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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022122474
(43)【公開日】2022-08-23
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/12 20060101AFI20220816BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
F25C1/12 301Z
F25C1/12 Z
F25D29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021019726
(22)【出願日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花井 崇
(72)【発明者】
【氏名】山岡 清史
(72)【発明者】
【氏名】越 洋
(72)【発明者】
【氏名】太田 秀治
(72)【発明者】
【氏名】傅 強飛
【テーマコード(参考)】
3L045
3L110
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045AA05
3L045BA03
3L045CA04
3L045DA02
3L045HA01
3L045LA17
3L045MA18
3L045MA19
3L045NA00
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
3L110AA02
3L110AA07
3L110AC04
(57)【要約】
【課題】水を効果的に殺菌できる実用的な製氷機を提供する。
【解決手段】製氷機10であって、タンク13から供給される水を凍結させて氷を生成する製氷部11と、製氷部11に水を供給するポンプ15と、水を殺菌する殺菌装置90と、制御部6と、を備え、製氷部11は、流下する水を凍結させて氷を生成する製氷板12を備え、制御部6は、ポンプ15を駆動して水を循環させ製氷板12に氷を生成する生成運転と、生成した氷を製氷板12から除氷する除氷運転と、を繰り返すように少なくともポンプ15を制御する製氷制御部64と、生成運転において製氷板12に氷が付着するまでの間、殺菌装置90をONにし、生成運転において製氷板12に氷が付着した後及び除氷運転の間、殺菌装置90をOFFにする殺菌制御部65と、を備えること。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷機であって、
内部に水を貯蔵可能なタンクと、
前記タンクから供給される水を凍結させて氷を生成する製氷部と、
前記製氷部に水を供給するポンプと、
少なくとも水を殺菌する殺菌装置と、
制御部と、を備え、
前記製氷部は、流下する水を凍結させて氷を生成する製氷板を備え、
当該製氷機は、前記ポンプの駆動により前記タンクと前記製氷部とを水が循環する構成とされ、
前記殺菌装置は、前記循環する水を殺菌可能な位置に設けられ、
前記制御部は、
前記ポンプを駆動して水を循環させ前記製氷板に氷を生成する生成運転と、生成した氷を前記製氷板から除氷する除氷運転と、を繰り返すように少なくとも前記ポンプを制御する製氷制御部と、
前記生成運転において前記製氷板に氷が付着するまでの間、前記殺菌装置をONにし、前記生成運転において前記製氷板に氷が付着した後及び前記除氷運転の間、前記殺菌装置をOFFにする殺菌制御部と、を備えることを特徴とする製氷機。
【請求項2】
当該製氷機は、前記タンクの内部に貯蔵された水の水位を検出する水位検出部を備え、
前記殺菌制御部は、前記生成運転において前記水位検出部で検出された前記水位が所定水位よりも高い場合、前記製氷板に氷が付着するまでの間であると判定し、前記生成運転において前記水位検出部で検出された前記水位が所定水位以下の低さである場合、前記製氷板に氷が付着した後であると判定することを特徴とする請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記殺菌装置は、紫外線を照射する紫外線照射装置であり、前記タンクの内部に貯蔵された水に向けて紫外線を照射可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製氷機。
【請求項4】
前記殺菌装置は、紫外線を照射する紫外線照射装置であり、前記製氷板に向けて紫外線を照射可能な位置に設けられており、
前記製氷部は、前記製氷板に対向する位置に設けられ、紫外線を反射する反射部を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製氷機。
