークを低減することが可能となる。
また、シート状の光学部品アレイが、従来のマイクロレンズアレイの製造方法より精密にコントロールすることができるため、シェーディングのない画像を得ることが可能となり、性能向上を図ることが可能となる。
【0135】
また、本第2の実施形態によれば、マイクロレンズ(本第1の実施形態ではマイクロプリズム)の形状は、配置位置によって容易に変更することが可能である。その結果、大きなCRAによる画像面のエッジでのパフォーマンスの低下をより適切に修正することが可能となる。
さらにまた、一つのマイクロレンズを共有画素から利用可能なPDAF機能を実現することが可能となる。
【0136】
(第3の実施形態)
図16は、本第3の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素部におけるレンズ部の概略的構成を説明するための図である。
【0137】
本第3の実施形態が一例として示すマイクロレンズが、第1の実施形態のマイクロレンズと異なる点は、次の通りである。
【0138】
第1の実施形態において、マルチ画素MPXL20のレンズ部220は、4つの色画素SPXL11,SPXL12,SPXL21,SPXL22の光電変換部PD11,PD12,PD21,PD22の各々に個別に光を入射する、略正方形状に形成されたマイクロレンズLNS221~LNS224を有している。
そして、略正方形状に形成されたマイクロレンズLNS221~LNS224は、画素アレイの画素配列の水平方向に相当する第1方向(本例では直交座標系のX方向)側、並びに、この第1方向(X方向)に直交する第2方向(本例ではY方向)側の全方向から、略均等の光量をもって、対応する光電変換部PD11,PD12,PD21,PD22の各々に個別に光を入射する。
すなわち、第1の実施形態に係るマイクロレンズLNS221~LNS224は、空間的に均一な強度分布を持つ入射光束に対して、第1方向から入射するLXの第1の入射光量と、第2方向から入射する光LYの第2の入射光量が同等となるように形成されている。
【0139】
これに対して、本第3の実施形態のマルチ画素MPXL20Bにおいては、マイクロレンズLNS221B~LNS224Bが、光電変換部PD11,PD12,PD21,PD22に対して、空間的に均一な強度分布を持つ入射光束に対し、第1方向Xから入射する光LXの第1の入射光量と、第2方向Yから入射する光LYの第2の入射光量が異なるように形成されている。
図16は、光電変換部PD11,PD12,PD21,PD22に対して、第1方向Xから入射する光LXの第1の入射光量の方が、空間的に均一な強度分布を持つ入射光束に対して、第2方向Yから入射する光LYの第2の入射光量が多くなるように形成されたマイクロレンズLNS221B(~LNS224B)の一例が示されている。
すなわち、マイクロレンズLNS221B~LNS224Bにおいては、空間的に均一な強度分布を持つ入射光束に対して、第2方向Yによる光LYより、第1方向Xの光LXを光電変換部PD11,PD12,PD21,PD22に対して、多量に入射する。
【0140】
本第3の実施形態のマイクロレンズLNS221B~LNS224Bの具体的な一構成例を図16に関連付けて説明する。
【0141】
本第3の実施形態のマルチ画素MPXL20Bにおいて、マイクロレンズLNS221B~LNS224Bは、略直方体状に形成され、画素アレイの水平方向に相当する第1方向(本例では直交座標系のX方向)の第1の光入射面LSI11の長さ(幅)WL11より、この第1方向(X方向)に直交する第2方向(本例ではY方向)の第2の光入射面LSI12の長さ(幅)WL12の方が長く形成されている。
そして、たとえば、光電変換部PD11,PD12,PD21,PD22を含む色画素SPXL11B,SPXL12B,SPXL21B,SPXL22Bは、第1方向Xの幅WP11より、第1方向Xに直交する第2方向Yの幅WP12の方が長く形成されている。
【0142】
このような構成を有するマイクロレンズLNS221B~LNS224Bにおいては、光電変換部PD11,PD12,PD21,PD22に対して、主として第1方向Xの光を第2の光入射面LSI12を通して入射する。
すなわち、マイクロレンズLNS221B~LNS224Bにおいては、第1の光入射面LSI11を通して入射する光LYより、第1方向Xの光LXを第2の光入射面LSI12を通して多量に入射する。
【0143】
なお、本第3の実施形態において、第1方向Xからの光LXの第1の入射光量は第2の光入射面LSI12の形状、たとえば面積や第2の光入射面LSI12と底面BTMとのなす角度によって調整(微調整)することが可能である。
同様に、第2方向Yからの光LYの第2の入射光量は第1の光入射面LSI11の形状、たとえば面積や第1の光入射面LSI11と底面BTMとのなす角度によって調整(微調整)することが可能である。
【0144】
なお、本実施形態において、第1方向がX方向(水平方向)、第2方向がY方向(垂直方向)として説明したが、第1方向がY方向(垂直方向)、第2方向がX方向(水平方向)であってもよい。
【0145】
