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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122336
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】送迎地点案内システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20220816BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20220816BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20220816BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20220816BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20220816BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/123 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019488
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大橋 大
(72)【発明者】
【氏名】石川 健
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】赤城 了太朗
(72)【発明者】
【氏名】前山田 信
(72)【発明者】
【氏名】堀 敬滋
(72)【発明者】
【氏名】若林 賢
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA04
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB22
2F129CC12
2F129CC16
2F129DD09
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD66
2F129EE02
2F129EE36
2F129EE43
2F129EE52
2F129EE54
2F129EE79
2F129FF20
2F129FF57
2F129FF63
2F129FF71
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH21
2F129HH33
5H181AA14
5H181BB04
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181MA07
5H181MA20
5H181MA41
5H181MC03
(57)【要約】
【課題】送迎の態様に応じた送迎地点が案内される可能性を高める。
【解決手段】案内車両の目的地および車種を取得する案内車両情報取得部と、前記目的地から既定距離以下の範囲に存在する送迎地点の中から、前記案内車両の車種に応じた前記送迎地点を取得する送迎地点取得部と、取得した前記送迎地点を前記案内車両で使用される案内部に案内させる案内制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内車両の目的地および車種を取得する案内車両情報取得部と、
前記目的地から既定距離以下の範囲に存在する送迎地点の中から、前記案内車両の車種に応じた前記送迎地点を取得する送迎地点取得部と、
取得した前記送迎地点を前記案内車両で使用される案内部に案内させる案内制御部と、
を備える、送迎地点案内システム。
【請求項2】
前記送迎地点は、プローブ車両が過去に駐車した地点であり、
前記案内車両の車種が自家用車である場合の前記送迎地点は、
前記送迎地点における前記プローブ車両の駐車回数と、前記プローブ車両の駐車期間と、の少なくとも一方に基づいて取得される、
請求項1に記載の送迎地点案内システム。
【請求項3】
前記目的地で人を迎える場合、前記目的地に人を送る場合よりも、前記駐車期間が重視される、
請求項2に記載の送迎地点案内システム。
【請求項4】
前記案内車両の車種が送迎サービスを行う車両である場合の前記送迎地点は、
前記目的地に近い順に取得された既定数の地点である、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の送迎地点案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送迎地点案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を利用して送迎が行われる際に用いられる技術が知られている。例えば、特許文献1においては、顧客の位置に近いランドマークをその顧客に提示し、提示したランドマークの中から顧客が選択したランドマークの位置に車両を配車する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-287717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両による送迎は、タクシーなど、送迎サービスを行う車両によって実施される場合や、自家用車など、対価を得ることを目的としていない車両によって実施される場合など、種々の場合がある。従来、種々の車両に適した態様で送迎地点を案内することはできなかった。
