(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121839
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】経路案内プログラム及び経路案内装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220815BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220815BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20220815BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20220815BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220815BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220815BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20220815BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20220815BHJP
【FI】
G01C21/34
G01C21/26 P
G08G1/0968
G08G1/005
G09B29/10 A
G09B29/00 A
G09B29/00 F
G16Y10/40
G16Y40/60
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018766
(22)【出願日】2021-02-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】518064374
【氏名又は名称】株式会社オプティマインド
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】グラビッチュ ドリュー エバン
(72)【発明者】
【氏名】母利 睦人
(72)【発明者】
【氏名】深谷 皇紀
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HB22
2C032HC08
2C032HC27
2F129AA06
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD39
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2F129FF20
2F129FF32
2F129FF62
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2F129FF64
2F129FF71
2F129HH20
5H181AA15
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181KK01
(57)【要約】
【課題】目的地までの経路情報をより詳細に表示可能とすること。
【解決手段】出発地から目的地までの経路情報を地図情報に重畳表示する処理を行うための経路案内装置であって、出発地及び目的地に関する入力情報を用いて経路探索手段によって経路情報を取得する経路情報取得部と、目的地の正確な位置を示す目的地位置情報を取得する目的地位置情報取得部と、目的地周辺における車両の駐停車候補位置情報を取得する駐停車候補位置情報取得部と、目的地までの経路を、駐停車候補位置情報が示す駐停車候補位置までの車両移動経路と、前記駐停車候補位置から目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する詳細経路特定部と、詳細経路特定部において特定した各経路の表示方法を互いに異ならせて地図情報に重畳表示させる表示部とを備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索手段によって出発地から目的地までの経路探索を実行することで取得した経路情報を地図情報に重畳表示する処理をサーバに実現させるための経路案内プログラムであって、
前記サーバに、
前記出発地及び前記目的地に関する入力情報を用いて前記経路探索手段によって前記経路情報を取得する経路情報取得機能と、
前記目的地の正確な位置を示す目的地位置情報を取得する目的地位置情報取得機能と、
前記目的地周辺における車両の駐停車候補位置情報を取得する駐停車候補位置情報取得機能と、
