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特開2022-121827搬送機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121827
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】搬送機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/44 20060101AFI20220815BHJP
   B29C 45/42 20060101ALI20220815BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
B29C33/44
B29C45/42
H01L21/56 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018748
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
【テーマコード(参考)】
4F202
5F061
【Fターム(参考)】
4F202AH33
4F202CA12
4F202CA30
4F202CB01
4F202CM11
4F202CM13
4F202CM14
5F061AA01
5F061BA01
5F061CA21
5F061DA11
(57)【要約】
【課題】不要樹脂の厚さ(高さ)の変更に対応することができ、汎用性を向上させることが可能な搬送機構を提供する。
【解決手段】樹脂成形品を保持する成形品保持部と、不要樹脂を保持する樹脂保持部と、前記成形品保持部に対して相対的に上下に昇降可能となるように前記樹脂保持部を支持する昇降支持部と、を具備した。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品を保持する成形品保持部と、
不要樹脂を保持する樹脂保持部と、
前記成形品保持部に対して相対的に上下に昇降可能となるように前記樹脂保持部を支持する昇降支持部と、
を具備する搬送機構。
【請求項2】
前記樹脂保持部は、
前記不要樹脂と接する吸着パッドと、
前記吸着パッドが取り付けられるパッド取付部と、
を具備し、
前記昇降支持部は、前記パッド取付部を上下に昇降可能となるように支持する、
請求項1に記載の搬送機構。
【請求項3】
前記昇降支持部は、
前記パッド取付部と一体的に昇降可能な昇降部と、
前記昇降部の昇降範囲を規定する可動範囲規定部と、
を具備する、
請求項2に記載の搬送機構。
【請求項4】
前記昇降支持部は、前記樹脂保持部を下方に向かって力を付与する付与部をさらに具備する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の搬送機構。
【請求項5】
前記昇降支持部は、前記付与部により付与される力を調整することが可能な調整部をさらに具備する、
請求項4に記載の搬送機構。
【請求項6】
前記樹脂保持部によって保持された前記不要樹脂を下方に向かって押圧する押圧部をさらに具備する、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の搬送機構。
【請求項7】
成形対象物を樹脂成形することにより前記樹脂成形品を得る成形型と、
前記成形型によって樹脂成形された前記樹脂成形品を搬送する請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の搬送機構と、
を具備する樹脂成形装置。
【請求項8】
請求項7に記載の樹脂成形装置を用いて樹脂成形品を製造する、
樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂成形後のワーク及び不要樹脂(カル)を金型から搬出する搬送機構に関する技術が開示されている。この搬送機構は、ワークを保持するワーク保持部と、不要樹脂を保持する樹脂保持部と、を具備している。この搬送機構は、ワーク保持部に設けられたチャック爪でワークの外周端部を保持すると共に、樹脂保持部に設けられた吸着パッドで不要樹脂を吸着して保持することができる。搬送機構は、ワーク及び不要樹脂を保持したまま金型外へと退避することで、ワーク及び不要樹脂を搬出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-26088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで一般的には、樹脂成形品の形状等に応じて、成形時に発生する不要樹脂の厚さ(高さ)も変わることになる。特許文献1に開示されたような搬送機構では、不要樹脂の厚さが変わると樹脂保持部で適切に不要樹脂を保持することができなくなるため、樹脂保持部、若しくは搬送機構自体を交換して対応する必要があり、搬送機構の汎用性が低い点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、不要樹脂の厚さ(高さ)の変更に対応することができ、汎用性を向上させることが可能な搬送機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、この課題を解決するため、本発明に係る搬送機構は、樹脂成形品を保持する成形品保持部と、不要樹脂を保持する樹脂保持部と、前記成形品保持部に対して相対的に上下に昇降可能となるように前記樹脂保持部を支持する昇降支持部と、を具備するものである。
【0007】
また、本発明に係る樹脂成形装置は、成形対象物を樹脂成形することにより前記樹脂成形品を得る成形型と、前記成形型によって樹脂成形された前記樹脂成形品を搬送する前記搬送機構と、を具備するものである。
