(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122190
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】発光鋲及び発光鋲システム
(51)【国際特許分類】
E01F 9/553 20160101AFI20220815BHJP
【FI】
E01F9/553
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019358
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000153236
【氏名又は名称】株式会社光波
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】及川 晋
(72)【発明者】
【氏名】高木 一誠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 謙治
(72)【発明者】
【氏名】今田 俊輔
【テーマコード(参考)】
2D064
【Fターム(参考)】
2D064AA03
2D064AA22
2D064BA06
2D064BA12
2D064CA01
2D064CA05
2D064EA03
2D064EB05
2D064EB34
2D064EB38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のレンズの組合せにより用途に応じた配光特性を得ることができる発光鋲及び発光鋲システムを提供する。
【解決手段】道路鋲1Aは、水平に配置される基板4と、基板4に実装され、基板4に垂直な方向に光軸を有するLED素子5と、LED素子5から出射された光が入射する入射面61a、入射面61aに入射した光を反射する反射面61b、及び反射面61bで反射した光をLED素子5の光軸とは異なる方向に出射する出射面61cとを有する1次レンズ6と、1次レンズ6の出射面61cから出射された光に所定の配光特性を付与して出射する2次レンズ8Aとを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に配置される基板と、
前記基板に実装され、前記基板に垂直な方向に光軸を有する発光素子と、
前記発光素子から出射された光が入射する入射面、前記入射面に入射した光を反射する反射面、及び前記反射面で反射した光を前記発光素子の前記光軸とは異なる方向に出射する出射面とを有する1次レンズと、
前記1次レンズの前記出射面から出射された光に所定の配光特性を付与して出射する2次レンズとを備えた発光鋲。
【請求項2】
前記1次レンズは、前記出射面から出射する光のうち最大光強度の光線が水平に対して第1の角度となるように前記出射面から光を出射し、
前記2次レンズが付与する前記所定の配光特性は、最大光強度の光線が水平に対して前記第1の角度よりも小さい第2の角度となるものである請求項1に記載の発光鋲。
【請求項3】
前記2次レンズは、前記出射面が水平の1つ又は複数の方向に形成され、
前記1次レンズは、前記2次レンズの前記出射面が形成された1つ又は複数の方向に対応して前記基板上に1つ又は複数の前記1次レンズが配置された請求項1又は2に記載の発光鋲。
【請求項4】
前記発光素子と前記1次レンズの前記入射面との間に設けられ、前記発光素子から出射された光を集光して前記1次レンズの前記入射面に入射させる集光レンズを、さらに備えた請求項1から3のいずれか1項に記載の発光鋲。
【請求項5】
前記基板は、複数の前記発光素子が所定の方向に配列されて実装され、
前記集光レンズは、単一の部材で構成され、前記所定の方向に同一の断面形状を有する請求項4に記載の発光鋲。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の発光鋲を第1の場所に適用した第1の発光鋲と、
請求項1から5のいずれか1項に記載の発光鋲を第2の場所に適用した第2の発光鋲と、を備え、
前記第1の発光鋲及び前記第2の発光鋲は、前記2次レンズの前記配光特性が異なる発光鋲システム。
【請求項7】
