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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121973
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】分離装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/03 20060101AFI20220815BHJP
   B24B 55/12 20060101ALI20220815BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20220815BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20220815BHJP
   B03C 1/10 20060101ALI20220815BHJP
   B03C 1/14 20060101ALI20220815BHJP
   B01D 15/02 20060101ALI20220815BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
B24B55/03
B24B55/12
B23Q11/00 U
B23Q11/10 E
B03C1/10 A
B03C1/14 101
B01D15/02
B03C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018991
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000145448
【氏名又は名称】住友重機械ファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】宮川 和彦
(72)【発明者】
【氏名】板谷 開盛
【テーマコード(参考)】
3C011
3C047
4D017
【Fターム(参考)】
3C011BB22
3C011BB25
3C011BB28
3C011BB34
3C011EE08
3C011EE09
3C047GG13
3C047GG15
3C047GG17
3C047GG18
4D017AA03
4D017BA06
4D017DA05
(57)【要約】
【課題】クーラント等の被処理液から、非磁性の砥粒と油とを分離することができる分離装置を提供する。
【解決手段】周回機構外周面の一部が、第1流路を流れる被処理液に浸漬されている。この外周面は、液面を横切るように周回する。液面に浮遊する油が外周面に吸着され、第1流路の被処理液から分離される。周回機構の外周面に吸着された油が、第1スクレーパによって外周面から除去される。第1流路の、周回機構の外周面が浸漬される位置より下流側に砥粒蓄積部が設けられている。被処理液より大きな比重を持つ非磁性の砥粒が砥粒蓄積部に蓄積される。第1流路の、周回機構の外周面が浸漬される位置より下流側に、被処理液排出構造が設けられている。被処理液排出構造は、第1流路の被処理液を砥粒から分離して第1流路から排出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路を流れる被処理液に一部の領域が浸漬されて、液面を横切るように周回する外周面を持ち、液面に浮遊する油を吸着して前記第1流路の被処理液から分離する周回機構と、
前記周回機構の外周面に吸着された油を前記周回機構の外周面から除去する第1スクレーパと、
前記第1流路の、前記周回機構の外周面が浸漬される位置より下流側に設けられ、被処理液より大きな比重を持つ非磁性の砥粒が蓄積される砥粒蓄積部と、
前記第1流路の、前記周回機構の外周面が浸漬される位置より下流側に設けられ、前記第1流路の被処理液を砥粒から分離して前記第1流路から排出する被処理液排出構造と
を備えた分離装置。
【請求項2】
前記被処理液排出構造は、
前記第1流路の被処理液に浸漬され、上方を向く開口を持ち、液面の被処理液が開口から流入する容器と、
前記容器に流入した被処理液を外部に排出する排出口と
を有する請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
第2流路を流れる被処理液に含まれる磁性スラッジを、磁気力を用いて被処理液から分離する前段分離装置と、
前記第2流路を流れて磁性スラッジが分離された被処理液を、前記周回機構の外周面が浸漬される位置より上流側の前記第1流路に流入させる接続流路と
を、さらに備えた請求項1または2に記載の分離装置。
【請求項4】
前記周回機構は、前記第1流路を流れる被処理液に一部の領域が浸漬される外周面を持つ第1ドラムを含み、
前記前段分離装置は、
前記第2流路を流れる被処理液に外周面の一部が浸漬され、平面視において前記第2流路の流れの方向と交差する直線を回転軸として、外周面に磁気力を発生させた状態で回転する第2ドラムと、