本発明は、前記課題に鑑みなされたもので、送迎の態様に応じた送迎地点が案内される可能性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の送迎地点案内システムは、案内車両の目的地および車種を取得する案内車両情報取得部と、目的地から既定距離以下の範囲に存在する送迎地点の中から、案内車両の車種に応じた送迎地点を取得する送迎地点取得部と、取得した送迎地点を案内車両で使用される案内部に案内させる案内制御部と、を備える。
【0006】
上記送迎地点案内システムにおいては、同一の目的地に対応する送迎地点から、案内車両の車種に応じた送迎地点が取得されて、案内される。送迎は、対価を得るための車両や、対価を得ることを目的としていない車両など、各種の種類の車両によって行われる。そして、送迎の態様は、車両の種類によって異なる可能性が高い。
【0007】
すなわち、送迎サービスを提供する車両においては、目的地の近くでの送迎にサービスの価値がある。従って、送迎サービスを提供する車両においては、自家用車等と比較すると、目的地のごく近くを利用する態様で送迎が行われる可能性が相対的に高い。一方、自家用車等の一般車両(サービスを提供しない車両)においては、目的地で迎える人が現れるまで待つ必要が生じるなど、比較的長期にわたって道路上で車両が待つ必要がある場合が多い。従って、自家用車においては、目的地まで少し距離があっても、交通の妨げにならない地点が送迎地点として選ばれることが多い。このため、自家用車の場合、サービス車両等と比較すると、目的地から離れた場所を利用する態様で送迎が行われる可能性が相対的に高い。このように、送迎の態様は、車両の種類に応じて変わる可能性が高い。送迎地点案内システムは、送迎地点が案内される案内車両の種類に応じた送迎地点を取得し、案内する。従って、送迎の態様に応じた送迎地点が案内される可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】送迎地点案内システムの構成を示す図である。
図2】送迎地点情報の説明図である。
図3】送迎地点案内処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
下記の順序に従って実施の形態について説明する。
(1)送迎地点案内システムの構成:
(2)送迎地点案内処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)送迎地点案内システムの構成:
図1は、送迎地点案内システム20の構成を示すブロック図である。本実施形態において、送迎地点案内システム20は、プローブ情報制御システム10およびナビゲーションシステム30と協働する。プローブ情報制御システム10は、プローブ車両に搭載されるシステムであり、プローブ車両によって生成したプローブ情報を送迎地点案内システム20に送信する。
【0011】
本実施形態において、プローブ情報は、プローブ車両の走行履歴であり、プローブ車両の現在地を時刻毎に示す情報である。送迎地点案内システム20は、プローブ情報制御システム10からプローブ情報を取得する。この際、送迎地点案内システム20は、プローブ情報から送迎地点情報221を生成して記録媒体22に記録する。本実施形態において、プローブ車両は複数台存在することが想定されている。各プローブ車両のそれぞれには、プローブ情報制御システム10が備えられるが、図1においては、その中の一つを示している。プローブ情報は、各プローブ車両から送信されるため、送迎地点案内システム20は、複数のプローブ車両から送信されるプローブ情報に基づいて送迎地点の候補を生成し、記録媒体に記録する。
【0012】
一方、ナビゲーションシステム30は、各種の案内車両に搭載されるシステムであり、本実施形態において、案内車両は複数台存在することが想定されている。各案内車両のそれぞれには、ナビゲーションシステム30が備えられるが、図1においては、その中の一つを示している。送迎地点案内システム20は、複数のナビゲーションシステム30からの送迎地点の要求に応じて、ナビゲーションシステム30が搭載された案内車両の車種に応じた送迎地点を取得し、ナビゲーションシステム30に当該送迎地点を案内させる。
【0013】
