(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122261
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】植物工場、栽培植物の作成方法
(51)【国際特許分類】
A01G 31/04 20060101AFI20220815BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20220815BHJP
【FI】
A01G31/04 A
A01G31/00 601B
A01G31/00 612
A01G31/00 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009792
(22)【出願日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2021018746
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520513118
【氏名又は名称】株式会社A-Plus
(71)【出願人】
【識別番号】594156020
【氏名又は名称】エスペックミック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】沼上 透
(72)【発明者】
【氏名】小川 基
(72)【発明者】
【氏名】浪原 肇
(72)【発明者】
【氏名】中村 謙治
(72)【発明者】
【氏名】永田 優育
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA17
2B314MA33
2B314MA38
2B314MA46
2B314MA48
2B314NA13
2B314NC07
2B314NC44
2B314ND04
2B314ND16
2B314ND27
2B314ND29
2B314ND32
2B314ND40
2B314PB03
2B314PC10
2B314PD01
2B314PD03
2B314PD07
2B314PD37
2B314PD61
2B314PD63
(57)【要約】
【課題】細菌による汚染を抑えることができる植物工場、栽培植物の作成方法を提供する。
【解決手段】植物工場1は、外部と隔離された栽培空間10と、栽培空間10と連通して配置され、又は、栽培空間10との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在に配置され、外部と隔離された作業空間20と、液肥を保持する栽培トレイ41を少なくとも有し、植物が植えられる複数の栽培ユニット40と、栽培ユニット40を栽培空間10と作業空間20との間で搬送する搬送機構80とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と隔離された栽培空間と、
前記栽培空間との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする扉を有する連通部によって前記栽培空間と接続され、外部と隔離された作業空間と、
液肥を保持する栽培トレイを少なくとも有し、植物が植えられる複数の栽培ユニットと、
前記栽培ユニットを前記栽培空間と前記作業空間との間で搬送する搬送機構と、
を備え、
前記栽培空間は、前記連通部の他には、外部との間で物品、及び、人の出入りを可能とする部位は設けられておらず、
前記扉は、前記搬送機構が通過する以外の状態では、閉じた状態となっている植物工場。
【請求項2】
請求項1に記載の植物工場において、
前記栽培空間と前記作業空間との少なくとも一方は、前記栽培トレイに保持される液肥を交換又は供給する液肥交換機構を有すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項3】
請求項2に記載の植物工場において、
前記液肥交換機構は、前記栽培トレイに保持される液肥を全量排出した後に全量供給すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の植物工場において、
前記液肥交換機構は、前記栽培トレイに保持される液肥の組成及び量を、植物の育成フェーズに応じて変更すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項5】
外部と隔離された栽培空間と、
外部と隔離された作業空間と、
外部と隔離され、前記栽培空間及び前記作業空間と接続されている接続空間と、
液肥を保持する栽培トレイを少なくとも有し、植物が植えられる複数の栽培ユニットと、
前記栽培ユニットを前記栽培空間と前記接続空間と前記作業空間との間で搬送する搬送機構と、
前記栽培空間と前記接続空間との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする栽培空間側扉を有する栽培空間側連通部と、
前記作業空間と前記接続空間との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする作業空間側扉を有する作業空間側連通部と、
を備え、
前記栽培空間及び前記接続空間は、前記栽培空間側連通部及び前記作業空間側連通部の他には、外部との間で物品、及び、人の出入りを可能とする部位は設けられておらず、
前記栽培空間側扉及び前記作業空間側扉は、前記搬送機構が通過する以外の状態では、閉じた状態となっている植物工場。
【請求項6】
請求項5に記載の植物工場において、
前記栽培空間側連通部及び前記作業空間側連通部は、複数カ所設けられていること、
を特徴とする植物工場。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の植物工場において、
前記接続空間を清浄な状態に維持する清浄装置が設けられていること、
を特徴とする植物工場。
【請求項8】
請求項5から請求項7までのいずれかに記載の植物工場において、
前記接続空間は、栽培途中において行われる作業を行える栽培途中作業部を備えること、
を特徴とする植物工場。
【請求項9】
請求項5から請求項8までのいずれかに記載の植物工場において、
前記接続空間は、前記栽培トレイに保持される液肥を交換又は供給する液肥交換機構を有すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項10】
請求項9に記載の植物工場において、
前記液肥交換機構は、前記栽培トレイに保持される液肥を全量排出した後に全量供給すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の植物工場において、
前記液肥交換機構は、前記栽培トレイに保持される液肥の組成及び量を、植物の育成フェーズに応じて変更すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれかに記載の植物工場において、
前記栽培トレイに保持される液肥は、前記栽培空間、及び、前記搬送機構に滞在する状態では、供給、及び、排出が行われないこと、
を特徴とする植物工場。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれかに記載の植物工場において、
前記栽培ユニットは、前記栽培トレイと、前記栽培トレイと組み合わされ、植物を栽培単位毎に保持する栽培パネルと、
を有していること、
を特徴とする植物工場。
【請求項14】
請求項13に記載の植物工場において、
前記作業空間は、前記栽培トレイ及び前記栽培パネルの少なくとも一方を、清浄品に交換する栽培ユニット取扱機構を有すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の植物工場において、
前記作業空間は、前記栽培パネルに植物の種を播種する播種機構を有すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項16】
請求項15に記載の植物工場において、
前記播種機構が播種を行うときに前記栽培トレイ及び前記栽培パネルの少なくとも一方を、清浄品に交換又は清浄品を供給する栽培ユニット取扱機構を有すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項17】
