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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122057
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20220815BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/225 100
H04N5/225 700
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019119
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005AA01
2K005BA52
2K005BA54
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA22
2K005CA23
2K005CA45
2K005CA53
5C122EA05
5C122EA41
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE19
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】可動体と、カメラモジュールの光軸を回動中心にする回動が可能となるように可動体を保持する保持体とを繋ぐ複数のバネ部を備える光学ユニットにおいて、光学ユニットに光軸方向の衝撃が加わったときに、バネ部の塑性変形を防止することが可能でありながら、バネ部が小型化しても、バネ部を構成する板バネを容易に製造することが可能となり、かつ、バネ部を構成する板バネを部品単体で取り扱うときに板バネを容易に取り扱うことが可能となる光学ユニットを提供する。
【解決手段】この光学ユニットでは、可動体と保持体とを繋ぐバネ部43は、保持体に対する可動体の回動方向に弾性変形可能な平板状の第1板バネ6と、光軸方向に弾性変形可能な平板状の第2板バネ7a、8aとを備えている。第1板バネ6と第2板バネ7a、8aとは、別体で形成されており、別体で形成される第1板バネ6と第2板バネ7a、8aとが互いに固定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを有する可動体と、前記可動体を保持する保持体と、前記カメラモジュールの光軸を回動中心にして前記保持体に対して前記可動体を回動させる回動機構と、前記可動体と前記保持体とを繋ぐ複数のバネ部とを備え、
前記バネ部は、前記保持体に対する前記可動体の回動方向に弾性変形可能な平板状の第1板バネと、前記カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向における前記第1板バネの端部が繋がるとともに前記光軸方向に弾性変形可能な平板状の第2板バネとを備え、
前記第1板バネと前記第2板バネとは、別体で形成されており、
別体で形成される前記第1板バネと前記第2板バネとが互いに固定されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
4個の前記バネ部を備え、
4個の前記バネ部は、前記カメラモジュールの光軸を中心とする略90°ピッチで配置されていることを特徴とする請求項1記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記バネ部は、前記光軸方向における前記第1板バネの一方側に配置されるとともに基端部が前記可動体および前記保持体のいずれか一方に固定される前記第2板バネと、前記光軸方向における前記第1板バネの他方側に配置されるとともに基端部が前記可動体および前記保持体のいずれか他方に固定される前記第2板バネとを備え、
前記光軸方向における前記第1板バネの一端部は、前記可動体に固定される前記第2板バネの先端部に固定され、
前記光軸方向における前記第1板バネの他端部は、前記保持体に固定される前記第2板バネの先端部に固定されていることを特徴とする請求項1または2記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記第2板バネの基端部は、前記可動体または前記保持体に固定され、
前記光軸方向における前記第1板バネの端部は、前記第2板バネの先端部に固定され、
前記第2板バネの先端部には、前記光軸方向における前記第1板バネの端部が差し込まれるスリット状の切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記光軸方向の一方側に配置される複数の前記第2板バネを繋ぐ連結部を備え、
前記連結部は、前記光軸方向の一方側に配置される複数の前記第2板バネと同一平面上に配置される平板状に形成され、
前記光軸方向の一方側に配置される複数の前記第2板バネと前記連結部とは一体で形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記第1板バネは、前記第2板バネに固定される被固定部と、前記被固定部に繋がるとともに蛇行しながら前記光軸方向に伸びる蛇行部とを備え、
前記第1板バネの厚さ方向から見たときの前記蛇行部の形状は、複数の直線部と複数の円弧部とから構成される波型状となっていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記保持体は、前記可動体を回動可能に保持する第1中間部材と、前記第1中間部材を回動可能に保持する第2中間部材と、前記第2中間部材を回動可能に保持する固定体とを備え、
前記可動体は、前記カメラモジュールの光軸を回動中心にして前記第1中間部材に対して回動可能となっており、
前記第1中間部材は、前記カメラモジュールの光軸に交差する第1方向を回動の軸方向として前記第2中間部材に対して回動可能となっており、
前記第2中間部材は、第1方向に交差するとともに前記カメラモジュールの光軸に交差する第2方向を回動の軸方向として前記固定体に対して回動可能となっており、
第1方向における前記第1中間部材の両端部には、前記第2中間部材に対する前記第1中間部材の回動の支点となる第1支点部が配置され、
第2方向における前記第2中間部材の両端部には、前記固定体に対する前記第2中間部材の回動の支点となる第2支点部が配置され、
