(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121953
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】座席設計装置、座席設計方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20220815BHJP
E04H 3/12 20060101ALI20220815BHJP
E04H 3/14 20060101ALI20220815BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20220815BHJP
【FI】
G06F17/50 634C
E04H3/12 Z
E04H3/14 C
G06F17/50 612Z
G06F17/50 610C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018962
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】田中 望
(72)【発明者】
【氏名】坂井 和秀
(72)【発明者】
【氏名】鼻戸 隆志
(72)【発明者】
【氏名】大橋 一智
(72)【発明者】
【氏名】及川 直哉
(72)【発明者】
【氏名】佐野 穂高
(72)【発明者】
【氏名】笹村 佳央
【テーマコード(参考)】
5B046
5B146
【Fターム(参考)】
5B046AA03
5B046BA05
5B046DA08
5B046FA16
5B046JA01
5B146AA04
5B146DE06
5B146DJ00
5B146FA02
(57)【要約】
【課題】施設における座席の設計を視認性の観点から効率よく行えるようにする。
【解決手段】施設において観客が観察対象とする観察対象エリアを設定し、観察対象エリアと、座席が配置される座席エリアの最前列に対応する座席前列形状を設定し、観察対象エリアと座席前列形状との位置関係を設定し、観察対象エリアにおいて1以上の注視点を設定し、設定された注視点を起点として座席エリアを前後方向に通過する直線を含む垂直面における座席の列によるスタンド断面形状を生成し、生成されたスタンド断面形状に含まれる座席ごとに対応して、設定された注視点に対する視界評価値を算出するようにして座席設計装置を構成する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観客を収容する施設における観客の座席のレイアウトを設計する座席設計装置であって、
前記施設において観客が観察対象とする観察対象エリアを設定する観察対象エリア設定部と、
前記観察対象エリアと、座席が配置される座席エリアの最前列に対応する座席前列形状を設定する座席前列形状設定部と、
前記観察対象エリアと座席前列形状との位置関係を設定する位置関係設定部と、
前記観察対象エリアにおいて1以上の注視点を設定する注視点設定部と、
設定された注視点を起点として前記座席エリアを前後方向に通過する直線を含む垂直面における座席の列によるスタンド断面形状を生成するスタンド断面形状生成部と、
生成されたスタンド断面形状に含まれる座席ごとに対応して、前記設定された注視点に対する視界評価値を算出する視界評価値算出部と
を備える座席設計装置。
【請求項2】
生成された前記スタンド断面形状を前記座席エリアの全体に展開した座席基準線を生成する座席基準線生成部と、
入力された所定の座席レイアウト生成パラメータに基づいて、前記座席基準線に対して座席レイアウトを生成する座席レイアウト生成部とをさらに備える
請求項1に記載の座席設計装置。
【請求項3】
前記座席レイアウト生成部は、指定座席数と座席間隔とを含むパラメータの指定に応じて、前記座席基準線に対して座席レイアウトを生成する
請求項2に記載の座席設計装置。
【請求項4】
前記座席レイアウト生成部は、さらに座席エリアに設けられる通行部位の指定に応じて、前記座席基準線に対して座席レイアウトを生成する
請求項3に記載の座席設計装置。
【請求項5】
前記座席レイアウトが反映された三次元画像を生成する
三次元画像を生成する画像生成部をさらに備える
請求項2から4のいずれか一項に記載の座席設計装置。
【請求項6】
観客を収容する施設における観客の座席のレイアウトを設計する座席設計装置における座席設計方法であって、
観察対象エリア設定部が、前記施設において観客が観察対象とする観察対象エリアを設定する観察対象エリア設定ステップと、
座席前列形状設定部が、前記観察対象エリアと、座席が配置される座席エリアの最前列に対応する座席前列形状を設定する座席前列形状設定ステップと、
位置関係設定部が、前記観察対象エリアと座席前列形状との位置関係を設定する位置関係設定ステップと、
注視点設定部が、前記観察対象エリアにおいて1以上の注視点を設定する注視点設定ステップと、
スタンド断面形状生成部が、設定された注視点を起点として前記座席エリアを前後方向に通過する直線を含む垂直面における座席の列によるスタンド断面形状を生成するスタンド断面形状生成ステップと、
視界評価値算出部が、生成されたスタンド断面形状に含まれる座席ごとに対応して、前記設定された注視点に対する視界評価値を算出する視界評価値算出ステップと
を備える座席設計方法。
【請求項7】
観客を収容する施設における観客の座席のレイアウトを設計する座席設計装置としてのコンピュータを、
前記施設において観客が観察対象とする観察対象エリアを設定する観察対象エリア設定部、
前記観察対象エリアと、座席が配置される座席エリアの最前列に対応する座席前列形状を設定する座席前列形状設定部、
前記観察対象エリアと座席前列形状との位置関係を設定する位置関係設定部、
前記観察対象エリアにおいて1以上の注視点を設定する注視点設定部、
設定された注視点を起点として前記座席エリアを前後方向に通過する直線を含む垂直面における座席の列によるスタンド断面形状を生成するスタンド断面形状生成部、
