(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122378
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】ラベル供給機構及びラベル貼付装置
(51)【国際特許分類】
B65C 9/42 20060101AFI20220816BHJP
B65C 9/26 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B65C9/42
B65C9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019564
(22)【出願日】2021-02-10
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】595039900
【氏名又は名称】株式会社フジヤマ技研
(71)【出願人】
【識別番号】518178305
【氏名又は名称】フジヤマパックシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】秋山 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉田 俊介
【テーマコード(参考)】
3E095
【Fターム(参考)】
3E095BA01
3E095CA01
3E095DA03
3E095DA36
3E095DA48
3E095EA02
3E095EA22
3E095EA33
3E095FA08
(57)【要約】
【課題】コイルばねを用いた場合に必要なばね常数の選定を不要にし、且つ、ラベルの取り出し不良を防ぐことを主たる課題とするものである。
【解決手段】複数枚のラベルLからなるラベル束を収容するとともに、そこからラベルLが一枚ずつ取り出されるラベル供給機構21であって、ラベルLの取出方向とは反対側からラベル束に押し当てられる押当部材4と、押当部材4をラベルの取出方向に押圧して移動させる電動アクチュエータ5とを備え、電動アクチュエータ5から押当部材に与える押圧力が変更可能であるように構成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のラベルからなるラベル束を収容するとともに、そこからラベルが一枚ずつ取り出されるラベル供給機構であって、
ラベルの取出方向とは反対側から前記ラベル束に押し当てられる押当部材と、
前記押当部材をラベルの取出方向に押圧して移動させる電動アクチュエータとを備え、
前記電動アクチュエータから前記押当部材に与える押圧力が変更可能であることを特徴とするラベル供給機構。
【請求項2】
前記押圧力を制御する制御機構をさらに備え、
前記制御装置が、前記ラベル束を構成するラベル枚数が少ない場合の押圧力を、前記ラベル束を構成するラベル枚数が多い場合の前記押圧力に比べて小さくすることを特徴とする請求項1記載のラベル供給機構。
【請求項3】
制御機構が、前記ラベル束を構成するラベル枚数の減少に伴い、前記押圧力を徐々に小さくすることを特徴とする請求項2記載のラベル供給機構。
【請求項4】
前記ラベル束を構成するラベルのうち先頭に位置するラベルに引っ掛かる複数の爪状ホルダと、
前記複数の爪状ホルダを一体的に移動させて、これらの爪状ホルダから前記先頭に位置するラベルに与える規制力を調整する規制力調整機構とをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか一項に記載のラベル供給機構。
【請求項5】
前記複数の爪状ホルダとして、前記ラベル束の先頭に位置するラベルの上辺部に引っ掛かる複数の第1の爪状ホルダと、当該ラベルの側辺部に引っ掛かる複数の第2の爪状ホルダとが設けられており、
前記規制力調整機構として、前記複数の第1の爪状ホルダを一体的に移動させる第1の規制力調整機構と、前記複数の第2の爪状ホルダを一体的に移動させる第2の規制力調整機構とが設けられていることを特徴とする請求項4記載のラベル供給機構。
【請求項6】
前記規制力調整機構が、前記爪状ホルダの位置を示す目盛りをさらに備えることを特徴とする請求項4又は5記載のラベル供給機構。
【請求項7】
請求項1乃至6のうち何れか一項に記載のラベル供給機構と、
前記ラベル供給機構から前記ラベルを吸い取り吸取ドラムと、