前記目的地位置情報及び前記駐停車候補位置情報に基づいて、前記目的地位置までの経路を、前記駐停車候補位置情報が示す前記駐停車候補位置までの車両移動経路と、前記駐停車候補位置から前記目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する詳細経路特定機能と、
前記詳細経路特定機能において特定した各経路の表示方法を互いに異ならせて前記地図情報に重畳表示させる表示機能と
を実現させる経路案内プログラム。
【請求項2】
前記駐停車候補位置情報取得機能は、前記駐停車候補位置情報として取得した前記駐停車候補位置が非道路領域を示すものである場合、前記駐停車候補位置情報に加えて、道路から非道路領域への侵入箇所を示す侵入箇所情報を併せて取得するものとし、
前記詳細経路特定機能は、前記目的地までの経路を、前記非道路領域に侵入する侵入箇所までの道路上の経路である道路移動経路と、前記侵入箇所から前記駐停車候補位置までの非道路領域車両移動経路と、前記駐停車候補位置から前記目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する
請求項1記載の経路案内プログラム。
【請求項3】
前記駐停車候補位置情報取得機能において取得する前記駐停車候補位置情報及び前記侵入箇所情報は、過去の利用実績に基づいて予め登録した情報を利用する
請求項2記載の経路案内プログラム。
【請求項4】
前記目的地位置情報は、過去の利用実績に基づいて予め登録した情報を利用する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の経路案内プログラム。
【請求項5】
経路探索手段によって出発地から目的地までの経路探索を実行することで取得した経路情報を地図情報に重畳表示する処理を行うための経路案内装置であって、
前記出発地及び前記目的地に関する入力情報を用いて前記経路探索手段によって前記経路情報を取得する経路情報取得部と、
前記目的地の正確な位置を示す目的地位置情報を取得する目的地位置情報取得部と、
前記目的地周辺における車両の駐停車候補位置情報を取得する駐停車候補位置情報取得部と、
前記目的地位置情報及び前記駐停車候補位置情報に基づいて、前記目的地位置までの経路を、前記駐停車候補位置情報が示す前記駐停車候補位置までの車両移動経路と、前記駐停車候補位置から前記目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する詳細経路特定部と、
前記詳細経路特定部において特定した各経路の表示方法を互いに異ならせて前記地図情報に重畳表示させる表示部と
を備える経路案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路情報をより詳細に表示可能な経路案内プログラム及び経路案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、「組合せ最適化」という分野において、主に「現実社会の問題を組合せ最適化問題にモデル化する」「ある組合せ最適化問題に対する解法を考案する」ということが研究されている。そして、組合せ最適化問題の中に「配送計画問題(VRP:vehicle routing problem)」という問題がある。これは複数の車両と複数の訪問先が入力されたとき、すべての訪問先がいずれかの車両によりちょうど一度ずつ訪問されるような車両のルート(訪問先の順序)の中でルートの長さの総和が最小となるものを求める問題である。何十年も前から配送計画問題に対して現実で現れる制約条件を取り込んだ問題がいくつも提案され、それらに対する近似解法も同時に研究されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、配送先を各車両に振り分けるグルーピング処理とグルーピングで決められた配送先グループを車両がどの順序で巡るかというルートの最適化処理とで決定される配送計画について、複数のグルーピング戦略を用いて複数の配送計画を生成し、その中で最適な配送計画を選択するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配送計画問題を解いて最適実行順序及び最適経路を決定したとしても、各目的地において駐停車位置が見つからず探すことに時間を要してしまうと全体の計画が遅延する要因になってしまう。