前記バネ部は、前記光軸方向から見たときに、前記カメラモジュールの光軸を中心とする周方向において前記第1支点部および前記第2支点部からずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器等に搭載される振れ補正機能付きの光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯機器等に搭載される振れ補正機能付きの光学ユニットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の光学ユニットは、光学モジュールを有する可動体と、可動体を変位可能な状態で保持する固定体と、固定体に対して可動体を光学モジュールの光軸周りに駆動するローリング駆動機構と、固定体に対して可動体を光軸周りに回転可能に支持するローリング支持機構とを備えている。ローリング支持機構は、板バネである。板バネは、光軸周り方向に弾性変形可能な第1弾性部と、光軸方向に弾性変形可能な第2弾性部とから構成されている。
【0003】
特許文献1に記載の光学ユニットでは、第1弾性部は、第2弾性部の先端から直角に立ち上がっており、板バネは、L形状に形成されている。また、板バネは、第1弾性部と第2弾性部との境界を90°に折り曲げることで形成されており、第1弾性部と第2弾性部とは、1枚のバネ材から形成されている。特許文献1に記載の光学ユニットでは、光軸方向に弾性変形可能な第2弾性部が第1弾性部に繋がっているため、光学ユニットに光軸方向の衝撃が加わっても、第1弾性部の塑性変形を防止することが可能になっている。すなわち、特許文献1に記載の光学ユニットでは、光学ユニットに光軸方向の衝撃が加わっても、板バネの塑性変形を防止することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-34840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の光学ユニットでは、板バネが、光軸周り方向に弾性変形可能な第1弾性部と光軸方向に弾性変形可能な第2弾性部とから構成されるL形状に形成されているため、上述のように、光学ユニットに光軸方向の衝撃が加わっても、板バネの塑性変形を防止することが可能になっている。一方で、板バネがL形状に形成されている場合には、光学ユニットを小型化するために板バネを小型化すると、板バネの折り曲げ加工が困難になって、板バネの製造が困難になるおそれがある。また、小型化した板バネがL形状に形成されていると、板バネを部品単体で取り扱うときに、予期せぬ塑性変形が板バネに生じやすくなるため、板バネを部品単体で取り扱うときの板バネの取り扱いが煩雑になる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、カメラモジュールを有する可動体と、カメラモジュールの光軸を回動中心にする回動が可能となるように可動体を保持する保持体と、可動体と保持体とを繋ぐ複数のバネ部とを備える光学ユニットにおいて、光学ユニットに光軸方向の衝撃が加わったときに、バネ部を構成する板バネの塑性変形を防止することが可能でありながら、バネ部が小型化しても、バネ部を構成する板バネを容易に製造することが可能になるとともに、バネ部を構成する板バネを部品単体で取り扱うときに板バネを容易に取り扱うことが可能となる光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の光学ユニットは、カメラモジュールを有する可動体と、可動体を保持する保持体と、カメラモジュールの光軸を回動中心にして保持体に対して可動体を回動させる回動機構と、可動体と保持体とを繋ぐ複数のバネ部とを備え、バネ部は、保持体に対する可動体の回動方向に弾性変形可能な平板状の第1板バネと、カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向における第1板バネの端部が繋がるとともに光軸方向に弾性変形可能な平板状の第2板バネとを備え、第1板バネと第2板バネとは、別体で形成されており、別体で形成される第1板バネと第2板バネとが互いに固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の光学ユニットでは、可動体と保持体とを繋ぐバネ部は、保持体に対する可動体の回動方向に弾性変形可能な平板状の第1板バネと、光軸方向における第1板バネの端部が繋がるとともに光軸方向に弾性変形可能な平板状の第2板バネとを備えている。そのため、本発明では、光学ユニットに光軸方向の衝撃が加わったときに、第2板バネを弾性変形させることが可能になり、その結果、第1板バネの塑性変形を防止することが可能になる。すなわち、本発明では、光学ユニットに光軸方向の衝撃が加わったときに、バネ部を構成する板バネの塑性変形を防止することが可能になる。
【0009】
また、本発明では、平板状の第1板バネと平板状の第2板バネとが別体で形成されており、別体で形成される第1板バネと第2板バネとが互いに固定されている。そのため、本発明では、第1板バネおよび第2板バネを製造する際に、第1板バネおよび第2板バネの折り曲げ加工を行う必要がない。したがって、本発明では、バネ部が小型化しても、バネ部を構成する第1板バネおよび第2板バネを容易に製造することが可能になる。また、本発明では、平板状の第1板バネと平板状の第2板バネとを部品単体で取り扱えば良いため、第1板バネおよび第2板バネを部品単体で取り扱うときに第1板バネおよび第2板バネは変形しにくくなる。したがって、本発明では、バネ部が小型化しても、バネ部を構成する第1板バネおよび第2板バネを部品単体で取り扱うときに第1板バネおよび第2板バネを容易に取り扱うことが可能となる。
【0010】
本発明において、光学ユニットは、たとえば、4個のバネ部を備え、4個のバネ部は、カメラモジュールの光軸を中心とする略90°ピッチで配置されている。
【0011】
本発明において、バネ部は、光軸方向における第1板バネの一方側に配置されるとともに基端部が可動体および保持体のいずれか一方に固定される第2板バネと、光軸方向における第1板バネの他方側に配置されるとともに基端部が可動体および保持体のいずれか他方に固定される第2板バネとを備え、光軸方向における第1板バネの一端部は、可動体に固定される第2板バネの先端部に固定され、光軸方向における第1板バネの他端部は、保持体に固定される第2板バネの先端部に固定されていることが好ましい。このように構成すると、光学ユニットに光軸方向の衝撃が加わったときに、光軸方向における第1板バネの両側で第2板バネを弾性変形させることが可能になる。したがって、光学ユニットに光軸方向の衝撃が加わったときの、第1板バネの塑性変形を効果的に防止することが可能になる。
