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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121951
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】温水供給装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20220101AFI20220815BHJP
【FI】
F24D17/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018960
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】317007266
【氏名又は名称】エア・ウォーター・バイオデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】西岡 隆
【テーマコード(参考)】
3L073
【Fターム(参考)】
3L073AB03
3L073AB15
3L073AC01
3L073AD01
3L073AD07
3L073AE06
(57)【要約】
【課題】設定通りの温度の温水を素早く得る温水供給装置を提供する。
【解決手段】混合弁(37)の出口は、配管(38)の入口に接続されている。配管(38)の出口は、T字配管(39)の入口に接続されている。T字配管(39)の出口は、配管40の入口に接続されている。T字配管(39)の封止口は、T字配管(39)の出口に対向している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流入する第1入口と、お湯が流入する第2入口と、前記水と前記お湯とが混合された温水を排出する出口とを有する混合弁と、
前記混合弁の出口に接続される入口と、出口とを有する第1配管と、
T字配管であって、前記第1配管の出口に接続される入口と、出口と、前記T字配管の入口または前記T字配管の出口に対向しかつ封止される封止口とを有する前記T字配管と、
前記T字配管の出口に接続される入口と、出口とを有する第2配管とを備えていることを特徴とする温水供給装置。
【請求項2】
前記第1配管の内径と、前記T字配管の内径とが互いに異なっていることを特徴とする請求項1に記載の温水供給装置。
【請求項3】
前記第2配管の出口に接続される入口と、前記温水供給装置の外部に露出する出口とを有する出水金具をさらに備えており、
前記第2配管の内径と、前記出水金具の内径とが互いに異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載の温水供給装置。
【請求項4】
前記T字配管を挟んで離れた各位置に配置される第1温度センサおよび第2温度センサをさらに備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の温水供給装置。
【請求項5】
前記第2配管は、前記T字配管と同一構造でありかつ互いに直列接続される複数のT字配管によって構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の温水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、介護施設などにおいて要介護者に温水をシャワーするためのシャワー入浴装置が知られている。この種のシャワー入浴装置には、シャワー用の温水をシャワー入浴装置に供給する温水供給装置が接続されている。温水供給装置は、水とお湯とを内部で混合して温水を作り、シャワー入浴装置に温水を供給する。
【0003】
従来の温水供給装置に適用可能な技術の1つが、特許文献1に開示されている。具体的には、特許文献1には、弁本体に開口する高温水路と、水道水路の開口とを、モータの出力杆及びワックス部材の出力杆によって駆動される弁体によって制御し、所定温度の温水を混合湯路に向けて供給する電動式湯水混合弁において、流路内を流れる温水の流量を検出して出力するフローセンサを備える流量検出管体と、流路内を流れる温水の温度を検出して出力するサーミスタを備える温度検出管体とを備え、前記弁本体の混合湯路と、流量検出管体の流路と、温度検出管体の流路とを直線上に配置するとともに弁本体と温度検出管体との間に流量検出管体を配置したことを特徴とする電動式湯水混合弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-815582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電動式湯水混合弁では、混合流路が直線状であるため、水道水と高温水とが層流を形成した状態で流れやすくなる。これにより水道水と高温水とが混ざり難くなるため、設定通りの温度の温水が得られるまでに長時間を要するという問題がある。