【0008】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、前記樹脂成形装置を用いて樹脂成形品を製造するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不要樹脂の厚さ(高さ)の変更に対応することができ、汎用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一実施形態に係る樹脂成形装置の全体的な構成を示した平面模式図。
図2】第一実施形態に係る樹脂成形品の製造方法を示したフローチャート。
図3】成形型及びリードフレームを示した正面断面図。
図4】下型、樹脂封止されたリードフレーム及びアンローダを示した正面断面図。
図5】アンローダ(特に樹脂保持部及び昇降支持部)を示した側面一部断面図。
図6】アンローダ(特に樹脂保持部及び昇降支持部)を示した正面断面図。
図7】搬出工程の様子を示した図。
図8】樹脂保持部が上方に移動する様子を示した正面断面図。
図9】第二実施形態に係るアンローダを示した正面断面図。
図10】第三実施形態に係るアンローダを示した正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、図中に示した矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F及び矢印Bで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、左方向、右方向、前方向及び後方向と定義して説明を行う。
【0012】
まず、図1を用いて、第一実施形態に係る樹脂成形装置1の構成について説明する。樹脂成形装置1は、半導体チップなどの電子素子を樹脂封止し、樹脂成形品を製造するものである。特に本実施形態では、トランスファーモールド法を利用して樹脂成形を行う樹脂成形装置1を例示している。
【0013】
樹脂成形装置1は、構成要素として、供給モジュール100、樹脂成形モジュール200及び搬出モジュール300を具備する。各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0014】
供給モジュール100は、電子素子を装着した基板の一種であるリードフレーム10、及び樹脂タブレットTを樹脂成形モジュール200へと供給するものである。なお、本実施形態ではリードフレーム10を例示しているが、リードフレーム10以外にも、その他種々の基板(ガラスエポキシ製基板、セラミック製基板、樹脂製基板、金属製基板等)を用いることが可能である。供給モジュール100は、主としてフレーム送出部110、フレーム供給部120、樹脂送出部130、樹脂供給部140、ローダ150及び制御部160を具備する。
【0015】
フレーム送出部110は、インマガジンユニット(不図示)に収容された樹脂封止されていないリードフレーム10を、フレーム供給部120に送り出すものである。フレーム供給部120は、フレーム送出部110からリードフレーム10を受け取り、受け取ったリードフレーム10を適宜整列させてローダ150に受け渡すものである。
【0016】
樹脂送出部130は、ストッカ(不図示)から樹脂タブレットTを受け取り、樹脂供給部140に樹脂タブレットTを送り出すものである。樹脂供給部140は、樹脂送出部130から樹脂タブレットTを受け取り、受け取った樹脂タブレットTを適宜整列させてローダ150に受け渡すものである。
【0017】
ローダ150は、フレーム供給部120及び樹脂供給部140から受け取ったリードフレーム10及び樹脂タブレットTを、樹脂成形モジュール200に搬送するものである。
【0018】
制御部160は、樹脂成形装置1の各モジュールの動作を制御するものである。制御部160によって、供給モジュール100、樹脂成形モジュール200及び搬出モジュール300の動作が制御される。また、制御部160を用いて、各モジュールの動作を任意に変更(調整)することができる。
【0019】
なお本実施形態においては、制御部160を供給モジュール100に設けた例を示しているが、制御部160をその他のモジュールに設けることも可能である。また、制御部160を複数設けることも可能である。例えば、制御部160をモジュールごとや装置ごとに設け、各モジュール等の動作を互いに連動させながら個別に制御することも可能である。
【0020】
樹脂成形モジュール200は、リードフレーム10に装着された電子素子を樹脂封止するものである。本実施形態においては、樹脂成形モジュール200は2つ並べて配置される。2つの樹脂成形モジュール200によってリードフレーム10の樹脂封止を並行して行うことで、樹脂成形品の製造効率を向上させることができる。樹脂成形モジュール200は、主として成形型210及び型締め機構(不図示)を具備する。
【0021】
成形型210は、溶融した樹脂材料を用いて、リードフレーム10に装着された電子素子を樹脂封止するものである。成形型210は、上下一対の型、すなわち、上型220及び下型230(図3等参照)を具備する。成形型210には、ヒータ等の加熱部(不図示)が設けられる。
【0022】
型締め機構(不図示)は、下型230を上下に移動させることによって、成形型210(上型220及び下型230)を型締め又は型開きするものである。なお、便宜上、型締め機構の図示は省略している。
【0023】
搬出モジュール300は、樹脂封止されたリードフレーム10を樹脂成形モジュール200から受け取って搬出するものである。搬出モジュール300は、主としてアンローダ310及び基板収容部320を具備する。
【0024】
アンローダ310は、樹脂封止されたリードフレーム10を保持して基板収容部320へと搬出するものである。なお、アンローダ310は、本発明に係る搬送機構の実施の一形態である。基板収容部320は、樹脂封止されたリードフレーム10を収容するものである。
【0025】
次に、図1及び図2を用いて、上述の如く構成された樹脂成形装置1の動作(樹脂成形装置1を用いた樹脂成形品の製造方法)の概要について説明する。
【0026】
