(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122138
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】電圧調整器および電圧調整方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/12 20060101AFI20220815BHJP
G05F 1/24 20060101ALI20220815BHJP
G05F 1/30 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
H02J3/12
G05F1/24
G05F1/24 A
G05F1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019240
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】苻川 謙治
(72)【発明者】
【氏名】村上 新吾
(72)【発明者】
【氏名】井深 直人
【テーマコード(参考)】
5G066
5H420
【Fターム(参考)】
5G066DA01
5H420BB02
5H420BB12
5H420CC04
5H420DD03
5H420EA05
5H420EA29
5H420EA30
5H420EB01
5H420FF03
(57)【要約】
【課題】配電線路の電圧降下を補償するのに適した電圧調整器を提供すること。
【解決手段】単相三線式の低圧線2に接続される電圧調整器10は、直列変圧器11,12による昇圧または降圧とは別に、低圧線2の第1線3と第2線4との間の電圧を昇圧器20によって昇圧する。これにより、電圧調整器10の出力電圧が昇圧器20により昇圧側へシフトする。そのため、直列変圧器11,12による降圧幅を大きくせずとも、昇圧幅を大きくできるので、電圧調整器10の降圧幅の増大による無駄を省きつつ、大きな昇圧幅によって線路インピーダンスによる電圧降下の補償量を増やすことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1線、第2線および中性線からなる単相三線式の配電線路に接続され、入力された電圧を前記第1線および前記第2線と前記中性線との間それぞれで調整して出力する電圧調整器であって、
前記第1線および前記第2線それぞれを二次巻線が連結するように、前記第1線および前記第2線にそれぞれ直列接続される一対の直列変圧器と、
その一対の前記直列変圧器の一次巻線への印加電圧の極性または大きさを切り換え、前記二次巻線の誘起電圧の極性または大きさを調整する切換器部と、
前記直列変圧器よりも出力側の前記第1線および前記第2線と前記中性線とに接続され、その接続位置の前記第1線および前記第2線と前記中性線との間の電圧に応じて前記切換器部による切り換えを制御する制御部と、
その制御部の接続位置よりも入力側の前記第1線および前記第2線にそれぞれ接続されて、前記第1線と前記第2線との間の電圧を昇圧する昇圧器と、を備えていることを特徴とする電圧調整器。
【請求項2】
前記第1線および前記第2線と前記中性線との間にそれぞれ印加される電圧を平衡化する平衡器を備え、
その平衡器は、前記直列変圧器および前記昇圧器に対する同位置の前記第1線および前記第2線と前記中性線とに接続されていることを特徴とする請求項1記載の電圧調整器。
【請求項3】
前記昇圧器と前記平衡器とは、一体に構成されていることを特徴とする請求項2記載の電圧調整器。
【請求項4】
前記昇圧器は、
前記第1線および前記第2線それぞれと前記中性線とを連結して前記平衡器を構成する一対の分路巻線と、
その一対の分路巻線にそれぞれ接続される一対の直列巻線と、を備えていることを特徴とする請求項3記載の電圧調整器。
【請求項5】
前記電圧調整器の電圧調整に応じて前記分路巻線に生じる電流の最大値と前記平衡器の定格電流との合計値を、前記分路巻線の断面積で除した値が3[A/mm2]以下であることを特徴とする請求項4記載の電圧調整器。
【請求項6】
第1線、第2線および中性線からなる単相三線式の配電線路の入力電圧に対して出力電圧を調整する電圧調整方法であって、
出力電圧に応じて一対の直列変圧器の一次巻線への印加電圧を切り換え、その一対の直列変圧器の二次巻線に生じる誘起電圧の極性または大きさを調整することで、前記第1線および前記第2線それぞれを連結する前記二次巻線の出力側で前記第1線および前記第2線と前記中性線との間の電圧をそれぞれ昇圧または降圧させる調整ステップと、