本第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態の効果と同様に、レンズ部アレイ220Bを煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、ひいては画素部20の製造が容易となる。また、マイクロレンズ用の下の基板の厚さを薄くすることが可能になるため、隣接画素間のクロストークを低減することが可能となる。
また、シート状の光学部品アレイが、従来のマイクロレンズアレイの製造方法より精密にコントロールすることができるため、シェーディングのない画像を得ることが可能となり、性能向上を図ることが可能となる。
さらにまた、一つのマイクロレンズを共有画素から利用可能なPDAF機能を実現することが可能となる。
【0146】
また、本第3の実施形態によれば、マイクロレンズ(本第3の実施形態ではマイクロプリズム)の形状は、配置位置によって容易に変更することが可能である。その結果、大きなCRAによる画像面のエッジでのパフォーマンスの低下をより適切に修正することが可能となる。
【0147】
(第4の実施形態)
図17は、本第4の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素部におけるレンズ部の概略的構成を説明するための図である。
【0148】
本第4の実施形態が、第3の実施形態と異なる点は、次の通りである。
第3の実施形態においては、マルチ画素MPXL20Bのレンズ部220Bは、4つの色画素SPXL11,SPXL12,SPXL21,SPXL22の光電変換部PD11,PD12,PD21,PD22の各々に個別に光を入射するマイクロレンズLNS221B~LNS224Bを有している。
【0149】
これに対して、本第4の実施形態のマルチ画素MPXL20Cにおいては、第1色画素SPXL11Cの第1光電変換部PD11が分離部214(215)により2つの領域PD11aおよびPD11bに分離され(区分けされ)、一つのマイクロレンズLNS221Bにより、2つの領域PD11aおよびPD11bに光を入射可能とすることにより、PDAF情報を持つことが可能に構成されている。
同様に、第2色画素SPXL12Cの第1光電変換部PD12が分離部214(215)により2つの領域PD12aおよびPD12bに分離され(区分けされ)、一つのマイクロレンズLNS222Bにより、2つの領域PD12aおよびPD12bに光を入射可能とすることにより、PDAF情報を持つことが可能に構成されている。
【0150】
同様に、第3色画素SPXL21Cの第1光電変換部PD21、および第4色画素SPXL22Cの第1光電変換部PD22が分離部214(215)により2つの領域に分離され(区分けされ)、一つのマイクロレンズLNS223B,LNS224Bにより、2つの領域に光を入射可能とすることにより、PDAF情報を持つことが可能に構成されている。
【0151】
なお、本第4の実施形態においては、マイクロレンズLNS221B~LNS224Bの頂部は面部領域を持った頂点部として形成され、狭い2つの領域に効率的に光を、主として第1方向Xから大量に入射できるように構成されている。
具体的には、本第4の実施形態のマイクロレンズLNS221B~LNS224Bは、第1方向(ここではX方向)の光情報のみを採用して、第2方向(ここではY方向)の光情報は未使用あるいはオフセット情報として採用することが可能となるように、第1方向X側からの光LXを高い割合で受光し、第2方向Y側からの光LYは全く受光しないあるいは少量のみを受光するように構成されている。
【0152】
なお、本第4の実施形態において、第1方向Xからの光LXの第1の入射光量は第2の光入射面LSI12の面積や第2の光入射面LSI12と底面BTMとのなす傾斜角度によって調整(微調整)することが可能である。
同様に、第2方向Yからの光LYの第2の入射光量は第1の光入射面LSI11の面積や第1の光入射面LSI11と底面BTMとのなす角度によって調整(微調整)することが可能である。
この場合、第1の光入射面LSI11と底面BTMとのなす角度は80~90度に近い。これにより、第2方向Yの上方から照射される光LYの第1の光入射面LSI11への入射が大幅に抑制される。
【0153】
このような構成を有するマイクロレンズLNS221B~LNS224Bにおいては、光電変換部PD11a,PD11b、PD11a,PD12b(PD21a,PD21b、PD22a,PD22)に対して、主として第1方向Xの光を第2の光入射面LSI12を通して入射する。
すなわち、マイクロレンズLNS221B~LNS224Bにおいては、第1の光入射面LSI11を通して入射する光より、第1方向Xの指向性を持った光を第2の光入射面LSI12を通して大量に入射する。
【0154】
したがって、本第4の実施形態においては、第1方向(ここではX方向)の光情報のみを採用して、第2方向(ここではY方向)の光情報は未使用あるいはオフセット情報として採用することが可能となり、たとえばPDAF機能の精度向上を図ることが可能となる。
【0155】
ここで、本第4の実施形態に係る固体撮像装置10Cのアプリケーション例について説明する。