前記第1の発光鋲及び前記第2の発光鋲は、前記2次レンズに対する前記1次レンズの相対的位置が異なる請求項6に記載の発光鋲システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光鋲及び発光鋲システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両運転者や歩行者の視線誘導を行う地面に埋設された埋込型標識灯の光源として、LED(Light Emitting Diode)素子を用いた埋込型標識灯が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された埋込型標識灯は、地面に埋設された金属製の筐体と、筐体の凹部の底面に水平に配置された基板と、基板に環状に実装され、基板に垂直な方向に光軸を有する複数のLED素子と、各LED素子から出射された光が入射する環状の入射面、入射面に入射した光を反射する環状の反射面、及び反射面で反射された光を出射する環状の出射面を有するレンズとを備え、レンズの出射面から水平全周方向に光が出射するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
埋込型標識灯として、道路に設置される発光鋲(以下「道路鋲」ともいう。)は、主に車両運転者の視線誘導を行い、縁石に設置される発光鋲(以下「縁石鋲」ともいう。)は、主に歩行者の視線誘導を行う。道路鋲と縁石鋲とでは、垂直面における望ましい光の出射方向が異なってくることから、道路鋲用のレンズと縁石鋲用のレンズで形状を異ならせる必要があるが、レンズが大型であるため、コスト高を招くおそれがある。また、水平全周方向に出射する必要がない場合に、水平全周方向に出射するレンズを用いると、必要でないレンズ部分が生じてしまう。
【0006】
本発明の課題は、複数のレンズの組合せにより用途に応じた配光特性を得ることができる発光鋲及び発光鋲システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]水平に配置される基板と、
前記基板に実装され、前記基板に垂直な方向に光軸を有する発光素子と、
前記発光素子から出射された光が入射する入射面、前記入射面に入射した光を反射する反射面、及び前記反射面で反射した光を前記発光素子の前記光軸とは異なる方向に出射する出射面とを有する1次レンズと、
前記1次レンズの前記出射面から出射された光に所定の配光特性を付与して出射する2次レンズとを備えた発光鋲。
[2]前記1次レンズは、前記出射面から出射する光のうち最大光強度の光線が水平に対して第1の角度となるように前記出射面から光を出射し、
前記2次レンズが付与する前記所定の配光特性は、最大光強度の光線が水平に対して前記第1の角度よりも小さい第2の角度となるものである前記[1]に記載の発光鋲。
[3]前記2次レンズは、前記出射面が水平の1つ又は複数の方向に形成され、
前記1次レンズは、前記2次レンズの前記出射面が形成された1つ又は複数の方向に対応して前記基板上に1つ又は複数の前記1次レンズが配置された前記[1]又は[2]に記載の発光鋲。
[4]前記発光素子と前記1次レンズの前記入射面との間に設けられ、前記発光素子から出射された光を集光して前記1次レンズの前記入射面に入射させる集光レンズを、さらに備えた前記[1]から[3]のいずれか1つに記載の発光鋲。
[5]前記基板は、複数の前記発光素子が所定の方向に配列されて実装され、
前記集光レンズは、単一の部材で構成され、前記所定の方向に同一の断面形状を有する前記[4]に記載の発光鋲。
[6]前記[1]から[5]のいずれか1つに記載の発光鋲を第1の場所に適用した第1の発光鋲と、
前記[1]から[5]のいずれか1つに記載の発光鋲を第2の場所に適用した第2の発光鋲と、を備え、
前記第1の発光鋲及び前記第2の発光鋲は、前記2次レンズの前記配光特性が異なる発光鋲システム。
[7]前記第1の発光鋲及び前記第2の発光鋲は、前記2次レンズに対する前記1次レンズの相対的位置が異なる前記[6]に記載の発光鋲システム。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、複数のレンズの組合せにより用途に応じた配光特性を得ることができる。
請求項2に係る発明によれば、発光素子から出射される光の垂直面における出射方向を段階的に傾けることで、発光素子から出射される光の利用効率を向上させることができる。
請求項3に係る発明によれば、必要な方向に2次レンズの出射面を形成するとともに、必要な方向に1次レンズを配置することができる。
請求項4に係る発明によれば、集光レンズを用いない場合と比較して、光強度が高い光を出射することができる。
請求項5に係る発明によれば、集光レンズが発光素子に対応して個別に設けられた場合と比較して、発光素子が配列される方向における発光素子の位置決め精度を緩くすることができる。
請求項6に係る発明によれば、2次レンズを変更することで第1の発光鋲及び第2の発光鋲から外部に出射する光の配光特性を変更することができる。
請求項7に係る発明によれば、1次レンズ又は2次レンズを共用化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る道路鋲の構成例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、LED素子が実装された基板の一例を示す平面図である。
