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特開2022-122268船舶駆動ユニットの油面をチェックする方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122268
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】船舶駆動ユニットの油面をチェックする方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B63H 20/00 20060101AFI20220815BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20220815BHJP
【FI】
B63H20/00 510
F16H57/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022015625
(22)【出願日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】21156088.3
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518415071
【氏名又は名称】ボルボ ペンタ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】VOLVO PENTA CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】クリストフェル・ローセングレン
【テーマコード(参考)】
3J063
【Fターム(参考)】
3J063AA23
3J063BA07
3J063XJ05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部のオイルフィルタを備えた船舶駆動ユニットの油面(an oil level)をチェックする方法及びシステムを提供する。
【解決手段】船舶駆動ユニットの油面をチェックする方法であって、駆動ユニットは、外部のオイルフィルタ、駆動ユニットの油面を決定するように適合された油面センサと電子制御式のチルト手段を備え、この方法は、油面チェックを開始するステップと、チルト手段を制御して駆動ユニットを複数の異なるチルト角位置にチルトさせるステップと、それぞれのチルト角位置について油面センサが駆動ユニットの油面を検知したかを決定するステップと、駆動ユニットのチルト角及び油面センサからの信号を記録するステップと、油面センサがどのチルト角で油面を検知したかを決定するステップと、決定された駆動ユニットのチルト角に応じて、駆動ユニットの油面が所定範囲内にあるかを決定するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶駆動ユニットの油面をチェックする方法であって、前記駆動ユニットは、外部のオイルフィルタと、前記ドライブユニットの液面を決定するように適合された油面センサと、電子制御式のチルト手段と、を備え、
前記方法は、
油面チェックを開始するステップと、
前記チルト手段を制御して、前記駆動ユニットを複数の異なるチルト角位置にチルトさせるステップと、
それぞれのチルト角位置について、前記油面センサが前記駆動ユニットの油面を検知したかを決定するステップと、
それぞれのチルト角位置について、前記駆動ユニットのチルト角、及び前記油面センサからの信号を記録するステップと、
前記油面センサがどのチルト角で油面を検知したかを決定するステップと、
前記決定された駆動ユニットのチルト角に応じて、前記駆動ユニットの油面が所定範囲内にあるかを決定するステップと、
を含んだ方法。
【請求項2】
前記駆動ユニットの油面が前記所定範囲外であれば、前記油面が前記所定範囲を上回っているか、又は下回っているかを決定するステップを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記駆動ユニットの油面が前記所定範囲を下回っていれば、不足しているオイル量を決定するステップを更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記駆動ユニットの油面が前記所定範囲を上回っていれば、余分なオイル量を決定するステップを更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記駆動ユニットの前記チルト手段を制御するステップにおいて、前記駆動ユニットが複数の離散的なチルト角位置で停止されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記駆動ユニットの前記チルト手段を制御するステップにおいて、前記駆動ユニットが低速で連続的に移動することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記油面チェックのための前記駆動ユニットの前記チルト角が、前記駆動ユニットの最大チルト角より小さい所望のチルト範囲に事前設定できることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記油面チェックが、前記駆動ユニットのオイル交換が行われたときに開始されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記油面チェックが開始される前に、前記駆動ユニットに動力を供給するエンジンを短時間動作させるステップを更に含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記駆動ユニットがスターンドライブであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
船舶駆動ユニット(2)の油面をチェックする制御システム(1)であって、前記駆動ユニット(2)は、前記駆動ユニットのオイルリザーバ(8)の油面(5)を決定するように適合された油面センサ(3)と、電子制御式のチルト手段(4)と、電子制御ユニット(10)と、を備え、
前記電子制御ユニット(10)が、前記駆動ユニット(2)を所定数のチルト角位置にチルトさせ、前記油面センサ(3)がそれぞれのチルト角位置で油面(5)を検知したかを決定し、前記油面(5)が所定範囲内にあるかを決定するように適合されたことを特徴とする、
制御システム(1)。
【請求項12】
請求項11に記載の制御システムを備えた船舶。
【請求項13】
前記駆動ユニット(2)の外部に配置されたオイルフィルタ(7)を備えたことを特徴する、請求項12に記載の船舶。
【請求項14】
プログラムがコンピュータで実行されるとき、請求項1~10のすべてのステップを実行するプログラムコード手段を含んだコンピュータプログラム。
【請求項15】
プログラム製品がコンピュータで実行されるとき、請求項1~10のすべてのステップを実行するコンピュータ可読媒体に格納されたプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部のオイルフィルタを備えた船舶駆動ユニットの油面(an oil level)をチェックする方法及びシステムに関する。この方法を使用して、駆動ユニットのオイル量が所定範囲内にあるか否かを決定することができる。
【背景技術】
【0002】
船外機やスターンドライブなどの船舶駆動ユニットには、船舶のエンジンからスクリューへと動力を伝達する伝動装置が備えられている。伝動装置は、伝動装置内の回転部分を潤滑するオイルを内包している。伝動装置に十分なオイルがあり、伝動装置が十分に潤滑されることが重要である。しかしながら、伝動装置のエネルギー損失を増大させる、余分なオイル量がないことも重要である。これはまた、オイル温度を上昇させて、オイルを劣化させる可能性がある。
【0003】
オイル量が正しいことを保証するため、オイルリザーバに油面センサが備えられていてもよい。油面センサは、油面を連続的に測定することができるセンサ、又は油面があまりにも低いかを検知する低油面センサであってもよい。オイルの異なるパラメータを測定するオイル品質センサ(an oil quality sensor)などの他のセンサを使用して、オイルリザーバの油面を検知することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、これらの異なる油面センサは、完全に申し分なく機能する。これは、オイルの全量が内部のオイルリザーバに保持される、船外機又はほとんどのスターンドライブの場合である。スターンドライブから離れた船舶に配置された外部のオイルフィルタを備えたいくつかの場合では、正しい量のオイルがシステムで使用されているかを決定することはより困難である。
【0005】
外部のオイルフィルタを使用する1つの理由は、船舶を持ち上げなくても、オイル及びオイルフィルタを交換可能であることである。これは、正しい量のオイルがスターンドライブに補充されているかを決定することを困難にする。
【0006】
従って、外部のオイルフィルタを備えた船舶駆動ユニットの油面をチェックする、改善された方法が必要である。
【0007】
このため、本発明の目的は、船舶駆動ユニットの油面をチェックする改善された方法を提供することである。本発明の他の目的は、船舶駆動ユニットの油面をチェックするシステムを提供することである。本発明の他の目的は、そのようなシステムを備えた船舶を提供することである。目的はまた、この方法のステップを実行するように適合されたコンピュータプログラム、及びコンピュータプログラム製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による問題の解決策は、方法に関する請求項1の特徴部分、システムに関する請求項11、及び船舶に関する請求項12に記載されている。他の請求項は、発明の方法の有利なさらなる発展を含んでいる。コンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品に関する請求項も含まれている。