図18(A)および(B)は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置のアプリケーション例を示す図である。
図18(A)は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の第1のアプリケーション例を示し、図18(B)は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の第2のアプリケーション例を示している。
【0156】
固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)においては、多画素化による高解像度化を維持し、画素ピッチの縮小による感度やダイナミックレンジの低下を抑制するために、隣接した複数の同色画素を、たとえば2画素ずつあるいは4画素ずつ配置し、解像度を追求する場合には画素信号を読み出し、解像度やダイナミックレンジ性能を必要とする場合には同色の画素の信号を加算して読み出す方法が採用される場合がある。
そして、このCMOSイメージセンサは、隣接する2,4等の複数の同色画素で一つのマイクロレンズを共有する。
【0157】
図18のアプリケーション例は、複数の同色画素で一つのマイクロレンズを共有する画素アレイの2例を示している。
図18(A)は、2つの同色画素(フォトダイオードPD)で一つのマイクロレンズLNS221C(~LNS224C)を共有するアプリケーション例を示している。
図18(B)は、4つの同色画素(フォトダイオードPD)で一つのマイクロレンズLNS221C(~LNS224C)を共有するアプリケーション例を示している。
【0158】
本第4の実施形態によれば、上述した第1および第3の実施形態の効果と同様に、レンズ部アレイ220を煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、ひいては画素部20の製造が容易となる。また、マイクロレンズ用の下の基板の厚さを薄くすることが可能になるため、隣接画素間のクロストークを低減することが可能となる。
また、シート状の光学部品アレイが、従来のマイクロレンズアレイの製造方法より精密にコントロールすることができるため、シェーディングのない画像を得ることが可能となり、性能向上を図ることが可能となる。
さらにまた、一つのマイクロレンズを共有画素から利用可能なPDAF機能を実現することが可能となる。
【0159】
また、本第4の実施形態によれば、マイクロレンズ(本第4の実施形態ではマイクロプリズム)の形状は、配置位置によって容易に変更することが可能である。その結果、大きなCRAによる画像面のエッジでのパフォーマンスの低下をより適切に修正することが可能となる。
【0160】
(第5の実施形態)
図19(A)~(C)は、本第5の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素部におけるレンズ部の概略的構成を説明するための図である。
図19(A)はレンズ部の概略図を示し、図19(B)は頂部TPが所定幅を有するマイクロレンズの上面図を示し、図19(C)は頂部TPが所定幅を有するマイクロレンズの上面図を示している。
なお、図19においては、理解を容易にするために、図16および図17と同一構成部分は同一符号をもって表している。
【0161】
本第5の実施形態が、第4の実施形態と異なる点は、次の通りである。
第4の実施形態においては、遮光膜を用いずに、画素内の光電変換部(フォトダイオード(PD))を2分割して(2つ設けて)、一対の光電変換部(フォトダイオード)によって得られる信号の位相のずれ量に基づいて位相差を検出する方法(瞳分割方式)を実現する構成が採用されている。
【0162】
これに対して、本第5の実施形態においては、たとえば一の光電変換領域PD(受光領域)の半分が遮光膜により遮光さており、右半分で受光する位相差検出画素と左半分で受光する位相差検出画素で像面上の位相差を検出する像面位相差法を実現する構成が採用されている。
【0163】
この遮光膜を用いる像面位相差法では、光電変換領域PDの受光領域の略半分の領域を遮光する矩形状の金属シールドMTLS20と、光電変換領域PDの受光領域の残りの半分の領域を開口する矩形状の開口部APRT20とが、光電変換領域PDの入射面(基板の第1面)側に形成されている。
金属シールドMTLS20は、バックサイドメタルBSMの幅を変更することにより実装され、組み込まれる。これにより、PDAFのパフォーマンスに見合った応答性の角度応答を保証することが可能となる。
【0164】
本第5の実施形態において、マイクロレンズLNZ221Dは、底面BTM20が、第1方向(X方向)の長さと第2方向(Y方向)の長さが等しい正方形状(Lx=Ly)に形成されている。
そして、第1の光入射面LSI11(平面abcd)と底面BTM20(平面cdgh)のなす角度は90度に近い角度、たとえば80度~90度に設定されている。
同様に、第1の光入射面LSI12(平面efgh)と底面BTM20(平面cdgh)のなす角度は90度に近い角度、たとえば80度~90度に設定されている。