請求項13から請求項16までのいずれかに記載の植物工場において、
前記栽培パネルは、植物を保持する栽培孔が高密度で配置された高密度栽培パネルと、前記高密度栽培パネルよりも低密度で前記栽培孔が配置された低密度栽培パネルとが用意されており、
前記作業空間は、前記高密度栽培パネルに保持された植物を前記低密度栽培パネルへ植え替える定植作業を行う定植機構を有すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項18】
請求項17に記載の植物工場において、
前記定植機構が植え替えを行うときに前記栽培トレイ及び前記栽培パネルの少なくとも一方を、清浄品に交換する栽培ユニット取扱機構を有すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項19】
請求項1から請求項18までのいずれかに記載の植物工場において、
同時期に播種されて育成フェーズが同じ植物のみが前記栽培ユニットに保持されるように制御する制御部を備えること、
を特徴とする植物工場。
【請求項20】
請求項19に記載の植物工場において、
前記栽培空間は、スペクトル分布が異なる複数種類の照明、又は、スペクトル分布が異なる光を切り替えて発光することができる照明を有しており、
前記制御部は、育成フェーズに応じて前記栽培ユニットに照射する光のスペクトル分布を変える制御を行うこと、
を特徴とする植物工場。
【請求項21】
請求項1から請求項20までのいずれかに記載の植物工場において、
前記作業空間は、前記栽培ユニットからの収穫を行う収穫機構を有すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項22】
請求項1から請求項21までのいずれかに記載の植物工場において、
使用後の前記栽培ユニットの洗浄を行い清浄品とする洗浄機構を有すること、
を特徴とする植物工場。
【請求項23】
外部と隔離された栽培空間と、
前記栽培空間との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする扉を有する連通部によって前記栽培空間と接続され、外部と隔離された作業空間と、
植物が植えられ、少なくとも栽培トレイを有する栽培ユニットと、
前記栽培ユニットを前記栽培空間と前記作業空間との間で搬送する搬送機構と、
を備え、
前記栽培空間は、前記連通部の他には、外部との間で物品、及び、人の出入りを可能とする部位は設けられていない植物工場を用いた栽培植物の作成方法であって、
前記扉は、前記搬送機構が通過する以外の状態では、閉じた状態とする栽培植物の作成方法。
【請求項24】
外部と隔離された栽培空間と、
外部と隔離された作業空間と、
外部と隔離され、前記栽培空間及び前記作業空間と接続されている接続空間と、
液肥を保持する栽培トレイを少なくとも有し、植物が植えられる複数の栽培ユニットと、
前記栽培ユニットを前記栽培空間と前記接続空間と前記作業空間との間で搬送する搬送機構と、
前記栽培空間と前記接続空間との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする栽培空間側扉を有する栽培空間側連通部と、
前記作業空間と前記接続空間との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする作業空間側扉を有する作業空間側連通部と、
を備え、
前記栽培空間及び前記接続空間は、前記栽培空間側連通部及び前記作業空間側連通部の他には、外部との間で物品、及び、人の出入りを可能とする部位は設けられていない植物工場を用いた栽培植物の作成方法であって、
前記栽培空間側扉及び前記作業空間側扉は、前記搬送機構が通過する以外の状態では、閉じた状態とする栽培植物の作成方法。
【請求項25】
請求項24に記載の栽培植物の作成方法において、
前記接続空間において栽培途中において行われる作業の少なくとも一部を行うこと、
を特徴とする栽培植物の作成方法。
【請求項26】
請求項24又は請求項25に記載の栽培植物の作成方法において、前記栽培トレイに保持される液肥の交換と供給の少なくとも一方を前記接続空間で行うこと、
を特徴とする栽培植物の作成方法。
【請求項27】
請求項23から請求項26までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、
前記栽培トレイに保持される液肥を全量排出した後に全量供給する液肥交換を栽培途中に行うこと、
を特徴とする栽培植物の作成方法。
【請求項28】
請求項23から請求項27までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、
前記栽培トレイに保持される液肥の組成及び量は、植物の育成フェーズに応じて変更されること、
を特徴とする栽培植物の作成方法。
【請求項29】
請求項23から請求項28までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、
前記栽培ユニットは、前記栽培トレイと、前記栽培トレイと組み合わされ、植物を栽培単位毎に保持する栽培パネルと、
を有しており、
栽培開始時及び栽培途中の少なくとも一方において、前記栽培トレイ及び前記栽培パネルの少なくとも一方を、清浄品に交換すること、
を特徴とする栽培植物の作成方法。
【請求項30】
請求項23から請求項29までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、
前記栽培ユニットには、同時期に播種されて育成フェーズが同じ植物のみが保持されていること、
を特徴とする栽培植物の作成方法。
【請求項31】
請求項23から請求項30までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、
前記栽培ユニットは、前記栽培トレイと、前記栽培トレイと組み合わされ、植物を栽培単位毎に保持する栽培パネルと、
を有しており、
前記栽培パネルは、植物を保持する栽培孔が高密度で配置された高密度栽培パネルと、前記高密度栽培パネルよりも低密度で配置された低密度栽培パネルとが用意されており、
前記高密度栽培パネルに保持された植物を前記低密度栽培パネルへ植え替える定植作業を行うこと、
を特徴とする栽培植物の作成方法。
【請求項32】
請求項23から請求項31までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、
前記栽培ユニットに照射する光の分光分布は、植物の育成フェーズに応じて変更されること、
を特徴とする栽培植物の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物工場、栽培植物の作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、照明及び空調等が適切に制御された工場内で植物の栽培を行う植物工場が知られている。
特許文献1には、栽培トレイ(特許文献1における呼称)を順次一方向に搬送しつつ、栽培ガーターの始端領域から終端領域までの搬送区間を栽培トレイが搬送される過程を通じて植物を栽培する栽培経路が形成されている植物工場内の生産ラインが開示されている。特許文献1の植物工場では、栽培トレイに保持された植物の根は、栽培トレイの下方に垂れて栽培ガーターの内面を這うように伸びていく。また、栽培ガーター内には養液が自然流下されている。この構成によって植物は、1つの栽培ガーター上で順次搬送されながら、栽培される。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の従来の植物工場の構成では、栽培が開始された後は、栽培される植物は、同じ栽培トレイ及び栽培ガーターを用いて栽培される。しかも、栽培開始直後の植物も、収穫間際の長期間栽培された植物と同じ栽培ガーターを用いて栽培される。したがって、細菌による汚染が次第に蓄積されるおそれがあった。
