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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122175
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】タイヤ試験ドラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20220815BHJP
   G01N 3/56 20060101ALN20220815BHJP
【FI】
G01M17/02
G01N3/56 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019335
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】高橋 尚史
(57)【要約】
【課題】疑似路面が剥がれにくいタイヤ試験ドラムを提供する。
【解決手段】実施形態のタイヤ試験ドラム20は、円筒状のドラム本体21と、ドラム本体21の外周面に設けられた疑似路面22とを有し、疑似路面22のドラム軸方向両側の部分28をドラム径方向外側から押える治具23と、疑似路面22と治具23との間に挟まれた挿入物27と、を有することを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のドラム本体と、前記ドラム本体の外周面に設けられた疑似路面とを有するタイヤ試験ドラムにおいて、
前記疑似路面のドラム軸方向両側の部分をドラム径方向外側から押える治具と、
前記疑似路面と前記治具との間に挟まれた挿入物と、を有することを特徴とする、タイヤ試験ドラム。
【請求項2】
前記挿入物がゴム部材である、請求項1に記載のタイヤ試験ドラム。
【請求項3】
前記挿入物が、前記ドラム本体のドラム周方向に1周して設けられた、請求項1又は2に記載のタイヤ試験ドラム。
【請求項4】
前記疑似路面において、前記治具に押えられる部分がその他の部分よりも薄い、請求項1~3のいずれか1項に記載のタイヤ試験ドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤ試験ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、円筒状のドラム本体の外周面に、骨材とバインダーからなる疑似路面が設けられたタイヤ試験ドラムが知られている。疑似路面は、ドラム軸方向に一定の幅を有し、ドラム周方向に1周している。
【0003】
このようなタイヤ試験ドラムの疑似路面にタイヤを接触させ、タイヤ試験ドラムを回転させることによりタイヤを回転させ、タイヤから発生する騒音を測定する等の各種試験が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-218470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タイヤ試験ドラムが回転すると、その遠心力により疑似路面がドラム本体の外周面から剥がれてしまうことがある。疑似路面は、ドラム本体の外周面との接着力の弱いドラム軸方向端部から剥がれる。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、疑似路面が剥がれにくいタイヤ試験ドラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のタイヤ試験ドラムは、円筒状のドラム本体と、前記ドラム本体の外周面に設けられた疑似路面とを有するタイヤ試験ドラムにおいて、前記疑似路面のドラム軸方向両側の部分をドラム径方向外側から押える治具と、前記疑似路面と前記治具との間に挟まれた挿入物と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態のタイヤ試験ドラムによれば、治具と挿入物により、疑似路面のドラム軸方向両側の部分をしっかりと押えることができるため、疑似路面がドラム本体から剥がれにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】タイヤ試験装置の正面図。
図2】タイヤ試験ドラムの斜視図。
図3】疑似路面をドラム径方向外側から見た図。
図4】疑似路面及び治具の断面図(疑似路面をドラム周方向の接線方向から見た断面図)。