前記第1線と前記第2線との間の電圧を昇圧器が昇圧する昇圧ステップと、を備えていることを特徴とする電圧調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単相三線式の配電線路に接続される電圧調整器および電圧調整方法に関し、特に配電線路の電圧降下を補償するのに適した電圧調整器および電圧調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第1線、第2線および中性線からなる単相三線式の配電線路に接続される電圧調整器には、第1線および第2線にそれぞれ直列接続される直列変圧器の極性を切り換えることで、出力電圧を昇圧または降圧するものがある(特許文献1)。この電圧調整器は、太陽光発電による逆潮流や負荷の変動などに起因して電圧調整器の出力電圧が変動したとき、直列変圧器により出力電圧を昇圧または降圧することで、その変動を打ち消して出力電圧を所定範囲に保つことができる。
【0003】
ここで山間部などの配電線路には、高圧線に比べて管理が容易な低圧線を用いることが望まれている。しかし、配電線路の電圧が低い程、線路インピーダンスによる電圧降下が大きくなるので、低圧線を長くするには途中で電圧降下を補償(昇圧)する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の電圧調整器によれば、直列変圧器の極性を切り換えて出力電圧を昇圧または降圧するので、昇圧幅と降圧幅とが同一になる。この場合、線路インピーダンスによる電圧降下の補償量を増やすために、電圧調整器による昇圧幅を大きくすると、降圧幅も大きくなって無駄が生じる。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、配電線路の電圧降下を補償するのに適した電圧調整器および電圧調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の電圧調整器は、第1線、第2線および中性線からなる単相三線式の配電線路に接続され、入力された電圧を前記第1線および前記第2線と前記中性線との間それぞれで調整して出力するものであって、前記第1線および前記第2線それぞれを二次巻線が連結するように、前記第1線および前記第2線にそれぞれ直列接続される一対の直列変圧器と、その一対の前記直列変圧器の一次巻線への印加電圧の極性または大きさを切り換え、前記二次巻線の誘起電圧の極性または大きさを調整する切換器部と、前記直列変圧器よりも出力側の前記第1線および前記第2線と前記中性線とに接続され、その接続位置の前記第1線および前記第2線と前記中性線との間の電圧に応じて前記切換器部による切り換えを制御する制御部と、その制御部の接続位置よりも入力側の前記第1線および前記第2線にそれぞれ接続されて、前記第1線と前記第2線との間の電圧を昇圧する昇圧器と、を備えている。
【0008】
また、本発明の電圧調整方法は、第1線、第2線および中性線からなる単相三線式の配電線路の入力電圧に対して出力電圧を調整する方法であって、出力電圧に応じて一対の直列変圧器の一次巻線への印加電圧を切り換え、その一対の直列変圧器の二次巻線に生じる誘起電圧の極性または大きさを調整することで、前記第1線および前記第2線それぞれを連結する前記二次巻線の出力側で前記第1線および前記第2線と前記中性線との間の電圧をそれぞれ昇圧または降圧させる調整ステップと、前記第1線と前記第2線との間の電圧を昇圧器が昇圧する昇圧ステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の電圧調整器によれば、切換器部により一対の直列変圧器の一次巻線への印加電圧の極性または大きさを切り換えることで、一対の直列変圧器の二次巻線に生じる誘起電圧の極性または大きさが調整され、その二次巻線の出力側で第1線と第2線との間の電圧が昇圧または降圧される。この直列変圧器による昇圧または降圧とは別に、第1線と第2線との間の電圧が昇圧器により昇圧される。これにより、電圧調整器の出力電圧が昇圧器により昇圧側へシフトする。そのため、直列変圧器による降圧幅を大きくせずとも、電圧調整器の昇圧幅を大きくできるので、電圧調整器の降圧幅の増大による無駄を省きつつ、大きな昇圧幅によって線路インピーダンスによる電圧降下の補償量を増やすことができる。
【0010】
また、制御部は、直列変圧器および昇圧器よりも出力側の第1線および第2線と中性線との間の電圧に応じて、切換器部による切り換えを制御する。これにより、直列変圧器および昇圧器による調整後の出力電圧を制御部で監視して、負荷の変動などに起因した出力電圧の変動を打ち消す制御が可能となる。
【0011】
請求項2記載の電圧調整器によれば、第1線および第2線と中性線との間にそれぞれ印加される電圧を平衡化する平衡器が、直列変圧器および昇圧器に対する同位置の第1線および第2線と中性線とに接続されている。よって、その平衡器により、直列変圧器または昇圧器の入力電圧または出力電圧が平衡化されるので、請求項1の効果に加え、電圧調整器の出力電圧を平衡に保ち易くできる。