本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、主として搬入工程S10、樹脂成形工程S20及び搬出工程S30を含む。
【0027】
搬入工程S10は、リードフレーム10及び樹脂タブレットTを樹脂成形モジュール200に搬入する工程である。
【0028】
搬入工程S10において、フレーム送出部110は、インマガジンユニット(不図示)に収容されたリードフレーム10を、フレーム供給部120に送り出す。フレーム供給部120は、受け取ったリードフレーム10を適宜整列させて、ローダ150に受け渡す。
【0029】
また、樹脂送出部130は、ストッカ(不図示)から受け取った樹脂タブレットTを樹脂供給部140に送り出す。樹脂供給部140は、受け取った樹脂タブレットTのうち必要な個数をローダ150に受け渡す。
【0030】
ローダ150は、受け取ったリードフレーム10と樹脂タブレットTを樹脂成形モジュール200の成形型210に搬送する。リードフレーム10と樹脂タブレットTが成形型210に搬送された後、搬入工程S10から樹脂成形工程S20に移行する。
【0031】
樹脂成形工程S20は、リードフレーム10に装着された電子素子を樹脂封止する工程である。
【0032】
樹脂成形工程S20において、型締め機構(不図示)は、成形型210を型締めする。そして、成形型210の加熱部(不図示)によって樹脂タブレットTを加熱して溶融させ、生成された流動性樹脂を用いてリードフレーム10を樹脂封止する。リードフレーム10を樹脂封止した後、樹脂成形工程S20から搬出工程S30に移行する。
【0033】
搬出工程S30は、樹脂封止されたリードフレーム10(樹脂成形品)を樹脂成形モジュール200から受け取って搬出する工程である。
【0034】
搬出工程S30において、型締め機構(不図示)は、成形型210を型開きする。そして、樹脂封止されたリードフレーム10を離型させる。その後、アンローダ310は、リードフレーム10を成形型210から搬出し、搬出モジュール300の基板収容部320に収容する。この際、樹脂成形されたリードフレーム10の不要部分(後述するカル10b、ランナ10c等の不要樹脂)は適宜除去される。このようにして、樹脂封止されたリードフレーム10(樹脂成形品)が製造される。
【0035】
次に、図3から図6を用いて、樹脂成形装置1のうち、搬出工程S30に関する構成について、より詳細に説明する。具体的には、成形型210(上型220及び下型230)、並びにアンローダ310の構成について説明する。なお図3は、上型220及び下型230、並びに樹脂封止される前のリードフレーム10を示したものである。また図4は、下型230、樹脂封止されたリードフレーム10、及びアンローダ310を示したものである。また本実施形態は、以下で説明する各部材の概略を例示(図示)するものであり、各部材の具体的な形状、配置、個数等は限定するものではない。なお、樹脂封止される前のリードフレーム10は電子素子が接続されているが、図3は省略して示したものである。
【0036】
図3に示す上型220は、主として上型本体221を具備する。
【0037】
上型本体221は、上型220の主たる部分を形成する部材である。上型本体221は、適宜の上下厚さを有するように形成される。上型本体221は、適宜の支持部材(不図示)に固定される。上型本体221の下面には、キャビティ221a、カル部221b及びランナ部221cが形成される。
【0038】
キャビティ221aは、樹脂材料が供給されて樹脂成形される凹部である。キャビティ221aは、後述する下型230に載置されたリードフレーム10と対向する位置(電子素子を樹脂封止できる位置)に形成される。キャビティ221aは、製品(樹脂成形品)に応じた適宜の形状に形成される。
【0039】
カル部221bは、後述する下型230のポットブロック232と対向する位置に形成された凹部である。本実施形態では、図3に示すように、上型本体221の左右中央にカル部221bが形成され、カル部221bの左右両側にキャビティ221aが形成される。
【0040】
ランナ部221cは、カル部221bとキャビティ221aとを接続する凹部である。ランナ部221cの深さは、カル部221bよりも浅くなるように形成される。
【0041】
下型230は、主として下型本体231、ポットブロック232及びエジェクタピン233を具備する。
【0042】
下型本体231は、下型230の主たる部分を形成する部材である。下型本体231は、適宜の上下厚さを有するように形成される。下型本体231の上面には、搬入工程S10において搬入されたリードフレーム10が載置される。
【0043】
ポットブロック232は、供給モジュール100から供給された樹脂タブレットTが収容されるポット232aが形成される部材である。ポットブロック232は、適宜の高さを有するように形成される。ポットブロック232には、その上面に開口するようにポット232aが形成される。ポット232aは、互いに適宜の間隔を空けて複数形成される(不図示)。ポット232aに収容された樹脂タブレットTは、樹脂成形工程S20において、図示しないプランジャによってポット232aの上端から射出され、樹脂成形が行われる。
【0044】
図4に示すエジェクタピン233は、成形後のリードフレーム10と下型230とを離型させるための部材である。エジェクタピン233は、略円柱状に形成される。エジェクタピン233は、軸線方向を上下方向(鉛直方向)に向けて配置される。エジェクタピン233は、下型本体231に形成された貫通孔(不図示)に挿入された状態で配置される。エジェクタピン233は、下型本体231に対して相対的に上下に移動可能に構成される。具体的には、エジェクタピン233は、下型本体231が下降するのに伴って、下型本体231の上面から突出する。
【0045】
図4に示すアンローダ310は、主としてアンローダ本体311、クランパ312、成形品保持部315、樹脂保持部313及び昇降支持部314(図5及び図6参照)を具備する。
【0046】