前記吸着ドラムに吸着された前記ラベルに糊付けする糊塗布機構と、
糊付けされた前記ラベルを吸着して容器に貼り付ける貼付ドラムとを具備する、ラベル貼付システム。
【請求項8】
前記ラベルが紙製のものであり、
前記塗布機構が、前記ラベルにホットメルトを塗布するものである、請求項7記載のラベル貼付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に貼り付けるラベルを供給するラベル供給機構及びこの機構を用いたラベル貼付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器にラベルを貼り付けるラベル貼付装置としては、ラベル束を収容するラベル供給機構(ラベルホッパーとも称されるもの)を備えたものがある。より具体的に説明すると、このラベル供給機構の前方には例えばラベルを吸着して搬送する吸着ドラムが設けられており、この吸着ドラムによりラベル供給機構からラベルが一枚ずつ取り出されるようにしてある。
【0003】
このラベル供給機構は、ラベル束にラベルの取出方向とは反対側から押圧力を与えて適度に付勢することで、ラベルが1枚ずつ取り出されるように構成されている。この押圧力が小さすぎると、ラベルが取り出せないといった取り出しミスが発生し、逆に押圧力が大きすぎると、2枚のラベルが一挙に取り出されてしまうといった取り出しミスが発生する。このように、ラベルのハンドリングには繊細さを要する。
【0004】
従来のラベル供給機構としては、例えば特許文献1に示すように、所定のばね常数を具えたコイルばねにより、ラベル束を付勢するように構成されたものがある。
【0005】
このようなコイルばねを用いる場合、ラベル枚数が多い状態、すなわちコイルばねが縮んだ状態では、ラベル束に与える押圧力が大きくなりすぎずないようにする必要があり、逆にラベル枚数が少ない状態、すなわちコイルばねが伸びた状態では、押圧力が小さくなりすぎないようにする必要があることから、適切なばね常数の選定が難しい。仮に、そのようなものを選定できたとしても、ばね常数が夏場と冬場とで変わったり経時変化したりするといった問題がある。また、ラベルの大きさが変わると、ラベル束の重さが変わるので、そのたびに適切なばね常数のものに段取り替えしなければならないといった問題も生じる。
【0006】
これに対して、ばね定数の選定を不要とするものとして、特許文献2に示すように、ラベル枚数によらずラベル束に一定の押圧力を与える渦巻きばね(コンストンスプリングとも称されるもの)により、ラベル束を付勢するように構成されたものがある。
【0007】
ところが、ラベル束に一定の押圧力を与える構成であると、ラベル枚数が多い状態と少ない状態とではラベル束にかかる摩擦力の違うことから、双方の状態においてラベル束を適度に付勢することが難しい。すなわち、ラベル枚数が多い状態では、摩擦力が大きくなるので、押圧力を大きくしないとラベルを取り出すことができないが、ラベル枚数が少ない状態になると、その押圧力が大きすぎてしまい、2枚のラベルが一挙に押し出される恐れがある。かといって、ラベル枚数が少ない状態でもラベルが1枚ずつ取り出されるような押圧力を与えようとすると、ラベル枚数が多い状態でラベルが取り出せないといった恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61-104935号公報
【特許文献2】特開2010-269869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、コイルばねを用いた場合に必要なばね常数の選定を不要にし、且つ、ラベルの取り出し不良を防ぐことを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明に係るラベル供給機構は、複数枚のラベルからなるラベル束を収容するとともに、そこからラベルが一枚ずつ取り出されるラベル供給機構であって、ラベルの取出方向とは反対側から前記ラベル束に押し当てられる押当部材と、前記押当部材をラベルの取出方向に押圧して移動させる電動アクチュエータとを備え、前記電動アクチュエータから前記押当部材に与える押圧力が変更可能であることを特徴とするものである。
【0011】