また、駐停車位置が目的地から離れた場所にしか存在せず駐停車位置から目的地まで徒歩移動が必要であることが事前に分かれば作業員も事前に心積もりができるが、現状の経路案内においては、そのような情報を得ることができなかった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、目的地までの経路情報をより詳細に表示可能な経路案内プログラム及び経路案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る経路案内プログラムは、経路探索手段によって出発地から目的地までの経路探索を実行することで取得した経路情報を地図情報に重畳表示する処理をサーバに実現させるための経路案内プログラムであって、前記サーバに、前記出発地及び前記目的地に関する入力情報を用いて前記経路探索手段によって前記経路情報を取得する経路情報取得機能と、前記目的地の正確な位置を示す目的地位置情報を取得する目的地位置情報取得機能と、前記目的地周辺における車両の駐停車候補位置情報を取得する駐停車候補位置情報取得機能と、前記目的地位置情報及び前記駐停車候補位置情報に基づいて、前記目的地位置までの経路を、前記駐停車候補位置情報が示す前記駐停車候補位置までの車両移動経路と、前記駐停車候補位置から前記目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する詳細経路特定機能と、前記詳細経路特定機能において特定した各経路の表示方法を互いに異ならせて前記地図情報に重畳表示させる表示機能とを実現させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る経路案内プログラムは、さらに、前記駐停車候補位置情報取得機能は、前記駐停車候補位置情報として取得した前記駐停車候補位置が非道路領域を示すものである場合、前記駐停車候補位置情報に加えて、道路から非道路領域への侵入箇所を示す侵入箇所情報を併せて取得するものとし、前記詳細経路特定機能は、前記目的地までの経路を、前記非道路領域に侵入する侵入箇所までの道路上の経路である道路移動経路と、前記侵入箇所から前記駐停車候補位置までの非道路領域車両移動経路と、前記駐停車候補位置から前記目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る経路案内プログラムは、さらに、前記駐停車候補位置情報取得機能において取得する前記駐停車候補位置情報及び前記侵入箇所情報は、過去の利用実績に基づいて予め登録した情報を利用することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る経路案内プログラムは、さらに、前記目的地位置情報は、過去の利用実績に基づいて予め登録した情報を利用することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る経路案内装置は、経路探索手段によって出発地から目的地までの経路探索を実行することで取得した経路情報を地図情報に重畳表示する処理を行うための経路案内装置であって、前記出発地及び前記目的地に関する入力情報を用いて前記経路探索手段によって前記経路情報を取得する経路情報取得部と、前記目的地の正確な位置を示す目的地位置情報を取得する目的地位置情報取得部と、前記目的地周辺における車両の駐停車候補位置情報を取得する駐停車候補位置情報取得部と、前記目的地位置情報及び前記駐停車候補位置情報に基づいて、前記目的地位置までの経路を、前記駐停車候補位置情報が示す前記駐停車候補位置までの車両移動経路と、前記駐停車候補位置から前記目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する詳細経路特定部と、前記詳細経路特定部において特定した各経路の表示方法を互いに異ならせて前記地図情報に重畳表示させる表示部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、目的地周辺の駐停車候補位置情報と目的地の正確な位置を示す目的地位置情報とを用いて目的地周辺の経路情報を車両移動経路と徒歩移動経路に区分して特定し、その特定した各経路の表示方法を互いに異ならせて地図情報に重畳表示させるようにしたので、ユーザが駐停車候補位置を地図情報に重畳表示された経路情報に基づいて把握することができ、また、そこからは徒歩移動となることを一目で把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る経路案内システム100の構成の一例を表したブロック図である。
【
図2】本発明に係る経路案内システム100におけるサーバの構成の一例を表したブロック図である。
【
図3】本発明に係る経路案内システム100の経路探索手段における経路情報生成処理の流れを表したフローチャート図である。
【
図4】本発明に係る経路案内システム100のサーバにおける表示処理の流れを表したフローチャート図である。
【
図5】本発明に基づいて(A)侵入箇所、(B)駐停車候補位置、(C)目的地位置を設定した様子を表した説明図である。
【