また、栽培開始直後の植物も収穫間際の植物も同じ栽培ガーターを用いていることから、同じ液肥を用いることとなり、育成過程に応じた適切な液肥を用いることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、細菌による汚染を抑えることができる植物工場、栽培植物の作成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
第1の開示は、外部と隔離された栽培空間(10)と、前記栽培空間(10)との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする扉(31)を有する連通部(30)によって前記栽培空間(10)と接続され、外部と隔離された作業空間(20)と、液肥を保持する栽培トレイ(41)を少なくとも有し、植物が植えられる複数の栽培ユニット(40)と、前記栽培ユニット(40)を前記栽培空間(10)と前記作業空間(20)との間で搬送する搬送機構(80)と、を備え、前記栽培空間(10)は、前記連通部(30)の他には、外部との間で物品、及び、人の出入りを可能とする部位は設けられておらず、前記扉(31)は、前記搬送機構(80)が通過する以外の状態では、閉じた状態となっている植物工場(1)である。
【0008】
第2の開示は、第1の開示に記載の植物工場(1)において、前記栽培空間(10)と前記作業空間(20)との少なくとも一方は、前記栽培トレイ(41)に保持される液肥を交換又は供給する液肥交換機構(70、120)を有すること、を特徴とする植物工場(1)である。
【0009】
第3の開示は、第2の開示に記載の植物工場(1)において、前記液肥交換機構(70、120)は、前記栽培トレイ(41)に保持される液肥を全量排出した後に全量供給すること、を特徴とする植物工場(1)である。
【0010】
第4の開示は、第2の開示又は第3の開示に記載の植物工場(1)において、前記液肥交換機構(70、120)は、前記栽培トレイ(41)に保持される液肥の組成及び量を、植物の育成フェーズに応じて変更すること、を特徴とする植物工場(1)である。
【0011】
第5の開示は、外部と隔離された栽培空間(10)と、外部と隔離された作業空間(20)と、外部と隔離され、前記栽培空間(10)及び前記作業空間(20)と接続されている接続空間(200、300)と、液肥を保持する栽培トレイ(41)を少なくとも有し、植物が植えられる複数の栽培ユニット(40)と、前記栽培ユニット(40)を前記栽培空間(10)と前記接続空間(200、300)と前記作業空間(20)との間で搬送する搬送機構(80)と、前記栽培空間(10)と前記接続空間との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする栽培空間側扉(202、302、306)を有する栽培空間側連通部(201、301、305)と、前記作業空間(20)と前記接続空間(200、300)との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする作業空間側扉(204、304、308)を有する作業空間側連通部(203、303、307)と、を備え、前記栽培空間(10)及び前記接続空間(200、300)は、前記栽培空間側連通部(201、301、305)及び前記作業空間側連通部(203、303、307)の他には、外部との間で物品、及び、人の出入りを可能とする部位は設けられておらず、前記栽培空間側扉(202、302、306)及び前記作業空間側扉(204、304、308)は、前記搬送機構(80)が通過する以外の状態では、閉じた状態となっている植物工場(1B、1C)である。
【0012】
第6の開示は、第5の開示に記載の植物工場(1C)において、前記栽培空間側連通部(301、305)及び前記作業空間側連通部(303、307)は、複数カ所設けられていること、を特徴とする植物工場(1C)である。
【0013】
第7の開示は、第5の開示又は第6の開示に記載の植物工場(1B、1C)において、前記接続空間(200、300)を清浄な状態に維持する清浄装置(210)が設けられていること、を特徴とする植物工場(1B、1C)である。
【0014】
第8の開示は、第5の開示から第7の開示までのいずれかに記載の植物工場(1C)において、前記接続空間(300)は、栽培途中において行われる作業を行える栽培途中作業部を備えること、を特徴とする植物工場(1C)である。
【0015】
第9の開示は、第5の開示から第8の開示までのいずれかに記載の植物工場(1C)において、前記接続空間(300)は、前記栽培トレイ(41)に保持される液肥を交換又は供給する液肥交換機構(310)を有すること、を特徴とする植物工場(1C)である。
【0016】
第10の開示は、第9の開示に記載の植物工場(1C)において、前記液肥交換機構(310)は、前記栽培トレイ(41)に保持される液肥を全量排出した後に全量供給すること、を特徴とする植物工場(1C)である。
【0017】
第11の開示は、第9の開示又は第10の開示に記載の植物工場(1C)において、前記液肥交換機構(310)は、前記栽培トレイ(41)に保持される液肥の組成及び量を、植物の育成フェーズに応じて変更すること、を特徴とする植物工場(1C)である。
【0018】
第12の開示は、第1の開示から第11の開示までのいずれかに記載の植物工場(1、1B、1C)において、前記栽培トレイ(41)に保持される液肥は、前記栽培空間(10)、及び、前記搬送機構(80)に滞在する状態では、供給、及び、排出が行われないこと、を特徴とする植物工場(1B、1C)である。
【0019】
第13の開示は、第1の開示から第12の開示までのいずれかに記載の植物工場(1、1B、1C)において、前記栽培ユニット(40)は、前記栽培トレイ(41)と、前記栽培トレイ(41)と組み合わされ、植物を栽培単位毎に保持する栽培パネル(42)と、を有していること、を特徴とする植物工場(1、1B、1C)である。
【0020】
第14の開示は、第13の開示に記載の植物工場(1、1B、1C)において、前記作業空間(20)は、前記栽培トレイ(41)及び前記栽培パネル(42)の少なくとも一方を、清浄品に交換する栽培ユニット取扱機構(100)を有すること、を特徴とする植物工場(1、1B、1C)である。
【0021】
第15の開示は、第13の開示又は第14の開示に記載の植物工場(1、1B、1C)において、前記作業空間(20)は、前記栽培パネル(42)に植物の種を播種する播種機構(90)を有すること、を特徴とする植物工場(1、1B、1C)である。
【0022】
第16の開示は、第15の開示に記載の植物工場(1、1B、1C)において、前記播種機構(90)が播種を行うときに前記栽培トレイ(41)及び前記栽培パネル(42)の少なくとも一方を、清浄品に交換又は清浄品を供給する栽培ユニット取扱機構(100)を有すること、を特徴とする植物工場(1、1B、1C)である。
【0023】
第17の開示は、第13の開示から第16の開示までのいずれかに記載の植物工場(1、1B、1C)において、前記栽培パネル(42)は、植物を保持する栽培孔(42a)が高密度で配置された高密度栽培パネルと、前記高密度栽培パネルよりも低密度で前記栽培孔(42a)が配置された低密度栽培パネルとが用意されており、前記作業空間(20)は、前記高密度栽培パネルに保持された植物を前記低密度栽培パネルへ植え替える定植作業を行う定植機構(110)を有すること、を特徴とする植物工場(1、1B、1C)である。
【0024】
第18の開示は、第17の開示に記載の植物工場(1、1B、1C)において、前記定植機構(110)が植え替えを行うときに前記栽培トレイ(41)及び前記栽培パネル(42)の少なくとも一方を、清浄品に交換する栽培ユニット取扱機構(100)を有すること、を特徴とする植物工場(1、1B、1C)である。
【0025】
第19の開示は、第1の開示から第18の開示までのいずれかに記載の植物工場(1、1B、1C)において、同時期に播種されて育成フェーズが同じ植物のみが前記栽培ユニット(40)に保持されるように制御する制御部(150)を備えること、
を特徴とする植物工場(1、1B、1C)である。
【0026】