前記第2ドラムの外周面上に吸着された磁性スラッジを前記第2ドラムの外周面から除去する第2スクレーパと
を含み、
前記第1ドラムの回転軸と前記第2ドラムの回転軸とが平行であるか、または前記第1ドラムの回転軸の延長線上に前記第2ドラムの回転軸が位置しており、前記第1ドラムと前記第2ドラムとは同一の回転方向に回転し、
前記第1スクレーパで除去された油と、前記第2スクレーパで除去された磁性スラッジとが、平面視において前記第1ドラム及び前記第2ドラムの回転軸からみて同一の側に排出される請求項3に記載の分離装置。
【請求項5】
前記第1流路及び前記第2流路は、1つの筐体の中に画定されており、
前記第1ドラムと前記第2ドラムとは一体化されており、
前記第1流路及び前記第2流路は、前記筐体の中に配置された隔壁によって相互に分離されている請求項4に記載の分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理液と、被処理液に含まれる異物とを分離する分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄等の磁性材料の切削加工に際して、クーラントとともに排出される磁性スラッジ及び非磁性の砥粒をクーラントから分離する分離装置が知られている(特許文献1参照)。この分離装置においては、回転するドラムの表面に磁性スラッジを磁力で吸着してクーラントから分離する。さらに、クーラントの流路の底面に設けた開口部を通して非磁性の砥粒を回収する。また、クーラント(切削液)中に含まれる磁性スラッジや上面に浮く油を取り除いてクーラントをクリーンにする分離装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-978号公報
【特許文献2】実開平5-56346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された分離装置では、開口部を通って回収されなかった砥粒は、クーラントともに排出されてしまう。さらに、特許文献1に記載された装置では、クーラントと油とを分離することができない。特許文献2に記載された分離装置では、クーラントから非磁性の砥粒を分離することができない。
【0005】
本発明の目的は、クーラント等の被処理液から、非磁性の砥粒と油とを分離することができる分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によると、
第1流路を流れる被処理液に一部の領域が浸漬されて、液面を横切るように周回する外周面を持ち、液面に浮遊する油を吸着して前記第1流路の被処理液から分離する周回機構と、
前記周回機構の外周面に吸着された油を前記周回機構の外周面から除去する第1スクレーパと、
前記第1流路の、前記周回機構の外周面が浸漬される位置より下流側に設けられ、被処理液より大きな比重を持つ非磁性の砥粒が蓄積される砥粒蓄積部と、
前記第1流路の、前記周回機構の外周面が浸漬される位置より下流側に設けられ、前記第1流路の被処理液を砥粒から分離して前記第1流路から排出する被処理液排出構造と
を備えた分離装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
被処理液に含まれる非磁性の砥粒と油とを分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施例による分離装置の各構成要素の平面的な配置を示す図である。
図2図2は、図1の一点鎖線2-2における断面図である。
図3図3は、図1の一点鎖線3-3における断面図である。
図4図4は、実施例による分離装置を用いてクーラントのクリーン化処理を行う研削装置の模式図である。
図5図5は、他の実施例による分離装置の各構成要素の平面的な配置を示す図である。
図6図6は、さらに他の実施例による分離装置の各構成要素の平面的な配置を示す図である。
図7図7は、図6に示した実施例による分離装置の、共通ドラムの回転軸を含む断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図4を参照して、一実施例による分離装置について説明する。
図1は、本実施例による分離装置の各構成要素の平面的な配置を示す図である。本実施例による分離装置は、前段分離装置50及び後段分離装置10を備えている。後段分離装置10は、筐体90、流入口12、第1流路11、排出口37、砥粒蓄積部30、第1ドラム20、及びモータ25を含む。前段分離装置50は、筐体91、流入口52、第2流路51、流出口53、第2ドラム60、及びモータ65を含む。
【0010】
