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特開2022-121999支持体付き配線基板、支持体付き配線基板の製造方法、複合配線基板の製造方法及び機能デバイス付き配線基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022121999
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】支持体付き配線基板、支持体付き配線基板の製造方法、複合配線基板の製造方法及び機能デバイス付き配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220815BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20220815BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 Q
H05K1/14 G
H01L23/12 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019033
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】木津 貴志
(72)【発明者】
【氏名】新田 祐幹
【テーマコード(参考)】
5E316
5E344
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA43
5E316BB15
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316CC37
5E316DD03
5E316DD17
5E316DD24
5E316EE31
5E316FF03
5E316FF45
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH40
5E316JJ02
5E344AA01
5E344AA22
5E344BB02
5E344CC24
5E344CD14
5E344DD10
5E344EE21
(57)【要約】
【課題】配線基板から支持体を剥離しやすい支持体付き配線基板を提供する。
【解決手段】本発明の支持体付き配線基板1は、支持面を有し、前記支持面に対して垂直な方向に、特定波長を有する光を透過する支持体11と、前記支持面と向かい合った配線基板15と、前記支持体11と前記配線基板15との間に介在し、加熱によって密着性が低下する剥離層13と、前記支持体11と前記剥離層13との間に介在した光吸収層12とを備え、前記光吸収層12は前記剥離層13と比較して高い光吸収率を示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持面を有し、前記支持面に対して垂直な方向に、特定波長を有する光を透過する支持体と、
前記支持面と向かい合った配線基板と、
前記支持体と前記配線基板との間に介在し、加熱によって密着性が低下する剥離層と、
前記支持体と前記剥離層との間に介在した光吸収層と
を備え、
前記光吸収層は前記剥離層と比較して高い光吸収率を示す支持体付き配線基板。
【請求項2】
前記光吸収層の厚さは5nm乃至100nmの範囲内にある請求項1に記載の支持体付き配線基板。
【請求項3】
前記剥離層の厚さは10nm乃至50μmの範囲内にある請求項1又は2に記載の支持体付き配線基板。
【請求項4】
前記支持面に平行な平面への前記剥離層の第1正射影の輪郭は、前記平面への前記光吸収層の第2正射影の輪郭の内側に存在する請求項1乃至3の何れか1項に記載の支持体付き配線基板。
【請求項5】
前記光吸収層は金属を含み、前記剥離層は樹脂を含む請求項1乃至4の何れか1項に記載の支持体付き配線基板。
【請求項6】
前記配線基板は多層配線基板である請求項1乃至5の何れか1項に記載の支持体付き配線基板。
【請求項7】
前記多層配線基板はインターポーザである請求項6に記載の支持体付き配線基板。
【請求項8】
支持面を有し、前記支持面に対して垂直な方向に、特定波長を有する光を透過する支持体と、
前記支持面と向かい合った配線基板と、
前記支持体と前記配線基板との間に介在し、加熱によって密着性が低下する剥離層と、
前記支持体と前記剥離層との間に介在した光吸収層と
を備え、
前記光吸収層は、チタン、クロム、タングステン、ニッケル、モリブデン、ニオブ及びタンタルからなる群より選ばれる1以上の金属を含む支持体付き配線基板。
【請求項9】
支持面を有し、前記支持面に対して垂直な方向に、特定波長を有する光を透過する支持体上に光吸収層を形成することと、
前記光吸収層上に、加熱によって密着性が低下する剥離層を形成することと、
前記剥離層上に配線基板を形成することと
を含み、
前記光吸収層は前記剥離層と比較して高い光吸収率を示す支持体付き配線基板の製造方法。
【請求項10】
第1配線基板を、請求項1乃至8の何れか1項に記載の支持体付き配線基板が含む第2配線基板としての前記配線基板に接合することと、
その後、前記光吸収層に前記特定波長を有するレーザー光を照射して、前記配線基板から前記支持体を剥離することと
を含んだ複合配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記レーザー光は前記支持体側から前記光吸収層に照射され、
前記特定波長は赤外波長域内にある請求項10に記載の複合配線基板の製造方法。
【請求項12】
機能デバイスを、請求項1乃至8の何れか1項に記載の支持体付き配線基板に接合することと、
その後、前記光吸収層に前記特定波長を有するレーザー光を照射して、前記配線基板から前記支持体を剥離することと
を含んだ機能デバイス付き配線基板の製造方法。
【請求項13】
前記レーザー光は前記支持体側から前記光吸収層に照射され、
前記特定波長は赤外波長域内にある請求項12に記載の機能デバイス付き配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体付き配線基板、支持体付き配線基板の製造方法、複合配線基板の製造方法及び機能デバイス付き配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高速化及び高集積化が進む中で、半導体チップを搭載するFC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)基板にも、半導体チップとの接合に使用する接合端子の狭ピッチ化及び基板内の配線の微細化が求められている。その一方で、FC-BGA基板とマザーボードとの接合には、従来とほぼ変わらないピッチで配列した接合端子による接合が要求されている。これらの要求のもと、FC-BGA基板と半導体チップとの間に、インターポーザとも呼ばれる、微細な配線を含む多層配線基板を設ける技術が採用されている。
【0003】
その一つは、シリコンインターポーザ技術である。このシリコンインターポーザ技術は、シリコンウェハ上に、微細な配線を各々の層が含んだ多層配線構造を、半導体回路の製造技術を用いて形成することによりインターポーザを製造するというものである。
【0004】
また、上記の多層配線構造をシリコンウェハ上に形成するのではなく、FC-BGA基板に直接作り込む手法も開発されている。この手法は、コア層が例えばガラスエポキシ基板からなるFC-BGA基板の製造において、化学機械研磨(CMP)などを利用して、上記の多層配線構造を形成するというものである。これについては、特許文献1に開示されている。
【0005】
更に、インターポーザをガラス基板等の支持体の上に形成し、そのインターポーザをFC-BGA基板と接合させ、その後、インターポーザから支持体を剥離することで、上記の多層配線構造を、FC-BGA基板上に設ける方式(以下、転写方式という)もある。これについては、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-225671号公報
【特許文献2】国際公開第2018/047861号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、配線基板から支持体を剥離しやすい支持体付き配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると、支持面を有し、前記支持面に対して垂直な方向に、特定波長を有する光を透過する支持体と、前記支持面と向かい合った配線基板と、前記支持体と前記配線基板との間に介在し、加熱によって密着性が低下する剥離層と、前記支持体と前記剥離層との間に介在した光吸収層とを備え、前記光吸収層は前記剥離層と比較して高い光吸収率を示す支持体付き配線基板が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によると、前記光吸収層の厚さは5nm乃至100nmの範囲内にある上記態様に係る支持体付き配線基板が提供される。
