(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122225
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】カム式ジャッキ
(51)【国際特許分類】
B66F 3/08 20060101AFI20220815BHJP
【FI】
B66F3/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021063190
(22)【出願日】2021-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】518100926
【氏名又は名称】ウッドリッチ有限会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 俊則
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カム外周の摩耗劣化や異物などによる変形が生じても作動不良を防止できるカム式ジャッキの提供。
【解決手段】1対のカバー部材には、カバー部材の先端部から前方に向けて伸び、且つこの1対のカバー部材の先端部の寸法よりも、小さい寸法の突起物2,3,4を備えたアダプター部材1,7を固定した。これは先端爪部を支えるカバーを包みこむ1対のケース状のアダプター胴体1、7と、胴体から反対側に半島状に延びる複数の爪部8、と、爪先端部10はジャッキカバーに明けられた複数の貫通穴に差し込み、ジャッキカバーの内面に引掛け、また、円滑にカムを作動をさせるために、カムガイドを形成し、同時にカバーアダプターの外面の強度を確保するために1対のカバー部材15の外は,凸凹状に形成されており、この1対のカバー部材の内側に形成されている凹部にカム部材18を配置させた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、該ベース部材に取り付けられたシャフト部材と、該シャフト部材に回転可能で向きが互い違いに支持される複数のカム部材と、該カム部材と前記ベース部材とを両側から覆う1対のカバー部材と、前記カム部材を互い違いに駆動する駆動手段を備えたカム式ジャッキであって、前記1対のカバー部材には、該カバー部材の先端部から前方に向けて伸び、かつこの1対のカバー部材の先端部の寸法よりも、小さい突起物を備えたアダプター部材が固定されていることを特徴とするカム式ジャッキ。
【請求項2】
前記1対のカバー部材は、凸凹状に形成されており、この1対のカバー部材の内側に形成されている凹部に前記カム部材が配置されていることを特徴とする請求項1記載のカム式ジャッキ。
【請求項3】
前記アダプター部材は、その外面が略面一状になるとともに、その内側は前記1対のカバー部材の外面側に形成された凹状部分に入り込んで厚肉状とされていることを特徴とする請求項2記載のカム式ジャッキ。
【請求項4】
前記複数のカム部材は、同じ向きの複数のカムのその回転平面部にピン穴が明けてあり、該カムのピン穴に棒状の連携ピンが貫通篏合していることを特徴とする請求項1記載のカム式ジャッキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、小型ジャッキ工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、部材間隔を広くさせる場合、軽量の場合等では1組のくさびで、打撃により調整するか、あるいは、重量の場合は、手動ジャッキや油圧式ジャッキを用いるが、ジャッキスペースとジャッキを操作するために両手での作業や大きな動作が必要な工具を使った作業スペースを必要とした。
【発明の概要】
【課題】
【0003】
狭い空間で使える大荷重用のジャッキがないので、片手の手首作業程度で力が出せるジャッキを発案し、前述の課題を無くそうとするものである。
