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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122317
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】マルチフィルム検出装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/00 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A01G13/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019447
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(71)【出願人】
【識別番号】000183967
【氏名又は名称】鋤柄農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 文治
(72)【発明者】
【氏名】小西 健斗
(72)【発明者】
【氏名】中出 一輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 健輔
(72)【発明者】
【氏名】鋤柄 忠良
【テーマコード(参考)】
2B024
【Fターム(参考)】
2B024CB03
(57)【要約】
【課題】フィルムロールを支持するマルチフィルム敷設装置の種類や仕様が変更になった場合でもマルチフィルムの検出を良好に行うこと。
【解決手段】マルチフィルム検出装置は、フィルムロールから巻き出されるマルチフィルムの有無を検出する装置であって、前記フィルムロールから巻き出されたマルチフィルムに向けて検知光を照射する照射部と、前記マルチフィルムから反射した検知光を受信する受光部と、を有するセンサと、前記センサを前記フィルムロールの近傍に支持するセンサ支持体と、を備え、前記センサ支持体は、前記フィルムロールに対する前記センサの位置を調整可能な調整機構を有している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムロールから巻き出されるマルチフィルムの有無を検出する装置であって、
前記フィルムロールから巻き出されたマルチフィルムに向けて検知光を照射する照射部と、前記マルチフィルムから反射した検知光を受信する受光部と、を有するセンサと、
前記センサを前記フィルムロールの近傍に支持するセンサ支持体と、
を備え、
前記センサ支持体は、前記フィルムロールに対する前記センサの位置を調整可能な調整機構を有しているマルチフィルム検出装置。
【請求項2】
前記調整機構は、前記フィルムロールの幅方向における前記センサの位置を調整可能な第1調整機構を有している請求項1に記載のマルチフィルム検出装置。
【請求項3】
前記調整機構は、前記センサの上下方向の位置を調整可能な第2調整機構を有している請求項1又は2に記載のマルチフィルム検出装置。
【請求項4】
前記調整機構は、前記センサの前後方向の位置を調整可能な第3調整機構を有している請求項1~3のいずれか1項に記載のマルチフィルム検出装置。
【請求項5】
前記照射部は、前記フィルムロールから巻き出されたマルチフィルムにテンションを付与するテンションロールと前記フィルムロールとの間のマルチフィルムに向けて検知光を照射する請求項1~4のいずれか1項に記載のマルチフィルム検出装置。
【請求項6】
前記センサ支持体は、前記テンションロールを支持するテンションロール支持体に取り付けられている請求項5に記載のマルチフィルム検出装置。
【請求項7】
前記第1調整機構は、前記フィルムロールに対する位置を固定可能なベース部材と、前記ベース部材に対して前記幅方向に移動可能に取り付けられた第1調整部材と、を有し、
前記第1調整部材の移動に伴って前記幅方向における前記センサの位置を調整可能である請求項2に記載のマルチフィルム検出装置。
【請求項8】
前記第2調整機構は、前記フィルムロールの幅方向と平行に延びる支軸を支点として上下方向に揺動可能な第2調整部材を有し、
前記第2調整部材の揺動に伴って前記センサの上下方向の位置を調整可能である請求項3に記載のマルチフィルム検出装置。
【請求項9】
前記第3調整機構は、前記フィルムロールの幅方向と平行に延びる支軸が挿通される長孔を有する第2調整部材を有し、
前記支軸に対する前記長孔の移動に伴って前記センサの前後方向の位置を調整可能である請求項4に記載のマルチフィルム検出装置。
【請求項10】
前記センサ支持体は、
前記テンションロール支持体に取り付けられたベース部材と、
