(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121872
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 17/02 20060101AFI20220815BHJP
【FI】
A47C17/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018834
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】関川 秀峰
(57)【要約】
【課題】本発明は、本発明は、パネル部材の連結に伴う椅子本体への負荷を軽減したうえで意匠性を確保する椅子を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る椅子は、着座者の背を支持する背支持面および下方を向く下面を有する背凭れ部6、並びに、着座者が着座する着座面および背凭れ部6の前記下面と対向する上面を有する着座部5を備える椅子本体3と、前記背凭れ部6の背面側に配置されるパネルユニット4と、前記パネルユニット4のパネル部材8に固定されるとともに、前記背凭れ部6の前記下面および前記着座部5の前記上面の間に配置され、パネル部材8を椅子本体3に固定する第1係合部71と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の背を支持する背支持面および下方を向く下面を有する背凭れ部、並びに、着座者が着座する着座面および前記背凭れ部の前記下面と対向する上面を有する着座部を備える椅子本体と、
前記背凭れ部の背面側に配置されるパネル部材と、
前記パネル部材に固定されるとともに、前記背凭れ部の前記下面と、前記着座部の前記上面との間に配置され、前記パネル部材を前記椅子本体に固定する第1係合部と、
を備える椅子。
【請求項2】
請求項1に記載の椅子において、
前記第1係合部は、前記背凭れ部の前記下面と、前記着座部の前記上面との間で挟持されている椅子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の椅子は、
前記第1係合部の下方に配され、前記パネル部材に固定された第2係合部を備え、
前記着座部は、前記第2係合部が係合される座側被係合部を有している椅子。
【請求項4】
請求項3に記載の椅子において、
前記座側被係合部は、下方に開口する凹部を備え、
前記第2係合部は、前記凹部に係合されている椅子。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の椅子は、
前記第1係合部及び前記第2係合部が連結基部によって一体に連結されたブラケットを構成し、
前記ブラケットは、前記連結基部を介して前記パネル部材に固定されている椅子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の椅子において、
前記パネル部材は、
前記第1係合部に対して上方に位置して前記背凭れ部と前後方向で向かい合う上方突出部と、
前記第1係合部に対して下方に位置して前記着座部と前後方向で向かい合う下方突出部と、を備えている椅子。
【請求項7】
請求項6に記載の椅子において、
前記第1係合部の下方に設けられ、前記着座部と前記下方突出部との間に前後方向に挟み込まれた弾性部材を備える椅子。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の椅子において、
前記第1係合部は、前記着座部および前記背凭れ部の少なくとも一方に向けて開口する係合凹部を有し、
前記着座部および前記背凭れ部の少なくとも一方は、前記着座部および前記背凭れ部の他方に向けて突出し、前記第1係合部の前記係合凹部に係合する突出部を備える椅子。
【請求項9】
請求項8に記載の椅子において、
前記突出部は、前記係合凹部を介して前記着座部と前記背凭れ部とを連結している椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、背凭れ部の後背面にパネル部材を設けた椅子が知られている。
特許文献1に開示されている椅子は、背当クッションの後方に設けられた背凭れ部やパネル部材が、着座部の下面に設けられた支持プレートにより、着座部の下面に連結された構成である。
特許文献2に開示されている椅子は、パネル部材が、ブラケットを介して脚部、および背凭れの双方に固定された構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6381105号公報
【特許文献2】特許第5939763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の椅子は、パネル部材や背凭れ部が、着座部の下面のみで支持されている。そのため、パネル部材および背凭れ部の自重や外力(例えば、背凭れ部に作用する着座荷重等)に起因して、前後方向へのモーメントが作用した場合には、着座部と支持プレートとの連結部分に大きな負荷がかかるという課題があった。また、特許文献1に記載の椅子は、着座部と支持プレートとの連結部分を起点にした後方へのモーメントが背凭れ部やパネル部材に作用した場合には、背凭れ部と着座部との間に空間が生じる可能性がある。この場合には、椅子の意匠性を損なう要因ともなる。
【0005】
特許文献2に記載の椅子は、ブラケットが係合する被係合部を背凭れ部に形成する必要が生じる。そのため、背凭れ部について、パネル部材が取り付けられる仕様と、パネル部材が取り付けられない仕様と、の共通化がしにくい。仮にパネル部材が取り付けられない仕様として、特許文献2に記載の背凭れ部をそのまま採用した場合には、被係合部が視認できる状態になるため、意匠性を損なう要因となる。