【
図4】
図4(a)は、1次レンズの一例を示す斜視図、
図4(b)は、
図4(a)に示す集光レンズの変形例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、1次レンズの出射面の詳細を説明するための図である。
【
図6】
図6は、1次レンズ及び2次レンズにおける光線の一例を示し、(a)は垂直面(x-z面)における光線を示す図、(b)は水平面(x-y面)における光線を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る縁石鋲の構成例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、1次レンズ及び2次レンズにおける光線の一例を示し、(a)は垂直面(x-z面)における光線を示す図、(b)は水平面(x-y面)における光線を示す図である。
【
図10】
図10(a)~(d)は、2次レンズの変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0011】
[実施の形態の要約]
本実施の形態に係る発光鋲は、水平に配置される基板と、基板に実装され、基板に垂直な方向に光軸を有する発光素子と、発光素子から出射された光が入射する入射面、入射面に入射した光を反射する反射面、及び反射面で反射した光を発光素子の光軸とは異なる方向に出射する出射面とを有する1次レンズと、1次レンズの出射面から出射された光に所定の配光特性を付与して出射する2次レンズとを備える。
【0012】
発光素子は、レーザ、LED素子等が該当する。配光特性には、出射する光のうち最大光強度の光線の水平に対する角度や、垂直面における配光角及び水平面における配光角等が含まれる。
【0013】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る道路鋲の構成例を示す平面図、
図2は、
図1のA-A線断面図である。
【0014】
道路鋲1Aは、
図1に示すように、中央線、車線、横断歩道等の道路標示として道路100に埋設され、所定の方向(
図1ではx方向、以下「出射方向」という。)10に光を出射する。なお、出射方向10は、
図1に示すx方向及びy方向の4方向でもよく、4方向のいずれかの1方向、2方向又は3方向でもよく、x方向及びy方向以外の方向を含んでもよく、5方向以上の複数の方向でもよい。道路鋲1Aは、発光鋲の一例である。
【0015】
道路鋲1Aは、
図1及び
図2に示すように、道路100に埋設される筐体2と、筐体2に収容されるケース3と、ケース3内に水平に配置される基板4と、基板4の上面4aに実装され、基板4に垂直な方向に光軸5a(
図6(a)参照)を有する複数(本実施の形態では7個)のLED素子5と、各LED素子5から出射された光を集光する集光レンズ部60、及び各LED素子5から集光レンズ部60を介して入射された光をLED素子5の光軸5aとは異なる方向に出射する1次レンズ部61を有する1次レンズ6と、1次レンズ6から出射された光に所定の配光特性を付与して出射する2次レンズ8Aとを備える。LED素子5は、発光素子の一例である。集光レンズ部60は、集光レンズの一例である。1次レンズ部61は、1次レンズの一例である。
【0016】
筐体2は、ケース3を収容する下側凹部20と、受け面21aで2次レンズ8Aを受けて2次レンズ8Aを収容する上側凹部21とを有する。また、筐体2は、下側凹部20を形成する壁部22に、2次レンズ8Aをボルト9で固定するためのネジ穴22aが形成されている。また、筐体2は、軽量化と車両に踏まれても変形しない強度の両方を実現するため、複数の箇所にリブ23を有している。筐体2は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属から形成されている。
【0017】
ケース3は、基板4を収容する凹部30と、上面31aに基板4の下面4bが接触して基板4を支持する支持部31とを有する。ケース3は、軽量化の観点より、例えば、ポリカーボネート樹脂等の樹脂を用いて射出成形により形成するのが好ましい。なお、ケース3は、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属から形成されてもよい。
【0018】
基板4は、例えば、ガラス基材、エポキシ系・ポリエステル系コンポジット基材等の絶縁性を有する基材の表面に、銅箔等の金属からなる配線パターンを形成したプリント回路基板である。
【0019】
複数のLED素子5は、基板4上に出射方向10に直交する方向(