第20の開示は、第19の開示に記載の植物工場(1、1B、1C)において、前記栽培空間(10)は、スペクトル分布が異なる複数種類の照明(61、62)、又は、スペクトル分布が異なる光を切り替えて発光することができる照明を有しており、前記制御部(150)は、育成フェーズに応じて前記栽培ユニット(40)に照射する光のスペクトル分布を変える制御を行うこと、を特徴とする植物工場(1、1B、1C)である。
【0027】
第21の開示は、第1の開示から第20の開示までのいずれかに記載の植物工場(1、1B、1C)において、前記作業空間(20)は、前記栽培ユニット(40)からの収穫を行う収穫機構(130)を有すること、を特徴とする植物工場(1、1B、1C)である。
【0028】
第22の開示は、第1の開示から第21の開示までのいずれかに記載の植物工場(1、1B、1C)において、使用後の前記栽培ユニット(40)の洗浄を行い清浄品とする洗浄機構(140)を有すること、を特徴とする植物工場(1、1B、1C)である。
【0029】
第23の開示は、外部と隔離された栽培空間(10)と、前記栽培空間(10)との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする扉(31)を有する連通部(30)によって前記栽培空間(10)と接続され、外部と隔離された作業空間(20)と、植物が植えられ、少なくとも栽培トレイ(41)を有する栽培ユニット(40)と、前記栽培ユニット(40)を前記栽培空間(10)と前記作業空間(20)との間で搬送する搬送機構(80)と、を備え、前記栽培空間(10)は、前記連通部(30)の他には、外部との間で物品、及び、人の出入りを可能とする部位は設けられていない植物工場(1)を用いた栽培植物の作成方法であって、前記扉(31)は、前記搬送機構(80)が通過する以外の状態では、閉じた状態とする栽培植物の作成方法である。
【0030】
第24の開示は、外部と隔離された栽培空間(10)と、外部と隔離された作業空間(20)と、外部と隔離され、前記栽培空間(10)及び前記作業空間(20)と接続されている接続空間(200、300)と、液肥を保持する栽培トレイ(41)を少なくとも有し、植物が植えられる複数の栽培ユニット(40)と、前記栽培ユニット(40)を前記栽培空間(10)と前記接続空間(200、300)と前記作業空間(20)との間で搬送する搬送機構(80)と、前記栽培空間(10)と前記接続空間(200、300)との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする栽培空間側扉(202、302、306)を有する栽培空間側連通部(201、301、305)と、前記作業空間(20)と前記接続空間(200、300)との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする作業空間側扉(204、304、308)を有する作業空間側連通部(203、303、307)と、を備え、前記栽培空間(10)及び前記接続空間(200、300)は、前記栽培空間側連通部(201、301、305)及び前記作業空間側連通部(203、303、307)の他には、外部との間で物品、及び、人の出入りを可能とする部位は設けられていない植物工場(1B、1C)を用いた栽培植物の作成方法であって、前記栽培空間側扉(202、302、306)及び前記作業空間側扉(204、304、308)は、前記搬送機構(80)が通過する以外の状態では、閉じた状態とする栽培植物の作成方法である。
【0031】
第25の開示は、第24の開示に記載の栽培植物の作成方法において、前記接続空間(300)において栽培途中において行われる作業の少なくとも一部を行うこと、
を特徴とする栽培植物の作成方法である。
【0032】
第26の開示は、第24の開示又は第25の開示に記載の栽培植物の作成方法において、前記栽培トレイ(41)に保持される液肥の交換と供給の少なくとも一方を前記接続空間(300)で行うこと、を特徴とする栽培植物の作成方法である。
【0033】
第27の開示は、第23の開示から第26の開示までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、前記栽培トレイ(41)に保持される液肥を全量排出した後に全量供給する液肥交換を栽培途中に行うこと、を特徴とする栽培植物の作成方法である。
【0034】
第28の開示は、第23の開示から第27の開示までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、前記栽培トレイ(41)に保持される液肥の組成及び量は、植物の育成フェーズに応じて変更されること、を特徴とする栽培植物の作成方法である。
【0035】
第29の開示は、第23の開示から第28の開示までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、前記栽培ユニット(40)は、前記栽培トレイ(41)と、前記栽培トレイ(41)と組み合わされ、植物を栽培単位毎に保持する栽培パネル(42)と、を有しており、栽培開始時及び栽培途中の少なくとも一方において、前記栽培トレイ(41)及び前記栽培パネル(42)の少なくとも一方を、清浄品に交換すること、を特徴とする栽培植物の作成方法である。
【0036】
第30の開示は、第23の開示から第29の開示までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、前記栽培ユニット(40)には、同時期に播種されて育成フェーズが同じ植物のみが保持されていること、を特徴とする栽培植物の作成方法である。
【0037】
第31の開示は、第23の開示から第30の開示までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、前記栽培ユニット(40)は、前記栽培トレイ(41)と、前記栽培トレイ(41)と組み合わされ、植物を栽培単位毎に保持する栽培パネル(42)と、を有しており、前記栽培パネル(42)は、植物を保持する栽培孔(42a)が高密度で配置された高密度栽培パネルと、前記高密度栽培パネルよりも低密度で配置された低密度栽培パネルとが用意されており、前記高密度栽培パネルに保持された植物を前記低密度栽培パネルへ植え替える定植作業を行うこと、を特徴とする栽培植物の作成方法である。
【0038】
第32の開示は、第23の開示から第31の開示までのいずれかに記載の栽培植物の作成方法において、前記栽培ユニット(40)に照射する光の分光分布は、植物の育成フェーズに応じて変更されること、を特徴とする栽培植物の作成方法である。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、細菌による汚染を抑えることができる植物工場、栽培植物の作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明による植物工場の構成を示す図である。
【
図2】栽培ユニット40を構成する部材を示す分解斜視図である。
【
図4】栽培空間10における植物の育成状態を例示する図である。
【
図5】制御部150の制御下で行われる本実施形態の植物工場における植物の栽培工程を示す図である。
【
図7】第2実施形態の栽培空間10における植物の育成状態を例示する図である。
【
図8】第3実施形態の植物工場の構成を示す図である。
【
図9】第4実施形態の植物工場の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0042】
(実施形態)
図1は、本発明による植物工場の構成を示す図である。
なお、
図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張したり、省略したりして示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。また、本発明は、以下に説明する実施形態によって限定されることはない。
【0043】
本実施形態の植物工場1は、栽培空間10と、作業空間20とを備えており、栽培植物としては、例えば、食用のレタス等の栽培を行う。より具体的には、例えば、葉菜類(フリルレタス、ロメインレタス、サンチェ、リーフレタス、ケール、小松菜、ほうれん草、アイスプラント、サラダ菜等)、果菜類(イチゴ、トマト等)、根菜類(はつか大根、人参、かぶ等)等を栽培するのに好適な工場である。
