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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122301
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/00 20060101AFI20220816BHJP
   B60W 30/16 20200101ALI20220816BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20220816BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20220816BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20220816BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220816BHJP
   B62J 50/22 20200101ALI20220816BHJP
【FI】
B60W30/00
B60W30/16
B60W50/14
B60W30/09
B60W50/10
G08G1/16 E
G08G1/16 C
B62J50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019412
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】井苅 佳秀
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA02
3D241BA33
3D241BA60
3D241BC01
3D241CA12
3D241CC01
3D241CC08
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB32Z
3D241DC02Z
3D241DC21Z
3D241DC25Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
3D241DC50Z
3D241DD11Z
5H181AA01
5H181AA05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】本発明は、グループ走行においてモータサイクルのライダーの運転を適切に支援することができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【解決手段】本発明に係る制御装置(20)及び制御方法では、制御装置(20)の実行部が、ライダー支援システム(10)によるライダーの運転支援動作を実行し、さらに、制御装置(20)の取得部が、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両(1)のグループ内での位置を示すグループ内位置情報を、ライダーによる設定操作の情報である設定操作情報に基づいて取得し、実行部は、取得部で取得されたグループ内位置情報に基づいて、運転支援動作を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライダーによるモータサイクル(1)の運転を支援するライダー支援システム(10)の制御装置(20)であって、
前記ライダー支援システム(10)による前記ライダーの運転支援動作を実行する実行部(22)を備え、
さらに、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両(1)の前記グループ内での位置を示すグループ内位置情報を、前記ライダーによる設定操作の情報である設定操作情報に基づいて取得する取得部(21)を備え、
前記実行部(22)は、前記取得部(21)で取得された前記グループ内位置情報に基づいて、前記運転支援動作を実行する、
制御装置。
【請求項2】
前記グループ内位置情報は、前記グループ内での前記自車両(1)が位置する車列を示す車列情報を含む、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記グループ内位置情報は、前記グループ内での前記自車両(1)が位置する前後方向での位置を示す前後位置情報を含む、
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記前後位置情報は、前記自車両(1)が、前記グループ内での前記自車両(1)が位置する車列中で、先頭車両であるか、最後尾車両であるか、前記先頭車両と前記最後尾車両との間に位置する車両であるかを示す情報である、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記ライダーによる前記設定操作を受け付ける入力画面(IM1)を表示装置(13)に表示させる制御部(23)をさらに備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記入力画面(IM1)には、複数のオブジェクト(OJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6)が複数列で表示され、
前記取得部(21)は、前記ライダーにより選択された前記オブジェクトの前記複数のオブジェクト(OJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6)内での表示位置と対応する位置を示す情報を、前記グループ内位置情報として取得する、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記入力画面(IM1)において、前記複数のオブジェクト(OJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6)は、列に沿った列方向に並ぶとともに、前記列方向と直交する行方向に並ぶように、行列状に配置されている、
請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記運転支援動作は、アダプティブクルーズコントロールを含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記運転支援動作は、ブラインドスポットワーニングを含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記運転支援動作は、衝突回避動作を含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記運転支援動作は、衝突警告動作を含む、