生成されたスタンド断面形状に含まれる座席ごとに対応して、前記設定された注視点に対する視界評価値を算出する視界評価値算出部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席設計装置、座席設計方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スタジアムにおいて、観客が競技エリアを見やすいように、座席の列を段階的に上昇させた高さに位置付けることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記スタジアムや劇場等の施設における観客の座席は競技エリアや舞台等の観察対象ができるだけ見やすくなるように設計されることが好ましい。そして、設計段階においては、視認性の観点のもとで効率よく座席のレイアウトを設定できるようにすることが求められる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、施設における座席の設計を視認性の観点から効率よく行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、観客を収容する施設における観客の座席のレイアウトを設計する座席設計装置であって、前記施設において観客が観察対象とする観察対象エリアを設定する観察対象エリア設定部と、前記観察対象エリアと、座席が配置される座席エリアの最前列に対応する座席前列形状を設定する座席前列形状設定部と、前記観察対象エリアと座席前列形状との位置関係を設定する位置関係設定部と、前記観察対象エリアにおいて1以上の注視点を設定する注視点設定部と、設定された注視点を起点として前記座席エリアを前後方向に通過する直線を含む垂直面における座席の列によるスタンド断面形状を生成するスタンド断面形状生成部と、生成されたスタンド断面形状に含まれる座席ごとに対応して、前記設定された注視点に対する視界評価値を算出する視界評価値算出部とを備える座席設計装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、観客を収容する施設における観客の座席のレイアウトを設計する座席設計装置における座席設計方法であって、観察対象エリア設定部が、前記施設において観客が観察対象とする観察対象エリアを設定する観察対象エリア設定ステップと、座席前列形状設定部が、前記観察対象エリアと、座席が配置される座席エリアの最前列に対応する座席前列形状を設定する座席前列形状設定ステップと、位置関係設定部が、前記観察対象エリアと座席前列形状との位置関係を設定する位置関係設定ステップと、注視点設定部が、前記観察対象エリアにおいて1以上の注視点を設定する注視点設定ステップと、スタンド断面形状生成部が、設定された注視点を起点として前記座席エリアを前後方向に通過する直線を含む垂直面における座席の列によるスタンド断面形状を生成するスタンド断面形状生成ステップと、視界評価値算出部が、生成されたスタンド断面形状に含まれる座席ごとに対応して、前記設定された注視点に対する視界評価値を算出する視界評価値算出ステップとを備える座席設計方法である。
【0008】
観客を収容する施設における観客の座席のレイアウトを設計する座席設計装置としてのコンピュータを、前記施設において観客が観察対象とする観察対象エリアを設定する観察対象エリア設定部、前記観察対象エリアと、座席が配置される座席エリアの最前列に対応する座席前列形状を設定する座席前列形状設定部、前記観察対象エリアと座席前列形状との位置関係を設定する位置関係設定部、前記観察対象エリアにおいて1以上の注視点を設定する注視点設定部、設定された注視点を起点として前記座席エリアを前後方向に通過する直線を含む垂直面における座席の列によるスタンド断面形状を生成するスタンド断面形状生成部、生成されたスタンド断面形状に含まれる座席ごとに対応して、前記設定された注視点に対する視界評価値を算出する視界評価値算出部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、施設における座席の設計を視認性の観点から効率よく行えるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態における座席設計装置の構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態における座席設計装置が座席の設計に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【
図3】本実施形態における座席設計装置が座席の設計に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態におけるフィールド設定画像の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態における位置関係設定画像の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態における注視点設定画像の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態における手摺・腰壁設定画像の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態におけるスタンド断面形状の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態における視界評価画像の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態における座席基準線を説明する図である。
【
図11】本実施形態における座席レイアウト画像の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態におけるボマトリー設定を説明する図である。
【
図13】本実施形態における通用口設定を説明する図である。
【
図14】本実施形態におけるスタンドの3D画像の一例を示す図である。
【
図15】本実施形態における距離性評価画像の一例を示す図である。
【
図16】本実施形態における方向性評価画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態の座席設計装置100の機能構成例を示している。本実施形態の座席設計装置100は、スタジアム(施設の一例)における観客の座席の設計を行うことができる。