【0006】
そこで、本発明は、パネル部材の連結に伴う椅子本体への負荷を軽減したうえで意匠性を確保する椅子の提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る椅子は、着座者の背を支持する背支持面および下方を向く下面を有する背凭れ部、並びに、着座者が着座する着座面および前記背凭れ部の前記下面と対向する上面を有する着座部を備える椅子本体と、前記背凭れ部の背面側に配置されるパネル部材と、前記パネル部材に固定されるとともに、前記背凭れ部の前記下面と、前記着座部の前記上面との間に配置され、前記パネル部材を前記椅子本体に固定する第1係合部と、を備える。
【0008】
上記態様によれば、パネル部材が、背凭れ部の下面と着座部の上面との間に配置された第1係合部を介して着座部に固定されている。そのため、従来のように、パネル部材が、着座部の下方において着座部に固定されている場合に比べ、第1係合部の後端からパネル部材の上端までの距離を短くできる。したがって、従来のようにパネル部材が着座部の下方において着座部に固定されている椅子と、本態様の椅子とでパネル部材の上端の高さを同一とした場合において、パネル部材に対して第1係合部を支点にした前後方向へのモーメントを小さくできる。そのため、第1係合部を介して背凭れ部や着座部にかかる負荷を軽減できる。
しかも、パネル部材に対して第1係合部を支点にした後方へのモーメントが作用した場合であっても、着座部とパネル部材との間に隙間が生じるのを抑制できる。そのため、椅子の意匠性を確保できる。
また、上記態様によれば、背凭れ部の下面と着座部の上面との間に配置された第1係合部により、パネル部材と着座部とが固定されているため、例えば、着座部や背凭れ部の後面に対して、パネル部材と連結するための連結部分を設けなくてもよい。そのため、仮に本態様に係る着座部および背凭れ部(以下、椅子本体という。)を、パネル部材が取り付けられない仕様に採用した場合であっても連結部分が視認され難い。よって、椅子の意匠性を確保することができる。
【0009】
上記態様の椅子において、前記第1係合部は、前記背凭れ部の前記下面と、前記着座部の前記上面との間で挟持されていてもよい。
上記態様によれば、第1係合部が、背凭れ部と着座部とに強く挟まれることにより、第1係合部が上下方向に変位しにくくなる。そのため、椅子に対するパネル部材の支持強度が増強される。
【0010】
上記態様の椅子は、前記第1係合部の下方に配され、前記パネル部材に固定された第2係合部を備え、前記着座部は、前記第2係合部が係合される座側被係合部を有してもよい。
上記態様によれば、第2係合部は、第1係合部とともに着座部に係合されるため、着座部と、パネル部材との連結強度をより向上することができる。しかも、パネル部材が第1係合部および第2係合部の複数箇所で椅子本体に係合するため、椅子本体の一部に負荷が集中するのを抑制できる。
【0011】
上記態様の椅子において、前記座側被係合部は、下方に開口する凹部を備え、前記第2係合部は、前記凹部に係合されてもよい。
上記態様によれば、椅子に対して、パネル部材を取り付ける際に、椅子に着座可能な状態(椅子を起こした状態)のままで、第2係合部を着座部に対して係合させることができるため、作業効率を向上することができる。
【0012】
上記態様の椅子は、前記第1係合部及び前記第2係合部が連結基部によって一体に連結されたブラケットを構成し、前記ブラケットは、前記連結基部を介して前記パネル部材に固定されてもよい。
上記態様によれば、第1係合部および第2係合部をパネル部材と別体に形成できる。そのため、パネル部材の設計要件に制約されず、着座部の座側被係合部に対する第2係合部の係合強度と、着座部の上面および背凭れ部の下面に対する第1係合部の係合強度と、を勘案して、第1係合部および第2係合部を設計することができる。そのため、パネル部材を椅子本体により強固に固定できる。
【0013】
上記態様の椅子において、前記パネル部材は、前記第1係合部に対して上方に位置して前記背凭れ部と前後方向で向かい合う上方突出部と、前記第1係合部に対して下方に位置して前記着座部と前後方向で向かい合う下方突出部と、を備えてもよい。
上記態様によれば、第1係合部よりも上方に位置する上方突出部に対して、自重や外力等により、後方に倒れる第1モーメント(背凭れ部から離間する方向に回動するモーメント)が働いた場合、第1係合部よりも下方に延びる下方突出部が前方に回転しようとする。すると、下方突出部と、着座部との当接部分には、第1モーメントとは反対方向に働く第2モーメントが作用する。すなわち、第1モーメントを第2モーメントによって相殺できるので、パネル部材と、椅子本体との連結を安定させることができる。
【0014】
上記態様の椅子において、前記第1係合部の下方に設けられ、前記下方突出部と前記パネル部材との間に前後方向に挟み込まれた弾性部材を備えてもよい。
上記態様によれば、弾性部材が弾性変形した状態で下方突出部が接触することで、下方突出部と着座部との接触面積を増加させることができる。その結果、下方突出部と着座部との間に作用する圧力を軽減でき、椅子本体に作用する負荷を軽減できる。
また、弾性部材が弾性変形した状態で下方突出部が接触することで、着座部とパネル部材との間に隙間が生じにくくなる。その結果、椅子の意匠性を向上させることができる。
【0015】
上記態様の椅子において、前記第1係合部は、前記着座部および前記背凭れ部の少なくとも一方に向けて開口する係合凹部を有し、前記着座部および前記背凭れ部の少なくとも一方は、前記着座部および前記背凭れ部の他方に向けて突出し、前記第1係合部の前記係合凹部に係合する突出部を備えてもよい。