【0010】
本発明の更に他の態様によると、前記剥離層の厚さは10nm乃至50μmの範囲内にある上記態様の何れかに係る支持体付き配線基板が提供される。
【0011】
本発明の更に他の態様によると、前記支持面に平行な平面への前記剥離層の第1正射影の輪郭は、前記平面への前記光吸収層の第2正射影の輪郭の内側に存在する上記態様の何れかに係る支持体付き配線基板が提供される。
【0012】
本発明の更に他の態様によると、前記光吸収層は金属を含み、前記剥離層は樹脂を含む上記態様の何れかに係る支持体付き配線基板が提供される。
【0013】
本発明の更に他の態様によると、前記配線基板は多層配線基板である上記態様の何れかに係る支持体付き配線基板が提供される。
【0014】
本発明の更に他の態様によると、前記多層配線基板はインターポーザである上記態様に係る支持体付き配線基板が提供される。
【0015】
本発明の更に他の態様によると、支持面を有し、前記支持面に対して垂直な方向に、特定波長を有する光を透過する支持体と、前記支持面と向かい合った配線基板と、前記支持体と前記配線基板との間に介在し、加熱によって密着性が低下する剥離層と、前記支持体と前記剥離層との間に介在した光吸収層とを備え、前記光吸収層は、チタン、クロム、タングステン、ニッケル、モリブデン、ニオブ及びタンタルからなる群より選ばれる1以上の金属を含む支持体付き配線基板が提供される。
【0016】
本発明の更に他の態様によると、支持面を有し、前記支持面に対して垂直な方向に、特定波長を有する光を透過する支持体上に光吸収層を形成することと、前記光吸収層上に、加熱によって密着性が低下する剥離層を形成することと、前記剥離層上に配線基板を形成することとを含み、前記光吸収層は前記剥離層と比較して高い光吸収率を示す支持体付き配線基板の製造方法が提供される。
【0017】
本発明の更に他の態様によると、第1配線基板を、請求項1乃至8の何れか1項に記載の支持体付き配線基板が含む第2配線基板としての前記配線基板に接合することと、その後、前記光吸収層に前記特定波長を有するレーザー光を照射して、前記配線基板から前記支持体を剥離することとを含んだ複合配線基板の製造方法が提供される。
【0018】
本発明の更に他の態様によると、前記レーザー光は前記支持体側から前記光吸収層に照射され、前記特定波長は赤外波長域内にある上記態様に係る複合配線基板の製造方法が提供される。
【0019】
本発明の更に他の態様によると、機能デバイスを、請求項1乃至8の何れか1項に記載の支持体付き配線基板に接合することと、その後、前記光吸収層に前記特定波長を有するレーザー光を照射して、前記配線基板から前記支持体を剥離することとを含んだ機能デバイス付き配線基板の製造方法が提供される。
【0020】
ここで、「機能デバイス」は、電力及び電気信号の少なくとも一方が供給されることにより動作するデバイス、外部からの刺激により電力及び電気信号の少なくとも一方を出力するデバイス、又は、電力及び電気信号の少なくとも一方が供給されることにより動作し且つ外部からの刺激により電力及び電気信号の少なくとも一方を出力するデバイスである。機能デバイスは、例えば、半導体チップや、ガラス基板などの半導体以外の材料からなる基板上に回路や素子が形成されたチップのように、チップの形態にある。機能デバイスは、例えば、大規模集積回路(LSI)、メモリ、撮像素子、発光素子、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の1以上を含むことができる。MEMSは、例えば、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、傾斜センサ、マイクロフォン、及び音響センサの1以上である。一例によれば、機能デバイスは、LSIを含んだ半導体チップである。
【0021】
本発明の更に他の態様によると、前記レーザー光は前記支持体側から前記光吸収層に照射され、前記特定波長は赤外波長域内にある上記態様に係る機能デバイス付き配線基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、配線基板から支持体を剥離しやすい支持体付き配線基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板を概略的に示す断面図。
図2】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、支持体を概略的に示す断面図。
図3】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、光吸収層及び剥離層形成工程を概略的に示す断面図。
図4】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、第1シード層形成工程を概略的に示す断面図。
図5】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、レジスト層形成工程を概略的に示す断面図。
図6】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、導体層形成工程を概略的に示す断面図。
図7】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、絶縁層形成工程を概略的に示す断面図。
図8】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、絶縁層に開口部を形成する工程を概略的に示す断面図。
図9】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、第2シード層形成工程を概略的に示す断面図。
図10】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、レジスト層及び導体層形成工程を概略的に示す断面図。
図11】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、レジスト層除去工程を概略的に示す断面図。
図12】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、導体層、絶縁層及び第2シード層形成工程を概略的に示す断面図。
図13】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、最表面絶縁層形成工程を概略的に示す断面図。
図14】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、表面処理層形成工程を概略的に示す断面図。
図15】本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板の製造方法における、第1金属バンプ形成工程を概略的に示す断面図。
図16】配線基板、最表面絶縁層、表面処理層及び第1金属バンプを省略した支持体付き配線基板を概略的に示す断面図。
図17図16に示す支持体付き配線基板の剥離層側の表面を概略的に示す平面図。
図18】最表面絶縁層、表面処理層及び第1金属バンプを省略した支持体付き配線基板を概略的に示す平面図。
図19】本発明の一実施形態に係る複合配線基板の製造方法における、第1配線基板を概略的に示す断面図。
図20】本発明の一実施形態に係る複合配線基板の製造方法における、第1配線基板の位置と支持体付き配線基板の位置とを合わせる工程を概略的に示す断面図。
図21】本発明の一実施形態に係る複合配線基板の製造方法における、第1配線基板と支持体付き配線基板との接合工程を概略的に示す断面図。
図22】本発明の一実施形態に係る複合配線基板の製造方法における、レーザー光照射工程を概略的に示す断面図。
図23】本発明の一実施形態に係る複合配線基板の製造方法における、支持体剥離工程を概略的に示す断面図。
図24】本発明の一実施形態に係る複合配線基板を概略的に示す断面図。
図25】本発明の一実施形態に係るパッケージ化デバイスを概略的に示す断面図。