【0006】
本発明は前記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、設定通りの温度の温水を素早く得る温水供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る温水供給装置は、前記の課題を解決するために、水が流入する第1入口と、お湯が流入する第2入口と、前記水と前記お湯とが混合された温水を排出する出口とを有する混合弁と、前記混合弁の出口に接続される入口と、出口とを有する第1配管と、T字配管であって、前記第1配管の出口に接続される入口と、出口と、前記T字配管の入口または前記T字配管の出口に対向しかつ封止される封止口とを有する前記T字配管と、前記T字配管の出口に接続される入口と、出口とを有する第2配管とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、設定通りの温度の温水を素早く得る温水供給装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る温水供給装置の外観を示す図面である。
図2】筐体の入水側面の方から見た温水供給装置の内部構造を示す図である。
図3】筐体の上方から見た温水供給装置の内部構造を示す図である。
図4】筐体の入水側面と対向する他の側面の方から見た温水供給装置の内部構造を示す図である。
図5】筐体の斜め上方から見た温水供給装置の内部を示す図である。
図6】筐体の上方から見た温水供給装置の内部を示す図である。
図7】配管およびT字配管の断面を示す断面図である。
図8】温水の流路を構成する部材の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(温水供給装置1の構造)
図1は、本発明の一実施形態に係る温水供給装置1の外観を示す図面である。この図に示す温水供給装置1は、図示しないシャワー入浴装置に接続されている。温水供給装置1およびシャワー入浴装置は、例えば介護施設などの現場に設置されており、自力で入浴することが困難な要介護者を入浴させるために用いられる。温水供給装置1はシャワー用の適温の温水を作ってシャワー入浴装置に供給し、シャワー入浴装置は、供給された温水を要介護者にシャワーする。
【0011】
シャワー入浴装置は、図示しない本体シャワーおよびハンドシャワーを備えている。本体シャワーはシャワー入浴装置の本体に内蔵されており、シャワー入浴装置の内部空間に導入された要介護者の身体の広い範囲に、シャワー状の温水を一度に吐出するために用いられる。ハンドシャワーはシャワー入浴装置の外部に備えられており、介護従事者が手に取って要介護者の身体の特定の部分にシャワー状の温水を吐出するために用いられる。
【0012】
図1に示すように、温水供給装置1は、筐体10、入水金具11、入水金具12、出水金具21、出水金具22、および出水金具23を備えている。入水金具11および12は筐体10のある側面に横並びに備えられており、入水金具11および12の入口は温水供給装置1の外部に露出している。この側面を、以下では入水側面と称する。出水金具21~23は筐体10の入水側面に隣接する側面に並んで備えられており、出水金具21~23の各出口は筐体10の外部に露出している。この側面を、以下では出水側面と称する。
【0013】
入水金具11は、常温の水を温水供給装置1に供給するために用いられる。入水金具11の入口はホースを通じて上水道に接続されており、上水道から入水金具11を通じて常温の水道水が温水供給装置1の内部に供給される。入水金具12は常温の水よりも温度の高いお湯を温水供給装置1の内部に供給するために用いられる。入水金具12の入口はホースを通じて湯沸かし器に接続されており、湯沸かし器によって常温の水を温めて得られるお湯が入水金具12を通じて温水供給装置1の内部に供給される。温水供給装置1は、供給された水とお湯とを温水供給装置1の内部で混合して温水を作り、出水金具21~23のいずれかを通じて温水供給装置1の外部に排出する。
【0014】
出水金具21は本体シャワーに接続されており、温水供給装置1が作った温水を本体シャワーに供給するために用いられる。出水金具22はハンドシャワーに接続されており、温水供給装置1が作った温水をハンドシャワーに供給するために用いられる。温水供給装置1のユーザである介護従事者は、シャワーから吐出させたい温水の温度を、温水供給装置1に設定することができる。温水供給装置1は、温水の温度が設定温度に達した場合、介護従事者の操作に応じて、出水金具21を通じて温水を本体シャワーに供給したり、出水金具22を通じて温水をハンドシャワーに供給したりする。温水供給装置1は、温水が設定温度に達しない場合、出水金具23を通じて温水を温水供給装置1の外部に排出する。
【0015】
