(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122471
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】下肢用マッサージ装置
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A61H7/00 322B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019721
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大内 聡
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD02
4C100BB05
4C100CA02
4C100DA10
(57)【要約】
【課題】収容本体に収容した下肢を使用者の好みの姿勢に調節する。
【解決手段】下肢用マッサージ装置1は、収容本体2と、収容本体2に設けられた複数の第1エアバッグ40と、収容本体2の下側かつ前端部寄りに配置される複数の第2エアバッグ50と、エアポンプ24と、を備えている。複数の第2エアバッグ50は、エアポンプ24により収容本体2の高さ方向に沿って膨張および収縮するように構成されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の下肢を収容可能な収容本体と、
前記収容本体に設けられ、前記収容本体に収容された使用者の下肢をマッサージするための少なくとも1つの第1エアバッグと、
前記収容本体の下側かつ前端部寄りに配置される少なくとも1つの第2エアバッグと、
空気を前記第1エアバッグおよび前記第2エアバッグの各々に供給するためのエアポンプと、を備え、
前記第2エアバッグは、前記エアポンプにより前記収容本体の高さ方向に沿って膨張および収縮するように構成されている、下肢用マッサージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の下肢用マッサージ装置であって、
前記第2エアバッグは、前記収容本体を側方から見たときに、前記第2エアバッグの前部が前記第2エアバッグの後部よりも前記高さ方向に向かって大きく膨らむように構成されている、下肢用マッサージ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の下肢用マッサージ装置であって、
前記収容本体の下側かつ後端部近傍に配置されるローラ部をさらに備え、
前記ローラ部は、前記第2エアバッグの膨張および収縮に応じて、前記収容本体が前後方向に沿って移動可能となるように構成されている、下肢用マッサージ装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の下肢用マッサージ装置であって、
前記第2エアバッグは、前記収容本体を正面から見たときに左右一対となるように構成されており、
前記一対の第2エアバッグの下側には、前記収容本体の左右方向に沿って延びる支持部が、一方の前記第2エアバッグから他方の前記第2エアバッグに亘って架け渡された状態で設けられている、下肢用マッサージ装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の下肢用マッサージ装置であって、
前記エアポンプに接続される制御弁と、
前記制御弁の動作を制御するための制御部と、をさらに備え、
前記制御弁は、前記第1エアバッグが膨張した状態を保持する一方、前記第2エアバッグが膨張した状態を保持するように構成されており、
前記第1エアバッグは、前記収容本体の、使用者の足裏の爪先部に対応する位置に配置される爪先用エアバッグを含み、
前記制御部は、前記爪先用エアバッグおよび前記第2エアバッグのいずれか一方を膨張させた状態で、前記爪先用エアバッグおよび前記第2エアバッグのいずれか他方を膨張させるように、前記エアポンプおよび前記制御弁の各々を制御する、下肢用マッサージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、下肢用マッサージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1のような、使用者の下肢をエアバッグで施療するための下肢用マッサージ装置が知られている。この下肢用マッサージ装置は、収容本体(ケーシング)と、収容本体の上部から挿入された使用者の下肢をケーシング内に収容するための収容部(足入れ部)と、収容部に配置された複数のエアバッグと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の下肢用マッサージ装置は、収容本体の下面を室内のフロア面(以下「フロア面」という。)に設置した状態で、使用者の下肢を収容部に収容するように構成されている。一方、この下肢用マッサージ装置には、フロア面に対する収容本体の設置状態を調節するための機構が設けられていなかった。すなわち、この下肢用マッサージ装置は、フロア面に対し一定の設置状態で使用することが前提となっていた。このため、下肢用マッサージ装置の使用時において、使用者は、下肢を好みの姿勢(例えば、膝関節を曲げて足先を前方に伸ばす姿勢)に変えることができず、窮屈に感じることがあった。
