(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122290
(43)【公開日】2022-08-22
(54)【発明の名称】感光性組成物及びそれから作製されるフォトレジストドライフィルム
(51)【国際特許分類】
G03F 7/033 20060101AFI20220815BHJP
G03F 7/029 20060101ALI20220815BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220815BHJP
C08F 257/02 20060101ALI20220815BHJP
C08F 212/06 20060101ALI20220815BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20220815BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20220815BHJP
C25D 5/02 20060101ALI20220815BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20220815BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20220815BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
G03F7/033
G03F7/029
G03F7/004 501
G03F7/004 512
C08F257/02
C08F212/06
C08F290/06
C08F2/50
C25D5/02 E
C25D7/00 J
C25D7/12
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022018481
(22)【出願日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】63/147,680
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519372065
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツン-ハン ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】リエン リン
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J011
4J026
4J100
4J127
4K024
【Fターム(参考)】
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4K024GA16
(57)【要約】
【課題】感光性組成物及びそれから作製されるフォトレジストドライフィルムを提供する。
【解決手段】本発明は、(a)新規ポリマーバインダーと、(b)重合性化合物と、(c)光開始剤と、(d)感光剤とを含む感光性組成物を提供する。感光性組成物は、同等の接着性及び解像度で改善された現像性能及び/又は剥離性能を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性組成物であって、
(a)ポリマーバインダーであって、
10~70重量%の、式1
【化1】
によって表される構造単位、
15~35重量%の、式2
【化2】
によって表される構造単位、及び
5~60重量%の、式3
【化3】
によって表される構造単位
(式中、
R
1、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、H又はCH
3であり、
R
2は、C
1~C
3アルキル、C
1~C
3アルコキシ、-NH
2又はハロゲンであり、
mは、0~5の整数であり、及びmが2~5である場合、複数のR
2基は、同じであるか又は異なり得、
R
5は、C
1~C
5アルキル、ベンジル又はC(O)CH
2C(O)CH
3であり、及び
nは、0~12の整数であり、
但し、nが0である場合、nが0以外である式3の少なくとも1つの二価基が存在する)
で構成され、各構造単位の重量比は、前記ポリマーバインダーを構成するための重合可能な前駆体の総重量に基づく、ポリマーバインダーと、
(b)重合性化合物と、
(c)光開始剤と、
(d)感光剤と
を含む感光性組成物。
【請求項2】
前記光開始剤(c)は、ヘキサアリールビイミダゾール化合物を含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
水素供与体(e)を更に含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記ポリマーバインダー(a)は、25,000~100,000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項5】
(a)30~70重量%の少なくとも1つのポリマーバインダーと、
(b)10~70重量%の少なくとも1つの重合性化合物と、
(c)0.1~20重量%の少なくとも1つの光開始剤と、
(d)0.01~1重量%の少なくとも1つの感光剤と、
(e)0~2重量%の少なくとも1つの水素供与体と、
(f)0~10重量%の他の添加剤と
を含み、前記%は、前記感光性組成物の総重量に基づく、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項6】
支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された感光層とを含む感光性ドライフィルムであって、前記感光層は、請求項1又は5に記載の感光性組成物を含む、感光性ドライフィルム。
【請求項7】
基板上にレジストパターンを形成するための方法であって、
i)基板上に、請求項1又は5に記載の感光性組成物を含む画像化可能な層を形成する工程と、
ii)活性光線に像様露光して、前記画像化可能な層に露光領域と未露光領域とを生成する工程と、
iii)前記画像化可能な層の未露光部分を除去することにより、前記レジストパターンを現像する工程と
を含む方法。
【請求項8】
プリント配線基板を作製するための方法であって、導体パターンを形成するために、請求項7に記載の方法に従って形成されたレジストパターンを有する基板をエッチング又はめっきする工程を含む方法。
【請求項9】
半導体パッケージを作製するための方法であって、請求項7に記載の方法に従って形成されたレジストパターンを有する前記基板をめっきする工程を含む方法。
【請求項10】
バンプを作製するための方法であって、請求項7に記載の方法に従って形成されたレジストパターンを有する前記基板をめっきする工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物、感光性ドライフィルム及び感光性組成物から得られるレジストパターンを形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板(PCB)及び集積回路(IC)の製造の分野では、感光性組成物は、プリント回路の製造、平版印刷版の形成及び補強用途で使用されることがよく知られている。様々な用途に関係なく、感光性組成物の主な機能は、レジストパターンを形成することである。ネガ型感光性組成物からレジストパターンを形成する一般的なプロセスは、典型的には、i)感光性組成物を基板に塗布する工程と、ii)活性光線に像様露光する工程と、iii)現像してレジストパターンを形成する工程とを含む。パターンを形成するためのエッチング又はめっき処理後、硬化したレジストパターンは、一般に、処理された基板から剥離される。
【0003】
電子及び通信製品の市場動向に伴い、配線/パッキング密度の増加に対する需要に対応するため、感光性組成物は、優れた解像度及び接着性が求められている。更に、生産効率を改善するために、より速い現像時間及びより短い剥離時間を可能にする感光性組成物も必要とされている。
【0004】
感光性組成物の少なくとも1つの成分を変更することにより、それから作製されたフォトレジストに所望の特性を与えるために、様々な感光性組成物が過去に検討されてきた。例えば、化学溶液耐性及び感度が改善された感光性樹脂組成物は、成分(D)であるスチリル-ピリジン化合物が感光特性を増強することと、成分(A)である、(メタ)アクリル酸(I)、スチレン(II)、アルキル(メタ)アクリレート(III)及びEO修飾フェノール(メタ)アクリレート(IV)から誘導される特定のバインダーポリマーが低膨潤性を付与することとを教示する(特許文献1)に開示されている。