請求項1~10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
ライダーによるモータサイクル(1)の運転を支援するライダー支援システム(10)の制御方法であって、
制御装置(20)の実行部(22)が、前記ライダー支援システム(10)による前記ライダーの運転支援動作を実行し、
さらに、前記制御装置(20)の取得部(21)が、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両(1)の前記グループ内での位置を示すグループ内位置情報を、前記ライダーによる設定操作の情報である設定操作情報に基づいて取得し、
前記実行部(22)は、前記取得部(21)で取得された前記グループ内位置情報に基づいて、前記運転支援動作を実行する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、グループ走行においてモータサイクルのライダーの運転を適切に支援することができる制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータサイクルのライダーの運転を支援する種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1では、走行方向又は実質的に走行方向にある障害物を検出するセンサ装置により検出された情報に基づいて、不適切に障害物に接近していることをモータサイクルのライダーへ警告する運転者支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-116882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライダーの運転を支援する運転支援動作は、自車両の周囲の交通状況に応じて適切に実行されることが重要である。ここで、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行が行われる場合がある。グループ走行が行われている場合には、グループ走行が行われていない場合と比べて、自車両の周囲の交通状況が異なる。そこで、このようなグループ走行における運転支援動作を適正化するための提案が望まれている。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、グループ走行においてモータサイクルのライダーの運転を適切に支援することができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、ライダーによるモータサイクルの運転を支援するライダー支援システムの制御装置であって、前記ライダー支援システムによる前記ライダーの運転支援動作を実行する実行部を備え、さらに、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両の前記グループ内での位置を示すグループ内位置情報を、前記ライダーによる設定操作の情報である設定操作情報に基づいて取得する取得部を備え、前記実行部は、前記取得部で取得された前記グループ内位置情報に基づいて、前記運転支援動作を実行する。
【0007】
本発明に係る制御方法は、ライダーによるモータサイクルの運転を支援するライダー支援システムの制御方法であって、制御装置の実行部が、前記ライダー支援システムによる前記ライダーの運転支援動作を実行し、さらに、前記制御装置の取得部が、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両の前記グループ内での位置を示すグループ内位置情報を、前記ライダーによる設定操作の情報である設定操作情報に基づいて取得し、前記実行部は、前記取得部で取得された前記グループ内位置情報に基づいて、前記運転支援動作を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る制御装置及び制御方法では、制御装置の実行部が、ライダー支援システムによるライダーの運転支援動作を実行し、さらに、制御装置の取得部が、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両のグループ内での位置を示すグループ内位置情報を、ライダーによる設定操作の情報である設定操作情報に基づいて取得し、実行部は、取得部で取得されたグループ内位置情報に基づいて、運転支援動作を実行する。それにより、グループ走行が行われている場合に、自車両の周囲の交通状況に応じて、運転支援動作を適切に実行することができる。ゆえに、グループ走行においてモータサイクルのライダーの運転を適切に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るモータサイクルの概略構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るモータサイクルを含むグループがグループ走行している様子を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る制御装置が行うグループ走行に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る表示装置に表示される入力画面の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るモータサイクルにより行われるアダプティブクルーズコントロールに用いられる周囲環境情報の検出範囲が変化する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る制御装置について、図面を用いて説明する。
【0011】
なお、以下では、二輪のモータサイクルに用いられる制御装置について説明しているが(図1中のモータサイクル1を参照)、本発明に係る制御装置は、二輪のモータサイクル以外のモータサイクル(例えば、三輪のモータサイクル等)に用いられるものであってもよい。モータサイクルには、エンジンを推進源とする車両、電気モータを推進源とする車両等が含まれ、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。
【0012】
また、以下では、車輪を駆動するための動力を出力可能な駆動源としてエンジン(具体的には、後述される図1中のエンジン11)が搭載されている場合を説明しているが、駆動源としてエンジン以外の他の駆動源(例えば、電気モータ)が搭載されていてもよく、複数の駆動源が搭載されていてもよい。
【0013】
