(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121918
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】冷凍機及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20220815BHJP
F25B 1/10 20060101ALI20220815BHJP
F25B 1/053 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
F25B1/00 304Z
F25B1/00 331E
F25B1/00 321A
F25B1/10 S
F25B1/053 A
F25B1/053 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018907
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】橋口 太成
(72)【発明者】
【氏名】松倉 紀行
(72)【発明者】
【氏名】宮本 潤
(72)【発明者】
【氏名】谷村 裕太
(57)【要約】
【課題】副膨張弁の開度を適正に制御することができる冷凍機を提供する。
【解決手段】冷媒を圧縮するターボ圧縮機2と、凝縮器3と、凝縮器3から導かれた一部の液冷媒を膨張させる副膨張弁6と、副膨張弁6で膨張させた冷媒と凝縮器3から導かれた液冷媒とを熱交換させるエコノマイザ4と、エコノマイザ4にて蒸発したガス冷媒をターボ圧縮機2の中間段へ導く吸込み配管(17a,17b,17c)と、エコノマイザ4から導かれた液冷媒を膨張させる主膨張弁5と、主膨張弁5から導かれた冷媒を蒸発させる蒸発器7と、副膨張弁6の開度を制御する制御部30と、を備え、制御部30は、エコノマイザ4に導かれる液冷媒の乾き度に基づいて、副膨張弁6の開度を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器から導かれた一部の液冷媒を膨張させる副膨張弁と、
前記副膨張弁で膨張させた冷媒と前記凝縮器から導かれた液冷媒とを熱交換させる中間冷却器と、
前記中間冷却器にて蒸発したガス冷媒を前記圧縮機の中間段へ導く中間吸込み配管と、
前記中間冷却器から導かれた液冷媒を膨張させる主膨張弁と、
前記主膨張弁から導かれた冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記副膨張弁の開度を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記中間冷却器に導かれる液冷媒の乾き度に基づいて、前記副膨張弁の開度を制御する冷凍機。
【請求項2】
前記制御部は、前記中間冷却器の液冷媒出口温度が所定の目標温度となるように前記副膨張弁の開度を制御し、
前記目標温度は、前記乾き度を用いて算出される請求項1に記載の冷凍機。
【請求項3】
前記制御部は、前記中間吸込み配管から前記圧縮機へ導かれるガス冷媒の最大流量を超えないように、前記目標温度を補正する請求項2に記載の冷凍機。
【請求項4】
前記圧縮機は、圧縮される冷媒の流れに対して直列に接続された2以上の圧縮部を有し、
前記中間吸込み配管は、各前記圧縮部の間にそれぞれ設けられ、
前記中間冷却器は、各前記中間吸込み配管に対応してそれぞれ設けられている請求項1から3のいずれかに記載の冷凍機。
【請求項5】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器から導かれた一部の液冷媒を膨張させる副膨張弁と、
前記副膨張弁で膨張させた冷媒と前記凝縮器から導かれた液冷媒とを熱交換させる中間冷却器と、
前記中間冷却器にて蒸発したガス冷媒を前記圧縮機の中間段へ導く中間吸込み配管と、
前記中間冷却器から導かれた液冷媒を膨張させる主膨張弁と、
前記主膨張弁から導かれた冷媒を蒸発させる蒸発器と、
を備えた冷凍機の制御方法であって、
前記中間冷却器に導かれる液冷媒の乾き度に基づいて、前記副膨張弁の開度を制御する冷凍機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えばターボ冷凍機とされた冷凍機及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中間冷却器としてエコノマイザを備えたターボ冷凍機が知られている(特許文献1)。このターボ冷凍機には、エコノマイザに導かれる前の液冷媒の一部を膨張させる副膨張弁が設けられている。副膨張弁の開度は、エコノマイザによって過冷却された液冷媒の温度が所定の目標値となるように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、エコノマイザに導かれる液冷媒に適切な過冷却が与えられていない場合、液冷媒がガスを伴うキャリーアンダーが生じるおそれがある。キャリーアンダーが生じると、エコノマイザの出口液冷媒の目標温度に到達するように副膨張弁の開度が制御されて過大開度となるおそれがある。この結果として、エコノマイザの性能未達や、副膨張弁で膨張不足となり圧縮機の中間段へ接続された中間吸込み配管から液冷媒が導かれてキャリーオーバーが発生するおそれがある。
