(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122279
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】保持部材およびフックを有するクランプカラー
(51)【国際特許分類】
F16B 2/08 20060101AFI20220815BHJP
F16L 23/04 20060101ALN20220815BHJP
F16L 33/03 20060101ALN20220815BHJP
【FI】
F16B2/08 S
F16L23/04
F16L33/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022017629
(22)【出願日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】2101217
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】519155583
【氏名又は名称】カイロウ
【氏名又は名称原語表記】CAILLAU
【住所又は居所原語表記】28,rue Ernest Renan, 92130 ISSY‐LES‐MOULINEAUX,France
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】リゴレー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ジンビ,アブドルフェッタ
【テーマコード(参考)】
3H016
3H017
3J022
【Fターム(参考)】
3H016CA03
3H017EA08
3J022DA15
3J022EA42
3J022FB03
3J022FB07
3J022FB12
3J022FB16
3J022GA03
3J022GA16
3J022GB43
3J022GB45
3J022GB56
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フックを保持部材に引っ掛ける際に、過剰クランプのリスクを回避又は少なくとも制限できるクランプカラーを提供する。
【解決手段】保持部材12を有するベルト10と、保持部材に引っ掛けてカラーの引っ掛けられたクランプ状態を規定するように構成されたフック14とを備えるクランプカラー。フック14は、前壁14Aと、前壁をベルト10に接続する連続部14Bとを有する。保持部材12は、第1当接部材22を有し、第1当接部材22は保持部材12にフック14を引っ掛けている間、第2当接部材24と当接可能であり、保持部材12に対するフック14の最大前進位置を定義する。ベルト10は、第2当接部材24を有する少なくとも1つの当接壁要素を有する。第2当接部材24は、フック14が保持部材12に向かって移動する方向の前方において、最大でベルト10とフック14との接続領域に配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部材(12)を有するベルト(10)と、当該保持部材(12)に引っ掛けて、カラーの引っ掛けられたクランプ状態を規定するように構成されたフック(14)とを備え、
前記フック(14)は、前壁(14A)と、当該前壁を前記ベルト(10)に接続する連続部(14B)とを有し、前記保持部材(12)は、第1当接部材(22)を有し、前記第1当接部材(22)は前記保持部材にフックを引っ掛けている間、第2当接部材(24、34、44)と当接可能であり、前記保持部材(12)に対する前記フック(14)の最大前進位置を規定するクランプカラー(1)であって、
前記ベルト(10)は、前記第2当接部材(24)を有する少なくとも1つの当接壁要素(11A、11C)を有し、
前記第2当接部材は、前記フックが前記保持部材に向かって移動する方向(F14)の前方において、最大で前記ベルト(10)の前記フック(14)との接続領域に配置されることを特徴とするクランプカラー。
【請求項2】
前記第1当接部材および前記第2当接部材(22、24)はそれぞれ、前記ベルトの軸に垂直なベルトの直径面(P)の両側に配置される第1当接面および第2当接面(Z1、Z2)を有する、請求項1に記載のクランプカラー。
【請求項3】
前記ベルト(10)が、径方向内側に延びる少なくとも1つの側面(11A、11C)を備え、前記当接壁要素が前記側面に形成される、請求項1又は2に記載のクランプカラー。