図6】本発明に基づいて、道路移動経路(道路上-A)と、非道路領域車両移動経路(A-B)と、徒歩移動経路(B-C)とを表示方法を互いに異ならせて地図情報に重畳表示させた様子を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る経路案内システム100の構成の一例を表したブロック図である。
図1に示すように、経路案内システム100は、サーバ10と、経路案内システム100のユーザが使用するユーザ端末20,201~20n(nは任意の整数)とを含む。
【0015】
サーバ10と複数のユーザ端末20,201~20nは、それぞれインターネットなどの通信ネットワーク30に接続されている。サーバ10は、経路案内システム100の管理者によって管理され、複数のユーザ端末20,201~20nに対して各種処理に関する情報を提供するための各種機能を有する。本例において、サーバ10は、WWWサーバなどの情報処理装置によって構成され、各種情報を格納する記憶媒体を備える。サーバ10の構成は、制御部や通信部などコンピュータとして各種処理を行うための一般的な構成を備えていれば特に限定されない。図示は省略するが、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、記憶装置とを少なくとも備える。また、サーバ10がGPU(Graphics Processing Unit)を備える場合には、各種の演算および制御の一部をGPUによって行うようにしてもよい。サーバ10は、適宜メモリに読み出したデータを用いて各種処理に必要な情報処理をCPUにて実行し、得られた処理結果を必要に応じて記憶装置に記憶させる。記憶装置は、各種情報を格納する記憶媒体としての機能を有する。記憶装置の構成は特に限定されないが、例えば、HDDやSSDが挙げられる。
【0016】
複数のユーザ端末20,201~20nは、それぞれ、ユーザによって管理される端末であり、例えば、車両に搭載されるカーナビゲーションシステム、スマートフォンなどの携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistants)、ウェアラブルデバイスなどの通信ネットワークに接続可能な端末によって構成される。また、これらのユーザ端末20は、GPS機能などの位置特定手段を備えることが望ましい。
【0017】
また、複数のユーザ端末20,201~20nは、それぞれ、通信ネットワーク30に接続し、サーバ10との通信を行うことにより各種処理を実行するためのハードウェア及びソフトウェアを備える。
【0018】
なお、以下の説明においては、サーバ10が備える各種構成に基づいて本発明が実現され、その結果をユーザ端末20に送信する場合を例に説明を行うが、サーバ10が備える構成の一部又は全部をユーザ端末20が備えるようにしてもよい。その場合、サーバ10とユーザ端末20との間で必要な情報の送受信を行いながら各種処理を分担して全体としての処理を完了させるように協働するものとする。
【0019】
図2は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。この
図2に示すように、サーバ10は、経路情報取得部11と、目的地位置情報取得部12と、駐停車候補位置情報取得部13と、詳細経路特定部14と、表示部15と、記憶部16とを少なくとも備える。
【0020】
経路情報取得部11は、出発地及び目的地に関する入力情報を用いて経路探索手段によって経路情報を取得する機能を有する。ここで、経路探索手段とは、内部のアルゴリズムを問わず、出発地から目的地までの経路探索を行って経路情報を出力可能な全ての手段のことをいう。例えば、複数の車両と複数の訪問先が入力されたとき、すべての訪問先がいずれかの車両によりちょうど一度ずつ訪問されるような車両のルート(訪問先の順序)の中でルートの長さの総和が最小となるものを求める配送計画問題を解く経路探索手段であってもよいし、一般的なカーナビゲーションシステムにおける目的地までの最適経路を探索する経路探索手段であってもよい。なお、経路探索手段は、サーバ10が備える構成であってもよいし、ユーザ端末20が備える構成であってもよいし、これら以外のデバイスが備える経路探索手段を利用する構成であってもよい。経路探索手段においては、出発地の入力情報の取得と、目的地の入力情報の取得が行われる。これら出発地及び目的地の入力情報は、車両に搭載されたユーザ端末20、もしくは、車両を運転するユーザが所持するユーザ端末20から取得する。そして、経路情報取得部11は、出発地及び目的地に関する入力情報を用いて経路探索手段によって経路情報を生成して出力する。経路情報には、出発地及び目的地の入力情報が含まれるものとする。なお、出発地の情報として車両の現在地を示すGPS情報を利用してもよい。