研削盤から排出された磁性スラッジ、油、非磁性の砥粒を含む被処理液が、流入口52から第2流路51に流入する。図1において、被処理液の流れの向きを、白抜きの矢印で示す。第2流路51を流れた被処理液は、流出口53から流出され、接続流路40を通って、流入口12から第1流路11に流入する。第1流路11に流入した被処理液は、排出口37から流出する。流出口53は、第2流路51の流れの方向に対して側方に設けられており、流入口12は、第1流路11の流れの方向に対して側方に設けられている。第2流路51を流れた被処理液が第1流路11に流入すると、流れの向きを反転させる。
【0011】
第1ドラム20は、モータ25からスプロケット及びチェーンを介して伝達される動力によって回転する。第1ドラム20の回転軸22は水平であり、平面視において第1流路11と交差する。第2ドラム60は、モータ65からスプロケット及びチェーンを介して伝達される動力によって回転する。第2ドラム60の回転軸62も水平であり、平面視において第2流路51と交差する。
【0012】
被処理液に含まれている磁性スラッジ83が、図1において矢印で示すように、筐体91から第2流路51の流れの方向に排出される。被処理液に含まれる油81が、図1において矢印で示すように、筐体90から、第1流路11の流れの方向とは反対方向に排出される。磁性スラッジ83と油81は、平面視において、第1ドラム20及び第2ドラム60の回転軸22、62から見て同一の方向に排出される。
【0013】
砥粒蓄積部30は第1流路11の下流側の端部に位置しており、被処理液に含まれている非磁性の砥粒82が砥粒蓄積部30に蓄積される。磁性スラッジ83、油81、及び砥粒82が除去された被処理液が、排出口37を通って筐体90の外部に排出される。
【0014】
図2は、図1の一点鎖線2-2における断面図、すなわち後段分離装置10の断面図である。筐体90内に第1流路11が画定されている。筐体90の側面の左端近傍に流入口12が設けられている。流入口12から流入した被処理液80が第1流路11を通って左から右に向かって流れる。図2において、第1流路11内の被処理液80の流れの向きを矢印で表している。第1流路11に流入した被処理液80には、摺動油として用いた油81及び非磁性の砥粒82が含まれる。油81の比重は被処理液80の比重より小さいため、油81は被処理液80の液面に浮遊する。砥粒82の比重は被処理液80の比重より大きいため、砥粒82は第1流路11内の被処理液80の下方に集まる。
【0015】
第1ドラム20の外周面21の一部の領域が、流入口12より下流側において、第1流路11を流れる被処理液80に浸漬されている。第1ドラム20は、その中心軸が被処理液80の液面と平行になり、第1流路11を流れる被処理液80の流れの方向と直交する姿勢で、筐体90内に支持されている。モータ25が、第1ドラム20を、回転軸22の周りに回転させる。第1ドラム20を回転させると、第1ドラム20の外周面21は、被処理液80の液面を横切るように周回する。被処理液80に浸漬されている外周面21の周速方向が、第1流路11の流れの方向と同一になるように、第1ドラム20の回転方向が設定されている。
【0016】
液面に浮遊する油81が、表面張力によって第1ドラム20の外周面21に吸着され、第1ドラム20の回転によって被処理液80内に潜り込む。その後、被処理液80の液面を横切って被処理液80から分離される。
【0017】
第1ドラム20の外周面21に吸着された油81が、第1スクレーパ23によって掻き取られ、外周面21から除去される。第1スクレーパ23で掻き取られた油81は、油排出路24を通って排出される。油が排出される平面視における方向は、第1流路11の流れの方向と反対方向である。
【0018】
第1流路11の底面は、第1ドラム20の最下端より下流側において、下流に向かって徐々に低くなるように傾斜している。第1ドラム20の下方の第1流路11を通過した被処理液80は、上下分離板34によって、第1ドラム20の外周面21に沿って斜め上方に向かう流れと、第1流路11の底面に沿って斜め下方に向かう流れとに分岐される。比重が大きい砥粒82の大部分は、斜め下方に向かう流れに沿って移動する。
【0019】
第1流路11の、第1ドラム20の外周面21が浸漬されている位置より下流側に、被処理液排出構造35が配置されている。被処理液排出構造35は、容器36と排出口37とを含む。容器36は、上方を向く開口を持ち、第1流路11の被処理液80に浸漬されている。容器36の上端が液面よりやや深い位置に配置されており、液面近傍(表層部)の被処理液80が開口から容器36に流入する。容器36に流入した被処理液80は、筐体90の側面に設けられた排出口37から筐体90の外部に排出される。被処理液80の液面近傍には砥粒82が浮遊していないため、被処理液排出構造35によって、被処理液80が砥粒82から分離される。
【0020】
上下分離板34によって分離されて斜め下方に向かう被処理液80に含まれる砥粒82は、第1流路11の下流側の端部に設けられている砥粒蓄積部30に蓄積される。砥粒蓄積部30は、第1流路11の底面より低い底面によって構成される。第1流路11を下流側の端部まで達した被処理液80は、上方に向かって流れ、容器36内に流入する。砥粒蓄積部30に蓄積された砥粒は30、例えばバキュームポンプ等を用いて吸引されて筐体90内から除去される。