同図に示される座席設計装置100の機能は、座席設計装置100において備えられるCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより実現される。このようなプログラムは、具体的には、本実施形態の座席設計の機能を提供するアプリケーションプログラムであってよい。
【0012】
同図の座席設計装置100は、設計処理部101、記憶部102、操作部103、表示部104を備える。
【0013】
設計処理部101は、座席の設計に関する処理を実行する。設計処理部101は、観察対象エリア設定部111、座席前列形状設定部112、位置関係設定部113、注視点設定部114、スタンド断面形状生成部115、視界評価値算出部116、座席基準線生成部117、座席レイアウト生成部118、視認性評価部119、画像生成部120、及びオプション評価部121を備える。
【0014】
観察対象エリア設定部111は、スタジアムにおけるフィールド(観察対象エリアの一例)としてのエリアを設定する。フィールドは、例えばコート、ピッチ等とも呼ばれるもので、競技が行われるエリアである。競技フィールドの範囲は規定のラインによって定められる。具体的に、バスケットボールの種目であれば、互いに平行な2本のサイドラインと互いに平行な2本のエンドラインとによって形成される長方形のコートが競技フィールドとなる。また、サッカーの種目であれば、互いに平行な2本のタッチラインと互いに平行な2本のゴールラインとによって形成される長方形のフィールドが競技フィールドとなる。
【0015】
座席前列形状設定部112は、スタジアムにおけるスタンド形状(座席前列形状の一例)を設定する。スタンド形状は、座席が配置される座席エリア(スタンド)における最前列の座席群に対応して形成される形状である。
【0016】
位置関係設定部113は、観察対象エリア設定部111により設定されたフィールドと座席前列形状設定部112により設定されたスタンド形状との位置関係を設定する。
【0017】
注視点設定部114は、注視点を設定する。注視点は、フィールドにおける任意の点であり、座席の設計にあたり座席にて着座している観客が注視するものとして設定される点である。
【0018】
スタンド断面形状生成部115は、スタンド断面形状を生成する。スタンド断面形状生成部115は、設定された注視点を起点とするスタンドの段ごとの視座に応じたスタンドの高さや蹴上寸法を算出する。スタンド断面形状生成部115は、算出したスタンドの高さや蹴り上げ寸法が反映されたスタンドの断面の形状(スタンド断面形状)を生成する。
【0019】
視界評価値算出部116は、スタンド断面形状に含まれる座席ごとに対応する視界評価値を算出する。視界評価値は、座席からの視界の良好性を評価する値である。本実施形態において、1の座席に対応する視界評価値は、当該座席にて設定された観客の目の位置から注視点を注視した場合の視界を評価するものとなる。このような視界評価値として、具体的には、例えばC-VALUE(C値)を用いることができる。
C-VALUE(C値)は、一般に「視線の品質」とも呼ばれるもので、前列に座る観客の頭越しに見える視界のクオリティ(品質)についての評価値とされ、観客の視線と前列の観客の目からの垂直距離に対応する値を示す。
【0020】
座席基準線生成部117は、座席基準線を生成する。座席基準線生成部117は、スタンド断面形状生成部115により生成されたスタンド断面形状をスタンドの全体に展開することで座席基準線を生成する。
【0021】
座席レイアウト生成部118は、座席基準線生成部117により生成された座席基準線に対して座席を設定した座席レイアウトを生成する。
【0022】
視認性評価部119は、視認性評価として、座席レイアウト生成部118により生成された座席レイアウトにおける各座席からの視線(視点と注視点を結ぶ直線)が障害物に衝突するか否かを判定する。
【0023】
画像生成部120は、座席設計の処理結果が反映された画像を生成し、表示部104に表示する。画像生成部120は、座席レイアウト生成部118により生成された座席レイアウトが反映された三次元画像(3D画像)を生成し、生成した三次元画像を表示部104に表示することができる。
【0024】
オプション評価部121は、オプション評価を行う。オプション評価については後述する。
【0025】
記憶部102は、座席設計に関する情報を記憶する。記憶部102は、フィールドデータ記憶部125を備える。フィールドデータ記憶部125は、例えばサッカー、野球、バスケットボール、ラグビー、テニス等のように種目ごとに対応して定められたフィールドのデータ(フィールドデータ)を記憶する。なお、例えば種目によっては、フィールドに代えて、コート、ピッチなどと呼ばれる場合があるが、以降においては、説明の便宜上、フィールドで統一して説明する。
【0026】
操作部103は、オペレータが操作に用いる入力デバイス等を一括して示す。
表示部104は、画像を表示する。
なお、操作部103としてタッチパネルとして構成された表示部104が含まれてもよい。
【0027】
図2、
図3のフローチャートを参照して、上記構成による座席設計装置100が座席の設計に対応して実行する処理手順例について説明する。また、処理手順例の説明の流れにおいて、適宜、
図4~
図14を参照して説明する。
【0028】
ステップS101:座席設計装置100において、観察対象エリア設定部111は、オペレータがフィールドを設定する操作(フィールド設定操作)に応じて、フィールドを設定する。
図示は省略するが、表示部104においては、フィールド設定操作が行われる操作画面が表示される。オペレータは、フィールド設定操作が行われる操作画面に対して、フィールドデータ記憶部125に記憶されるフィールドデータのうちから、座席設計に際して前提とする種目に応じたフィールドデータを選択する操作を行うことができる。観察対象エリア設定部111は、選択されたフィールドデータを用いてフィールドを設定する。
【0029】
画像生成部120は、オペレータのフィールド設定操作に応じたフィールドFLDの設定結果を示すフィールド設定画像生成し、生成したフィールド設定画像を表示部104に表示させる。