また、以下で説明する構成及び動作等は一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成及び動作等である場合に限定されない。
【0014】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略しているか、又は同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0015】
<モータサイクルの構成>
図1図3を参照して、本発明の実施形態に係るモータサイクル1の構成について説明する。
【0016】
図1は、モータサイクル1の概略構成を示す模式図である。図1に示されるように、モータサイクル1は、エンジン11と、液圧制御ユニット12と、表示装置13と、周囲環境センサ14と、入力装置15と、前輪車輪速センサ16と、後輪車輪速センサ17と、制御装置(ECU)20とを備える。なお、本明細書では、モータサイクル1を自車両1とも呼ぶ。
【0017】
モータサイクル1は、ライダーによるモータサイクル1の運転を支援するライダー支援システム10を備える。ライダー支援システム10には、上記の構成要素(つまり、エンジン11、液圧制御ユニット12、表示装置13、周囲環境センサ14、入力装置15、前輪車輪速センサ16、後輪車輪速センサ17及び制御装置20)が含まれる。
【0018】
エンジン11は、モータサイクル1の駆動源の一例に相当し、車輪を駆動するための動力を出力可能である。例えば、エンジン11には、内部に燃焼室が形成される1又は複数の気筒と、燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁と、点火プラグとが設けられている。燃料噴射弁から燃料が噴射されることにより燃焼室内に空気及び燃料を含む混合気が形成され、当該混合気が点火プラグにより点火されて燃焼する。それにより、気筒内に設けられたピストンが往復運動し、クランクシャフトが回転するようになっている。また、エンジン11の吸気管には、スロットル弁が設けられており、スロットル弁の開度であるスロットル開度に応じて燃焼室への吸気量が変化するようになっている。
【0019】
液圧制御ユニット12は、車輪に生じる制動力を制御する機能を担うユニットである。例えば、液圧制御ユニット12は、マスタシリンダとホイールシリンダとを接続する油路上に設けられ、ホイールシリンダのブレーキ液圧を制御するためのコンポーネント(例えば、制御弁及びポンプ)を含む。液圧制御ユニット12のコンポーネントの動作が制御されることによって、車輪に生じる制動力が制御される。なお、液圧制御ユニット12は、前輪及び後輪の双方に生じる制動力をそれぞれ制御するものであってもよく、前輪及び後輪の一方に生じる制動力のみを制御するものであってもよい。
【0020】
表示装置13は、情報を視覚的に表示する表示機能を有する。表示装置13としては、例えば、液晶ディスプレイ又はランプ等が挙げられる。
【0021】
周囲環境センサ14は、モータサイクル1の周囲の環境に関する周囲環境情報を検出する。具体的には、周囲環境センサ14は、モータサイクル1の胴体の前部に設けられており、自車両1よりも前方の周囲環境情報を検出する。
【0022】
周囲環境センサ14は、モータサイクル1の周囲に存在するターゲットの位置とモータサイクル1の位置との関係性に関する情報(例えば、ターゲットに対するモータサイクル1の相対的な距離、方向、速度、加速度又は加加速度等)を周囲環境情報として取得するためのものである。また、周囲環境情報は、例えば、モータサイクル1の周囲に存在するターゲットの状態情報であってもよい。なお、上記のターゲットは、車両の他に、車両以外の各種障害物(例えば、道路設備、落下物、人、動物等)も含み得る。
【0023】
周囲環境センサ14としては、例えば、モータサイクル1の周囲を撮像するカメラ、及び、モータサイクル1からターゲットまでの距離を検出可能なレーダーが用いられる。例えば、カメラにより撮像される画像を用いてターゲットを検出し、レーダーの検出結果を利用することによって、ターゲットに対するモータサイクル1の相対的な距離、方向、速度、加速度又は加加速度等を検出することができる。なお、周囲環境センサ14の構成は上記の例に限定されない。例えば、周囲環境センサ14において、レーダーがLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)又は超音波センサに置き換えられてもよい。また、例えば、周囲環境センサ14は、ステレオカメラであってもよい。
【0024】
入力装置15は、ライダーによる各種操作を受け付ける。入力装置15は、例えば、ハンドルに設けられ、ライダーの操作に利用される押しボタン等を含む。入力装置15を用いたライダーの操作に関する情報は、制御装置20に出力される。
【0025】
前輪車輪速センサ16は、前輪の車輪速(例えば、前輪の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。前輪車輪速センサ16が、前輪の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。前輪車輪速センサ16は、前輪に設けられている。
【0026】
後輪車輪速センサ17は、後輪の車輪速(例えば、後輪の単位時間当たりの回転数[rpm]又は単位時間当たりの移動距離[km/h]等)を検出する車輪速センサであり、検出結果を出力する。後輪車輪速センサ17が、後輪の車輪速に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。後輪車輪速センサ17は、後輪に設けられている。
【0027】
制御装置20は、ライダー支援システム10を制御する。例えば、制御装置20の一部又は全ては、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されている。また、例えば、制御装置20の一部又は全ては、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。制御装置20は、例えば、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。
【0028】
図2は、制御装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示されるように、制御装置20は、例えば、取得部21と、実行部22と、制御部23とを備える。また、制御装置20は、ライダー支援システム10の各装置と通信する。
【0029】