【請求項5】
前記殺菌装置は、前記ポンプに当接する位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製氷機として、特許文献1に記載のものが知られている。具体的には、特許文献1には、製氷機(製氷機械)が、水を保持するリザーバと、水をリザーバから輸送する輸送導管と、輸送導管から水を受け入れ氷を形成する蒸発器プレートと、輸送導管を流れる水を滅菌処理する処理装置と、を備えることが開示されている。蒸発器プレートから流れる水は、再循環水としてリザーバ内に溜まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002-541420
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、製氷機内に供給され循環する水が十分に殺菌される前に蒸発器プレートで氷が生成し始めた場合、菌やウィルス等が含まれた氷が生成されてしまう虞がある。従って、製氷機内の水が完全に殺菌されるように殺菌装置(処理装置)を常時稼働させておくことも考えられるが、その場合、殺菌装置の寿命が短くなる可能性がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、水を効果的に殺菌できる実用的な製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、製氷機であって、内部に水を貯蔵可能なタンクと、前記タンクから供給される水を凍結させて氷を生成する製氷部と、前記製氷部に水を供給するポンプと、少なくとも水を殺菌する殺菌装置と、制御部と、を備え、前記製氷部は、流下する水を凍結させて氷を生成する製氷板を備え、当該製氷機は、前記ポンプの駆動により前記タンクと前記製氷部とを水が循環する構成とされ、前記殺菌装置は、前記循環する水を殺菌可能な位置に設けられ、前記制御部は、前記ポンプを駆動して水を循環させ前記製氷板に氷を生成する生成運転と、生成した氷を前記製氷板から除氷する除氷運転と、を繰り返すように少なくとも前記ポンプを制御する製氷制御部と、前記生成運転において前記製氷板に氷が付着するまでの間、前記殺菌装置をONにし、前記生成運転において前記製氷板に氷が付着した後及び前記除氷運転の間、前記殺菌装置をOFFにする殺菌制御部と、を備えることに特徴を有する。
【0007】
このような製氷機によると、生成運転において水がタンクと製氷部とを循環しており製氷板に氷が付着するまでの間、殺菌装置をONにすることで、タンクに供給され循環する水を十分に殺菌することができる。また、生成運転において製氷板に氷が付着した後及び除氷運転の間は、殺菌装置をOFFにすることで、当該殺菌装置の稼働を最小限に抑え、その寿命を向上させることができる。
【0008】
また、上記製氷機は、前記タンクの内部に貯蔵された水の水位を検出する水位検出部を備え、前記殺菌制御部は、前記生成運転において前記水位検出部で検出された前記水位が所定水位よりも高い場合、前記製氷板に氷が付着するまでの間であると判定し、前記生成運転において前記水位検出部で検出された前記水位が所定水位以下の低さである場合、前記製氷板に氷が付着した後であると判定することとしてもよい。
【0009】
このような製氷機によると、生成運転において製氷板に氷が付着するまでの間であるか付着した後であるかを判定しやすくなる。また、外気温等の影響により氷が生成するまでの時間が生成運転と除氷運転とを繰り返すサイクル毎や運転日時毎に異なる場合であっても、タンクに供給され循環する水をそのサイクル毎等の状況に合わせて殺菌することができる。
【0010】
また、上記構成において、前記殺菌装置は、紫外線を照射する紫外線照射装置であり、前記タンクの内部に貯蔵された水に向けて紫外線を照射可能な位置に設けられていることとしてもよい。このような製氷機によると、タンクに供給され循環する水をタンクの内部において比較的多量に殺菌することができ、効果的である。
【0011】
また、上記構成において、前記殺菌装置は、紫外線を照射する紫外線照射装置であり、前記製氷板に向けて紫外線を照射可能な位置に設けられており、前記製氷部は、前記製氷板に対向する位置に設けられ、紫外線を反射する反射部を備えていてもよい。このような製氷機によると、紫外線照射装置から製氷板に向けて照射され製氷板で反射する紫外線を、当該製氷板に対向する位置に設けられた反射部によって製氷板側に再度反射させることができる。これにより、紫外線を製氷板の広範囲に効率よく照射することができ、製氷板を流下する水や製氷板で生成した氷をより効果的に殺菌することができる。
【0012】