【0012】
なお、平衡器は、第1線、第2線および中性線との接続位置が、直列変圧器の入力側の同位置でも出力側の同位置でも良く、昇圧器による昇圧位置(例えば後述の直列巻線)の入力側の同位置でも出力側の同位置でも良い。
【0013】
請求項3記載の電圧調整器によれば、昇圧器と平衡器とが一体に構成されているので、請求項2の効果に加え、昇圧器と平衡器とを別々に設ける場合と比べて電圧調整器を軽量化および小型化できる。
【0014】
請求項4記載の電圧調整器によれば、昇圧器は、第1線および第2線それぞれと中性線とを連結して平衡器を構成する一対の分路巻線と、その一対の分路巻線にそれぞれ接続される一対の直列巻線と、を備えている。このように、平衡器に直列巻線を加えることで昇圧器が構成されるため、請求項3の効果に加え、一体に構成される昇圧器および電圧調整器の構造を簡略化できる。
【0015】
なお、昇圧器の分路巻線が平衡器を構成することにより、分路巻線には、電圧調整に応じて生じる電流(A1)に加え、電圧を平衡化するための電流(以下「平衡化電流」と称す)が生じる。
【0016】
請求項5記載の電圧調整器によれば、平衡化電流の最大値は、平衡器の定格電流であるので、本電圧調整器の電圧調整に応じて分路巻線に生じる電流の最大値(A1の最大値)と平衡器の定格電流(平衡化電流の最大値)との合計値が、昇圧器と平衡器とが一体化された分路巻線に生じる電流の最大値となる。この分路巻線に生じる電流の最大値(A1の最大値+平衡器の定格電流)を分路巻線の断面積(DX)で除した値、即ち分路巻線に生じる最大の電流密度が3[A/mm2]以下である。これにより、電圧調整時の電流に加えて平衡化電流が分路巻線に生じても、電流密度に応じた分路巻線の発熱量を抑制できるので、それらの電流に分路巻線をより耐えさせ易くできる。よって、請求項4の効果に加え、昇圧器の分路巻線の耐久性をより向上できる。
【0017】
請求項6記載の電圧調整方法によれば、調整ステップによって、一対の直列変圧器の一次巻線への印加電圧を出力電圧に応じて切り換え、その一対の直列変圧器の二次巻線に生じる誘起電圧の極性または大きさを調整する。これにより、第1線および第2線それぞれを連結する二次巻線の出力側で第1線および第2線と中性線との間の電圧がそれぞれ昇圧または降圧される。この調整ステップとは別に、第1線と第2線との間の電圧を昇圧器が昇圧する昇圧ステップが行われる。これにより、電圧調整器による昇圧幅および降圧幅が、昇圧器により昇圧側へシフトする。そのため、直列変圧器による降圧幅を大きくせずとも、電圧調整器の昇圧幅を大きくできるので、電圧調整器の降圧幅の増大による無駄を省きつつ、大きな昇圧幅によって線路インピーダンスによる電圧降下の補償量を増やすことができる。
【0018】
なお、昇圧ステップの後に調整ステップを行っても良いし、調整ステップの後に昇圧ステップを行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態における電圧調整器を低圧線に接続した状態を示す模式図である。
【
図3】電圧調整器における半導体リレーのオンオフパターンと調整電圧との関係を示す表である。
【
図4】(a)は昇圧器とは別に平衡器を設けた電圧調整器の変形例を示す説明図であり、(b)は昇圧器の分路巻線が平衡器として機能する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して一実施形態における電圧調整器10の概要について説明する。
図1に示すように、電圧調整器10は、入力された電圧を調整して出力する機器であり、交流の配電線路のうち単相三線式の低圧線2に接続される。
【0021】
低圧線2の入力側(発電所や変電所側)は、高圧線6に柱上変圧器7を介して接続される。この柱上変圧器7によって電圧が高圧線6の約6.6[kV]から低圧線2の約210[V]及び約105[V]へ変換される。低圧線2の出力側は、一般家庭や工場などの需要家8に接続される。
【0022】
低圧線2は、高圧線6と比べて電圧が低いため、線路インピーダンスによる電圧降下が大きい。この電圧降下を考慮しながら、需要家8等での電圧を101±6[V]の範囲に保つ必要がある。また、柱上変圧器7で210[V]に変換された電圧に対しては、需要家8等での電圧を202±20[V]の範囲に保つ必要がある。
【0023】
低圧線2の途中に電圧調整器10を接続し、この電圧調整器10で低圧線2の電圧を昇圧すること、即ち低圧線2の電圧降下を電圧調整器10で補償することによって、需要家8等での電圧を所定範囲に保ちながら低圧線2を長くできる。これにより、山間部などの配電線路の管理を容易にできる。
【0024】
次に
図2及び
図3を参照し、電圧調整器10の詳細について説明する。