取得部21は、ライダー支援システム10の各装置から情報を取得し、実行部22及び制御部23へ出力する。例えば、取得部21は、周囲環境センサ14、入力装置15、前輪車輪速センサ16及び後輪車輪速センサ17から情報を取得する。なお、本明細書において、情報の取得には、情報の抽出又は生成等が含まれ得る。
【0030】
特に、取得部21は、グループ走行における自車両1のグループ内での位置を示すグループ内位置情報を、ライダーによる設定操作の情報である設定操作情報に基づいて取得する。グループ走行では、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行する。上記の設定操作は、グループ内位置情報を設定するための操作であり、例えば、表示装置13に表示される入力画面(例えば、図5を参照して後述する入力画面IM1)によって受け付けられる。入力画面を表示装置13に表示させる処理は、制御部23によって行われる。以下、図3を参照して、グループ走行の概要について説明する。
【0031】
図3は、モータサイクル1(つまり、自車両1)を含むグループがグループ走行している様子を示す図である。図3では、自車両1と、グループを構成する他車両2(つまり、グループ内の自車両1以外のモータサイクル)のうちの一部の他車両2a、2b、2c、2dとが示されている。
【0032】
図3に示されるように、グループ走行では、複数のモータサイクルが同一レーン内の左側の車列と右側の車列の2車列で走行する。図3の例では、他車両2b及び他車両2cが左側の車列を構成している。他車両2b及び他車両2cは、前方からこの順に並んでいる。一方、他車両2a、自車両1及び他車両2dが右側の車列を構成している。他車両2a、自車両1及び他車両2dは、前方からこの順に並んでいる。
【0033】
また、図3に示されるように、グループ走行では、左側の車列を構成するモータサイクルと、右側の車列を構成するモータサイクルとが前後方向において交互に並ぶ配置(つまり、ジグザグ状の配置)で、複数のモータサイクルが走行する。図3の例では、右側の車列中の他車両2a、左側の車列中の他車両2b、右側の車列中の自車両1、左側の車列中の他車両2c、右側の車列中の他車両2dが、前後方向において前方からこの順に並んでいる。
【0034】
上記のように、複数のモータサイクルによるグループ走行では、複数のモータサイクルがジグザグ状の配置で走行する。それにより、複数のモータサイクルが1車列で走行する場合と比べて、各車両間の前後方向での距離を短くすることができる。ゆえに、グループが信号機によって分断されることを抑制できる。
【0035】
実行部22は、ライダー支援システム10による運転支援動作を実行する。運転支援動作は、ライダーの運転を支援する動作であり、種々の動作を含み得る。例えば、運転支援動作は、アダプティブクルーズコントロール、ブラインドスポットワーニング、衝突回避動作、又は、衝突警告動作等の動作を含み得る。なお、これらの動作の詳細については、後述する。運転支援動作において、実行部22は、エンジン11、液圧制御ユニット12及び表示装置13の動作を適宜制御する。
【0036】
本実施形態では、上述したように、グループ走行における自車両1のグループ内での位置を示すグループ内位置情報が、取得部21によって取得される。そして、実行部22は、取得部21で取得されたグループ内位置情報に基づいて、運転支援動作を実行する。それにより、グループ走行においてモータサイクル1のライダーの運転を適切に支援することが実現される。このような制御装置20が行うグループ走行に関する処理の詳細については後述する。
【0037】
<制御装置の動作>
図4図6を参照して、本発明の実施形態に係る制御装置20の動作について説明する。
【0038】
本実施形態では、上述したように、実行部22は、取得部21で取得されたグループ内位置情報に基づいて、運転支援動作を実行する。以下では、実行部22がアダプティブクルーズコントロールを運転支援動作として実行する例を説明する。ただし、運転支援動作は、上述したように、アダプティブクルーズコントロール以外の動作であってもよい。
【0039】
アダプティブクルーズコントロールでは、実行部22は、ライダーによる加減速操作(つまり、アクセル操作及びブレーキ操作)によらずにモータサイクル1の速度を自動で制御する。実行部22は、例えば、前輪の車輪速及び後輪の車輪速に基づいて取得されるモータサイクル1の速度の値を監視することによって、モータサイクル1の速度を、予め設定された上限速度を超えない速度に制御することができる。
【0040】
また、アダプティブクルーズコントロールでは、実行部22は、モータサイクル1と目標車両との車間距離を目標距離に維持する車間距離維持制御を行う。実行部22は、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報に基づいて、車間距離維持制御を行う。周囲環境センサ14は、モータサイクル1の前方を走行する先行車両とモータサイクル1との車間距離、及び、先行車両に対するモータサイクル1の相対速度を検出することができる。実行部22は、例えば、車間距離維持制御において、先行車両を目標車両に設定し、先行車両との車間距離が目標距離に維持されるように、モータサイクル1の速度を制御する。なお、車間距離は、車線(具体的には、モータサイクル1の走行レーン)に沿う方向の距離を意味してもよく、直線距離を意味してもよい。
【0041】
実行部22は、例えば、入力装置15を用いたライダーによる操作に応じてアダプティブクルーズコントロールを実行する。ここで、モータサイクル1では、ライダーが、アダプティブクルーズコントロールのモードとして、グループ走行モードを選択できるようになっている。グループ走行モードが選択されると、実行部22は、グループ走行モードをアダプティブクルーズコントロールとして実行する。グループ走行モードは、アダプティブクルーズコントロールのうち、特にグループ走行に適したモードである。例えば、グループ走行モードでは、車間距離維持制御における目標距離が小さめに設定されている。
【0042】
図4は、制御装置20が行うグループ走行に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4に示される制御フローは、例えば、予め設定された時間間隔で繰り返し実行される。図4におけるステップS101は、図4に示される制御フローの開始に対応する。図4におけるステップS106は、図4に示される制御フローの終了に対応する。
【0043】
図4に示される制御フローが開始されると、ステップS102において、制御装置20は、グループ走行モードが実行中であるか否かを判定する。グループ走行モードが実行中であると判定された場合(ステップS102/YES)、ステップS103に進む。一方、グループ走行モードが実行中でないと判定された場合(ステップS102/NO)、図4に示される制御フローは終了する。