【0005】
レジストパターンの現像時間及び剥離時間を改善することは、レジストパターンがそれから作製された感光性組成物の酸の含有量を増加させることによって達成することができる。しかしながら、感光性組成物のより高い酸の含有量は、接着性及び解像度を低下させる結果となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-167394号公報
【特許文献2】米国特許第652275号明細書
【特許文献3】米国特許第4162162号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
得られるレジストパターンの良好な解像度及び接着性を維持しながら、改善された現像及び剥離特性、即ちより短い現像時間及び剥離時間を有する新しい感光性組成物に対する継続的な必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、本発明は、感光性組成物であって、
(a)ポリマーバインダーであって、10~70重量%の、式1
【0009】
【0010】
によって表される構造単位、15~35重量%の、式2
【0011】
【0012】
によって表される構造単位、及び5~60重量%の、式3
【0013】
【0014】
によって表される構造単位
(式中、
R1、R3及びR4は、それぞれ独立して、H又はCH3であり、
R2は、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、-NH2又はハロゲンであり、
mは、0~5の整数であり、及びmが2~5である場合、複数のR2基は、同じであるか又は異なり得、
R5は、C1~C5アルキル、ベンジル又はC(O)CH2C(O)CH3であり、及び
nは、0~12の整数であり、
但し、nが0である場合、nが0以外である式3の少なくとも1つの二価基が存在する)
で構成され、各構造単位の重量比は、ポリマーバインダーを構成するための重合可能な前駆体の総重量に基づく、ポリマーバインダーと、
(b)重合性化合物と、
(c)光開始剤と、
(d)感光剤(photosensitizer)と
を含む感光性組成物に関する。
【0015】
第2の態様では、本発明は、支持フィルムと、支持フィルム上に形成された感光層とを含む感光性ドライフィルムであって、感光層は、本発明の感光性組成物を含む、感光性ドライフィルムに関する。
【0016】
第3の態様では、本発明は、基板上にレジストパターンを形成するための方法であって、
i)基板上に、本発明の感光性組成物を含む画像化可能な層(imageable layer)を形成する工程と、
ii)活性光線に像様露光して、画像化可能な層に露光領域と非露光領域とを生成する工程と、
iii)画像化可能な層の未露光部分を除去することにより、レジストパターンを現像する工程と
を含む。
【0017】
前述の概要及び以下の詳細な説明は、例示的且つ説明的なものにすぎず、添付の特許請求の範囲で定義されているように、本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、特に明記しない限り、あたかも完全に示されているかのように、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に明確に援用される。
【0019】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。不一致の場合、定義を含めて、本明細書が優先される。
【0020】
特に明記しない限り、全てのパーセント、部、比等は、重量による。
【0021】
本明細書で用いる場合、用語「から生成される」は、「含む」と同義語である。本明細書で用いる場合、用語「含む」、「含んでいる」、「包含する」、「包含している」、「有する」、「有している」、「含有する」若しくは「含有している」又はそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含む組成物、プロセス、方法、物品又は装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確に列挙されていないか、又はこのような組成物、プロセス、方法、物品若しくは装置に固有の他の要素を含み得る。
【0022】
移行句「からなる」は、明記されていないあらゆる要素、工程又は原料を排除する。請求項における場合、このような句は、それらと通常関係がある不純物を除いて、列挙されるもの以外の材料の包含を請求項から排除する。語句「からなる」が、前文の直後よりもむしろ請求項の本体の条項に現れる場合、それは、その条項に記述される要素のみを限定し、他の要素は、全体として請求項から排除されない。
【0023】
移行句「から本質的になる」は、文字通りに考察されるものに加えて、材料、工程、特徴、構成成分又は要素を含む組成物、方法又は装置を定義するために用いられ、但し、これらの追加の材料、工程、特徴、構成成分又は要素は、特許請求される本発明の基本的及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないことを条件とする。用語「から本質的になる」は、「含む」と「からなる」との間の中間領域を占める。
【0024】
用語「含む」は、用語「から本質的になる」及び「からなる」によって包含される実施形態を含むことを意図する。同様に、用語「から本質的になる」は、用語「からなる」によって包含される実施形態を含むことを意図する。
【0025】
量、濃度又は他の値又はパラメータが範囲、好ましい範囲又は上方の好ましい値及び下方の好ましい値の一覧のいずれかとして示される場合、これは、範囲が個別に開示されているかどうかに関わらず、任意の上方の範囲限界又は好ましい値と、任意の下方の範囲限界又は好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示していると理解されるべきである。例えば、「1~5」の範囲が挙げられる場合、挙げられた範囲は、「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2及び4~5」、「1~3及び5」等を含むものと解釈されるべきである。数値の範囲が本明細書で挙げられる場合、特に明記しない限り、その範囲は、その端点並びにその範囲内の全ての整数及び分数を含むことが意図される。
【0026】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」及び「1つ又は2つ以上」の概念を含む。特に明記されない限り、全てのパーセント、部、比等は、重量による。
【0027】
用語「約」が値又は範囲の端点を表すために用いられる場合、本開示は、言及される特定の値又は端点を含むと理解されるべきである。
【0028】
更に、明確にそれとは反対のことが述べられない限り、「又は」は、包括的な「又は」を意味し、排他的な「又は」を意味しない。例えば、条件A又はBは、以下:Aが真であり(又は存在し)、且つBが偽である(又は存在しない)こと、Aが偽であり(又は存在せず)、且つBが真である(又は存在する)こと並びにA及びBが両方とも真である(又は存在する)ことの任意の1つによって満たされる。
【0029】
用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。同様に、用語「(メタ)アクリロイルオキシ基」は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を意味する。用語「(ポリ)エチレンオキシ」は、2つ以上のエチレン基がエーテル結合を介して結合しているエチレンオキシ基又はポリエチレンオキシ基の少なくとも1つを意味する。エチレンオキシ基は、(-CH2CH2-O-)によって表される基であり、「オキシエチレン基」又は「エチレンオキシド」とも呼ばれる。本明細書で使用される用語「(ポリ)プロピレンオキシ基」は、2つ以上のプロピレン基がエーテル結合を介して結合しているプロピレンオキシ基又はポリプロピレンオキシ基の少なくとも1つを意味する。プロピレンオキシ基は、(-CHCH3CH2-O-)によって表される基、(-CH2CHCH3-O-)によって表される基又は(-CH2CH2CH2-O-)によって表される基であり、「オキシプロピレン基」又は「プロピレンオキシド」とも呼ばれる。用語「EO修飾」化合物は、(ポリ)エチレンオキシ基を有する化合物を意味し、「PO修飾」化合物は、(ポリ)プロピレンオキシ基を有する化合物を意味し、「EO、PO修飾」化合物は、(ポリ)エチレンオキシ基及び(ポリ)プロピレンオキシ基の両方を有する化合物を意味する。