このような構成を採用することにより、第1の光入射面LSI11(平面abcd)または第1の光入射面LSI12(平面efgh)から光電変換領域PD1に入る光を非常に少なくすることが可能となる。
これらの第1の光入射面LSI11(平面abcd)または第1の光入射面LSI12(平面efgh)透過または反射する可能性のある光をさらにカットするために、平面abcdおよびefghを黒色の吸収材料でコーティングすることができる。
【0165】
このように、本第5の実施形態においては、光点の形状は、開口部の形状と一致する矩形状、たとえば長方形であることから、角度のある入射では、金属シールドMTLSでの反射から生じる不要な光が多くなることを防止することが可能となる。
【0166】
また、本第5の実施形態によれば、入力平面の傾斜角度を変更することで、大きなCRAによる画像面のエッジでのパフォーマンスの低下をより適切に修正することが可能となる。
また、マイクロプリズムの異方性設計は、開口部に合うように焦点を形成することも可能で、焦点の形状が開口部の形状と一致していれば、迷光による画質劣化を最小限に抑えることができる。
【0167】
(第6の実施形態)
図20(A)~(C)は、本発明の第6の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を説明するための図であって、既存のマイクロレンズと、マイクロレンズの機能を兼ね備えた回折光学素子としてのフレネルゾーンプレート(FZP)との構造および機能等を模式的に対応して示す図である。
図20(A)は上面から見た図であり、図20(B)および(C)は側面側から見た図である。
【0168】
本第6の実施形態が、上記した第1、第2、第3、第4および第5の実施形態と異なる点は、次の通りである。
第1~第5の実施形態においては、レンズ部アレイのレンズ部をマイクロレンズLNS221~LNS224により構成している。
これに対して、本第6の実施形態においては、レンズ部アレイ220Eのレンズ部LNS220Eを回折光学素子であるフレネルゾーンプレートFZP220(FZP221~FZP224)により構成している。
【0169】
換言すれば、本第6の実施形態においては、図20に示すように、画素アレイ中の画素の位置に応じて形状が変えられていない従来のマイクロレンズ、画素アレイ中の画素の位置に応じて形状が変えられている第1の実施形態等のマイクロレンズが、回折光学およびバイナリ光学技術を使用して実装されたフレネルゾーンプレートFZP220(FZP221~FZP224)に置き換えられている。
【0170】
たとえば、マイクロフレネルレンズ(FZP)は、マイクロレンズの修正により形成することが可能であり、より薄い集束要素で同じ位置に焦点を形成することが可能である。
個々の要素の集束特性(焦点距離など)の位置依存の調整は、傾斜面の長さと角度を変えることによって達成することができる。
個々のマイクロレンズ要素のブレージング(ドラフトファセットはベースにほぼ垂直)は、マイクロフレネルレンズの入力面からの反射による光の損失を回避するために行われる。
【0171】
フレネルゾーンプレートFZP220の場合、厚さTKは十分に薄く、焦点距離FLの制御は、曲率や材料ではなく、ゾーンZNの幅と数を調整することによって実現される。
また、ゾーンZNをブレーズしてフォーカスの数を制御することもできる。
【0172】
一般に、CIS設計では、光電変換部(PD)表面に入射する光スポットの形状、サイズ、位置を特定のアプリケーションに基づいて決定
正しく設計されたDOEは、任意のレンズプロファイルする必要がある。
従来の屈折マイクロレンズのみと比較して、回折光学素子(DOE)は、特定のターゲット平面(たとえば、CISの場合はPD表面、金属グリッドなど)に到達する光の強度プロファイルの形状に関して、より多くの自由度を提供する。DOEは通常、空間的に変化する位相プロファイルを入射光線に導入する。
【0173】
位相プロファイルは、望ましい強度パターンが特定の条件でPD表面に到達することを保証するように計算的に設計することができる。
を実装でき、低分散で高屈折率の材料として動作できる。DOEを使用すると、設計のサイズが小さくなり、軽量になり、必要な要素が少なくなる。
機能的には、DOEを従来の屈折光学系と組み合わせると、色収差と単色収差の制御が向上し、解像度が高くなる。
【0174】
図20(A)の右側の図は、多くのDOEの基礎を形成するフレネルゾーンプレート(FZP)を示している。図20(C)は、レンズとして動作し、FZPの光学原理を操作に使用する表面レリーフDOE構造のアナログプロファイルを示している。
実際には、このような構造は、あとで説明する図21に示すようにバイナリ円形格子として効率的に製造することができる。
このような構造の光効率は、4,8などの位相レベルを追加することにより、アナログプロファイルフレネルレンズと同じくらい高くすることができる。
フレネルレンズのF#(焦点距離/直径)は、限界寸法(製造可能な最小フィーチャサイズ)によって決まる。ただし、実際には、このような制限は2πの整数倍の位相ステップを使用して解消される。
【0175】