【0012】
本発明において、第2板バネの基端部は、可動体または保持体に固定され、光軸方向における第1板バネの端部は、第2板バネの先端部に固定され、第2板バネの先端部には、光軸方向における第1板バネの端部が差し込まれるスリット状の切欠き部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、切欠き部を利用して第2板バネに対して第1板バネを容易に位置決めすることが可能になるとともに、切欠き部を利用して第2板バネに対して第1板バネを仮固定することが可能になる。したがって、第2板バネの先端部に対する第1板バネの端部の固定作業を容易に行うことが可能になる。
【0013】
本発明において、光学ユニットは、光軸方向の一方側に配置される複数の第2板バネを繋ぐ連結部を備え、連結部は、光軸方向の一方側に配置される複数の第2板バネと同一平面上に配置される平板状に形成され、光軸方向の一方側に配置される複数の第2板バネと連結部とは一体で形成されていることが好ましい。このように構成すると、光軸方向の一方側に配置される複数の第2板バネがばらばらになっている場合と比較して、複数の第2板バネの取り扱いが容易になる。また、このように構成すると、光軸方向の一方側に配置される複数の第2板バネがばらばらになっている場合と比較して、第2板バネの固定作業を容易に行うことが可能になる。
【0014】
なお、この場合であっても、連結部が、光軸方向の一方側に配置される複数の第2板バネと同一平面上に配置される平板状に形成されており、複数の第2板バネと連結部とが一体化している板バネが平板状になっているため、複数の第2板バネと連結部とが一体化している板バネを容易に製造することが可能になるとともに、複数の第2板バネと連結部とが一体化している板バネを部品単体として取り扱うときにこの板バネを容易に取り扱うことが可能となる。
【0015】
本発明において、第1板バネは、第2板バネに固定される被固定部と、被固定部に繋がるとともに蛇行しながら光軸方向に伸びる蛇行部とを備え、第1板バネの厚さ方向から見たときの蛇行部の形状は、複数の直線部と複数の円弧部とから構成される波型状となっていることが好ましい。このように構成すると、光学ユニットに衝撃が加わったときに、第1板バネと第2板バネとの接続部に応力が集中しにくくなる。したがって、別体で形成される第1板バネと第2板バネとが互いに固定されていても、光学ユニットに衝撃が加わったときの、第1板バネと第2板バネとの接続部の損傷を防止することが可能になる。
【0016】
本発明において、保持体は、可動体を回動可能に保持する第1中間部材と、第1中間部材を回動可能に保持する第2中間部材と、第2中間部材を回動可能に保持する固定体とを備え、可動体は、カメラモジュールの光軸を回動中心にして第1中間部材に対して回動可能となっており、第1中間部材は、カメラモジュールの光軸に交差する第1方向を回動の軸方向として第2中間部材に対して回動可能となっており、第2中間部材は、第1方向に交差するとともにカメラモジュールの光軸に交差する第2方向を回動の軸方向として固定体に対して回動可能となっており、第1方向における第1中間部材の両端部には、第2中間部材に対する第1中間部材の回動の支点となる第1支点部が配置され、第2方向における第2中間部材の両端部には、固定体に対する第2中間部材の回動の支点となる第2支点部が配置され、バネ部は、光軸方向から見たときに、カメラモジュールの光軸を中心とする周方向において第1支点部および第2支点部からずれた位置に配置されていることが好ましい。
【0017】
このように構成すると、光軸方向から見たときに、カメラモジュールの光軸を中心とする周方向において、第1支点部および第2支点部とバネ部とが同じ位置に配置されていて、カメラモジュールの光軸を中心とする径方向において、第1支点部および第2支点部の外側または内側にバネ部が配置されている場合と比較して、カメラモジュールの光軸を中心とする径方向において、光学ユニットを小型化することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、カメラモジュールを有する可動体と、カメラモジュールの光軸を回動中心にする回動が可能となるように可動体を保持する保持体と、可動体と保持体とを繋ぐ複数のバネ部とを備える光学ユニットにおいて、光学ユニットに光軸方向の衝撃が加わったときに、バネ部を構成する板バネの塑性変形を防止することが可能でありながら、バネ部が小型化しても、バネ部を構成する板バネを容易に製造することが可能になるとともに、バネ部を構成する板バネを部品単体で取り扱うときに板バネを容易に取り扱うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態にかかる光学ユニットの斜視図である。
図2図1に示す光学ユニットからカバー部材を取り外した状態の平面図である。
図3図1に示す光学ユニットの分解斜視図である。
図4図3に示す回動機構、第2中間部材およびケース体等の分解斜視図である。
図5図4に示す第1中間部材およびホルダ等の分解斜視図である。
図6図5のE部の拡大図である。
図7図6に示す板バネの側面図である。
図8図6に示す板バネの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる光学ユニット1の斜視図である。図2は、図1に示す光学ユニット1からカバー部材25を取り外した状態の平面図である。図3は、図1に示す光学ユニット1の分解斜視図である。図4は、図3に示す回動機構5、第2中間部材11およびケース体24等の分解斜視図である。図5は、図4に示す第1中間部材10およびホルダ20等の分解斜視図である。以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、図1等のZ1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0022】