また、上記構成において、前記殺菌装置は、前記ポンプに当接する位置に設けられていてもよい。このような製氷機によると、ポンプで生じる熱を殺菌装置に伝導させることができ、殺菌装置で結露が発生することを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水を効果的に殺菌できる実用的な製氷機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る製氷機の模式図
図2】製氷機の断面図
図3】製氷機の電気的構成を示すブロック図
図4】生成運転と除氷運転の流れを示すフローチャート
図5】紫外線照射装置の照射タイミング等を示すタイミングチャート
図6】実施形態2に係る製氷機の断面図
図7】実施形態3に係る製氷機の模式図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図5によって説明する。本実施形態では、製氷機として流下式の製氷機10を例示する。図1に示すように、製氷機10は、水を凍結させることで氷Iを生成する製氷部11と、製氷部11(より詳しくは製氷部11が備える各製氷板12)を冷却するための冷却装置40と、製氷部11に供給される水を内部に貯蔵するためのタンク13と、製氷部11で生成された氷を内部に貯蔵するための貯氷庫14と、タンク13に貯蔵された水を製氷部11に供給するポンプ15と、を備える。また、製氷機10は、製氷部11とポンプ15とを接続する第1通水管18と、第1通水管18の途中から引き出され、タンク13内の水を外部に排水するための排水管20と、排水管20を開閉する排水バルブ21と、水道管31に接続される給水管29と、給水管29を開閉する給水バルブ30と、排水管20と給水管29とを接続する第2通水管32と、第2通水管32を開閉する通水バルブ34と、を備える。
【0016】
冷却装置40は、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張弁(キャピラリーチューブ)43と、蒸発管44と、を備え、これらが冷媒管45により接続されて既知の蒸気圧縮式の冷凍回路(冷凍サイクル)を構成している。また、冷却装置40は、凝縮器42を空冷するための凝縮器ファン46と、冷凍回路に混入した水分を除去するためのドライヤ47と、を備える。蒸発管44は、2つの製氷板12の間に蛇行状にロウ付けされて配置されており、膨張弁43によって膨張された液冷媒が気化されることで、製氷板12を冷却する。冷媒管45において蒸発管44の出口付近には、製氷板12の温度を検知するための製氷部温度センサ(サーミスタ等)16が設けられている。
【0017】
冷却装置40は、圧縮機41で圧縮された冷媒ガス(ホットガス)を蒸発管44に供給するためのバイパス管49と、バイパス管49に設けられた電磁弁であるホットガス弁50と、を備える。ホットガス弁50を開くことで、圧縮機41から冷媒ガス(ホットガス)を蒸発管44に供給し、蒸発管44を加熱可能となっている。
【0018】
製氷部11は、製氷板12と、製氷板12に製氷用の水を散水するための第1散水パイプ24及び散水ガイド25と、氷を融解させる水を散水可能な第2散水パイプ23と、を備える。製氷板12は、板面が垂下する姿勢で複数(本実施形態では例えば2枚)設けられている。2枚の製氷板12は対向配置され、非対向の外側の面が製氷面12Aとされている。製氷面12Aは、上下方向に延びる仕切部(不図示)によって仕切られている。ポンプ15の駆動によりタンク13から製氷部11に供給された水は、製氷板12の上に設けられた第1散水パイプ24及び散水ガイド25によって各製氷面12Aに均一となるように散水され、製氷面12Aを流下する。図2に示すように、2枚の製氷板12の外側には、製氷面12Aに対向するように配置された板状のカバー37が設けられている。カバー37は、2枚の製氷板12の前側と後側とに1枚ずつ配されており、下部がキューブガイド28に近接するように折れ曲がっている。
【0019】
図1に示すように、第2散水パイプ23は、2枚の製氷板12間の上部に設けられており、給水管29及び給水バルブ30を介して水道管31と接続されている。給水バルブ30を開くことで、第2散水パイプ23から水が散水され、散水された水は、製氷板12の背面(対向した内側の面、製氷面12Aと反対側の面)を流下して、タンク13に流れ落ちる。第2散水パイプ23は、製氷板12を水道水によって温める機能と、タンク13に水道水を供給する給水機能を担っている。
【0020】
