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特開2022-1224193次元地図データ作成システムと方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122419
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】3次元地図データ作成システムと方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220816BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019637
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】生川 俊則
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB10
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD15
5H301GG08
5H301GG19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ランドマークがない環境下で高精度な3次元地図データを作成することができる3次元地図データ作成システムとその方法を提供する。
【解決手段】それぞれ、周囲の3次元形状を計測して自己位置を基準とする3次元データ2A,2Bを取得する3次元計測装置12A,12Bと、互いに双方向に通信する通信装置14A,14Bと、を有する親機10A及び子機10Bを備える。親機10Aは、子機10Bの相対位置をランドマークとして、スキャンマッチングにより親機10Aの3次元データ2Aに子機10Bの3次元データ2Bを重畳して3次元地図データ6に蓄積する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、周囲の3次元形状を計測して自己位置を基準とする3次元データを取得する3次元計測装置と、互いに双方向に通信する通信装置と、を有する親機及び子機を備え、
前記親機は、前記子機の相対位置をランドマークとして、前記親機の前記3次元データに前記子機の前記3次元データを重畳して3次元地図データに蓄積する、3次元地図データ作成システム。
【請求項2】
前記親機又は前記子機は、遠隔操縦可能であり、
さらに、前記親機及び前記子機を遠隔操縦する遠隔操縦装置を備える、請求項1に記載の3次元地図データ作成システム。
【請求項3】
前記3次元計測装置は、レーザ光をスキャニングするLIDARである、請求項1に記載の3次元地図データ作成システム。
【請求項4】
前記親機と前記子機は、それぞれ地球外の天体表面を走行可能な親ローバと子ローバであり、
前記子ローバは、前記親ローバに格納可能であり、
前記親ローバと前記子ローバを互いに接続する可撓性の有線ケーブルを備え、該有線ケーブルは動力線と信号線を有しており、
前記親ローバは、前記有線ケーブルを巻き取り可能な巻取装置を有し、
前記子ローバは、前記レーザ光を反射するレーザ光反射板を有する、請求項3に記載の3次元地図データ作成システム。
【請求項5】
前記親機は、地球外の天体表面を走行可能な親ローバであり、前記子機は、地球外の天体の空中を飛行可能な無人飛行体であり、
前記親ローバは、前記レーザ光を反射するレーザ光反射板を有する、請求項3に記載の3次元地図データ作成システム。
【請求項6】
請求項1に記載の3次元地図データ作成システムを用い、
前記親機と前記子機により、それぞれ、前記3次元データを取得し、
前記親機又は前記子機により、前記親機と前記子機の相対位置を計測し、
前記親機により、前記子機の前記相対位置をランドマークとして、前記親機の前記3次元データに前記子機の前記3次元データを重畳して3次元地図データに蓄積する、3次元地図データ作成方法。
【請求項7】
前記3次元データの重畳は、前記親機と前記子機のそれぞれの前記3次元データに含まれる点群データに基づくスキャンマッチングによる、請求項6に記載の3次元地図データ作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランドマークがない環境下で高精度な3次元地図データを作成する3次元地図データ作成システムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の移動体の位置を把握する場合に、GPS等のGNSS(Global Navigation Satellite System)が利用される。この場合、移動体は、複数の衛星から電波を受信し、この電波に含まれる衛星の軌道情報や時間情報、および電波の受信時刻に基づいて、自己位置を求める。