アンローダ本体311は、アンローダ310の主たる部分を形成する部材である。アンローダ本体311は、適宜の上下厚さを有するように形成される。アンローダ本体311は、適宜の移動機構によって、水平方向及び上下方向(鉛直方向)にそれぞれ移動することができる。
【0047】
クランパ312は、リードフレーム10を保持するものである。クランパ312は、アンローダ本体311に設けられる。クランパ312は、正面視略L字状に形成される。より具体的には、クランパ312は、下端部が内側(アンローダ本体311の中央側)に向かって延びるように形成されている。クランパ312の上端部は、アンローダ本体311に対して回動可能に連結されている。クランパ312は、図示せぬ駆動源(例えば、モータ、シリンダ等)の駆動力により回動される。
【0048】
図4から図6に示す樹脂保持部313は、樹脂成形に用いられた樹脂材料のうち、樹脂成形品に不要な樹脂(不要樹脂)を保持する部分である。より具体的には、樹脂保持部313は、後述するカル10bを保持する部分である。なお、図4では、樹脂保持部313及び後述する昇降支持部314の構造の詳細な図示を省略している。図5及び図6に示すように、樹脂保持部313は、主として樹脂吸着管部313a、樹脂吸着パッド313b及び樹脂吸着配管ブロック313cを具備する。
【0049】
樹脂吸着管部313aは、中空筒状に形成された部材である。樹脂吸着管部313aは、軸線方向を上下に向けた状態で配置される。樹脂吸着管部313aは、アンローダ本体311を上下に貫通する貫通孔311aに挿入される。樹脂吸着管部313aの下端部は、アンローダ本体311の下面から下方へと突出するように配置される。なお、樹脂吸着管部313aは、本発明に係るパッド取付部の実施の一形態である。
【0050】
樹脂吸着パッド313bは、不要樹脂と接触する部分である。樹脂吸着パッド313bは、樹脂吸着管部313aの下端部に固定されることで、樹脂吸着管部313aに取り付けられる。樹脂吸着パッド313bは、ゴム等の弾性素材により形成される。樹脂吸着パッド313bは、不要樹脂と接触した際に多少撓むことで、不要樹脂に密着することができる。なお、樹脂吸着パッド313bは、本発明に係る吸着パッドの実施の一形態である。
【0051】
樹脂吸着管部313a及び樹脂吸着パッド313bは、後述するカル10bを吸着可能な位置に複数設けられる。本実施形態では、図5に示すように、樹脂吸着管部313a及び樹脂吸着パッド313bが前後に複数並ぶように配置された例を示している。樹脂吸着管部313a及び樹脂吸着パッド313bの個数は、カル10bの個数に応じて、設ければよい。
【0052】
樹脂吸着配管ブロック313cは、樹脂吸着管部313aを支持する部分である。樹脂吸着配管ブロック313cは、前後に延びる略直方体状に形成される。樹脂吸着配管ブロック313cには、不要樹脂を吸着するための空気の流路313dが形成される。流路313dは、真空ポンプ等の吸引装置(不図示)に接続される。樹脂吸着配管ブロック313cは、アンローダ本体311の上側に配置される。樹脂吸着配管ブロック313cには、各樹脂吸着管部313aの上端部が固定される。各樹脂吸着管部313aの中空部は、樹脂吸着配管ブロック313cの流路313dと接続される。
【0053】
昇降支持部314は、樹脂保持部313を上下に昇降可能となるように支持する部分である。昇降支持部314は、主としてブシュ314a、戻しプレート314b、ガイド用シャフト314c及び戻しスプリング314dを具備する。
【0054】
ブシュ314aは、樹脂吸着管部313aを上下に案内する部分である。ブシュ314aは、円筒状に形成される。ブシュ314aは、軸線を上下に向けた状態で、アンローダ本体311の貫通孔311aに固定される。ブシュ314aには、樹脂吸着管部313aが挿入される。樹脂吸着管部313aの外周面は、ブシュ314aの内周面に対して上下に摺動可能となるように接している。これによってブシュ314aは、樹脂吸着管部313aが水平方向に移動するのを防止すると共に、上下に昇降するように案内することができる。
【0055】
戻しプレート314bは、樹脂保持部313に固定される部分である。戻しプレート314bは、アンローダ本体311の上側に配置される。戻しプレート314bは、板状の部材を適宜屈曲させて形成される。具体的には、戻しプレート314bは、水平に配置された板状部材の左右中央部を上方に突出させるようにして形成される。戻しプレート314bの左右中央部は、樹脂吸着配管ブロック313cの上面に固定される。このようにして、戻しプレート314bは、樹脂吸着配管ブロック313cを左右に跨ぐように配置される。戻しプレート314bは、樹脂吸着配管ブロック313cの前後両端部にそれぞれ設けられる。戻しプレート314bは、樹脂保持部313と一体的に昇降することができる。なお、戻しプレート314bは、本発明に係る昇降部の実施の一形態である。
【0056】
ガイド用シャフト314cは、戻しプレート314bを上下に昇降するように案内すると共に、戻しプレート314bの昇降範囲を規定する部分である。ガイド用シャフト314cは、戻しプレート314bの左右両端部を上下に貫通するように配置される。ガイド用シャフト314cの下端部は、アンローダ本体311の上面に固定される。これによってガイド用シャフト314cは、戻しプレート314bが水平方向に移動するのを防止すると共に、上下に昇降するように案内することができる。また、ガイド用シャフト314cの上端部には、他の部分よりも直径が大きい頭部が形成されている。ガイド用シャフト314cは、この頭部によって戻しプレート314bの上方への移動を規制することができる。これによって戻しプレート314bは、アンローダ本体311の上面と、ガイド用シャフト314cの頭部との間の範囲で昇降することができる。なお、ガイド用シャフト314cは、本発明に係る可動範囲規定部の実施の一形態である。
【0057】