図1のy方向)に配列されて実装されている。
【0020】
(1次レンズの構成)
1次レンズ6は、上述したように集光レンズ部60と、1次レンズ部61とを備える。1次レンズ6は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性を有する材料から形成されている。
【0021】
1次レンズ部61は、集光レンズ部60により集光された光が入射する入射面61aと、入射面61aに入射した光を反射する反射面61bと、反射面61bで反射した光をLED素子5の光軸5aとは異なる方向に出射する出射面61cとを有する。1次レンズ部61は、出射面61cから出射する光のうち最大光強度の光線Lcが水平に対して第1の角度θ
1(例えば、30°)(
図6(a)参照)となるように出射面61cから光を出射する。
【0022】
1次レンズ部61の入射面61a及び出射面61cは、例えば、平面により構成されている。反射面61bは、例えば、入射した光が全反射するように1つ又は複数の外側に向けて凸状の曲面により構成されている。
【0023】
1次レンズ6は、レンズホルダ7によって基板4に位置決めされている。レンズホルダ7は、1次レンズ6の入射面61aの出射方向10の幅に対応した間隔dを有する一対の立設部70a、70bと、一対の立設部70a、70bを基板4の下面4b側から固定する固定部71とを有する。1次レンズ6は、頭頂が道路100の表面よりも低い位置に配置されている。
【0024】
(2次レンズの構成)
2次レンズ8Aは、環状の周縁部80と、周縁部80に接続された傾斜部81と、傾斜部81に接続され、周縁部80よりも高くなるように形成された中央部82とを備える。周縁部80は、ボルト9が取り付けられる凹状の座部80aが形成されている。また、車両が2次レンズ8Aの上を通過しても破損や変形するのを抑制するため、中央部82の厚さ(最大厚さ)を傾斜部81の厚さ(出射面81bに垂直な方向の最大厚さ)よりも厚くしている。2次レンズ8Aは、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性を有する材料から形成されている。
【0025】
傾斜部81は、1次レンズ6の出射面61cから出射された光が入射する入射面81aと、入射面81aに入射した光を所定の配光特性で出射する出射面81bとを有する。
【0026】
2次レンズ8Aの出射面81bは、例えば、垂直面(x-z面)における断面形状が外側に向けて凸状の曲面を有し、水平面(x-y面)における断面形状が外側に向けて凹状の曲面を有する。これにより垂直面(x-z面)における配光角θ
23(
図6(a)参照)を出射面81bが平面の場合よりも狭くすることができ、水平面(x-y面)における配光角θ
24(
図6(b)参照)を出射面81bが平面の場合よりも広くすることができる。なお、出射面81bは、上記の曲面に限られない。
【0027】
2次レンズ8Aは、後述する
図6(a)、(b)に示すように、水平面(x-y面)における配光角θ
24(例えば、40°)が垂直面(x-z面)における配光角θ
23(例えば、6°)よりも大きくなっている。なお、垂直面(x-z面)における配光角θ
23は、水平面(x-y面)における配光角θ
24よりも大きくてもよい。また、2次レンズ8Aは、後述する
図6(a)に示すように、出射する光のうち最大光強度の光線Lcが水平に対して第1の角度θ
1(例えば、30°)(
図6(a)参照)よりも小さい第2の角度θ
2(例えば、6°)になっている。
【0028】
(LED素子の構成)
図3は、LED素子5が実装された基板4の一例を示す平面図である。複数のLED素子5は、赤色系の光(例えば、発光波長が約600~700nm)を出射する赤色系LED素子と、緑色系の光(例えば、発光波長が約510~580nm)を出射する緑色系LED素子と、青色系の光(例えば、発光波長が約420~505nm)を出射する青色系LED素子と、白色系の光を出射する白色系LED素子とを用いて構成されている。白色系LED素子は、例えば、青色系LED素子から出射された青色系の光を蛍光体により波長変換して黄色系の光と青色系の光とが混合されて白色系の光を出射する。各LED素子5の数は、各色の光強度の差から決めてもよい。例えば、1つの赤色LED素子、2つの緑色LED素子、2つの青色LED素子、2つの白色LED素子でもよい。各LED素子5を全部点灯させて全体として白色系の色で発光させたり、選択的に点灯して様々な各色の混合色で発光させてもよい。
【0029】
なお、複数のLED素子5は、赤色系LED素子、緑色系LED素子、青色系LED素子、白色系LED素子のいずれかのみでもよく、いずれかを組み合わせたものでもよい。
【0030】