【0005】
さらに、圧縮機を3段以上とし、エコノマイザを2段以上とした場合には、各エコノマイザへの流量分配(各副膨張弁の開度制御)が複雑となり、より制御が困難となる。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、副膨張弁の開度を適正に制御することができる冷凍機及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る冷凍機は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、前記凝縮器から導かれた一部の液冷媒を膨張させる副膨張弁と、前記副膨張弁で膨張させた冷媒と前記凝縮器から導かれた液冷媒とを熱交換させる中間冷却器と、前記中間冷却器にて蒸発したガス冷媒を前記圧縮機の中間段へ導く中間吸込み配管と、前記中間冷却器から導かれた液冷媒を膨張させる主膨張弁と、前記主膨張弁から導かれた冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記副膨張弁の開度を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記中間冷却器に導かれる液冷媒の乾き度に基づいて、前記副膨張弁の開度を制御する。
【0008】
本開示の一態様に係る冷凍機の制御方法は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、前記凝縮器から導かれた一部の液冷媒を膨張させる副膨張弁と、前記副膨張弁で膨張させた冷媒と前記凝縮器から導かれた液冷媒とを熱交換させる中間冷却器と、中間冷却器にて蒸発したガス冷媒を前記圧縮機の中間段へ導く中間吸込み配管と、前記中間冷却器から導かれた液冷媒を膨張させる主膨張弁と、前記主膨張弁から導かれた冷媒を蒸発させる蒸発器と、を備えた冷凍機の制御方法であって、前記中間冷却器に導かれる液冷媒の乾き度に基づいて、前記副膨張弁の開度を制御する。
【発明の効果】
【0009】
中間冷却器に導かれる液冷媒の乾き度を考慮することとしたので、副膨張弁の開度を適正に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係るターボ冷凍機を示しが概略構成図である。
【
図2】
図1のターボ冷凍機の動作を示したp-h線図である。
【
図3】副膨張弁の制御を示したフローチャートである。
【
図4】副膨張弁の制御を示したフローチャートである。
【
図5】
図1の高圧エコノマイザ周りを示した概略構成図である。
【
図6】高圧エコノマイザにおける温度分布を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ターボ冷凍機(冷凍機)1は、ターボ圧縮機(圧縮機)2と、凝縮器3と、エコノマイザ(中間冷却器)4と、主膨張弁5と、副膨張弁6と、蒸発器7と、制御部30とを備えている。
【0012】
ターボ圧縮機2は、遠心圧縮機とされ、低圧側となる低段側圧縮機2Aと高圧側となる高段側圧縮機2Bとを備えている。
【0013】
低段側圧縮機2Aは、蒸発器7から導かれたガス冷媒を圧縮する第1羽根車(圧縮部)8aと、第1羽根車8aで圧縮されたガス冷媒を圧縮する第2羽根車(圧縮部)8bとを備えている。第1羽根車8aと第2羽根車8bとは、共通の回転軸(図示せず)を用いて接続されており、共通の低段側インバータモータ9Aにより駆動される。周波数可変とされた低段側インバータモータ9Aと第2羽根車8bとの間には低段側増速歯車10Aが配置されている。
第1羽根車8aのガス冷媒流れ上流側には、ガス冷媒の流量調整を行う第1IGV(インレットガイドベーン)12aが設けられている。第2羽根車8bのガス冷媒流れ上流側には、ガス冷媒の流量調整を行う第2IGV(インレットガイドベーン)12bが設けられている。
低段側インバータモータ9Aの周波数と、第1IGV12a及び第2IGV12bの開度は、制御部30によって行われる。
【0014】