【0005】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、収容本体に収容した下肢を使用者の好みの姿勢に調節可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本開示の一実施形態は下肢用マッサージ装置に係るものであり、この下肢用マッサージ装置は、使用者の下肢を収容可能な収容本体と、収容本体に設けられ、収容本体に収容された使用者の下肢をマッサージするための少なくとも1つの第1エアバッグと、収容本体の下側かつ前端部寄りに配置される少なくとも1つの第2エアバッグと、空気を第1エアバッグおよび第2エアバッグの各々に供給するためのエアポンプと、を備えている。そして、第2エアバッグは、エアポンプにより収容本体の高さ方向に沿って膨張および収縮するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、収容本体に収容した下肢を使用者の好みの姿勢に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る下肢用マッサージ装置の全体斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る下肢用マッサージ装置の側面図である。
【
図3】
図3は、操作部の構成を例示した平面図である。
【
図4】
図4は、下肢用マッサージ装置の内部構造を例示した概略図である。
【
図5】
図5は、下肢用マッサージ装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、エアポンプ、第1および第2保持弁、第1~第6電磁弁、ならびに、第1および第2エアバッグの接続状態を例示した概略図である。
【
図7】
図7は、下肢用マッサージ装置を底面側から見て示した斜視図である。
【
図8】
図8は、収容本体のリクライニング動作を例示した概略図である。
【
図9】
図9は、ストレッチ動作において爪先用エアバッグの膨張状態を示した概略図である。
【
図10】
図10は、ストレッチ動作において爪先用エアバッグおよび第2エアバッグの膨張状態を例示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0010】
図1および
図2は、本開示の実施形態に係る下肢用マッサージ装置1の全体を示している。この下肢用マッサージ装置1は、使用者の下肢を空圧施療するための装置である。
【0011】
以下の説明では、下肢用マッサージ装置1における
図1および
図2の紙面右側を前側(正面側)とする一方、下肢用マッサージ装置1における同図の紙面左側を後側(背面側)として定めるものとする。また、右側および左側とは、下肢用マッサージ装置1を正面側から見たときの左右方向における位置関係を表すものとする。
【0012】
(収容本体)
図1および
図2に示すように、下肢用マッサージ装置1は、使用者の下肢Lを収容可能な上方開口箱型の収容本体2を備えている。
図2および
図4に示すように、収容本体2は、底板部5、側壁部6,6、中央壁部7,7、前壁部8、および後壁部9を有している。底板部5の上面は、後述の各収容部10に収容された使用者の足裏を載置可能な載置面5aとして構成されている。なお、
図4では、下肢用マッサージ装置1の内部構造を示すために、前壁部8の図示を省略している。
【0013】
図1および
図2に示すように、収容本体2には、収容部10,10が設けられている。各収容部10は、収容本体2の上方に向かって開口していて、使用者の各下肢Lを収容本体2の上側から挿入可能になっている。
図2および
図4に示すように、各収容部10は、底板部5、側壁部6、中央壁部7、前壁部8、および後壁部9により囲まれた空間として構成されている。収容部10,10は、中央壁部7,7を挟んだ状態で互いに左右方向に間隔をあけて配置されている。各収容部10には、例えば布状の被覆部11(
図1参照)およびクッション材(図示省略)が設けられている。