図5】縁部分が薄い疑似路面の断面図(疑似路面をドラム周方向の接線方向から見た断面図)。(a)は疑似路面の中央部分の外径が治具の外径と同じ例。(b)は疑似路面の中央部分の外径が治具の外径より大きい例。
図6】縁部分が斜面を有する疑似路面の断面図(疑似路面をドラム周方向の接線方向から見た断面図)。(a)は疑似路面の中央部分の外径が治具の外径より小さい例。(b)は疑似路面の中央部分の外径が治具の外径と同じ例。(c)は疑似路面の中央部分の外径が治具の外径より大きい例。
図7】縁部分が曲面を有する疑似路面の断面図(疑似路面をドラム周方向の接線方向から見た断面図)。(a)は疑似路面の中央部分の外径が治具の外径より小さい例。(b)は疑似路面の中央部分の外径が治具の外径と同じ例。(c)は疑似路面の中央部分の外径が治具の外径より大きい例。
図8】ドラム本体と疑似路面との間に金属板が設けられたタイヤ試験ドラムの、疑似路面付近の断面図(疑似路面をドラム周方向の接線方向から見た断面図)。
図9】ドラム本体と疑似路面との間に金属板が設けられたタイヤ試験ドラムをドラム軸方向から見た図。
図10】複数の治具がドラム周方向に並べて設けられたタイヤ試験ドラムを、ドラム径方向外側から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0011】
まず、タイヤ試験装置10について説明する。図1に示すタイヤ試験装置10は、円筒状でドラム周方向に回転可能なタイヤ試験ドラム20と、タイヤ試験ドラム20の回転軸となるシャフト11と、シャフト11を回転させるモータが収納された駆動装置部12と、タイヤTを支持する支持軸13と、タイヤTを所定の荷重でタイヤ試験ドラム20に接触させるために支持軸13を上下動させる支持装置部14とを有している。図示省略するが、タイヤ試験ドラム20の周囲には、試験のために必要な機器、例えば騒音を測定するためのマイク等が配置される。
【0012】
試験のときは、支持軸13に取り付けられたタイヤTがタイヤ試験ドラム20に押し付けられる。その状態で駆動装置部12が駆動してシャフト11及びタイヤ試験ドラム20が回転すると、タイヤTも回転する。タイヤTの回転中に、騒音測定等の試験が行われる。
【0013】
次に、タイヤ試験ドラム20の詳細について説明する。図2図4に示すように、タイヤ試験ドラム20は、円筒状のドラム本体21と、ドラム本体21の外周面に設けられた疑似路面22とを有している。疑似路面22は、ドラム軸方向に一定の幅を有し、ドラム周方向に1周している。さらに、タイヤ試験ドラム20は、疑似路面22のドラム軸方向両側の部分をドラム径方向外側から押える治具23を有している。
【0014】
疑似路面22は、骨材とバインダーの混合物が所定の厚みで成形されたものである。骨材としては砕石や砂等が使用される。また、バインダーとしては、エポキシ系等の樹脂、アスファルト、セメント、モルタル、コンクリート等が使用される。
【0015】
疑似路面22の好ましいパラメータは次の通りである。まず、ドラム周方向の凹凸量(すなわち、ドラム周方向の、最大高さと最小高さの差)は2mm以下であることが好ましい。また、ドラム軸方向の凹凸量(すなわち、ドラム軸方向の、最大高さと最小高さの差)は3mm以下であることが好ましい。また、MPD(Mean profile depth:平均プロファイル深さ)は0.5±0.2mmであることが好ましい。また、最大骨材粒径は6.3~10.0mmであることが好ましい。また、骨材の目標とする粒度曲線はJISD8301に従うことが好ましい。
【0016】
なお、疑似路面22は、バインダーのみが所定の厚みで成形されたものであっても良い。骨材の有無にかかわらず、疑似路面22はバインダーの接着力でドラム本体21の外周面に接着されている。
【0017】
疑似路面22はドラム径方向に一定の厚みを有しており、図4に示すようにドラム本体21の外周面に対してドラム径方向に高くなっている。疑似路面22の厚みは、JISD8301で定められた30mm以上という範囲でも良いし、3mm以上30mm以下の範囲でも良い。
【0018】
このような疑似路面22のドラム軸方向両側に、治具23が設けられている。治具23はドラム本体21に嵌まる大きさの環状の部材である。また、治具23は、鋼、アルミニウム又はそれらを含む合金等の金属からなり、ドラム本体21の回転の遠心力による変形や破損の生じない強度を持っている。図4に示すように、治具23には、ドラム本体21の外周面に嵌まる嵌合部25と、疑似路面22をドラム径方向外側から押える押え部26とが形成されている。押え部26は嵌合部25よりも疑似路面22のドラム軸方向中心側にある。嵌合部25の内径は、ドラム本体21の外径と同じ大きさである。