【請求項4】
前記ベルト(10)が、径方向内側に延びる2つの側面(11A、11C)によって区切られた凹部を有し、前記当接壁要素が、これら2つの側面にそれぞれ形成された当接壁要素の2つの部分を備える、請求項3に記載のクランプカラー。
【請求項5】
前記少なくとも1つの側面(11A、11C)は、前記フック(14)を有する前記ベルト(10)の端部(10B)で遮られて縁部を呈し、前記第2当接部材(24)が当該縁部に形成される、請求項3又は4に記載のクランプカラー。
【請求項6】
前記側面(11A、11C)が折り目又は切り欠きにより遮られる、請求項5に記載のクランプカラー。
【請求項7】
前記保持部材(12)は、前記引っ掛けられた状態で、前記フック(14)の前記連続部(14B)の下に延在し、前記第1当接部材(22)を有する延長部(12A)を有する、請求項1~6の何れか一項に記載のクランプカラー。
【請求項8】
前記延長部(12A)は、補強レリーフ(13)を有する、請求項7に記載のクランプカラー。
【請求項9】
前記保持部材(12)は、外側径方向突起部を備える、請求項1~8の何れか一項に記載のクランプカラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クランプカラーに関し、特に、保持部材を有するベルトと、この保持部材に引っ掛けて、カラーの引っ掛けられたクランプ状態を規定するように構成されたフックとを備えるクランプカラーに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのクランプカラーは、例えば、特許文献1、特許文献2又は特許文献3より公知である。
【0003】
これらは特に、対象物をクランプして、例えば、この対象物をもう一方の対象物に接続するために使用される。例えば、もう一方の対象物とは、金属などの材料で作られたチューブであり得、これに接続される対象物とは、チューブ上にスリーブ付けされた導管である。
【0004】
別の例によれば、クランプされた対象物は、軸方向に接続された2つのチューブの端部によって形成される。例えば、これらチューブは金属製であり得、それらの端部において、チューブの外周に径方向に突出した軸受面を有し、これらの軸受面は、チューブが当接している場合、合わせられて一つの膨らみ部を形成する。カラーのベルトは、この膨らみ部を受け止める凹部を有し得る。クランプのために、チューブ同士が当接し、凹部に受け止められるように、それらチューブの軸受面の周りにカラーが配される。軸受面と凹部は、ベルトがクランプされる際に、軸受面同士が互いに近づくような形状とされ得る。そのために、カラーの凹部は、ベルトの軸に向けて折り返され、この軸に垂直な平面に対してわずかに傾斜した脚(ベルトの側面を形成する)を備えたV字型又はU字型の断面を有し得、この軸に近い自由端に向かって、互いに離れていくことで、これらチューブの軸受面が同様に傾斜し得るので、カラーをクランプすることでベルトの直径が小さくなり、軸受面同士が互いに近づく。
【0005】
これらのカラーは、多くの用途において概して満足いくものである。しかし、一部の過酷な用途に於いては、特にクランプされた対象物が硬質の場合、カラーを閉じると一時的に過度のクランプが生じ得、カラーのパフォーマンスに悪影響を与える可能性がある。これは、例えば、エンドピースで硬質プラスチックや金属などの硬質の材料で作られた導管をクランプするためにカラーが使用される場合、又は2つの金属チューブを軸方向に接続するためにチューブが使用される場合、特にそれらの金属の軸受面を介して金属チューブをクランプするといった場合に起こり得る。
【0006】
クランプされた対象物へのカラーのクランプが瞬間的に強すぎる場合、カラーの一部、特にフックが塑性化する、つまり不可逆的な変形を受けるか、クランプされた対象物が塑性変形するか、マイクロクラックなどの損傷を受ける可能性がある。
【0007】
これらの現象は、クランプ時に検出できない場合があり、時間の経過とともにクランプのパフォーマンスに悪影響を与え得る。例えば、クランプカラーを使用してエンドピース上の流体導管を接続したり、流体用の2つのチューブを接続したりする際に、アセンブリの締まりが確保されない可能性がある。
【0008】