【0030】
用語「シート」、「層」及び「フィルム」は、それらの広い意味で交換可能に使用される。
【0031】
本発明の実施形態は、本明細書に記載の任意の実施形態を含み、任意の様式で組み合わせることができ、実施形態における変数の説明は、本発明の感光性組成物だけでなく、それから作製された感光性ドライフィルムにも関する。
【0032】
本発明は、本明細書で以下に詳細に説明される。
【0033】
感光性組成物
以下では、本開示の感光性樹脂組成物に含まれ得る各成分について説明する。
【0034】
(a)ポリマーバインダー
感光性組成物は、成分(a)として、式1によって表される構造単位(即ち置換スチレン又はα-メチルスチレンから誘導される)、式2によって表される構造単位(即ち(メタ)アクリル酸から誘導される)及び式3によって表される少なくとも1つの構造単位(即ち(ポリ)エチレンオキシ置換基を有する(メタ)アクリレートエステルから誘導される)を含む。成分(a)は、必要に応じて、他のバインダーを更に含むことができる。
【0035】
【0036】
式中、
R1、R3及びR4は、それぞれ独立して、H又はCH3であり、
R2は、C1~C3アルキル、C1~C3アルコキシ、-NH2又はハロゲンであり、
mは、0~5の整数であり、及びmが2~5である場合、複数のR2基は、同じであるか又は異なり得、
R5は、C1~C5アルキル、ベンジル又はC(O)CH2C(O)CH3であり、及び
nは、0~12の整数であり、
但し、nが0である場合、nが0以外である式3の少なくとも1つの二価基が存在する。
【0037】
置換スチレン又はα-メチルスチレン(即ち式1によって表される構造単位の前駆体)の重量比は、ポリマーバインダー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量に基づいて10~70重量%、好ましくは20~65重量%、より好ましくは30~60重量%である。
【0038】
(メタ)アクリル酸(即ち式2によって表される構造単位の前駆体)の重量比は、ポリマーバインダー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量に基づいて15~35重量%、好ましくは20~30重量%である。
【0039】
(ポリ)エチレンオキシ置換基を有する(メタ)アクリレートエステル(即ち式3によって表される構造単位の前駆体)の重量比は、ポリマーバインダー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量に基づいて5~60重量%、好ましくは10~55重量%、より好ましくは、15~50重量%である。
【0040】
一実施形態では、ポリマーバインダー(a)は、ポリマーバインダー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量に基づいて10~70重量%の置換スチレン又はα-メチルスチレン、15~35重量%の(メタ)アクリル酸及び5~60重量%の、(ポリ)エチレンオキシ置換基を有する(メタ)アクリレートエステルで構成される混合物から誘導される。
【0041】
別の実施形態では、ポリマーバインダー(a)は、ポリマーバインダー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量に基づいて20~65重量%の置換スチレン又はα-メチルスチレン、20~30重量%の(メタ)アクリル酸及び10~55重量%の、(ポリ)エチレンオキシ置換基を有する(メタ)アクリレートエステルで構成される混合物から誘導される。
【0042】
更に別の実施形態では、ポリマーバインダー(a)は、ポリマーバインダー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量に基づいて30~60重量%の置換スチレン又はα-メチルスチレン、20~30重量%の(メタ)アクリル酸及び15~50重量%の、(ポリ)エチレンオキシ置換基を有する(メタ)アクリレートエステルで構成される混合物から誘導される。
【0043】
式3によって表される構造単位は、(ポリ)エチレンオキシ置換基を有さない(メタ)アクリレートエステルなどの重合性前駆体から誘導され得るが、但し、ポリマーバインダーを構成する重合性前駆体は、(ポリ)エチレンオキシ置換基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートエステルを含むことを条件とする。(ポリ)エチレンオキシ置換基を有さない(メタ)アクリレートエステルの例には、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが含まれる。アルキル(メタ)アクリレートは、好ましくは、1~5つの炭素原子を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。アルキル(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物が含まれる。
【0044】
(メタ)アクリレートエステル(即ち式3の前駆体及びn=0)の重量比は、ポリマーバインダー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量に基づいて0~35重量%、好ましくは5~30重量%、より好ましくは10~25重量%である。
【0045】
一実施形態では、ポリマーバインダー(a)は、ポリマーバインダー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量に基づいて10~70重量%の置換スチレン又はα-メチルスチレン、15~35重量%の(メタ)アクリル酸、5~60重量%の、(ポリ)エチレンオキシ置換基を有する(メタ)アクリレートエステル及び0~35重量%の(メタ)アクリレートエステルで構成される混合物から誘導される。
【0046】
別の実施形態では、ポリマーバインダー(a)は、ポリマーバインダー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量に基づいて20~65重量%の置換スチレン又はα-メチルスチレン、20~30重量%の(メタ)アクリル酸、5~50重量%の、(ポリ)エチレンオキシ置換基を有する(メタ)アクリレートエステル及び5~30重量%の(メタ)アクリレートエステルで構成される混合物から誘導される。
【0047】
更に別の実施形態では、ポリマーバインダー(a)は、ポリマーバインダー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量に基づいて30~60重量%の置換スチレン又はα-メチルスチレン、20~30重量%の(メタ)アクリル酸、5~40重量%の、(ポリ)エチレンオキシ置換基を有する(メタ)アクリレートエステル及び10~25重量%の(メタ)アクリレートエステルで構成される混合物から誘導される。
【0048】
ポリマーバインダー(a)は、上記の重合性前駆体以外の他の重合性前駆体から誘導され得る。このような他の重合性前駆体には、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロ-エチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル-オキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル-オキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピルオキシエチル(メタ)-アクリレートなどの他の(メタ)アクリレートエステル、α-ブロモアクリル酸、α-クロロアクリル酸、β-フリル(メタ)アクリル酸及びβ-スチリル(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル酸誘導体、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル-n-ブチルエーテルなどのビニルアルコールのエーテル化合物、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル及びマレイン酸モノイソプロピルなどのマレイン酸モノエステル、フマル酸、桂皮酸、α-シアノ桂皮酸、イタコン酸、クロトン酸及びプロピオール酸などの不飽和カルボン酸誘導体並びにこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