戻しスプリング314dは、戻しプレート314bを下方に向かって力を付与するものである。戻しスプリング314dは、圧縮コイルばねにより形成される。戻しスプリング314dは、ガイド用シャフト314cに挿入され、戻しプレート314bとガイド用シャフト314cの頭部との間に配置される。これによって戻しスプリング314dは、戻しプレート314bを下方に向かって常時力を付与することができる。なお、戻しスプリング314dは、本発明に係る付与部の実施の一形態である。
【0058】
図4に示す成形品保持部315は、樹脂成形に用いられた樹脂材料のうち、樹脂成形品となる樹脂を保持する部分である。より具体的には、成形品保持部315は、後述する封止部10aを保持する部分である。成形品保持部315は、主として成形品吸着管部315a及び成形品吸着パッド315bを具備する。
【0059】
成形品吸着管部315aは、中空筒状に形成された部材である。成形品吸着管部315aは、アンローダ本体311の下面から下方に向かって延びるように配置される。成形品吸着管部315aの上端部は、アンローダ本体311に固定される。成形品吸着管部315aは、アンローダ本体311に形成された空気の流路を介して、真空ポンプ等の吸引装置に接続される(不図示)。
【0060】
成形品吸着パッド315bは、樹脂と接触する部分である。成形品吸着パッド315bは、成形品吸着管部315aの下端部に固定される。成形品吸着パッド315bは、ゴム等の弾性素材により形成される。
【0061】
このように構成されたアンローダ310において、樹脂保持部313は、アンローダ本体311や成形品保持部315に対して、相対的に上下に昇降可能となるように支持されている。
【0062】
次に、図3及び図4を用いて、樹脂封止されたリードフレーム10について説明する。
【0063】
樹脂成形工程S20においてポット232aから溶融した樹脂材料が射出されると、この樹脂材料は上型220(図3参照)のカル部221b及びランナ部221cを介してキャビティ221aへと供給される。これによって、図4に示すように、リードフレーム10の上面には、上型220のカル部221b、ランナ部221c及びキャビティ221aに応じた形状の樹脂が成形される。以下では、キャビティ221a、カル部221b及びランナ部221cにおいて成形された樹脂を、それぞれ封止部10a、カル10b及びランナ10cと称する。
【0064】
キャビティ221aにおいて成形された封止部10aは、リードフレーム10に装着された電子素子を樹脂封止する部分である。封止部10a及びリードフレーム10は、製品(樹脂成形品)となる部分である。一方、カル10b及びランナ10cは製造の都合上成形される部分であり、製品としては不要な部分(不要樹脂)である。このように樹脂成形工程S20では、製品として必要な封止部10aだけでなく、不要樹脂(カル10b及びランナ10c)も成形されている。搬出工程S30では、製品として必要な樹脂成形品(封止部10a及びリードフレーム10)だけでなく、不要樹脂も成形型210から搬出する必要がある。
【0065】
次に、図7及び図8を用いて、搬出工程S30において、樹脂封止されたリードフレーム10が成形型210から搬出される様子について、具体的に説明する。なお図7では、便宜上、各部材の符号を適宜省略している。
【0066】
搬出工程S30において、まず、図7(a)に示すように、下型本体231を所定の量だけ下降させる。これに伴って、エジェクタピン233は、下型本体231に対して相対的に上方に移動し、エジェクタピン233の上端部が下型本体231の上面よりも上方に突出する。このように、エジェクタピン233を下型本体231から突出させることで、下型本体231の上面に載せられたリードフレーム10を下から押し上げ、リードフレーム10を下型本体231から上昇させる(離型させる)ことができる。これによって、リードフレーム10と下型本体231の上面との間には、隙間が形成されることになる。
【0067】
次に、図7(b)に示すように、アンローダ310を下型230の上方まで移動させ、所定の位置まで下降させる。具体的には、図7(c)に示すように、樹脂保持部313及び成形品保持部315が、それぞれカル10b及び封止部10aに接する位置までアンローダ310を下降させる。
【0068】
ここで樹脂保持部313は、アンローダ本体311及び成形品保持部315に対して上下に昇降することで、カル10bを適切に吸着することができるように構成されている。以下、この樹脂保持部313の動作について詳細に説明する。
【0069】
図8に示すように、アンローダ310が下降して、樹脂保持部313がカル10bに接すると、樹脂保持部313はカル10bによって上に押されることになる。これによって、樹脂保持部313は、ブシュ314aに沿って上方に移動する。また、樹脂保持部313に固定された戻しプレート314bも、戻しスプリング314dを収縮させながら、ガイド用シャフト314cに沿って上方に移動することになる。
【0070】
このように、樹脂保持部313は、アンローダ本体311に対して固定されているのではなく、上下に昇降できるように支持されている。このような構成によって、カル10bの厚さ(高さ)が変更された場合であっても、カル10bの高さに応じて樹脂保持部313が上下に昇降することができるため、カル10bを適切に吸着することができる。ここで、真空ポンプ等の吸引装置(不図示)を用い、樹脂吸着配管ブロック313cを介して真空引きすることで、カル10bを吸着することができる。
【0071】
例えば、樹脂成形品の種類に応じてカル10bの厚さが設計変更された場合であっても、アンローダ310の構造を変更することなく、カル10bを適切に吸着することができる。また、プランジャ(不図示)を用いてカル10bを上方に押し上げて離型させる場合などにも、カル10bの上昇に応じて樹脂保持部313も上方に移動することができるため、カル10bを適切に吸着することができる。このように、本実施形態のアンローダ310は、樹脂保持部313を上下に昇降可能とすることにより、カル10bの厚さ(高さ)の変更や、カル10bの移動(上昇)に対応することができ、汎用性を高めることができる。