【0009】
外部のオイルフィルタ、駆動ユニットの油面を決定するように適合された油面センサ、及び電子制御式のチルト手段を備えている船舶駆動ユニットの油面をチェックする方法では、油面チェックを開始するステップと、チルト手段を制御して駆動ユニットを複数の異なるチルト角位置にチルトさせるステップと、それぞれのチルト角位置について油面センサが駆動ユニットの油面を検知したかを決定するステップと、それぞれのチルト角位置について駆動ユニットのチルト角及び油面センサからの信号を記録するステップと、油面センサがどのチルト角で油面を検知したかを決定するステップと、決定された駆動ユニットのチルト角に応じて駆動ユニットの油面が所定範囲内にあるかを決定するステップと、を含んでいる。
【0010】
この方法の第1の実施形態によって、この方法は、駆動ユニットの油面が所定範囲内にあるか否かをチェックすることができる。このようにして、正しい量のオイルがシステムに満たされているかを決定することができる。これは、オイルフィルタが駆動ユニットの外部に配置されて船舶に配置されている場合に特に有利である。
【0011】
船舶においてオイルフィルタを駆動ユニットの外部に配置する利点は、オイル交換及びオイルフィルタ交換が簡単になることである。通常のスターンドライブ及び船外機では、伝動装置の底部のドレン孔からオイルを排出することによって、伝動装置のオイルを交換する。伝動装置の正しい油面は、上部の通気孔から外にオイルが出たときに得られる。船舶が水から持ち上げられて陸地に置かれたときにのみ、オイル交換はこのように行うことができる。通常のスターンドライブ又は船外機のオイル交換間隔は、たいてい、100~200時間であり、レクリエーション利用のシーズンについて多くの場合必要以上である。しかしながら、船舶がシーズン又はより長い点検間隔(service interval)で2000時間以上使用される可能性がある商用利用については、そのようなオイル交換計画は非常に実際的ではなくかつ時間がかかり、費用がかかるものである。
【0012】
商業的な船舶について、外部のオイルフィルタは、このように有利である。そのようなシステムでは、船舶において、オイルフィルタがスターンドライブから離れて配置、好ましくは、船舶のエンジンルームに配置されている。このように、オイル及びオイルフィルタは、水から船舶を持ち上げる必要なく、簡単な方法で交換することができる。外部のオイルフィルタに関する1つの問題は、通気孔を使用して正しい油面にすることができないため、オイルを補充するときに正しい油面を検知することが困難であるということである。外部のオイルシステムの設置(installation)はまた、例えば、他の補助的な設置設備に応じて、異なる船舶モデルと異なるエンジン設置との間で異なる可能性がある。これは、特定量のオイルがそれぞれの設置間で異なる可能性があることを意味している。典型的なスターンドライブでは、例えば、2~3デシリットルの許容誤差で、オイル量は6リットルとすることができる。このため、スターンドライブにおける普通の油面センサを使用して、正しい量のオイルがシステムで使用されることを保証することができない。普通の油面センサはさらに、スターンドライブのオイル量を測定するが、油面があまりにも低いことを示すように適合されていない。従って、そのようなセンサは、油面が正しいか、又は油面があまりにも高いかを示すことができない。
【0013】
本発明の方法を使用して、油面が所定範囲内にあるか、又は油面が所定範囲外にあるかを決定することができる。油面が所定範囲外にあれば、本方法をさらに使用して、油面が正しい量のオイルからどの位異なっているかを決定することができる。油面が所定範囲を上回っていれば、オイルシステムから排出されるべきオイルはどの位かを決定することができる。油面が所定範囲を下回っていれば、オイルシステムに満たすべきオイルはどの位かを決定することができる。
【0014】
従って、高分解能を有する別々の専用の油面センサを使用する必要はない。駆動ユニットを異なるチルト位置にチルトさせて、同時に油面センサが油面を検知したか否かを決定することによって、このシステムは、油面センサが油面を検知しないチルト角を決定することができる。チルト角及び特定の設置パラメータをこのように使用して、正しい油面がシステムに満たされているか、又はオイル量が正しくないかを決定することができる。システムに十分なオイルがなければ、システムの油圧は、すべてのコンポーネントを潤滑するのに十分高くなく、あまりにも多くのオイルは、油温をより高くしてエネルギー損失につながる過度な摩擦を引き起こす可能性がある。