高段側圧縮機2Bは、低段側圧縮機2Aの第2羽根車8bによって圧縮されたガス冷媒を圧縮する第3羽根車(圧縮部)8cと、第3羽根車8cで圧縮されたガス冷媒を圧縮する第4羽根車(圧縮部)8dとを備えている。第3羽根車8cと第4羽根車8dとは、共通の回転軸(図示せず)を用いて接続されており、共通の高段側インバータモータ9Bにより駆動される。周波数可変とされた高段側インバータモータ9Bと第4羽根車8dとの間には高段側増速歯車10Bが配置されている。
第3羽根車8cのガス冷媒流れ上流側には、ガス冷媒の流量調整を行う第3IGV(インレットガイドベーン)12cが設けられている。第4羽根車8dのガス冷媒流れ上流側には、ガス冷媒の流量調整を行う第4IGV(インレットガイドベーン)12dが設けられている。
第4羽根車8dによって圧縮されたガス冷媒は、凝縮器3へ導かれる。
高段側インバータモータ9Bの周波数と、第3IGV12c及び第4IGV12dの開度は、制御部30によって行われる。
【0015】
このように、ターボ圧縮機2は、蒸発器7から導かれた低圧ガス冷媒を第1羽根車8a、第2羽根車8b、第3羽根車8cおよび第4羽根車8dによって4段圧縮するように構成されている。
ターボ圧縮機2の吐出側(具体的には第4羽根車8dの吐出側)には、高圧ガス冷媒の温度を計測する温度センサT1と、高圧ガス冷媒の圧力を計測する圧力センサP1とが設けられている。温度センサT1及び圧力センサP1の計測値は、制御部30へ送信される。
冷媒としては、例えばR134a,,R1234ze(E),,R1234yfなどが用いられる。
【0016】
凝縮器3は、例えばシェルアンドチューブ式熱交換器とされ、ターボ圧縮機2から供給される高圧ガス冷媒と冷却水伝熱管11内を流通する冷却水とを熱交換させることにより、高圧冷却ガスを凝縮液化するものである。冷却水伝熱管11は、冷却水を供給する冷却水入口配管11aと、冷却水を排出する冷却水出口配管11bとに接続されている。冷却水入口配管11aには冷却水温度を計測する温度センサT2が設けられ、冷却水出口配管11bには冷却水温度を計測する温度センサT3が設けられている。各温度センサT2,T3の計測値は、制御部30へ送信される。冷却水入口配管11a及び冷却水出口配管11bには、図示しない冷却塔が接続されており、この冷却塔にて冷却水が所定温度まで冷却される。
【0017】
凝縮器3には、凝縮器3内の冷媒の温度を計測する温度センサT4と、冷媒の圧力を計測する圧力センサP4とが設けられている。温度センサT4及び圧力センサP4の計測値は、制御部30へ送信される。
【0018】
エコノマイザ4は、高圧側エコノマイザ4cと、中圧側エコノマイザ4bと、低圧側エコノマイザ4aとを備えている。各エコノマイザ4c,4b,4aは、例えばプレート式熱交換器とされている。
【0019】
高圧側エコノマイザ4cは、高圧側主冷媒伝熱管13aと高圧側副冷媒伝熱管13bとを備えている。高圧側副冷媒伝熱管13bで高圧側主冷媒伝熱管13aを冷却することによって、高圧側主冷媒伝熱管13aを流れる液冷媒に対して過冷却が与えられる。
高圧側主冷媒伝熱管13aの上流側には、凝縮器3にて凝縮した液冷媒を導く第1主冷媒配管15aが接続されている。高圧側主冷媒伝熱管13aの下流側には、第2主冷媒配管15bが接続されている。第2主冷媒配管15bには、配管中の液冷媒の温度を計測する温度センサT5が設けられている。温度センサT5の計測値は、制御部30へ送信される。
第1主冷媒配管15aの途中位置から、第1副冷媒配管16aが分岐している。第1副冷媒配管16aの下流側は、高圧側副冷媒伝熱管13bに接続されている。第1副冷媒配管16aには、制御部30によって開度が制御される高圧側副膨張弁6cが設けられている。
高圧側副冷媒伝熱管13bの下流側には、高圧側吸込み配管(中間吸込み配管)17cが接続されている。高圧側吸込み配管17cの下流側は、第3羽根車8cと第4IGV12dとの間に接続されている。高圧側吸込み配管17cには、配管中のガス冷媒の温度を計測する温度センサT6と、冷媒の圧力を計測する圧力センサP6とが設けられている。温度センサT6及び圧力センサP6の計測値は、制御部30へ送信される。
【0020】
中圧側エコノマイザ4bは、中圧側主冷媒伝熱管19aと中圧側副冷媒伝熱管19bとを備えている。中圧側副冷媒伝熱管19bで中圧側主冷媒伝熱管19aを冷却することによって、中圧側主冷媒伝熱管19aを流れる液冷媒に対して過冷却が与えられる。
中圧側主冷媒伝熱管19aの上流側には、高圧側エコノマイザ4c側に接続された第2主冷媒配管15bが接続されている。中圧側主冷媒伝熱管19aの下流側には、第3主冷媒配管15cが接続されている。第3主冷媒配管15cには、配管中の液冷媒の温度を計測する温度センサT7が設けられている。温度センサT7の計測値は、制御部30へ送信される。