図2は、筐体10の入水側面の方から見た温水供給装置1の内部構造を示す図である。図3は、筐体10の上方から見た温水供給装置1の内部構造を示す図である。これらの図に示すように、温水供給装置1は、昇圧ポンプ31、昇圧ポンプ32、配管33、配管34、減圧弁35、減圧弁36、混合弁37、および配管38(第1配管)をさらに備えている。これらの部材は、全て筐体10の内部に配置されている。
【0016】
昇圧ポンプ31は、昇圧ポンプ31の内部に供給された流体の圧力を上昇させ、昇圧ポンプ31の外部に排出するポンプである。昇圧ポンプ32は、昇圧ポンプ32の内部に供給された流体の圧力を上昇させ、昇圧ポンプ32の外部に排出するポンプである。昇圧ポンプ31および32は、筐体10の底面に並んで取り付けられている。昇圧ポンプ31は入水金具11に対向する位置に配置されており、昇圧ポンプ32は入水金具12に対向する位置に配置されている。昇圧ポンプ31および32の各入口は筐体10の入水側面の方に向いており、昇圧ポンプ31および32の各出口は筐体10の上面の方に向いている。
【0017】
入水金具11および12は、筐体10の入水側面を貫通して筐体10の内部に延伸している。入水金具11の出口は、温水供給装置1の内部において昇圧ポンプ31の入口に接続されている。入水金具12の出口は、温水供給装置1の内部において昇圧ポンプ32の入口に接続されている。
【0018】
配管33は昇圧ポンプ31の上部に配置されており、配管34は昇圧ポンプ32の上部に配置されている。配管33および34の各入口は筐体10の底面側に位置し、配管33および34の各出口は筐体10の上面側に位置する。配管33および34は、入口から出口に向かって緩く湾曲している。配管33の入口は昇圧ポンプ31の出口に接続されており、配管34の入口は昇圧ポンプ32の出口に接続されている。
【0019】
減圧弁35および36は、減圧弁35および36の内部に供給される流体の圧力を減少させ、減圧弁35および36の外部に排出する弁である。減圧弁35および36は、筐体10の上面に近い位置に配置される支持部材上に取り付けられている。減圧弁35および36の高さ方向の位置は、配管33および34の各出口の位置とほぼ同一である。減圧弁35および36の各入口は、筐体10の入水側面の方を向いており、減圧弁35および36の各出口は、筐体10の入水側面と対向する他の側面の方を向いている。減圧弁35の入口は配管33の出口に接続されており、減圧弁36の入口は配管34の出口に接続されている。
【0020】
混合弁37は温水供給装置1に供給された水およびお湯が合流する弁であり、ここで水とお湯とが混合される。混合弁37の高さ方向の位置は、減圧弁35および36と略同一である。混合弁37は2つの入口を有しており、一方の入口(第1入口)は減圧弁35の出口に接続され、他方の出口(第2入口)は減圧弁36の出口に接続されている。混合弁37の出口は、入水側面と対向する他の側面の方を向いている。
【0021】
図4は、筐体10の入水側面と対向する他の側面の方から見た温水供給装置1の内部構造を示す図である。この図に示すように、温水供給装置1は配管38をさらに備えている。配管38の入口は混合弁37と略同一の位置に配置されており、配管38の出口は、筐体10の底面近くの位置に配置されている。配管38の入口は混合弁37の出口に接続されている。配管38の入口と出口とは、筐体10の高さ方向と平行な直線上にそれぞれ重なる位置にある。しかし配管38は入口から出口に向かって真っ直ぐに延伸するのではなく、全体として出水側面と対向する他の側面に向かって大きく湾曲している。したがって、配管38の略中央位置は、配管38の入口と出口とを結ぶ直線から大きく離れた位置にある。
【0022】
図5は、筐体10の斜め上方から見た温水供給装置1の内部を示す図である。図6は、筐体10の上方から見た温水供給装置1の内部を示す図である。これらの図に示すように、温水供給装置1は、T字配管39、配管40(第2配管)、温度センサ41(第1温度センサ)、温度センサ42(第2温度センサ)、および電磁弁51~53をさらに備えている。これらの部材は、筐体10の内部に配置されている。
【0023】
T字配管39および配管40は、いずれも筐体10の底面上に配置されている。T字配管39は、全体としてアルファベットのT字の形状をしており、入口、封止口、および出口を有する。T字配管39の封止口は、T字配管39の出口に対向している。T字配管39の入口は、封止口と出口とを結ぶ流路部分と直交する流路部分の一端に位置している。T字配管39の入口は配管38の出口に接続されており、T字配管39の封止口は温水供給装置1の内部で封止されており、T字配管39の出口は配管40の入口に接続されている。
【0024】