栽培空間10は、栽培する植物が通常配置されて育成を進める空間であり、外部と隔離されている。ここで、外部と隔離とは、植物の栽培に有害な害虫等の侵入を阻止可能であることだけでなく、細菌類が容易に持ち込まれないように管理されていることを指している。したがって、完全に密閉された状態に限るものではなく、管理された通気があることは許容するものである。栽培空間10は、後述の作業空間との間で物品、及び、人の出入りを可能とする連通部30を備えている。連通部30には、扉31が設けられており、後述の搬送機構が通過する以外の状態では、基本的に閉じた状態となっている。栽培空間10は、連通部30以外には、外部との間で物品、及び、人の出入りを可能とする部位は設けられていない。ただし、通常は開閉されず、かつ、閉じた状態で十分に外部との隔離を確保できる非常用の扉やメンテナンス用の扉等を設けてもよい。また、メンテナンス等で必要な場合を除き、栽培空間10は、人が立ち入ることが無いように管理されている。したがって、植物の栽培中には、栽培空間10内に人が入ることはない。
【0044】
栽培空間10では、栽培ユニット40によって植物を保持して、栽培ユニット40単位で(栽培ユニット40毎に)植物の育成及び管理を行う。
図2は、栽培ユニット40を構成する部材を示す分解斜視図である。
図3は、栽培ユニット40の断面図である。
栽培ユニット40は、栽培トレイ41と、栽培パネル42とを有している。栽培トレイ41及び栽培パネル42は、例えば、樹脂成型品によって構成してもよいし、金属のプレス成型品によって構成してもよい。
【0045】
栽培トレイ41は、上方が開口された皿状の構成をしており、液肥を収容して保持することができる。栽培トレイ41は、後述の搬送機構80による搬送中においても、収容する液肥が漏れることのない十分な深さを有している。
【0046】
栽培パネル42は、栽培トレイ41の開口を覆うようにして栽培トレイ41と組み合わせられ、植物を栽培単位毎に保持する。栽培パネル42には、複数の栽培孔42aと、液肥注入孔42bと、液肥排出孔42cとが設けられている。
栽培孔42aは、後述するウレタンスポンジ(不図示)と共に植物Pを保持できる有底の孔であり、その底部には、さらに植物の根が延びることができるように小孔が開口している。各栽培孔42a同士は、均等に離間して配置されていることが一般的には望ましいが、この配置は、適宜変更可能である。
本実施形態の液肥注入孔42b及び液肥排出孔42cは、それぞれ、栽培パネル42の対角線で対向する角付近に配置されている。なお、液肥注入孔42b及び液肥排出孔42cの位置は適宜変更可能である。液肥を交換する時には、液肥排出孔42cから液肥を排出し、かつ、液肥注入孔42bから液肥を注入する。なお、液肥注入孔42bと液肥排出孔42cとを設けずに、液肥交換用の孔を1カ所としてもよい。
【0047】
また、栽培パネル42は、植物を保持する栽培孔42aが高密度で配置された高密度栽培パネルと、高密度栽培パネルよりも低密度で栽培孔42aが配置された低密度栽培パネルとが用意されている。ここでいう高密度、低密度とは、栽培孔42aの数の大小である。高密度栽培パネルと低密度栽培パネルとの選択、及び、具体的な栽培孔42aの数は、育成段階に応じて、また、栽培する植物の生育条件に応じて適宜変更可能である。なお、
図2には、低密度栽培パネルを図示している。また、本実施形態では、高密度栽培パネルと低密度栽培パネルとの2種類の栽培パネルを用意したが、栽培孔42aの配置密度を3種類以上用意してもよいし、1種類のみとしてもよい。栽培パネル42を1種類とした場合には、後述する定植の工程は、省略できる。
また、本実施形態では、栽培ユニット40は、全体の形状が略直方体形状となっているが、この形状は略円筒形状であってもよいし、適宜変更可能である。
【0048】
図4は、栽培空間10における植物の育成状態を例示する図である。
栽培空間10では、例えば、
図4のように複数段の棚50に栽培ユニット40を配置し、照明60によって育成用の照明光を照射して栽培を行う。また、栽培空間10には、栽培トレイ41に保持される液肥を交換する液肥交換機構70を設けている。液肥交換機構70を栽培空間10に設ける場合には、後述する作業空間20に配置される液肥交換機構120を省略してもよい。
【0049】
作業空間20は、栽培空間10と連通部30を介して連通して配置されており、栽培空間10との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在である。なお、栽培空間10と作業空間20との間を連通したままの状態としてもよい。また、作業空間20は、栽培空間10と同様に、外部と隔離されており、十分に高い清浄度を確保している。なお、作業空間では、各種作業が発生することから、作業空間20と栽培空間10とを厳密に比較すると、栽培空間10の清浄度が作業空間20の清浄度よりもさらに高いレベルにある。
【0050】
栽培空間10及び作業空間20には、栽培空間10と作業空間20との間で栽培ユニット40を搬送する搬送機構80が設けられている。作業空間20内での作業が必要な場合に、搬送機構80は、制御部150に制御されて、栽培ユニット40を栽培空間10内の棚50から取り出して、作業空間20内の目的とする作業場所へ搬送する。また、作業空間20内での作業が完了すると、搬送機構80は、制御部150に制御されて、栽培ユニット40を作業空間20から栽培空間10内へ搬送し、所定の棚50へ戻す。
搬送機構80には、上記動作を行うことができる従来公知の各種構成を適用することができる。例えば、モノレール状の形態であってもよいし、自立走行を行うフォークリフト状やロボット状の形態であってもよい。
【0051】
作業空間20には、さらに、播種機構90と、栽培ユニット取扱機構100と、定植機構110と、液肥交換機構120と、収穫機構130と、洗浄機構140と、制御部150とが設けられている。
【0052】
播種機構90は、制御部150に制御されて、栽培パネル42に植物の種を播種する。播種時に用いられる栽培パネル42は、高密度栽培パネルである。また、播種機構90の近傍には、栽培ユニット取扱機構100が設けられている。
【0053】
栽培ユニット取扱機構100は、制御部150に制御されて、播種機構90が播種を行うときに、栽培トレイ41及び栽培パネル42の清浄品を供給する。ここで、清浄品とは、栽培に悪影響を及ぼす細菌類の数が低減、好ましくは細菌類が除去された清潔な栽培トレイ41及び栽培パネル42を指しており、新品であってもよいし、除菌済み、又は、殺菌済みの再利用品であってもよい。なお、本実施形態では、栽培ユニット取扱機構100は、播種機構90が播種を行うときに、栽培トレイ41及び栽培パネル42の清浄品を供給する形態としたが、収穫工程や定植工程によって発生した使用後の栽培トレイ41及び栽培パネル42を後述の洗浄機構140によって洗浄した清浄品(再利用品)を供給する構成としてもよい。
また、栽培ユニット取扱機構100の近傍には、定植機構110が配置されており、定植機構110が植え替えを行うときにも、栽培トレイ41及び栽培パネル42を清浄品に交換する。なお、栽培ユニット取扱機構100は、播種用と定植用のそれぞれに専用の機構を配置する構成としてもよい。
なお、栽培ユニット取扱機構100は、栽培トレイ41及び栽培パネル42のいずれか一方について、清浄品に交換、又は、清浄品を供給する形態としてもよい。
【0054】
定植機構110は、制御部150に制御されて、高密度栽培パネルに保持された植物を低密度栽培パネルへ植え替える定植作業を行う。また、定植機構110は、栽培ユニット取扱機構100の近傍に設けられており、上述したように定植時には、栽培ユニット取扱機構100が栽培トレイ41及び栽培パネル42を清浄品に交換する。このとき、交換される清浄品の栽培パネル42は、低密度栽培パネルである。
【0055】