図4(a)は、1次レンズ6の一例を示す斜視図、
図4(b)は、
図4(a)に示す集光レンズ部60の変形例を示す斜視図である。
図5は、1次レンズ部61の出射面61cの詳細を説明するための図である。
【0031】
1次レンズ6は、
図4(a)に示すように、LED素子5に対応した位置に配置され、略半球状の複数(本実施の形態では7個)の集光レンズ部60を有する。なお、集光レンズ部60は、
図4(b)に示すように、単一の材料で構成され、y方向に同一の断面形状の略半円状を有するものでもよい。これにより集光レンズがLED素子5に対応して個別に設けられた場合と比較して、LED素子5が配列される方向(y方向)におけるLED素子5の位置決め精度を緩くすることができる。また、LED素子5の数を配置可能な最大数を上限として任意に変更することができる。
【0032】
1次レンズ部61は、
図4(a)に示すように、集光レンズ部60により集光された光が入射する入射面61aと、入射面61aに入射した光を反射する反射面61bと、反射面61bで反射した光を出射する出射面61cとを有する。
【0033】
1次レンズ6は、集光レンズ部60を跨ぐように一対の脚部62を有している。一対の脚部62は、1次レンズ6を基板4に対して位置決めするための凸部62aと、基板4から突出する部分を逃げるための開口部62bとを備えている。基板4には、凸部62aが嵌入する位置決め穴4cが形成されている。
【0034】
出射面61cは、
図5に示すように、表面がz方向に伸びる山部610と谷部611が交互に形成された凹凸形状により、出射面61cから出射する光に光拡散効果を持たせている。なお、凹凸形状は、半球状、円柱状等の様々な形状のドット状の凹部又は凸部を規則的に又はランダムに配置したものでもよい。
【0035】
(第1の実施の形態の作用)
次に、第1の実施の形態に係る道路鋲1Aの作用を
図6を参照して説明する。
図6は、1次レンズ6及び2次レンズ8Aにおける光線の一例を示し、(a)は垂直面(x-z面)における光線を示す図、(b)は水平面(x-y面)における光線を示す図である。
【0036】
LED素子5から出射した光は、集光レンズ部60によって集光された後、1次レンズ部61の入射面61aに入射する。入射面61aに入射した光は、反射面61bで反射した後、出射面61cから最大光強度を有する光線Lcが水平に対して第1の角度θ
1(例えば、30°)となるように光を出射する。1次レンズ部61の出射面61cから出射した光は、2次レンズ8Aの入射面81aに入射し、出射面81bから最大光強度を有する光線Lcが水平に対して第2の角度θ
2(例えば、6°)となるように光を出射する。また、出射面81bから出射する光は、垂直面(x-z面)において、
図6(a)に示すように、最小角θ
21(例えば、3°)から最大角θ
22(例えば、9°)の間の配光角θ
23(例えば、6°)で出射し、水平面(x-y面)において、
図6(b)に示すように、配光角θ
24(例えば、40°)で出射する。
【0037】
(第1の実施の形態の効果)
次に、第1の実施の形態に係る道路鋲1Aの効果を説明する。
(a)2次レンズ8Aから出射される光のうち最大光強度の光線Lcの水平に対する角度θ2(例えば、6°)が10°以下又は15°以下と低いため、遠方の車両運転者(例えば、50m以上離れた位置)から目視しやすくなる。
(b)垂直面(x-z面)における配光角θ23(例えば、6°)を10°以下又は15°以下に絞っているため、光の強度が強くなり、遠方の車両運転者からでも目視しやすくなる。
(c)2次レンズ8Aを変更することで配光特性を変更することができる。
(d)LED素子5から出射される光の垂直面(x-z面)における出射方向を1次レンズ6及び2次レンズ8Aにより段階的に傾けることで、LED素子5から出射される光の利用効率を向上させることができる。
(e)2次レンズ8A及びケース3を後述する縁石鋲1B用のものに交換することにより、縁石鋲1Bに使用することができる。このため、道路鋲1Aと縁石鋲1Bとの間で、基板4、LED素子5、1次レンズ6及びレンズホルダ7を共用化することができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る縁石鋲の構成例を示す平面図、
図8は、
図7のB-B線断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の筐体2、基板4及びLED素子5と部品を共用化できるようにしたものである。以下、第2の実施の形態について、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0039】
縁石鋲1Bは、
図7に示すように、縁石200に埋設され、所定の方向(