プローブ情報制御システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部11と通信部13とGNSS受信部14と車速センサ15とジャイロセンサ16とを備えている。通信部13は、外部の装置と無線通信を行うための装置である。制御部11による送迎地点案内システム20との情報の送受信は、通信部13を介して行われる。
【0014】
GNSS受信部14は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置である。GNSS受信部14は、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して、車両の位置を算出するための信号を出力する。制御部11は、この信号を取得して車両の位置を取得する。車速センサ15は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部11は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。
【0015】
ジャイロセンサ16は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部11は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ15およびジャイロセンサ16等は、車両の走行軌道を特定するために利用される。本実施形態においては、制御部11は、車両の出発地と走行軌道とに基づいて車両の位置を特定し、出発地と走行軌道とに基づいて特定された車両の位置をGNSS受信部14の出力信号に基づいて補正する。
【0016】
制御部11は、ROMや図示しない記録媒体に記憶された種々のプログラムを実行することができる。本実施形態の制御部11は、このプログラムの1つとして、プローブ情報制御プログラム110を実行することができる。プローブ情報制御プログラム110が実行されると、制御部11は、プローブ情報送信部111として機能する。制御部11は、プローブ情報送信部111の機能により、プローブ情報を生成し、通信部13を介してプローブ情報を送迎地点案内システム20に送信する。
【0017】
本実施形態において、プローブ情報は、上述のようにプローブ車両の走行履歴であり、プローブ車両の現在地を時刻毎に示す情報である。そこで、制御部11は、プローブ情報送信部111の機能により、一定期間または一定距離の走行のたびに、GNSS受信部14、車速センサ15,ジャイロセンサ16の出力信号に基づいてプローブ車両の現在地を取得する。さらに、制御部11は、プローブ情報送信部111の機能により、図示しない計時回路に基づいて現在時刻を取得し、プローブ車両の現在地に対して現在時刻を対応づけ、プローブ情報としてRAMまたは図示しない記録媒体に記録する。
【0018】
そして、制御部11は、プローブ情報送信部111の機能により、一定期間内に収集したプローブ情報に、プローブ車両の車両IDを対応付け、通信部13を介して送迎地点案内システム20に送信する。以上の処理が、各プローブ車両において実施されることにより、送迎地点案内システム20においては、複数のプローブ車両の走行履歴を蓄積する。
【0019】
次に、送迎地点案内システム20について説明する。送迎地点案内システム20は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部21と記録媒体22と通信部23とを備えている。制御部21は、記録媒体22やROMに記憶された種々のプログラムを実行することができる。本実施形態の制御部21は、このプログラムの1つとして、送迎地点案内プログラム210を実行することができる。制御部21は、送迎地点案内プログラム210の処理により、ナビゲーションシステム30に、送迎地点を案内させる。通信部23は、外部の装置と無線通信を行うための装置である。制御部21は、通信部23を介してプローブ情報制御システム10およびナビゲーションシステム30と通信し、各種の情報を授受する。記録媒体22は、各種の情報を蓄積可能であり、本実施形態においては、送迎地点情報221を記録する。
【0020】
制御部21が、送迎地点案内プログラム210を実行すると、制御部21は、プローブ情報取得部211,案内車両情報取得部212,送迎地点取得部213,案内制御部214として機能する。プローブ情報取得部211は、プローブ車両の動作の履歴であるプローブ情報を取得する機能である。すなわち、制御部21は、プローブ情報取得部211の機能により、プローブ車両から送信されるプローブ情報を、通信部23を介して取得する。
【0021】
本実施形態において、プローブ情報は、送迎地点を特定するために利用される。このため、制御部21は、プローブ情報取得部211の機能により、プローブ情報を加工し、送迎地点情報221として記録媒体22に記録する。具体的には、制御部21は、プローブ情報に基づいてプローブ車両が駐車した地点を特定する。すなわち、制御部21は、プローブ車両から取得した一定期間内のプローブ車両の現在地の履歴を参照し、既定期間内における現在地の変化が既定の距離以下である履歴を駐車の履歴とみなす。さらに、制御部21は、駐車の履歴の中から、駐車していた期間が閾値以上の期間である地点を送迎地点とみなし、当該送迎地点の座標と当該送迎地点での駐車期間とを対応付けた情報を生成する。さらに、制御部21は、駐車回数を示す変数に1を設定し、送迎地点の座標と当該送迎地点での駐車期間とに対して対応づけ、送迎地点情報221として記録媒体22に記録する。