第2主冷媒配管15bの途中位置から、第2副冷媒配管16bが分岐している。第2副冷媒配管16bの下流側は、中圧側副冷媒伝熱管19bに接続されている。第2副冷媒配管16bには、制御部30によって開度が制御される中圧側副膨張弁6bが設けられている。
中圧側副冷媒伝熱管19bの下流側には、中圧側吸込み配管(中間吸込み配管)17bが接続されている。中圧側吸込み配管17bの下流側は、第2羽根車8bと第3IGV12cとの間に接続されている。中圧側吸込み配管17bには、配管中のガス冷媒の温度を計測する温度センサT8と、冷媒の圧力を計測する圧力センサP8とが設けられている。温度センサT8及び圧力センサP8の計測値は、制御部30へ送信される。
【0021】
低圧側エコノマイザ4aは、低圧側主冷媒伝熱管21aと低圧側副冷媒伝熱管21bとを備えている。低圧側副冷媒伝熱管21bで低圧側主冷媒伝熱管21aを冷却することによって、低圧側主冷媒伝熱管21aを流れる液冷媒に対して過冷却が与えられる。
低圧側主冷媒伝熱管21aの上流側には、中圧側エコノマイザ4b側に接続された第3主冷媒配管15cが接続されている。低圧側主冷媒伝熱管21aの下流側には、第4主冷媒配管15dが接続されている。第4主冷媒配管15dには、配管中の液冷媒の温度を計測する温度センサT9が設けられている。温度センサT9の計測値は、制御部30へ送信される。温度センサT9の下流側には、主膨張弁5が設けられている。
第3主冷媒配管15cの途中位置から、第3副冷媒配管16cが分岐している。第3副冷媒配管16cの下流側は、低圧側副冷媒伝熱管21bに接続されている。第3副冷媒配管16cには、制御部30によって開度が制御される低圧側副膨張弁6aが設けられている。
低圧側副冷媒伝熱管21bの下流側には、低圧側吸込み配管(中間吸込み配管)17aが接続されている。低圧側吸込み配管17aの下流側は、第1羽根車8aと第2IGV12bとの間に接続されている。低圧側吸込み配管17aには、配管中のガス冷媒の温度を計測する温度センサT10と、冷媒の圧力を計測する圧力センサP10とが設けられている。温度センサT10及び圧力センサP10の計測値は、制御部30へ送信される。
低圧側エコノマイザ4aを経て過冷却された冷媒は、第4主冷媒配管15dを通り主膨張弁5によって膨張させられた後に、蒸発器7に供給される。
【0022】
蒸発器7は、例えばシェルアンドチューブ式熱交換器とされ、主膨張弁5から導かれた冷媒とブライン伝熱管23を流れるブラインとを熱交換させることにより、冷媒を蒸発させ、その蒸発潜熱によりブラインを冷却するものである。冷却後のブラインの温度は例えば-15℃以下とされる。
ブライン伝熱管23は、ブラインを供給するブライン入口配管23aと、ブラインを排出するブライン出口配管23bとに接続されている。ブライン入口配管23aにはブライン温度を計測する温度センサT11が設けられ、ブライン出口配管23bにはブライン温度を計測する温度センサT12が設けられている。各温度センサT11,T12の計測値は、制御部30へ送信される。ブライン入口配管23a及びブライン出口配管23bには、図示しない負荷装置が接続されており、この負荷装置にてブラインの冷熱が用いられる。
【0023】
蒸発器7には、蒸発器7内の冷媒の温度を計測する温度センサT13と、冷媒の圧力を計測する圧力センサP13とが設けられている。温度センサT13及び圧力センサP13の計測値は、制御部30へ送信される。
【0024】
凝縮器3と蒸発器7との間にはホットガスバイパス配管25が設けられている。ホットガスバイパス配管25には、ホットガスバイパス配管25からターボ圧縮機2へと導かれる高圧ガス冷媒の流量を調整するホットガスバイパス弁26が設けられている。ホットガスバイパス弁26の開度は、制御部30によって制御される。
【0025】
ターボ冷凍機1の制御は、制御部30によって行われる。
制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0026】
<ターボ冷凍機1の動作>
次に、
図2を用いて上述したターボ冷凍機1の動作について説明する。同図において横軸は比エンタルピ[kJ/kg]、縦軸は圧力[MPa(abs)]である。
ターボ圧縮機2によって、蒸発器7から吸い込まれた低圧ガス冷媒は、第1羽根車8a、第2羽根車8b、第3羽根車8c及び第4羽根車8dの順に圧縮される。すなわち、
図2において、A点、B点、C点、D点、E点の順に4段階で圧縮される。第4羽根車8dでE点まで圧縮された高圧ガス冷媒は、凝縮器3の冷却水伝熱管11によって冷却されて凝縮し、F点に至る。F点における液冷媒のエンタルピはεleco_hである。また、凝縮器3を流通する冷媒の重量流量はGHconである。