【0003】
一方、GNSSを利用せずに、移動体の位置を把握する場合には、例えば、予め作成した3次元地図データを用いたマッチングが行われる。この場合、移動体に搭載した3次元計測装置(例えばLIDAR:Light Detection and Ranging)が外界を観測し、観測結果に基づいて3次元局所地図を作成し、この局所地図と、上述の3次元地図データとをマッチングさせる。この時、局所地図に含まれるランドマーク(例えば建物、道路、木など)と、3次元地図データにおける対応するランドマークとの位置合わせを行うことによりマッチングがなされる。このようなマッチングにより、移動体の位置を求めることができる。マッチングにより移動体の位置を求める技術は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5817611号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地球外の天体表面(例えば月面)においてはGNSSが使用できないため、探査のために移動するローバ(探査車)の位置は、着陸機からの測量や事前の地図データとマッチングすること等により自己位置を同定する必要がある。しかし、着陸機から見通せない場所へ移動した場合や、事前の地図データは上空高度から取得したものであるため分解能が粗い上、天体表面(例えば月面)にはランドマークがないため(例えば砂漠のような場所)、地図データとのマッチングが困難である。
【0006】
地図データとのマッチング手法にはいくつかあるが、通常、LIDARにより点群データ(ポイントクラウド)を取得しスキャンマッチングを行う。代表的なスキャンマッチングのアルゴリズムとして、ICPアルゴリズム(Intetative Closese Point)やNDTアルゴリズム(Normal Distribution Transform)が知られている。
【0007】
例えば市街地での自動運転の場合、路肩やガードレール、電信柱等の特徴的な構造物があるため、スキャンマッチングは比較的計算が収束しやすい。これに対し、天体表面は構造物が存在せず、アンジュレーション(地表の起伏)のみであるためスキャンマッチングが困難となる。このように、移動しながらマッチングを行いながら地図生成することや、事前の上空からの地図とのマッチングをして絶対位置を把握することの両方に課題がある。
【0008】
また、天体表面(例えば月面)の地勢や地質は未知であり、はじめて行く場所においてはスタックの危険性がある。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、ランドマークがない環境下で高精度な3次元地図データを作成することができる3次元地図データ作成システムと方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、それぞれ、周囲の3次元形状を計測して自己位置を基準とする3次元データを取得する3次元計測装置と、互いに双方向に通信する通信装置と、を有する親機及び子機を備え、
前記親機は、前記子機の相対位置をランドマークとして、前記親機の前記3次元データに前記子機の前記3次元データを重畳して3次元地図データに蓄積する、3次元地図データ作成システムが提供される。
【0011】
また本発明によれば、上記の3次元地図データ作成システムを用い、
前記親機と前記子機により、それぞれ、前記3次元データを取得し、
前記親機又は前記子機により、前記親機と前記子機の相対位置を計測し、
前記親機により、前記子機の前記相対位置をランドマークとして、前記親機の前記3次元データに前記子機の前記3次元データを重畳して3次元地図データに蓄積する、3次元地図データ作成方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、親機と子機によりそれぞれ3次元データを取得するので、互いに離れた位置で、それぞれの周囲の3次元データを取得することができる。
また、親機により、子機の位置をランドマークとして、親機の3次元データに子機の3次元データを重畳して3次元地図データに蓄積するので、ランドマークがない環境下で高精度な3次元地図データを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による3次元地図データ作成システムの第1実施形態図である。