【0044】
ステップS102でYESと判定された場合、ステップS103において、制御装置20の取得部21は、グループ内位置情報の取得処理を行う。グループ内位置情報の取得処理では、取得部21は、ライダーによる設定操作の情報である設定操作情報に基づいて、グループ内位置情報を特定する。
【0045】
グループ内位置情報は、例えば、グループ内での自車両1が位置する車列(以下、自車列とも呼ぶ。)を示す車列情報を含む。また、グループ内位置情報は、例えば、グループ内での自車両1が位置する前後方向での位置(以下、自車両1の前後位置とも呼ぶ。)を示す前後位置情報を含む。前後位置情報は、例えば、自車両1が、グループ内での自車両1が位置する車列中で、先頭車両であるか、最後尾車両であるか、先頭車両と最後尾車両との間に位置する車両であるかを示す情報である。
【0046】
グループ内位置情報の取得処理では、ライダーによる設定操作を受け付ける入力画面が表示装置13に表示され、入力画面を用いてライダーによる設定操作が行われる。そして、取得部21は、そのように行われる設定操作の情報である設定操作情報に基づいて、グループ内位置情報を取得する。このように、ステップS103では、具体的には、入力画面を表示装置13に表示させる処理(つまり、制御部23が行う処理)と、設定操作情報に基づいてグループ内位置情報を取得する処理(つまり、取得部21が行う処理)とが順に行われる。
【0047】
図5は、表示装置13に表示される入力画面IM1の一例を示す図である。図5に示されるように、入力画面IM1には、複数のオブジェクトOJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6が複数列で表示される。なお、図5では、各オブジェクトが矩形状を有しているが、各オブジェクトの形状はこの例に限定されない。例えば、各オブジェクトの形状はモータサイクルの形状を模した形状であってもよい。
【0048】
具体的には、図5中の上下方向が列に沿った列方向である。複数のオブジェクトOJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6は、2列で表示される。図5の例では、オブジェクトOJ1、OJ2、OJ3が左側の列を構成している。オブジェクトOJ1、OJ2、OJ3は、入力画面IM1における上側からこの順に並んでいる。一方、オブジェクトOJ4、OJ5、OJ6が右側の列を構成している。オブジェクトOJ4、OJ5、OJ6は、入力画面IM1における上側からこの順に並んでいる。
【0049】
また、複数のオブジェクトOJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6は、列に沿った列方向(つまり、図5中の上下方向)に並ぶとともに、列方向と直交する行方向(つまり、図5中の左右方向)に並ぶように、行列状に配置されている。図5の例では、オブジェクトOJ1、OJ4が上の行を構成し、オブジェクトOJ2、OJ5が中央の行を構成し、オブジェクトOJ3、OJ6が下の行を構成している。
【0050】
ライダーは、グループ内位置情報を設定するための操作である設定操作において、入力画面IM1に表示されている複数のオブジェクトOJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6の中から1つのオブジェクトを選択する。例えば、表示装置13にタッチパネルが設けられており、ライダーは、タッチパネルを用いてオブジェクトを選択することができる。なお、ライダーによるオブジェクトの選択は、入力装置15を用いて行われてもよい。取得部21は、ライダーにより選択されたオブジェクトの複数のオブジェクトOJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6内での表示位置と対応する位置を示す情報を、グループ内位置情報として取得する。
【0051】
オブジェクトOJ1、OJ2、OJ3により構成される左側の列は、左側の車列と対応する。よって、オブジェクトOJ1、OJ2、OJ3のうちのいずれかがライダーにより選択された場合、取得部21は、自車列が左側の車列である旨を示す車列情報をグループ内位置情報として取得する。
【0052】
オブジェクトOJ4、OJ5、OJ6により構成される右側の列は、右側の車列と対応する。よって、オブジェクトOJ4、OJ5、OJ6のうちのいずれかがライダーにより選択された場合、取得部21は、自車列が右側の車列である旨を示す車列情報をグループ内位置情報として取得する。
【0053】
オブジェクトOJ1、OJ4により構成される上の行は、各車列中の先頭車両と対応する。よって、オブジェクトOJ1、OJ4のうちのいずれかがライダーにより選択された場合、取得部21は、グループ内での自車両1が位置する車列中で、自車両1が先頭車両である旨を示す前後位置情報をグループ内位置情報として取得する。
【0054】
オブジェクトOJ2、OJ5により構成される中央の行は、各車列中で先頭車両と最後尾車両との間に位置する車両と対応する。よって、オブジェクトOJ2、OJ5のうちのいずれかがライダーにより選択された場合、取得部21は、グループ内での自車両1が位置する車列中で、自車両1が先頭車両と最後尾車両との間に位置する車両である旨を示す前後位置情報をグループ内位置情報として取得する。
【0055】
オブジェクトOJ3、OJ6により構成される下の行は、各車列中の最後尾車両と対応する。よって、オブジェクトOJ3、OJ6のうちのいずれかがライダーにより選択された場合、取得部21は、グループ内での自車両1が位置する車列中で、自車両1が最後尾車両である旨を示す前後位置情報をグループ内位置情報として取得する。
【0056】
ライダーは、入力画面IM1を用いた設定操作において、自車両1のグループ内での位置と対応するオブジェクトを選択する。例えば、自車両1が左側の車列中の先頭に位置している場合、ライダーは、オブジェクトOJ1を選択する。それにより、取得部21は、自車列が左側の車列であり、自車両1が先頭車両であると判断することができる。
【0057】
なお、図5の例では、入力画面IM1に、複数のオブジェクトOJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6のみが表示されている。ただし、入力画面IM1には、ライダーによる設定操作を受け付けるオブジェクト以外のオブジェクト(例えば、車速を示すオブジェクト等)が表示されていてもよい。また、図5の例では、各列を構成するオブジェクトの数が3つである例を説明したが、各列を構成するオブジェクトの数は、3つ以外であってもよい。