上記態様によれば、第1係合部の係合凹部に係合する突出部を有するため、椅子本体に対するパネル部材の左右方向や前後方向の移動を抑制することができる。
【0016】
上記態様の椅子において、前記突出部は、前記係合凹部を介して前記着座部と前記背凭れ部とを連結してもよい。
上記態様によれば、椅子本体とパネル部材との連結、および着座部と背凭れ部との連結を同一の突出部を用いて行うことで、第1係合部を、着座部および背凭れ部に固定することができる。
【発明の効果】
【0017】
上述した本発明の態様によれば、パネル部材の連結に伴う椅子本体への負荷を軽減したうえで意匠性を確保する椅子の提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る椅子の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る椅子を一部拡大した分解斜視図である。
【
図4】本発明の他の実施形態の椅子を示す断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態の椅子を示す断面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態の椅子を示す断面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態の椅子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0020】
以下の説明において、前後上下左右等の向きは、特に記載がなければ、水平な床面F上に設置した状態の椅子に、正規姿勢で着座した着座者の正面側を「前」、その逆側を「後」とし、上下左右も着座した着座者から見た向きと同一とする。図中において、矢印UPは上方を示し、矢印FRは前方を示し、矢印LHは左方を示す。
【0021】
[椅子]
図1は、椅子1の斜視図である。
図1に示すように、椅子1は、支持構造体2と、椅子本体3と、パネルユニット4とを有する。
【0022】
<支持構造体>
支持構造体2は、床面F上に設置される。支持構造体2は、4本の脚部20で構成されている。脚部20は、椅子1の前後方向および左右方向に一対ずつ設けられている。脚部20は、床接地部21と、杆状部22と、支持部23とを備える。
床接地部21は、床面Fに接地している。杆状部22は、床接地部21から上方に延びている。支持部23は、杆状部22の上端に設けられた板状部材である。支持部23は、杆状部22に対して溶接やボルト等により連結している。支持部23は、椅子本体3の下面四隅に連結されている。なお、支持構造体2は、杆状に限らず、板状や箱状等であってもよい。前後方向または左右方向に隣り合う複数の脚部20は、杆状部22同士、若しくは、支持部23同士、または、杆状部22同士および支持部23同士が、隣り合う複数の脚部20の隣り合う方向に長手をなす連結部材で連結されていてもよい。
【0023】
<椅子本体>
椅子本体3は、着座部(第1椅子構成部)5と、着座部5の後端部から上方に延びる背凭れ部(第2椅子構成部)6と、を備える。
図2は、
図1におけるII-II断面図である。
図3は、椅子1を一部拡大した分解斜視図である。
図2に示すように、着座部5は、上下方向を厚さ方向とする矩形板状に形成されている。着座部5の上面(第1荷重支持面)は、着座者の臀部を支持する着座面として機能する。着座部5は、座枠31と、座クッション部32と、弾性部材33と、座表皮40とを備える。
【0024】
座枠31は、木材、金属材、樹脂材等の硬質な材料から形成され、着座者の体重を支持する強度部材である。座枠31は、ベースフレーム34と、前部フレーム35と、後部フレーム36と、側部フレーム37と、を備える。各フレーム34~37同士は、ボルトやステー等を介して適宜組み付けられている。
ベースフレーム34は、座枠31の下壁を構成する。ベースフレーム34は、上下方向を厚さ方向として左右方向に延びている。ベースフレーム34の上面視形状は、着座部5よりも一回り小さい矩形状に形成されている。ベースフレーム34には、支持構造体2の支持部23が溶接やボルト(不図示)等により固定されている。
【0025】
前部フレーム35は、着座部5の前部に位置するフレームである。前部フレーム35は、前側部35bと、座面基部35cと、を備える。
前側部35bは、ベースフレーム34の前端から上方に延びている。座面基部35cは、前側部35bの上端から後方に延びている。
【0026】
後部フレーム36は、着座部5の後部(背凭れ部6の下方)に位置するフレームである。後部フレーム36は、座後側部36bと、上面基部36cと、仕切り部36dとを備える。
【0027】
座後側部36bは、ベースフレーム34の後端から上方に延びている。
上面基部36cは、座後側部36bの上端から前方に延びている。上面基部36cには、上下方向に開口する座部孔36eが設けられている。仕切り部36dは、上面基部36cの前端から下方に延びている。仕切り部36dには、座面基部35cの後端が固定されている。仕切り部36dの下端は、ベースフレーム34に固定されている。上面基部36cの上面は、着座面を構成する着座部5の上面における他の領域に対して、面一でもよく、面一でなくとも構わない。たとえば、着座面を構成する着座部5の上面よりも上方に突出していてもよい。
【0028】
側部フレーム37は、ベースフレーム34における左右方向の両端から上方に延びている。前部フレーム35および後部フレーム36は、左右の側部フレーム37間に架け渡されている。
【0029】