特許文献4は、保持部材の後ろにフックを引っ掛ける際にフックの内面と当接可能なアバットメントを保持部材に設けることにより、この問題を解決しようと試みている。従って、カラーのクランプ中に、フックを移動させ、フックの前壁を保持部材を超えて保持部材の保持面を通過するまで前進させ、保持部材の後部でフックをこの保持面に引っ掛けることができるようにする。フックが十分に前進してこの引っ掛けが可能になると、フックがそれ以上前進するのを防ぐために、アバットメント同士が協働する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第2480355号明細書
【特許文献2】欧州特許第0627591号明細書
【特許文献3】米国特許第5353478号明細書
【特許文献4】仏国特許第2705410号明細書
【0010】
この解決策は効果的と言えるが、アバットメントとフックの内面との間に高品質で信頼性の高い当接を確保するのは難しい場合がある。関係するクランプ力が高い場合、この当接は不安定になる可能性があり、フックの内面は、実際にアバットメントを保持せずに、アバットメントの摺動斜面として機能する可能性がある。さらに、この当接は、フックの径方向内側へのわずかな傾斜に抗う傾向がある。この傾斜は、フックの前壁が最初の当接部材を通過した後に、保持部材の後ろに引っ掛けられたフックを保持するために必要である。従って、この解決策は、フックの保持部材への引っ掛けに悪影響を与え得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、特にフックを保持部材に引っ掛ける際に、前記解決策の欠点を実質的に除くことにより、過剰クランプのリスクを回避又は少なくとも制限し、前述の欠点を少なくとも部分的に克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本開示は、保持部材を有するベルトと、この保持部材に引っ掛けて、カラーの引っ掛けられたクランプ状態を規定するように構成されたフックとを備えるクランプカラーに関し、フックは、前壁とこの前壁をベルトに接続する連続部とを有する。保持部材は、第1当接部材を有し、第1当接部材は保持部材にフックを引っ掛けている間、第2当接部材と当接可能であり、保持部材に対するフックの最大前進位置を規定する。ベルトは、第2当接部材を有する少なくとも1つの当接壁要素を有し、この第2当接部材は、フックが保持部材に向かって移動する方向の前方において、最大でベルトのフックとの接続領域に配置される。
【0013】
従って、フックの引っ掛け中にフックを過度に前進させることは回避され、これにより、この引っ掛け中の過度のクランプを回避することができる。従って、カラーをクランプするための引っ掛け中に瞬間的にかかる過度の力に因るフックの塑性変形を防ぐことで、フックの完全な状態が維持される。同時に、カラーは特定の直径を有する対象物にクランプされるように設計されており、第1当接部材および第2当接部材の当接が予め定義されたカラーの仕様直径に対応するので、この対象物を過度にクランプすることが回避される。
【0014】
第1当接部材と第2当接部材間の当接は、第2当接部材の位置的理由により、フックの外側、特にその後方でなされる。従って、この当接はフックに関係せず、保持部材への引っ掛けに必要なフックの傾斜を妨げる可能性は低い。フックにかかる力によって劣化したり失われたりしないので、滑りのリスクは排除、或いは少なくとも大幅に軽減される。
【0015】
必要に応じて、第1当接部材および第2当接部材はそれぞれ、ベルトの軸に垂直なベルトの直径面の両側に配置される第1当接面および第2当接面を有する。
【0016】
必要に応じて、ベルトは、径方向内側に延びる少なくとも1つの側面を備え、当接壁要素がこの側面に形成される。
【0017】
必要に応じて、ベルトは、径方向内側に延びる2つの側面によって区切られた凹部を有し、当接壁要素は、これら2つの側面にそれぞれ形成された当接壁要素の2つの部分を備える。
【0018】
必要に応じて、少なくとも1つの側面は、フックを有するベルトの端部で遮られて縁部を呈し、第2当接部材がこの縁部に形成される。
【0019】
必要に応じて、側面は折り目又は切り欠きにより遮られる。
【0020】
必要に応じて、保持部材は、引っ掛けられた状態で、フックの連続部の下に延在し、第1当接部材を有する延長部を有する。
【0021】
必要に応じて、延長部は補強レリーフを有する。
【0022】
必要に応じて、保持部材は、外側径方向突起部を備える。
【0023】