【0022】
本実施形態においては、複数のプローブ車両のそれぞれからプローブ情報が送信されるため、制御部21は、各プローブ車両から送信されたプローブ情報に基づいて、送迎地点を定義する。具体的には、制御部21は、新たに送信されたプローブ情報から特定された送迎地点と、記録媒体22に送迎地点情報221として既に記録された送迎地点とを比較し、両者の距離が閾値より大きい場合、両者を異なる送迎地点とみなす。そして、制御部21は、新たに送信されたプローブ情報から特定された送迎地点に座標と駐車期間と駐車回数1とを対応付けて、送迎地点情報221に追加する。
【0023】
一方、新たに送信されたプローブ情報から特定された送迎地点と、記録媒体22に送迎地点情報221として既に記録された送迎地点との距離が閾値以下の距離である場合、両者を同一の送迎地点とみなす。この場合、制御部21は、新たに送信されたプローブ情報に基づいて、送迎地点の駐車回数と駐車期間とを更新する。具体的には、制御部21は、記録済の駐車期間および駐車回数と、新たに送信されたプローブ情報が示す送迎地点への駐車期間とに基づいて、駐車期間の平均を算出し、新たな駐車期間とみなす。さらに、制御部21は、当該送迎地点での駐車回数を示す変数を1増加させる。
【0024】
図2は、このようにして生成された送迎地点情報221の例を示す図である。図2においては、実線によって道路を示し、実線に垂直な方向に短い線が連続して記述された記号で線路を示している。図2においては、A駅の周辺の道路および線路を示しており、A駅周辺の送迎地点を白い丸で示している。また、図2においては、ある一つの送迎地点に対して対応づけられた情報が明示されている。すなわち、本実施形態において、送迎地点には、少なくとも座標と駐車回数と駐車期間とが対応づけられている。むろん、送迎地点情報221には、他の情報が含まれていても良い。このような送迎地点情報221の登録や更新は、プローブ情報が受信されるたびに行われても良いし、既定の期間毎に実施されてもよい。いずれにしても、記録媒体22に対しては、送迎地点情報221が記録された状態となっている。
【0025】
案内車両情報取得部212は、案内車両の目的地および車種を取得する機能である。本実施形態においては、ナビゲーションシステム30が利用される案内車両において送迎地点が案内される。送迎地点の案内に際しては、ナビゲーションシステム30の利用者が、送迎地点の案内を要求するための操作を行う。当該要求には案内車両の目的地および車種が含まれ、ナビゲーションシステム30から送迎地点案内システム20に対して送信される。当該要求が送信されると、制御部21は、案内車両情報取得部212の機能により、通信部23を介して、当該要求に含まれる案内車両の目的地および車種を取得する。
【0026】
送迎地点取得部213は、目的地から既定距離以下の範囲に存在する送迎地点の中から、案内車両の車種に応じた送迎地点を取得する機能である。すなわち、制御部21は、送迎地点取得部213の機能により、送迎地点情報221から、案内車両の車種に応じた送迎地点を抽出する。具体的には、制御部21は、送迎地点情報221を参照し、目的地および送迎地点の座標に基づいて、目的地から既定距離以下の範囲に存在する送迎地点を抽出し、送迎地点の候補とする。なお、目的地からの距離は、直線距離であっても良いし、道路沿いの距離であっても良い。
【0027】
さらに、制御部21は、送迎地点の候補から、案内車両の車種に応じた送迎地点を取得する。本実施形態において、案内車両の車種は、自家用車または送迎サービスを行う車両である。このため、制御部21は、案内車両から送信された車種が、自家用車、または送迎サービスを行う車両のいずれであるのかを判定する。送迎サービスを行う車両はタクシーであるが、他の態様の車両、例えば、相乗り車両やインターネット等を介して行われた配車要求に応じた個人等が運転する車両であっても良い。
【0028】
自家用車の場合における目的地での送迎は、例えば、目的地で待ち合わせた人を自家用車でピックアップする等の場合や、搭乗者を自家用車に乗せて目的地付近まで連れて行く等の場合、が想定される。自家用車によって前者のように目的地で人を迎える場合、目的地での待ち合わせ時刻に間に合うように自家用車を走行させるが、当該時刻ちょうどに目的地に到着することは困難であるし、待ち合わせた人が正確な時刻に現れるかもわからない。また、自家用車によって後者のように、目的地に人を送る場合に、交通の妨げになるような地点で人を降ろすことは避けられることが多い。
【0029】