本第6の実施形態によれば、上述した第1~第5の実施形態の効果と同様に、レンズ部アレイを煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、ひいては画素部の製造が容易となる。また、マイクロレンズ用基板が不要となるため、隣接画素間のクロストークを低減することが可能となる。
さらに、PDAFアプリケーションに必要な金属シールドまたはBSMの上に焦点を合わせるために、集束要素の焦点距離FLを効果的に短くすることが可能となる。
また、焦点距離と焦点サイズを簡単に変更できることから、PDAF画素出力の光入射角依存性を簡単に変更でき、クロストークの影響を最小限に抑えることができる。
また、シート状の光学部品アレイが、従来のマイクロレンズアレイの製造方法より精密にコントロールすることができるため、シェーディングのない画像を得ることが可能となり、性能向上を図ることが可能となる。
【0176】
また、本第6の実施形態によれば、フレネルレンズの形状は、配置位置によって容易に変更することが可能である。その結果、大きなCRAによる画像面のエッジでのパフォーマンスの低下をより適切に修正することが可能となる。
【0177】
なお、フレネルレンズの形状は、撮像レンズの射出瞳のターゲット部分が確実に認識できるように決定することが望ましい。
【0178】
(第7の実施形態)
図21(A)~(D)は、本発明の第7の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を説明するための図であって、既存のマイクロレンズと、マイクロレンズの機能を兼ね備えた回折光学素子(DOE)との構造および機能等を模式的に対応して示す図である。
図21(A)は回折状態を示す図であり、図21(B)は上面から見た図であり、図21(C)は回折光学素子(DOE)の側面側から見た図、図21(D)および(E)は固体撮像装置の簡略即断面図である。
【0179】
本第7の実施形態が、上記した第1、第2、第3、第4および第5の実施形態と異なる点は、次の通りである。
第1~第5の実施形態においては、レンズ部アレイのレンズ部をマイクロレンズLNS221~LNS224により構成している。
これに対して、本第7の実施形態においては、レンズ部アレイ220のレンズ部LNS220をバイナリ光学素子としての回折光学素子DOE220(DOE221~DOE224)により構成している。
【0180】
換言すれば、本第7の実施形態においては、図21に示すように、画素アレイ中の画素の位置に応じて形状が変えられていない従来のマイクロレンズ、画素アレイ中の画素の位置に応じて形状が変えられている第1の実施形態のマイクロレンズが、周期が変化する格子状の構造ユニットのアレイによって形成される回折光学素子DOE220(DOE221~DOE224)に置き換えられている。
【0181】
回折光学素子DOE220の焦点距離FLとスポットサイズSPZの制御は、周期の変化、格子線の高さを設計することによって行われる。
回折光学素子DOE220の構造の従来のマイクロレンズアレイの構造に対する利点は以下の通りである。
従来のマイクロレンズプロセスで小さな画素サイズ(サブマイクロスケール)と大きな画素数(3Dに必要)を可能にし、高さと曲率は画素ピッチによって制限される。
また、回折限界での焦点スポットを得ることが可能となる。
たとえば、PDAFアプリケーションでは、マイクロレンズのプロファイルエラーを取り除くために、焦点サイズの効果的な制御が必要である。
AFM測定は、実際のマイクロレンズプロファイルが必要な理想的なプロファイルと異なる場合があることを示している。これは、一つ以上(1または複数)のフォトダイオードPDが1つのマイクロレンズを共有する場合に特に問題になる可能性がある。
【0182】
FZPまたはDOEは、VLSI半導体製造技術を適用するバイナリ光学技術を使用して実装することもできる。ここで説明されている製造技術を使用して、光学フィルム上に製造することができる。
【0183】
図21(A)~(D)に示すように、局所的に変化する周期を有する表面レリーフ格子構造を使用して、様々なゾーンをモデル化することができる。
図21(A)は、マイクロレンズの代わりに使用できる光学素子の上面図を示している。このような個々の要素を複数組み合わせて2次元アレイ状にすることができる。2次元アレイは、図21(B)に示すように、リソグラフィやマイクロマシニングなどの半導体プロセス技術を使用して光学フィルム上に形成することができる。
図21(C)は、要素の垂直断面を示し、設計変数の説明が含まれている。一般に、要素は2つの部分、1)回折格子要素GE、2)基板SBで構成される。設計変数は次のとおりである。
周期、周期の空間変動、表面レリーフの高さ(h)、グレーティングの厚さ(h1)、および中央ゾーンの基板(h2)の幅(2a)、グレーティングの材料(屈折率、n1)、2つの連続した格子線の間の媒質の材料(屈折率、n0)、格子の基板の材料(屈折率、n2)である。基板下の材料の屈折率はn3である。
図21(D)は、従来のマイクロレンズがDOE構造のような円形格子で置き換えられた新しいピクセルモデルを示している。
図21(B)に示すようなDOEアレイの光学フィルムは、フラット(図21(D))または湾曲した基板CSB(図21(E))のいずれかに配置することができる。