【0021】
図3は、図1の一点鎖線3-3における断面図、すなわち前段分離装置50の断面図である。筐体91内に、被処理液80が流れる第2流路51が画定されている。図3において、第2流路51内の被処理液80の流れの向きを矢印で表している。筐体91の右端に設けられた流入口52から第2流路51に被処理液80が流入する。被処理液80は、左方向に向かって流れ、第2流路51の下流側の端部近傍に設けられた流出口53から流出する。
【0022】
筐体91内に第2ドラム60が配置されている。第2ドラム60の外周面61の一部の領域が、第2流路51を流れる被処理液80に浸漬されている。第2ドラム60は、その中心軸が被処理液80の液面と平行になり、被処理液80の流れの方向に対して直交する姿勢で筐体91内に支持されている。第2ドラム60は、モータ65によって、回転軸62の周りに回転する。モータ65から第2ドラム60への駆動力の伝達は、例えばスプロケットとチェーンとによって行われる。第2ドラム60の外周面61の移動方向(周速方向)は、被処理液80の流れの方向と反対である。
【0023】
第2ドラム60の内部空間に、第2ドラム60の内周面からわずかな間隙を隔てて内筒63が同軸状に配置されている。内筒63は筐体91に固定されて回転せず、内筒63の外周面に複数の磁石64が周方向に並んで配置されている。磁石64の各々は、内周側の面と外周側の面とに、相互に異なる極性の磁極が現れ、周方向に関しては、S極とN極とが交互に現れるように配置されている。また、磁石64は、周方向に関して、被処理液80に浸漬されている領域、及び浸漬されている領域から第2ドラム60の外周面61の周速方向に内筒63の頂上部まで至る領域に配置されている。複数の磁石64は第2ドラム60の外周面61に磁束を発生させる。この磁束によって、磁性スラッジ83が第2ドラム60の外周面61に吸着される。
【0024】
第2流路51の底面の一部は、第2ドラム60の外周面61から第2流路51の底面までの径方向の寸法が所定の範囲に収まるように、第2ドラム60の外周面61の形状を反映した形状とされている。被処理液80が第2ドラム60の外周面61の近傍を流れるとき、磁石64の磁力によって磁性スラッジ83が第2ドラム60の外周面61に吸着される。吸着された磁性スラッジ83は、第2ドラム60の回転とともに移動し、被処理液80から分離される。
【0025】
第2ドラム60の頂上部から周速方向に1/8周程度進んだ位置において、第2スクレーパ73が第2ドラム60の外周面61に接触している。第2ドラム60の外周面のうち第2スクレーパ73が接触している箇所には、磁石64が配置されていない。第2スクレーパ73は、第2ドラム60の外周面61上の磁性スラッジ83を外周面61から掻き取る。第2スクレーパ73で掻き取られた磁性スラッジ83は、排出路74を通って回収容器75に回収される。
【0026】
第2ドラム60の外周面61と被処理液80の液面との接触箇所から、周速方向に向かって外周面61の頂上部に至るまでの位置において、ローラ67が第2ドラム60の外周面61に押し付けられている。ローラ67は、第2ドラム60の回転軸からスプロケットとチェーンとを介して動力が伝達されることにより、第2ドラム60の回転方向とは反対方向に回転する。ローラ67の外周面には弾性体が配置されている。第2ドラム60の外周面61に吸着された磁性スラッジ83が第2ドラム60とローラ67との間を通過する際に、第2ドラム60の外周面61に付着している液分が除去される。これにより、液分の少ない磁性スラッジ83を分離回収することができる。このように、前段分離装置50は、第2流路51を流れる被処理液80に含まれる磁性スラッジ83を、磁気力を用いて被処理液80から分離する
【0027】
次に、第1ドラム20と第2ドラム60との関係について説明する。
第1ドラム20の回転軸22(図2)と第2ドラム60の回転軸62(図3)とは、相互に平行であるか、または第1ドラム20の回転軸22の延長線上に第2ドラム60の回転軸62が位置する。第1ドラム20と第2ドラム60とは、同一の回転方向に回転する。
【0028】
図4は、本実施例による分離装置を用いてクーラントのクリーン化処理を行う研削装置の模式図である。研削盤100から、クーラントとして用いられた被処理液80が排出される。この被処理液80には、磁性スラッジ83、非磁性の砥粒82、及び油81が含まれている。被処理液80が、流入口52から前段分離装置50に流入する。
【0029】