【0021】
目的地位置情報取得部12は、目的地の正確な位置を示す目的地位置情報を取得する機能を有する。経路探索手段において必要な目的地情報は、大きなビルやマンションの場合、それらの建築物の所在地(住所)に対して一か所が登録されていることが多く、建築物の内部においてどこに目的地があるかといった詳細な位置情報や、その建築物に対する入口が複数存在する場合に目的地に最も適した入口の位置情報などは登録されていなかった。そこで、目的地毎に正確な位置、より短時間で到達可能な最適な入口の正確な位置などを目的地位置情報として予め登録可能とする。登録作業は、管理者が登録するものであってもよいし、ユーザが各々で登録作業を行ってこれを共有可能するような登録方法であってもよい。また、目的地位置情報として、駐停車候補位置から建築物の入口までの目的地の建物内での移動経路の軌跡を併せて登録できるようにしてもよい。この目的地位置情報取得部12では、経路情報に含まれる目的地情報に基づいて、予め登録しておいた目的地位置情報を取得する。
【0022】
駐停車候補位置情報取得部13は、目的地周辺における車両の駐停車候補位置情報を取得する機能を有する。また、駐停車候補位置情報取得部13は、駐停車候補位置情報として取得した駐停車候補位置が非道路領域を示すものである場合、駐停車候補位置情報に加えて、道路から非道路領域への侵入箇所を示す侵入箇所情報を併せて取得する機能を有する。カーナビゲーションシステムなどにおける従来の経路案内表示では、目的地として設定された建築物が接する道路が目的地として設定されることが多く、その目的地の建築物の目の前の道路が駐停車可能であれば問題ないが、必ずしも目の前の道路が駐停車可能であるとは限らないので、その場合、ユーザは他の駐停車可能な位置を探さなければならない。この手間は、複数のミッションを処理する必要がある配達員などにとっては大きな時間ロスとなってしまう。そこで、目的地毎に周辺における駐停車可能な位置を駐停車候補位置情報として予め登録可能とする。登録作業は、管理者が登録するものであってもよいし、ユーザが各々で登録作業を行ってこれを共有可能するような登録方法であってもよい。また、駐停車候補位置情報として登録した駐停車候補位置から目的地位置までのユーザの移動経路の軌跡を併せて登録できるようにしてもよい。この駐停車候補位置情報取得部13では、経路情報に含まれる目的地情報に基づいて、予め登録しておいた駐停車候補位置情報を取得する。
【0023】
詳細経路特定部14は、目的地位置情報及び駐停車候補位置情報に基づいて、目的地位置までの経路を、駐停車候補位置情報が示す駐停車候補位置までの車両移動経路と、駐停車候補位置から目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する機能を有する。
【0024】
また、詳細経路特定部14は、駐停車候補位置情報取得部13において駐停車候補位置情報に加えて道路から非道路領域への侵入箇所情報を併せて取得した場合には、目的地までの経路を、非道路領域に侵入する侵入箇所までの道路上の経路である道路移動経路と、侵入箇所から駐停車候補位置までの非道路領域車両移動経路と、駐停車候補位置から目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定するようにしてもよい。すなわち、車両移動経路を道路移動経路と非道路領域車両移動経路とにさらに区分して特定するようにしてもよい。
【0025】
侵入箇所から駐停車候補位置までの非道路領域車両移動経路は、実際の車両の移動軌跡に関わらず2点間を直線や曲線で結んだものであってもよいし、予め登録しておいた車両の移動経路の軌跡を利用して非道路領域車両移動経路を決定してもよい。また、駐停車候補位置から目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路は、実際の徒歩移動の軌跡に関わらず2点間を直線や曲線で結んだものであってもよいし、予め登録しておいたユーザの移動経路の軌跡を利用して徒歩移動経路を決定してもよい。
【0026】
表示部15は、詳細経路特定部14において特定した各経路の表示方法を互いに異ならせて地図情報に重畳表示させる機能を有する。各経路を異なる表示とすることで、ユーザに対して経路が変化することを視認させることが可能となる。なお、サーバ10が地図情報を備えていて、地図情報に経路情報を重畳表示した画像をユーザ端末20に送信する構成であってもよいし、ユーザ端末20が地図情報を備えていて、経路情報をユーザ端末20に送信してユーザ端末20において地図情報に経路情報を重畳表示した画像を生成する構成であってもよい。
【0027】