【0058】
上記の例では、取得部21は、自車列を示す車列情報、及び、自車両1の前後位置を示す前後位置情報の双方を、グループ内位置情報として取得することができる。ただし、取得部21は、グループ内位置情報の取得処理において、自車列を示す車列情報、及び、自車両1の前後位置を示す前後位置情報のうちの一方のみを、グループ内位置情報として取得してもよい。
【0059】
上記では、ライダーによる設定操作を受け付ける入力画面IM1が表示装置13に表示され、入力画面IM1を用いてライダーによる設定操作が行われる例を説明した。ただし、ライダーによる設定操作は、表示装置13を用いずに行われてもよい。例えば、ライダーによる設定操作は、入力画面IM1が表示装置13には表示されない状態で行われ、入力装置15のみを用いた操作であってもよい。
【0060】
以下、図4に戻り、説明を続ける。図4中のステップS103の次に、ステップS104において、制御装置20は、グループ内位置情報が取得されたか否かを判定する。グループ内位置情報が取得されたと判定された場合(ステップS104/YES)、ステップS105に進む。一方、グループ内位置情報が取得されていないと判定された場合(ステップS104/NO)、図4に示される制御フローは終了する。
【0061】
ステップS104でYESと判定された場合、ステップS105において、制御装置20の実行部22は、グループ内位置情報に基づくアダプティブクルーズコントロールを実行し、図4に示される制御フローは終了する。
【0062】
例えば、実行部22は、自車列を示す車列情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールに用いられる周囲環境情報の検出範囲を変化させる。上述したように、アダプティブクルーズコントロールにおける車間距離維持制御は、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報に基づいて行われる。実行部22は、車列情報に基づいて、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲を変化させる。
【0063】
図6は、モータサイクル1により行われるアダプティブクルーズコントロールに用いられる周囲環境情報の検出範囲が変化する様子を示す図である。図6では、周囲環境センサ14の検出範囲18について、変化前の範囲が破線により示されており、変化後の範囲が実線により示されている。
【0064】
図6に示されるように、周囲環境センサ14の検出範囲18は、モータサイクル1の前部から前方に放射状に広がっている。周囲環境センサ14は、検出範囲18内の周囲環境情報を検出することができる。つまり、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲は、周囲環境センサ14の検出範囲18と基本的に一致する。ただし、後述するように、周囲環境センサ14の検出範囲18を変化させずに、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲を変化させることもできるので、これらの範囲を区別して説明する。
【0065】
実行部22は、例えば、周囲環境センサ14の検出範囲18を変化させることによって、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲を変化させる。具体的には、実行部22は、周囲環境センサ14の検出範囲18の中心C1(例えば、放射状に広がる範囲の中心軸)を、自車両1の走行軌跡を基準とする他車列(つまり、自車列と異なる車列)中の他車両2の存在する側に位置させる。それにより、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲の中心が、自車両1の走行軌跡を基準とする他車列中の他車両2の存在する側に位置する。なお、検出範囲18の中心C1は、破線で示されるように、検出範囲18を変化させる前において、自車両1の走行軌跡上に位置している。
【0066】
図6の例では、車列情報により示される自車列は、右側の車列である。よって、この場合、実行部22は、周囲環境センサ14の検出範囲18の中心C1を、実線で示されるように、自車両1の走行軌跡を基準とする左側に位置させる。それにより、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲の中心が、自車両1の走行軌跡を基準とする左側に位置する。ゆえに、図6中で実線により示されるように、周囲環境センサ14の検出範囲18(つまり、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲)を自車両1の走行レーン内に収めることができる。それにより、例えば、自車両1の走行レーンに隣接する隣接レーンを走行する車両が検出範囲18内に入り、車間距離維持制御における目標車両として誤って設定されることを抑制できる。
【0067】
なお、実行部22は、周囲環境センサ14の検出範囲18を変化させずに、周囲環境センサ14により検出される周囲環境情報の検出範囲を変化させてもよい。例えば、実行部22は、検出範囲18内の特定の範囲(例えば、図6の例では、自車両1の走行軌跡を基準とする右側の範囲)に関する情報を周囲環境情報としては検出しないようにすることで、周囲環境情報の検出範囲を変化させてもよい。
【0068】
上記では、ステップS105において、実行部22が、自車列を示す車列情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールに用いられる周囲環境情報の検出範囲を変化させる例を説明した。ただし、ステップS105において、実行部22は、グループ内位置情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールを実行すればよく、上記の制御以外の制御を行ってもよい。例えば、実行部22は、車列情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールにおける車間距離維持制御の目標車両を設定してもよい。また、例えば、実行部22は、自車両1の前後位置を示す前後位置情報に基づいて、アダプティブクルーズコントロールにおける車間距離維持制御の目標車両を設定してもよい。
【0069】
上記では、アダプティブクルーズコントロールが、グループ内位置情報に基づいて実行される例を説明した。ただし、実行部22は、上述したように、運転支援動作として、アダプティブクルーズコントロール以外の動作を実行してもよい。
【0070】