このように、第1当接部材および第2当接部材は、フックを保持部材に引っ掛ける時に、保持部材に対するフックの最大前進位置を定義するという機能を果たしながら、非常に簡単な方法で作製され得ることが理解される。より具体的には、フックの前壁が保持部材の後方を通過して保持部材に引っ掛かるとき、当接部材間で滑るリスクがなく、引っ掛けに必要なフックの傾斜に悪影響を及ぼさない。カラーは、特に金属製であり、必要に応じて一体型とし、第1当接部材および第2当接部材は、カラーの金属材料を単に折り畳むか、切断および/又は圧入することによって作製され得る。
添付の図面を参照しつつ、非限定的な例として示された以下の実施形態の説明から、本開示のその他の特徴および目的の長所が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、側面図において、対象物に対し閉じてクランプされる用意のできた、本開示によるクランプカラーを示している。
【
図2】
図2は、対象物にクランプしたときのカラーを示す。
【
図2B】
図2Bは、IIの詳細図であり、
図2の矢印IIBに沿った、下から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2と同様の図で、1つの変形例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、IVの詳細図であり、
図4の矢印IVBに沿って下から見た斜視図である。
【
図4C】
図4Cは、
図4の矢印IVBに沿って下から見たIVの詳細な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
【0026】
図1は、2つの端部10A、10Bを有するベルト10を備えるクランプカラー1を示す。端部10Aは保持部材12を有し、端部10Bは、保持部材12に引っ掛けて、
図2に示すカラーの引っ掛けられたクランプ状態を規定するように構成されたフック14を有する。この実施例において、保持部材12はベルト10の外周に対し、外側径方向突起部である。この実施例において、これは外向きに形成された二つ折りである。
【0027】
一般に、カラーのクランプ状態では、ベルト10は軸Aの円を規定し、この軸は、クランプカラーの軸又はそのベルトの軸として定義される。
【0028】
本開示の意味において、外向き又は上向きとは、この軸Aから離れる方向であると定義される。逆に、内向き又は下向きとは、この軸Aに近づく方向である。さらに、保持部材に引っ掛けるために、フック14が矢印F14の方向に移動することが理解される。従って、フックに焦点を合わせると、前方方向はこの矢印F14で定義される方向であると見なされる。一般に、フック14又はベルトの端部10Bに焦点を合わせると、前方方向は、ベルトを通過せずに保持部材12および端部10Aに向かう方向である。同様に、引っ掛け中に、保持部材12は、F12の方向にフックに向かって移動する。従って、保持部材12およびベルトの端部10Aに焦点を合わせると、前方方向は、ベルト10を通過せずにフック14の端部10Bに向かう方向であると定義される。
【0029】
フック14は、前壁14Aと、前壁14Aをベルト10に接続する連続部14Bとを有する。カラーのクランプ状態では、前壁14Aは、保持部材12の後ろに保持され、保持部材12の前部は、フック14の連続部14Bの下に配置される。
【0030】
この実施例において、フック14は、出願人による仏国特許出願番号第1910485号に記載されたタイプのものであり、これを参照することができる。特に、フックの連続部14Bは、径方向外向きに突出する把持面16と、それに対して径方向に後退することによって把持面の両側で軸方向に延びる2つの側縁16A、16B(
図3参照)とを有する。ここで、軸方向は、軸Aで定義される方向に沿っていると理解される。この把持面16は、フックの連続部14Bのボス16’の後部に形成されている。フックの前壁14Aは、少なくとも1つ、この実施例では2つの補強リブ15を有する。
【0031】
従って、この具体例において、フックの連続部14Bは、フックとベルトの端部10Bの接続部の高さで、ベルトの接線方向Tに対して角度αだけ傾斜した実質的に直線である概略の方向Dを規定する(
図1参照)。この角度αは、例えばおよそ10~40度であり、特におよそ20~30度である。フックの連続部は曲げなしで、特に突起なしで、ベルトの端部10Bに接続されている。
【0032】