【0014】
図1および
図2に示すように、収容本体2には、蓋部12が設けられている。蓋部12は、例えば、正面視で略矩形状に形成されている。蓋部12は、連結部12aにより前壁部8(
図2参照)の上端部に連結されている。下肢用マッサージ装置1を使用する場合(下肢Lをマッサージする場合)、蓋部12は前壁部8の正面側に配置される。一方、下肢用マッサージ装置1を使用しない場合、蓋部12は収容本体2の上側に配置され、使用者が下肢用マッサージ装置1の上側(蓋部12)に座ることができ、立方体状のスツールとして使用できる。
【0015】
(操作部)
図1に示すように、収容本体2の上部には、操作部13が設けられている。
図3に示すように、操作部13には、コース選択ボタン14、リクライニング調節ボタン16、ヒーターボタン17、停止ボタン18、およびコース表示部19が設けられている。
【0016】
コース選択ボタン14は、マッサージコースの選択を行うためのボタンである。リクライニング調節ボタン16は、後述する「リクライニング動作」を行うためのボタンであり、アップボタン16aとダウンボタン16bとを含む。ヒーターボタン17は、後述するヒーター23のON/OFFを切り替えるためのボタンである。停止ボタン18は、下肢用マッサージ装置1の電源を停止するためのボタンである。
【0017】
コース表示部19は、コース選択ボタン14により選択されたコースを点灯表示するためのものである。本実施形態では、例えば4つのコース(
図3に示した「ほぐす」、「しぼる」、「のばす」、「ストレッチ」)が予め設定されている。そして、コース表示部19は、これらのコースに対応する文言で表された各ランプ部分が適宜点灯するように構成されている。例えば、使用者がコース選択ボタン14を複数回押して、コース表示部19の「ストレッチ」が点灯した場合には、「ストレッチ」のコースが開始される。
【0018】
(プラグ差込口)
図2および
図7に示すように、下肢用マッサージ装置1は、収容本体2の下面に、電力を供給するための電源プラグが差し込まれるプラグ差込口21を備えている。
【0019】
(制御部)
図5に示すように、下肢用マッサージ装置1は、制御部22を備えている。制御部22は、後述する、ヒーター23、エアポンプ24、複数の制御弁4(第1保持弁26、第2保持弁27、第1~第6電磁弁31~36)を制御する。制御部22は、例えば、プリント基板や電子部品等によって電気回路を構成した制御基板である。制御部22は、プラグ差込口21、エアポンプ24、第1保持弁26、第2保持弁27、第1~第6電磁弁31~36、およびヒーター23の各々と電気的に接続されている。
【0020】
ここで、例えば、コース選択ボタン14により「ストレッチ」が選択された場合には、制御部22が、爪先用エアバッグ47および第2エアバッグ50のいずれか一方を膨張させた状態で、爪先用エアバッグ47および第2エアバッグ50のいずれか他方を膨張させるように、エアポンプ24および制御弁4,4(第1保持弁26および第2保持弁27)の各々を制御する。なお、「ストレッチ」が選択された場合の動作については後述する。
【0021】
(エアポンプ)
図5および
図6に示すように、下肢用マッサージ装置1は、エアポンプ24を備えている。エアポンプ24は、空気を後述する複数の第1エアバッグ40および第2エアバッグ50,50に供給するためのものである。エアポンプ24は、図示しないが、例えば、収容本体2において中央壁部7,7同士の間に配置され、制御弁4,4に接続されている。
【0022】
(第1および第2保持弁)
図5および
図6に示すように、下肢用マッサージ装置1は、第1および第2保持弁26,27(制御弁4,4)を備えている。第1および第2保持弁26,27は、エアホース25,25によりエアポンプ24に対して並列状に接続されている。第1保持弁26は、後述する各第1エアバッグ40が膨張した状態を保持するように構成されている。第2保持弁27は、後述する各第2エアバッグ50が膨張した状態を保持するように構成されている。第1および第2保持弁26,27は、空気が送流可能な開状態と、空気の送流を遮断する閉状態と、に切り替え可能なものである。
【0023】
(第1~第6電磁弁)
下肢用マッサージ装置1は、第1~第6電磁弁31~36(制御弁4,4,…)を備えている。第1~第6電磁弁31~36は、エアポンプ24からの空気を、各エアホース25を介して各第1エアバッグ40に分配するための部材である。
【0024】
第1~第5電磁弁31~35は、エアポンプ24から吐出されて第1保持弁26を通過した空気を第1エアバッグ40側へ送流可能にする連通状態と、第1エアバッグ40からの空気を外気へ放出可能な開放状態と、に切り替え可能なものである。