従って、自家用車による送迎の場合、案内車両を駐車させた状態である程度の期間待っていても迷惑にならず、また、乗降を過度に急ぐ必要がない地点が送迎地点として案内されることが好ましい。そこで、本実施形態において、案内車両の車種が自家用車である場合の送迎地点は、プローブ車両の駐車回数が既定の閾値以上であり、プローブ車両の駐車期間が既定の閾値以上である送迎地点となっている。
【0030】
ここで、駐車回数と比較される既定の閾値は、他の送迎地点と比較して相対的に駐車された頻度が多い送迎地点を特定するための値である。従って、駐車回数が既定の閾値以上である送迎地点は、比較的駐車しやすい地点であり、自家用車による送迎地点として好ましい地点である可能性が高い。また、駐車期間と比較される既定の閾値は、他の送迎地点と比較して相対的に駐車された期間が長い送迎地点を特定するための値である。従って、駐車期間が既定の閾値以上である送迎地点は、長期間駐車させやすい地点であり、自家用車による送迎地点として好ましい地点である可能性が高い。
【0031】
そこで、案内車両の車種が自家用車である場合、制御部21は、送迎地点情報221を参照し、送迎地点の候補のそれぞれに対応づけられた駐車回数および駐車期間を特定する。そして、制御部21は、駐車回数が既定の閾値以上であり、かつ、駐車期間が既定の閾値以上である送迎地点を特定し、案内対象として取得する。以上の構成によれば、自家用車による送迎に適している可能性が高い送迎地点を取得することができる。
【0032】
一方、送迎サービスを行う車両における目的地での送迎は、例えば、目的地でのピックアップをするように予約した人に対して配車する等の場合や、搭乗者が指定した目的地まで連れて行く等の場合、が想定される。これらの送迎は、サービスとして提供される行為であるため、目的地から過度に遠いと、金銭的な価値の発生するサービスとして成立しない可能性が高い。
【0033】
従って、送迎サービスを行う車両による送迎の場合、送迎地点は、可能な限り目的地に近いことが好ましい。そこで、本実施形態において、案内車両の車種が送迎サービスを行う車両である場合の送迎地点は、目的地に近い順に抽出される。具体的には、制御部21は、送迎地点情報221を参照し、送迎地点の候補のそれぞれに対応づけられた座標と目的地の座標とを比較する。そして、制御部21は、

目的地に近い順に既定数の候補を抽出し、案内対象の送迎地点として取得する。以上の構成によれば、送迎サービスを行う車両による送迎に適している可能性が高い送迎地点を取得することができる。
【0034】
案内制御部214は、取得した送迎地点を案内車両で使用される案内部に案内させる機能である。すなわち、制御部21は、送迎地点の送信要求を行った案内車両に対し、通信部23を介して送迎地点を示す情報を送信する。なお、送迎地点を示す情報には、少なくとも送迎地点の座標を示す情報が含まれている。以上の送信の結果、送信要求を行ったナビゲーションシステム30においては、当該送迎地点を取得し、ナビゲーションシステム30の利用者に対して案内する。
【0035】
次に、ナビゲーションシステム30について説明する。ナビゲーションシステム30は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部31と記録媒体32と、通信部33と、GNSS受信部34と、車速センサ35と、ジャイロセンサ36と、ユーザI/F部37を備えている。GNSS受信部34、車速センサ35、ジャイロセンサ36は、それぞれプローブ情報制御システム10のGNSS受信部14、車速センサ15、ジャイロセンサ16と同様の構成である。
【0036】
ユーザI/F部37は、利用者の指示を入力し、また、ユーザに各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネル式のディスプレイやスイッチ等やスピーカー等を備えている。すなわち、ユーザI/F部37は、画像や音声を出力する案内部およびユーザによる指示の入力部を備えている。
【0037】
記録媒体32は、地図情報321を格納している。地図情報321は、道路区間の端点に対応するノードの位置を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士を接続するリンクを示すリンクデータ等を含んでいる。ここで、ノードは、交差点に対応し、リンクは、交差点から交差点までの道路区間に対応する。地図情報321は、案内車両の位置の特定や目的地までの経路探索、経路案内等に利用される。本実施形態において、リンクデータには、リンクデータが示す道路区間のコストが対応づけられている。
【0038】
制御部31がナビゲーションプログラム310を実行すると、制御部31は、ナビゲーション機能を実行する。本実施形態においては、ナビゲーション機能の付属機能として、送迎地点案内部311が存在する。制御部31は、ナビゲーション機能により、ユーザI/F部37に対する利用者の操作に基づいて、目的地を受け付ける。目的地を受け付けると、制御部31は、GNSS受信部34,車速センサ35,ジャイロセンサ36の出力信号に基づいて、案内車両の現在地を特定する。