本形態の光学ユニット1は、たとえば、スマートフォン等の携帯機器に搭載される小型かつ薄型のユニットであり、撮影用のレンズおよび撮像素子を有するカメラモジュール2を備えている。この光学ユニット1は、撮影時に振れが発生した場合の撮像画像に乱れが発生することを回避するための振れ補正機能を備えている。光学ユニット1は、全体として厚さの薄い扁平な直方体状に形成されている。光学ユニット1の厚さは、たとえば、3~4mm程度となっている。本形態の光学ユニット1は、カメラモジュール2の光軸Lの方向である光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。光学ユニット1の4つの側面は、左右方向と上下方向とから構成されるZX平面または前後方向と上下方向とから構成されるYZ平面と平行になっている。
【0023】
光学ユニット1は、カメラモジュール2を有する可動体3と、可動体3を保持する保持体4と、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心にして保持体4に対して可動体3を回動させる回動機構5と、可動体3と保持体4とを繋ぐための板バネ6~8とを備えている。保持体4は、可動体3を回動可能に保持する第1中間部材10と、第1中間部材10を回動可能に保持する第2中間部材11と、第2中間部材11を回動可能に保持する固定体12とを備えている。可動体3は、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心にして第1中間部材10に対して回動可能となっている。
【0024】
第1中間部材10は、カメラモジュール2の光軸Lに交差する第1方向(図2等のV方向)を回動の軸方向として第2中間部材11に対して回動可能となっている。すなわち、第1中間部材10は、第1方向を軸線方向とする第1軸線L1(図2参照)を回動中心にして第2中間部材11に対して回動可能となっている。本形態の第1方向は、光軸Lに直交している。第2中間部材11は、第1方向に交差するとともにカメラモジュール2の光軸Lに交差する第2方向(図2等のW方向)を回動の軸方向として固定体12に対して回動可能となっている。すなわち、第2中間部材11は、第2方向を軸線方向とする第2軸線L2(図2参照)を回動中心にして固定体12に対して回動可能となっている。本形態の第2方向は、第1方向に直交している。このように、可動体3と固定体12との間には、ジンバル機構が構成されている。
【0025】
本形態では、第1中間部材10および第2中間部材11が所定の基準位置に配置されているときのカメラモジュール2の光軸方向は、上下方向と一致している。また、第1中間部材10が所定の基準位置に配置されているときに、第2方向は、光軸Lに直交している。すなわち、第1中間部材10が所定の基準位置に配置されていて第2中間部材11に対して回動していないときには、第2方向は、光軸Lに直交している。一方、第1中間部材10が第2中間部材11に対して回動しているときには、第2方向は、光軸Lに交差してはいるが、直角には交わっていない。第1方向は、上下方向から見たときに、前後方向に対して図2の反時計回りの方向(反時計方向)へ約55°ずれた方向となっている。第2方向は、上下方向から見たときに、左右方向に対して図2の反時計方向へ約55°ずれた方向となっている。
【0026】
第1方向における第1中間部材10の両端部には、第2中間部材11に対する第1中間部材10の回動の支点となる第1支点部15が配置されている。第2方向における第2中間部材11の両端部には、固定体12に対する第2中間部材11の回動の支点となる第2支点部16が配置されている。また、光学ユニット1は、第1軸線L1および第2軸線L2の少なくともいずれか一方を回動中心にして保持体4に対して可動体3を回動させる回動機構17を備えている。
【0027】
可動体3は、光軸方向の厚さが薄い扁平な直方体状に形成されている。可動体3は、カメラモジュール2が固定されるホルダ20を備えている。ホルダ20は、樹脂材料で形成されている。ホルダ20は、略正方形の枠状に形成されている。ホルダ20の上端面は、光軸方向に直交する平面となっている。カメラモジュール2は、ホルダ20によってカメラモジュール2の外周側が覆われるように、ホルダ20の内周面に固定されている。上述のように、カメラモジュール2は、レンズおよび撮像素子を備えている。撮像素子は、カメラモジュール2の下端側に配置されており、カメラモジュール2の上側に配置される被写体がカメラモジュール2によって撮影される。カメラモジュール2の下端側からは、フレキシブルプリント基板21が引き出されている。
【0028】
第1中間部材10は、枠部材22と、枠部材22に固定されるカバー板23とから構成されている。枠部材22は、ステンレス鋼等の金属材料で形成されている。枠部材22は、ホルダ20の下側に配置される基部22aと、基部22aから上側に向かって立ち上がる2個の立上部22bと、基部22aから上側に向かって立ち上がる2個の立上部22cとを備えている。基部22aは、略正方形の枠状に形成されている。また、基部22aは、平板状に形成されている。基部22aの下面は、光軸方向に直交する平面となっている。立上部22b、22cは、略長方形の平板状に形成されている。立上部22b、22cは、略正方形の枠状に形成される基部22aの四隅のそれぞれから上側に向かって立ち上がっている。立上部22bの厚さ方向は、第1方向と一致し、立上部22cの厚さ方向は、第2方向と一致している。
【0029】
カバー板23は、ステンレス鋼等の金属材料で形成されている。カバー板23は、略正方形の枠状に形成されている。また、カバー板23は、平板状に形成されている。カバー板23は、立上部22b、22cの上端面に固定されている。ホルダ20は、上下方向において、基部22aとカバー板23との間に配置されている。また、ホルダ20は、光軸Lを中心とする径方向において、立上部22b、22cの内側に配置されている。
【0030】
第2中間部材11は、ステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。また、第2中間部材11は、バネ性を有する金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。第2中間部材11は、第1中間部材10よりも上側に配置される基部11aと、基部11aから第1方向の両側に向かって伸びる2本の腕部11bと、基部11aから第2方向の両側に向かって伸びる2本の腕部11cとによって構成されている。基部11aは、円形の枠状に形成されている。基部11aの内周側には、カメラモジュール2の上端部が配置されている。