座枠31には、下方に開口する凹部(請求項の座側被係合部に相当)39が形成されている。凹部39は、ベースフレーム34に形成された開放孔38を通じて開放された座枠31の内側空間である。凹部39は、左右方向に間隔をあけて複数設けられている。上面視において、開放孔38は、仕切り部36dを挟んで前後方向に延びている。凹部39は、仕切り部36dに対して前方の前方凹部39aと、仕切り部36dに対して後方の後方凹部39bに区画されている。本実施形態において、後方凹部39bの後端縁(開放孔38の後端縁)は、上面基部36cの座部孔36eに対して後方に位置している。但し、開放孔38を通じて座部孔36eにアクセス可能であれば、後方凹部39bの後端縁は座部孔36eよりも前方に位置していてもよい。また、凹部39は、少なくとも後方凹部39bのみを有していればよい。
【0030】
座クッション部32は、少なくとも座面基部35cの上面に設けられている。本実施形態において、座クッション部32は、前側部35bの前面下端から、座面基部35cの上面後端までを覆っている。座クッション部32は、座枠31を形成する材料よりも軟質で、弾性を有する材料で形成されている。このような座クッション部32を形成する材料としては、ウレタンフォーム材等が好適である。
【0031】
弾性部材33は、座後側部36bの後面に設けられている。弾性部材33は、座枠31を形成する材料よりも軟質で、弾性を有する材料で形成されている。このような弾性部材33を形成する材料としては、ウレタンフォーム材やゴム材等が好適である。なお、座クッション部32と弾性部材33とを一体で形成してもよい。また、座クッション部32と弾性部材33とで弾性率の異なる材料を用いてもよい。
【0032】
座表皮40は、着座部5の外表面を形成するもので、少なくとも座クッション部32の外表面を覆っている。本実施形態において、座表皮40は、座枠31、座クッション部32、および弾性部材33の全体をまとめて覆っている。座表皮40は、その外周端部が、タッカー等によって座枠31(ベースフレーム34)の下面等に固定されている。座表皮40は、布材、ビニールレザー材、天然レザー材等から形成されている。
【0033】
図1に示すように、背凭れ部6は、前後方向から見て矩形板状に形成されている。
図2に示すように、背凭れ部6は、着座部5の後部から上方に立ち上がるように設けられている。
背凭れ部6は、着座者が着座部5に着座した際に、着座者の背後に設けられる。背凭れ部6の前面(第2荷重支持面)は、着座者の背を支持する背支持面として機能する。背凭れ6の下面は、着座部5の上面(着座面)と上下方向で対向している。背凭れ部6は、背凭れ部フレーム41と、背凭れクッション部42と、背凭れ表皮43と、を備える。
【0034】
背凭れ部フレーム41は、木材、金属材、樹脂材等の硬質な材料から形成されている。背凭れ部フレーム41は、下面基部41aと、背凭れ後側壁部41bと、背上部ビーム41cと、側部フレーム41dと、を備える。
下面基部41aの下面は、上下方向において、着座部5の後部フレーム36の上面基部36cに対向している。下面基部41aの下面および上面基部36cの上面は、上下方向に直交する平坦面であって、尚且つ、左右方向の断面視において平行であることが好ましい。
【0035】
下面基部41aには、上面視で、着座部5に設けられた座部孔36eと重さなり合う位置に、上下方向に開口する背部孔44が設けられている。下面基部41aと、上面基部36cとは、ねじ(突出部)45で連結されている。ねじ45は、座部孔36eと、背部孔44とを下方から貫通している。ねじ45は、例えば下面基部41aに埋め込まれた鬼目ナットに締結されている。これにより、着座部5と背凭れ部6とが組み付けられている。ねじ45は、下面基部41aに設けられた固定ナット(不図示)に締結されてもよい。
【0036】
背凭れ後側壁部41bは、下面基部41aの後端に固定され、下面基部41aの後端から上方に立ち上がっている。
背上部ビーム41cは、背凭れ後側壁部41bの上端から前方に延びている。
側部フレーム41dは、背凭れフレーム41の左右両側壁を構成する。側部フレーム41dの間に、下面基部41a、背凭れ後側壁部41bおよび背上部ビーム41cが架け渡されている。
【0037】
背凭れクッション部42は、背凭れ部フレーム41の少なくとも、前方、および上方を覆っている。本実施形態において、背凭れクッション部42は、背凭れ部フレーム41の下面基部41aの前端(背凭れ部フレーム41前方下端)から、背上部ビーム41cの上面を介して、背凭れ後側壁部41bの下端までを覆っている。背凭れクッション部42は、背凭れ部フレーム41を形成する材料よりも軟質で、弾性を有する材料で形成されている。このような背凭れクッション部42を形成する材料としては、ウレタンフォーム材等が好適である。
【0038】
背凭れ表皮43は、背凭れ部6の外表面を形成する。背凭れ表皮43は、背凭れクッション部42の外表面を覆っている。背凭れ表皮43は、その外周端部が、タッカー等によって背凭れ部フレーム41(下面基部41a)の下面等に固定されている。背凭れ表皮43は、布材、ビニールレザー材、天然レザー材等から形成されている。
【0039】
<パネルユニット>
図1~
図3に示すように、パネルユニット4は、椅子本体3の後方に設けられている。パネルユニット4は、ブラケット7と、パネル部材8とを備える。
図3に示すように、ブラケット7は、側面視において、前方に開口するC字状に一体に形成されている板状部材である。ブラケット7は、椅子本体3とパネル部材8とを連結する。ブラケット7は、例えば開放孔38毎に左右方向に間隔をあけて複数設けられている。以下では、一のブラケット7を例にして説明する。
【0040】