前段分離装置50によって、被処理液80から磁性スラッジ83が分離されて回収容器75に回収される。被処理液80は、前段分離装置50の流出口53から流出し、流入口12から後段分離装置10に流入する。後段分離装置10で分離された油が、油水分離槽102に投入される。油水分離槽102によって、さらに、被処理液80と油81とが分離され、油81が回収容器103に回収される。油水分離槽102で分離された被処理液80は、クーラントタンク101に回収される。さらに、後段分離装置10の排出口37から流出した被処理液80が、クーラントタンク101に回収される。クーラントタンク101に回収された被処理液80が、ポンプ104によって研削盤100に供給される。
【0030】
被処理液80に含まれている非磁性の砥粒82は、後段分離装置10の砥粒蓄積部30に蓄積される。
【0031】
次に、上記実施例の優れた効果について説明する。
上記実施例による分離装置により、被処理液80から磁性スラッジ83、油81、及び砥粒82を分離することができる。また、第2流路51内の被処理液80の流れの向きと、第1流路11内の被処理液80の流れの向きとが、平面視において相互に反対向きである。すなわち、被処理液80の流れを、処理の途中で折り返している。このため、装置全体の長さを短くすることが可能である。前段分離装置50及び後段分離装置10を、クーラントタンク101(図4)の上に設置することにより、小スペース化を図ることができる。
【0032】
図1に示すように、平面視において、第1ドラム20の回転軸22及び第2ドラム60の回転軸62から見て同一方向に、磁性スラッジ83と油81とが排出される。このため、磁性スラッジ83及び油81を回収する作業の作業性を高めることができる。
【0033】
また、既に前段分離装置50が導入されている作業場に、後段分離装置10を容易に後付けで導入することができる。第1ドラム20と第2ドラム60とが、それぞれ異なるモータ25、65で駆動されるため、磁性スラッジ83や油81の回収率が高まるように、第1ドラム20と第2ドラム60との回転速度を個別に調整することができる。
【0034】
後段分離装置10は、被処理液80のうち液面近傍(表層部)の被処理液80を回収している。表層部には、比重の大きな砥粒82はほとんど存在しない。このため、後段分離装置10で回収された被処理液80に一部の砥粒82が残留してしまうことが回避される。これにより、被処理液80の清浄度を高めることができる。
【0035】
次に、上記実施例の変形例について説明する。
上記実施例では、後段分離装置10において、油を吸着するために第1ドラム20(図2)を用いている。第1ドラム20に代えて無端ベルトを用いてもよい。無端ベルトの外周面は、第1ドラム20の外周面21と同様に、第1流路11を流れる被処理液80に一部の領域が浸漬されて、液面を横切るように周回する。このように、第1ドラム20、無端ベルト等の周回する外周面を持つ周回機構を用いることが可能である。
【0036】
上記実施例では、第1流路11(図2)の被処理液80に容器36を浸漬させて、表層部の被処理液80を排出口37から流出させている。被処理液排出構造35として、その他の構造のものを用いてもよい。例えば、第1流路11の下流端に位置する筐体90の壁面に開口を設けて、開口から被処理液80を流出させてもよい。この開口は、液面の高さの近傍に設けるとよい。
【0037】
次に、図5を参照して他の実施例による分離装置について説明する。以下、図1図4に示した実施例による分離装置と共通の構成については説明を省略する。
【0038】
図5は、本実施例による分離装置の各構成要素の平面的な配置を示す図である。図1図4に示した実施例では、前段分離装置50の筐体91(図1)と後段分離装置10の筐体90とが相互に分離されており、それぞれ個別の筐体で構成されている。これに対して図5に示した実施例では、第2ドラム60が配置されている箇所より上流側の第2流路51、及び第1ドラム20が配置されている箇所より下流側の第1流路11が、共通の筐体92の内部に形成されている。共通の筐体92内で、第1流路11と第2流路51とが隔壁93によって相互に分離されている。
【0039】
次に、本実施例の優れた効果について説明する。
本実施例による分離装置においては、筐体の一部を共通化することにより、分離装置のさらなる小型化を図ることが可能である。
【0040】
次に、図6及び図7を参照して、さらに他の実施例による分離装置について説明する。以下、図1図4に示した分離装置と共通の構成については説明を省略する。
【0041】
図6は、本実施例による分離装置の各構成要素の平面的な配置を示す図である。本実施例では、第1流路11と第2流路51とが、共通の筐体95の内部に画定されている。第1流路11と第2流路51とは、筐体95内に設置された隔壁96によって相互に分離されている。隔壁96は、第1流路11及び第2流路51の底面から上方に向かって、被処理液80の液面より高い位置まで達している。
【0042】