液肥交換機構120は、制御部150に制御されて、栽培トレイ41に保持される液肥を交換又は供給する。本実施形態では、栽培空間10に液肥交換機構70を設け、また、作業空間20に液肥交換機構120を設けており、栽培空間10と作業空間20との双方で液肥交換を行えるように構成している。これにより、栽培空間10と作業空間20とのスペースの都合や栽培植物の種類等により、液肥交換機構70及び液肥交換機構120のいずれかを用いたり、双方を組み合わせて用いたりすることができる。なお、作業空間20に液肥交換機構120を設ける場合には、栽培空間10内の液肥交換機構70を省略してもよい。液肥交換機構120を作業空間20のみに設けて、栽培空間10、及び、搬送機構80に栽培トレイ41が滞在する状態では、液肥の供給、及び、排出が行われないこととすることにより、栽培空間10の清浄度をさらに高めることができる。
また、液肥交換機構120及び液肥交換機構70のいずれも、栽培トレイ41に保持される液肥を全量排出した後に全量供給する。これにより、栽培トレイ41内に残る雑菌類を極僅かとすることができ、栽培トレイ41を清浄な状態に維持することができる。なお、ここでいう全量排出とは、当然ではあるが、水滴すら残さずに全てという意味ではなく、吸引する等の通常の取り扱いとして排出可能な量の全てを排出することを指している。
【0056】
収穫機構130は、制御部150に制御されて、育成が完了した植物を栽培ユニット40から収穫する。収穫機構130によって収穫された栽培植物は、その後、樹脂製の透明袋等に梱包等されて出荷される。ここで、梱包に樹脂製の透明袋を用いることとし、段ボール等を作業空間に入れないことが望ましい。段ボール等には、ダニやチリが付着しているおそれが高いからである。なお、梱包作業についても、手作業を介さずに行える梱包装置を用いることができる。
【0057】
洗浄機構140は、制御部150に制御されて、使用後の栽培ユニット40の洗浄を行い清浄品とする。より具体的には、洗浄機構140には、後述の定植工程により交換された使用後の栽培トレイ41及び栽培パネル42が搬送されてきて、これを洗浄し、乾燥して清浄品とする。また、洗浄機構140には、後述の収穫工程により発生する使用後の栽培トレイ41及び栽培パネル42が搬送されてきて、これを洗浄し、乾燥して清浄品とする。栽培トレイ41と栽培パネル42とは、洗浄機構140において分離されて、それぞれが専用の自動洗浄機によって洗浄される。乾燥は、乾燥室内で行われる。ここで、洗浄とは、水や洗剤を用いる洗浄のみに限らずに、薬剤や紫外線等を用いて除菌や殺菌等をさらに行う洗浄であってもよい。
洗浄機構140により洗浄された栽培トレイ41及び栽培パネル42は、栽培ユニット取扱機構100によって清浄品として再利用される。
上記洗浄機構140による洗浄工程は、すべて機械化されて自動的に行われるが、例えば、乾燥室への搬入を作業員による作業を介入させる等してもよい。
【0058】
制御部150は、上述したように、搬送機構80と、播種機構90と、栽培ユニット取扱機構100と、定植機構110と、液肥交換機構70,120と、収穫機構130と、洗浄機構140とを統括的に制御して、植物工場1における植物の栽培を制御する。制御部150は、例えば、CPU、メモリ等を有するコンピュータにより構成される。
【0059】
図5は、制御部150の制御下で行われる本実施形態の植物工場における植物の栽培工程を示す図である。
図5では、工程を示すステップ(以下、単にSと示す)毎に、工程の内容と、その工程に主に用いられる構成と、工程が行われる場所と、栽培パネルの種別とを示している。以下、この
図5に基づいて、植物の栽培工程を説明する。
【0060】
S10では、作業空間20において播種機構90を用いて、ウレタンスポンジを浸水させる。このウレタンスポンジは、栽培孔42aにはめ込まれるものである。なお、ここで用いるウレタンスポンジに限らず、ウレタンスポンジ以外の吸水性素材を適宜利用可能である。
【0061】
S20では、作業空間20において播種機構90を用いて、ウレタンスポンジに播種を行う。なお、本実施形態では、上記S10及びこのS20の工程は、ウレタンスポンジを保持する別の容器上で行うが、栽培パネル42上で行ってもよい。
【0062】
S30では、作業空間20において播種機構90及び栽培ユニット取扱機構100を用いて、播種されたウレタンスポンジを栽培パネル42の栽培孔42aへ移植する。
【0063】
S40では、作業空間20において播種機構90を用いて、栽培トレイ41に液肥を投入する。なお、本実施形態では、播種機構90に液肥投入機能を備えたものとしたが、栽培ユニット取扱機構100に液肥投入機能を設けてもよいし、液肥投入機構を別途設けてもよい。
【0064】
S50では、搬送機構80を用いて栽培ユニット40を作業空間20から栽培空間10へ移動させ、栽培ユニット40を棚50の所定の位置に設置する。
【0065】
S60では、栽培空間10において、栽培を所定期間継続する。
【0066】
S70では、栽培空間10において液肥交換機構70を用いて、液肥の全量交換を行う。ここで、制御部150は、栽培トレイ41に保持される液肥の組成及び量を、植物の育成フェーズに応じて変更するように液肥交換機構70を制御する。これにより、植物の育成フェーズに応じて適切な液肥の組成及び量で植物を育成することができ、効率よく育成を進めることができる。
また、このS70における液肥交換は、後のS80の後に繰り返して複数回行うようにしてもよい。
【0067】
S80では、栽培空間10において、栽培を所定期間継続する。
【0068】
S90では、搬送機構80を用いて、栽培ユニット40を栽培空間10の棚50から取り出し、作業空間20の定植機構110の位置へ移動させる。
【0069】
S100では、作業空間20において定植機構110及び栽培ユニット取扱機構100を用いて定植を行う。ここで行う定植は、栽培ユニット取扱機構100によって栽培トレイ41及び栽培パネル42を清浄品に交換して行われ、このときに用いられる栽培パネル42は、ここまで使用していた高密度栽培パネルから低密度栽培パネルに変更される。したがって、全ての株の育成を続ける場合には、この定植を行った段階で、育成に必要な栽培ユニット40の数が増加することとなる。よって、育成が順調な株のみを定植することとして、育成を続ける株の数を減らしてもよいし、栽培ユニット40の数を増やしてもよい。栽培ユニット40の数を増やす場合には、栽培ユニット取扱機構100によって新たな栽培ユニット40を供給する。
【0070】
S105では、作業空間20において、上記S100で交換された使用後の栽培ユニット40(栽培トレイ41及び栽培パネル42)の洗浄及び乾燥を行う。
【0071】
S110では、搬送機構80を用いて栽培ユニット40を作業空間20から栽培空間10へ移動させ、栽培ユニット40を棚50の所定の位置に設置する。
【0072】
S120では、栽培空間10において、栽培を所定期間継続する。
【0073】
S130では、S70と同様に、栽培空間10において液肥交換機構70を用いて、液肥の全量交換を行う。ここで、制御部150は、栽培トレイ41に保持される液肥の組成及び量を、植物の育成フェーズに応じて変更するように液肥交換機構70を制御する。これにより、植物の育成フェーズに応じて適切な液肥の組成及び量で植物を育成することができ、効率よく育成を進めることができる。
また、S70と同様に、このS130における液肥交換は、後のS140の後に繰り返して複数回行うようにしてもよい。
なお、本実施形態では、このS130及び先のS70において、液肥の交換を栽培空間10で行う形態を例示したが、この形態に限らず、搬送機構80を用いて作業空間20へ栽培ユニット40を移動して液肥交換機構120を用いて液肥の交換を行う形態としてもよい。上述したように、栽培空間10と作業空間20とのスペースの都合や栽培植物の種類等により、液肥交換機構70及び液肥交換機構120のいずれかを用いたり、双方を組み合わせて用いたりすることができる。
【0074】
S140では、栽培空間10において、栽培を所定期間継続する。
【0075】
S150では、搬送機構80を用いて、栽培ユニット40を栽培空間10の棚50から取り出し、作業空間20の収穫機構130の位置へ移動させる。
【0076】
S160では、作業空間20において収穫機構130を用いて、育成が完了した植物の収穫を行う。
【0077】
S165では、作業空間20において、上記S160で収穫後に残る使用後の栽培ユニット40(栽培トレイ41及び栽培パネル42)の洗浄及び乾燥を行う。