【0019】
治具23の嵌合部25には複数のネジ孔(不図示)が形成されている。また、ドラム本体21における、嵌合部25のネジ孔と一致する場所にも、ネジ孔(不図示)が形成されている。これらのネジ孔に図3に示すネジ40が通されることにより、治具23がドラム本体21に固定されている。
【0020】
治具23がドラム本体21に固定された状態において、治具23の嵌合部25はドラム本体21の外周面に嵌まっている。また、嵌合部25の疑似路面22側の端部25aは、疑似路面22のドラム軸方向端部に接触している。また、押え部26が疑似路面22のドラム軸方向両側の縁部分28をドラム径方向外側から覆っている。
【0021】
疑似路面22のうち、押え部26によって押えられる縁部分28の幅は、疑似路面22のドラム軸方向両側で等しい。疑似路面22の全体の幅L1(図4参照)に対する、押え部26によって押えられる縁部分28の合計幅L2(すなわち、ドラム軸方向両側の縁部分28の幅の合計)の割合は、10~20%であることが好ましい。表1に、このような割合とするための疑似路面22の全体の幅L1及び疑似路面22の縁部分28の合計幅L2の寸法の例を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
疑似路面22の断面形状(疑似路面22をドラム周方向の接線方向から見た断面の形状)はドラム軸方向に長い長方形である。疑似路面22は、治具23の押え部26に覆われて押さえられた縁部分28と、治具23の押え部26に覆われていない中央部分29とで同じ厚みである。
【0024】
治具23の押え部26の内径と疑似路面22の外径とは同じか近い寸法になるように製造される。押え部26の内径と疑似路面22の外径とが同じになれば、疑似路面22の上に押え部26が直接配置されたときに、押え部26と疑似路面22との間に隙間が形成されない。しかし実際には、疑似路面22には場所により厚みに違いが生じており、それが原因で押え部26と疑似路面22との間に隙間がない場所とある場所が生じ、隙間の大きさにも場所によるばらつきが生じる。
【0025】
そのような隙間を埋める挿入物として、疑似路面22と、治具23の押え部26との間には、ゴムシート27が挟まれている。ゴムシート27の厚みは1mm以下が好ましい。また、ゴムシート27の幅(ドラム軸方向の長さ)は治具23の押え部26の幅以下である。
【0026】
疑似路面22には凹凸があり、上記の通り疑似路面22と押え部26との隙間の大きさは場所により異なるが、ゴムシート27が変形することによってその隙間が埋められることとなる。さらに、ゴムシート27の弾性により、ゴムシート27にかかる接触圧が、ゴムシート27の広い範囲に分散することとなる。
【0027】
ゴムシート27は、ドラム軸方向に一定の幅を保ちつつ、ドラム周方向に1周にわたって設けられている。ここで、1枚のゴムシート27がドラム本体21上の疑似路面22の縁部分28の1周分の長さを有しており、その1枚のゴムシート27がドラム周方向に1周にわたって巻き付けられていても良い。その場合、ゴムシート27の両端部の間には隙間がない(つまり接触している)ことが好ましいが、隙間があっても良い。
【0028】
また、比較的短い複数枚のゴムシート27が、ドラム周方向に連続して並べられていても良い。複数枚のゴムシート27がドラム周方向に並べられる場合、ゴムシート27とゴムシート27の間には、隙間がないことが好ましいが、隙間があっても良い。
【0029】
次に、タイヤ試験ドラム20の製造方法の一例について説明する。まず、疑似路面22の材料となる骨材とバインダーを撹拌混合して混合物とする。次に、その混合物をドラム本体21の外周面の所定の場所に施工する。施工の際、混合物が流れ落ちないように、また所定の範囲からはみ出さないように、枠等を適宜使用してドラム本体21の外周面に混合物を塗布する。塗布後、混合物の層の表面をローラでならしながら押圧して、施工を完了する。その後、混合物の層が乾燥すれば、疑似路面22が完成する。
【0030】
疑似路面22の完成後、疑似路面22の縁部分28の外周面にゴムシート27を配置する。さらに、疑似路面22のドラム軸方向両側に治具23を配置する。これにより、ゴムシート27が、疑似路面22の縁部分28と治具23の押え部26との間に挟まれる。次に、ネジ40で治具23をドラム本体21に固定する。これによりタイヤ試験ドラム20が完成する。