温度センサ41および42は、温水供給装置1の内部を流れる温水の温度を測定するセンサである。温度センサ41および42は、混合弁37からなるべく遠くに離れた位置に配置されている。温度センサ41および42はさらに、互いに距離を置いて配置されている。温度センサ41および42は、T字配管39を挟んで離れた各位置に配置されている。具体的には、温度センサ41は配管38の出口に近い位置に配置され、温度センサ42は配管40の入口に近い位置に配置されている。言い換えれば、温度センサ41は温水の流路におけるT字配管39の入口よりも上流の位置に配置されており、温度センサ42は温水の流路におけるT字配管39の出口よりも下流の位置に配置されている。
【0025】
配管40は、T字配管39と同一構造でありかつ互いに直列接続される複数のT字配管によって構成されている。配管40は、1つの入口および3つの出口を有する。T字配管39の出口は、配管40の入口に配置されている。出水金具21~23は、筐体10の出水側面を貫通して筐体10の内部に延伸している。出水金具21~23の各入口は、筐体10の内部において、電磁弁51~53を個別に介して配管40の3つの出口に個別に接続されている。
【0026】
電磁弁51~53は、電磁的に開閉可能な弁であり、出水金具21~23から温水を個別に排出するために用いられる。電磁弁51が開くと配管40の内部と出水金具21の内部とが導通し、出水金具21から温水を排出することができる。電磁弁52が開くと配管40の内部と出水金具22の内部とが導通し、出水金具22から温水を排出することができる。電磁弁53が開くと配管40の内部と出水金具23の内部とが導通し、出水金具23から温水を排出することができる。
【0027】
(温水供給装置1の使用方法)
温水供給装置1の使用方法について、以下に説明する。上水道から常温の水が入水金具11を通じて昇圧ポンプ31に供給され、湯沸かし器からお湯が入水金具12を通じて昇圧ポンプ32に供給される。昇圧ポンプ31は、供給された水を昇圧し、配管33に排出する。排出された水は配管33を流れて減圧弁35に送られる。昇圧ポンプ32は、供給されたお湯を昇圧し、配管34に排出する。排出されたお湯は配管40を流れて減圧弁36に送られる。減圧弁35は、減圧弁35の内部に流入した水を減圧して混合弁37に送り、減圧弁36は、減圧弁36の内部に供給されたお湯を減圧して混合弁37に送る。
【0028】
混合弁37は、混合弁37の内部に供給された水とお湯とを混合して温水を作り、配管38に排出する。温水は配管38を流れてT字配管39に流入する。温水はT字配管39を流れた後、配管40に流入する。
【0029】
温水供給装置1は、温度センサ41および42を用いて、温水の流路における異なる位置での温水の温度をそれぞれ測定する。温水供給装置1は、測定した2つの温度のいずれか設定温度を下回る場合、温水を出水金具23から排出する。具体的には、温水供給装置1は電磁弁51および52を閉じると共に、電磁弁53を開く。これにより、温度が十分に高くない温水が出水金具23を通じて温水供給装置1の外部に排出される。
【0030】
温水供給装置1は、測定した2つの温度がいずれも設定温度に達した場合、電磁弁53を閉じることによって、出水金具23からの温水の排出を停止する。これにより、温水供給装置1がシャワー入浴装置に温水を供給する準備が完了する。
【0031】
(シャワー利用手順)
シャワー入浴装置は、本体シャワーおよびハンドシャワーを使用するための図示しない操作パネルを備えている。操作パネルは、本体シャワー用の操作ボタンと、ハンドシャワー用の操作ボタンとを有する。介護従事者は、本体シャワーを使用する場合、本体シャワー用の操作ボタンを押下する。これにより、温水供給装置1は電磁弁51を開くことによって、出水金具21を通じて温水を温水供給装置1の外部に排出する。出水金具21には本体シャワーが接続されているので、本体シャワー用の操作ボタン押下から一定時間が経過すると、本体シャワーに温水が供給される。その結果、本体シャワーから要介護者に対して温水が吐出される。
【0032】
介護従事者は、ハンドシャワーを用いる場合、ハンドシャワー用の操作ボタンを押下する。これにより、温水供給装置1は電磁弁52を開くことによって、出水金具22を通じて温水を排出する。出水金具22にはハンドシャワーが接続されているので、ハンドシャワー用の操作ボタンの押下から一定時間が経過すると、ハンドシャワーに温水が供給される。その結果、ハンドシャワーから要介護者に温水が吐出される。
【0033】
シャワー入浴装置は、本体シャワーおよびハンドシャワーから温水を同時に吐出することできる。介護従事者が本体シャワー用の操作ボタンおよびハンドシャワー用の操作ボタンをいずれも押下した場合、温水供給装置1は、電磁弁51および52をいずれも開く。これにより、本体シャワーおよびハンドシャワーの双方に温水が供給されるので、本体シャワーからもハンドシャワーからも温水が吐出される。
【0034】