タンク13は、製氷板12の下方に配されており、製氷板12を流下した水のうち、凍結しなかった水が当該タンク13に流れ落ちて貯まるようになっている。これにより、ポンプ15を駆動させることで、タンク13と製氷部11との間で水を循環可能となっている。タンク13と製氷部11は、2つの流水経路(第1流水経路、第2流水経路)の経路上に含まれており、ポンプ15は各流水経路の水を循環することができる。第1流水経路は、タンク13から順にポンプ15、第1通水管18、第1散水パイプ24、製氷板12の製氷面12Aを通ってタンク13に戻る経路であり、第2流水経路は、タンク13から順にポンプ15、第1通水管18、排水管20、第2通水管32、給水管29、第2散水パイプ23、製氷板12の背面を順に通ってタンク13に戻る経路である。第1流水経路と第2流水経路は、通水バルブ34の開閉によって切り替え可能である。
【0021】
タンク13は、上部開口を有する箱状のタンク本体部26と、タンク本体部26の上部開口を部分的に覆う蓋体27と、を備える。タンク本体部26のうち、蓋体27で覆われていない部分は、製氷板12からの水が落下する位置に配されており、この部分と製氷板12との間にはキューブガイド28が介在している。キューブガイド28は、複数の通過孔が形成されたスノコ状の部材であり、製氷板12から流下した水は、キューブガイド28を通過してタンク13に回収される。一方で、製氷板12から落下した氷は、キューブガイド28上を滑り落ちて貯氷庫14に投入される。
【0022】
ポンプ15は、動力源として回転速度が可変なモーターを備えており、モーターの駆動によって水を循環させると共に、モーターの回転速度によって水の循環量を変化させることができる。蓋体27には、タンク本体部26の内部に貯蔵された水の水位を検出するためのフロートスイッチ(水位検出部)17が固定されている。フロートスイッチ17は、フロート(浮き子17A)を備え、浮き子17Aが浮力でタンク本体部26の水位に合わせて上下に変位すると、その変位によってフロートスイッチ17の本体部に含まれるリードスイッチがオン、オフする。フロートスイッチ17は、2つのリードスイッチによって2つの所定水位(下基準水位L1、上基準水位L2)を検出可能となっている。
【0023】
タンク本体部26は、タンク本体部26内の水が所定のオーバーフロー水位L3を超えた場合に、オーバーフロー水位L3を超えた水をタンク13の外部に排水可能に構成されている。タンク本体部26は、オーバーフロー水位L3を規定する越流関として設けられた立壁部36を備えており、タンク本体部26に貯蔵された水の水位が立壁部36(オーバーフロー水位L3)を超えると、水が製氷機10の外部に排水される。フロートスイッチ17が検出可能な上基準水位(本願発明における所定水位)L2は、オーバーフロー水位L3より小さい値に設定され、L3>L2>L1の関係となっている。
【0024】
また、蓋体27には、水や氷を殺菌する殺菌装置としての紫外線照射装置90が設けられている。紫外線照射装置90は、蓋体27の上面であって中央部分においてポンプ15に当接する位置に設けられており、ポンプ15と共に蓋体27に共締めされている。紫外線照射装置90は、その内部に設けられ紫外線を発生させる光源としてのLED(不図示)と、発生した紫外線を下方に向けて出射(照射)する紫外線照射面90Aと、を備えており、タンク本体部26に貯蔵され製氷部11との間を循環する水に対し紫外線を照射して殺菌することができる。紫外線照射装置90から照射される紫外線の波長は特に限定されないが、例えば、殺菌作用が著しい253.7nm付近の波長を比較的高強度で照射するものであってもよい。また、紫外線照射装置90から照射される紫外線の照射範囲は、例えば、タンク本体部26の底面や側面を照射できるような比較的広い範囲であってもよい。
【0025】
貯氷庫14は、タンク13の下方に設けられており、キューブガイド28上を滑り落ちた氷が当該貯氷庫に落下して収容される。貯氷庫14に落下した氷は、貯氷庫14の底部14Aから積み上がるように収容される。貯氷庫14の上部には、貯氷庫14内の氷の貯氷量を検出するための貯氷センサ33が設けられている。貯氷センサ33は、フラップ板33Aを備える貯氷スイッチであり、氷が貯氷庫14内に積み上がって満氷(上限量の一例)になると、フラップ板33Aが氷によって上に押されて満氷が検出される。
【0026】
図2は、製氷機10の断面を側方から視た図であり、紙面左側(扉2側)が製氷機10の正面側、紙面右側が製氷機10の背面側とされる。製氷機10は、全体として直方体形状をなし、正面上側には、貯氷庫14を開閉して氷を取り出すための下開き式の扉2が設けられている。扉2の内面(貯氷庫14側の面)2A1には、氷を取り出す際に用いられるスコップ(不図示)を差し込んで収容するためのスコップホルダ―3が設けられている。製氷機10の下側には、圧縮機41や凝縮器42等が配置された機械室8が設けられている。製氷機10の背面上側には、冷媒管45等の配管が設けられた配管室9が設けられている。