ブラケット7は、第1係合部71と、連結基部72と、第2係合部73とを備える。
第1係合部71は、上下方向を厚さ方向として前後方向に延びている。第1係合部71は、着座部5の上面と、背凭れ部6の下面との間に配置されている。本実施形態において、第1係合部71は、着座部5の上面と、背凭れ部6の下面との間で挟持されている。本実施形態において、第1係合部71は、座表皮40や背凭れ表皮43等を介して上面基部36cの上面と下面基部41aの下面との間に挟持されている。但し、第1係合部71は、上面基部36cの上面と下面基部41aの下面との間に直接挟持されていてもよい。第1係合部71は、上下方向に貫通する係合凹部74を有している。上面基部36cと下面基部41aとを連結するねじ45は、係合凹部74を貫通している。
【0041】
連結基部72は、第1係合部71と第2係合部73との間を接続している。本実施形態において、連結基部72は、第1係合部71の後端から下方に延びている。連結基部72は、着座部5の後方において、着座部5の上端から下端までを覆う長さで設けられている。連結基部72は、座表皮40を間に挟んで着座部5の弾性部材33に後方から当接している。連結基部72には、複数の第1孔75が設けられている。本実施形態において、第1孔75は、例えば4つ設けられている(上下方向×左右方向:2列×2行)。なお、連結基部72は、弾性部材33を前後方向に弾性変形させた状態で当接していることが好ましい。
【0042】
第2係合部73は、連結基部72の下端から前方に延びている。第2係合部73は、前方延在部73aと、鉤部73bと、を備えている。
前方延在部73aは、着座部5の下面に沿って配置されている。前方延在部73aの前端縁は、開放孔38の後端縁よりも前方に位置している。前方延在部73aの前後方向の中央部分には、第2孔76が設けられている。第2孔76には、下方からねじ等の連結部材85が挿入されている。連結部材85は、ベースフレーム34の後端部に締結されている。
【0043】
鉤部73bは、前方延在部73aから前方に連なっている。鉤部73bは、開放孔38の後端縁に係合されている。鉤部73bは、側面視でL字状に屈曲された構成である。鉤部73bは、前方延在部73aの前端縁から上方に延びる引掛け部77aと、引掛け部77aの上端から前方に延びる張出部77bとを有している。鉤部73bは、引掛け部77aが着座部5の後部フレーム36の凹部39(後方凹部39b)後端縁に前方から引っ掛けられることで、着座部5に係合されている。
【0044】
第2係合部73の前後方向の長さは、第1係合部71の前後方向の長さよりも短い。具体的に、第2係合部73の張出部77bの前端は、上面視で、第1係合部71の係合凹部74よりも後方で終端している。但し、開放孔38を通じて係合凹部74にアクセス可能な構成であれば、第2係合部73(張出部77b)の前端は、係合凹部74と上面視で重なり合っていてもよい。なお、ブラケット7は、第1係合部71および第2係合部73が上下方向に弾性変形可能に構成されていてもよい。
第2係合部73は、支持構造体2に係合している構成でもよい。
【0045】
パネル部材8は、平面を有する板状部材で形成され、背凭れ部6の背面側(後面側)に位置している。パネル部材8は、正面視で背凭れ部6の上端よりも上方に延び、着座部5の下端よりも下方に延びている。パネル部材8の下端は、床面Fから離間している。パネル部材8は、第1係合部71に対して上方に位置して背凭れ部6と向かい合う上方突出部81と、第1係合部71に対して下方に位置して着座部5と向かい合う下方突出部82とを備える。
上方突出部81の下部は、背凭れ部の後面に近接又は当接している。
下方突出部82のうち、ブラケット7(連結基部72)を間に挟んで着座部5の後面に対向する部分は、ブラケット7を介して弾性部材33に当接している。一方、下方突出部82のうち着座部5の後面と直接対向する部分は、弾性部材33を弾性変形させた状態で当接している。
【0046】
パネル部材8は、ブラケット7を介して椅子本体3に固定されている。具体的に、パネル部材8の下方突出部82は、ブラケット7の連結基部72を介して着座部5に固定されている。パネル部材8には、第1孔75を通じてねじ等の連結部材84が締結されている。
【0047】
<<椅子の組み立て方法>>
以下、椅子1の組み立て方法について説明する。
まず、着座部5に対して支持構造体2を固定する。支持構造体2の支持部23の上面を、椅子本体3のベースフレーム34の下面に当接させた状態で、支持部23を椅子本体3の下面四隅に固定する。
続いて、パネルユニット4を組み立てる。まず、パネル部材8の前面を上方に向けて、床面Fにパネル部材8を配置する。そして、ブラケット7の連結基部72とパネル部材8とを連結部材84を用いて固定する。
これにより、パネルユニット4を組み立てることができる。
【0048】
次に、着座部5に対してパネルユニット4を組み付ける。着座部5に設けられた弾性部材33の後面に対して、パネルユニット4(パネル部材8)の前面を対向させる。
パネル部材8の上端をパネル部材8の下端よりも後方に倒し、パネルユニット4を傾ける。
【0049】
パネルユニット4を傾けたまま、第2係合部73の鉤部73bを後部フレーム36の開放孔38に進入させて、引掛け部77aの後面を後方凹部39bの後端縁に接触させる。引掛け部77aと、後方凹部39bの後端縁との接触部分を起点にして、パネルユニット4を前方に起き上がらせる。そして、連結基部72が弾性部材33に当接するまで、パネルユニット4の上方突出部81を前方に押し込む。パネルユニット4を前方に押し込み、パネルユニット4が床面Fに対して起立すると、第2係合部73の鉤部73bを着座部5の後部フレーム36に設けられた開放孔38に係合させることができる。また、パネルユニット4を前方に押し込むと、座表皮40を介して、第1係合部71が上面基部36cの上面上に配置される。