【0184】
本第7の実施形態によれば、上述した第1、第2、第3、第4および第5の実施形態の効果と同様に、レンズ部アレイを煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、ひいては画素部の製造が容易となる。また、マイクロレンズ用基板が不要となるため、隣接画素間のクロストークを低減することが可能となる。
さらに、PDAFアプリケーションに必要な金属シールドまたはBSMの上に焦点を合わせるために、集束要素の焦点距離FLを効果的に短くすることが可能となる。
また、焦点距離と焦点サイズを簡単に変更できることから、PDAF画素出力の光入射角依存性を簡単に変更でき、クロストークの影響を最小限に抑えることができる。
また、シート状の光学部品アレイが、従来のマイクロレンズアレイの製造方法より精密にコントロールすることができるため、シェーディングのない画像を得ることが可能となり、性能向上を図ることが可能となる。
【0185】
また、本第7の実施形態によれば、DOEの形状は、配置位置によって容易に変更することが可能である。その結果、大きなCRAによる画像面のエッジでのパフォーマンスの低下をより適切に修正することが可能となる。
【0186】
なお、DOEの形状は、撮像レンズの射出瞳のターゲット部分が確実に認識できるように決定することが望ましい。
【0187】
(第8の実施形態)
図22(A)~(E)は、本発明の第8の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を説明するための図であって、既存のマイクロレンズと、マイクロレンズの機能を兼ね備えた回折光学素子(DOE)との構造および機能等を模式的に対応して示す図である。
図22(A)~(C)は回折状態を示す図であり、図22(D)および(E)は側面側から見た図である。
【0188】
本第8の実施形態が、上記した第1、第2、第3、第4および第5の実施形態と異なる点は、次の通りである。
第1~第5の実施形態においては、レンズ部アレイのレンズ部をマイクロレンズLNS221~LNS224により構成している。
これに対して、本第8の実施形態においては、レンズ部アレイ220Gのレンズ部LNS220Fを回折光学素子としてホログラフィック光学素子HOE220(HOE221~HOE224)により構成している。
【0189】
換言すれば、本第8の実施形態においては、図22に示すように、画素アレイ中の画素の位置に応じて形状が変えられていない従来のマイクロレンズ、画素アレイ中の画素の位置に応じて形状が変えられている第1の実施形態のマイクロレンズが、PCを用いて計算上(プログラム上)で設計され構成されたホログラフィック光学素子HOE220(HOE221~HOE224)に置き換えられている。
【0190】
この例では、フレネルゾーンプレートFZPがホログラフィック材料の位相プロファイルとして記録される。マイクロレンズのプロファイルは、平行光または発散する球面波の両方に対して設計可能である。
【0191】
メリット:
マイクロレンズアレイの必要な機能は、前述したように、光学フィルムに実装することができる。そして、光学フィルムは、画素アレイに貼り付けることができる。
その結果、従来のマイクロレンズアレイの製造プロセスより効率的な製造プロセスを実現することが可能となる。
そして、非線形マイクロレンズシフトの実装が簡単(計算設計)となる。
ホログラフィック光学素子HOE220はフラットフォトポリマーフィルムに加工できるため、理想から外れたマイクロレンズのプロファイルによって引き起こされる問題を解決することができる。
また、スーパーピクセル方式でサブペクセルの同一の感度を取得するための正確な制御が可能となる。
なお、スーパーピクセルとは、色やテクスチャが類似するピクセルをグルーピングした小領域のことである。入力画像をスーパーピクセルに分割することで,色の類似画素の位置関係を反映した小領域に分割することが可能になる。
また、サブピクセルとは、ディスプレイ上の1つの画素(ピクセル)を構成しているRGBの単色の各点のことである。画像処理の分野では、画像をピクセル単位ではなく、より細かいサブピクセルを仮想的な単位として処理を行うことがある。
【0192】
本実施形態において、ホログラフィック光学素子HOE220は、光学材料の望ましい位相プロファイルをフォトポリマーなどの感光性材料に記録することによって設計された別のクラスのDOEである。
マイクロレンズアレイに対応する位相プロファイルは、適切な物体光を参照光と干渉させることによって生成することができる。
【0193】
図22(B)は、マイクロレンズアレイに対応する干渉縞パターンをコード化する透過型フラットボリュームグレーティングを示している。
図22(C)は、従来のマイクロレンズが適切に設計されたホログラフィック光学素子HOEで置き換えられたCISデバイスを示している。
図22(C)に示すように、記録された干渉パターンが自然光LNで照らされると、球面波SWが透過して生成され、目的の焦点面に焦点の配列が形成される。