【0027】
また、製氷機10は、扉2の下方に設けられた操作パネル5を備える。使用者は、操作パネル5を操作することによって後述する生成運転等の開始等を指示することができる。操作パネル5には現在の運転状態(生成運転又は除氷運転)や各種メッセージが表示される。操作パネル5の後方には、製氷機10の各部と電気的に接続される制御部(制御基板)6が、電装箱7(コントロールボックス)内に収容される形で配されている。
【0028】
図には、製氷機10の電気的構成を示している。制御部6は、フロートスイッチ17、製氷部温度センサ16、貯氷センサ33、及び操作パネル5に電気的に接続されている。また、制御部6は、圧縮機41、ドライヤ47、ホットガス弁50、ポンプ15、紫外線照射装置90、給水バルブ30,排水バルブ21,及び通水バルブ34に電気的に接続されている。制御部6は、製氷機10の運転に係る制御プログラムや各設定値が記憶される記憶部62と、時間の経過等をカウントする計時部63と、後述する生成運転、除氷運転等を繰り返すように圧縮機41やポンプ15等を制御する製氷制御部64と、紫外線照射装置90による紫外線照射のON・OFFを制御する殺菌制御部65と、を備える。
【0029】
次に、図3から図5等を用いて、制御部6が各部を制御する態様を説明する。尚、図5において、氷の生成率とは、製氷板12に生成する氷の大きさを百分率で示した値である。氷の生成率が0%のときは、製氷板12に氷が生成していない状態である。一方、氷の生成率が100%のときは、製氷板12に所定の大きさの氷が生成した状態であって、後述するフロートスイッチ17が下基準水位L1を検出したとき(図4のS7でYES)の状態である。
【0030】
図4に示すように、操作パネル5において生成運転(製氷運転と呼ばれることもある)が指示され、貯氷センサ33が貯氷庫14の満氷を検出していない場合、生成運転が開始する(S1)。生成運転が開始されると、殺菌制御部65が、紫外線照射装置90をONの状態にして紫外線をタンク本体部26に貯蔵された水に向けて照射する(S2)。
【0031】
また、製氷制御部64は、給水バルブ30を開いてタンク13へ給水し、冷却装置40を運転して製氷板12を冷却する(S3)。給水に関して、製氷制御部64は、フロートスイッチ17が上基準水位L2を検出後、さらに所定時間給水してタンク13内の水が立壁部36を越流するまで(オーバーフロー水位L3を超えるまで)、タンク13への給水を行う。所定時間経過後、製氷制御部64は、給水バルブ30を閉じてタンク13への給水を停止する。そして、製氷制御部64は、ポンプ15を駆動して水を循環させ、タンク13から製氷板12の製氷面12Aに水を流下させる(S4)。
【0032】
殺菌制御部65は、フロートスイッチ17で検出されたタンク13の水位が上基準水位L2よりも高い場合(S5でNO)、製氷板12に氷が付着するまでの間であると判定し、引き続き紫外線照射装置90をONの状態に維持する。製氷板12の温度が十分に低下すると、製氷面12Aにおいてその背面の蒸発管44が接触している部分を中心に氷の核(種氷)が付着し始め、この種氷が拡大成長することで所定の大きさの氷Iが生成される。そして、この氷Iの生成に伴い、タンク13に貯蔵された水の水位は低下する。殺菌制御部65は、フロートスイッチ17で検出されたタンク13の水位が上基準水位L2以下の低さとなった(タンク13の水位が上基準水位L2以下に低下した)場合(S5でYES)、製氷板12に氷Iが付着した後であると判定し、紫外線照射装置90をOFFの状態に変更する(S6)。
【0033】
氷の生成率が上昇し(図5参照)、タンク13に貯蔵された水の水位がさらに低下することで、フロートスイッチ17が下基準水位L1を検出すると(S7でYES)、製氷制御部64は、生成運転を停止し(S8)、除氷運転を開始する(S9)。
【0034】
除氷運転では、殺菌制御部65は、紫外線照射装置90をOFFの状態に維持している。製氷制御部64は、ホットガス弁50を開き、給水バルブ30を開いて(S10)、第2散水パイプ23から製氷板12の背面に水を流す。これにより製氷板12が温まり、氷Iにおいて製氷面12Aとの接触部分が溶けることで、氷Iが製氷面から剥がれて落下し、除氷される。
【0035】
そして、製氷部温度センサ16が検知した製氷板の温度が所定温度(例えば9℃)以上になったことを検知した場合(S11でYES)、製氷制御部64は、製氷面12A上の全ての氷が除氷されたと判定する。その後、製氷制御部64は、ホットガス弁50を閉じた状態とし(S12)、除氷運転を停止させる(S13)。尚、製氷制御部64は、除氷運転の後、図示しない洗浄装置によりタンク13内等を洗浄する洗浄運転を行ってもよい。