【0015】
外部のオイルフィルタ、駆動ユニットの油面を決定するように適合された油面センサ、電子制御式のチルト手段、及び電子制御ユニットを備えている船舶駆動ユニットの油面をチェックする本発明の制御システムでは、電子制御ユニットが、駆動ユニットを所定数の角度位置にチルトさせ、油面センサがそれぞれの角度位置において油面を検知したかを決定し、油面が所定範囲内にあるか否かを決定するように適合された点で、本発明の目的が達成される。
【0016】
本発明の制御システムを用いて、正しい量のオイルが外部のオイルフィルタを備えたスターンドライブに満たされているかを決定することができる。この制御システムは、オイルフィルタ及び/又はオイルがスターンドライブシステムで交換されたときに主に使用されることを意図している。推定されたオイル量がシステムに満たされて新しいオイルフィルタが取り付けられると、制御システムはオイルチェックサイクルを実行する。オイルチェックサイクルは、オイル量が所定範囲内にあるか否かを決定する。
【0017】
制御システムの発展では、制御システムはまた、余分なオイルがどの位あるか、又は不足しているオイルがどの位かのいずれかを決定することができる。このように、システムにおいてオイル量を修正することは簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
添付の図面を参照して、以下、本発明をより詳細に説明する。
【0019】
図1】スターンドライブを備えた概略的な船舶を示している。
図2】チルトしていない位置でのスターンドライブを示している。
図3】中間チルト位置でのスターンドライブを示している。
図4】最大チルト位置でのスターンドライブを示している。
図5】本発明の方法の概略的なフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下説明するさらなる発展による本発明の実施形態は、例としてのみ考えられ、特許請求の範囲によって提供される保護の範囲を決して限定するものではない。
【0021】
図1は、駆動ユニット2の油面5をチェックする、本発明の制御システム1を備えた概略的な船舶20を示している。制御システムは、1つ以上のスターンドライブを備えた、任意のタイプの船舶又はウォータクラフトで使用するのに適している。例示された例では、1つのスターンドライブを備えた船舶が使用される。
【0022】
船舶20は、スターンドライブの形態をとる船舶駆動ユニット2を備えている。船舶はさらに、船舶に動力を供給するように適合された、ある種のエンジン6又はモータを備えている。エンジンは、例えば、スターンドライブに接続されたディーゼル内燃機関であってもよい。スターンドライブは、エンジンの動力をスクリュー9に伝達する。スターンドライブの上部には、トランサムを介してエンジンに接続され、90°の角度ギアボックスを介してエンジン動力を下部に伝達するドライブシャフトが含まれている。90°の角度ギアボックスは、他の90°の角度ギアボックスを介して動力をプロペラシャフト及びスクリューに伝達する垂直ドライブシャフトを含んでいる。船舶のトリムを最適化するために、スターンドライブは航行中にチルトさせることができる。スターンドライブはまた、トレーラ移動及び汚れ防止の用途中に完全に上方に回転することができる。スターンボードのチルトは、多くの場合、電気式又は油圧式のリニアシリンダである、1つ以上のチルト手段4を用いて実行される。典型的なスターンドライブのチルト角は、例えば、0°~50°の範囲とすることができる。図示の例におけるチルト手段は、エンジンが動作しているときにエンジンの発電機によって電力が供給される個別の電動ポンプ、又はエンジンが停止しているときにバッテリ11によって電力が供給されることができる、2つの油圧シリンダを備えている。このように、エンジンを動作させなくても、油面をチェックすることができる。チルト手段にはまた、実際のチルト角に比例する信号を出力するチルト角センサが備えられている。このように、実際のチルト角を測定することができる。
【0023】
図示の例では、スターンドライブには、外部のオイルフィルタ7を含む外部のオイル回路が備えられている。オイルフィルタは、船舶の内部に配置、好ましくは、エンジンに近いエンジンルームに配置されている。外部のオイル回路を使用し、かつオイルフィルタを船舶の内側に取り付けることによって、スターンドライブのカバーを開かなくても、オイルフィルタにアクセスすることができる。外部のオイル回路はまた、水から船舶を持ち上げなくても、オイルを交換することができるようになる。好ましくは、オイルよりも頻繁にオイルフィルタを交換することができるが、オイル及びオイルフィルタは同時に交換される。オイルフィルタは、オイル導管8を介してスターンドライブのオイルリザーバに接続され、スターンドライブのオイルは、オイル導管及びオイルフィルタを介して循環する。