【0027】
F点にて、液冷媒は第1主冷媒配管15aから第1副冷媒配管16aに分岐され、高圧側副膨張弁6cによって膨張させられてG点に至る。そして、高圧側エコノマイザ4cにてG点からD点側に至る過程で、高圧側副冷媒伝熱管13bを流れるガス冷媒によって高圧側主冷媒伝熱管13aが冷却される。これにより、高圧側主冷媒伝熱管13aを流れる液冷媒に対して過冷却が与えられる。すなわち、高圧側主冷媒伝熱管13aを流れる液冷媒は、過冷却されることによってF点からH点に至る。高圧側副冷媒伝熱管13bを流れるガス冷媒の重量流量はGHecoである。H点における液冷媒のエンタルピはεleco_miである。
【0028】
H点にて、液冷媒は第2主冷媒配管15bから第2副冷媒配管16bに分岐され、中圧側副膨張弁6bによって膨張させられてI点に至る。そして、中圧側エコノマイザ4bにてI点からC点側に至る過程で、中圧側副冷媒伝熱管19bを流れるガス冷媒によって中圧側主冷媒伝熱管19aが冷却される。これにより、中圧側主冷媒伝熱管19aを流れる液冷媒に対して更に過冷却が与えられる。すなわち、中圧側主冷媒伝熱管19aを流れる液冷媒は、過冷却されることによってH点からJ点に至る。中圧側副冷媒伝熱管19bを流れるガス冷媒の重量流量はGMecoである。J点における液冷媒のエンタルピはεleco_lである。
【0029】
J点にて、液冷媒は第3主冷媒配管15cから第3副冷媒配管16cに分岐され、低圧側副膨張弁6aによって膨張させられてK点に至る。そして、低圧側エコノマイザ4aにてK点からB点側に至る過程で、低圧側副冷媒伝熱管21bを流れるガス冷媒によって低圧側主冷媒伝熱管21aが冷却される。これにより、低圧側主冷媒伝熱管21aを流れる液冷媒に対して更に過冷却が与えられる。すなわち、低圧側主冷媒伝熱管21aを流れる液冷媒は、過冷却されることによってJ点からL点に至る。低圧側副冷媒伝熱管21bを流れるガス冷媒の重量流量はGLecoである。L点における液冷媒のエンタルピはεleco_maである。
【0030】
L点にて、液冷媒は主膨張弁5によって膨張させられてM点に至る。M点からA点側に至る過程で、蒸発器7によって冷媒が蒸発させられる。蒸発器7を通過する冷媒の重量流量は、GLevaである。
【0031】
凝縮器3を流れる冷媒は、4つの羽根車8a,8b,8c,8dに分配される。したがって、冷媒の重量流量は下式が成立する。
GHcon=GHeco+GMeco+GLeco+GLeva
【0032】
<副膨張弁6の制御>
次に、
図3及び
図4を用いて副膨張弁6について説明する。
先ず、ステップS1にて、高圧側エコノマイザ4cの対数平均温度差LMTD_h[℃]を下式によって算出する。
LMTD_h=f(Tcwo-Two) ・・・(1)
ここで、Tcwoは冷却水出口温度[℃]であり、温度センサT3によって計測される。Twoは冷水(ブライン)出口温度[℃]であり、温度センサT12によって計測される。
すなわち、高圧側エコノマイザ4cの対数平均温度差LMTD_hは、(Tcwo-Two)を変数とした特性式として与えられる。この特性式は、使用される熱交換器(例えばプレート式熱交換器)の仕様に応じて予め決定される。
【0033】
次に、ステップS2にて、高圧側エコノマイザ4cの冷媒液入口温度差ΔT1_h[℃]を下式によって算出する。冷媒液入口温度差ΔT1_hは、
図5に示すように、高圧側エコノマイザ4cの高圧側主冷媒伝熱管13aの入口と高圧側副冷媒伝熱管13bの入口との温度差を意味する。なお、
図5は、
図1の高圧側エコノマイザ4cの周りを示したものである。
ΔT1_h=Tc-Tm_h ・・・(2)
ここで、Tcは凝縮器3の飽和液温度[℃]であり、温度センサT4によって計測される。Tm_hは高圧側エコノマイザ4cの飽和ガス温度[℃]であり、温度センサT6によって計測される。
【0034】
次に、ステップS3にて、高圧側エコノマイザ4cの冷媒液出口温度差ΔT2_h[℃]を下式によって算出する。冷媒液出口温度差ΔT2_hは、
図5に示すように、高圧側エコノマイザ4cの高圧側主冷媒伝熱管13aの出口と高圧側副冷媒伝熱管13bの出口との温度差を意味する。
ΔT2_h=f(ΔT1_h/LMTD_h)×f(LMTD_h) ・・・(3)
上式は、対数平均温度差LMTDの定義式である下式から導かれる。
LMTD=(ΔT1-ΔT2)/{(ln(ΔT1)-ln(ΔT2))}
したがって、冷媒液出口温度差ΔT2_hは、式(1)で得られたLMTD_hと式(2)で得られたΔT1_hの関数として得ることができる。
【0035】