【0025】
第6電磁弁36は、エアポンプ24からの空気を第2エアバッグ50側へ送流可能にする連通状態と、第2エアバッグ50からの空気を外気へ放出可能な開放状態と、に切り替え可能なものである。
【0026】
第1~第5電磁弁31~35は、各エアホース25により後述する各第1エアバッグ40と接続されている。第1~第5電磁弁31~35は、各エアホース25により第1保持弁26に対して並列状に接続されている。第6電磁弁36は、各エアホース25により第2保持弁27および後述する各第2エアバッグ50の各々に接続されている。
【0027】
(第1エアバッグ)
図4に示すように、下肢用マッサージ装置1は、収容本体2に設けられた複数の第1エアバッグ40を備えている。複数の第1エアバッグ40は、収容部10に収容された使用者の下肢Lに対して空圧施療を行うための部材である。複数の第1エアバッグ40は、収容本体2に設けられた被覆部11(
図1参照)により覆われた状態となっている。なお、
図4では、被覆部11の図示を省略している。
【0028】
図4および
図6に示すように、複数の第1エアバッグ40は、複数の側部上段エアバッグ41、複数の側部中段エアバッグ42、複数の側部下段エアバッグ43、複数の足甲用エアバッグ44、複数の脹ら脛背部エアバッグ45、複数の土踏まず用エアバッグ46、および複数の爪先用エアバッグ47により構成されている。なお、
図6では、同図の簡略化のために、1つの側部上段エアバッグ41のみを図示している。その他のエアバッグ42~47についても同様である。
【0029】
図6に示すように、側部上段エアバッグ41は、エアホース25を介して第1電磁弁31に接続されている。側部中段エアバッグ42は、エアホース25を介して第2電磁弁32に接続されている。側部下段エアバッグ43および足甲用エアバッグ44は、エアホース25,25を介して第3電磁弁33と接続されている。脹ら脛背部エアバッグ45および土踏まず用エアバッグ46は、エアホース25,25を介して第4電磁弁34に接続されている。爪先用エアバッグ47は、エアホース25を介して第5電磁弁35に接続されている。
【0030】
図4に示すように、側部上段エアバッグ41、側部中段エアバッグ42、および側部下段エアバッグ43は、側壁部6および中央壁部7の内側面(収容部10側の面)に取り付けられている。足甲用エアバッグ44は、側壁部6および中央壁部7の内側面に取り付けられている。足甲用エアバッグ44は、側部下段エアバッグ43よりも前方に配置されている。脹ら脛背部エアバッグ45は、後壁部9の内側面に取り付けられている。
【0031】
土踏まず用エアバッグ46および爪先用エアバッグ47は、底板部5の載置面5aに取り付けられている。爪先用エアバッグ47は、土踏まず用エアバッグ46よりも前方に配置されている。各爪先用エアバッグ47は、各収容部10において使用者の足裏の爪先付近を下方から施療可能な位置に配置されている。各爪先用エアバッグ47は、複数段(図示例では3段)の蛇腹状に形成されている。
図9に示すように、爪先用エアバッグ47が膨張すると、使用者の足先部分が上向きに反るように押し上げられる。
【0032】
(第2エアバッグ)
図1、
図2、および
図7に示すように、下肢用マッサージ装置1は、複数(図示例では2つ)の第2エアバッグ50を備えている。複数の第2エアバッグ50は、収容本体2を後方に向かって任意の角度に傾ける動作(以下「リクライニング動作」という)を行わせるための部材である。
図6に示すように、各第2エアバッグ50は、エアホース25を介して第6電磁弁36と接続されている。なお、
図6では、同図の簡略化のために、1つの第2エアバッグ50のみを図示している。
【0033】
各第1エアバッグ40および各第2エアバッグ50は、例えば、軟質樹脂材やナイロンのシート材を用いて圧着成形等により製造される。
図7~
図10にも示すように、各第2エアバッグ50は、複数段(図示例では3段)の蛇腹状に形成されている。各第2エアバッグ50は、図示省略の被覆部により覆われている。なお、各第1エアバッグ40および各第2エアバッグ50は、例えば軟質樹脂材やナイロンのシート材を用いてブロー成形により製造されていてもよい。
【0034】
図1および
図2に示すように、複数の第2エアバッグ50は、収容本体2の下側かつ前端部寄りに配置されている。
図7に示すように、本実施形態における複数の第2エアバッグ50は、左右一対となるように構成されている。複数の第2エアバッグ50は、左右方向に互いに間隔をあけた状態で、収容本体2の左右両側に配置されている。各第2エアバッグ50は、収容本体2の側方から見たときに、後部50bが収容本体2の前後方向略中央に位置する一方、前部50aが収容本体2の前端部近傍に位置するように配置されている(