温水供給装置1は、温度センサ41によって測定した温水の温度または温度センサ42によって測定した温水の温度が、設定温度に達しない場合、本体シャワー用の操作ボタンまたはハンドシャワー用の操作ボタンが押下されたとしても、電磁弁51および52を開かない。これにより、設定温度に達しない温水が本体シャワーまたはハンドシャワーから要介護者に誤って吐出されることを防止する。
【0035】
(主要な作用効果)
図7は、配管38およびT字配管39の断面を示す断面図である。この図に示すように、配管38内を流れる温水は、T字配管39の入口を通じてT字配管39の内部に流入し、最終的にT字配管39の出口を通じてT字配管39の外部に排出される。T字配管39における温水の流入方向は、T字配管39における温水の排出方向と直交している。温水は、配管38の出口からT字配管39の入口に流入し、それからT字配管39の封止口と出口とを結ぶ流路部分との接続箇所に向かう。温水は接続箇所に到達すると、封止口に向かう流れと、出口に向かう流れとに分岐する。封止口の方に分岐した温水は、そのまま封止口に向かって流れてゆく。封止された出口に分岐した温水は、出口の封止部分に向かって流れ、それから封止部分によって反射されて、出口に向かって流れてゆく。これにより、T字配管39の入口から封止口に向かいそれから出口に向かう渦状の温水の流れが、T字配管39内に生じる。この渦状の流れによって、T字配管39内で温水に乱流が発生する。こうして生じた乱流によってT字配管39内で温水を混ざりやすくすることができる。結果、温水の温度をより効率的に均一化させることができるので、設定通りの温度の温水を素早く得ることができる。
【0036】
図8は、温水の流路を構成する部材の断面を示す断面図である。この図に示すように、温水供給装置1は、内径が異なる複数の配管を備えている。具体的には、混合弁37の出口部分の内径は、配管38の内径と異なっている。また、配管38の内径は、T字配管39の内径と異なっている。さらに、配管40の内径は、出水金具21~23の各内径と互異なっている。混合弁37の出口部分の内径は、混合弁37に接続される配管38の内径よりも小さい。配管38に接続されるT字配管39の内径と、T字配管39に接続される配管40の内径とは、混合弁37の出口部分の内径と同一である。出水金具21~23の内径は、配管38の内径と同一である。
【0037】
混合弁37を出た後の流路内の温水の圧力は、温水が流れる箇所に関わらず一定である。したがって、より内径の大きい配管38を流れる際の温水の流速は、より内径が小さい混合弁37の出口部分を流れる際温水の流速よりも小さい。これにより、温水が混合弁37の出口から配管38に流入する際、温水の流速は減少する。この流速変化によって、配管38の入口付近で温水に乱流が生じるので、温水が乱流によってより混ざりやすくなる。温水供給装置1では、この温水混合促進によって、設定通りの温度の温水を素早く得ることができる。
【0038】
同様に、より内径の大きい出水金具21~23を流れる際の温水の流速は、より内径が小さい配管40を流れる際の温水の流速よりも小さい。これにより、温水が配管40の出口から出水金具21~23の各入口に流入する際、温水の流速は減少する。この流速変化によって、出水金具21~23の各入口付近で温水に乱流が生じるので、温水が乱流によってより混ざりやすくなる。温水供給装置1では、この温水混合促進によっても、設定通りの温度の温水を素早く得ることができる。
【0039】
さらには、より内径の小さいT字配管39を流れる際の温水の流速は、より内径が大きい配管38を流れる際温水の流速よりも大きい。これにより、温水が配管38の出口からT字配管39の入口に流入する際、温水の流速は上昇する。この流速変化によって、T字配管39の入口付近で温水に乱流が生じるので、温水が乱流によってより混ざりやすくなる。温水供給装置1では、この温水混合促進によっても、設定通りの温度の温水を素早く得ることができる。
【0040】
温水供給装置1は、互いに内径が異なる配管38とT字配管39とが接続されて、温水の流路を構成している。これにより、温水の流路をより長くすることができるため、混合弁37から配管38に排出された温水は、長い配管38およびT字配管39によって構成される長い流路内を、より長い時間を掛けて流れる。結果、流路内で温水を時間を掛けてより良く混合することができるので、設定通りの温度の温水を素早く得ることができる。
【0041】
配管38の出口からT字配管39の入口に温水が流入する際、T字配管39の入口の縁部分に流入が邪魔されて、温水の流れに乱れが生じる。この乱れによっても温水に乱流が発生するので、温水はT字配管39の入口付近においてより混ざりやすくなる。この温水混合促進によっても、設定通りの温度の温水を素早く得ることができる。
【0042】
温水供給装置1において、T字配管39は、温水の流路の途中に配置されている。具体的には、T字配管39の配置箇所は、混合弁37から温水が流入する配管38と、出水金具21~23に温水を流す配管40との間にある。これにより、T字配管39内で十分に良く混合された温水をT字配管39から配管40内に流すことができる。