図2】3次元地図データ作成システムのブロック図である。
図3】本発明による3次元地図データ作成方法のステップS1,S2の説明図である。
図4】本発明による3次元地図データ作成方法のステップS3の説明図である。
図5】本発明による3次元地図データ作成システムの第2実施形態図である。
図6図5の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明による3次元地図データ作成システム100の第1実施形態図である。
この図において、3次元地図データ作成システム100は、親機10A及び子機10Bを備える。
この例において、親機10Aと子機10Bは、それぞれ地球外の天体表面1に着陸した着陸機を基点として走行可能な親ローバ11Aと子ローバ11Bである。以下、「ローバ」とは、宇宙開発において地球外の天体表面1を移動し、観測するために使われる探査車を意味する。
地球外の天体表面1は、この例では月面である。
【0016】
この例において、親機10Aと子機10B(すなわち、親ローバ11Aと子ローバ11B)は、遠隔操縦可能に構成されている。また、親ローバ11Aと子ローバ11Bは、それぞれ自律走行可能であることが好ましい。
【0017】
図1において、3次元地図データ作成システム100は、さらに、親機10A又は子機10Bを遠隔操縦する遠隔操縦装置20を備える。遠隔操縦装置20は、地球上から親機10A及び子機10Bの両方を遠隔操縦できることが好ましいが、いずれか一方のみの遠隔操縦であってもよい。
【0018】
図2は、3次元地図データ作成システム100のブロック図である。
この図において、親機10A及び子機10Bは、それぞれ、3次元計測装置12A,12B、通信装置14A,14B、記憶装置16A,16B、及び、制御装置18A,18Bを有する。
【0019】
親機10A及び子機10Bの3次元計測装置12A,12Bは、周囲の3次元形状を計測して自己位置を基準とする3次元データ2A,2Bを取得する。
3次元計測装置12A,12Bは、好ましくは、レーザ光3をスキャニングするLIDARである。またこの場合、3次元データ2A,2Bは、3次元の点群データである。
【0020】
親機10A及び子機10Bの通信装置14A,14Bは、互いに双方向に通信する。
通信装置14A,14Bは、無線通信装置であることが好ましが、有線ケーブル30を用いた有線通信であってもよい。
また、通信装置14A,14Bの一方又は両方が、遠隔操縦装置20とも双方向に通信できることが好ましい。
【0021】
親機10Aの記憶装置16Aは、親機10Aの3次元データ2Aと3次元地図データ6を記憶する。3次元地図データ6は、3次元データ2A,2Bが蓄積された3次元の点群データである。
子機10Bの記憶装置16Bは、子機10Bの3次元データ2Bを記憶する。
【0022】
制御装置18A,18Bは、例えばコンピュータ(PC)である。
制御装置18A,18Bは、親機10Aと子機10Bの走行をそれぞれ操作する。
また、親機10Aの制御装置18Aは、子機10Bの相対位置をランドマークとして、親機10Aの3次元データ2Aに子機10Bの3次元データ2Bを重畳して3次元地図データ6に蓄積する。
【0023】
図1において、子ローバ11Bは、親ローバ11Aに格納可能に構成されている。
また、3次元地図データ作成システム100は、親ローバ11Aと子ローバ11Bを互いに接続する可撓性の有線ケーブル30を備える。この有線ケーブル30は動力線と信号線を有している。
親ローバ11Aは、さらに、有線ケーブル30を巻き取り可能な巻取装置32を有する。
また子ローバ11Bは、レーザ光3を反射するレーザ光反射板34を有する。レーザ光反射板34は、スキャンマッチングの際にマーカとして機能する。
【0024】
本発明による3次元地図データ作成方法は、上述した3次元地図データ作成システム100を用い、S1~S3の各ステップ(工程)を有する。
【0025】
図3は、本発明による3次元地図データ作成方法のステップS1,S2の説明図である。
ステップS1では、親機10Aと子機10Bにより、それぞれ、3次元データ2A,2Bを取得する。
この図において、(A)は親機10Aによる3次元データ2Aの取得状態、(B)は子機10Bによる3次元データ2Bの取得状態を示している。
【0026】