前記ベース部材に対して前記フィルムロールの幅方向に移動可能に取り付けられた第1調整部材と、
前記第1調整部材に対して、前記幅方向と平行に配置された支軸を支点として上下方向に揺動可能であって且つ前後方向に移動可能な第2調整部材と、
を有している請求項6に記載のマルチフィルム検出装置。
【請求項11】
前記テンションロール支持体は、前記テンションロールを支持するロール支持部と、前記ロール支持部から上方に延びる支持ステーと、を有し、
前記ベース部材は、前記支持ステーに対して着脱可能であって且つ上下方向に移動可能に取り付けられている請求項6又は10に記載のマルチフィルム検出装置。
【請求項12】
前記フィルムロールは、圃場を耕耘するロータリ耕耘機の後方に配置されており、
前記テンションロール支持体は、前記ロータリ耕耘機に連結されたフレームに取り付けられている請求項6、10、11のいずれか1項に記載のマルチフィルム検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムロールから巻き出されるマルチフィルムを検出するマルチフィルム検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムロールから巻き出されるマルチフィルムを検出する装置として、下記特許文献1に記載された装置が知られている。特許文献1には、マルチ作業機に支持されたフィルムロールから巻き出されるマルチフィルムの終端を投光器と受光器とからなる光電式のセンサを用いて検出する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3122171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置の場合、フィルムロールに対するセンサの位置を調整することができない。そのため、フィルムロールを支持するマルチ作業機の種類や仕様が変更になると、マルチフィルムの検出が良好に行えなくなるおそれがある。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、マルチ作業機の種類や仕様が変更になった場合でもマルチフィルムの検出を良好に行うことができるマルチフィルム検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
本発明の一態様に係るマルチフィルム検出装置は、フィルムロールから巻き出されるマルチフィルムの有無を検出する装置であって、前記フィルムロールから巻き出されたマルチフィルムに向けて検知光を照射する照射部と、前記マルチフィルムから反射した検知光を受信する受光部と、を有するセンサと、前記センサを前記フィルムロールの近傍に支持するセンサ支持体と、を備え、前記センサ支持体は、前記フィルムロールに対する前記センサの位置を調整可能な調整機構を有している。
【0006】
好ましくは、前記調整機構は、前記フィルムロールの幅方向における前記センサの位置を調整可能な第1調整機構を有している。
好ましくは、前記調整機構は、前記センサの上下方向の位置を調整可能な第2調整機構を有している。
好ましくは、前記調整機構は、前記センサの前後方向の位置を調整可能な第3調整機構を有している。
【0007】
好ましくは、前記照射部は、前記フィルムロールから巻き出されたマルチフィルムにテンションを付与するテンションロールと前記フィルムロールとの間のマルチフィルムに向けて検知光を照射する。
好ましくは、前記センサ支持体は、前記テンションロールを支持するテンションロール支持体に取り付けられている。
【0008】
好ましくは、前記第1調整機構は、前記フィルムロールに対する位置を固定可能なベース部材と、前記ベース部材に対して前記幅方向に移動可能に取り付けられた第1調整部材と、を有し、前記第1調整部材の移動に伴って前記幅方向における前記センサの位置を調整可能である。
好ましくは、前記第2調整機構は、前記フィルムロールの幅方向と平行に延びる支軸を支点として上下方向に揺動可能な第2調整部材を有し、前記第2調整部材の揺動に伴って前記センサの上下方向の位置を調整可能である。
【0009】
好ましくは、前記第3調整機構は、前記フィルムロールの幅方向と平行に延びる支軸が挿通される長孔を有する第2調整部材を有し、前記支軸に対する前記長孔の移動に伴って前記センサの前後方向の位置を調整可能である。
好ましくは、前記センサ支持体は、前記テンションロール支持体に取り付けられたベース部材と、前記ベース部材に対して前記フィルムロールの幅方向に移動可能に取り付けられた第1調整部材と、前記第1調整部材に対して、前記幅方向と平行に配置された支軸を支点として上下方向に揺動可能であって且つ前後方向に移動可能な第2調整部材と、を有している。
【0010】