【0031】
図4に示すように、腕部11bの先端側は、下側に向かって折れ曲がっている。腕部11bの先端部11dは、平板状に形成されている。先端部11dの厚さ方向は、第1方向と略一致している。先端部11dは、第1方向において、立上部22bの外側に配置されている。腕部11cの先端側は、下側に向かって折れ曲がっている。腕部11cの先端部11eは、平板状に形成されている。先端部11eの厚さ方向は、第2方向と略一致している。先端部11eは、第2方向において、立上部22cの外側に配置されている。
【0032】
先端部11dには、第1支点部15の一部を構成する後述の球体27の一部が配置される凹部11fが形成されている(図4参照)。凹部11fは、半球状に形成されている。凹部11fは、第1方向の内側に向かって窪んでいる。先端部11eには、第2支点部16の一部を構成する後述の球体29の一部が配置される凹部11gが形成されている(図4参照)。凹部11gは、半球状に形成されている。凹部11gは、第2方向の内側に向かって窪んでいる。
【0033】
固定体12は、光軸Lを中心とする径方向において可動体3、第1中間部材10および第2中間部材11の外側に配置される枠状のケース体24と、ケース体24を覆うカバー部材25とを備えている。ケース体24は、樹脂材料で形成されている。ケース体24は、略四角筒状に形成されている。上下方向から見たときのケース体24の形状は、略正方形の枠状となっている。カバー部材25は、光学ユニット1の上面および側面等を構成している。カバー部材25の上面部には、第2中間部材11等が配置される貫通穴が形成されている。
【0034】
第1支点部15は、第1中間部材10の立上部22bに固定される支持部材26と、支持部材26に固定される球状の球体27とを備えている(図4参照)。支持部材26および球体27は、金属材料で形成されている。支持部材26は、球体27が固定される平板状の固定部26aを備えている。固定部26aの厚さ方向は、第1方向と一致している。球体27は、第1方向における固定部26aの内側面に固定されている。球体27は、たとえば、固定部26aに溶接されて固定されている。固定部26aは、第1方向において、立上部22bの外側に配置されている。第2中間部材11の先端部11dは、第1方向において、立上部22bと固定部26aとの間に配置されている。球体27の一部は、凹部11fの中に配置されている。腕部11bのバネ性によって、球体27は、凹部11fの底面に所定の接触圧で接触している。
【0035】
第2支点部16は、ケース体24に固定される支持部材28と、支持部材28に固定される球状の球体29とを備えている(図4参照)。支持部材28および球体29は、金属材料で形成されている。支持部材28は、球体29が固定される平板状の固定部28aを備えている。固定部28aの厚さ方向は、第2方向と一致している。球体29は、第2方向における固定部28aの内側面に固定されている。球体29は、たとえば、固定部28aに溶接されて固定されている。固定部28aは、第2方向において、第2中間部材11の先端部11eの外側に配置されている。球体29の一部は、凹部11gの中に配置されている。腕部11cのバネ性によって、球体29は、凹部11gの底面に所定の接触圧で接触している。
【0036】
回動機構5は、ホルダ20の側面に固定される駆動用磁石32と、駆動用磁石32に対向配置される駆動用コイル33とを備えている。駆動用磁石32は、長方形の平板状に形成されている。駆動用磁石32は、ホルダ20の、左右方向の一方の側面に固定されている。駆動用磁石32は、前後方向において2極に着磁されている。駆動用コイル33は、略長方形状の枠状に導線が巻回されることで形成されている。駆動用コイル33は、フレキシブルプリント基板35に取り付けられている。フレキシブルプリント基板35は、ケース体24の外周面に固定されている。駆動用磁石32と駆動用コイル33とは左右方向で対向している。
【0037】
回動機構17は、ホルダ20の側面に固定される駆動用磁石37、38と、駆動用磁石37に対向配置される駆動用コイル39と、駆動用磁石38に対向配置される駆動用コイル40とを備えている。駆動用磁石37、38は、長方形の平板状に形成されている。駆動用磁石37は、ホルダ20の、左右方向の他方の側面に固定されている。駆動用磁石38は、ホルダ20の、前後方向の一方の側面に固定されている。駆動用磁石37、38は、上下方向において2極に着磁されている。駆動用コイル39、40は、略長方形状の枠状に導線が巻回されることで形成されている。駆動用コイル39、40は、フレキシブルプリント基板35に取り付けられている。駆動用磁石37と駆動用コイル39とは左右方向で対向し、駆動用磁石38と駆動用コイル40とは前後方向で対向している。
【0038】
駆動用磁石32が固定されるホルダ20の側面と駆動用磁石32との間には、磁性材料からなる磁性板34(図5参照)が配置されている。同様に、駆動用磁石37が固定されるホルダ20の側面と駆動用磁石37との間には磁性板34が配置され、駆動用磁石38が固定されるホルダ20の側面と駆動用磁石37との間には磁性板34が配置されている。磁性板34は、ホルダ20の側面に固定されている。
【0039】
フレキシブルプリント基板35には、磁性材料からなる磁性板41(図4参照)が固定されている。磁性板41は、フレキシブルプリント基板35の、駆動用コイル39が固定されている面の反対側の面と、フレキシブルプリント基板35の、駆動用コイル40が固定されている面の反対側の面との2箇所に固定されている。駆動用磁石37と磁性板41との間に生じる磁気的吸引力と、駆動用磁石38と磁性板41との間に生じる磁気的吸引力とによって、基準位置に配置される第1中間部材10および第2中間部材11の位置が保持されている。すなわち、磁性板41は、駆動用コイル39、40に電流が供給されていないときに、第1中間部材10および第2中間部材11の姿勢を維持する機能を果たしている。
【0040】
光学ユニット1では、可動体3の傾きの変化を検知するための所定の検知機構によって可動体3の傾きの変化が検知されると、検知機構の検知結果に基づいて、駆動用コイル33、39、40に電流が供給されて、振れが補正される。