【解決手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために、ベース部材と、該ベース部材に取り付けられたシャフト部材と、該シャフト部材に回転可能で向きが互い違いに支持される複数のカム部材と、該カム部材と前記ベース部材とを両側から覆う1対のカバー部材と、前記カム部材を互い違いに駆動する駆動手段を備えたカム式ジャッキであって、前記1対のカバー部材には、該カバー部材の先端部から前方に向けて伸び、かつこの1対のカバー部材の先端部の寸法eよりも、小さい寸法fの突起物を備えたアダプター部材を固定させている構造のカム式ジャッキを提案する。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、基本のカム式ジャッキの1対のカバー先端の寸法eよりも小さい寸法fk突起部を有するアダプターを装着することで、より隙間の小さい場所にも利用できることになる。
【0006】
さらにアダプターを位置決めするための凸凹状外面の1対のカバーは、カバー内面の凹部6に前記カム部材18が配置されることで、該凹部6がカム回転の作動する軌道部となってガイドすることで、カム自体の横揺れなどが防止出来より直線的に安定作動することになった。
【0007】
またカバー外部の凸凹によりその凹部に於いてアダプターの内面の肉厚を増やすことが出来て、強度が増す効果となっている。
【0008】
さらに、該アダプターの内側とカバー外側は篏合する形となるので、横ズレさせるような外部荷重が発生しても耐えうる形となった。
【0009】
また、連携ピンで同じ向きのカムを横に接続連携して作動するので、摩耗その他の理由でフリーとなったカムに作動を妨害されることがなくなった。また、異物による作動しにくい場合でも、トルクを感じる操作部で異常を発見しやすく、その結果カムの破損の防止になる。
【本発明の実施例】
【0010】
本発明は、ねじの回転操作による張力又は推力の力だけで内部の歯車を回転させてジャッキの位相変位を直接担う仕組みなので、例えばコの字状のベース部材63、74と、該ベース部材に取り付けられたシャフト部材76と、該シャフト部材に回転可能で向きが互い違いに支持される複数のカム部材68、69と、該カム部材と、前記ベース部材とを両側から覆う1対のカバー部材62-1、62-2と、該カバー部材の前記カム部材側を開閉可能とする軸部材59と、前記カバー部材のそれぞれの内側面に形成され、前記カム部材のカム面に形成されたカム溝部に係合するカバー溝部6、51、64と、前記ベース部材に回転可能に支持され、前記軸部材にネジ結合される回転操作装置部材13、27、38、61、75で構成されるか、
図3の形式のように前記ベース部材にねじ結合され前記軸部材に回転可能に支持される形式を特徴とするカム式ジャッキのようなものが考えられる。
【0011】
その代表例としては
図7と
図8の1つの軸部材59で開閉する1対のカバー部材がワニグチ型になっているジャッキである、これは両側1対のカバー部材62-1と62-2が軸部材を介してワニグチ状に可動できるよう組み立てられた構造で、カバー部材の内面は歯形のような係合可能な溝形状64を有していて、また軸部材59には回転操作部材61が回転可能に支持され、それが回転することで先端にねじ結合しているベース部材63がカバー内部でスライド移動し、そのことでカム状歯車部がカバー内側部の歯形64と係合し回転して、該カムの外周は半径寸法が徐々に大きくなっているのでカム状歯車がスライドし回転しながら直角方向にカバー部材62-1、62-2を押し広げるような仕組みの構造を提案できる。
【0012】
そして、さらに狭い寸法の箇所に使おうとすれば、カム式ジャッキの1対のカバー部材15-1,15-2先端に爪状部材を固定すればよいが、該爪状部材の堅固な固定方法に難があるので、そのために前記1対のカバー部材には、該カバー部材の先端部から前方に向けて伸び、かつこの1対のカバー部材の先端部の寸法eよりも、fの小さい突起物2,3,4を備えたアダプター部材1,7を固定した。これは例えば先端爪部を支えるカバーを包みこむ1対のケース状のアダプター胴体1、7と、該胴体から反対側に半島状に延びる複数の爪部8、36と、該爪先端部10、24、36はジャッキカバーに明けられた複数の貫通穴42に差し込みジャッキカバーの内面に引掛ける方法例などで解決できた。
【0013】
図1はその例であるが、アダプターは荷重に対して外れない事の他に、アダプターそのものが折れないような強度が必要なため、肉厚を大きくする必要があるが、これは、ジャッキカバー15-1,15-2の外面に凸凹状の段差を設けて、図等の例では、そのアダプター外面が略面一状になるとともに、そのアダプター内側は1対のカバー部材15-1,15-2の外面側に形成された凹状9,12,14に入り込んで厚肉状とできることで解決した。