【0036】
このようにして、製氷制御部64は、一連の運転を実行した後、再びS1に戻り生成運転を開始することで、生成運転と除氷運転とを繰り返す。制御部6は、生成運転を再び開始すると共に、上記一連の運転(生成運転及び除氷運転)のサイクルが1サイクル実行されたことをカウントし、記憶部62に累積して実行されたサイクル数として記憶させる。
【0037】
尚、図5に示すように、殺菌制御部65は、上記一連の運転の2サイクル目以降において紫外線照射装置90をOFFにするタイミングをT時間分早める補正制御を行ってもよい。このような補正制御は、例えば、殺菌制御部65が、一連の運転の1サイクル目において、計時部63で計時された、紫外線照射装置90をONからOFFにするまでの時間(初回照射継続時間)を記憶部62に記憶させ、一連の運転の2サイクル目以降において、初回継続時間からT時間早めたタイミングで、紫外線照射装置90をOFFにすることで、実行することができる。
【0038】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、製氷機10であって、内部に水を貯蔵可能なタンク13と、タンク13から供給される水を凍結させて氷を生成する製氷部11と、製氷部11に水を供給するポンプ15と、少なくとも水を殺菌する殺菌装置90と、制御部6と、を備え、製氷部11は、流下する水を凍結させて氷を生成する製氷板12を備え、当該製氷機10は、ポンプ15の駆動によりタンク13と製氷部11とを水が循環する構成とされ、殺菌装置90は、循環する水を殺菌可能な位置に設けられ、制御部6は、ポンプ15を駆動して水を循環させ製氷板12に氷を生成する生成運転と、生成した氷を製氷板12から除氷する除氷運転と、を繰り返すように少なくともポンプ15を制御する製氷制御部64と、生成運転において製氷板12に氷が付着するまでの間、殺菌装置90をONにし、生成運転において製氷板12に氷が付着した後及び除氷運転の間、殺菌装置90をOFFにする殺菌制御部65と、を備える製氷機10を示した。
【0039】
このような製氷機10によると、生成運転において水がタンク13と製氷部11とを循環しており製氷板12に氷が付着するまでの間、殺菌装置90をONにすることで、タンク13に供給され循環する水を十分に殺菌することができる。また、生成運転において製氷板12に氷が付着した後及び除氷運転の間は、殺菌装置90をOFFにすることで、当該殺菌装置90の稼働を最小限に抑え、その寿命を向上させることができる。
【0040】
また、製氷機10は、タンク13の内部に貯蔵された水の水位を検出するフロートスイッチ17を備え、殺菌制御部65は、生成運転においてフロートスイッチ17で検出された水位が上基準水位L2よりも高い場合、製氷板12に氷が付着するまでの間であると判定し、生成運転においてフロートスイッチ17で検出された水位が上基準水位L2以下の低さである場合、製氷板12に氷が付着した後であると判定する。
【0041】
このような製氷機10によると、生成運転において製氷板12に氷が付着するまでの間であるか付着した後であるかを判定しやすくなる。また外気温等の影響により氷が生成するまでの時間が生成運転と除氷運転とを繰り返すサイクル毎や運転日時毎に異なる場合であっても、タンク13に供給され循環する水をそのサイクル毎等の状況に合わせて殺菌することができる。
【0042】
また、殺菌装置90は、紫外線を照射する紫外線照射装置であり、タンク13の内部に貯蔵された水に向けて紫外線を照射可能な位置に設けられている。このような製氷機10によると、タンク13に供給され循環する水をタンク13の内部において比較的多量に殺菌することができ、効果的である。
【0043】
また、上記構成において、殺菌装置90は、ポンプ15に当接する位置に設けられいる。このような製氷機10によると、ポンプ15で生じる熱を殺菌装置90に伝導させることができ、殺菌装置90で結露が発生することを抑制できる。
【0044】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図6によって説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、制御、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0045】
製氷機210の製氷部211には、流下する水を凍結させて氷を生成する一対の製氷板12が設けられている一方、実施形態1で示したカバー37(図2参照)が設けられていない。従って、製氷機210の内部では、製氷板12の製氷面12Aが露出した状態となっている。一対の製氷板12のうち、前側(扉2側)に設けられたものを前側製氷板12Fとし、前側製氷板12Fの後側に設けられたものを、後側製氷板12Bとする。