【0041】
(板バネの構成)
図6は、図5のE部の拡大図である。図7は、図6に示す板バネ6の側面図である。図8は、図6に示す板バネ7の平面図である。
【0042】
本形態の光学ユニット1は、4枚の板バネ6と1枚の板バネ7と1枚の板バネ8とを備えている。板バネ6は、金属材料によって形成されている。本形態の板バネ6は、銅合金によって形成されている。板バネ6は、光軸方向に直交する所定の方向を厚さ方向とする平板状に形成されている。具体的には、板バネ6は、保持体4に対する可動体3の回動方向(すなわち、光軸Lを回動中心とする可動体3の回動方向)を厚さ方向とする平板状に形成されている。板バネ6は、保持体4に対する可動体3の回動方向に弾性変形可能となっている。また、板バネ6は、全体として光軸方向に細長い平板状に形成されている。板バネ6の厚さは、たとえば、20~40μm程度となっている。また、板バネ6の幅は、たとえば、0.2~0.3mm程度となっている。
【0043】
4枚の板バネ6は、光軸Lを中心とする略90°ピッチで配置されている。可動体3が基準位置に配置されているときには、4枚の板バネ6のうちの2枚の板バネ6は、上下方向から見たときに、前後方向に対して図2の反時計方向へ約35°ずれた位置に配置され、残りの2枚の板バネ6は、上下方向から見たときに、左右方向に対して図2の反時計方向へ約35°ずれた位置に配置されている。また、板バネ6は、光軸Lを中心とする径方向において、可動体3および第1中間部材10よりも外側に配置されている。
【0044】
板バネ6は、板バネ7の一部を構成する後述のバネ保持部7aに固定される被固定部6aと、板バネ8の一部を構成する後述のバネ保持部8aに固定される被固定部6bと、被固定部6a、6bに繋がるとともに蛇行しながら光軸方向に伸びる蛇行部6cとから構成されている。被固定部6a、6bは、光軸方向に伸びる直線状に形成されている。被固定部6aは、板バネ6の上端部を構成し、被固定部6bは、板バネ6の下端部を構成している。すなわち、被固定部6aは、光軸方向における板バネ6の一端部を構成し、被固定部6bは、光軸方向における板バネ6の他端部を構成している。
【0045】
蛇行部6cは、被固定部6aと被固定部6bとの間に配置されている。図7に示すように、板バネ6の厚さ方向から見たときの蛇行部6cの形状は、複数の直線部6dと複数の円弧部6eとから構成される波型状となっている。直線部6dは、光軸Lを中心とする径方向に伸びる直線状に形成されている。円弧部6eは、半円状に形成されており、光軸方向に並ぶ直線部6dを繋いでいる。すなわち、蛇行部6cは、光軸Lを中心とする径方向で蛇行している。
【0046】
板バネ7、8は、金属材料によって形成されている。本形態の板バネ7、8は、板バネ6と同様の銅合金によって形成されている。板バネ7、8は、光軸方向を厚さ方向とする平板状に形成されている。板バネ7、8の厚さは、たとえば、20~40μm程度となっている。板バネ7、8は、全体として略正方形の枠状に形成されている。板バネ7は、ホルダ20の上端面に固定されている。板バネ7は、板バネ6の上側に配置されている。すなわち、板バネ7は、光軸方向における板バネ6の一方側に配置されている。板バネ7とカバー板23との間には隙間が形成されている。板バネ8は、枠部材22の基部22aの下面に固定されている。板バネ8は、板バネ6の下側に配置されている。すなわち、板バネ8は、光軸方向における板バネ6の他方側に配置されている。
【0047】
板バネ7は、板バネ6の被固定部6aが繋がる4個のバネ保持部7aと、4個のバネ保持部7aを繋ぐ連結部7bとから構成されている。すなわち、4個のバネ保持部7aと連結部7bとは一体で形成されている。すなわち、4個のバネ保持部7aと連結部7bとは1枚の金属板から一緒に製造されており、4個のバネ保持部7aは、連結部7bを介して一体になっている。また、4個のバネ保持部7aと連結部7bとは同一平面上に配置されている。4個のバネ保持部7aは、略正方形の枠状に形成される板バネ7の四隅の近傍から板バネ7の外周側に向かって突出しており、光軸Lを中心とする略90°ピッチで配置されている。
【0048】
可動体3が基準位置に配置されている状態では、4個のバネ保持部7aのうちの2個のバネ保持部7aは、上下方向から見たときに、前後方向に対して図2の反時計方向へ約35°ずれた方向に突出している。また、可動体3が基準位置に配置されている状態では、残りの2個のバネ保持部7aは、上下方向から見たときに、左右方向に対して図2の反時計方向へ約35°ずれた位置に配置されている。
【0049】
バネ保持部7aの基端は、連結部7bに繋がっている。バネ保持部7aの基端部および連結部7bは、ホルダ20の上端面に固定されている。すなわち、バネ保持部7aの基端部および連結部7bは、可動体3に固定されている。バネ保持部7aは、光軸方向に弾性変形可能となっている。光軸方向におけるバネ保持部7aのバネ定数は、光軸方向における板バネ6のバネ定数よりも大幅に小さくなっている。バネ保持部7aの幅は、バネ保持部7aの先端から基端に向かうにしたがって次第に広くなっている。
【0050】
板バネ6の被固定部6aは、バネ保持部7aの先端部に固定されている。バネ保持部7aの先端部には、被固定部6aが差し込まれるスリット状の切欠き部7cが形成されている。切欠き部7cは、バネ保持部7aの先端から基端側に向かって形成されている。被固定部6aは、切欠き部7cに差し込まれた状態でバネ保持部7aに固定されている。本形態では、被固定部6aは、バネ保持部7aに半田付けされて固定されている。
【0051】
板バネ8は、板バネ7と同形状に形成されている。板バネ8は、板バネ6の被固定部6bが繋がる4個のバネ保持部8aと、4個のバネ保持部8aを繋ぐ連結部8bとから構成されている。すなわち、4個のバネ保持部8aと連結部8bとは一体で形成されている。すなわち、4個のバネ保持部8aと連結部8bとは1枚の金属板から一緒に製造されており、4個のバネ保持部8aは、連結部8bを介して一体になっている。また、4個のバネ保持部8aと連結部8bとは同一平面上に配置されている。4個のバネ保持部8aは、板バネ8の四隅の近傍から板バネ8の外周側に向かって突出しており、光軸Lを中心とする略90°ピッチで配置されている。可動体3が基準位置に配置されている状態では、4個のバネ保持部8aは、上下方向において、4個のバネ保持部8aと重なっている。
