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特開2022-121975神経組織の活動の検知又は刺激に用いられる装置
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  • 特開-神経組織の活動の検知又は刺激に用いられる装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121975
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】神経組織の活動の検知又は刺激に用いられる装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/25 20210101AFI20220815BHJP
   A61B 5/369 20210101ALI20220815BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
A61B5/04 300J
A61B5/04 320A
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018995
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(71)【出願人】
【識別番号】521061715
【氏名又は名称】株式会社E.P.Medical
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】松丸 裕司
【テーマコード(参考)】
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C053JJ13
4C053JJ21
4C127AA03
4C127DD03
4C127LL08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】神経組織の活動の検知又は刺激に用いられ、脳血管へのデリバリー性に優れかつ血管壁との接触を減らした装置を提供する。
【解決手段】装置1は、生物の血管内に配置され、その付近の血管外に位置する神経組織の活動の検知又は刺激のための第1血管内電極11、第1血管内予備電極12、第2血管内電極21、第2血管内予備電極22を少なくとも一つ備える第1血管内デバイス10、第2血管内デバイス20を少なくとも一つ備え、血管内電極及び血管内予備電極は、ワイヤー部材に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物の血管内に配置され、その付近の血管外に位置する神経組織の活動の検知又は刺激のための電極を少なくとも一つ備える血管内デバイスを少なくとも一つ備え、
前記電極は、ワイヤー部材に設けられている装置。
【請求項2】
前記血管内デバイスの少なくとも1つは、複数の前記電極を有し、
前記電極は、互いに1cm未満離間しかつ同じワイヤー部材に設けられている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記血管内デバイスを複数備え、
別々の血管内デバイスが有する電極は、前記血管内において互いに1cm以上離間して配置される請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ワイヤー部材は、周方向に関して拡縮径可能であり、拡径状態で前記血管の壁に係止される螺旋状部を有する請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記血管内デバイスは、1日以上に亘って血管内に留置される請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記血管内デバイスが配置される血管は、脳静脈洞である請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経組織の活動の検知又は刺激に用いられる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動物、人間等の生体の脳波測定を行う場合には、頭皮に電極を貼り付けて脳波を測定する経頭蓋的な測定が行われてきた。この方法であれば、簡便に脳波を測定できる一方で、以下の欠点があった。すなわち、脳の表面からの情報のみしか得られないため、脳の表面付近の脳波についてしか測定できておらず、脳の深部で発生している脳波については測定ができなかった。また、頭蓋骨を脳波が通過する際に減衰するため精度の良い測定が困難であった。
【0003】
このような欠点を解消する手法として、硬膜下電極・定位的深部電極(SEEG)が用いられるようになってきている。これらの手法では、頭蓋骨を開ける、又は、頭蓋骨に穴を開けて、電極を直接脳に刺して脳波を測定する。したがって、侵襲が高いものの、精度よく必要な脳波を測定することが可能である。また、SEEGでは脳深部の脳波測定が可能となり、例えば、てんかんの原因となる脳組織の領域を同定可能である。
【0004】
しかし、上述したように、硬膜下電極・SEEGは、頭蓋骨を開ける、又は、頭蓋骨に穴を開ける必要があり、非常に侵襲が高いという問題があった。また、頭蓋骨を開ける、又は、頭蓋骨に穴を開ける処置が必要であり、簡単に測定を行うことができず、また、数日以上の長時間にわたる測定が難しかった。さらに、SEEGは、非常に高価であった。