【0046】
製氷機210は、配管室9の前側の壁部9Fに埋め込まれる形で取り付けられた紫外線照射装置290と、壁部9Fにおいて紫外線照射装置290以外の部分を覆うように形成された反射部280と、が設けられている。紫外線照射装置290は、壁部9Fの中央部分において、紫外線を出射(照射)する紫外線照射面290Aが、後側製氷板12Bの製氷面12A側(正面側)を向く位置に取り付けられており、紫外線を後側製氷板12Bの製氷面12Aに向けて照射することができる。反射部280は、後側製氷板12Bの製氷面12Aの背面側であって、後側製氷板12Bの製氷面12Aに対向する位置に設けられている。一対の製氷板12及び反射部280は、アルミニウム等の金属等からなり、紫外線を反射する素材とされる。
【0047】
このような製氷機210によると、紫外線照射装置290から後側製氷板12Bに向けて照射され後側製氷板12Bで反射する紫外線を、当該後側製氷板12Bに対向する位置に設けられた反射部280によって後側製氷板12B側に再度反射させることができる。これにより、紫外線を後側製氷板12Bの広範囲に効率よく照射することができ、後側製氷板12Bを流下する水や後側製氷板12Bで生成した氷をより効果的に殺菌することができる。
【0048】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図7によって説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、制御、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0049】
製氷機310は、タンク313においてタンク本体部326の底面に取り付けられた紫外線照射装置390を備える。紫外線照射装置390は、ポンプ15の下部とフロートスイッチ17の浮き子17Aとの間の下側に配されており、紫外線を出射(照射)する紫外線照射面390Aが、タンク313の蓋体27側(上側)を向く方向となるようにタンク本体部326に取り付けられている。紫外線照射装置390は、タンク313に貯蔵された水に水没しており、当該水に対し下側から紫外線を照射することができる。尚、紫外線照射装置390の光源は、LEDに限らず、紫外線蛍光灯等、水面で反射する波長の紫外線を発生可能な光源を採用することができる。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0051】
(1)上記実施形態では、殺菌装置は、紫外線照射装置としたが、これに限られない。例えば、殺菌装置は、オゾンを発生させて殺菌するオゾン発生装置であってもよい。
【0052】
(2)上記実施形態では、ポンプと殺菌装置を隣り合う形で設けたが、これに限られない。例えば、殺菌装置は、ポンプの下部に重ねて配され、ポンプと共にタンクに共締めされて固定されていてもよい。
【0053】
(3)上記実施形態では、タンクに貯蔵された水の水位はフロートスイッチで検出することしたが、これに限られない。例えば、このような水位は、タンクの蓋体に設けられた距離センサによって水面までの距離を測定することによって検出することとしてもよい。
【0054】
(4)上記実施形態では、製氷板に氷が付着した後であると殺菌制御部が判定する条件は、タンクに貯蔵された水位が所定水位以下となった場合としたが、これに限られない。このような条件としては、例えば、製氷部温度センサが検知した製氷板の温度が所定温度(例えば1℃)以下となった場合、製氷板をカメラで撮像し、得られた画像を制御部に設けられた解析部等に解析させ氷の付着が確認された場合、又は、記憶部に予め氷付着時間を設定しておき、生成運転が開始されてから計時部による計時が氷付着時間を超えた場合、としてもよい。
【0055】
(5)上記実施形態では、反射部は配管室の前側の壁部に設けられるものとしたが、これに限られない。例えば、下部がキューブガイドに近接するように折れ曲がったカバーや、配管室の前側の壁部自体が、アルミニウム等の紫外線を反射する素材が用いられた反射部であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
6…制御部、10…製氷機、11…製氷部、12…製氷板、13…タンク、15…ポンプ、17…フロートスイッチ(水位検出部)、43…膨張弁、43…膨張弁(キャピラリーチューブ)、64…製氷制御部、65…殺菌制御部、90…紫外線照射装置(殺菌装置)、L2…上基準水位(所定水位)、280…反射部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7