この技術は、第1の実施形態に記載した製造技術を使用して光学フィルムに実装することができる。光学フィルムは、貼り付けるか、CISデバイス設計に組み込むことができる。
光学フィルムをピクセル(ピクセル部)の上部に、屈折率を一致させた光学セメントまたは光学接着剤を使用して取り付けることもできる。あるいはARSとHOE等の光学素子は、一体的に同時並列的に作製される。
【0194】
本第8の実施形態によれば、上述した第1、第2、第3、第4および第5の実施形態の効果と同様に、レンズ部アレイを煩雑な手間を要することなく製造することが可能で、ひいては画素部の製造が容易となる。また、マイクロレンズ用基板が不要となるため、隣接画素間のクロストークを低減することが可能となる。
さらに、PDAFアプリケーションに必要な金属シールドまたはBSMの上に焦点を合わせるために、集束要素の焦点距離FLを効果的に短くすることが可能となる。
また、焦点距離と焦点サイズを簡単に変更できることから、PDAF画素出力の光入射角依存性を簡単に変更でき、クロストークの影響を最小限に抑えることができる。
また、シート状の光学部品アレイが、従来のマイクロレンズアレイの製造方法より精密にコントロールすることができるため、シェーディングのない画像を得ることが可能となり、性能向上を図ることが可能となる。
【0195】
(第9の実施形態)
図23は、本発明の第9の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を示す図である。
【0196】
本第9の実施形態が、第1、第2、第3、第4および第5の実施形態と異なる点は、次の通りである。
第1~第5の実施形態においては、第1の光学フィルムFLM221にアレイ状に一体的に形成されたレンズ部LNS220であるマイクロレンズLNS221~LNS224の光入射面側には反射防止膜が形成されていない。
【0197】
これに対して、本第9の実施形態においては、レンズ部アレイ220Hは、第1の光学フィルムFLM221の光照射面(光入射面側)上に第2の光学フィルムFLM222が配置され(貼り合わされて)、第2の光学フィルムFLM222におけるレンズ部LNS220を形成するマイクロレンズLNS221~LNS224の光照射面(光入射面側)に対応する領域には光反射防止機能を有する微細構造体(Fine Structure)FNS220が形成されている。
【0198】
なお、本第9の実施形態において、レンズ部アレイ220Hは、第2の光学フィルムを適用することなく、光学フィルムFLM221の光照射面(光入射面側)上におけるレンズ部LNS220を形成するマイクロレンズLNS221~LNS224の光照射面(光入射面側)に対応する領域には光反射防止機能を有する微細構造体FNS220が一体的に形成される構造が採用されてもよい。
【0199】
なお、このような微細構造による反射防止は、前述したように、反射防止構造体(Anti-Reflection Structure ; ARS)とも呼ばれる(たとえば、非特許文献1:車載テクノロジー Vol, No.7 2019, pp26-pp29 参照)。
【0200】
図24は、本第9の実施形態に係る微細構造体として採用可能なフィルムに形成されたAR(Anti-Reflection)構造体の一例を示す図である。
【0201】
微細構造体FNS220は、レンズ部LNS220を形成するマイクロレンズLNS221~LNS224の光照射面(光入射面側)に、いわゆるモスアイ型のナノコーンアレイ等の3D微細構造を有するように形成されている。
この微細構造体FNS220は、たとえば図12と同様の製造装置を用いて光学的に透明な材料により製造可能である。
たとえばレーザ描画によるリソグラフィ技術を用い、能動的に規則的な配列を行う手法が用いられる。
【0202】
モスアイ構造を含む層は、効果的な屈折率分布材料(勾配屈折率材料のような挙動)の層として機能する。小さな円錐状のナノコーンは2次元のアレイになっている。ナノコーンアレイの周期は光の波長(λ)より短いため、高次の回折や散乱は発生しないが、光学素子の光入射面(表面)での反射損失を波長と角度の広い帯域にわたって効果的に低減する。
【0203】
通常、透明な樹脂基材やガラス基材などにおいて光が入射した場合、空気と基材の屈折率差が存在するため、その界面にて反射光が発生し、外光の映り込みなどが発生し視認性を低下させる。
このような界面での反射光を抑制するため、光学薄膜の場合は光の干渉の原理を用い、薄膜の上下で反射光として生じる光の位相が反転し光の振幅をキャンセルさせることにより、反射防止を行っている。
ただし、この方法の場合入射光の波長や入射角の依存性が存在するため、外光の入射条件によっては反射光が増加する場合もある。
一般に、広帯域の波長または広い範囲の入射角(CISに望ましい)での反射を抑制するには、多層の薄膜を使用する必要がある。また、光学樹脂を使用する場合、材料の選択が制限される。これにより、そのような多層薄膜反射防止コーティングは、CIS用途では高価になる傾向にある。
【0204】
これに対して、本第9の実施形態のように、微細な構造を基材の界面に形成した場合、各構造がある程度の大きさを持っている間は、その構造を元に光が波として応答する回折現象が生じるが、基材の面内において外光の波長よりも小さいARSの構造にしていくと、伝播する光は回折のような現象が発生しなくなる。