このように構成されたラベル供給装置によれば、電動アクチュエータを用いてラベル束を付勢するので、コイルばねを用いた場合に必要なばね定数の選定は不要になる。しかも、電動アクチュエータから押当部材に与える押圧力が変更可能なので、ラベル枚数に応じて適切な押圧力に設定することで、ラベル枚数が多い状態と少ない状態との双方において、ラベルの取り出し不良を防ぐことができる。
【0012】
前記押圧力を制御する制御機構をさらに備え、前記制御装置が、前記ラベル束を構成するラベル枚数が少ない場合の押圧力を、前記ラベル束を構成するラベル枚数が多い場合の前記押圧力に比べて小さくすることが好ましい。
このような構成であれば、ラベル枚数が多い状態でのラベルが取り出されないといった取り出し不良を防ぐことができ、ラベル枚数が少ない状態でのラベルが一挙に2枚取り出されてしまうといった取り出し不良を防ぐことができる。
【0013】
より具体的な実施態様としては、制御機構が、前記ラベル束を構成するラベル枚数の減少に伴い、前記押圧力を徐々に小さくする態様を挙げることができる。
【0014】
ところで、上述したようにラベル束を取出方向に付勢する構成においては、ラベル束の先頭に位置するラベルが不測に取り出されることを防ぐべく、この先頭のラベルに引っ掛かる複数の爪形状のホルダが設けられている。
かかる構成では、電動アクチュエータによる押圧力と複数の爪状ホルダによる規制力とが協働してラベルの取り出し不良を防ぐこととなり、この爪状ホルダの位置も非常に重要であり、繊細な調整が必要となる。
これに対して、従来は、爪状ホルダを1つ1つ位置調整していたことから、爪状ホルダによる規制力の調整が大変である。
【0015】
そこで、前記ラベル束を構成するラベルのうち先頭に位置するラベルに引っ掛かる複数の爪状ホルダと、前記複数の爪状ホルダを一体的に移動させて、これらの爪状ホルダから前記先頭に位置するラベルに与える規制力を調整する規制力調整機構とをさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、規制力調整機構が、複数の爪状ホルダを一体的に移動させるように構成されているので、爪状ホルダを1つ1つ位置調整する場合に比べて、爪状ホルダからの規制力を短時間で調整することができる。
【0016】
先頭のラベルが不測に取り出されることを確実に防ぐためには、前記複数の爪状ホルダとして、前記ラベル束の先頭に位置するラベルの上辺部に引っ掛かる複数の第1の爪状ホルダと、当該ラベルの側辺部に引っ掛かる複数の第2の爪状ホルダとが設けられており、前記規制力調整機構として、前記複数の第1の爪状ホルダを一体的に移動させる第1の規制力調整機構と、前記複数の第2の爪状ホルダを一体的に移動させる第2の規制力調整機構とが設けられていることが好ましい。
【0017】
ところで、同じ種類のラベルの貼付作業において、ロットの違いによりラベルのサイズが例えば数mm程度変わる場合がある。このような場合には、爪状ホルダの位置を微調整する必要があり、この調整は、熟練者であればまだしも、そうでない者にとっては難しく、その調整が適切でなければ取り出し不良が生じてしまう。
そこで、前記規制力調整機構が、前記爪状ホルダの位置を示す目盛りを備えることが好ましい。
このような構成であれば、爪状ホルダの位置を数値化することができるので、その数値を微調整の指標とすることができ、爪状ホルダの位置を正確に且つ再現性良く調整することができる。
【0018】
また、本発明に係るラベル貼付装置は、上述したラベル供給機構と、前記ラベル供給機構から前記ラベルを吸い取る吸取ドラムと、前記吸着ドラムに吸着された前記ラベルに糊付けする糊塗布機構と、糊付けされた前記ラベルを吸着して容器に貼り付ける貼付ドラムとを具備することを特徴とするものである。
このようなラベル貼付装置であれば、上述したラベル供給機構による作用効果を奏し得る。
【0019】
ところで、容器に貼り付けるラベルとしては、紙ラベルとフィルムラベルとがあり、紙ラベルにはコールドグルーと称される糊を用いることが従来の技術常識であった。
しかしながら、コールドグルーを用いると、搬送ラインや糊壺等の清掃が大変であったり、速乾性が低いことからラベルを容器に貼り付けた後に仕上げローラが必要となったりする。
そこで、前記ラベルが紙製のものであり、前記塗布機構が、前記ラベルにホットメルトを塗布するものであることが好ましい。