図2および
図8参照)。
【0035】
図8および
図10に示すように、各第2エアバッグ50は、エアポンプ24により収容本体2の高さ方向に沿って膨張および収縮するように構成されている。具体的に、第2エアバッグ50は、収容本体2の側方から見たときに、前部50aが後部50bよりも高さ方向に向かって(上下方向へ)大きく膨らむように構成されている。
【0036】
(支持部)
図2および
図7に示すように、第2エアバッグ50の下側には、支持部51が設けられている。支持部51は、支持本体52と、突出部53,53と、拘束部54,54と、を含む。
【0037】
支持本体52は、略板状を有している。支持本体52は、収容本体2の左右方向に沿って延びている。支持本体52は、一方の第2エアバッグ50から他方の第2エアバッグ50に亘って架け渡されている。
【0038】
各突出部53は、略円盤状を有している。各突出部53は、支持本体52の下面に取り付けられていて、支持本体52の下面から下方に突出している。突出部53,53は、支持本体52の左右両側に配置されている。
【0039】
各拘束部54は、略帯状を有している。各拘束部54は、長手方向に伸縮可能な弾性部材からなる。各拘束部54は、上端部が収容本体2下側の前端部に取り付けられる一方、下端部が支持本体52の上面に取り付けられている。各拘束部54は、各第2エアバッグ50の膨張および収縮に応じて、高さ方向に沿って伸長および収縮するように構成されている(
図8参照)。
【0040】
(ローラ支持部)
図2、
図7、および
図8に示すように、収容本体2には、複数(図示例では2つ)のローラ支持部55,55が設けられている。各ローラ支持部55は、収容本体2の下面に固定されている。ローラ支持部55,55は、互いに左右方向に間隔をあけた状態で、収容本体2の左右両側に配置されている。各ローラ支持部55は、収容本体2が直立状態のときに、各ローラ支持部55の下部が室内のフロア面(以下「フロア面」という。)と接するようになっている。
【0041】
(ローラ部)
図1、
図2、および
図7に示すように、下肢用マッサージ装置1は、複数(図示例では2つ)のローラ部56を備えている。複数のローラ部56は、第2エアバッグ50,50の膨張および収縮に応じて、収容本体2が前後方向に沿って移動可能に構成されている。複数のローラ部56は、収容本体2の下側かつ後端部近傍に配置されている。複数のローラ部56は、左右一対となるように構成されている。
【0042】
各ローラ部56は、各ローラ支持部55に対して回動可能に軸支されている。具体的に、各ローラ部56は、収容本体2を側方から見たときに、各ローラ部56の後側部分が各ローラ支持部55よりも後方に露出した状態で各ローラ支持部55に取り付けられている。そして、第2エアバッグ50,50の膨張により収容本体2がリクライニング動作したときには、ローラ支持部55の下面がフロア面から離れる一方、各ローラ部56がフロア面に接するようになる(
図8参照)。
【0043】
(リクライニング動作)
以下、主に
図8を参照しながら、リクライニング調節ボタン16の操作による収容本体2のリクライニング動作について説明する。
【0044】
図8の紙面上側には、収容本体2が直立している状態、すなわち、リクライニング動作を行う前の初期状態(以下「初期状態」という。)が示されている。この初期状態では、複数の第2エアバッグ50が収縮した状態となっている。初期状態では、ローラ支持部55の下部がフロア面に接している。
【0045】
収容本体2を初期状態から所望の角度まで後方に傾くようにリクライニング動作させる場合には、アップボタン16aを、収容本体2が所望の角度に傾くまで押し続ける。アップボタン16aの押し操作が継続している間、制御部22には、操作部13からの入力信号が送信され続ける。この場合、制御部22は、エアポンプ24を駆動し、かつ、第2保持弁27が開状態かつ第6電磁弁36が連通状態となるように制御する。これにより、第2エアバッグ50に空気が供給される。そして、第2エアバッグ50が膨張しかつ高さ方向に伸長すると、収容本体2の下側の前端部が押し上げられる。その結果、収容本体2が後方に傾くように動作し始める。すなわち、リクライニング動作が開始される。
【0046】
リクライニング動作が開始すると、収容本体2が後方に傾くと同時に、ローラ支持部55も後方に傾くようになる。その後、ローラ支持部55の下部がフロア面から離れるとともに、ローラ部56がフロア面に接するようになる。更にリクライニング動作が継続すると、フロア面に接したローラ部56がローラ支持部55に対して回動する。このローラ部56の回動により、収容本体2が前方に向かって移動する。例えば、