ここで、この界面に入射して伝播していく光は、光の進む方向に対して基材の屈折率があたかも徐々に変化しているような状態として応答するようになる。このとき屈折率が徐々に変化して界面がぼやけたような状態として認識されるため、入射する外光の波長や角度に対しての依存性の少ない、広帯域で高機能な反射防止性能が得られるようになる(上記非特許文献1参照)。
【0205】
このように、微細構造体FNS220は、入射光に対して屈折率を、光の進む方向に対して徐々に変化させる機能を含む。
【0206】
本第9の実施形態によれば、上述した第1、第2、第3、第4および第5の実施形態の効果と同様の効果を得られることはもとより、レンズ部の光入射面での反射損失を低減することが可能となり、量子効率を向上することができひいては画素部の製造が容易となる。
【0207】
(第10の実施形態)
図25は、本発明の第10の実施形態に係る固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の概略的な構成例を示す図である。
【0208】
本第10の実施形態が、第9の実施形態と異なる点は、次の通りである。
第9の実施形態においては、光学フィルムFLM221にアレイ状に一体的に形成されたレンズ部LNS220であるマイクロレンズLNS221~LNS224の光入射面側には反射防止膜としての微細構造体FNS220が、直接的にあるいは第2の光学フィルムFLM222を介して形成されている。
【0209】
これに対して、本第10の実施形態においては、レンズ部アレイ220Iは、光学フィルムFLM221は用いず、レンズ部LNS220が、マイクロレンズNS221~LNS224の代わりに、図1の場合と同様に、マイクロレンズMCL220(MCL221~MCL224)により形成されている。
【0210】
本第10の実施形態によれば、レンズ部の光入射面での反射損失を低減することが可能となり、ひいては画素部の製造が容易となる。
【0211】
以上説明した固体撮像装置10,10A~10Iは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0212】
図26は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0213】
本電子機器100は、図26に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10,10A~10Iが適用可能なCMOSイメージセンサ110を有する。
さらに、電子機器100は、このCMOSイメージセンサ110の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)120を有する。
電子機器100は、CMOSイメージセンサ110の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)130を有する。
【0214】
信号処理回路130は、CMOSイメージセンサ110の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路130で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0215】
上述したように、CMOSイメージセンサ110として、前述した固体撮像装置10,10A~10Hを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0216】
10,10A~10I・・・固体撮像装置、20,20A~20I・・・画素部、MPXL20,20A~20I・・・マルチ画素、SPXL11(A~I)・・・第1画素、SPXL12(A~I)・・・第2画素、SPXL21(A~I)・・・第3画素、SPXL22(A~I)・・・第4画素、210・・・画素アレイ、211・・・光電変換部、2111(PD11)・・・第1光電変換部、2112(PD12)・・・第2光電変換部、2113(PD21)・・・第3光電変換部、2114(PD22)・・・第4光電変換部、212・・・カラーフィルタ部、213・・・酸化膜(OXL)、214・・・第1分離部、215・・第2分離部、220・・・レンズ部アレイ、FLM220・・・光学フィルム、FLM221・・・第1の光学フィルム、FLM222・・・第2の光学フィルム、LNS220・・・レンズ部、LNS221~LNS224・・・マイクロレンズ(マイクロプリズム)、FZP221~FZP224・・・フレネルゾーンプレート、DOE221~DOE224・・・回折光学素子、HOE221~HOE224・・・ホログラフィック光学素子、FNS220・・・微細構造体、30・・・垂直走査回路、40・・・読み出し回路、50・・・水平走査回路、60・・・タイミング制御回路、70・・・読み出し部、100・・・電子機器、110・・・CMOSイメージセンサ、120・・・光学系、130・・・信号処理回路(PRC)。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26