図26】本発明の一実施形態に係る機能デバイス付き配線基板の製造方法における、支持体付き配線基板と機能デバイスとの接合工程を概略的に示す断面図。
図27】本発明の一実施形態に係る機能デバイス付き配線基板の製造方法における、第2アンダーフィル形成工程を概略的に示す断面図。
図28】本発明の一実施形態に係る機能デバイス付き配線基板の製造方法における、封止樹脂形成工程を概略的に示す断面図。
図29】本発明の一実施形態に係る機能デバイス付き配線基板の製造方法における、レーザー光照射工程を概略的に示す断面図。
図30】本発明の一実施形態に係る機能デバイス付き配線基板の製造方法における、支持体剥離工程を概略的に示す断面図。
図31】本発明の一実施形態に係る機能デバイス付き配線基板を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記態様の何れかをより具体化したものである。なお、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。ここで、図面は模式的なものであり、厚さ方向の寸法と厚さ方向に垂直な方向、即ち面内方向の寸法との関係や、複数の層の厚さ方向における寸法の関係等は、現実のものとは異なり得ることに留意すべきである。従って、具体的な寸法は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、2以上の構成要素の寸法の関係が、複数の図面の間で異なっている可能性があることにも留意すべきである。
【0025】
以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化した例を示すものであって、本発明の技術的思想を、以下に記載する構成要素の材質、形状、構造、及び配置等に限定するものではない。本発明の技術的思想には、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0026】
<支持体付き配線基板>
図1は、本発明の一実施形態に係る支持体付き配線基板を概略的に示す断面図である。
【0027】
図1に示す支持体付き配線基板1は、支持体11と、光吸収層12と、剥離層13と、第1シード層14と、配線基板15と、最表面絶縁層16と、表面処理層17と、第1金属バンプ18とを備えている。支持体付き配線基板1は、例えば、FC-BGA基板に、配線基板15を転写するために用いられる。転写は、例えば、光吸収層12にレーザー光を照射し、配線基板15から支持体11を剥離することで行われる。
【0028】
支持体11は、支持面を有し、支持面に対して垂直な方向に、特定波長を有する光を透過する。支持体11は、例えば、透明性を有している。
【0029】
特定波長は、例えば、紫外波長域乃至赤外波長域内にある。特定波長が紫外波長域内にある場合、特定波長は、例えば、150nm乃至400nmの範囲内にある。特定波長が赤外波長域内にある場合、特定波長は、例えば、700nm乃至2000nmの範囲内にある。
【0030】
支持体11の材料は、例えば、ガラス、ポリカーボネート、アクリル又はシリコンである。シリコンは、上記の特定波長が赤外波長域内にある場合に使用することができる。
【0031】
支持体11の材料はガラスであることが好ましい。支持体11がガラスからなる場合、十分な厚さを有している支持体11は形状保持性に優れているため、そのような支持体11を使用すると、微細な配線パターンを有する配線基板15を容易に形成することができる。
【0032】
ガラスが有する線膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)は、3ppm以上15ppm以下の範囲内にあることが好ましく、3.3ppm乃至12.6ppmの範囲内にあることがより好ましい。線膨張係数が3ppm以上15ppm以下の範囲内にあると、配線基板15において配線パターンの配置を高い精度で達成しやすく、且つ平坦な配線基板15を容易に形成することができる。ガラスの線膨張係数が約9ppmである場合、FC-BGA基板の線膨張係数及び半導体チップの線膨張係数と近いため、反り等が生じにくい。
【0033】
支持体11の厚さは、0.7mm以上であることが好ましく、1.1mm以上であることがより好ましい。支持体11が薄すぎると、反りなどが生じやすい。支持体11が厚すぎると、支持体11によるレーザー光の吸収が大きくなりやすい。支持体11がガラスからなる場合、支持体11の厚さが上記の範囲内にあると、製造過程において反りが生じにくい。
【0034】
支持体11は、矩形状であってもよく、円形であってもよい。
【0035】
光吸収層12は、支持体11と剥離層13との間に介在している。光吸収層12は、剥離層13と比較して高い光吸収率を示す。光吸収層12は、上述した特定波長を有する光を吸収することで発熱し、その熱を剥離層13に伝達する。
【0036】
光吸収層12の材料は、例えば、金属である。金属が有する、1033nm乃至1079nmの範囲内の何れかの波長における消衰係数は、3.3乃至5.32の範囲内にあることが好ましい。上記の消衰係数が上記の範囲内にある金属は、例えば、チタン、クロム、タングステン、ニッケル、モリブデン、ニオブ又はタンタルである。
【0037】
消衰係数は、例えば、分光エリプソメトリーによって測定することができる。
【0038】
金属が有する、1033nm乃至1079nmの範囲内の何れかの波長における屈折率は、0.96乃至3.35の範囲内にあることが好ましく、2.29乃至3.35の範囲内にあることがより好ましい。上記の屈折率が0.96乃至3.35の範囲内にある金属は、例えば、チタン、クロム、タングステン、ニッケル、モリブデン、ニオブ又はタンタルである。上記の屈折率が2.29乃至3.35の範囲内にある金属は、例えば、チタン、クロム、タングステン、ニッケル又はモリブデンである。
【0039】
屈折率は、例えば、分光エリプソメトリーによって測定することができる。
【0040】
光吸収層12の材料としては、1033nm乃至1079nmの範囲内の何れかの波長における消衰係数は、3.3乃至5.31の範囲内にあり、且つ、1033nm乃至1079nmの範囲内の何れかの波長における屈折率は、0.96乃至3.35の範囲内にあることが好ましい。このような材料としては、例えば、チタン、クロム、タングステン、ニッケル、モリブデン、ニオブ又はタンタルである。
【0041】
表1に、チタン、クロム、タングステン、ニオブ、モリブデン、ニオブ及びタンタルについて、1033nm乃至1079nmの範囲内の何れかの波長における消衰係数及び屈折率を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
光吸収層12の材料は、例えば、チタン、クロム、タングステン、ニッケル、モリブデン、ニオブ及びタンタルからなる群より選ばれる1以上の金属、又は、これら金属を含む合金若しくは化合物である。好ましくは、光吸収層12の材料は、チタン、クロム、タングステン、ニッケル及びモリブデンからなる群より選ばれる1以上の金属、又は、これら金属を含む合金若しくは化合物である。より好ましくは、光吸収層12の材料は、チタン又はチタンを含む合金若しくは化合物である。
【0044】
光吸収層12は、例えば、分子線エピタキシー(MBE)法等の真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法又は化学気相堆積(CVD)法によって形成できる。
【0045】
光吸収層12の厚さは、例えば、1nm乃至500nmの範囲内にあることが好ましく、5nm乃至100nmの範囲内にあることがより好ましい。光吸収層12が薄すぎると、支持体付き配線基板1にレーザー光を照射した際に、光吸収層12がレーザー光を十分に吸収できないため、配線基板15から支持体11を容易に剥離することが難しい。光吸収層12が厚すぎると、レーザー光を光吸収層12に照射した際に、照射部位から光吸収層12の面内方向へ熱が伝導しやすいため、照射部位が十分に高温になりにくい。
【0046】
剥離層13は、支持体11と配線基板15との間に介在している。剥離層13は、加熱によって密着性が低下する。密着性が低下するとは、剥離層13が光吸収層12から剥離すること、或いは、剥離層13と光吸収層12とを剥離するのに必要な力が低下することである。
【0047】
剥離層13の材料は、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、マレイミド樹脂、及びアクリル樹脂等の樹脂である。
