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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122404
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】多層配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220816BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 L
H01L23/12 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019603
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】田邉 良馬
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA38
5E316AA43
5E316BB02
5E316CC08
5E316CC16
5E316CC31
5E316CC32
5E316CC34
5E316CC35
5E316CC36
5E316CC37
5E316CC38
5E316DD03
5E316DD16
5E316DD17
5E316DD24
5E316DD33
5E316EE33
5E316EE43
5E316FF07
5E316FF14
5E316GG17
5E316HH40
5E316JJ02
(57)【要約】
【課題】加熱時に層間剥離を生じ難い多層配線基板を提供する。
【解決手段】本発明の多層配線基板は、互いに積層された2以上の層120を備え、前記2以上の層120の各々は、第1面とその裏面である第2面とを有し、前記第1面から前記第2面まで各々が貫通した第1及び第2凹部が設けられた第1絶縁層1201と、前記第2面と接した第3面とその裏面である第4面とを有し、前記第1凹部を埋め込んだ第2絶縁層1202であって、前記第3面から前記第4面まで貫通し、1以上が前記第2凹部と連通した第3凹部が設けられた第2絶縁層1202と、前記第2及び第3凹部を埋め込んだ導体層1203とを含んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層された2以上の層を備え、前記2以上の層の各々は、
第1面とその裏面である第2面とを有し、前記第1面から前記第2面まで各々が貫通した第1及び第2凹部が設けられた第1絶縁層と、
前記第2面と接した第3面とその裏面である第4面とを有し、前記第1凹部を埋め込んだ第2絶縁層であって、前記第3面から前記第4面まで貫通し、1以上が前記第2凹部と連通した第3凹部が設けられた第2絶縁層と、
前記第2及び第3凹部を埋め込んだ導体層と
を含んだ多層配線基板。
【請求項2】
前記導体層は、前記第2凹部内に位置したビア部と、前記第2凹部と連通した前記第3凹部内に位置したランド部と、前記第2凹部と連通していない前記第3凹部内に位置した配線部とを含んだ請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記2以上の層の各々は、
前記導体層と前記第1絶縁層との間に介在した部分と、前記導体層と前記第2絶縁層との間に介在した部分と、前記導体層の前記第1面側の面を被覆した部分とを含んだ密着層と、
前記密着層と前記導体層との間に介在したシード層と
を更に含んだ請求項1又は2に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記第1絶縁層の少なくとも一部において、前記第2面における前記第1凹部の開口径は0.5乃至5μmの範囲内にあり、前記第2面における前記第2凹部の開口径は5乃至50μmの範囲内にある請求項1乃至3の何れか1項に記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記第1絶縁層の少なくとも一部において、前記第2凹部の数N2に対する前記第1凹部の数N1の比N1/N2は、1乃至5の範囲内にある請求項1乃至4の何れか1項に記載の多層配線基板。
【請求項6】
前記第1及び第2絶縁層は有機絶縁体を含んだ材料からなる請求項1乃至5の何れか1項に記載の多層配線基板。
【請求項7】
厚さが10μm以上300μm以下の範囲内にある請求項1乃至6の何れか1項に記載の多層配線基板。
【請求項8】
前記導体層の前記第4面側の面は、前記第4面に対して面一である請求項1乃至7の何れか1項に記載の多層配線基板。
【請求項9】
第1配線基板と、前記第1配線基板に接合された第2配線基板とを備え、前記第1及び第2配線基板は、それらの間に介在した接合電極を介して互いに電気的に接続され、第2配線基板は、請求項1乃至8の何れか1項に記載の多層配線基板である複合配線基板。
【請求項10】
前記第1配線基板はフリップチップボールグリッドアレイ用配線基板であり、前記第2配線基板はインターポーザである請求項9に記載の複合配線基板。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の複合配線基板と、
前記第1配線基板の前記第2配線基板とは反対側の面に実装された機能デバイスと
を備えたパッケージ化デバイス。
【請求項12】
互いに積層された2以上の層を支持体上に形成することを含み、前記2以上の層の各々の形成は、
第1面とその裏面である第2面とを有し、前記第1面から前記第2面まで各々が貫通した第1及び第2凹部が設けられた第1絶縁層を形成することと、
前記第2面と接した第3面とその裏面である第4面とを有し、前記第1凹部を埋め込んだ第2絶縁層であって、前記第3面から前記第4面まで貫通し、1以上が前記第2凹部と連通した第3凹部が設けられた第2絶縁層を形成することと、
前記第4面を被覆するとともに、前記第2及び第3凹部を埋め込んだ導体層を形成することと、
前記導体層を研磨して、前記導体層のうち前記第2又は第3凹部外に位置した部分を除去することと
を含んだ多層配線基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高速化及び高集積化が進む中で、半導体チップを搭載するフリップチップボールグリッドアレイ(Flip Chip-Ball Grid Array)用配線基板、即ち、FC-BGA基板にも、半導体チップとの接合に使用する接合端子の狭ピッチ化及び基板内の配線の微細化が求められている。その一方で、FC-BGA基板とマザーボードとの接合には、従来とほぼ変わらないピッチで配列した接合端子による接合が要求されている。これらの要求のもと、FC-BGA基板と半導体チップとの間に、インターポーザとも呼ばれる、微細な配線を含む多層配線基板を設ける技術が採用されている。
【0003】
その一つは、シリコンインターポーザ技術である。このシリコンインターポーザ技術は、シリコンウェハ上に、微細な配線を各々の層が含んだ多層配線構造を、半導体回路の製造技術を用いて形成することによりインターポーザを製造するというものである。
【0004】
また、上記の多層配線構造をシリコンウェハ上に形成するのではなく、FC-BGA基板に直接作り込む手法も開発されている。この手法は、コア層が例えばガラスエポキシ基板からなるFC-BGA基板の製造において、化学機械研磨(CMP)などを利用して、上記の多層配線構造を形成するというものである。これについては、特許文献1に開示されている。
【0005】
更に、インターポーザをガラス基板等の支持体の上に形成し、そのインターポーザをFC-BGA基板と接合させ、その後、インターポーザから支持体を剥離することで、上記の多層配線構造を、FC-BGA基板上に設ける方式(以下、転写方式という)もある。これについては、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-225671号公報