【0072】
搬出工程S30では、このようにして樹脂保持部313及び成形品保持部315がそれぞれカル10b及び封止部10aに接すると(図7(c)参照)、吸引装置(不図示)を作動させ、樹脂保持部313及び成形品保持部315によって、カル10b及び封止部10aをそれぞれ吸着する。
【0073】
次に、図7(c)に示すように、クランパ312の下端部を内側へと回動させる。これによって、クランパ312の下端部をリードフレーム10と下型本体231の上面との間の隙間に挿入する。このようにアンローダ310は、樹脂封止されたリードフレーム10を樹脂保持部313及び成形品保持部315で吸着すると共に、クランパ312で下方から支持することで、リードフレーム10を保持することができる。
【0074】
次に、図7(d)に示すように、アンローダ310を上昇させることで、樹脂封止されたリードフレーム10(リードフレーム10、封止部10a、カル10b及びランナ10c)を持ち上げることができる。このアンローダ310を移動させ、樹脂封止されたリードフレーム10を成形型210から搬出する。その後、アンローダ310を搬出モジュール300へと移動させ、適宜不要樹脂(カル10b及びランナ10c)を除去し、リードフレーム10を基板収容部320に収容する(図1参照)。このようにして、搬出工程S30が完了する。
【0075】
なお、不要樹脂(カル10b及びランナ10c)が除去されると、樹脂保持部313は自重により再び最下位置(樹脂吸着配管ブロック313c又は戻しプレート314bがアンローダ本体311の上面に接する位置、図6参照)まで下降する。この際、戻しスプリング314dが戻しプレート314bを下方に向かって力を付与しているため、この戻しスプリング314dにより付与される力によって樹脂保持部313が下降するのを補助することができる。
【0076】
以上の如く、本実施形態に係るアンローダ310(搬送機構)は、
樹脂成形品を保持する成形品保持部315と、
不要樹脂を保持する樹脂保持部313と、
前記成形品保持部315に対して相対的に上下に昇降可能となるように前記樹脂保持部313を支持する昇降支持部314と、
を具備するものである。
【0077】
このように構成することにより、不要樹脂の厚さ(高さ)の変更に対応することができ、アンローダ310の汎用性を向上させることができる。すなわち、樹脂保持部313をカル10b(不要樹脂)の厚さ(高さ)に応じて昇降させることができるため、カル10bの厚さ等が変更された場合であっても、カル10bを適切に保持することができる。これによって、カル10bの厚さ等が変更されてもアンローダ310の構造を変更する必要がなくなり、アンローダ310の汎用性を向上させることができる。
【0078】
また、前記樹脂保持部313は、
前記不要樹脂と接する樹脂吸着パッド313b(吸着パッド)と、
前記樹脂吸着パッド313bが取り付けられる樹脂吸着管部313a(パッド取付部)と、
を具備し、
前記昇降支持部314は、前記樹脂吸着管部313aを上下に昇降可能となるように支持するものである。
【0079】
このように構成することにより、不要樹脂の厚さ(高さ)の変更に対応することができ、汎用性を向上させることができる。
【0080】
また、前記昇降支持部314は、
前記樹脂吸着管部313aと一体的に昇降可能な戻しプレート314b(昇降部)と、
前記戻しプレート314bの昇降範囲を規定するガイド用シャフト314c(可動範囲規定部)と、
を具備するものである。
【0081】
このように構成することにより、樹脂保持部313の昇降範囲を規定することができる。これによって、樹脂保持部313が過剰に移動して他の部材と接触する等の不具合の発生を防止することができる。
【0082】
また、前記昇降支持部314は、前記樹脂保持部313を下方に向かって力を付与する戻しスプリング314d(付与部)をさらに具備するものである。
【0083】
このように構成することにより、樹脂保持部313が自重によって下方に戻るのを、戻しスプリング314dによって補助することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る樹脂成形装置1は、
リードフレーム10(成形対象物)を樹脂成形することにより前記樹脂成形品を得る成形型210と、
前記成形型210によって樹脂成形された前記樹脂成形品を搬送するアンローダ310(搬送機構)と、
を具備するものである。
【0085】
このように構成することにより、アンローダ310の汎用性を向上させることができ、ひいては樹脂成形装置1の汎用性を向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、樹脂成形装置1を用いて樹脂成形品を製造するものである。
【0087】
このように構成することにより、アンローダ310の汎用性を向上させることができ、ひいては樹脂成形装置1の汎用性を向上させることができる。
【0088】
以下では、アンローダ310の変形例(第二実施形態及び第三実施形態)について説明する。なお以下の説明では、第一実施形態と同様の構成については同じ符号を用いて説明を適宜省略する。
【0089】
図9に示す第二実施形態に係るアンローダ310は、戻しスプリング314dにより付与される力を調整できる点で、第一実施形態に係るアンローダ310(図6等参照)と異なる。以下、具体的に説明する。
【0090】
第二実施形態に係るアンローダ310は、第一実施形態に係るアンローダ310のガイド用シャフト314cに代えて、戻しスプリング314dにより付与される力を調整可能な調整部314e(ガイド用ボルト314f及び調整ナット314g)を具備している。
【0091】