図2に示すように、電圧調整器10は、第1線3、第2線4及び中性線5からなる単相三線式の低圧線2(
図1参照)に、入力側の端子3a,4a,5a及び出力側の端子3b,4bを介して接続される。この中性線5は接地されている。電圧調整器10への入力電圧に関し、中性線5と第1線3との間の電圧は、中性線5と第2線4との間の電圧に対して極性が逆で大きさが同じである。
【0025】
電圧調整器10は、第1線3と第2線4との間の出力側の電圧を昇圧する昇圧器20と、第1線3及び第2線4と中性線5との間にそれぞれ印加される電圧を平衡化する平衡器25と、出力側の電圧を昇圧または降圧する直列変圧器11,12と、その直列変圧器11,12による昇圧または降圧を切り換える切換器部13と、切換器部13による切り換えを制御する制御部14と、を備える。
【0026】
電圧調整器10内を通る第1線3は、端子3aと昇圧器20とを繋ぐ第1入力線3cと、昇圧器20と直列変圧器11とを繋ぐ第1昇圧線3dと、直列変圧器11から端子3b側へ延びる第1調整線3eと、第1調整線3eから分岐して切換器部13及び制御部14に接続される第1分岐線3fと、第1調整線3eと第1分岐線3fとの分岐点から端子3bまでを繋ぐ第1出力線3gと、を備えている。
【0027】
電圧調整器10内を通る第2線4は、端子4aと昇圧器20とを繋ぐ第2入力線4cと、昇圧器20と直列変圧器12とを繋ぐ第2昇圧線4dと、直列変圧器12から端子4b側へ延びる第2調整線4eと、第2調整線4eから分岐して切換器部13及び制御部14に接続される第2分岐線4fと、第2調整線4eと第2分岐線4fとの分岐点から端子4bまでを繋ぐ第2出力線4gと、を備えている。
【0028】
中性線5は、端子5aで分岐し、その分岐線が電圧調整器10内に配置され、中性線5の本線が需要家8(
図1参照)等に接続される。電圧調整器10内の中性線5は、端子5aと昇圧器20とを繋ぐ中性入力線5bと、中性入力線5bから分岐して切換器部13及び制御部14に接続される中性分岐線5cと、を備えている。
【0029】
昇圧器20は、中性入力線5bと第1入力線3cとを連結する第1分路巻線21と、中性入力線5bと第2入力線4cとを連結する第2分路巻線22と、第1入力線3cと第1昇圧線3dとを連結する第1直列巻線23と、第2入力線4cと第2昇圧線4dとを連結する第2直列巻線24と、を備える。昇圧器20は、これらの第1分路巻線21、第2分路巻線22、第1直列巻線23及び第2直列巻線24が同一の鉄心に巻かれた昇圧用の単巻変圧器である。
【0030】
第1分路巻線21と第2分路巻線22とは、中性入力線5bと1点で接続される。また、第1分路巻線21と第1直列巻線23とは、第1入力線3cと1点で接続される。さらに、第2分路巻線22と第2直列巻線24とは、第2入力線4cと1点で接続される。
【0031】
第1分路巻線21及び第2分路巻線22は、互いに巻数N1が同一に設定される。第1直列巻線23及び第2直列巻線24は、互いに巻数N2が同一に設定される。巻数N1よりも巻数N2が少なく設定される。本実施形態では、巻数N1:巻数N2が約40:1に設定される。
【0032】
よって、第1入力線3cと中性入力線5bとの間の電圧が第1分路巻線21に印加されると、第1直列巻線23により約2.5%昇圧された電圧が第1昇圧線3dと中性線5との間へ出力される。第2入力線4cと中性入力線5bとの間の電圧が第2分路巻線22に印加されると、第2直列巻線24により約2.5%昇圧された電圧が第2昇圧線4dと中性線5との間へ出力される。
【0033】
昇圧器20は、第1線3側と第2線4側とを合わせた入力電圧に対し出力電圧を約2.5%昇圧する。具体的に、第1入力線3cと第2入力線4cとの間の電圧が約200[V]であれば、昇圧器20は約5[V]昇圧して出力する。
【0034】
平衡器25は、第1入力線3c及び第2入力線4cそれぞれと中性入力線5bとを連結する一対の巻線と、その一対の巻線が巻かれる一の鉄心(図示せず)とを備え、本実施形態では定格電流が約10Aに設定される。本実施形態における平衡器25の一対の巻線は、第1分路巻線21及び第2分路巻線22により構成されている。一の鉄心に巻かれる第1分路巻線21及び第2分路巻線22の巻数N1が互いに同一なので、平衡器25は、第1分路巻線21の印加電圧と第2分路巻線22の印加電圧とを平衡化できる。
【0035】
この平衡器25と昇圧器20とは、同一の鉄心を用いて一体に構成されている。これにより、電圧調整器10内に昇圧器20と平衡器25とを別々に設ける場合と比べて鉄心を削減できる。よって、昇圧器20及び平衡器25の両方を有する電圧調整器10を軽量化および小型化できる。
【0036】
また、単巻変圧器の一種である平衡器25に第1直列巻線23及び第2直列巻線24を加えることで、昇圧用の単巻変圧器である昇圧器20を構成できる。その結果、一体に構成される昇圧器20及び平衡器25の構造を簡略化できる。