ポリイミド樹脂としては、例えば、宇部興産株式会社製の「ユピア(登録商標)」を使用することができる。
【0048】
剥離層13の厚さは、例えば、10nm乃至50μmの範囲内にあることが好ましく、10nm乃至1μmの範囲内にあることがより好ましく、10nm乃至0.5μmの範囲内にあることが更に好ましい。剥離層13が薄すぎると、剥離層13を均一に形成することが難しい。剥離層13が厚すぎると、平坦性に優れた配線基板15を形成することが難しい。
【0049】
剥離層13の材料として液状の樹脂を用いる場合、剥離層13は、例えば、スリットコート、カーテンコート、ダイコート、スプレーコート、静電塗布法、インクジェットコート、グラビアコート、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、スピンコート又はドクターコートによって形成できる。
【0050】
剥離層13の材料としてフィルム状の樹脂を用いる場合、剥離層13は、例えば、ラミネート、真空ラミネート又は真空プレスによって光吸収層12の上に設けることができる。
【0051】
なお、剥離層13は、2以上の層からなっていてもよい。
【0052】
第1シード層14は、例えば、後述する導体層の形成における給電層である。
第1シード層14は、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、モリブデン、タングステン、タンタル、金、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、白金、Al-Si系合金、Al-Si-Cu系合金、Al-Cu系合金、Ni-Fe系合金、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、活性酸化亜鉛(AZO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、窒化チタン(TiN)、Cu34、Cu合金の単体又はこれらの混合物を含む。
【0053】
第1シード層14は、例えば、スパッタ法又は化学気相堆積(CVD)法によって形成される。
【0054】
第1シード層14の厚さは、1μm以下であることが好ましく、50nm乃至500nmの範囲内にあることがより好ましい。
【0055】
第1シード層14は、2以上の層からなっていてもよい。この場合、第1シード層14は、例えば、剥離層13と配線基板15との間に介在した第1金属含有層と、第1金属含有層と配線基板15との間に介在した第2金属含有層とからなる。
【0056】
第1金属含有層は、例えば、チタンを含む。第2金属含有層は、例えば、銅を含む。第1金属含有層及び第2金属含有層は、例えば、スパッタリングによって形成される。チタンを含む第1金属含有層を使用した場合、第1金属含有層は剥離層13との密着性に優れる。銅を含む第2金属含有層を使用した場合、第1金属含有層と後述する導体層との密着性に優れる。
【0057】
第1金属含有層の厚さは、例えば、10nm乃至100nmの範囲内にあることが好ましい。第2金属含有層の厚さは、例えば、40nm乃至400nmの範囲内にあることが好ましい。
【0058】
配線基板15は、支持体11が有する支持面と向かい合っている。配線基板15は、例えば、半導体チップ等の機能デバイスとFC-BGA基板とを接続する。配線基板15は、例えば、既存の方法によって製造される。
【0059】
配線基板15は、例えば、インターポーザ等の多層配線基板である。配線基板15は、例えば、ビルドアップ配線層からなる。配線基板15は、例えば、微細な配線パターンを含む。配線基板15の最小のライン/スペースは、例えば、1μm/1μm乃至5μm/5μmの範囲内にある。配線基板15に含まれる導体層は、例えば、ダマシン法又はセミアディティブ法によって形成される。導体層については後述する。
【0060】
配線基板15、最表面絶縁層16、表面処理層17及び第1金属バンプ18の詳細については、後述する。
【0061】
なお、レーザー光から配線基板15を保護するために、剥離層13と配線基板15との間に保護層を設けてもよい。
【0062】
<支持体付き配線基板の製造方法>
以下、図2乃至図15を参照しながら、支持体付き配線基板1の製造方法の一例について説明する。
【0063】
先ず、図2に示すように、支持体11を準備する。支持体11はガラスからなるとする。
【0064】
次に、図3に示すように、支持体11の上に光吸収層12及び剥離層13を形成する。具体的には、先ず、支持体11の上にチタンをスパッタリングする。このようにして、光吸収層12を形成する。次に、光吸収層12の上にポリイミド樹脂をスピンコートによって塗布する。このようにして、剥離層13を形成する。
【0065】
次に、配線基板15を形成する。
【0066】
先ず、図4に示すように、剥離層13の上に第1シード層14を形成する。ここでは、第1シード層14として、第1金属含有層及び第2金属含有層を形成する。具体的には、先ず、剥離層13の上にチタンをスパッタリングする。このようにして、第1金属含有層を形成する。次に、第1金属含有層の上に銅をスパッタリングする。このようにして、第2金属含有層を形成する。
【0067】
次に、図5に示すように、第1シード層14の上に、レジスト層151Aをパターン状に形成する。具体的には、先ず、真空中で、第1シード層14の上に、レジスト層151Aを形成する。その後、フォトリソグラフィーにより、レジスト層151Aの一部を除去して、開口部を設ける。以上のようにして、レジスト層151Aをパターン状に形成する。
【0068】
レジスト層151Aの材料は、例えば、アルカリ現像型感光性樹脂である。
【0069】
次に、図6に示すように、第1シード層14の上に、導体層152Aを形成する。具体的には、先ず、第1シード層14のうち、レジスト層151Aによって被覆されていない部分に、電解めっき法により、銅を含む導体層152Aを形成する。その後、アルカリ溶液などのレジスト剥離液を用いて、レジスト層151Aを除去する。以上のようにして、導体層152Aを形成する。導体層152Aは、例えば、電極である。導体層152Aは、例えば、後述する第1配線基板との接合に用いられる電極、又は機能デバイスとの接合に用いられる電極である。
【0070】
導体層152Aが銅を含む場合、容易且つ安価で導体層152Aを形成することができる。また、銅を含む導体層152Aは導電性に優れる。
【0071】
導体層152Aは、例えば、ニッケル、クロム、パラジウム、金、又はロジウムからなっていてもよい。導体層152Aは、例えば、電解めっき法により形成することができる。
【0072】
導体層152Aの厚さは、1μm乃至30μmの範囲内にあることが好ましく、1μm乃至5μmの範囲内にあることがより好ましい。導体層152Aが厚すぎると製造コストがかさむ傾向にある。導体層152Aが薄すぎると、機能デバイス又は後述する第1配線基板と配線基板15との接合に不具合が生じる場合がある。
【0073】
次に、図7に示すように、第1シード層14のうち導体層152Aによって被覆されていない部分の上と、導体層152Aの表面の上とに絶縁層153Aを形成する。具体的には、スピンコートによって、第1シード層14のうち導体層152Aによって被覆されていない部分と、導体層152Aの表面との上に感光性のエポキシ樹脂を塗布する。その後、感光性のエポキシ樹脂を硬化させる。以上のようにして、絶縁層153Aを形成する。絶縁層153Aは、例えば、導体層152Aが絶縁層153A内に埋め込まれるように形成する。
【0074】
感光性のエポキシ樹脂を使用した場合、比較的低温で絶縁層153Aを硬化することが容易である。また、感光性のエポキシ樹脂は硬化によって収縮しにくいため、微細な配線パターンの形成に優れる。
【0075】
絶縁層153Aの材料は、ポリイミド樹脂又はポリアミド樹脂であってもよい。
【0076】
感光性のエポキシ樹脂を用いて絶縁層153Aを形成する代わりに、絶縁樹脂フィルムを真空ラミネータで圧縮することで絶縁層153Aを得てもよい。この場合、平坦性に優れた絶縁層153Aを形成することができる。
【0077】
絶縁層153Aの厚さは、0.5μm乃至50μmの範囲内にあることが好ましく、2μm乃至15μmの範囲内にあることがより好ましい。絶縁層153Aが厚すぎると、平坦性に優れた配線基板15を得ることが難しい。絶縁層153Aが薄すぎると、高い絶縁信頼性を得ることが難しい。
【0078】
次に、図8に示すように、フォトリソグラフィーにより、絶縁層153Aに1以上の開口部を形成する。この開口部は、導体層152Aの上面の一部が露出するように形成する。