ガイド用ボルト314fは、戻しプレート314bを上下に昇降するように案内すると共に、戻しプレート314bの昇降範囲を規定する部分である。ガイド用ボルト314fは、戻しプレート314bの左右両端部を上下に貫通するように配置される。ガイド用ボルト314fの下部は、後述する調整ナット314gに締結される。またガイド用ボルト314fの下端部(調整ナット314gより下方に突出した部分)は、アンローダ本体311に形成された貫通孔に挿入される(不図示)。
【0092】
調整ナット314gは、ガイド用ボルト314fの長さ(アンローダ本体311の上面から突出した部分の長さ)を変更することで、戻しスプリング314dにより付与される力を調整するためのものである。調整ナット314gは、アンローダ本体311の上面に固定される。調整ナット314gは、ガイド用ボルト314fに対応する位置にそれぞれ設けられる。
【0093】
このように構成された調整部314eにおいて、ガイド用ボルト314fを調整ナット314gに対して絞め込んだり緩めたりすることで、ガイド用ボルト314fの長さを調整することができる。これによって、戻しプレート314bとガイド用ボルト314fの頭部との間に配置された戻しスプリング314dの長さを調整することができる。戻しスプリング314dの長さを短くするほど戻しスプリング314dにより付与される力は大きくなり、戻しスプリング314dの長さを長くするほど戻しスプリング314dにより付与される力は小さくなる。このようにガイド用ボルト314f及び調整ナット314gによって、カル10bの形状等に応じて戻しスプリング314dにより付与される力を調整することができる。
【0094】
以上のように、第二実施形態に係る前記昇降支持部314は、前記戻しスプリング314d(付与部)により付与される力を調整することが可能な調整部314eをさらに具備するものである。
【0095】
このように構成することにより、カル10bの形状等に応じて戻しスプリング314dにより付与される力を調整することができる。例えば、ランナ10cがリードフレーム10の下方に形成され、かつカル10bがランナ10cの上方に形成されている場合など、下方への力によってリードフレーム10から不要樹脂(カル10b及びランナ10c)が剥がれ落ちる可能性がある。このような場合には、戻しスプリング314dにより付与される力を弱めることで、カル10bが搬送中に脱落するのを防止することができる。
【0096】
図10に示す第三実施形態に係るアンローダ310は、樹脂保持部313によって保持された不要樹脂を下方に向かって押圧する押圧部316をさらに具備している点で、第一実施形態に係るアンローダ310(図6等参照)と異なる。以下、具体的に説明する。
【0097】
押圧部316は、主として押圧ブロック316a、ガイド軸316b及び押圧スプリング316cを具備している。
【0098】
押圧ブロック316aは、不要樹脂と接触する部分である。押圧ブロック316aは、略直方体状に形成される。押圧ブロック316aは、樹脂保持部313の左右両側にそれぞれ設けられる。押圧ブロック316aは、不要樹脂(本実施形態では、ランナ10c)の上方に位置するように配置される。押圧ブロック316aは、後述するガイド軸316bを介してアンローダ本体311の下面に取り付けられる。
【0099】
ガイド軸316bは、押圧ブロック316aを上下に昇降可能となるように支持する部分である。ガイド軸316bの下端部は、押圧ブロック316aに固定される。ガイド軸316bの上部は、アンローダ本体311の下面に挿入される。ガイド軸316bは、アンローダ本体311に対して上下に昇降可能となるように設けられている。またガイド軸316bは、適宜の方法でアンローダ本体311から脱落しないように設けられている。
【0100】
なお、ガイド軸316bの構成はこれに限るものではなく、押圧ブロック316aを上下に昇降可能に支持することが可能な構成であればよい。例えば、ガイド軸316bを伸縮可能な軸状の部材とすることも可能である。
【0101】
押圧スプリング316cは、押圧ブロック316aを下方に向かって力を付与するものである。押圧スプリング316cは、圧縮コイルばねにより形成される。押圧スプリング316cは、ガイド軸316bに挿入され、アンローダ本体311と押圧ブロック316aとの間に配置される。これによって押圧スプリング316cは、押圧ブロック316aを下方に向かって常時力を付与することができる。
【0102】
このように構成された押圧部316によって、樹脂保持部313によって保持された不要樹脂を下方に向かって押圧することができる。具体的には、図10に示すように、樹脂保持部313によってカル10bが吸着された状態において、押圧ブロック316aがランナ10cに上方から接触する。押圧ブロック316aは、自重と押圧スプリング316cにより付与される力によってランナ10cを下方に向かって押圧する。
【0103】
ここで、押圧部316がランナ10cを下方に向かって押圧する力は、樹脂保持部313による保持力(吸着力)よりも小さくなるように設定されている。すなわち、樹脂保持部313がカル10bを吸着している状態では、押圧部316の押圧力によってカル10b及びランナ10cが樹脂保持部313から脱落することはない。従って、アンローダ310が成形型210からリードフレーム10を搬出している途中で、不要樹脂がアンローダ310から意図せず脱落することはない。
【0104】
一方、アンローダ310によってリードフレーム10が成形型210から搬出され、不要樹脂がアンローダ310から除去される際には、樹脂保持部313による吸着が停止される。また必要に応じて、樹脂保持部313(樹脂吸着パッド313b)から空気が噴射される。この際、押圧部316が不要樹脂を下方に押圧しているため、不要樹脂に対して樹脂吸着パッド313bから離れるような力を加えることができ、樹脂保持部313から不要樹脂を速やかに脱落させることができる。
【0105】