また、補強に関していえば、
図4や
図6のように、カバーの側面の一部を包むようにした補強形状例があることも示している。
【0014】
そして
図1のように、先端爪部は中央に1つと両端に2つの組合せの例を示しているが、厚みによっては、2枚のプレートが重なったような、広くて薄い爪形状も、利用する荷重の設定によって様々である。
【0015】
そして、カムの円滑作動のためには前記カムガイドだけでなく、カムの回転平面部にピン用の穴を明けて、同じ向きの複数のカムのピン穴に棒状の連携ピン18-2,57,58,71,73を貫通篏合させた。そして、前記連携ピンは、さらに一方のカムに組付けられた連係ピンが他方のカムのくぼみ(67のピン回転留め部の逃がし形状例)に干渉して回りすぎる回転を留める構造となっている。
【0016】
前記連携ピンは、歯形溝部に入った異物に対して、それを超えて作動させないため異物によるカムの変形自体を防止でき、また微細な異物等によって部分的偏摩耗によって係合しなくなった回転しないカムによる他への作動妨害を防ぐことが出来る。
【0017】
また、カムの形状は、平板状でかつ円弧状になっているとともにその一部が、切り欠かれた形状になっている。そしてこの複数のカム部材68,69は1本のシャフト部材76に表裏をひっくり返した状態で互い違いに重ね合わせて取付られている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】は先端爪アダプターを装着したワニグチ型カム式ジャッキの簡易断面図。
【
図2】は
図1の例の外観図と内部の構造例のa-a断面図。
【
図3】はワニグチ型カム式ジャッキの内部を示した図。
【
図4】は1対のカバー部材と先端爪アダプター装着状態の例の平面図と内部(
図5)c-c断面図。
【
図5】はワニグチ式カバー部材と先端爪アダプター装着状態の係合を示す
図4のb-b断面図と内部図でeがアダプター先端寸法、fはカバー寸法の位置。
【
図6】は先端爪アダプター装着のワニグチ式カバーとカム部材からベース部材の関係を示す
図5のd-d断面拡大図
【
図9】はカムと連係ピンとカムシャフトとベース部材とその他の例の図。
【符号の説明】
【0019】
1 先端爪のアダプター胴体部1
2 先端端爪1
3 先端中爪
4 先端端爪2
5 カム係合歯形部
6 カバー内側カムガイド歯形部
7 先端爪のアダプター胴体部2
8 アダプター引掛け爪部
9 カバーのベース部材端部ガイド凹部1
10 アダプター引掛け爪先端部
11 カバーのカムガイド凸部
12 カバーのベース部材中部ガイド凹部
13 回転操作部材
14 ジャッキカバーのベース部材端部ガイド凹部2
15 相手側のジャッキカバー
15-1と15-2 1対のカバー部材
16 ベース部材
17 カムシャフト
18 カム部材
18-2 カム連携ピン
19 先端端爪1
20 先端爪の胴体部1
21 先端中爪
22 先端端爪2
23 アダプター引掛け爪部
24 アダプター引掛け爪先端部
25 軸部材
26 ベース部材中凹部
27 回転操作部材
28 カムシャフト
29 カム部材
30 ベース部材端部凹部
31 カバー部材
32 カム部材
33 カムシャフト
34 カム部材
35 アダプター引掛け爪部
36 アダプター引掛け爪先端部
37 カバー中央凹部
38 回転操作部材
39 軸部材
40 ベース部材中凹部
41 カバーのカムガイドカバー部
42 アダプター引掛け爪用貫通穴部
43 アダプター引掛け爪部
44 先端中爪
45 先端端爪1
46 複数カムの連係ピン用カムヌスミ側部
47 カム部材係合歯形側部
48 カムシャフト
49 ベース部材端部凹部
50 カバーのベース部材端部ガイド凹部
51 カバーのカムガイド溝歯形部
52 アダプター胴体とカバー圧接面部
53 アダプター胴体位置決め中央ガイド部
54 先端端爪2
55 一対のアダプターの先端部の分離位置
56 アダプター胴体位置決め端部ガイド部
57 連係ピン
58 連係ピン
59 軸部材
60 留め金具
61 回転操作部材
62-1と62-2 1対のカバー部材
63 ベース部材
64 カバー内部の溝形状部
65 連係ピン
66 カムシャフト
67 ピン回転留め部のカム逃し形状例
68 カム
69 反転カム
70 ピン貫通穴
71 連係ピン
72 反転用カムのピン貫通穴
73 連係ピン
74 ベース部材
75 回転操作部材
76 シャフト部材