【特許文献2】国際公開第2018/047861号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、加熱時に層間剥離を生じ難い多層配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると、互いに積層された2以上の層を備え、前記2以上の層の各々は、第1面とその裏面である第2面とを有し、前記第1面から前記第2面まで各々が貫通した第1及び第2凹部が設けられた第1絶縁層と、前記第2面と接した第3面とその裏面である第4面とを有し、前記第1凹部を埋め込んだ第2絶縁層であって、前記第3面から前記第4面まで貫通し、1以上が前記第2凹部と連通した第3凹部が設けられた第2絶縁層と、前記第2及び第3凹部を埋め込んだ導体層とを含んだ多層配線基板が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によると、前記導体層は、前記第2凹部内に位置したビア部と、前記第2凹部と連通した前記第3凹部内に位置したランド部と、前記第2凹部と連通していない前記第3凹部内に位置した配線部とを含んだ上記態様に係る多層配線基板が提供される。
【0010】
本発明の更に他の態様によると、前記2以上の層の各々は、前記導体層と前記第1絶縁層との間に介在した部分と、前記導体層と前記第2絶縁層との間に介在した部分と、前記導体層の前記第1面側の面を被覆した部分とを含んだ密着層と、前記密着層と前記導体層との間に介在したシード層とを更に含んだ上記態様の何れかに係る多層配線基板が提供される。
【0011】
本発明の更に他の態様によると、前記第1絶縁層の少なくとも一部において、前記第2面における前記第1凹部の開口径は0.5乃至5μmの範囲内にあり、前記第2面における前記第2凹部の開口径は5乃至50μmの範囲内にある上記態様の何れかに係る多層配線基板が提供される。
【0012】
本発明の更に他の態様によると、前記第1絶縁層の少なくとも一部において、前記第2凹部の数N2に対する前記第1凹部の数N1の比N1/N2は、1乃至5の範囲内にある上記態様の何れかに係る多層配線基板が提供される。
【0013】
本発明の更に他の態様によると、前記第1及び第2絶縁層は有機絶縁体を含んだ材料からなる上記態様の何れかに係る多層配線基板が提供される。
【0014】
本発明の更に他の態様によると、厚さが10μm以上300μm以下の範囲内にある上記態様の何れかに係る多層配線基板が提供される。
【0015】
本発明の更に他の態様によると、前記導体層の前記第4面側の面は、前記第4面に対して面一である上記態様の何れかに係る多層配線基板が提供される。
【0016】
本発明の更に他の態様によると、第1配線基板と、前記第1配線基板に接合された第2配線基板とを備え、前記第1及び第2配線基板は、それらの間に介在した接合電極を介して互いに電気的に接続され、第2配線基板は、上記態様の何れかに係る多層配線基板である複合配線基板が提供される。
【0017】
本発明の更に他の態様によると、前記第1配線基板はフリップチップボールグリッドアレイ用配線基板であり、前記第2配線基板はインターポーザである上記態様に係る複合配線基板が提供される。
【0018】
本発明の更に他の態様によると、上記態様の何れかに係る複合配線基板と、前記第1配線基板の前記第2配線基板とは反対側の面に実装された機能デバイスとを備えたパッケージ化デバイスが提供される。
【0019】
ここで、「機能デバイス」は、電力及び電気信号の少なくとも一方が供給されることにより動作するデバイス、外部からの刺激により電力及び電気信号の少なくとも一方を出力するデバイス、又は、電力及び電気信号の少なくとも一方が供給されることにより動作し且つ外部からの刺激により電力及び電気信号の少なくとも一方を出力するデバイスである。機能デバイスは、例えば、半導体チップや、ガラス基板などの半導体以外の材料からなる基板上に回路や素子が形成されたチップのように、チップの形態にある。機能デバイスは、例えば、大規模集積回路(LSI)、メモリ、撮像素子、発光素子、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の1以上を含むことができる。MEMSは、例えば、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、傾斜センサ、マイクロフォン、及び音響センサの1以上である。一例によれば、機能デバイスは、LSIを含んだ半導体チップである。
【0020】
本発明の更に他の態様によると、互いに積層された2以上の層を支持体上に形成することを含み、前記2以上の層の各々の形成は、第1面とその裏面である第2面とを有し、前記第1面から前記第2面まで各々が貫通した第1及び第2凹部が設けられた第1絶縁層を形成することと、前記第2面と接した第3面とその裏面である第4面とを有し、前記第1凹部を埋め込んだ第2絶縁層であって、前記第3面から前記第4面まで貫通し、1以上が前記第2凹部と連通した第3凹部が設けられた第2絶縁層を形成することと、前記第4面を被覆するとともに、前記第2及び第3凹部を埋め込んだ導体層を形成することと、前記導体層を研磨して、前記導体層のうち前記第2又は第3凹部外に位置した部分を除去することとを含んだ多層配線基板の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るパッケージ化デバイスを概略的に示す断面図。
図2図1に示すパッケージ化デバイスが含んでいる多層配線基板を概略的に示す断面図。
図3図2に示す多層配線基板の一部を拡大して示す断面図。
図4図2に示す多層配線基板の他の一部を拡大して示す断面図。
図5】本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法における一工程を概略的に示す断面図。
図6】本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法における他の工程を概略的に示す断面図。
図7】本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
図8】本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
図9】本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
図10】本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
図11】本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
図12】本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
図13】本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
図14】本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
図15】本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法における更に他の工程を概略的に示す断面図。
図16】比較例に係る多層配線基板を概略的に示す断面図。
図17図16に示す多層配線基板の一部を拡大して示す断面図。
図18図16に示す多層配線基板の他の一部を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記態様の何れかをより具体化したものである。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化した例を示すものであって、本発明の技術的思想を、以下に記載する構成要素の材質、形状、構造、及び配置等に限定するものではない。本発明の技術的思想には、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0023】