記憶部16は、サーバ10において行われる様々な処理で必要なデータ及び処理の結果として得られたデータを記憶させる機能を有する。
【0028】
次に、本発明に係る経路案内システム100の経路探索手段における経路情報生成処理の流れについて説明を行う。
図3は、本発明に係る経路案内システム100の経路探索手段における経路情報生成処理の流れを表したフローチャート図である。経路探索手段は経路案内システム100における何れの構成が備えていてもよいが、例えば、サーバ10が備えているものとする。この
図3に示すように、経路探索手段における経路情報生成処理は、出発地の入力を受け付けることで開始される(ステップS101)。次に、経路探索手段は、目的地の入力を受け付ける(ステップS102)。そして、経路探索手段は、出発地から目的地までの経路情報を生成して出力して(ステップS103)、処理を終了する。
【0029】
次に、本発明に係る経路案内システム100のサーバ10における表示処理の流れについて説明を行う。
図4は、本発明に係る経路案内システム100のサーバ10における表示処理の流れを表したフローチャート図である。この
図4に示すように、サーバ10における表示処理は、経路探索手段から経路情報を取得することによって開始される(ステップS201)。取得した経路情報には出発地及び目的地の情報が含まれる。次に、サーバ10は、経路情報に含まれる目的地の情報に基づいて目的地の正確な位置を示す目的地位置情報を取得する(ステップS202)。次に、サーバ10は、目的地周辺の駐停車候補位置を示す駐停車候補位置情報を取得する(ステップS203)。次に、サーバ10は、目的地位置までの経路を車両移動経路と徒歩移動経路とに区分するなどして詳細に特定する(ステップS204)。ここで、駐停車候補位置が非道路領域を示し、かつ駐停車候補位置情報として侵入箇所情報を併せて取得している場合には、さらに、車両移動経路を道路移動経路と非道路領域車両移動経路とに区分して特定する。そして、サーバ10は、特定した種類の異なる各経路の表示方法を互いに異ならせて地図情報に重畳表示させて(ステップS205)、処理を終了する。その後、サーバ10からユーザ端末20に対して、表示方法を異ならせた各経路情報を重畳表示した地図情報が送信される。
【0030】
なお、
図3及び
図4を用いて経路情報生成処理と表示処理とを分けて説明したが、これは、経路探索手段を他のアプリケーションを利用する場合も想定しているために分けているものであり、サーバ10において直接経路探索も実行する構成の場合には、必ずしも
図3及び
図4のステップを順に処理する必要はない。具体的には、
図3のステップS101及びS102において出発地及び目的地の情報を取得した後、
図4のステップS202~S204において目的地位置情報及び駐停車候補位置情報を取得後に車両移動経路と徒歩移動経路に区分して特定し、その後に
図3のステップS103の経路探索を実行して経路情報を取得し、最後にステップS205の重畳表示を行うという処理フローであっても同様の処理結果が得られる。
【0031】
図5は、本発明に基づいて(A)侵入箇所、(B)駐停車候補位置、(C)目的地位置を設定した様子を表した説明図である。この
図5において、目的地のビルの前には道路が接しているが、この道路上は駐停車禁止であるものとする。この場合に、予めこの目的地のビルと関連付けて駐停車候補位置情報として駐車場の位置を示す駐停車候補位置(B)及び駐車場への侵入箇所(A)の情報が登録されていれば、その駐停車候補位置情報を利用する。また、正確な目的地の位置を示す目的地位置情報(C)が予め登録されている場合には、目的地の位置を道路に面した正面入口に設定するのではなく、目的地位置情報(C)が示す位置を経路情報の目的地として表示するようにする。また、目的地のビルの入口が道路に面した正面入口の他に駐車場に面した裏口にも入口が存在するような場合には、目的地位置情報として駐停車位置からの移動軌跡も併せて取得するようにしてもよい。以上のようにして、目的地に関連付けて予め登録されている情報から(A)侵入箇所、(B)駐停車候補位置、(C)目的地位置の情報を取得する。
【0032】
図6は、本発明に基づいて、道路移動経路(道路上-A)と、非道路領域車両移動経路(A-B)と、徒歩移動経路(B-C)とを表示方法を互いに異ならせて地図情報に重畳表示させた様子を表した説明図である。この
図6においては、取得した(A)侵入箇所、(B)駐停車候補位置、(C)目的地位置の情報に基づいて経路情報の目的地周辺の経路を修正して、表示を異ならせる一例として、道路移動経路(道路上-A)は実線で表示するようにし、非道路領域車両移動経路(A-B)はハッチングの掛かった線で表示するようにし、徒歩移動経路(B-C)は破線で表示するようにしている。