【0037】
平衡器25の巻線(第1分路巻線21及び第2分路巻線22)は、直列変圧器11,12及び昇圧器20に対する同位置の第1線3及び第2線4(第1入力線3c及び第2入力線4c)に接続されている。よって、その平衡器25により、直列変圧器11,12及び昇圧器20の出力電圧が平衡化されるので、電圧調整器10の出力電圧を平衡に保ち易くできる。
【0038】
直列変圧器11は、配線15,16を介して切換器部13に接続される一次巻線11aと、第1昇圧線3dと第1調整線3eとを連結する二次巻線11bと、を備える。これら一次巻線11a及び二次巻線11bが、昇圧器20の鉄心とは異なる鉄心(図示せず)に巻かれる。これにより、直列変圧器11は、一次巻線11aの印加電圧に応じて、二次巻線11bに誘起電圧を生じさせ、その誘起電圧により第1昇圧線3dと中性線5との間の電圧に対し第1調整線3eと中性線5との間の電圧を昇圧または降圧する。
【0039】
直列変圧器12は、配線15,16を介して切換器部13に接続される一次巻線12aと、第2昇圧線4dと第2調整線4eとを連結する二次巻線12bと、を備える。これら一次巻線12a及び二次巻線12bが、直列変圧器11の鉄心と同一の鉄心に巻かれる。これにより、直列変圧器12は、一次巻線12aの印加電圧に応じて、二次巻線12bに誘起電圧を生じさせ、その誘起電圧により第2昇圧線4dと中性線5との間の電圧に対し第2調整線4eと中性線5との間の電圧を昇圧または降圧する。
【0040】
直列変圧器11の一次巻線11aの両端と、直列変圧器12の一次巻線12aの両端とは、一次巻線11a,12aそれぞれの印加電圧の極性が互いに逆になるよう、配線15,16で繋がれている。さらに、一次巻線11aに対する二次巻線11bの巻数比と、一次巻線12aに対する二次巻線12bの巻数比とが同じであり、直列変圧器11,12は同一の鉄心を使用しているので、一次巻線11a,12aへの印加電圧に応じて、二次巻線11b,12bそれぞれに生じる誘起電圧の大きさが同じで極性が逆になる。
【0041】
切換器部13は、一次巻線11a,12aへの印加電圧の極性または大きさを切り換える機器である。切換器部13は、5つの半導体リレー(以下「リレー」と称す)A~Eを備える。リレーA~Cは配線15に接続され、リレーD,Eは配線16に接続される。リレーA,Dは、第2分岐線4fに接続される。リレーB,Eは、第1分岐線3fに接続される。リレーCは、中性分岐線5cに接続される。
【0042】
図2に加え、リレーA~Eのオンオフパターンと電圧調整器10の調整電圧との関係を示した
図3を用いて説明する。なお、
図3や以下の説明では、昇圧をプラス(+)で示し、降圧をマイナス(-)で示す。また、
図3の説明では、第1入力線3cと第2入力線4cとの間の入力電圧を200[V]とし、中性入力線5bと第1入力線3c又は第2入力線4cとの間の入力電圧を100[V]とする。
【0043】
まず、リレーA,Eのオン時には、一次巻線11a,12aに第1分岐線3fと第2分岐線4fとの間の電圧が印加される。リレーA,Eのオン直後に二次巻線11b,12bに誘起電圧が生じていないものとすると、一次巻線11a,12aの印加電圧は、第1入力線3cと第2入力線4cとの間の入力電圧を昇圧器20で+約5[V]した約205[V]となる。
【0044】
この印加電圧に応じ、二次巻線11b,12bに誘起電圧が生じて出力電圧が昇圧される。この出力電圧の昇圧に伴って一次巻線11a,12aの印加電圧が昇圧され、その昇圧に伴って誘起電圧も昇圧される。印加電圧の昇圧と誘起電圧の昇圧とがループするが、この昇圧値は収束する。
【0045】
一次巻線11a,12aと二次巻線11b,12bとの巻数比は、片側の二次巻線11b,12bにおける誘起電圧が電圧調整器10の入力電圧に対して約5[V]となるように設定されている。よって、リレーA,Eのオン時に電圧調整器10は、入力電圧に対して出力電圧を、昇圧器20で+約5[V]、両側の二次巻線11b,12bで+約10[V]し、それらを合わせた出力側全体で+約15[V]、即ち約7.5%昇圧する。
【0046】
同様に、リレーC,Eのオン時には、第1分岐線3fと中性分岐線5cとの間の電圧が一次巻線11a,12aの印加電圧となり、二次巻線11b,12bがそれぞれ出力電圧を+約2.5[V]する。よって、リレーC,Eのオン時に電圧調整器10は、入力電圧に対して出力電圧を、昇圧器20で+約5[V]、両側の二次巻線11b,12bで+約5[V]し、それらを合わせた出力側全体で+約10[V]、即ち約5%昇圧する。
【0047】