図4は、フィールド設定画像の一例を示している。同図では、フィールド設定操作によりバスケットコートのフィールドが選択されたことに応じて、フィールド設定画像においてバスケットコートのフィールドFLDが表示された例が示されている。例えば、フィールド設定操作によってサッカーのフィールドが選択された場合には、フィールド設定画像においてサッカーのフィールドFLDが表示される。
フィールドは、種目に応じて寸法が定められている。オペレータがフィールド設定操作によりフィールドを選択することは、スタンドの観客が観察するエリア範囲を設定することに相当する。
【0030】
ステップS102:説明を
図2に戻す。フィールドを設定した後、オペレータは、スタンド断面形状設定操作と空き距離設定操作とを行う。
スタンド断面形状設定操作は、スタンド形状を設定する操作である。ここでのスタンド形状は、スタンドにおける最前列の座席により形成される形状をいう。空き領域設定操作は、観察対象エリア設定部111により設定されたフィールドとスタンド形状との間の距離を設定する操作である。
【0031】
表示部104には、スタンド断面形状設定操作と空き距離設定操作とが可能とされた操作画面が表示される。なお、スタンド断面形状設定操作と空き領域設定操作とは、それぞれに対応する操作画面が同一画面にて表示されることで、同時並行して行うことが可能とされてよい。スタンド席断面形状設定操作と空き距離設定操作によっては、フィールドとスタンドとの位置関係が設定されることから、スタンド断面形状設定操作と空き距離設定操作とを合わせて位置関係設定操作ともいう。
【0032】
画像生成部120は、オペレータの位置関係設定操作によるフィールドとスタンド形状との位置関係の設定結果を示す位置関係設定画像を生成し、生成した位置関係設定画像を表示部104に表示させる。
図5は、位置関係設定画像の一例を示している。同図の位置関係設定画像においては、にフィールドFLDに対して、スタンド断面形状設定操作により設定された形状によるスタンド形状STD(座席前列形状の一例)が配置されている。
同図の場合には、空き距離設定操作として、フィールドFLDの外縁を形成するサイドラインとエンドラインのそれぞれに対応して、スタンド形状STDのラインまでの空き距離Dx、Dyを設定可能とされた例に対応する。フィールドFLDに対して、スタンド形状STDは、設定された空き距離Dx、Dyを隔てて配置されるようにして表示される。
【0033】
ステップS103:オペレータは、ステップS101により設定されたフィールドFLDに対して注視点を設定する操作(注視点設定操作)を行う。オペレータは、注視点設定操作により、フィールドFLDにおける任意の位置に対して注視点を設定することができる。また、オペレータは、注視点設定操作により、例えばフィールドFLDとスタンド形状STDのラインとの間のスペースにおける任意の位置に対しても注視点を設定可能とされてよい。
また、オペレータは、注視点設定操作により複数の注視点を設定することが可能である。
注視点設定部114は、注視点設定操作により指定された位置に注視点を設定する。
【0034】
表示部104には、注視点設定操作が行われる操作画面が表示される。注視点設定操作の操作画面は、「タッチライン」上に注視点を設定する操作が可能とされている。注視点設定操作に対応して定義されるタッチラインは、フィールドの外縁における長手方向のラインだけではなく、短手方向のラインも含まれる。
座席にて観戦する観客の視界として、当該観客に最も近いフィールドの外縁のラインまでが見えるように視界が確保されていることを要件とする考え方を採ることができる。このため、注視点設定操作に対応する操作画面は、フィールドの外縁のライン上に対して容易に注視点を設定する操作が可能なようにされてよい。
【0035】
画像生成部120は、オペレータの注視点設定操作による注視点の設定結果を示す注視点設定画像を生成し、生成した注視点設定画像を表示部104に表示させる。
図6は、注視点設定画像の一例を示している。同図においては、フィールドFLDにおける2本のエンドラインのうち1本の中央の位置に対して1つの注視点Pgが設定された例が示されている。
【0036】
ステップS104:オペレータは、スタンド形状のラインに沿って配置される手摺・腰壁について設定する操作(手摺・腰壁設定操作)を行うことができる。
表示部104には、手摺・腰壁設定操作が行われる操作画面が表示されてよい。手摺・腰壁設定操作の操作画面に対する操作によっては、手摺の高さ、腰壁の高さ、腰壁の厚さを設定することができる。
画像生成部120は、オペレータの手摺・腰壁設定操作による手摺と腰壁の設定結果を示す手摺・腰壁設定画像を生成し、生成した手摺・腰壁設定画像を表示部104に表示させる。
図7は、手摺・腰壁設定画像の一例を示している。手摺・腰壁設定画像においては、手摺hdrと腰壁stwとが表示される。手摺hdrと腰壁stwは、手摺・腰壁設定操作により設定された高さ、厚さ等が反映されるようにして状態が変化する。
【0037】
ステップS104までに対応する操作の後、オペレータは、スタンド断面形状設定操作を行う。
スタンド断面形状設定操作は、スタンド断面形状を設定する操作である。スタンド断面形状は、
図8に示すように、ステップS103により設定された注視点Pgを起点としてスタンドに延伸させた直線Lに対して垂直な面にて形成されるスタンドの断面が示す形状である。同図では、1階席に対応するスタンド断面形状CSと、当該1階席の上層部(2階席)に対応するスタンド断面形状CSとが形成された例が示されている。
スタンド断面形状の設定は、第1手法と第2手法との2つの手法がある。オペレータは、第1手法と第2手法とのいずれか一方を適宜任意に選択してスタンド断面形状設定操作を行うことができる。
第1手法は、段数、最前列目の高さ、スタンドの踏面寸法、蹴上寸法、横通路の5つのパラメータを設定することにより、スタンド断面形状を設定する手法である。横通路については、例えば設置される段数の位置と幅等を設定することができる。