【0039】
制御部31は、地図情報321が示す各道路区間のコストに基づいて、現在地から目的地までの経路を探索する。経路が探索されると、制御部31は、地図情報321に基づいて、ユーザI/F部37に現在地を含む地図を表示させ、道路上に経路を表示させる。そして、制御部31は、経路に沿って案内車両を走行させるための案内を音声等によって出力させる。
【0040】
本実施形態において利用者は、このような経路案内を実行させる際に、目的地に対応した送迎地点の案内を行うか否かの指定を行うことが可能である。当該指定が行われた場合、制御部31は、送迎地点案内部311の機能により、送迎地点案内システム20から送迎地点を取得する。具体的には、制御部31は、送迎地点案内部311の機能により、通信部33を介して、送迎地点の送信要求を送迎地点案内システム20に対して送信する。この際、制御部31は、案内車両の目的地および車種を送信要求と共に送信する。なお、車種を示す情報は、予め記録媒体32等に記録されており、制御部31は当該情報を参照して特定する。
【0041】
当該送信要求に対して、送迎地点案内システム20からは、送迎地点を示す情報が送信される。そこで、制御部31は、通信部33を介して当該送迎地点を示す情報を取得し、ユーザI/F部37を制御して送迎地点を案内する。なお、送迎地点の案内態様は、種々の態様であって良く、例えば、目的地に向けて走行するための経路および現在地を含む地図において、送迎地点の座標に対して送迎地点であることを示すアイコンを表示させる構成等が挙げられる。
【0042】
以上の構成によれば、案内車両の車種で実施される可能性が高い送迎の態様に適した送迎地点が案内車両の利用者に案内される。この結果、案内車両で実施される送迎の態様に応じた送迎地点が案内される可能性を高めることができる。
【0043】
(2)送迎地点案内処理:
図3は、送迎地点案内処理を示すフローチャートである。送迎地点案内処理は、ナビゲーションシステム30への送迎地点の送信を実行する際に、制御部21が実行する処理である。送迎地点案内処理が開始されると、制御部21は、案内車両情報取得部212の機能により、送迎地点の送信要求を受け付けたか否か判定する(ステップS100)。すなわち、制御部21は、通信部23を介してナビゲーションシステム30から送迎地点の送信要求を受け付けたか否か監視する。
【0044】
ステップS100において、送迎地点の送信要求を受け付けたと判定された場合、制御部21は、案内車両情報取得部212の機能により、案内車両の目的地および車種を取得する(ステップS105)。すなわち、制御部21は、送信要求に含まれる、案内車両の目的地および車種を取得する。
【0045】
次に、制御部21は、送迎地点取得部213の機能により、案内車両の車種を判定する(ステップS110)。すなわち、制御部21は、ステップS105で取得された案内車両の車種に基づいて、案内車両が自家用車、送迎サービスを行う車両のいずれであるのかを判定する。
【0046】
ステップS110において、案内車両の車種が自家用車であると判定された場合、制御部21は、送迎地点取得部213の機能により、目的地から既定距離以下の範囲の送迎地点から駐車回数が閾値以上、駐車期間が閾値以上の送迎地点を取得する(ステップS115)。すなわち、制御部21は、送迎地点情報221を参照し、ステップS105で取得した目的地の座標と、送迎地点の座標とに基づいて、目的地からの距離が既定距離以下の送迎地点を候補として抽出する。さらに、制御部21は、抽出された送迎地点の候補の中から、駐車回数が閾値以上、駐車期間が閾値以上の送迎地点を取得し、案内対象とする。なお、この際、送迎地点の数が過度に多いならば、目的地に近い順に既定個数の送迎地点を案内対象として残すなどの処理が行われてもよい。
【0047】
一方、ステップS110において、案内車両の車種が送迎サービスを行う車両であると判定された場合、制御部21は、送迎地点取得部213の機能により、目的地から既定距離以下の範囲の送迎地点から目的地に近い順に既定個数の送迎地点を取得する(ステップS120)。すなわち、制御部21は、送迎地点情報221を参照し、ステップS105で取得した目的地の座標と、送迎地点の座標とに基づいて、目的地からの距離が既定距離以下の送迎地点を候補として抽出する。さらに、制御部21は、抽出された送迎地点の候補の中から、目的地に近い順に既定個数の送迎地点を抽出し、案内対象とする。目的地からの距離が既定距離以下の送迎地点が既定個数以下である場合、制御部21は、目的地からの距離が既定距離以下の範囲に存在する送迎地点を取得する。
【0048】
ステップS115またはステップS120によって、案内対象の送迎地点が取得されると、制御部21は、案内制御部214の機能により、送迎地点を送信する(ステップS125)。すなわち、制御部21は、通信部23を介して、送信要求を行ったナビゲーションシステム30に対して送迎地点を送信する。この結果、ナビゲーションシステム30においては、当該ナビゲーションシステム30が利用される案内車両の車種に対応した送迎地点が案内される。