【0079】
なお、開口部を形成した後、開口部において、現像によって生じた残渣を除去するためにプラズマ処理を行っても良い。
【0080】
次に、図9に示すように、上記の開口部によって露出した導体層152A上及び絶縁層153Aの表面上に、第2シード層154Aを形成する。
【0081】
第2シード層154Aは、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、モリブデン、タングステン、タンタル、金、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、白金、Al-Si系合金、Al-Si-Cu系合金、Al-Cu系合金、Ni-Fe系合金、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、活性酸化亜鉛(AZO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、窒化チタン(TiN)、Cu34、Cu合金の単体又はこれらの混合物を含む。
【0082】
第2シード層154Aは、例えば、スパッタ法又は化学気相堆積(CVD)法によって形成される。
【0083】
第2シード層154Aの厚さは、例えば、1μm以下であることが好ましく、50nm乃至500nmの範囲内にあることがより好ましい。
【0084】
第2シード層154Aは、2以上の層からなっていてもよい。この場合、第2シード層154Aは、例えば、導体層152A及び絶縁層153A上に設けられた第1金属含有層と、第1金属含有層を介して導体層152A及び絶縁層153A上に設けられた第2金属含有層とからなる。
【0085】
第1金属含有層は、例えば、チタンを含む。第2金属含有層は、例えば、銅を含む。第1金属含有層及び第2金属含有層は、例えば、スパッタリングによって形成される。
【0086】
以下、第2シード層154Aは、チタンを含む第1金属含有層と銅を含む第2金属含有層とからなるとする。また、第1金属含有層の厚さは50nmであり、第2金属含有層の厚さは300nmであるとする。
【0087】
次に、図10に示すように、第2シード層154Aの上に、レジスト層151Bをパターン状に形成する。具体的には、第2シード層154Aのうち導体層152Aと隣接している部分が露出するように、レジスト層151Bに開口部を形成する。その後、第2シード層154Aの表面のうちレジスト層151Bによって覆われていない領域の全体を被覆するように導体層152Bを形成する。導体層152Bは、配線基板15に含まれる配線パターンである。
【0088】
レジスト層151Bに使用する材料及びそれらの形成方法は、レジスト層151Aについて説明したのと同様である。
【0089】
導体層152B及び後述する導体層152Cに使用する材料及びそれらの形成方法は、導体層152Aについて説明したのと同様である。ここでは、導体層152Bは銅を含むとする。
【0090】
次に、図11に示すように、レジスト層151Bを除去する。その後、第2シード層154Aのうち、導体層152Aによって覆われていない部分をエッチングにより除去する。
【0091】
次に、図7乃至図11を用いて説明した方法を2回繰り返して、図12に示す構造体を得る。図12に示す構造体は、導体層152A、152B、152C及び152D、絶縁層153A、153B及び153C、並びに第2シード層154A、154B及び154Cを備えている。導体層152B及び152Cは、例えば、配線基板15の配線である。導体層152Dは、例えば、後述する第1配線基板との接合に用いられる電極、又は機能デバイスとの接合に用いられる電極である。
【0092】
導体層152Dの厚さは5μm以上であることが好ましい。
このようにして、配線基板15を形成する。
【0093】
なお、図7乃至図11を用いて説明した方法を繰り返す回数は1であってもよく、3以上であってもよい。
【0094】
次に、図13に示すように、配線基板15の上に、最表面絶縁層16をパターン状に形成する。具体的には、先ず、絶縁層153Cの表面のうち第2シード層154C及び導体層152Dによって覆われていない領域と、導体層152Dの表面と、第2シード層154Cの側面との上に最表面絶縁層16を形成する。次に、フォトリソグラフィーにより、導体層152Dの少なくとも一部が露出するように、最表面絶縁層16に開口部を形成する。
【0095】
最表面絶縁層16の材料は、例えば、感光性のエポキシ樹脂である。最表面絶縁層16の材料は、絶縁層153Aの材料と同じであってもよい。
【0096】
次に、図14に示すように、導体層152Dの表面のうち最表面絶縁層16によって覆われていない部分に、表面処理層17を形成する。表面処理層17は、例えば、導体層152Dの表面の酸化防止、及び/又は、第1金属バンプ18の濡れ性を向上させるために設けられる。
【0097】
表面処理層17としては、例えば、無電解Ni/Pd/Auめっき、無電解スズめっき、無電解Ni/Auめっきなどのめっき被膜を用いることができる。或いは、表面処理層17として、水溶性プリフラックス(OSP:Organic Solderability Presevative)からなる膜を用いてもよい。
【0098】
次に、図15に示すように、表面処理層17の上に第1金属バンプ18を形成する。具体的には、例えば、表面処理層17の上に第1金属バンプ18の材料を載せ、その後溶融冷却して固着させることで第1金属バンプ18を形成する。
【0099】
第1金属バンプ18の材料は、例えば、Sn-Ag-Cu合金、Sn-Ag合金又はSN-Cu合金である。
【0100】
このようにして、支持体付き配線基板1を得る。
【0101】
なお、最表面絶縁層16、表面処理層17及び第1金属バンプ18は省略してもよい。
【0102】
配線基板15の配線幅は、例えば、1μm以上5μm以下の範囲内にあることが好ましい。この場合、配線基板15は、ハイバンドメモリ(HBM)に含まれるインターポーザとして使用することができる。例えば、配線幅が2μmであり、配線高さが2μmであり、各絶縁層の厚さが2μmである場合、絶縁層及び導体層からなる層の厚さは4μmである。絶縁層及び導体層からなる上記層を2つ積層し、導体層152A及び152Dの各々の厚さを10μmとした場合、配線基板15と導体層152A及び152Dとからなる積層体の厚さは28μmとなる。このように、配線基板15と導体層152A及び152Dとからなる積層体は薄い場合がある。
【0103】
図16は、上述した支持体付き配線基板1において、配線基板15、最表面絶縁層16、表面処理層17及び第1金属バンプ18を省略した支持体付き配線基板1を概略的に示す断面図である。図17は、図16に示す支持体付き配線基板1の剥離層13側の表面を概略的に示す平面図である。
【0104】
図16及び図17に示すように、支持体11の支持面に平行な平面への剥離層13の第1正射影の輪郭は、上記平面への光吸収層12の第2正射影の輪郭の内側に存在していることが好ましい。このような上記第1正射影の輪郭が上記第2正射影の輪郭の内側に存在していると、レーザー光の照射によって光吸収層12が生じた熱が剥離層13全体に伝わりやすい。従って、配線基板15から支持体11が剥離しやすい。このため、例えば、上述した支持体付き配線基板1を使用して配線基板15をFC-BGA基板に転写して複合配線基板を得る場合、高い歩留まりで複合配線基板が得られる。
【0105】
図16及び図17に示す構造は、一例によると、剥離層13を形成した後に、剥離層13の周縁部を除去することで得られる。図16及び図17に示す構造は、他の例によると、光吸収層12を形成した後に、光吸収層12の周縁部に保護膜を形成し、その後、光吸収層の12及び保護膜の上に剥離層13を形成し、その後、保護膜を除去することで保護膜上に剥離層13を除去することで得られる。
【0106】
図18は、上述した支持体付き配線基板1において、最表面絶縁層16、表面処理層17及び第1金属バンプ18を省略した支持体付き配線基板1を概略的に示す平面図である。図18は、支持体付き配線基板1の配線基板15側の表面を示す。図18に示すように、支持体付き配線基板1には、複数の配線基板15が設けられていても良い。複数の配線基板15は、例えば、基板ユニットを形成する。
【0107】
<複合配線基板の製造方法>
以下、図19乃至図24を参照しながら、複合配線基板の製造方法の一例について説明する。なお、図20乃至図24においては表面処理層17を省略した。