しかしながら、本開示は、他のタイプのフック、特に、その連続部が外向きの径方向のうねりによって定義されるフック、および/又はベルトの端部10Bへの接続領域が、外向きの径方向の折り目によって定義される、例えば米国特許第5353478号に例示されるフックに関し得る。
【0033】
図1は、破線で示す対象物2にクランプしているカラー1を示す。例えば、この対象物2は、軸方向に接続されたチューブの2つの端部のアセンブリである。カラー1は、クランプツール、特にプライヤを使用してクランプされる。その2つの顎部、それぞれ、保持部材12の後ろで係合するM1、およびこの実施例においては、その把持面16の後ろでフック14に係合するM2が示される。
【0034】
本開示によれば、保持部材12は、
図2、
図2Aおよび
図2Bに見られるように、フック14を保持部材12に引っ掛けている間に第2当接部材24に当接する第1当接部材22を有し、保持部材12に対するフックの最大前進位置を定義する。
【0035】
これに関して、
図2は、フック14の前壁が保持部材12の後ろを通過するときの、ちょうど引っ掛けた瞬間のカラーを示している。当接部材22および当接部材24が当接状態のとき、保持部材12の後部には、この保持部材12の後壁とフックの前壁14Aの内面との間に、隙間jによって示される非常にわずかな空間が存在してもよい。当接部材22および当接部材24の当接により、保持部材12に対するフック14の最大前進位置が規定されることが分かる。
【0036】
この実施例において、第1当接部材は、保持部材12の延長部12A上に形成されることが図から分かる。この延長部は、この保持部材12に対して前方に延在し、引っ掛け状態ではフックの連続部14Bの下に延在する。
図2Bで特に示されるように、この延長部12Aは、1つ又は複数の補強要素、例えば、内側に凹部と外側にボスを形成する加工硬化13によって、保持部材12の径方向に突出した部分と接続され得る。一般的に、この加工硬化は延長部12Aの内面又は外面上に突出する補強レリーフを形成する。
【0037】
この実施例において、保持部材12は、ベルトの端部10Aに接続された後部折り畳み部分12’と、延長部12Aを有する前部折り畳み部分12’’とを備えた径方向二つ折りによって形成される(
図2B参照)。補強レリーフ13は、前部折り畳み部分12’’と延長部12Aとの間の接合部に形成される。延長部は、例えば実質的にベルト10の周方向の延長部に延長することによって、保持部材12の上部に対して径方向内側にオフセットされる。従って、延長部12Aは、実質的にベルトの円周方向に沿って、この保持部材12を超えて保持部材の前方に延び得る。従って、特に
図2Aで理解されるように、カラーのクランプ状態では、延長部12Aの内面は、ベルトの内面の延長部において実質的に円周方向に延びる。また、延長部は実質的に平面であり、保持部材12とベルトの端部10Aの接続部の領域に対して、ベルトの周方向に対し実質的に接線方向に延び得る。
【0038】
第2当接部材24に関して言えば、ベルト10、特にベルトの端部10Bとフック14との接続領域に位置する。従って、
図2Aに見られるように、この第2当接部材24は、ベルトの端部10Bに位置し、フックの連続部14Bとの移行領域にある。
【0039】
この実施例において、図示されるカラーはベルトが凹部を有するタイプである。実際、このベルト10は、内側に延びる少なくとも1つの側面11Aを有する。この実施例において、ベルトは2つの側面11Aと11Cを有し、これらは中央の円筒状領域11Bの両側に伸びている(
図3参照)。従って、ベルトは一般に、クラウン部11Bを備えたU字形又はV字形の半径方向の断面を有し、これがUの基部又はVの先端を形成し、その内周がベルトの最大内径を定義し、2つの側面11Aと11Cをそれぞれ定義する2つの翼を有する。このクラウン部11Bは、2つの側面11Aと11Cとの間に中央領域を形成する。実際、カラーによりクランプされた対象物2は、例えば2つの軸方向に接続されたチューブの軸受面により形成される径方向の膨らみを有し得、この膨らみは、側面11Aと側面11Cとの間で区切られたベルトの内側凹部に受け入れられる。従って、保持部材12の延長部12Aがベルトの外周の延長部に延在していることが示されている場合、実際には、ベルト部分であるクラウン部11Bの延長部に延在していると考えられる。
【0040】