好ましくは、前記テンションロール支持体は、前記テンションロールを支持するロール支持部と、前記ロール支持部から上方に延びる支持ステーと、を有し、前記ベース部材は、前記支持ステーに対して着脱可能であって且つ上下方向に移動可能に取り付けられている。
好ましくは、前記フィルムロールは、圃場を耕耘するロータリ耕耘機の後方に配置されており、前記テンションロール支持体は、前記ロータリ耕耘機に連結されたフレームに取り付けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、センサ支持体が有する調整機構によってフィルムロールに対するセンサの位置を調整することができるため、フィルムロールを支持するマルチ作業機の種類や仕様が変更になった場合でもマルチフィルムの検出を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】走行車両に装着されたマルチ作業機の側面図である。
図2】マルチ作業機を後方から見た斜視図である。
図3】センサがフィルムロールから巻き出されるマルチフィルムを検出している状態を示す図である。
図4】センサがフィルムロールから巻き出されるマルチフィルムを検出していない状態を示す図である。
図5】フィルムロール、第2テンションロール、センサ、センサ支持体を示す平面図である。
図6図5のA-A線断面図である。
図7図5の状態からセンサの位置をフィルムロールの幅方向に移動させた状態を示す図である。
図8】支軸を支点とした第2調整部材の揺動によってセンサの上下方向の位置を調整している様子を示す図である。
図9】支軸に対する長孔の移動によってセンサの前後方向の位置を調整している様子を示す図である。
図10】支持ステーに対するベース部材の上下方向の移動によってセンサの上下方向の位置を調整している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、走行車両Tに装着されたマルチ作業機1の側面図である。図2は、マルチ作業機1を後方から見た斜視図である。
マルチ作業機1は、圃場を耕耘して畝を成形した後、畝にマルチフィルムMFを敷設する装置である。図1に示すように、マルチ作業機1は、走行車両Tの後部に装着されたロータリ耕耘機2と、ロータリ耕耘機2に装着された畝成形器3と、ロータリ耕耘機2に装着されたマルチフィルム敷設装置4とを有する。
【0014】
本実施形態の場合、走行車両Tはトラクタであるため、走行車両TをトラクタTとして説明する。但し、走行車両Tは、トラクタ以外の走行する車両であってもよい。
以下の説明において、トラクタ(走行車両)Tの運転席(図示略)に着座した運転者の前側(図1の左側)を前方、運転者の後側(図1の右側)を後方、運転者の左側(図1の手前側)を左方、運転者の右側(図1の奥側)を右方として説明する。また、トラクタTの前後方向に直交する方向である水平方向を幅方向として説明する。
【0015】
図1に示すように、トラクタTは、車体6と、車体6の前部に装着された前輪(図示略)と、車体6の後部に装着された後輪7とを有する。車体6はエンジン、クラッチを内有したクラッチハウジング、変速装置を内有したミッションケース、差動装置を内有したデフケース等を直結して構成されている。車体6の後部には、動力取出し用のPTO軸8が装備されている。
【0016】
ロータリ耕耘機2は、トラクタTの後部に三点リンク機構9を介して昇降可能に装着されている。三点リンク機構9は、車体6の後部に設けられている。ロータリ耕耘機2は、ロータリ機枠10と、ロータリ耕耘部11と、ロータリカバー12とを有する。
ロータリ機枠10は、トラクタTの後部に三点リンク機構9を介して連結されている。ロータリ機枠10は、ロータリ耕耘部11を支持している。ロータリ耕耘部11は、回転軸13と耕耘爪14とを有している。回転軸13は、幅方向に延びている。回転軸13は、伝動ケース5に収容されたチェーン伝動手段を介してPTO軸8の回転動力を受けて回転する。耕耘爪14は、回転軸13の回転に伴って矢印A1方向に回転し、土壌を耕起して後方に放擲する。
【0017】
図1に示すように、ロータリ機枠10には、連結体15を介してフレーム16が連結されている。フレーム16は、横フレーム17と縦フレーム18とを含む。横フレーム17は、ロータリ耕耘部11の後方において幅方向に延びている。縦フレーム18は、横フレーム17から下方に延びている。縦フレーム18の下部には畝成形器3が配設されている。畝成形器3は、後方視にてアーチ状に屈曲された成形板から構成されている。
【0018】