ポリマーバインダー(a)は、例えば、通常の方法を使用して、スチレン又はα-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、(ポリ)エチレンオキシ置換基を有する(メタ)アクリレートエステル及び任意選択の他の重合性前駆体で構成される混合物のラジカル重合によって得ることができる。
【0050】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されたポリマーバインダーの重量平均分子量(Mw)(ポリスチレン標準を使用して作成された検量線に基づいて計算)は、好ましくは、25,000~100,000、より好ましくは30,000~70,000、最も好ましくは40,000~60,000である。
【0051】
ポリマーバインダー(a)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量、Mw/Mn)は、好ましくは、3.0以下、より好ましくは2.8以下、更により好ましくは2.5以下である。
【0052】
ポリマーバインダー(a)の酸価は、好ましくは、90mgKOH/~250mgKOH/g、より好ましくは100mgKOH/g~240mgKOH/g、更により好ましくは120mgKOH/g~235mgKOH/gである。
【0053】
本発明の感光性組成物中のポリマーバインダー(a)の量は、感光性組成物の総重量に基づいて典型的には30~70重量%、好ましくは35~65重量%、より好ましくは40~60重量%である。
【0054】
(b)重合性化合物
感光性組成物は、成分(b)として、フリーラジカルによって開始される重合及び/又は架橋を受けることができる重合性化合物を含む。このような化合物は、当技術分野でよく知られており、以下では「モノマー」と呼ばれ得る。
【0055】
唯一のモノマーとして又は他のものと組み合わせて使用することができる適切なモノマーには、以下が含まれる:t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ-C1~C10-アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO修飾ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO修飾トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO修飾トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO-PO修飾トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-((メタ)-アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリルオキシポリブトキシ)フェニル)プロパン及び2,2-ビス(4-((メタ)アクリルオキシ-ポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンなどのビスフェノールAの(メタ)アクリロキシアルキルエーテル、1,6-ヘキサメチレンビスアクリルアミドなどの不飽和アミド、コハク酸ジビニル、フタル酸ジビニル及びジビニルベンゼン-1,3-ジスルホネートなどのビニルエステル、スチレン及びその誘導体並びにN-ビニルカルバゾールなどのN-ビニル化合物。
【0056】
好ましい重合性化合物には、ポリエトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシル化プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリプロポキシル化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート並びにこれらの混合物が含まれる。
【0057】
市販の重合性化合物の例には、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(例えば、Hitachi Chemical Co.,Ltd.製「FA-324M」)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシ)-ポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン(エチレンオキシ基の平均12モル及びプロピレンオキシ基の平均4モルの付加物)(例えば、Hitachi Chemical Co.,Ltd.製「FA-3200MY」)、テトラメチロールメタントリアクリレート(例えば、Shin-Nakamura Chemical Co.,Ltd.製「A-TMM-3」、EO修飾トリメチロールプロパントリメタクリレート(例えば、Hitachi Chemical Co.,Ltd製「「TMPT21E」、TMPT30E」)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、Sartomer製「SR444」)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(例えば、Shin-Nakamura Chemical Co.,Ltd.製「A-DPH」)及びエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、Shin-Nakamura Chemical Co.,Ltd製「ATM-35E」)が含まれる。これらの化合物は、単独で又は2つ以上の異なるものの組合せで使用することができる。
【0058】
本発明の感光性組成物中の重合性化合物(b)の量は、感光性組成物の総重量に基づいて典型的には10~70重量%、好ましくは20~60重量%、より好ましくは30~50重量%である。
【0059】
(c)光開始剤
感光性組成物は、成分(c)として光開始剤を含む。光開始剤(c)は、特に限定されず、従来使用されている光開始剤から適切に選択される。
【0060】
光開始剤の例には、ベンゾフェノン、ビス-4,4’-ジメチルアミノベンゾ-フェノン(ミヒラーケトン)、ビス-4,4’-ジエチル-アミノベンゾ-フェノン(エチルミヒラーケトン)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノ-フェニル)-1-ブタノン及び2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノンなどの芳香族ケトン、9,10-アントロキノン、1,4-ナフトキノン及びフェナントレンキノンなどのキノン、ベンゾインアルキルエーテルなどのベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン及びアルキルベンゾインなどのベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタールなどのベンジル誘導体、2,2’、-ビス(o-クロロ-フェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,1’-ビイミダゾール(o-Cl-HABI)、2,2’,5-トリス(o-クロロフェニル)-4-(3,4-ジ-メトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1,1’-ビイミダゾール(TCDM-HABI)、2,2’,4,4’-テトラ(o-クロロ-フェニル)-5,5’-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-1,1’-ビイミダゾール(TCTM-HABI)などの「HABI」と略されるヘキサアリールビイミダゾール化合物、2,2’-ビス(o-クロロ-フェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(m-メトキシフェニル)-1,1’-ビイミダゾール(CDM-HABI)及び2,2’-ビス(2-エトキシフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,1’-ビイミダゾール(OE-HABI)、並びに9-フェニルアクリジン及び1,7-(9,9’-アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン誘導体、並びにこれらの混合物が含まれる。好ましい光開始剤には、少なくとも1つのヘキサアリールビイミダゾール化合物、より好ましくはo-Cl-HABI、TCDM-HABI及びこれらの混合物が含まれる。
【0061】
適切な光開始剤は、市販されており、例えば、o-Cl-HABI及びTCDM-HABIは、Hampford Research Inc.から購入することができる。
