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  • 特開-芳香発生装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121841
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】芳香発生装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 3/00 20060101AFI20220815BHJP
   F24F 3/12 20060101ALI20220815BHJP
   B05B 7/12 20060101ALI20220815BHJP
   B05B 7/30 20060101ALI20220815BHJP
   B05B 12/10 20060101ALI20220815BHJP
   B05B 12/12 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
B60H3/00 J
F24F3/12
B05B7/12
B05B7/30
B05B12/10
B05B12/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018768
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】坂本 秀樹
【テーマコード(参考)】
3L211
4F033
4F035
【Fターム(参考)】
3L211BA11
3L211DA76
3L211EA12
3L211GA76
4F033QA10
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB11X
4F033QB12Y
4F033QD04
4F033QD14
4F033QF01X
4F033QF08Y
4F033QK02Y
4F033QK05X
4F033QK05Y
4F033QK09X
4F033QK09Y
4F033QK12X
4F033QK12Y
4F033QK16Y
4F033QK19X
4F033QK19Y
4F033QK23X
4F033QK23Y
4F033QK27X
4F033QK27Y
4F035AA04
4F035BB16
4F035BB22
(57)【要約】
【課題】温度変化によらずに芳香剤の気化量を所望のレベルに制御する「芳香発生装置」を提供する。
【解決手段】モーダ式ポンプは圧搾空気をベンチュリ2の空気路に送り込む。タンク1に収容されたアロマオイルは、ベンチュリ2内に吸い上げられて液滴となり車室内に噴霧される。温度センサ4は、ベンチュリ2内の温度を測定し、制御装置5は、温度センサ4で測定された温度が低いほど、ベンチュリ2内の流速が大きくなるように、モータ式ポンプ3を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香を発生する芳香発生装置であって、
ベンチュリと、
ベンチュリに空気を送り込むポンプと、
前記ベンチュリを通過する空気によって前記ベンチュリ内に吸入されて液滴化し前記ベンチュリから噴出される芳香液を収容したタンクと、
温度を測定する温度センサと、
制御手段とを有し、
当該制御手段は、前記温度センサで測定された温度に応じて、当該温度が低温であるときに当該温度が高温であるときよりも、前記ベンチュリを通過する空気の流速が大きくなるように前記ポンプの動作を制御することを特徴とする芳香発生装置。
【請求項2】
請求項1記載の芳香発生装置であって、
前記制御手段は、前記ベンチュリから噴出された芳香液が気化する量が一定のレベルとなるように、前記温度センサで測定された温度に応じて前記ベンチュリを通過する空気の流速が変化するよう前記ポンプの動作を制御することを特徴とする芳香発生装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の芳香発生装置であって、
前記温度センサは、前記ベンチュリ内の温度、または、前記タンク内の温度、または、前記タンクに収容された芳香液の温度、または、当該芳香発生装置の周辺の温度、または、前記芳香液が噴出される室内の温度を測定することを特徴とする芳香発生装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の芳香発生装置であって、
前記ポンプはモータ式のポンプであり、前記制御手段は、前記ポンプのモータの回転速度を制御することにより、前記ベンチュリを通過する空気の流速を変化させることを特徴とする芳香発生装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の芳香発生装置であって、
当該芳香発生装置は、自動車に搭載され、当該自動車の車室内に芳香を発生することを特徴とする芳香発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香を発生する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芳香を発生する技術としては、ポンプから空気をベンチュリに送り込むことにより、ベンチュリ内にタンク内の芳香剤を吸い出して、自動車の車室内に噴霧する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-283975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したベンチュリを用いて芳香剤を噴霧する技術によれば、温度変化によって芳香剤が気化する量が変化してしまい、ユーザが感じる芳香の強さを一定に維持できなくなることがある。
【0005】
そこで、本発明は、温度変化によるユーザが感じる芳香の強さの変動を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、芳香を発生する芳香発生装置に、ベンチュリと、ベンチュリに空気を送り込むポンプと、前記ベンチュリを通過する空気によって前記ベンチュリ内に吸入されて液滴化し前記ベンチュリから噴出される芳香液を収容したタンクと、温度を測定する温度センサと、制御手段とを備えたものである。ここで、当該制御手段は、前記温度センサで測定された温度に応じて、当該温度が低温であるときに当該温度が高温であるときよりも、前記ベンチュリを通過する空気の流速が大きくなるように前記ポンプの動作を制御する。