図1図2に示すように、ロータリ耕耘部11の後方には接地輪20が配置されている。接地輪20は、左側と右側に夫々配置されている。接地輪20は、支持ロッド21を介してロータリ機枠10に接続されている。ロータリ機枠10には、高さ調整ロッド22が取り付けられている。高さ調整ロッド22の上部に設けられたハンドル22aを回転させることにより、接地輪20の高さを変更してロータリ耕耘部11による耕耘深さを調整することができる。
【0019】
マルチフィルム敷設装置4は、畝成形器3により成形された畝UにマルチフィルムMFを敷設する装置である。マルチフィルム敷設装置4は、フィルムロール支持部材25、テンションロール支持体26、鎮圧ローラ27、フィルム押さえ車輪28、覆土輪29、マルチフィルム検出装置30を有している。
フィルムロール支持部材25は、マルチフィルムMFを巻回したフィルムロールFRを回転可能に支持する。図2に示すように、フィルムロール支持部材25は、左側の支持杆34と右側の支持杆34に夫々取り付けられている。フィルムロールFRは、左側のフィルムロール支持部材25と右側のフィルムロール支持部材25との間に亘って配置される。これにより、フィルムロールFRは幅方向に延びている。フィルムロールFRは、ロータリ耕耘機2の後方に配置されている。
【0020】
図1に示すように、テンションロール支持体26は、第1支持体31と第2支持体32とを含む。
第1支持体31は、第1テンションロール39を支持する。第1支持体31は、横フレーム17に取り付けられて後方に延びている。第1テンションロール39は、フィルムロール支持部材25に支持されるフィルムロールFRよりも下方に配置される。第1テンションロール39は、フィルムロールFRと平行に幅方向に延びている。第1テンションロール39の軸心は、フィルムロールFRの軸心よりも後方に位置している。
【0021】
第2支持体32は、第2テンションロール40を支持する。第2支持体32は、横フレーム17に取り付けられている。第2支持体32は、ロール支持部35、支持ステー36、連結部37を有している。ロール支持部35は、第2テンションロール40を回転可能に支持している。支持ステー36はロール支持部35から上方に延びている。連結部37は、ロール支持部35とフレーム16(横フレーム17)とを連結している。第2テンションロール40は、第1テンションロール39よりも下方に配置されている。第2テンションロール40の前縁部は、第1テンションロール39の後縁部よりも前方に配置されている。第2テンションロール40は、フィルムロールFRと平行に幅方向に延びている。
【0022】
第1テンションロール39及び第2テンションロール40は、フィルムロールFRから巻き出されたマルチフィルムMFにテンションを付与しながら下方に向けて案内する。尚、マルチフィルムMFにテンションを付与するテンションロールは1つであってもよい。この場合、第1テンションロール39と第2テンションロール40のいずれか一方を省略することができる。また、テンションロールは3つ以上であってもよい。この場合、第1テンションロール39と第2テンションロール40に加えて別のテンションロールが配設される。
【0023】
鎮圧ローラ27は、第2テンションロール40の後下方に配置されている。鎮圧ローラ27は、フィルムロールFRから巻き出されてテンションロール(第1テンションロール39、第2テンションロール40)で案内されるマルチフィルムMFを、畝成形器3で成形される畝Uの上面に押し付けて、マルチフィルムMFを畝Uの上面に沿わせる。
フィルム押さえ車輪28及び覆土輪29は、鎮圧ローラ27の左側と右側の後下方に夫々配置されている。フィルム押さえ車輪28は、マルチフィルムMFの左端部と右端部を畝Uの左側と右側にある畝溝の底面に押し付ける。覆土輪29は、フィルム押さえ車輪28の後方近傍に配置され、フィルム押さえ車輪28で押し付けられたマルチフィルムMFの左端部と右端部に土を被せる。
【0024】
マルチフィルム検出装置30は、フィルムロールFRから巻き出されるマルチフィルムMFの有無を検出する装置である。マルチフィルム検出装置30は、センサ41とセンサ支持体42とを備えている。
センサ41は、マルチフィルムMFに接触することなくマルチフィルムMFの有無を検出可能な非接触式のセンサである。詳しくは、センサ41は、反射形(拡散反射形等)の光電センサであって、照射部(投光部)と受光部とを有する。図3に示すように、センサ41は、フィルムロールFRから巻き出されたマルチフィルムMFに向けて照射部から検知光L1を照射し、マルチフィルムMFから反射した検知光L2を受光部により受信する。
【0025】