【0049】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、送迎地点案内システム20は、複数の装置によって実現されるシステムであってもよい。送迎地点案内システム20を構成する案内車両情報取得部212、送迎地点取得部213、案内制御部214の少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在してもよい。また、図1に示す各システムは、より少ない数の装置で構成されていても良い。例えば、送迎地点案内システム20はナビゲーションシステム30に組み込まれていても良い。
【0050】
この場合、ナビゲーションシステム30が備える記録媒体32に送迎地点情報221が記録されていれば良い。送迎地点情報221は、外部の装置で生成され、ナビゲーションシステム30に提供されても良いし、予め生成され、記録媒体32に記録されていても良い。また、プローブ情報制御システム10はナビゲーションシステム30によって実現されても良い。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0051】
案内車両情報取得部は、案内車両の目的地および車種を取得することができればよい。すなわち、送迎地点は、目的地に応じて決められるため、送迎地点を決めるために目的地が取得される。従って、目的地は、送迎地点の候補を決める情報であれば良く、上述の実施形態のように、駅等の施設が目的地となる構成以外にも種々の構成が採用されてよい。例えば、送迎地点が目的地等の施設に対応づけられることなく、座標によって定義されている構成において、目的地も座標によって指定される構成であって良い。
【0052】
車種は、送迎地点の候補から案内対象を取得するための情報であれば良い。すなわち、案内車両での送迎は、案内車両の車種に応じた態様で実施される可能性が高い。従って、案内車両の車種は、送迎の態様に応じて分類されていれば良い。むろん、送迎の態様としては例外もあり得るが、各車種で行われる最も可能性が高い態様が各車種に対応づけられるように、車種が分類されていれば良い。
【0053】
送迎地点取得部は、目的地から既定距離以下の範囲に存在する送迎地点の中から、案内車両の車種に応じた送迎地点を取得することができればよい。すなわち、車種と送迎地点の取得条件とが予め対応づけられており、送迎地点取得部は、目的地から既定距離以下の範囲に存在する送迎地点の中から、車種毎の取得条件を利用して送迎地点を取得することができればよい。
【0054】
既定距離は、目的地で人を迎える場合と、目的地に人を送る場合と、において送迎地点として利用可能な地点を規定する距離であり、送迎地点となり得る地点と目的地との最大距離として定義されていれば良い。なお、既定距離は、上述の実施形態のように、目的地からの直線距離であっても良いし、道路沿いの距離であっても良い。
【0055】
送迎地点は、各種の態様で定義されて良い。すなわち、上述の実施形態のように、プローブ車両が過去に駐車した地点以外にも、種々の地点が送迎地点となってよい。例えば、プローブ車両が過去に駐車し、かつ、ドアが開いた地点であっても良い。ドアが開いた地点を送迎地点の候補とする場合、プローブ車両にはドアセンサが備えられ、当該ドアセンサの検出情報がプローブ情報に含められる。他にも、特定の道路種別の道路(例えば、細街路、一般道、片側2車線以上の道路等)上でプローブ車両が過去に駐車した地点等であっても良い。
【0056】
送迎地点は、案内車両の車種に応じて取得されれば良く、上述の実施形態のような条件で取得される構成に限定されない。例えば、案内車両の車種は、上述の実施形態と異なる種類であってもよく、右ハンドル車両と左ハンドル車両とが異なる種類として分類されても良いし、小型車、中型車、大型車などの車両のサイズ等で分類されても良く、他にも、種々の要素で分類されて良い。さらに、プローブ車両の車種毎に送迎地点の候補を定義できる場合には、プローブ車両の車種によって送迎地点が分けられていても良い。例えば、プローブ車両がタクシーの場合と一般車両の場合とで区別しながらプローブ車両の駐車地点の履歴を収集可能である場合、収集元のプローブ車両の車種と駐車地点とを対応付けて送迎地点の候補としても良い。
【0057】
送迎地点を示す情報の態様は、上述の実施形態における態様に限定されない。例えば、同一地点とみなされる範囲内の複数の駐車地点が一箇所の送迎地点としてまとめられず、個別の駐車地点および駐車期間の履歴を示す情報として記録されていても良い。この場合、制御部21は、例えば、複数の駐車地点から一箇所とみなされる地点を特定し、送迎地点の候補として取得する。
【0058】