そして、第1係合部71の係合凹部74と、着座部5の座部孔36eとが上下方向で重なり合うように、パネルユニット4の左右方向の位置を調節する。
【0050】
第1係合部71の係合凹部74と、着座部5の座部孔36eとが上下方向で重なり合っている状態で、さらに、背凭れ部6の背部孔44が、上下方向で係合凹部74および座部孔36eに重なり合うように、着座部5に対して背凭れ部6を設置する。このとき、第1係合部71は、着座部5の上面と、背凭れ部6の下面との間で挟持される。
着座部5の後部フレーム36が備える開放孔38から、後方凹部39bに対してねじ45を進入させる。係合凹部74、座部孔36eおよび背部孔44に対してねじ45を貫通させ、着座部5と、背凭れ部6とをブラケット7の第1係合部71を介して固定する。最後に、ベースフレーム34の下面に対して、ブラケット7の第2孔76を貫通させながら、連結部材85を打ち込む。
これにより、椅子本体3に対して、パネルユニット4を取り付けることができる。
【0051】
[効果]
上記構成によれば、パネル部材8が、背凭れ部6の下面と着座部5の上面との間に配置された第1係合部71を介して着座部5に固定されている。そのため、従来のように、パネル部材8が、着座部5の下方において着座部5に固定されている場合に比べ、第1係合部71の後端からパネル部材8の上端までの距離を短くできる。したがって、従来のようにパネル部材8が着座部5の下方において着座部5に固定されている椅子と、上記構成の椅子1とでパネル部材8の上端の高さを同一とした場合において、パネル部材8に対して第1係合部71を支点にした前後方向へのモーメントを小さくできる。そのため、第1係合部71を介して背凭れ部6や着座部5にかかる負荷を軽減できる。
しかも、パネル部材8(パネルユニット4)に対して第1係合部71を支点にした後方へのモーメントが作用した場合であっても、着座部5とパネル部材8との間に隙間が生じるのを抑制できる。そのため、椅子1の意匠性を確保できる。
また、上記構成によれば、背凭れ部6の下面と着座部5の上面との間に配置された第1係合部71により、パネル部材8と着座部5とが固定されているため、例えば、着座部5や背凭れ部6の後面に対して、パネル部材8と連結するための連結部分を設けなくてもよい。そのため、仮に本構成に係る椅子本体3を、パネル部材8が取り付けられない仕様に採用した場合であっても連結部分が視認され難い。よって、椅子1の意匠性を確保することができる。
【0052】
本実施形態の椅子1において、第1係合部71は、背凭れ部6の下面と、着座部5の上面との間で挟持されている。
上記構成によれば、第1係合部71が、背凭れ部6と着座部5とに強く挟まれることにより、第1係合部71が上下方向に変位しにくくなる。そのため、椅子1に対するパネル部材8の支持強度が増強される。
【0053】
本実施形態の椅子1は、第1係合部71の下方に配され、パネル部材8に固定された第2係合部73を備え、着座部5は、第2係合部73が係合される座側被係合部を有している構成とした。
上記構成によれば、第2係合部73は、第1係合部71とともに着座部5に係合されるため、着座部5と、パネル部材8との連結強度をより向上することができる。しかも、パネル部材8が第1係合部71および第2係合部73の複数箇所で椅子本体3に係合するため、椅子本体3の一部に負荷が集中するのを抑制できる。
【0054】
本実施形態の椅子1において、座側被係合部は、下方に開口する凹部39を備え、第2係合部73は、凹部39に係合さている構成とした。凹部39に対して第2係合部73を係合させることで、着座部5と、パネル部材8とを連結している。
上記構成によれば、椅子1に対して、パネル部材8を取り付ける際に、椅子1に着座可能な状態(椅子1を起こした状態)のままで、第2係合部73を着座部5に対して係合させることができるため、作業効率を向上することができる。
【0055】
本実施形態の椅子1は、パネル部材8は、第1係合部71に対して上方に位置する上方突出部81と、第1係合部71に対して下方に位置する下方突出部82と、を備えている構成とした。
上記構成によれば、第1係合部71よりも上方に位置する上方突出部81に対して、自重や外力等により、後方に倒れる第1モーメント(背凭れ部6から離間する方向に回動するモーメント)が働いた場合、第1係合部71よりも下方に延びる下方突出部82が前方に回転しようとする。すると、下方突出部82と、着座部5との当接部分には、第1モーメントとは反対方向に働く第2モーメントが作用する。すなわち、第1モーメントを第2モーメントによって相殺できるので、パネル部材8と、椅子本体3との連結を安定させることができる。
【0056】
本実施形態の椅子1は、第1係合部71の下方に設けられ、着座部5と下方突出部82との間に前後方向に挟み込まれた弾性部材33を備える構成とした。
上記構成によれば、弾性部材33が弾性変形した状態で下方突出部82が接触することで、下方突出部82と着座部5との接触面積を増加させることができる。その結果、下方突出部82と着座部5との間に作用する圧力を軽減でき、椅子本体3に作用する負荷を軽減できる。
また、弾性部材33が弾性変形した状態で下方突出部82が接触することで、着座部5とパネル部材8との間に隙間が生じにくくなる。その結果、椅子1の意匠性を向上させることができる。
【0057】
本実施形態の椅子1は、第1係合部71及び第2係合部73が連結基部72によって一体に連結されたブラケット7を構成し、ブラケット7は、連結基部72を介してパネル部材8に固定されている構成とした。