また、図1図4に示した実施例では、第1流路11と交差するように第1ドラム20が配置され、第2流路51と交差するように他の第2ドラム60が配置されている。第1ドラム20及び第2ドラム60は、それぞれモータ25、65によって回転駆動される。これに対して本実施例では、第1ドラム20と第2ドラム60とが、一つの共通ドラム45で構成されている。共通ドラム45は、1つのモータ46で回転駆動される。
【0043】
隔壁96は、第1流路11の下流側の端部及び第2流路51の上流側の端部から、流れの方向に沿って延び、共通ドラム45と交差している。共通ドラム45と交差する箇所において、隔壁96が共通ドラム45の断面形状に応じて除去されている。隔壁96の縁と共通ドラム45の外周面との間に隙間が形成される。フェルト等の隙間塞ぎ材97が、この隙間を塞いでいる。
【0044】
第2流路51の下流側の端部近傍と第1流路11の上流側の端部近傍との間には、隔壁96が配置されておらず、両者が相互に繋がっている。隔壁96が配置されていない領域が、第2流路51を第1流路11に接続する接続流路40として機能する。
【0045】
なお、共通ドラム45の両端は、第1流路11及び第2流路51の側壁99の外側まで突出している。この側壁99の縁と共通ドラム45の外周面との間の隙間が、隙間塞ぎ材97で塞がれている。
【0046】
図7は、本実施例による分離装置の、共通ドラム45の回転軸を含む断面図である。筐体95の内部の底面側の一部分が、隔壁96によって第1流路11と第2流路51とに区分されている。第1流路11及び第2流路51は、それぞれ外側の側壁99と隔壁96との間に画定される。
【0047】
筐体95の内部に、ロッド98が配置されている。ロッド98は、第1流路11及び第2流路51を横切るように水平に支持され、共通ドラム45の回転軸に沿って延びる。ロッド98は筐体95に固定されている。
【0048】
共通ドラム45の両端の開口部が、それぞれ中心に開口が設けられた円板47によって塞がれている。円板47の開口をロッド98が通過する。2つの円板47が、ボール軸受け48によってロッド98に回転可能に支持されている。モータ46からスプロケット及びチェーン49を介して一方の円板47に動力が伝達される。共通ドラム45は、ロッド98の中心線を回転軸として回転する。共通ドラム45の軸方向の約半分が、第1ドラム20として機能し、残りの部分が第2ドラム60として機能する。
【0049】
内筒63がロッド98に固定されている。内筒63の外周面と共通ドラム45の内周面との間に間隙が確保されている。内筒63の外周面のうち、第2流路51の範囲内に磁石64が取り付けられている。
【0050】
隔壁96の縁と共通ドラム45の外周面との間の隙間が、隙間塞ぎ材97で塞がれている。同様に、側壁99の縁と共通ドラム45の外周面との間の隙間が、隙間塞ぎ材97で塞がれている。隙間塞ぎ材97は、それぞれ隔壁96、側壁99に取り付けられている。隙間塞ぎ材97には、例えばフェルト等が用いられる。共通ドラム45が回転すると、共通ドラム45の外周面が隙間塞ぎ材97に対して摺動する。
【0051】
次に、図6及び図7に示した実施例の優れた効果について説明する。
本実施例では、前段分離装置50の筐体と後段分離装置10の筐体とが、一体化されているため、装置の小型化を図ることができる。さらに、前段分離装置50の第2ドラム60と後段分離装置10の第1ドラム20とを一体化して共通ドラム45で構成し、1つのモータ46で駆動するため、省エネルギ性能を高めることができる。
【0052】
上述の各実施例は例示であり、異なる実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。複数の実施例の同様の構成による同様の作用効果については実施例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0053】
10 後段分離装置
11 第1流路
12 流入口
20 第1ドラム
21 第1ドラムの外周面
22 第1ドラムの回転軸
23 第1スクレーパ
24 油排出路
25 モータ
30 砥粒蓄積部
34 上下分離板
35 被処理液排出構造
36 容器
37 排出口
40 接続流路
45 共通ドラム
46 モータ
47 円板
48 ボール軸受け
49 スプロケットとチェーン
50 前段分離装置
51 第2流路
52 流入口
53 流出口
60 第2ドラム
61 第2ドラムの外周面
62 第2ドラムの回転軸
63 内筒
64 磁石
65 モータ
67 ローラ
73 第2スクレーパ
74 排出路
75 回収容器
80 被処理液
81 油
82 砥粒
83 磁性スラッジ
90、91 筐体
92 共通の筐体
93 隔壁
95 筐体
96 隔壁
97 隙間塞ぎ材
98 ロッド
99 第1流路及び第2流路の外側の側壁
100 研削盤
101 クーラントタンク
102 油水分離槽
103 回収容器
104 ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7