次に、ステップS4にて、高圧側エコノマイザ4cの冷媒液出入口温度差ΔT3_h[℃]を下式によって算出する。冷媒液出入口温度差ΔT3_hは、
図5に示すように、高圧側エコノマイザ4cの高圧側主冷媒伝熱管13aの出入口の温度差を意味する。なお、ΔT1_hとΔT2_hとΔT3_hとの関係は、
図6に示されている。
ΔT1_h≧ΔT2_hの場合 → ΔT3_h=ΔT1_h-ΔT2_h
・・・(4A)
ΔT1_h<ΔT2_hの場合 → ΔT3_h=0 ・・・(4B)
すなわち、
図6のように高圧側主冷媒伝熱管13aを流れる液冷媒に対して過冷却が与えられる場合には、冷媒液入口温度差ΔT1_hと冷媒液出口温度差ΔT2_hの差が冷媒液出入口温度差ΔT3_hとなる。
図6の状態とは異なり過冷却が与えられない計算結果となる場合には、冷媒液出入口温度差ΔT3_hに0を与える。
【0036】
次に、ステップS5にて、高圧側エコノマイザ4cの冷媒出入口エンタルピ差Δεleco_h[kJ/kg]を下式によって算出する。
Δεleco_h=εlcon_sat-εleco_out_h ・・・(5)
ここで、εlcon_satは、凝縮器3の飽和液温度Tcから得られる飽和液のエンタルピであり、温度センサT4の計測値から算出される。
図2では、F点のεleco_hに対応する。εleco_out_hは、高圧側主冷媒伝熱管13aの出口における液冷媒のエンタルピであり、凝縮器3の飽和液温度Tcと式(4A)又は式(4B)から得られた冷媒液出入口温度差ΔT3_hとの差から得られた液温度のエンタルピとして算出される。
図2では、H点のεleco_miに対応する。
【0037】
上述したステップS1~S5の工程と並行して、
図4に示したステップS11~S14が行われる。
【0038】
S11にて、高圧側エコノマイザ4cに流入する液冷媒の乾き度Xを下式によって算出する。
X=(b-c)/(a-c) ・・・(6)
上式における、a,b,cは、
図2におけるa,b,cに対応する。
ここで、aは凝縮器3の圧力における飽和ガスのエンタルピεgcon_satである。
bは乾き度を考慮した高圧側主冷媒伝熱管13aの入口における冷媒液のエンタルピである。cは凝縮器3の圧力(圧力センサP4)から得られる飽和液のエンタルピである。
上述のb点におけるエンタルピYは下式によって得られる。
Y=d-(e/f) ・・・(6A)
ここで、dはターボ圧縮機2の吐出ガスのエンタルピであり、温度センサT1及び圧力センサP1の計測値から得られる。eはターボ冷凍機1の排熱量であり、冷却水の出入口温度差すなわち冷却水伝熱管11の出入口温度差と冷却水流量から算出することができる。冷却水伝熱管11の出入口温度差は、温度センサT2,T3から得ることができる。冷却水流量は、冷却水入口配管11a又は冷却水出口配管11bに設けた流量計(図示せず)から得ることができる。fはターボ冷凍機1の冷媒循環量であり、主膨張弁5及び副膨張弁6a,6b,6cの開度から得られる冷媒流量から算出することができる。
【0039】
次に、ステップS12にて、式(6)にて得られた乾き度Xが所定の範囲内(0≦X≦F)であるか否かを判断する。ここで、Fは設定値であり、0よりも大きく1以下である。初期値としては例えば0.1が与えられる。ただし、設定値Fの値は、任意であり、ターボ冷凍機1の仕様に応じて決定される。
【0040】
ステップS12にて乾き度Xが所定の範囲ではなく0未満の場合は、乾き度Xを0に設定する。乾き度Xが設定値Fを超えた場合は、設定値F(例えば0.1)とする。
【0041】
そして、ステップS14にて、ステップS12又はステップS13で得られた乾き度Xを考慮した高圧側エコノマイザ4cに流入する液冷媒の入口エンタルピεleco_hを下式によって得る。
εleco_h=X×(a-c)+c ・・・(7)
【0042】
式(7)によって、乾き度Xが考慮された高圧側エコノマイザ4cに流入する液冷媒の入口エンタルピεleco_hが得られる。すなわち、高圧側エコノマイザ4cに流入する液冷媒に過冷却が与えられている場合には入口エンタルピεleco_hは
図2のcのエンタルピとなり、高圧側エコノマイザ4cに流入する液冷媒に過冷却が与えられずガス冷媒が含まれている場合には入口エンタルピεleco_hは
図2のcよりも右側のbのエンタルピとなる。
【0043】
次に、
図3のステップS6に進み、高圧側エコノマイザ4cの冷媒液出口エンタルピの目標値εleco_mi_set[kJ/kg]を下式によって与える。この目標値εleco_mi_setは、
図2のH点に与える目標値に対応する。
εleco_mi_set=εleco_h-Δεleco_h ・・・(8)