上記構成によれば、第1係合部71および第2係合部73をパネル部材8と別体に形成できる。そのため、パネル部材8の設計要件に制約されず、着座部5の凹部39(後方凹部39bの後端縁)に対する第2係合部73の係合強度と、着座部5の上面および背凭れ部6の下面に対する第1係合部の係合強度と、を勘案して、第1係合部71および第2係合部73を設計することができる。そのため、パネル部材8を椅子本体3により強固に固定できる。
【0058】
本実施形成では、第1係合部71の係合凹部74に係合するねじ45を有するため、椅子本体3に対するパネル部材8の左右方向や前後方向の移動を抑制することができる。
【0059】
本実施形態の椅子1は、係合凹部74を通じて着座部5と背凭れ部6をねじ45によって連結する構成とした。
上記構成によれば、椅子本体3とパネル部材8との連結、および着座部5と背凭れ部6との連結を同一のねじ45を用いて行うことで、第1係合部71を、着座部5および背凭れ部6に固定することができる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0061】
[他の実施形態]
以下、他の実施形態について図を参照しながら説明する。
図4~
図6は、他の実施形態の椅子1を示す断面図である。
【0062】
本実施形態において、下方突出部82は、ブラケット7の連結基部72を介して着座部5に固定されている構成について説明したが、これに限られない。
図4に示すように、パネル部材8は、下方突出部82を設けなくてもよい。第1係合部71は、第1係合部71の後端から上方に延びている固定片172によって、パネル部材8の上方突出部81に固定されている。
図4に示す例において、着座部5には、弾性部材33を設けなくてもよい。
上記構成によれば、上述した本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
本実施形態において、第1係合部71および第2係合部73は、連結基部72を介して連結されている構成について説明したが、これに限られない。
図5に示すように、ブラケット7は、連結基部72を設けず、第1係合部71と、第2係合部73とが、分離していてもよい。この場合、
図5に示すように、第1係合部71の後端には、第1係合部71をパネル部材8に固定するための第1固定片272aが設けられていてもよい。また、
図5に示すように、第2係合部73の後端には、第2係合部73をパネル部材8に固定するための第2固定片272bが設けられていてもよい。
第1固定片272aおよび第2固定片272bには、第1孔75が設けられている。第1孔75からパネル部材8に対して、連結部材84が締結されることによって、パネル部材8と、椅子本体3とが固定される。
【0064】
上記構成によれば、第1係合部71と、第2係合部73とが別部材の構成とすることができる。そのため、第1係合部71および第2係合部73の少なくとも一方に対して設計変更が行われた場合において、設計変更が行われた部材のみを変更すればよく、経済的である。また、連結基部72が、第1係合部71から第2係合部73に亘って設けられていないため、連結基部72に要する材料費を節約することができる。
【0065】
本実施形態において、ブラケット7は、第1係合部71と、連結基部72と、第2係合部73とを備える構成について説明したが、これに限られない。
ブラケット7は、少なくとも第1係合部71を有していればよい。この場合、第1係合部71の後端と、パネル部材8とが一体に連結されていてもよい。
図6に示す例では、ブラケット7は、第1係合部71と、第1連結基部372aとを有している。第1連結基部372aは、第1係合部71の後端に連結し、第1係合部71の後端から下方に延びている。第1連結基部372aの上端から下端までの間には、第1孔75が設けられている。第1孔75は、パネル部材8の係合孔83に対して、連結部材84によって固定されている。
上記構成によれば、ブラケット7の第2係合部73を設けない構成とすることができる。そのため、ブラケット7が、着座部5の下面側で露呈しないので、ブラケット7にアクセスしにくくなる。
【0066】
本実施形態において、パネル部材8の下端が、床面Fから離間している構成について説明したが、これに限られない。
図6に示すように、パネル部材8の下方突出部82の下端が、床面Fに接してもよい。
上記構成によれば、後方から椅子1を視た際に、パネル部材8の上端から支持構造体2の床接地部21までがパネル部材8によって遮蔽することができる。また、パネルユニット4のうち、パネル部材8が、ブラケット7だけではなく、床面Fとの接触箇所でも保持される。そのため、前後方向に対するパネル部材8の可動をブラケット7および床面Fで抑制することができる。
【0067】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0068】
本実施形態において、第1係合部71が、背凭れ部6の下面基部41aと、着座部5の上面基部36cとの間に挟持された構成について説明したがこれに限られない。第1係合部は、下面基部41aと、上面基部36cとの間で挟持されていなくてもよい。第1係合部71は、下面基部41aおよび上面基部36cのうちいずれか一方、または両方に当接しなくてもよい。例えば、着座部5と背凭れ部6とが互いに離間した状態で、上下方向に延びる杆材が第1係合部71を貫通していてもよい。この場合、杆材に対する第1係合部71の上下方向の移動の規制行う構成を有していることが好ましく、また、第1係合部71は、後方への抜け止め手段が別途形成されていることが望ましい。
【0069】