図3に示すように、センサ41の照射部は、フィルムロールFRから巻き出されたマルチフィルムMFにテンションを付与するテンションロール(第1テンションロール39)とフィルムロールFRとの間のマルチフィルムMF1に向けて検知光L1を照射する。本実施形態のようにテンションロールが複数ある場合には、フィルムロールFRに最も近いテンションロール(第1テンションロール39)とフィルムロールFRとの間のマルチフィルムMF1に向けて検知光を照射することが好ましい。但し、テンションロールとテンションロールとの間(例えば、第1テンションロール39と第2テンションロール40との間)にあるマルチフィルムMF2に向けて検知光を照射するように構成してもよい。
【0026】
図3に示すように、フィルムロールFRから巻き出されたマルチフィルムMFが有るときは、センサ41の照射部から照射された検知光L1はマルチフィルムMFに当たって反射し、反射した検知光L2が受光部にて受信される。これにより、フィルムロールFRから巻き出されたマルチフィルムMFが有ることが検出され、センサ41から検出信号が出力される。
【0027】
図4に示すように、フィルムロールFRから巻き出されたマルチフィルムMFが無くなったときは、センサ41の照射部から照射された検知光L1はマルチフィルムMFに当たらないため、受光部は反射した検知光を受信することができない。そのため、フィルムロールFRから巻き出されたマルチフィルムMFが有ることを検出できず、センサ41から検出信号が出力されない。
【0028】
センサ41には、制御装置43が通信可能に接続されている。制御装置43としては、例えば、CPU(演算部)やメモリ(記憶部)を備えたコンピュータ(マイコン等)が使用される。制御装置43は、マルチフィルムMFの敷設作業時において、センサ41から検出信号が出力されなくなると、マルチフィルム切れが生じたことを報知装置(ブザーやランプ等)により、トラクタTを運転する作業者に報知する。これにより、作業者は、新しいフィルムロールFRを装着して作業を継続することができる。
【0029】
図1等に示すように、センサ支持体42は、テンションロールを支持するテンションロール支持体26に取り付けられている。詳しくは、センサ支持体42は、第2テンションロール40を支持する第2支持体32に取り付けられている。上述した通り、第2支持体32は、ロール支持部35と支持ステー36とを有している。
図5に示すように、ロール支持部35は、左支持部35aと右支持部35bと接続部35cとを有している。左支持部35aと右支持部35bは、前後方向に延びている。左支持部35aは、第2テンションロール40の左端を支持している。右支持部35bは、第2テンションロール40の右端を支持している。接続部35cは、幅方向に延びており、左支持部35aと右支持部35bとを接続している。
【0030】
図1図2に示すように、支持ステー36は、上下方向に延びる棒状の部材である。支持ステー36は、ロール支持部35から上方に延びている。支持ステー36は、連結部37を介してフレーム16(横フレーム17)と連結されている。図5に示すように、支持ステー36にはロール支持部35の接続部35cが固定されており、接続部35cは支持ステー36から左方と右方に延びている。
【0031】
図1図2図5に示すように、センサ支持体42は、センサ41をフィルムロールFRの近傍に支持する。図5に示すように、センサ支持体42は、ベース部材44と、第1調整部材45と、第2調整部材46とを有している。図5において、符号MFを付した部分は、フィルムロールFRから巻き出されて第2テンションロール40に向かうマルチフィルムである。また、フィルムロールFRの中心軸線CL1を一点鎖線で示している。中心軸線CL1は、フィルムロールFRの幅方向に延びている。
【0032】
ベース部材44は、第2支持体32に取り付けられている。詳しくは、ベース部材44は、第2支持体32の支持ステー36に取り付けられている。ベース部材44は、支持ステー36に取り付けられる取付部44aと、取付部44aから延伸された延伸部44bを有している。本実施形態の場合、延伸部44bは、取付部44aから前方に延伸しているが、後方に延伸するように構成してもよい。
【0033】
図5図6に示すように、取付部44aは、固定具47によって支持ステー36に取り付けられている。固定具47は、ボルト47aとナット47bとを有している。取付部44aには、ボルト47aを挿通可能な孔44cが形成されている。孔44cは、取付部44aを前後方向に貫通している。ナット47bは、取付部44aに固着されている。ボルト47aをナット47bに螺合しながら孔44cに挿通して、ボルト47aの先端を支持ステー36に圧接することにより、取付部44aを支持ステー36に取り付けることができる。
【0034】
図5に示すように、延伸部44bは、左延伸部44bLと右延伸部44bRとを含む。左延伸部44bLと右延伸部44bRとは、フィルムロールFRの幅方向に間隔をあけて配置されている。支持ステー36は、左延伸部44bLと右延伸部44bRと間に挟まれて配置され、左延伸部44bLと右延伸部44bRと間で上下方向に延びる。