このような構成であれば、コールドグルーよりもメンテナンス性が良く、しかも速乾性が高いことから、仕上げローラを不要にできる場合もあり、装置の小型化や低コスト化を図れる。
【発明の効果】
【0020】
このように構成した本発明によれば、コイルばねを用いた場合に必要なばね常数の選定を不要にし、且つ、ラベルの取り出し不良を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態のラベル貼付装置の全体構成を示す模式図。
【
図2】本実施形態のラベル供給機構の外観を示す模式図。
【
図3】本実施形態のラベル供給機構を側方から視た外観を示す模式図。
【
図4】本実施形態の制御機構による押圧力の制御態様を示すグラフ。
【
図5】その他の実施形態の制御機構による押圧力の制御態様を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係るラベル貼付装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
<全体構成>
本実施形態のラベル貼付装置100は、
図1に示すように、複数の容器Xを搬送しながら、それらの容器Xに連続してラベルLを貼り付けるものである。
【0024】
具体的にラベル貼付装置100は、
図1に示すように、搬送機構10により所定位置に搬送された容器XにラベルLを移送するラベル移送機構20と、このラベル移送機構20の動作を制御する制御機構30とを具備している。
【0025】
ラベル移送機構20は、多数枚のラベルLからなるラベル束を収容するラベル供給機構21と、ラベル供給機構21からラベルLを1枚ずつ吸い取る吸取ドラム22と、ラベルに糊付けする糊塗布機構23と、糊付けされたラベルLを容器Xに貼り付ける貼付ドラム24とを備えている。
【0026】
ラベル供給機構21は、所謂ラベルホッパーと称されるものであり、収容するラベル束からラベルLが1枚ずつ取り出されるものである。本実施形態では、このラベル供給機構21に特徴があるので、詳細は後述する。
【0027】
吸取ドラム22は、ラベル供給機構21から送り出されたラベルLを1枚ずつ吸着して取り出し、そのラベルLを吸着保持しながら回転するとともに、貼付ドラム23に受け渡す回転体である。
【0028】
糊塗布機構23は、貼付ドラム24に保持されているラベルLの裏面に糊剤を塗布するものである。具体的にこの糊塗布機構23は、糊剤としてホットメルトを塗布するものであり、ここではホットメルトを噴出するガンモジュール(不図示)を備えている。なお、糊塗布機構23としては、ラベルLにコールドグルーを塗布するものであっても構わない。
【0029】
貼付ドラム24は、吸取ドラム22が吸着保持するラベルLを受け取り、そのラベルLを吸着保持しながら回転するとともに、糊塗布機構23により糊付けされたラベルLを容器Xに貼り付ける回転体である。
【0030】
然して、本実施形態のラベル供給機構21は、
図2に示すように、ラベルLの取出方向とは反対側からラベル束に押し当てられる押当部材4と、押当部材4をラベルLの取出方向に押圧して移動させる電動アクチュエータ5とを備える。
【0031】
押当部材4は、ラベル束を構成するラベルLのうち最後尾に位置するラベルLに押し当てられて、ラベル束を構成するラベルLのうち先頭に位置するラベルLを押し出すためのものである。
【0032】
この押当部材4は、
図2及び
図3に示すように、電動アクチェータからの動力が例えばボールねじ等を利用して構成された動力伝達機構6を介して伝達されるものであり、この動力を受けてラベル束を取出方向に付勢するものである。
【0033】
具体的に押当部材4は、ラベル束に対して進退移動する例えば平板状の移動体41と、移動体41を支持するとともに、動力伝達機構6に連結された支持体42とを備えている。
なお、移動体41は、平板状のものに限らず、ブロック体形状のものなど、種々の形状として構わない。また、本実施形態の押当部材4は、単一の移動体41を備えているが、複数の移動体41が例えば共通の支持体42により一体的に支持されていても良い。さらに、ここでは移動体41と支持体42とが一体的に形成されているが、移動体41と支持体42とは別体であっても構わない。
【0034】