図7ではx方向、以下「出射方向」という。)10に光を出射する。なお、出射方向10は、
図7に示すx方向及びy方向の4方向でもよく、4方向のいずれかの1方向、2方向又は3方向でもよく、x方向及びy方向以外の方向を含んでもよく、5方向以上の複数の方向でもよい。縁石鋲1Bは、発光鋲又の一例である。
【0040】
縁石鋲1Bは、
図7及び
図8に示すように、縁石200に埋設される筐体2と、筐体2に収容されるケース3と、ケース3内に水平に配置される基板4と、基板4に実装され、基板4に垂直な方向に光軸5a(
図9(a)参照)を有する複数(本実施の形態では7個)のLED素子5と、各LED素子5から出射された光を集光する集光レンズ部60、及び各LED素子5から集光レンズ部60を介して入射された光をLED素子5の光軸5aとは異なる方向に出射する1次レンズ部61を有する1次レンズ6と、1次レンズ6から出射された光に所定の配光特性を付与して出射する2次レンズ8Bとを備える。なお、2次レンズ8Bが付与する配光特性は、道路鋲1Aの2次レンズ8Aが付与する配光特性とは異なる。
【0041】
筐体2、基板4、LED素子5及び1次レンズ6は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0042】
ケース3は、基板4を収容する凹部30と、上面31aに基板4の下面4bが接触して基板4を支持する支持部31とを有する。本実施の形態のケース3は、第1の実施の形態のケース3とは、支持部31の高さが異なっている。すなわち、2次レンズ8Bに対する1次レンズ6の相対的位置が道路鋲1Aとは異なっている。1次レンズ6の頭頂が縁石200の表面から上方に突出している。
【0043】
2次レンズ8Bは、第1の実施の形態と同様に、環状の周縁部80と、周縁部80に接続された傾斜部81と、傾斜部81に接続され、周縁部80よりも高くなるように形成された中央部82とを備える。また、車両が2次レンズ8Bの上を通過しても破損や変形するのを抑制するため、中央部82の厚さを傾斜部81よりも厚くしている。また、配光特性の相違から、中央部82は、第1の実施の形態の2次レンズ8Aよりも高くなっている。
【0044】
傾斜部81は、第1の実施の形態と同様に、1次レンズ6の出射面61cから出射された光が入射する入射面81aと、入射面81aに入射した光を所定の配光特性で出射する出射面81bとを有する。
【0045】
2次レンズ8Bの出射面81bは、垂直面(x-z面)における断面形状が外側に向けて凹状の曲面を有し、水平面(x-y面)における断面形状が外側に向けて凸状の曲面を有する。これにより垂直面(x-z面)における配光角θ
33(
図9(a)参照)を出射面81bが平面の場合よりも広くすることができ、水平面(x-y面)における配光角θ
34(
図9(b)参照)を出射面81bが平面の場合よりも狭くすることができる。
【0046】
2次レンズ8Bは、後述する
図9(a)、(b)に示すように、水平面(x-y面)における配光角θ
34が垂直面(x-z面)における配光角θ
33(例えば、28°)よりも大きくなっている。なお、垂直面(x-z面)における配光角θ
33は、水平面(x-y面)における配光角θ
34よりも大きくてもよい。また、2次レンズ8Bは、後述する
図9(a)に示すように、出射する光のうち最大光強度の光線Lcが水平に対して第1の角度θ
1(例えば、30°)よりも小さい第2の角度θ
3(例えば、16°)になっている。
【0047】
(第2の実施の形態の作用)
次に、第2の実施の形態に係る縁石鋲1Bの作用を
図9を参照して説明する。
図9は、1次レンズ6及び2次レンズ8Bにおける光線の一例を示し、(a)はx-z面における光線を示す図、(b)x-y面における光線を示す図である。
【0048】
LED素子5から出射した光は、集光レンズ部60によって集光された後、1次レンズ部61の入射面61aに入射する。入射面61aに入射した光は、反射面61bで反射した後、出射面61cから最大光強度を有する光線Lcが水平に対して第1の角度θ
1(例えば、30°)となるように光を出射する。1次レンズ部61の出射面61cから出射した光は、2次レンズ8Bの入射面81aに入射し、出射面81bから最大光強度を有する光線Lcが水平に対して第2の角度θ
3(例えば、16°)となるように光を出射する。また、出射面81bから出射する光は、垂直面(x-z面)において、
図9(a)に示すように、最小角θ
31(例えば、2°)から最大角θ
32(例えば、30°)の間の配光角θ
33(例えば、28°)で出射し、水平面(x-y面)において、
図9(b)に示すように、配光角θ
34(例えば、40°)で出射する。
【0049】
(第2の実施の形態の効果)