【0005】
特許文献1には、血管内で神経組織の電気的活動を感知または刺激する技術が開示されている。
具体的に、特許文献1には、電極が設けられたステントを脳血管内で拡張させて血管壁に係止させることで、近傍の神経組織の電気的活動を感知又は刺激する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-159079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の技術では、拡張力を持つステントを使うため、脳血管へのデリバリー中のカテーテルとの摩擦により操作性が低下しやすい。この現象は、電極の嵩がさらに顕在化させ得る。
また、ステントは、その金属製ストラットが広い面積で脳血管壁に接触し続けるため、長時間の利用に伴い、血栓を生じるリスクを高め得る。
【0008】
本発明の課題は、神経組織の活動の検知又は刺激に用いられ、脳血管へのデリバリー性に優れかつ血管壁との接触を減らしたことができる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0010】
第1の発明は、生物の血管内に配置され、その付近の血管外に位置する神経組織の活動の検知又は刺激のための電極(11、12、21、22)を少なくとも一つ備える血管内デバイス(10、20)を少なくとも一つ備え、前記電極(11、12、21、22)は、ワイヤー部材に設けられている装置(1)である。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記血管内デバイス(10、20)の少なくとも1つが、複数の前記電極(11、12、21、22)を有し、前記電極(11、12、21、22)は、互いに1cm未満離間しかつ同じワイヤー部材に設けられている装置(1)である。
【0012】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記血管内デバイス(10、20)を複数備え、別々の血管内デバイス(10、20)が有する電極(11、12、21、22)が、前記血管内において互いに1cm以上離間して配置される装置(1)である。
【0013】
第4の発明は、第1~3の発明において、前記ワイヤー部材が、周方向に関して拡縮径可能であり、拡径状態で前記血管の壁に係止される螺旋状部(13)を有する装置(1)である。
【0014】
第5の発明は、第1~4の発明において、前記血管内デバイス(1)が、1日以上に亘って血管内に留置される装置(1)である。
【0015】
第6の発明は、第1~5の発明において、前記血管内デバイスが配置される血管が脳静脈洞である装置(1)である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、神経組織の活動の検知又は刺激に用いられ、脳血管へのデリバリー性に優れかつ血管壁との接触を減らした装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の装置の実施形態の構成を示すブロック図である。
図2】第1血管内デバイス10の脳血管内に挿入される側の先端付近の構成の一例を説明する図である。
図3】第1血管内デバイス10の脳血管内に挿入される側の先端付近の構成の別の例を説明する図である。
図4図3に示す第1血管内デバイス10の変形例を示す図である。
図5】脳波測定方法の実施形態を説明するフローチャートである。
図6】検証実験で行った測定箇所を示す図である。
図7】検証実験で得られた脳波の測定結果の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0019】
(実施形態)
図1は、本発明による脳波測定方法に用いる脳波測定装置の実施形態の構成を示すブロック図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張したり、省略したりして示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0020】
本実施形態の装置1は、動物又は人間等の生物の神経活動の検知又は刺激に用いられる装置である。
装置1は、第1血管内デバイス10と、第2血管内デバイス20と、第1参照電極30と、第2参照電極40と、演算部50とを備えている。なお、これに限られず、血管内デバイス及び参照電極は、1個であっても、3個以上の複数であってもよい。また、装置は参照電極及び演算部を備えなくてもよい(特に、刺激用途の場合)。
【0021】
第1血管内デバイス10は、測定時に、生物の血管(典型的には脳血管)内に配置され、その付近の血管外に位置する神経組織の活動の検知又は刺激のための電極を少なくとも一つ備える。
電極は、ワイヤー部材に設けられている。本発明におけるワイヤー部材とは、延伸状態において棒状をなし、筒体と異なり内腔を有しない部材を指す。
【0022】
図2は、第1血管内デバイス10の脳血管内に挿入される側の先端付近の構成を説明する図である。
第1血管内デバイス10は、従来から行われている脳血管内手術に用いられるカテーテルを通して脳血管内へ挿入される。このとき、電極がワイヤー部材に設けられているため、ステントに比べて拡張力が小さく、カテーテルに対する摺動性に優れるから、脳血管へのデリバリー性に優れる。また、ワイヤー部材は血管との接触が抑制される(特に本実施形態のように自然状態で棒状のワイヤー部材は、血管壁にほぼ接触しない)ため、長時間に亘って留置しても有害事象を生じにくい。このため、1日以上(具体的には、2日以上、5日以上、7日以上、2週間以上又は1月以上)に亘って血管内に留置されることが好ましい。