以下の説明において参照する図面では、同様又は類似した機能を有する構成要素に、同一の参照符号を付している。ここで、図面は模式的なものであり、厚さ方向の寸法と厚さ方向に垂直な方向、即ち面内方向の寸法との関係や、複数の層の厚さ方向における寸法の関係等は、現実のものとは異なり得ることに留意すべきである。従って、具体的な寸法は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、2以上の構成要素の寸法の関係が、複数の図面の間で異なっている可能性があることにも留意すべきである。更に、幾つかの図面では、同一の構造を、他の図面とは天地を逆にして描いていることにも留意すべきである。
【0024】
なお、本開示において、「上面」及び「下面」は、板状部材又はそれに含まれる層の2つの主面、即ち、厚さ方向に垂直であり且つ最も広い面積を有する面及びその裏面であって、図面において上方に示された面と下方に示された面とをそれぞれ意味している。また、「側面」とは、面内方向に対して垂直であるか又は傾いた面を意味している。
【0025】
また、本開示において、「AAをBBの上に」という記載は、重力方向とは無関係に使用している。「AAをBBの上に」という記載によって特定される状態は、AAがBBと接触した状態を包含する。「AAをBBの上に」という記載は、AAとBBとの間に他の1以上の構成要素を介在させることを除外するものではない。
【0026】
<構造>
図1は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化デバイスを概略的に示す断面図である。
【0027】
図1に示すパッケージ化デバイス1は、複合配線基板10と、機能デバイス20と、封止樹脂層30と、接合電極40とを含んでいる。
【0028】
機能デバイス20は、例えば、半導体チップ、又は、ガラス基板などの半導体以外の材料からなる基板上に回路や素子が形成されたチップである。ここでは、一例として、機能デバイス20は半導体チップであるとする。即ち、ここでは、パッケージ化デバイス1は、半導体パッケージである。
【0029】
パッケージ化デバイス1は、複数の機能デバイス20を含んでいる。パッケージ化デバイス1は、機能デバイス20を1つのみ含んでいてもよい。
【0030】
機能デバイス20は、接合電極40を介して、複合配線基板10へ接合されている。ここでは、機能デバイス20は、フリップチップボンディングによって、複合配線基板10へ接合されている。機能デバイス20の1以上は、ワイヤボンディングなどの他のボンディング法によって複合配線基板10へ接合されていてもよい。
【0031】
接合電極40は、機能デバイス20と複合配線基板10との間で、狭いピッチで配列している。接合電極40は、例えば、はんだからなる。機能デバイス20をワイヤボンディングによって複合配線基板10へ接合する場合、例えば、金ワイヤを用いて機能デバイス20と複合配線基板とを電気的に接続することができる。
【0032】
封止樹脂層30は、機能デバイス20と複合配線基板10との間に介在した部分と、機能デバイス20の側面を少なくとも部分的に被覆した部分とを含んでいる。封止樹脂層30は、機能デバイス20を複合配線基板10へ固定している。
【0033】
複合配線基板10は、FC-BGA基板11と、多層配線基板12と、封止樹脂層13と、接合電極14とを含んでいる。
【0034】
FC-BGA基板11は、第1配線基板の一例である。FC-BGA基板11は、例えば、図示しないマザーボードへ接合される。
【0035】
FC-BGA基板11は、コア層111と、絶縁層112と、導体層113と、絶縁層114と、接合用導体115とを含んでいる。
【0036】
コア層111は、絶縁層である。コア層111は、例えば、織布又は不織布に熱硬化性の絶縁樹脂を含浸させた繊維強化基板である。織布又は不織布としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、又はアラミド繊維を使用することができる。絶縁樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を使用することができる。
【0037】
コア層111には、貫通孔が設けられている。導体層113の一部は、貫通孔の側壁を被覆している。ここでは、導体層113の一部は、側壁が導体からなる貫通孔を生じるように、コア層111に設けられた貫通孔の側壁を被覆している。これら側壁が導体からなる貫通孔は、絶縁体で埋め込んでもよい。
【0038】
導体層113の残りと絶縁層112とは、コア層111の両主面上で多層配線構造を形成している。各多層配線構造は、交互に積層された導体層113及び絶縁層112を含んでいる。
【0039】
多層配線構造が含む各絶縁層112は、例えば、絶縁樹脂層である。絶縁層112には、貫通孔が設けられている。
【0040】
導体層113は、銅などの金属又は合金からなる。導体層113は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0041】
多層配線構造が含む各導体層113は、配線部とランド部とを含んでいる。絶縁層112を間に挟んでコア層111と向き合った導体層113は、絶縁層112に設けられた貫通孔の側壁を被覆したビア部を更に含んでいる。
【0042】
絶縁層114は、上記の多層配線構造上に設けられている。絶縁層114は、例えば、ソルダーレジストなどの絶縁樹脂層である。絶縁層114には、上記多層配線構造の最表面に位置した導体層113へ連通する貫通孔が設けられている。
【0043】
接合用導体115は、導体層113のうち絶縁層114の貫通孔の位置で露出した部分に設けられた金属バンプである。なお、接合用導体は、接合端子ともいう。接合用導体115は、例えば、はんだからなる。
【0044】
多層配線基板12は、第2配線基板である。多層配線基板12は、接合電極40を介して機能デバイス20に接合されるとともに、接合電極14を介してFC-BGA基板11に接合されている。即ち、多層配線基板12は、機能デバイス20とFC-BGA基板11との接合を媒介するインターポーザである。多層配線基板12の厚さは、例えば、10μm以上300μm以下の範囲内にある。多層配線基板12については、後で詳述する。
【0045】
接合電極14は、多層配線基板12と機能デバイス20との間で配列している。接合電極14のピッチは、接合電極40のピッチと比較してより広く且つFC-BGA基板11の下面に位置した接合用導体115のピッチと比較してより狭い。接合電極14は、例えば、はんだからなる。
【0046】
封止樹脂層13は、FC-BGA基板11と多層配線基板12との間に介在した部分を含んでいる。なお、封止樹脂層は、アンダーフィル層ともいう。封止樹脂層13は、第2配線基板11をFC-BGA基板11へ固定している。
【0047】
多層配線基板12について、図2乃至図4を参照しながら、更に詳しく説明する。
図2は、図1に示すパッケージ化デバイスが含んでいる多層配線基板を概略的に示す断面図である。図3は、図2に示す多層配線基板の一部を拡大して示す断面図である。図4は、図2に示す多層配線基板の他の一部を拡大して示す断面図である。
【0048】
図2乃至図4に示す多層配線基板12は、図2に示すように、2以上の層120と、絶縁層121と、密着層122aと、シード層122bと、導体層123と、絶縁層124と、密着層125aと、シード層125bと、導体層126と、表面処理層127と、絶縁層128とを含んでいる。
【0049】