図5図6に示すように、延伸部44bには、フィルムロールFRの幅方向と平行な方向に貫通する貫通孔44dが形成されている。貫通孔44dは、左延伸部44bLと右延伸部44bRに形成されている。この貫通孔44dには、後述する第1調整部材45の第1部位45aが挿通される。
【0035】
ベース部材44は、ボルト47aを締めることにより、支持ステー36に対する位置を固定可能である。従って、ベース部材44は、フィルムロールFRに対する位置を固定可能である。ベース部材44は、ボルト47aを緩めることにより、支持ステー36に対して上下方向に移動可能である。また、ベース部材44は、第1調整部材45をベース部材44から取り外す(抜き取る)ことにより、支持ステー36から取り外すことができる。そのため、ベース部材44は、支持ステー36に対して着脱可能である。
【0036】
第1調整部材45は、ベース部材44に対してフィルムロールFRの幅方向に移動可能に取り付けられている。図5に示すように、第1調整部材45は、第1部位45aと第2部位45bとを有している。第1部位45aは、ベース部材44の貫通孔44dに挿通されている。第1部位45aは、フィルムロールFRの幅方向と平行に延伸して配置されている。第2部位45bは、第1部位45aの延伸方向の一端側から屈曲して前方に延びている。第2部位45bは、フィルムロールFRの幅方向と交差する方向(具体的には直交する方向)に延びている。
【0037】
第1調整部材45は、第1部位45aをベース部材44の貫通孔44dに沿って移動させることにより、ベース部材44に対してフィルムロールFRの幅方向(左方向又は右方向)に移動可能である。図7は、図6の状態から第1調整部材45を左方(矢印B1方向)に移動させた状態を示している。また、図示していないが、第1調整部材45を右方に移動させることもできる。
【0038】
尚、第1部位45aは、同じ方向に延伸する複数の部材を継ぎ足して構成してもよい。この場合、複数の部材のうちの一方の部材を他方の部材に対して延伸方向(左方向又は右方向)に位置調整可能とすることができる。これによって、第1部位45aの長さを変更可能に構成することができる。第1部位45aの長さを変更可能とすることによって、第1調整部材45のフィルムロールFRの幅方向への移動範囲を拡げることができる。
【0039】
第2調整部材46は、第1調整部材45に取り付けられている。具体的には、第2調整部材46は、第1調整部材45の第2部位45bに取り付けられている。第2調整部材46は、一端側が第2部位45bに取り付けられ、他端側にセンサ41が取り付けている。
図5図8図9に示すように、第2調整部材46には、長孔46aが形成されている。長孔46aは、第2調整部材46の一端側から他端側に向かう方向に長く延びる孔である。長孔46aには、フィルムロールFRの幅方向と平行に延びる支軸49が挿通されている。図5に示すように、支軸49は、ボルト48の軸から構成されている。ボルト48は、第1調整部材45に形成された貫通孔と第2調整部材46の長孔46aとを貫通している。ボルト48にはナット50が螺合されている。ナット50を締め付けることによって、第1調整部材45に対する第2調整部材46の位置を固定することができる。
【0040】
図8に示すように、第2調整部材46は、第1調整部材45に対して、支軸49を支点として上下方向に揺動可能である。また、図9に示すように、第2調整部材46は、第1調整部材45に対して前後方向に移動可能である。このような第2調整部材46の揺動及び移動は、ナット50を緩めることによって行うことができる。
上述したように、第1調整部材45に対する第2調整部材46の位置や向きを調整することができる。これによって、フィルムロールFRに対するセンサ41の位置を調整することができる。つまり、センサ支持体42は、フィルムロールFRに対するセンサ41の位置を調整可能な調整機構を有している。
【0041】
調整機構は、第1調整機構51、第2調整機構52、第3調整機構53を有している。
第1調整機構51は、フィルムロールFRの幅方向におけるセンサ41の位置を調整可能な機構である。第1調整機構51は、上述したベース部材44及び第1調整部材45を有している。第1調整機構51は、支持ステー36に取り付けられたベース部材44に対する第1調整部材45の位置を、フィルムロールFRの幅方向に調整可能とする機構である。図5図7に示すように、第1調整機構51は、第1調整部材45のフィルムロールFRの幅方向への移動に伴って、フィルムロールFRの幅方向(左右方向)におけるセンサ41の位置を調整可能である。
【0042】