図8に示すように、収容本体2をリクライニング角度がθ1まで後方に傾けた場合には、収容本体2が距離Xだけ前方に移動する。なお、
図8では、θ1が約15度となる場合を例示している。
【0047】
次に、収容本体2が所望のリクライニング角度まで後方に傾いた場合には、アップボタン16aの押し操作を停止する。すなわち、アップボタン16aから手を離す。この操作により、操作部13の入力信号が制御部22に送信されないようになる。制御部22は、操作部13の入力信号が途絶えると、エアポンプ24の駆動を停止しかつ第2保持弁27を閉状態となるように制御する。また、制御部22は、第6電磁弁36を連通状態に維持する。これにより、第2エアバッグ50の膨張状態が維持される。すなわち、リクライニング角度がθ1に維持される。ここで、リクライニング角度のθ1が35度を超えないように、第2エアバッグ50の膨張状態を、制御部22の制御により調節することが望ましい。リクライニング角度が35度を超えると、収容本体2が後方に転倒しやすくなって使い勝手が悪くなる。
【0048】
リクライニング角度をθ1よりも小さくする場合(収容本体2を前方に起こす場合)には、ダウンボタン16bを、収容本体2が所望の角度に起き上がるまで押し続ける。ダウンボタン16bの押し操作が継続している間、制御部22には、操作部13からの入力信号が送信され続ける。この場合、制御部22は、エアポンプ24の駆動を停止した状態を維持しかつ第2保持弁27が閉状態かつ第6電磁弁36が開放状態となるように制御する。これにより、第2エアバッグ50の空気が自然排気されて、第2エアバッグ50が高さ方向に収縮する。その結果、収容本体2の前端部が下降する。ダウンボタン16bを押し続けると、収容本体2が初期状態(直立状態)に復帰する。
【0049】
一方、収容本体2が初期状態に復帰する前にダウンボタン16bの押し操作を途中で停止した場合(ダウンボタン16bから指を離した場合)には、当該停止時のリクライニング角度を維持するように、制御部22がエアポンプ24、第2保持弁27、および第6電磁弁36を制御する。このように、本実施形態では、リクライニング調節ボタン16の操作により、収容本体2のリクライニング角度を無段階で調節することが可能となる。即ち、使用者は、所望のリクライニング角度(下肢を好みの姿勢とした状態)で、コース選択(例えば、「ほぐす」を選択)することで、第1エアバッグ40による施療を受けることができる。
【0050】
(ストレッチ動作)
以下、主に
図9および
図10を参照しながら、コース選択ボタン14の操作で「ストレッチ」のコースを選択したときの動作(以下「ストレッチ動作」という)を説明する。
【0051】
ストレッチ動作を実行する場合には、操作部13のコース選択ボタン14を押して、コース表示部19における「ストレッチ」のランプ部分を点灯させる。この操作により、ストレッチ動作が実行される。「ストレッチ」が点灯すると、制御部22には、操作部13から、ストレッチ動作の実行による入力信号が送信される。
【0052】
第1の動作として、「ストレッチ」のコースが開始されると、制御部22は、エアポンプ24を駆動しかつ第1保持弁26を開状態とし、かつ第5電磁弁35を連通状態となるように制御する。これにより、爪先用エアバッグ47に空気が供給される。そして、爪先用エアバッグ47が膨張すると、収容部10に収容した使用者の爪先部分が押し上げられる(
図9参照)。
【0053】
第2の動作として、制御部22は、爪先用エアバッグ47に対する空気の供給時間が所定時間だけ経過すると、エアポンプ24を駆動したまま或いは停止させて第5電磁弁35を連通状態に維持しつつ、第1保持弁26を閉状態に制御する。これにより、爪先用エアバッグ47の膨張状態が維持される。
【0054】
第3の動作として、制御部22は、エアポンプ24の駆動状態で第2保持弁27を開状態としかつ第6電磁弁36を連通状態となるように制御する。すなわち、リクライニング動作が実行される(第2エアバッグ50が膨張する)。そして、制御部22は、リクライニング角度が例えばθ2(
図10参照)になるまで、第2保持弁27および第6電磁弁36とエアポンプ24とを制御する。なお、
図10では、θ2が約30度となる場合を例示している。ここで、「ストレッチ」のコースにおいて、θ2は、15度以上35度以下が望ましい。θ2が15度未満であると、直立状態(初期状態)との差が大きくなく、ストレッチ(アキレス腱伸ばし)効果が得にくくなる。θ2が35度を超えると、収容本体2が転倒しやすくなって使い勝手が悪い。言い換えると、制御部22は、第2エアバッグ50の膨張によってθ2が35度を超えないように制御している。