2以上の層120は、互いに積層されている。これら層120の各々は、第1絶縁層1201と、第2絶縁層1202と、導体層1203と、密着層1204aと、シード層1204bとを含んでいる。
【0050】
第1絶縁層1201は、図3及び図4に示すように、第1面S1と、その裏面である第2面S2とを有している。第1絶縁層1201には、第1面S1から第2面S2まで各々が貫通した第1及び第2凹部が設けられている。
【0051】
絶縁層121と隣接した第1絶縁層1201が有する第1凹部の底面は、図2に示すように、絶縁層121の表面の一部である。絶縁層121と隣接していない第1絶縁層1201が有する第1凹部の底面は、図2及び図3に示すように、その第1絶縁層1201を含んだ層120と隣接した層120が含む第2絶縁層1202の表面の一部である。
【0052】
導体層123と隣接した第1絶縁層1201が有する第2凹部の底面は、図2に示すように、導体層123の表面の一部である。導体層123と隣接していない第1絶縁層1201が有する第2凹部の底面は、図2及び図4に示すように、その第1絶縁層1201を含んだ層120と隣接した層120が含む導体層1203の表面の一部である。
【0053】
第2絶縁層1202は、図3及び図4に示すように、第2面S2と接した第3面S3と、その裏面である第4面S4とを有している。第2絶縁層1202は、第1絶縁層1201の第1凹部を埋め込んでいる。第2絶縁層1202には、第3面S3から第4面S4まで貫通し、1以上が第1絶縁層1201の第2凹部と連通した第3凹部が設けられている。各層120が含む第2絶縁層1202が有する第3凹部の底面は、図2乃至図4に示すように、その層120が含む第1絶縁層1201の表面の一部である。
【0054】
第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202は、例えば、有機絶縁体を含んだ材料からなる。第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202の材料は、無機材料であってもよいが、好ましくは有機材料を含む。一例によれば、第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202は、絶縁樹脂層である。これら絶縁樹脂層は、好ましくは、フィラーを含んでいない。第1絶縁層1201の材料と第2絶縁層1202の材料とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。第1絶縁層1201の材料と第2絶縁層1202の材料とが同じであったとしても、厚さ方向に平行な断面を、例えば、走査電子顕微鏡で観察することにより、第1絶縁層1201と第2絶縁層1202との間の界面を確認することができる。なお、第1乃至第3凹部については、後で更に詳しく説明する。
【0055】
導体層1203は、第2及び第3凹部を埋め込んでいる。導体層1203の第4面S4側の面は、第4面S4に対して面一である。
【0056】
導体層1203のうち、第2凹部を埋め込んでいる部分は、図2及び図4に示すビア部1203Vである。導体層1203のうち、第3凹部の1以上を埋め込んでいる部分、具体的には、第2凹部と連通した第3凹部を埋め込んでいる部分は、図2及び図4に示すランド部1203Lである。そして、導体層1203のうち、第3凹部の残りを埋め込んでいる部分、具体的には、第2凹部と連通していない第3凹部を埋め込んでいる部分は、図2及び図3に示す配線部1203Wである。
【0057】
導体層1203は、銅などの金属又は合金からなる。導体層1203は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0058】
密着層1204aは、図2乃至図4に示すように、導体層1203と第1絶縁層1201との間に介在した部分と、導体層1203と第2絶縁層1202との間に介在した部分と、導体層1203の第1面側の面を被覆した部分とを含んでいる。即ち、密着層1204aは、第1乃至第3凹部の底面及び側壁上に設けられている。密着層1204aは、第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202へのシード層1204bの密着性を向上させて、シード層1204bの剥離を生じ難くする層である。
【0059】
シード層1204bは、密着層1204a上に設けられている。シード層1204bは、密着層1204aと導体層1203との間に介在している。シード層1204bは、導体層1203の電解めっきによる成膜において、給電層としての役割を果たす。
【0060】
絶縁層121は、図2に示すように、層120からなる多層配線構造の一方の主面上に設けられている。絶縁層121は、例えば、絶縁樹脂層である。絶縁層121には、それと隣接した層120が含む第1絶縁層1201の第2凹部の位置に、貫通孔が設けられている。
【0061】
導体層123は、絶縁層121に設けられた貫通孔を埋め込んでいる。導体層123は、銅などの金属又は合金からなる。導体層123は、上記多層配線構造の最表面に位置したビア部1203Vと電気的に接続されている。
【0062】
密着層122aは、絶縁層121に設けられた貫通孔の側壁を被覆した部分と、それら貫通孔の多層配線構造から離間した開口を塞ぐように広がった部分とを含んでいる。密着層122aは、絶縁層121へのシード層122bの密着性を向上させて、シード層122bの剥離を生じ難くする層である。
【0063】
シード層122bは、密着層122a上に設けられている。シード層122bは、導体層123の電解めっきによる成膜において、給電層としての役割を果たす。
【0064】
絶縁層124は、層120からなる多層配線構造の他方の主面上に設けられている。絶縁層124は、例えば、絶縁樹脂層である。絶縁層124には、それと隣接した層120が含む第2絶縁層1202の、第2凹部と連通した第3凹部の位置に、貫通孔が設けられている。
【0065】
導体層126は、絶縁層121に設けられた貫通孔を埋め込むとともに、絶縁層121の主面のうち貫通孔の周囲の領域を被覆している。導体層126は、銅などの金属又は合金からなる。導体層126は、上記多層配線構造の最表面に位置したランド部1203Lと電気的に接続されている。
【0066】
密着層125aは、絶縁層124に設けられた貫通孔の側壁を被覆した部分と、ランド部1203Lのうちそれら貫通孔の位置で露出した領域を被覆した部分と、絶縁層121の主面のうち貫通孔の周囲の領域を被覆した部分とを含んでいる。密着層125aは、絶縁層124へのシード層125bの密着性を向上させて、シード層125bの剥離を生じ難くする層である。
【0067】
シード層125bは、密着層125a上に設けられている。シード層125bは、導体層126の電解めっきによる成膜において、給電層としての役割を果たす。
【0068】
絶縁層128は、絶縁層124上に設けられている。絶縁層128は、例えば、絶縁樹脂層である。絶縁層128には、導体層126の位置に貫通孔が設けられている。
【0069】
表面処理層127は、導体層126上に設けられている。表面処理層127は、導体層126の表面の酸化防止及びはんだに対する濡れ性向上のために設ける。
【0070】
<製造方法>
このパッケージ化デバイス1が含む多層配線基板12は、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0071】
図5乃至図15は、本発明の一実施形態に係る多層配線基板の製造方法を概略的に示す断面図である。
【0072】
この方法では、先ず、図5に示す構造を得る。以下に、図5の構造を得るための工程を順次説明する。
【0073】
(1)支持体2上への剥離層3の形成
先ず、支持体2の一方の面に剥離層3を形成する。