【0108】
先ず、図19に示す第1配線基板20を準備する。第1配線基板20は、コア層21、導体層22、絶縁樹脂23、層24、電極25、最表面絶縁樹脂層26及び第2金属バンプ27を備えている。第1配線基板20は、例えば、FC-BGA基板である。
【0109】
コア層21は、絶縁層である。コア層21は、例えば、織布又は不織布に熱硬化性の絶縁樹脂を含浸させた繊維強化基板である。織布又は不織布としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、又はアラミド繊維を使用することができる。絶縁樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を使用することができる。
【0110】
コア層21には1以上の貫通孔が設けられている。貫通孔の側壁は銅等の金属を含む導体層22によって被覆されている。導体層22によって被覆された貫通孔には、絶縁樹脂23が充填されている。
【0111】
コア層21の各支持面には、層24が設けられている。層24は、導体パターン241と絶縁層242とを含む。導体パターン241は導体層22と接している。絶縁層242は、例えば、導体パターン241の側面を被覆している。
【0112】
導体パターン241のうち、絶縁層242によって被覆されていない部分であり、且つコア層21と接していない部分には電極25が設けられている。
【0113】
層24のライン/スペースは、例えば、8μm/8μm乃至25μm/25μmの範囲内にある。
【0114】
コア層21の一方の主面側において、電極25の上には第2金属バンプ27が設けられている。上記の一方の主面側において、最表面絶縁樹脂層26は、層24の表面、電極25の側面及び第2金属バンプ27の一部の側面を被覆している。
【0115】
第2金属バンプ27の配置は、例えば、図1に示す支持体付き配線基板1が備える第1金属バンプ18の配置と同じである。
【0116】
第2金属バンプ27の材料としては、上述した支持体付き配線基板1の第1金属バンプ18について説明した材料を使用することができる。
【0117】
コア層21の他方の主面側において、電極25の表面及び層24の表面には、電極25の一部の表面が露出するように最表面絶縁樹脂層26が設けられている。
【0118】
次に、図20に示すように、第1配線基板20の位置と図1に示す支持体付き配線基板1の位置とを合わせる。第1配線基板20の位置と支持体付き配線基板1の位置とは、第1配線基板20が備える第2金属バンプ27の配置と図1に示す支持体付き配線基板1が備える第1金属バンプ18の配置とが対応するように合わせる。
【0119】
次に、図21に示すように、第1配線基板20を支持体付き配線基板1が含む第2配線基板としての配線基板15に接合し、その後、第1配線基板20と支持体付き配線基板1との間の部分に第1アンダーフィル31を充填する。
【0120】
第1配線基板20と支持体付き配線基板1とは、例えば、互いに向き合うように接合する。具体的には、第1配線基板20と支持体付き配線基板1の配線基板15側の表面とが互いに向き合うように接合する。
【0121】
接合は、第1配線基板20が備える第2金属バンプ27と支持体付き配線基板1が備える第1金属バンプ18とを介して行われる。この接合により、第1接合部30が形成される。
【0122】
第1アンダーフィル31は、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂からなる群より選択される1以上の樹脂と、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等のフィラーとの混合物を使用することができる。
【0123】
次に、図22に示すように、光吸収層12にレーザー光40を照射する。具体的には、例えば、第1配線基板20と支持体付き配線基板1との複合体の支持体11側の表面から光吸収層12にレーザー光40を照射する。図22に示す白抜き矢印は、レーザー光40の移動方向を示す。
【0124】
レーザー光40は特定波長を有する。例えば、紫外波長域乃至赤外波長域内にある。特定波長が紫外波長域内にある場合、特定波長は、例えば、150nm乃至400nmの範囲内にある。特定波長が赤外波長域内にある場合、特定波長は、例えば、700nm乃至2000nmの範囲内にある。レーザー光40は、赤外波長域内にあることが好ましい。赤外波長域内にあるレーザー光40は、紫外波長機内にあるレーザー光40と比較して、配線基板15に損傷が生じにくい。例えば、導体層152A、152B、152C及び152D、又は絶縁層153A、153B及び153Cに欠陥が生じやすい。
【0125】
レーザー光40の出力は、0.05W乃至25Wの範囲内にあることが好ましく、0.1W乃至10Wの範囲内にあることがより好ましい。レーザー光40の出力が上記の範囲内にあると、配線基板15に損傷が生じにくい。レーザー光40の出力が大きすぎると、配線基板15に損傷が生じやすい。レーザー光40の出力が小さすぎると、配線基板15から支持体11が剥離することが難しい。
【0126】
レーザー光40の単位面積当たりの照射エネルギーは、1mJ/cm乃至1000mJ/cmの範囲内にあることが好ましく、10mJ/cm乃至300mJ/cmの範囲内にあることがより好ましい。
【0127】
レーザー光40の照射回数は、1回であることが好ましい。照射は複数回行ってもよい。工程負荷の観点から、照射回数は少ないことが好ましい。
【0128】
光吸収層12にレーザー光40を照射すると、光吸収層12が発熱する。光吸収層12の発熱によって生じた熱が剥離層13に伝導すると、光吸収層12と接している剥離層13は、光吸収層12へのレーザー光40の照射位置で変質する。その結果、剥離層13の密着性が低下する。
【0129】
次に、図23に示すように、配線基板15から支持体11及び光吸収層12を剥離する。
【0130】
次に、図24に示すように、剥離層13及び第1シード層14を除去する。剥離層13の材料としてポリイミド樹脂を使用した場合、剥離層13は、一例によると、O又はCFプラズマを用いたドライエッチングにより除去する。剥離層13は、他の例によると、ヒドラジン系又は強アルカリ系のエッチング液により除去する。剥離層13はドライエッチングにより除去することが好ましい。
【0131】
第1シード層14がチタンからなる第1金属含有層及び銅からなる第2金属含有層からなる場合、第1金属含有層は、例えば、アルカリ系のエッチング剤を用いて除去し、第2金属含有層は、例えば、酸系のエッチング剤を用いて除去する。
このようにして、複合配線基板100を得る。
【0132】
なお、剥離層13及び第1シード層14を除去した後、導体層152Aの表面に表面処理層17を形成してもよい。
【0133】
また、上述した方法では、光吸収層12と剥離層13との界面において剥離を生じさせたが、剥離層13と第1シード層14との界面において剥離を生じさせても良い。
【0134】
上述した複合配線基板100は、例えば、パッケージ化デバイスの製造に使用することができる。パッケージ化デバイスは、例えば、上述した第1配線基板20、配線基板15及び機能デバイスを備えている。
以下、図25を用いて、複合配線基板100を使用したパッケージ化デバイスの製造方法について説明する。
【0135】
先ず、機能デバイスと図24に示す複合配線基板100とを準備する。
【0136】
機能デバイスは、例えば、半導体チップ、又は、ガラス基板などの半導体以外の材料からなる基板上に回路や素子が形成されたチップである。ここでは、一例として、機能デバイスは半導体チップであるとする。即ち、ここでは、パッケージ化デバイスは、半導体パッケージである。
【0137】
次に、図25に示すように、複合配線基板100と機能デバイス50とを接合する。機能デバイス50と複合配線基板100とは、例えば、互いに向き合うように接合する。具体的には、機能デバイス50と複合配線基板100の配線基板15側の表面とが互いに向き合うように接合する。
【0138】
機能デバイス50は、第2接合部51を介して複合配線基板100に接合される。具体的には、機能デバイス50は、第2接合部51を介して導体層152Dに接合される。ここでは、機能デバイス50は、フリップチップボンディングによって、複合配線基板100へ接合されている。機能デバイス50の1以上は、ワイヤボンディングなどの他のボンディング法によって複合配線基板100へ接合されていてもよい。
【0139】