運転支援動作は、例えば、ブラインドスポットワーニングを含み得る。ブラインドスポットワーニングは、ライダーの死角に車両が存在する場合に、ライダーの死角に車両が存在する旨をライダーに対して通知するための警告を各種装置に行わせる動作である。ブラインドスポットワーニングは、自車両1よりも後方の周囲環境情報を検出する周囲環境センサ(つまり、図1中の周囲環境センサ14とは異なる周囲環境センサ)を用いることによって実現される。実行部22は、例えば、自車両1よりも後方の周囲環境情報を検出する周囲環境センサの出力結果に基づいて、ライダーの死角に車両が存在するか否かを判定する。実行部22は、ブラインドスポットワーニングにおいて、例えば、ライダーの死角に車両が存在する旨をライダーに対して通知するための表示を表示装置13に行わせる。
【0071】
なお、ブラインドスポットワーニングは、表示装置13を用いる例に限定されない。例えば、ブラインドスポットワーニングは、ライダーの頭に装着されるヘルメットに設けられる表示装置(例えば、ライダーの視線上に配置される透過性を有するディスプレイ)を用いて行われてもよい。また、例えば、ブラインドスポットワーニングは、音声出力装置又は振動発生装置を用いて行われてもよい。また、例えば、ブラインドスポットワーニングは、モータサイクル1を瞬時的に減速させることによって行われてもよい。なお、上記の瞬時的な減速は、エンジン11の出力を低下させることによって実現されてもよく、液圧制御ユニット12により制動力を生じさせることによって実現されてもよく、モータサイクル1の変速機構の変速比を変化させることによって実現されてもよい。
【0072】
実行部22は、グループ内位置情報に基づいて、ブラインドスポットワーニングを実行してもよい。例えば、車列情報により示される自車列が右側の車列である場合、自車両1の左後方に他車両2が接近している状態を維持しながらグループ走行が行われていることが想定される。この場合、実行部22は、ライダーの死角のうち自車両1の左後方に車両が存在する旨をライダーに対して通知するための警告が不必要に行われることを抑制するために、そのような警告を禁止する。
【0073】
なお、実行部22は、自車両1の前後位置を示す前後位置情報に基づいて、ブラインドスポットワーニングを実行してもよい。例えば、自車両1が先頭車両である場合、又は、自車両1が先頭車両と最後尾車両との間に位置する場合にはブラインドスポットワーニングを禁止し、自車両1が最後尾車両である場合にはブラインドスポットワーニングを許可してもよい。
【0074】
運転支援動作は、例えば、衝突回避動作を含み得る。衝突回避動作は、モータサイクル1が周囲の車両に過度に接近した場合に、周囲の車両との衝突が回避されるように、モータサイクル1の挙動を制御する動作である。例えば、衝突回避動作は、先行車両との衝突が回避されるように、モータサイクル1に自動で制動力を生じさせる動作であってもよい。また、例えば、衝突回避動作は、後続車両との衝突が回避されるように、モータサイクル1に自動で駆動力を生じさせる動作であってもよい。
【0075】
実行部22は、グループ内位置情報に基づいて、衝突回避動作を実行してもよい。例えば、車列情報により示される自車列が右側の車列である場合、自車両1の左前方又は左後方に他車両2が接近している状態を維持しながらグループ走行が行われていることが想定される。この場合、実行部22は、自車両1の左前方又は左後方の他車両2との衝突を回避するための衝突回避動作が不必要に行われることを抑制するために、そのような衝突回避動作を禁止する。
【0076】
なお、実行部22は、自車両1の前後位置を示す前後位置情報に基づいて、衝突回避動作を実行してもよい。例えば、自車両1が先頭車両である場合には後続車両との衝突を回避するための衝突回避動作を禁止し、自車両1が最後尾車両である場合には先行車両との衝突を回避するための衝突回避動作を禁止し、自車両1が先頭車両と最後尾車両との間に位置する場合には双方の衝突回避動作を禁止してもよい。
【0077】
運転支援動作は、例えば、衝突警告動作を含み得る。衝突警告動作は、モータサイクル1が周囲の車両に過度に接近した場合に、周囲の車両との衝突の回避をライダーに促すために、周囲の車両が接近している旨をライダーに対して通知するための警告を各種装置に行わせる動作である。実行部22は、衝突警告動作において、例えば、周囲の車両が接近している旨をライダーに対して通知するための表示を表示装置13に行わせる。
【0078】
なお、衝突警告動作は、ブラインドスポットワーニングと同様に、表示装置13を用いる例に限定されない。例えば、衝突警告動作は、ライダーの頭に装着されるヘルメットに設けられる表示装置を用いて行われてもよい。また、例えば、衝突警告動作は、音声出力装置又は振動発生装置を用いて行われてもよい。また、例えば、衝突警告動作は、モータサイクル1を瞬時的に減速させることによって行われてもよい。
【0079】
実行部22は、グループ内位置情報に基づいて、衝突警告動作を実行してもよい。例えば、車列情報により示される自車列が右側の車列である場合、自車両1の左前方又は左後方に他車両2が接近している状態を維持しながらグループ走行が行われていることが想定される。この場合、実行部22は、自車両1の左前方又は左後方の他車両2が接近している旨をライダーに対して通知するための警告が不必要に行われることを抑制するために、そのような警告を禁止する。
【0080】
なお、実行部22は、自車両1の前後位置を示す前後位置情報に基づいて、衝突警告動作を実行してもよい。例えば、自車両1が先頭車両である場合には後続車両が接近している旨をライダーに対して通知するための警告を禁止し、自車両1が最後尾車両である場合には先行車両が接近している旨をライダーに対して通知するための警告を禁止し、自車両1が先頭車両と最後尾車両との間に位置する場合には双方の警告を禁止してもよい。
【0081】
上記で説明した図4のフローチャートでは、グループ走行モードが実行中であると判定された場合(ステップS102/YES)に、ステップS103以降の処理が行われた。ただし、ステップS103以降の処理が実行される実行条件は、この例に限定されない。上記の実行条件は、自車両1及び他車両2を含むグループがグループ走行していると判断できるような条件であればよい。例えば、上記の実行条件は、自車両1及び他車両2がジグザグ状の配置で走行していると判定されること等であってもよい。制御装置20は、例えば、他車両2又はインフラストラクチャ設備との無線通信を介して、自車両1及び他車両2の位置関係を示す情報を取得し、その情報を用いて、自車両1及び他車両2がジグザグ状の配置で走行しているか否かを判定することができる。
【0082】
<制御装置の効果>
本発明の実施形態に係る制御装置20の効果について説明する。