第2調整機構52は、センサ41の上下方向の位置を調整可能な機構である。第2調整機構52は、上述した第2調整部材46を有している。第2調整機構52は、第1調整部材45に対して第2調整部材46を揺動可能とする機構である。図8に示すように、第2調整機構52は、第2調整部材46の揺動に伴ってセンサ41の上下方向の位置を調整可能である。尚、図10に示すように、ベース部材44を支持ステー36に対して上下方向に移動させることによっても、センサ41の上下方向の位置を調整可能である。つまり、第2調整機構52は、ベース部材44を支持ステー36に対して上下方向に移動させる機構も含む。
【0043】
第3調整機構53は、センサ41の前後方向の位置を調整可能な機構である。第3調整機構53は、上述した長孔46aを有する第2調整部材46を有している。第3調整機構53は、支軸49に対する長孔46aの位置(即ち、第1調整部材45に対する第2調整部材46の前後方向の位置)を調整可能とする機構である。図9に示すように、第3調整機構53は、支軸49に対する長孔46aの移動(即ち、第1調整部材45に対する第2調整部材46の前後方向の移動)に伴ってセンサ41の前後方向の位置を調整可能である。
【0044】
上記したように、センサ支持体42が第1調整機構51、第2調整機構52、第3調整機構53を有していることにより、フィルムロールFRに対するセンサ41の位置を、幅方向、前後方向、上下方向に変更することができる。つまり、フィルムロールFRに対するセンサ41の位置を3次元的に調整することができる。そのため、マルチ作業機1の種類や仕様によって、フィルムロールFRの位置や大きさ等が変更された場合でも、この変更に対応してセンサ41の位置を適切に調整することが可能である。その結果、フィルムロールFRから巻き出されるマルチフィルムの検出を良好に行うことができる。
【0045】
センサ支持体42は、第1調整機構51、第2調整機構52、第3調整機構53の少なくとも1つの調整機構を有していればよいが、2つ以上の調整機構を有していることが好ましく、3つ全ての調整機構を有していることが最も好ましい。
上記実施形態のマルチフィルム検出装置30によれば、以下の効果を奏する。
マルチフィルム検出装置30は、フィルムロールFRから巻き出されるマルチフィルムMFの有無を検出する装置であって、フィルムロールFRから巻き出されたマルチフィルムMFに向けて検知光を照射する照射部と、マルチフィルムMFから反射した検知光を受信する受光部と、を有するセンサ41と、センサ41をフィルムロールFRの近傍に支持するセンサ支持体42と、を備え、センサ支持体42は、フィルムロールFRに対するセンサ41の位置を調整可能な調整機構を有している。
【0046】
この構成によれば、フィルムロールFRから巻き出されたマルチフィルムMFを検出するセンサ41を支持するセンサ支持体42がフィルムロールFRに対するセンサ41の位置を調整可能な調整機構を有するため、当該調整機構によってセンサ41の位置をマルチ作業機1の種類や仕様に応じて適切に調整することができる。そのため、フィルムロールFRを支持するマルチ作業機1の種類や仕様が変更になった場合でも、マルチフィルムMFの検出を良好に行うことができる。
【0047】
また、調整機構は、フィルムロールFRの幅方向におけるセンサ41の位置を調整可能な第1調整機構51を有している。
この構成によれば、マルチ作業機1の種類や仕様の変更によりフィルムロールFRの位置が幅方向に変わった場合に、第1調整機構51によってフィルムロールFRの幅方向におけるセンサ41の位置を調整することによって、マルチフィルムMFの検出を良好に行うことができる。
【0048】
また、調整機構は、センサ41の上下方向の位置を調整可能な第2調整機構52を有している。
この構成によれば、マルチ作業機1の種類や仕様の変更によりフィルムロールFRの上下方向の位置が変わった場合に、第2調整機構52によってセンサ41の上下方向の位置を調整することによって、マルチフィルムMFの検出を良好に行うことができる。
【0049】
また、調整機構は、センサ41の前後方向の位置を調整可能な第3調整機構53を有している。
この構成によれば、マルチ作業機1の種類や仕様の変更によりフィルムロールFRの前後方向の位置が変わった場合に、第2調整機構52によってセンサ41の前後方向の位置を調整することによって、マルチフィルムMFの検出を良好に行うことができる。
【0050】
また、照射部は、フィルムロールFRから巻き出されたマルチフィルムMFにテンションを付与するテンションロール(第2テンションロール40)とフィルムロールFRとの間のマルチフィルムMFに向けて検知光を照射する。
この構成によれば、フィルムロールFRから巻き出されるマルチフィルムMFが無くなったことをセンサ41によって確実に検出することができる。