図6の例では、非道路領域車両移動経路(A-B)と徒歩移動経路(B-C)はそれぞれ2点間を結んだ直線で表示しているが、必ずしも直線である必要はなく、予め登録したユーザの移動軌跡の情報に基づいて、移動可能な具体的経路を表示するようにしてもよい。この
図6に示すように、表示方法を異ならせた各経路情報を重畳表示した地図情報とすることで、ユーザがどこに車両を駐停車させてからどの程度の距離徒歩で移動すべきかを即座に視認することが可能となる。
【0033】
以上のように、本例による経路案内システムを構成するサーバによれば、出発地及び目的地に関する入力情報を用いて経路探索手段によって経路情報を取得する経路情報取得部と、目的地の正確な位置を示す目的地位置情報を取得する目的地位置情報取得部と、目的地周辺における車両の駐停車候補位置情報を取得する駐停車候補位置情報取得部と、目的地位置情報及び駐停車候補位置情報に基づいて、前記目的地位置までの経路を、前記駐停車候補位置情報が示す前記駐停車候補位置までの車両移動経路と、前記駐停車候補位置から前記目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する詳細経路特定部と、詳細経路特定部において特定した各経路の表示方法を互いに異ならせて地図情報に重畳表示させる表示部とを備えるようにしたので、目的地周辺の駐停車候補位置情報と目的地の正確な位置を示す目的地位置情報とを用いて目的地周辺の経路情報を車両移動経路と徒歩移動経路に区分して特定し、その特定した各経路の表示方法を互いに異ならせて地図情報に重畳表できるため、ユーザが駐停車候補位置を地図情報に重畳表示された経路情報に基づいて把握することができ、また、そこからは徒歩移動となることを一目で把握することが可能となる。
【0034】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態においては、目的地の正確な位置や、目的地までの移動時間をより短縮可能な最適な入口の位置などを目的地位置情報として予め登録するようにし、また、駐停車候補位置と、道路から非道路領域への侵入箇所とを駐停車候補位置情報として予め登録するものとして説明を行った。さらに、道路から非道路領域への侵入箇所から駐停車候補位置までの車両の移動軌跡や、駐停車候補位置から目的地位置までの徒歩による移動軌跡についても予め登録してもよいものとして説明を行った。これらの事前登録する情報の取得方法として、ユーザ端末20が備えるGPS機能に基づいて一定の時間間隔で位置情報を取得することでユーザ端末20の移動履歴を記録するようにし、1以上のユーザ端末20の移動履歴からユーザ端末20の移動軌跡情報を取得して、移動軌跡情報に基づいて侵入箇所情報や駐停車候補位置情報を取得するようにしてもよい。
【0035】
GPS機能に基づく移動履歴を作成してこれを地図上にプロットするとユーザ端末20の移動軌跡が判明する。所定の時間間隔で位置情報を取得する処理を実行すると、車両が移動しているときはプロット点が移動していくことになるが、駐停車中は複数のプロット点が同一地点に重なって発生することになる。よって、移動軌跡のデータから車両が移動中であるか駐停車中であるかを判別することが可能である。また、道路から非道路領域にプロット点が移動した場合、その間に侵入箇所が存在すると推定することができる。よって、非道路領域に駐停車中と判別される個所が見つかった場合には、その駐停車中の位置に移動する過程及び駐停車位置から道路に戻る過程において侵入箇所を通過することは間違いないので、移動軌跡のデータから侵入箇所を特定することが可能となる。これらの特定は、1台の車両の移動軌跡のみで行ってもよいし、複数の車両の移動軌跡を用いて特定するようにしてもよい。
【0036】
また、GPS機能を備えたユーザ端末20がカーナビゲーションシステムなどの車両に固定された端末である場合には、駐停車した位置までの移動軌跡は作成可能であるが、そこから徒歩で移動する場合の移動軌跡は取得できない。他方で、GPS機能を備えたユーザ端末20がスマートフォンなどのようにユーザが保持したまま移動可能な端末である場合、車両から降りて徒歩移動を開始した後も移動軌跡データを取得することが可能となる。これにより、駐停車候補位置から目的地位置までの移動軌跡をユーザ端末20のGPS機能によって取得することが可能となる。なお、車両移動中と徒歩移動中を判別するための手法として移動速度による判別が考えられる。また、ユーザ端末20が備える方位センサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどの各種センサに基づいて、車両に乗って移動している状態か徒歩によって移動している状態かを判別することが考えられる。このようにして、車両移動中と徒歩移動中を判別できれば、車両移動経路の移動軌跡データとして利用する範囲と、徒歩移動の移動軌跡データとして利用する範囲を区別することが可能となる。