支持体2は、支持体2を通じて剥離層3に光を照射する場合もあるため、透光性を有していることが有利である。支持体2としては、例えば、矩形のガラス板を用いることができる。矩形のガラス板は、大型化に適している。また、ガラス板は、優れた平坦性及び高い剛性を実現可能である。そのため、支持体2としての矩形のガラス板は、その上に微細なパターンを形成するのに適している。
【0074】
また、ガラス板はCTE(coefficient of thermal expansion;熱膨張率)が小さく歪みにくいことから、パターン配置精度及び平坦性の確保に優れている。支持体2としてガラス板を用いる場合、ガラス板の厚さは、製造プロセスにおける反りの発生を抑制する観点から厚い方が望ましく、例えば0.7mm以上、好ましくは1.1mm以上である。
【0075】
ガラス板のCTEは、3ppm以上15ppm以下であることが好ましく、FC-BGA基板11及び機能デバイス20のCTEとの整合性の観点から9ppm程度がより好ましい。
【0076】
一方、剥離層3に熱によって発泡する樹脂を用いる等、支持体2を剥離する際に支持体2に光の透過性が要求されない場合は、支持体2には、歪みの少ない材料、例えばメタルやセラミックスなどを用いることができる。
【0077】
以下、一例として、剥離層3の材料は紫外光(UV光)を吸収して剥離可能となる樹脂であり、支持体2はガラス板であるとする。
【0078】
剥離層3は、例えば、UV光などの光を吸収することにより発熱若しくは変質して剥離可能となる樹脂でもよく、又は、熱によって発泡して剥離可能となる樹脂でもよい。
【0079】
剥離層3は、光分解促進剤、光吸収剤、増感剤、及びフィラー等の添加剤を更に含有していてもよい。
【0080】
剥離層3は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。また、例えば、支持体2上に形成される多層配線構造の保護を目的として、剥離層3上に保護層を設けてもよく、支持体2と剥離層3との間にそれらの密着性を向上させる層を更に設けてもよい。また、剥離層3と多層配線構造との間に、レーザー光反射層や金属層を更に設けてもよい。
【0081】
なお、剥離層3の材料として、UV光などの光、例えばレーザー光によって剥離可能となる樹脂を用いる場合、支持体2が透光性であれば、剥離層3へは、支持体2を介して光を照射してもよい。
【0082】
(2)剥離層3上への絶縁層121の形成
支持体2の上面に剥離層3を形成した後、剥離層3の上面に絶縁層121を形成する。ここでは、一例として、感光性のエポキシ樹脂をスピンコート法により剥離層3上へ塗布する。感光性のエポキシ樹脂は、比較的低温で硬化させることができ、硬化に伴う収縮が少ないため、その後の微細パターン形成に有利である。
【0083】
(3)絶縁層121のパターン化
次いで、フォトリソグラフィにより、絶縁層121に貫通孔を設ける。これら貫通孔に対しては、現像時の残渣除去を目的として、プラズマ処理を行ってもよい。絶縁層121の厚さは、貫通孔内に形成する導体層の厚さに応じて設定される。ここでは、一例として、絶縁層121の厚さは7μmとする。
【0084】
また、平面視による貫通孔の形状、即ち、厚さ方向に対して垂直な平面への貫通孔の正射影の形状は、機能デバイス20を複合配線基板10へ接合する接合電極40のピッチ及び形状に応じて適宜設定される。ここでは、一例として、平面視による貫通孔の形状は直径が25μmの円形とし、それら貫通孔のピッチは55μmとする。
【0085】
(4)密着層122a及びシード層122bの形成
次いで、真空中で、密着層122a及びシード層122bを形成する。密着層122aは、上記の通り、絶縁層121へのシード層122bの密着性を向上させて、シード層122bの剥離を防止する層である。また、シード層122bは、上記の通り、導体層123を形成するための電解めっきにおいて、給電層としての役割を果たす。
【0086】
密着層122a及びシード層122bは、例えば、スパッタリング法又は蒸着法により形成することができる。密着層122a及びシード層122bの材料としては、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)、ZnO、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、TiN、Cu、Cu合金、又はこれらを複数組み合わせたものを使用することができる。ここでは、一例として、電気特性及び製造の容易性の観点並びにコスト面を考慮して、密着層122a及びシード層122bにそれぞれにチタン層及び銅層を採用し、それらはスパッタリング法で形成することとする。
【0087】
密着層122a及びシード層122bの合計膜厚は、1μm以下とすることが好ましい。ここでは、一例として、密着層122aとして厚さが50nmのチタン層を形成するとともに、シード層122bとして厚さが300nmの銅層を形成することとする。
【0088】
次に、シード層122b上に、電解めっきにより導体層123’を形成する。導体層123’のうち絶縁層121の貫通孔内に位置した部分は、機能デバイス20との接合用の電極となる。電解めっきとしては、電解ニッケルめっき、電解銅めっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、及び電解イリジウムめっき等が挙げられる。簡便且つ安価であり、電気伝導性が良好な導体層123が得られることから、電解銅めっきが望ましい。
【0089】
導体層123’の厚さは、絶縁層121の貫通孔を完全に埋め込む観点では1μm以上であることが望ましく、生産性の観点では30μm以下であることが望ましい。ここでは、一例として、導体層123’として、絶縁層121の貫通孔の位置で9μmの厚さを有し、絶縁層121の上面で2μmの厚さを有する銅層を形成することとする。
【0090】
次に、図6の構造を得るために以下の工程を行う。
【0091】
(6)導体層123’の研磨
図5に示す構造を化学機械研磨(CMP)等によって研磨して、導体層123’及びシード層122bのうち、絶縁層121に設けられた貫通孔外に位置した部分を除去する。即ち、絶縁層121の上面の位置では密着層122aの表面が最表面となり、絶縁層121に設けられた貫通孔の位置では導体層123’の表面が最表面となるように研磨を行う。ここでは、一例として、導体層123’のうち表面からの距離が2μm以下の部分と、シード層122bのうち絶縁層121の上面に位置した部分(厚さ300nm)とを研磨により除去する。
【0092】
(7)密着層122a及び絶縁層121の研磨
次に、CMP等の研磨を再度行い、密着層122aのうち絶縁層121の上面に位置した部分と、絶縁層121の一部とを除去する。なお、密着層122aと絶縁層121とは材料が異なるので、密着層122aの一部を除去するための化学的な研磨が、絶縁層121の一部の除去へ及ぼす影響は小さい。絶縁層121の一部の除去には、研磨剤による物理的な研磨が主に寄与する。
【0093】
密着層122a及び絶縁層121の研磨には、工程を簡略化するために、前述の導体層123’及びシード層122bの研磨と同様の手法を用いてもよい。或いは、研磨の効率化を目的として、密着層122a及び絶縁層121の研磨には、それらの材料に適しており、且つ、導体層123’及びシード層122bの研磨とは異なる研磨手法を用いてもよい。
【0094】
図5に示す導体層123’のうち、上記の研磨を行った後に残った部分が、図6に示す導体層123である。上記の通り、導体層123は、機能デバイス20との接合用の電極として使用する。
【0095】
(8)第1絶縁層1201の形成