次に、第2の実施の形態に係る縁石鋲1Bの効果を説明する。
(a)2次レンズ8Bから出射される光の垂直面(x-z面)における配光角θ33(例えば、28°)を15°以上又20°以上に広げているため、歩道を利用する者(例えば、歩行者、自転車で歩道を走行する者、路肩に自動車を駐車した運転者)でも目視しやすくなる。
(b)2次レンズ8Bを変更することで配光特性を変更することができる。
(c)LED素子5から出射される光の出射方向を1次レンズ6及び2次レンズ8Bにより段階的に傾けることで、LED素子5から出射される光の利用効率を向上させることができる。
(d)2次レンズ8B及びケース3を道路鋲1A用のものに交換することにより、道路鋲1Aに使用することができる。このため、道路鋲1Aと縁石鋲1Bとの間で、基板4、LED素子5、1次レンズ6及びレンズホルダ7を共用化することができる。
【0050】
(2次レンズの変形例)
図10は、2次レンズ8Bの変形例として、出射面81bから出射される光の水平面(x-y面)における配光角の調整方法を説明するための図である。
図10(a)、(b)は、配光角を広くする場合を示し、(a)は斜視図、(b)は、平面図である。
図10(c)、(d)は、配光角を狭くする場合を示し、(c)は斜視図、(d)は平面図である。
【0051】
水平面(x-y面)における配光角を広くしたい場合は、
図10(a)、(b)に示すように、出射面81bを前述したように水平面(x-y面)における断面形状が外側に向けて凹状の曲面とすることにより、水平面(x-y面)における配光角が出射面81bが平面の場合よりも広くなる。水平面(x-y面)における配光角を狭くしたい場合は、
図10(c)、
図10(d)に示すように、出射面81bを水平面(x-y面)における断面形状が外側に向けて凸状の曲面とすることにより、水平面(x-y面)における配光角が出射面81bが平面の場合よりも狭くなる。このことは、道路鋲1Aの2次レンズ8Aにおいても同様である。
【0052】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態に係る発光鋲システムについて説明する。この発光鋲システムは、道路100に設置される第1の実施の形態の道路鋲1Aと、縁石200に設置される第2の実施の形態の縁石鋲1Bとを備えたものである。道路鋲1Aは、第1の発光鋲の一例である。縁石鋲1Bは、第2の発光鋲の一例である。道路100は、第1の場所の一例である。縁石200は、第2の場所の一例である。
【0053】
道路鋲1A及び縁石鋲1Bは、2次レンズ8A、8Bの配光特性が異なる。また、道路鋲1A及び縁石鋲1Bは、2次レンズ8A、8Bに対する1次レンズ6の相対的位置が異なる。すなわち、縁石鋲1Bの1次レンズ6は、道路鋲1Aの1次レンズ6よりもz方向において高い位置に配置されている。
【0054】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形、実施が可能である。例えば、上記各実施の形態では、2次レンズ8A、8Bの出射面81bの数と1次レンズ6の数を一致させたが、1次レンズ6の数を2次レンズの出射面の数よりも少ない数にしてもよい。これにより2次レンズを共通化させ、必要な方向に1次レンズを選択的に配置させることができる。
【0055】
また、上記各実施の形態では、道路鋲1A及び縁石鋲1Bにおいて、基板4、LED素子5、1次レンズ6及びレンズホルダ7を共用化したが、基板4、LED素子5及び2次レンズを共用化してもよいし、基板4及びLED素子5を共用化してもよい。
【0056】
また、上記実施の形態の構成要素の一部を省くことや変更してもよい。例えば、光利用効率を問題にしない場合には、集光レンズ部60を省いてもよい。また、ケース3が無くても基板4の高さを調整できる場合には、ケース3を省いてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1A…道路鋲、1B…縁石鋲、2…筐体、3…ケース、4…基板、4a…上面、
4b…下面、4c…位置決め穴、5…LED素子、5a…光軸、6…1次レンズ、
7…レンズホルダ、8A、8B…2次レンズ、9…ボルト、10…出射方向、
20…下側凹部、21…上側凹部、21a…受け面、22…壁部、22a…ネジ穴、
23…リブ、30…凹部、31…支持部、31a…上面、60…集光レンズ部、
61…1次レンズ部、61a…入射面、61b…反射面、61c…出射面、
62…脚部、62a…凸部、62b…開口部、70a、70b…立設部、
71…固定部、80…周縁部、80a…座部、81…傾斜部、81a…入射面、
81b…出射面、82…中央部、100…道路、200…縁石、610…山部、
611…谷部