【0078】
以上のように、本実施形態の植物工場1では、同時期に播種されて育成フェーズが同じ植物のみが栽培ユニット40に保持されるように制御部150によって制御されている。よって、栽培トレイ41に保持される液肥の組成及び量を、植物の育成フェーズに応じて変更することが必要に応じて可能となり、制御部150は、液肥の組成及び量を、植物の育成フェーズに応じて変更する制御を行い、液肥交換機構70(又は液肥交換機構120)がこれを実行することができる。
また、従来のように長期間栽培された植物と同じ栽培ガーターを用いて栽培されることがなく、簡単に栽培ユニット40を清浄品に交換可能であり、細菌類の増殖を抑えることができる。
さらに、各種作業を栽培空間10とは隔離された作業空間20で行うので、細菌類による汚染を防止できる。
さらにまた、栽培開始時及び栽培途中において、栽培トレイ41及び栽培パネル42を清浄品に交換し、液肥の全量交換も行うので、細菌類の増殖を抑えることができる。
【実施例0079】
上述した植物の細菌類による汚染を抑制できる効果を検証するために、本実施形態の植物工場1により栽培した植物について、細菌検査を行った。
具体的には、ロメインレタス3株と、フリルレタスを3株とについて、それぞれの株より2か所の検体を20g以上採取し、その検体をすり潰して各々シャーレーに入れ、7日後における生菌数を検査した。なお、検査に使用するハサミ、保管用のトレイ等については、次亜塩素酸により消毒済みのものを使用した。検体は、5℃に設定した冷蔵庫内で保管した。
図6は、細菌検査結果を示す図である。
図6に示すように、一般生菌数は、いずれも非常に低い値となっている。また、大腸菌群については、いずれも陰性であった。
従来の植物工場で生産されたレタスでは、5℃で保存した7日後の細菌数は、10
2から10
3/g程度との知見がある。この知見と
図6に示す結果とを比較して明らかなように、本実施形態の植物工場1において、細菌類の増殖を抑制して植物を栽培できることが実証された。
【0080】
以上説明したように、本実施形態の植物工場1及び栽培植物の作成方法によれば、細菌の増殖を効果的に抑制しながら、栽培を行うことができる。また、液肥を植物の育成フェーズに応じて変更することができるので、より効率よく栽培を行うことができる。
【0081】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態の栽培空間10における植物の育成状態を例示する図である。
第2実施形態の植物工場は、照明61、62と、制御部150の動作が一部異なる他は、第1実施形態の植物工場1と同様である。よって、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0082】
第2実施形態では、照明61、62が発光する照明光のスペクトル分布(分光分布)が異なっている。そして、棚50には、照明61が設けられている棚部分と、照明62が設けられている棚部分とがある。本実施形態では、照明61は、生育初期段階(育苗工程)での生育に適したスペクトル分布をもつ照明光を発光し、照明62は、育苗工程よりも成長した生育段階(生育工程)での生育に適したスペクトル分布をもつ照明光を発光する構成となっている。
【0083】
第2実施形態の制御部150は、栽培ユニット40で栽培する植物が育苗工程にある段階では、照明61が設けられている棚部分に栽培ユニット40を収容し、栽培ユニット40で栽培する植物が生育工程にある段階では、照明62が設けられている棚部分に栽培ユニット40を収容するように搬送機構80を制御する。また、制御部150は、光量、照射時間等の各パラメーターを植物の特性や目指す収穫仕様に応じて最適な条件となる照明光を照射するように制御を行う。これにより、より最適な条件で植物の生育を行うことができる。また、育成フェーズに応じて照明光のスペクトル分布を適切に管理することにより、ある成分(例えば、ポリフェノール等)を多く含ませることができたり、安定した色付け(色の強調)を行ったりすることができる。
【0084】
なお、上記例では、理解を容易にするために照明光のスペクトル分布を2種類用意する例を例示した。これに限らず、より多くの種類のスペクトル分布の異なる照明を用意してもよい。例えば、育苗工程で2種類、育成フェーズで2種類等としてもよい。
【0085】
また、上記例では、スペクトル分布が異なる複数種類の照明61、62を配置し、栽培ユニット40を収容する位置を変えることにより、栽培ユニット40に照射する光のスペクトル分布を変える例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、スペクトル分布が異なる光を切り替えて発光することができる照明を設けて、栽培ユニット40を収容する位置を変えることなく、栽培ユニット40に照射する光のスペクトル分布を変えるようにしてもよい。また、スペクトル分布が異なる複数種類の照明61、62を同じ位置にある栽培ユニット40に照射可能なように配置し、発光する照明を切り替えて栽培ユニット40に照射する光のスペクトル分布を変えるようにしてもよい。
【0086】
以上説明したように、第2実施形態によれば、栽培ユニット40に照射する光のスペクトル分布を変えることができる構成としたので、より最適な条件で植物の生育を行うことができたり、特定の成分を多く含ませることができたり、安定した色付けを行ったりすることができる。
【0087】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態の植物工場の構成を示す図である。
第3実施形態の植物工場1Bは、第1実施形態の連通部30に代えて接続空間200を備えている点と、接続空間200を通る搬送機構80の動作が異なる他は、第1実施形態の植物工場1と同様である。よって、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0088】
第3実施形態の植物工場1Bは、接続空間200を備えている。
接続空間200は、外部と隔離され、栽培空間10及び作業空間20と接続されており、栽培空間10と作業空間20との間に配置されている。なお、接続空間200の配置位置は、栽培空間10と作業空間20との間に限られるものではない。
接続空間200と栽培空間10とは、栽培空間側連通部201によって連通可能となっている。
栽培空間側連通部201には、栽培空間側扉202が設けられている。栽培空間側扉202は、栽培空間10と接続空間200との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする。
接続空間200と作業空間20とは、作業空間側連通部203によって連通可能となっている。作業空間側連通部203には、作業空間側扉204が設けられている。作業空間側扉204は、作業空間20と接続空間200との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする。
栽培空間10及び接続空間200は、栽培空間側連通部201及び作業空間側連通部203の他には、外部との間で物品、及び、人の出入りを可能とする部位は設けられていない。ただし、通常は開閉されず、かつ、閉じた状態で十分に外部との隔離を確保できる非常用の扉やメンテナンス用の扉等を設けてもよい。
【0089】
搬送機構80は、栽培空間10と接続空間200と作業空間20との間で栽培ユニット40を搬送する。
先に説明した第1実施形態及び第2実施形態では、扉31が開いて搬送機構80によって栽培ユニット40が通過する際に、栽培空間10と作業空間20とが直接繋がることから、僅かではあっても、異物や虫、雑菌類が侵入するおそれがあった。
そこで、本実施形態では、接続空間200を設けて、栽培空間10と作業空間20とが直接繋がる状態が存在しないようにした。具体的には、栽培ユニット40が作業空間20を通る際に、栽培空間側扉202と作業空間側扉204との双方が開いた状態とならないように栽培空間側扉202及び作業空間側扉204の開閉動作を制御部150が制御する。
【0090】