【0052】
バネ保持部8aの基端は、連結部8bに繋がっている。バネ保持部8aの基端部および連結部8bは、枠部材22の基部22aの下面に固定されている。すなわち、バネ保持部8aの基端部および連結部8bは、保持体4に固定されている。バネ保持部8aは、光軸方向に弾性変形可能となっている。光軸方向におけるバネ保持部8aのバネ定数は、光軸方向におけるバネ保持部7aのバネ定数と等しくなっており、光軸方向における板バネ6のバネ定数よりも大幅に小さくなっている。バネ保持部8aの幅は、バネ保持部8aの先端から基端に向かうにしたがって次第に広くなっている。
【0053】
板バネ6の被固定部6bは、バネ保持部8aの先端部に固定されている。バネ保持部8aの先端部には、被固定部6bが差し込まれるスリット状の切欠き部8cが形成されている(図6参照)。切欠き部8cは、バネ保持部8aの先端から基端側に向かって形成されている。被固定部6bは、切欠き部8cに差し込まれた状態でバネ保持部8aに固定されている。本形態では、被固定部6bは、バネ保持部8aに半田付けされて固定されている。
【0054】
本形態では、板バネ6と、板バネ7のバネ保持部7aと、板バネ8のバネ保持部8aとによって、可動体3と保持体4とを繋ぐバネ部43が構成されている。すなわち、光学ユニット1は、4個のバネ部43を備えている。板バネ6とバネ保持部7aとバネ保持部8aとは、別体で形成されており、バネ部43では、別体で形成される板バネ6とバネ保持部7aとバネ保持部8aとが互いに固定されている。4個のバネ部43は、光軸Lを中心とする略90°ピッチで配置されている。なお、本明細書における「4個のバネ部43は、光軸Lを中心とする略90°ピッチで配置されている」には、4個のバネ部43が光軸Lを中心にして90°の等角度ピッチで配置されている場合と90°の等角度ピッチで配置されていない場合との両者が含まれている。
【0055】
図2に示すように、バネ部43は、光軸方向から見たときに、光軸Lを中心とする周方向において第1支点部15および第2支点部16からずれた位置に配置されている。また、バネ部43は、光軸方向から見たときに、光軸Lを中心とする径方向において第1支点部15および第2支点部16とほぼ同じ位置に配置されている。本形態では、バネ部43によって、保持体4に対する可動体3の回動方向において、基準位置に配置される可動体3の位置が保持されている。すなわち、バネ部43は、駆動用コイル33に電流が供給されていないときに、保持体4に対する可動体3の回動方向において、可動体3の姿勢を維持する機能を果たしている。
【0056】
本形態の板バネ6は、保持体4に対する可動体3の回動方向に弾性変形可能な第1板バネとなっている。また、本形態のバネ保持部7a、8aは、光軸方向における板バネ6の端部が繋がるとともに光軸方向に弾性変形可能な第2板バネとなっている。具体的には、バネ保持部7aは、光軸方向における板バネ6の一方側に配置されるとともに基端部が可動体3に固定される第2板バネとなっており、バネ保持部8aは、光軸方向における板バネ6の他方側に配置されるとともに基端部が保持体4に固定される第2板バネとなっている。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、可動体3と保持体4とを繋ぐバネ部43は、保持体4に対する可動体3の回動方向に弾性変形可能な平板状の板バネ6と、光軸方向における板バネ6の端部が繋がるとともに光軸方向に弾性変形可能な平板状のバネ保持部7a、8aとから構成されている。また、本形態では、光軸方向におけるバネ保持部7a、8aのバネ定数は、光軸方向における板バネ6のバネ定数よりも大幅に小さくなっている。そのため、本形態では、光学ユニット1に光軸方向の衝撃が加わったときに、バネ保持部7a、8aを弾性変形させることが可能になり、その結果、板バネ6の塑性変形を防止することが可能になる。
【0058】
特に本形態では、光軸方向における板バネ6の一端部がバネ保持部7aに繋がるとともに、光軸方向における板バネ6の他端部がバネ保持部8aに繋がっており、光学ユニット1に光軸方向の衝撃が加わったときに、光軸方向における板バネ6の両側でバネ保持部7a、8aを弾性変形させることが可能になる。したがって、本形態では、光学ユニット1に光軸方向の衝撃が加わったときの、板バネ6の塑性変形を効果的に防止することが可能になる。
【0059】
本形態では、平板状の板バネ6と平板状の板バネ7と平板状の板バネ8が別体で形成されており、別体で形成される板バネ6と板バネ7とが互いに固定されるとともに、別体で形成される板バネ6と板バネ8とが互いに固定されている。そのため、本形態では、板バネ6~8を製造する際に、板バネ6~8の折り曲げ加工を行う必要がない。したがって、本形態では、バネ部43が小型化しても、板バネ6~8を容易に製造することが可能になる。また、本形態では、平板状の板バネ6~8のそれぞれを部品単体として取り扱えば良いため、板バネ6~8を部品単体で取り扱うときに板バネ6~8は変形しにくくなる。したがって、本形態では、バネ部43が小型化しても、板バネ6~8を部品単体で取り扱うときに板バネ6~8を容易に取り扱うことが可能となる。
【0060】
本形態では、バネ保持部7aの先端部に、板バネ6の被固定部6aが差し込まれるスリット状の切欠き部7cが形成され、バネ保持部8aの先端部に、板バネ6の被固定部6bが差し込まれるスリット状の切欠き部8cが形成されている。そのため、本形態では、切欠き部7c、8cを利用してバネ保持部7a、8aに対して板バネ6を容易に位置決めすることが可能になるとともに、切欠き部7c、8cを利用してバネ保持部7a、8aに対して板バネ6を仮固定することが可能になる。したがって、本形態では、バネ保持部7a、8aの先端部に対する被固定部6a、6bの固定作業を容易に行うことが可能になる。
【0061】
本形態では、4個のバネ保持部7aが連結部7bを介して一体になっている。そのため、本形態では、4個のバネ保持部7aがばらばらになっている場合と比較して、4個のバネ保持部7aの取り扱いが容易になるとともに、4個のバネ保持部7aの固定作業を容易に行うことが可能になる。同様に本形態では、4個のバネ保持部8aが連結部8bを介して一体になっているため、4個のバネ保持部8aがばらばらになっている場合と比較して、4個のバネ保持部8aの取り扱いが容易になるとともに、4個のバネ保持部8aの固定作業を容易に行うことが可能になる。