【0024】
船舶の制御システムは、エンジン、並びにスターンドライブのチルト及びトリムを制御する。エンジンには、専用のエンジン制御ユニットが備えられている。油面をチェックする制御システムは、個別の電子制御ユニットを備えているか、又は制御システムが船舶の制御システムの既存の制御ユニットに統合されていてもよい。説明する例では、制御ユニットは、スターンドライブのチルト機能を制御するとともに、スターンドライブの油面センサからの信号を読み込むように配置されている。
【0025】
スターンドライブには、ある種の潤滑油面センサ又は油面センサ3が備えられている。このセンサは、例えば、最小の許容油面を検知するように適合されているか、又はオイルの異なるパラメータを測定するように適合されたオイル品質センサであってもよい。このセンサは、センサがオイル内に延びているか否かを検知することができるが、正確な油面を決定することができない。従って、このセンサを使用して、油面が最低の許容油面にいつ達したかを検知することができるが、最適な油面を決定することができない。十分な高分解能を有するリニア油面センサは高価である。
【0026】
スターンドライブにおいてオイルが交換されるとき、オイルフィルタが取り外される。スターンドライブのオイルリザーバからオイルを排出する、既存のオイルポンプの使用又は追加したポンプの使用のいずれかによって、スターンドライブの古いオイルが排出される。スターンドライブは、オイルが排出されるとき、好ましくは、チルトしていない位置、即ち、チルト角が0°に設定される。この位置は、図2に示されている。オイルフィルタを取り外すことによって、オイル導管のオイルがオイルリザーバへと下方に排出される。オイルリザーバからすべての古いオイルが排出されると、新しいオイルがシステムに満たされる。所定の船舶における設置は、満たされなければならない公称のオイル量を有しているが、オイル量の許容誤差が、例えば、合計6リットルに対して0.3デシリットルと比較的小さいため、システムが満たされるときに、オイル量をチェックすることは好都合である。公称のオイル量がシステムに満たされると、新しいオイルフィルタが取り付けられる。エンジンが始動されて、オイルシステムのオイルが、オイルシステムを貫流してオイルフィルタ及び導管を満たし、オイルシステムが抽気される。オイルシステムから空気が除去されると、オイルチェック方法が実行される。
【0027】
正しいオイルがオイルシステムに満たされることをチェックするさらなる利点は、異なるオイルフィルタが異なるオイル量を保持することができるということであり、これはまた、オイルシステムの油面に影響を及ぼす。
【0028】
オイルチェック方法の間、制御システムは、スターンドライブのチルト角を制御して、油面センサがそのチルト角でオイルを検知したかをチェックする。1つの例では、制御システムは、所定間隔、例えば、1°又は2°で、スターンドライブを異なるチルト角に設定する。それぞれのチルト角において、制御ユニットは、油面センサからの信号を読み込む。センサに応じて、信号レベルは高いか低く、又は1つのレベルから他のレベルへと信号が変化する小さい線形範囲があってもよい。それぞれのチルト角について、油面センサの信号値が読み込まれ、例えば、テーブルに保存される。図3は、油面センサが油面から出ようとしている一例を示している。このチルト角において、又は前回若しくは次回のチルト角において、油面センサが、オイルがない、即ち、油面センサがその信号レベルを変化させたかを検知する。制御ユニットは、例えば、オイルの粘土に応じて、それぞれのチルト角で小さなアイドル時間を与えることができる。最後のチルト角、例えば、図4に示す最大チルト角に達したとき、この方法が終了する。例えば、センサからの読取値が1つの信号レベルから他の信号レベルに変化したとき、この方法を停止することもできる。
【0029】
開始チルト角も設定可能である。実際の設置に応じて、油面センサは、例えば、30°又は40°のチルト角で、信号に変化を与えることができる。従って、20°又は30°のチルト角で、この方法を開始することは効果的である可能性がある。油面センサからの信号が1つのレベルから他のレベルに変化したとき、又は選択された停止チルト角で、この方法を停止することもできる。
【0030】
スターンドライブの幾何学的形状、及びオイルリザーバの幾何学的形状が既知であるため、外部のオイルフィルタを備えたそれぞれのスターンドライブの設置に関して、スターンドライブについて正しい油面を決定することができる。このように、システムは、油面センサが1つの信号レベルから他の信号レベルへと変化した、検知されたチルト角に応じて、システムのオイル量を決定することができる。従って、オイルシステムが正しいオイル量を含んでいるか、又はオイルが排出若しくは満たされたかを決定することができる。