第2手法は、段数、視界評価値、最前列目の高さ、スタンドの踏面寸法、横通路の5つのパラメータを設定することにより、スタンド断面形状を設定する手法である。第2手法では、第1手法における蹴上寸法に代えて視界評価値が用いられる。この場合の視界評価値は、スタンド断面形状において形成された座席ごとに定めた視座(目の位置)の視点をステップS103により設定された注視点Pgとして算出されるものとなる。第2手法では視界評価値の設定に追随して蹴上寸法が変更される。
また、第1手法と第2手法のいずれにおいても、1の階層の上層に座席を追加するように設けていくことができる。
【0038】
また、図示は省略するが、表示部104においては操作画面としてスタンド断面形状設定操作が行われる操作画面が表示される。スタンド断面形状設定操作の操作画面は、第1手法に対応するパラメータを変更可能な操作画面と、第2手法に対応するパラメータを変更可能な操作画面とを含む。
【0039】
ステップS105:第1手法に対応するスタンド断面形状設定操作の操作画面に対してスタンド断面形状設定操作が行われた場合、スタンド断面形状生成部115は、当該スタンド断面形状設定操作により設定された段数、最前列目の高さ、スタンドの踏面寸法、蹴上寸法、横通路に従ってスタンド断面形状を生成する。
【0040】
ステップS106:第2手法に対応するスタンド断面形状設定操作の操作画面に対してスタンド断面形状設定操作が行われた場合、スタンド断面形状生成部115は、当該スタンド断面形状設定操作により設定された段数、最前列目の高さ、視界評価値、スタンドの踏面寸法、横通路に従ってスタンド断面形状を生成する。
【0041】
また、スタンド断面形状生成部115は、ステップS105、S106のそれぞれにおいて、生成したスタンド断面形状において形成された座席に定めた視座ごとに注視点Pgまでの視線(視点と注視点Pgを結ぶ直線)を生成する。
【0042】
画像生成部120は、ステップS105またはステップS106により生成されたスタンド断面形状を表示部104に表示させる。
【0043】
ステップS107:ステップS105またはステップS106によりスタンド断面形状が生成されると、オペレータは、表示部104にて表示されたスタンド断面形状が想定通り(OK)であるか否かを判断する。また、オペレータは、座席ごとに生成した視線が、ステップS104により生成した手摺・腰壁に衝突するか否かを判断してもよい。これは、生成された手摺・腰壁により遮られることなく、座席の観客が注視点Pgを観察可能か否かを判断するものである。オペレータは、スタンド断面形状が想定通りではないと判断した場合には、再度、スタンド断面形状生成に戻すための操作を行う。
一方、オペレータは、スタンド断面形状が想定通りであると判断した場合には、スタンド断面形状がOKであることを確認する操作(次の視界評価段階に移行させるため操作であってもよい)を行う。
スタンド断面形状生成部115は、生成されたスタンド断面形状を表示させた状態において、オペレータによる操作として、スタンド断面形状がOKであることを確認する操作とスタンド断面形状生成の段階に戻す操作とのいずれが行われるのかを判定する。
スタンド断面形状生成の段階に戻す操作が行われた場合には、ステップS105またはステップS106に対応するスタンド断面形状生成のための処理に戻る。これにより、オペレータは、再度、スタンド断面形状設定操作を行うことで、スタンド断面形状を生成し直すことができる。
なお、例えば、想定するスタンド断面形状に対応して必要な条件(パラメータ)に基づくスタンド断面形状情報を記憶部102に記憶させておいてよい。そのうえで、ステップS107として、スタンド断面形状生成部115は、生成されたスタンド断面形状とスタンド断面形状情報とを比較した結果に基づいて、スタンド断面形状がOKであるか否か(及び座席ごとに生成した視線がステップS104により生成した手摺・腰壁に衝突するか否か)を判定してもよい。
この場合、スタンド断面形状生成部115は、スタンド断面形状がOKであると判定された場合には、次のステップS108に対応する段階に処理を移行させ、スタンド断面形状がOKでないと判定された場合には、例えばスタンド断面形状がOKではない旨のエラー報知等を行ったうえで、ステップS105またはステップS106に対応するスタンド断面形状生成の段階に戻すようにされる。
【0044】
ステップS108:スタンド断面形状がOKであることを確認する操作が行われた場合、視界評価値算出部116は、視界評価段階に移行する。つまり、視界評価値算出部116は、生成されたスタンド断面形状において形成された座席ごとの視界評価値を算出する。この場合にも、視界評価値算出部116は、座席に設定された視線と前列の観客の目からの垂直距離(C-VALUE)としての視界評価値を算出する。
【0045】
画像生成部120は、ステップS108による視界評価値の算出結果を示す視界評価画像を表示部104に表示させる。
図9は、視界評価画像の一例を示している。同図の視界評価画像においては、スタンド断面形状CSにおいて形成された座席ごとに設定された視座Pvを起点として注視点Pgにまで至る(注視点Pgは同図の範囲外となっている状態である)視点に応じた視線Lvとが表示されている。
また、視界評価画像においては、拡大指定エリアARrmが配置される。拡大指定エリアARrmは、オペレータの操作により視界評価画像において移動可能とされている。拡大指定エリアARrmに含まれる範囲は、拡大エリアARexにて拡大表示される。拡大エリアARexにおいては、当該拡大エリアARexに含まれる視座Pvに対応して算出された視界評価値が示される。
オペレータは、このような視界評価画像により、視界評価値が要件を満たしているか否かを判断できる。つまり、オペレータは、スタンド断面形状により形成された座席のそれぞれが要件とする視界が確保されているか否かを判断できる。
【0046】
ステップS109:オペレータは、スタンド断面形状について要件とする視界が確保されている(評価結果OK)と判断した場合には、評価結果OKであることを確認する操作を行う。一方、要件とする視界が確保されていないと判定した場合、オペレータは、スタンド断面形状生成に戻す操作を行う。
視界評価値算出部116は、視界評価画像を表示させた状態において、オペレータによる操作として、視界が確保されていることを確認する操作とスタンド断面形状生成に戻す操作とのいずれが行われるのかを判定する。