このように、押圧部316によって不要樹脂を押圧することで、熱や材質等の影響で不要樹脂が樹脂吸着パッド313bに貼り付いている場合であっても、不要樹脂を脱落させ易くすることができる。特に、樹脂成形後に不要樹脂(カル10b及びランナ10c)と樹脂成形品(封止部10a及びリードフレーム10)とが分離している場合は、不要樹脂の重量が比較的軽いため、樹脂保持部313の吸着を停止させたとしても、不要樹脂が樹脂吸着パッド313bに張り付いて脱落しないことが想定される。しかし本実施形態のように押圧部316を設けることで、比較的軽い不要樹脂であっても、樹脂保持部313から容易に脱落させることができる。
【0106】
以上のように、第三実施形態に係るアンローダ310は、前記樹脂保持部313によって保持された前記不要樹脂を下方に向かって押圧する押圧部316をさらに具備するものである。
【0107】
このように構成することにより、樹脂保持部313による不要樹脂の保持(吸着)が終了した際に、樹脂保持部313から不要樹脂を容易に脱落させることができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0109】
例えば、上記実施形態においては、トランスファーモールド法を利用した樹脂成形装置1(トランスファ方式の樹脂成形装置1)を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、他の方式(例えば、コンプレッション方式等)を採用することも可能である。
【0110】
また、上記実施形態の樹脂成形装置1に用いた構成要素(供給モジュール100等)は一例であり、適宜着脱や交換することが可能である。例えば、樹脂成形モジュール200の個数を変更することが可能である。また、本実施形態の樹脂成形装置1に用いた構成要素(供給モジュール100等)の構成や動作は一例であり、適宜変更することが可能である。
【0111】
また、上記実施形態においては、タブレット状の樹脂材料(樹脂タブレットT)を用いる例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、樹脂材料としては、タブレット状のものだけでなく、顆粒状、粉末状、液状など任意の形態のものを用いることが可能である。
【0112】
また、上記実施形態においては、搬送機構の一例として、成形型210から樹脂成形品を搬出するアンローダ310を示したが、本発明はこれに限るものではなく、種々の搬送機構に適用することが可能である。
【0113】
また、上記実施形態においては、成形品保持部315として樹脂成形品を吸着して保持する構成を例示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、樹脂成形品を吸着することなく、クランパ312のみで保持することも可能である。この場合、樹脂成形品を適切に保持できるように、クランパ312の配置は適宜変更することができる。
【0114】
また、上記実施形態においては、樹脂保持部313に固定される戻しプレート314bを設けた例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、戻しプレート314bを樹脂保持部313と一体の部材で構成することも可能である。この場合、樹脂保持部313の昇降範囲を、ガイド用シャフト314c(図6参照)やガイド用ボルト314f(図9参照)によって規定することが可能である。
【0115】
また、上記実施形態においては、ガイド用シャフト314c(図6参照)やガイド用ボルト314f(図9参照)によって樹脂保持部313の昇降範囲を規定する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他適宜の部材で樹脂保持部313の昇降範囲を規定することが可能である。
【0116】
また、上記実施形態においては、樹脂保持部313を下方に向かって力を付与する戻しスプリング314dを設けた例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、戻しスプリング314dを設けない構成とすることも可能である。
【0117】
また、上記実施形態においては、複数の樹脂吸着パッド313b(樹脂吸着管部313a)を樹脂吸着配管ブロック313cに固定することで、複数の樹脂吸着パッド313bが一体的に昇降する構成を例示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、複数の樹脂吸着パッド313bを1つずつ個別に昇降させる構成とすることも可能である。
【0118】
また、上記実施形態(第二実施形態)においては、戻しスプリング314dにより付与される力を調整する調整部314eを例示したが、調整部314eの構成はこれに限るものではなく、戻しスプリング314dにより付与される力を調整可能な構成であれば、任意に変更することが可能である。
【0119】
また、上記実施形態(第三実施形態)においては、不要樹脂を下方に向かって押圧する押圧部316を例示したが、押圧部316の構成はこれに限るものではなく、不要樹脂を押圧可能な構成であれば、任意に変更することが可能である。
【0120】
また、上記実施形態では、樹脂成形品を保持する成形品保持部315はアンローダ本体311に固定されるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、成形品保持部315も樹脂保持部313と同様に上下に昇降可能な構成とすることも可能である。これによって、アンローダ310の汎用性をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0121】
1 樹脂成形装置
210 成形型
310 アンローダ
313 樹脂保持部
313a 樹脂吸着管部
313b 樹脂吸着パッド
314 昇降支持部
314b 戻しプレート
314c ガイド用シャフト
314d 戻しスプリング
314e 調整部
315 成形品保持部
317 押圧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10