ステップS1は、図3(A)に示すように、親機10Aと子機10Bが離れており、かつ親機10Aにより子機10Bの位置を検出できる状態で実施する。親機10Aと子機10Bのそれぞれの位置は、遠隔操縦装置20により設定するのが好ましいが、一方又は両方が自律走行してもよい。
【0027】
図3において、白丸(〇)は親機10Aの3次元データ2Aの平面位置であり、黒丸(●)は子機10Bの3次元データ2Bの平面位置である。
子ローバ11Bが、親ローバ11Aに格納可能な場合、親ローバ11Aの3次元計測装置12A(LIDAR)のレーザ照射位置は、子ローバ11Bの3次元計測装置12Bのレーザ照射位置より近傍は密で遠方は粗になる。
そのため、この図に示すように、親機10Aの3次元データ2Aの親機10Aからの位置(〇)は、相対的に粗になり、子機10Bの3次元データ2Bの子機10Bからの位置(●)は相対的に密になる。なお、それぞれの周方向の間隔は同じである。
【0028】
ステップS2では、この例では親機10Aにより、親機10Aの3次元データ2Aから親機10Aと子機10Bの相対位置を計測する。
なお、親機10Aと子機10Bのそれぞれの3次元データを重畳(スキャンマッチング)する際、センサ(LIDAR)がどの方向を向いているか知る必要があるため、親機・子機とも姿勢データをそれぞれ計測する。
【0029】
図4は、本発明による3次元地図データ作成方法のステップS3の説明図である。
ステップS3では、親機10Aにより、子機10Bの相対位置をランドマークとして、親機10Aの3次元データ2Aに子機10Bの3次元データ2Bを重畳して3次元地図データ6に蓄積する。
3次元データ2A,2Bの重畳は、親機10Aと子機10Bのそれぞれの3次元データ2A,2Bに含まれる点群データに基づくスキャンマッチングによる。このスキャンマッチングは、例えば、上述したICPアルゴリズム又はNDTアルゴリズムを用いる。
スキャンマッチング後に3次元地図データ6に含まれる点群データは、元の3次元データ2A,2Bの区別なく扱われる。
【0030】
(使用形態)
以下、上述した第1実施形態の親ローバ11Aと子ローバ11Bの使用形態を説明する。
(1)図1において、初めに子ローバ11Bは親ローバ11Aに格納されており、探索地点で子ローバ11Bが発進する。親ローバ11Aと子ローバ11Bは可撓性の有線ケーブル30で接続されており、電力と通信信号は親ローバ11Aから子ローバ11Bへ有線ケーブル30を介して供給される。そのため、子ローバ11Bはバッテリーや無線通信機を搭載する必要がなく、小型化が可能となる。
また、子ローバ11Bにも3次元計測装置12B(LIDAR)が搭載されており、周囲の3次元データ2Bを取得する。子ローバ11Bは親ローバ11Aによる検出(3次元データ2Aの取得)を容易にするため、レーザ光反射板34を車体に装着している。
親ローバ11A、子ローバ11Bとも地球上からの遠隔操縦で操作されることが好ましい。また親ローバ11A、子ローバ11Bとも好ましくは自律走行可能である。親ローバ11Aと子ローバ11Bは、遠隔操縦又は自律走行のための自己位置を基準とする3次元地図データを3次元計測装置12A,12Bにより生成する。
【0031】
(2)探査地点もしくは進行方向にオクルージョン(隠れ)があったり、地質、地勢が不明であったりした場合、親ローバ11Aは安全のために一旦停止し、前方の事前探索を行うために、格納していた子ローバ11Bを発進させる。
子ローバ11Bは搭載した3次元計測装置12Bで周囲の3次元データ2Bを取得しながら前進する。同時に親ローバ11Aは子ローバ11Bを含めた周囲の3次元データ2Aを取得する。
【0032】
(3)子ローバ11Bで取得した3次元データ2Bは親ローバ11Aに送信される。親ローバ11Aは周囲の3次元データ2Aから子ローバ11Bの相対位置を算出し、子ローバ11Bからの3次元データ2Bを親ローバ11Aの3次元データ2Aに重畳する。
【0033】
(4)親ローバ11Aはスキャンマッチングのマッチングポイントとして子ローバ11Bのレーザ光反射板34を用いることで、3次元地図データ6を作成する。
この際、ランドマークがあると、マッチングの処理が正確かつ高速になる(すなわちマッチング処理が収束しやすい)。地上の場合は、電信柱等の固定物がランドマークになるが、天体表面(例えば月面)では、子ローバ11Bのレーザ光反射板34をランドマークに使う。そのため、親ローバ11Aが前進する際は、子ローバ11Bはランドマークとして一定位置に停止している必要がある。