【0055】
第4の動作として、制御部22は、
図10に示した爪先用エアバッグ47および第2エアバッグ50の膨張状態を所定時間だけ維持する。このとき、制御部22は、エアポンプ24の駆動を停止した状態にしている。その後、制御部22は、エアポンプ24の駆動を停止状態のまま、第1保持弁26および第2保持弁27を開状態にするとともに、第5電磁弁35および第6電磁弁36を開放状態にするように制御する。すなわち、爪先用エアバッグ47および第2エアバッグ50の双方を収縮させて、収容本体2を初期状態(
図2参照)に復帰させる。
【0056】
「ストレッチ」のコースでは、上記第1~第4の動作を一つのサイクルとし、当該サイクルが予め設定されたコース時間(例えば15分間)において複数回繰り返される。上記コース時間が終了すると、「ストレッチ」のコースが終了する。なお、「ストレッチ」のコースでは、上記第1~第4の動作以外の動作として、複数の第2エアバッグ50の膨張状態を維持した後に、爪先用エアバッグ47の膨張および収縮を複数回繰り返すといった動作を含んでいてもよい。
【0057】
[実施形態の作用効果]
以上のように、第2エアバッグ50,50は、収容本体2の下側かつ前端部寄りに配置され、エアポンプ24により収容本体2の高さ方向に沿って膨張および収縮するように構成されている。かかる構成によれば、第2エアバッグ50,50が高さ方向に膨張すると、収容本体2の前端部が押し上げられる。その結果、収容本体2が後方に傾くように動作する(後方上傾状とできる)。また、第2エアバッグ50,50が膨張状態から高さ方向に沿って収縮すると、収容本体2の前端部が下降する。すなわち、収容本体2が前方に起こされる(収容本体2を直立状態に近づける)。このように、第2エアバッグ50,50の膨張および収縮により、収容本体2を所定の角度にリクライニング動作させることが可能となる。したがって、下肢用マッサージ装置1では、収容本体2の収容部10に収容した下肢Lを使用者の好みの姿勢に調節することができる。
【0058】
また、第2エアバッグ50は、収容本体2を側方から見たときに、前部50aが後部50bよりも高さ方向に向かって大きく膨らむように構成されている。かかる構成によれば、収容本体2の前端部を押し上げやすくなり、リクライニング動作が行いやすくなる。
【0059】
また、ローラ部56は、第2エアバッグ50,50の膨張および収縮に応じて、収容本体2が前後方向に沿って移動可能となるように構成されている。かかる構成によれば、収容本体2を、リクライニング動作に応じて前後方向に移動させることができる。例えば、収容本体2を後方に傾けてかつ前方に移動させることにより、使用者の膝関節が開くような動作を補助することが可能となる。すなわち、使用者の下肢Lを楽な姿勢にすることができる。
【0060】
また、爪先用エアバッグ47の膨張状態かつリクライニング状態にすると、使用者の足首関節がアキレス腱を伸ばすように曲がり、かつ、踵を前方へ移動させた姿勢にできる。その結果、単に爪先用エアバッグ47のみを膨張させた場合と比べて、膝関節を楽にしながらも足首(足関節)のストレッチ効果(特にアキレス腱に対するストレッチ効果)を高めるこができる。
【0061】
また、左右一対の第2エアバッグ50,50の下側には、収容本体2の左右方向に沿って延びる支持部51が、一方の第2エアバッグ50から他方の第2エアバッグ50に亘って架け渡された状態で設けられている。この支持部51により、第2エアバッグ50,50が膨張および収縮したときの、各第2エアバッグ50における高さ方向の偏りが抑制される。このため、収容本体2を、左右方向において偏りが生じないようにリクライニング動作させることができる。言い換えると、左右一対の第2エアバッグ50,50の膨張量および収縮量を揃える(同期させる)ことができる。
【0062】
また、制御部22は、爪先用エアバッグ47および第2エアバッグ50のいずれか一方を膨張させた状態で、爪先用エアバッグ47および第2エアバッグ50のいずれか他方を膨張させるように、エアポンプ24、制御弁4,4(第1保持弁26および第2保持弁27)を制御する。これにより、収容本体2のリクライニング動作を利用しつつ、使用者の下肢Lの各部位(例えば、アキレス腱、足関節、足の爪先付近に位置する関節)をストレッチさせることができる。
【0063】
[実施形態の変形例]
上記実施形態における「ストレッチ」のコースでは、爪先用エアバッグ47および複数の第2エアバッグ50のみを用いた基本的な形態を示したが、この形態に限られない。例えば、上記実施形態で示した「ストレッチ」のコースに代えて、例えば、複数の側部下段エアバッグ43、複数の足甲用エアバッグ44、複数の爪先用エアバッグ47、および複数の第2エアバッグ50を用いて「ストレッチ」のコースを構成してもよい。