上式では、式(7)によって得られた乾き度が考慮された冷媒液入口エンタルピεleco_hと、式(5)によって得られた冷媒出入口エンタルピ差Δεleco_hとが用いられている。
【0044】
次に、ステップS7にて、ステップS6で得られた目標値εleco_mi_setを用いて高圧側エコノマイザ4cの目標出口温度Tlout_h[℃]を得る。
Tlout_h=f(εleco_mi_set) ・・・(9)
制御部30は、温度センサT5で計測された冷媒液出口温度Tlin_miが目標出口温度Tlout_hに近づくように副膨張弁6cの開度を制御する。すなわち、制御部30は、乾き度Xに基づいて得られた目標出口温度Tlout_hを用いて副膨張弁6cを制御する。
【0045】
次に、ステップS8にて、中圧側エコノマイザ4bの冷媒入口温度差ΔT1_mi[℃]を下式によって算出する。
ΔT1_mi=Tlin_mi-Tm_mi ・・・(10)
ここで、Tlin_miは、中圧側主冷媒伝熱管19aの冷媒液入口温度であり、式(9)で得られた目標出口温度Tlout_hが与えられる。Tm_miは中圧側エコノマイザ4bの飽和ガス温度[℃]であり、温度センサT8によって計測される。
【0046】
それ以降の工程は、上述したステップS3~S7及びステップS11~S14と同様である。この様にして、中圧側エコノマイザ4b及び低圧側エコノマイザ4aの冷媒液目標出口温度がそれぞれ決定され、これら目標値を用いて副膨張弁6b,6cがそれぞれ制御部30によって制御される。
【0047】
制御部30は、各吸込み配管17a,17b,17cから各羽根車8b,8c,8dへ導かれるガス冷媒の最大流量を超えないように、式(9)で得られた目標出口温度Tlout_h温度を補正する。エコノマイザ4c,4b,4aの出口液冷媒の温度(エンタルピー)を小さくすると、副膨張弁6c,6b,6aの開度が増大する方向に制御され、吸込み配管17a,17b,17cから各羽根車8b,8c,8dへ導かれるガス冷媒の流量が大きくなり、チョーク流れが生じるおそれがあるからである。具体的な制御としては間吸込み配管17a,17b,17cから各羽根車8b,8c,8dへ導かれるガス冷媒の最大流量を予め定めておき、この最大流量を超えないように、エコノマイザ4c,4b,4aの出口液冷媒の目標温度を補正する。
【0048】
以上説明した本実施形態の作用効果は以下の通りである。
各エコノマイザ4c,4b,4aに導かれる液冷媒の乾き度Xに基づいて副膨張弁6c,6b,6aの開度を設定することとしたので、エコノマイザ4c,4b,4aに導かれる液冷媒に適切な過冷却が与えられず所定の乾き度を有する場合であっても副膨張弁6c,6b,6aの開度を適正に設定することができる。例えば、エコノマイザ4c,4b,4aに導かれる液冷媒にガスが含まれているキャリーアンダーの場合に、副膨張弁6c,6b,6aの開度が過剰に大きくなることを抑制できる。
【0049】
副膨張弁6c,6b,6aは、エコノマイザ4c,4b,4aの液冷媒出口温度が目標温度Tlout_hとなるように制御される。この目標温度は、エコノマイザ4c,4b,4aに導かれる液冷媒の乾き度Xを用いて算出される。これにより、適正な目標温度を設定することができる。
【0050】
4つの羽根車8a,8b,8c,8dを用いた4段圧縮に対して3つのエコノマイザ4c,4b,4aが設けられたターボ冷凍機1とした。エコノマイザ4c,4b,4aが複数設けられると、各エコノマイザ4c,4b,4aに対応して設けられた副膨張弁6c,6b,6aの制御が複雑になり、エコノマイザ4c,4b,4aに対してキャリーアンダーが発生するおそれがある。本実施形態では、各エコノマイザ4c,4b,4aに導かれる液冷媒の乾き度Xに基づいて制御することとしたので、適正に副膨張弁6c,6b,6aの開度を制御することができる。
【0051】
以上説明した各実施形態に記載の冷凍機及びその制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0052】
冷凍機(1)は、冷媒を圧縮する圧縮機(2)と、前記圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器(3)と、前記凝縮器から導かれた一部の液冷媒を膨張させる副膨張弁(6)と、前記副膨張弁で膨張させた冷媒と前記凝縮器から導かれた液冷媒とを熱交換させる中間冷却器(4)と、前記中間冷却器にて蒸発したガス冷媒を前記圧縮機の中間段へ導く中間吸込み配管(17a,17b,17c)と、前記中間冷却器から導かれた液冷媒を膨張させる主膨張弁(5)と、前記主膨張弁から導かれた冷媒を蒸発させる蒸発器(7)と、前記副膨張弁の開度を制御する制御部(30)と、を備え、前記制御部は、前記中間冷却器に導かれる液冷媒の乾き度(X)に基づいて、前記副膨張弁の開度を制御する。