【0007】
ここで、このような芳香発生装置は、前記制御手段において、前記ベンチュリから噴出された芳香液が気化する量が一定のレベルとなるように、前記温度センサで測定された温度に応じて前記ベンチュリを通過する空気の流速が変化するよう前記ポンプの動作を制御するように構成することが好ましい。
【0008】
また、以上のような芳香発生装置は、前記温度センサを、前記ベンチュリ内の温度、または、前記タンク内の温度、または、前記タンクに収容された芳香液の温度、または、当該芳香発生装置の周辺の温度、または、前記芳香液が噴出される室内の温度を測定するものしてよい。
【0009】
また、以上のような芳香発生装置は、前記ポンプをモータ式のポンプとし、前記制御手段において、前記ポンプのモータの回転速度を制御することにより、前記ベンチュリを通過する空気の流速を変化させるように構成してもよい。
【0010】
また、以上のような芳香発生装置は、自動車に搭載され、当該自動車の車室内に芳香を発生するものであってよい。
これらの芳香発生装置によれば温度が低温となって温度が高温であるときに比べ芳香液の液滴が気化し難くなると、ベンチュリ内の流速を大きくして、ベンチュリ内で発生する液滴の粒径小さくし気化しやすくするので、温度変化によるユーザが感じる芳香の強さの変動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、温度変化によるユーザが感じる芳香の強さの変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る芳香発生装置の構成を示す図である。
図2】粒径と流速の関係と温度と蒸気圧の関係を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る制御装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1aに本実施形態に係る芳香発生装置の構成を示す。
本実施形態に係る芳香発生装置は、自動車の車室内に芳香を発生する装置であり、芳香液としてアロマオイルを収容したタンク1、ベンチュリ2、モータ式ポンプ3、温度センサ4、制御装置5を備えている。
【0014】
図1bに模式的に示すように、モーダ式ポンプは圧搾空気をベンチュリ2の空気路に送り込む。ベンチュリ2の空気路は、途中に径が小さくなるように絞られた部位を有し、この部位を通った空気の流速が大きくなって負圧が生じる。そして、この負圧によって、タンク1からアロマオイルがベンチュリ2内に吸い上げられて液滴となり先端から車室内に噴霧される。
【0015】
温度センサ4は、ベンチュリ2内の温度を測定するように設けられている。ただし、温度センサ4は、タンク1内の温度や、タンク1内のアロマオイルの温度や、芳香発生装置の周辺の温度や、車室の室温を測定するように設けてもよい。
【0016】
ここで、図2aに、ベンチュリ2内で発生する液滴の粒径とベンチュリ2内の流速の関係を示す。
図示するように、ベンチュリ2内の流速が大きくなるほど、ベンチュリ2内で発生する液滴の粒径は小さくなり、粒径の分散も小さくなる。
次に、液滴の粒径と蒸気圧の関係は、ケルビン方程式(Kelvin equation)で示される。
すなわち、液滴の半径をr、液滴の蒸気圧をP、P0を平坦な表面での飽和蒸気圧、γを表面張力、Vmをモル体積、Rを気体定数、Tを温度として、
ln(P/P0) = 2γVm/rRT
が成立し、液滴の粒径が小さいほど蒸気圧は大きくなり気化しやすくなる。
【0017】
一方、図2bに示すように、温度が低いほど蒸気圧は低くなり液滴は気化し難くなる。
したがって、温度が低いほど、ベンチュリ2内の流速を大きくして、液滴の粒径を小さくして気化し易くすれば、温度変化による、アロマオイルが気化する量の変動を抑制し、ユーザが感じる芳香の強さの変動を抑制することができる。
【0018】
そこで、制御装置5は、温度センサ4で測定した温度に応じて、温度が低いほどベンチュリ2内の流速が大きくなるようにモータ式ポンプ3を制御する。
図3に、制御装置5の内部構成を示す。
図示するように、制御装置5は、回転速度算出部51、制御テーブル52、モータ駆動部53を備えている。
ここで、モータ式ポンプ3の回転速度が大きくなるほど、ベンチュリ2に送り込まれる空気の空気圧/流量が大きくなり、ベンチュリ2内の流速が大きくなる。
そして、制御テーブル52には、温度の範囲である温度範囲毎に、実験等により予め求めた、温度センサ4で計測された温度が、その温度範囲内の温度であるときに、アロマオイルが気化する量が所望のレベルとなるモータ式ポンプ3の回転速度が登録されている。ここで、制御テーブル52には、温度範囲が低温となるほど大きくなる回転速度が登録される。
【0019】
回転速度算出部51は、温度センサ4で測定される温度を監視し、温度センサ4で測定された温度が属する温度範囲が変化したならば、温度センサ4で測定された温度が属する温度範囲に対して登録されている回転速度をモータ駆動部53に設定する。
【0020】
そして、モータ駆動部53は、モータ式ポンプ3の回転速度が、回転速度算出部51から設定された回転速度となるように、モータ式ポンプ3のモータを駆動する。
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで以上の実施形態は、ユーザが芳香発生装置で発生する芳香のレベルを変更可能に構成してもよい。ただし、この場合には、制御テーブル52を芳香のレベル毎に設け、設定されたレベルに応じて用いる制御テーブル52を切り替えるようにしてもよい。
【0021】
また、以上の実施形態は、制御テーブル52に代えて、温度センサ4で測定される温度と回転速度の関係式を用いてモータ式ポンプ3の回転速度の制御を行うようにしてもよい。
【0022】
また、以上の実施形態では、ベンチュリ2への空気の送り込みにモータ式ポンプ3を用いたが、これはベンチュリ2内の流速が変化するように制御できるポンプであれば、モータ式ポンプ3以外の任意のポンプを用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0023】
1…タンク、2…ベンチュリ、3…モータ式ポンプ、4…温度センサ、5…制御装置、51…回転速度算出部、52…制御テーブル、53…モータ駆動部。
図1
図2
図3