【0064】
この変形例に係る「ストレッチ」のコースにおいて、制御部22は、先ず、各収容部10に設けられた側部下段エアバッグ43,43および足甲用エアバッグ44,44を膨張させ、次に、複数の第2エアバッグ50を膨張させ、その後、各収容部10に設けられた爪先用エアバッグ47を膨張させるように、エアポンプ24および複数の制御弁4(すなわち、第1保持弁26、第2保持弁27、第3電磁弁33、第5電磁弁35、第6電磁弁36)を制御する。
【0065】
具体的に、収容本体2の初期状態(上記実施形態で示した
図2を参照)において、各収容部10に設けられた側部下段エアバッグ43,43および足甲用エアバッグ44,44を膨張させて、側部下段エアバッグ43,43および足甲用エアバッグ44,44の膨張状態を維持する。かかる状態では、各収容部10に収容された下肢Lのくるぶし付近が側部下段エアバッグ43,43により左右両側から押圧されるとともに、下肢Lの足の甲付近が足甲用エアバッグ44,44により押圧される。具体的に、足甲用エアバッグ44,44は、図例においては簡略化して図示しているが、下部側を固定端としかつ上部側を揺動展開自在とした蛇腹状であり、扇型に膨張して足の甲および甲付近を上方から押圧するように構成されている。
【0066】
次に、複数の第2エアバッグ50を膨張させて、収容本体2のリクライニング動作を実施する。例えば、リクライニング角度がθ2になるまでリクライニング動作を継続させる。リクライニング角度がθ2になった後、リクライニング角度をθ2に維持しつつ、爪先用エアバッグ47を膨張させる。このとき、下肢用マッサージ装置1は、上記実施形態の
図10に示した状態となる。最後に、全てのエアバッグを収縮させて、収容本体2を初期状態(
図2参照)に復帰させる。そして、これらの動作を一つのサイクルとし、当該サイクルが予め設定されたコース時間(例えば15分間)において複数回繰り返される。
【0067】
以上のように、この変形例に係る「ストレッチ」のコースによれば、先ず、側部下段エアバッグ43,43および足甲用エアバッグ44,44により各下肢Lにおけるくるぶし付近および足の甲および甲付近を固定することで、足首から足の甲までの範囲がズレにくくなる。かかる状態において、複数の第2エアバッグ50を膨張させることにより、収容本体2のリクライニング動作を利用して、各下肢Lのアキレス腱や足関節を適切にストレッチさせることができる。さらに、爪先用エアバッグ47を膨張させることにより、各下肢Lの足の爪先付近に位置する関節(例えば、中足趾節関節)をストレッチさせることができる。すなわち、爪先用エアバッグ47が膨張した際、側部下段エアバッグ43,43および足甲用エアバッグ44,44により踵側や土踏まず部分の足の浮き上がりが防止され、爪先部分のストレッチ効果を確実に得ることができる。
【0068】
なお、この変形例では、上記実施形態と同様に、複数の側部下段エアバッグ43および複数の足甲用エアバッグ44が同時に膨張および収縮するように制御弁4(第3電磁弁33)を構成しているが、この構成に限られない。例えば、第3電磁弁33に代えて、複数の足甲用エアバッグ44のみが膨張および収縮する(すなわち、足の甲および甲付近のみを固定する)ように、制御弁4の接続形態を変更してもよい。このように変更しても、足甲用エアバッグ44,44により足の甲および甲付近が固定されていれば、爪先用エアバッグ47および複数の第2エアバッグ50による上記変形例のストレッチ効果を得ることができる。
【0069】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、左右一対の第2エアバッグ50,50を用いた形態を示したが、この形態に限られない。例えば、第2エアバッグ50としては、長手方向が収容本体2の左端部から右端部に亘って左右方向に延びる1つのエアバッグ体により構成されていてもよい。あるいは、第2エアバッグ50は、収容本体2の左右方向に沿って並べられた3つ以上のエアバッグ体により構成されていてもよい。
【0070】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、使用者の下肢を施療するための下肢用マッサージ装置として産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1:下肢用マッサージ装置
2:収容本体
4:制御弁
10:収容部
13:操作部
22:制御部
24:エアポンプ
40:第1エアバッグ
47:爪先用エアバッグ
50:第2エアバッグ
51:支持部
56:ローラ部