【0051】
また、センサ支持体42は、テンションロール(第2テンションロール40)を支持するテンションロール支持体(第2支持体32)に取り付けられている。
この構成によれば、センサ41をテンションロール(第2テンションロール40)の近傍に配置して検出精度を向上させることができる。また、センサ41を支持するための部材として既存のテンションロール支持体を利用することができるため、大掛かりな構造のセンサ支持体42が不要となる。
【0052】
また、第1調整機構51は、フィルムロールFRに対する位置を固定可能なベース部材44と、ベース部材44に対してフィルムロールFRの幅方向に移動可能に取り付けられた第1調整部材45と、を有し、第1調整部材45の移動に伴ってフィルムロールFRの幅方向におけるセンサ41の位置を調整可能である。
この構成によれば、ベース部材44に対して第1調整部材45を移動するという簡単な操作によって、フィルムロールFRの幅方向におけるセンサ41の位置を調整することができるため、フィルムロールFRの幅方向におけるセンサ41の位置の調整作業を容易に行うことができる。
【0053】
また、第2調整機構52は、フィルムロールFRの幅方向と平行に延びる支軸49を支点として上下方向に揺動可能な第2調整部材46を有し、第2調整部材46の揺動に伴ってセンサ41の上下方向の位置を調整可能である。
この構成によれば、支軸49を支点として第2調整部材46を揺動するという簡単な操作によって、センサ41の上下方向の位置を調整することができるため、センサ41の上下方向の位置の調整作業を容易に行うことができる。
【0054】
また、第3調整機構53は、フィルムロールFRの幅方向と平行に延びる支軸49が挿通される長孔46aを有する第2調整部材46を有し、支軸49に対する長孔46aの移動に伴ってセンサ41の前後方向の位置を調整可能である。
この構成によれば、支軸49に対して長孔46aを有する第2調整部材46を移動するという簡単な操作によって、センサ41の前後方向の位置を調整することができるため、センサ41の前後方向の位置の調整作業を容易に行うことができる。
【0055】
また、センサ支持体42は、テンションロール支持体26に取り付けられたベース部材44と、ベース部材44に対してフィルムロールFRの幅方向に移動可能に取り付けられた第1調整部材45と、第1調整部材45に対して、フィルムロールFRの幅方向と平行に配置された支軸49を支点として上下方向に揺動可能であって且つ前後方向に移動可能な第2調整部材46と、を有している。
【0056】
この構成によれば、ベース部材44に対する第1調整部材45の移動と、第1調整部材45に対する第2調整部材46の揺動及び移動によって、センサ41の位置を3次元的に調整することができる。そのため、マルチ作業機1の種類や仕様に応じてセンサ41の位置を適切に調整することができる。
また、テンションロール支持体(第2支持体32)は、テンションロール(第2テンションロール40)を支持するロール支持部35と、ロール支持部35から上方に延びる支持ステー36と、を有し、ベース部材44は、支持ステー36に対して着脱可能であって且つ上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0057】
この構成によれば、支持ステー36に対するベース部材44の上下方向の位置の調整及び着脱を容易に行うことができるため、センサ41の上下方向の位置の調整及び着脱を容易に行うことが可能となる。
また、フィルムロールFRは、圃場を耕耘するロータリ耕耘機2の後方に配置されており、テンションロール支持体(第2支持体32)は、ロータリ耕耘機2に連結されたフレーム16に取り付けられている。
【0058】
この構成によれば、ロータリ耕耘機2に対するテンションロール(第2テンションロール40)の位置を定めることができるとともに、ロータリ耕耘機2の昇降に伴ってテンションロール(第2テンションロール40)を昇降することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
2 ロータリ耕耘機
16 フレーム
30 マルチフィルム検出装置
32 テンションロール支持体(第2支持体)
35 ロール支持部
36 支持ステー
40 テンションロール(第2テンションロール)
41 センサ
42 センサ支持体
44 ベース部材
45 第1調整部材
46 第2調整部材
46a 長孔
49 支軸
51 第1調整機構
52 第2調整機構
53 第3調整機構
FR フィルムロール
MF マルチフィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10