スタンド断面形状生成に戻す操作が行われた場合には、ステップS105またはステップS106に対応するスタンド断面形状生成のための処理に戻る。
なお、スタンド断面形状について要件とする視界が確保されている状態に対応する各座席の視界評価値の情報(目標視界評価値情報)を記憶部102に記憶させておいてよい。そのうえで、ステップS109として、視界評価値算出部116は、目標視界評価値情報と算出した視界評価値とを比較した結果に基づいて、評価結果OKであるか否かを判定してよい。この場合、視界評価値算出部116は、評価結果OKであると判定された場合には、次のステップS110に対応する段階に処理を移行させ、評価結果OKでないと判定された場合には、算出された視界評価値がOKではない旨のエラー報知等を行ったうえで、ステップS105またはステップS106に対応するスタンド断面形状生成の段階に戻すようにされる。この場合のエラー報知においては、目標視界評価値を満足しなかった座席や当該座席について算出された視界評価値を表示等により出力するようにされてもよい。
【0047】
ステップS110:評価結果OKであることを確認する操作が行われた場合、座席基準線生成部117は、座席基準線を生成する。
図10を参照して、座席基準線について説明する。同図においては、フィールドFLDにおける1本のエンドラインの中央に設定された注視点Pgに対応して生成されたスタンド断面形状CSが示されている。座席基準線生成部117は、同図のように生成されたスタンド断面形状を、スタンド形状に沿って周回させるように展開させる。これにより、同図のようにして、スタンド形状STDを最前列とするスタンドエリアASTにおいて座席のレイアウトの基準となる線が周回するようにして座席基準線が生成される。スタンドエリアASTの座席基準線においては、スタンド断面形状の生成に際して設定された横通路SPSが反映されている。
【0048】
画像生成部120は、ステップS110による座席基準線の生成結果を示す座席基準線画像を表示部104に表示させる。座席基準線画像は、例えば
図10と同様に3D画像による態様とされてよい。
【0049】
ステップS111:ステップS110により座席基準線が生成された段階においては、席の段数ごとの踏面寸法と蹴上寸法は定まっているが、未だどのように座席を配置(レイアウト)するのかは設定されていない。
そこで、オペレータは、座席基準線に対して座席をレイアウトするための操作(座席レイアウト操作)を行う。図示は省略するが、表示部104においては座席レイアウト操作のための操作画面が表示される。
座席レイアウト操作としては、例えば指定座席数、座席間隔、縦通路(通行部位の一例)の3つのパラメータを指定することができる。オペレータは、例えば、座席レイアウト操作の操作画面に対して、指定座席数、座席間隔、縦通路を指定する操作を行うようにされる。なお、当該座席レイアウト操作により、縦通路とともに横通路についても通行部位として指定可能とされてよい。この際、座席レイアウト生成部118は、例えば火災予防条例等の所定の法令に応じた基準を満たすようにして、座席レイアウトを設定するようにされてもよい。
【0050】
ステップS112:座席レイアウト生成部118は、座席レイアウト操作により指定されたパラメータ(指定座席数、座席間隔、縦通路)を座席基準線に対して反映させるようにして、座席レイアウトを生成する。
【0051】
画像生成部120は、ステップS112による座席レイアウトの生成結果を示す座席レイアウト画像を表示する。
図11は、座席レイアウト画像の一例を示している。同図の座席レイアウト画像は3D画像とされている。同図の座席レイアウト画像におけるスタンドエリアASTにおいては、座席基準線を基として座席が設定された状態となっている。また、横通路SPSとともに、ステップS111による縦通路VPSの設定結果も反映されている。
【0052】
ステップS113:オペレータは、表示部104にて表示された座席レイアウト画像を見て、スタンドの座席レイアウトが想定通り(OK)であるか否かを判断する。オペレータは、座席レイアウトが想定通りではないと判断した場合には、再度、座席レイアウト操作を行う。
一方、オペレータは、座席レイアウトが想定通りであると判断した場合には、座席レイアウトがOKであることを確認する操作(次の集団規定条件入力段階に移行させるため操作であってもよい)を行う。
座席レイアウト生成部118は、座席レイアウト画像を表示させた状態において、オペレータによる操作として、座席レイアウトがOKであることを確認する操作と座席レイアウト生成に戻す操作とのいずれが行われるのかを判定する。
座席レイアウト生成に戻す操作が行われた場合には、ステップS111の処理に戻る。これにより、オペレータは、再度、座席レイアウト操作を行うことで、座席レイアウトを生成し直すことができる。
なお、想定している座席レイアウトを示す情報(目標座席レイアウト情報)を記憶部102に記憶させておいてよい。そのうえで、ステップS113として、座席レイアウト生成部118は、目標座席レイアウト情報と生成された座席レイアウトとを比較した結果に基づいて、生成された座席レイアウトがOKであるか否かを判定してよい。この場合、座席レイアウト生成部118は、生成された座席レイアウトがOKであると判定された場合には、次のステップS114に対応する段階に処理を移行させ、座席レイアウトがOKでないと判定された場合には、生成された座席レイアウトがOKではない旨のエラー報知等を行ったうえで、ステップS111に対応する座席レイアウト操作が可能な段階に戻すようにされる。
【0053】
ステップS114:座席レイアウトがOKであることを確認する操作が行われたと判定された場合、座席レイアウト生成部118は、制限条件を入力する。制限条件は、集団規定(日影規制、壁面制限等)のように法により定められた規定である。
座席レイアウト生成部118は、オペレータの操作により指定された制限条件を入力してもよいし、記憶部102において設計対象のスタジアムに適用された制限条件のデータを入力してもよい。
【0054】