第2接合部51は、機能デバイス50と複合配線基板100との間で、狭いピッチで配列している。第2接合部51は、例えば、銅からなるピラー又は半田からなる。機能デバイス50をワイヤボンディングによって複合配線基板100へ接合する場合、例えば、金ワイヤを用いて機能デバイス50と複合配線基板100とを電気的に接続することができる。
【0140】
次に、図25に示すように、機能デバイス50と複合配線基板100との間の部分に第2アンダーフィル52を充填する。第2アンダーフィル52の材料は、例えば、第1アンダーフィル31について説明したのと同様である。
【0141】
次に、図25に示すように、封止樹脂53で機能デバイスを封止する。
封止樹脂53としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂からなる群より選択される1以上の樹脂と、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等のフィラーとの混合物を使用することができる。封止樹脂53の材料と、第2アンダーフィル52の材料とは異なることが好ましい。
封止樹脂53は、例えば、コンプレッションモールド又はトランスファーモールドによって形成することができる。
【0142】
次に、図25に示すように、複合配線基板100の第1配線基板20側の表面のうち、電極25が露出している領域に第3金属バンプ60を形成する。第3金属バンプ60は、例えば、マザーボードとの接合に使用される。第3金属バンプ60の材料は、例えば、第1金属バンプ18について説明したのと同様である。
このようにして、パッケージ化デバイス300を得る。
【0143】
図25に示すように、第1接合部30の配置間隔は、第2接合部51の配置間隔よりも狭いことが好ましい。この場合、配線基板15は、機能デバイス50とも第1配線基板20とも容易に接合可能である。
【0144】
なお、図25では、配線基板15の側面は封止樹脂53によって覆われているが、配線基板15の側面は封止樹脂53によって覆われていなくても良い。また、図25では、パッケージ化デバイス300は複数の機能デバイス50を含んでいるが、パッケージ化デバイス300は機能デバイス50を1つのみ含んでいてもよい。
【0145】
<機能デバイス付き配線基板の製造方法>
以下、図26乃至図31を参照しながら、機能デバイス付き配線基板の製造方法の一例について説明する。なお、図26乃至図31においては最表面絶縁層16及び表面処理層17を省略した。
【0146】
先ず、図14に示す支持体付き配線基板1と機能デバイスとを準備する。
【0147】
次に、図26に示すように、機能デバイス50を、図14に示す支持体付き配線基板1に接合する。機能デバイス50と支持体付き配線基板1とは、例えば、互いに向き合うように接合する。具体的には、機能デバイス50と支持体付き配線基板1の配線基板15側の表面とが互いに向き合うように接合する。
【0148】
機能デバイス50は、第2接合部51を介して支持体付き配線基板1に接合される。具体的には、機能デバイス50は、第2接合部51を介して導体層152Dに接合される。
【0149】
次に、図27に示すように、機能デバイス50と支持体付き配線基板1との間の部分に第2アンダーフィル52を充填する。第2アンダーフィル52の充填により、機能デバイス50を支持体付き配線基板1に固定し、且つ、第2接合部51を封止する。
【0150】
次に、図28に示すように、封止樹脂53で機能デバイス50を封止する。
【0151】
次に、図29に示すように、光吸収層12にレーザー光40を照射する。具体的には、例えば、機能デバイス50と支持体付き配線基板1との複合体の支持体11側の表面から光吸収層12にレーザー光40を照射する。図29に示す白抜き矢印は、レーザー光40の移動方向を示す。
【0152】
レーザー光40は特定波長を有する。例えば、紫外波長域乃至赤外波長域内にある。特定波長が紫外波長域内にある場合、特定波長は、例えば、150nm乃至400nmの範囲内にある。特定波長が赤外波長域内にある場合、特定波長は、例えば、700nm乃至2000nmの範囲内である。
【0153】
レーザー光40の出力は、0.05W乃至25Wの範囲内にあることが好ましく、0.1W乃至10Wの範囲内にあることがより好ましい。
【0154】
レーザー光40の単位面積当たりの照射エネルギーは、1mJ/cm乃至1000mJ/cmの範囲内にあることが好ましく、10mJ/cm乃至300mJ/cmの範囲内にあることがより好ましい。
【0155】
レーザー光40の照射回数は、1回であることが好ましい。照射回数は複数回であってもよい。
【0156】
上述した通り、光吸収層12にレーザー光40を照射すると、剥離層13の密着性が低下する。
【0157】
次に、図30に示すように、配線基板15から支持体11及び光吸収層12を剥離する。
【0158】
次に、図31に示すように、剥離層13及び第1シード層14を除去する。
このようにして、機能デバイス付き配線基板200を得る。
【0159】
なお、機能デバイス50を支持体付き配線基板1に接合した後に、機能デバイス50と支持体付き配線基板1との間の部分に第2アンダーフィル52を充填する代わりに、支持体付き配線基板1の上に異方性導電フィルム(ACF)を配置した後に、機能デバイス50を支持体付き配線基板1に接合してもよい。異方性導電フィルムの代わりに、フィルム状接合材料(NCF)を使用してもよい。また、機能デバイス50を支持体付き配線基板1に接合した後に、機能デバイス50と支持体付き配線基板1との間の部分に第2アンダーフィル52を充填する代わりに、支持体付き配線基板1の上に非導電ペースト(NCP)を塗布し、その後、機能デバイス50を支持体付き配線基板1に接合してもよい。
【0160】
また、剥離層13及び第1シード層14を除去した後、導体層152Aの表面に表面処理層17を形成してもよい。また、上述した方法では、機能デバイス付き配線基板200は複数の機能デバイス50を含んでいるが、機能デバイス付き配線基板200は機能デバイス50を1つのみ含んでいてもよい。
【0161】
上述した機能デバイス付き配線基板200は、例えば、パッケージ化デバイスの製造に使用することができる。
以下、機能デバイス付き配線基板200を使用したパッケージ化デバイスの製造方法の一例について説明する。
【0162】
先ず、図31に示す機能デバイス付き配線基板200を準備する。
次に、機能デバイス付き配線基板200に含まれる導体層152Aの表面に表面処理層17を形成する。
【0163】
次に、表面処理層17の上に第1金属バンプ18を形成する。
次に、図19に示す第1配線基板20を準備し、第1配線基板20の第2金属バンプ27と第1金属バンプ18とを接合する。
【0164】
次に、第1配線基板20と機能デバイス付き配線基板200との間の部分に第1アンダーフィル31を充填する。
次に、第1配線基板20の表面のうち、電極25が露出している領域に第3金属バンプ60を形成する。
【0165】
このようにして、パッケージ化デバイス300を得る。
なお、導体層152Aの表面に形成した表面処理層17は省略してもよい。
【0166】
<効果>
上述した支持体付き配線基板1において光吸収層12を省略した場合、配線基板15から支持体11を剥離するには、例えば、紫外波長を有するレーザー光を剥離層13に複数回照射して、剥離層13の密着性の低下を引き起こすのに十分な変質を生じさせる必要がある。しかしながら、紫外波長を有するレーザー光等の高いエネルギー密度を有するレーザー光を照射した場合、配線基板15に損傷が生じやすい。また、この場合、高出力のレーザー装置が必要である。
【0167】
また、上述した支持体付き配線基板1において光吸収層12を省略した場合、赤外波長を有するレーザー光等の比較的低いエネルギー密度を有するレーザー光を剥離層13に照射しても、剥離層13の密着性の低下を引き起こすのに十分な変質が生じにくい。
【0168】
また、上述した支持体付き配線基板1において光吸収層12と剥離層13との積層順を逆にした場合、複合配線基板100の製造過程において、第1シード層14の表面には、光吸収層12及び剥離層13が残りやすい。この場合、剥離層13及び第1シード層14の除去に加えて、光吸収層12の除去を更に行う必要がある。
【0169】
一方、上述した支持体付き配線基板1は、剥離層13と支持体11との間に、剥離層と比較して高い光吸収率を示す光吸収層12を備えている。このような光吸収層12は、剥離層13よりも、レーザー光の照射によって発熱しやすい。このため、光吸収層12を省略した場合と比較して、上述した支持体付き配線基板1では剥離層13の密着性の低下を引き起こすのに十分な変質が生じやすい。