【0053】
中間冷却器に導かれる液冷媒の乾き度に基づいて副膨張弁の開度を制御することとしたので、中間冷却器に導かれる液冷媒に適切な過冷却が与えられず所定の乾き度を有する場合であっても副膨張弁の開度を適正に設定することができる。例えば、中間冷却器に導かれる液冷媒にガスが含まれているキャリーアンダーの場合に、副膨張弁の開度が過剰に大きくなることを抑制できる。
冷凍機としては、例えばターボ冷凍機が挙げられる。
【0054】
さらに、本開示の一態様に係る冷凍機では、前記制御部は、前記中間冷却器の液冷媒出口温度が所定の目標温度となるように前記副膨張弁の開度を制御し、前記目標温度は、前記乾き度を用いて算出される。
【0055】
副膨張弁は、中間冷却器の液冷媒出口温度が目標温度となるように制御される。この目標温度は、中間冷却器に導かれる液冷媒の乾き度を用いて算出される。これにより、適正な目標温度を設定することができる。
【0056】
さらに、本開示の一態様に係る冷凍機では、前記制御部は、前記中間吸込み配管から前記圧縮機へ導かれるガス冷媒の最大流量を超えないように、前記目標温度を補正する。
【0057】
中間冷却器の出口液冷媒の温度(エンタルピー)を小さくすると、副膨張弁の開度が増大する方向に制御される。そうすると、中間吸込み配管から圧縮機の中間段へ導かれるガス冷媒の流量が大きくなり、圧縮機でチョーク流れが生じるおそれがある。そこで、中間吸込み配管から圧縮機へ導かれるガス冷媒の最大流量を超えないように、中間冷却器の出口液冷媒の目標温度を補正することとした。これにより、圧縮機でのチョーク流れの発生を抑制することができる。
【0058】
さらに、本開示の一態様に係る冷凍機では、前記圧縮機は、圧縮される冷媒の流れに対して直列に接続された2以上の圧縮部(8a,8b,8c,8d)を有し、前記中間吸込み配管は、各前記圧縮部の間にそれぞれ設けられ、前記中間冷却器は、各前記中間吸込み配管に対応してそれぞれ設けられている。
【0059】
複数の圧縮部を有する圧縮機に対して適用することができる。例えば、4段圧縮(4つの圧縮部)に対して3つの中間冷却器が設けられた構成とすることができる。中間冷却器が複数設けられると、各中間冷却器に対応して設けられた副膨張弁の制御が複雑になり、中間冷却器に対してキャリーアンダーが発生するおそれがある。本開示では、各中間冷却器に導かれる液冷媒の乾き度に基づいて制御することとしたので、適正に副膨張弁の開度を制御することができる。
【0060】
冷凍機の制御方法は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、前記凝縮器から導かれた一部の液冷媒を膨張させる副膨張弁と、前記副膨張弁で膨張させた冷媒と前記凝縮器から導かれた液冷媒とを熱交換させる中間冷却器と、前記中間冷却器にて蒸発したガス冷媒を前記圧縮機の中間段へ導く中間吸込み配管と、前記中間冷却器から導かれた液冷媒を膨張させる主膨張弁と、前記主膨張弁から導かれた冷媒を蒸発させる蒸発器と、を備えた冷凍機の制御方法であって、前記中間冷却器に導かれる液冷媒の乾き度に基づいて、前記副膨張弁の開度を制御する。
【符号の説明】
【0061】
1 ターボ冷凍機(冷凍機)
2 ターボ圧縮機(圧縮機)
2A 低段側圧縮機
2B 高段側圧縮機
3 凝縮器
4 エコノマイザ(中間冷却器)
4a 低圧側エコノマイザ
4b 中圧側エコノマイザ
4c 高圧側エコノマイザ
5 主膨張弁
6 副膨張弁
6a 低圧側副膨張弁
6b 中圧側副膨張弁
6c 高圧側副膨張弁
7 蒸発器
8a 第1羽根車(圧縮部)
8b 第2羽根車(圧縮部)
8c 第3羽根車(圧縮部)
8d 第4羽根車(圧縮部)
9A 低段側インバータモータ
9B 高段側インバータモータ
10A 低段側増速歯車
10B 高段側増速歯車
11 冷却水伝熱管
11a 冷却水入口配管
11b 冷却水出口配管
12a 第1IGV
12b 第2IGV
12c 第3IGV
12d 第4IGV
13a 高圧側主冷媒伝熱管
13b 高圧側副冷媒伝熱管
15a 第1主冷媒配管
15b 第2主冷媒配管
15c 第3主冷媒配管
15d 第4主冷媒配管
16a 第1副冷媒配管
16b 第2副冷媒配管
16c 第3副冷媒配管
17a 低圧側吸込み配管(中間吸込み配管)
17b 中圧側吸込み配管(中間吸込み配管)
17c 高圧側吸込み配管(中間吸込み配管)
19a 中圧側主冷媒伝熱管
19b 中圧側副冷媒伝熱管
21a 低圧側主冷媒伝熱管
21b 低圧側副冷媒伝熱管
23 ブライン伝熱管
23a ブライン入口配管
23b ブライン出口配管
25 ホットガスバイパス配管
26 ホットガスバイパス弁
30 制御部