また、リレーA,D(又はリレーB,E)のオン時には、一次巻線11a,12aの両端の電圧が同じ(印加電圧が0[V])になり、二次巻線11b,12bの誘起電圧が0[V]となる。この場合、電圧調整器10は、入力電圧に対して出力電圧を昇圧器20で+約5[V]するだけであり、出力側全体で約2.5%昇圧する。
【0048】
リレーC,Dのオン時には、リレーC,Eのオン時とは極性が反対で大きさが同じ電圧が一次巻線11a,12aに印加される。この場合の電圧調整器10は、入力電圧に対して出力電圧を、昇圧器20で+約5[V]、両側の二次巻線11b,12bで-約5[V]し、出力側全体で調整電圧が約0[V]となる。
【0049】
リレーB,Dのオン時には、リレーA,Eのオン時とは極性が反対で大きさが同じ電圧が一次巻線11a,12aに印加される。この場合の電圧調整器10は、入力電圧に対して出力電圧を、昇圧器20で+約5[V]、両側の二次巻線11b,12bで-約10[V]し、それらを合わせた出力側全体で-約5[V]、即ち約2.5%降圧する。
【0050】
制御部14は、上述したパターンでリレーA~Eの切り換え制御を行う機器である。制御部14は、第1分岐線3f、第2分岐線4f及び中性分岐線5cに接続され、その接続位置の電圧を検出する。なお、昇圧器20及び直列変圧器11,12によって電圧が調整された位置であれば、リレーA,Dに繋がる第1分岐線3fに代えて第1調整線3eや第1出力線3gから分岐した別の分岐線に制御部14を接続しても良く、リレーB,Eに繋がる第2分岐線4fに代えて第2調整線4eや第2出力線4gから分岐した別の分岐線に制御部14を接続しても良い。
【0051】
これにより、制御部14は、昇圧器20及び直列変圧器11,12によって調整された出力電圧の監視が可能となる。制御部14は、需要家8等での電圧が所定の範囲に収まるように、出力電圧に応じてリレーA~Eのオンオフを切り換え、出力側全体の調整電圧を調整する。例えば、制御部14は、太陽光発電による逆潮流や負荷の変動などに起因して出力電圧が変動する場合、出力側全体の調整電圧の調整によって、その変動を打ち消すようにリレーA~Eのオンオフを切り換える制御を実行する。
【0052】
以上説明した電圧調整器10によれば、直列変圧器11,12による昇圧または降圧とは別に、昇圧器20による昇圧が行われるため、電圧調整器10の出力電圧が昇圧器20により昇圧側へシフトする。具体的に、直列変圧器11,12の出力電圧の昇圧幅が約5%(+約10[V])、降圧幅も約5%(-約10[V])であったところ、昇圧器20による約2.5%の昇圧(+約5[V])により、電圧調整器10の昇圧幅を約7.5%(+約15[V])、降圧幅を約2.5%(-約5[V])にできる。
【0053】
このように、電圧調整器10は、直列変圧器11,12による降圧幅を大きくせずとも、昇圧幅を大きくできる。よって、電圧調整器10の降圧幅の増大による無駄を省きつつ、大きな昇圧幅によって低圧線2の線路インピーダンスによる電圧降下の補償量を増やすことができる。
【0054】
また、直列変圧器11,12による降圧幅(-約5%)よりも、昇圧器20による昇圧値(+約2.5%)が小さいので、電圧調整器10の入力電圧に対して出力電圧を降圧する調整が可能となる。これにより、電圧降下が問題になり難い長さの低圧線2に電圧調整器10を設け、出力電圧が昇圧する変動が生じた場合でも、その変動を電圧調整器10で打ち消し(降圧)できる。
【0055】
さらに、リレーA~Eの切り換えによって直列変圧器11,12の誘起電圧が約2.5%刻みで変化し、その刻み値と昇圧器20による昇圧値との大きさが略同一なので、上述した通りリレーC,Dのオン時には電圧調整器10の出力側全体の調整電圧を約0Vにできる。これにより、電圧調整器10で出力電圧を昇圧も降圧もしない調整が可能となり、電圧調整器10の平衡器25の機能のみを発揮させることができる。
【0056】
電圧調整器10は、直列変圧器11,12により第1線3側と第2線4側とで電圧を同じだけ変動させ、昇圧器20により第1線3側と第2線4側とで電圧を同じだけ昇圧させる。第1線3及び第2線4と中性線5との間の電圧がそれぞれ同じであれば、電圧の差に起因した電流が平衡器25に流れなくなるので、平衡器25の巻線(第1分路巻線21及び第2分路巻線22)の断面積を小さくできる。
【0057】
次に、
図4(a)及び
図4(b)を参照し、電圧調整器10の入力側に繋げた負荷が不平衡となる場合、本発明の変形例である電圧調整器30の入力側に繋げた負荷が不平衡となる場合についてそれぞれ説明する。なお、電圧調整器10,30の入力側の第2線4と中性線5との間に負荷R1を繋げて、入力側の第1線3と中性線5との間に負荷を繋げず、電圧調整器10,30の出力側の第1線3及び第2線4と中性線5との間にそれぞれ同一の負荷R2を繋げた場合を例示して説明する。
【0058】