【0170】
このため、赤外波長を有するレーザー光を使用した場合であっても、上述した支持体付き配線基板1では配線基板15から支持体11を容易に剥離することができる。この場合、配線基板15に損傷が生じにくい。
【0171】
また、紫外波長を有するレーザー光を使用した場合、上述した支持体付き配線基板1は、光吸収層12を省略した支持体付き配線基板と比較して、穏やかな照射条件、例えば、短い照射時間及びより低い出力で配線基板15から支持体11を剥離することが可能である。この場合においても、配線基板15に損傷が生じにくい。
【0172】
また、上述した支持体付き配線基板1は、支持体11と光吸収層12と剥離層13とをこの順で備えている。このため、図23に示すように、複合配線基板100の製造過程において、第1シード層14の表面には剥離層13が残ることがある。或いは、第1シード層14の表面には層が残らないこともある。これらの場合、光吸収層12を除去する工程は不要である。このため、支持体11剥離後におけるエッチング回数は少なくて済む。
【0173】
また、上述した支持体付き配線基板1では、レーザー光40は剥離層13を介さずに光吸収層12に到達するため、レーザー光40が光吸収層12に到達する前に、剥離層13によるレーザー光の吸収は生じない。
【0174】
上述した支持体付き配線基板1において、光吸収層12と剥離層13とは接していることが好ましい。光吸収層12と剥離層13とが接している場合、レーザー光40によって生じた熱が剥離層13に伝導しやすいため、配線基板15から支持体11が剥離しやすい。
【0175】
また、上述した支持体付き配線基板1において、支持体11と光吸収層12とは接していることが好ましい。支持体11と光吸収層12とが接している場合、光吸収層12による発熱量が大きいため、配線基板15から支持体11が剥離しやすい。
【0176】
上述した支持体付き配線基板1を使用すると、複合配線基板100、機能デバイス付き配線基板200及びパッケージ化デバイス300の製造方法においても、配線基板15から支持体11を容易に剥離することができる。また、これらの製造方法において、赤外波長を有するレーザー光を照射した場合、又は、紫外波長を有するレーザー光を短時間照射した場合、配線基板15に損傷が生じにくい。
【0177】
ところで、上述した通り、FC-BGA基板と半導体チップとの間に、シリコンウェハを含むシリコンインターポーザを設ける技術がある。この技術においては、使用可能なシリコンウェハの形状及び寸法が限られているため、1枚のシリコンウェハから製造可能なインターポーザの数が少ない。また、シリコンウェハの製造設備は高価であるため、シリコンインターポーザも高価である。また、シリコンウェハは半導体からなるため、抵抗が高い。このため、シリコンインターポーザは伝送特性が劣化することがある。
【0178】
また、化学機械研磨(CMP)などを利用してFC-BGA基板に多層配線層を直接作り込む方法では、上述した伝送特性の劣化は小さいものの、FC-BGA基板自体の製造歩留まりが小さい。また、FC-BGA基板上に微細配線を形成することは難易度が高い。このため、上記の方法では製造歩留まりが小さくなりやすい。また、FC-BGA基板の反りや歪みに起因した、半導体チップの実装における問題も生じることがある。
【実施例0179】
以下に、例及び比較例を記載する。
<例1>
以下の方法により、支持体と光吸収層と剥離層と第1シード層と導体層とを備えた積層体を製造した。
【0180】
先ず、支持体として、厚さが1.1mmであるガラス基板を準備した。
次に、支持体の一方の支持面に光吸収層を形成した。光吸収層は、支持体の上にチタンをスパッタリングすることで形成した。光吸収層の厚さは20nmとした。
【0181】
次に、光吸収層の上に剥離層を形成した。剥離層はポリイミド樹脂をスピンコートにより形成した。ポリイミド樹脂としては、宇部興産株式会社製の「ユピア(登録商標)」を使用した。剥離層の厚さは500nmとした。
【0182】
次に、剥離層の上に第1シード層を形成した。具体的には、先ず、剥離層の上にチタンからなる第1金属含有層をスパッタリングにより形成し、その後、第1金属含有層の上に銅からなる第2金属含有層を電解めっきにより形成した。第1金属含有層及び第2金属含有層の厚さは、それぞれ、50nm及び300nmとした。
【0183】
次に、第1シード層の上に、電解めっきにより、銅からなる層を形成した。銅からなる層の厚さは20μmとした。
【0184】
以上のようにして、積層体を得た。
【0185】
<例2>
光吸収層の厚さを20nmから50nmへ変更したこと以外は例1と同様の方法により積層体を製造した。
【0186】
<例3>
光吸収層の厚さを20nmから100nmへ変更したこと以外は例1と同様の方法により積層体を製造した。
【0187】
<例4>
光吸収層の厚さを20nmから200nmへ変更したこと以外は例1と同様の方法により積層体を製造した。
【0188】
<比較例1>
光吸収層を省略したこと以外は例1と同様の方法により積層体を製造した。
【0189】
<比較例2>
光吸収層及び剥離層を省略したこと以外は例1と同様の方法により積層体を製造した。
【0190】
<比較例3>
光吸収層の厚さを20nmから50nmへ変更し、且つ剥離層を省略したこと以外は例1と同様の方法により積層体を製造した。
【0191】
<評価>
例1乃至4及び比較例1乃至3に係る積層体について、波長が355nmの固体UVレーザー、及び、波長が1064nmのYAGレーザー(IRレーザー)を支持体側から照射した。その後、支持体が剥離できるか調べた。結果を以下の表2に示す。なお、固体UVレーザーは、単位面積当たりの照射エネルギーが88.3mJ/cmとなるように照射した。
【0192】
【表2】
【0193】
表2の「UVレーザー」と表記した列において、「良好」は、出力0.06Wの照射を1回行った後に支持体が剥離可能であったことを表す。「可」は、出力0.06Wの照射を1回行った後に支持体が剥離できず、出力0.06Wの照射を2回行った後に支持体が剥離可能であったことを表す。「不可」は、出力0.06Wの照射を3回行っても、支持体が剥離できなかったことを表す。「IRレーザー」と表記した列において、「良好」は、出力2.5Wの照射を1回行った後に支持体が剥離可能であったことを表す。「可」は、出力2.5Wの照射を1回行った後に支持体が剥離できず、出力2.5Wの照射を2回行った後に支持体が剥離可能であったことを表す。「不可」は、出力2.5Wの照射を3回行っても、支持体が剥離できなかったことを表す。
【0194】
表2に示すように、例1乃至4に係る積層体は、UVレーザー及びIRレーザーの何れを用いた場合でも、支持体が剥離可能であった。
【0195】
一方、比較例1に係る積層体は、UVレーザーを用いた場合に、支持体が剥離可能であったものの、IRレーザーを用いた場合では、支持体が剥離できなかった。また、比較例2及び3に係る積層体は、UVレーザー及びIRレーザーの何れを用いた場合でも、支持体が剥離できなかった。
【符号の説明】
【0196】
10…支持体付き配線基板、11…支持体、12…光吸収層、13…剥離層、14…第1シード層、15…配線基板、16…最表面絶縁層、17…表面処理層、18…第1金属バンプ、20…第1配線基板、21…コア層、22…導体層、23…絶縁樹脂、24…層、25…電極、26…最表面絶縁樹脂層、27…第2金属バンプ、30…第1接合部、31…第1アンダーフィル、40…レーザー光、50…機能デバイス、51…第2接合部、52…第2アンダーフィル、53…封止樹脂、60…第3金属バンプ、100…複合配線基板、151A…レジスト層、151B…レジスト層、151C…レジスト層、152A…導体層、152B…導体層、152C…導体層、152D…導体層、153A…絶縁層、153B…絶縁層、153C…絶縁層、154A…第2シード層、154B…第2シード層、154C…第2シード層、200…配線基板、241…導体パターン、242…絶縁層、300…パッケージ化デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
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図19
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