【0062】
本発明の感光性組成物中の光開始剤(c)の量は、感光性組成物の総重量に基づいて典型的には0.1~20重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~5重量%である。これらは、単独で又は2つ以上の組合せでも使用され得る。
【0063】
(d)感光剤
感光性組成物は、成分(d)として感光剤を含む。好ましい光開始剤(c)は、HABI化合物であることから、それは、一般に、スペクトルの255~275nm領域で最大吸収を有し、300~375nm領域で更なる吸収を有する。感光剤を添加して、スペクトル応答を拡張することができ、好ましくは340nm~420nmの極大吸収波長を有する。
【0064】
感光剤の例には、ピラゾリン、アントラセン、クマリン、キサントン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、トリアゾール、スチルベン、トリアジン、チオフェン、ナフタルイミド化合物、(特許文献2)に開示されているビス(p-ジアルキルアミノベンジリデン)ケトン及び(特許文献3)に開示されているアリーリデンアリールケトンが含まれる。
【0065】
感光剤の好ましい群には、1,3-ビス(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-2-プロパノン(Bis-Fischerのベースケトン)、2,3,6,7-テトラヒドロ-9-メチル-1H,5H,11H-[1]ベンゾピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-オン(クマリン480)及び9,10-ジブトキシ-アントラセンが含まれる。
【0066】
適切な感光剤は、市販されており、例えば、Bis-Fischerのベースケトン(「BFBK」)は、Hampford Research Inc.から購入することができる。
【0067】
本発明の感光性組成物中の感光剤(d)の量は、感光性組成物の総重量に対して典型的には0.01~10重量%、好ましくは0.05~5重量%である。
【0068】
(e)水素供与体
感光性組成物は、好ましくは、成分(e)として、光開始剤(c)に水素を供与し、活性光線に曝された後の感光性組成物の露光領域と未露光領域との間のコントラストを改善することができる水素供与体を含む。
【0069】
水素供与体の例には、ビス(4-(ジメチルアミノ)フェニル)メタン、ビス(4-(ジエチルアミノ)フェニル)メタン、トリス(4-(ジエチルアミノ)フェニル)メタン(別名、ロイコクリスタルバイオレット)、N-フェニルグリシン、トリブロモメチルフェニルスルホン、1-ドデマエチオール、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3チオール、2-メルカプトベンゾチアゾール、5-クロロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、6-エトキシ-2-メルカプトベンゾチアゾール及びこれらの混合物が含まれる。
【0070】
本発明の感光性組成物中の水素供与体(e)の量は、感光性組成物の総重量に基づいて典型的には0.05~2重量%、好ましくは0.1~1重量%である。
【0071】
(f)他の添加剤
従来から感光性組成物に添加されている他の化合物も存在し得る。このような添加剤には、接着調整剤、抗酸化剤、コーティング助剤、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノ-トリフェニルカルベニウムクロリド(マラカイトグリーン)などの染料、消泡剤、レベリング剤、p-トルエンスルホンアミドなどの可塑剤、顔料、離型剤、界面活性剤、安定剤、粘度制御剤及び湿潤剤などが含まれる。
【0072】
銅が被覆された基板へのコーティングの接着性を改善するため及び/又は処理中の残留物の形成を防ぐために、接着調整剤を添加することができる。適切な接着調整剤には、ベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、1-クロロベンゾトリアゾール、4-及び5-カルボキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-メルカプト-ベンゾオキサゾール、1H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、5-アミノ-1,3,4-チオジアゾール-2-チオール及びメルカプト-ベンズイミダゾールなどの複素環式キレート成分が含まれる。クエン酸は、このように、即ちコーティングの接着性を改善するため及び/又は残留物の形成を防止するために効果的な非複素環式キレート化合物の例である。
【0073】
感光性組成物のコーティング特性を改善するために界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の例には、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、F171、F172及びF173(Dainippon Ink&Chemicals、日本から入手可能)、FC430及びFC431(Sumitomo 3M Ltd.、日本から入手可能)、KP341(Shinetsu Chemical Co.、日本から入手可能)などが含まれる。
【0074】
他の添加剤(f)は、本発明の感光性組成物の機能特性を干渉しないように、一般に少量(即ち10重量%未満)で存在する。
【0075】
本発明の感光性組成物は、感光性組成物の総重量に基づいて、典型的には、
(a)30~70重量%の少なくとも1つのポリマーバインダーと、
(b)10~70重量%の少なくとも1つの重合性化合物と、
(c)0.1~20重量%の少なくとも1つの光開始剤と、
(d)0.01~1重量%の少なくとも1つの感光剤と、
(e)0~2重量%の少なくとも1つの水素供与体と、
(f)0~10重量%の他の添加剤と
を含む。
【0076】
一実施形態では、本発明の感光性組成物は、感光性組成物の総重量に基づいて、
(a)35~65重量%の少なくとも1つのポリマーバインダーと、
(b)20~60重量%の少なくとも1つの重合性化合物と、
(c)0.5~10重量%の少なくとも1つの光開始剤と、
(d)0.01~1重量%の少なくとも1つの感光剤と、
(e)0.05~2重量%の少なくとも1つの水素供与体と、
(f)0~5重量%の他の添加剤と
を含む。
【0077】
別の実施形態では、本発明の感光性組成物は、感光性組成物の総重量に基づいて、
(a)40~60重量%の少なくとも1つのポリマーバインダーと、
(b)30~50重量%の少なくとも1つの重合性化合物と、
(c)1~5重量%の少なくとも1つの光開始剤と、
(d)0.05~0.5重量%の少なくとも1つの感光剤と、
(e)0.1~1重量%の少なくとも1つの水素供与体と、
(f)0.01~5重量%の他の添加剤と
を含む。
【0078】
感光性ドライフィルム
本発明の感光性ドライフィルムは、支持フィルムと、支持フィルム上に形成された感光層とを含み、感光層は、本発明の感光性組成物を含む。感光層中の感光性組成物は、未硬化状態であり、次いでロール形態で保管される場合には保護フィルムで覆われる。感光性ドライフィルムは、「フォトレジスト」、「ドライフィルム」又は「ドライフィルムフォトレジスト」と交換可能に呼ばれ得る。
【0079】
支持フィルムは、好ましくは、350nm~420nmの波長を有する紫外線に対して90%超の透過率を有する高い寸法安定性を有するポリマーフィルムであり、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ビニルポリマー及びセルロースエステルで構成され得る。特に適切な支持フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン又はポリプロピレンで構成されるフィルムである。支持フィルムの厚さは、1μm~100μm、好ましくは5μm~50μm、より好ましくは10μm~30μmである。
【0080】
カバーシートは、上記の支持フィルムについて記載されたのと同じ群のポリマーフィルムから選択され得、同じ広い範囲の厚さを有し得るが、支持フィルムへの感光層の接着性に比べて感光層への接着性が低いカバーシートを使用することが好ましい。特に適切なカバーシートは、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートで構成されるフィルムである。
【0081】