第1血管内デバイス10は、芯材13と絶縁体14とを備えている。より具体的には、例えば、芯材13としてステンレス鋼製の極細ワイヤーを用い、この芯材13の外周を絶縁体14で被覆した構成を基本として構成することができる。芯材13のステンレス鋼製の極細ワイヤーとしては、例えば、SUS304の直径0.34mm程度のものが例示できる。絶縁体14としては、例えば、ポリイミドチューブやPTFEチューブ等が例示できる。なお、絶縁体14自体は筒状体であるが、その内側に芯材が充填されているため、第1血管内デバイスとしてはワイヤー部材とみなす。
【0023】
第1血管内デバイス10は、第1血管内電極11と、第1血管内予備電極12とを備え、これらは互いに1cm未満離間しかつ同じワイヤー部材に設けられている。なお、これに限られず、1つの血管内デバイスに設けられる電極は、1個であっても、3個以上の複数であってもよい。
【0024】
本実施形態では、第1血管内電極11は、絶縁体14で被覆されずに、幅1mmで全周にリング状に設けられている。第1血管内電極11は、絶縁体14内を通された配線15により後述の演算部50に電気的に接続されている。
第1血管内予備電極12は、第1血管内電極11から5mm離れた位置に配置されている。第1血管内予備電極12は、絶縁体14で被覆されずに、幅1mmで全周にリング状に設けられている。第1血管内予備電極12は、絶縁体14内を通された配線16により後述の演算部50に電気的に接続されている。このように、第1血管内予備電極12は、第1血管内電極11と同様な構成をしており、かつ、互いに1cm未満しか離間しておらず、検知又は刺激可能な神経組織は同等とみなせるため、第1血管内電極11のバックアップとしての役割を果たすものである。
【0025】
図3は、第1血管内デバイス10の脳血管内に挿入される側の先端付近の構成の別の例を説明する図である。
ワイヤー部材は、周方向に関して拡縮径可能であり、拡径状態で血管の壁に係止される螺旋状部13を有する。螺旋状部13が血管の壁に係止されることで、電極11、12の血管内での位置が略固定されるため、神経組織の活動の検知又は刺激をより正確に行うことができる。ここで、脳血管(特に脳静脈洞)は、断面正円に近い通常の血管と異なり、いびつであるため、剛直なステントよりも、追従変形性に優れる螺旋状体の方が、小さい拡張力と高い位置固定効果を両立しやすい。これにより、ステントに比べて血管との接触面積を小さく設計しやすく、かつ、カテーテルとの摺動性に優れるためデリバリー性能を向上しやすい、という相乗効果を得ることができる。
【0026】
第2血管内デバイス20は、第2血管内電極21と、第2血管内予備電極22と、芯材23と、絶縁体24と、配線25と、配線26とを備えている。第2血管内デバイス20は、上記第1血管内デバイス10と同様な構成をしているので、詳細な説明は省略する。なお、これに限られず、第1血管内デバイス及び第2血管内デバイスの一方のみが、前述した構成を有してもよい。
【0027】
図3では、電極が螺旋状部13ではない箇所(例えば、螺旋状部13の近位側の直線状部)に設けられている。しかし、これに限られず、例えば、図4のように電極17が螺旋状部13に設けられていてもよいし、電極は螺旋状部13及びそれ以外の箇所の双方に設けられていてもよい。螺旋状部以外の箇所に設けた電極11、12は、電極間の距離が変化せず、想定通りの神経組織の活動の検知又は刺激を行いやすい点で好適である。螺旋状部に設けた電極17は、血管壁に当接又はその近傍に配置されるため、神経組織の活動の検知又は刺激の感度を向上しやすい点で好適である。
【0028】
第1参照電極30は、第1血管内電極11及び第1血管内予備電極12が測定する脳波の基準電位を得る電極である。第1参照電極30は、体内に入れずに、体外の例えば、耳朶等に取り付けられる。
【0029】
第2参照電極40は、第2血管内電極21及び第2血管内予備電極22が測定する脳波の基準電位を得る電極である。第2参照電極40は、体内に入れずに、体外の例えば、耳朶等に取り付けられる。
【0030】
演算部50は、上記各電極から得られた電位情報を取得し、脳波の測定結果を演算する。演算部50が行う演算のもっとも簡単な形態としては、例えば、第1血管内電極11の測定結果を第1参照電極30が得た基準電位を基準(ゼロ)として脳波の測定結果とすることが例示できる。なお、演算部50では、上記の他に、ノイズ除去等の各種演算フィルター処理等を行うことができる。
【0031】
次に、本実施形態の装置1を用いた脳波測定(神経組織の活動の検知)方法について説明する。
図5は、脳波測定方法を説明するフローチャートである。
本実施形態の装置1を用いた脳波測定方法では、先ず、ステップ(以下、単にSとする)11として、第1血管内デバイス10を脳血管内に配置する。
【0032】
S12では、第2血管内デバイス20を第1血管内デバイス10から所定距離離間した脳血管内に配置する。脳血管は、静脈洞(例えば上矢状静脈洞、S状静脈洞、横静脈洞、直静脈洞、下矢状静脈洞)、内頸静脈、皮質静脈、内大脳静脈等の脳静脈、前大脳動脈、中大脳動脈、又は後大脳動脈等の脳動脈であってよい。