ステップS115:座席レイアウト生成部118は、ステップS114により入力された制限条件が反映されるように座席レイアウトを変更する。例えば、座席レイアウト生成部118は、制限条件として入力された日影規制により設置が不可となる座席を削除するようにして座席レイアウトを変更することができる。
【0055】
ステップS116:また、オペレータは、座席レイアウトが生成されたスタンドに対してボマトリー(通行部位の一例)を設定する操作(ボマトリー設定操作)を行うことができる。オペレータは、例えばボマトリー設定操作として操作画面に対する操作を行うことで、ボマトリー設定に応じた所定のパラメータを指定することができる。ボマトリー設定操作により指定可能なパラメータとしては、例えば、ボマトリーとつながる横通路(ボマトリーを設けるスタンドの階層に相当)、ボマトリーのサイズ(幅、高さ)等である。
座席レイアウト生成部118は、ボマトリー設定操作により指定されたパラメータが反映されたボマトリーを設けるようにして座席レイアウトを変更する。この際、座席レイアウト生成部118は、例えば火災予防条例等の所定の法令に応じた基準を満たすようにして、ボマトリーを設定するようにされてもよい。例えば、座席レイアウト生成部118は、法令により規定されるボマトリー間距離を確保するとともに、横通路と縦通路とにより区分される座席の区画の横方向において中央または縦通路に配置されるようにしてボマトリーの位置を設定してよい。また座席基準線において任意の点に配置されようにしてボマトリーの位置を設定してよい。
図12は、上記のようにして行われたボマトリーの設定結果を、平面方向により示している。同図においては、設定されたボマトリーBMTの部分における座席が削除されるようにして座席レイアウトが変更されている。
画像生成部120は、ボマトリーの設定に応じた座席レイアウトの変更結果が反映された座席レイアウト画像を表示させることができる。この際、
図12のように平面方向からスタンドを見た座席レイアウト画像が表示されるようにしてよい。
【0056】
ステップS117:また、オペレータは、座席レイアウトが生成されたスタンドに対して通用口(通行部位の一例)を設定する操作(通用口設定操作)を行うことができる。
オペレータは、例えば通用口設定操作として、通用口設定に応じた操作画面に対して操作を行うことで、通用口を設定することができる。
座席レイアウト生成部118は、例えば
図13に示されるように、通用口設定操作による通用口の設定結果が反映されるようにして座席レイアウトを変更する。同図においては、ステップS116により設定されたボマトリーBMTに加えて、当該ステップS117により設定された車両出入口としての通用口の部分における座席が削除されるようにして座席レイアウトが変更されている。
画像生成部120は、通用口の設定に応じた座席レイアウトの変更結果が反映された座席レイアウト画像を表示させることができる。この際、
図13のように平面方向からスタンドを見た座席レイアウト画像が表示されるようにしてよい。
【0057】
ステップS118:画像生成部120は、ステップS114~ステップS117による変更結果が反映された座席レイアウトによるスタンドの3D画像を生成する。画像生成部120は、生成された3D画像を表示部104に表示させる。
図14は、表示された3D画像の一例を示している。
【0058】
ステップS119:オペレータは、表示された座席レイアウトの3D画像を見ることで、最終的な座席レイアウトが想定通り(OK)であるか否かを判断することができる。オペレータは、座席レイアウトが想定通りでないと判断した場合には、座席レイアウト操作に戻るか、フィールド設定の操作に戻ることができる。オペレータが座席レイアウト操作に戻ることに応じては、ステップS111に処理が戻される。オペレータがフィールド設定操作に戻ることに応じては、ステップS101に処理が戻される。
なお、ステップS105またはステップS106に対応するスタンド断面形状設定操作に戻ることも可能なようにされてよい。
当該ステップS119においても、先のステップS113の場合と同様に、例えば座席レイアウト生成部118が、生成された座席レイアウトがOKであるか否かを判定するようにされてよい。
【0059】
ステップS120:座席レイアウトが想定通りであると判断した場合、オペレータは、座席レイアウトがOKであることを確認する操作を行う。
座席レイアウトがOKであることを確認する操作が行われたことに応じて、オペレータは、スタジアムにおいて設けられる障害物に対応する視認性評価(障害物対応視認性評価)のための操作を行うことができる。この場合の障害物は、例えば、スタンドの最前列手前に設けられるベンチの屋根、野球のフィールドにおける各座席(視点)からファウルポールにおける所定の位置(注視点:この場合には、例えばファウルポールの最下端)の間にある突出壁などが該当する。
障害物対応視認性評価にあたり、オペレータは、操作として、スタジアムに障害物を設定するとともに当該障害物に対応する注視点を設定する。視認性評価部119は、障害物が設定された環境のもとで、障害物対応視認性評価として、座席ごとに視線(視点と注視点を結ぶ直線)が障害物に衝突するか否かを判定する。視認性評価部119は、このような障害物対応視認性評価の結果が反映された画像(視認性評価画像)を表示させる。
【0060】
ステップS121:オペレータは、表示された視認性評価画像により把握される障害物対応の視認性評価結果が要件を満足するものである(OKである)か否かを判断することができる。
障害物対応の視認性評価結果が要件を満足していないと判断した場合、オペレータは、座席レイアウト操作に戻ることができる。オペレータが座席レイアウト操作に戻ることに応じては、ステップS111に処理が戻される。なお、ステップS101に対応するフィールド設定操作、あるいはステップS105またはステップS106に対応するスタンド断面形状設定操作にも戻ることが可能なようにされてよい。
なお、座席レイアウト生成部118が、予め入力された障害物対応の視認の要件に基づいて、障害物対応の視認性評価結果が要件を満足するか否かを判定するようにしてもよい。
【0061】