その市販製品の例には、Teijin Limited製PSシリーズ及びToray Industries,Inc.製FBシリーズのポリエチレンテレフタレートフィルム、Oji Paper Co.,Ltd.製ALPHAN MA-410及びE-200などのポリエチレンフィルム並びにShin-Etsu Film Co.,Ltd.製ポリプロピレンフィルムが含まれる。
【0082】
本発明の感光性組成物が、適切な粘度を有する液体形態である場合、それを支持フィルムに直接塗布して感光層を形成することができる。好ましくは、本発明の感光性組成物は、粘度を低下させ、均一な厚さの感光層を形成することを可能にするために有機溶媒に溶解される。
【0083】
適切な溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、テトラヒドロフランなどのエーテル、アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル、トルエンなどの芳香族炭化水素溶媒、N,N-ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒並びにこれらの混合物が含まれる。感光性組成物の溶解性に応じて、溶媒を適切に選択することができる。
【0084】
一実施形態では、感光性ドライフィルムは、i)本発明の感光性組成物を含むコーティング溶液を支持フィルムに塗布することにより、感光層を形成する工程と、ii)得られたものを乾燥させて、感光性ドライフィルムを形成する工程とによって製造することができる。
【0085】
感光性組成物を含むコーティング溶液の固形分は、塗布方法及び手段に応じて適切に選択することができる。例えば、有機溶媒を使用して、約15重量%~約60重量%の固形分を有する溶液を得ることができる。
【0086】
コーティング溶液は、ロールコーティング、コンマコーティング、グラビアコーティング、エアナイフコーティング、ダイコーティング又はバーコーティングなどの既知の方法によって支持フィルムに塗布することができる。
【0087】
乾燥は、好ましくは、25℃~120℃で約5分~約60分間実施される。乾燥後の感光層中の残留溶媒の量は、好ましくは、2重量%以下である。
【0088】
感光層の厚さは、用途に応じて適切に選択することができる。乾燥後の厚さは、1μm~350μm、好ましくは5μm~100μm、より好ましくは10μm~50μmである。
【0089】
得られる感光性ドライフィルムの形状は、特に制限されない。感光性ドライフィルムは、シートの形態であり得るか、又はコアの周りにロール形状に巻かれ得る。感光性ドライフィルムがロール形状に巻かれる場合、支持フィルムが外側を向くことが好ましい。
【0090】
本実施形態による感光性ドライフィルムは、例えば、以下に記載されるレジストパターンを形成するための方法において使用され得る。
【0091】
レジストパターンを形成するための方法
本発明の感光性組成物を使用して、レジストパターンを形成することができる。基板上にレジストパターンを形成するための方法であって、
i)基板上に、本発明の感光性組成物を含む画像化可能な層を形成する工程と、
ii)活性光線に像様露光して、画像化可能な層に露光領域と未露光領域とを生成する工程と、
iii)画像化可能な層の未露光部分を除去することにより、レジストパターンを現像する工程と
を含む。
【0092】
本発明の方法の第1の工程は、i)基板上に、本発明の感光性組成物を含む画像化可能な層を形成する工程である。以下では、画像化可能な層は、「フォトレジスト」又は「レジスト」と呼ばれ得る。
【0093】
本方法では、多様な基板を使用することができる。「基板」とは、任意の天然又は合成の支持体、好ましくは柔軟性又は剛性のある形態で存在することができるものを意味する。例えば、基板は、金属シート若しくはホイル、合成ポリマーのシート若しくはフィルム、セルロース紙、ファイバーボードなど、又はこれらの材料の2つ以上の複合材料であり得る。ここで使用される基板は、絶縁層と、絶縁層上に形成された導体層とを備えた回路を形成するための基板であり得る。
【0094】
特定の基板は、一般に、意図された用途によって決定される。例えば、プリント回路基板が作製される場合、基板は、銅がコーティングされたガラス繊維エポキシ基板、銅が被覆されたフィルム又は基板若しくはフィルム上のプリント回路レリーフパターンであり得る。製造されるプリント回路基板のタイプは、片面、両面又は多層であり得る。平版印刷版の場合、基板は、陽極酸化されたアルミニウムであり得る。半導体パッケージが作製される場合、基板は、銅がコーティングされたガラス繊維エポキシ基板又はビルドアップ層上のシード層であり得る。バンプが作製される場合、基板は、シリコン上のシード層、ガラス担体又は成形担体であり得る。
【0095】
基板上において、本発明の感光性組成物を含む画像化可能な層を形成することは、前述の通り適切な溶媒において感光性組成物をコーティングすることによって行うことができる。代わりに、画像化可能な層は、本発明の感光性ドライフィルムを基板上に積層することによって形成され得る。カバーシートが感光性ドライフィルムに存在する場合、カバーシートは、最初に除去され、感光層の覆われていない表面は、例えば、従来のホットロール積層装置を用いて、熱及び/又は圧力を使用して、基板の事前に洗浄された表面に積層される。温度、圧力及び期間を含む積層のパラメータは、当技術分野の当業者が必要に応じて適切に選択することができる。
【0096】
支持フィルムは、保護シートとして機能し、積層体は、支持フィルムを通して活性光線に曝され得る。場合により、解像度及び他のこのような特性を改善するために、照射する前に支持フィルムを除去することができる。
【0097】
本発明の方法における第2の工程は、ii)活性光線に像様露光して、画像化可能な層に露光領域と非露光領域とを生成する工程である。
【0098】
露光方法の例には、マスク露光法と呼ばれる、ネガ型又はポジ型パターン(即ちフォトマスク)を通して活性光線を像様照射する方法が含まれる。代わりに、LDI(レーザー直接画像化)露光法又はDLP(デジタルライトプロセッシング)露光法などの直接書き込み露光法によって活性光線を像様照射する方法を使用することができる。
【0099】
光開始剤及び/又は感光剤の吸収帯と重なるスペクトルの領域の波長を提供する任意の便利な活性光線の光源を使用して、光重合反応を活性化することができる。従来の光源には、カーボンアークランプ、水銀蒸気アークランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ又はアルゴンレーザーなどのガスレーザー、YAGレーザーなどの固体レーザー、半導体レーザー、窒化ガリウム系のバイオレットレーザーなどの紫外線並びに可視光を効率よく放出するランプが含まれる。
【0100】
本発明のプロセスの第3の工程は、iii)画像化可能な層の未露光部分を除去することにより、レジストパターンを現像する工程である。
【0101】
支持フィルムが画像化可能な層に残っている場合、支持フィルムが除去され、次いで未露光領域が除去(現像)される。現像プロセスの例には、湿式現像及び乾式現像が含まれ、湿式現像が広く使用されている。
【0102】
現像液(即ち現像剤)は、一般に、0.01重量%~5重量%の水溶性塩基の水溶液である。適切な塩基には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、リチウム、ナトリウム及びカリウムの炭酸塩及び重炭酸塩などの弱酸の塩基反応性アルカリ金属塩、水酸化アンモニウム並びにテトラメチル及びテトラフェニル水酸化アンモニウムなどの四置換水酸化アンモニウム、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩及び硫化物を含むスルホニウム塩、ナトリウム及びカリウムの三リン酸塩及びピロリン酸塩などのアルカリ金属リン酸塩及びピロリン酸塩、テトラメチルホスホニウムヒドロキシドなどの四置換ホスホニウムアルソニウム及びスチボニウムヒドロキシドが含まれる。好ましい現像剤は、0.1~3重量%の炭酸ナトリウム水溶液である。
【0103】
現像剤は、界面活性剤も含み得る。しかしながら、全有機物含有量は、10重量%未満、好ましくは5重量%未満である必要がある。
【0104】
レジストパターンの現像は、浸漬又は噴霧などの任意の従来の技術を使用して、バッチ又は連続プロセスとして実行することができる。現像は、室温で行うことができるか、又は約50℃までの温度に加熱することができる。多くの商用の処理装置が現像に利用できる。
【0105】
レジストパターンが形成された基板の適用