電動アクチュエータ5は、押当部材4を進退移動させるための例えばサーボモータ等の駆動源であり、この電動アクチュエータ5から出力される動力が、動力伝達機構6を介して押当部材4を押圧する押圧力として作用する。すなわち、電動アクチュエータ5から押当部材4に与えられる押圧力の向きは、ラベルLの取出方向、言い換えれば、ラベル束の後方から前方に向かう方向となる。
【0035】
この電動アクチュエータ5は、押当部材4に与える押圧力を変更可能に構成されたものであり、上述した制御機構30により制御される。
【0036】
制御機構30は、電動アクチュエータ5への印加電圧や印加電流を制御して、例えばラベル束を構成する枚数に応じて押圧力を変更するものであり、具体的には、ラベル束を構成するラベル枚数が少ない場合の押圧力を、ラベル束を構成するラベル枚数が多い場合の押圧力に比べて小さくするように、電動アクチュエータ5を制御する。
【0037】
本実施形態の制御装置は、
図4に示すように、ラベル束を構成するラベル枚数の減少に伴い、押圧力を徐々に小さくするように、電動アクチュエータ5を制御するように構成されている。
【0038】
より具体的に説明すると、制御装置は、その内部メモリに例えば押当部材4の位置と押圧力との相関を示す相関データが格納されており、この相関データに基づいて電動アクチュエータ5を制御するように構成されている。
【0039】
ここでの相関データは、ラベル枚数の減少に伴い押圧力が例えば直線的に単調減少するように設定された相関式等であるが、相関データは作業者により適宜変更できるように構成されている。なお、相関データとしては、相関式に限らず例えばルックアップテーブル等であっても良い。
【0040】
ところで、上述した押当部材4を最後尾のラベルLに押し当ててラベル束を取出方向に付勢すると、先頭のラベルLが不測に取り出されることが懸念されるところ、これを防ぐべく、本実施形態のラベル供給機構21は、
図2に示すように、先頭に位置するラベルLに引っ掛かる複数の爪形状のホルダ7を備えている。
【0041】
これらの爪状ホルダ7は、先頭のラベルLが取り出されることを規制する向きの規制力を当該ラベルLに与えるものである。すなわち、爪状ホルダ7から先頭のラベルLに働く規制力の向きは、ラベルLの取出方向と逆向き、言い換えれば、ラベル束の前方から後方に向かう方向となる。
【0042】
具体的にこれら複数の爪状ホルダ7としては、先頭に位置するラベルLの上辺部に引っ掛かる複数の第1の爪状ホルダ7Aと、当該ラベルLの側辺部に引っ掛かる複数の第2の爪状ホルダ7Bとが設けられており、ここではラベルLの左辺部及び右辺部それぞれに対応する第2の爪状ホルダ7Bが設けられている。
【0043】
上述した構成により、複数の爪状ホルダ7による規制力と上述した押圧力とが協働して、ラベルLが1枚ずつ取り出される程度にラベル束が付勢されることになる。
【0044】
かかる構成において、本実施形態のラベル供給機構21は、複数の爪状ホルダ7を一体的に移動させて、これらの爪状ホルダ7から先頭に位置するラベルLに与える規制力を調整する規制力調整機構8をさらに備えている。
【0045】
具体的にこの規制力調整機構8は、複数の爪状ホルダ7を一体的に支持する支持部材81と、支持部材81の位置を手動により調整するための操作部82とを備えている。
【0046】
ここでは、規制力調整機構8として、複数の第1の爪状ホルダ7Aを一体的に移動させる第1の規制力調整機構8Aと、複数の第2の爪状ホルダ7Bを一体的に移動させる第2の規制力調整機構8Bとが設けられている。
【0047】
第1の規制力調整機構8Aは、操作部82を操作することにより、第1の爪状ホルダ7Aを支持する支持部材81が前後方向に移動し、これにより第1の爪状ホルダ7Aから先頭のラベルLに与える規制力を調整できるように構成されている。
【0048】
第2の規制力調整機構8Bは、操作部82を操作することにより、ラベルLの左辺部又は右辺部の一方に対応して設けられた第2の爪状ホルダ7Bを支持する支持部材81が、他方に対応して設けられた第2の爪状ホルダ7Bを支持する支持部材81に対して進退移動し、これら一対の支持部材81の離間距離が変わりつつ、第2の爪状ホルダ7Bから先頭のラベルLに与える規制力を調整できるように構成されている。
【0049】
さらに、本実施形態の規制力調整機構8は、