次に、研磨された表面に、図6に示す第1絶縁層1201を形成する。第1絶縁層1201は、絶縁層121等と接した第1面S1と、その裏面である第2面S2とを有している。第1絶縁層1201には、第1面S1から第2面S2まで各々が貫通した第1凹部R1及び第2凹部R2が設けられている。第1凹部R1は、絶縁層121の上面上に位置している。第2凹部R2は、導体層123上に位置している。ここでは、第1凹部R1及び第2凹部R2の各々は貫通孔である。これら凹部は、第1絶縁層1201の全体に亘って略均一に分布している。
【0096】
第1絶縁層1201は、例えば、感光性樹脂を用いて形成することができる。例えば、感光性樹脂をスピンコート法により研磨面へ塗布し、フォトリソグラフィにより、第1凹部R1及び第2凹部R2を有する第1絶縁層1201を得る。後述するように、第2凹部R2内にビア部1203Vを形成する。
【0097】
第1凹部R1及び第2凹部R2の各々の深さ、即ち、第1絶縁層1201の厚さは、第2凹部R2内に形成するビア部1203Vの厚さに応じて設定される。第1絶縁層1201の厚さは、1乃至5μmの範囲内にあることが好ましく、1乃至3μmの範囲内にあることがより好ましい。ここでは、一例として、第1絶縁層1201は、2μmの厚さに形成することとする。
【0098】
第2面S2における第1凹部R1の開口径は、第1絶縁層1201の少なくとも一部において、例えば、配線部1203Wが最も高密度に配置された部分において、0.5乃至5μmの範囲内にあることが好ましく、1乃至2μmの範囲内にあることがより好ましい。また、第2面S2における第2凹部R2の開口径は、第1絶縁層1201の少なくとも一部において、例えば、配線部1203Wが最も高密度に配置された部分において、5乃至50μmの範囲内にあることが好ましく、10乃至20μmの範囲内にあることがより好ましい。第2面S2における第1凹部R1の開口径を小さくすると、導体層1203の層間接続の信頼性が低下する。第2面S2における第1凹部R1又は第2凹部R2の開口径を大きくすると、ランド部1203L及び配線部1203Wを高密度に配置することが難しくなる。
【0099】
ここで、第2面S2における第1凹部R1の開口径は、第2面S2における第1凹部R1の開口の平均円相当径である。また、第2面S2における第2凹部R2の開口径は、第2面S2における第2凹部R2の開口の平均円相当径である。凹部の開口の平均円相当径は、それら開口の面積と同じ面積を有する円の直径を算術平均することにより得られる値である。
【0100】
平面視による第2凹部R2の形状、即ち、第2面S2における第2凹部R2の開口の、厚さ方向に対して垂直な平面への正射影の形状は、導体層123との接続の観点から設定される。ここでは、一例として、上記正射影の形状は、直径が10μmの円形とする。
【0101】
第2凹部R2の数N2に対する第1凹部R1の数N1の比N1/N2は、第1絶縁層1201の少なくとも一部において、例えば、配線部1203Wが最も高密度に配置された部分において、1乃至5の範囲内にあることが好ましい。比N1/N2を大きくすると、第1絶縁層1201と第2絶縁層1202との接触面積はより大きくなる。但し、比N1/N2を過剰に大きくすると、十分な線幅を有する配線部1203Wを形成することが難しくなる可能性がある。
【0102】
(9)第2絶縁層1202の形成
次に、図7に示すように、第1絶縁層1201上に、第2絶縁層1202を形成する。第2絶縁層1202は、第2面S2と接した第3面S3と、その裏面である第4面S4とを有している。第2絶縁層1202は、第1絶縁層1201の第1凹部R1を埋め込んでいる。第2絶縁層1202には、第3面S3から第4面S4まで貫通し、1以上が第1絶縁層1201の第2凹部R2と連通した第3凹部R3が設けられている。第3凹部R3の底面は、第1絶縁層1201の表面の一部である。
【0103】
ここでは、第3凹部R3の一部は第2凹部R2と連通し、第3凹部R3の残りは、第2凹部R2と連通していない。具体的には、第3凹部R3のうち、導体層123の上方に設けられたものは、第2凹部R2と連通している。そして、第3凹部R3のうち、絶縁層121の上方に設けられたものは、第2凹部R2と連通していない。第2凹部R2と連通した第3凹部R3は貫通孔であり、第2凹部R2と連通していない第3凹部R3は溝である。後述するように、第2凹部R2と連通した第3凹部R3内にはランド部1203Lを形成し、第2凹部R2と連通していない第3凹部内には配線部1203Wを形成する。
【0104】
第2絶縁層1202は、例えば、感光性樹脂を用いて形成することができる。例えば、図6に示す構造の第1絶縁層1201が設けられた面に、感光性樹脂をスピンコート法により塗布し、フォトリソグラフィにより、第3凹部R3を有する第2絶縁層1202を得る。
【0105】
第2絶縁層1202の厚さは、第3凹部R3内に形成するランド部1203L及び配線部1203Wの厚さに応じて設定される。ここでは、一例として、第2絶縁層1202は、2μmの厚さに形成することとする。
【0106】
内部にランド部1203Lが形成される第3凹部R3の平面視による形状、即ち、上記第4面における第3凹部R3の開口の、厚さ方向に対して垂直な平面への正射影の形状は、導体層1203の層間接続の観点から設定される。ここでは、一例として、上記正射影の形状は、先の平面への第2凹部R2の正射影と同心である、直径が25μmの円形とする。
【0107】
(10)密着層1204a及びシード層1204bの形成
次いで、図7に示す構造の第1絶縁層1201及び第2絶縁層1202を形成した面に、図8及び図9にそれぞれ示す密着層1204a及びシード層1204bを順次形成する。密着層1204a及びシード層1204bには、それぞれ、密着層122a及びシード層122bについて上述したのと同様の材料を使用することができる。また、密着層1204a及びシード層1204bは、それぞれ、密着層122a及びシード層122bについて上述したのと同様の方法により形成することができる。ここでは、一例として、密着層1204aとして厚さが50nmのチタン層を形成するとともに、シード層1204bとして厚さが300nmの銅層を形成することとする。
【0108】
(11)導体層1203’の形成
次に、図10に示すように、シード層1204b上に導体層1203’を形成する。後述するように、導体層1203’のうち、第2凹部R2内に位置した部分はビア部1203Vとなり、第3凹部R3内に位置した部分はランド部1203L又は配線部1203Wとなる。導体層1203’は、導体層123’について上述したのと同様の方法により形成することができる。
【0109】
導体層1203’の厚さは、配線部1203Wの電気抵抗の観点では0.5μm以上であることが望ましく、生産性の観点では30μm以下であることが望ましい。ここでは、一例として、導体層1203’として、第2凹部R2の位置で6μmの厚さを有し、第2凹部R2と連通していない第3凹部R3の位置で4μmの厚さを有し、第4面S4上で2μmの厚さを有する銅層を形成することとする。
【0110】
(12)導体層1203’の研磨
次に、図11に示すように、導体層1203’のうち、第2凹部R2又は第3凹部R3外に位置した部分を、研磨によって除去する。この研磨は、導体層123’の研磨と同様の方法により行うことができる。ここでは、一例として、導体層1203’のうち表面からの距離が2μm以下の部分と、シード層1204bのうち第4面S4上面に位置した部分(厚さ300nm)とを研磨により除去する。
【0111】
(13)密着層1204a及び第2絶縁層1202の研磨
続けて、CMP等の研磨を再度行い、密着層1204aのうち第4面S4上に位置した部分と、第2絶縁層1202の一部とを除去する。この研磨は、密着層122a及び絶縁層121の研磨と同様の方法により行うことができる。
【0112】
図10に示す導体層1203’のうち、上記の研磨を行った後に残った部分が、図11に示す導体層1203である。導体層1203は、ビア部1203Vとランド部1203Lと配線部1203Wとを含んでいる。