栽培ユニット40が栽培空間10から作業空間20へ移動する場合には、作業空間側扉204が閉じた状態で、栽培空間側扉202を開いて栽培ユニット40が栽培空間10から接続空間200内に侵入する。栽培ユニット40が接続空間200内に完全に入った状態で、栽培空間側扉202を閉じる。これにより、栽培空間側扉202及び作業空間側扉204が閉じた状態となる。次に、栽培空間側扉202が閉じた状態としたままで作業空間側扉204を開いて、栽培ユニット40が接続空間200から作業空間20へ搬送される。栽培ユニット40が接続空間200から完全に出た後、作業空間側扉204を閉じて、栽培空間側扉202及び作業空間側扉204が閉じた状態とする。
【0091】
栽培ユニット40が作業空間20から栽培空間10へ移動する場合には、栽培空間側扉202が閉じた状態で、作業空間側扉204を開いて栽培ユニット40が作業空間20から接続空間200内に侵入する。栽培ユニット40が接続空間200内に完全に入った状態で、作業空間側扉204を閉じる。これにより、栽培空間側扉202及び作業空間側扉204が閉じた状態となる。次に、作業空間側扉204が閉じた状態としたままで栽培空間側扉202を開いて、栽培ユニット40が接続空間200から栽培空間10へ搬送される。栽培ユニット40が接続空間200から完全に出た後、栽培空間側扉202を閉じて、栽培空間側扉202及び作業空間側扉204が閉じた状態とする。
【0092】
また、接続空間200には、清浄装置210が設けられている。清浄装置210は、接続空間200内を栽培空間と同等に清浄な状態にするための装置である。清浄装置210は、例えば、ダウンフロー空調装置を用いることができる。また、清浄装置210は、単なる空調だけに限らず、例えば、紫外線照射、オゾン発生といったより積極的な清浄化機能を備えていてもよい。
清浄装置210を備えることにより、接続空間200内を清浄な状態に維持でき、さらに、接続空間200内を通る栽培ユニット40及び搬送機構80に付着した塵埃や雑菌類の低減効果も期待できる。
【0093】
以上説明したように、第3実施形態によれば、接続空間200を設け、栽培空間側扉202と作業空間側扉204との双方が開いた状態とならないようにしたので、栽培空間10をさらに清浄な状態に維持することができる。
【0094】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態の植物工場の構成を示す図である。
第4実施形態の植物工場1Cは、接続空間300の構成が第3実施形態の接続空間200と一部異なる他は、第3実施形態の植物工場1Bと同様である。よって、第3実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0095】
第4実施形態の植物工場1Cの接続空間300は、栽培途中において行われる作業を行える栽培途中作業部として、液肥交換機構310を備えている。第4実施形態の液肥交換機構310が行う液肥交換の動作は、配置されている場所が接続空間300内である他は、第1実施形態の液肥交換機構70、120と同様である。液肥交換作業時には、液肥の雫が垂れたり飛散したりする場合があり、液肥を交換する場所の汚染が懸念される。本実施形態では、清浄装置210を備えた接続空間300内に液肥交換機構310を備えており、接続空間300内において液肥交換を行うことにより、液肥を交換する場所の汚染を抑制することができる。
【0096】
接続空間300と栽培空間10とは、複数カ所設けられている連通部によって連通可能である。より具体的には、接続空間300と栽培空間10とは、第1栽培空間側連通部301及び第2栽培空間側連通部305によって連通可能である。
第1栽培空間側連通部301には、第1栽培空間側扉302が設けられており、第2栽培空間側連通部305には、第2栽培空間側扉306が設けられている。第1栽培空間側扉302及び第2栽培空間側扉306は、いずれも、栽培空間10と接続空間300との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする。
【0097】
接続空間300と作業空間20とは、複数カ所設けられている連通部によって連通可能である。より具体的には、接続空間300と作業空間20とは、第1作業空間側連通部303及び第2作業空間側連通部307によって連通可能である。
第1作業空間側連通部303には、第1作業空間側扉304が設けられており、第2作業空間側連通部307には、第2作業空間側扉308が設けられている。第1作業空間側扉304及び第2作業空間側扉308は、いずれも、作業空間20と接続空間300との接続を連通状態と遮断状態との間で切り替え自在とする。
栽培空間10及び接続空間300は、第1栽培空間側連通部301及び第2栽培空間側連通部305と、第1作業空間側連通部303及び第2作業空間側連通部307との他には、外部との間で物品、及び、人の出入りを可能とする部位は設けられていない。ただし、通常は開閉されず、かつ、閉じた状態で十分に外部との隔離を確保できる非常用の扉やメンテナンス用の扉等を設けてもよい。
【0098】
栽培ユニット40が栽培空間10から作業空間20へ移動する場合、及び、栽培ユニット40が作業空間20から栽培空間10へ移動する場合の動作は、2カ所ずつある扉のいずれか、又は、双方を用いて、第3実施形態と同様な動作を行う。
【0099】
液肥交換は、第1作業空間側扉304及び第2作業空間側扉308の双方を閉じた状態で行う。先ず、第1栽培空間側扉302を開き、栽培ユニット40を接続空間300内へ所定数だけ搬送する。所定数の栽培ユニット40が接続空間内へ搬送されたら、第1栽培空間側扉302を閉じる。接続空間300内に搬入された栽培ユニット40は、液肥交換機構310によって液肥の交換や補充等の必要な作業が行われる。接続空間300内の全ての栽培ユニット40について液肥交換作業が完了したら、第2栽培空間側扉306を開いて接続空間300から栽培空間10へ栽培ユニット40を搬送する。接続空間300から栽培空間10へ栽培ユニット40を搬送し終えたら第2栽培空間側扉306を閉じる。
【0100】
以上説明したように、第4実施形態によれば、清浄装置210を備えた接続空間300内で液肥交換作業を行うので、液肥交換作業による汚染を抑制することができ、栽培空間10をさらに清浄な状態に維持することができる。
【0101】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本開示の範囲内である。
【0102】
(1)第4実施形態において、栽培途中において行われる作業を行える栽培途中作業部として、液肥交換機構310を接続空間300に備えている例を挙げて説明した。これに限らず、接続空間に設ける栽培途中作業部は、液肥交換以外の他の作業を行うものであってもよい。例えば、イチゴの栽培を行う場合において、栽培途中作業部としてランナーの除去や下葉処理、花芽や果実の位置修正等の作業を行う部位を設けてもよい。この場合において、栽培途中作業部の構成としては、自動機を配置してもよいし、栽培途中作業部で行う作業の一部、又は、全てを手作業によって行うものとしてもよい。作業内容によっては、人手による作業の方が効率的な場合もあり、そのような場合であっても清浄装置210を備えた接続空間において作業を行うことにより、栽培空間10の汚染を防ぐことができる。
【0103】
(2)各実施形態において、栽培空間10内の気圧を、作業空間20内の気圧よりも高くする加圧空調装置をさらに設けてもよい。また、接続空間200(又は、300)を設ける場合には、栽培空間10の気圧が接続空間200(又は、300)よりも高く、接続空間200(又は、300)の気圧が作業空間20よりも高いようにするとよい。
【0104】
(3)各実施形態において、搬送機構80は、栽培ユニット40を単体で搬送する例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、複数個の栽培ユニット40をまとめて搬送する搬送機構としてもよい。また、棚50のまま栽培ユニット40をまとめて搬送する搬送機構としてもよい。
【0105】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本開示は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。