ベルトの第1端部10Aにおいて、側面11Aおよび側面11Cは、径方向に真っ直ぐにされて、実質的に中央領域11Bによって規定される円筒面となり、折り畳まれることにより保持部材12を形成する。同様に、ベルトの第2端部10Bでは、側面11Aおよび側面11Cが真っ直ぐにされて、フックの連続部14Bには側面がなく、それらの材料の続きは、この連続部14Bにより定義された円周の概略の方向に配置される。従って、ベルトの端部10Bで、側面11Aおよび側面11Cは遮られ、フック14の前部に向いた縁部を有する。
【0041】
第2当接部材24は、側面11Aおよび側面11Cのこれら縁部に形成される。これらの側面は、ベルトの端部10Bで第2当接部材24を形成する当接壁要素を形成する。より具体的には、第2当接部材24は、これら側面の縁部に形成され、これら側面とフックとの間の移行領域を形成する。従って、この実施例において、第2当接部材24は、2つの側面11Aおよび側面11Cの縁部から形成され、これらは、フックとベルトの端部10Bとの接続領域において、この接続領域の軸方向の中央の両側に延びる。
【0042】
第2当接部材は、2つの側面11Aおよび11Cの縁部にそれぞれ配置された2つの部分を備えることが理解される。より具体的には、
図2Bおよび
図2Cに見られるように、第1当接部材22および第2当接部材24はそれぞれ、ベルトの軸1に垂直なベルトの直径メジアン面Pの両側に配置される第1当接面Z1および第2当接面Z2を有する。さらに、カラーはこの平面Pに対して対称である。
【0043】
従って、当接は平面Pの両側で分散される。これは、この平面に対する傾斜を抑制し、従って、クランプツールがフックおよび保持部材に対して完全でない状態で配置される場合でも正しく動作する。
【0044】
材料が高度に加工硬化されている領域である側面に形成されているため、第2当接部材は特にクランプ力に対する耐性が高い。
【0045】
これは、第2当接部材が、側面の材料を中央領域11Bの平面に戻すために折り畳まれた側面の縁部に形成され、これらの部分がその後特に強度に加工硬化される場合、なおさら当てはまる。さらに、これらの縁部は完全に区切られているため、正確な当接を可能とする。
【0046】
この実施例において、カラーは、側面11Aおよび側面11Cが局所的に遮られる領域17間に位置するベルトの領域18により形成されるキャパシティーリザーブを有する。キャパシティーリザーブを形成する領域18は、例えば、ボア18Aなどを有することによって、変形性を高め得る。この観点から、カラーは、参照可能な仏国特許出願番号第1910486号に記載されたように作製され得る。
【0047】
次に、
図4、
図4A-
図4Cおよび
図5について説明する。これは、第2当接部材の構造のみが上述されたカラーと異なる1つの変形例を示している。従って、これらの図では、第2当接部材を指定するものを除いて、
図1、
図2、
図2A-
図2C、および
図3と同じ参照番号が使用されている。
【0048】
図1、
図2、
図2A-
図2Cおよび
図3では、側面は、中央領域11Bの平面内でそれらを真っ直ぐにする折り目によってベルトの端部10Bで遮られている。
【0049】
図4、
図4A-
図4Cおよび
図5の変形例では、側面11Aおよび側面11Cは切り欠きによって遮られている。従って、第2当接部材124が形成される縁部は、実質的に径方向に配向された側面の先端である。
図4Bおよび
図4Cに見られるように、カラーは、ベルトの軸Aに垂直である直径メジアン面Pに対して対称であり、第1当接部材22と第2当接部材124との間の当接は、平面Pの両側で行われる。
【0050】
ベルトの端部10Bにある側面11Aおよび側面11Cの切り欠きにより、ベルトは中央領域11Bを介してのみフックに取り付けられる。しかしながら、フックは、このようにベルトに取り付けられた後端部114Cから、増大する幅(軸方向に測定される)を有し得るので、その前部14Aにおいて、フックはカラーが形成されるストリップの全幅による恩恵を受ける。これは、特に
図5に示されている。また、前の実施形態と同様に、ベルトの端部10Aにおいて、側面と側面が同一平面になり、保持部材を形成することが分かる。ただし、この領域を切断することで側面を遮ることも勿論可能である。
【0051】
第2当接部材は、略径方向に配向され、従って変形しにくいクリーンな軸受面を有する切り欠きの縁に形成されるため、クランプ力に対して特に耐性がある。さらに、第2当接部材の位置調整は特に正確である。
【外国語明細書】