【0031】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、疑似路面22の縁部分28を治具23の押え部26がドラム径方向外側から押えているため、疑似路面22が端部から剥がれることを防ぐことができる。
【0032】
さらに、疑似路面22の縁部分28と治具23の押え部26との間にゴムシート27が挟まれているため、疑似路面22と押え部26との僅かな隙間が埋まり、押え部26が疑似路面22の縁部分28をしっかりと押えることができる。また、疑似路面22に凹凸があったとしても、疑似路面22の凸部との接触圧がゴムシート27によって分散されるため、治具23がゴムシート27の全体を介して疑似路面22の縁部分28をしっかりと押えることができる。
【0033】
また、ゴムシート27がドラム周方向に1周して設けられているため、治具23の押え部26の全体で疑似路面22の縁部分28をしっかりと押えることができる。
【0034】
また、疑似路面22の全体の幅L1に対する、縁部分28の合計幅L2の割合が10~20%であれば、治具23が疑似路面22をしっかりと押えることができ、かつ、タイヤTの試験に利用できる疑似路面22の面積を十分に確保することができる。
【0035】
次に、実施形態の変更例について説明する。
【0036】
<変更例1>
治具23の押え部26と疑似路面22の縁部分28との間の挿入物は、ゴムシート27に限定されず、治具23と疑似路面22との隙間の大きさや疑似路面22の凹凸に合わせて変形可能な変形部材であれば良い。ゴムシート27以外の変形部材としては、例えば、粘土又は柔軟性のある合成樹脂で出来た部材が挙げられる。また、挿入物は弾性変形することが好ましい。また、挿入物の好ましいヤング率は1MPa~100MPaである。
【0037】
<変更例2>
図5に示すように、疑似路面122において、治具23に押えられる部分である縁部分128が、治具23に覆われない中央部分129よりも薄くても良い。縁部分128は全体が一定の厚みであり、中央部分129も全体が一定の厚みである。これらの変更例では、上記実施形態のものと同じ治具23が使用される。
【0038】
図5(a)の変更例では、疑似路面122の中央部分129の外周面が治具23の外周面と同一面上にある。また、図5(b)の変更例では、疑似路面122の中央部分129の外径が治具23の外径より大きくなっている。
【0039】
本変更例の疑似路面122において、縁部分128のドラム径方向の厚みH1(図5(b)参照)は、中央部分129のドラム径方向の厚みH2の50~100%である。H1がH2の50%以上であることにより、遠心力が生じたときに縁部分128が破損してしまうことを防ぐことができる。ちなみに、図4に示す上記実施形態の疑似路面22では、縁部分28の厚みは、中央部分29の厚みの100%である。
【0040】
本変更例のタイヤ試験ドラムの製造方法としては、まず、ドラム本体21の外周面に、全体が中央部分129と同じ厚みとなるように仮の疑似路面を施工する。次に、仮の疑似路面の縁部分を削ることにより、中央部分129よりも薄い縁部分128を形成する。次に、縁部分128の外周面上にゴムシート27を配置し、ゴムシート27に治具23を被せて固定する。
【0041】
これらの変更例によれば、治具23の外径を小さくしつつ、タイヤTが接触する中央部分129を厚くすることができる。そのため、治具23が周辺の機器等に接触することを防ぎつつ、厚みのある疑似路面122でのタイヤTの試験を実現できる。
【0042】
これらの変更例は、タイヤ試験ドラム20の周囲に機器等が近接して配置されている場合や、厚みのある疑似路面122での試験が要求される場合に、活用される。
【0043】
<変更例3>
図6に示す変更例では、疑似路面222の縁部分228が、ドラム径方向に対して傾斜した斜面となっている。そのため、疑似路面222の断面形状(疑似路面222をドラム周方向の接線方向から見た断面の形状)は台形である。また、このような縁部分228を押える治具223の押え部226は、疑似路面222の縁部分228の斜面と同じ角度で傾斜する斜面を有している。また、疑似路面222の縁部分228の斜面と、治具223の押え部226の斜面との間には、ゴムシート227が挟まれている。
【0044】
図6(a)は疑似路面222の中央部分229の外径が治具223の外径より小さい例、図6(b)は疑似路面222の中央部分229の外径が治具223の外径と同じ例、図6(c)は疑似路面222の中央部分229の外径が治具223の外径より大きい例である。