また、親ローバ11Aをランドマークにする場合は、逆に、子ローバ11Bが移動している際、親ローバ11Aは停止している必要がある。
なお、親機10A、子機10Bそれぞれの3次元データ2A,2Bを重畳することも、スキャンマッチングである。
【0034】
(5)親ローバ11Aは、子ローバ11Bが前進した位置まで作成した3次元地図データ6を用いて経路等を計画し、親子ローバ間の有線ケーブル30を巻き取りながら前進する。
もし子ローバ11Bがスタックするなど走行不能となった場合は、親ローバ11Aが有線ケーブル30を巻き取ることで子ローバ11Bを走行可能な位置まで後退させる。
【0035】
上述した本発明の第1実施形態により以下の効果が得られる。
(1)スキャンマッチング性能の向上
レーザ光反射板34を設置した子ローバ11Bが移動しランドマークとしてマッチングポイントとなることで、構造物がない天体表面1(例えば月面環境)においてもスキャンマッチングの性能が向上する。
(2)生成地図の高精度化
子ローバ11Bが前進して近傍を高精細にスキャニングし、親ローバ11Aのスキャンデータと重畳することで高精細な地図生成が可能となる。
また、親機10Aと子機10Bの3次元データ2A,2B(局所地図)を、別途取得している天体の地図(3次元地図データ6)と着陸機の位置を基点として“重畳”させれば、天体の全体地図の高精度化も可能となる。
(3)地勢・地質の事前把握
子ローバ11Bが親ローバ11Aに先駆けて前進することで地勢、地形を事前に把握できる。子ローバ11Bがスタックした場合であっても有線ケーブル30を巻き取ることで脱出が可能である。
【0036】
図5は、本発明による3次元地図データ作成システム100の第2実施形態図である。
この例において、親機10Aは、地球外の天体表面1を走行可能な親ローバ11Aである。地球外の天体表面1は、この例では好ましくは薄い大気がある火星である。親ローバ11Aの構成は、第1実施形態と同様である。
この例において、子機10Bは、地球外の天体の空中を飛行可能な無人飛行体11Cである。無人飛行体11Cは、遠隔操作や自動操縦により飛行させることができる無人機(例えばドローン)であるのがよい。
【0037】
この例において、無人飛行体11Cは、好ましくは、親ローバ11Aの上に搭載可能に構成されている。
また、この例において、親ローバ11Aは、レーザ光3を反射するレーザ光反射板34を有する。
図5の第2実施形態の場合、子機10Bにより、親機10Aと子機10Bの相対位置を計測し、子機10Bの相対位置をランドマークとする。
【0038】
図6は、図5の模式的平面図である。
この図において、白丸(〇)は親機10Aの3次元データ2Aの平面位置であり、黒丸(●)は子機10Bの3次元データ2Bの平面位置である。
【0039】
子機10Bが無人飛行体11Cである場合、無人飛行体11Cの3次元計測装置12B(LIDAR)のレーザ照射位置は、親ローバ11Aの3次元計測装置12Aのレーザ照射位置より高くなる。
そのため、この図に示すように、親機10Aの3次元データ2Aの親機10Aからの位置(〇)は、相対的に密になり、子機10Bの3次元データ2Bの子機10Bからの位置(●)は相対的に粗になる。なお、それぞれの周方向の間隔は同じである。
【0040】
その他の構成、及び3次元地図データ作成方法は、第1実施形態と同様である。
【0041】
上述した本発明の実施形態によれば、親機10Aと子機10Bによりそれぞれ3次元データ2A,2Bを取得するので、互いに離れた位置で、それぞれの周囲の3次元データ2A,2Bを取得することができる。
また、子機10Bの相対位置をランドマークとして、親機10Aの3次元データ2Aに子機10Bの3次元データ2Bを重畳して3次元地図データ6に蓄積するので、ランドマークがない環境下で高精度な3次元地図データ6を作成することができる。
【0042】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
1 天体表面、2A,2B 3次元データ、3 レーザ光、
6 3次元地図データ、10A 親機、10B 子機、11A 親ローバ、
11B 子ローバ、11C 無人飛行体、
12A,12B 3次元計測装置(LIDAR)、
14A,14B 通信装置、16A,16B 記憶装置、
18A,18B 制御装置、20 遠隔操縦装置、30 有線ケーブル、
32 巻取装置、34 レーザ光反射板、
100 3次元地図データ作成システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6