例えば、第1血管内デバイス10を左脳側に配置した場合に、第2血管内デバイス20を右脳側に配置する等する。ここで、上記所定距離としては、1cm以上離間させた状態が望ましく、2cm以上離間させた状態がさらに望ましい。第1血管内デバイス10と第2血管内デバイス20とが近すぎると、いずれの位置の活動を検知又は刺激しているのか判別がつかないからである。
【0033】
なお、第1血管内デバイス10及び第2血管内デバイス20を脳血管内へ挿入する手法は、従来から公知のカテーテルを利用した脳血管内処置と同様にして行うことができる。
【0034】
S13では、第1参照電極30を耳朶に取り付ける。
S14では、第2参照電極40を耳朶に取り付ける。
S15では、脳波の測定を開始する。
S16では、必要な脳波の測定が行われた後に測定を終了する。
【0035】
次に、本実施形態の装置1を用いた脳波測定方法によって、適切に脳波が測定できていることを検証する実験を行ったので、説明を行う。
本実施形態の脳波測定方法の他に、従来から用いられている脳波測定方法である、頭皮表面に電極を貼り付ける測定方法(以下、比較例とも呼ぶ)を検証のために行った。そして、本実施形態の脳波測定方法については、上矢状静脈洞(脳中央を前後に延びる血管)内の前頭寄りの位置に、第1血管内電極11を配置して測定を行った。また、比較のため、第1血管内電極11を配置した位置から離れた位置にも比較例の電極を取り付けて測定を行った。
【0036】
図6は、検証実験で行った測定箇所を示す図である。
検証実験では、より具体的には、豚の脳波を測定対象とし、比較例の電極は、左脳の前頭部F3、左脳の後頭部P3、右脳の前頭部F4、右脳の後頭部P4の4箇所に貼り付けた。また、左耳朶A1に左脳の参照電極を取り付け、右耳朶A2に右脳の参照電極を取り付けた。一方、本実施形態の第1血管内デバイス10は、上矢状静脈洞中の前頭部F3に近い箇所にその先端(第1血管内電極11及び第1血管内予備電極12)を配置した。
【0037】
図7は、検証実験で得られた脳波の測定結果の一部を示す図である。
F3は、比較例の左脳の前頭部F3に貼り付けた電極から得られた脳波である。
F4は、比較例の右脳の前頭部F4に貼り付けた電極から得られた脳波である。
P3は、比較例の左脳の後頭部P3に貼り付けた電極から得られた脳波である。
P4は、比較例の右脳の後頭部P4に貼り付けた電極から得られた脳波である。
11は、本実施形態の第1血管内電極11から得られた脳波である。
12は、本実施形態の第1血管内予備電極12から得られた脳波である。
なお、11、及び、12の波形については、縦軸方向を他の比較例の波形よりも1/4に縮小した縮尺で示している。
図7の結果から、本実施形態の脳波測定方法によって得られた脳波(11、12)はいずれも、比較例の前頭部での測定で得られた脳波(F3、F4)にユニークなピークを高感度で含む一方、比較例の後頭部での測定で得られた脳波(P3、P4)にユニークなピークを含まない。逆に、左脳(F3)と右脳(F4)の各々にユニークなピークは、いずれも脳波(11、12)に含まれる。
これらの事実から、下のことが導かれる。
ワイヤー部材に設けられた電極が、その付近の血管外に位置する神経組織の活動を高感度で検知可能である。また、検知が可能であることは、神経組織と電極が電気的に接続されていることを意味するから、電極に電源から電気を供給すれば神経活動を高効率で刺激することも可能である。
神経組織から複数の電極の各々への距離の差が1cm未満であると、同様の脳波が観察される。このため、ある電極のバックアップとして使う電極は、1cm未満離間して使うべきである。
神経組織から電極への距離が1cm以上異なると、距離が短い方の神経組織の活動を区別して検知可能であった。このため、複数の神経組織の活動を区別して検出及び刺激する場合、電極同士の距離を1cm以上離間して配置すべきである。
【0038】
以上を踏まえると、本発明は様々な用途に利用することができる。例えば、脳血管内で左脳及び右脳の各々に近い箇所に、本発明の血管内デバイスを適切に配置して脳波を検出すれば、てんかん焦点の特定やてんかん発作の検知に使用することができる。また、脳深部に原因部位が存在する疾病(てんかん、うつ病、パーキンソン病等による不随意運動、遷延性意識障害など)について、本発明の血管内デバイスを原因部位に対して適切に配置して電気刺激を供給すれば、これらの疾病治療に使用することができる。
【0039】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0040】
(1)実施形態において、脳血管内の2か所に電極を配置する例を挙げて説明した。これに限らず、3箇所以上に電極を配置してもよい。
【0041】
(2)実施形態において、豚に対する具体例を例示して説明した。これに限らず、例えば、本発明の装置は、マウス、ラット、サル、ヒト等の哺乳類動物に用いてもよい。
【0042】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0043】
1 装置
10 第1血管内デバイス
11 第1血管内電極
12 第1血管内予備電極
13 芯材
14 絶縁体
15、16 配線
20 第2血管内デバイス
21 第2血管内電極
22 第2血管内予備電極
23 芯材
24 絶縁体
25、26 配線
30 第1参照電極
40 第2参照電極
50 演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7