【0031】
制御システムが、所定のチルト角で停止することなく、スターンドライブをゆっくりかつ連続的にチルトさせることも可能である。制御システムは、この場合、所定間隔でチルト角を読み込んで、油面センサが高い信号又は低い信号を与えるかを検知する。これらの読取値はまた、例えば、テーブルに保存されて、正しいオイル量を読取値から決定することができる。
【0032】
この方法は、好ましくは、オイル交換が行われたときに実行されて、システムが正しいオイル量を含んでいることを保証する。スターンドライブの伝動装置は、通常、定期的な使用において少しのオイルも失わないので、例えば、1週間に一度、又は1月に一度など、定期的にこの方法を実行する理由がない。異常な状況では、油面センサはとても低い油面を検知する。
【0033】
図5は、船舶の船舶駆動ユニットの油面をチェックする方法の一例の概略的なフローチャートを示している。この方法は、オイル交換が行われたときに実行される。
【0034】
ステップ100では、油面チェックが開始される。これは、専用のボタンによって開始することができるが、好ましくは、船舶の既存の制御システムに備えられたメニューシステムの適切な領域を選択することによって開始される。スターンドライブのチルト角taは、好ましくは、オイルがオイルシステムから排出されたときに0に設定される。そうでなければ、初期化ステップにおいて、開始チルト角tastartを0に設定してもよい。開始チルト角はまた、所望の開始値tastartに設定してもよく、これは、0、又はスターンドライブの実際の設置に応じて、例えば、20°又は30°など、選択されたより高いチルト角値のいずれかであってもよい。このステップでは、停止チルト角がスターンドライブの最大チルト角tamaxと異なる必要があれば、所望の停止チルト角tastopに設定することもできる。
【0035】
ステップ110では、チルト手段が制御されて、スターンドライブを複数の異なるチルト角位置に次々とチルトさせる。スターンドライブは、チルト角にチルトされて、所定のアイドル時間の間、このチルト角で停止される。この時間は、例えば、オイルの粘土に依存することができる。アイドル時間の目的は、油面センサがその出力信号を安定させるのを可能にするためである。
【0036】
ステップ120では、油面センサからの信号が読み込まれて、センサがスターンドライブの油面を検知したかを判定する。それぞれのチルト角について、油面センサの信号がスターンドライブのチルト角と共に記録される。
【0037】
ステップ130では、実際のチルト角taが、選択された停止チルト角値tastopと比較される。停止チルト角に達したら、この方法はステップ140で継続される。
【0038】
ステップ140では、センサがどのチルト角で油面を検知したかを決定する。このチルト角において、センサからの信号が1つの信号レベルから他の信号レベルに変化、即ち、高い読取値から低い読取値へと変化する。
【0039】
ステップ150では、駆動ユニットの油面が、所定範囲内にあるかを決定する。スターンドライブ及び船舶の設置パラメータと共に、オイルシステムに関する全要求オイル量が既知であり、かつスターンドライブのオイルリザーバの幾何学系形状が既知である。これらの形状及びステップ140からのチルト角から、オイルシステムのオイル量を決定することができる。この決定されたオイル量がシステムの所定のオイル量と比較されて、決定されたオイル量が所定のオイル範囲内にあれば、システムは、油面が特定の範囲内にあるというメッセージを提供する。
【0040】
決定されたオイル量が所定のオイル範囲外にあれば、決定されたオイル量が所定のオイル量より少ないか多いかを決定する。決定されたオイル量が所定のオイル量より少なければ、その差が測定されて、オイルシステムに追加すべき追加のオイル量を表すメッセージが与えられる。決定されたオイル量が所定のオイル量より多ければ、その差が測定されて、オイルシステムから排出すべきオイル量を表すメッセージが与えられる。
【0041】
追加のオイルがオイルシステムに追加されるか、又は余分なオイルがオイルシステムから排出されると、新しい油面チェックが実行されて、正しい量のオイルが追加又は排出されたことを保証できる。
【0042】
本発明は、上述の実施形態に限定されると考えるべきでなく、添付の特許請求の範囲内で、いくつかのさらなる変形及び修正が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 制御システム
2 船舶駆動ユニット
3 油面センサ
4 トリム/チルト手段
5 油面
6 エンジン
7 オイルフィルタ
8 オイル導管
9 スクリュー
10 電子制御ユニット
11 バッテリ
20 船舶
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】