本実施形態において、第2係合部73は、連結基部72の下端から前方に延びている構成について説明したが、これに限られない。第2係合部73は、第1係合部71よりも下方で前方に延びていればよい。
本実施形態において、第2係合部73の鉤部73bは、引掛け部77aが着座部5の後部フレーム36の後方凹部39b後端縁に前方から引っ掛けられることで、着座部5に係合されている構成について説明したが、これに限られない。第2係合部73は、着座部5のうち上面基部36cよりも下方に位置する任意の部分に係合していればよく、後方凹部39b以外に係合してもよい。
【0070】
本実施形態において、座側被係合部は、凹部39である構成について説明したが、これに限られない。座側被係合部は、第2係合部73が係合する形状であればよい。例えば、座側被係合部は、下方に突出する凸部である構成でもよく、第2係合部73に設けられた凹部が係合する構成でもよい。
【0071】
本実施形態において、ねじ45が、上面基部36c、第1係合部71、および下面基部41aを固定する構成について説明したが、これに限られない。例えば、着座部5(上面基部36c)と背凭れ部6(下面基部41a)とを固定する固定部材をねじ45とは別に設けてもよい。
上面基部36c、第1係合部71、および下面基部41aは、突出部によって固定されていればよい。例えば、上面基部36cに設けられた上方に突出するピン等に対して、係合凹部74や、背部孔44が係合することで、上面基部36c、第1係合部71、および下面基部41aを固定してもよい。また、下面基部41aに設けられた下方に突出するピン等に対して、係合凹部74や、座部孔36eが係合することで、上面基部36c、第1係合部71、および下面基部41aを固定してもよい。
【0072】
本実施形態において、係合凹部74が第1係合部71を上下方向で貫通している構成について説明したが、これに限られない。係合凹部74は、例えば第1係合部71の上面及び下面でそれぞれ開口する有底状の穴であってもよい。この場合には、例えば着座部5及び背凭れ部6からそれぞれ突出する突部が係合凹部74に嵌まり込む構成であってもよい。
また、第1係合部71は、上面基部36cの上面と、下面基部41aの下面とに挟持されているだけで、ねじ45で固定されていなくてもよい。
【0073】
本実施形態において、パネル部材8は、平面を有する板状部材で形成されている構成について説明したが、これに限られない。パネル部材8は、平面を有さず、湾曲する円弧状の板状部材を用いてもよい。
【0074】
本実施形態において、弾性部材33が着座部5に一体に組み付けられた構成について説明したが、この構成に限られない。弾性部材33は、パネル部材8に一体に組み付けられていてもよく、パネル部材8と着座部5との間に、これらと別体で設けられていてもよい。また、弾性部材33は設けられていなくてもよい。
【0075】
上述した実施形態に係る椅子1の一部又は全部は、以下のように付記することができる。
[付記1]
着座者の背を支持する背凭れ部および着座者が着座する着座部を備える椅子本体と、
前記背凭れ部の背面側に配置されるパネル部材と、を備え、
前記椅子本体は、
着座者の荷重を支持する第1荷重支持面を有する第1椅子構成部と、
着座者の荷重を支持する第2荷重支持面を有し、前記第1椅子構成部と上下方向及び左右方向のうち第1方向で向かい合う第2椅子構成部と、を備え、
前記パネル部材に固定されるとともに、前記第1椅子構成部及び前記第2椅子構成部の間に挟持され、前記パネル部材を前記椅子本体に固定する第1係合部と、
を備える椅子。
【0076】
図7は、他の実施形態の椅子1を示す平面図である。
図7に示す例の椅子1は、左右方向に並んだ複数の背凭れ部6を備える。ブラケット407の第1係合部471は、隣り合う背凭れ部6の側部フレーム41dの間に挟持されている。真ん中の背凭れ部(第1椅子構成部)6の側部フレーム41dと、真ん中の背凭れ部6の左右に位置する2つの背凭れ部(第2椅子構成部)6の側部フレーム41dとが対向している部分には、ブラケット407の第1係合部471が挟持されている。このとき、第1係合部471の後端に連結する固定片472は、真ん中の椅子1の後面に配置される。固定片472と、パネル部材8との固定方法は限定されず、溶接等により固定されていてもよい。
図7に示す例において、パネル部材8は、3つの椅子本体3の後面の左右両端に亘って一体に設けられている。
【0077】
図7に示すように、椅子本体3の側部フレーム41dには、左右方向に貫通する左右貫通孔41fが設けられている。左右貫通孔41fには、ねじ(突出部)45が貫通している。ねじ45によって、隣り合う椅子本体3同士が固定されている。
【0078】
上記構成によれば、椅子本体3に対するパネル部材8の左右方向の移動を抑制することができる。また、ブラケット407は、椅子1の外部から視認することが難しくなるため、椅子1の意匠性が向上する。
【0079】
上述した付記の構成において、背凭れ部6の側部フレーム41dに左右貫通孔41fを設ける構成について説明したが、これに限られない。隣り合う着座部5の側部フレーム37同士の間に第1係合部471を挟持してもよい。この場合には、側部フレーム37に貫通孔を設け、ねじ45等で隣り合う着座部5同士を連結してもよい。なお、向かい合う椅子構成部同士は、ねじ45以外の連結部材で連結してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…椅子
5…着座部(第1椅子構成部、第2椅子構成部)
6…背凭れ部(第1椅子構成部、第2椅子構成部)
33…弾性部材
39…凹部(座側被係合部)
45…突出部
71…第1係合部
72…連結基部
73…第2係合部
74…係合凹部
81…上方突出部
82…下方突出部