【0043】
従来の一般的な温水供給装置では、混合弁によって作られた温水を、混合弁の後段に配置される温水混合器によってさらに混合することによって、温水の温度を安定させている。したがって従来の温水供給装置には、大きな温水混合器を設置するためのスペースが内部に必要となるため温水供給装置が大型化するという問題がある。一方、本実施形態に係る温水供給装置1では、混合弁37によって作られた温水を、T字配管39によってさらに十分に良く混合することができるので、大きな温水混合器を温水供給装置1の内部に設置する必要がない。これにより、温水混合器を設置するためのスペースが不要になるため、温水供給装置1を小型化することができる。さらには、温水供給装置1は、温水混合器のような大量の水をためる部品を備えていないので、温水供給装置1の内部から水を短時間で抜くことができる。
【0044】
混合弁37の後に配置される配管38が湾曲形状となっている。これにより、配管38を直線形状とする場合に比べて、配管38をより長くすることができる。混合弁37から配管38に排出された温水は、湾曲された長い配管38内を、より長い時間を掛けて流れる。これにより、配管38内で温水を時間を掛けてより良く混合することができるので、設定通りの温度の温水を素早く得ることができる。
【0045】
温度センサ41と温度センサ42とは、T字配管39を挟んで互いに離れた位置に配置されている。温度センサ41および42による各測定温度が互いに設定温度に一致すれば、流路における温度センサ41の位置から温度センサ42の位置までの長い範囲で温水の温度が設定温度に達している。温水供給装置1は、温度センサ41および42の測定温度が一致した場合に温水を出水金具21または22から排出することによって、設定温度に達した温水を確実に排出することができる。
【0046】
(変形例)
温水供給装置1において、T字配管39は、T字配管39の封止口がT字配管39の入口に対向するように、配管38および40に接続されてもよい。この場合、図6に示すT字配管39では入口および出口として用いる各接続口を入れ替える。すなわち、封止口に対向する接続口(図6では出口)を入口として配管38の出口に接続し、残りの接続口(図6では入口)を出口として配管40の入口に接続する。本例でも、T字配管39の入口から封止口に向かいそれから出口に向かう渦状の温水の流れが、T字配管39内に生じる。この渦状の流れによって、T字配管39内で温水に乱流が発生する。こうして生じた乱流によってT字配管39内で温水を混ざりやすくすることができる。結果、温水の温度をより効率的に均一化させることができるので、設定通りの温度の温水を素早く得ることができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る温水供給装置は、水が流入する第1入口と、お湯が流入する第2入口と、前記水と前記お湯とが混合された温水を排出する出口とを有する混合弁と、前記混合弁の出口に接続される入口と、出口とを有する第1配管と、T字配管であって、前記第1配管の出口に接続される入口と、出口と、前記T字配管の入口または前記T字配管の出口に対向しかつ封止される封止口とを有する前記T字配管と、前記T字配管の出口に接続される入口と、出口とを有する第2配管とを備えている構成である。
【0047】
本発明の態様2に係る温水供給装置は、前記の態様1において、前記第1配管の内径と、前記T字配管の内径とが互いに異なっている構成としてもよい。
【0048】
本発明の態様3に係る温水供給装置は、前記の態様1または2において、前記第2配管の出口に接続される入口と、前記温水供給装置の外部に露出する出口とを有する出水金具をさらに備えており、前記第2配管の内径と、前記出水金具の内径とが互いに相違する構成としてもよい。
【0049】
本発明の態様4に係る温水供給装置は、前記の態様1~3のいずれかにおいて、前記T字配管を挟んで離れた各位置に配置される第1温度センサおよび第2温度センサをさらに備えている構成としてもよい。
【0050】
本発明の態様5に係る温水供給装置は、前記の態様1~3のいずれかにおいて、前記第2配管は、前記T字配管と同一構造でありかつ互いに直列接続される複数のT字配管によって構成される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 温水供給装置
10 筐体
11、12 入水金具
21、22、23 出水金具
31、32 昇圧ポンプ
33、34、38、40 配管
35、36 減圧弁
37 混合弁
39 T字配管
41、42 温度センサ
51、52、53 電磁弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8