【0045】
これらの変更例によれば、疑似路面222の縁部分228の厚みが端部に向かって徐々に小さくなっているので、疑似路面222の厚みが場所により急激に変わる場合(例えば中央部分229と縁部分228との境界で厚みが不連続的に変わる場合)と比べて応力集中が生じにくく、疑似路面222が破損されにくい。また、内径側に斜面を有するという比較的単純な形状の治具223で、疑似路面222の縁部分228を押えることができる。
【0046】
<変更例4>
図7に示す変更例では、疑似路面322の縁部分328が、ドラム径方向外側に凸かつドラム軸方向外側に凸の曲面となっている。また、このような縁部分328を押える治具323の押え部326は、疑似路面322の縁部分328の曲面と一致する曲面を有している。また、疑似路面322の縁部分328の曲面と、治具323の押え部326の曲面との間には、ゴムシート327が挟まれている。
【0047】
図7(a)は疑似路面322の中央部分329の外径が治具323の外径より小さい例、図7(b)は疑似路面322の中央部分329の外径が治具323の外径と同じ例、図7(c)は疑似路面322の中央部分329の外径が治具323の外径より大きい例である。
【0048】
これらの変更例によれば、疑似路面322の縁部分328の厚みが端部に向かって徐々に小さくなっているので、疑似路面322の厚みが場所により急激に変わる場合(例えば中央部分329と縁部分328との境界で厚みが不連続的に変わる場合)と比べて応力集中が生じにくく、疑似路面322が破損されにくい。また、内径側に曲面を有するという比較的単純な形状の治具323で、疑似路面322の縁部分328を押えることができる。
【0049】
<変更例5>
図8に示すように、ドラム本体21の外周面上に下層としての金属部400が設けられ、金属部400の外周面に疑似路面22、ゴムシート27及び治具423が設けられても良い。
【0050】
金属部400は、図9に示すように複数の(図9の場合は8枚の)金属板401がドラム周方向に隙間なく並ぶことにより形成されている。それぞれの金属板401は、ドラム本体21の外周面と一致する曲率で湾曲しており、ドラム本体21の外周面に密着している。金属板401はネジ等の固定具でドラム本体21に固定されている。また治具423はネジ等の固定具で金属板401に固定されている。
【0051】
図9では、治具423はドラム周方向に金属板401と同じ位置で分割されている。しかし、上記実施形態と同様に、ドラム周方向に1周する環状の治具が設けられても良い。
【0052】
金属部400を有するタイヤ試験ドラムの製造方法の一例としては、まず、金属板401の上に疑似路面22が施工される。次に、疑似路面22付きの金属板401がドラム本体21に並べて固定される。次に、疑似路面22のドラム軸方向両側に治具423が固定される。
【0053】
この変更例によれば、金属部400を取り替えることにより、試験目的に応じて疑似路面を容易に変更することができる。また、このような金属部400を使用することによりドラム本体21の外周面が傷付くことを防ぐことができる。
【0054】
なお、ドラム本体21と疑似路面22との間の下層として、金属以外の例えば合成樹脂等の材質の層が設けられても良い。その場合、ドラム本体21の外周面上に、金属板401の代わりのプレートがドラム周方向へ並べて設けられる。
【0055】
<変更例6>
図10に示すように、複数の治具523がドラム周方向に並べて設けられても良い。図10では複数の治具523がドラム周方向に一定間隔を空けながら配置されているが、複数の治具523がドラム周方向に間隔を空けずに配置されても良い。
【符号の説明】
【0056】
T…タイヤ、10…タイヤ試験装置、11…シャフト、12…駆動装置部、13…支持軸、14…支持装置部、20…タイヤ試験ドラム、21…ドラム本体、22…疑似路面、23…治具、25…嵌合部、25a…端部、26…押え部、27…ゴムシート、28…縁部分、29…中央部分、40…ネジ、122…疑似路面、128…縁部分、129…中央部分、222…疑似路面、223…治具、226…押え部、227…ゴムシート、228…縁部分、229…中央部分、322…疑似路面、323…治具、326…押え部、327…ゴムシート、328…縁部分、329…中央部分、400…金属部、401…金属板、423…治具、523…治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10