案内制御部は、取得した送迎地点を案内車両で使用される案内部に案内させることができればよい。案内部は、案内車両の利用者に情報を案内することができればよく、送迎地点案内システムと一体であっても良い。例えば、上述の実施形態における送迎地点案内システムがナビゲーションシステムに組み込まれており、ナビゲーションシステムが備えるディスプレイ等の案内部を、ナビゲーションシステムが備える案内制御部が制御する構成等であっても良い。むろん、この構成において、送迎地点は、ナビゲーションシステムに蓄積されたデータベースから取得されても良いし、外部の装置(例えば、サーバー)から取得されても良い。
【0059】
案内車両の車種が自家用車である場合の送迎地点は、例えば、周囲の交通の妨げになりにくい地点であれば良い。このため、送迎地点におけるプローブ車両の駐車回数と、プローブ車両の駐車期間と、の一方に基づいて決められても良い。むろん、他の要素、例えば、交通量が相対的に少ない地点や道幅が他の道路より広い地点や細街路上の地点など、乗降が容易な地点が自家用車での送迎地点になっても良い。
【0060】
送迎地点には、目的地で人を迎えるために案内車両が駐車される地点と、目的地に人を送るために案内車両が駐車される地点とが含まれる。上述の実施形態においては、これらの地点を区別していなかったが、両者が区別された状態で案内されても良い。このような構成は、例えば、図1に示す構成において、ナビゲーションシステム30の利用者が、目的地で人を迎える場面、目的地に人を送る場面のいずれであるのかを指定する。当該指定の結果は、送迎地点の送信要求と共に、送迎地点案内システム20に対して送信される。
【0061】
このような送信要求を受けて送迎地点案内システム20の制御部21は、各場面に対応した送迎地点を取得する。各場面に対応した送迎地点は、送迎地点の候補から場面に応じた異なる条件で取得されれば良い。場面に応じた条件は、種々の手法で定義可能である。例えば、目的地で人を迎える場合、目的地に人を送る場合よりも、駐車期間が重視される構成が採用されてもよい。
【0062】
すなわち、目的地に人を送る場合、目的地で当該人を降ろせば、案内車両はすぐに移動できる。一方、目的地で人を迎える場合、待ち合わせ時刻に当該人が遅れると案内車両は送迎地点に駐車して待たなければならない。また、当該人が案内車両を探すまで案内車両は送迎地点に駐車して待たなければならない。従って、一般的には、目的地に人を送る場合よりも、目的地で人を迎える場合の方が、送迎地点で長期間の駐車を必要とする可能性が高い。
【0063】
そこで、上述の実施形態において、送迎地点の候補から、駐車期間に基づいて送迎地点を抽出する際に、目的地で人を迎える場合の送迎地点を抽出する閾値の方が、目的地に人を送る場合の送迎地点を抽出する閾値よりも大きくなるように構成されていても良い。この構成においては、目的地で人を迎える場合、目的地に人を送る場合よりも、駐車期間が重視されていると言える。
【0064】
なお、駐車期間を重視するための構成としては、種々の構成を採用可能であり、目的地で人を迎える場合の送迎地点を抽出する際には、駐車期間が閾値以上である送迎地点が抽出されるが、目的地に人を送る場合の送迎地点を抽出するには駐車期間が考慮されないような構成等が採用されてもよい。また、送迎の場面に応じて駐車期間を重視する構成は、特定の車種の送迎地点を取得する際に適用されても良いし、一部の車種について適用され、他の車種については適用されないような構成であっても良い。以上の構成によれば、人を送る場合と、迎える場合とのそれぞれに適した送迎地点を取得し、案内することができる。
【0065】
なお、駅等の施設においては、送迎サービスを行う車両が駐車可能な駐車場が設けられている場合がある。この場合、案内車両の車種が送迎サービスを行う車両である場合の送迎地点として当該駐車場が取得、案内され、自家用車の送迎地点としては当該駐車場が取得されない構成であっても良い。
【0066】
さらに、以上のようなシステムはプログラムや方法としても適用可能である。また、このようなプログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置で共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0067】
10…プローブ情報制御システム、11…制御部、13…通信部、14…GNSS受信部、15…車速センサ、16…ジャイロセンサ、20…送迎地点案内システム、21…制御部、22…記録媒体、23…通信部、30…ナビゲーションシステム、31…制御部、32…記録媒体、33…通信部、34…GNSS受信部、35…車速センサ、36…ジャイロセンサ、37…ユーザI/F部、110…プローブ情報制御プログラム、111…プローブ情報送信部、210…送迎地点案内プログラム、211…プローブ情報取得部、212…案内車両情報取得部、213…送迎地点取得部、214…案内制御部、221…送迎地点情報、310…ナビゲーションプログラム、311…送迎地点案内部、321…地図情報
図1
図2
図3