レジストパターンで形成された基板は、プリント回路基板の作製、半導体パッケージの作製及びバンプの作製を含む、意図された用途のための更なる処理工程に供され得る。
【0106】
例えば、プリント配線基板を作製するための方法は、絶縁層及び絶縁層上に形成された導体層を有する基板(回路を形成するための基板)をエッチング又はめっきする工程を含み、導体パターンを形成するためのレジストパターンを形成するための方法により、レジストパターンが導体層上に形成される。
【0107】
除去される導体層の構成要素に応じて、エッチング方法を適切に選択することができる。エッチング液の例には、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング液及び過酸化水素エッチング液が含まれる。これらの中で、十分なエッチングの要因の観点から、塩化第二鉄溶液を使用することが好ましい。
【0108】
めっきの例には、硫酸銅めっき又はピロリン酸銅めっきなどの銅めっき、ハイスローイングはんだめっきなどのはんだめっき、ウォルトバス(硫酸ニッケル-塩化ニッケル)めっき又はスルファミン酸ニッケルめっきなどのニッケルめっき並びに硬質金めっき又は軟質金めっきなどの金めっきが含まれる。めっき後、レジストパターンを除去し、次いでレジストパターンで覆われた導体層をエッチングに供し、これにより導体パターンを形成する。
【0109】
一実施形態では、本発明は、プリント配線基板を作製するための方法であって、導体パターンを形成するための本方法に従って形成されたレジストパターンを有する基板をエッチング又はめっきする工程を含む方法に関する。
【0110】
更に別の実施形態では、本発明は、半導体パッケージを作製するための方法であって、本方法に従って形成されたレジストパターンを有する基板をめっきする工程を含む方法に関する。
【0111】
更なる実施形態では、本発明は、バンプを作製するための方法であって、本方法に従って形成されたレジストパターンを有する基板をめっきする工程を含む方法に関する。
【0112】
レジストパターンがその機能を実行すると、次いで、レジストパターンは、剥離速度を改善するか、又は金属の攻撃若しくは汚染を最小限にするために、有機アミン又は溶媒を含み得る水性剥離溶液(即ち剥離剤)によって一般に基板から除去され得る。水性剥離溶液は、典型的には、レジストパターンの現像に使用される水性現像液よりも強いアルカリ性を有する。剥離水溶液は、1~10重量%の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液であり得る。
【0113】
レジストパターンの除去方法の例には、浸漬及び噴霧が含まれ、これらの方法は、単独で又はこれらと組み合わせて使用される。
【0114】
更なる詳述なしに、先行の記載を用いる当業者は、本発明をその最大限まで利用することができると考えられる。以下の実施例は、従って、単に例証的なものであり、本開示を決して限定するものではないと解釈されるべきである。
【実施例0115】
省略形「E」は、「実施例」を表し、「CE」は、「比較例」を表し、その後、その例で銅が被覆された積層体(FR4)が調製されることを示す番号が続く。実施例及び比較例は、全て類似の様式で調製し試験した。
【0116】
材料
(A)ポリマーバインダーの調製に使用される出発材料
S-1:スチレン、CAS番号100-42-5、Formosa Plastics Corporationから購入。
S-2:メタクリル酸、MAA、CAS番号79-41-4、Mitsubishi Chemical Corporationから購入。
S-3a:2-(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、CAS番号21282-97-3、Mw:214.22、Sigma-Aldrichから購入。
S-3b:エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、CAS番号3121-61-7、Mw:130.14、Sigma-Aldrichから購入。
S-3c:エチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、CAS番号6976-93-8、Mw:144.17、Sigma-Aldrichから購入。
S-3d:ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、CAS番号45103-58-0、Mw:188.22、Sigma-Aldrichから購入。
S-3e:フェノキシエチルアクリレート、CAS番号48145-04-6、Mw:192.21、Sartomer-Arkemaの商標名SR339。
S-3f:メチルメタクリレート、MMA、CAS番号80-62-6、Mitsubishi Chemical Corporationから購入。
S-3g:ベンジルメタクリレート、BzMA、CAS番号2495-37-6、Mitsubishi Chemical Corporationから購入。
【0117】
合成例1:ポリマーバインダー(A-1)の調製
メタクリル酸48g、メチルメタクリレート38.4g、スチレン105.6g及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.49gの混合物を、95℃において、6:4の重量比で1-メトキシ-2-プロパノールとトルエンとからなる溶媒系(150g)を含む2Lフラスコに滴下した。添加が完了した後、反応混合物を95℃で1.5時間撹拌した。6.4gの溶媒系(1-メトキシ-2プロパノール:トルエン=6:4)における4.8gのAIBNの溶液を反応混合物に加え、次いで撹拌しながら100℃に2時間加熱し、次いで室温に冷却しポリマーバインダー溶液(A-1)を得、これは、58%のスチレン、21%のメタクリル酸及び21%のメチルメタクリレートからなる混合物から誘導され、本明細書においてSt/MAA/MMA(55/25/20)として表される。ポリマーバインダー溶液(A1)のMwは、48000であった。
【0118】
合成実施例2~13:ポリマーバインダー(A-2)~(A-16)の調製
各ポリマーバインダー(A-2)~(A-16)の溶液は、材料が、それぞれのポリマーバインダーを構成するために表1に示される量で使用されたことを除いて、ポリマーバインダー(A-1)の溶液について合成実施例1に記載されたものと同じ手順に従って得られ、式3の構造単位を形成するための化合物を表2に示す。
【0119】
【0120】
【0121】
重量平均分子量(Mw)の決定
重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算)及びMnは、GPC(担体:テトラヒドロフラン)によって決定され、単位は、Daであった。
【0122】
GPCの条件は、以下の通りであった:
・ポンプ:Agilent 1200LCシステム。
・カラム:Mz-Gel SDplus(商標)LS-線形プレカラム、Mz-Gel SDplus(商標)LS-線形、Mz-Gel SDplus(商標)LS-1000A、Mz-Gel SDplus(商標)LS-10000A(全てMZ-Analysentechnik GmbHの商標名)。
・溶離液:テトラヒドロフラン
・温度の測定:40℃。
・流量:0.75mL/分
・検出器:Waters 410示差屈折率検出器。
【0123】
(B)重合性化合物
B-1:エトキシル化-3-トリメチロールプロパントリアクリレート、CAS番号28961-43-5、Sartomer-Arkemaから購入、商標名:SR454NS。
B-2:2,2-ビス(4-メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、CAS番号41637-38-1、Sartomer-Arkemaから購入、商標名:SR480NS。
【0124】
(C)光開始剤
C-1:2-(2-クロロフェニル)-1-[2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニル-2H-イミダゾール-2-イル]-4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール、o-Cl-HABI、CAS番号7189-82-4、Mw:659.60、Hampford Research Inc.から購入。
【0125】
(D)感光剤
D-1:1,3-ビス(1,3,3-トリメチル-2-インドリニリデン)-2-プロパノン(bis-Fischerのベースケトン)、CAS番号24293-93-4、略称「BFBK」、Hampford Research Inc.製。