ステップS122:障害物対応の視認性評価結果がOKであると判断した場合、オペレータは、例えば障害物対応の視認性評価結果がOKであることを確認する操作を行う。このようにして障害物対応の視認性評価結果がOKであることが確認されると、座席レイアウト生成部118は、現時点において設定されている座席レイアウトによる座席数を算出する。
座席レイアウト生成部118は、算出した座席数を表示部104に表示する。
【0062】
ステップS123:オペレータは、表示された座席数が要件を満たしている(座席数OK)か否かを判断することができる。座席数が要件を満たしていないと判断した場合、オペレータは、座席レイアウト操作に戻ることができる。オペレータが座席レイアウト操作に戻ることに応じては、ステップS111に処理が戻される。なお、ステップS101に対応するフィールド設定操作、あるいはステップS105またはステップS106に対応するスタンド断面形状設定操作にも戻ることが可能なようにされてよい。
なお、座席レイアウト生成部118が、予め入力された座席数の要件に基づいて、算出された座席数が要件を満足するか否かを判定するようにしてもよい。
【0063】
座席数が要件を満たしていると判断した場合、オペレータは、座席数が要件を満たしていることの確認操作を行う。当該確認操作が行われた場合には、現在における座席レイアウトを座席の設計データとして確定させてよい。この場合、座席レイアウト生成部118は、現在における座席レイアウトの生成結果が反省された座席レイアウトデータを記憶部102に記憶させてよい。
【0064】
上記
図2のフローチャートによる座席設計の手順においては、座席レイアウトについて視界評価値算出部116が算出した視界評価値による視界評価が行われる。上記
図3のフローチャートによる座席設計の手順においては、座席レイアウトについて視認性評価部119により障害物対応の視認性評価が行われる。
本実施形態の座席設計装置100は、
図2及び
図3のフローチャートには反映されていないが、オプション評価部121(
図1)を備えることで、さらに座席レイアウトについてのオプション評価も行うことができる。オプション評価は、座席レイアウトについての視界評価値による視界評価及び障害物対応の視認性評価以外の評価である。
以下に、本実施形態のオプション評価として、観察面視認性評価、距離性評価、方向性評価の3つの評価項目のそれぞれについて説明する。
【0065】
観察面視認性評価は、スタジアムにおいて観客が観察する対象となる面(観察面)に対する座席からの視認性についての評価である。観察面は、例えば選手がプレイする競技面、スタジアムに設けられる大型映像表示装置の表示面、スタジアムにおいて設けられる広告パネル等である。
オプション評価部121は、例えば、座席ごとに、観察面の面積、観察面から観客に投影した面の面積、座席から観察面までの距離、座席の視野範囲と観察面との位置関係等に基づいて評価値を算出することにより、観察面視認性評価を行うことができる。
図示は省略するが、画像生成部120は、観察面視認性評価の結果を示す観察面視認性評価画像を表示部104に表示させることができる。観察面視認性評価画像は、例えば、評価値と対応付けたカラーチャートを設定したうえで、3Dによるスタジアムの各座席を、カラーチャートの設定に従って着色した画像であってよい。
【0066】
距離性評価は、スタジアムにおいて設定した或る注視点と各座席との距離を評価するものである。
オプション評価部121は、オペレータにより指定された注視点と各座席との距離を算出し、算出した各座席の距離に基づいて距離性評価を行うことができる。画像生成部120は、距離性評価の結果を示す距離性評価画像を表示部104に表示させることができる。
図15は、距離性評価画像の一例を示している。同図は、野球場としてのスタジアムにおいて設定された座席レイアウトのもとで、注視点Pgとして設定されたホームベースまでの距離の各座席の遠近度合いに応じて各座席が着色されている。
【0067】
方向性評価は、各座席に対応する視線方向を検証(評価)するものである。検証対象となる座席の視線方向は、座席の前後方向に沿った直線が当該座席の前方に進行する方向である。画像生成部120は、方向性評価の結果を示す方向性評価画像を表示部104に表示させることができる。
図16は、方向性評価画像の一例を示している。同図に対応する方向性評価として、画像生成部120は、野球場のスタジアムにおいて、センターライン(ホームベースとバックスクリーン中央を結ぶ直線)において各座席の視線方向が交差する位置の数の分布を求めた場合を例に挙げている。同図の方向性評価画像は、スタジアムの3D画像において、求められた分布をセンターライン上の棒グラフにより表示した態様を示している。
【0068】
また、オプション評価部121は、距離性評価と方向性評価とを組み合わせることにより得られる視認性評価を行い、画像生成部120は、このような距離性評価と方向性評価との組み合わせによる視認性評価の結果を示す画像を生成し、生成した画像を表示部104に表示させることができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の構成によれば、スタジアムにおける座席の設計を視認性の観点から効率よく行うことが可能とされる。
なお、上記実施形態においては、主にスポーツ観戦が行われるスタジアムにおける座席設計を行う場合を例に挙げたが、例えば演劇等の観賞が行われる劇場、映画館、演芸場、観覧場等における座席の設計にも適用可能である。
【0070】
なお、上述の座席設計装置100としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の座席設計装置100としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。
【符号の説明】
【0071】
100 座席設計装置、101 設計処理部、102 記憶部、103 操作部、104 表示部、111 観察対象エリア設定部、112 座席前列形状設定部、113 位置関係設定部、114 注視点設定部、115 スタンド断面形状生成部、116 視界評価値算出部、117 座席基準線生成部、118 座席レイアウト生成部、119 視認性評価部、120 画像生成部、121 オプション評価部、125 フィールドデータ記憶部