【0062】
本形態では、板バネ6は、被固定部6aと被固定部6bとの間に配置される蛇行部6cを備えており、蛇行部6cは、蛇行しながら光軸方向に伸びている。そのため、本形態では、光学ユニット1に衝撃が加わったときに、被固定部6aとバネ保持部7aとの接続部、および、被固定部6bとバネ保持部8aとの接続部に応力が集中しにくくなる。したがって、本形態では、別体で形成される板バネ6の被固定部6aと板バネ7のバネ保持部7aとが互いに固定されるとともに、別体で形成される板バネ6の被固定部6bと板バネ8のバネ保持部8aとが互いに固定されていても、光学ユニット1に衝撃が加わったときの、被固定部6aとバネ保持部7aとの接続部、および、被固定部6bとバネ保持部8aとの接続部の損傷を防止することが可能になる。
【0063】
本形態では、バネ部43は、光軸方向から見たときに、光軸Lを中心とする周方向において第1支点部15および第2支点部16からずれた位置に配置されている。そのため、本形態では、光軸方向から見たときに、光軸Lを中心とする周方向において、第1支点部15および第2支点部16とバネ部43とが同じ位置に配置されていて、光軸Lを中心とする径方向において、第1支点部15および第2支点部16の外側または内側にバネ部43が配置されている場合と比較して、光軸Lを中心とする径方向において、光学ユニット1を小型化することが可能になる。
【0064】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0065】
上述した形態において、板バネ6が、保持体4に対する可動体3の回動方向に弾性変形可能となっているのであれば、板バネ6の厚さ方向は、保持体4に対する可動体3の回動方向に対して若干傾いていても良い。また、上述した形態において、バネ保持部7aが光軸方向に弾性変形可能となっているのであれば、バネ保持部7aの厚さ方向は、光軸方向に対して若干傾いていても良い。同様に、バネ保持部8aが光軸方向に弾性変形可能となっているのであれば、バネ保持部8aの厚さ方向は、光軸方向に対して若干傾いていても良い。
【0066】
上述した形態において、板バネ6の蛇行部6cは、光軸方向に伸びる直線状の複数の直線部と、光軸Lを中心とする径方向で並ぶこの直線部を繋ぐ円弧状の複数の円弧部とから構成されていても良い。また、板バネ6は、蛇行部6cに代えて、長方形状、楕円形状または長円形状等に形成される基部を備えていても良い。この場合には、基部を貫通する貫通穴が基部に形成されていても良いし、基部にスリット状の溝が形成されていても良い。また、板バネ6の全体が長方形状、楕円形状または長円形状等に形成されていても良い。この場合には、板バネ6を貫通する貫通穴やスリット状の溝が板バネ6に形成されていても良い。
【0067】
上述した形態において、バネ保持部7aは、二股状に形成されていても良い。同様に、バネ保持部8aは、二股状に形成されていても良い。また、上述した形態において、板バネ7は、2個のバネ保持部7aと、この2個のバネ保持部7aを繋ぐ連結部とから構成されていても良い。この場合には、光学ユニット1は、2枚の板バネ7を備えている。同様に、板バネ8は、2個のバネ保持部8aと、この2個のバネ保持部8aを繋ぐ連結部とから構成されていても良い。この場合には、光学ユニット1は、2枚の板バネ8を備えている。さらに、上述した形態において、4個のバネ保持部7aが繋がっていなくても良い。すなわち、4個のバネ保持部7aがばらばらになっていても良い。同様に、4個のバネ保持部8aがばらばらになっていても良い。また、上述した形態において、板バネ7の形状と板バネ8の形状とが異なっていても良い。
【0068】
上述した形態において、被固定部6aは、溶接または接着によってバネ保持部7aに固定されていても良い。同様に、被固定部6bは、溶接または接着によってバネ保持部8aに固定されていても良い。また、上述した形態において、板バネ7が保持体4に固定され、板バネ8が可動体3に固定されていても良い。さらに、上述した形態において、光学ユニット1が備えるバネ部43の数は、3個であっても良いし、5個以上であっても良い。この場合には、複数のバネ部43は、たとえば、光軸Lを中心とする等角度ピッチで配置されている。
【0069】
上述した形態において、光学ユニット1は、板バネ8を備えていなくても良い。この場合には、被固定部6bは、枠部材22に固定されている。また、この場合には、板バネ6と板バネ7のバネ保持部7aとによって、バネ部43が構成されている。また、上述した形態において、光学ユニット1は、板バネ7を備えていなくても良い。この場合には、被固定部6aは、ホルダ20に固定されている。また、この場合には、板バネ6と板バネ8のバネ保持部8aとによって、バネ部43が構成されている。
【0070】
上述した形態において、バネ部43は、光軸方向から見たときに、光軸Lを中心とする周方向において第1支点部15および第2支点部16と同じ位置に配置されていても良い。この場合には、バネ部43は、光軸方向から見たときに、光軸Lを中心とする径方向において第1支点部15および第2支点部16からずれた位置に配置されている。また、上述した形態において、第1方向は、光軸Lに直交していなくても良い。たとえば、第1方向と光軸Lとがなす角度は、80°等であっても良い。また、上述した形態において、第2方向は、第1方向に直交していなくても良い。
【0071】
上述した形態において、カメラモジュール2は、カメラモジュール2のレンズおよび撮像素子を、第1軸線L1を回動中心にして回動させるとともに第2軸線L2を回動中心にして回動させる回動機構を備えていても良い。この場合には、第1中間部材10および第2中間部材11が不要になる。また、この場合には、板バネ8は、ケース体24に固定されている。
【符号の説明】
【0072】
1 光学ユニット
2 カメラモジュール
3 可動体
4 保持体
5 回動機構
6 板バネ(第1板バネ)
6a、6b 被固定部
6c 蛇行部
6d 直線部
6e 円弧部
7a、8a バネ保持部(第2板バネ)
7b、8b 連結部
7c、8c 切欠き部
10 第1中間部材
11 第2中間部材
12 固定体
15 第1支点部
16 第2支点部
43 バネ部
L カメラモジュールの光軸
V 第1方向
W 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8