【0126】
(E)水素供与体
E-1:ロイコクリスタルバイオレット、CAS番号603-48-5、略称「LCV」、Tronly製。
【0127】
(F)他の添加剤
F-1:5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、CBT、CAS番号60932-58-3、Mw:163.13、PMC Specialties Group、米国から購入。
F-2:5-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール、5-Cl-BT、CAS番号94-97-3、Mw:153.57、Sigma-Aldrichから購入。TB8005、Elegant社から購入。
F-3:マラカイトグリーン、塩化物塩、CAS番号569-64-2、Sigma-Aldrichから購入。
【0128】
工程A.フォトレジストドライフィルムの調製
各実施例又は比較実施例のフォトレジストドライフィルムを、アセトン/メタノールの混合溶媒(90:10w/w)における27%の固形分を有するコーティング溶液から調製した。コーティング溶液を、表3及び4に列挙される重量比で成分を混合及び溶解することによって作製した。
【0129】
次いで、コーティング溶液を支持フィルム、即ち厚さ19μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに対してキャストし、室温で乾燥させて、25μmの厚さを有するフォトレジストドライフィルム(即ち感光性ドライフィルム)を得た。
【0130】
工程B.フォトレジストドライフィルムを含む積層体の調製
銅基板(サイズ:27cm(W)×35cm(L)×1mm(H))は、最初に番号2000相当のブラシでこすり洗い、酸(5%H2SO4)で洗浄した。それぞれの乾燥したフォトレジストドライフィルムを、HRL-24積層装置(DuPont Co.,Wilmington,Del.)を使用して、洗浄した銅基板に積層した。積層は、120oC、速度2m/分、圧力5kg/cm2で行った。積層後、各試料を室温まで1時間冷却して、[PET/フォトレジスト/Cu]の構造を有する特定の感光性組成物を含む積層体を得た。
【0131】
現像時間の評価
上記の通り工程Aに従って調製した実施例及び比較例の各積層体から、現像時間評価のための試験片(サイズ:27cm×10cm)を切り出した。
【0132】
PETフィルムを除去した後、試験片をコンベヤー化現像機に入れ、30oCで炭酸ナトリウム溶液(水中で1重量%)を噴霧した。試験片の現像時間は、銅基板からフォトレジストを完全に除去するのに必要な最小時間によって視覚的に決定され、表3及び4に記録された。
【0133】
接着性の評価
試料の大きさ:接着性評価のための試験片(サイズ:27×7cm2)を、上記の工程に従って調製された実施例及び比較例の各積層体から切り取った。
【0134】
各試験片の露光は、フォトマスクを使用して、IP-8レーザーダイレクトイメージャー(ADTEC Engineering Co.,Ltd製)を用いて行った。フォトマスクには、5/15~30/90(単位:μm)の範囲の線幅(L)/空間幅(S)(以下では「L/S」と呼ばれる)を有する配線パターンが含まれている。次いで、25工程の濃度工程ウェッジをPETフィルムの上に配置し、405nmでの露光において露光工程を実行した。露光エネルギー線量は、25工程のウェッジに残っている7工程が得られるように設定した。
【0135】
露光後、支持フィルム(即ちPETフィルム)を除去した。試験片は、上記と同じコンベヤー化現像機に入れ現像し、炭酸ナトリウム溶液(水中で1重量%)を30oCで現像時間の2倍の期間噴霧した。脱イオン水ですすぎ、乾燥させた後、接着性は、破損及びねじれなしにCu基板上に残った線の最小値によって表された。従って、値が小さいほど、接着性が良好になる。結果を表3及び4に示す。
【0136】
解像度の評価
上記の工程に従って調製した実施例及び比較例の各積層体から、解像度評価のための試験片(サイズ:27cm×7cm)を切り出した。
【0137】
各試験片の露光は、フォトマスクを使用して、IP-8レーザーダイレクトイメージャー(ADTEC Engineering Co.,Ltd製)を用いて行った。フォトマスクには、5/5~30/30(単位:μm)の範囲のL/Sを有する配線パターンが含まれている。次いで、25工程の濃度工程ウェッジをPETフィルムの上に配置し、405nmでの露光において露光工程を実行した。露光エネルギー線量は、25工程のウェッジに残っている7工程が得られるように設定した。
【0138】
露光後、支持フィルム(即ちPETフィルム)を除去した。試験片は、上記と同じコンベヤー化現像機に入れ現像し、炭酸ナトリウム溶液(水中で1重量%)を30oCで現像時間の2倍の期間噴霧した。脱イオン水ですすぎ、乾燥させた後、解像度は、露光されていない部分が清浄に除去された露光された線間の空間幅の最小値であった。従って、値が小さいほど、解像度が良好になる。結果を表3及び4に示す。
【0139】
剥離時間の評価
上記の工程に従って作製した実施例及び比較例の各積層体から、剥離時間評価のための試験片(サイズ:5cm×5cm)を切り出した。
【0140】
各試験片の露光は、フォトマスクを使用せずに、IP-8レーザーダイレクトイメージャー(ADTEC Engineering Co.,Ltd製)を用いて行った。次いで、25工程の濃度工程ウェッジをPETフィルムの上に配置し、405nmでの露光において露光工程を実行した。露光エネルギー線量は、25工程のウェッジに残っている9工程が得られるように設定した。
【0141】
露光後、支持フィルム(即ちPETフィルム)を除去した。試験片は、上記と同じコンベヤー化現像機に入れ現像し、炭酸ナトリウム溶液(水中で1重量%)を30oCで現像時間の2倍の期間噴霧した。試験片は、脱イオン水ですすぎ、乾燥させた後に得られた。
【0142】
剥離試験は、完全に現像された試験片を、フォトレジストが完全に除去されるまで、50oCで1Lの水酸化ナトリウム溶液(水中で3重量%)に浸すことによって実施した。剥離時間は、硬化したフォトレジストを完全に除去するための時間として評価した。結果を表3及び4に示す。
【0143】
【0144】
【0145】
表3に列挙されるデータから、以下が明らかである。
【0146】
本発明の感光性組成物から作製されたE1~E7のレジスト試験片は、CE1又はCE2のレジスト試験片と比較してはるかに速い現像時間で同等の接着性及び解像度を示した。更に、E1~E7のレジスト試験片は、CE2のレジスト試験片よりもはるかに速い剥離時間を示し、E1~E4及びE6のレジスト試験片も、CE1のレジスト試験片と同じ又はわずかに速い剥離時間を示した。
【0147】
CE1とCE2とのデータを比較すると、CE2のレジスト試験片は、CE1よりも剥離時間がはるかに長い一方、より良好な接着性及び解像度並びにより短い現像時間を示した。従って、例えば、バインダー(A-1):St/MAA/MMA(55/25/20)対バインダー(A-2):St/MAA/BzMA(55/25/20)などのバインダーのわずかな変動があっても、それは、全ての他の成分及び量が同じに保たれている場合でさえ、それぞれの感光性組成物及びそれから作製されたフォトレジストに予期しない正又は負の効果をもたらすことがあり得ると結論することができる。
【0148】
表4に示されるように、バインダー(A-11)を含む本発明の感光性組成物から作製されたE8のレジスト試験片は、CE3のレジスト試験片と比較してはるかに速い現像時間で同等の接着性及び解像度を示した。同様に、E9のレジスト試験片も、同等の接着性及び解像度でより速い現像時間を示した。
【0149】
表4のCE5とCE6とのデータを比較すると、CE6のレジスト試験片は、接着性及び解像度が低下しているだけでなく、剥離時間がはるかに長いことも示している。対照的に、バインダー(A-15)を含む本発明の感光性組成物から作製されたE10のレジスト試験片は、CE5及びCE6のレジスト試験片と比較して、現像時間が改善されながら、同等の接着性、解像度及び剥離時間を示した。
【0150】
本発明が典型的な実施形態において例示及び記載されてきたが、様々な修正形態及び置換形態が本発明の趣旨から逸脱することなく可能であるため、示された詳細に限定されることを意図しない。従って、本明細書に開示される本発明の修正形態及び均等物は、単に通常の実験を用いて当業者に想到され得、全てのこのような修正形態及び均等物は、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内にあると考えられる。