【0037】
以上のように、ユーザ端末20が備えるGPS機能に基づいて移動軌跡データを取得して、移動軌跡データに基づいて、目的地の正確な位置、最適な入口の位置、駐停車候補位置、侵入箇所、及び、各地点の間の移動軌跡を抽出して予め目的地に関連付けて登録しておくことで、地図情報に重畳表示する経路情報をより正確なものにすることが可能となる。
【0038】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。
【符号の説明】
【0039】
100 経路案内システム
10 サーバ
11 経路情報取得部
12 目的地位置情報取得部
13 駐停車候補位置情報取得部
14 詳細経路特定部
15 表示部
16 記憶部
20、201~20n ユーザ端末
30 通信ネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索手段によって出発地から目的地までの経路探索を実行することで取得した経路情報を地図情報に重畳表示する処理をサーバに実現させるための経路案内プログラムであって、
前記サーバに、
前記出発地及び前記目的地に関する入力情報を用いて前記経路探索手段によって前記経路情報を取得する経路情報取得機能と、
前記目的地の正確な位置を示す目的地位置情報を取得する目的地位置情報取得機能と、
前記目的地周辺における車両の駐停車候補位置情報を取得する駐停車候補位置情報取得機能と、
前記目的地位置情報及び前記駐停車候補位置情報に基づいて、前記目的地位置までの経路を、前記駐停車候補位置情報が示す前記駐停車候補位置までの車両移動経路と、前記駐停車候補位置から前記目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する詳細経路特定機能と、
前記詳細経路特定機能において特定した各経路の表示方法を互いに異ならせて前記地図情報に重畳表示させる表示機能と
を実現させ、
前記駐停車候補位置情報取得機能は、前記駐停車候補位置情報として取得した前記駐停車候補位置が非道路領域を示すものである場合、前記駐停車候補位置情報に加えて、道路から非道路領域への侵入箇所を示す侵入箇所情報を併せて取得するものとし、
前記詳細経路特定機能は、前記目的地までの経路を、前記非道路領域に侵入する侵入箇所までの道路上の経路である道路移動経路と、前記侵入箇所から前記駐停車候補位置までの非道路領域車両移動経路と、前記駐停車候補位置から前記目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する
経路案内プログラム。
【請求項2】
前記駐停車候補位置情報取得機能において取得する前記駐停車候補位置情報及び前記侵入箇所情報は、過去の利用実績に基づいて予め登録した情報を利用する
請求項1記載の経路案内プログラム。
【請求項3】
前記目的地位置情報は、過去の利用実績に基づいて予め登録した情報を利用する
請求項1又は請求項2に記載の経路案内プログラム。
【請求項4】
経路探索手段によって出発地から目的地までの経路探索を実行することで取得した経路情報を地図情報に重畳表示する処理を行うための経路案内装置であって、
前記出発地及び前記目的地に関する入力情報を用いて前記経路探索手段によって前記経路情報を取得する経路情報取得部と、
前記目的地の正確な位置を示す目的地位置情報を取得する目的地位置情報取得部と、
前記目的地周辺における車両の駐停車候補位置情報を取得する駐停車候補位置情報取得部と、
前記目的地位置情報及び前記駐停車候補位置情報に基づいて、前記目的地位置までの経路を、前記駐停車候補位置情報が示す前記駐停車候補位置までの車両移動経路と、前記駐停車候補位置から前記目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する詳細経路特定部と、
前記詳細経路特定部において特定した各経路の表示方法を互いに異ならせて前記地図情報に重畳表示させる表示部と
を備え、
前記駐停車候補位置情報取得部は、前記駐停車候補位置情報として取得した前記駐停車候補位置が非道路領域を示すものである場合、前記駐停車候補位置情報に加えて、道路から非道路領域への侵入箇所を示す侵入箇所情報を併せて取得するものとし、
前記詳細経路特定部は、前記目的地までの経路を、前記非道路領域に侵入する侵入箇所までの道路上の経路である道路移動経路と、前記侵入箇所から前記駐停車候補位置までの非道路領域車両移動経路と、前記駐停車候補位置から前記目的地位置情報が示す正確な目的地位置までの徒歩移動経路とに区分して特定する
る経路案内装置。