【0083】
制御装置20において、取得部21は、複数のモータサイクルで構成されるグループが複数車列で走行するグループ走行における自車両1のグループ内での位置を示すグループ内位置情報を、ライダーによる設定操作の情報である設定操作情報に基づいて取得する。そして、実行部22は、取得部21で取得されたグループ内位置情報に基づいて、運転支援動作を実行する。それにより、グループ走行が行われている場合に、自車両1の周囲の交通状況に応じて、運転支援動作を適切に実行することができる。ゆえに、グループ走行においてモータサイクル1のライダーの運転を適切に支援することができる。
【0084】
好ましくは、制御装置20において、グループ内位置情報は、グループ内での自車両1が位置する車列を示す車列情報を含む。それにより、車列情報に基づいて運転支援動作を実行することができるので、自車両1の周囲の交通状況に応じて、運転支援動作をより適切に実行することができる。
【0085】
好ましくは、制御装置20において、グループ内位置情報は、グループ内での自車両1が位置する前後方向での位置を示す前後位置情報を含む。それにより、前後位置情報に基づいて運転支援動作を実行することができるので、自車両1の周囲の交通状況に応じて、運転支援動作をより適切に実行することができる。
【0086】
好ましくは、制御装置20において、前後位置情報は、自車両1が、グループ内での自車両1が位置する車列中で、先頭車両であるか、最後尾車両であるか、先頭車両と最後尾車両との間に位置する車両であるかを示す情報である。それにより、自車両1が、グループ内での自車両1が位置する車列中で、先頭車両であるか、最後尾車両であるか、先頭車両と最後尾車両との間に位置する車両であるかに基づいて運転支援動作を実行することができるので、前後位置情報に基づく運転支援動作が適切に実現される。
【0087】
好ましくは、制御装置20において、制御部23は、ライダーによる設定操作を受け付ける入力画面IM1を表示装置13に表示させる。それにより、ライダーは、視覚を利用した感覚的な操作によって、設定操作を容易に行うことができる。
【0088】
好ましくは、制御装置20において、入力画面IM1には、複数のオブジェクトOJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6が複数列で表示され、取得部21は、ライダーにより選択されたオブジェクトの複数のオブジェクトOJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6内での表示位置と対応する位置を示す情報を、グループ内位置情報として取得する。それにより、視覚を利用した感覚的な操作によって、ライダーに設定操作を行わせることが適切に実現される。
【0089】
好ましくは、制御装置20において、入力画面IM1において、複数のオブジェクトOJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6は、列に沿った列方向に並ぶとともに、列方向と直交する行方向に並ぶように、行列状に配置されている。
【0090】
ここで、複数のオブジェクトOJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6の配置はこの例に限定されず、例えば、ジグザグ状であってもよい。ただし、グループ走行では、一側の車列が他側の車列に対して相対的に前後方向に移動することがある。ゆえに、左側の車列の先頭車両が右側の車列の先頭車両よりも前方に位置する状態と、右側の車列の先頭車両が左側の車列の先頭車両よりも前方に位置する状態とが切り替わることがある。よって、例えば、左側の車列の先頭車両と対応するオブジェクトOJ1が右側の車列の先頭車両と対応するOJ4よりも上方に配置されているものの、左側の車列の先頭車両が右側の車列の先頭車両よりも実際には後方に位置している状況が生じ得る。この場合、オブジェクトの配置と実際の車両配置とのずれをライダーが違和感として感じやすくなる。
【0091】
そこで、複数のオブジェクトOJ1、OJ2、OJ3、OJ4、OJ5、OJ6が、列に沿った列方向に並ぶとともに、列方向と直交する行方向に並ぶように、行列状に配置されることによって、上記のような違和感をライダーに与えにくくすることができる。
【0092】
好ましくは、制御装置20において、運転支援動作は、アダプティブクルーズコントロールを含む。それにより、グループ走行が行われている場合に、自車両1の周囲の交通状況に応じて、アダプティブクルーズコントロールを適切に実行することができる。ゆえに、グループ走行におけるモータサイクル1のライダーの運転支援の適正化が適切に実現される。
【0093】
好ましくは、制御装置20において、運転支援動作は、ブラインドスポットワーニングを含む。それにより、グループ走行が行われている場合に、自車両1の周囲の交通状況に応じて、ブラインドスポットワーニングを適切に実行することができる。ゆえに、グループ走行におけるモータサイクル1のライダーの運転支援の適正化が適切に実現される。
【0094】
好ましくは、制御装置20において、運転支援動作は、衝突回避動作を含む。それにより、グループ走行が行われている場合に、自車両1の周囲の交通状況に応じて、衝突回避動作を適切に実行することができる。ゆえに、グループ走行におけるモータサイクル1のライダーの運転支援の適正化が適切に実現される。
【0095】
好ましくは、制御装置20において、運転支援動作は、衝突警告動作を含む。それにより、グループ走行が行われている場合に、自車両1の周囲の交通状況に応じて、衝突警告動作を適切に実行することができる。ゆえに、グループ走行におけるモータサイクル1のライダーの運転支援の適正化が適切に実現される。
【0096】
本発明は実施形態の説明に限定されない。例えば、実施形態の一部のみが実施されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 モータサイクル(自車両)、2 モータサイクル(他車両)、2a 他車両、2b 他車両、2c 他車両、2d 他車両、10 ライダー支援システム、11 エンジン、12 液圧制御ユニット、13 表示装置、14 周囲環境センサ、15 入力装置、16 前輪車輪速センサ、17 後輪車輪速センサ、18 検出範囲、20 制御装置、21 取得部、22 実行部、23 制御部、C1 中心、IM1 入力画面、OJ1 オブジェクト、OJ2 オブジェクト、OJ3 オブジェクト、OJ4 オブジェクト、OJ5 オブジェクト、OJ6 オブジェクト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6