【0113】
以上のようにして、第1絶縁層1201と、第2絶縁層1202と、導体層1203と、密着層1204aと、シード層1204bとを含んだ層120を得る。
【0114】
(14)工程の繰り返しによる多層配線構造の形成
その後、図6乃至図11を参照しながら説明した工程(8)乃至(13)からなるシーケンスを繰り返す。これにより、図12に示す多層配線構造を得る。図12では、多層配線構造は2つの層120を含んでいる。多層配線構造が含む層120の数は3以上であってもよい。
【0115】
(15)絶縁層124の形成
次に、多層配線構造上に、図13に示す絶縁層124を形成する。絶縁層124には、多層配線構造の最表面に位置した層120が含んでいるランド部1203Lの位置に、貫通孔が設けられている。
【0116】
絶縁層124は、例えば、感光性樹脂を用いて形成することができる。例えば、感光性樹脂をスピンコート法により多層配線構造上へ塗布し、フォトリソグラフィにより、貫通孔を有する絶縁層124を得る。
【0117】
(16)密着層125a及びシード層125bの形成
次いで、多層配線構造及びその上の絶縁層124上に、密着層125a及びシード層125bを順次形成する。密着層125a及びシード層125bには、それぞれ、密着層122a及びシード層122bについて上述したのと同様の材料を使用することができる。また、密着層125a及びシード層125bは、それぞれ、密着層122a及びシード層122bについて上述したのと同様の方法により形成することができる。
【0118】
(17)導体層126の形成
次いで、シード層125b上にレジストパターン228を形成する。レジストパターン228は、絶縁層124に設けられた貫通孔の位置に貫通孔を有している。導体層126は、導体層123’について上述したのと同様の方法により形成することができる。
【0119】
導体層126の厚さは、はんだ接合の観点では1μm以上であることが望ましく、生産性の観点では30μm以下であることが望ましい。ここでは、一例として、導体層126として、絶縁層124の貫通孔の位置で9μmの厚さを有し、他の位置で7μmの厚さを有する銅層を形成することとする。
【0120】
(18)レジストパターン228の除去
図13の構造を得た後、レジストパターン228を除去する。その後、導体層126をエッチングマスクとして用いたエッチングにより、密着層122a及びシード層122bの露出部を除去する。この状態で残った導体層126が、FC-BGA基板11との接合に使用する電極となる。
【0121】
(19)絶縁層128の形成
次に、図14に示すように、絶縁層124及び導体層126上に絶縁層128を形成する。絶縁層128は、導体層126の位置に貫通孔を有している。絶縁層は、例えば、絶縁層124及び導体層126上にソルダーレジストを設け、これに露光及び現像を施すことにより形成することができる。なお、ソルダーレジストから得られる絶縁層は、ソルダーレジスト層ともいう。
【0122】
ソルダーレジストの材料としては、例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁樹脂を用いることができる。ここでは、一例として、ソルダーレジストとして、フィラーを含有した感光性エポキシ樹脂を使用することとする。
【0123】
(20)表面処理層127の形成
次に、導体層126上に表面処理層127を設ける。表面処理層127は、導体層126の表面の酸化防止及びはんだに対する濡れ性向上の目的で設ける。ここでは、一例として、表面処理層127として無電解Ni/Pd/Auめっき層を形成することとする。
【0124】
表面処理層127としては、OSP(Organic Solderability Preservative)膜、即ち、水溶性プレフラックスによる表面処理層を形成してもよい。或いは、表面処理層127として、無電解スズめっき又は無電解Ni/Auめっき層を形成してもよい。
【0125】
(21)接合用導体129の形成
次いで、表面処理層127上に、接合用導体129を形成する。接合用導体129は、例えば、はんだバンプなどの金属バンプである。接合用導体129は、例えば、はんだボールなどのはんだ材料を表面処理層127上へ配置し、これらを溶融させ、その後、冷却して表面処理層127に固着させることにより形成することができる。
【0126】
以上のようにして、支持体2によって支持された多層配線基板12、即ち、支持体付き多層配線基板を得る。
【0127】
このようにして得られる支持体付き多層配線基板を使用すると、図1に示すパッケージ化デバイス1は、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0128】
先ず、支持体2によって支持された多層配線基板12とFC-BGA基板11とを接合する。次いで、それらの接合部を、図1に示す封止樹脂層13で封止する。
【0129】
封止樹脂層13の材料としては、例えば、樹脂とフィラーとの混合物を使用することができる。樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の1種又はこれらの樹脂の2種以上の混合物を使用することができる。フィラーとしては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛の1種又はこれらの2種以上を使用することができる。封止樹脂層13は、例えば、液状の材料をFC-BGA基板11と多層配線基板12との間に充填させることにより形成することができる。
【0130】
以上のようにして、FC-BGA基板11と多層配線基板12とを含んだ複合配線基板10を得る。なお、この時点では、多層配線基板12上には、支持体2が設けられたままである。
【0131】
次いで、図15に示す剥離層3にレーザー光を照射して、支持体2と複合配線基板10とを互いから剥離する。剥離層3が複合配線基板10上に残留した場合には、例えば、エッチングによって除去する。また、密着層122aのうち剥離層3と接触していた部分も、例えば、エッチングにより除去する。シード層122bのうち、密着層122aを間に挟んで剥離層3と向き合っていた部分も、例えば、エッチングにより除去してもよい。
【0132】
その後、複合配線基板10へ、図1に示す機能デバイス20を接合する。
機能デバイス20の接合に先立って、表面に露出した導体層123上に、酸化防止及びはんだに対する濡れ性向上の目的で、無電解Ni/Pd/Auめっき層、OSP膜、無電解スズめっき層、及び無電解Ni/Auめっき層などの表面処理層を設けてよい。
【0133】
次いで、それらの接合部を、封止樹脂層30で封止する。
封止樹脂層30の材料としては、例えば、封止樹脂層13の材料として例示したものを使用することができる。封止樹脂層30は、例えば、封止樹脂層13について上述したのと同様の方法により形成することができる。
以上のようにして、図1に示すパッケージ化デバイス1が完成する。
【0134】
上記の方法では、多層配線基板12をFC-BGA基板11へ接合した後に、機能デバイス20を多層配線基板12へ接合している。その代わりに、機能デバイス20を多層配線基板12へ接合した後に、多層配線基板12をFC-BGA基板11へ接合してもよい。
【0135】
<効果>
シリコンインターポーザ技術によって得られるインターポーザ、所謂シリコンインターポーザは、シリコンウェハと半導体前工程用の設備とを用いて製造されている。シリコンウェハは、形状及びサイズに制限があり、1枚のウェハから製造できるインターポーザの数は、必ずしも多くはない。そして、その製造設備も高価である。それ故、シリコンインターポーザは高価である。また、シリコンウェハは半導体であることから、シリコンインターポーザを使用すると、伝送特性が劣化するという問題もある。
【0136】