このとき、負荷R1には、電圧調整器10,30の入力側の負荷の不平衡による電流2・A3(A3の2倍)が中性線5から第2線4へ流れるものとする。また、負荷R1は、電圧調整器10,30の入力側の低圧線2に接続された需要家(図示せず)内の負荷を示す。負荷R2は、電圧調整器10,30の出力側の低圧線2に接続された需要家8内の負荷を示す。
【0059】
図4(a)は、本発明の変形例であって、昇圧器20とは別に平衡器31を設けた電圧調整器30の説明図である。
図4(b)は、電圧調整器10の昇圧器20が平衡器25として機能する場合の説明図である。なお、中性線5に対し第1線3側と第2線4側とで電圧調整器10,30の構成が略同一なので、以下、第1線3側について主に説明し第2線4側の説明の一部を省略する。
【0060】
また、
図4(a)及び
図4(b)では、説明を簡略化するために、直列変圧器11,12の誘起電圧を0[V]とし、直列変圧器11,12及び切換器部13の図示を省略している。さらに
図4(a)及び
図4(b)には、第1線3の端子3aから第1直列巻線23、負荷R2、第2直列巻線24、端子4aへと電気が主に流れるように電流の矢印を記載している。なお、交流の極性が逆転すると、これらの電流の矢印が逆になる。
【0061】
図4(a)に示す電圧調整器30は、昇圧器20の入力側(端子3a,4a側)に平衡器31を設けたことと、第1分路巻線21及び第2分路巻線22の断面積D1の大きさ以外は、電圧調整器10と同一に構成される。平衡器31は、一の鉄心に巻かれた巻線の両端がそれぞれ第1線3と第2線4とに接続され、その巻線の中央が中性線5に接続される。これにより、中性線5の両側で巻線の巻数が同じになるので、平衡器31は、巻線が接続された位置で、第1線3と中性線5との間の電圧、及び、第2線4と中性線5との間の電圧を平衡化できる。
【0062】
負荷の不平衡による電流2・A3が中性線5から負荷R1に流れる場合、その負荷R1の出力側にある平衡器31の両側の巻線それぞれに、中性線5へ向かって平衡化電流A3が生じる。平衡器31から負荷R1までの中性線5に電流2・A3が生じるが、平衡器31によって負荷R1よりも入力側の中性線5に電流2・A3が生じなくなる。これにより、平衡器31の入力側において第1線3側の電圧と第2線4側の電圧とを平衡化できる。
【0063】
なお、平衡化電流A3の最大値は、平衡器31の定格電流であり、本実施形態では約10Aに設定される。また、平衡化電流A3は、第1分路巻線21や第2分路巻線22に生じない。これは、第1分路巻線21及び第2分路巻線22の断面積D1に対し、平衡器31の断面積を十分に大きくすることで、第1分路巻線21及び第2分路巻線22よりも平衡器31の巻線に電気が流れ易くなるためである。
【0064】
また、昇圧器20による昇圧時には、第1直列巻線23の電流A2に対する第1分路巻線21の電流A1の比である電流比A1/A2が、第1分路巻線21の巻数N1に対する第1直列巻線23の巻数N2の比である巻数比N2/N1と同一になるように、第1分路巻線21及び第1直列巻線23に電流が生じる。
【0065】
なお、直列変圧器11,12の誘起電圧が0Vの場合には、電流A2が、電圧調整器30の定格二次電流と同じになる。誘起電圧の変化に伴って第1直列巻線23の電流A2も変化するが、その電流A2の最大値を算出することができる。
【0066】
また、電圧調整器10でも同様に、昇圧器20による昇圧時には、電流A1が第1分路巻線21及び第2分路巻線22それぞれに生じ、電流A2が第1直列巻線23及び第2直列巻線24それぞれに生じる。しかし、電圧調整器10は、電圧調整器30とは異なり、昇圧器20と平衡器25とが一体に構成されているので、平衡器25の巻線を構成する第1分路巻線21及び第2分路巻線22それぞれに平衡化電流A3が生じる。
【0067】
なお、第1分路巻線21に生じる電流A1と平衡化電流A3との向きは同じであり、第2分路巻線22に生じる電流A1と平衡化電流A3との向きは逆である。そのため、電圧調整器10の第1分路巻線21には電流A1+A3が生じ、第2分路巻線22には電流|A1-A3|(A1とA3との差の絶対値)が生じる。以下、第2分路巻線22と比べて大きな電流が生じる第1分路巻線21について説明する。
【0068】
このように、電圧調整器10の第1分路巻線21に生じる電流A1+A3は、電圧調整器30の第1分路巻線21に生じる電流A1よりも大きい。第1分路巻線21及び第1直列巻線23等の各巻線の断面積は、その巻線に流れることが想定される電流(許容電流)に応じて設定する必要があり、即ち断面積と許容電流とが略比例関係になるよう設定する必要がある。
【0069】
そのため、電圧調整器10の第1分路巻線21の断面積DXを、電圧調整器30の第1分路巻線21の断面積D1よりも大きくすることで、平衡化電流A3に第1分路巻線21を耐えさせ易くできる。これにより、電圧調整器10は、昇圧時の電流A1に加えて平衡化電流A3が第1分路巻線21に生じる場合であっても、第1分路巻線21の耐久性を確保できる。