図2に示すように、爪状ホルダ7の位置を示す目盛り83を備えている。具体的にこの目盛り83は、操作部82を操作している作業者から視認可能な位置に設けられており、ここでは、第1の規制力調整機構8A及び第2の規制力調整機構8Bそれぞれが、操作部82の近傍に配置された目盛り83を備えている。
【0050】
<本実施形態の効果>
このように構成したラベル貼付装置100によれば、電動アクチュエータ5を用いてラベル束を付勢するので、コイルばねを用いた場合に必要なばね定数の選定は不要になる。しかも、電動アクチュエータ5から押当部材4に与える押圧力が変更可能なので、ラベル枚数に応じて適切な押圧力に設定することで、ラベル枚数が多い状態と少ない状態との双方において、ラベルLの取り出し不良を防ぐことができる。
【0051】
より具体的には、制御機構30が、ラベル束を構成するラベル枚数の減少に伴い、押圧力を徐々に小さくするので、ラベル枚数が多い状態でのラベルLが取り出されないといった取り出し不良を防ぐことができ、ラベル枚数が少ない状態でのラベルLが一挙に2枚取り出されてしまうといった取り出し不良を防ぐことができる。
【0052】
また、上述したように電動アクチュエータ5による押圧力と複数の爪状ホルダ7による規制力とが協働してラベルLの取り出し不良を防ぐことになることから、この爪状ホルダ7の位置も非常に重要であり、繊細な調整が必要となる。
これに対して、本実施形態のラベル貼付装置100は、複数の爪状ホルダ7を一体的に移動させて、これらの爪状ホルダ7から先頭に位置するラベルLに与える規制力を調整する規制力調整機構8を備えているので、爪状ホルダ7を1つ1つ位置調整する場合に比べて、複数の爪状ホルダ7からの規制力を短時間で調整することができる。
【0053】
ところで、同じ種類のラベルLの貼付作業において、ロットの違いによりラベルLのサイズが例えば数mm程度変わる場合がある。このような場合には、爪状ホルダ7の微調整が必要となり、この調整は、熟練者であればまだしも、そうでない者にとっては時間を要するし、その調整が適切でなければ取り出し不良が生じてしまう。
これに対して、本実施形態の規制力調整機構8は、爪状ホルダ7の位置を示す目盛り83を備えているので、爪状ホルダ7の位置を数値化することができるので、その数値を作業の指標とすることができ、爪状ホルダ7の位置調整の正確性や再現性の向上を図れる。
【0054】
加えて、本実施形態では、ラベルLが紙製のものであり、塗布機構が、ラベルLにホットメルトを塗布するものであるので、コールドグルーを塗布する構成に比べて、清掃等のメンテナンス性が良く、しかも糊の速乾性が高いことから、仕上げローラを不要にできる場合もある。
【0055】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記各実施形態に限られるものではない。
【0056】
例えば、電動アクチュエータ5から押当部材4に与える押圧力としては、前記実施形態では、ラベル枚数の減少に伴い直線的に単調減少するように設定されていたが、
図5(A)に示すように、ラベル枚数の減少に伴い曲線的に単調減少するように設定されていても良いし、
図5(B)に示すように、ラベル枚数の減少に伴い段階的に減少するように設定されていても良い。
【0057】
また、電動アクチュエータ5としては、サーボモータに限らず、例えば回転速度が可変なパルスモータやステッピングモータなどであっても良い。
【0058】
さらに、本発明に係るラベル貼付装置100としては、電動アクチュエータ5に加えて、例えば所定のばね常数を有するコイルばねや、ラベル枚数によらずラベル束に一定の押圧力を与える渦巻きばねを組み合わせて用いても良い。
【0059】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
100・・・ラベル貼付装置
X ・・・容器
L ・・・ラベル
10 ・・・容器搬送機構
20 ・・・ラベル搬送機構
21 ・・・ラベル供給機構
22 ・・・吸取ドラム
23 ・・・糊塗布機構
24 ・・・貼付ドラム
30 ・・・制御機構
4 ・・・押当部材
41 ・・・移動体
42 ・・・支持体
5 ・・・電動アクチュエータ
6 ・・・動力伝達機構
7 ・・・爪状ホルダ
8 ・・・規制力調整機構
81 ・・・支持部材
82 ・・・操作部
83 ・・・目盛り