上記の多層配線基板12の製造に、シリコンウェハは不要である。また、多層配線基板12では、例えば、絶縁層の殆ど又は全てを絶縁樹脂層とすることができる。それ故、上記の多層配線基板12は、安価な材料及び設備で製造することができ、低コスト化が可能であり、また、優れた伝送特性も達成し得る。
【0137】
微細な配線パターンを有する導体層を含んだ多層配線構造をFC-BGA基板に直接作り込む手法は、シリコンインターポーザに見られる伝送特性の劣化は小さい。しかしながら、この手法には、FC-BGA基板自体の製造歩留まりの問題や、ガラスエポキシ基板などのコア層上に、微細な配線パターンを有する導体層を含んだ多層配線構造を形成する難易度が高いため、全体的に製造歩留まりが低いという課題がある。更に、このFC-BGA基板では、その厚さを二等分する平面に対して高い対称性を実現することは難しい。それ故、そのようなFC-BGA基板は、加熱時に反りや歪みを生じ易い。
【0138】
上記の複合配線基板10及びパッケージ化デバイス1の製造においては、FC-BGA基板11とは別に、多層配線基板12を製造し、それらを互いに接合する。微細な配線パターンを有する導体層1203を含んだ多層配線構造は、FC-BGA基板11には作り込まず、多層配線基板12に作り込む。それ故、上記の複合配線基板10及びパッケージ化デバイス1は、高い歩留まりで製造可能である。
【0139】
また、複合配線基板10の製造において、微細な配線パターンを有する導体層1203を含んだ多層配線構造は、ガラスエポキシ基板などのコア層上に形成するのではなく、支持体2上に形成する。支持体2として平滑性に優れたものを使用することができるため、その上に形成する微細パターン等は高い形状精度で形成可能である。このような理由でも、上記の複合配線基板10及びパッケージ化デバイス1は、高い歩留まりで製造可能である。
【0140】
更に、上記の複合配線基板10及びパッケージ化デバイス1では、FC-BGA基板11において、その厚さを二等分する平面に対して高い対称性を実現することは容易であり、また、多層配線基板12においても、その厚さを二等分する平面に対して高い対称性を実現することは容易である。それ故、上記の複合配線基板10及びパッケージ化デバイス1は、加熱時に反りや歪みを生じ難い。
【0141】
また、上記の多層配線基板12は、加熱時に層間剥離を生じ難い。これについて、以下に説明する。
【0142】
図16は、比較例に係る多層配線基板を概略的に示す断面図である。図17は、図16に示す多層配線基板の一部を拡大して示す断面図である。図18は、図16に示す多層配線基板の他の一部を拡大して示す断面図である。
【0143】
図16乃至図18に示す多層配線基板12’は、以下の点を除き、図2乃至図4を参照しながら説明した多層配線基板12と同様である。
【0144】
即ち、多層配線基板12’は、層120の代わりに層120’を含んでいる。各層120’は、絶縁層1201’と、絶縁層1202’と、密着層1204aと、シード層1204bとを含んでいる。絶縁層1201’は、第1凹部R1が設けられていないこと以外は、第1絶縁層1201と同様である。絶縁層1201’には第1凹部R1が設けられていないので、絶縁層1202’は第1凹部R1を埋め込んでいない。この点を除けば、絶縁層1202’は、第2絶縁層1202と同様である。
【0145】
絶縁層1201’及び1202’が絶縁樹脂層である場合、その材料としては、フィラーを含有してない絶縁樹脂を使用する。一方、封止樹脂層13としてのアンダーフィル層や絶縁層114及び128としてのソルダーレジスト層は、絶縁樹脂に加えてフィラーを含有している。フィラーを含有していない絶縁樹脂層は、フィラーを含有した絶縁樹脂層と比較して、弾性率が低く且つCTEが大きい傾向にある。
【0146】
そのため、多層配線基板12’及びFC-BGA基板11の各々において、その厚さを二等分する平面に対して高い対称性を実現できたとしても、それらを含んだ複合配線基板又はパッケージ化デバイスは、加熱時に、フィラーを含有していない絶縁樹脂層が、フィラーを含有した絶縁樹脂層などの他の層と比較して大きく膨張し、反りを発生することがある。また、反りを生じなかったとしても、多層配線構造内で大きな応力が発生し得る。それ故、図16乃至図18に示す多層配線基板12’を含んだ複合配線基板又はパッケージ化デバイスには、各層120’において、絶縁層1201’及び1202’間の界面での層間剥離(delamination)を生じ易く、接続信頼性の確保が難しい問題というがある。
【0147】
これに対し、図2乃至図4に示す多層配線基板12では、各層120において、第1絶縁層1201に第1凹部R1及び第2凹部R2を設け、第2凹部R2をビア部1203Vの形成に利用するとともに、第1凹部R1を第2絶縁層1202で埋め込んでいる。それ故、各層120における第1絶縁層1201と第2絶縁層1202との接触面積は、図16乃至図18に示す多層配線基板12’の各層120’における絶縁層1201’と絶縁層1202’との接触面積と比較して大きい。従って、多層配線基板12は、多層配線基板12’と比較して、層間剥離を生じ難く、高い接続信頼性を達成し得る。
【0148】
<効果の検証>
上記の多層配線基板12が奏する効果を、以下に説明する方法で検証した。
【0149】
(実施例)
図2乃至図4を参照しながら説明した多層配線基板12を、図5乃至図15を参照しながら説明した方法により製造した。ここでは、第1凹部R1及び第2凹部R2の第2面S2における開口径を10μmとし、内部にランド部1203Lが設けられる第3凹部R3の第4面S4における開口径を20μmとした。
【0150】
(比較例)
多層配線基板12’を、図16乃至図18を参照しながら説明した構造を採用したことを除き、上記実施例と同様の方法により製造した。
【0151】
(試験)
実施例に係る多層配線基板12及び比較例に係る多層配線基板12’に対して、JESD22-A106B(Condition D)に則って、ビア接続信頼性試験を行った。具体的には、先ず、-65℃で5分間の冷却を行い、次いで、昇温して常温に1分間保ち、その後、加熱して150℃に5分間保った。このサイクルを繰り返し、クラック若しくは層間剥離を生じるか、又は、抵抗値変化率が±3%の範囲を超えるまでのサイクル数を数えた。
【0152】
その結果、実施例に係る多層配線基板12については、上記のサイクル数は800乃至1000の範囲内にあった。これに対し、比較例に係る多層配線基板12’については、上記のサイクル数は300乃至500の範囲内にあった。比較例に係る多層配線基板12’では層間剥離を生じ易かったのに対し、実施例に係る多層配線基板12では層間剥離を生じ難かった。
【符号の説明】
【0153】
1…パッケージ化デバイス、2…支持体、3…剥離層、10…複合配線基板、11…FC-BGA基板、12…多層配線基板、12’…多層配線基板、13…封止樹脂層、14…接合電極、20…機能デバイス、30…封止樹脂層、40…接合電極、111…コア層、112…絶縁層、113…導体層、114…絶縁層、115…接合用導体、120…層、120’…層、121…絶縁層、122a…密着層、122b…シード層、123…導体層、123’…導体層、124…絶縁層、125a…密着層、125b…シード層、126…導体層、127…表面処理層、128…絶縁層、129…接合用導体、228…レジストパターン、1201…第1絶縁層、1201’…絶縁層、1202…第2絶縁層、1202’…絶縁層、1203…導体層、1203’…導体層、1203L…ランド部、1203V…ビア部、1203W…配線部、1204a…密着層、1204b…シード層、R1…第1凹部、R2…第2凹部、R3…第3凹部、S1…第1面、S2…第2面、S3…第3面、S4…第4面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18