【0070】
本実施形態では、平衡化電流A3の最大値が平衡器25の定格電流であり、電圧調整器10の調整電圧に応じて電流A1,A2がそれぞれ最大値をとる。ここから、第1分路巻線21に生じる電流の最大値(A1の最大値+A3の最大値)を、第1直列巻線23に生じる電流A2の最大値で除した最大電流比(A1の最大値+A3の最大値)/(A2の最大値)が算出される。よって、電圧調整器10は、断面積比DX/D2と最大電流比(A1の最大値+A3の最大値)/(A2の最大値)とが同程度になるよう設定することで、電圧調整時の電流A1に加えて平衡化電流A3が第1分路巻線21に生じても、それらの電流に第1分路巻線21をより耐えさせ易くでき、第1分路巻線21の耐久性を向上できる。
【0071】
第1分路巻線21に生じる電流の最大値(A1の最大値+A3の最大値)を、第1分路巻線21の断面積DXで除した値、即ち第1分路巻線21に生じる最大の電流密度が3[A/mm2]以下であることが好ましい。これにより、電圧調整時の電流A1に加えて平衡化電流A3が第1分路巻線21に生じても、電流密度に応じた第1分路巻線21の発熱量を抑制できるので、それらの電流に第1分路巻線21をより耐えさせ易くでき、第1分路巻線21の耐久性を向上できる。
【0072】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記形態の説明で例示した各部の電圧や電流、変化率、巻数比などの数値を適宜変更しても良い。
【0073】
昇圧器20の出力側に直列変圧器11,12を設ける場合に限らず、昇圧器20の入力側に直列変圧器11,12を設けても良い。また、昇圧器20とは別の平衡器31を、その昇圧器20の入力側に設ける場合に限らず、昇圧器20の出力側に設けても良い。例えば、平衡器31の巻線で、第1昇圧線3dと第2昇圧線4dとを連結しても良く、同様に、第1調整線3eと第2調整線4eとを、第1出力線3gと第2出力線4gとを連結しても良い。さらに、電圧調整器10,30の外部であって電圧調整器10,30よりも負荷R1に近い位置に平衡器31を設けても良い。
【0074】
上記形態では、直列変圧器11,12の二次巻線11b,12bの出力側の第1調整線3e及び第2調整線4eそれぞれから、リレーA~C,Eに接続される第1分岐線3f及び第2分岐線4fが分岐する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1入力線3c及び第2入力線4cそれぞれから第1分岐線3f及び第2分岐線4fを分岐させても良く、第1昇圧線3d及び第2昇圧線4dそれぞれから第1分岐線3f及び第2分岐線4fを分岐させても良い。いずれの場合でも、昇圧器20及び直列変圧器11,12両方の出力側に制御部14を接続する。
【0075】
上記形態では、切換器部13の半導体リレーA~Eによって、第1線3、第2線4及び中性線5のうち2線と、直列変圧器11,12の一次巻線11a,12aとの接続を切り換える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。これらの接続の切り換えをメカニカルリレーで行っても良い。なお、半導体リレーA~Eを用いることで、切換器部13の小型化や長寿命化、切り換え時の無音化を図ることができる。
【0076】
上記形態では、切換器部13のリレーA~Eを介して第1線3、第2線4及び中性線5のうち2線間の電圧を直列変圧器11,12の一次巻線11a,12aに印加する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、その直列変圧器とは異なる変圧器を第1線3、第2線4及び中性線5のうち2線間に並列接続し、この変圧器のタップの切り換えによって一次巻線11a,12aの印加電圧を変化させても良い。
【0077】
上記形態では、昇圧器20が単巻変圧器である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、昇圧器20を複巻変圧器としても良い。また、昇圧器20による昇圧値を固定値とする場合に限らず、タップの切り換え等によって昇圧値が変動するようにしても良い。
【符号の説明】
【0078】
2 低圧線(配電線路)
3 第1線
4 第2線
5 中性線
6 高圧線
7 柱上変圧器
8 需要家
10,30 電圧調整器
11,12 直列変圧器
11a,12a 一次巻線
11b,12b 二次巻線
13 切換器部
14 制御部
20 昇圧器
21 第1分路巻線(分路巻線)
22 第2分路巻線(分路巻線)
23 第1直列巻線(直列巻線)
24 第2直列巻線(直列巻線)
25,31 平衡器